通信装置、送信機、受信機および画像形成装置
【課題】通信途中でノイズが混入した場合であっても、同期信号の誤認を抑制可能とする技術を提供する。
【解決手段】特定のビットパターンを有する識別コードを出力した後に同期信号を出力する送信機と、送信機より受信したデータから特定のビットパターンと一致する符合を識別コードと識別するとともに、当該識別コードに基づいて同期信号を前記データから抽出する受信機と、を備える。
【解決手段】特定のビットパターンを有する識別コードを出力した後に同期信号を出力する送信機と、送信機より受信したデータから特定のビットパターンと一致する符合を識別コードと識別するとともに、当該識別コードに基づいて同期信号を前記データから抽出する受信機と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、同期信号の通信を行なう通信技術および当該通信技術を用いた画像形成装置に関し、特に、通信途中に混入するノイズの対策に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、感光体ドラムの表面に半導体レーザーからの光を照射して、潜像を形成するプリンターが記載されている。詳しくは、このプリンターでは、制御回路(特許文献1の図2、図3等に記載の電気回路)による制御に従って、レーザードライバーが半導体レーザーを駆動することで、画像信号に応じた位置に半導体レーザーが光を照射する。
【0003】
このようなプリンターでは、半導体レーザー、レーザードライバーおよび制御回路等の装置の各構成の動作を協働させる必要がある。そこで、ある構成の動作をセンサーにより検出し、この検出結果から生成した同期信号にその他の構成の動作を同期させる制御が一般に行なわれる。具体例を挙げれば、特許文献1のプリンターでは、半導体レーザーが発光する光を光検知器で検知した結果から同期信号(水平同期信号)を生成し、プリンターの各構成の動作をこの同期信号に同期させている。また、このような同期信号を用いた制御はプリンターに限られず、例えば、画像読取装置(スキャナー)等の種々の装置に広く適用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】2008−068459号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述の同期信号を用いた制御を実行するためには、センサーの検出結果から生成した同期信号を、センサーから装置の各構成へ、あるいは装置の各構成の間で通信する必要がある。しかしながら、この通信途中でノイズが混入することがあり、その結果、受信側が当該ノイズを同期信号と誤認する場合があった。
【0006】
この発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、通信途中でノイズが混入した場合であっても、同期信号の誤認を抑制可能とする技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明にかかる通信装置は、上記課題を解決するため、特定のビットパターンを有する識別コードを出力した後に同期信号を出力する送信機と、送信機より受信したデータから特定のビットパターンと一致する符合を識別コードと識別するとともに、当該識別コードに基づいて同期信号を前記データから抽出する受信機と、を備えることを特徴としている。
【0008】
この発明にかかる送信機は、上記目的を達成するため、特定のビットパターンを有する識別コードを同期信号の前に付加したデータを生成するデータ生成部と、データ生成部が生成する前記データを出力するデータ出力部と、を備えることを特徴とする。
【0009】
この発明にかかる受信機は、上記目的を達成するために、特定のビットパターンを有する識別コードを同期信号の前に付加したデータを受信するデータ受信部と、データ受信部が受信したデータから特定のビットパターンと一致する符合を識別コードと識別し、当該識別コードに基づいて同期信号をデータから抽出する同期信号抽出部と、を備えることを特徴とする。
【0010】
このように構成された発明(通信装置、送信機、受信機)では、送信側から受信側へ通信される同期信号は、特定のビットパターンを有する識別コードを伴なっている。そして、受信側(受信機)は、受信したデータに含まれる識別コードを識別することで、当該識別コードに基づいて同期信号を抽出する。よって、このような発明では、識別コードを伴なわない同期信号以外のノイズを同期信号と誤認することが抑制可能となる。
【0011】
この際、送信機は、識別コードを出力する前に、通信の開始を示す通信開始ビットを出力し、受信機は、送信機より受信した通信開始ビットに基づいて識別コードの識別を行なうように構成しても良い。
【0012】
この発明にかかる画像形成装置は、上記目的を達成するために、潜像が形成される潜像担持体と、潜像担持体を露光して潜像を形成する露光部と、露光部で潜像担持体に形成された潜像を現像する現像部と、現像部で潜像担持体に現像された像が転写される像担持体と、周面に凹部を有し、回転することで、記録媒体を介して凹部と異なる周面で像担持体に当接し、あるいは凹部を像担持体に向けて像担持体から離間する転写ローラーと、転写ローラーの回転位置をセンサーにより検出した結果に基づいて同期信号を生成するとともに、特定のビットパターンを有する識別コードを出力した後に、同期信号を出力する同期信号出力部と、同期信号出力部より受信したデータから特定のビットパターンと一致する符合を識別コードと識別するとともに、当該識別コードに基づいてデータから抽出した同期信号に応じて露光部の動作を制御する制御部と、を備えることを特徴としている。
【0013】
このように構成された発明(画像形成装置)では、同期信号は、特定のビットパターンを有する識別コードを伴なって、同期信号出力部より出力される。そして、受信側の制御部では、受信したデータに含まれる識別コードを識別することで、当該識別コードに基づいて同期信号を抽出する。よって、このような発明では、識別コードを伴なわない同期信号以外のノイズを同期信号と誤認することが抑制可能となる。
【0014】
この際、同期信号出力部は、識別コードを出力する前に、通信の開始を示す通信開始ビットを出力し、制御部は、同期信号出力部より受信した通信開始ビットに基づいて識別コードの識別を行なうように構成しても良い。
【0015】
また、転写ローラーには、転写ローラの回転方向に所定の長さを有する検出用マークが設けられており、同期信号出力部のセンサーは、転写ローラーの回転に伴なって移動する検出用マークを検出し、同期信号出力部は、転写ローラーの回転方向の検出用マークの先端を前記センサーが検出したことをきっかけに通信開始ビットおよび識別コードを出力するとともに、転写ローラーの回転方向の検出用マークの後端をセンサーが検出したことをきっかけに同期信号を出力するように構成しても良い。
【0016】
このような構成では、印刷速度の変更を加味したタイミングで同期信号を出力可能となっている。詳述すると、通信開始ビットが出力されてから同期信号が出力されるまでの期間は、センサーが検出用マークの先端を検出してから後端を検出するまでの検出間隔となる。そして、この検出間隔は、転写ローラーの速度によって変化する値である。したがって、印刷速度の変更に伴なって転写ローラーの速度が変化することで、同期信号の出力タイミングもこれに応じて変化する。こうして、上記構成では、印刷速度の変更を加味したタイミングで同期信号を出力可能となっている。
【0017】
また、転写ローラーには、通信開始ビット、識別コードおよび同期信号に対応する検出用マークが転写ローラの回転方向に設けられており、同期信号出力部は、センサーが検出用マークを検出した結果を出力するように構成しても良い。このような構成は、通信開始ビット、識別コードおよび同期信号を簡便に生成することができ、好適である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明にかかる画像形成装置の一実施形態を示す図。
【図2】図1の装置の電気的構成を示すブロック図。
【図3】露光ヘッドの構造を示す斜視図。
【図4】垂直同期信号の通信を実行する電気的構成を示すブロック図。
【図5】第1実施形態における通信動作を示すタイミングチャート。
【図6】図5のセンサー検出信号Saと合成V−sync信号Sbとの拡大図。
【図7】第1実施形態におけるセンサーモジュールの動作を示したフローチャート。
【図8】エンジンコントローラーの受信モジュールの動作を示したフローチャート。
【図9】第2実施形態における通信動作を示すタイミングチャート。
【図10】図9のセンサー検出信号Saと合成V−sync信号Sbとの拡大図。
【図11】第2実施形態におけるセンサーモジュールの動作を示したフローチャート。
【図12】第3実施形態におけるセンサーモジュールの動作を示したフローチャート。
【図13】合成V−syncの生成手法の変形例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
第1実施形態
図1は本発明にかかる画像形成装置の一実施形態を示す図である。また、図2は図1の装置の電気的構成を示すブロック図である。この画像形成装置1は、互いに異なる色の画像を形成する4個の画像形成ステーション2Y(イエロー用)、2M(マゼンタ用)、2C(シアン用)および2K(ブラック用)を備えている。そして、画像形成装置1は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)およびブラック(K)の4色のトナーを重ね合わせてカラー画像を形成するカラーモードと、ブラック(K)のトナーのみを用いてモノクロ画像を形成するモノクロモードとを選択的に実行可能となっている。この画像形成装置では、ホストコンピュータなどの外部装置から画像形成指令(印刷情報)が画像処理部を有するメインコントローラーMCに与えられると、このメインコントローラーMCがエンジンコントローラーECに制御信号を与え、これに基づき、エンジンコントローラーECがエンジン部EGおよびヘッドコントローラーHCなど装置各部を制御して所定の画像形成動作を実行し、複写紙、転写紙、用紙およびOHP用透明シートなどの記録材RMたるシートに画像形成指令に対応する画像を形成する。
【0020】
各画像形成ステーション2Y、2M、2Cおよび2Kは、トナー色を除けばいずれも同じ構造および機能を有している。そこで、図1では、図を見やすくするために、画像形成ステーション2Cを構成する各部品にのみ符号を付し、他の画像形成ステーション2Y、2Mおよび2Kに付すべき符号については記載を省略する。また、以下の説明では、図1に付した符号を参照して画像形成ステーション2Cの構造および動作を説明するが、他の画像形成ステーション2Y、2Mおよび2Kの構造および動作も、トナー色が異なることを除けば同じである。
【0021】
画像形成ステーション2Cには、シアン色のトナー像がその表面に形成される、感光体ドラム21が設けられている。感光体ドラム21は、その回転軸が主走査方向(図1の紙面に対して垂直な方向)に平行もしくは略平行となるように配置される。そして、感光体ドラム21の回転軸に対してACサーボモーターが直接接続されて感光体ドラム21はACサーボモーター(図示省略)によりダイレクト駆動されて図1中矢印D21の方向に所定速度で回転駆動される。
【0022】
感光体ドラム21の周囲には、感光体ドラム21表面を所定の電位に帯電させるコロナ帯電器である帯電器22と、感光体ドラム21表面を画像信号に応じて露光することで静電潜像を形成するラインヘッド(露光ヘッド)23と、該静電潜像をトナー像として顕像化する現像ユニット24と、第1スクイーズ部25と、第2スクイーズ部26と、該トナー像を転写ユニット3の中間転写ベルト31に一次転写する一次転写ユニットと、転写後の感光体ドラム21の表面をクリーニングするクリーニングユニットと、クリーナーブレードとが、それぞれこれらの順に感光体ドラム21の回転方向D21(図1では、時計回り)に沿って配設されている。
【0023】
帯電器22は感光体ドラム21の表面に接触しないものであり、この帯電器22には、従来周知慣用のコロナ帯電器を用いることができる。コロナ帯電器にスコロトロン帯電器を用いた場合には、スコロトロン帯電器のチャージワイヤにはワイヤ電流が流されるとともに、グリッドには直流(DC)のグリッド帯電バイアスが印加される。帯電器22によるコロナ放電で感光体ドラム21が帯電されることで、感光体ドラム21の表面の電位が略均一の電位に設定される。
【0024】
ラインヘッド23は後述するようにヘッドコントローラーHCから与えられるビデオデータに基づき光ビームを発生させて光ビームにより感光体ドラム21表面を露光して画像信号に対応する静電潜像を形成するものであり、複数の発光素子と、レンズアレイとを有している。
【0025】
図3は露光ヘッドの構造を示す斜視図である。このラインヘッド23は、長手方向LGDに配列された複数の発光素子231を備えており、ラインヘッド23の幅方向LTDが副走査方向SDに平行もしくは略平行となるように感光体ドラム21に対向配置されている。このラインヘッド23の本体232の内部には、ガラス基板であるヘッド基板233が設けられるとともに、このヘッド基板233に複数の発光素子231が主走査方向MD(長手方向LGD)に2行千鳥で並んで設けられている。また、発光素子231に対して、レンズアレイ234がヘッド基板233に対向して配置されている。したがって、発光素子231の発光面から射出した光ビームはレンズアレイ234に結像されて感光体ドラム21表面にスポットが照射される。なお、同図中の符号Doaは、主走査方向MDおよび副走査方向SDに直交する方向であって発光素子231の光の射出方向(換言すれば、ラインヘッド23から感光体ドラム21に向かう方向)、つまり光軸方向を意味している。
【0026】
上記のように構成されたラインヘッド23により感光体ドラム21の表面に形成された静電潜像に対して現像ユニット24からトナーが付与されて、静電潜像がトナーにより現像される。なお、この画像形成装置1の現像ユニット24では、キャリア液内にトナーを概略重量比20%程度に分散させた液体現像剤を用いてトナー現像が行われる。この画像形成装置1では、従来一般的に使用されている、Isopar(商標:エクソン)をキャリア液とした低濃度(1〜2wt%)かつ低粘度の常温で揮発性を有する揮発性液体現像剤ではなく、高濃度かつ高粘度の、常温で不揮発性の樹脂中へ顔料などの着色剤を分散させた平均粒径1μmの固形粒子を、有機溶媒、シリコンオイル、鉱物油又は食用油等の液体溶媒中へ分散剤とともに添加し、トナー固形分濃度を約20%とした高粘度(30〜10000mPa・s程度)の液体現像剤が用いられる。
【0027】
第1スクイーズ部25および第2スクイーズ部26にはスクイーズローラーがそれぞれ設けられている。そして、各スクイーズローラーが回転しながら感光体ドラム21の表面と当接してトナー像の余剰キャリア液やカブリトナーを除去する。なお、本実施形態では2つのスクイーズ部25、26により余剰キャリア液やカブリトナーを除去しているが、スクイーズ部の個数や配置などはこれに限定されるものではなく、例えば1個のスクイーズ部を配置してもよい。また、本実施形態では、各スクイーズローラーは感光体ドラム21に当接しながら感光体ドラム21の回転周期と整数比または略整数比の回転周期で回転される。
【0028】
スクイーズ部25、26を通過してきたトナー像は一次転写ユニットにより中間転写ベルト31に一次転写される。この中間転写ベルト31は、その表面、より詳しくはその外周面にトナー像を一時的に担持可能な像担持体としての無端状ベルトであり、複数のローラー32、33、34および35に掛け渡されている。このうちローラー32はベルト駆動モーターに機械的に接続されて、中間転写ベルト31を図1の矢印方向D31に周回駆動するベルト駆動ローラーとして機能している。なお、中間転写ベルト31を掛け渡されたローラー32ないし35のうち、モーターにより駆動されるのは上記したベルト駆動ローラー32のみであり、他のローラー33、34および35は駆動部を有しない従動ローラーである。
【0029】
一次転写ユニットは一次転写バックアップローラー271を有しており、一次転写バックアップローラー271は中間転写ベルト31を挟んで感光体ドラム21と対向して配設されている。感光体ドラム21と中間転写ベルト31とが当接する一次転写位置TR1では、感光体ドラム21上のトナー像が中間転写ベルト31の外周面(一次転写位置TR1において下面)に転写される。こうして画像形成ステーション2Cにより形成されたシアン色のトナー像が中間転写ベルト31に転写される。同様に、他の画像形成ステーション2Y、2Mおよび2Kでもトナー像の転写が実行されることで、各色のトナー像が中間転写ベルト31上に順次重ね合わされ、フルカラーのトナー像が形成される。一方、モノクロトナー像が形成される際には、ブラック色に対応した画像形成ステーション2Kのみにおいて、中間転写ベルト31へのトナー像転写が行われる。
【0030】
こうして中間転写ベルト31に転写されたトナー像は二次転写位置TR2に搬送される。この二次転写位置TR2では、中間転写ベルト31を巻き掛けられたローラー34に対して二次転写ローラー4が中間転写ベルト31を挟んで対向配置されており、中間転写ベルト31表面と転写ローラー4表面とが互いに当接して転写ニップNPを形成している。すなわち、ローラー34は二次転写バックアップローラーとして機能している。二次転写ローラー4の回転シャフト421は、例えばバネのような弾性部材である押圧部45によって弾性的に、かつ中間転写ベルト31に対して近接・離間移動自在に支持されている。
【0031】
二次転写位置TR2においては、中間転写ベルト31上に形成された単色あるいは複数色のトナー像が、一対のゲートローラー51、51から搬送経路PTに沿って搬送される記録材RMに転写される。なお、この実施形態では、液体現像剤を用いてトナー像を形成する湿式現像方式でトナー像を形成しているので、良好な転写特性を得るために、転写ニップにおいては中間転写ベルト31に対し記録材RMが高い押圧力で押圧されることが望まれる。また、液体現像剤を介在させるため、記録材RMが中間転写ベルト31に貼り付きジャムを引き起こす可能性が高い。そこで、この画像形成装置1では、把持部を有する二次転写ローラー4が用いられている。
【0032】
二次転写ローラー4は、円筒の外周面の一部を切り欠いてなる凹部41が設けられたローラー基材42を有している。このローラー基材42では、回転軸中心に方向D4に回転自在の回転シャフト421が二次転写バックアップローラー34の回転軸と平行または略平行に配置されるとともに、押圧部45により二次転写バックアップローラー34側に付勢されて所定の荷重(この実施形態では60kgf)が付加されている。そして、図示を省略するモーターから回転駆動力が回転シャフト421に与えられると、二次転写ローラー4は回転方向D4に回転する。また、この二次転写ローラー4には、回転方向D4に所定の長さを有する検出用マークと、当該検出用マークを検出する垂直同期センサー46とが設けられている。そして、垂直同期センサー46は、二次転写ローラー4の回転に伴なって移動する検出用マークを検出する度に、検出信号を出力する。そして、センサーモジュールMDsが、この検出信号から生成した垂直同期信号V−syncをエンジンコントローラーEC出力する。なお、垂直同期センサー46は光学センサーを用いることができ、検出用マークは所定の印刷パターンあるいはスリットで構成することができる。
【0033】
また、ローラー基材42の外周面、つまり凹部41の内部に相当する領域を除く表面領域にゴムや樹脂などの弾性層(図示省略)が形成されている。この弾性層はバックアップローラー34に巻き掛けられた中間転写ベルト31と対向して転写ニップNPを形成する。つまり、二次転写ローラー4は、その外周面が記録材RMを介して中間転写ベルト31に当接して、転写ニップNPを形成する当接状態と、凹部が中間転写ベルト31に向いて、その外周面が中間転写ベルト31から離間する離間状態とのいずれかの状態を、回転することによって選択的に切り換えることができるものである。
【0034】
また、凹部41の内部には、記録材RMを把持するための把持部44が配設されている。この把持部44は、凹部41の内底部からローラー基材42の外周面に立設されたグリッパ支持部材と、グリッパ支持部材の先端部に対して接離自在に支持されたグリッパ部材とを有している。そして、グリッパ部材を駆動制御することで記録材RMの把持や把持開放を行うことが可能となっている。
【0035】
このような二次転写ローラーを用いて二次転写を実行する構成では、次のようなタイミング制御が行なわれる。つまり、二次転写の実行にあたっては、ゲートローラー対51、51が二次転写位置TR2に給紙する記録材RMの一端を、二次転写ローラー4が回転しながら把持部44で把持する。したがって、記録材RMの一端を把持部44で確実に把持するためには、ゲートローラー対51、51(給紙系)は、二次転写ローラー4の回転に合わせたタイミングで、記録材RMを二次転写位置TR2に給紙しなければならない。また、画像形成ステーション2Y、2M、2C、2Kおよび転写ユニット3で構成される作像系は、ラインヘッド23の露光動作、潜像の現像動作および一次転写を順次実行して形成したカラー画像を、二次転写ローラー4の回転動作に応じた給紙タイミングに合わせて二次転写位置TR2に搬送しなければならない。そこで、エンジンコントローラーは、作像系および給紙系の動作を、二次転写ローラー4の回転に同期して出力される垂直同期信号V−syncに基づいて制御する。
【0036】
なお、トナー像が二次転写された記録材RMは、二次転写ローラー4から搬送経路PT上に設けられた定着ユニット7へ送出される。定着ユニット7では、記録材RMに転写されたトナー像に熱や圧力などが加えられて記録材RMへのトナー像の定着が行われる。
【0037】
次に、上記のように構成された画像形成装置においてラインヘッド23を制御するヘッドコントローラーHCの構成および動作を中心に説明する。本実施形態にかかる画像形成装置では、ホストコンピュータなどの外部装置から画像形成指令(印刷情報)が与えられる。この画像形成指令には、印刷ファイルの種類、用紙サイズ、用紙種類、モノクロ/カラー、部数などの情報が含まれている。そして、メインコントローラーMCは画像形成指令を受けると、エンジンコントローラーECに印刷開始信号V−loadを送信する。また、メインコントローラーMCに設けられた画像処理部61は、画像形成指令に含まれる画像データに対して色変換やスクリーン処理などのデータ処理を行い、トナー色毎のビデオデータを生成する。この画像処理部61による一連のデータ処理は、エンジンコントローラーECからヘッドコントローラーHCを介して与えられるV−req信号をきっかけに実行されるものである。
【0038】
なお、V−req信号は、印刷開始信号V−loadに対応してエンジンコントローラーECが生成する信号であり、1ページ分のデータ処理の開始タイミングをメインコントローラーMCに与えるものである。こうして生成されたビデオデータはバッファーメモリー62に一時的に記憶された後、ヘッドコントローラーHCからのラインデータリクエスト信号H−reqに同期して、バッファーメモリー62からヘッドコントローラーHCへ転送される。
【0039】
ヘッドコントローラーHCは上記のようにしてメインコントローラーMCから転送されてくるビデオデータを記憶するページメモリー71を有している。また、ヘッドコントローラーHCはラインデータリクエスト信号生成部(以下、「Hreq信号生成部」という)72を有している。そして、Hreq信号生成部72はエンジンコントローラーECから受信したビデオデータリクエスト信号V−reqを、メインコントローラーMCの画像処理部61に転送するとともに、ビデオデータリクエスト信号V−reqに基づきラインデータリクエスト信号H−reqを生成してバッファーメモリー62およびページメモリー71に与える。
【0040】
このようにラインデータリクエスト信号H−reqに同期して1ライン単位でビデオデータがページメモリー71に転送される。そして、1ページ分のビデオデータがページメモリー71に記憶されると、ヘッドコントローラーHCはエンジンコントローラーECに印刷READY信号を出力する。エンジンコントローラーECは、この印刷READY信号を受信すると、印刷動作を開始する。すなわち、エンジンコントローラーECはセンサーモジュールMDsから垂直同期信号V−syncを受信し、その垂直同期信号V−syncを色別垂直同期信号生成部74に送信する。そして、色別垂直同期信号生成部74は各色の画像形成ステーション間距離を基に4種類の色別垂直同期信号V−syncを生成し、対応する色のヘッド制御部75へ送信する。
【0041】
ヘッド制御部75は各色に対応して1つずつ設けられており、ラインデータリクエスト信号H−reqに基づいて送られてくるビデオデータを1ライン分ずつ、各色独立の水平同期信号H−syncに同期させながら各ラインヘッド23に送信する。より詳しくは、ヘッド制御部75は、ラインバッファー751、水平同期信号生成部752およびヘッド制御信号生成部753を有している。そして、ヘッド制御部75は、上記のようにラインデータリクエスト信号H−reqに基づいて送られてくる1ライン分のビデオデータを、ラインバッファー751に一時的に記憶する。ラインバッファー751は、水平同期信号生成部752が生成する水平同期信号H−syncに同期して、1ライン分のビデオデータをヘッド制御信号生成部753に出力する。そして、ヘッド制御信号生成部753がビデオデータから生成したヘッド制御信号に基づいて、ラインヘッド23が感光体ドラム21を露光する。
【0042】
なお、水平同期信号H−syncは、感光体ドラム21の回転に同期して水平同期信号生成部752によって順次生成されるものである。つまり、ヘッド制御部75は、ヘッド制御信号生成部753へのビデオデータの送信を水平同期信号H−syncに同期して実行することで、感光体ドラム21の回転に応じたタイミングで、ヘッド制御信号を生成して、ラインヘッド23の各発光素子231を発光させる。
【0043】
上述のとおり、エンジンコントローラーECは、エンジン部EGから受信した垂直同期信号V−syncに基づいて、印刷動作を実行する。このような構成において、所望の印刷動作を実行するためには、エンジン部EGとエンジンコントローラーECとの間で通信される垂直同期信号V−syncのノイズ耐性が重要となる。そこで、本実施形態は、垂直同期信号V−syncのノイズ耐性を向上するために、垂直同期信号V−syncの通信を次のようにして実行する。
【0044】
図4は、垂直同期信号の通信を実行する電気的構成を示すブロック図である。同図に示すように、エンジン部EGには、垂直同期信号V−syncを生成して送信するための垂直同期センサー46および各種回路Ct1〜Ct3を一体的にモジュール化したセンサーモジュールMDsが設けられている。一方、エンジンコントローラーECには、垂直同期信号V−syncを受信するための各種回路Cr1〜Cr3を、一体的にモジュール化した受信モジュールMDrが設けられている。そして、センサーモジュールMDsと受信モジュールMDrとの間で垂直同期信号V−syncの通信が実行される。
【0045】
図5は、第1実施形態における通信動作を示すタイミングチャートである。図6は、図5のセンサー検出信号Saと合成V−sync信号Sbとを拡大して示すタイミングチャートである。図7は、第1実施形態におけるセンサーモジュールの動作を示したフローチャートである。先ずは、図4〜図7を用いて、センサーモジュールが実行する動作について詳述する。
【0046】
垂直同期センサー46は、回転方向D4に回転する二次転写ローラー4に設けられた検出用マークを検出する度に、検出信号Saを同期信号合成回路Ct1に出力する。より詳しくは、垂直同期センサー46は、検出用マークの回転方向D4の先端を検出すると検出信号Saの立上りを出力し、検出用マークの回転方向D4の後端を検出すると検出信号Saの立下りを出力する。そして、この実施形態では検出信号Saの立上りをきっかけに、合成V−syncが生成される。
【0047】
つまり、図7のステップS101、S102に示すように、同期信号合成回路Ct1および事前予告コード付加回路Ct2は、垂直同期センサー46の検出信号Saの立上りの有無を確認する。そして、同期信号合成回路Ct1および事前予告コード付加回路Ct2は、検出信号Saの立上りを確認すると(ステップS102で「YES」と判断)、センサー検出信号Saの立上りに対して事前予告コードを付加して(ステップS103)、合成V−sync信号Sbを生成する(ステップS104)。
【0048】
詳しくは、図6に示すように、同期信号合成回路Ct1に検出信号Saの立ち上がりが入力されると、同期信号合成回路Ct1および事前予告コード付加回路Ct2は、スタートビット、事前予告コードおよびストップビットを、この順番で時間軸に対して並べた合成V−sync信号Sbを生成する。ここで、スタートビットは1ビット分の時間幅を有して通信の開始を示すものであり、事前予告コードは、16進数で「2C」のビットパターンを有する識別コードであり、ストップビットは1ビット分の時間幅を有して通信の終わりを示すものである。
【0049】
そして、以後の信号の処理および通信においては、ストップビットの立ち上がりのタイミングが、垂直同期信号V−syncを示すとして取り扱われる。換言すれば、同期信号合成回路Ct1および事前予告コード付加回路Ct2は、垂直同期信号V−syncの前に事前予告コードを付加した合成V−sync信号を生成する機能を果たしている。こうして、生成される合成V−sync信号は、同期信号出力回路Ct3によりエンジンコントローラーECに送信される。
【0050】
図8は、エンジンコントローラーの受信モジュールが実行する動作を示したフローチャートである。続いて、図8を図4〜図7に加えて、受信モジュールが実行する動作について詳述する。図4に示すとおり、受信モジュールMDsは、同期信号入力回路Cr1、同期信号抽出回路Cr2および事前予告コード解析回路Cr3を有している。同期信号入力回路Cr1は、センサーモジュールMDsから受信した合成V−sync信号Sbを信号Scとして同期信号抽出回路Cr2に出力する。ちなみに、図5では、同期信号出力回路Ct3から同期信号入力回路Cr1への通信途中でノイズが混入した場合が例示されており、これに対応して信号Scに合成V−sync信号以外にノイズが示されている。
【0051】
一方、同期信号抽出回路Cr2および事前予告コード解析回路Cr3は、同期信号抽出回路Cr2に入力された信号Scから垂直同期信号V−syncを抽出する機能を協働して果たす。このV−sync抽出動作について、図8を用いて説明する。まず、ステップS201で、信号Scのスタートビットの立下りが検出されると、ステップS202で中点サンプリングタイマーがカウントアップされる。そして、1ビットに対応する時間幅の約半分の間、スタートビットがLowを維持して(ステップS203で「YES」)、スタートビットの中点が確認されると(ステップS204で「YES」)、ステップS205以後のフローが実行される。これらステップS201〜S204のフローは、スパイクノイズ等をスタートビットと誤認識しないために行なわれるものである。つまり、信号の立下りから一定時間(1ビットの時間幅の約半分)信号のLow状態が継続していることを確認して、スタートビットの検出を行うこととしている。
【0052】
続くステップS205〜S220では、スタートビットに続くビットパターンが、事前予告コードのビットパターン(つまり、「2C」)に一致するか否かが確認される。この確認動作は1ビット毎に信号値をサンプリングするものであり、この際、スタートビットの時間幅を1ビットの時間幅としてサンプリングが実行される。つまり、ステップS205では、ビットサンプリングタイマーによって信号Scがサンプリングされ、ステップS206では、このサンプリング結果からビット7の値が「0」であるかが確認される。かかるフローを繰り返して(つまり、同様にステップS207〜S220まで実行して、ビット7〜0の値が0、0、1、0、1、1、0、0と一致するかが確認される。こうして、スタートビットに続くビットパターンが事前予告コードのビットパターンに一致すると確認されると、ステップS221に進む。
【0053】
ステップS221はで、事前予告コードに続くストップビットの立下りが検出され、さらに、ステップS222では、ストップビットの立上りが検出される。そして、このストップビットの立下りが、垂直同期信号V−sync(信号Sd)として抽出されて、同期信号抽出回路Cr2から色別垂直同期信号生成部74(図2)に出力される。
【0054】
このように、受信モジュールMDrでは、特定のビットパターン(2C)に一致する符合を事前予告コードとして識別し、この事前予告コードに基づいて垂直同期信号V−syncが抽出される。そして、このような抽出動作では、事前予告コードを伴なわないノイズ等は、垂直同期信号V−syncと認識されない。その結果、図5に示すように、信号Scに混入していたノイズが、信号Sdでは除去されていることが判る。
【0055】
以上のように、本実施形態では、センサーモジュールMDs(送信側)から受信モジュールMDr(受信側)へ通信される垂直同期信号V−syncは、特定のビットパターン(2C)を有する事前予告コード(識別コード)を伴なっている。そして、受信モジュールMDrは、受信したデータに含まれる事前予告コードを識別することで、当該事前予告コードに基づいて垂直同期信号V−syncを抽出する。よって、事前予告コードを伴なわない垂直同期信号V−sync以外のノイズを、垂直同期信号V−syncと誤認することが抑制可能となる。
【0056】
特に、画像形成装置では、垂直同期信号V−syncと誤認識したノイズをきっかけに、画像形成を開始することで、本来不要な印刷が実行されてしまい、記録材RM、トナー、時間等の損失が発生する場合があった。これに対して、本実施形態によれば、垂直同期信号V−sync以外のノイズを、垂直同期信号V−syncと誤認することが抑制されるため、不要な印刷に起因した種々の損失の発生を抑制することができる。
【0057】
また、本実施形態では、センサーモジュールMDsは、事前予告コードを出力する前に、通信の開始を示すスタートビット(通信開始ビット)を出力し、受信モジュールMDrは、センサーモジュールMDsより受信したスタートビットに基づいて事前予告コードの識別を行なうように構成しており、好適である。
【0058】
第2実施形態
図9は、第2実施形態における通信動作を示すタイミングチャートである。図10は、図9のセンサー検出信号Saと合成V−sync信号Sbとを拡大して示すタイミングチャートである。図11は、第2実施形態におけるセンサーモジュールの動作を示したフローチャートである。第2実施形態と第1実施形態との差異部分は、主としてセンサーモジュールの動作であるので、以下ではこの差異部分について説明し、その他の部分については説明を省略する。
【0059】
図11のステップS301、S302に示すように、同期信号合成回路Ct1および事前予告コード付加回路Ct2は、垂直同期センサー46の検出信号Saの立上りの有無を確認する。そして、同期信号合成回路Ct1および事前予告コード付加回路Ct2は、検出信号Saの立上りを確認すると(ステップS302で「YES」と判断)、センサー検出信号Saの立上りに対して事前予告コードと、ストップビットの立下りを付加する(ステップS303)。そして、続くステップS304、S305で垂直同期センサー46の出力信号Saの立下りが検出されると、ステップS303で生成信号にストップビットの立上りを付加する(ステップS306)。つまり、第2実施形態では、ストップビットの立下りが、垂直同期センサー46の出力信号Saの立下りに一致するように、ストップビットの時間幅が調整されることとなる。
【0060】
こうして、図10に示すように、スタートビット、事前予告コードおよびストップビットを、この順番で時間軸に対して並べた合成V−sync信号Sbが生成される。そして、以後の信号の処理および通信においては、ストップビットの立ち上がりのタイミングが、垂直同期信号V−syncを示すとして取り扱われる。換言すれば、同期信号合成回路Ct1および事前予告コード付加回路Ct2は、垂直同期信号V−syncの前に事前予告コードを付加した合成V−sync信号を生成する機能を果たしている。こうして、生成される合成V−sync信号は、同期信号出力回路Ct3によりエンジンコントローラーECに送信される(ステップS307)。
【0061】
以上のように、第2実施形態においても、センサーモジュールMDs(送信側)から受信モジュールMDr(受信側)へ通信される同期信号は、特定のビットパターン(2C)を有する事前予告コード(識別コード)を伴なっている。そして、受信モジュールMDrは、受信したデータに含まれる事前予告コードを識別することで、当該事前予告コードに基づいて垂直同期信号V−syncを抽出する。よって、事前予告コードを伴なわない垂直同期信号V−sync以外のノイズを、垂直同期信号V−syncと誤認することが抑制可能となる。
【0062】
また、第2実施形態では、二次転写ローラー4の回転方向D4の検出用マークの先端を垂直同期センサー46が検出したことをきっかけにスタートビットおよび事前予告コードを出力するとともに、二次転写ローラー4の回転方向D4の検出用マークの後端を垂直同期センサー46が検出したことをきっかけに垂直同期信号V−sync(ストップビットの立上り)を出力するように構成している。
【0063】
そして、このような構成では、印刷速度の変更を加味したタイミングで同期信号を出力可能となっている。詳述すると、スタートビットが出力されてから垂直同期信号V−sync(信号Saの立下り)が出力されるまでの期間は、垂直同期センサー46が検出用マークの先端を検出してから後端を検出するまでの検出間隔となる。そして、この検出間隔は、二次転写ローラー4の速度によって変化する値である。したがって、印刷速度の変更に伴なって二次転写ローラー4の速度が変化することで、垂直同期信号V−sync(信号Saの立下り)の出力タイミングもこれに応じて変化する。こうして、上記構成では、印刷速度の変更を加味したタイミングで同期信号を出力可能となっている。
【0064】
第3実施形態
図12は、第3実施形態におけるセンサーモジュールの動作を示したフローチャートである。第3実施形態と第1実施形態との差異部分は、主としてセンサーモジュールの動作であるので、以下ではこの差異部分について説明し、その他の部分については説明を省略する。
【0065】
図12のステップS401、S402に示すように、同期信号合成回路Ct1および事前予告コード付加回路Ct2は、垂直同期センサー46の検出信号Saの立上りの有無を確認する。そして、同期信号合成回路Ct1および事前予告コード付加回路Ct2は、検出信号Saの立上りを確認すると(ステップS402で「YES」と判断)、センサー検出信号Saの立上りに対して事前予告コードと、ストップビットとを付加する(ステップS403)。ただし、この際、ストップビットが付加されるタイミングは、ステップS404、S405に基づいて調整されている。
【0066】
つまり、ステップS404では、印刷速度が設定され、ステップS405では、この印刷速度からストップビットが付加されるタイミングが設定される。具体的には、印刷速度が遅い場合は、ストップビットのタイミングは遅く設定され、印刷速度が速い場合は、ストップビットのタイミングは速く設定される。そして、ステップS403では、こうしてタイミングが調整されたストップビットが付加されて、合成V−sync信号Sbが生成される。そして、以後の信号の処理および通信においては、ストップビットの立ち上がりのタイミングが、垂直同期信号V−syncを示すとして取り扱われる。こうして、生成される合成V−sync信号は、同期信号出力回路Ct3によりエンジンコントローラーECに送信される(ステップS406)。
【0067】
以上のように、第3実施形態においても、センサーモジュールMDs(送信側)から受信モジュールMDr(受信側)へ通信される同期信号は、特定のビットパターン(2C)を有する事前予告コード(識別コード)を伴なっている。そして、受信モジュールMDrは、受信したデータに含まれる事前予告コードを識別することで、当該事前予告コードに基づいて垂直同期信号V−syncを抽出する。よって、事前予告コードを伴なわない垂直同期信号V−sync以外のノイズを、垂直同期信号V−syncと誤認することが抑制可能となる。
【0068】
また、第3実施形態は、印刷速度に応じてストップビットのタイミング、換言すれば、垂直同期信号V−syncのタイミングを調整しており、好適である。
【0069】
第4実施形態
上記実施形態では、合成V−sync信号を、回路Ct1、Ct2により生成していた。しかしながら、合成V−sync信号の生成手法はこれに限られない。図13は、合成V−syncの生成手法の変形例を示す図である。この変形例では、スタートビット、事前予告コードおよびストップビットそれぞれに対応する検出用マークが、回転方向D4の下流側から順番に並んで、二次転写ローラー4に設けられている。
【0070】
したがって、二次転写ローラー4の回転に伴なって、垂直同期センサー46は、スタートビット、事前予告コードおよびストップビットそれぞれに対応する検出用マークを順番に検出する。つまり、この変形例では、垂直同期センサー46から合成V−syncが出力されることとなる。その結果、スタートビット、事前予告コードおよび垂直同期信号V−syncを簡便に生成することができ、好適である。
【0071】
その他
このように上記第1〜第4実施形態では、「2C」が本発明の「特定のビットパターン」に相当し、事前予告コードが本発明の「識別コード」に相当し、センサーモジュールMDsが本発明の「送信機」に相当し、受信モジュールMDrが本発明の「受信機」に相当し、センサーモジュールMDsおよび受信モジュールMDrが協働して本発明の「通信装置」として機能し、スタートビットが本発明の「通信開始ビット」に相当し、同期信号合成回路Ct1および事前予告コード付加回路Ct2が協働して本発明の「データ生成部」として機能し、同期信号出力回路Ct3が本発明の「データ出力部」に相当し、同期信号入力回路Cr1が本発明の「データ受信部」に相当し、同期信号抽出回路Cr2および事前予告コード解析回路Cr3が協働して本発明の「同期信号抽出部」として機能している。また、感光体ドラム21が本発明の「潜像担持体」に相当し、ラインヘッド23が本発明の「露光部」に相当し、現像ユニット24が本発明の「現像部」に相当し、中間転写ベルト31が本発明の「像担持体」に相当し、二次転写ローラー4が本発明の「転写ローラー」に相当し、垂直同期センサー46が本発明の「センサー」に相当し、センサーモジュールMDsが本発明の「同期信号出力部」に相当し、エンジンコントローラーECおよびヘッドコントローラーHCが協働して本発明の「制御部」として機能している。
【0072】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、上記実施形態では、センサーモジュールMDsとエンジンコントローラーECとの間での垂直同期信号V−syncの通信に対して本発明を適用したが、本発明を適用可能な通信対象はこれに限られない。そこで、例えば、エンジンコントローラーECと色別垂直同期信号生成部74との間での垂直同期信号V−syncの通信に対して本発明を適用しても良い。
【0073】
また、本発明を適用可能な装置は画像形成装置に限られず、同期信号の通信を行なう装置全般に対して本発明を適用可能である。
【0074】
また、上記実施形態では、センサーモジュールMDs、受信モジュールMDrとしてモジュール化した構成を用いていたが、これらのモジュールMDs、MDrの機能をモジュール化によらずに実現することもできる。
【0075】
また、上記実施形態では、二次転写ローラー4の回転動作に基づいて垂直同期信号V−syncを発生させていたが、中間転写ベルト31の周回動作に基づいて垂直同期信号V−syncを発生させても良い。
【0076】
また、上記実施形態では、事前予告コードのビットパターンを16進数表記で「2C」としたが、事前予告コードのビットパターンはこれに限られない。
【0077】
また、上記実施形態では、ストップビットの立上りを垂直同期信号V−syncとして取り扱ったが、ストップビットの立下りを垂直同期信号V−syncとして取り扱っても良い。
【符号の説明】
【0078】
MDs…センサーモジュール、 MDr…受信モジュール、Ct1…同期信号合成回路、 Ct2…事前予告コード付加回路Ct2、 Ct3…同期信号出力回路Ct3、 Cr1…同期信号入力回路、 Cr2…同期信号抽出回路、 Cr3…事前予告コード解析回路、 46…垂直同期センサー、 V−sync…垂直同期信号
【技術分野】
【0001】
この発明は、同期信号の通信を行なう通信技術および当該通信技術を用いた画像形成装置に関し、特に、通信途中に混入するノイズの対策に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、感光体ドラムの表面に半導体レーザーからの光を照射して、潜像を形成するプリンターが記載されている。詳しくは、このプリンターでは、制御回路(特許文献1の図2、図3等に記載の電気回路)による制御に従って、レーザードライバーが半導体レーザーを駆動することで、画像信号に応じた位置に半導体レーザーが光を照射する。
【0003】
このようなプリンターでは、半導体レーザー、レーザードライバーおよび制御回路等の装置の各構成の動作を協働させる必要がある。そこで、ある構成の動作をセンサーにより検出し、この検出結果から生成した同期信号にその他の構成の動作を同期させる制御が一般に行なわれる。具体例を挙げれば、特許文献1のプリンターでは、半導体レーザーが発光する光を光検知器で検知した結果から同期信号(水平同期信号)を生成し、プリンターの各構成の動作をこの同期信号に同期させている。また、このような同期信号を用いた制御はプリンターに限られず、例えば、画像読取装置(スキャナー)等の種々の装置に広く適用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】2008−068459号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述の同期信号を用いた制御を実行するためには、センサーの検出結果から生成した同期信号を、センサーから装置の各構成へ、あるいは装置の各構成の間で通信する必要がある。しかしながら、この通信途中でノイズが混入することがあり、その結果、受信側が当該ノイズを同期信号と誤認する場合があった。
【0006】
この発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、通信途中でノイズが混入した場合であっても、同期信号の誤認を抑制可能とする技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明にかかる通信装置は、上記課題を解決するため、特定のビットパターンを有する識別コードを出力した後に同期信号を出力する送信機と、送信機より受信したデータから特定のビットパターンと一致する符合を識別コードと識別するとともに、当該識別コードに基づいて同期信号を前記データから抽出する受信機と、を備えることを特徴としている。
【0008】
この発明にかかる送信機は、上記目的を達成するため、特定のビットパターンを有する識別コードを同期信号の前に付加したデータを生成するデータ生成部と、データ生成部が生成する前記データを出力するデータ出力部と、を備えることを特徴とする。
【0009】
この発明にかかる受信機は、上記目的を達成するために、特定のビットパターンを有する識別コードを同期信号の前に付加したデータを受信するデータ受信部と、データ受信部が受信したデータから特定のビットパターンと一致する符合を識別コードと識別し、当該識別コードに基づいて同期信号をデータから抽出する同期信号抽出部と、を備えることを特徴とする。
【0010】
このように構成された発明(通信装置、送信機、受信機)では、送信側から受信側へ通信される同期信号は、特定のビットパターンを有する識別コードを伴なっている。そして、受信側(受信機)は、受信したデータに含まれる識別コードを識別することで、当該識別コードに基づいて同期信号を抽出する。よって、このような発明では、識別コードを伴なわない同期信号以外のノイズを同期信号と誤認することが抑制可能となる。
【0011】
この際、送信機は、識別コードを出力する前に、通信の開始を示す通信開始ビットを出力し、受信機は、送信機より受信した通信開始ビットに基づいて識別コードの識別を行なうように構成しても良い。
【0012】
この発明にかかる画像形成装置は、上記目的を達成するために、潜像が形成される潜像担持体と、潜像担持体を露光して潜像を形成する露光部と、露光部で潜像担持体に形成された潜像を現像する現像部と、現像部で潜像担持体に現像された像が転写される像担持体と、周面に凹部を有し、回転することで、記録媒体を介して凹部と異なる周面で像担持体に当接し、あるいは凹部を像担持体に向けて像担持体から離間する転写ローラーと、転写ローラーの回転位置をセンサーにより検出した結果に基づいて同期信号を生成するとともに、特定のビットパターンを有する識別コードを出力した後に、同期信号を出力する同期信号出力部と、同期信号出力部より受信したデータから特定のビットパターンと一致する符合を識別コードと識別するとともに、当該識別コードに基づいてデータから抽出した同期信号に応じて露光部の動作を制御する制御部と、を備えることを特徴としている。
【0013】
このように構成された発明(画像形成装置)では、同期信号は、特定のビットパターンを有する識別コードを伴なって、同期信号出力部より出力される。そして、受信側の制御部では、受信したデータに含まれる識別コードを識別することで、当該識別コードに基づいて同期信号を抽出する。よって、このような発明では、識別コードを伴なわない同期信号以外のノイズを同期信号と誤認することが抑制可能となる。
【0014】
この際、同期信号出力部は、識別コードを出力する前に、通信の開始を示す通信開始ビットを出力し、制御部は、同期信号出力部より受信した通信開始ビットに基づいて識別コードの識別を行なうように構成しても良い。
【0015】
また、転写ローラーには、転写ローラの回転方向に所定の長さを有する検出用マークが設けられており、同期信号出力部のセンサーは、転写ローラーの回転に伴なって移動する検出用マークを検出し、同期信号出力部は、転写ローラーの回転方向の検出用マークの先端を前記センサーが検出したことをきっかけに通信開始ビットおよび識別コードを出力するとともに、転写ローラーの回転方向の検出用マークの後端をセンサーが検出したことをきっかけに同期信号を出力するように構成しても良い。
【0016】
このような構成では、印刷速度の変更を加味したタイミングで同期信号を出力可能となっている。詳述すると、通信開始ビットが出力されてから同期信号が出力されるまでの期間は、センサーが検出用マークの先端を検出してから後端を検出するまでの検出間隔となる。そして、この検出間隔は、転写ローラーの速度によって変化する値である。したがって、印刷速度の変更に伴なって転写ローラーの速度が変化することで、同期信号の出力タイミングもこれに応じて変化する。こうして、上記構成では、印刷速度の変更を加味したタイミングで同期信号を出力可能となっている。
【0017】
また、転写ローラーには、通信開始ビット、識別コードおよび同期信号に対応する検出用マークが転写ローラの回転方向に設けられており、同期信号出力部は、センサーが検出用マークを検出した結果を出力するように構成しても良い。このような構成は、通信開始ビット、識別コードおよび同期信号を簡便に生成することができ、好適である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明にかかる画像形成装置の一実施形態を示す図。
【図2】図1の装置の電気的構成を示すブロック図。
【図3】露光ヘッドの構造を示す斜視図。
【図4】垂直同期信号の通信を実行する電気的構成を示すブロック図。
【図5】第1実施形態における通信動作を示すタイミングチャート。
【図6】図5のセンサー検出信号Saと合成V−sync信号Sbとの拡大図。
【図7】第1実施形態におけるセンサーモジュールの動作を示したフローチャート。
【図8】エンジンコントローラーの受信モジュールの動作を示したフローチャート。
【図9】第2実施形態における通信動作を示すタイミングチャート。
【図10】図9のセンサー検出信号Saと合成V−sync信号Sbとの拡大図。
【図11】第2実施形態におけるセンサーモジュールの動作を示したフローチャート。
【図12】第3実施形態におけるセンサーモジュールの動作を示したフローチャート。
【図13】合成V−syncの生成手法の変形例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
第1実施形態
図1は本発明にかかる画像形成装置の一実施形態を示す図である。また、図2は図1の装置の電気的構成を示すブロック図である。この画像形成装置1は、互いに異なる色の画像を形成する4個の画像形成ステーション2Y(イエロー用)、2M(マゼンタ用)、2C(シアン用)および2K(ブラック用)を備えている。そして、画像形成装置1は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)およびブラック(K)の4色のトナーを重ね合わせてカラー画像を形成するカラーモードと、ブラック(K)のトナーのみを用いてモノクロ画像を形成するモノクロモードとを選択的に実行可能となっている。この画像形成装置では、ホストコンピュータなどの外部装置から画像形成指令(印刷情報)が画像処理部を有するメインコントローラーMCに与えられると、このメインコントローラーMCがエンジンコントローラーECに制御信号を与え、これに基づき、エンジンコントローラーECがエンジン部EGおよびヘッドコントローラーHCなど装置各部を制御して所定の画像形成動作を実行し、複写紙、転写紙、用紙およびOHP用透明シートなどの記録材RMたるシートに画像形成指令に対応する画像を形成する。
【0020】
各画像形成ステーション2Y、2M、2Cおよび2Kは、トナー色を除けばいずれも同じ構造および機能を有している。そこで、図1では、図を見やすくするために、画像形成ステーション2Cを構成する各部品にのみ符号を付し、他の画像形成ステーション2Y、2Mおよび2Kに付すべき符号については記載を省略する。また、以下の説明では、図1に付した符号を参照して画像形成ステーション2Cの構造および動作を説明するが、他の画像形成ステーション2Y、2Mおよび2Kの構造および動作も、トナー色が異なることを除けば同じである。
【0021】
画像形成ステーション2Cには、シアン色のトナー像がその表面に形成される、感光体ドラム21が設けられている。感光体ドラム21は、その回転軸が主走査方向(図1の紙面に対して垂直な方向)に平行もしくは略平行となるように配置される。そして、感光体ドラム21の回転軸に対してACサーボモーターが直接接続されて感光体ドラム21はACサーボモーター(図示省略)によりダイレクト駆動されて図1中矢印D21の方向に所定速度で回転駆動される。
【0022】
感光体ドラム21の周囲には、感光体ドラム21表面を所定の電位に帯電させるコロナ帯電器である帯電器22と、感光体ドラム21表面を画像信号に応じて露光することで静電潜像を形成するラインヘッド(露光ヘッド)23と、該静電潜像をトナー像として顕像化する現像ユニット24と、第1スクイーズ部25と、第2スクイーズ部26と、該トナー像を転写ユニット3の中間転写ベルト31に一次転写する一次転写ユニットと、転写後の感光体ドラム21の表面をクリーニングするクリーニングユニットと、クリーナーブレードとが、それぞれこれらの順に感光体ドラム21の回転方向D21(図1では、時計回り)に沿って配設されている。
【0023】
帯電器22は感光体ドラム21の表面に接触しないものであり、この帯電器22には、従来周知慣用のコロナ帯電器を用いることができる。コロナ帯電器にスコロトロン帯電器を用いた場合には、スコロトロン帯電器のチャージワイヤにはワイヤ電流が流されるとともに、グリッドには直流(DC)のグリッド帯電バイアスが印加される。帯電器22によるコロナ放電で感光体ドラム21が帯電されることで、感光体ドラム21の表面の電位が略均一の電位に設定される。
【0024】
ラインヘッド23は後述するようにヘッドコントローラーHCから与えられるビデオデータに基づき光ビームを発生させて光ビームにより感光体ドラム21表面を露光して画像信号に対応する静電潜像を形成するものであり、複数の発光素子と、レンズアレイとを有している。
【0025】
図3は露光ヘッドの構造を示す斜視図である。このラインヘッド23は、長手方向LGDに配列された複数の発光素子231を備えており、ラインヘッド23の幅方向LTDが副走査方向SDに平行もしくは略平行となるように感光体ドラム21に対向配置されている。このラインヘッド23の本体232の内部には、ガラス基板であるヘッド基板233が設けられるとともに、このヘッド基板233に複数の発光素子231が主走査方向MD(長手方向LGD)に2行千鳥で並んで設けられている。また、発光素子231に対して、レンズアレイ234がヘッド基板233に対向して配置されている。したがって、発光素子231の発光面から射出した光ビームはレンズアレイ234に結像されて感光体ドラム21表面にスポットが照射される。なお、同図中の符号Doaは、主走査方向MDおよび副走査方向SDに直交する方向であって発光素子231の光の射出方向(換言すれば、ラインヘッド23から感光体ドラム21に向かう方向)、つまり光軸方向を意味している。
【0026】
上記のように構成されたラインヘッド23により感光体ドラム21の表面に形成された静電潜像に対して現像ユニット24からトナーが付与されて、静電潜像がトナーにより現像される。なお、この画像形成装置1の現像ユニット24では、キャリア液内にトナーを概略重量比20%程度に分散させた液体現像剤を用いてトナー現像が行われる。この画像形成装置1では、従来一般的に使用されている、Isopar(商標:エクソン)をキャリア液とした低濃度(1〜2wt%)かつ低粘度の常温で揮発性を有する揮発性液体現像剤ではなく、高濃度かつ高粘度の、常温で不揮発性の樹脂中へ顔料などの着色剤を分散させた平均粒径1μmの固形粒子を、有機溶媒、シリコンオイル、鉱物油又は食用油等の液体溶媒中へ分散剤とともに添加し、トナー固形分濃度を約20%とした高粘度(30〜10000mPa・s程度)の液体現像剤が用いられる。
【0027】
第1スクイーズ部25および第2スクイーズ部26にはスクイーズローラーがそれぞれ設けられている。そして、各スクイーズローラーが回転しながら感光体ドラム21の表面と当接してトナー像の余剰キャリア液やカブリトナーを除去する。なお、本実施形態では2つのスクイーズ部25、26により余剰キャリア液やカブリトナーを除去しているが、スクイーズ部の個数や配置などはこれに限定されるものではなく、例えば1個のスクイーズ部を配置してもよい。また、本実施形態では、各スクイーズローラーは感光体ドラム21に当接しながら感光体ドラム21の回転周期と整数比または略整数比の回転周期で回転される。
【0028】
スクイーズ部25、26を通過してきたトナー像は一次転写ユニットにより中間転写ベルト31に一次転写される。この中間転写ベルト31は、その表面、より詳しくはその外周面にトナー像を一時的に担持可能な像担持体としての無端状ベルトであり、複数のローラー32、33、34および35に掛け渡されている。このうちローラー32はベルト駆動モーターに機械的に接続されて、中間転写ベルト31を図1の矢印方向D31に周回駆動するベルト駆動ローラーとして機能している。なお、中間転写ベルト31を掛け渡されたローラー32ないし35のうち、モーターにより駆動されるのは上記したベルト駆動ローラー32のみであり、他のローラー33、34および35は駆動部を有しない従動ローラーである。
【0029】
一次転写ユニットは一次転写バックアップローラー271を有しており、一次転写バックアップローラー271は中間転写ベルト31を挟んで感光体ドラム21と対向して配設されている。感光体ドラム21と中間転写ベルト31とが当接する一次転写位置TR1では、感光体ドラム21上のトナー像が中間転写ベルト31の外周面(一次転写位置TR1において下面)に転写される。こうして画像形成ステーション2Cにより形成されたシアン色のトナー像が中間転写ベルト31に転写される。同様に、他の画像形成ステーション2Y、2Mおよび2Kでもトナー像の転写が実行されることで、各色のトナー像が中間転写ベルト31上に順次重ね合わされ、フルカラーのトナー像が形成される。一方、モノクロトナー像が形成される際には、ブラック色に対応した画像形成ステーション2Kのみにおいて、中間転写ベルト31へのトナー像転写が行われる。
【0030】
こうして中間転写ベルト31に転写されたトナー像は二次転写位置TR2に搬送される。この二次転写位置TR2では、中間転写ベルト31を巻き掛けられたローラー34に対して二次転写ローラー4が中間転写ベルト31を挟んで対向配置されており、中間転写ベルト31表面と転写ローラー4表面とが互いに当接して転写ニップNPを形成している。すなわち、ローラー34は二次転写バックアップローラーとして機能している。二次転写ローラー4の回転シャフト421は、例えばバネのような弾性部材である押圧部45によって弾性的に、かつ中間転写ベルト31に対して近接・離間移動自在に支持されている。
【0031】
二次転写位置TR2においては、中間転写ベルト31上に形成された単色あるいは複数色のトナー像が、一対のゲートローラー51、51から搬送経路PTに沿って搬送される記録材RMに転写される。なお、この実施形態では、液体現像剤を用いてトナー像を形成する湿式現像方式でトナー像を形成しているので、良好な転写特性を得るために、転写ニップにおいては中間転写ベルト31に対し記録材RMが高い押圧力で押圧されることが望まれる。また、液体現像剤を介在させるため、記録材RMが中間転写ベルト31に貼り付きジャムを引き起こす可能性が高い。そこで、この画像形成装置1では、把持部を有する二次転写ローラー4が用いられている。
【0032】
二次転写ローラー4は、円筒の外周面の一部を切り欠いてなる凹部41が設けられたローラー基材42を有している。このローラー基材42では、回転軸中心に方向D4に回転自在の回転シャフト421が二次転写バックアップローラー34の回転軸と平行または略平行に配置されるとともに、押圧部45により二次転写バックアップローラー34側に付勢されて所定の荷重(この実施形態では60kgf)が付加されている。そして、図示を省略するモーターから回転駆動力が回転シャフト421に与えられると、二次転写ローラー4は回転方向D4に回転する。また、この二次転写ローラー4には、回転方向D4に所定の長さを有する検出用マークと、当該検出用マークを検出する垂直同期センサー46とが設けられている。そして、垂直同期センサー46は、二次転写ローラー4の回転に伴なって移動する検出用マークを検出する度に、検出信号を出力する。そして、センサーモジュールMDsが、この検出信号から生成した垂直同期信号V−syncをエンジンコントローラーEC出力する。なお、垂直同期センサー46は光学センサーを用いることができ、検出用マークは所定の印刷パターンあるいはスリットで構成することができる。
【0033】
また、ローラー基材42の外周面、つまり凹部41の内部に相当する領域を除く表面領域にゴムや樹脂などの弾性層(図示省略)が形成されている。この弾性層はバックアップローラー34に巻き掛けられた中間転写ベルト31と対向して転写ニップNPを形成する。つまり、二次転写ローラー4は、その外周面が記録材RMを介して中間転写ベルト31に当接して、転写ニップNPを形成する当接状態と、凹部が中間転写ベルト31に向いて、その外周面が中間転写ベルト31から離間する離間状態とのいずれかの状態を、回転することによって選択的に切り換えることができるものである。
【0034】
また、凹部41の内部には、記録材RMを把持するための把持部44が配設されている。この把持部44は、凹部41の内底部からローラー基材42の外周面に立設されたグリッパ支持部材と、グリッパ支持部材の先端部に対して接離自在に支持されたグリッパ部材とを有している。そして、グリッパ部材を駆動制御することで記録材RMの把持や把持開放を行うことが可能となっている。
【0035】
このような二次転写ローラーを用いて二次転写を実行する構成では、次のようなタイミング制御が行なわれる。つまり、二次転写の実行にあたっては、ゲートローラー対51、51が二次転写位置TR2に給紙する記録材RMの一端を、二次転写ローラー4が回転しながら把持部44で把持する。したがって、記録材RMの一端を把持部44で確実に把持するためには、ゲートローラー対51、51(給紙系)は、二次転写ローラー4の回転に合わせたタイミングで、記録材RMを二次転写位置TR2に給紙しなければならない。また、画像形成ステーション2Y、2M、2C、2Kおよび転写ユニット3で構成される作像系は、ラインヘッド23の露光動作、潜像の現像動作および一次転写を順次実行して形成したカラー画像を、二次転写ローラー4の回転動作に応じた給紙タイミングに合わせて二次転写位置TR2に搬送しなければならない。そこで、エンジンコントローラーは、作像系および給紙系の動作を、二次転写ローラー4の回転に同期して出力される垂直同期信号V−syncに基づいて制御する。
【0036】
なお、トナー像が二次転写された記録材RMは、二次転写ローラー4から搬送経路PT上に設けられた定着ユニット7へ送出される。定着ユニット7では、記録材RMに転写されたトナー像に熱や圧力などが加えられて記録材RMへのトナー像の定着が行われる。
【0037】
次に、上記のように構成された画像形成装置においてラインヘッド23を制御するヘッドコントローラーHCの構成および動作を中心に説明する。本実施形態にかかる画像形成装置では、ホストコンピュータなどの外部装置から画像形成指令(印刷情報)が与えられる。この画像形成指令には、印刷ファイルの種類、用紙サイズ、用紙種類、モノクロ/カラー、部数などの情報が含まれている。そして、メインコントローラーMCは画像形成指令を受けると、エンジンコントローラーECに印刷開始信号V−loadを送信する。また、メインコントローラーMCに設けられた画像処理部61は、画像形成指令に含まれる画像データに対して色変換やスクリーン処理などのデータ処理を行い、トナー色毎のビデオデータを生成する。この画像処理部61による一連のデータ処理は、エンジンコントローラーECからヘッドコントローラーHCを介して与えられるV−req信号をきっかけに実行されるものである。
【0038】
なお、V−req信号は、印刷開始信号V−loadに対応してエンジンコントローラーECが生成する信号であり、1ページ分のデータ処理の開始タイミングをメインコントローラーMCに与えるものである。こうして生成されたビデオデータはバッファーメモリー62に一時的に記憶された後、ヘッドコントローラーHCからのラインデータリクエスト信号H−reqに同期して、バッファーメモリー62からヘッドコントローラーHCへ転送される。
【0039】
ヘッドコントローラーHCは上記のようにしてメインコントローラーMCから転送されてくるビデオデータを記憶するページメモリー71を有している。また、ヘッドコントローラーHCはラインデータリクエスト信号生成部(以下、「Hreq信号生成部」という)72を有している。そして、Hreq信号生成部72はエンジンコントローラーECから受信したビデオデータリクエスト信号V−reqを、メインコントローラーMCの画像処理部61に転送するとともに、ビデオデータリクエスト信号V−reqに基づきラインデータリクエスト信号H−reqを生成してバッファーメモリー62およびページメモリー71に与える。
【0040】
このようにラインデータリクエスト信号H−reqに同期して1ライン単位でビデオデータがページメモリー71に転送される。そして、1ページ分のビデオデータがページメモリー71に記憶されると、ヘッドコントローラーHCはエンジンコントローラーECに印刷READY信号を出力する。エンジンコントローラーECは、この印刷READY信号を受信すると、印刷動作を開始する。すなわち、エンジンコントローラーECはセンサーモジュールMDsから垂直同期信号V−syncを受信し、その垂直同期信号V−syncを色別垂直同期信号生成部74に送信する。そして、色別垂直同期信号生成部74は各色の画像形成ステーション間距離を基に4種類の色別垂直同期信号V−syncを生成し、対応する色のヘッド制御部75へ送信する。
【0041】
ヘッド制御部75は各色に対応して1つずつ設けられており、ラインデータリクエスト信号H−reqに基づいて送られてくるビデオデータを1ライン分ずつ、各色独立の水平同期信号H−syncに同期させながら各ラインヘッド23に送信する。より詳しくは、ヘッド制御部75は、ラインバッファー751、水平同期信号生成部752およびヘッド制御信号生成部753を有している。そして、ヘッド制御部75は、上記のようにラインデータリクエスト信号H−reqに基づいて送られてくる1ライン分のビデオデータを、ラインバッファー751に一時的に記憶する。ラインバッファー751は、水平同期信号生成部752が生成する水平同期信号H−syncに同期して、1ライン分のビデオデータをヘッド制御信号生成部753に出力する。そして、ヘッド制御信号生成部753がビデオデータから生成したヘッド制御信号に基づいて、ラインヘッド23が感光体ドラム21を露光する。
【0042】
なお、水平同期信号H−syncは、感光体ドラム21の回転に同期して水平同期信号生成部752によって順次生成されるものである。つまり、ヘッド制御部75は、ヘッド制御信号生成部753へのビデオデータの送信を水平同期信号H−syncに同期して実行することで、感光体ドラム21の回転に応じたタイミングで、ヘッド制御信号を生成して、ラインヘッド23の各発光素子231を発光させる。
【0043】
上述のとおり、エンジンコントローラーECは、エンジン部EGから受信した垂直同期信号V−syncに基づいて、印刷動作を実行する。このような構成において、所望の印刷動作を実行するためには、エンジン部EGとエンジンコントローラーECとの間で通信される垂直同期信号V−syncのノイズ耐性が重要となる。そこで、本実施形態は、垂直同期信号V−syncのノイズ耐性を向上するために、垂直同期信号V−syncの通信を次のようにして実行する。
【0044】
図4は、垂直同期信号の通信を実行する電気的構成を示すブロック図である。同図に示すように、エンジン部EGには、垂直同期信号V−syncを生成して送信するための垂直同期センサー46および各種回路Ct1〜Ct3を一体的にモジュール化したセンサーモジュールMDsが設けられている。一方、エンジンコントローラーECには、垂直同期信号V−syncを受信するための各種回路Cr1〜Cr3を、一体的にモジュール化した受信モジュールMDrが設けられている。そして、センサーモジュールMDsと受信モジュールMDrとの間で垂直同期信号V−syncの通信が実行される。
【0045】
図5は、第1実施形態における通信動作を示すタイミングチャートである。図6は、図5のセンサー検出信号Saと合成V−sync信号Sbとを拡大して示すタイミングチャートである。図7は、第1実施形態におけるセンサーモジュールの動作を示したフローチャートである。先ずは、図4〜図7を用いて、センサーモジュールが実行する動作について詳述する。
【0046】
垂直同期センサー46は、回転方向D4に回転する二次転写ローラー4に設けられた検出用マークを検出する度に、検出信号Saを同期信号合成回路Ct1に出力する。より詳しくは、垂直同期センサー46は、検出用マークの回転方向D4の先端を検出すると検出信号Saの立上りを出力し、検出用マークの回転方向D4の後端を検出すると検出信号Saの立下りを出力する。そして、この実施形態では検出信号Saの立上りをきっかけに、合成V−syncが生成される。
【0047】
つまり、図7のステップS101、S102に示すように、同期信号合成回路Ct1および事前予告コード付加回路Ct2は、垂直同期センサー46の検出信号Saの立上りの有無を確認する。そして、同期信号合成回路Ct1および事前予告コード付加回路Ct2は、検出信号Saの立上りを確認すると(ステップS102で「YES」と判断)、センサー検出信号Saの立上りに対して事前予告コードを付加して(ステップS103)、合成V−sync信号Sbを生成する(ステップS104)。
【0048】
詳しくは、図6に示すように、同期信号合成回路Ct1に検出信号Saの立ち上がりが入力されると、同期信号合成回路Ct1および事前予告コード付加回路Ct2は、スタートビット、事前予告コードおよびストップビットを、この順番で時間軸に対して並べた合成V−sync信号Sbを生成する。ここで、スタートビットは1ビット分の時間幅を有して通信の開始を示すものであり、事前予告コードは、16進数で「2C」のビットパターンを有する識別コードであり、ストップビットは1ビット分の時間幅を有して通信の終わりを示すものである。
【0049】
そして、以後の信号の処理および通信においては、ストップビットの立ち上がりのタイミングが、垂直同期信号V−syncを示すとして取り扱われる。換言すれば、同期信号合成回路Ct1および事前予告コード付加回路Ct2は、垂直同期信号V−syncの前に事前予告コードを付加した合成V−sync信号を生成する機能を果たしている。こうして、生成される合成V−sync信号は、同期信号出力回路Ct3によりエンジンコントローラーECに送信される。
【0050】
図8は、エンジンコントローラーの受信モジュールが実行する動作を示したフローチャートである。続いて、図8を図4〜図7に加えて、受信モジュールが実行する動作について詳述する。図4に示すとおり、受信モジュールMDsは、同期信号入力回路Cr1、同期信号抽出回路Cr2および事前予告コード解析回路Cr3を有している。同期信号入力回路Cr1は、センサーモジュールMDsから受信した合成V−sync信号Sbを信号Scとして同期信号抽出回路Cr2に出力する。ちなみに、図5では、同期信号出力回路Ct3から同期信号入力回路Cr1への通信途中でノイズが混入した場合が例示されており、これに対応して信号Scに合成V−sync信号以外にノイズが示されている。
【0051】
一方、同期信号抽出回路Cr2および事前予告コード解析回路Cr3は、同期信号抽出回路Cr2に入力された信号Scから垂直同期信号V−syncを抽出する機能を協働して果たす。このV−sync抽出動作について、図8を用いて説明する。まず、ステップS201で、信号Scのスタートビットの立下りが検出されると、ステップS202で中点サンプリングタイマーがカウントアップされる。そして、1ビットに対応する時間幅の約半分の間、スタートビットがLowを維持して(ステップS203で「YES」)、スタートビットの中点が確認されると(ステップS204で「YES」)、ステップS205以後のフローが実行される。これらステップS201〜S204のフローは、スパイクノイズ等をスタートビットと誤認識しないために行なわれるものである。つまり、信号の立下りから一定時間(1ビットの時間幅の約半分)信号のLow状態が継続していることを確認して、スタートビットの検出を行うこととしている。
【0052】
続くステップS205〜S220では、スタートビットに続くビットパターンが、事前予告コードのビットパターン(つまり、「2C」)に一致するか否かが確認される。この確認動作は1ビット毎に信号値をサンプリングするものであり、この際、スタートビットの時間幅を1ビットの時間幅としてサンプリングが実行される。つまり、ステップS205では、ビットサンプリングタイマーによって信号Scがサンプリングされ、ステップS206では、このサンプリング結果からビット7の値が「0」であるかが確認される。かかるフローを繰り返して(つまり、同様にステップS207〜S220まで実行して、ビット7〜0の値が0、0、1、0、1、1、0、0と一致するかが確認される。こうして、スタートビットに続くビットパターンが事前予告コードのビットパターンに一致すると確認されると、ステップS221に進む。
【0053】
ステップS221はで、事前予告コードに続くストップビットの立下りが検出され、さらに、ステップS222では、ストップビットの立上りが検出される。そして、このストップビットの立下りが、垂直同期信号V−sync(信号Sd)として抽出されて、同期信号抽出回路Cr2から色別垂直同期信号生成部74(図2)に出力される。
【0054】
このように、受信モジュールMDrでは、特定のビットパターン(2C)に一致する符合を事前予告コードとして識別し、この事前予告コードに基づいて垂直同期信号V−syncが抽出される。そして、このような抽出動作では、事前予告コードを伴なわないノイズ等は、垂直同期信号V−syncと認識されない。その結果、図5に示すように、信号Scに混入していたノイズが、信号Sdでは除去されていることが判る。
【0055】
以上のように、本実施形態では、センサーモジュールMDs(送信側)から受信モジュールMDr(受信側)へ通信される垂直同期信号V−syncは、特定のビットパターン(2C)を有する事前予告コード(識別コード)を伴なっている。そして、受信モジュールMDrは、受信したデータに含まれる事前予告コードを識別することで、当該事前予告コードに基づいて垂直同期信号V−syncを抽出する。よって、事前予告コードを伴なわない垂直同期信号V−sync以外のノイズを、垂直同期信号V−syncと誤認することが抑制可能となる。
【0056】
特に、画像形成装置では、垂直同期信号V−syncと誤認識したノイズをきっかけに、画像形成を開始することで、本来不要な印刷が実行されてしまい、記録材RM、トナー、時間等の損失が発生する場合があった。これに対して、本実施形態によれば、垂直同期信号V−sync以外のノイズを、垂直同期信号V−syncと誤認することが抑制されるため、不要な印刷に起因した種々の損失の発生を抑制することができる。
【0057】
また、本実施形態では、センサーモジュールMDsは、事前予告コードを出力する前に、通信の開始を示すスタートビット(通信開始ビット)を出力し、受信モジュールMDrは、センサーモジュールMDsより受信したスタートビットに基づいて事前予告コードの識別を行なうように構成しており、好適である。
【0058】
第2実施形態
図9は、第2実施形態における通信動作を示すタイミングチャートである。図10は、図9のセンサー検出信号Saと合成V−sync信号Sbとを拡大して示すタイミングチャートである。図11は、第2実施形態におけるセンサーモジュールの動作を示したフローチャートである。第2実施形態と第1実施形態との差異部分は、主としてセンサーモジュールの動作であるので、以下ではこの差異部分について説明し、その他の部分については説明を省略する。
【0059】
図11のステップS301、S302に示すように、同期信号合成回路Ct1および事前予告コード付加回路Ct2は、垂直同期センサー46の検出信号Saの立上りの有無を確認する。そして、同期信号合成回路Ct1および事前予告コード付加回路Ct2は、検出信号Saの立上りを確認すると(ステップS302で「YES」と判断)、センサー検出信号Saの立上りに対して事前予告コードと、ストップビットの立下りを付加する(ステップS303)。そして、続くステップS304、S305で垂直同期センサー46の出力信号Saの立下りが検出されると、ステップS303で生成信号にストップビットの立上りを付加する(ステップS306)。つまり、第2実施形態では、ストップビットの立下りが、垂直同期センサー46の出力信号Saの立下りに一致するように、ストップビットの時間幅が調整されることとなる。
【0060】
こうして、図10に示すように、スタートビット、事前予告コードおよびストップビットを、この順番で時間軸に対して並べた合成V−sync信号Sbが生成される。そして、以後の信号の処理および通信においては、ストップビットの立ち上がりのタイミングが、垂直同期信号V−syncを示すとして取り扱われる。換言すれば、同期信号合成回路Ct1および事前予告コード付加回路Ct2は、垂直同期信号V−syncの前に事前予告コードを付加した合成V−sync信号を生成する機能を果たしている。こうして、生成される合成V−sync信号は、同期信号出力回路Ct3によりエンジンコントローラーECに送信される(ステップS307)。
【0061】
以上のように、第2実施形態においても、センサーモジュールMDs(送信側)から受信モジュールMDr(受信側)へ通信される同期信号は、特定のビットパターン(2C)を有する事前予告コード(識別コード)を伴なっている。そして、受信モジュールMDrは、受信したデータに含まれる事前予告コードを識別することで、当該事前予告コードに基づいて垂直同期信号V−syncを抽出する。よって、事前予告コードを伴なわない垂直同期信号V−sync以外のノイズを、垂直同期信号V−syncと誤認することが抑制可能となる。
【0062】
また、第2実施形態では、二次転写ローラー4の回転方向D4の検出用マークの先端を垂直同期センサー46が検出したことをきっかけにスタートビットおよび事前予告コードを出力するとともに、二次転写ローラー4の回転方向D4の検出用マークの後端を垂直同期センサー46が検出したことをきっかけに垂直同期信号V−sync(ストップビットの立上り)を出力するように構成している。
【0063】
そして、このような構成では、印刷速度の変更を加味したタイミングで同期信号を出力可能となっている。詳述すると、スタートビットが出力されてから垂直同期信号V−sync(信号Saの立下り)が出力されるまでの期間は、垂直同期センサー46が検出用マークの先端を検出してから後端を検出するまでの検出間隔となる。そして、この検出間隔は、二次転写ローラー4の速度によって変化する値である。したがって、印刷速度の変更に伴なって二次転写ローラー4の速度が変化することで、垂直同期信号V−sync(信号Saの立下り)の出力タイミングもこれに応じて変化する。こうして、上記構成では、印刷速度の変更を加味したタイミングで同期信号を出力可能となっている。
【0064】
第3実施形態
図12は、第3実施形態におけるセンサーモジュールの動作を示したフローチャートである。第3実施形態と第1実施形態との差異部分は、主としてセンサーモジュールの動作であるので、以下ではこの差異部分について説明し、その他の部分については説明を省略する。
【0065】
図12のステップS401、S402に示すように、同期信号合成回路Ct1および事前予告コード付加回路Ct2は、垂直同期センサー46の検出信号Saの立上りの有無を確認する。そして、同期信号合成回路Ct1および事前予告コード付加回路Ct2は、検出信号Saの立上りを確認すると(ステップS402で「YES」と判断)、センサー検出信号Saの立上りに対して事前予告コードと、ストップビットとを付加する(ステップS403)。ただし、この際、ストップビットが付加されるタイミングは、ステップS404、S405に基づいて調整されている。
【0066】
つまり、ステップS404では、印刷速度が設定され、ステップS405では、この印刷速度からストップビットが付加されるタイミングが設定される。具体的には、印刷速度が遅い場合は、ストップビットのタイミングは遅く設定され、印刷速度が速い場合は、ストップビットのタイミングは速く設定される。そして、ステップS403では、こうしてタイミングが調整されたストップビットが付加されて、合成V−sync信号Sbが生成される。そして、以後の信号の処理および通信においては、ストップビットの立ち上がりのタイミングが、垂直同期信号V−syncを示すとして取り扱われる。こうして、生成される合成V−sync信号は、同期信号出力回路Ct3によりエンジンコントローラーECに送信される(ステップS406)。
【0067】
以上のように、第3実施形態においても、センサーモジュールMDs(送信側)から受信モジュールMDr(受信側)へ通信される同期信号は、特定のビットパターン(2C)を有する事前予告コード(識別コード)を伴なっている。そして、受信モジュールMDrは、受信したデータに含まれる事前予告コードを識別することで、当該事前予告コードに基づいて垂直同期信号V−syncを抽出する。よって、事前予告コードを伴なわない垂直同期信号V−sync以外のノイズを、垂直同期信号V−syncと誤認することが抑制可能となる。
【0068】
また、第3実施形態は、印刷速度に応じてストップビットのタイミング、換言すれば、垂直同期信号V−syncのタイミングを調整しており、好適である。
【0069】
第4実施形態
上記実施形態では、合成V−sync信号を、回路Ct1、Ct2により生成していた。しかしながら、合成V−sync信号の生成手法はこれに限られない。図13は、合成V−syncの生成手法の変形例を示す図である。この変形例では、スタートビット、事前予告コードおよびストップビットそれぞれに対応する検出用マークが、回転方向D4の下流側から順番に並んで、二次転写ローラー4に設けられている。
【0070】
したがって、二次転写ローラー4の回転に伴なって、垂直同期センサー46は、スタートビット、事前予告コードおよびストップビットそれぞれに対応する検出用マークを順番に検出する。つまり、この変形例では、垂直同期センサー46から合成V−syncが出力されることとなる。その結果、スタートビット、事前予告コードおよび垂直同期信号V−syncを簡便に生成することができ、好適である。
【0071】
その他
このように上記第1〜第4実施形態では、「2C」が本発明の「特定のビットパターン」に相当し、事前予告コードが本発明の「識別コード」に相当し、センサーモジュールMDsが本発明の「送信機」に相当し、受信モジュールMDrが本発明の「受信機」に相当し、センサーモジュールMDsおよび受信モジュールMDrが協働して本発明の「通信装置」として機能し、スタートビットが本発明の「通信開始ビット」に相当し、同期信号合成回路Ct1および事前予告コード付加回路Ct2が協働して本発明の「データ生成部」として機能し、同期信号出力回路Ct3が本発明の「データ出力部」に相当し、同期信号入力回路Cr1が本発明の「データ受信部」に相当し、同期信号抽出回路Cr2および事前予告コード解析回路Cr3が協働して本発明の「同期信号抽出部」として機能している。また、感光体ドラム21が本発明の「潜像担持体」に相当し、ラインヘッド23が本発明の「露光部」に相当し、現像ユニット24が本発明の「現像部」に相当し、中間転写ベルト31が本発明の「像担持体」に相当し、二次転写ローラー4が本発明の「転写ローラー」に相当し、垂直同期センサー46が本発明の「センサー」に相当し、センサーモジュールMDsが本発明の「同期信号出力部」に相当し、エンジンコントローラーECおよびヘッドコントローラーHCが協働して本発明の「制御部」として機能している。
【0072】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、上記実施形態では、センサーモジュールMDsとエンジンコントローラーECとの間での垂直同期信号V−syncの通信に対して本発明を適用したが、本発明を適用可能な通信対象はこれに限られない。そこで、例えば、エンジンコントローラーECと色別垂直同期信号生成部74との間での垂直同期信号V−syncの通信に対して本発明を適用しても良い。
【0073】
また、本発明を適用可能な装置は画像形成装置に限られず、同期信号の通信を行なう装置全般に対して本発明を適用可能である。
【0074】
また、上記実施形態では、センサーモジュールMDs、受信モジュールMDrとしてモジュール化した構成を用いていたが、これらのモジュールMDs、MDrの機能をモジュール化によらずに実現することもできる。
【0075】
また、上記実施形態では、二次転写ローラー4の回転動作に基づいて垂直同期信号V−syncを発生させていたが、中間転写ベルト31の周回動作に基づいて垂直同期信号V−syncを発生させても良い。
【0076】
また、上記実施形態では、事前予告コードのビットパターンを16進数表記で「2C」としたが、事前予告コードのビットパターンはこれに限られない。
【0077】
また、上記実施形態では、ストップビットの立上りを垂直同期信号V−syncとして取り扱ったが、ストップビットの立下りを垂直同期信号V−syncとして取り扱っても良い。
【符号の説明】
【0078】
MDs…センサーモジュール、 MDr…受信モジュール、Ct1…同期信号合成回路、 Ct2…事前予告コード付加回路Ct2、 Ct3…同期信号出力回路Ct3、 Cr1…同期信号入力回路、 Cr2…同期信号抽出回路、 Cr3…事前予告コード解析回路、 46…垂直同期センサー、 V−sync…垂直同期信号
【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定のビットパターンを有する識別コードを出力した後に同期信号を出力する送信機と、
前記送信機より受信したデータから前記特定のビットパターンと一致する符合を前記識別コードと識別するとともに、当該識別コードに基づいて前記同期信号を前記データから抽出する受信機と、
を備えることを特徴とする通信装置。
【請求項2】
前記送信機は、前記識別コードを出力する前に、通信の開始を示す通信開始ビットを出力し、
前記受信機は、前記送信機より受信した前記通信開始ビットに基づいて前記識別コードの識別を行なう請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
特定のビットパターンを有する識別コードを同期信号の前に付加したデータを生成するデータ生成部と、
前記データ生成部が生成する前記データを出力するデータ出力部と、
を備えることを特徴とする送信機。
【請求項4】
特定のビットパターンを有する識別コードを同期信号の前に付加したデータを受信するデータ受信部と、
前記データ受信部が受信した前記データから前記特定のビットパターンと一致する符合を前記識別コードと識別し、当該識別コードに基づいて前記同期信号を前記データから抽出する同期信号抽出部と、
を備えることを特徴とする受信機。
【請求項5】
潜像が形成される潜像担持体と、
前記潜像担持体を露光して前記潜像を形成する露光部と、
前記露光部で前記潜像担持体に形成された前記潜像を現像する現像部と、
前記現像部で前記潜像担持体に現像された像が転写される像担持体と、
周面に凹部を有し、回転することで、記録媒体を介して前記凹部と異なる周面で前記像担持体に当接し、あるいは前記凹部を前記像担持体に向けて前記像担持体から離間する転写ローラーと、
前記転写ローラーの回転位置をセンサーにより検出した結果に基づいて同期信号を生成するとともに、特定のビットパターンを有する識別コードを出力した後に、前記同期信号を出力する同期信号出力部と、
前記同期信号出力部より受信した前記データから前記特定のビットパターンと一致する符合を前記識別コードと識別するとともに、当該識別コードに基づいて前記データから抽出した前記同期信号に応じて前記露光部の動作を制御する制御部と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
前記同期信号出力部は、前記識別コードを出力する前に、通信の開始を示す通信開始ビットを出力し、
前記制御部は、前記同期信号出力部より受信した前記通信開始ビットに基づいて前記識別コードの識別を行なう請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記転写ローラーには、前記転写ローラの回転方向に所定の長さを有する検出用マークが設けられており、
前記同期信号出力部の前記センサーは、前記転写ローラーの回転に伴なって移動する前記検出用マークを検出し、
前記同期信号出力部は、前記転写ローラーの回転方向の前記検出用マークの先端を前記センサーが検出したことをきっかけに前記通信開始ビットおよび前記識別コードを出力するとともに、前記転写ローラーの回転方向の前記検出用マークの後端を前記センサーが検出したことをきっかけに前記同期信号を出力する請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記転写ローラーには、前記通信開始ビット、前記識別コードおよび前記同期信号に対応する検出用マークが前記転写ローラの回転方向に設けられており、
前記同期信号出力部は、前記センサーが前記検出用マークを検出した結果を出力する請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項1】
特定のビットパターンを有する識別コードを出力した後に同期信号を出力する送信機と、
前記送信機より受信したデータから前記特定のビットパターンと一致する符合を前記識別コードと識別するとともに、当該識別コードに基づいて前記同期信号を前記データから抽出する受信機と、
を備えることを特徴とする通信装置。
【請求項2】
前記送信機は、前記識別コードを出力する前に、通信の開始を示す通信開始ビットを出力し、
前記受信機は、前記送信機より受信した前記通信開始ビットに基づいて前記識別コードの識別を行なう請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
特定のビットパターンを有する識別コードを同期信号の前に付加したデータを生成するデータ生成部と、
前記データ生成部が生成する前記データを出力するデータ出力部と、
を備えることを特徴とする送信機。
【請求項4】
特定のビットパターンを有する識別コードを同期信号の前に付加したデータを受信するデータ受信部と、
前記データ受信部が受信した前記データから前記特定のビットパターンと一致する符合を前記識別コードと識別し、当該識別コードに基づいて前記同期信号を前記データから抽出する同期信号抽出部と、
を備えることを特徴とする受信機。
【請求項5】
潜像が形成される潜像担持体と、
前記潜像担持体を露光して前記潜像を形成する露光部と、
前記露光部で前記潜像担持体に形成された前記潜像を現像する現像部と、
前記現像部で前記潜像担持体に現像された像が転写される像担持体と、
周面に凹部を有し、回転することで、記録媒体を介して前記凹部と異なる周面で前記像担持体に当接し、あるいは前記凹部を前記像担持体に向けて前記像担持体から離間する転写ローラーと、
前記転写ローラーの回転位置をセンサーにより検出した結果に基づいて同期信号を生成するとともに、特定のビットパターンを有する識別コードを出力した後に、前記同期信号を出力する同期信号出力部と、
前記同期信号出力部より受信した前記データから前記特定のビットパターンと一致する符合を前記識別コードと識別するとともに、当該識別コードに基づいて前記データから抽出した前記同期信号に応じて前記露光部の動作を制御する制御部と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
前記同期信号出力部は、前記識別コードを出力する前に、通信の開始を示す通信開始ビットを出力し、
前記制御部は、前記同期信号出力部より受信した前記通信開始ビットに基づいて前記識別コードの識別を行なう請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記転写ローラーには、前記転写ローラの回転方向に所定の長さを有する検出用マークが設けられており、
前記同期信号出力部の前記センサーは、前記転写ローラーの回転に伴なって移動する前記検出用マークを検出し、
前記同期信号出力部は、前記転写ローラーの回転方向の前記検出用マークの先端を前記センサーが検出したことをきっかけに前記通信開始ビットおよび前記識別コードを出力するとともに、前記転写ローラーの回転方向の前記検出用マークの後端を前記センサーが検出したことをきっかけに前記同期信号を出力する請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記転写ローラーには、前記通信開始ビット、前記識別コードおよび前記同期信号に対応する検出用マークが前記転写ローラの回転方向に設けられており、
前記同期信号出力部は、前記センサーが前記検出用マークを検出した結果を出力する請求項6に記載の画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−215470(P2011−215470A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−85054(P2010−85054)
【出願日】平成22年4月1日(2010.4.1)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年4月1日(2010.4.1)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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