説明

通信装置、通信システム、及び電力制御方法

【課題】動的なShedding動作による省電力機能を具備したONUを提供すること。
【解決手段】ネットワーク装置と端末装置との間に設置される通信装置であって、端末装置との通信を行う端末接続手段と、ネットワーク装置との通信を行う通信インターフェイス手段と、通信インターフェイス手段と端末接続手段との間でのデータの中継とネットワーク装置および端末装置との通信の制御を行うアクセス制御手段と、アクセス制御手段に接続され端末接続手段に対する電源供給を制御する第一の電源制御手段とを備え、第一の電源制御手段は端末装置と通信を行うことが可能な起動状態と端末装置と通信を行なわない低電力駆動状態とを含む複数の動作状態のうちの一つの動作状態に端末接続手段を設定し、第一の電源制御手段は低電力駆動状態にある端末接続手段を通信インターフェイス手段とネットワーク装置との通信が行われるタイミングに基づいて起動状態に移行するよう電源制御を行うことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信回線を介してデータを通信する通信装置、通信システム、及び電力制御方法に関し、特に、PON(Passive Optical Network)に用いられる加入者装置の消費電力の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インターネットを始めとする計算機ネットワークは、企業や学校のみならず一般家庭にまで普及が進んでいる。一般家庭におけるユーザはプロバイダと呼ばれる計算機ネットワーク接続業者と契約し、ネットワークサービスの提供を受ける。すなわち、ユーザはネットワークの基幹回線から分岐して家庭まで延伸して敷設された回線に加入者装置を接続し、この加入者装置にネットワークを利用した情報端末を接続して計算機ネットワークを利用する。
【0003】
近年、通信情報量の増大に伴い通信回線として金属製の回線が通信容量の大きい光ファイバに代替しつつある。この光ファイバを用いたネットワークにおける通信制御技術の一つとしてFTTH(Fiber To The Home)がある。このFTTHによるサービスとしてPON(Passive Optical Network)が広く用いられている。
【0004】
家庭に設置された加入者側の端末装置はONU(Optical Network Unit)と呼ばれる。複数のONUは、光スプリッタを介し一つの局舎装置であるOLT(Optical Line Terminal)に光ファイバで接続される。PONはこのようなネットワーク構成の総称である。PONにおいては、複数のONUが光スプリッタおよびOLT間の伝送路を共有する。これにより、PONは他のネットワーク構成に対して経済性という観点で優位であり、広く普及する根拠となっている。
【0005】
より詳細には、PONで用いられるONUは送信フレームの生成と受信フレームの受信処理と送信タイミングの制御を行うMAC(Media Access Control)ブロックと、MACブロックで生成された送信フレームを光信号に変換してOLTへ送信する光送信インターフェイス(TxIF)ブロックと、OLTから送信された光信号を電気信号に変換してMACブロックに供給する光受信インターフェイス(RxIF)ブロックと、IP(インターネットプロトコル)電話やPC(パーソナルコンピュータ)などのユーザ端末が接続される複数のユーザネットワークインターフェイス(UNI)を含む。
【0006】
10G−EPON(10ギガビット−イーサネット(登録商標)PON)のように、伝送路の分岐部に光パワースプリッタを具備するPONにおいては、光スプリッタによる時分割多重(TDM)を利用した分岐処理が行われる。このため、複数のONUからの上り信号が衝突しないように送信タイミングが制御される。具体的には、OLTからゲート(Gate)メッセージが各ONUに送信され、各ONUにおいて上り信号の送信タイミングと送信量が指定される。送信タイミング及び送信量は、各ONUからのリポート信号に含まれる帯域割当要求量を元にしてOLTのMAC−LSI内で算出される。このようなONU制御は動的帯域割当(DBA)と呼ばれる。下り信号については、ブロードキャスト方式が用いられる。すなわち、全てのONUに同じ下り光信号が到達する。各ONUはOLTから到達した下り信号のなかで自装置宛の情報のみを抽出して、その情報を元にして受信フレームの受信処理を行う。
【0007】
近年、地球温暖化が日常的に重要な課題として取り上げられており、温室効果ガスの排出量を削減する必要性が高まっている。また電力使用量の削減は燃料資源節約という社会的に重大な要請に答えるものである。
【0008】
ネットワークが使用する電力量の削減はこの分野における重要な課題の一つである。
【0009】
非特許文献1には、ONUの送受信の動作についての観点から3種類のONUの電力削減方式が提案されている。
【0010】
1.Dozingモード方式は、ONUからOLTへの上り信号フレームがない場合にONUの送信ブロックを省電力状態で動作させる方式である。
【0011】
2.Sleepingモード方式は、ONUとOLTの間に上り信号も下り信号もない場合にONUの送信ブロック及び受信ブロックを省電力状態で動作させる。このSleepingモードはさらに、Deep−SleepとCyclic−Sleepの2種類に分けられる。Deep−Sleepモードは、最小限の機能を残して電源をシャットダウンする電力削減方式である。一方、Cyclic−Sleepは省電力状態と通常状態を所定の周期で繰り返す電力削減方式である。
【0012】
3.Sheddingモード方式は、複数のUNIのうち使用していない、すなわち通信要求のないUNIを省電力状態で動作させる。
【0013】
上記の3つの方式において各ブロックを省電力状態で動作させるには、一般的には各ブロックへの電源供給を遮断もしくは電圧を低下させる。
【0014】
非特許文献2には、イーサネット・インターフェイスの省電力化方式の一つであるエネルギー高効率イーサネット(Energy−Efficient Ethernet(登録商標))が記載される。このEEEにおけるLPI(Low Power Idle)方式では、通信に使わない時間帯にMAC層への電源供給を止めることにより消費電力を削減する。
【0015】
特許文献1には、内部のバッファへの電源供給を制御する省電力方式が記載される。すなわち、特許文献1が開示する光加入者線終端装置は、内部回路に対する電力の供給を停止している状況下で局側装置から送信されたフレームを受信したときにフレームを格納するフレームバッファが利用可能な状態になるまで一時的にフレームを格納する一時バッファを備える。
【0016】
特許文献2は、IEEE802標準のネットワークにおけるONUの光インターフェイスの省電力方式を記載する。すなわち、ネットワーク装置とユーザ装置の間の通信を元にしてユーザ装置の受信機への電源供給をも止める。
【0017】
特許文献3は、局側装置との間の接続状態を監視してONUの機能ブロックを低消費電力モードに設定する加入者側装置を記載する。
【0018】
特許文献4は、宅側装置ONUに送信するユーザフレームを蓄積するバッファを有する局側装置OLTにおいて宅側装置ONUに送信してから再度宅側装置ONUに送信するまでの一巡時間より短い時間の省電力モード時間を記述したフレームを送信する動作を記載する。
【0019】
以上の省電力方式は単独で用いるだけでなく、複数の方式を組み合わせてもよい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【特許文献1】特開2010−161566号公報
【特許文献2】特開2010−213259号公報
【特許文献3】特開2008−113193号公報
【特許文献4】特開2010−114830号公報
【非特許文献】
【0021】
【非特許文献1】ITU−T Series G Supplement 45 “Transmission Systems and Media, Digital Systems and Networks”、 GPON power conservation、2009年5月
【非特許文献2】IEEE Std 802.3az−2010
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
関連技術においては、ONUの省電力技術は光インターフェイス側とUNI側のそれぞれに限定されていた。すなわち、光インターフェイス側とUNI側の連携は考慮されてこなかった。
【0023】
関連技術においては、低消費電力状態への遷移を制御して消費電力を抑制する動作は記載されるが、低消費電力状態から通常の通信動作の状態への復帰に関して記載されない。
【0024】
図15は、関連技術に係るONUの通信手続きにおけるONUの各部の動作を示す。
【0025】
例えば、Shedding動作がPON側の通信動作とは独立に実行される場合、図15に示されるようにユーザの端末から通信要求があり、かつOLTからGate信号を受信した場合であっても、OLTとユーザ端末の間の通信の確立には遅延が発生する。関連技術においては、この接続遅延がONUの省電力の障害となっており、効率的なONUの省電力にはUNIを含めたONUの省電力技術が必要とされてきた。
【0026】
すなわち、接続に遅延の発生する通信システムはシステム全体の通信速度が抑制され、また、遅延が発生している間に各装置が消費する電力は不要である。
【0027】
本発明は上述した点に鑑みてなされたもので、通信回線を介してデータを通信する通信装置において、光インターフェイス側とUNI側を連携させ、OLTとユーザ端末の間の通信の確立の遅延を考慮して消費電力を制御する通信装置、通信システムおよび電力制御方法を提供することを目的とする。
【0028】
また、本発明は、動的なShedding動作による省電力機能を具備したONUを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0029】
上記の目的を達成するため本発明の通信装置は、ネットワーク装置と端末装置との間に設置される通信装置であって、端末装置との通信を行う端末接続手段と、ネットワーク装置との通信を行う通信インターフェイス手段と、通信インターフェイス手段と端末接続手段との間でのデータの中継とネットワーク装置および端末装置との通信の制御を行うアクセス制御手段と、アクセス制御手段に接続され端末接続手段に対する電源供給を制御する第一の電源制御手段とを備え、第一の電源制御手段は端末装置と通信を行うことが可能な起動状態と端末装置と通信を行なわない低電力駆動状態とを含む複数の動作状態のうちの一つの動作状態に端末接続手段を設定し、第一の電源制御手段は低電力駆動状態にある端末接続手段を通信インターフェイス手段とネットワーク装置との通信が行われるタイミングに基づいて起動状態に移行するよう電源制御を行うことを特徴とする。
【0030】
また、本発明の通信システムは、ネットワーク装置と端末装置との間に設置される通信装置を含む通信システムであって、通信装置は端末装置との通信を行う端末接続手段と、ネットワーク装置との通信を行う通信インターフェイス手段と、通信インターフェイス手段と端末接続手段との間でのデータの中継とネットワーク装置および端末装置との通信の制御を行うアクセス制御手段と、アクセス制御手段に接続され端末接続手段に対する電源供給を制御する第一の電源制御手段とを備え、第一の電源制御手段は端末装置と通信を行うことが可能な起動状態と端末装置と通信を行なわない低電力駆動状態とを含む複数の動作状態のうちの一つの動作状態に端末接続手段を設定し、第一の電源制御手段は低電力駆動状態にある端末接続手段を通信インターフェイス手段とネットワーク装置との通信が行われるタイミングに基づいて起動状態に移行するよう電源制御を行い、アクセス制御手段は端末接続手段が起動状態および低電力駆動状態のいずれの動作状態にあるかをネットワーク装置に通知する通知手段を備え、ネットワーク装置が端末接続手段のうち低電力駆動状態にある端末接続手段に宛てた情報を送信する場合には該端末接続手段を起動状態へ移行するよう電源制御が行われネットワーク装置と該端末接続手段に接続される端末装置との情報の送受信が可能になるまで情報の送信が見送られることを特徴とする。
【0031】
さらに、本発明の電力制御方法は、ネットワーク装置と端末装置との間に設置されデータを中継して通信の制御を行い端末装置との通信を行う端末接続手段とネットワーク装置との通信を行う通信インターフェイス手段とを含む通信装置の消費電力の制御方法であって、端末装置と通信を行うことが可能な起動状態と端末装置と通信を行わない低電力駆動状態とを含む複数の動作状態のうちの一つの動作状態に端末接続手段を設定するステップと、低電力駆動状態にある端末接続手段を通信インターフェイス手段とネットワーク装置との通信が行われるタイミングに基づいて起動状態に移行するよう電源制御を行うステップとを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、Shedding動作によるONUの省電力化を図ることができる。
【0033】
さらに、OLTとONUの通信タイミングとUNIの起動タイミングを一致させることで、ONUが省電力動作中であってもOLTからONUを介したユーザ端末までの通信が可能となる
さらに、OLTまたはユーザ端末からのいずれかまたは両方の通信要求を検知し、その結果に応じたUNIの動作状態を取ることが可能となる。
【0034】
さらに、UNIだけでなく光IFの省電力化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の第1の実施形態による通信システムおよびONUの構成を示す。
【図2】本発明の第1の実施形態によるONU内のLSIの構成を示す。
【図3】本発明の第1の実施形態によるUNIの電源制御動作例を示す。
【図4】本発明の第1の実施形態によるOLTからのONU復帰の動作を示す。
【図5】本発明の第1の実施形態によるユーザ端末からのONU復帰の動作を示す。
【図6】本発明の第2の実施形態による通信システムおよびONUの構成を示す。
【図7】本発明の第2の実施形態によるONU内のLSIの構成を示す。
【図8】本発明の第2の実施形態によるUNIおよび光IFの電源制御動作例を示す。
【図9】本発明の第2の実施形態によるOLTからのONU復帰の動作を示す。
【図10】本発明の第2の実施形態によるユーザ端末からのONU復帰の動作を示す。
【図11】本発明の第3の実施形態によるUNI電源制御動作例を示す。
【図12】本発明の第3の実施形態によるUNIおよび光IFの電源制御動作例を示す。
【図13】本発明の第3の実施形態によるUNIおよび光IFの動作を示す。
【図14】本発明の第5の実施形態による通信システムおよびONUの構成を示す。
【図15】関連技術における方式の動作による接続遅延を示す。
【図16】IEEE802.3azで規定されるQuiet動作時間T_qとReference動作時間T_rとの対応の一例を示す。
【図17】本発明の第4の実施形態によるOLTへのUNI状態通知内容を示す。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本発明の実施形態を図に基づいて説明する。ただし本発明は以下に示す実施形態に限定されない。
【0037】
(第1の実施形態)
(構成)
本発明の第1の実施形態に係るネットワークの構成の一例およびONUの構成の一例を図1及び図2に示す。
【0038】
図1に示されるように、本実施形態に係るネットワークにおいてPONの宅側装置としてのONU100が局側装置としてのOLT200と光ファイバ300及び光スプリッタ500を介して接続される。ONU100には、複数のユーザ端末400−1〜400−3が接続される。ただし、ユーザ端末の数は3に限定されない。
【0039】
本実施形態に係るONU100は、LSI110、光インターフェイス(IF)120、カプラ130、複数のUNI140−1〜140−3、及びUNI電源制御部150を含む。
【0040】
図2に示されるように、LSI110は、PON−PHY(Physical layer)111、PON−MAC112、UNI−MAC113、UNI−PHY114、及びスケジューリング部115を含む。
【0041】
LSI110は、OLT200との通信に用いる送信フレームを生成し、OLT200から受信した受信フレームを処理する。さらに、LSI110は、OLT200からの制御信号に従い送信タイミングを制御するとともに、PON側ネットワークとUNI側ネットワークのデータの仲介手段としても動作する。また、LSI100はスケジューリング部115によりUNI電源制御部150による電源制御のタイミング制御も行う。
【0042】
LSI110は、LSI110が備える機能ブロックにそれぞれ対応する複数のLSIで構成しても良いし、全ての機能を1つのLSIで構成しても良い。
【0043】
光IF120は、光送信器(Tx)121と光受信器(Rx)122を含む。光送信器(Tx)121は、LSI110により生成された送信フレームを光信号に変換して送信する。光受信器(Rx)122は、OLT200から受信した光信号を電気信号に変換してLSI110に供給する。
【0044】
カプラ130は、送信信号と受信信号の経路を分ける。
【0045】
複数のUNI140−1〜3には、複数のユーザ端末400−1〜3がそれぞれ接続され、ユーザ端末400−1〜3とONU100との間の通信を行う。
【0046】
UNI電源制御部150は、LSI110からのスケジューリング情報を元に複数のUNI140−1〜3への電源供給の有無を制御する。
【0047】
UNI140のそれぞれは、UNI電源制御部150の制御によりユーザ端末400との通信が可能な起動状態と通信を行わない低電力状態の2つの状態をとる。
【0048】
UNI電源制御部150は、ONU100とOLT200の間で定められるタイミング情報をLSI110を介して取得し、該タイミング情報に従ってUNI140−1〜3の電源を制御する。
【0049】
(動作)
次に、本実施形態に係るネットワークおよびONUの動作を図1乃至3を参照して説明する。
【0050】
複数のユーザ端末400−1〜3の少なくとも1つが通信中である場合、通信中のユーザ端末が接続されているUNIおよび光IF120は低電力状態にはならない。そのため、複数のUNI140−1〜3のうち接続されるユーザ端末が使用されないもののみを低電力状態にする。
【0051】
この動作により、Shedding動作によるONUの省電力化を図ることができる。
【0052】
通常、PONにおいては、OLT200から定期的に送信されるGate信号に含まれる上り信号送信タイミング指示に応じて、ONU100が要求する帯域の申告や上りトラフィックを含む上り信号が送信される。
【0053】
図3は、本実施形態に係るONU100におけるUNI140−1〜3の電源制御の動作を示す。
【0054】
初期状態として、OLT200および複数のユーザ端末400のいずれからも通信要求がなく、複数のUNI140−1〜3は低電力状態になっている(ステップS101)。
【0055】
OLT200はONU100へ帯域要求の有無を確認するGate信号を送信し、ONU100はGate信号を受信する(ステップS102)。
【0056】
LSI110は、Gate信号を受信してUNI電源制御部150を介してUNI140−1〜3を起動状態に移行する指示を出す(ステップS103)。
【0057】
LSI110は、OLT200からのGate信号の中にOLT200が複数のユーザ端末400のいずれとの通信を要求するのかとの判定(ステップS104)と、UNI140−1〜3のいずれがOLT200との通信を要求するのかとの判定(ステップS105)を行う。LSI110は、いずれか一方または両方からの通信要求があれば、OLT200に通信要求の信号を送信し通常のPON動作へ移行させる(ステップS106)。
【0058】
ステップS104およびステップS105の判定でOLT200と複数のユーザ端末400−1〜3とのいずれからも通信要求がなければ、OLT200と低電力状態への移行手続きを行い(ステップS107)、UNI140を低電力状態へ移行させる(ステップS101)。
【0059】
ステップS104からステップS107の動作によりOLT200またはユーザ端末400からのいずれかまたは両方からの通信要求が検知され、その検知結果に応じてUNI140の動作状態が移行する。
【0060】
この際に、LSI110の一部の機能を停止させても良い。
【0061】
ステップS102およびステップS107で用いるOLT200とONU100とのシグナリングには、IEEE P1904.1(Service Interoperability in Ethernet Passive Optical Networks: SIEPON) Draft1.0 clause10またはITU−Tで規定される拡張OAMメッセージを用いても良い。
【0062】
ステップS107におけるOLT200へのReport送信からステップS101におけるUNI140の低電力状態への移行までの時間を設定すれば、OLT200からONU100を介したUNI140までの動作のタイミング制御がOLT200に集約される。これにより、ONU200のタイミング制御機能が簡単化される。また、OLT200とONU100との通信タイミングとUNI140の起動タイミングとを一致させると、ONU100が省電力動作中であってもOLT200からONU100を介したユーザ端末400までの通信が可能となる。
【0063】
以上の動作において、UNI電源制御部150は、PON−MAC112およびUNI−MAC113から通信要求の有無と送受信タイミング、低電力状態への移行の許可の情報を得て、該情報に従ってUNI140−1〜3の電源供給を制御する。
【0064】
次に、OLT200からONU100に通信要求が発生した場合の動作について図4を参照して説明する。
【0065】
OLT200は、通信要求が発生した直後のONU100との通信での下り信号においてONU100への起動指示を含むGate信号を送信する。
【0066】
LSI110は起動指示を含むGate信号を受信すると、UNI電源制御部150を介してこの時点以降は低電力状態に移行せず接続を維持する指示を出す。
【0067】
ONU100は通信機能が起動状態になり、ユーザ端末400までの接続が確立したとの通知を含むReport信号をOLT200に送信する。
【0068】
OLT200はONU100が起動状態になったことを確認すると、通常のPONの運用と同様の方法でONU100との通信を開始しONU100の復帰が完了する。
【0069】
次に、ユーザ端末側からの通信要求が発生した場合について図5を参照して説明する。
【0070】
ユーザ端末400が通信要求を行った場合、ユーザ端末400はUNI140が起動状態に移行するまで通信要求を含む信号を送り続ける。
【0071】
通信要求が発生した直後のOLT200からのGate信号を受けUNI140が起動状態となると、LSI110がユーザ端末400から通信要求があることを検知する。
【0072】
LSI110は、OLT200との通信要求を含むReport信号を送信し帯域割当を要求すると同時に、UNI電源制御部150を介してこの時点以降は低電力状態に移行せずユーザ端末400−1〜3との接続を維持する指示を出す。
【0073】
OLT200は、ONU100からの通信要求に従い帯域を割り当てONU100の復帰が完了する。
【0074】
以上、本発明の第1の実施形態によれば、ONU100がOLT200と通信を行うたびにUNI140が起動し、OLT200からONU100を介したユーザ端末400までの通信経路が確立するONUの省電力方式が提供される。
【0075】
(第2の実施形態)
(構成)
本発明の第2の実施形態によるネットワーク構成およびONUの構成について図6および図7を参照して説明する。
【0076】
本実施形態に係るONU100は、第1の実施形態に係るONU100に光IF電源制御部160をさらに備える。この他の構成要素は第1の実施形態に係るネットワーク構成と同様であるので、同じ参照番号を付して説明を省略する。
【0077】
光IF電源制御部160は、LSI110からのスケジューリング情報を元に光IF120への電源供給の有無を制御する。
【0078】
光IF120は、光IF電源制御部160の制御に従ってOLT200との通信が可能な起動状態と、通信を行わない低電力状態の2つの状態をとる。
【0079】
(動作)
本実施形態に係るネットワークにおいては、OLT200とONU100の間に一定時間以上通信要求がない場合すなわちOLT200および複数のユーザ端末のいずれからも一定時間以上通信要求がない場合に、ONU100はSleepモードに移行しONU100の消費電力を低減する。Sleepモード中は、ある時間(T_sleep)だけ光IF120は低電力状態になった後再び起動状態になり、ONU100およびOLT200の間の通信要求の有無を確認する。ONU100の光IF120は起動状態になり、OLT200に対して最小限の信号(Gate,Report)の送受信を行った後双方からの通信要求がなければ、再び所定の時間T_sleepだけ低電力状態に移行する。また、複数のUNI140のうち使用していない(トラフィックがない)ものを低電力状態にする。
【0080】
次に本実施形態によるネットワークおよびONU100の動作を図面を参照して説明する。
【0081】
図8は、本実施形態に係るONU100におけるUNI140−1〜3および光IF120の電源制御の動作を示す。
【0082】
初期状態としてOLT200および複数のユーザ端末400のいずれからも通信要求がなく複数のUNI140−1〜3および光IF120は低電力状態になっている(ステップS201)。
【0083】
LSI110は、予め設定された低電力動作時間T_sleepが経過する(ステップS202)と、UNI電源制御部150および光IF電源制御部160を介して光IF120および複数のUNI140−1〜3を起動状態に移行する指示を出す(ステップS203)。
【0084】
OLT200はONU100へ帯域要求の有無を確認するGate信号を送信しONU100がGate信号を受信する(ステップS204)。
【0085】
LSI110は、OLT200からのGate信号の中にOLT200が複数のユーザ端末400のいずれとの通信を要求するのかとの判定(ステップS205)と、UNI140−1〜3のいずれがOLT200との通信を要求するのかとの判定(ステップS206)を行う。LSI110は、いずれか一方または両方からの通信要求があれば、OLT200に通信要求の信号を送信し通常のPON動作へ移行させる(ステップS207)。
【0086】
ステップS205およびステップS205の判定でOLT200と複数のユーザ端末400−1〜3のいずれからも通信要求がなければ、OLT200と低電力状態への移行手続きを行い(ステップS208)、UNI140−1〜3および光IF120を省電力状態へ移行させる(ステップS201)。
【0087】
この際にLSI110の一部の機能を停止させても良い。
【0088】
ステップS204およびステップS208で用いるOLT200とONU100とのシグナリングメッセージにはIEEE P1904.1(Service Interoperability in Ethernet Passive Optical Networks: SIEPON) Draft1.0 clause10またはITU−Tで規定される拡張OAMメッセージを用いても良い。
【0089】
以上の動作においてUNI電源制御部150および光IF電源制御部160はPON−MAC112およびUNI−MAC113から通信要求の有無と送受信タイミング、低電力状態への移行の許可の情報を得て、この情報に従って同期してUNI140−1〜3および光IF120の電源供給を制御する。
【0090】
光IF120を低電力状態とする時間T_sleepは、本発明が用いられるネットワークで定められる固定値でも良いし、ONU100が低電力状態となるたびにOLT200との低電力状態への移行手続き(ステップS208)の中で定められる可変値でも良い。
【0091】
T_sleepが固定値である場合は、一般にCyclic−sleepモードと呼ばれる。
【0092】
また、光IF120を低電力状態とする際には光送信器Tx121と光受信器Rx122の両方またはいずれか一方のみを低電力状態としても良い。
【0093】
本実施形態によれば、第1の実施形態の効果に加えUNI140だけでなく光IF120の省電力化を図ることができ、ONU100の消費電力をさらに低減することができる。また、T_sleepを固定値とすることによりITU−Tで議論されているCyclic−sleepモードに適応可能である。
【0094】
ここで、例えば他ユーザからのIP電話の着呼のようにOLT200からONU100に通信要求が発生した場合について図9を参照して説明する。
【0095】
OLT200は、通信要求が発生した直後のONU100との通信での下り信号においてONU100への起動指示を含むGate信号を送信する。
【0096】
LSI110は起動指示を含むGate信号を受信すると、光IF電源制御部160およびUNI電源制御部150を介してこの時点以降は低電力状態に移行せず接続を維持する指示を出す。
【0097】
ONU100は通信機能が起動状態(Active)となり、ユーザ端末400までの接続が確立したとの通知を含むReport信号をOLT200に送信する。
【0098】
OLT200はONU100が起動状態になったことを確認すると、通常のPONの運用と同様の方法でONU100と通信を開始しONU100の復帰が完了する。
【0099】
次に、ユーザ端末側からの通信要求が発生した場合について図10を参照して説明する。
【0100】
ユーザ端末400が通信要求を行った場合、ユーザ端末400はUNI140が起動状態に移行するまで通信要求を含む信号を送り続ける。
【0101】
通信要求が発生した直後のOLT200からのGate信号の送信タイミングにあわせて光IF120及びUNI140が起動状態に移行すると、LSI110がユーザ端末400から通信要求があることを検知する。
【0102】
LSI110は、OLT200との通信要求を含むReport信号を送信し、帯域割当を要求すると同時に光IF電源制御部160およびUNI電源制御部150を介してこの時点以降は低電力状態に移行せず接続を維持する指示を出す。
【0103】
OLT200は、ONU100からの通信要求に従い帯域を割り当て、ONU100の復帰が完了する。
【0104】
以上、本発明の第2の実施形態によれば、第1の実施形態の効果に加え光IFの省電力化が可能になりONU全体の消費電力がさらに低減される。
【0105】
(第3の実施形態)
第1および第2の実施形態では、ONU100とOLT200により定められるタイミングでUNI140−1〜3が低電力状態及び起動状態のいずれかの状態に移行する。
【0106】
UNI140−1〜3の一部または全部が低電力状態である間に低電力状態に移行しているUNI140に接続されるユーザ端末400宛のデータを含む下り信号がOLT200から送信される場合には、ONU100でフレームをバッファリングする必要がある。その場合では、UNI140−1〜3の起動に時間がかかるとバッファの浪費またはOLT200からの下り信号のフレームが破棄されるという問題が発生する。
【0107】
そのため、本実施形態ではUNI140−1〜3の動作状態が遷移するタイミングにあわせてONU100とOLT200の通信タイミングを設定することを特徴とする。
【0108】
(動作)
図11は、本実施形態によるONU100のUNI140−1〜3および光IF120の電源制御の動作を示す。
【0109】
初期状態として、OLT200および複数のユーザ端末400のいずれからも通信要求がなく複数のUNI140−1〜3の全部または一部は低電力状態となっている(ステップS301)。
【0110】
LSI110は、予め設定された低電力動作時間T_sheddingが経過する(ステップS302)と、UNI電源制御部150を介してUNI140−1〜3を起動状態に移行する指示を出す(ステップS303)。
【0111】
OLT200はONU100へ帯域要求の有無を確認するGate信号を送信し、ONU100がGate信号を受信する(ステップS304)。
【0112】
LSI110は、OLT200からのGate信号の中にOLT200が複数のユーザ端末400のいずれとの通信を要求するのかとの判定(ステップS305)と、UNI140−1〜3のいずれがOLT200との通信を要求するのかとの判定(ステップS306)を行う。LSI110は、いずれか一方または両方からの通信要求があれば、OLT200に通信要求の信号を送信し通常のPON動作へ移行させる(ステップS307)。
【0113】
ステップS305およびステップS306の判定でOLT200と複数のユーザ端末400−1〜3のいずれからも通信要求がなければOLT200と低電力状態への移行手続きを行い(ステップS308)、UNIを省電力状態へ移行させる(ステップS301)。
【0114】
ONU100は、低電力状態への移行手続きの際にONU100と複数のユーザ端末400の間で設定されるT_sheddingをOLT200に通知する。OLT200は、ONU100のUNI140−1〜3が省電力状態となってから時間T_sheddingが経過した後にGate信号を送信する。
【0115】
以上の動作において、図12に示すようにOLT200との低電力状態への移行手続き(ステップS408)の後、所定の時間T_sheddingが経過する間だけ光IF120を低電力状態にしても良い。
【0116】
またその際には、低電力状態への移行手続き(ステップS408)においてT_sheddingの値をT_sleepとしてOLT200に申告しても良い。
【0117】
次に、本実施形態のより具体的な例としてUNI140がIEEE802.3az−2010 Energy Efficient Ethernet(EEE)規格のインターフェイスであった場合のT_sheddingおよびT_sleepの決定方法を説明する。
【0118】
EEEでは、Ethernetポートの省電力化のためLow−Power Idle(LPI)モードが規定されている。
【0119】
本実施形態に係るONU100は、第1および第2の実施形態に記載の動作に加え、UNI140−1〜3がEEE規格のインターフェイスのように定期的に低電力状態と起動状態を繰り返すインターフェイスであった場合に光IF120が低電力状態となる時間T_sleepをその周期と一致させることができる。
【0120】
一例として、本実施形態によるT_sleepの決定方法をUNIがEEE規格であった場合を例に説明する。
【0121】
LPIモードでは、信号を送信せず低電力状態となるQuiet動作(T_q)と接続を確認するRefresh動作(T_r)を周期的に行う。それぞれの動作時間はインターフェイスの規格別に図16に示すように定められている。
【0122】
本実施形態によるONU100では、EEE標準のUNI140−1〜3と光IF120の起動状態および低電力状態のタイミングを同期させるため図13に示すように光IF120の低電力時間T_sleepを、
T_sleep=T_shedding=T_q+(T_q+T_r)×N (式1)
とすることを特徴とする。
【0123】
ただし(式1)中のNは自然数である。
【0124】
本実施形態によれば、例えばIEEE802.3az(EEE)規格UNIのような周期的に低電力状態と起動状態を繰り返すUNIを具備するONUに本発明を適用した場合にもONUの消費電力が低減する。
【0125】
(第4の実施形態)
本実施形態に係る通信システムは、LSI110がUNI監視機能を備え、Report信号にUNI状態通知を付加してOLT200へ送信することを特徴とする。
【0126】
LSI110は、UNI140に新たなユーザ端末400が接続されると低電力状態に移行するユーザ端末かどうかを判定しUNI番号を参照して低電力状態の有無を決定する。
【0127】
ONU100がOLT200から送信されたGate信号を受信しONU100からOLT200へReport送信を行う際には、例えば図17のようにUNI番号に関連付けたUNI動作状態情報を付加して送信する。
【0128】
OLT200は、ONU100に下り信号を送る際に下り信号が低電力状態のUNI宛のデータを含めば第1または第2の実施形態に示す手順でUNI140−1〜3および光IF120の復帰手続きを行いOLT200からユーザ端末までの通信経路が確保されてからデータを送信する。一方、下り信号が起動状態であるUNI宛のデータを含めばUNI140−1〜3および光IF120復帰手続きを省いてすぐにデータ送信が開始する。
【0129】
以上、本発明の第4の実施形態によればユーザ端末400の状態に応じて適切な低電力状態への移行指示を行い低電力状態のユーザ端末宛のデータによるONU100とOLT200の間の帯域或いはバッファの浪費が低減される。
【0130】
(第5の実施形態)
本実施形態に係る通信システムは、図14に示すように光IF120が波長可変光送信器Tx123と波長可変光受信器Rx124とを含むことを特徴とする。
【0131】
この構成により本発明による通信装置を波長分割多重技術に対応させることができる。
【0132】
本実施形態は、ネットワークの状況に応じて使用する光信号波長が変化する通信システムに本発明によるONUを適用した例である。このようなPONシステムは一般的にWavelength Division Multiplex−PON (WDM−PON)と呼ばれる。
【0133】
WDM−PONでは、OLT200が複数波長の光源と複数波長の光受信器(Rx)を備える。WDM−PONは波長分割多重技術を用いて送受信することでONUあたりの帯域や収容可能ONU数を増加させることができる通信システムである。
【0134】
また、WDM−PONには1つの波長を1つのONUにのみ割り当てる方式と1つの波長をTDM技術によって複数のONUに割り当てる方式がある。
【0135】
本発明によるONUが後者の方式のWDM−PONに用いられる場合、第1の実施形態または第2の実施形態で示した動作が適用できる。
【0136】
その際に、低電力状態への移行手続き(ステップS107,ステップS208)において起動後の波長の設定をONU100とOLT200との間で決定しても良い。
【0137】
一方、本発明によるONUが前者の方式のWDM−PONに用いられる場合、1つのOLTに接続される他のONUとの上り信号が衝突することが無いためONU100は、OLT200からのタイミング制御を受けることなく上り信号を送信することができる。
【0138】
その際には、第3の実施形態で示したようにOLT200の下り信号送信タイミングをShedding動作に合わせて設定することができる。
【0139】
以上の実施形態に加えて、光IFの送受信方式の変更によりさまざまな種類の次世代光アクセス技術においてUNIおよび光IFの省電力化を図ることができる。
【0140】
以上、5つの実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記各実施形態に限定されない。本発明の構成や詳細については当業者が理解し得るさまざまな変更を加えることができる。また、本発明には上記各実施形態の構成の一部又は全部を相互に適宜組み合わせたものも含まれる。またONU100に接続されるユーザ端末およびUNIの数を便宜上3として説明したが、本発明の範囲はこれに限定されない。
【0141】
ここで上記の実施形態の一部又は全部は以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0142】
(付記1)ネットワーク装置と端末装置との間に設置される通信装置であって、前記端末装置との通信を行う端末接続手段と、前記ネットワーク装置との通信を行う通信インターフェイス手段と、前記通信インターフェイス手段と前記端末接続手段との間でのデータの中継と前記ネットワーク装置および前記端末装置との通信の制御を行うアクセス制御手段と、前記アクセス制御手段に接続され前記端末接続手段に対する電源供給を制御する第一の電源制御手段とを備え、前記第一の電源制御手段は前記端末装置と通信を行うことが可能な起動状態と前記端末装置と通信を行なわない低電力駆動状態とを含む複数の動作状態のうちの一つの動作状態に前記端末接続手段を設定し、前記第一の電源制御手段は低電力駆動状態にある前記端末接続手段を前記通信インターフェイス手段と前記ネットワーク装置との通信が行われるタイミングに基づいて起動状態に移行するよう電源制御を行うことを特徴とする通信装置。
【0143】
(付記2)前記アクセス制御手段は、前記端末接続手段が起動状態である間に前記ネットワーク装置と前記端末装置の少なくとも一つからの通信要求の有無を判定し、前記第一の電源制御手段は前記ネットワーク装置と前記端末装置の少なくとも一つからの通信要求がある場合は前記端末接続手段の起動状態を維持するよう電源制御を行い、前記通信要求がない場合は前記端末接続手段を低電力駆動状態に移行するよう電源制御を行うことを特徴とする付記1に記載の通信装置。
【0144】
(付記3)前記アクセス制御手段に接続され前記通信インターフェイス手段に対する電源供給を制御する第二の電源制御手段をさらに備え、前記第二の電源制御手段は前記ネットワーク装置と通信を行うことが可能な起動状態と前記ネットワーク装置と通信を行わない低電力駆動状態とを含む複数の動作状態のうちの一つの動作状態に前記通信インターフェイス手段を設定し、前記第二の電源制御手段は前記第一の電源制御手段の動作と同期して低電力駆動状態にある前記通信インターフェイス手段を前記通信インターフェイス手段と前記ネットワーク装置との通信が行われるタイミングに基づいて起動状態に移行するよう電源制御を行うことを特徴とする付記1または2に記載の通信装置。
【0145】
(付記4)前記第一の電源制御手段が前記端末接続手段の電源制御を行うタイミングと前記第二の電源制御手段が前記通信インターフェイス手段の電源制御を行うタイミングがそれぞれ前記ネットワーク装置から指定されるスケジューリング情報を基にして定められることを特徴とする付記1乃至3に記載の通信装置。
【0146】
(付記5)前記通信装置と前記ネットワーク装置との通信タイミングおよび前記通信インターフェイス手段を起動状態または低電力駆動状態とするタイミングが前記端末接続手段と前記端末装置との間の通信タイミングに基づいて定められることを特徴とする付記1乃至4に記載の通信装置。
【0147】
(付記6)前記端末接続手段及び前記通信インターフェイス手段の少なくとも一つにおいて起動状態と低電力駆動状態とは所定の周期で反復することを特徴とする付記1乃至5に記載の通信装置。
【0148】
(付記7)前記端末接続手段が低電力駆動状態になっている間前記端末接続手段が前記端末装置に信号を送信しない第一の時間T1と接続確認の信号を送信する第二の時間T2とが周期的に繰り返されることを特徴とする付記1乃至6に記載の通信装置。
【0149】
(付記8)前記通信インターフェイス手段が低電力駆動状態となる時間T3が前記第一の時間T1と前記第二の時間T2と任意の自然数Nから求められ、
T3=T1+(T1+T2)×N
となることを特徴とする付記7に記載の通信装置。
【0150】
(付記9)前記通信インターフェイス手段が送信および受信に用いる光信号の波長を変更することのできる波長可変送受信機であることを特徴とする付記1乃至8に記載の通信装置。
【0151】
(付記10)付記1乃至9に記載の通信装置を含む通信システムであって、前記アクセス制御手段は前記端末接続手段が起動状態および低電力駆動状態のいずれの動作状態にあるかを前記ネットワーク装置に通知する通知手段を備え、前記ネットワーク装置が前記端末接続手段のうち低電力駆動状態にある端末接続手段に宛てた情報を送信する場合には該端末接続手段を起動状態へ移行するよう電源制御が行われ、前記ネットワーク装置と該端末接続手段に接続される端末装置との情報の送受信が可能になるまで前記情報の送信が見送られることを特徴とする通信システム。
【0152】
(付記11)前記ネットワーク装置が局舎装置であり、前記ネットワーク装置と前記通信装置の間が光伝送路で接続され、前記通信インターフェイス手段が光送受信機であることを特徴とする付記10に記載の通信システム。
【0153】
(付記12)ネットワーク装置と端末装置との間に設置されデータを中継して通信の制御を行い前記端末装置との通信を行う端末接続手段と前記ネットワーク装置との通信を行う通信インターフェイス手段とを含む通信装置の消費電力の制御方法であって、前記端末装置と通信を行うことが可能な起動状態と前記端末装置と通信を行わない低電力駆動状態とを含む複数の動作状態のうちの一つの動作状態に前記端末接続手段を設定するステップと、低電力駆動状態にある前記端末接続手段を前記通信インターフェイス手段と前記ネットワーク装置との通信が行われるタイミングに基づいて起動状態に移行するよう電源制御を行うステップとを含むことを特徴とする電力制御方法。
【0154】
(付記13)前記端末接続手段が起動状態である間に前記ネットワーク装置と前記端末装置の少なくとも一つからの通信要求の有無を判定するステップと、前記ネットワーク装置と前記端末装置の少なくとも一つからの通信要求がある場合は前記端末接続手段の起動状態を維持するよう電源制御を行い、前記通信要求がない場合は前記端末接続手段を低電力駆動状態に移行するよう電源制御を行うステップとをさらに含むことを特徴とする付記12に記載の電力制御方法。
【0155】
(付記14)前記ネットワーク装置と通信を行うことが可能な起動状態と前記ネットワーク装置と通信を行わない低電力駆動状態とを含む複数の動作状態のうちの一つの動作状態に前記通信インターフェイス手段を設定するステップと、前記端末接続手段の電源制御と同期して低電力駆動状態にある前記通信インターフェイス手段を前記通信インターフェイス手段と前記ネットワーク装置との通信が行われるタイミングに基づいて起動状態に移行するよう電源制御を行うステップとをさらに含むことを特徴とする付記12または13に記載の電力制御方法。
【0156】
(付記15)前記端末接続手段の電源制御を行うタイミングと前記通信インターフェイス手段の電源制御を行うタイミングをそれぞれ前記ネットワーク装置から指定されるスケジューリング情報を基にして定めるステップをさらに含むことを特徴とする付記12乃至14に記載の電力制御方法。
【0157】
(付記16)前記端末接続手段及び前記通信インターフェイス手段の少なくとも一つにおいて起動状態と低電力駆動状態とは所定の周期で反復することを特徴とする付記12乃至15に記載の電力制御方法。
【0158】
(付記17)前記端末接続手段が低電力駆動状態になっている間前記端末接続手段が前記端末装置に信号を送信しない第一の時間T1と接続確認の信号を送信する第二の時間T2とを周期的に繰り返すステップをさらに含むことを特徴とする付記12乃至16に記載の電力制御方法。
【0159】
(付記18)前記通信インターフェイス手段が低電力駆動状態となる時間T3を前記第一の時間T1と前記第二の時間T2と任意の自然数Nから求め、
T3=T1+(T1+T2)×N
とすることを特徴とする付記17に記載の電力制御方法。
【0160】
(付記19)前記通信インターフェイス手段において送信および受信に用いる光信号の波長を変更するステップをさらに含むことを特徴とする付記12乃至18に記載の電力制御方法。
【0161】
(付記20)前記端末接続手段が起動状態および低電力駆動状態のいずれの動作状態にあるかを前記ネットワーク装置に通知するステップと、前記ネットワーク装置が前記端末接続手段のうち低電力駆動状態にある端末接続手段に宛てた情報を送信する場合には該端末接続手段を起動状態へ移行するよう電源制御を行い、前記ネットワーク装置と該端末接続手段に接続される端末装置との情報の送受信が可能になるまで前記情報の送信を見送るステップとをさらに含むことを特徴とする付記12乃至19に記載の電力制御方法。
【0162】
(付記21)前記ネットワーク装置が局舎装置であり前記ネットワーク装置と前記通信装置の間が光伝送路で接続され前記通信インターフェイス手段が光送受信機であることを特徴とする付記12乃至20に記載の電力制御方法。
【産業上の利用可能性】
【0163】
本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく省電力対応ONUによるアクセスネットワークの省電力化などに好適に適用可能である。
【符号の説明】
【0164】
100 ONU
110 LSI
111 PON−PHY
112 PON−MAC
113 UNI−MAC
114 UNI−PHY
115 スケジューリング部
120 光IF
121 光送信器Tx
122 光受信器Rx
123 波長可変光送信器Tx
124 波長可変光受信器Rx
130 カプラ
140−1 UNI−1
140−2 UNI−2
140−3 UNI−3
150 UNI電源制御部
160 光IF電源制御部
200 OLT
300 光ファイバ
400 ユーザ端末
500 光スプリッタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワーク装置と端末装置との間に設置される通信装置であって、
前記端末装置との通信を行う端末接続手段と、
前記ネットワーク装置との通信を行う通信インターフェイス手段と、
前記通信インターフェイス手段と前記端末接続手段との間でのデータの中継と、前記ネットワーク装置および前記端末装置との通信の制御を行うアクセス制御手段と、
前記アクセス制御手段に接続され、前記端末接続手段に対する電源供給を制御する第一の電源制御手段と
を備え、
前記第一の電源制御手段は、前記端末装置と通信を行うことが可能な起動状態と、前記端末装置と通信を行なわない低電力駆動状態とを含む複数の動作状態のうちの一つの動作状態に、前記端末接続手段を設定し、
前記第一の電源制御手段は、低電力駆動状態にある前記端末接続手段を、前記通信インターフェイス手段と前記ネットワーク装置との通信が行われるタイミングに基づいて、起動状態に移行するよう電源制御を行う
ことを特徴とする通信装置。
【請求項2】
前記アクセス制御手段は、前記端末接続手段が起動状態である間に、前記ネットワーク装置と前記端末装置の少なくとも一つからの通信要求の有無を判定し、
前記第一の電源制御手段は、前記ネットワーク装置と前記端末装置の少なくとも一つからの通信要求がある場合は、前記端末接続手段の起動状態を維持するよう電源制御を行い、前記通信要求がない場合は、前記端末接続手段を低電力駆動状態に移行するよう電源制御を行う
ことを特徴とする、請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記アクセス制御手段に接続され、前記通信インターフェイス手段に対する電源供給を制御する第二の電源制御手段をさらに備え、
前記第二の電源制御手段は、前記ネットワーク装置と通信を行うことが可能な起動状態と、前記ネットワーク装置と通信を行わない低電力駆動状態とを含む複数の動作状態のうちの一つの動作状態に、前記通信インターフェイス手段を設定し、
前記第二の電源制御手段は、前記第一の電源制御手段の動作と同期して、低電力駆動状態にある前記通信インターフェイス手段を、前記通信インターフェイス手段と前記ネットワーク装置との通信が行われるタイミングに基づいて、起動状態に移行するよう電源制御を行う
ことを特徴とする、請求項1または2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記第一の電源制御手段が前記端末接続手段の電源制御を行うタイミングと、前記第二の電源制御手段が前記通信インターフェイス手段の電源制御を行うタイミングが、それぞれ、前記ネットワーク装置から指定されるスケジューリング情報を基にして定められる
ことを特徴とする、請求項1乃至3に記載の通信装置。
【請求項5】
前記端末接続手段及び前記通信インターフェイス手段の少なくとも一つにおいて、起動状態と低電力駆動状態とは、所定の周期で反復する
ことを特徴とする、請求項1乃至4に記載の通信装置。
【請求項6】
前記端末接続手段が低電力駆動状態になっている間、前記端末接続手段が前記端末装置に信号を送信しない第一の時間T1と、接続確認の信号を送信する第二の時間T2とが周期的に繰り返される
ことを特徴とする、請求項1乃至5に記載の通信装置。
【請求項7】
前記通信インターフェイス手段が低電力駆動状態となる時間T3が、前記第一の時間T1と、前記第二の時間T2と、任意の自然数Nから求められ、
T3=T1+(T1+T2)×N
となることを特徴とする、請求項6に記載の通信装置。
【請求項8】
前記通信インターフェイス手段が、送信および受信に用いる光信号の波長を変更することのできる波長可変送受信機であることを特徴とする、請求項1乃至7に記載の通信装置。
【請求項9】
請求項1乃至8に記載の通信装置を含む通信システムであって、
前記アクセス制御手段は、前記端末接続手段が起動状態および低電力駆動状態のいずれの動作状態にあるかを、前記ネットワーク装置に通知する通知手段を備え、
前記ネットワーク装置が前記端末接続手段のうち低電力駆動状態にある端末接続手段に宛てた情報を送信する場合には、該端末接続手段を起動状態へ移行するよう電源制御が行われ、前記ネットワーク装置と該端末接続手段に接続される端末装置との情報の送受信が可能になるまで前記情報の送信が見送られる
ことを特徴とする通信システム。
【請求項10】
ネットワーク装置と端末装置との間に設置され、データを中継して通信の制御を行い、前記端末装置との通信を行う端末接続手段と前記ネットワーク装置との通信を行う通信インターフェイス手段とを含む通信装置の消費電力の制御方法であって、
前記端末装置と通信を行うことが可能な起動状態と、前記端末装置と通信を行わない低電力駆動状態とを含む複数の動作状態のうちの一つの動作状態に、前記端末接続手段を設定するステップと、
低電力駆動状態にある前記端末接続手段を、前記通信インターフェイス手段と前記ネットワーク装置との通信が行われるタイミングに基づいて、起動状態に移行するよう電源制御を行うステップと
を含むことを特徴とする、電力制御方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate


【公開番号】特開2013−38565(P2013−38565A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−172517(P2011−172517)
【出願日】平成23年8月8日(2011.8.8)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】