説明

通信装置、通信システム

【課題】通信装置、通信システムの通信品質を向上する。
【解決手段】一つの実施形態によれば、通信装置は、基板、通信部、第一の信号線、同軸線、及び電極部が設けられる。基板には接地電極が設けられる。通信部は、基板上に設けられる。第一の信号線は、基板上に設けられ、一端が通信部に接続される。同軸線は、基板の表面側に設けられ、第二の信号線及び第三の信号線を有し、第三の信号線が誘電体を介して第二の信号線の外側に設けられ、第二の信号線の一端が第一の信号線の他端に接続され、第三の信号線の一端がビアを介して接地電極に接続される。電極部は、基準電位電極と信号電極を有し、信号電極が基準電位電極の周囲に離間配置され、基準電位電極が第三の信号線の他端に接続され、信号電極が第二の信号線の他端に接続される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、通信装置、通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
人体などの生体を介して通信データを送受信する人体通信が各方面で開発されている。人体通信では、人体を伝送路の一部として利用する通信装置には2つの電極が設置される。一つは信号線に接続された信号電極であり、もう一方は基準電位を持つ通信装置の接地電位に接続される基準電位電極である。信号電極同士は主に人体を介して結合し、基準電位電極同士は主に空間や大地を介して結合することで、通信装置は信号電極と基準電位電極の間の電位差を伝達する。
【0003】
ところが、基準電位電極の間の空間や大地を介した結合では、他のシステムからのノイズの影響、或いは近くの人体との結合により人体表面上の信号の電位変動の影響を受ける。このため、基準電位が不安定となり、通信品質が劣化してしまうという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−37566号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、通信品質を向上することができる通信装置、通信システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一つの実施形態によれば、通信装置は、基板、通信部、第一の信号線、同軸線、及び電極部が設けられ、生体と電極部の間に形成される静電結合を用いてデータ通信を行う。基板には接地電極が設けられる。通信部は、基板上に設けられる。第一の信号線は、基板上に設けられ、一端が通信部に接続される。同軸線は、基板の表面側に設けられ、第二の信号線及び第三の信号線を有し、第三の信号線が誘電体を介して第二の信号線の外側に設けられ、第二の信号線の一端が第一の信号線の他端に接続され、第三の信号線の一端がビアを介して接地電極に接続される。電極部は、基準電位電極と信号電極を有し、信号電極が基準電位電極の周囲に離間配置され、基準電位電極が第三の信号線の他端に接続され、信号電極が第二の信号線の他端に接続される。
【0007】
他の実施形態によれば、通信システムは、第一及び第二の通信装置を有し、第一及び第二の通信装置は生体により形成される電界を用いてデータ通信を行う。第一の通信装置は、第一の基板、第一の通信部、第一の信号線、第一の同軸線、及び第一の電極部が設けられる。第一の基板には、第一の接地電極が設けられる。第一の通信部は、第一の基板の第一主面上に設けられ、データを送信する。第一の信号線は、第一の基板の第一主面上に設けられ、一端が第一の通信部に接続される。第一の同軸線は、第一の基板の第一主面側に設けられ、第二の信号線及び第三の信号線を有し、第三の信号線が誘電体を介して第二の信号線の外側に設けられ、第二の信号線の一端が第一の信号線の他端に接続され、第三の信号線の一端がビアを介して第一の接地電極に接続される。第一の電極部は、第一の基準電位電極と第一の信号電極を有し、第一の信号電極が第一の基準電位電極の周囲に離間配置され、第一の基準電位電極が第三の信号線の他端に接続され、第一の信号電極が第二の信号線の他端に接続される。前記第二の通信装置は、第二の基板、第二の通信部、第四の信号線、第二の同軸線、及び第二の電極部が設けられる。第二の基板には、第二の接地電極が設けられる。第二の通信部は、第二の基板の第一主面上に設けられ、データを受信する。第四の信号線は、第二の基板の第一主面上に設けられ、一端が第二の通信部に接続される。第二の同軸線は、第二の基板の第一主面側に設けられ、第五の信号線及び第六の信号線を有し、第六の信号線が誘電体を介して第五の信号線の外側に設けられ、第五の信号線の一端が第四の信号線の他端に接続され、第六の信号線の一端がビアを介して第二の接地電極に接続される。第二の電極部は、第二の基準電位電極と第二の信号電極を有し、第二の信号電極が第二の基準電位電極の周囲に離間配置され、第二の基準電位電極が第六の信号線の他端に接続され、第二の信号電極が第五の信号線の他端に接続される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】第一の実施形態に係る通信システムの構成を示す図である。
【図2】第一の実施形態に係る通信装置の構成を示す図である。
【図3】図2のA−A線に沿う通信装置の断面図である。
【図4】電極と生体の静電結合及び信号の流れを示す図である。
【図5】信号電極での信号の受信を説明する図である。
【図6】第一の変形例の通信システムを示す図である。
【図7】第二の変形例の通信システムを示す図である。
【図8】第三の変形例の通信装置を示す図である。
【図9】第二の実施形態に係る電極部の構成を示す図である。
【図10】第三の実施形態に係る電極部の構成を示す図である。
【図11】第四の実施形態に係る通信装置の構成を示す図である。
【図12】第五の実施形態に係る電極部の構成を示す図である。
【図13】実施形態の電極と従来の電極の受信信号を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0010】
(第一の実施形態)
まず、本発明の第一の実施形態に係る通信装置、通信システムについて、図面を参照して説明する。図1は通信システムの構成を示す図である。図2は通信装置の構成を示す図である。図3は図2のA−A線に沿う断面図である。本実施形態では、通信装置の電極部の中央部に基準電位電極を設け、その周囲に信号電極を離間配置して通信品質を向上させている。
【0011】
図1に示すように、通信システム1には、通信装置100及び通信装置300が設けられる。通信システム1は、電界方式を用いて、人体などの生体を介して通信装置100と通信装置300の間をウエラブル・コンピューティング通信する。通信システム1では、例えば通信装置300の通信部304が送信部(Tx)の場合、通信部304から送信されるデータは、同軸線307、電極部310、人体などの生体30、電極部110、及び同軸線107を介して通信装置100の通信部104が受信部(Rx)となる。通信装置100の通信部104が送信部(Tx)の場合、通信装置300の通信部304が受信部(Rx)となる。
【0012】
電界方式とは、送付したい情報を人体などの生体表面に沿う電界に変化を与えて通信を行う方式である。このとき、人体などの生体が、電極に触れずに電極に手をかざしたりすることにより、電極と人体などの生体の間でデータ通信が実行される。このデータ通信での通信周波数(搬送周波数とも呼称される)は、例えば数100kHzから数十MHzの範囲である。このデータ通信での通信電力は1〜10mWであり、Bluetooth方式やZigBee方式と比較して1桁以上低消費電力化できる。
【0013】
なお、図1では、生体30として人体(人間)を考慮しているが必ずしもこれに限定されるものではない。人体の代わりに犬や猫等の動物であってもよい。
【0014】
図2に示すように、通信装置100には、基板103、通信部104、信号線105、端子106、同軸線107、電極部110、封止材111、及びビア112が設けられる。
【0015】
基板103は、誘電体部101と接地電極102から構成される。誘電体部101は、接地電極102の第一主面(表面)上に設けられる。誘電体部101は、例えば絶縁性セラミック或いは絶縁性有機物等から構成される。接地電極102は、例えば銅(Cu)或いは金(Au)などの金属層から構成される。
【0016】
通信部104は、誘電体部101の第一主面(表面)上に設けられ、データの送受信を行う。信号線105は、誘電体部101の第一主面(表面)上に設けられ、一端が通信部104に接続される。端子106は、誘電体部101の第一主面(表面)上に設けられる。同軸線107は、誘電体部101の第一主面(表面)側(具体的には、端子106上)に設けられる。
【0017】
同軸線107上には、基準電位電極108と信号電極109から構成される電極部110が設けられる。基準電位電極108は、電極部110の中央部に設けられ、四角形形状を有する(図中真上から見て)。信号電極109は、基準電位電極108の周囲に、離間配置形成され、外周部及び内周部が四角形形状を有する(図中真上から見て)。
【0018】
ここでは、基準電位電極108と信号電極109は同一平面状に形成されているが、同一曲面上に形成されてもよい。また、信号電極109の外周及び内周と基準電位電極108は、n角形形状(ただし、nは5以上の整数)、円形形状、或いは楕円形形状にしてもよい。
【0019】
通信部104、信号線105、端子106、同軸線107、及び電極部110は、封止材111で封止される。封止材111は、例えば絶縁性の樹脂封止材などが使用される。
【0020】
図3に示すように、端子106は、内側信号線21、外側信号線22、誘電体層23、及び誘電体層24から構成される。端子106の中央部には内側信号線21が設けられ、内側信号線21の周囲には誘電体層23が設けられる。外側信号線22は、誘電体層23を介して内側信号線21の周囲に設けられる。外側信号線22の周囲には誘電体層24が設けられる。内側信号線21の一端は信号線105の他端に接続される。外側信号線22の一端はビア112を介して接地電極102に接続される。
【0021】
同軸線107は、内側信号線11、外側信号線12、誘電体層13、及び誘電体層14から構成される。同軸線107の中央部には内側信号線11が設けられ、内側信号線11の周囲には誘電体層13が設けられる。外側信号線12は、誘電体層13を介して内側信号線11の周囲に設けられる。外側信号線12の周囲には誘電体層14が設けられる。内側信号線11の一端は端子106の内側信号線21の他端に接続される。外側信号線12の一端は端子106の外側信号線22の他端に接続される。
【0022】
基準電位電極108は、同軸線107上に設けられ、同軸線107の外側信号線12の他端に接続される。信号電極109は、基準電位電極108の周囲に電極間隔D1だけ離間配置形成され、同軸線107の内側信号線11の他端に接続される。信号電極109の外周長は、通信装置100が使用する通信周波数の1波長以下に設定される。
【0023】
端子106、同軸線107、及び電極部110の周囲には封止材111が設けられ、基準電位電極108及び信号電極109の第一主面(表面)上には誘電体層の厚さT1だけ封止材111が設けられる。
【0024】
ここで、封止材111の第一主面(表面)は、人体通信を行う場合、人体などの生体30の手などが接触する面、或いは手をかざした状態に相対応する面となる。電極間隔D1と誘電体層の厚さT1の関係は、
D1>T1・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・式(1)
に設定するのが好ましい。
【0025】
なお、通信装置300は、図2及び3に示す通信装置100と同様な構造を有するので説明を省略する。
【0026】
次に、通信システムでの信号の流れについて図4及び5を参照して説明する。図4は電極と生体の静電結合及び信号の流れを示す図である。図5は、信号電極での信号の受信を説明する図である。ここでは、電極部110及び310に人体などの生体30が手を触れる、或いは手をかざした状態での人体通信を行う場合である。
【0027】
図4に示すように、通信部304(Tx側)から送信されたデータ(電圧信号)は、同軸線307等を介して電極部310の信号電極309に伝送される。信号電極309に伝送された信号は、電極部310と静電結合される生体30に電圧信号として伝搬される。信号電極309の外周長は、通信装置300が使用する通信周波数の1波長以下に設定される。
【0028】
生体30では、体内で電荷の移動が発生し、受信側(Rx)の電極部100側にデータ(電圧信号)が伝搬される。
【0029】
受信側(Rx)側では、電極部110と静電結合される生体30から信号電極109にデータ(電圧信号)が伝送される。信号電極109で受信された信号は同軸線107を介して通信部104に入力される。
【0030】
図5に示すように、通信装置300が信号を送信するために、電極310によって生体30表面上の電位に変動が与えられた場合、その変動は電極110の信号電極109の外側から伝搬することになる。電位の変動は信号電極109で受信することになる。電極310によって発生した電位の変動は、信号電極109でブロックされて、信号電極109の内側に配置形成される基準電位電極108に伝搬されない。
【0031】
このため、基準電位電極108の電位は変動せずに人体などの生体30の固有の電位に設定される。基準電位電極108は、同軸線107、端子106、及びビア112を介して接地電極102の電位と同一であるので、通信装置100の基準電位も変動せずに安定化することができる。
【0032】
なお、通信部104が送信部(Tx)の場合、同様に通信装置300の基準電位電極308の電位は変動せずに人体などの生体30の固有の電位に設定される。基準電位電極308は、同軸線307、端子、及びビアを介して接地電極の電位と同一であるので、通信装置300の基準電位も変動せずに安定化することができる。
【0033】
上述したように、本実施形態の通信装置、通信システムでは、電界方式を用いて、生体30を介して通信装置100と通信装置300の間をウエラブル・コンピューティング通信する。通信装置100の電極部110は、基準電位電極108と信号電極109から構成される。基準電位電極108は電極部110の中央部に設けられ、信号電極109は基準電位電極108の周囲に、離間配置形成される。通信装置300の電極部310は、基準電位電極308と信号電極309から構成される。基準電位電極308は電極部310の中央部に設けられ、信号電極309は基準電位電極308の周囲に、離間配置形成される。通信装置100及び300では、ともに基準電位が人体などの生体30の固有の電位となるため、従来のように大地や空間を介した結合によって互いの通信装置の基準電位を共通化する必要がないので、外部システムからのノイズの影響を低減することができる。
【0034】
このため、受信感度が改善され、通信装置100、通信装置300、及び通信システム1の通信品質を大幅に向上することができる。
【0035】
図13に実施形態の電極と従来の電極の受信信号の電位測定結果を示す。実線(a)で示す実施形態の受信信号の電位は、破線(b)で示す電極部110が四角形の信号電極のみで構成される従来の受信信号の電位と比べて2倍の信号強度となっており、通信品質が向上していることが分かる。
【0036】
なお、本実施形態では、通信装置100及び300を用いたウエラブル・コンピューティング通信の一例を示したが、必ずしもこれに限定されるものではない。例えば、図6に示す通信システム1a(変形例)にも適用することができる。ここでは、生体30に装着され、例えば生体30の健康管理情報をモニターする通信装置400と通信装置100の間を人体通信によりデータ通信を行っている。通信装置400は送信部(Tx)として機能し、通信装置100は受信部(Rx)として機能する。
【0037】
また、図7に示す通信システム1b(変形例)にも適用することができる。通信システム1bでは、互いに手を結んでいる生体30a及び生体30bを介して、通信装置100と通信装置300の間を人体通信によりデータ通信を行っている。例えば、通信装置100及び300がPDA(personal digital assistant)の場合、通信装置300の通信部304(Tx)から情報が伝送され、人体通信(生体30aから生体30bへ)を介して通信装置100の通信部104(Rx)に入力されて情報が通信装置100に格納される。
【0038】
また、図8に示す通信装置100a(変形例)にも適用することができる。通信装置100aでは、筐体113を用いて、基板103、端子106、同軸線107、及び電極部110を覆っている。端子106、同軸線107、及び電極部110の周囲には、例えば空気が充填され、基準電位電極108と信号電極109の第一主面(表面)側のみ筐体113と接している。
【0039】
(第二の実施形態)
次に、本発明の第二の実施形態に係る通信装置について、図面を参照して説明する。図9は通信装置の電極部の構成を示す図である。本実施形態では、電極部の基準電位電極と信号電極をインダクタで接続している。
【0040】
図9に示すように、通信装置の電極部110aには、基準電位電極108、信号電極109、及びインダクタ601が設けられる。基準電位電極108は、電極部110aの中央部に設けられ、四角形形状を有する(図中真上から見て)。信号電極109は、基準電位電極108の周囲に、離間配置形成され、外周部及び内周部が四角形形状を有する(図中真上から見て)。インダクタ601は、一端が基準電位電極108に接続され、他端が信号電極109に接続される。
【0041】
ここで、インダクタ601の電気長L1、人体通信を行う通信装置が使用する通信周波数(搬送周波数とも呼称される)の波長λ1の関係は、
L1=λ1/4・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・式(2)
に設定している。この設定により、インダクタ601がチョーク素子として機能し、基準電位電極108と信号電極109の間のアイソレーション特性を第一の実施形態よりも高くすることができる。
【0042】
上述したように、本実施形態の通信装置では、電極部110aに、一端が基準電位電極108に接続され、他端が信号電極109に接続されるインダクタ601が設けられる。インダクタ601の電気長は、通信装置が使用する通信周波数の波長の(1/4)に設定される。
【0043】
このため、基準電位電極108と信号電極109の間のアイソレーション特性が向上し、通信装置の通信品質を大幅に向上することができる。
【0044】
(第三の実施形態)
次に、本発明の第三の実施形態に係る通信装置について、図面を参照して説明する。図10は通信装置の電極部の構成を示す図である。本実施形態では、信号電極の電極幅を一定な値に設定している。
【0045】
図10に示すように、通信装置の電極部110bには、基準電位電極108と信号電極109が設けられる。基準電位電極108は、電極部110aの中央部に設けられ、四角形形状を有する(図中真上から見て)。信号電極109は、基準電位電極108の周囲に、電極間隔D1だけ離間配置形成され、外周部及び内周部が四角形形状を有する(図中真上から見て)。信号電極109は、左右及び上下方向の寸法が一定な幅である電極幅W1に設定される。
【0046】
人体通信を行う通信装置では、使用者(生体30)が異なれば、生体30と電極部110bとの接触状態が異なる。例えば、使用者(生体30)によっては信号電極109の一部が接触しない場合が発生する。この場合、信号電極109と使用者(生体30)の間隔に狭い箇所と広い箇所があると接触した場所によって信号の受信感度に大きな差異が発生することになる。その結果、使用者(生体30)の通信装置の持ちかたによって特定の使用者(生体30)ではデータ通信を実行できない場合が発生する。
【0047】
本実施形態では、信号電極109を基準電位電極108に対して電極間隔D1だけ離間配置形成し、左右及び上下方向の寸法が一定な幅である電極幅W1に設定している。
【0048】
このため、触れた場所による信号受信感度の差を小さくし、持ち方や使用者の違いによらず一定した通信性能を確保することができる。
【0049】
(第四の実施形態)
次に、本発明の第四の実施形態に係る通信装置について、図面を参照して説明する。図11は通信装置の構成を示す図である。本実施形態では、電極部の面積を接地電極の面積よりも大きくし、接地電極が生体表面と対面しないようにしている。
【0050】
以下、第一の実施形態と同一構成部分には、同一符号を付してその部分の説明を省略し、異なる部分のみ説明する。
【0051】
図11に示すように、通信装置100bには、基板103、通信部104、信号線105、端子106、同軸線107、電極部110c、封止材111a、及びビア112が設けられる。
【0052】
同軸線107上には、基準電位電極108aと信号電極109aから構成される電極部110cが設けられる。電極部110cの面積は、基板103の面積よりも大きく設定される。基板103の接地電極102は、人体などの生体30の表面と対面しない構成となっている。
【0053】
基準電位電極108aは、電極部110cの中央部に設けられ、四角形形状を有する(図中真上から見て)。信号電極109aは、基準電位電極108aの周囲に、離間配置形成され、外周部及び内周部が四角形形状を有する(図中真上から見て)。ここでは、基準電位電極108aと信号電極109aは同一平面状に形成されているが、同一曲面上に形成されてもよい。
【0054】
基板103、通信部104、信号線105、端子106、同軸線107、及び電極部110cは、周囲を封止材111aで封止される。基板103の接地電極102は、底面部が封止材111cで封止されずに露呈される。
【0055】
ここで、接地電極102が電極部100bの面積より大きくなり、人体などの生体30の表面と対面すると、生体30と静電結合して接地電極102で信号を受信する可能性が生じる。この場合、通信装置100bの基準電位が不安定になり、受信感度が劣化してしまう。
【0056】
本実施形態の通信装置では、接地電極102が人体などの生体30の表面と対面しないので、接地電極102が信号を受信することは無く、通信装置100の基準電位が安定し、受信感度が向上する。このため、通信装置100bの通信品質を大幅に向上することができる。
【0057】
(第五の実施形態)
次に、本発明の第五の実施形態に係る通信装置について、図面を参照して説明する。図12は通信装置の電極部の構成を示す図である。本実施形態では、電極部の信号電極に切り込み部を設けている。
【0058】
図12に示すように、通信装置の電極部110dには、基準電位電極108と信号電極109bが設けられる。基準電位電極108は、電極部110dの中央部に設けられ、四角形形状を有する(図中真上から見て)。信号電極109bは、基準電位電極108の周囲に、離間配置形成され、図中左側に切り込み幅Wkを有する切込み部901が設けられる。
【0059】
ここで、信号電極109bに切り込み部901を設けると、物理的には信号電極109bの一辺が切断された状態となる。ところが、容量結合により電気的には繋がった状態となり、信号電極109bは基準電位電極108を電気的に取り込んだ状態を保持して基準電位電極108を安定な状態に保つ。
【0060】
筐体の局面に沿って電極部110dを設置する場合、筐体の局面に機器を操作するための部品を実装することができなくなるという問題点が発生する。
【0061】
本実施形態の通信装置では、信号電極109bに切り込み部901を設けることにより、筐体の局面に機器を操作するための部品を実装することが可能になる。このため、通信装置の実装を容易化することができる。
【0062】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々、変更してもよい。
【0063】
第一の実施形態では、端子106を介して、信号線105と同軸線107の内側信号線11、同軸線107の外側信号線12とビア112をそれぞれ接続しているが、必ずしもこれに限定されるものではない。端子106を介さずに直接接続させてもよい。
【0064】
また、実施形態では、生体30a及び30bを介してウエラブル・コンピューティング通信を行っているが、必ずしもこれに限定されるものではない。手を介して3人以上の生体を介してウエラブル・コンピューティング通信を行ってもよい。
【0065】
以上、幾つかの実施形態について述べたが、これらの実施形態は単に例として示したもので、本発明の範囲を限定することを意図したものではない。実際、ここにおいて述べた新規な通信装置、通信システムは、種々の他の形態に具体化されても良いし、更に、本発明の主旨或いはスピリットから逸脱することなく、ここにおいて述べた通信装置、通信システムの形態における種々の省略、置き換え及び変更を行ってもよい。付随する請求項及びそれらの均等物は、本発明の範囲及び主旨或いはスピリットに入るようにそのような形態或いは変形を含むことを意図している。
【0066】
本発明は、以下の付記に記載されているような構成が考えられる。
(付記1) 接地電極が設けられる基板と、前記基板の第一主面上に設けられる通信部と、前記基板の第一主面上に設けられ、一端が前記通信部に接続される第一の信号線と、前記基板の第一主面上に設けられ、第二の信号線及び第三の信号線を有し、前記第二の信号線の一端が前記第一の信号線の他端に接続され、前記第三の信号線の一端がビアを介して前記接地電極に接続される端子と、前記基板の第一主面側に設けられ、第四の信号線及び第五の信号線を有し、前記第五の信号線が誘電体を介して前記第四の信号線の外側に設けられ、前記第四の信号線の一端が前記第二の信号線の他端に接続され、前記第五の信号線の一端が第三の信号線の他端に接続される同軸線と、基準電位電極と信号電極を有し、前記信号電極が前記基準電位電極の周囲に離間配置され、前記基準電位電極が前記第五の信号線の他端に接続され、前記信号電極が前記第四の信号線の他端に接続される電極部とを有し、生体と前記電極部の間に形成される静電結合を用いてデータ通信を行う通信装置。
【0067】
(付記2) 前記信号電極は電極幅が一定に形成される付記1に記載の通信装置。
【0068】
(付記3) 前記基準電位電極と前記信号電極は、同一平面上に形成される付記1又は2に記載の通信装置。
【0069】
(付記4) 前記信号電極の外周及び内周と前記基準電位電極は、n角形形状(ただし、nは4以上の整数)、円形形状、或いは楕円形形状を有する付記1乃至3のいずれかに記載の通信装置。
【0070】
(付記5) 前記電極部の面積は、前記接地電極の面積よりも大きく設定される付記1に記載の通信装置。
【符号の説明】
【0071】
1、1a、1b 通信システム
11、21 内側信号線
12、22 外側信号線
13、14、23、24 誘電体層
30、30a、30b 生体
100、100a、100b、300 通信装置
101 誘電体部
102 接地電極
103 基板
104、304 通信部
105 信号線
106 端子
107、307 同軸線
108、108a、308 基準電位電極
109、109a、109b、309 信号電極
110、110a、110b、110c、310 電極部
111、111b 封止材
112 ビア
113 筐体
601 インダクタ
D1 電極間隔
T1 誘電体層の厚さ
W1 電極幅
Wk 切り込み幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接地電極が設けられる基板と、
前記基板の第一主面上に設けられる通信部と、
前記基板の第一主面上に設けられ、一端が前記通信部に接続される第一の信号線と、
前記基板の第一主面側に設けられ、第二の信号線及び第三の信号線を有し、前記第三の信号線が誘電体を介して前記第二の信号線の外側に設けられ、前記第二の信号線の一端が前記第一の信号線の他端に接続され、前記第三の信号線の一端がビアを介して前記接地電極に接続される同軸線と、
基準電位電極と信号電極を有し、前記信号電極が前記基準電位電極の周囲に離間配置され、前記基準電位電極が前記第三の信号線の他端に接続され、前記信号電極が前記第二の信号線の他端に接続される電極部と、
を有し、生体と前記電極部の間に形成される静電結合を用いてデータ通信を行うことを特徴とする通信装置。
【請求項2】
前記信号電極の外周長は、通信周波数の1波長以下であることを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
一端が前記基準電位電極に接続され、他端が前記信号電極に接続されるインダクタを更に有し、前記インダクタの電気長は通信周波数の波長に対して(1/4)に設定されることを特徴とする請求項1又は2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記信号電極には、切り込み部が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の通信装置。
【請求項5】
第一及び第二の通信装置を有し、前記第一及び第二の通信装置は生体により形成される電界を用いてデータ通信を行う通信システムであって、
前記第一の通信装置は、
第一の接地電極が設けられる第一の基板と、
前記第一の基板の第一主面上に設けられ、データを送信する第一の通信部と、
前記第一の基板の第一主面上に設けられ、一端が前記第一の通信部に接続される第一の信号線と、
前記第一の基板の第一主面側に設けられ、第二の信号線及び第三の信号線を有し、前記第三の信号線が誘電体を介して前記第二の信号線の外側に設けられ、前記第二の信号線の一端が前記第一の信号線の他端に接続され、前記第三の信号線の一端がビアを介して前記第一の接地電極に接続される第一の同軸線と、
第一の基準電位電極と第一の信号電極を有し、前記第一の信号電極が前記第一の基準電位電極の周囲に離間配置され、前記第一の基準電位電極が前記第三の信号線の他端に接続され、前記第一の信号電極が前記第二の信号線の他端に接続される第一の電極部と、
を有し、
前記第二の通信装置は、
第二の接地電極が設けられる第二の基板と、
前記第二の基板の第一主面上に設けられ、前記データを受信する第二の通信部と、
前記第二の基板の第一主面上に設けられ、一端が前記第二の通信部に接続される第四の信号線と、
前記第二の基板の第一主面側に設けられ、第五の信号線及び第六の信号線を有し、前記第六の信号線が誘電体を介して前記第五の信号線の外側に設けられ、前記第五の信号線の一端が前記第四の信号線の他端に接続され、前記第六の信号線の一端がビアを介して前記第二の接地電極に接続される第二の同軸線と、
第二の基準電位電極と第二の信号電極を有し、前記第二の信号電極が前記第二の基準電位電極の周囲に離間配置され、前記第二の基準電位電極が前記第六の信号線の他端に接続され、前記第二の信号電極が前記第五の信号線の他端に接続される第二の電極部と、
を有することを特徴とする通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−109882(P2012−109882A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−258419(P2010−258419)
【出願日】平成22年11月19日(2010.11.19)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
2.ZIGBEE
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】