説明

通信装置、通信ユニット、通信システム、通信方法およびプログラム

【課題】接続対象機器との接続レーン数を接続条件によって柔軟に変更すること。
【解決手段】プリンタ制御基板420は、PCI Expressで印字ヘッドと接続されるカードアダプタ300と、カードアダプタ300に対する光アクティブケーブル500の挿抜を検知する検知部425と、光アクティブケーブル500の挿抜を検知した場合に、印字ヘッドとの接続レーン数を判断する判断部426と、接続レーン数で印字ヘッドとの通信を行う通信部427とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置、通信ユニット、通信システム、通信方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ローカルバスの規格であるPCI(Peripheral Component Interconnect) Expressは、PCやサーバ、組み込み機器内通信などで高速データ転送バスとして広く知られている。PCI Expressは、PCを初めとしたコンピュータシステムなど,比較的短距離のホスト−デバイス間通信を目的として開発されてきたが,さらに距離間を有する通信への応用も行われ,ケーブルによる接続規格(PCI Express External Cabling Specification:以下、「PCI Express Cable規格」という。)が制定されるに至っている。PCI Express Cable規格で通常のPCに接続する場合にはPCI ExpressカードスロットにPCI Express Cableアダプターボードを使用する。
【0003】
また、PCI Express規格では接続するレーン数によって任意に通信帯域を設定することができる。例えば、ルートポート側が16レーン対応であり、エンドポイント側が8レーン対応である場合には、8レーンでリンクアップする。また、ルートポート側が16レーン対応であり、エンドポイント側が4レーン対応である場合には、4レーンでリンクアップする。
【0004】
また、特許文献1には、チップセットに実装されたPCI Expressのレーン構成について自由度を高めるために、複数のPCI Expressコネクタを実装した装置において、8レーン(x8)用のコネクタであっても、4レーン(x4)しか使用できないものが2スロットであった場合に、基板上に設置された二股バス・スイッチを動的に切り替えることによって、x8用の1スロット構成もしくはx4用の2スロット構成として切り替えて使用する技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような従来のPCI Express Cable接続では、規定のレーン数に対応したケーブルを使用することを前提としており、規定のレーン数より少ないレーン数で対応可能な通信帯域で通信する場合でも、規定のレーン数に対応する分のケーブルを使用しなければならず、通信帯域等の接続条件に合わせて柔軟に対応して使用するケーブルを減少することができないという問題がある。例えば、規定のレーン数が16レーンである場合において、4レーンの通信帯域で接続可能な場合であっても、規定のレーン数である16レーン用のケーブルで接続しなければならない。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、接続対象機器との接続レーン数を接続条件によって柔軟に変更することができる通信装置、通信ユニット、通信システム、通信方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる通信装置は、高速シリアル伝送路で接続対象機器と接続される通信ユニットと、前記通信ユニットに対するケーブルの挿抜を検知する検知手段と、前記ケーブルの挿抜を検知した場合に、前記接続対象機器との前記高速シリアル伝送路による接続レーン数を判断する判断手段と、前記接続レーン数で前記接続対象機器との通信を行う通信手段と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
また、本発明にかかる通信ユニットは、高速シリアル伝送路で接続対象機器と接続されるコネクタと、前記コネクタに対するケーブルの挿抜を検知する検知手段と、前記ケーブルの挿抜を検知した場合に、前記接続対象機器との前記高速シリアル伝送路による接続レーン数を判断する判断手段と、前記接続レーン数で前記接続対象機器との通信を行う通信手段と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
また、本発明にかかる通信システムは、第1通信装置と、前記第1通信装置と高速シリアル伝送路で接続される第2通信装置とを備えた通信システムであって、前記第1通信装置は、前記高速シリアル伝送路で前記第2通信装置と接続される通信ユニットと、前記通信ユニットに対するケーブルの挿抜を検知する検知手段と、前記ケーブルの挿抜を検知した場合に、前記接続対象機器との前記高速シリアル伝送路による接続レーン数を判断する判断手段と、前記接続レーン数で前記接続対象機器との通信を行う通信手段と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
本発明にかかる通信方法は、通信装置で実行される通信方法であって、前記通信装置は、高速シリアル伝送路で接続対象機器と接続される通信ユニットを備え、前記通信ユニットに対するケーブルの挿抜を検知する検知ステップと、前記ケーブルの挿抜を検知した場合に、前記接続対象機器との前記高速シリアル伝送路による接続レーン数を判断する判断ステップと、前記接続レーン数で前記接続対象機器との通信を行う通信ステップと、を含むことを特徴とする。
【0011】
また、本発明にかかるプログラムは、コンピュータに実行させるためのプログラムであって、前記コンピュータは、高速シリアル伝送路で接続対象機器と接続される通信ユニットを備え、前記通信ユニットに対するケーブルの挿抜を検知する検知ステップと、前記ケーブルの挿抜を検知した場合に、前記接続対象機器との前記高速シリアル伝送路による接続レーン数を判断する判断ステップと、前記接続レーン数で前記接続対象機器との通信を行う通信ステップと、を前記コンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、接続対象機器との接続レーン数を接続条件によって柔軟に変更することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、実施の形態1のプリンタにおける伝送路を説明するための図である。
【図2】図2は、実施の形態1のカードアダプタの概略構成図である。
【図3】図3は、プリンタコントローラ側のプリンタ制御基板の構成図である。
【図4】図4は、プリンタコントローラと印字ヘッドとの間の通信処理のシーケンス図である。
【図5】図5は、リンク判断処理の手順を示すフローチャートである。
【図6】図6は、適用例としてすべてのレーンを使用する状態を示す図である。
【図7】図7は、適用例として一部のレーンを使用する状態を示す図である。
【図8】図8は、適用例として複数のEnd Pointへの接続例を示す図である。
【図9】図9は、従来の接続例を示す図である。
【図10】図10は、適用例として複数のEnd Pointへの他の接続例を示す図である。
【図11】図11は、実施の形態2のカードアダプタの概略構成図である。
【図12】図12は、制御部の機能的構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる通信装置、通信ユニット、通信システム、通信方法およびプログラムの実施の形態を詳細に説明する。以下に示す実施の形態では、通信装置をプリンタコントローラ、通信ユニットをPCI Express用のカードアダプタ、通信システムをプリンタのコントローラと印字ヘッドからなるプリンタに適用した例をあげて説明する。
【0015】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1のプリンタにおける伝送路を説明するための図である。本実施の形態のプリンタは、プリンタコントローラと印字ヘッドが、PCI Expressに準拠した光アクティブケーブル500で接続されている。印字ヘッドは、図1に示されるように、そのヘッドリレー基板430にPCI Expressの規格に準拠したソケット(PCI Expressソケット410)が搭載されている。そして、PCI Expressソケット410には、カードアダプタ300が装着されている。
【0016】
プリンタコントローラは、図1に示されるように、そのプリンタ制御基板420にPCI Expressの規格に準拠したソケット(PCI Expressソケット410)が搭載されている。そして、PCI Expressソケット410には、カードアダプタ300が装着されている。
【0017】
また、各カードアダプタ300には、光トランシーバ600がそれぞれ取り付けられている。
【0018】
そして、印字ヘッド側の光トランシーバ600とプリンタコントローラ側の光トランシーバ600とは、光アクティブケーブル500によって個別に接続されている。ここで、本実施の形態では、光トランシーバ600は、電気信号と光信号の変換機能を備えている。
【0019】
ここでは、ブラックの画像情報(K)、シアンの画像情報(C)、マゼンタの画像情報(M)、及びイエローの画像情報(Y)が、ラスターイメージの可逆圧縮データの形で、個別にプリンタコントローラから印字ヘッドに伝送される。
【0020】
そして、印字ヘッドは、受信したブラックの画像情報(K)、シアンの画像情報(C)、マゼンタの画像情報(M)、及びイエローの画像情報(Y)に応じてカラー画像を印字する。
【0021】
PCI Express規格では、Root ComplexとEnd Point 間をレーンと呼ばれる通信路によって接続して通信し、各レーンは高速シリアルインターフェースからなり、送信/受信が分離した全2重通信である。レーン数は用途に合わせて選択可能であり、PCI Express規格では、x1/x4/x8/x16/x32が定められている。また、PCI Express規格ではRoot ComplexとEnd Point間をケーブルで接続する規格も定められている。
【0022】
図1に示すように、本実施の形態では、Root Complexをプリンタコントローラ側、End Pointを印字ヘッド側として、両者を、x4(4レーン)対応の光アクティブケーブル500を4本用いて、x16(16レーン)で接続している。
【0023】
次に、カードアダプタ300の詳細について説明する。カードアダプタ300は、PCI Expressの信号を伝送するアダプタである。
【0024】
図2は、実施の形態1のカードアダプタ300の概略構成図である。本実施の形態のカードアダプタ300は、ボード上に、4つのトランシーバソケット312A,312B,312C,312Dが実装されている。なお、4つのトランシーバソケットを区別する必要がないときは、トランシーバソケット312という。
【0025】
また、ボードの一端部近傍には、両面にカードエッジコネクタ315が形成されている。このカードエッジコネクタ315は、PCI−Express規格のカードエッジとしてPCI−Express−Gen2−x16を使用することが可能である。
【0026】
トランシーバソケット312A,312B,312C,312Dのそれぞれには、光アクティブケーブル500の光トランシーバ600a,600b,600c,600dが接続される。トランシーバソケット312A,312B,312C,312Dは、QSFP(Quad Small Form−factor Pluggable)規格に準拠したものとなっており、光トランシーバ600からの受信信号をカードエッジコネクタ315に伝送するモジュールである。
【0027】
トランシーバソケット312A,312B,312C,312Dは、内部に自己の状態を記憶するメモリが設けられている。各トランシーバソケット312A,312B,312C,312Dは、それぞれ4レーン(x4)に対応している。
【0028】
カードエッジコネクタ315は、プリンタコントローラ側あるいは印字ヘッド側のPCI Expressソケット410と接続可能な、データ信号の送受信を担うコネクタであり、16レーン(x16)に対応している。カードエッジコネクタ315は、トランシーバソケット312A,312B,312C,312Dと配線で接続されている。
【0029】
図3は、プリンタコントローラ側のプリンタ制御基板420の構成図である。本実施の形態のプリンタコントローラ側のプリンタ制御基板420には、カードアダプタ300を装着するためのPCI Expressソケット410と、CPU(Central Processing Unit)421と、PCI Express Root Complex(以下、「PCIe Root Complex」という。)422と、ROM(Read Only Memory)423と、RAM(Random Access Memory)428とが搭載されている。
【0030】
ROM423は、本実施の形態の通信プログラムが格納される。RAM428は、作業用メモリである。PCIe Root Complex422は、End Pointの印字ヘッドとリンクトレーニングやリンクアップを行い、さらに通信処理を行う。
【0031】
PCIe Root Complex422は、図3に示すように、検知部425と、判断部426と、通信部427として機能する。
【0032】
検知部425は、カードアダプタ300のトランシーバソケット312に対する光アクティブケーブル500の挿抜を検知する。具体的には、検知部425は、カードアダプタ300から接続エラーを受信した場合に、トランシーバソケット312から光アクティブケーブル500が抜かれたことを検知する。また、検知部425は、カードアダプタ300から電気信号を受信した場合に、トランシーバソケット312に光アクティブケーブル500が挿入されたことを検知する。
【0033】
判断部426は、プリンタ制御基板420が電源ONとなった場合、検知部425によりトランシーバソケット312に対する光アクティブケーブル500の挿抜を検知した場合に、End Pointである印字ヘッド側のカードアダプタ300またはヘッドリレー基板430とリンクトレーニングを行って、印字ヘッド側のカードアダプタ300とプリンタコントローラ側のカードアダプタ300との間の接続レーン数を判断する。
【0034】
通信部427は、通信接続および切断の各処理、通信処理を行い、本実施の形態では、さらに、判断部426におけるリンクトレーニングの結果、判断された接続レーン数で再度、End Pointである印字ヘッド側のカードアダプタ300との通信の再接続を行う。
【0035】
なお、上記では、プリンタコントローラ側のプリンタ制御基板420の構成について説明したが、印字ヘッド側のヘッドリレー基板430の構成も同様である。
【0036】
次に以上のように構成された本実施の形態のプリンタコントローラおよび印字ヘッドの通信処理について説明する。
【0037】
図4は、プリンタコントローラと印字ヘッドとの間の通信処理のシーケンス図である。本実施の形態では、プリンタコントローラがマスタとなり、印字ヘッドがスレーブとなる。
【0038】
プリンタコントローラが電源ONとなり(ステップS11)、印字ヘッドが電源ONとなると(ステップS12)、プリンタコントローラはリンク判断処理を行う(ステップS13)。このリンク判断処理では後述するようにリンクトレーングが行われ、接続レーン数でリンクアップが行われる。そして、その結果を印字ヘッドに通知する(ステップS14)。
【0039】
通知を受けた印字ヘッドのヘッドリレー基板430またはカードアダプタ300では、リンクアップが行われ(ステップS15)、その結果がプリンタコントローラへ通知される(ステップS16)。
【0040】
プリンタコントローラおよび印字ヘッドの電源ON後は、このような処理により接続レーン数で通信処理が開始されるが、通信処理の開始後に、プリンタコントローラのプリンタ制御基板420に搭載されたPCIe Root Complex422の検知部425で光アクティブケーブル500の挿抜が検知されると(ステップS17)、PCIe Root Complex422はステップS13と同様にリンク判断処理を行う(ステップS18)。そして、その結果が印字ヘッドに通知される(ステップS19)。
【0041】
通知を受けた印字ヘッドのヘッドリレー基板430またはカードアダプタ300では、リンクアップが行われ(ステップS20)、その結果がプリンタコントローラへ通知される(ステップS21)。
【0042】
次に、ステップS13,S18のリンク判断処理の詳細について説明する。図5は、PCIe Root Complex422が実行するリンク判断処理の手順を示すフローチャートである。
【0043】
PCIe Root Complex422の判断部426は、電源ONされた場合、または、検知部425が光アクティブケーブル500のトランシーバソケット312に対する挿抜を検知した場合に、End Pointである印字ヘッド側のカードアダプタ300またはヘッドリレー基板430とリンクトレーニングを開始し(ステップS31)、これにより接続レーン数を認識する(ステップS32)。そして、通信部427が認識された接続レーン数でリンクアップを行い(ステップS33)、リンクアップしたレーンで通信サービスを開始する(ステップS34)。
【0044】
このように本実施の形態では、通信処理の開始後に光アクティブケーブル500がカードアダプタ300に対して挿抜された場合に、リンクトレーニングを行って挿抜後の接続レーン数を認識してリンクアップを行うので、動的に接続レーン数の変更が可能となる。
【0045】
次に、本実施の形態の適用例について説明する。図6は、すべてのレーンの使用状態を示す図である。図6では、PCI Expressの光アクティブケーブル接続で1本当たり4レーン通信可能で、プリンタコントローラ、印字ヘッドの双方のカードアダプタ300には16レーン(4レーンx4本)まで接続できるトランシーバソケット312が実装されている。
【0046】
このような場合において、転送するデータ帯域がPCI Express8レーンで十分である場合には、図7の適用例に示すように、光アクティブケーブル500を2本に減らし、上述したリンク判断処理(図4,図5参照)を実行することで、2本の光アクティブケーブル500で接続された状態、すなわち接続レーン数が8レーンでリンクアップして通信サービスを再開することができ、コストダウンが可能となる。なお、光アクティブケーブル500を減らす際にあたって、カードアダプタ300の変更は不要である。
【0047】
本実施の形態を、高機能なRoot Complex/PCI Express Switchに適用することもできる。
【0048】
Root Complex/PCI Express Switchには、複数のレーンを複数のポートに割り付けることが可能なものがある。例えば、16レーンで3ポート利用可能なRoot Complexの場合、以下の組み合わせで使用することができる。
【0049】
パターン1:4レーン x 2ポート、8レーン x 1ポート
パターン2:16レーン x 1ポート
パターン3:8レーン x 2ポート
このようなRoot Complex/PCI Express Switchを本実施の形態と組み合わせて使用する場合にはボードを変更せずに図8、10の適用例に示すように複数End Pointとの接続も可能となる。
【0050】
図8の例では、Root Complex/PCI Express Switchを適用し、2つのEnd Pointとして2つの印字ヘッドをプリンタコントローラに接続した例を示している。
【0051】
従来は、2つの印字ヘッドをプリンタコントローラに接続する場合には、図9に示すように、2つの印字ヘッドをプリンタコントローラに数珠繋ぎに接続する。この場合、印字ヘッド1つに対して転送するデータ帯域がPCI Express4レーンで十分である場合、数珠繋ぎのため、プリンタコントローラから印字ヘッド1へは二つの印字ヘッドへ転送するデータ分のデータ帯域に相当する8レーンが必要となり、印字ヘッド1から印字ヘッド2へは一つの印字ヘッドへ転送するデータ分のデータ帯域に相当する4レーンで十分である。しかしながら、従来の装置では、図9に示すように、プリンタコントローラと印字ヘッド1との間は16レーン分の光アクティブケーブルで接続しなければならず、また、印字ヘッド1と印字ヘッド2との間も16レーン分の光アクティブケーブルで接続しなければならなかった。
【0052】
特に、標準仕様がメタルの光アクティブケーブルの接続を前提としている場合には、堅く重いケーブルを保持するために十分な強度を確保する必要が有るためコネクタが高価となってしまう。また、ケーブル長が長いケーブルを使用する場合にはカードアダプタ300上にリピーターチップなどを実装する必要が有り、カードアダプタ300が高価となってしまう。これらの問題を解決するためにブリッジチップを使用してPCI Express通信を独自通信に変換し、光ケーブルで接続する方法が提案されているが、独自通信仕様となるため汎用性が無い。また、ブリッジチップを使用するためにカードアダプタが高価になってしまう。
【0053】
このため、必要なデータ帯域に相当するレーン数より多いレーン数でケーブル接続を行うと、システム構築のコストが増大してしまうことになる。
【0054】
これに対し本実施の形態では、図8に示すように、プリンタコントローラに対して印字ヘッド1、印字ヘッド2をそれぞれ直接接続し、かつ、それぞれ、必要な転送データのデータ帯域にあわせて4レーン分の光アクティブケーブル500を1本で接続する。そして、プリンタコントローラ側で上述したリンク判断処理(図4,図5参照)を実行することで、1本ずつの光アクティブケーブル500でそれぞれ印字ヘッド1、印字ヘッド2が接続された状態、すなわち接続レーン数が4レーンずつでリンクアップして通信サービスを再開することができ、コストダウンが可能となる。
【0055】
このように本実施の形態では、PCI Express Cable接続において、接続するレーン数、すなわちケーブルの本数を、転送するデータ帯域などの接続条件に合わせて柔軟に変更可能とすることができ、汎用性の高く安価な接続手段を提供することができる。
【0056】
また、プリンタ制御基板等にレーン数を切り替えるための二股バス・スイッチ等の部品を設ける必要がなく、プリンタ制御基板の実装コストを安価にすることができる。
【0057】
また、開発途中のシステムにおいて途中でレーン数(ケーブル数)を変更することが可能となり、開発期間とコストを削減することができる。
【0058】
また、一度開発したシステムにおいても運用途中でレーン数(ケーブル数)を減らし、変更に伴う労力および費用を削減することができる。
【0059】
また、一度開発したプリンタ制御基板を設計変更することなく他のレーン数にも対応することができるので、プリンタ制御基板の開発の労力や費用を削減することができる。
【0060】
さらに、Root Complex側のポートがレーン分割による複数ポート化に対応している場合には、一度開発したプリンタ制御基板を設計変更することなく、複数のEnd Pointとの接続に変更することができるので、プリンタ制御基板の開発の労力および費用を削減することができる。
【0061】
(実施の形態2)
実施の形態1では、リンク判断処理をプリンタ制御基板のRoot Complexで行っていたが、この実施の形態2では、カードアダプタ側でリンク判断処理を行う。
【0062】
本実施の形態におけるプリンタコントローラと印字ヘッドとの間の接続は、図1で示した実施の形態1と同様である。図11は、実施の形態2のカードアダプタの概略構成図である。本実施の形態のカードアダプタ1300は、ボード上に、4つのトランシーバソケット312A、312B、312C,312Dと、制御部1310と、信号スイッチ320とが実装されている。
【0063】
また、ボードの一端部近傍には、両面に2つのカードエッジコネクタ315,316が形成されている。このカードエッジコネクタ315,316は、PCI−Express規格のカードエッジとしてPCI−Express−Gen2−x16を使用することが可能である。
【0064】
トランシーバソケット312A、312B、312C,312Dのそれぞれには、光アクティブケーブル500の光トランシーバ600a,600b、600c、600dが接続される。トランシーバソケット312A、312B、312C,312Dは、QSFP規格に準拠したものとなっており、光トランシーバ600からの受信信号を制御部1310やカードエッジコネクタ315に伝送するモジュールである。カードエッジコネクタ315は、信号スイッチ320を介してトランシーバソケット312と配線で接続されている。
【0065】
カードエッジコネクタ316は、プリンタコントローラ側あるいは印字ヘッド側のPCI Expressソケット410と接続可能な、補助信号であるサイドバンド信号の送受信を担うコネクタである。
【0066】
制御部1310は、カードエッジコネクタ316と信号スイッチ320とに配線接続されている。また、制御部1310は、トランシーバソケット312A、312B、312C,312Dのそれぞれとシリアル信号線330で接続されている。
【0067】
信号スイッチ320は、制御部1310からの指令を受けて、カードエッジコネクタ315とトランシーバソケット312A、312B、312C,312D間の配線のレーン0〜15の接続と遮断を切り替えるスイッチである。その他の構成は、実施の形態1のカードアダプタ300と同様である。
【0068】
次に、制御部1310の詳細について説明する。本実施の形態の制御部1310は、PCI Root Complexの機能を有し、End Pointの印字ヘッドとリンクトレーニングやリンクアップを行い、さらに通信処理を行う。
【0069】
図12は、制御部1310の機能的構成を示すブロック図である。制御部1310は、図12に示すように、検知部1315と、判断部1316と、通信部1317とを主に備えている。
【0070】
検知部1315は、カードアダプタ1300のトランシーバソケット312に対する光アクティブケーブル500の挿抜を、シリアル信号線330を介して検知する。すなわち、検知部1315は、トランシーバソケット312A、312B、312C,312Dのそれぞれからシリアル信号線330を介して、光トランシーバ600a,600bの状態が変化したことを示す割り込み信号(IntL信号)を受信し、トランシーバソケット312A、312B、312C,312D内のメモリから光トランシーバの通信状態をステータス情報として読み取る。具体的には、検知部1315は、読み取ったステータス情報が接続エラーである場合には、トランシーバソケット312から光アクティブケーブル500が抜かれたことを検知する。また、検知部1315は、読み取ったステータス情報が接続エラーから接続に変化した場合に、トランシーバソケット312に光アクティブケーブル500が挿入されたことを検知する。
【0071】
判断部1316は、プリンタ制御基板420が電源ONとなった場合、および検知部425によりトランシーバソケット312に対する光アクティブケーブル500の挿抜を検知した場合に、End Pointである印字ヘッド側のカードアダプタ1300またはヘッドリレー基板430とリンクトレーニングを行って、印字ヘッド側のカードアダプタ1300とプリンタコントローラ側のカードアダプタ1300との間の接続レーン数を判断する。
【0072】
通信部1317は、通信接続および切断の各処理、通信処理を行い、本実施の形態では、さらに、判断部1316におけるリンクトレーニングの結果、判断された接続レーン数で再度、End Pointである印字ヘッド側のカードアダプタ1300との通信の再接続を行う。
【0073】
なお、上記では、プリンタコントローラ側のカードアダプタ1300の構成について説明したが、印字ヘッド側のカードアダプタの構成も同様である。
【0074】
本実施の形態の通信処理、リンク判断処理は、図4、図5を用いて説明した実施の形態1の通信処理、リンク判断処理と同様に行われる。
【0075】
このように本実施の形態では、実施の形態1と同様に、PCI Express Cable接続において、接続するレーン数、すなわちケーブルの本数を、転送するデータ帯域などの接続条件に合わせて柔軟に変更可能とすることができ、汎用性の高く安価な接続手段を提供することができる。
【0076】
なお、上記実施の形態では、光トランシーバ600が電気信号と光信号の変換機能を備えているが、これに限定されるものではない。例えば、トランシーバソケットの代わりに、光ケーブルと接続可能で、電気信号と光信号の変換機能を備えた光変換モジュールを設け、この光変換モジュールと制御部やカードエッジコネクタ315とを接続するように構成することもできる。
【0077】
また、上記実施の形態では、トランシーバソケット312は、QSFP規格に準拠した4レーンのものを例にあげて説明しているが、これに限定されるものではない。例えば、トランシーバソケット312に、SFP規格(Small Form−factor Pluggable)に準拠した2レーンのものを用いてもよい。
【0078】
なお、本実施の形態のプリンタ制御基板420およびカードアダプタ1300で実行される通信プログラムは、ROM等に予め組み込まれて提供される。
【0079】
本実施の形態のプリンタ制御基板420およびカードアダプタ1300で実行される通信プログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0080】
さらに、本実施の形態のプリンタ制御基板420およびカードアダプタ1300で実行される通信プログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、本実施の形態のプリンタ制御基板420およびカードアダプタ1300で実行される通信プログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
【0081】
本実施の形態のプリンタ制御基板420およびカードアダプタ1300で実行される通信プログラムは、上述した各部(検知部、判断部、通信部)を含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしてはCPU(プロセッサ)が上記ROMから通信プログラムを読み出して実行することにより上記各部が主記憶装置上にロードされ、検知部、判断部、通信部が主記憶装置上に生成されるようになっている。
【0082】
なお、上記実施の形態では、プリンタコントローラと印字ヘッドを接続する場合を例にあげて説明しているが、これに限定されるものではなく、印字ヘッドとプリンタコントローラ以外の各部をPCI Express規格で接続する場合や、プリンタ等の画像形成装置やPC等の情報処理装置と、サーバ装置とをPCI Express規格で接続する場合にも本実施の形態を適用することができる。
【符号の説明】
【0083】
300,1300 カードアダプタ
312,312A〜312D トランシーバソケット
315,316 カードエッジコネクタ
320 信号スイッチ
410 PCI Expressソケット
420 プリンタ制御基板
425,1315 検知部
426,1316 判断部
427,1317 通信部
430 ヘッドリレー基板
500 光アクティブケーブル
600 光トランシーバ
1310 制御部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0084】
【特許文献1】特開2008−171291号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高速シリアル伝送路で接続対象機器と接続される通信ユニットと、
前記通信ユニットに対するケーブルの挿抜を検知する検知手段と、
前記ケーブルの挿抜を検知した場合に、前記接続対象機器との前記高速シリアル伝送路による接続レーン数を判断する判断手段と、
前記接続レーン数で前記接続対象機器との通信を行う通信手段と、
を備えたことを特徴とする通信装置。
【請求項2】
前記判断手段は、前記接続対象機器との通信を開始した後に、前記ケーブルの挿抜を検知した場合に、前記接続対象機器との前記高速シリアル伝送路による接続レーン数を判断し、
前記通信手段は、前記接続レーン数で前記接続対象機器との通信を再開することを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
高速シリアル伝送路で接続対象機器と接続されるコネクタと、
前記コネクタに対するケーブルの挿抜を検知する検知手段と、
前記ケーブルの挿抜を検知した場合に、前記接続対象機器との前記高速シリアル伝送路による接続レーン数を判断する判断手段と、
前記接続レーン数で前記接続対象機器との通信を行う通信手段と、
を備えたことを特徴とする通信ユニット。
【請求項4】
前記判断手段は、前記接続対象機器との通信を開始した後に、前記ケーブルの挿抜を検知した場合に、前記接続対象機器との前記高速シリアル伝送路による接続レーン数を判断し、
前記通信手段は、前記接続レーン数で前記接続対象機器との通信を再開することを特徴とする請求項3に記載の通信ユニット。
【請求項5】
第1通信装置と、前記第1通信装置と高速シリアル伝送路で接続される第2通信装置とを備えた通信システムであって、
前記第1通信装置は、
前記高速シリアル伝送路で前記第2通信装置と接続される通信ユニットと、
前記通信ユニットに対するケーブルの挿抜を検知する検知手段と、
前記ケーブルの挿抜を検知した場合に、前記接続対象機器との前記高速シリアル伝送路による接続レーン数を判断する判断手段と、
前記接続レーン数で前記接続対象機器との通信を行う通信手段と、
を備えたことを特徴とする通信システム。
【請求項6】
通信装置で実行される通信方法であって、
前記通信装置は、高速シリアル伝送路で接続対象機器と接続される通信ユニットを備え、
前記通信ユニットに対するケーブルの挿抜を検知する検知ステップと、
前記ケーブルの挿抜を検知した場合に、前記接続対象機器との前記高速シリアル伝送路による接続レーン数を判断する判断ステップと、
前記接続レーン数で前記接続対象機器との通信を行う通信ステップと、
を含むことを特徴とする通信方法。
【請求項7】
コンピュータに実行させるためのプログラムであって、
前記コンピュータは、高速シリアル伝送路で接続対象機器と接続される通信ユニットを備え、
前記通信ユニットに対するケーブルの挿抜を検知する検知ステップと、
前記ケーブルの挿抜を検知した場合に、前記接続対象機器との前記高速シリアル伝送路による接続レーン数を判断する判断ステップと、
前記接続レーン数で前記接続対象機器との通信を行う通信ステップと、
を前記コンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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