説明

通信装置、通信装置の制御方法およびプログラム

【課題】 画像の撮像時における周囲の環境に応じた送信先に画像を送信できるようにすることを目的とする。
【解決手段】 本発明の通信装置は、撮像の際に、前記通信装置の周囲に存在する第1の他の通信装置から、前記第1の他の通信装置とは異なる第2の他の装置の情報を取得し、取得した前記第2の他の通信装置の情報に基づいて、撮像された画像を前記第2の他の通信装置に送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置が画像を送信する際における送信先の情報収集方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタルカメラの普及に伴い、多種多様なデジタル・フォト・フレームが発売されている。デジタル・フォト・フレームは大容量の内蔵メモリを持つことで多くの画像(静止画や動画)を保存でき、ユーザは好きな時に様々な画像を再生して楽しむことができる。このようなデジタル・フォト・フレームに対して、カメラ機能を備えた携帯電話から画像データを送信する技術がある。特許文献1では、携帯電話がサーバを介して予め設定されたデジタル・フォト・フレームに画像データを送信する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−181210号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
撮像された画像を、その場にいる人々で共有する場合、画像を予め設定されたデジタル・フォト・フレームに送信するのでは、利便性が良くなかった。即ち、画像の送信先となるデジタル・フォト・フレームをユーザがいちいち設定するのでは操作が煩雑となってしまう。
【0005】
上記の課題を鑑み、画像の撮像時における周囲の環境に応じた送信先に画像を送信できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の通信装置は、撮像の際に、前記通信装置の周囲に存在する第1の他の通信装置から、前記第1の他の通信装置とは異なる第2の他の装置の情報を取得し、取得した前記第2の他の通信装置の情報に基づいて、撮像された画像を前記第2の他の通信装置に送信する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、画像の撮像時における周囲の環境に応じた送信先に画像を送信することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】ネットワークの構成図
【図2】携帯電話のブロック図
【図3】実施形態におけるシーケンスチャート
【図4】携帯電話が実現するフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1に、本実施形態に係る無線通信システムのネットワーク構成を示す。101は、デジタルカメラ(以下、単にカメラと称する)であり、102および103は、カメラ101と無線通信可能な携帯電話である。本実施形態では、カメラ101と携帯電話102とは、IEEE(The Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.11シリーズに準拠した無線LANを構成している。携帯電話102および103は、カメラ101から無線LANを介して画像を受信し、受信した画像を後述するデジタル・フォト・フレーム(以下、DPFと称する)に送信することができる。なお、画像とは、静止画データと動画データの総称である。
【0010】
104は、携帯電話102を収容している無線基地局である。即ち、無線基地局104と携帯電話102とは公衆無線ネットワークを構成している。105は、無線基地局104が接続されたインターネットである。106は、携帯電話102から画像を受信し、画像の蓄積および表示を行うDPFである。107は、携帯電話102から画像を受信し、画像を蓄積するサーバである。
【0011】
図2に、携帯電話102のハードウェア構成を示す。1001は、カメラ101や無線基地局104と無線通信するためのアンテナである。なお、本実施形態ではアンテナを1本しか図示していないが、無線LAN用のアンテナと公衆無線ネットワーク用のアンテナを総称しているものとする。1002は、無線LANにおける通信および公衆無線ネットワークにおける通信を制御する無線制御部である。
【0012】
1003は、後述するフローチャートを実現するためのプログラムを格納したROMである。1004は、ROM1003に格納されたプログラムが実行される際にワークエリアとして利用されるRAMである。なお、上述のROM、RAM等のメモリに代えて、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、DVDなどの記憶媒体を用いてもよい。
【0013】
1005は、携帯電話102全体を制御するシステム制御部である。また、システム制御部1005は、ROM1003に記憶されているプログラムを読み出して実行することで、後述するフローチャートを実現する。1006は、ユーザに対して各種通知を行う表示部である。1007は、ユーザからのキー入力を受け付けるキー入力部である。
【0014】
図3に、カメラ101において、ユーザにより電源が投入された際のシーケンスチャートを示す。また、図4に、携帯電話102のシステム制御部1005がROM1003に格納されたプログラムを読み出すことで実現するフローチャートを示す。
【0015】
カメラ101の電源が投入されると、携帯電話102はカメラ101を検出し(S301)、カメラ101との間で接続処理を行う(S302、M201)。これにより、カメラ101と携帯電話102との間の無線リンクが確立され、携帯電話102はカメラ101との直接通信が可能となる。
【0016】
その後、カメラ101において画像が撮影されると、カメラ101は携帯電話102に対して撮影距離情報を含む撮影通知メッセージ(M202)を送信する。ここで、撮影距離情報には、鮮明な画像として撮影可能な範囲を示す被写界深度、および、カメラ101に装着されたレンズの焦点距離およびF値(絞り値)から算出される過焦点距離が含まれる。なお、被写界深度および過焦点距離に代えて、被写体数に基づく距離情報(被写体数が多い場合には広範囲、被写体数が少ない場合には狭範囲)を含めてもよい。これにより、撮影に際して被写体の認識は行うものの被写界深度や過焦点距離は計算しない場合のカメラ101の処理負荷を軽減させることができる。
【0017】
携帯電話102は、アンテナ1001、無線制御部1002を介して撮影通知メッセージを受信すると(S303、M202)、撮影通知メッセージに含まれる撮影距離情報をRAM1004に格納する。そして、格納された撮影距離情報に応じた距離内に存在する他の通信装置(ここでは、携帯電話103)に対して応答要求メッセージをブロードキャストにより送信する(S304、M203)。ここでは、撮影距離情報に応じた送信パワーで応答要求メッセージを送信する。しかしながら、これに代えて、通信範囲の異なる複数の無線方式(無線LAN、Bluetooth、Zigbee、IrDA等)撮影距離情報に応じた無線方式を利用して応答要求メッセージを送信するようにしてもよい。
【0018】
携帯電話103は、応答要求メッセージを受信すると(M203)、自装置の識別情報および画像データの送信先の情報を含めた応答確認メッセージを、携帯電話102に返信する(M204)。ここで、自装置の識別情報とは、携帯電話103の電話番号やメールアドレス、ユーザ名等である。また、画像データの送信先の情報とは、例えば、携帯電話103においてユーザが予め設定したサーバ107のアドレス情報、および、サーバ107にログインするためのユーザ名やパスワード等の情報である。
【0019】
携帯電話102は、応答確認メッセージを受信すると(S305、M204)、応答確認メッセージに含まれる携帯電話103の識別情報をRAM1004に格納する。更に携帯電話102は、カメラ101から画像を受信し、RAM1004に格納する(S307、M205)。ここで、所定時間内にカメラ101から画像を受信できなかった場合には(S307でNO)、S303に戻り、再びカメラ101からの撮像通知を待受ける。
【0020】
携帯電話102は、画像を受信すると(S307でYES)、受信した画像に、RAM1004に格納された携帯電話103の識別情報を付加する(S308)。次に、携帯電話102は無線基地局104との間で接続処理を行う(S309、M206)。これにより、携帯電話102と無線基地局104との間の無線リンクが確立され、携帯電話102は無線基地局104との直接通信が可能となる。更に、携帯電話102は、無線基地局104を介してDPF106との間で接続処理を行う(S310、M207)。なお、この接続処理には、携帯電話102からDPF106に画像をアップロードするためのログイン等の認証処理が含まれる。
【0021】
携帯電話102は、DPF106との間の接続処理が完了すると(S311でYES)、携帯電話103の識別情報を付加した画像をDPF106に送信する(S312、M208)。更に、携帯電話102は、カメラ101に対して、画像送信確認メッセージを送信し(S313、M209)、画像がDPF106に送信されたことを通知する。
【0022】
なお、DPF106との間の接続処理に失敗した場合(S311でNO)、携帯電話102は、カメラ101に対して、画像送信失敗メッセージを送信する(ステップS315)。ここで、接続処理に失敗する場合とは、例えば、所定時間内での認証処理が失敗した場合である。
【0023】
更に携帯電話102は、携帯電話103から、画像データの送信先(ここでは、サーバ107)の情報を取得しているため(S601でYes)、サーバ107へのログイン処理を行う(S602)。その後、携帯電話102はサーバ107に画像を送信する(S312)。
【0024】
このようにして、画像データの被写体となっているユーザが指定した送信先にも画像データが送信されるため、画像データの被写体となっているユーザと簡単に画像データを共有することができる。
【0025】
また、上述の実施形態では、カメラ101において画像が撮影されると、携帯電話102から応答要求メッセージが送信された。しかしこれに限らず、カメラ101において画像が撮影されてから所定時間が経過した後に、携帯電話102から応答要求メッセージが送信されるようにしてもよい。また、携帯電話102の位置の変化を検出した場合に、携帯電話102から応答要求メッセージが送信されるようにしてもよい。
【0026】
また、上述の実施形態では、カメラ101と携帯電話102とが異なる装置として説明したが、これらが一体型となっていてもよい。この場合、上述したカメラ101と携帯電話102との間の通信は、装置内モジュール間の有線通信として置き換えれば良い。
【0027】
また、上述の実施形態では、S310においてDPF106との接続処理を行ったが、携帯電話102が画像を電子メールに添付してDPF106に送信する場合には、DPF106と接続を行わず、メールサーバと接続するようにする。このような場合、S311においてはメールサーバとの間の接続が完了したことを確認するものとする。
【0028】
また、上述の実施形態では、携帯電話102は携帯電話103を検出したが、更に多くの携帯電話を検出する場合もある。このような場合、携帯電話102は複数の携帯電話の各々から画像の送信先の情報を取得し、それぞれの送信先に対して画像を送信する。この処理は、図4のS601〜S315を繰り返すことで実現可能である。このようにして、複数のユーザと画像を簡単に共有することができる。
【符号の説明】
【0029】
101 カメラ
102 携帯電話
103 携帯電話
104 無線基地局
105 インターネット
106 デジタル・フォト・フレーム(DPF)
107 サーバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信装置であって、
撮像の際に、前記通信装置の周囲に存在する第1の他の通信装置から、前記第1の他の通信装置とは異なる第2の他の装置の情報を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得した前記第2の他の通信装置の情報に基づいて、撮像された画像を前記第2の他の通信装置に送信する送信手段と、
を有することを特徴とする通信装置。
【請求項2】
前記取得手段は、前記撮像における撮像距離に応じた距離の範囲に存在する前記第1の他の通信装置から前記情報を取得する
ことを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
撮像部を有する撮像装置から、前記撮像の通知を受信する受信手段を更に有し、
前記取得手段は、前記受信手段による前記通知の受信に応答して、前記他の通信装置の情報を取得する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記通信装置は、前記撮像を行う撮像手段を更に有することを特徴とする請求項1または2に記載の通信装置。
【請求項5】
前記第1の他の通信装置と無線通信する通信手段を更に有し、
前記取得手段は、前記第1の他の通信装置から、前記通信手段による無線通信により前記情報を取得する
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項6】
前記通信手段は、前記撮像における撮像距離に応じて異なる無線通信方式により前記第1の他の通信装置と通信する
ことを特徴とする請求項5に記載の通信装置。
【請求項7】
前記通信手段は、前記撮像における撮像距離に応じて異なる送信パワーで前記他の通信装置と通信する
ことを特徴とする請求項5に記載の通信装置。
【請求項8】
前記送信手段は、前記画像と共に、前記第1の他の通信装置に関する情報を送信する
ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項9】
通信装置の制御方法であって、
撮像の際に、前記通信装置の周囲に存在する第1の他の通信装置から、前記第1の他の通信装置とは異なる第2の他の装置の情報を取得する取得工程と、
前記第2の他の通信装置の情報に基づいて、撮像された画像を前記第2の他の通信装置に送信する送信工程と、
を有することを特徴とする制御方法。
【請求項10】
コンピュータを、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の通信装置として動作させるためのプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2013−81095(P2013−81095A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−220306(P2011−220306)
【出願日】平成23年10月4日(2011.10.4)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ZIGBEE
2.Bluetooth
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】