説明

通信装置およびシステム

【課題】 異なる拠点に設置された端末が、ネットワークの性能、品質、性質などの通信特性、および、通信プロトコルの違いを吸収しながら、広域網をあたかも閉域網として相互に通信する手段を提供する。
【解決手段】 本発明の通信装置を設置した拠点間で、通信開始端末が、異なる拠点に設置された通信応答端末と通信する場合、通信開始端末が、通信応答端末との通信を要求すると、開始側通信装置が、通信応答端末ではないにも関わらず、通信開始端末と接続を確立することを特徴とする。以降、通信開始端末が通信応答端末に送信したデータは、開始側通信装置が受信する。開始側通信装置は、受信したデータを、複数の通信装置間リンクを使用して応答側通信装置に送信する。応答側通信装置は、受信したデータを通信応答端末に送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広域網を経由した端末間で、あたかも閉域網の端末間であるかのように通信するための通信装置およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ネットワークインフラストラクチャの品質向上による通信帯域の拡大、クラウドコンピューティングやSaaS(Software as a Service)などの普及によって、WAN(Wide Area Network)を経由したサービスが広く利用されるようになり、拠点間での通信頻度や通信トラフィックが増加する傾向にある。また、利用されるアプリケーションも、高精度や医療画像、高画質な映像、圧縮率が低く冗長性の少ないデータが増加するなど、従来のデータ加工技術では、WANを経由した通信での通信速度の向上は、期待できなくなっている。
【0003】
ネットワーク通信において、LAN(Local Area Network)に設置された端末が、WANなどのネットワークを経由した他拠点の端末と、あたかも閉域網として通信プロトコルの透過性を確保しながら相互に通信をおこなうには、各拠点にVPN(Virtual Private Network)などのネットワークを仮想的に閉域網として利用できる手段が備わっている必要がある。
【0004】
拠点間をインターネットや公衆回線等を使用して閉域網として利用するVPN技術は、パケット単位のカプセル化手法を採用していることが多い。この手法は、構造が単純であり通信トラフィックの増加に対して、手順の並列処理、ハードウェア実装が容易になるという反面、WANを経由してのTCPプロトコルの性能改善などは行われず、WANを閉域網としてLANのように利用するには性能面、安定面での解決が望まれている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
現在、VPN技術では、LANとWANに性能、品質、性質などの通信特性、および、通信プロトコルに違いがある場合において、それらの差を考慮した通信手続きを提供することが十分にできない。
【0006】
例えば、インターネットで幅広く用いられているTCP(Transmission Control Protocol)などのプロトコルは、WANのような高遅延で、パケットロスの発生しやすい環境では、到達保証ためのパケット往復時間に依存する通信速度の低下や、輻輳制御による通信速度の低下によって、通信帯域が十分に確保されたネットワークでも、帯域を十分に利用することができない。
【0007】
本発明は、ネットワークを利用するユーザが、自拠点に設置された端末から、他拠点に設置された端末と通信する場合において、あたかも、自拠点に設置された端末と通信しているかのように通信することを課題とする。
【0008】
また、上記の課題の解決において問題となる、WANなどの広帯域高遅延でパケットロスが発生しやすいネットワークにおける、TCPの到達保証のためのパケット往復時間に依存する通信速度の低下、輻輳制御による通信速度の低下を抑制することも課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、異なる拠点に設置された端末間の通信を、各拠点に設置した通信装置を介して行うことでこれらの問題を解決するものである。
【0010】
通信装置は、通信路を流れる通信開始符号を取得し通信開始のトリガを発する通信開始符号受信部、通信開始符号による通信の確立を制御する経路制御部、通信の開始トリガによって通信相手の宛先アドレスを仮想的に拠点装置内に作り出し、通信開始符号以降に発生するデータパケットの送受信をおこなう終端送受信部、終端した通信データを一時的に記憶するバッファ、通信装置間のデータパケットの送受信を行う拠点間送受信部を備える。
【0011】
通信を開始する端末を通信開始端末、通信に応答する端末を通信応答端末、通信開始端末と同じ拠点に設置された通信装置を開始側通信装置、通信応答端末と同じ拠点に設置された通信装置を応答側通信装置とする。
【0012】
第1の手段として、開始側通信装置は、通信開始符号受信部によって拠点内の通信開始端末から送出された通信開始符号を受信する。受信した通信開始符号が、経路制御部によって送信先通信端末が特定できる場合、終端送受信部は通信開始符号の宛先アドレスを自己のインターフェースに設定する。同時に、拠点間通送受信制御部は、応答側通信装置に、通信応答端末との通信確立要求を、応答側通信装置に送信する。
【0013】
応答側通信装置は、拠点間送受信部から通信応答端末との通信確立要求を受けて、通信応答端末との通信を確立し、通信確立応答を送信する。
【0014】
開始側通信装置は、拠点間送受信部から通信確立応答を受信し、終端送受信部に通信の開始を指示する。終端送受信部は、通信応答端末ではないにも関わらず、通信開始端末との通信を確立する。
【0015】
これによって、本来通信することができない他拠点の端末と、あたかも通信が確立したように動作する。
【0016】
開始側通信装置は、終端送受信部によって通信開始端末からデータを受信すると、拠点間通信制御部が、応答側通信装置に受信したデータを送信する。また、拠点間送受信部によって通信開始端末へのデータを受信すると、終端送受信部が通信開始端末に送信する。
【0017】
応答側通信装置は、終端送受信部によって通信応答端末からデータを受信すると、拠点間通信制御部が、送信側通信装置に受信したデータを送信する。また、拠点間送受信部によって通信応答端末へのデータを受信すると、終端送受信部が通信応答端末に送信する。
【0018】
これによって、送信側通信装置が通信応答端末ではないにも関わらず受信した、通信応答端末へのデータを、通信応答端末へと、送信する。また、応答側通信装置が通信開始端末ではないにも関わらず受信した、通信開始端末へのデータを、通信開始端末へと送信する。
【0019】
第2の手段として、開始側通信装置と応答側通信装置は、起動時に通信装置間リンクを確立する。通信装置間リンクは、広帯域高遅延なネットワークにおいても、通信帯域を最大限利用できるように最適化し、通信装置の起動直後に確立して、通信装置が停止するまで維持する。通信装置間の送受信は、通信装置間リンクを使用して通信する。
【0020】
これによって、広帯域高遅延なネットワークを経由した通信でも、通信性能の低下を抑制する。
【0021】
第3の手段として、通信装置内にバッファを用意し、通信装置間リンクを複数の経路で確立する。拠点間送受信部には、バッファに保持されたデータ列から、任意の長さの符号付きデータを生成する手段と、符号付きデータを元のデータ列に復元できる手段を備える。拠点間通信制御部は、符号付きデータを、複数の通信装置間リンクを使用して送受信する。
【0022】
これによって、1本の通信装置間リンクでは、通信速度の低下を抑制できなかったネットワークにおいても、複数の通信装置間リンクを使用することで、到達保証のためのパケット往復時間による待ち時間を減少させ、通信速度の低下を抑制することができる。また、パケットロスによって輻輳制御が発生した場合においても、輻輳制御が発生していない通信拠点間リンクによって送信することで、通信装置間の送受信を停止させることなく、パケットによる通信速度の低下を抑制する。
【発明の効果】
【0023】
本発明は、開始側通信装置が、通信開始端末との通信を確立し、受信したデータを応答側通信装置へ送信する。データを受信した応答側通信装置は、通信応答端点にデータを送信する。これによって、本来通信することができない他拠点の端末と、他拠点の端末への通信開始符号を送信するだけで通信することを実現する。
【0024】
また、通信装置間リンクを確立し、通信装置間リンクの最適化、ならびに、多重化を行うことで、広帯域高遅延なネットワークを経由した通信で、かつ、パケットロスが発生しやすい環境においても、通信帯域を最大限利用し、通信速度の低下を抑制すること実現する。
【0025】
これによって、異なる拠点の端末が、LANとWANの性能、品質、性質などの通信特性、および、通信プロトコルの違いを吸収し、通信プロトコルの透過性を確保しながら通信することを実現する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の概念図
【図2】本発明の内部構成を示す図
【図3】本発明を利用したネットワーク構成の例を示す図
【図4】本発明を利用してTCP通信を完了するまでのシーケンス図
【図5】本発明の経路制御を示す図
【図6】複数のTCPセッションが本発明の通信装置を経由して通信する場合に、通信装置間を流れるデータを示す図
【発明を実施するための形態】
【0027】
図3は、WANを経由した2拠点間で、本発明を利用したネットワークの構成を示すものである。例えば、図3のネットワークが、企業ネットワークとすると、LAN3100は本社ネットワーク、LAN3200は支社ネットワークである。
【0028】
LAN3100は、ネットワーク192.168.1.0/24で運用されており、LAN3200は、ネットワーク192.168.2.0/24で運用されている。
【0029】
LAN3100には、ルータ3103が設置されており、LAN側のインターフェースに192.168.1.1のIPアドレスが、WAN側のインターフェースにグローバルIPアドレスを割り振られている。
【0030】
LAN3200には、ルータ3203が設置されており、LAN側のインターフェースに192.168.2.1のIPアドレスが、WAN側のインターフェースにグローバルIPアドレスを割り振られている。
【0031】
LAN3100には、通信装置3101が設置されており、IPアドレス192.168.1.100が割り振られている。また、通信装置が、通信装置を識別するための情報として識別子1が設定されている。
【0032】
LAN3200には、通信装置3201が設置されており、IPアドレス192.168.2.100が割り振られている。また、通信装置が、通信装置を識別するための情報として識別子2が設定されている。
【0033】
LAN3100には、端末3102が設置されており、IPアドレス192.168.1.200が割り振られている。また、デフォルトゲートウェイは、ルータ3103に設定されている。
【0034】
LAN3200には、端末3202が設置されており、IPアドレス192.168.2.200が割り振られている。また、デフォルトゲートウェイは、ルータ3203に設定されている。
【0035】
ルータ3103には、ネットワーク192.168.1.0/24に所属する端末(例えば、端末3102)からネットワーク192.168.2.0/24に所属する端末(例えば、端末3202)に送信されるデータを、通信装置3101へルーティングする経路が設定されている。ただし、通信装置3101からネットワーク192.168.2.0/24の端末に送信されるデータは、除外する経路が設定されている。
【0036】
ルータ3203には、ネットワーク192.168.2.0/24に所属する端末(例えば、端末3202)からネットワーク192.168.1.0/24に所属する端末(例えば、端末3102)に送信されるデータを、通信装置3201へルーティングする経路が設定されている。ただし、通信装置3201からネットワーク192.168.1.0/24の端末に送信されるデータは、除外する経路が設定されている。
【0037】
ルータ3203には、グローバルIPが設定されていない通信装置3201へ、WANを経由した端末から通信できるように通信路が確保されている。(例えば、NATよる)
【0038】
このネットワーク構成では、LAN3100に設置した端末3102は、ネットワーク192.168.1.0/24に所属する端末以外の端末と通信する場合、ルータ3103を経由して、応答端末との接続を確立する。ただし、通信相手となる端末がネットワーク192.168.2.0/24に所属する端末の場合、端末3102が送信したデータは、ルータ3103を経由して、通信端末3102へルーティングされる。
【0039】
同様に、LAN3200に設置した端末3202は、ネットワーク192.168.2.0/24に所属する端末以外の端末と通信する場合、ルータ3203を経由して、応答端末との接続を確立する。ただし、通信相手となる端末がネットワーク192.168.1.0/24に所属する端末の場合、端末3202が送信したデータは、ルータ3203を経由して、通信端末3202へルーティングされる。
【0040】
また、通信装置3101が、通信装置3201と通信装置間リンク3002を確立できるように、通信装置3201へのWAN経由した通信手段を確保している。
【0041】
以下は、端末3102を通信開始端末、通信装置3101を開始側通信装置、端末3202を応答端末、通信装置3201を応答側通信装置とし、端末3102が端末3202とTCPセッションを確立し、データを送受信する場合を、図4に従って説明する。また、図2に通信装置の内部構成を示す。
【0042】
通信装置3101には、経路制御部2003が通信装置を特定するための条件として、通信装置が受信したデータの宛先IPアドレスが、ネットワーク192.168.2.0/24宛であった場合、識別子2の通信装置3201に送信する条件を設定する。
【0043】
通信装置3201には、経路制御部2003が通信装置を特定するための条件として、通信装置が受信したデータの宛先IPアドレスが、ネットワーク192.168.1.0/24宛であった場合、識別子1の通信装置3101に送信する条件を設定する。
【0044】
(S4001)
通信装置3101、通信装置3201の両方の通信装置が起動している場合、通信装置3101は、通信装置3201と通信装置間リンク3002を確立する。通信装置間リンク3002には、RFC1323に従って、広帯域高遅延のネットワークにおいても高速に通信できるように、最適化したTCPセッションを使用する。
【0045】
(S4002)
S4001の動作を繰り返し、通信装置3101は、通信装置3201と通信装置間リンク3002を複数確立する。
【0046】
(S4003)
端末3102が、端末3202とTCPセッションを確立しようとすると、通常、端末3102はTCPの接続要求パケットを、デフォルトゲートウェイに設定されているルータ3103へ送信する。ルータ3103は、端末3102から送られてきた、TCPの接続要求パケットを、経路設定に従って、通信装置3101へとルーティングする。
【0047】
通信端末3101は、通信開始符号受信部2002によって、TCPの接続要求パケットを受信する。経路制御部2003は、受信したTCPの接続要求パケットから宛先IPアドレス192.168.2.200を参照し、通信装置を特定する条件と比較して、送信先の通信装置の識別子を特定する。特定した識別子から、送信先の通信装置3201を特定する。(C2101)
【0048】
(S4004)
通信開始符号受信部2002は、終端送受信部2004に、IPアドレス192.168.2.200を、通信装置3101のインターフェース2001に、割り当てるようにを指示する。(C2102)
終端送受信部は、前記指示に従って、IPアドレス192.168.2.200を、通信装置3101のインターフェース2001にエイリアスIPとして割り当てる。
【0049】
(S4005)
また、通信開始符号受信部2002は、拠点間送受信部2007に、通信装置3201が端末3202とTCPセッションを確立する要求を送信するように指示する。(C2103)
【0050】
(S4006)
拠点間送信部2007は、C2103を受けて、端末3201に、通信装置間リンク3002を使用して、端末3202との通信確立要求を送信する。
【0051】
(S4007)
通信装置3201は、拠点間送受信部2007から端末3202との通信確立要求を受信し、終端送受信部2004に、端末3202とTCPセッションを確立するように指示する。(C2104)
【0052】
(S4008)
終端送受信部2004は、端末3202とTCPセッションを確立する。
【0053】
(S4009)
終端送受信部2004は、拠点間送受信部2007が、通信装置3101に通信確立応答を送信するよう指示する。(C2105)
【0054】
(S4010)
拠点間送受信部2007は、通信装置間リンク3002を使用して、通信確立応答を、通信装置3101に送信する。
【0055】
(S4011)
通信装置3101は、拠点間送受信部2007によって、通信装置3201からの通信確立応答を受信しする。拠点間送受信部2007は、終端送受信部に端末3102との通信を確立するように指示する。(C2104)
【0056】
(S4012)
終端送受信部2004は、TCPの通信開始応答パケットを端末3101へと送信し、TCPセッションの確立を完了する。
【0057】
以上の処理によって、通信装置3101のインターフェース2001には、IPアドレス192.168.2.200がエイリアスとして割り当てられ、インターフェース2001のエイリアスを使用することで、通信装置3101は、端末3202ではないにも関わらず、端末3102とのTCPセッションを確立することができる。これによって、端末3102は、端末3202とTCPセッションを確立したようにみえる。
【0058】
(S4013)
以降、端末3102が端末3202にデータを送信しようとすると、通信装置3101に送信することとなり、端末3102が端末3202宛に送信したデータは、通信装置3101が、終端送受信部2004によって受信する。
【0059】
(S4014)
通信装置3101は、終端送受信部2004によって受信したデータを、通信装置内部の送信バッファ2005に保持する。
【0060】
(S4015)
拠点間送受信部2007は、通信装置内部の送信バッファ2005にデータが保持されている場合、送信バッファ2005から任意の長さの符号付きデータを生成し、複数の通信装置間リンク3002の中から、帯域の空いている通信装置間リンクを選択して、通信拠点3201へ符号付データを送信する。
【0061】
(S4015)
通信拠点3201は、拠点間送受信部2007によって、通信装置間リンク3002からデータを受信する。
【0062】
(S4016)
拠点間送受信部2007は、符号付きデータの情報に従って、データを復元し受信バッファ2006に保持する。
【0063】
(S4017)
終端送受信部2004は、受信バッファ2006にデータが保持されている場合、端末3202にデータを送信する。
【0064】
(S4017)
端末3202が端末3102にデータを送信しようとすると、通信装置3201に送信することとなり、端末3202が端末3102宛に送信したデータは、通信装置3201が、終端送受信部2004によって受信する。
【0065】
(S4016)
通信装置3201は、終端送受信部2004によって受信したデータを、通信装置内部の送信バッファ2005に保持する。
【0066】
(S4015)
拠点間送受信部2007は、通信装置内部の送信バッファ2005にデータが保持されている場合、送信バッファ2005から任意の長さの符号付きデータを生成し、複数の通信装置間リンク3002の中から、帯域の空いている通信装置間リンクを選択して、通信拠点3101へ符号付データを送信する。
【0067】
(S4015)
通信拠点3101は、拠点間送受信部2007によって、通信装置間リンク3002からデータを受信する。
【0068】
(S4014)
拠点間送受信部2007は、符号付きデータの情報に従って、データを復元し受信バッファ2006に保持する。
【0069】
(S4013)
終端送受信部2004は、受信バッファ2006にデータが保持されている場合、端末3202にデータを送信する。
【0070】
前記の処理を端末3102、または、端末3202が、TCPセッションの終了、または、中断パケットを送信するまで継続することで、端末3102は、通信装置3101にデータを送信しているにも関わらず、端末3202とデータを送受信する。また、通信装置3101と通信装置3201間のデータの送受信を、符号付きデータを生成して、通信装置間リンク3002を使用して送信することで、広帯域高遅延のネットワークでの通信速度の低下を抑制している。
【0071】
以下は、端末3102がTCPセッションを終了する場合について説明する。
【0072】
(S4018)
端末3102が、TCPセッションの通信終了パケットを送信すると、通信装置3101は、終端送受信部2004によって、通信終了パケットを受信する。
【0073】
(S4019)
終端送受信部2004は、拠点間送受信部2007に、通信装置3201が端末3202との通信を終了する要求を送信するように指示する。(C2105)
【0074】
(S4020)
拠点間送受信部2007は、通信装置3201に、通信装置3201と端末3202との通信終了要求を、通信装置間リンク3002によって送信する。
【0075】
(S4020)
通信装置3201は、拠点間送受信部2007から通信終了要求を受信する。
【0076】
(S4021)
拠点間送受信部2007は、終端送受信部2004に、端末3202とのTCPセッションを終了するように指示する。(C2104)
【0077】
(S4022)
終端送受信部2004は、端末3202とのTCPセッションを終了する。
【0078】
(S4023)
終端送受信部2004は、拠点間送受信部2007に、通信終了応答を送信するように指示する。(C2105)
【0079】
(S4024)
拠点間送受信部2007は、通信装置3101に通信装置間リンク3002によって、通信終了応答を送信する。
【0080】
(S4024)
通信装置3101は、拠点間送受信部2007によって、通信終了応答を受信する。
【0081】
(S4025)
拠点間送受信部2007は、終端送受信部2004に通信が終了したことを通知し、終端送受信部2004は、端末3202との通信情報の破棄をする。
【0082】
以下では、1台の通信装置が複数の拠点に設置された通信装置と通信する場合について説明する。
【0083】
図5は、WANを経由した3拠点間で、本発明を利用したネットワークの構成を示すものである。例えば、図5のネットワークを、企業ネットワークとすると、LAN5100は企業ネットワークにおける本社ネットワーク、LAN5200、LAN5300は、支社ネットワークとする。
【0084】
LAN5100は、ネットワーク192.168.1.0/24で、LAN5200は、ネットワーク192.168.2.0/24で、LAN5300は、ネットワーク192.168.3.0/24で運用されている。
【0085】
LAN5100には、通信装置5101が設置されており、IPアドレス192.168.1.100が割り振られている。また、通信装置の識別符号として識別子1が設定されており、通信装置を特定する条件として、経路制御条件5103が設定されている。
【0086】
LAN5200には、通信装置5201が設置されており、されており、IPアドレス192.168.2.100が割り振られている。また、通信装置の識別符号として識別子1が設定されており、通信装置を特定する条件として、経路制御条件5203が設定されている。
【0087】
LAN5300には、通信装置5301が設置されており、されており、IPアドレス192.168.3.100が割り振られている。また、通信装置の識別符号として識別子1が設定されており、通信装置を特定する条件として、経路制御条件5303が設定されている。
【0088】
LAN5100には、端末5102が設置されており、IPアドレス192.168.1.200が割り振られている。
【0089】
端末5102が端末5202とTCPセッションの確立を要求すると、通信装置5101は、端末5102からTCPの通信開始パケットを受信し、通信開始パケットが示すIPアドレス192.168.2.200と、経路制御情報5103によって、識別子2を特定する。通信装置5101は、通信装置間リンクが確立されている通信装置の中から、識別子2に該当する通信装置5201に、通信開始パケットを送信する。
【0090】
同様に、端末5102が端末5302とTCPセッションの確立を要求すると、通信装置5101は、端末5102からTCPの通信開始パケットを受信し、通信開始パケットが示すIPアドレス192.168.3.200と、経路制御情報5103によって、識別子3を特定する。通信装置5101は、通信装置間リンクが確立されている通信装置の中から、識別子3に該当する通信装置5301に、通信開始パケットを送信する。
【0091】
以下は、通信装置を経由して複数のTCPセッションが確立された場合に、通信装置間を流れるデータについて説明する。
【0092】
図6は、WANを経由した2拠点間で、本発明を利用したネットワークを構成し、複数のTCPセッションが通信装置を経由して通信した場合に、通信装置間リンク3002を流れるデータを示すものである。
【0093】
複数の端末が通信装置を経由してTCP通信を行う場合、各TCPセッションのデータは、通信装置6103と通信装置6203の間では、符号付きデータに変換されて、帯域の空いている通信装置間リンク3002を使用して送受信される。つまり、1本の通信装置間リンクは、複数のTCPセッションのデータを、混成して送受信する。
【符号の説明】
【0094】
2001 インターフェース
2002 通信開始符号受信部
2003 経路制御部
2004 終端送受信部
2005 送信バッファ
2006 受信バッファ
2007 拠点間送受信部
3002 通信装置間リンク
3100、3200 LAN
3101、3201 通信装置
3102、3202 端末
3103、3203 ルータ
5100、5201、5301 LAN
5101、5202、5302 通信装置
5102、5203、5303 端末
5103、5204、5304 経路制御条件
6100、6200 LAN
6101、6201 通信装置
6102、6103、6104、6202、6203 端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上のインターフェースを備えた装置であって、次の手段を備えた通信装置、または、システム。
・インターフェースから受信した通信開始符号が示す宛先アドレスを、前記インターフェースに設定する手段
・前記通信開始符号による通信を確立し、通信終了符号を受信するか、通信切断符号を受信するまで通信する手段
・インターフェースから受信した通信開始符号による通信を確立するか、または、無視するかを管理する手段
【請求項2】
請求項1に記載の通信装置、または、システムであって、次の手段を備えたもの。
・入力されたデータを、任意の長さのデータに分割し、分割されたデータに順序を示す符号を付与した、符号付きデータを生成する手段
・前記符号付きデータを、付与された符号によって、分割前のデータに復元する手段
・符号付きデータを1つ以上のインターフェースによって送信する手段
・1つ以上のインターフェースから、符号付きデータを受信する手段
【請求項3】
請求項1に記載の通信装置、または、システムであって、次の手段を備えたもの。
・インターフェースから受信したデータの送信先となる通信装置を特定するための手段
・2台以上の通信装置が、互いに通信可能な経路を確立し、通信装置がインターフェースから受信したデータを、前記手段によって特定した通信装置へ送信する手段
【請求項4】
請求項2に記載の通信装置、または、システムであって、次の手段を備えたもの。
・インターフェースから受信したデータの送信先となる通信装置を特定するための手段
・2台以上の通信装置が、互いに通信可能な経路を確立し、通信装置がインターフェースから受信したデータを、前記手段によって特定した通信装置へ送信する手段
【請求項5】
請求項4に記載の通信装置、または、システムであって、2台以上の通信装置が、データの送信先となる通信装置を特定するための情報を、交換する手段を備えた記載の通信装置、または、システム。
【請求項6】
請求項5に記載の通信装置、または、システムであって、下記の手段を備えるもの。
・通信装置間で送信するデータを圧縮すると共に、受信するデータを伸長する手段
・通信装置間で送信するデータを暗号化すると共に、受信するデータを復号化する手段

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−234329(P2011−234329A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−116742(P2010−116742)
【出願日】平成22年4月28日(2010.4.28)
【出願人】(505407508)株式会社クレアリンクテクノロジー (2)
【Fターム(参考)】