説明

通信装置及び通信制御プログラム

【課題】通信装置からの発信に起因するトラブルを適切に防止する。
【解決手段】携帯電話機100は、発信指示された通信先の通信装置を特定する通信先識別子が、あらかじめ通信装置を特定する識別子が登録された記憶部に登録されているか否かを判定する登録判定部156を備える。また、携帯電話機100は、登録判定部156によって通信先識別子が登録されていると判定されたら、通信先の通信装置に対する発信を行い、登録されていないと判定されたら、あらかじめ設定された特定の通信装置に対して発信を行う発信制御部158を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置及び通信制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話機などの通信装置の普及に伴い、各種のトラブルが増加している。例えば、心当たりのない電話番号から電話がかかってきてユーザが出る前に電話が切れた場合、着信履歴として相手先の電話番号が残る。そこで、着信履歴に残された電話番号にコールバックで電話をかけると、音声案内等にしたがって有料番組に接続されて多額の請求書が送られる場合がある。
【0003】
また、着信履歴に残された電話番号にコールバックで電話をかけると、携帯電話機の発番号通知機能によって、悪徳業者のデータベースにユーザの電話番号が登録され、法外な請求書が送られる等のトラブルもある。
【0004】
そこで従来、ユーザが設定した回数より着信の呼び出し音の鳴動回数が小さい場合には、着信時の通知を制限することが知られている。また、ユーザが設定した回数より着信の呼び出し音の鳴動回数が小さく、電話帳に未登録の電話番号からの着信に対して、コールバックで電話をかける際には、自動的に発信者番号を非通知に設定することが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−312437号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来技術は、通信装置からの発信に起因するトラブルを適切に防止することについては考慮されていない。
【0007】
すなわち、従来技術を用いれば、着信履歴からのコールバック時に所定の条件を満たしたら自動的に発信者番号が非通知に設定されるので、ユーザの電話番号が悪徳業者のデータベースに登録されるのを防止することができる。
【0008】
しかしながら、発信者番号を非通知に設定したとしても、例えば音声案内等にしたがって有料番組に接続されて多額の請求書が送られるおそれがある。特に近年、判断能力が十分ではない高齢者の携帯電話機の保有が増加しており、高齢者を狙った振り込め詐欺も増加している。したがって、高齢者などの判断能力が十分ではない者が所有する通信装置から発信を行う場合には、発信先の通信装置の所持者の悪意の有無を事前にチェックすることが重要となる。
【0009】
開示の技術は、上記に鑑みてなされたものであって、通信装置からの発信に起因するトラブルを適切に防止することができる通信装置及び通信制御プログラムを実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願の開示する通信装置は、一つの態様において、発信指示された通信先の通信装置を特定する通信先識別子が、あらかじめ通信装置を特定する識別子が登録された記憶部に登録されているか否かを判定する判定部を備える。また、通信装置は、前記判定部によって前記通信先識別子が登録されていると判定されたら、前記通信先の通信装置に対する発信を行い、登録されていないと判定されたら、あらかじめ設定された特定の通信装置に対して発信を行う発信制御部を備える。
【発明の効果】
【0011】
本願の開示する通信装置の一つの態様によれば、通信装置を用いた通信に起因するトラブルを適切に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、携帯電話機の処理の概要を説明する図である。
【図2】図2は、特定の携帯電話機から通知されるvCardの内容の一例を示す図である。
【図3】図3は、携帯電話機のハードウェア構成を示す図である。
【図4】図4は、携帯電話機の登録チェック前の電話帳の内容の一例を示す図である。
【図5】図5は、携帯電話機の登録チェック後の電話帳の内容の一例を示す図である。
【図6】図6は、携帯電話機の機能ブロックを示す図である。
【図7】図7は、携帯電話機の処理のフローチャートである。
【図8】図8は、携帯電話機の処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本願の開示する通信装置及び通信制御プログラムの実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態により開示技術が限定されるものではない。例えば、以下の実施形態では、通信装置の一例として携帯電話機を挙げて説明するが、これに限らず、通信機能を備えた通信装置であればよい。
【0014】
まず初めに、本実施形態の携帯電話機の処理の概要を説明する。図1は、携帯電話機の処理の概要を説明する図である。図1は、本実施形態の携帯電話機Aが、電話帳に登録されていない携帯電話機Cからの着信を受け、コールバックによって携帯電話機Cに発信する場合の一例を示す図である。また、図1は、携帯電話機Aの電話帳に携帯電話機Cが登録されていない場合の発信先として、携帯電話機Bがあらかじめ設定されている場合の一例を示す図である。例えば、携帯電話機Aの所持者が高齢者である場合は、携帯電話機Aの所持者の家族(子供)など、判断能力を十分に有する者が所持する携帯電話機などが、特定の携帯電話機Bとしてあらかじめ設定される。
【0015】
図1に示すように、まず、携帯電話機Cは携帯電話機Aに対して発信する(ステップS101)。携帯電話機Aは、携帯電話機Cから発信された電話を着信する(ステップS102)。携帯電話機Cは、携帯電話機Aに着信があった後、呼を切断する(ステップS103)。これにより、携帯電話機Aの着信履歴には、携帯電話機Cの電話番号が残る。
【0016】
続いて、携帯電話機Aは、着信履歴に残された携帯電話機Cの電話番号に対する発信指示を利用者から受け付ける(ステップS104)。すると、携帯電話機Aは、電話帳に携帯電話機Cの電話番号が登録されているか否かを判定する(ステップS105)。ここで、携帯電話機Aは、電話帳に携帯電話機Cの電話番号が登録されていないと判定するので(ステップS105、No)、発信先を携帯電話機Bに自動的に変更して発信を行う(ステップS106)。なお、携帯電話機Aから携帯電話機Bへ発信された電話に含まれるSETUP信号には携帯電話機Cの電話番号が追加される。
【0017】
携帯電話機Bは、携帯電話機Aから発信された電話を着信する(ステップS107)。続いて、携帯電話機Bは、呼を切断する(ステップS108)。これにより、携帯電話機Bには、携帯電話機Cの電話番号が通知される。そして、携帯電話機Bは、呼を切断すると、自動的に携帯電話機Cに対して発信する(ステップS109)。
【0018】
一方、携帯電話機Aは、ステップS106において発信先を携帯電話機Bに変更して発信を行った後、「通信先を確認します。電話を切ってしばらくお待ちください」などのガイダンスをスピーカから出力させる(ステップS110)。そして、携帯電話機Aは、呼を切断する(ステップS111)。なお、携帯電話機Aは、携帯電話機Bが携帯電話機Aから発信された電話を着信した後、携帯電話機Bのユーザと通話を行ってからガイダンスを生成することもできるし、通話を行うことなくガイダンスを生成することもできる。
【0019】
携帯電話機Cは、携帯電話機Bから発信された電話を着信する(ステップS112)。そして、携帯電話機Bのユーザと携帯電話機Cのユーザとの間で通話が行われる(ステップS113)。携帯電話機Bのユーザは、携帯電話機Cのユーザとの通話によって、携帯電話機Cのユーザが悪意のある者であるか否かを判断する。ここでは、携帯電話機Bのユーザは、携帯電話機Cのユーザを悪意のない者であり、携帯電話機Cは安全な発信先であると判断したものとする。
【0020】
携帯電話機Bは、呼を切断し(ステップS114)、携帯電話機Bの電話帳に携帯電話機Cの電話番号を登録する(ステップS115)。携帯電話機Bは、携帯電話機Cの電話番号が電話帳に登録されると、通知情報を生成して携帯電話Aに送信する。例えば、自動又は手動でSMS(Short Message Service)を利用して、vCard方式で携帯電話機Cの電話番号を携帯電話機Aに送信する(ステップS116)。なお、vCardとは、電子名刺情報の規格であり、項目として名前、住所、電話番号等を含むことが可能である。また、vCardのみならず、SMSや電子メールに添付可能であり、電話番号情報を含むことが可能である形式であればどのようなフォーマットのデータであっても構わない。更に、SMSや電子メールの本文やヘッダに電話番号情報を含めることも考えられるが、本実施の形態では、vCardを用いた例を説明する。
【0021】
ここで、携帯電話機Bから送信されるvCardの一例を説明する。図2は、特定の携帯電話機から通知されるvCardの内容の一例を示す図である。図2に示すように、vCardのフォーマット300は、「BEGIN:VCARD」で始まり、「END:VCARD」で終了する。また、フォーマット300には、vCardのバージョンを示す「VERSION:2.1」と、vCardが表現するオブジェクトの名前として「N:携帯電話機C」とが含まれる。また、フォーマット300には、vCardが表現するオブジェクトの名前に対応するフォーマット化されたテキストを指定するため、「FN:携帯 電話機C」が含まれる。また、フォーマット300には、vCardが表現するオブジェクトとの電話通信のための電話番号を指定し、住居に関連した電話番号を表し、音声電話の電話番号を表すために、「TEL;HOME;VOICE:090−1234−5678」が含まれる。
【0022】
図1の説明に戻って、携帯電話機Aは、携帯電話機BからSMSを受信したら、受信した携帯電話機Cの電話番号を、携帯電話機Bの電話帳に同期して携帯電話機Aの電話帳に登録する(ステップS117)。そして、携帯電話機Aは、携帯電話機Cの電話番号に再度発信したら(ステップS104)、電話帳に携帯電話機Cの電話番号が登録されていると判定されるので(ステップS105、Yes)、そのまま携帯電話機Cへ通常発信を行う(ステップS118)。
【0023】
以上のように、本実施形態の携帯電話機Aによれば、携帯電話機Aからの発信に起因するトラブルの発生を適切に防止することができる。すなわち、携帯電話機Aから発信が行われる際に、発信先の携帯電話機Cを特定する識別子(電話番号)が電話帳に登録されているか否かを判定し、登録されている場合には携帯電話機Cの所有者が悪意のない者であると判断できるので、そのまま通常発信を行う。一方、携帯電話機Cの識別子が登録されていない場合は、あらかじめ設定された特定の携帯電話機Bに発信先を自動的に切り替えることにより、電話帳に登録されていない電話番号に発信が行われた旨が携帯電話機Bに通知される。したがって、この通知を受けた携帯電話機Bの所持者は、携帯電話機Cの所持者が悪意のある者であるか否かを事前に確認することができる。そして、確認の結果、携帯電話機Cの所持者に悪意がないと判断すれば、携帯電話機Cの電話番号を電話帳に登録することにより、携帯電話機Cの電話番号が携帯電話機Aに送信され、携帯電話機Aの電話帳にも登録される。よって、その後携帯電話機Aから携帯電話機Cへ発信を行うと、そのまま携帯電話機Cに対して発信が行われる。また、仮に携帯電話機Cの所持者に悪意の疑いがある場合には、携帯電話機Aには携帯電話機Cの電話番号が登録されないので、携帯電話機Aから携帯電話機Cへ直接発信が行われることを防止することができる。
【0024】
次に、本実施形態の携帯電話機の詳細を説明する。図3は、携帯電話機のハードウェア構成を示す図である。図3に示すように、本実施形態の携帯電話機100は、アンテナ102、無線部104、スピーカ108、マイク110、及びオーディオ入出力部112を備える。また、携帯電話機100は、記憶部130、表示部136、キー入力部138、及びプロセッサ140を備える。
【0025】
無線部104は、アンテナ102を介して音声や文字などの各種データの無線通信を行う。また、オーディオ入出力部112は、マイク110を介して音声を入力するとともにスピーカ108を介して音声を出力する入出力インターフェースである。
【0026】
記憶部130は、例えばROM(Read Only Memory)132やRAM(Random Access Memory)134を含み、携帯電話機100の各種機能を実行するためのデータ、各種機能を実行するための各種プログラム、携帯電話機100の電話帳等が格納される。電話帳には、携帯電話機の名前に対応付けて、携帯電話機を特定する識別子となる電話番号が格納される。
【0027】
ここで、記憶部130に格納される電話帳の一例を説明する。図4は、携帯電話機の登録チェック前の電話帳の内容の一例を示す図であり、図5は、携帯電話機の登録チェック後の電話帳の内容の一例を示す図である。図4,図5は、携帯電話機Cの登録チェック前には携帯電話機Bのみが電話帳に登録されており、登録チェック後に、携帯電話機Cが追加された場合の一例を示すものである。
【0028】
図4に示すように、携帯電話機100の電話帳200は、携帯電話機の名前202の項目と、電話番号204の項目とを有する。また、図4に示すように、発信先の電話番号が電話帳に登録されているか否かの登録チェック前には、電話帳200には、名前202の項目に「携帯電話機B」が登録されている。また、電話帳200の電話番号204の項目には、携帯電話機Bに対応して「09011111111」という電話番号が登録されている。
【0029】
一方、図5に示すように、発信先の携帯電話機の登録チェックがされて、発信先の携帯電話機の所持者に悪意がないと判断された後には、電話帳200には、名前202の項目に「携帯電話機C」が追加して登録される。また、電話帳200の電話番号204の項目には、携帯電話機Cに対応して「09012345678」という電話番号が追加して登録される。
【0030】
図3の説明に戻って、表示部136は、文字や画像などの各種情報を表示する液晶パネル等の出力インターフェースである。キー入力部138は、携帯電話機100に設けられた各種の操作キーであり、ユーザから入力された操作を受け付ける入力インターフェースである。
【0031】
プロセッサ140は、ROM132又はRAM134に格納された各種プログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)等の演算処理部である。プロセッサ140は、ROM132又はRAM134に格納された各種プログラムを実行することにより、上述した無線部104、オーディオ入出力部112、表示部136、及びキー入力部138を制御する。なお、プロセッサ140で実行されるプログラムは、ROM132又はRAM134に格納されるだけではなく、CD(Compact Disc)−ROMやメモリ媒体等の頒布できる記憶媒体に記録しておき、記憶媒体から読み出して実行することができる。また、ネットワークを介して接続されたサーバにプログラムを格納し、サーバ上でプログラムが動作するようにしておいて、ネットワークを介して接続される携帯電話機100からの要求に応じてサービスを要求元の携帯電話機100に提供することもできる。
【0032】
図6は、携帯電話機の機能ブロックを示す図である。図6に示すように、携帯電話機100は、電話発信部152、着信履歴発信部154、登録判定部156、発信制御部158、SMS受信部160、登録部162、及びガイダンス生成部164を備える。電話発信部152、着信履歴発信部154、登録判定部156、発信制御部158、SMS受信部160、登録部162、及びガイダンス生成部164は、プロセッサ140がROM132又はRAM134から各種プログラムを読み出して実行することによって実現される。
【0033】
電話発信部152は、キー入力部138を介してテンキー入力によって入力された電話番号の携帯電話機に対して発信を行う。着信履歴発信部154は、携帯電話機100の着信履歴に残された電話番号に対してリダイヤルすることにより発信を行う。
【0034】
登録判定部156は、電話発信部152又は着信履歴発信部154によって発信された通信先の通信装置を特定する通信先識別子が、記憶部130に登録されているか否かを判定する。
【0035】
発信制御部158は、登録判定部156によって通信先識別子が登録されていると判定されたら、通信先の通信装置に対する発信を行い、登録されていないと判定されたら、あらかじめ設定された特定の通信装置に対して発信を行う。
【0036】
SMS受信部160は、特定の通信装置(例えば、図1における携帯電話機B)から送信された無線信号(SMS)を受信する。登録部162は、SMS受信部160によって受信された無線信号に通信先識別子が含まれている場合には、その通信先識別子を記憶部130に登録する。
【0037】
ガイダンス生成部164は、登録判定部156によって通信先識別子が登録されていないと判定され、発信制御部158によって特定の通信装置に対して発信が行われた後に、発信先の通信装置の確認を行う旨のガイダンスを生成してスピーカ108から出力する。
【0038】
図7は、携帯電話機の処理のフローチャートである。図7は、携帯電話機100が着信履歴に残された電話番号に発信を行った際の処理のフローチャートである。
【0039】
図7に示すように、着信履歴発信部154は、着信履歴に残された電話番号に対する発信の指示を利用者から受け付ける(ステップS201)。続いて、登録判定部156は、発信先の電話番号が電話帳に登録されているか否かを判定する(ステップS202)。発信制御部158は、発信先の電話番号が電話帳に登録されている場合には(ステップS202、Yes)、そのまま発信先の携帯電話機へ発信を行う(ステップS203)。
【0040】
一方、発信制御部158は、発信先の電話番号が電話帳に登録されていない場合には(ステップS202、No)、SETUP信号の付加情報に発信先の電話番号を追加する(ステップS204)。続いて、発信制御部158は、発信先を、あらかじめ設定された特定の通信装置の電話番号である特定電話番号に設定して(ステップS205)、音声発信を行う(ステップS206)。
【0041】
続いて、ガイダンス生成部164は、「発信先を確認します。電話を切ってしばらくお待ちください」などのガイダンスを生成して、スピーカ108から出力させる(ステップS207)。そして、着信履歴発信部154は、呼を切断する(ステップS208)。
【0042】
その後、SMS受信部160は、SMSを受信したか否かを判定する(ステップS209)。SMS受信部160は、SMSを受信していないと判定したら(ステップS209、No)、SMSを受信するまでステップS209の判定を繰り返す。
【0043】
一方、SMS受信部160は、SMSを受信したと判定したら(ステップS209、Yes)、vCard付きSMSを受信したか否かを判定する(ステップS210)。SMS受信部160は、vCard付きSMSを受信していないと判定したら(ステップS210、No)、通常どおりSMSを受信して(ステップS211)、処理を終了する。
【0044】
一方、登録部162は、vCard付きSMSを受信したと判定したら(ステップS210、Yes)、vCardによって通知された電話帳データを記憶部130に追加して(ステップS212)、処理を終了する。
【0045】
なお、本実施形態では、着信履歴に残された電話番号にコールバックした場合を例に説明したが、これには限られない。すなわち、キー入力部138を介してテンキー入力によって入力された電話番号の携帯電話機に対して発信を行う場合にも同様に適用することができる。以下、テンキー入力によって入力された電話番号の携帯電話機に対して発信を行った場合の携帯電話機100の処理を説明する。
【0046】
図8は、携帯電話機の処理のフローチャートである。図8に示すように、電話発信部152は、テンキーによる電話番号の入力が行われたか否かを判定する(ステップS301)。電話発信部152は、テンキーによる電話番号の入力が行われていないと判定されたら(ステップS301、No)、ステップS301の判定を繰り返す。
【0047】
一方、電話発信部152は、テンキーによる電話番号の入力が行われたと判定されたら(ステップS301、Yes)、テンキーによって入力された電話番号に発信する(ステップS302)。続いて、登録判定部156は、発信先の電話番号が電話帳に登録されているか否かを判定する(ステップS303)。発信制御部158は、発信先の電話番号が電話帳に登録されている場合には(ステップS303、Yes)、そのまま発信先の携帯電話機へ発信を行う(ステップS304)。
【0048】
一方、発信制御部158は、発信先の電話番号が電話帳に登録されていない場合には(ステップS303、No)、SETUP信号の付加情報に発信先の電話番号を追加する(ステップS305)。続いて、発信制御部158は、発信先を、あらかじめ設定された特定の通信装置の電話番号である特定電話番号に設定して(ステップS306)、音声発信を行う(ステップS307)。
【0049】
続いて、ガイダンス生成部164は、「発信先を確認します。電話を切ってしばらくお待ちください」などのガイダンスを生成して、スピーカ108から出力させる(ステップS308)。そして、電話発信部152は、呼を切断する(ステップS309)。
【0050】
その後、SMS受信部160は、SMSを受信したか否かを判定する(ステップS310)。SMS受信部160は、SMSを受信していないと判定されたら(ステップS310、No)、SMSを受信するまでステップS310の判定を繰り返す。
【0051】
一方、SMS受信部160は、SMSを受信したと判定されたら(ステップS310、Yes)、vCard付きSMSを受信したか否かを判定する(ステップS311)。SMS受信部160は、vCard付きSMSを受信していないと判定されたら(ステップS311、No)、通常どおりSMSを受信して(ステップS312)、処理を終了する。
【0052】
一方、登録部162は、vCard付きSMSを受信したと判定されたら(ステップS311、Yes)、vCardによって通知された電話帳データを記憶部130に追加して(ステップS313)、処理を終了する。
【0053】
以上のように、本実施形態の携帯電話機100によれば、携帯電話機100からの発信に起因するトラブルの発生を適切に防止することができる。すなわち、携帯電話機100は、携帯電話機100から他の通信装置に発信が行われる際に、発信先の通信装置を特定する識別子(例えば電話番号)が電話帳に登録されているか否かを判定する。そして、携帯電話機100は、発信先の通信装置が電話帳に登録されている場合には発信先の通信装置の所有者が悪意のない者であると判断できるので、そのまま通常発信を行う。一方、携帯電話機100は、発信先の通信装置の識別子が登録されていない場合は、あらかじめ設定された特定の通信装置に発信先を自動的に切り替えて、電話帳に登録されていない電話番号に発信が行われた旨が特定の通信装置に通知される。したがって、この通知を受けた特定の通信装置の所持者は、発信先の通信装置の所持者が悪意のある者であるか否かを事前に確認することができる。そして、確認の結果、発信先の通信装置の所持者に悪意がないと判断すれば、発信先の通信装置の電話番号を電話帳に登録することにより、発信先の通信装置の電話番号が携帯電話機100に送信され、携帯電話機100の電話帳にも登録される。よって、その後携帯電話機100から発信先の通信装置へ発信が行われると、そのまま通常どおりに発信が行われる。また、仮に発信先の通信装置の所持者に悪意の疑いがある場合には、携帯電話機100には発信先の通信装置の電話番号が登録されないので、携帯電話機100から発信先の通信装置へ直接発信が行われることを防止することができる。
【0054】
なお、本実施形態は、主に携帯電話機を中心に説明したが、これに限らず、あらかじめ用意された通信制御プログラムをコンピュータで実行することによって、上述の実施形態と同様の機能を実現することができる。すなわち、通信制御プログラムは、通信装置に、発信指示された通信先の通信装置を特定する通信先識別子が、あらかじめ通信装置を特定する識別子が登録された記憶部に登録されているか否かを判定する処理を実行させる。また、通信制御プログラムは、前記判定の結果、前記通信先識別子が登録されていると判定されたら、前記通信先の通信装置に対する発信を行い、登録されていないと判定されたら、あらかじめ設定された特定の通信装置に対して発信を行う処理を実行させる。なお、通信制御プログラムは、インターネットなどの通信ネットワークを介してコンピュータに配布することができる。また、通信制御プログラムは、受信機に設けられたメモリ、ハードディスク、その他のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行することもできる。
【符号の説明】
【0055】
100 携帯電話機
108 スピーカ
130 記憶部
140 プロセッサ
152 電話発信部
154 着信履歴発信部
156 登録判定部
158 発信制御部
160 SMS受信部
162 登録部
164 ガイダンス生成部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発信指示された通信先の通信装置を特定する通信先識別子が、あらかじめ通信装置を特定する識別子が登録された記憶部に登録されているか否かを判定する判定部と、
前記判定部によって前記通信先識別子が登録されていると判定されたら、前記通信先の通信装置に対する発信を行い、登録されていないと判定されたら、あらかじめ設定された特定の通信装置に対して発信を行う発信制御部と、
を備えることを特徴とする通信装置。
【請求項2】
前記特定の通信装置から送信された通知情報を受信する受信部と、
前記受信部によって受信された通知情報に前記通信先識別子が含まれている場合には、該通信先識別子を前記記憶部に登録する登録部と、
をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
通信装置に、
発信指示された通信先の通信装置を特定する通信先識別子が、あらかじめ通信装置を特定する識別子が登録された記憶部に登録されているか否かを判定し、
前記判定の結果、前記通信先識別子が登録されていると判定されたら、前記通信先の通信装置に対する発信を行い、登録されていないと判定されたら、あらかじめ設定された特定の通信装置に対して発信を行う、
処理を実行させることを特徴とする通信制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−244473(P2012−244473A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−113670(P2011−113670)
【出願日】平成23年5月20日(2011.5.20)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】