説明

通信装置

【課題】 電子メールの受信側の通信装置が、受信済みの電子メールによって表わされる画像を出力可能であるのか否かを、電子メールの送信側のデバイスに迅速に知らせることができる技術を提供する。
【解決手段】 多機能機は、S14で確立された通信セッションを用いて、外部装置から電子メールを受信する。S16では、多機能機は、電子メールに含まれる添付ファイルのデータ形式に基づいて、添付ファイルのデータによって表わされる画像を出力可能であるのか否かを判断する電子メール判断処理を実行する。画像を出力可能であると判断される場合に、S20において、多機能機は、画像が出力される前に、S14で確立された通信セッションを用いて、OKコマンドを外部装置に送信する。画像を出力不可能であると判断される場合に、S26において、S14で確立された通信セッションを用いて、NGコマンドを外部装置に送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書では、特定のデバイスと通信可能に接続される通信装置を開示する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、インターネットファクシミリ装置(以下では「IFAX装置」と記載する)が開示されている。IFAX装置は、SMTP(Simple Mail Transfer Protocol)に従って、当該IFAX装置と別体に構成されるメールサーバを介さずに、他のIFAX装置との間で電子メール通信を実行する機能(いわゆるダイレクトSMTP)を備える。
【0003】
電子メールの受信側のIFAX装置が即時応答モードに設定されている場合には、当該IFAX装置は、受信済みの電子メールの印刷処理を実行可能であるのか否かを判断する前に、DATAコマンドが正常に終了したことを示す2XXコマンドを、電子メールの送信側のIFAX装置に送信する。一方、電子メールの受信側のIFAX装置がプロセス後応答モードに設定されている場合には、当該IFAX装置は、受信済みの電子メールの印刷処理が実行された後に、印刷処理を実行可能であることを示す2XXコマンドを、電子メールの送信側のIFAX装置に送信する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−208712号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の特許文献1の技術では、受信側のIFAX装置が即時応答モードに設定されている場合には、送信側のIFAX装置は、受信側のIFAX装置が印刷処理を実行可能であることを示す情報を得ることができない。一方、受信側のIFAX装置がプロセス後応答モードに設定されている場合には、送信側のIFAX装置は、受信側のIFAX装置が印刷処理を実行可能であることを示す情報を得ることができるが、受信側のIFAX装置が印刷処理を終了するまで当該情報を得ることができない。
【0006】
本明細書では、電子メールの受信側の通信装置が、受信済みの電子メールによって表わされる画像を出力可能であるのか否かを、電子メールの送信側のデバイスに迅速に知らせることができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書によって開示される技術は、特定のデバイスと通信可能に接続される通信装置である。この通信装置は、第1の受信部と、判断部と、出力制御部と、第1の送信部と、を備える。第1の受信部は、上記の特定のデバイスと通信装置との間で確立される特定の通信セッションを用いて、上記の特定のデバイスから第1の電子メールを受信する。判断部は、第1の電子メールの受信に用いられた上記の特定の通信セッションが確立されている間に、第1の電子メールに含まれる第1のデータのデータ形式に基づいて、第1のデータによって表わされる第1の画像を出力可能であるのか否かを判断する第1の判断処理を実行する。出力制御部は、第1の判断処理において、第1の画像を出力可能であると判断される場合に、第1の画像を出力部に出力させる。第1の送信部は、第1の判断処理において、第1の画像を出力可能であると判断される場合に、第1の画像が出力される前に、第1の電子メールの受信に用いられた上記の特定の通信セッションを用いて、第1種の情報を上記の特定のデバイスに送信する。第1の送信部は、第1の判断処理において、第1の画像を出力不可能であると判断される場合に、第1の電子メールの受信に用いられた上記の特定の通信セッションを用いて、第1種の情報と異なる第2種の情報を上記の特定のデバイスに送信する。
【0008】
上記の通信装置は、第1の判断処理において、第1の画像を出力可能であると判断される場合に、第1の画像が出力される前に、第1種の情報を上記の特定のデバイスに送信する。従って、第1の画像が出力された後に、第1種の情報を上記の特定のデバイスに送信する構成と比較して、第1種の情報を上記の特定のデバイスに迅速に提供することができる。また、通信装置は、第2の判断処理において、第1の画像を出力不可能であると判断される場合に、第2種の情報を上記の特定のデバイスに送信する。第1の電子メールの受信に用いられた通信セッションを用いて、第1種又は第2種の情報が送信される。このため、通信装置は、通信装置と上記の特定のデバイスとの間に新たな通信セッションを確立する必要がなく、第1種又は第2種の情報を迅速に提供することができる。この構成によると、通信装置は、受信済みの電子メールによって表わされる第1の画像を出力可能であるのか否かを、上記の特定のデバイスに迅速に知らせることができる。
【0009】
上記の通信装置は、上記の特定のデバイスと別体に構成されている電子メールサーバから、第2の電子メールを受信する第2の受信部をさらに備えていてもよい。判断部は、さらに、第2の電子メールに含まれる第2のデータのデータ形式に基づいて、第2のデータによって表わされる第2の画像を出力可能であるのか否かを判断する第2の判断処理を実行してもよい。出力制御部は、さらに、第2の判断処理において、第2の画像を出力可能であると判断される場合に、第2の画像を出力部に出力させてもよい。第1の送信部は、さらに、第2の画像を出力可能であるのか否かに関わらず、第1種の情報と第2種の情報のいずれの情報も送信しなくてもよい。この構成によれば、電子メールの送信元のデバイスと異なる電子メールサーバに、第1種又は第2種の情報を送信しなくて済む。
【0010】
上記の通信装置は、第2の判断処理において、第2の画像を出力不可能であると判断される場合に、第2の電子メールに含まれる送信元メールアドレスを送信先として、第2の画像を出力不可能であることを示す第4種の情報を含む特定の電子メールを送信する第2の送信部をさらに備えていてもよい。この構成によれば、第2の電子メールの送信元のデバイスのユーザは、上記の特定の電子メールの内容を確認することによって、通信装置が第2の画像を出力不可能であることを知ることができる。
【0011】
判断部は、さらに、第2のデータのデータサイズと、第2の画像のページ数と、第2の画像に含まれる文字列と、の少なくとも1つを用いて、第2の画像を出力可能であるのか否かを判断する第3の判断処理を実行してもよい。第2の判断処理において、第2の画像を出力可能であると判断され、かつ、第3の判断処理において、第2の画像を出力可能であると判断される場合に、出力制御部は、第2の画像を出力部に出力させてもよい。第3の判断処理において、第2の画像を出力不可能であると判断される場合に、第2の送信部は、さらに、上記の特定の電子メールを送信してもよい。この構成によれば、データ形式以外の要因で、第2の画像を出力不可能であると判断される場合にも、第2の電子メールの送信元のデバイスは、第4種の情報を取得することができる。
【0012】
判断部は、第2の画像が印刷されるべき際には、第2のデータのデータ形式が、予め決められている第1のデータ形式群に含まれる場合に、第2の判断処理において、第2の画像を出力可能であると判断してもよい。判断部は、第2の画像が表示されるべき際には、第2のデータのデータ形式が、予め決められている第2のデータ形式群であって、第1のデータ形式群と異なる第2のデータ形式群に含まれる場合に、第2の判断処理において、第2の画像を出力可能であると判断してもよい。この構成によれば、印刷可能なデータ形式と表示可能なデータ形式とが異なる場合に、通信装置は、第2の画像を出力可能であるのか否かを適切に判断し得る。
【0013】
判断部は、第1の電子メールが受信される場合には、単位データサイズを有する部分データが受信される毎に、第1の判断処理を実行してもよい。判断部は、第2の電子メールが受信される場合には、第2の電子メールが受信される過程で第2の判断処理を実行せずに、第2の電子メールの全てが受信された後に、第2の判断処理を実行してもよい。この構成によれば、通信装置は、上記の特定の通信セッションを用いて上記の特定のデバイスから第1の電子メールを受信するのか、あるいは、電子メールサーバから第2の電子メールを受信するのか、に応じて、適切に判断処理を実行し得る。
【0014】
判断部は、さらに、第1のデータのデータサイズと、第1の画像のページ数と、第1の画像に含まれる文字列と、の少なくとも1つを用いて、第1の画像を出力可能であるのか否かを判断する第4の判断処理を実行してもよい。第1の判断処理において、第1の画像を出力可能であると判断され、かつ、第4の判断処理において、第1の画像を出力可能であると判断される場合に、出力制御部は、第1の画像を前記出力部に出力させてもよく、第1の送信部は、第1の画像が出力される前に、第1の電子メールの受信に用いられた上記の特定の通信セッションを用いて、第1種の情報を上記の特定のデバイスに送信してもよい。第4の判断処理において、第1の画像を出力不可能であると判断される場合に、第1の送信部は、さらに、第1の電子メールの受信に用いられた上記の特定の通信セッションを用いて、第2種の情報を上記の特定のデバイスに送信してもよい。この構成によれば、データ形式以外の要因で、第1の画像を出力不可能である判断される場合にも、上記の特定のデバイスは、第2種の情報を取得することができる。
【0015】
第1の送信部は、第1の判断処理において、第1の画像を出力不可能であると判断される場合に、第1の電子メールの受信に用いられた上記の特定の通信セッションを用いて、第1の前記第2種の情報を上記の特定のデバイスに送信してもよい。第1の送信部は、第4の判断処理において、第1の画像を出力不可能であると判断される場合に、第1の電子メールの受信に用いられた上記の特定の通信セッションを用いて、第1の第2種の情報と異なる第2の第2種の情報を上記の特定のデバイスに送信してもよい。この構成によれば、上記の特定のデバイスは、通信装置が第1の画像を出力できない原因を特定し得る。
【0016】
判断部は、第1の画像が印刷されるべき際には、第1のデータのデータ形式が、予め決められている第1のデータ形式群に含まれる場合に、第1の判断処理において、第1の画像を出力可能であると判断し、第1の画像が表示されるべき際には、第1のデータのデータ形式が、予め決められている第2のデータ形式群であって、第1のデータ形式群と異なる第2のデータ形式群に含まれる場合に、第1の判断処理において、第1の画像を出力可能であると判断してもよい。この構成によれば、印刷処理可能なデータ形式と表示処理可能なデータ形式とが異なる場合に、通信装置は、第1の画像を出力可能であるのか否かを適切に判断し得る。
【0017】
なお、上記の通信装置を実現するための制御方法、コンピュータプログラム、及び、当該コンピュータプログラムが記憶された記憶媒体も、新規で有用である。また、通信装置と上記の特定のデバイスとを含むシステムも、新規で有用である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】ネットワークシステムの構成を示す。
【図2】多機能機によって実行される電子メール受信処理のフローチャートを示す。
【図3】多機能機によって実行される電子メール判断処理のフローチャートを示す。
【図4】多機能機によって実行される出力判断処理のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(ネットワークシステムの構成)
図1に示すように、ネットワークシステム2は、複数個の多機能機10,20,30と、メールサーバ40と、を備える。多機能機10,20は、LAN4を介して、相互に通信可能である。各多機能機10、30は、インターネット6を介して、メールサーバ40と通信可能である。
【0020】
(多機能機10の構成)
多機能機10は、操作部102と、表示部104と、印刷実行部106と、制御部110と、ネットワークインターフェイス150と、を備える。操作部102は、複数のキーによって構成される。表示部104は、様々な情報を表示するめのディスプレイである。印刷実行部106は、インクジェット方式、レーザ方式等の印刷機構である。ネットワークインターフェイス150は、LAN4に接続される。
【0021】
制御部110は、CPU112とメモリ120とを備える。CPU112は、メモリ120に格納されているプログラム122に従って、様々な処理を実行する。CPU112がプログラム122に従って処理を実行することによって、第1の受信部132、第1の送信部134、判断部136、出力制御部138、第2の受信部140、及び、第2の送信部142の各機能が実現される。
【0022】
メモリ120は、CPU112が様々な処理を実行するためのプログラム122を格納している。プログラム122は、基本プログラムとメール通信プログラムとを含む。基本プログラムは、出力制御部138が印刷実行部106に印刷させるためのプログラムと、表示部104に表示させるためのプログラムと、を含む。基本プログラムは、多機能機10の出荷段階において、多機能機10に予めインストールされている。なお、メモリ120には、メールサーバ40のアドレス情報(例えばIPアドレス)が記憶されている。
【0023】
多機能機10は、印刷モード及び表示モードのいずれかのモードで動作する。ユーザは、操作部102を操作して、印刷モード及び表示モードのいずれか一方のモードを、多機能機10に設定する。多機能機10が印刷モードに設定されている状態では、出力制御部138は、外部装置(例えば多機能機20)から受信された電子メールの添付ファイルに含まれるデータによって表わされる特定の画像を、印刷実行部106に印刷させる。一方、表示モードに設定されている状態では、出力制御部138は、上記の特定の画像を、表示部104に表示させる。
【0024】
メール通信プログラムは、SMTPサーバプログラムと、SMTPクライアントプログラムと、POP(Post Office Protocol)クライアントプログラムと、を含む。CPU112は、SMTPサーバプログラム、SMTPクライアントプログラム、及び、POPクライアントプログラムのそれぞれを実行することによって、SMTPサーバ機能、SMTPクライアント機能、及び、POPクライント機能のそれぞれを実行することができる。本実施例では、メール通信プログラムは、多機能機10の出荷段階において、多機能機10に予めインストールされている。ただし、変形例では、制御部110は、例えば、多機能機10に接続されたUSBメモリ等の記録媒体からメール通信プログラムを取得して、メモリ120に記憶させてもよいし、多機能機10のベンダによって提供されるサーバからメール通信プログラムを取得して、メモリ120に記憶させてもよい。
【0025】
SMTPサーバ機能は、メールサーバ40を介さずに直接的に、外部装置(例えば多機能機20)から電子メールを受信するための機能(即ちダイレクトSMTPを利用して電子メールを受信するための機能)を含む。SMTPクライアント機能は、SMTPサーバ機能を有する外部装置(例えばメールサーバ40)に、電子メールを送信する機能を含む。POPクライアント機能は、メールサーバ40を介して、外部装置(例えば多機能機30)から電子メールを受信する機能を含む。
【0026】
メモリ120は、さらに、アドレステーブル124とキーワードテーブル126と出力モードテーブル128とを格納している。アドレステーブル124は、複数個のメールアドレス(例えば「aaa@bb.com」)を記録可能である。ユーザは、操作部102を操作して、アドレステーブル124に、メールアドレスを記録させることができる。
【0027】
キーワードテーブル126は、複数個のキーワード(例えば「Word1」)を記録可能である。キーワードは、例えば公序良俗に反する単語である。ユーザは、操作部102を操作して、キーワードテーブル126に、キーワードを記録させることができる。
【0028】
出力モードテーブル128には、複数個のモード情報128a,128bが記録されている。モード情報128a,128bは、出力モードと、形式と、サイズと、ページと、が対応付けられている情報である。出力モードテーブル128の「出力モード」と「形式」とは、多機能機10の出荷段階において、多機能機10に予め記憶されている。ただし、変形例では、制御部110は、例えば、USBメモリ、サーバ等から出力モードテーブル128の「出力モード」と「形式」とを取得して、メモリ120に記憶させてもよい。一方、出力モードテーブル128の「サイズ」と「ページ」とは、多機能機10のユーザによって設定される。
【0029】
「形式」は、多機能機10が印刷又は表示可能なデータ形式を示す。具体的に言うと、モード情報128aの「形式」(即ちtiff及びjpeg)は、出力制御部138が、プログラム122に従って、印刷実行部106に印刷させることが可能なデータ形式を示す。モード情報128bの「形式」(即ちtiff、jpeg、及び、pdf)は、出力制御部138が、プログラム122に従って、表示部104に表示させることが可能なデータ形式を示す。なお、モード情報128bの「形式」と、モード情報128aの「形式」と、は異なる。
【0030】
「サイズ」は、外部から受信される1個の電子メールの添付ファイルを格納するためのメモリ120内のメール格納領域に格納可能なデータのデータサイズを示す。1個の電子メールの添付ファイルのデータサイズが上記のメール格納領域のデータサイズよりも大きい場合には、多機能機10は、当該電子メールの全てを受信することができず、当該電子メールを出力(印刷又は表示)させることができない。本実施例では、モード情報128a,128bの「サイズ」は等しい。変形例では、モード情報128a,128bの「サイズ」は異なっていてもよい。
【0031】
「ページ」は、外部から受信される1個の電子メールの添付ファイルについて、多機能機10が出力可能なページ数を示す。具体的に言うと、多機能機10が印刷モードに設定されている場合に、受信済みの電子メールの添付ファイルによって表わされる特定の画像のページ数が、モード情報128aの「ページ」(即ち10ページ)以下であれば、出力制御部138は、上記の特定の画像を印刷させる。一方、上記の特定の画像のページ数が、モード情報128aの「ページ」より多ければ、出力制御部138は、上記の特定の画像を印刷させない。なお、添付ファイル内のデータがページ単位で記述されない形式(例えばjpeg)である場合には、1個の添付ファイル内のデータのページ数は、1ページであると判断される。同様に、多機能機10が表示モードに設定されている場合には、出力制御部138は、上記の特定の画像のページ数と、モード情報128bの「ページ」と、に基づいて、上記の特定の画像を表示させるのか否かを決定する。なお、本実施例では、モード情報128bの「ページ」は設定されていない。この場合、出力制御部138は、上記の特定の画像のページ数に関わらず、上記の特定の画像を表示させる。
【0032】
(多機能機20,30の構成)
各多機能機20,30は、自身に格納されているプログラムに従って、SMTPクライアント機能及びPOPクライアント機能のそれぞれを実行することができる。なお、各多機能機20,30は、SMTPサーバ機能を実行することができない。即ち、多機能機20,30は、ダイレクトSMTPを利用して、外部装置から電子メールを受信することができない。多機能機20,30の他の構成は、多機能機10と同じである。なお、多機能機20は、多機能機10のアドレス情報(例えばIPアドレス)を記憶している。
【0033】
多機能機20は、SMTPクライアント機能を実行することによって、メールサーバ40を介さずに(ダイレクトSMTPを利用して)、多機能機10に電子メールを送信可能である。多機能機30は、ダイレクトSMTPを利用して、多機能機10に電子メールを送信不可能である。
【0034】
(メールサーバ40の構成)
メールサーバ40には、メールサーバ40を利用して電子メール通信を実行する外部装置(例えば各多機能機10,30)の電子メールアドレスが登録されている。メールサーバ40は、各サーバ42,44を備える。SMTPサーバ44は、外部装置(例えば多機能機10)から送信された電子メールを受信する。受信済みの電子メールの送信先として指定されている特定の電子メールサーバ(送信先のメールアドレスの「@」より後の部分)がメールサーバ40である場合、SMTPサーバ44は、受信済みの電子メールの送信先として指定されているアカウント情報(送信先のメールアドレスの「@」より前の部分)と、受信済みの電子メールと、を対応付けて、自身のメールボックスに格納する。一方、上記の特定の電子メールサーバがメールサーバ40以外の他の電子メールサーバである場合、SMTPサーバ44は、受信済みの電子メールを、上記の他の電子メールサーバに含まれるSMTPサーバに転送する。SMTPサーバ44は、さらに、他のSMTPサーバから転送された電子メールを受信し、当該電子メールの送信先として指定されているアカウント情報と、当該電子メールと、を対応付けて、自身のメールボックスに格納する。
【0035】
POPサーバ42は、LAN4に接続されている外部装置(例えば各多機能機10,30)からの要求に応じて、当該要求に含まれるアカウント情報に対応付けてメールボックスに格納されている電子メールを、外部装置に送信する。
【0036】
(多機能機10が実行する電子メール受信処理)
次いで、図2を参照して、多機能機10が実行する電子メール受信処理について説明する。多機能機10の電源がONにされると、電子メール受信処理は開始される。S12では、第1の受信部132は、SMTPに従った接続要求を、外部装置(例えば多機能機20)から受信することを監視している。外部装置から接続要求が受信されると(S12でYES)、S14において、第1の受信部132は、プログラム122のSMTPサーバプログラムに従って、外部装置との間で通信セッションを確立する。具体的には、第1の受信部132は、接続要求の応答として、接続可能であることを示す接続可能情報(即ち250)を、外部装置に送信する。この結果、多機能機10と外部装置との間で、通信セッションが確立される。
【0037】
次いで、S16では、制御部110は、電子メール判断処理を実行する。電子メール判断処理が終了すると、S18において、第1の送信部134は、電子メール判断処理においてセットされた戻値が「0」であるのか否かを判断する。戻値が「0」である場合(S18でYES)、S20において、第1の送信部134は、S14で確立された通信セッションを利用して、OKコマンド(即ち250)を外部装置に送信する。OKコマンドは、受信済みの電子メールの添付ファイルに含まれるデータを用いて出力処理を実行可能であることを示す。S14で確立された通信セッションを利用してOKコマンドが送信されるために、多機能機10は、OKコマンドの送信のために、外部装置との間に新たに通信セッションを確立しないで済む。S22では、第1の送信部134は、S20で送信されたOKコマンドに対する応答が外部装置から受信されると、SMTPに従って通信セッションを終了する。多機能機10は、出力処理(S24)を開始する前に、S22で通信セッションを終了する。この結果、多機能機10と外部装置との間の通信セッションを、比較的に早期に終了させることができる。
【0038】
次いで、S24では、出力制御部138は、外部装置から受信された電子メールに添付されている添付ファイルを用いて出力処理を実行して、S12に戻る。多機能機10が印刷モードに設定されているのか、表示モードに設定されているのか、によって、出力制御部138によって実行される出力処理の内容は異なる。印刷モードに設定されている場合、出力制御部138は、添付ファイルに含まれるデータを、印刷実行部106が解釈可能な形式の印刷用データに変換して、印刷実行部106に供給する。印刷実行部106は、印刷用データによって表わされる画像を、印刷用紙に印刷する。
【0039】
表示モードに設定されている場合、出力制御部138は、添付ファイルに含まれるデータを、表示部104が解釈可能な形式の表示用データに変換して、表示部104に供給する。表示部104は、表示用データによって表わされる画像を表示する。
【0040】
一方、戻値が「0」以外(即ち「1」、「2」、「3」、及び、「4」のいずれか)である場合(S18でNO)、S26において、第1の送信部134は、受信された電子メールに添付されているデータを出力不可能であることを示すNGコマンドを、外部装置に送信する。第1の送信部134は、S14で確立された通信セッションを用いて、NGコマンドを外部装置に送信する。なお、外部装置に送信されるNGコマンドは、戻値によって異なる。第1の送信部134は、戻値が「1」、「2」、「3」、及び、「4」のそれぞれの場合に、NGコマンドとして、「554」、「552」、「554」、及び、「550」のそれぞれを送信する。次いで、S28において、第1の送信部134は、S22と同様に、S14で確立された通信セッションを終了して、S12に戻る。
【0041】
S12において、接続要求が受信されなかった場合(S12でNO)、S30において、第2の受信部140は、前回にPOPサーバ42に電子メールを問合せた時点から、予め決められたポーリング時間が経過したのか否かを判断する。なお、電子メール受信処理の開始から最初のS30の処理が実行される場合、第2の受信部140は、ポーリング時間に関わらず、S30でYESと判断する。S30でNOの場合、S12に戻る。一方、S30でYESの場合、S32において、第2の受信部140は、POPクライアントプログラムに従って、POPサーバ42との間で通信セッションを確立する。具体的には、第2の受信部140は、POPに従って、メールサーバ40のIPアドレスを送信先として、接続要求を送信する。第2の受信部140は、接続要求の応答として、接続可能であることを示す接続可能情報(即ち250)を受信すると、通信セッションが確立されたと判断して、S34に進む。
【0042】
S34では、第2の受信部140は、S32で確立された通信セッションを用いて、電子メールの要求を、POPサーバ42に送信する。POPサーバ42は、電子メールの要求に含まれるアカウント情報に対応する電子メールを多機能機10に送信する。要求に含まれるアカウント情報に対応する電子メールが格納されていない場合、POPサーバ42は、電子メールが無いことを示す情報を多機能機10に送信する。電子メールが無いことを示す情報が受信された場合(S34でNO)、通信セッションを終了して(S35)、S12に戻る。
【0043】
POPサーバ42に格納された電子メールのうち、電子メールの要求に含まれるアカウント情報に対応する全ての電子メールが受信された場合(S34でYES)、S32で確立された通信セッションを終了する(S38)。
【0044】
第1の送信部134は、POPサーバ42から電子メールを受信した場合に、受信された電子メールに添付されているデータを出力可能であるのか否かを示すコマンド(即ちOKコマンド又はNGコマンド)を、S32で確立された通信セッションを用いて、POPサーバ42に送信せずに、通信セッションを終了する。S32で確立された通信セッションを用いて、コマンドが送信された場合、メールサーバ40は、コマンドを受信するが、電子メールの送信元のデバイスは、送信されたコマンドを受信しない。即ち、S32で確立された通信セッションを用いて、コマンドが送信されたとしても、電子メールの送信元のデバイスは、多機能機10が、電子メールに添付されているデータを出力可能であるのか否かを知ることができない。この構成によれば、不要なコマンドが送信されることを防止することができる。
【0045】
次いで、S40では、判断部136は、出力判断処理を実行する。出力判断処理が完了されると、S42において、第2の送信部142は、出力判断処理でセットされた戻値が「0」であるのか否かを判断する。戻値が「0」である場合(S42でYES)、S44において、出力制御部138は、S24と同様に、出力処理を実行する。次いで、S46では、第2の送信部142は、出力処理が終了されたことを示す情報を含む電子メールを送信して、S12に戻る。第2の送信部142は、S34で受信された電子メールのヘッダ内の「Reply−to」に記述されているメールアドレスが送信先として指定された電子メールを作成する。第2の送信部142は、電子メールの本文に、添付データが出力(即ち印刷又は表示)されたことを示す文字列を記述する。第2の送信部142は、SMTPクライアントプログラムに従って、SMTPサーバ44に電子メールを送信する。即ち、第2の送信部142は、出力判断処理において、出力可能であると判断される場合に、メールサーバ40から送信された電子メールに含まれる送信元メールアドレスを送信先として、出力可能であることを示す情報を含む電子メールを送信する。なお、変形例では、S46が実行された後に、S44が実行されてもよい。
【0046】
一方、戻値が「0」以外(即ち「1」、「2」、「3」、及び、「4」のいずれか)である場合(S42でNO)、S48において、第2の送信部142は、出力処理を実行不可能であることを示す情報を含む電子メールを送信して、電子メール受信処理を終了する。第2の送信部142のメールの送信手順は、S46と同様である。第2の送信部142は、電子メールの本文に、戻値に応じた文字列を記述する。具体的には、戻値が「1」である場合、添付ファイルに含まれるデータのデータ形式が出力処理を実行不可能な形式であることを示す文字列が、本文に記述される。戻値が「2」である場合、添付ファイルのサイズ又は画像のページ数が許容範囲を超えているために出力処理が実行不可能であることを示す文字列が、本文に記述される。戻値が「3」である場合、添付データに出力不可のキーワードが含まれているために出力処理が実行不可能であることを示す文字列が、本文に記述される。戻値が「4」である場合、電子メールの受信が拒否されていることを示す文字列が、本文に記述される。この結果、外部装置のユーザは、多機能機10から送信された電子メールの本文を確認することによって、多機能機10が添付ファイルを用いて出力処理を実行できなかった原因を知ることができる。
【0047】
(電子メール判断処理)
次いで、図2のS16の電子メール判断処理について、図3を参照して説明する。外部装置(例えば多機能機20)は、多機能機10との間に通信セッションが確立されると(図2のS14参照)、送信すべき電子メールを複数個のパケットに分割して、複数個のパケットのそれぞれを多機能機10に順次送信する。第1の受信部132は、図2のS14で確立された通信セッションを用いて、複数個のパケットのそれぞれを順次受信する。
【0048】
S52では、判断部136は、電子メールの送信元のメールアドレスを含むパケットが受信されることを監視している。当該パケットが受信されると、判断部136は、電子メールの送信元のメールアドレスがアドレステーブル124に記録されているのか否かを判断する。
【0049】
電子メールの送信元のメールアドレスが、アドレステーブル124に記録されている場合、判断部136は、当該電子メールをメール格納領域に格納することが許容されていると判断する。一方、送信元のメールアドレスが、アドレステーブル124に記録されていない場合、判断部136は、当該電子メールをメール格納領域に格納することが禁止されていると判断する。S52でNOの場合、S82に進む。
【0050】
S52でYESの場合、S54において、判断部136は、多機能機10が印刷モードに設定されているのか表示モードに設定されているのかを判断する。印刷モードに設定されている場合(S54でYES)、S56に進む。表示モードに設定されている場合(S54でNO)、S70に進む。
【0051】
印刷モードに設定されている場合、制御部110は、出力モードテーブル128のモード情報128a(図1参照)を用いて、S56からS62の処理を実行する。S56では、判断部136は、添付ファイルに含まれるデータのデータ形式を示すデータ形式情報(即ち電子メールの「Content−Type」)を含むパケットが、外部装置から受信されることを監視している。データ形式情報を含むパケットが受信されると、判断部136は、データ形式情報が、モード情報128aの「形式」(即ちtiff、Jpeg)に含まれているのか否かを判断する。データ形式情報がモード情報128aの「形式」に含まれていない場合(S56でNO)、即ち、多機能機10が、添付ファイルを用いて印刷処理を実行することが不可能である場合、S82に進む。一方、データ形式情報がモード情報128aの「形式」に含まれている場合(S56でYES)、即ち、多機能機10が、添付ファイルを用いて印刷処理を実行することが可能である場合、S58に進む。
【0052】
S58では、第1の受信部132は、図2のS14で確立された通信セッションを用いて、外部装置から送信される1個のパケットを受信する。判断部136は、1個のパケットが受信される毎に、S60からS66の処理を実行する。S60では、判断部136は、受信済みの電子メールに含まれる添付ファイルのデータサイズが、モード情報128aの「サイズ」(即ち2MB)を超えることを監視する。添付ファイルのデータサイズが2MBを超えた場合(S60でYES)にS82に進み、添付ファイルのデータサイズが2MBを超えていない場合(S60でNO)にS62に進む。
【0053】
S62では、判断部136は、受信済みの添付ファイルによって表わされる画像のページ数が、モード情報128aの「ページ」(即ち10ページ)を超えることを監視している。画像のページ数が10ページを超えた場合(S62でYES)にS82に進み、画像のページ数が10ページを超えていない場合(S62でNO)にS64に進む。
【0054】
S64では、判断部136は、受信済みの添付ファイルによって表わされる画像に、キーワードテーブル126のキーワードが含まれているのか否かを判断する。具体的には、判断部136は、OCR(Optical Character Recognition)を用いて、受信済みの添付ファイルのデータによって表わされる画像に含まれる文字列を特定する。判断部136は、特定された文字列の中から、キーワードテーブル126内のキーワードのいずれかと一致するキーワードを検索する。一致するキーワードが検索された場合(S64でYES)にS82に進み、検索されなかった場合(S64でNO)にS66に進む。
【0055】
S66では、第1の受信部132は、電子メールの全てを受信したのか否かを判断する。具体的には、第1の受信部132は、S14で確立された通信セッションを用いて、電子メールの送信が完了したことを示すコマンド(即ち「QUIT」)を外部装置から受信した場合、電子メールの受信が完了したと判断する。電子メールの受信が完了していない場合(S66でNO)、S58に戻る。一方、電子メールの受信が完了した場合(S66でYES)、S68において、判断部136は、メモリ120内の戻値に「0」をセットして、電子メール判断処理を終了する。
【0056】
S54において、表示モードに設定されていると判断される場合(S54でNO)、制御部110は、出力モードテーブル128のモード情報128bを用いて、S70からS76の処理を実行する。
【0057】
S70では、判断部136は、S56と同様に、データ形式情報を含むパケットが受信されると、データ形式情報がモード情報128bの「形式」(即ちtiff、jpeg、pdf)に含まれているのか否かを判断する。S70でNOの場合にS82に進み、S70でYESの場合にS72に進む。
【0058】
S72の処理は、S58の処理と同様である。判断部136は、1個のパケットが受信される毎に、S74からS78の処理を実行する。S74では、判断部136は、受信済みの添付ファイルのサイズがモード情報128bの「サイズ」を超えることを監視する。S74でYESの場合にS82に進み、S74でNOの場合にS76に進む。S76では、判断部136は、S64と同様の処理を実行する。S76でYESの場合にS82に進み、S76でNOの場合にS78に進む。
【0059】
S52、S56、及び、S70のいずれかの処理でNOと判断された場合、又は、S60、S62、S64、S74、及び、S76のいずれかの処理でYESと判断された場合、即ち、添付ファイルに含まれるデータによって表わされる画像を用いて、出力処理を実行不可能である場合、第1の受信部132は、受信されたパケットを、メモリ120のメール格納領域に格納せずに破棄する。このため、出力処理に用いられないデータをメモリ120に格納せずに済む。
【0060】
本実施例では、印刷用データに変換可能なデータ形式と表示用データに変換可能なデータ形式とは異なる。多機能機10は、印刷モードに設定されている場合と、表示モードに設定されている場合と、に応じて、出力可能であるのか否かの判断基準を変更する。多機能機10は、画像の出力が可能であるのか否かを適切に判断することができる。
【0061】
S78では、第1の受信部132は、S66と同様の手法で電子メールを全て受信したのか否かを判断する。電子メールの受信が完了していない場合(S78でNO)、S72に戻る。一方、電子メールの受信が完了した場合(S78でYES)、S80では、判断部136は、メモリ120内の戻値に「0」をセットして、電子メール判断処理を終了する。
【0062】
S82では、判断部136は、電子メールの受信が完了した後に、メモリ120内の戻値をセットして、電子メール判断処理を終了する。添付ファイルのデータ形式が出力不可能なデータ形式であると判断された場合(即ちS56又はS70でNO)、戻値は「1」にセットされる。添付ファイルのデータサイズが、出力モードテーブル128の「サイズ」を超えていると判断された場合(即ちS60又はS74でYES)、又は、添付ファイルのデータによって表わされる画像のページ数が、出力モードテーブル128の「ページ」を超えていると判断された場合(即ちS62でYES)、戻値は「2」にセットされる。添付ファイルのデータによって表わされる画像に、出力不可のキーワードが含まれている場合(即ちS64又はS76でYES)、戻値は「3」にセットされる。送信元のメールアドレスがアドレステーブル124に記録されていない場合(即ちS52でNO)、戻値は「4」にセットされる。
【0063】
図2のS26では、第1の送信部134は、戻値に応じたNGコマンドを電子メールの送信元の外部装置に送信する。外部装置は、電子メールのデータ形式が要因で出力処理が実行されない場合であっても、データ形式以外の要因で出力処理が実行されない場合であっても、NGコマンドを受信することができる。また、外部装置は、NGコマンドが受信されると、多機能機10によって出力処理が実行されなかった原因を知ることができる。
【0064】
(出力判断処理)
次いで、図2のS40の出力判断処理について、図4を参照して説明する。判断部136は、メール格納領域に格納されている電子メール(即ち図2のS34で電子メールサーバ40から受信された電子メール)を用いて、出力判断処理を実行する。なお、メール格納領域に複数個の電子メールが格納されている場合、判断部136は、複数個の電子メールのそれぞれについて、出力判断処理を実行する。
【0065】
判断部136は、メール格納領域内の電子メールの送信元のメールアドレスが、アドレステーブル124に記録されているのか否かを判断する(S102)。S102でNOの場合、S130に進む。S102でYESの場合、S104において、判断部136は、多機能機10に印刷モード及び表示モードのいずれのモードが設定されているのかを判断する。印刷モードが設定されている場合(S104でYES)、S106に進む。表示モードが設定されている場合(S104でNO)、S122に進む。
【0066】
印刷モードが設定されている場合、制御部110は、出力モードテーブル128のモード情報128aを用いて、S106〜S112の処理を実行する。S106〜S112の処理は、図3のS56、S60〜S64の処理と同様である。S106でNOの場合、又は、S108〜S112のいずれかでYESの場合に、S130に進み、S112でNOの場合にS114に進む。S114は、図3のS68と同様である。
【0067】
S104において、表示モードに設定されていると判断される場合(S104でNO)、制御部110は、出力モードテーブル128のモード情報128b(「表示モード」に対応付けて記録されている情報)を用いて、S122〜S126の処理を実行する。S122〜S126の処理は、図3のS70、S74、76の処理と同様である。S122でNOの場合、又は、S124、S126のいずれかでYESの場合にS130に進み、S126でNOの場合にS128に進む。S128は、図3のS80と同様である。
【0068】
S130では、判断部136は、メモリ120内の戻値を「1」から「4」のいずれかの値にセットして、出力判断処理を終了する。戻値は、図3のS82と同様の方法でセットされる。S130が実行される場合には、電子メールの添付ファイルを用いた出力処理は実行されない。この場合、判断部136は、出力処理が実行されない添付ファイルを含む電子メールを、メール格納領域から削除する。この構成によれば、格納する必要が無いデータをメモリ120に保持せずに済む。
【0069】
上記の出力判断処理では、電子メール判断処理と同様に、多機能機10は、印刷モードに設定されている場合と、表示モードに設定されている場合と、に応じて、出力可能であるのか否かの判断基準を変更する。多機能機10は、画像の出力が可能であるのか否かを適切に判断することができる。
【0070】
上記の実施例では、多機能機10は、ダイレクトSMTPを利用して外部装置から電子メールが受信されると、出力処理を実行可能であると判断される場合(図2のS18でYES)に、出力処理(図2のS24参照)が実行される前に、OKコマンド(図2のS20)を外部装置に送信する。従って、出力処理が実行された後でOKコマンドが送信される構成と比較して、OKコマンドを外部装置に迅速に提供することができる。また、多機能機10は、出力処理を実行不可能であると判断される場合(図2のS18でNO)に、NGコマンドを外部装置に送信する。電子メールの受信に用いられた通信セッションと同一の通信セッションを用いて、OK又はNGコマンドは送信される。このため、多機能機10は、OK又はNGコマンドを送信するために、新たに通信セッションが確立する必要がなく、OK又はNGコマンドを迅速に提供することができる。この構成によると、多機能機10は、出力処理を実行可能であるのか否かを、電子メールの送信元のデバイス(例えば多機能機20)に、迅速に知らせることができる。
【0071】
上記の実施例では、ダイレクトSMTPを利用して電子メールが受信される場合、多機能機10は、1個のパケットが受信される毎に、添付ファイルを用いて出力処理を実行可能か否かを判断する(図3のS58からS64及びS72からS76)。多機能機10は、出力処理を実行不可能であると判断されると、それ以降に受信される電子メールのパケットを、メモリ120のメール格納領域に格納しない。このため、メール格納領域の空き容量を確保することができる。
【0072】
一方、メールサーバ40から電子メールが受信される場合、多機能機10は、電子メールの全体を受信した後(図2のS34でYES)、メールサーバ40との間の通信セッションを終了した後で、添付ファイルを用いて出力処理を実行可能か否かを判断する(図2のS40)。この結果、多機能機10とメールサーバ40との間の通信セッションが確立されている期間を短くすることができる。これにより、他のデバイスが、メールサーバ40と通信セッションを確立することができなくなる事態を回避し得る。
【0073】
なお、多機能機10が「通信装置」の一例であり、多機能機20が「特定のデバイス」の一例である。第1の受信部132、第1の送信部134、第2の受信部140及び第2の送信部142が、それぞれ「第1の受信部」、「第1の送信部」、「第2の受信部」及び「第2の送信部」の一例である。図2のS20のOKコマンド、図2のS26のNGコマンドが、それぞれ「第1種の情報」、「第2種の情報」の一例である。1個のパケットが、「単位データサイズを有する部分データ」の一例である。
【0074】
(変形例)
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
【0075】
(1)上記の実施例では、電子メール判断処理及び出力判断処理において、判断部136は、電子メールの添付ファイルのサイズが、許容サイズを超えるのか否かを判断する。しかしながら、判断部136は、添付ファイルを含む電子メール全体のサイズが、許容サイズを超えるのか否かを判断してもよい。この構成も、「第1のデータのデータサイズを用いて、第1の画像を出力可能であるのか否かを判断する第4の判断処理」に含まれる。
【0076】
(2)上記の実施例では、図3のS58において1個のパケットが受信されると、判断部136は、図3のS60からS64の処理を実行する。しかしながら、図3のS58において、2個以上の予め決められた個数のパケットが受信されると、判断部136は、図3のS60からS64の処理を実行してもよい。図3のS72からS76においても同様である。この変形例では、「予め決められた個数のパケット」が「単位データサイズを有するデータ」の一例である。
【0077】
(3)上記の実施例では、第1の送信部134は、電子メール判断処理が終了した後で、NGコマンドを外部装置に送信する(図2のS26)。しかしながら、第1の送信部134は、出力不可能と判断されたタイミングで、NGコマンドを送信してもよい。これにより、多機能機10は、出力不可能であることを、外部装置に迅速に知らせることができる。
【0078】
(4)出力モードテーブル128の「形式」は、上記の実施例のように複数個のデータ形式でなくてもよく、1個のデータ形式であってもよい。この変形例では、1個のデータ形式が「第1のデータ形式群」及び「第2のデータ形式群」の一例である。
【0079】
(5)上記した実施例の技術は、多機能機10のみならず、PC、プリンタ、スキャナ、ファクシミリ等の他の通信装置にも適用することができる。
【0080】
(6)上記の実施例では、CPU112がプログラム122に従って処理を実行することによって各部132〜142が実現されるが、各部132〜142の少なくとも1個は、論理回路等のハードウェアで実現されてもよい。
【0081】
(7)判断部136は、図3のS60からS64の全てを実行せず、S60からS64のうちの少なくとも1つの判断を実行してもよい。判断部136は、図3のS74及びS76のうちの少なくとも1つの判断を実行してもよい。即ち、一般的に言うと、判断部136は、第1のデータのデータサイズと、第1の画像のページ数と、第1の画像に含まれる文字列と、の少なくとも1つを用いて、第1の画像を出力可能であるのか否かを判断する第4の判断処理を実行すればよい。同様に、判断部136は、S108からS112のうちの少なくとも1つの判断を実行してもよい。判断部136は、図4のS124及びS126のうちの少なくとも1つの判断を実行してもよい。即ち、一般的に言うと、判断部136は、第2のデータのデータサイズと、第2の画像のページ数と、第2の画像に含まれる文字列と、の少なくとも1つを用いて、第2の画像を出力可能であるのか否かを判断する第3の判断処理を実行すればよい。
【0082】
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0083】
2:ネットワークシステム、10,20,30:多機能機、40:メールサーバ、104:表示部、106:印刷実行部、132:第1の受信部、134:第1の送信部、136:判断部、138:出力制御部、140:第2の受信部、142:第2の送信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定のデバイスと通信可能に接続される通信装置であって、
前記特定のデバイスと前記通信装置との間で確立される特定の通信セッションを用いて、前記特定のデバイスから第1の電子メールを受信する第1の受信部と、
前記第1の電子メールの受信に用いられた前記特定の通信セッションが確立されている間に、前記第1の電子メールに含まれる第1のデータのデータ形式に基づいて、前記第1のデータによって表わされる第1の画像を出力可能であるのか否かを判断する第1の判断処理を実行する判断部と、
前記第1の判断処理において、前記第1の画像を出力可能であると判断される場合に、前記第1の画像を出力部に出力させる出力制御部と、
前記第1の判断処理において、前記第1の画像を出力可能であると判断される場合に、前記第1の画像が出力される前に、前記第1の電子メールの受信に用いられた前記特定の通信セッションを用いて、第1種の情報を前記特定のデバイスに送信し、
前記第1の判断処理において、前記第1の画像を出力不可能であると判断される場合に、前記第1の電子メールの受信に用いられた前記特定の通信セッションを用いて、前記第1種の情報と異なる第2種の情報を前記特定のデバイスに送信する第1の送信部と、を備える通信装置。
【請求項2】
前記特定のデバイスと別体に構成されている電子メールサーバから、第2の電子メールを受信する第2の受信部をさらに備え、
前記判断部は、さらに、前記第2の電子メールに含まれる第2のデータのデータ形式に基づいて、前記第2のデータによって表わされる第2の画像を出力可能であるのか否かを判断する第2の判断処理を実行し、
前記出力制御部は、さらに、前記第2の判断処理において、前記第2の画像を出力可能であると判断される場合に、前記第2の画像を前記出力部に出力させ、
前記第1の送信部は、さらに、前記第2の画像を出力可能であるのか否かに関わらず、前記第1種の情報と前記第2種の情報のいずれの情報も送信しない、請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記第2の判断処理において、前記第2の画像を出力不可能であると判断される場合に、前記第2の電子メールに含まれる送信元メールアドレスを送信先として、前記第2の画像を出力不可能であることを示す第4種の情報を含む特定の電子メールを送信する第2の送信部をさらに備える請求項2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記判断部は、さらに、
前記第2のデータのデータサイズと、前記第2の画像のページ数と、前記第2の画像に含まれる文字列と、の少なくとも1つを用いて、前記第2の画像を出力可能であるのか否かを判断する第3の判断処理を実行し、
前記第2の判断処理において、前記第2の画像を出力可能であると判断され、かつ、前記第3の判断処理において、前記第2の画像を出力可能であると判断される場合に、前記出力制御部は、前記第2の画像を前記出力部に出力させ、
前記第3の判断処理において、前記第2の画像を出力不可能であると判断される場合に、前記第2の送信部は、さらに、前記特定の電子メールを送信する、請求項3に記載の通信装置。
【請求項5】
前記判断部は、
前記第2の画像が印刷されるべき際には、前記第2のデータのデータ形式が、予め決められている第1のデータ形式群に含まれる場合に、前記第2の判断処理において、前記第2の画像を出力可能であると判断し、
前記第2の画像が表示されるべき際には、前記第2のデータのデータ形式が、予め決められている第2のデータ形式群であって、前記第1のデータ形式群と異なる前記第2のデータ形式群に含まれる場合に、前記第2の判断処理において、前記第2の画像を出力可能であると判断する、請求項2から4のいずれか一項に記載の通信装置。
【請求項6】
前記判断部は、
前記第1の電子メールが受信される場合には、単位データサイズを有する部分データが受信される毎に、前記第1の判断処理を実行し、
前記第2の電子メールが受信される場合には、前記第2の電子メールが受信される過程で前記第2の判断処理を実行せずに、前記第2の電子メールの全てが受信された後に、前記第2の判断処理を実行する、請求項2から5のいずれか一項に記載の通信装置。
【請求項7】
前記判断部は、さらに、
前記第1のデータのデータサイズと、前記第1の画像のページ数と、前記第1の画像に含まれる文字列と、の少なくとも1つを用いて、前記第1の画像を出力可能であるのか否かを判断する第4の判断処理を実行し、
前記第1の判断処理において、前記第1の画像を出力可能であると判断され、かつ、前記第4の判断処理において、前記第1の画像を出力可能であると判断される場合に、
前記出力制御部は、前記第1の画像を前記出力部に出力させ、
前記第1の送信部は、前記第1の画像が出力される前に、前記第1の電子メールの受信に用いられた前記特定の通信セッションを用いて、前記第1種の情報を前記特定のデバイスに送信し、
前記第4の判断処理において、前記第1の画像を出力不可能であると判断される場合に、前記第1の送信部は、さらに、前記第1の電子メールの受信に用いられた前記特定の通信セッションを用いて、前記第2種の情報を前記特定のデバイスに送信する、請求項1から6のいずれか一項に記載の通信装置。
【請求項8】
前記第1の送信部は、
前記第1の判断処理において、前記第1の画像を出力不可能であると判断される場合に、前記第1の電子メールの受信に用いられた前記特定の通信セッションを用いて、第1の前記第2種の情報を前記特定のデバイスに送信し、
前記第4の判断処理において、前記第1の画像を出力不可能であると判断される場合に、前記第1の電子メールの受信に用いられた前記特定の通信セッションを用いて、前記第1の第2種の情報と異なる第2の前記第2種の情報を前記特定のデバイスに送信する、請求項7に記載の通信装置。
【請求項9】
前記判断部は、
前記第1の画像が印刷されるべき際には、前記第1のデータのデータ形式が、予め決められている第1のデータ形式群に含まれる場合に、前記第1の判断処理において、前記第1の画像を出力可能であると判断し、
前記第1の画像が表示されるべき際には、前記第1のデータのデータ形式が、予め決められている第2のデータ形式群であって、前記第1のデータ形式群と異なる前記第2のデータ形式群に含まれる場合に、前記第1の判断処理において、前記第1の画像を出力可能であると判断する、請求項1から8のいずれか一項に記載の通信装置。
【請求項10】
特定のデバイスと通信可能に接続される通信装置のためのコンピュータプログラムであって、
前記通信装置に搭載されるコンピュータに、以下の各処理、即ち、
前記特定のデバイスと前記通信装置との間で確立される特定の通信セッションを用いて、前記特定のデバイスから第1の電子メールを受信する第1の受信処理と、
前記第1の電子メールの受信に用いられた前記特定の通信セッションが確立されている間に、前記第1の電子メールに含まれる第1のデータのデータ形式に基づいて、前記第1のデータによって表わされる第1の画像を出力可能であるのか否かを判断する第1の判断処理と、
前記第1の判断処理において、前記第1の画像を出力可能であると判断される場合に、前記第1の画像を出力部に出力させる出力制御処理と、
前記第1の判断処理において、前記第1の画像を出力可能であると判断される場合に、前記第1の画像が出力される前に、前記第1の電子メールの受信に用いられた前記特定の通信セッションを用いて、第1種の情報を前記特定のデバイスに送信し、
前記第1の判断処理において、前記第1の画像を出力不可能であると判断される場合に、前記第1の電子メールの受信に用いられた前記特定の通信セッションを用いて、前記第1種の情報と異なる第2種の情報を前記特定のデバイスに送信する第1の送信処理と、を実行させるコンピュータプログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−95239(P2012−95239A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−242808(P2010−242808)
【出願日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】