通信装置
【課題】無線通信媒体をかざし面にかざす場合でも当該かざし面に配置された発光部の発光状態を確実に視認し得る通信装置を提供する。
【解決手段】決済装置10が通信対象とするICカードCをかざし面12にかざす際に、当該かざし面12に投影される当該ICカードCの投影領域Sの外縁間を結ぶ線分のうち最も長い線分の長さを最長投影長さLとするとき、各発光部26a〜26dは、対角に位置する他の発光部との離間距離Xが、最長投影長さLよりも長くなるように配置される。
【解決手段】決済装置10が通信対象とするICカードCをかざし面12にかざす際に、当該かざし面12に投影される当該ICカードCの投影領域Sの外縁間を結ぶ線分のうち最も長い線分の長さを最長投影長さLとするとき、各発光部26a〜26dは、対角に位置する他の発光部との離間距離Xが、最長投影長さLよりも長くなるように配置される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、かざし面にかざされる無線通信媒体と無線通信する通信装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、かざし面にかざされる無線通信媒体と無線通信する通信装置では、無線通信媒体をかざすカードかざし面を利用者に対して容易に視認させるために、当該カードかざし面の中央に発光部を設け、当該発光部の発光の有無や発光色等に応じて、カードかざし面に対して利用者のカードをかざす動作(かざし動作)を誘導するように構成される。また、この発光部は、かざし動作を誘導する機能だけでなく、決済状況などの通信状態を利用者に通知するインジケータとしての機能を兼ね備えるように構成することができる。
【0003】
このような通信装置に関する技術として、下記特許文献1に開示されるIC用データ通信装置が知られている。このIC用データ通信装置は、ICカードのかざし位置を利用者に対して表示するICカードかざし位置表示部と、ICカードが読み取り可能状態であることを出力するICカード読取可能状態出力部を構成する4個の発光部とを備えている。ICカードかざし位置表示部は、ICカードの読み取り可能範囲を示すための標識であって、楕円リング状の表示器がICカードの形状やシンボルを示す標識を囲うように配置されて構成されている。また、この表示器の内側には、上記4個の発光部が配置されている。
【0004】
このように構成されるIC用データ通信装置は、通信がなされない待機状態では、各発光部および表示器がすべて点灯状態となり、決済処理が開始され店員等による金額入力操作を待つ状態では、各発光部および表示器がすべて消灯状態になる。その後、金額が入力されてICカードがかざされる状態を待つカード待受中の状態では、各発光部がすべて点滅状態となるとともに表示器が点灯状態となり、ICカードがICカードかざし位置表示部にかざされると、各発光部および表示器がすべて消灯状態となる。そして、ICカードの認証処理等が終了して待機状態となると、再び各発光部および表示器がすべて点灯状態となる。このように、ICカードかざし位置表示部に配置される各発光部および表示器の発光状態により、かざし動作を誘導する機能だけでなく、通信状態を利用者に通知するインジケータとしての機能を実現している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−355580号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記特許文献1に開示されるような通信装置では、かざし面(ICカードかざし位置表示部)にICカード等の無線通信媒体がかざされる際、そのかざし方によっては、かざし面に配置される全ての発光部分が無線通信媒体で覆われてしまう場合がある。この場合には、無線通信媒体を発光部分からずらさないとその発光状態を視認することができず、かざし面に対して無線通信媒体をかざすかざし動作の誘導はできても、決済状況等を視認できないという問題があった。
【0007】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、無線通信媒体をかざし面にかざす場合でも当該かざし面に配置された発光部の発光状態を確実に視認し得る通信装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の通信装置は、無線通信媒体(C)がかざされるかざし面(12)と、前記かざし面にかざされた前記無線通信媒体に対して無線通信可能な無線通信手段(25)と、前記かざし面に設けられる複数の発光部(26a〜26e,27a〜27d,28a〜28d)と、前記複数の発光部を、前記かざし面に対して前記無線通信媒体をかざす動作を誘導する第1発光状態と、前記無線通信手段により前記無線通信媒体との無線通信に応じた処理がなされたことを示す第2発光状態とのいずれかに制御可能な制御手段(21)と、を備える通信装置(10,10a)であって、当該通信装置が通信対象とする前記無線通信媒体を前記かざし面にかざす際に、当該かざし面に投影される当該無線通信媒体の投影領域(S)の外縁間を結ぶ線分のうち最も長い線分の長さを最長投影長さ(L)とするとき、前記複数の発光部は、少なくとも2つの離間距離(X)が、前記最長投影長さよりも長くなるように配置されることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の通信装置において、前記無線通信媒体は、決済用の媒体であって、前記無線通信手段は、決済処理に応じた決済情報について前記無線通信媒体と無線通信することを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の通信装置において、前記無線通信媒体は、カード状に形成されることを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の通信装置において、前記複数の発光部のうち少なくとも1つ(26e)は、他の発光部と比較して長手状に発光するように構成されることを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の通信装置において、前記投影領域の範囲を検知する検知手段(30〜34)を備え、前記制御手段は、前記第2発光状態時に、前記複数の発光部のうち、前記検知手段により検知された前記投影領域の範囲外に配置されている発光部を発光させることを特徴とする。
【0013】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の通信装置において、前記制御手段は、前記第2発光状態時に、前記複数の発光部のうち、前記検知手段により検知された前記投影領域の範囲外であって当該投影領域に沿うように配置されている発光部を発光させることを特徴とする。
【0014】
請求項7に記載の発明は、請求項5または6に記載の通信装置において、前記検知手段は、前記かざし面から外方に発光する発光手段(32)とこの発光手段から発光された後に反射された反射光を受光可能な受光手段(33)とが隣接して構成される検知部(31)を、前記かざし面に複数配置して構成され、前記反射光を受光した前記受光手段が配置される位置に基づいて、前記投影領域の範囲を検知することを特徴とする。
【0015】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の通信装置において、前記検知部は、前記発光手段として前記発光部を用いて構成されることを特徴とする。
【0016】
請求項9に記載の発明は、請求項5または6に記載の通信装置において、前記制御手段は、前記無線通信手段により前記無線通信媒体との無線通信がなされると、前記各発光部の発光を一時的に停止し、前記検知手段は、外光に応じて抵抗値が変化する光導電素子(34)を、前記かざし面に複数配置して構成され、前記各発光部の発光の一時的停止時に抵抗値が変化した前記光導電素子が配置される位置に基づいて、前記投影領域の範囲を検知することを特徴とする。
【0017】
請求項10に記載の発明は、請求項1〜9のいずれか一項に記載の通信装置において、それぞれ異なる発光色に発光する2以上の発光素子を備え、前記複数の発光部は、前記各発光素子からの光を利用して発光するようにそれぞれ構成され、前記制御手段は、前記各発光素子の少なくともいずれか1つから発光される光の輝度を、前記第1発光状態と前記第2発光状態とで異なるように制御することを特徴とする。
【0018】
請求項11に記載の発明は、請求項10に記載の通信装置において、前記制御手段は、前記第2発光状態における前記各発光素子の少なくともいずれか1つから発光される光の輝度を、前記無線通信媒体との通信内容に応じて変化させるように制御することを特徴とする。
なお、上記各括弧内の符号は、後述する各実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明の効果】
【0019】
請求項1の発明では、無線通信媒体がかざされるかざし面には複数の発光部が設けられており、これら複数の発光部は、少なくとも2つの離間距離が上記最長投影長さよりも長くなるように配置される。
【0020】
これにより、かざし面にて発光する複数の発光部により、かざし面に対して無線通信媒体をかざす動作(かざし動作)の誘導がなされて、この誘導に応じて当該かざし面に無線通信媒体がかざされても、当該無線通信媒体により全ての発光部が隠されることなく少なくともいずれかの発光部が視認される状態となる。
したがって、無線通信媒体をかざし面にかざす場合でも当該かざし面に配置された発光部の発光状態を確実に視認することができる。
【0021】
請求項2の発明では、無線通信媒体は、決済用の媒体であって、無線通信手段は、決済処理に応じた決済情報について決済用の媒体と無線通信するため、当該通信装置を決済装置に適用する場合でも、決済用の媒体をかざし面にかざす際に当該かざし面に配置された発光部の発光状態が視認される。これにより、決済用の媒体をかざし面にかざす場合でも決済状態を確実に視認することができる。
【0022】
請求項3の発明のように、無線通信媒体がカード状に形成される場合でも、かざし動作の誘導に応じてかざし面に無線通信媒体がかざされるときには、当該無線通信媒体により全ての発光部が隠されることなく少なくともいずれかの発光部が視認される状態となる。これにより、カード状に形成される無線通信媒体、例えば、ICカードをかざし面にかざす場合でも当該かざし面に配置された発光部の発光状態を確実に視認することができる。
【0023】
請求項4の発明では、複数の発光部のうち少なくとも1つは、他の発光部と比較して長手状に発光するように構成されるため、無線通信媒体をかざし面にかざす場合でも当該かざし面に配置された発光部の発光状態をより確実に視認することができる。
【0024】
請求項5の発明では、第2発光状態時に、制御手段により制御されて、複数の発光部のうち、検知手段により検知された無線通信媒体の投影領域の範囲外に配置されている発光部が発光する。これにより、上記投影領域の範囲外に配置されている発光部、すなわち、無線通信媒体により隠されていない発光部が全て発光するため、第2発光状態を確実に視認することができる。
【0025】
請求項6の発明では、第2発光状態時に、制御手段により制御されて、複数の発光部のうち、検知手段により検知された無線通信媒体の投影領域の範囲外であって当該投影領域に沿うように配置されている発光部が発光する。
これにより、無線通信媒体により隠されていない発光部のうち当該投影領域に沿うように配置されている発光部が発光してその他の発光部は発光しないため、全ての発光部が発光する場合と比較して、省電力化が図られるだけでなく無線通信媒体の投影領域が強調されるように発光部が発光することとなる。その結果、第1発光状態と第2発光状態との違いが強調されて、第2発光状態をより確実に視認することができる。
【0026】
請求項7の発明では、検知手段は、発光手段および受光手段が隣接して構成される検知部を、かざし面に複数配置して構成され、この検知手段により、反射光を受光した受光手段が配置される位置に基づいて、無線通信媒体の投影領域の範囲が検知される。
これにより、無線通信媒体がかざし面にかざされると、発光手段からの光が無線通信媒体にて反射しこの反射光が隣接する受光手段にて受光されるため、当該反射光を受光した受光手段が配置される位置に基づいて、上記投影領域の範囲を簡易な構成で検知することができる。
【0027】
請求項8の発明では、検知部は、発光手段として上記発光部を用いて構成されるため、当該発光部が兼用されて専用の発光手段が不要となるので、この検知部を構成するための構成部品が低減されて、当該検知部を設けることによるコスト増加を抑制することができる。
【0028】
請求項9の発明では、検知手段は、光導電素子を、かざし面に複数配置して構成され、この検知手段により、各発光部の発光の一時的停止時に抵抗値が変化した光導電素子が配置される位置に基づいて、投影領域の範囲が検知される。
これにより、無線通信媒体がかざし面にかざされると、この無線通信媒体に隠される光導電素子の抵抗値が変化するため、抵抗値が変化した光導電素子が配置される位置に基づいて、上記投影領域の範囲を簡易な構成で検知することができる。
【0029】
請求項10の発明では、複数の発光部は、それぞれ異なる発光色に発光する2以上の発光素子、例えば、赤色発光素子、緑色発光素子および青色発光素子等からの光を利用して発光するようにそれぞれ構成されている。そして、制御手段により、各発光素子の少なくともいずれか1つから発光される光の輝度が、第1発光状態と第2発光状態とで異なるように制御される。
これにより、第1発光状態と第2発光状態とを、明確に異なる発光色で発光させることができるので、これら両発光状態の視認性をそれぞれ向上させることができる。
【0030】
請求項11の発明では、制御手段により、第2発光状態における各発光素子の少なくともいずれか1つから発光される光の輝度が、無線通信媒体との通信内容に応じて変化するように制御される。
これにより、第2発光状態では、無線通信媒体との通信内容ごとに明確に異なる発光色で発光させることができるので、様々な種類の通信内容を各発光部の発光状態を用いて容易に視認させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】第1実施形態に係る決済装置の概略構成を示す平面図である。
【図2】図1の決済装置の電気的構成を概略的に示すブロック図である。
【図3】各発光部の離間距離と投影領域の最長投影長さと関係を示す説明図である。
【図4】各発光部の視認状態と投影領域との関係を示す説明図である。
【図5】第1実施形態の第1変形例における決済装置の概略構成を示す平面図である。
【図6】第2実施形態に係る決済装置の概略構成を示す平面図である。
【図7】図6の決済装置の電気的構成を概略的に示すブロック図である。
【図8】第2実施形態における検知器の構成を説明する説明図である。
【図9】ICカードがかざされたときの各発光部の発光状態を例示する説明図である。
【図10】第2実施形態の第1変形例における決済装置の要部を示す平面図である。
【図11】第2実施形態の第2変形例における検知器の構成を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
[第1実施形態]
以下、本発明に係る通信装置を決済装置に適用した第1実施形態について、図面を参照して説明する。図1は、第1実施形態に係る決済装置10の概略構成を示す平面図である。図2は、図1の決済装置10の電気的構成を概略的に示すブロック図である。
図1に示す決済装置10は、かざし面12にかざされる決済用の無線通信媒体との間で決済情報等に関して無線通信する機能を有する据え置き型の通信装置であり、本実施形態では、通信対象としてICカードCが採用されている。
【0033】
決済装置10の筐体11内には、決済装置10全体を制御する制御部21が設けられている。この制御部21は、マイコンを主体として構成されるものであり、CPU、システムバス、入出力インタフェース等を有しており、メモリ22とともに情報処理装置を構成し得るもので情報処理機能を有している。また、制御部21には、主に、表示部23、通信インタフェース24、無線通信部25や発光部26a〜26dなどが接続されている。
【0034】
表示部23は、かざし面12の近傍に配置されて、制御部21によって制御される構成をなしており、制御部21から表示処理等に関する指令を受けて動作するようになっている。通信インタフェース24は、外部(例えば銀行側サーバや外部ホスト装置)との間での決済情報に関するデータ通信を行うためのインタフェースとして構成されており、制御部21と協働して通信処理を行う構成をなしている。
【0035】
無線通信部25は、アンテナ25aを介して、かざし面12にかざされるICカードCとの間で電磁波による非接触通信(無線通信)を行なうことで、ICカードCがかざし面12にかざされたことを検知し、当該ICカードCに記憶されるカード番号などの決済に関する決済関連情報の読み取り等を行なうように機能するものである。
【0036】
各発光部26a〜26dは、制御部21により制御されて、かざし面12に対してICカードCをかざす動作(かざし動作)を誘導する第1発光状態と、無線通信部25によりICカードCとの無線通信に応じた処理、例えば、決算関連処理がなされたことを示す第2発光状態とを明確に区別するように発光する。具体的には、例えば、第1発光状態は、全ての発光部26a〜26dが同時に点滅する発光状態であり、第2発光状態は、全ての発光部26a〜26dが同時に点灯する発光状態である。なお、上述した点灯状態は、点灯していると視認される程度に短い間隔、例えば、0.5秒間隔で点滅している状態も含むものとする。
【0037】
4つの発光部26a〜26dは、かざし面12内にて、矩形領域の四隅を構成する位置にそれぞれ配置されている。このようにかざし面12に配置される各発光部26a〜26d同士の位置関係について、図3および図4を用いて説明する。図3は、各発光部26a〜26dの離間距離Xと投影領域Sの最長投影長さLと関係を示す説明図である。図4は、各発光部26a〜26dの視認状態と投影領域S1〜S4との関係を示す説明図である。なお、図3では、説明の便宜上、投影領域Sにハッチングを付して図示している。
【0038】
各発光部26a〜26dは、対角に位置する他の発光部との離間距離Xが、最長投影長さLよりも長くなるように配置されている。ここで、最長投影長さLは、ICカードCをかざし面12にかざす際に、当該かざし面12に投影される当該ICカードCの投影領域Sの外縁間を結ぶ線分のうち最も長い線分の長さである。図3に示すように投影領域Sが略矩形状になる場合には、最長投影長さLは、投影領域Sの対角長となる。
【0039】
本実施形態では、カードサイズが長辺86mm×短辺54mmの矩形状のICカードを通信対象としているため、対角長が102mm(=(862+542)1/2mm)となり、最長投影長さLは、この対角長に相当する。したがって、各発光部26a〜26dは、対角に位置する他の発光部との離間距離Xが、102mmよりも長くなるように配置されることとなる。
【0040】
なお、異なるカードサイズ、例えば、長辺81mm×短辺27mm、長辺50mm×短辺40mm、長辺50mm×短辺27mm、長辺40.5mm×短辺24.5mm、長辺25mm×短辺20mmのICカードや他のサイズの携帯端末などの無線通信媒体を通信対象としてもよい。この場合、各発光部26a〜26dは、対角に位置する他の発光部との離間距離Xが、上記各無線通信媒体のうち最大の最長投影長さLよりも長くなるように配置される。
【0041】
このため、例えば、図4に示す投影領域S1または投影領域S2となるようにICカードCがかざし面12にかざされても、全ての発光部26a〜26dの発光状態を視認することができる。また、図4に示す投影領域S3となるように、ICカードCが発光部26c,26dを隠すようにかざし面12にかざされても、残りの発光部26a,26bの発光状態を視認することができる。また、図4に示す投影領域S4となるように、ICカードCが発光部26dの一部と発光部26aとを隠すようにかざし面12にかざされても、残りの発光部26b,26cの発光状態を視認することができる。
【0042】
以上説明したように、本実施形態に係る決済装置10では、上述のように各発光部26a〜26dがかざし面12に配置されることにより、図4に示すように、ICカードCをかざし面12に対してどのようにかざしても、各発光部26a〜26dのうち少なくとも1つの発光状態が視認できることがわかる。
【0043】
このため、かざし面12にて発光する各発光部26a〜26dにより、かざし面12に対してICカードCをかざすかざし動作の誘導がなされて、この誘導に応じて当該かざし面12にICカードCがかざされても、当該ICカードCにより全ての発光部26a〜26dが隠されることなく少なくともいずれかの発光部が視認される状態となる。
したがって、ICカードCをかざし面12にかざす場合でも当該かざし面12に配置された発光部26a〜26d少なくともいずれかの発光状態を確実に視認することができる。
【0044】
なお、かざし面12には、4つの発光部26a〜26dが配置されることに限らず、2つまたは3つの発光部が配置されてもよいし、5つ以上の発光部が配置されてもよい。この場合、各発光部は、少なくとも2つの離間距離Xが、最長投影長さLよりも長くなるように配置されることで、上記効果を奏する。
【0045】
図5は、第1実施形態の第1変形例における決済装置の概略構成を示す平面図である。
上記第1実施形態の第1変形例として、各発光部26a〜26dのうち少なくとも1つは、他の発光部と比較して長手状に発光するように構成されてもよい。
具体的には、図5に例示するように、発光部26cおよび発光部26dに代えて、長手状に発光する発光部26eを採用することができる。この発光部26eは、両端部と発光部26a,26bとの離間距離Xがそれぞれ最長投影長さLよりも長く、他の発光部と比較して長手状に発光するように構成されるため、ICカードCをかざし面12にかざす場合でも、当該かざし面12に配置された発光部26e,26a,26bの少なくともいずれか1つ発光状態をより確実に視認することができる。また、長手状に発光する発光部は、1つに限らず、2以上設けられてもよい。
【0046】
上記第1実施形態の第2変形例として、各発光部26a〜26dは、それぞれ異なる発光色に発光する2以上の発光素子、例えば、赤色に発光する赤色発光素子、緑色に発光する緑色発光素子および青色に発光する青色発光素子の各発光素子からの光を利用して発光するようにそれぞれ構成してもよい。そして、制御部21により、各発光素子の少なくともいずれか1つから発光される光の輝度が、第1発光状態と第2発光状態とで異なるように制御することができる。これにより、第1発光状態と第2発光状態とを、明確に異なる発光色で発光させることができるので、これら両発光状態の視認性をそれぞれ向上させることができる。なお、各発光部26a〜26dは、赤色発光素子、緑色発光素子および青色発光素子からの光を利用して発光することに限らず、これら3つの発光素子のうちの2つからの光を利用して発光してもよいし、他の色に発光する発光素子からの光を利用して発光してもよい。
【0047】
上述のように、各発光素子からの光を利用して各発光部26a〜26dを発光させる場合、制御部21により、第2発光状態における各発光素子の少なくともいずれか1つから発光される光の輝度は、ICカードCとの通信内容に応じて変化するように制御されてもよい。これにより、第2発光状態では、ICカードCとの通信内容ごとに明確に異なる発光色で発光させることができるので、様々な種類の通信内容を各発光部26a〜26dの発光状態を用いて容易に視認させることができる。
【0048】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係る決済装置について図6〜図9を参照して説明する。図6は、第2実施形態に係る決済装置10aの概略構成を示す平面図である。図7は、図6の決済装置10aの電気的構成を概略的に示すブロック図である。図8は、第2実施形態における検知器30の構成を説明する説明図である。図9は、ICカードCがかざされたときの各発光部26a〜26d,27a〜27d,28a〜28dの発光状態を例示する説明図である。なお、図6および図9では、説明の便宜上、検知器30の図示を省略し、図9および後述する図10では、説明の便宜上、消灯状態の発光部に対してハッチングを付して図示している。
【0049】
本第2実施形態に係る決済装置10aでは、かざし面12に投影されるICカードCの投影領域Sに応じて各発光部の発光状態を変更する点が、上記第1実施形態に係る決済装置と主に異なる。したがって、上述した第1実施形態の決済装置と実質的に同一の構成部分には同一符号を付し、説明を省略する。
【0050】
図6および図7に示すように、本実施形態に係る決済装置10aは、上述した発光部26a〜26dに対して、新たに発光部27a〜27dおよび発光部28a〜28dを加えた計12個の発光部と、検知器30とを備えている。各発光部27a〜27dは、かざし面12内にて、各発光部26a〜26dが四隅を構成する矩形領域よりも狭い矩形領域の四隅を構成する位置にそれぞれ配置されている。また、各発光部28a〜28dは、かざし面12内にて、各発光部26a〜26dが四隅を構成する矩形領域よりも広い矩形領域の四隅を構成する位置にそれぞれ配置されている。
【0051】
検知器30は、第2発光状態時に、かざし面12に投影されるICカードCの投影領域Sの範囲を検知する検知手段である。この検知器30は、図8に例示するように、かざし面12から外方に赤外光を発光する発光素子32と、この発光素子32から発光された後に反射された赤外光(反射光)を受光可能な受光素子33とが隣接して構成される検知部31を、複数備えている。これら各検知部31は、かざし面12に対して、各発光部26a〜26d,27a〜27d,28a〜28dにそれぞれ隣接して配置されている。なお、各発光部26a〜26d,27a〜27d,28a〜28dが、かざし面12に複数形成される開口内に1つずつ配置されて外方へ発光するように構成される場合には、各検知部31は、上記各開口内に1つずつ配置されて構成されてもよい。
【0052】
これにより、ICカードCがかざし面12にかざされると、このICカードCの投影領域S内に位置する発光素子32からの赤外光がICカードCにて反射しこの反射光が隣接する受光素子33にて受光される。一方、ICカードCの投影領域S外に位置する発光素子32からの赤外光はICカードCにて反射しないため、この発光素子32に隣接する受光素子33では反射光が受光されないこととなる。このため、反射光を受光した受光素子33が配置される位置に基づいて、投影領域Sの範囲を検知することができる。
【0053】
このように構成される決済装置10aでは、第2発光状態時に、制御部21により制御されて、各発光部26a〜26d,27a〜27d,28a〜28dのうち、検知器30により検知されたICカードCの投影領域Sの範囲外に配置されている発光部が発光し、投影領域Sの範囲内に配置されている発光部は消灯する。
【0054】
例えば、かざし面12に対してICカードCがかざされることで投影領域Sが図9に例示するように投影される場合、各発光部27a〜27dに隣接する各検知部31は反射光を検知し、各発光部26a〜26d,28a〜28dに隣接する各検知部31は反射光を検知しない。このため、各発光部26a〜26d,28a〜28dが第2発光状態として発光し、各発光部27a〜27dが消灯する。
【0055】
以上説明したように、本実施形態に係る決済装置10aでは、かざし面12に対するICカードCの投影領域Sの範囲外に配置されている発光部、すなわち、ICカードCにより隠されていない発光部が全て発光するため、第2発光状態を確実に視認することができる。特に、ICカードCの投影領域Sの範囲内に配置されて当該ICカードCに隠されて見えない発光部は発光しないので、第2発光状態時の消費電力の低減を図ることができる。
【0056】
また、検知器30は、発光素子32および受光素子33が隣接して構成される検知部31を、かざし面12に複数配置して構成され、この検知器30により、反射光を受光した受光素子33が配置される位置に基づいて、ICカードCの投影領域Sの範囲が検知される。これにより、上記反射光を受光した受光素子33が配置される位置に基づいて、上記投影領域Sの範囲を簡易な構成で検知することができる。
【0057】
なお、かざし面12に設けられる複数の発光部は、各発光部26a〜26d,27a〜27d,28a〜28dのように四方に広がるように配置されることに限らず、例えば八方または十字状に拡がるように配置されてもよいし、ランダムに配置されてもよい。このように各発光部がかざし面12に配置される場合には、検知器30を構成する各検知部31は、対応する発光部に隣接するようにそれぞれ配置することができる。
【0058】
なお、検知部31は、発光素子32を廃止し、発光手段として隣接する発光部を用いて構成されてもよい。これにより、当該発光部が兼用されて専用の発光手段が不要となるので、この検知部31を構成するための構成部品が低減されて、当該検知部31を設けることによるコスト増加を抑制することができる。
【0059】
図10は、第2実施形態の第1変形例における決済装置10aの要部を示す平面図である。
上記第2実施形態の第1変形例として、第2発光状態時に、各発光部26a〜26d,27a〜27d,28a〜28dのうち、検知器30により検知されたICカードCの投影領域Sの範囲外であって当該投影領域Sに沿うように配置されている発光部が発光するように、制御部21により制御されてもよい。
【0060】
具体的には、例えば、かざし面12に対してICカードCがかざされることで投影領域Sが図10に例示するように投影される場合、各発光部27a〜27dに隣接する各検知部31は反射光を検知し、各発光部26a〜26d,28a〜28dに隣接する各検知部31は反射光を検知しない。このとき、投影領域Sに沿うように配置される検知部31に隣接する発光部は、発光部26a〜26dとなるので、各発光部26a〜26dが第2発光状態として発光し、各発光部27a〜27d,28a〜28dが消灯する。
【0061】
これにより、ICカードCにより隠されていない各発光部のうち当該投影領域Sに沿うように配置されている発光部が発光してその他の発光部は発光しないため、全ての発光部が発光する場合と比較して、消費電力の低減が図られるだけでなくICカードCの投影領域Sが強調されるように発光部が発光することとなる。その結果、第1発光状態と第2発光状態との違いが強調されて、第2発光状態をより確実に視認することができる。
【0062】
図11は、第2実施形態の第2変形例における検知器30aの構成を説明する説明図である。
上記第2実施形態の第2変形例として、上述した検知器30に代えて、検知器30aを採用してもよい。この検知器30aは、検知器30に対して、各検知部31に代えて、外光に応じて抵抗値が変化する光導電素子34を同数採用し、これら各光導電素子34が対応する発光部に隣接してそれぞれ配置されるように構成される。
【0063】
このように構成される決済装置10aでは、ICカードCがかざし面12にかざされたことで無線通信部25により当該ICカードCとの間で無線通信がなされると、制御部21により制御されて、各発光部26a〜26d,27a〜27d,28a〜28dの発光が一時的に停止されて消灯状態となる。
【0064】
これにより、ICカードCがかざし面12にかざされると、当該ICカードCの投影領域S内に位置する光導電素子34の抵抗値が変化する一方で、投影領域S外に位置する光導電素子34の抵抗値は変化しないこととなる。このため、各発光部の発光の一時的停止時に抵抗値が変化した光導電素子34が配置される位置に基づいて、投影領域Sの範囲を検知することができる。
【0065】
なお、上述した本第2実施形態およびその変形例の特徴的構成は、上記第1実施形態やその変形例に適用してもよい。
【0066】
なお、本発明は上記各実施形態および変形例に限定されるものではなく、以下のように具体化してもよい。
(1)上記各実施形態では、本発明に係る通信装置を決済装置に適用した例を説明したが、これに限らず、情報読取装置等の他の通信装置に適用してもよい。これにより、通信対象の無線通信媒体をかざし面12にかざす際に当該かざし面12に配置された各発光部の発光状態が視認されて、無線通信媒体をかざし面12にかざす場合でも通信状態を確実に視認することができる。
【0067】
(2)上記各実施形態では、ICカードCのようにカード状に形成される無線通信媒体を通信対象とすることに限らず、他の形状、例えば楕円状に形成される無線通信媒体を通信対象としてもよい。この場合、最長投影長さLは、かざし面12に投影される無線通信媒体の投影領域の外縁間を結ぶ線分のうち最も長い線分、すなわち長軸の長さとなり、各発光部は、少なくとも2つの離間距離Xが、上記最長投影長さLよりも長くなるように配置される。
【0068】
このようにしても、かざし動作の誘導に応じてかざし面12に無線通信媒体がかざされるときには、当該無線通信媒体により全ての発光部が隠されることなく少なくともいずれかの発光部が視認される状態となる。これにより、上記無線通信媒体をかざし面12にかざす場合でも当該かざし面12に配置された発光部の発光状態を確実に視認することができる。
【符号の説明】
【0069】
10,10a…決済装置(通信装置)
11…筐体
12…かざし面
21…制御部(制御手段)
25…無線通信部(無線通信手段)
26a〜26e,27a〜27d,28a〜28d…発光部
30,30a…検知器(検知手段)
31…検知部
32…発光素子(発光手段)
33…受光素子(受光手段)
34…光導電素子
C…ICカード(無線通信媒体,決済用の媒体)
L…最長投影長さ
S…投影領域
X…離間距離
【技術分野】
【0001】
本発明は、かざし面にかざされる無線通信媒体と無線通信する通信装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、かざし面にかざされる無線通信媒体と無線通信する通信装置では、無線通信媒体をかざすカードかざし面を利用者に対して容易に視認させるために、当該カードかざし面の中央に発光部を設け、当該発光部の発光の有無や発光色等に応じて、カードかざし面に対して利用者のカードをかざす動作(かざし動作)を誘導するように構成される。また、この発光部は、かざし動作を誘導する機能だけでなく、決済状況などの通信状態を利用者に通知するインジケータとしての機能を兼ね備えるように構成することができる。
【0003】
このような通信装置に関する技術として、下記特許文献1に開示されるIC用データ通信装置が知られている。このIC用データ通信装置は、ICカードのかざし位置を利用者に対して表示するICカードかざし位置表示部と、ICカードが読み取り可能状態であることを出力するICカード読取可能状態出力部を構成する4個の発光部とを備えている。ICカードかざし位置表示部は、ICカードの読み取り可能範囲を示すための標識であって、楕円リング状の表示器がICカードの形状やシンボルを示す標識を囲うように配置されて構成されている。また、この表示器の内側には、上記4個の発光部が配置されている。
【0004】
このように構成されるIC用データ通信装置は、通信がなされない待機状態では、各発光部および表示器がすべて点灯状態となり、決済処理が開始され店員等による金額入力操作を待つ状態では、各発光部および表示器がすべて消灯状態になる。その後、金額が入力されてICカードがかざされる状態を待つカード待受中の状態では、各発光部がすべて点滅状態となるとともに表示器が点灯状態となり、ICカードがICカードかざし位置表示部にかざされると、各発光部および表示器がすべて消灯状態となる。そして、ICカードの認証処理等が終了して待機状態となると、再び各発光部および表示器がすべて点灯状態となる。このように、ICカードかざし位置表示部に配置される各発光部および表示器の発光状態により、かざし動作を誘導する機能だけでなく、通信状態を利用者に通知するインジケータとしての機能を実現している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−355580号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記特許文献1に開示されるような通信装置では、かざし面(ICカードかざし位置表示部)にICカード等の無線通信媒体がかざされる際、そのかざし方によっては、かざし面に配置される全ての発光部分が無線通信媒体で覆われてしまう場合がある。この場合には、無線通信媒体を発光部分からずらさないとその発光状態を視認することができず、かざし面に対して無線通信媒体をかざすかざし動作の誘導はできても、決済状況等を視認できないという問題があった。
【0007】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、無線通信媒体をかざし面にかざす場合でも当該かざし面に配置された発光部の発光状態を確実に視認し得る通信装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の通信装置は、無線通信媒体(C)がかざされるかざし面(12)と、前記かざし面にかざされた前記無線通信媒体に対して無線通信可能な無線通信手段(25)と、前記かざし面に設けられる複数の発光部(26a〜26e,27a〜27d,28a〜28d)と、前記複数の発光部を、前記かざし面に対して前記無線通信媒体をかざす動作を誘導する第1発光状態と、前記無線通信手段により前記無線通信媒体との無線通信に応じた処理がなされたことを示す第2発光状態とのいずれかに制御可能な制御手段(21)と、を備える通信装置(10,10a)であって、当該通信装置が通信対象とする前記無線通信媒体を前記かざし面にかざす際に、当該かざし面に投影される当該無線通信媒体の投影領域(S)の外縁間を結ぶ線分のうち最も長い線分の長さを最長投影長さ(L)とするとき、前記複数の発光部は、少なくとも2つの離間距離(X)が、前記最長投影長さよりも長くなるように配置されることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の通信装置において、前記無線通信媒体は、決済用の媒体であって、前記無線通信手段は、決済処理に応じた決済情報について前記無線通信媒体と無線通信することを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の通信装置において、前記無線通信媒体は、カード状に形成されることを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の通信装置において、前記複数の発光部のうち少なくとも1つ(26e)は、他の発光部と比較して長手状に発光するように構成されることを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の通信装置において、前記投影領域の範囲を検知する検知手段(30〜34)を備え、前記制御手段は、前記第2発光状態時に、前記複数の発光部のうち、前記検知手段により検知された前記投影領域の範囲外に配置されている発光部を発光させることを特徴とする。
【0013】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の通信装置において、前記制御手段は、前記第2発光状態時に、前記複数の発光部のうち、前記検知手段により検知された前記投影領域の範囲外であって当該投影領域に沿うように配置されている発光部を発光させることを特徴とする。
【0014】
請求項7に記載の発明は、請求項5または6に記載の通信装置において、前記検知手段は、前記かざし面から外方に発光する発光手段(32)とこの発光手段から発光された後に反射された反射光を受光可能な受光手段(33)とが隣接して構成される検知部(31)を、前記かざし面に複数配置して構成され、前記反射光を受光した前記受光手段が配置される位置に基づいて、前記投影領域の範囲を検知することを特徴とする。
【0015】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の通信装置において、前記検知部は、前記発光手段として前記発光部を用いて構成されることを特徴とする。
【0016】
請求項9に記載の発明は、請求項5または6に記載の通信装置において、前記制御手段は、前記無線通信手段により前記無線通信媒体との無線通信がなされると、前記各発光部の発光を一時的に停止し、前記検知手段は、外光に応じて抵抗値が変化する光導電素子(34)を、前記かざし面に複数配置して構成され、前記各発光部の発光の一時的停止時に抵抗値が変化した前記光導電素子が配置される位置に基づいて、前記投影領域の範囲を検知することを特徴とする。
【0017】
請求項10に記載の発明は、請求項1〜9のいずれか一項に記載の通信装置において、それぞれ異なる発光色に発光する2以上の発光素子を備え、前記複数の発光部は、前記各発光素子からの光を利用して発光するようにそれぞれ構成され、前記制御手段は、前記各発光素子の少なくともいずれか1つから発光される光の輝度を、前記第1発光状態と前記第2発光状態とで異なるように制御することを特徴とする。
【0018】
請求項11に記載の発明は、請求項10に記載の通信装置において、前記制御手段は、前記第2発光状態における前記各発光素子の少なくともいずれか1つから発光される光の輝度を、前記無線通信媒体との通信内容に応じて変化させるように制御することを特徴とする。
なお、上記各括弧内の符号は、後述する各実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明の効果】
【0019】
請求項1の発明では、無線通信媒体がかざされるかざし面には複数の発光部が設けられており、これら複数の発光部は、少なくとも2つの離間距離が上記最長投影長さよりも長くなるように配置される。
【0020】
これにより、かざし面にて発光する複数の発光部により、かざし面に対して無線通信媒体をかざす動作(かざし動作)の誘導がなされて、この誘導に応じて当該かざし面に無線通信媒体がかざされても、当該無線通信媒体により全ての発光部が隠されることなく少なくともいずれかの発光部が視認される状態となる。
したがって、無線通信媒体をかざし面にかざす場合でも当該かざし面に配置された発光部の発光状態を確実に視認することができる。
【0021】
請求項2の発明では、無線通信媒体は、決済用の媒体であって、無線通信手段は、決済処理に応じた決済情報について決済用の媒体と無線通信するため、当該通信装置を決済装置に適用する場合でも、決済用の媒体をかざし面にかざす際に当該かざし面に配置された発光部の発光状態が視認される。これにより、決済用の媒体をかざし面にかざす場合でも決済状態を確実に視認することができる。
【0022】
請求項3の発明のように、無線通信媒体がカード状に形成される場合でも、かざし動作の誘導に応じてかざし面に無線通信媒体がかざされるときには、当該無線通信媒体により全ての発光部が隠されることなく少なくともいずれかの発光部が視認される状態となる。これにより、カード状に形成される無線通信媒体、例えば、ICカードをかざし面にかざす場合でも当該かざし面に配置された発光部の発光状態を確実に視認することができる。
【0023】
請求項4の発明では、複数の発光部のうち少なくとも1つは、他の発光部と比較して長手状に発光するように構成されるため、無線通信媒体をかざし面にかざす場合でも当該かざし面に配置された発光部の発光状態をより確実に視認することができる。
【0024】
請求項5の発明では、第2発光状態時に、制御手段により制御されて、複数の発光部のうち、検知手段により検知された無線通信媒体の投影領域の範囲外に配置されている発光部が発光する。これにより、上記投影領域の範囲外に配置されている発光部、すなわち、無線通信媒体により隠されていない発光部が全て発光するため、第2発光状態を確実に視認することができる。
【0025】
請求項6の発明では、第2発光状態時に、制御手段により制御されて、複数の発光部のうち、検知手段により検知された無線通信媒体の投影領域の範囲外であって当該投影領域に沿うように配置されている発光部が発光する。
これにより、無線通信媒体により隠されていない発光部のうち当該投影領域に沿うように配置されている発光部が発光してその他の発光部は発光しないため、全ての発光部が発光する場合と比較して、省電力化が図られるだけでなく無線通信媒体の投影領域が強調されるように発光部が発光することとなる。その結果、第1発光状態と第2発光状態との違いが強調されて、第2発光状態をより確実に視認することができる。
【0026】
請求項7の発明では、検知手段は、発光手段および受光手段が隣接して構成される検知部を、かざし面に複数配置して構成され、この検知手段により、反射光を受光した受光手段が配置される位置に基づいて、無線通信媒体の投影領域の範囲が検知される。
これにより、無線通信媒体がかざし面にかざされると、発光手段からの光が無線通信媒体にて反射しこの反射光が隣接する受光手段にて受光されるため、当該反射光を受光した受光手段が配置される位置に基づいて、上記投影領域の範囲を簡易な構成で検知することができる。
【0027】
請求項8の発明では、検知部は、発光手段として上記発光部を用いて構成されるため、当該発光部が兼用されて専用の発光手段が不要となるので、この検知部を構成するための構成部品が低減されて、当該検知部を設けることによるコスト増加を抑制することができる。
【0028】
請求項9の発明では、検知手段は、光導電素子を、かざし面に複数配置して構成され、この検知手段により、各発光部の発光の一時的停止時に抵抗値が変化した光導電素子が配置される位置に基づいて、投影領域の範囲が検知される。
これにより、無線通信媒体がかざし面にかざされると、この無線通信媒体に隠される光導電素子の抵抗値が変化するため、抵抗値が変化した光導電素子が配置される位置に基づいて、上記投影領域の範囲を簡易な構成で検知することができる。
【0029】
請求項10の発明では、複数の発光部は、それぞれ異なる発光色に発光する2以上の発光素子、例えば、赤色発光素子、緑色発光素子および青色発光素子等からの光を利用して発光するようにそれぞれ構成されている。そして、制御手段により、各発光素子の少なくともいずれか1つから発光される光の輝度が、第1発光状態と第2発光状態とで異なるように制御される。
これにより、第1発光状態と第2発光状態とを、明確に異なる発光色で発光させることができるので、これら両発光状態の視認性をそれぞれ向上させることができる。
【0030】
請求項11の発明では、制御手段により、第2発光状態における各発光素子の少なくともいずれか1つから発光される光の輝度が、無線通信媒体との通信内容に応じて変化するように制御される。
これにより、第2発光状態では、無線通信媒体との通信内容ごとに明確に異なる発光色で発光させることができるので、様々な種類の通信内容を各発光部の発光状態を用いて容易に視認させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】第1実施形態に係る決済装置の概略構成を示す平面図である。
【図2】図1の決済装置の電気的構成を概略的に示すブロック図である。
【図3】各発光部の離間距離と投影領域の最長投影長さと関係を示す説明図である。
【図4】各発光部の視認状態と投影領域との関係を示す説明図である。
【図5】第1実施形態の第1変形例における決済装置の概略構成を示す平面図である。
【図6】第2実施形態に係る決済装置の概略構成を示す平面図である。
【図7】図6の決済装置の電気的構成を概略的に示すブロック図である。
【図8】第2実施形態における検知器の構成を説明する説明図である。
【図9】ICカードがかざされたときの各発光部の発光状態を例示する説明図である。
【図10】第2実施形態の第1変形例における決済装置の要部を示す平面図である。
【図11】第2実施形態の第2変形例における検知器の構成を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
[第1実施形態]
以下、本発明に係る通信装置を決済装置に適用した第1実施形態について、図面を参照して説明する。図1は、第1実施形態に係る決済装置10の概略構成を示す平面図である。図2は、図1の決済装置10の電気的構成を概略的に示すブロック図である。
図1に示す決済装置10は、かざし面12にかざされる決済用の無線通信媒体との間で決済情報等に関して無線通信する機能を有する据え置き型の通信装置であり、本実施形態では、通信対象としてICカードCが採用されている。
【0033】
決済装置10の筐体11内には、決済装置10全体を制御する制御部21が設けられている。この制御部21は、マイコンを主体として構成されるものであり、CPU、システムバス、入出力インタフェース等を有しており、メモリ22とともに情報処理装置を構成し得るもので情報処理機能を有している。また、制御部21には、主に、表示部23、通信インタフェース24、無線通信部25や発光部26a〜26dなどが接続されている。
【0034】
表示部23は、かざし面12の近傍に配置されて、制御部21によって制御される構成をなしており、制御部21から表示処理等に関する指令を受けて動作するようになっている。通信インタフェース24は、外部(例えば銀行側サーバや外部ホスト装置)との間での決済情報に関するデータ通信を行うためのインタフェースとして構成されており、制御部21と協働して通信処理を行う構成をなしている。
【0035】
無線通信部25は、アンテナ25aを介して、かざし面12にかざされるICカードCとの間で電磁波による非接触通信(無線通信)を行なうことで、ICカードCがかざし面12にかざされたことを検知し、当該ICカードCに記憶されるカード番号などの決済に関する決済関連情報の読み取り等を行なうように機能するものである。
【0036】
各発光部26a〜26dは、制御部21により制御されて、かざし面12に対してICカードCをかざす動作(かざし動作)を誘導する第1発光状態と、無線通信部25によりICカードCとの無線通信に応じた処理、例えば、決算関連処理がなされたことを示す第2発光状態とを明確に区別するように発光する。具体的には、例えば、第1発光状態は、全ての発光部26a〜26dが同時に点滅する発光状態であり、第2発光状態は、全ての発光部26a〜26dが同時に点灯する発光状態である。なお、上述した点灯状態は、点灯していると視認される程度に短い間隔、例えば、0.5秒間隔で点滅している状態も含むものとする。
【0037】
4つの発光部26a〜26dは、かざし面12内にて、矩形領域の四隅を構成する位置にそれぞれ配置されている。このようにかざし面12に配置される各発光部26a〜26d同士の位置関係について、図3および図4を用いて説明する。図3は、各発光部26a〜26dの離間距離Xと投影領域Sの最長投影長さLと関係を示す説明図である。図4は、各発光部26a〜26dの視認状態と投影領域S1〜S4との関係を示す説明図である。なお、図3では、説明の便宜上、投影領域Sにハッチングを付して図示している。
【0038】
各発光部26a〜26dは、対角に位置する他の発光部との離間距離Xが、最長投影長さLよりも長くなるように配置されている。ここで、最長投影長さLは、ICカードCをかざし面12にかざす際に、当該かざし面12に投影される当該ICカードCの投影領域Sの外縁間を結ぶ線分のうち最も長い線分の長さである。図3に示すように投影領域Sが略矩形状になる場合には、最長投影長さLは、投影領域Sの対角長となる。
【0039】
本実施形態では、カードサイズが長辺86mm×短辺54mmの矩形状のICカードを通信対象としているため、対角長が102mm(=(862+542)1/2mm)となり、最長投影長さLは、この対角長に相当する。したがって、各発光部26a〜26dは、対角に位置する他の発光部との離間距離Xが、102mmよりも長くなるように配置されることとなる。
【0040】
なお、異なるカードサイズ、例えば、長辺81mm×短辺27mm、長辺50mm×短辺40mm、長辺50mm×短辺27mm、長辺40.5mm×短辺24.5mm、長辺25mm×短辺20mmのICカードや他のサイズの携帯端末などの無線通信媒体を通信対象としてもよい。この場合、各発光部26a〜26dは、対角に位置する他の発光部との離間距離Xが、上記各無線通信媒体のうち最大の最長投影長さLよりも長くなるように配置される。
【0041】
このため、例えば、図4に示す投影領域S1または投影領域S2となるようにICカードCがかざし面12にかざされても、全ての発光部26a〜26dの発光状態を視認することができる。また、図4に示す投影領域S3となるように、ICカードCが発光部26c,26dを隠すようにかざし面12にかざされても、残りの発光部26a,26bの発光状態を視認することができる。また、図4に示す投影領域S4となるように、ICカードCが発光部26dの一部と発光部26aとを隠すようにかざし面12にかざされても、残りの発光部26b,26cの発光状態を視認することができる。
【0042】
以上説明したように、本実施形態に係る決済装置10では、上述のように各発光部26a〜26dがかざし面12に配置されることにより、図4に示すように、ICカードCをかざし面12に対してどのようにかざしても、各発光部26a〜26dのうち少なくとも1つの発光状態が視認できることがわかる。
【0043】
このため、かざし面12にて発光する各発光部26a〜26dにより、かざし面12に対してICカードCをかざすかざし動作の誘導がなされて、この誘導に応じて当該かざし面12にICカードCがかざされても、当該ICカードCにより全ての発光部26a〜26dが隠されることなく少なくともいずれかの発光部が視認される状態となる。
したがって、ICカードCをかざし面12にかざす場合でも当該かざし面12に配置された発光部26a〜26d少なくともいずれかの発光状態を確実に視認することができる。
【0044】
なお、かざし面12には、4つの発光部26a〜26dが配置されることに限らず、2つまたは3つの発光部が配置されてもよいし、5つ以上の発光部が配置されてもよい。この場合、各発光部は、少なくとも2つの離間距離Xが、最長投影長さLよりも長くなるように配置されることで、上記効果を奏する。
【0045】
図5は、第1実施形態の第1変形例における決済装置の概略構成を示す平面図である。
上記第1実施形態の第1変形例として、各発光部26a〜26dのうち少なくとも1つは、他の発光部と比較して長手状に発光するように構成されてもよい。
具体的には、図5に例示するように、発光部26cおよび発光部26dに代えて、長手状に発光する発光部26eを採用することができる。この発光部26eは、両端部と発光部26a,26bとの離間距離Xがそれぞれ最長投影長さLよりも長く、他の発光部と比較して長手状に発光するように構成されるため、ICカードCをかざし面12にかざす場合でも、当該かざし面12に配置された発光部26e,26a,26bの少なくともいずれか1つ発光状態をより確実に視認することができる。また、長手状に発光する発光部は、1つに限らず、2以上設けられてもよい。
【0046】
上記第1実施形態の第2変形例として、各発光部26a〜26dは、それぞれ異なる発光色に発光する2以上の発光素子、例えば、赤色に発光する赤色発光素子、緑色に発光する緑色発光素子および青色に発光する青色発光素子の各発光素子からの光を利用して発光するようにそれぞれ構成してもよい。そして、制御部21により、各発光素子の少なくともいずれか1つから発光される光の輝度が、第1発光状態と第2発光状態とで異なるように制御することができる。これにより、第1発光状態と第2発光状態とを、明確に異なる発光色で発光させることができるので、これら両発光状態の視認性をそれぞれ向上させることができる。なお、各発光部26a〜26dは、赤色発光素子、緑色発光素子および青色発光素子からの光を利用して発光することに限らず、これら3つの発光素子のうちの2つからの光を利用して発光してもよいし、他の色に発光する発光素子からの光を利用して発光してもよい。
【0047】
上述のように、各発光素子からの光を利用して各発光部26a〜26dを発光させる場合、制御部21により、第2発光状態における各発光素子の少なくともいずれか1つから発光される光の輝度は、ICカードCとの通信内容に応じて変化するように制御されてもよい。これにより、第2発光状態では、ICカードCとの通信内容ごとに明確に異なる発光色で発光させることができるので、様々な種類の通信内容を各発光部26a〜26dの発光状態を用いて容易に視認させることができる。
【0048】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係る決済装置について図6〜図9を参照して説明する。図6は、第2実施形態に係る決済装置10aの概略構成を示す平面図である。図7は、図6の決済装置10aの電気的構成を概略的に示すブロック図である。図8は、第2実施形態における検知器30の構成を説明する説明図である。図9は、ICカードCがかざされたときの各発光部26a〜26d,27a〜27d,28a〜28dの発光状態を例示する説明図である。なお、図6および図9では、説明の便宜上、検知器30の図示を省略し、図9および後述する図10では、説明の便宜上、消灯状態の発光部に対してハッチングを付して図示している。
【0049】
本第2実施形態に係る決済装置10aでは、かざし面12に投影されるICカードCの投影領域Sに応じて各発光部の発光状態を変更する点が、上記第1実施形態に係る決済装置と主に異なる。したがって、上述した第1実施形態の決済装置と実質的に同一の構成部分には同一符号を付し、説明を省略する。
【0050】
図6および図7に示すように、本実施形態に係る決済装置10aは、上述した発光部26a〜26dに対して、新たに発光部27a〜27dおよび発光部28a〜28dを加えた計12個の発光部と、検知器30とを備えている。各発光部27a〜27dは、かざし面12内にて、各発光部26a〜26dが四隅を構成する矩形領域よりも狭い矩形領域の四隅を構成する位置にそれぞれ配置されている。また、各発光部28a〜28dは、かざし面12内にて、各発光部26a〜26dが四隅を構成する矩形領域よりも広い矩形領域の四隅を構成する位置にそれぞれ配置されている。
【0051】
検知器30は、第2発光状態時に、かざし面12に投影されるICカードCの投影領域Sの範囲を検知する検知手段である。この検知器30は、図8に例示するように、かざし面12から外方に赤外光を発光する発光素子32と、この発光素子32から発光された後に反射された赤外光(反射光)を受光可能な受光素子33とが隣接して構成される検知部31を、複数備えている。これら各検知部31は、かざし面12に対して、各発光部26a〜26d,27a〜27d,28a〜28dにそれぞれ隣接して配置されている。なお、各発光部26a〜26d,27a〜27d,28a〜28dが、かざし面12に複数形成される開口内に1つずつ配置されて外方へ発光するように構成される場合には、各検知部31は、上記各開口内に1つずつ配置されて構成されてもよい。
【0052】
これにより、ICカードCがかざし面12にかざされると、このICカードCの投影領域S内に位置する発光素子32からの赤外光がICカードCにて反射しこの反射光が隣接する受光素子33にて受光される。一方、ICカードCの投影領域S外に位置する発光素子32からの赤外光はICカードCにて反射しないため、この発光素子32に隣接する受光素子33では反射光が受光されないこととなる。このため、反射光を受光した受光素子33が配置される位置に基づいて、投影領域Sの範囲を検知することができる。
【0053】
このように構成される決済装置10aでは、第2発光状態時に、制御部21により制御されて、各発光部26a〜26d,27a〜27d,28a〜28dのうち、検知器30により検知されたICカードCの投影領域Sの範囲外に配置されている発光部が発光し、投影領域Sの範囲内に配置されている発光部は消灯する。
【0054】
例えば、かざし面12に対してICカードCがかざされることで投影領域Sが図9に例示するように投影される場合、各発光部27a〜27dに隣接する各検知部31は反射光を検知し、各発光部26a〜26d,28a〜28dに隣接する各検知部31は反射光を検知しない。このため、各発光部26a〜26d,28a〜28dが第2発光状態として発光し、各発光部27a〜27dが消灯する。
【0055】
以上説明したように、本実施形態に係る決済装置10aでは、かざし面12に対するICカードCの投影領域Sの範囲外に配置されている発光部、すなわち、ICカードCにより隠されていない発光部が全て発光するため、第2発光状態を確実に視認することができる。特に、ICカードCの投影領域Sの範囲内に配置されて当該ICカードCに隠されて見えない発光部は発光しないので、第2発光状態時の消費電力の低減を図ることができる。
【0056】
また、検知器30は、発光素子32および受光素子33が隣接して構成される検知部31を、かざし面12に複数配置して構成され、この検知器30により、反射光を受光した受光素子33が配置される位置に基づいて、ICカードCの投影領域Sの範囲が検知される。これにより、上記反射光を受光した受光素子33が配置される位置に基づいて、上記投影領域Sの範囲を簡易な構成で検知することができる。
【0057】
なお、かざし面12に設けられる複数の発光部は、各発光部26a〜26d,27a〜27d,28a〜28dのように四方に広がるように配置されることに限らず、例えば八方または十字状に拡がるように配置されてもよいし、ランダムに配置されてもよい。このように各発光部がかざし面12に配置される場合には、検知器30を構成する各検知部31は、対応する発光部に隣接するようにそれぞれ配置することができる。
【0058】
なお、検知部31は、発光素子32を廃止し、発光手段として隣接する発光部を用いて構成されてもよい。これにより、当該発光部が兼用されて専用の発光手段が不要となるので、この検知部31を構成するための構成部品が低減されて、当該検知部31を設けることによるコスト増加を抑制することができる。
【0059】
図10は、第2実施形態の第1変形例における決済装置10aの要部を示す平面図である。
上記第2実施形態の第1変形例として、第2発光状態時に、各発光部26a〜26d,27a〜27d,28a〜28dのうち、検知器30により検知されたICカードCの投影領域Sの範囲外であって当該投影領域Sに沿うように配置されている発光部が発光するように、制御部21により制御されてもよい。
【0060】
具体的には、例えば、かざし面12に対してICカードCがかざされることで投影領域Sが図10に例示するように投影される場合、各発光部27a〜27dに隣接する各検知部31は反射光を検知し、各発光部26a〜26d,28a〜28dに隣接する各検知部31は反射光を検知しない。このとき、投影領域Sに沿うように配置される検知部31に隣接する発光部は、発光部26a〜26dとなるので、各発光部26a〜26dが第2発光状態として発光し、各発光部27a〜27d,28a〜28dが消灯する。
【0061】
これにより、ICカードCにより隠されていない各発光部のうち当該投影領域Sに沿うように配置されている発光部が発光してその他の発光部は発光しないため、全ての発光部が発光する場合と比較して、消費電力の低減が図られるだけでなくICカードCの投影領域Sが強調されるように発光部が発光することとなる。その結果、第1発光状態と第2発光状態との違いが強調されて、第2発光状態をより確実に視認することができる。
【0062】
図11は、第2実施形態の第2変形例における検知器30aの構成を説明する説明図である。
上記第2実施形態の第2変形例として、上述した検知器30に代えて、検知器30aを採用してもよい。この検知器30aは、検知器30に対して、各検知部31に代えて、外光に応じて抵抗値が変化する光導電素子34を同数採用し、これら各光導電素子34が対応する発光部に隣接してそれぞれ配置されるように構成される。
【0063】
このように構成される決済装置10aでは、ICカードCがかざし面12にかざされたことで無線通信部25により当該ICカードCとの間で無線通信がなされると、制御部21により制御されて、各発光部26a〜26d,27a〜27d,28a〜28dの発光が一時的に停止されて消灯状態となる。
【0064】
これにより、ICカードCがかざし面12にかざされると、当該ICカードCの投影領域S内に位置する光導電素子34の抵抗値が変化する一方で、投影領域S外に位置する光導電素子34の抵抗値は変化しないこととなる。このため、各発光部の発光の一時的停止時に抵抗値が変化した光導電素子34が配置される位置に基づいて、投影領域Sの範囲を検知することができる。
【0065】
なお、上述した本第2実施形態およびその変形例の特徴的構成は、上記第1実施形態やその変形例に適用してもよい。
【0066】
なお、本発明は上記各実施形態および変形例に限定されるものではなく、以下のように具体化してもよい。
(1)上記各実施形態では、本発明に係る通信装置を決済装置に適用した例を説明したが、これに限らず、情報読取装置等の他の通信装置に適用してもよい。これにより、通信対象の無線通信媒体をかざし面12にかざす際に当該かざし面12に配置された各発光部の発光状態が視認されて、無線通信媒体をかざし面12にかざす場合でも通信状態を確実に視認することができる。
【0067】
(2)上記各実施形態では、ICカードCのようにカード状に形成される無線通信媒体を通信対象とすることに限らず、他の形状、例えば楕円状に形成される無線通信媒体を通信対象としてもよい。この場合、最長投影長さLは、かざし面12に投影される無線通信媒体の投影領域の外縁間を結ぶ線分のうち最も長い線分、すなわち長軸の長さとなり、各発光部は、少なくとも2つの離間距離Xが、上記最長投影長さLよりも長くなるように配置される。
【0068】
このようにしても、かざし動作の誘導に応じてかざし面12に無線通信媒体がかざされるときには、当該無線通信媒体により全ての発光部が隠されることなく少なくともいずれかの発光部が視認される状態となる。これにより、上記無線通信媒体をかざし面12にかざす場合でも当該かざし面12に配置された発光部の発光状態を確実に視認することができる。
【符号の説明】
【0069】
10,10a…決済装置(通信装置)
11…筐体
12…かざし面
21…制御部(制御手段)
25…無線通信部(無線通信手段)
26a〜26e,27a〜27d,28a〜28d…発光部
30,30a…検知器(検知手段)
31…検知部
32…発光素子(発光手段)
33…受光素子(受光手段)
34…光導電素子
C…ICカード(無線通信媒体,決済用の媒体)
L…最長投影長さ
S…投影領域
X…離間距離
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信媒体がかざされるかざし面と、
前記かざし面にかざされた前記無線通信媒体に対して無線通信可能な無線通信手段と、
前記かざし面に設けられる複数の発光部と、
前記複数の発光部を、前記かざし面に対して前記無線通信媒体をかざす動作を誘導する第1発光状態と、前記無線通信手段により前記無線通信媒体との無線通信に応じた処理がなされたことを示す第2発光状態とのいずれかに制御可能な制御手段と、
を備える通信装置であって、
当該通信装置が通信対象とする前記無線通信媒体を前記かざし面にかざす際に、当該かざし面に投影される当該無線通信媒体の投影領域の外縁間を結ぶ線分のうち最も長い線分の長さを最長投影長さとするとき、
前記複数の発光部は、少なくとも2つの離間距離が、前記最長投影長さよりも長くなるように配置されることを特徴とする通信装置。
【請求項2】
前記無線通信媒体は、決済用の媒体であって、
前記無線通信手段は、決済処理に応じた決済情報について前記無線通信媒体と無線通信することを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記無線通信媒体は、カード状に形成されることを特徴とする請求項1または2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記複数の発光部のうち少なくとも1つは、他の発光部と比較して長手状に発光するように構成されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の通信装置。
【請求項5】
前記投影領域の範囲を検知する検知手段を備え、
前記制御手段は、前記第2発光状態時に、前記複数の発光部のうち、前記検知手段により検知された前記投影領域の範囲外に配置されている発光部を発光させることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の通信装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記第2発光状態時に、前記複数の発光部のうち、前記検知手段により検知された前記投影領域の範囲外であって当該投影領域に沿うように配置されている発光部を発光させることを特徴とする請求項5に記載の通信装置。
【請求項7】
前記検知手段は、
前記かざし面から外方に発光する発光手段とこの発光手段から発光された後に反射された反射光を受光可能な受光手段とが隣接して構成される検知部を、前記かざし面に複数配置して構成され、
前記反射光を受光した前記受光手段が配置される位置に基づいて、前記投影領域の範囲を検知することを特徴とする請求項5または6に記載の通信装置。
【請求項8】
前記検知部は、前記発光手段として前記発光部を用いて構成されることを特徴とする請求項7に記載の通信装置。
【請求項9】
前記制御手段は、前記無線通信手段により前記無線通信媒体との無線通信がなされると、前記各発光部の発光を一時的に停止し、
前記検知手段は、外光に応じて抵抗値が変化する光導電素子を、前記かざし面に複数配置して構成され、前記各発光部の発光の一時的停止時に抵抗値が変化した前記光導電素子が配置される位置に基づいて、前記投影領域の範囲を検知することを特徴とする請求項5または6に記載の通信装置。
【請求項10】
それぞれ異なる発光色に発光する2以上の発光素子を備え、
前記複数の発光部は、前記各発光素子からの光を利用して発光するようにそれぞれ構成され、
前記制御手段は、前記各発光素子の少なくともいずれか1つから発光される光の輝度を、前記第1発光状態と前記第2発光状態とで異なるように制御することを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の通信装置。
【請求項11】
前記制御手段は、前記第2発光状態における前記各発光素子の少なくともいずれか1つから発光される光の輝度を、前記無線通信媒体との通信内容に応じて変化させるように制御することを特徴とする請求項10に記載の通信装置。
【請求項1】
無線通信媒体がかざされるかざし面と、
前記かざし面にかざされた前記無線通信媒体に対して無線通信可能な無線通信手段と、
前記かざし面に設けられる複数の発光部と、
前記複数の発光部を、前記かざし面に対して前記無線通信媒体をかざす動作を誘導する第1発光状態と、前記無線通信手段により前記無線通信媒体との無線通信に応じた処理がなされたことを示す第2発光状態とのいずれかに制御可能な制御手段と、
を備える通信装置であって、
当該通信装置が通信対象とする前記無線通信媒体を前記かざし面にかざす際に、当該かざし面に投影される当該無線通信媒体の投影領域の外縁間を結ぶ線分のうち最も長い線分の長さを最長投影長さとするとき、
前記複数の発光部は、少なくとも2つの離間距離が、前記最長投影長さよりも長くなるように配置されることを特徴とする通信装置。
【請求項2】
前記無線通信媒体は、決済用の媒体であって、
前記無線通信手段は、決済処理に応じた決済情報について前記無線通信媒体と無線通信することを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記無線通信媒体は、カード状に形成されることを特徴とする請求項1または2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記複数の発光部のうち少なくとも1つは、他の発光部と比較して長手状に発光するように構成されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の通信装置。
【請求項5】
前記投影領域の範囲を検知する検知手段を備え、
前記制御手段は、前記第2発光状態時に、前記複数の発光部のうち、前記検知手段により検知された前記投影領域の範囲外に配置されている発光部を発光させることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の通信装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記第2発光状態時に、前記複数の発光部のうち、前記検知手段により検知された前記投影領域の範囲外であって当該投影領域に沿うように配置されている発光部を発光させることを特徴とする請求項5に記載の通信装置。
【請求項7】
前記検知手段は、
前記かざし面から外方に発光する発光手段とこの発光手段から発光された後に反射された反射光を受光可能な受光手段とが隣接して構成される検知部を、前記かざし面に複数配置して構成され、
前記反射光を受光した前記受光手段が配置される位置に基づいて、前記投影領域の範囲を検知することを特徴とする請求項5または6に記載の通信装置。
【請求項8】
前記検知部は、前記発光手段として前記発光部を用いて構成されることを特徴とする請求項7に記載の通信装置。
【請求項9】
前記制御手段は、前記無線通信手段により前記無線通信媒体との無線通信がなされると、前記各発光部の発光を一時的に停止し、
前記検知手段は、外光に応じて抵抗値が変化する光導電素子を、前記かざし面に複数配置して構成され、前記各発光部の発光の一時的停止時に抵抗値が変化した前記光導電素子が配置される位置に基づいて、前記投影領域の範囲を検知することを特徴とする請求項5または6に記載の通信装置。
【請求項10】
それぞれ異なる発光色に発光する2以上の発光素子を備え、
前記複数の発光部は、前記各発光素子からの光を利用して発光するようにそれぞれ構成され、
前記制御手段は、前記各発光素子の少なくともいずれか1つから発光される光の輝度を、前記第1発光状態と前記第2発光状態とで異なるように制御することを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の通信装置。
【請求項11】
前記制御手段は、前記第2発光状態における前記各発光素子の少なくともいずれか1つから発光される光の輝度を、前記無線通信媒体との通信内容に応じて変化させるように制御することを特徴とする請求項10に記載の通信装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−45129(P2013−45129A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−180255(P2011−180255)
【出願日】平成23年8月22日(2011.8.22)
【出願人】(501428545)株式会社デンソーウェーブ (1,155)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月22日(2011.8.22)
【出願人】(501428545)株式会社デンソーウェーブ (1,155)
【Fターム(参考)】
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