説明

通信要求端末、通信被要求端末および通信システム

【課題】簡単な操作で所望の通信端末と近距離通信を行うことができる通信要求端末、通信被要求端末およびこれを用いる通信システムを提供すること。
【解決手段】通信端末と近距離通信可能な近距離通信部と、所定の範囲に配置された通信端末に表示された識別子を読み取る識別子読取部と、識別子読取部で読み取った通信端末に表示された識別子を解析して近距離通信における通信端末の識別情報を取得し、近距離通信部で通信可能な通信端末から識別情報を備える通信端末を特定通信端末として特定し、識別情報に基づいて特定通信端末との近距離通信を開始する制御を行う制御部と、を有することで上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、近距離通信機能を備える通信要求端末、通信被要求端末および通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話機等の携帯電子機器には、種々の機能が搭載されている。携帯電子機器が搭載する機能としては、赤外線通信(IrDA(登録商標)、IrMC(登録商標)、IrSimple(登録商標))や、可視光通信や、Bluetooth(登録商標)や、磁界通信(RFID、Radio Frequency Identification)技術等の近距離通信技術を用いて、他の通信端末と近距離通信を行う機能がある(特許文献1、2、3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−259499号公報
【特許文献2】特開2005−72633号公報
【特許文献3】特開2006−20088号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、携帯電子機器は、近距離通信で通信可能な範囲内に、複数の近距離通信可能な通信端末がある場合がある。携帯電子機器は、近距離通信を行う際に近距離通信を要求する側の携帯電子機器が通信要求端末となり、近距離通信が要求される側の携帯電子機器が通信被要求端末となる。この場合、携帯電子機器(通信要求端末)は、複数の通信端末(通信被要求端末)の中から所望の通信端末を選択することで、特定の通信端末(通信被要求端末)と近距離通信を行うことができる。
【0005】
通信システムにおいて、複数の通信端末の中から所望の通信端末を選択する方法として近距離通信の識別子として用いるネットワークIDから識別する方法がある。この場合、通信先のネットワークIDを通信時に知っている必要や複数のネットワークIDの中から対象のネットワークIDを探す必要があるため操作が面倒である。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、簡単な操作で所望の通信端末と近距離通信を行うことができる通信要求端末、通信被要求端末およびこれを用いる通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の通信要求端末は、通信端末と近距離通信可能な近距離通信部と、所定の範囲に配置された前記通信端末に表示された識別子を読み取る識別子読取部と、前記識別子読取部で読み取った前記通信端末に表示された識別子を解析して近距離通信における前記通信端末の識別情報を取得し、前記近距離通信部で通信可能な通信端末から前記識別情報を備える前記通信端末を特定通信端末として特定し、前記識別情報に基づいて前記特定通信端末との近距離通信を開始する制御を行う制御部と、を有することを特徴とする。
【0008】
また、前記識別子読取部は、対面する領域にある前記特定通信端末の前記識別子を含む画像を取得するカメラであることが好ましい。
【0009】
また、前記近距離通信の識別情報を含む自機を特定する自機識別子の情報を記憶する記憶部をさらに有し、前記制御部は、前記近距離通信部を用いた通信の開始時に、前記近距離通信部で前記特定通信端末に前記自機識別子の情報を送信することが好ましい。
【0010】
また、前記記憶部から読み出した前記自機識別子を表示させる識別子表示部をさらに有し、前記制御部は、前記近距離通信部を用いた通信の開始時に、前記識別子表示部に前記自機識別子を表示させ、前記近距離通信部で前記特定通信端末から取得した情報に前記自機識別子の情報を含む場合、前記特定通信端末と通信を行うことが好ましい。
【0011】
また、前記識別子表示部は、前記識別子読取部と同一面に配置されていることが好ましい。
【0012】
また、前記識別子表示部は、表示面に複数の画素がマトリックス状に配置され、各画素の点灯と消灯とを切り換えることで前記識別子を表示させることが好ましい。
【0013】
また、前記識別子表示部は、前記表示面に表示させる画像を切り換え、前記識別子を複数に分割した画像を順次表示させることが好ましい。
【0014】
また、前記識別子表示部は、前記画素が発光ダイオードで構成されており、前記発光ダイオードがマトリックス状に配置されていることが好ましい。
【0015】
また、タッチパネルをさらに有し、前記制御部は、前記特定通信端末の画像と少なくとも1つの送信対象のデータに対応付けられたオブジェクト画像とを前記タッチパネルに表示させ、前記オブジェクト画像を前記特定通信端末の画像に移動させる操作が前記タッチパネルに入力された場合、当該オブジェクト画像に対応付けられたデータを前記特定通信端末に前記近距離通信部による通信で送信することが好ましい。
【0016】
また、前記識別子は、ネットワークIDであることが好ましい。
【0017】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の通信被要求端末は、通信端末と近距離通信可能な近距離通信部と、前記近距離通信の識別情報を含む自機を特定する自機識別子の情報を記憶する記憶部と、前記記憶部から読み出した前記自機識別子を表示させる識別子表示部と、前記近距離通信部を用いた通信の開始時に、前記識別子表示部に前記自機識別子を表示させた後、前記近距離通信部で前記自機識別子に基づいた通信の開始が要求されると、当該要求の送信元の通信端末を特定し、当該特定した通信端末との間で近距離通信を行う制御部と、を有することを特徴とする。
【0018】
また、前記識別子表示部は、表示面に複数の画素がマトリックス状に配置され、各画素の点灯と消灯とを切り換えることで前記識別子を表示させることが好ましい。
【0019】
また、前記識別子表示部は、前記表示面に表示させる画像を切り換え、前記識別子を複数に分割した画像を順次表示させることが好ましい。
【0020】
また、前記識別子表示部は、前記画素が発光ダイオードで構成されており、前記発光ダイオードがマトリックス状に配置されていることが好ましい。
【0021】
また、タッチパネルをさらに有し、前記制御部は、前記特定通信端末の画像と少なくとも1つの送信対象のデータに対応付けられたオブジェクト画像とを前記タッチパネルに表示させ、前記オブジェクト画像を前記特定通信端末の画像に移動させる操作が前記タッチパネルに入力された場合、当該オブジェクト画像に対応付けられたデータを前記特定通信端末に前記近距離通信部による通信で送信することが好ましい。
【0022】
また、前記識別子は、ネットワークIDであることが好ましい。
【0023】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の通信システムは、所定の範囲に配置された通信端末に表示された識別子を読み取る識別子読取部と通信端末と通信可能な第1近距離通信部とを有する通信要求端末と、前記通信端末と通信可能な第2近距離通信部と前記近距離通信の識別情報を含む自機を特定する自機識別子の情報を記憶する記憶部と前記記憶部から読み出した前記自機識別子を表示させる識別子表示部とを有する通信被要求端末と、を有し、前記通信要求端末は、前記識別子読取部で前記通信被要求端末の前記識別子表示部に表示された前記自機識別子を読み取り、前記通信被要求端末の識別子を取得し、前記通信被要求端末の識別子に基づいて前記第1近距離通信部による通信で通信可能な通信端末の中から前記通信被要求端末を特定し、当該特定した前記通信被要求端末に前記通信被要求端末の前記自機識別子を送信し、前記通信被要求端末は、第2近距離通信部による通信で通信可能な通信端末の中から前記通信被要求端末の前記自機識別子を送信する前記通信要求端末を検出した場合、前記通信要求端末と近距離通信を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明にかかる通信要求端末、通信被要求端末およびこれを用いる通信システムは、簡単な操作で所望の通信端末と近距離通信を行うことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】図1は、本発明の携帯電話端末を有する通信システムの概略構成を示す説明図である。
【図2】図2は、携帯電話端末の外観を示す正面図である。
【図3】図3は、携帯電話端末の外観を示す斜視図である。
【図4】図4は、携帯電話端末の機能の概略構成を示すブロック図である。
【図5】図5は、携帯電話端末の近距離通信動作を説明するための説明図である。
【図6】図6は、携帯電話端末の近距離通信動作を説明するための説明図である。
【図7】図7は、携帯電話端末の近距離通信動作を説明するための説明図である。
【図8】図8は、携帯電話端末の近距離通信の処理の一例を示すフロー図である。
【図9】図9は、携帯電話端末の近距離通信の処理の一例を示すフロー図である。
【図10】図10は、携帯電話端末の近距離通信の処理の一例を示すフロー図である。
【図11】図11は、携帯電話端末の近距離通信動作を説明するための説明図である。
【図12】図12は、携帯電話端末の近距離通信動作を説明するための説明図である。
【図13】図13は、携帯電話端末の近距離通信動作を説明するための説明図である。
【図14】図14は、識別子表示部で表示させる画像を説明するための説明図である。
【図15】図15は、識別子表示部で表示させる画像を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の説明により本発明が限定されるものではない。また、以下の説明における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。以下においては、通信システムを構成する携帯電子機器(通信要求端末、通信被要求端末)として携帯電話端末を例として説明するが、本発明の適用対象は携帯電話端末に限定されるものではなく、近距離通信機能を備える各種装置、例えば、PHS(Personal Handy-phone System)、PDA、ポータブルナビゲーション装置、ゲーム機等に対しても本発明は適用できる。
【0027】
図1は、本発明の携帯電話端末を有する本発明の通信システムの概略構成を示す説明図である。図1に示す通信システム1は、複数の携帯電話端末10、本実施形態では、8台の携帯電話端末10a〜10hで構成されている。なお、通信システム1を構成する携帯電話端末10の台数は特に限定されない。
【0028】
携帯電話端末10(10a〜10h)は、いずれも近距離通信機能を備えており、通信波が届く範囲内の他の携帯電話端末と近距離通信を行うことができる。また、本実施形態の携帯電話端末10は、通信要求端末と通信被要求端末との両方の機能を備えている。つまり、他の通信端末に対して通信要求を送信することができ、他の通信端末からの通信要求に対して応答することができる。なお、携帯電話端末10は、いずれか一方の機能のみを備えている構成としてもよい。また、携帯電話端末10は、基地局を介して通信網との間で無線通信を行う通信端末(通信機器)でもある。携帯電話端末10は、音声信号等の信号を通信網に送信し、通信網から音声信号等の信号を受信し、基地局を介して通信網に接続された通信端末とも通信を行うことができる。なお、携帯電話端末10の構成については後述する。
【0029】
携帯電話端末10は、通信時に自機と他の通信端末とを識別するための携帯電話端末に固有のネットワークIDが対応付けられている。ここで、本実施形態の、携帯電話端末10aには、ネットワークIDとして「00102030」が対応付けられており、携帯電話端末10bには、ネットワークIDとして「00002489」が対応付けられており、携帯電話端末10cには、ネットワークIDとして「00532123」が対応付けられており、携帯電話端末10dには、ネットワークIDとして「00563412」が対応付けられており、携帯電話端末10eには、ネットワークIDとして「0077239」が対応付けられており、携帯電話端末10fには、ネットワークIDとして「04527891」が対応付けられており、携帯電話端末10gには、ネットワークIDとして「12345678」が対応付けられており、携帯電話端末10hには、ネットワークIDとして「89347253」が対応付けられている。携帯電話端末10は、通信時に通信先のネットワークIDを特定することで、任意の通信端末と通信が可能となる。携帯電話端末10は、近距離通信と基地局を介した通信網での通信とで別々のネットワークIDを備えていてもよいし、同一のネットワークIDを備えていてもよい。
【0030】
また、図1に示す携帯電話端末10aは、近距離通信可能な範囲に、携帯電話端末10b、携帯電話端末10c、携帯電話端末10d、携帯電話端末10fがあり、それぞれの端末と近距離通信を行うことができる。また、携帯電話端末10dは、近距離通信可能な範囲に携帯電話端末10cがあり、近距離通信を行うことができる。携帯電話端末10fは、近距離通信可能な範囲に、携帯電話端末10e、携帯電話端末10g、携帯電話端末10hがあり、それぞれの端末と近距離通信を行うことができる。また、携帯電話端末10gは、近距離通信可能な範囲に携帯電話端末10hがあり、近距離通信を行うことができる。
【0031】
通信システム1は、以上のような構成であり、携帯電話端末10は、近距離通信可能な範囲内にある他の携帯電話端末10を特定し、特定した他の携帯電話端末10と近距離通信を行うことで各種情報を送受信することができる。なお、本実施形態の通信システム1は、携帯電話端末10のみで構成したがこれに限定されない。通信システム1は、近距離通信を行うことができる各種通信端末を含めることができる。
【0032】
次に、携帯電話端末10について説明する。なお、携帯電話端末10a〜10hは、基本的に同様の装置構成である。
【0033】
図2および図3を用いて、携帯電話端末10の外観について説明する。図2は、携帯電話端末の外観を示す正面図である。図3は、携帯電話端末の外観を示す斜視図である。なお、図2は、携帯電話端末10を正面から見た場合を示しており、図3は、携帯電話端末10を図2とは反対側の面(背面)から見た場合を示している。
【0034】
図2および図3に示すように携帯電話端末10は、薄板状の筐体11を有する。携帯電話端末10は、筐体11の表面に、タッチパネル12と、ボタン30、ボタン32および入力デバイス34からなる入力部13と、レシーバ17と、マイク18と、カメラ26と、識別子表示部28と、が配置されている。なお、携帯電話端末10は、筐体11の表面のうち正面にタッチパネル12と、ボタン30、ボタン32および入力デバイス34からなる入力部13と、レシーバ17と、マイク18とが配置され、筐体11の表面のうち背面にカメラ26と、識別子表示部28と、が配置されている。
【0035】
タッチパネル12は、板状の筐体11の面積が最も広い面に配置されている。また、入力部13も、筐体11のタッチパネル12が配置されている面の、長手方向の一方の端部に配置されている。入力部13は、短手方向の一方から他方に向かって、ボタン30、入力デバイス34、ボタン32の順で配置されている。また、レシーバ17は、筐体11のタッチパネル12が配置されている面の長手方向の他方の端部、つまり、入力部13が配置されている端部とは反対側の端部に配置されている。また、マイク18は、筐体11のタッチパネル12が配置されている面の長手方向の一方の端部、つまり、入力部13が配置されている端部に配置されている。また、カメラ26と識別子表示部28とは、タッチパネル12が配置されている面とは反対側の面(背面)に隣接して配置されている。
【0036】
タッチパネル12は、文字、図形、画像等を表示するとともに、指、スタイラス、ペン(ペンの先端、棒状部材の先端)等(以下、単に「指」という)を用いてタッチパネル12に対して行われる各種動作を検出する。例えば、携帯電話端末10は、利用者から文字の入力を受け付けるために、タッチパネル12上に仮想キーボードを表示させる。携帯電話端末10は、タッチパネル12上に仮想キーボードを表示させた状態で、指によってタッチパネル12に入力される各種動作を検出し、仮想キーボードのどのキーが押下されたか、接触されたかを検出し、押下、接触を検出したキーを入力したキーとすることで、文字入力を行うことができる。また、タッチパネル12は、文字の入力によらず、表示させている画像と、指によってタッチパネル12に対して行われる各種動作とに基づいて、各種操作の入力を検出し、入力された操作に基づいて各種制御を行う。
【0037】
入力部13は、ボタン30、32が押下された場合に、押下されたボタンに対応する機能を起動させる。また、入力部13は、入力デバイス34に入力された動作も操作として検出し、入力された操作に基づいて各種制御を行う。例えば、入力デバイス34は、方向指示操作や決定操作を検出する。入力デバイス34は、タッチパッド、光学式入力デバイス、四方および中央にボタンを備える入力デバイス等で構成される。
【0038】
カメラ26は、画像を撮影する撮影装置(撮影機器、撮影部)であり、撮影窓、光学系、受光部等を有する。カメラ26は、撮影窓が筐体11のタッチパネル12が配置されている面とは反対側の面に露出して配置されている。カメラ26は、撮影窓から筐体11の内部に入射した光を光学系で受光部まで案内する。ここで、受光部は、撮影領域の画像情報を取得する装置であり、受光面にフォトダイオードをマトリックス状に配列させた撮像素子(CMOSイメージセンサ、CCDイメージセンサ等)を備える。受光部は、受光面に画像が結像されると、撮像素子で結像された画像を読み取り、読み取った画像を電子データ(通信データとして用いることができるデータ)である画像情報に変換する。カメラ26は、以上のような構成であり、撮影窓から入射した撮影領域の光を光学系で受光部に案内し、受光部で結像された光を読み取ることで、撮影領域の画像を取得する。なお、カメラ26は、オートフォーカス機能やズーム機能も備えていてもよい。
【0039】
識別子表示部28は、表示面に複数の画素がマトリックス状に配置された画像表示装置であり、表示面が筐体11のタッチパネル12が配置されている面とは反対側の面に露出して配置されている。識別子表示部28は、表示面に配置された各画素の点灯と消灯とを切り換えることで、表示面にマトリックス型の二次元コードを識別子として表示させる。画像表示装置としては、各画素に対応する位置に発光ダイオード(LED、Light Emitting Diode)を配置した、つまり発光ダイオードをマトリックス状に配置した表示装置を用いることができる。この場合、各発光ダイオードの点灯と消灯とを切り換えることで二次元コードを表示させることができる。また、画像表示装置としては、各画素に対応してマトリックス状にシャッタが配置され、当該シャッタを開閉させることで各画素の点灯と消灯とを切り換える液晶ディスプレイ(LCD、Liquid Crystal Display)を用いてもよい。
【0040】
なお、通信システム1および携帯電話端末10は、識別子を簡単に表示させることができ、識別が容易であるため、各画素を例えば白と黒の二値化で表した二次元コードを識別子として用い、識別子表示部28の画像表示装置として、各画素の点灯と消灯とを切り換えることで表示画像を切り換える画像表示装置を用いることが好ましいがこれに限定されない。識別子としては、複数の色で構成される画像を用いるようにしてもよい。識別子表示部28は、識別子として用いる画像に応じて当該画像を表示できる画像表示装置を用いればよい。
【0041】
次に、携帯電話端末10の機能と制御部との関係を説明する。図4は、図2に示す携帯電話端末10の機能の概略構成を示すブロック図である。図4に示すように携帯電話端末10は、タッチパネル12と、入力部13と、電源部15と、通信部16と、レシーバ17と、マイク18と、記憶部19と、主制御部20と、RAM(Random Access Memory)21と、近距離通信部24と、カメラ26と、識別子表示部28と、を有する。
【0042】
タッチパネル12は、表示部12Bと、表示部12Bに重畳されたタッチセンサ12Aとを有する。タッチセンサ12Aは、指を用いてタッチパネル12に対して行われた各種動作を、動作が行われた場所のタッチパネル12上での位置とともに検出する。タッチセンサ12Aによって検出される動作には、指をタッチパネル12の表面に接触させる動作や、指をタッチパネル12の表面に接触させたまま移動させる動作や、指をタッチパネル12の表面から離す動作が含まれる。なお、タッチセンサ12Aは、感圧式、静電式等のいずれの検出方式を採用していてもよい。表示部12Bは、例えば、液晶ディスプレイ(LCD、Liquid Crystal Display)や、有機EL(Organic Electro−Luminescence)パネル等で構成され、文字、図形、画像等を表示する。
【0043】
入力部13は、上述したようにボタン30、32と、入力デバイス34とを有する。ボタン30、32は、物理的な入力(押下)を通じて利用者の操作を受け付け、受け付けた操作に対応する信号を主制御部20へ送信する。また、入力デバイス34も、利用者の操作を受け付け、受け付けた操作に対応する信号を主制御部20へ送信する。
【0044】
電源部15は、蓄電池または外部電源から得られる電力を、主制御部20を含む携帯電話端末10の各機能部へ供給する。通信部16は、基地局によって割り当てられるチャネルを介し、基地局との間でCDMA方式等による無線信号回線を確立し、基地局4との間で電話通信および情報通信を行う。レシーバ17は、電話通信における相手側の音声や着信音等を出力する。マイク18は、利用者等の音声を電気的な信号へ変換する。
【0045】
記憶部19は、例えば、不揮発性メモリや磁気記憶装置であり、主制御部20での処理に利用されるプログラムやデータを保存する。具体的には、記憶部19は、メールの送受信や閲覧のためのメールプログラム19Aや、WEBページの閲覧のためのブラウザプログラム19Bや、カメラ26の動作を制御し画像を撮影するためのカメラプログラム19Cや、近距離通信部24を用いて対象の通信端末(対象の携帯電話端末)を含む他の通信端末と情報の送受信を行うための近距離通信プログラム19Dや、近距離通信での通信を管理するための通信管理プログラム19Eや、各種プログラムを実行する際に用いる各種条件を対応付けた処理条件テーブル19Fを記憶する。また、記憶部19には、携帯電話端末10の基本的な機能を実現するオペレーティングシステムプログラムや、氏名、電話番号、メールアドレス等が登録されたアドレス帳データ等の他のプログラムやデータも記憶される。また、記憶部19には、タッチパネル12に入力された入力操作に基づいて制御動作、処理を決定するプログラム等も記憶される。なお、制御動作、処理とは、携帯電話端末10で実行する各種動作、処理が含まれ、例えば、カーソル、ポインタの移動、画面の表示切換、文字入力処理、各種アプリケーションの起動処理、終了処理がある。
【0046】
また、記憶部19には、他の端末との通信(近距離通信、通信網を用いた通信)の際の識別子となる自機のネットワークIDや、識別子表示部28に表示される画像の表示規則(識別子表示部28に表示される画像を解析するための画像の各成分とそれに対応する情報、例えば識別子と識別子表示部28で表示される画像との対応関係)が記憶されている。ここで、ネットワークIDとしては、例えば、MACアドレス(Media Access Control address)を用いることができる。なおネットワークIDとしては、通信端末を特定することが出来る情報、つまり通信端末に固有に対応付けられている情報であればよくMACアドレスに限定されない。
【0047】
主制御部20は、例えば、CPU(Central Processing Unit)であり、携帯電話端末10の動作を統括的に制御する。具体的には、主制御部20は、記憶部19に記憶されているデータを必要に応じて参照しつつ、記憶部19に記憶されているプログラムを実行して、タッチパネル12、入力部13、通信部16、近距離通信部24等を制御することによって各種処理を実行する。主制御部20は、記憶部19に記憶されているプログラムや、処理を実行することによって取得/生成/加工されたデータを、一時的な記憶領域を提供するRAM21に必要に応じて展開する。なお、主制御部20が実行するプログラムや参照するデータは、通信部16による無線通信でサーバ装置からダウンロードすることとしてもよい。
【0048】
近距離通信部24は、近距離無線通信技術を用いて、他の通信端末(他の携帯電話端末)と通信を行う通信部(情報通信部)である。なお、近距離無線通信技術としては、赤外線通信(IrDA(登録商標)、IrMC(登録商標)、IrSimple(登録商標))や、可視光通信や、Bluetooth(登録商標)や、磁界通信(RFID、Radio Frequency Identification)技術を用いることができる。
【0049】
カメラ26は、上述したように画像を撮影する撮影窓が、筐体11から露出して配置されており、撮影領域の画像を取得する撮像機構である。
【0050】
識別子表示部28は、上述したように表示面が筐体11から露出して配置されており、表示面に二次元コードを表示させる画像表示装置である。識別子表示部28は、主制御部20の制御に基づいて表示面に各種二次元コードを表示させることができる。識別子表示部28は、主制御部20の制御に基づいて表示面に二次元コードを表示させた状態と、二次元コードを表示させない状態と、を切り換えること、つまり二次元コードの表示、非表示を切り換えることができる。
【0051】
次に、図5から図7を用いて、携帯電話端末10が近距離通信部24の機能を用いて他の携帯電話端末と情報の送受信を行う近距離通信動作の一例について説明する。図5から図7は、それぞれ携帯電話端末の近距離通信動作を説明するための説明図である。なお、図5から図7は、携帯電話端末10aと携帯電話端末10bとの間で近距離通信を行い、携帯電話端末10aから携帯電話端末10bにデータを送信する場合を示している。つまり、図5から図7に示す処理においては、携帯電話端末10aが通信要求端末となり、携帯電話端末10bが通信被要求端末となる。
【0052】
まず、図5に示すように携帯電話端末10aは、携帯電話端末10bと互いの背面が向かい合った状態で配置されている。また、携帯電話端末10aは、自機のカメラ26の撮影領域に携帯電話端末10bの識別子表示部28が含まれる。なお、携帯電話端末10aと携帯電話端末10bとの相対的な位置関係は、利用者がそれぞれの携帯電話端末を移動させることで調整される。
【0053】
携帯電話端末10aは、近距離通信部24を用いた近距離通信機能が起動された場合、主制御部20は、記憶部19からカメラプログラム19C、近距離通信プログラム19D、通信管理プログラム19Eを読み出して各プログラムを実行させることで各機能を起動させる。つまり携帯電話端末10aは、近距離通信部24を用いた近距離通信機能に加え、カメラ26を用いた撮影機能も起動させる。また携帯電話端末10aは、通信管理プログラム19Eを処理することで実現する通信を管理する機能も起動させる。
【0054】
携帯電話端末10aは、各機能を起動させると、カメラ26により画像を撮影し、図6のステップS1に示すように、タッチパネル12の一部に撮影した画像51を表示させる。撮影した画像51には、撮影領域にある携帯電話端末10bの画像60が含まれている。撮影した画像51には、携帯電話端末10bの識別子表示部28で表示される識別子の画像62も含まれている。携帯電話端末10aは、タッチパネル12に選択画面52も表示させる。選択画面52には、近距離通信で送信する対象となるデータの複数のオブジェクト64、64aが表示されている。なお、携帯電話端末10aは、タッチパネル12に入力される利用者の操作(選択操作)により、選択画面52に表示させるオブジェクトを切り換える。
【0055】
携帯電話端末10aは、ステップS1に示すように画像51と選択画面52とを表示している状態で、利用者の指Hによりタッチパネル12にオブジェクト64aを指定する操作が入力され、その後ステップS2に示すように、オブジェクト64aを指定した指Hを画像62まで移動させる操作、つまり指を矢印66に沿って移動させる操作が入力されると、オブジェクト64aに対応するデータを近距離通信で携帯電話端末10bに送信する。なお、携帯電話端末10aは、設定によりオブジェクト64aを指定した指Hを画像62まで移動させる操作に種々の操作を対応付けることができる。携帯電話端末10aは、オブジェクト64aを指定した指Hを画像62まで移動させる操作に、例えばドラッグ操作、スイープ操作、またオブジェクト64aと画像62の2箇所をタッチする操作を対応付けることができる。なお、送信時の携帯電話端末10aの処理については後述する。
【0056】
携帯電話端末10bは、図6のステップS2で携帯電話端末10aから近距離通信で送信されたデータを受信すると、図7に示すように、タッチパネル12に画像68を表示させる。画像68は、携帯電話端末10aの情報と携帯電話端末10aから近距離通信で送信されたデータの情報とデータを受信するか否かの選択操作を入力する項目とを含む。携帯電話端末10bは、データを受信することを選択する操作がタッチパネル12に入力されたら、携帯電話端末10aから近距離通信で送信されたデータの情報を受信する。携帯電話端末10bは、データを受信しないことを選択する操作がタッチパネル12に入力されたら、携帯電話端末10aから近距離通信で送信されたデータの情報を受信しない。
【0057】
以下、図8から図10を用いて携帯電話端末10の処理動作について説明する。図8から図10は、それぞれ携帯電話端末の近距離通信の処理の一例を示すフロー図である。図8から図10に示す処理手順は、カメラプログラム19C、近距離通信プログラム19D、通信管理プログラム19Eが提供する機能に基づいて実行される。より具体的には、カメラプログラム19Cが提供する機能(撮影機能)により取得した画像に基づいて、通信対象の携帯電話端末(通信端末)を特定し、通信管理プログラム19Eが提供する機能(通信対象を抽出、設定する機能)により、特定した携帯電話端末と近距離通信を行うための設定を行い、近距離通信プログラム19Dが提供する機能(通信機能)で特定した携帯電話端末と近距離通信でデータの送受信を行う。携帯電話端末10は、近距離通信機能を起動する指示が入力された場合、図8に示す処理を行う。
【0058】
携帯電話端末10の主制御部20は、近距離通信機能を起動する指示が入力された場合、上述したように、カメラ26により画像を撮影し、撮影した画像と送信するデータを選択する選択画面をタッチパネル12に表示させる。携帯電話端末10の主制御部20は、タッチパネル12に撮影した画像と選択画面とを表示させたら、ステップS12としてオブジェクトのドラッグを開始したか、つまりオブジェクトを移動させる操作の入力が開始されたかを判定する。なお、本実施形態では、ドラッグ操作としたが、オブジェクトを移動させる操作は、上述したように設定により種々の操作を対応付けることができる。なお、主制御部20は、タッチパネル12に対する操作を検出することで、ドラッグ操作が入力されたかを判定する。
【0059】
主制御部20は、ステップS12でドラッグを開始していない(No)、つまりオブジェクトに対するドラッグ操作が入力されていないと判定した場合、ステップS12に進む。つまり、主制御部20は、オブジェクトのドラック操作が開始されるまで、ステップS12の処理を繰り返す。主制御部20は、ステップS12でドラッグ操作を開始した(Yes)と判定した場合、ステップS14として、オブジェクトのドラッグ操作は終了したかを判定する。主制御部20は、ステップS14でドラッグが終了していない(No)、つまりオブジェクトに対するドラッグ操作が継続中であると判定した場合、ステップS14に進む。つまり、主制御部20は、オブジェクトのドラック操作が終了するまで、ステップS14の処理を繰り返す。主制御部20は、ステップS14でオブジェクトのドラッグが終了した(Yes)と判定した場合、ステップS16としてオブジェクトをドラッグしたところは識別子上かを判定する。つまり、主制御部20はオブジェクトが識別子上まで移動されたかを判定する。主制御部20は、撮影した画像を解析することで画像内にある識別子の位置を検出する。
【0060】
主制御部20は、ステップS16でオブジェクトをドラッグした位置(移動先の位置)が識別子上ではない(No)と判定した場合、ステップS12に進む。なおこの場合、主制御部20は、入力されたオブジェクトのドラッグ操作をオブジェクトの移動操作として処理しても、入力された操作を無効にしてもよい。
【0061】
主制御部20は、ステップS16でオブジェクトをドラッグした位置(移動先の位置)が識別子上である(Yes)と判定した場合、ステップS18として識別子解析を行い、ネットワークID情報を取得する。
【0062】
以下、図9を用いてステップS18の識別子解析の処理について説明する。主制御部20は、図9に示すようにステップS40として、撮影画像から識別子を抽出する。つまり、カメラ26で撮影した画像に含まれる識別子を抽出する。なお、抽出する識別子は、オブジェクトがドラッグされた位置にある識別子である。その後、主制御部20は、ステップS42として、ステップS40で抽出した識別子を解析する。つまり主制御部20は、識別子を識別子の表示規則に基づいて解析して識別子に含まれている情報を抽出する。主制御部20は、ステップS42で識別子を解析したら、ステップS44として解析結果からネットワークIDを特定する。つまり、主制御部20は、識別子を解析して抽出した情報に基づいて画像に含まれる識別子を備える携帯電話端末のネットワークIDを特定する。主制御部20は、ステップS44の処理を行ったら、識別子解析の処理を終了する。
【0063】
主制御部20は、ステップS18で識別子解析を行い、ネットワークIDを取得したら、ステップS20として接続処理を行う。
【0064】
以下、図10を用いてステップS20の接続処理について説明する。主制御部20は、ステップS50として、近距離通信部24により近距離通信可能な通信端末を検出する。つまり主制御部20は、近距離通信部24から出力する通信波が届く範囲内にある携帯電話端末10bを含む近距離通信機能を備える通信端末を検出する。主制御部20は、ステップS50で通信端末を検出したら、ステップS52として各通信端末のネットワークIDを取得する。つまり、主制御部20は、近距離通信可能な範囲内にある通信端末がそれぞれどの通信端末であるかを特定する情報としてネットワークIDを取得する。
【0065】
主制御部20は、ステップS52でネットワークIDを取得したら、ステップS54として一致するネットワークIDがあるかを判定する。つまり、ステップS54で取得したネットワークIDの中にステップS18の識別子解析で取得したネットワークIDと一致するネットワークIDがあるかを判定する。主制御部20は、ステップS54で一致するネットワークIDがない(No)と判定した場合、ステップS50に進み、ステップS50の処理とステップS52の処理を再び行う。
【0066】
主制御部20は、ステップS54で一致するネットワークIDがある(Yes)と判定した場合、ステップS56として、対象の通信端末(図5から図7では携帯電話端末10b)に自機のネットワークIDを送信する。つまり、主制御部20は、対象の通信端末が自機を識別するための情報を近距離通信で送信する。主制御部20は、ステップS56で自機のネットワークIDを送信したら、ステップS58として設定処理を行う。なお、設定処理としては、2つの通信端末(携帯電話端末)間で近距離通信を行うために実行する各種設定処理であり、上述したステップS56の処理に対応するネットワークIDの交換や、使用する通信波の方式、周波数帯、識別信号の設定、同期処理、セキュリティの設定処理、解除処理等である。主制御部20は、ステップS58の処理を行ったら、接続処理を終了する。
【0067】
主制御部20は、ステップS20で接続処理を行ったら、ステップS22として、接続先がオブジェクト受信可能な状態になったかを判定する。つまり、接続先の通信端末が近距離通信で情報を送受信できる状態となっているかを判定する。主制御部20は、ステップS22で接続先がオブジェクト受信可能な状態ではない(No)と判定した場合、ステップS22に進む。つまり、主制御部20は、接続先がオブジェクト受信可能な状態となるまで、ステップS22の処理を繰り返す。
【0068】
主制御部20は、ステップS22で接続先がオブジェクト受信可能な状態である(Yes)と判定した場合、ステップS24としてオブジェクト送信処理を行う。具体的には、主制御部20は、ステップS16で識別子上にドラッグされたオブジェクトに対応するデータをステップS20で接続した通信端末に近距離通信で送信する。
【0069】
主制御部20は、ステップS24でオブジェクトの送信処理を行ったら、ステップS26としてオブジェクト送信が成功したかを判定する。主制御部20は、ステップS26でオブジェクト送信が成功した(Yes)と判定した場合、ステップS28として送信成功の画像をタッチパネル12に表示させる。主制御部20は、ステップS26でオブジェクト送信が成功していない(No)つまり失敗したと判定した場合、ステップS30として送信失敗の画像をタッチパネル12に表示させる。主制御部20は、ステップS28またはステップS30の処理が終了したら、本処理を終了する。
【0070】
このように、携帯電話端末10は、近距離通信の対象の通信端末に設けられた識別子をカメラ26により読み取り、識別子から通信対象の通信端末のネットワークIDを検出する。これにより、利用者は、近距離通信が可能な通信端末が複数ある場合でも、カメラ26で通信対象の通信端末の識別子の画像を取得するのみで、通信対象の通信端末を特定することができる。つまり、利用者は、対象の通信端末の利用者とネットワークIDの情報を交換したりしなくても、複数の通信端末から対象の通信端末を選択することができる。これにより利用者は、数字やアルファベットの羅列等であるネットワークIDを識別する手間を省略することができ、操作の負荷が低減する。
【0071】
また、携帯電話端末10は、カメラ26で撮影している通信端末にデータを送信することで、多数の通信端末が近距離通信可能な範囲にあっても、目の前にある通信端末により確実にデータを送信することができる。これにより、利用者が複数の通信端末のネットワークIDの中から手動で対象の通信端末を選択する場合よりも通信端末を間違える可能性を少なくすることができ、安全性を向上させることができる。
【0072】
また、携帯電話端末10は、本実施形態のように、タッチパネル12に対象の通信端末および識別子の画像と送信する対象のデータのオブジェクトを表示させ、当該識別子に移動されたオブジェクトを当該識別子の通信端末に近距離通信で送信することで、利用者がより簡単な操作で所望のオブジェクトのデータを所望の通信端末に送信することができる。なお、送信するオブジェクトの選択方法は本実施形態に限定されない。例えば、携帯電話端末10は、送信するオブジェクトを予め設定した後、カメラで対象の通信端末の識別子を撮影し、図8のステップS18以降の処理を実行するようにしてもよい。
【0073】
携帯電話端末10は、識別子の情報を取得するデバイスとしてカメラを用いることで、取得した画像を見ながら操作可能となり、利用者の操作をより簡単にすることができる。なお、識別子の情報を取得する識別子読取部としては、カメラ以外にも種々の読み取り装置を用いることができる。また、本実施形態では、携帯電話端末10は、識別子を目視で視認可能な構成とすることで識別子読取部の読み取り領域に識別子があるかをより適切に確認することができ、操作をより簡単にすることができる。なお、識別子は、目視できない画像、例えば赤外線で読み取ることができる画像としてもよい。このように目視できない画像とすることで、二次元コードが目視で認識されることを防止でき、筐体11のデザイン性を高くすることができる。また、識別子が他の利用者に認識されることを抑制することができ、セキュリティ性を高くすることができる。
【0074】
ここで、通信システム1および携帯電話端末10は、通信する2つの携帯電話端末10がともにカメラ26と識別子表示部28とを備え、識別子表示部28とカメラ26とを用いて互いの識別子を取得して、それぞれのネットワークIDを取得し、その後近距離通信で自機のネットワークIDと識別子で取得した対象の携帯電話端末10のネットワークIDを交換することが好ましい。これにより、互いのネットワークIDを取得した状態で図8のステップS20の接続処理を行うことができるため、より確実に対象の携帯電話端末10間で近距離通信を行うことができる。なお、通信システム1および携帯電話端末10は、一方の携帯電話端末10がカメラ26で読み取った他方の携帯電話端末10の識別子に基づいてネットワークIDを用いて、その後の情報の交換は近距離通信で行うようにしてもよい。この場合、一方の携帯電話端末10が自機のネットワークIDを取得したネットワークIDと関連付けて送信することで、他方の携帯電話端末10で通信対象の携帯電話端末10を特定することができる。
【0075】
また、携帯電話端末10は、本実施形態のように、カメラ26と、識別子表示部28とを筐体11の同一面上に配置することで向かい合って配置された通信対象の通信端末に対して識別子が見える状態で通信対象の通信端末の画像を取得することができる。これにより、各種処理を迅速に行うことができる。
【0076】
以下、図11および図12を用いて、携帯電話端末が近距離通信動作でデータを送受信する他の例について説明する。図11は、携帯電話端末の近距離通信動作を説明するための説明図である。図12は、携帯電話端末の近距離通信動作を説明するための説明図である。なお、図11および図12に示す例は、携帯電話端末10aと携帯電話端末10bとが互いの背面が向かい合った状態で配置されている。また、携帯電話端末10aは、自機のカメラ26の撮影領域に携帯電話端末10bの識別子表示部28が含まれる。
【0077】
携帯電話端末10aは、上述した実施形態と同様に、各機能を起動させると、カメラ26により画像を撮影し、図11のステップS3に示すように、タッチパネル12の一部に撮影した画像51を表示させる。撮影した画像51には、撮影領域にある携帯電話端末10bの画像60が含まれている。撮影した画像51には、携帯電話端末10bの識別子表示部28で表示される識別子の画像62も含まれている。携帯電話端末10aは、タッチパネル12に選択画面52も表示させる。選択画面52には、近距離通信で送信する対象となるデータの複数のオブジェクトが表示されている。
【0078】
携帯電話端末10aは、ステップS3に示すように画像51と選択画面52とを表示している状態で、利用者の指Hによりタッチパネル12に識別子の画像62を指定する操作が入力され、その後ステップS4に示すように、画像62を指定した指Hを選択画面52の領域62aまで移動させる操作、つまり指を矢印72に沿って移動させる操作が入力されると、画像62の識別子により特定される携帯電話端末10bのプロフィール情報を取得する処理を開始する。具体的には、携帯電話端末10aは、携帯電話端末10bに対して近距離通信で携帯電話端末10bのプロフィール情報を送信する要求を送る。
【0079】
携帯電話端末10bは、図11のステップS4の処理が実行されると、図12に示すように、タッチパネル12に画像74を表示させる。画像74は、携帯電話端末10aに対して、自機のプロフィール情報を送信するか否かの選択操作を入力する項目を含む。携帯電話端末10bは、プロフィール情報を送信することを選択する操作がタッチパネル12に入力されたら、携帯電話端末10bから携帯電話端末10aに近距離通信でプロフィール情報を送信する。携帯電話端末10bは、プロフィール情報を送信しないことを選択する操作がタッチパネル12に入力されたら、携帯電話端末10aに対して、プロフィール情報を送信しないことを示す情報を送信する。
【0080】
通信システム1および携帯電話端末10は、このように識別子のドラッグ操作と当該識別子を備える携帯電話端末10のプロフィール情報(アドレス、電話番号等の情報)を取得する操作とを対応付けることで、プロフィール情報の交換をより簡単な操作で行うことができる。
【0081】
次に、図13は、携帯電話端末の近距離通信動作を説明するための説明図である。通信システム1および携帯電話端末10は、カメラで撮影した画像に複数の携帯電話端末が含まれる場合、オブジェクトが移動される位置に応じてオブジェクトのデータを近距離通信で送信する携帯電話端末10を特定することもできる。
【0082】
携帯電話端末10aは、各機能を起動させると、カメラ26により画像を撮影し、図13のステップS5に示すように、タッチパネル12の一部に撮影した画像81を表示させる。撮影した画像81には、撮影領域にある3台の携帯電話端末10の画像82、84、86が含まれる。また、撮影した画像81には、3台の携帯電話端末10の識別子表示部28で表示される識別子の画像83、85、87も含まれている。携帯電話端末10aは、タッチパネル12に選択画面52も表示させる。選択画面52には、近距離通信で送信する対象となるデータの複数のオブジェクト64、64aが表示されている。
【0083】
携帯電話端末10aは、ステップS5に示すように画像81と選択画面52とを表示している状態で、利用者の指Hによりタッチパネル12にオブジェクト64aを指定する操作が入力され、その後ステップS6に示すように、オブジェクト64aを指定した指Hを画像83まで移動させる操作、つまり指Hを矢印に沿って移動させる操作が入力されると、オブジェクト64aに対応するデータを近距離通信で画像82および画像83に対応する携帯電話端末10に送信する。つまり、携帯電話端末10aは、識別子の画像83に基づいて、画像81内の3台の携帯電話端末から1つの携帯電話端末を特定し、特定した携帯電話端末と近距離通信を行う。
【0084】
このように、携帯電話端末10は識別子を用いることで、カメラの撮影領域に複数の携帯電話端末がある場合、つまり、自機に対面する位置に複数の通信端末がある場合、複数の通信端末が近接して配置されている場合でも簡単な操作で特定の1つの携帯電話端末と近距離通信を行うことができ、データの送受信を行うことができる。また、本実施形態のように、オブジェクトのドラッグ操作で送信するオブジェクトのデータと送信する携帯電話端末を特定することで、携帯電話端末は、種々のデータを簡単な操作で順次種々の携帯電話端末に近距離通信で送信することができる。
【0085】
図14および図15は、それぞれ識別子表示部で表示させる画像を説明するための説明図である。ここで、識別子表示部28で識別子を表示させる方法としては種々の方法を用いることができる。識別子表示部28は、識別子として表示させる情報を一度に全て表示させるようにしてもよいが、複数に分割して表示させてもよい。例えば、図14に示すように二次元コードで構成される識別子90を、9個の分割識別子92a〜92iに分割する。識別子表示部28は、図15に示すように、9個の分割識別子92a〜92iを切り換えて順番に表示させるようにしてもよい。この場合は、カメラ(識別子読取部)が分割識別子92a〜92iの画像を順次取得し蓄積し、合成することで1つの識別子90を取得することができる。
【0086】
このように1つの識別子を複数に分割することで、識別子表示部28を簡単な構成としても、つまり識別子表示部28の画素数を少なくしても複雑な識別子を用いることができる。これにより、識別子表示部28の構成を簡単にしかつ識別子としてより多くの情報を表示させることができる。また時系列で表示する画像を変化させることで、識別子の伝達に一定時間が必要となるため、意図した相手のみに識別子を表示させ認識させることができる。これによりセキュリティ性を高くすることができる。
【0087】
また、携帯電話端末10は、識別子にネットワークID以外の近距離通信で用いる各種情報を含ませることができる。例えば、識別子に暗号キーを含ませ、暗号キーでネットワークIDの暗号化を解除しないと近距離通信ができないようにすることもできる。また、複数のコードを組み合わせることでセキュリティ性を高くすることもできる。
【0088】
なお、携帯電話端末は、識別子を表示する識別子表示部として表示を切り換えることができる画像表示装置を用いることで、上述したように表示させる識別子を種々の識別子とすることができ、より多くの情報を表示することが可能となる。また、表示と非表示を切り換えることができ、また識別子を変更できるため、セキュリティ性を高くすることができる。なお、識別子表示部は、上記効果があるため画像表示装置を用いることが好ましいがこれに限定されず、識別子表示部として識別子が印刷された紙等を用いてもよい。なお、識別子が印刷された紙は、筐体11に貼り付けた構成とすることが好ましい。このように識別子表示部を識別子が変化しない紙としても、識別子を読み取ることでネットワークIDを取得することができる。
【符号の説明】
【0089】
1 通信システム
10 携帯電話端末
11 筐体
12 タッチパネル
12A タッチセンサ
12B 表示部
13 入力部
15 電源部
16 通信部
17 レシーバ
18 マイク
19 記憶部
19A メールプログラム
19B ブラウザプログラム
19C カメラプログラム
19D 近距離通信プログラム
19E 通信管理プログラム
19F 処理条件テーブル
20 主制御部
21 RAM
24 近距離通信部
26 カメラ
28 識別子表示部
30、32 ボタン
34 入力デバイス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信端末と近距離通信可能な近距離通信部と、
所定の範囲に配置された前記通信端末に表示された識別子を読み取る識別子読取部と、
前記識別子読取部で読み取った前記通信端末に表示された識別子を解析して近距離通信における前記通信端末の識別情報を取得し、前記近距離通信部で通信可能な通信端末から前記識別情報を備える前記通信端末を特定通信端末として特定し、前記識別情報に基づいて前記特定通信端末との近距離通信を開始する制御を行う制御部と、を有することを特徴とする通信要求端末。
【請求項2】
前記識別子読取部は、対面する領域にある前記特定通信端末の前記識別子を含む画像を取得するカメラであることを特徴とする請求項1に記載の通信要求端末。
【請求項3】
前記近距離通信の識別情報を含む自機を特定する自機識別子の情報を記憶する記憶部をさらに有し、
前記制御部は、前記近距離通信部を用いた通信の開始時に、前記近距離通信部で前記特定通信端末に前記自機識別子の情報を送信することを特徴とする請求項1または2に記載の通信要求端末。
【請求項4】
前記記憶部から読み出した前記自機識別子を表示させる識別子表示部をさらに有し、
前記制御部は、前記近距離通信部を用いた通信の開始時に、前記識別子表示部に前記自機識別子を表示させ、前記近距離通信部で前記特定通信端末から取得した情報に前記自機識別子の情報を含む場合、前記特定通信端末と通信を行うことを特徴とする請求項3に記載の通信要求端末。
【請求項5】
前記識別子表示部は、前記識別子読取部と同一面に配置されていることを特徴とする請求項4に記載の通信要求端末。
【請求項6】
前記識別子表示部は、表示面に複数の画素がマトリックス状に配置され、各画素の点灯と消灯とを切り換えることで前記識別子を表示させることを特徴とする請求項4または5に記載の通信要求端末。
【請求項7】
前記識別子表示部は、前記表示面に表示させる画像を切り換え、前記識別子を複数に分割した画像を順次表示させることを特徴とする請求項6に記載の通信要求端末。
【請求項8】
前記識別子表示部は、前記画素が発光ダイオードで構成されており、前記発光ダイオードがマトリックス状に配置されていることを特徴とする請求項6または7に記載の通信要求端末。
【請求項9】
タッチパネルをさらに有し、
前記制御部は、前記特定通信端末の画像と少なくとも1つの送信対象のデータに対応付けられたオブジェクト画像とを前記タッチパネルに表示させ、前記オブジェクト画像を前記特定通信端末の画像に移動させる操作が前記タッチパネルに入力された場合、当該オブジェクト画像に対応付けられたデータを前記特定通信端末に前記近距離通信部による通信で送信することを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の通信要求端末。
【請求項10】
前記識別子は、ネットワークIDであることを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の通信要求端末。
【請求項11】
通信端末と近距離通信可能な近距離通信部と、
前記近距離通信の識別情報を含む自機を特定する自機識別子の情報を記憶する記憶部と、
前記記憶部から読み出した前記自機識別子を表示させる識別子表示部と、
前記近距離通信部を用いた通信の開始時に、前記識別子表示部に前記自機識別子を表示させた後、前記近距離通信部で前記自機識別子に基づいた通信の開始が要求されると、当該要求の送信元の通信端末を特定し、当該特定した通信端末との間で近距離通信を行う制御部と、を有することを特徴とする通信被要求端末。
【請求項12】
前記識別子表示部は、表示面に複数の画素がマトリックス状に配置され、各画素の点灯と消灯とを切り換えることで前記識別子を表示させることを特徴とする請求項11に記載の通信被要求端末。
【請求項13】
前記識別子表示部は、前記表示面に表示させる画像を切り換え、前記識別子を複数に分割した画像を順次表示させることを特徴とする請求項12に記載の通信被要求端末。
【請求項14】
前記識別子表示部は、前記画素が発光ダイオードで構成されており、前記発光ダイオードがマトリックス状に配置されていることを特徴とする請求項12または13に記載の通信被要求端末。
【請求項15】
タッチパネルをさらに有し、
前記制御部は、前記特定通信端末の画像と少なくとも1つの送信対象のデータに対応付けられたオブジェクト画像とを前記タッチパネルに表示させ、前記オブジェクト画像を前記特定通信端末の画像に移動させる操作が前記タッチパネルに入力された場合、当該オブジェクト画像に対応付けられたデータを前記特定通信端末に前記近距離通信部による通信で送信することを特徴とする請求項11から14のいずれか一項に記載の通信被要求端末。
【請求項16】
前記識別子は、ネットワークIDであることを特徴とする請求項11から15のいずれか一項に記載の通信被要求端末。
【請求項17】
所定の範囲に配置された通信端末に表示された識別子を読み取る識別子読取部と通信端末と通信可能な第1近距離通信部とを有する通信要求端末と、
前記通信端末と通信可能な第2近距離通信部と前記近距離通信の識別情報を含む自機を特定する自機識別子の情報を記憶する記憶部と前記記憶部から読み出した前記自機識別子を表示させる識別子表示部とを有する通信被要求端末と、を有し、
前記通信要求端末は、前記識別子読取部で前記通信被要求端末の前記識別子表示部に表示された前記自機識別子を読み取り、前記通信被要求端末の識別子を取得し、前記通信被要求端末の識別子に基づいて前記第1近距離通信部による通信で通信可能な通信端末の中から前記通信被要求端末を特定し、当該特定した前記通信被要求端末に前記通信被要求端末の前記自機識別子を送信し、
前記通信被要求端末は、第2近距離通信部による通信で通信可能な通信端末の中から前記通信被要求端末の前記自機識別子を送信する前記通信要求端末を検出した場合、前記通信要求端末と近距離通信を行うことを特徴とする通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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