説明

通帳記帳機およびそれに用いる通帳

【課題】通帳10の綴じ目の緩み等により中紙が内側にずれ、通帳先端から頁マークのまでの距離が長くなって、頁マーク20が後方にずれた場合でも、頁マーク20を正常に読み取れるようにする。
【解決手段】通帳先端22を黒から白への変化点として検出し通帳先端22から所定の位置に印刷した通帳10の頁を表わす頁マーク20を読み取るラインセンサ8と、通帳10に未記帳データを印字する印字ヘッド9aと、当該頁マーク20を読み取って頁を解析し当該頁が記帳印字する頁であったときは前記印字ヘッド9aにて記帳印字する制御部2を備えた通帳記帳機であって、前記制御部2は、当該頁の最終行まで印字を完了するとき若しくは完了したときは、前記印字ヘッド9aにより当該頁の通帳先端22に塗潰し部21を設けるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金融機関等で使用される通帳の頁マークを読み取って記帳する通帳記帳機およびそれに用いる通帳に関する。
【背景技術】
【0002】
金融機関で使用される通帳には頁を識別するための頁マークが印刷されているが、この頁マークとして、複数本のバーを通帳の搬送方向に直交して並べることにより構成される横バーコード形式のものや、通帳の搬送方向と平行に並べることにより構成される縦バーコード形式のものがある。
【0003】
このような頁マークを有する通帳に取引内容等を印字する通帳記帳機はラインセンサ等の光学センサを備えており、このセンサにより通帳の開かれている頁マークを読取ってその頁マーク値を解析することにより何頁目が開かれているかを認識するようになっている。
【0004】
図11は、この種の通帳記帳機の内部構造例を示す要部側面図で、同図において、3は通帳10を挿入する挿入口であり、この挿入口3から奥に向って直線状に搬送路11が設けられている。
【0005】
4は通帳10を挟持して搬送するために搬送路11に沿って配置された複数のローラを回転駆動する搬送モータ、5は通帳10の磁気ストライプに記録された情報を読取る磁気ヘッド6を有するMSリードライト部、7は通帳10に印刷された頁マーク及び印字済みの行を光学的に読取るラインセンサ8を有する頁行読取手段としての頁行リード部で、MSリードライト部5は頁行リード部7よりも手前側の挿入口3に近い位置に設けられており、頁行リード部7の奥側には通帳10に印字手段としての印字ヘッド9aにより印字を行う印字部9が設けられており、これに対向した位置にプラテン9bが配置されている。
【0006】
42は搬送モータ4、MSリードライト部5、頁行リード部7などの通帳記帳機全体の動作を制御する制御手段としての制御部で、後述する白黒判定バッファ15bとして白黒判定結果を記憶したり頁マークの解析結果などを記憶する記憶部15を有している。この制御部42は、通帳記帳機1が組み込まれている自動取引装置等の上位装置に設けられた上位制御部100に接続されている。以上の構成により、従来の通帳記帳機の頁マーク及び印字済み行の読取りは以下の手順で行われる。
【0007】
まず、顧客が図示しない上位装置の表示部に表示された取引選択画面で通帳記帳を選択すると、上位制御部100から制御部42に通帳挿入の指示が出され、通帳記帳機1は通帳挿入待ちとなる。
【0008】
顧客が印字した最終行の頁を開いて通帳10を挿入口3に挿入すると、制御部42は搬送モータ4を駆動して搬送ローラを回転させ、通帳10を装置内に取込んで、磁気ストライプリード位置まで搬送する。
【0009】
次に、上位制御部100から磁気ストライプの読取り指示が制御部42に送られると、MSリードライト部5が磁気ストライプの読取り動作を行って、磁気ヘッド6により通帳10の磁気ストライプに記録された情報を読取り、その読取った情報を制御部42が上位制御部100に送信する。この磁気ストライプに記録された情報には顧客の口座に関する情報の他、当該通帳10による前回の印字終了頁および印字最終頁における印字済み行の情報が含まれる。
【0010】
次に、上位制御部100から頁及び行の読取り指示が制御部42に送られると、制御部42は搬送モータ4を再び駆動してローラを回転させ、通帳10をその先端が頁行リード開始位置に達するまで搬送する。
【0011】
この頁行リード開始位置は、通帳10の先端が頁行リード部7のラインセンサ8による読取り位置よりも手前側の挿入口3側になる位置であり、図示しない光学センサ等により通帳先端のおよその位置を検出して到達したことを検出する。そして、通帳10の先端が上記読取り開始位置に達したことを検出すると、制御部42は、媒体搬送モータの駆動パルスに同期してラインセンサ8による読取りを行い、ラインセンサ8から順次出力される出力波形により通帳10の先端検知と頁マークの検知及び印字済み行の検知を行う。
【0012】
図12はこのときの通帳10の先端検知と頁マーク検知の状態を示す説明図である。なお、ここでは、複数本のバーを通帳の搬送方向に直交して並べることにより構成される横バーコードを例として説明するが、通帳の搬送方向に平行に並べることにより構成される縦バーコード形式のものもある。
【0013】
同図に示したように通帳10の先端がラインセンサ8の読取り位置まで搬送されると、それまで通帳がなく反射光がない状態であった図12(a)、(b)の状態から、開かれている頁の地色(白もしくはそれに近い色)がラインセンサ8に読み取られるため、ラインセンサ8の出力波形が図12(c)のように予め設定されている通帳先端検知用のスライスレベルよりも大きくなる(白側になる)ので、これにより通帳10の先端を検知することができる。
【0014】
通帳10の先端を検知してからそれ以降は、図12(d)〜(g)のようにラインセンサ8の出力波形が頁マークのバー検知用スライスレベルより小さければ黒(値「1」)、大きければ白(値「0」)として制御部42が判定したデータを制御部42に設けられた白黒判定バッファ15bに保存して、通帳10の後端までラインセンサ8による読取りを行う。本例では、図12(d)〜(g)により、白黒判定バッファ15bには、「0」、「1」、「1」、「0」、・・・が格納される例となっている。
【0015】
そして、白黒判定バッファ15bのデータを基に頁マークを解析し、印字済み最終行についても同様に白黒判定バッファ15bのデータを基に解析し、その解析結果を上位制御部100に送信する。
【0016】
上位制御部100では、制御部42からの頁行解析結果に基づいて通帳10の開かれている頁を認識し、その頁と前記磁気ストライプの情報に含まれている今回の印字開始頁を照合し、一致しているか否か、すなわち正しい頁が開かれているか否かをチェックし、正しい頁が開かれている場合は印字処理に移行するよう制御部42に指示する。
【0017】
一方、正しい頁が開かれていない場合は通帳10を挿入口3に戻すように制御部42に指示する共に、正しい頁を開いて再挿入するように顧客に促すメッセージを図示しない上位装置の表示部に表示する。
【0018】
以上のように通帳記帳機では頁マークを光学的に読取り、正しい頁が開かれているか否かを判定し、正しい頁が開かれているときに取引内容等の記帳データを印字するようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【0019】
ところで、上述した従来の通帳記帳機において頁マークの解析は以下のように行われる。図13は複数本のバーからなるバーコード形式の頁マークの一般的な仕様の例を示す図で、ここではb0〜b3で示した同一長さの4本の横方向、すなわち通帳の搬送方向に対して直行する方向に延びるバーから成る頁マークを示しており、この4本のバーは互いに平行になるように印刷されていて、b3バーが先端側、b0バーは後端側としている。
【0020】
図13に示すように、b0バー〜b3バーは、それぞれ、太さL1が0.5mmで、誤差は+0.1mm、−0.0mmであり、バー間隔L2は3.0mmで、その誤差は±0.1mmである。また、通帳10の先端から後端側のb0バーの中心までの寸法L3は12.88mmで、許容誤差は±0.7mmとなっている。これらのb0バー〜b3バーが正規の位置に印刷されているものとして、ラインセンサ8の読取り結果から各バーの位置を検索するため、b0バー〜b3バーに対するデフォルト検索エリアが設定されている。
【0021】
図14は、図13の頁マークにより表される通帳の頁を示す図で、01頁から0F頁(15頁)までの頁をバーの本数と位置によるパターンよって表した例を示している。例えば、「01頁」を示す頁マークはb0バー1本で表され、「07頁」を示す頁マークはb0、b1、b2の3本のバー、「0F頁」を示す頁マークはb0〜b3の4本のバーで表されているが、「02頁」や「06頁」等のように位置基準となる後端のb0バーのない頁マークも含まれている。
【0022】
このようなパターンによる頁マークを読取って開かれた頁を検出する場合、後端のb0バーから順に各検索エリア内にバーが存在するか否か、すなわち、白黒判定バッファ15bに格納されている白黒判定結果として黒が2ライン以上連続している部分があるか否かを調べることで検出することができる。
【0023】
しかしながら、通帳10の頁マークは通帳の搬送方向の前方または後方にずれていることがあるが、この頁マークのずれの要因は、頁マークの印刷位置のずれという通帳製造上の問題以外に、通帳先端部の汚れによる先端検知位置の遅れや、通帳10の綴じ目の緩み等による中紙のずれによるもの等がある。また、これ以外にも、通帳挿入時に開かれた頁の紙面が盛り上がった状態で、挿入されてしまうケースもある。
【0024】
図15は、通帳先端部の汚れによる先端検知位置の遅れを示す説明図で、通帳10の先端部が汚れで黒くなっている場合、この汚れによりラインセンサ8による通帳先端の検知タイミングが遅れるため、実際の通帳先端に対してラインセンサ8が検知する通帳先端がずれてしまい、その結果通帳先端から頁マークのバーまでの距離が短く見えてしまい、頁マークが前方にずれた形となる。
【0025】
図16は、通帳の綴じ目が緩むことによる頁マークのずれを示す説明図で、図16(a)に示した綴じ目が正常な通帳10に対して、図16(b)に示した綴じ目が緩んでしまった通帳10の場合、中紙が前方にずれるとそれに伴って頁マークも通帳の先端側に移動するため、通帳先端から頁マークのバーまでの距離が短くなって、頁マークが前方にずれた形となる。
【0026】
このように通帳先端から頁マークのバーまでの距離が短くなって、頁マークが前方にずれても、正しく頁マークを読み取るための技術として、前記複数本のバーの各々を検索する領域を設定して、後端側のバーの検索領域から検索を行ってバー毎に検出されたか否かを示すバー本数分のビットデータを記憶部に記憶し、後端のバーが検出されなかった場合、先頭のバーの検索領域より前方側に1本分のバーの検索領域を設定してその領域の検索を行い、この検索によりバーが検出された場合は、そのバーのビットデータを前記ビットデータに最上位のビットとして加えてから1ビット下位側ずらした値を頁マークの検出結果とする技術があった(例えば、特許文献2参照)。
【0027】
このようにすることにより、先頭のバーがある頁マークがバー間隔の半分以上前方向にずれた場合でも、その頁マークを正確に検出することができることになり、頁マークの検出性能を向上させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0028】
【特許文献1】特開平11−048560号公報
【特許文献2】特開2008−290361号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0029】
しかしながら、図17に示したように、通帳10の綴じ目の緩み等により中紙がさらに内側にずれ、通帳先端から頁マークのバーまでの距離が長くなって、頁マークが後方にずれた形となった場合は、前記従来の通帳記帳機によっても、頁マーク検出位置を補正しきれず頁マークを正しく検出することができないという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0030】
本発明は、前述の課題を解決するため次の構成を採用する。すなわち、通帳先端を黒から白への変化点として検出し通帳先端から所定の位置に印刷した通帳の頁を表わす頁マークおよび印字行を読み取る頁行読取手段と、通帳に未記帳データを印字する印字手段と、当該頁マークを読み取って頁を解析し当該頁が記帳印字する頁であったときは前記印字手段にて記帳印字する制御手段を備えた通帳記帳機であって、前記制御手段は、当該頁の最終行まで印字を完了するとき若しくは完了したときは、前記印字手段により当該頁の通帳先端に塗潰し部を設けるようにした。
【発明の効果】
【0031】
本発明の通帳記帳機によれば、通帳先端を黒から白への変化点として検出し通帳先端から所定の位置に印刷した通帳の頁を表わす頁マークおよび印字行を読み取る頁行読取手段と、通帳に未記帳データを印字する印字手段と、当該頁マークを読み取って頁を解析し当該頁が記帳印字する頁であったときは前記印字手段にて記帳印字する制御手段を備えた通帳記帳機であって、前記制御手段は、当該頁の最終行まで印字を完了するとき若しくは完了したときは、前記印字手段により当該頁の通帳先端に塗潰し部を設けるようにしたので、挿入頁の中紙が内側にずれた場合でも、挿入頁の先端位置を確実に検出することができ、頁マークを正しく読み取ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】実施例1の通帳記帳機の構成図である。
【図2】実施例1の通帳記帳機の通帳の構成図である。
【図3】実施例1の通帳記帳機の通帳の構成図である。
【図4】実施例1の通帳記帳機の動作説明図である。
【図5】実施例1の通帳記帳機の動作説明図である。
【図6】実施例1の通帳記帳機の動作説明図である。
【図7】実施例2の通帳記帳機の動作説明図である。
【図8】実施例2の通帳記帳機の動作説明図である。
【図9】実施例3の通帳記帳機の構成図である。
【図10】実施例4の通帳記帳機の構成図である。
【図11】従来の通帳記帳機の構成図である。
【図12】従来の通帳の頁マークの読取動作の説明図である。
【図13】従来の通帳の頁マークの構成図である。
【図14】従来の通帳の頁マークの説明図である。
【図15】従来の通帳記帳機の動作説明図である。
【図16】従来の通帳記帳機の動作説明図である。
【図17】従来の通帳記帳機の動作説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明に係わる実施の形態例を、図面を用いて説明する。図面に共通する要素には同一の符号を付す。
【実施例1】
【0034】
(構成)
図1は、実施例1の通帳記帳機の内部構造例を示す要部側面図で、図11にて説明した従来の通帳記帳機とほぼ同様であるが、制御手段としての制御部2を、未記帳明細を当該頁の最終行まで印字が完了したときは、当該印字終了頁の通帳先端を黒く塗りつぶして印字し塗潰し部21を設ける機能を追加した構成としている。
【0035】
(動作)
以上の構成により実施例1の通帳記帳機は以下のように動作する。この動作を図2ないし図6を用いて以下詳細に説明する。
【0036】
まず、上位制御部100から頁及び行の読取り指示が制御部2に送られると、制御部2は搬送モータ4を再び駆動してローラを回転させ、通帳10を通帳先端22が頁行リード開始位置に達するまで搬送する。
【0037】
通帳先端22が頁行読取手段としてのラインセンサ8の読取り位置まで搬送されると、開かれている頁の地色(白もしくはそれに近い色)がラインセンサ8に読み取られるため、ラインセンサ8の出力波形が予め設定されている通帳先端検知用のスライスレベルよりも大きくなる(白側になる)ので、これにより通帳先端22を検知することができる。
【0038】
通帳先端22の検出後は、この位置を基準に、所定の位置に印刷されている頁マークの値や、所定の位置に印字されている最終印字済み行が何行目であるかの解析を制御部2にて行い、挿入頁が正しい場合は解析された最終印字済み行の次の行より未記帳データの明細印字を行う。
【0039】
実施例1の通帳記帳機では、図2に示す通帳頁が挿入され、図3に示すように印字が最終行まで到達し、これ以上、印字ができなくなった場合、当該頁の通帳先端22に印字手段としての印字ヘッド9aにより黒ベタ印字を行って塗潰し部21を設けた後、磁気ストライプのデータ更新などの処理を行い、顧客へ通帳10を返却する。
【0040】
なお、塗潰し部21は、通帳全幅に亘って設ける必要はなく、ラインセンサ8の読み取り範囲のみとしてもよい。また、あらかじめ当該頁がすべて印字されると判明したときは、最初に通帳先端22に黒ベタ印字を行って塗潰し部21を設けた後に、未記帳データを印字するようにしてもよい。
【0041】
そして、未記帳データがまだ残っている場合は、「次の頁を開き、通帳を挿入願います。」などのメッセージを操作画面に表示する。このとき、装置内に自動改頁機構を備えている場合は、通帳先端22に黒ベタ印字を行って塗潰し部21を設けた後に顧客へ通帳を返却することなく、装置内で改頁を行い、次頁以降に未記帳データの残りを印字して顧客に通帳を返却する。
【0042】
例えば、図4の例では、前の頁に通帳先端22に黒ベタ印字を行って塗潰し部21を設けた後に、図示した頁の一部に印字が行われ、顧客に通帳10が返却される。そして、次の通帳記帳の際に、図4の印字最終頁を見開いて挿入される。
【0043】
そして、図4のように、挿入頁の中紙がずれていない場合は、通帳先端22が正しく検出でき、前述の頁マーク読取り処理により、頁マークを読み取ることができる。
【0044】
また、図5およびその拡大図である図6に示すように、挿入頁の中紙が後方(内側)にずれている場合でも、前頁およびそれ以前の頁はすべて最終行まで印字が完了し通帳先端22を黒く塗りつぶして塗潰し部21が設けられているので、ラインセンサ8による読み取り結果が黒から白へ変化する位置は、通帳先端22ではなく、挿入頁先端23の位置となり、基準位置が正しくなり、頁マーク20を確実に読み取ることができる。
【0045】
(実施例1の効果)
以上のように実施例1の通帳記帳機によれば、制御部に、最終行まで印字した頁の通帳先端部を黒く塗りつぶして塗潰し部を設ける機能を追加した構成としたので、挿入頁の中紙が内側にずれた場合でも、挿入頁の先端位置を確実に検出することができ、頁マークを正しく読み取ることができる。
【実施例2】
【0046】
(構成)
実施例2の通帳記帳機の構成は、以下に述べる制御部のほかは図1に示した実施例1の通帳記帳機と同様であるので、簡略化のためにその詳細な説明は省略する。なお、本実施例では、便宜上、頁マーク20が縦バーコードの場合を例として以下説明する。
【0047】
ところで、実施例1の通帳記帳機では、最終行まで印字が完了しこれ以上印字ができない頁の通帳先端に黒ベタ印字をして塗潰し部21を設けるようにしたが、以降の通帳取引において、顧客が誤ってこの塗潰し部21が設けられた頁を挿入した場合、ラインセンサ8の読み取り結果が黒から白へ変化する位置を通帳先端として検出するので、塗潰し部21が設けられた分だけ検出位置が後方にずれて白黒判定バッファ15bに白黒判定結果が格納されてしまい、図8を用いて後述する解析先頭アドレス26以降に頁マークの白黒判定結果が格納されない。その結果、頁マークを正常に読み取れなくなってしまうという不具合があった。
【0048】
このような不具合を解消するために、実施例2の通帳記帳機では、頁マーク20が縦バーコードの場合において、制御部2に、塗潰し部21が設けられていないものとして頁マーク20を読み取るとともに、塗潰し部21が設けられているものとして頁マーク20を読み取り、いずれか正常に読取れた方を当該頁とする機能を追加した構成としている。
【0049】
(動作)
以上の構成により実施例2の通帳記帳機は以下のように動作する。この動作を図7および図8を用いて以下詳細に説明する。
【0050】
まず、顧客が挿入した頁の頁マーク20をラインセンサ8で読み取り、第1の頁マーク読取処理として当該頁に塗潰し部21が設けられていないものとして頁マーク20や印字済み行を読み取るとともに、第2の頁マーク読取処理として当該頁に塗潰し部21が設けられているものとして頁マーク20や印字済み行の読取り処理を行い、第1の頁マーク読取処理と第2の頁マーク読取処理の結果、いずれか正常に読取りが行われた結果を当該頁の読取結果とする。
【0051】
例えば、図7(a)に示すように、塗潰し部21が設けられていない場合の縦バーコードの上端までの距離L4を5mmとし塗潰し部21の搬送方向幅を3mmとすると、塗潰し部21が設けられている場合は、図7(b)のように、塗潰し部下端21aから縦バーコードの上端までの距離L4は2mmとなる。
【0052】
この図7(a)、図7(b)の頁を読み取ると、塗潰し部21が設けられていない図7(a)の場合は、通帳先端22が先端として正常に検出され頁マーク等が読み取られ、塗潰し部21が設けられている図7(b)場合は、塗潰し部下端21aが通帳の先端として検出され、頁マーク等が読み取られることになる。
【0053】
その結果、頁マークである縦バーコードの搬送方向の長さも3mmとすると、白黒判定バッファ15bには、それぞれ図8(a)および図8(b)のように格納され、同じ頁マーク20であっても、塗潰し部21の有無により格納アドレスがずれてしまうことになる。
【0054】
そして、頁マーク20である縦バーコードの解析は、解析先頭アドレス26、すなわち、0050Hから行われるので、図8(a)の場合は、正常に読み取れるが、図8(b)の場合は、格納アドレスがずれているので、頁マークを読み取ることができない。
【0055】
このように、塗潰し部21が有る頁を塗潰し部21が無いものとして解析した場合、或いは塗潰し部21が無い頁を塗潰し部21が有るものとして解析した場合、すなわち、仮定した塗潰し部21の有無が正しい場合以外は、頁マーク20の位置がずれ、正常に読み取ることはできない。
【0056】
したがって、塗潰し部21が設けられていないと仮定した頁マーク20の読取り処理と、塗潰し部21が設けられていると仮定した頁マーク20の読取り処理とを行い、何れかの処理で読み取れた方を頁マーク20の値とすることにより、正しい頁を読み取ることができる。
【0057】
そして、読み取れた頁マーク20の値が印字終了頁と異なる場合は、誤った頁が挿入されたと判定し、「正しい頁を開いて、再度通帳の挿入をお願いいたします」などの画面表示とともに、顧客へ通帳を返却する。一方、読み取れた頁マーク20の値が印字終了頁ではなく印字すべき印字最終頁のときは、以降の取引を継続し記帳処理等を行う。
【0058】
ところで、本実施例では、頁マーク20を縦バーコードとした例により説明したが、頁マーク20が横バーコードのときは、バーの搬送方向位置が必ず一定でないため、誤読が発生し、いずれの場合も頁マーク20を読み取ることができしてしまうことがある。
【0059】
そして、通帳に存在する誤った頁として読み取ってしまった場合は、誤った頁に印字してしまったり、普通科目の頁を挿入しこれを定期科目に存在する頁と誤読した場合では、普通科目頁に定期明細を印字してしまうという不具合が発生する。横バーコードの場合のこの不具合は、以下に述べる実施例3の通帳記帳機とすることにより解消される。
【0060】
(実施例2の効果)
以上のように実施例2の通帳記帳機によれば、制御部に、頁マークが縦バーコードの場合において、塗潰し部が設けられていないものして頁マークを読み取るとともに、塗潰し部が設けられているものとして頁マークを読み取り、いずれか正常に読取れた方を当該頁とする機能を追加した構成としたので、顧客が誤って最終行まで印字した頁を開いて挿入した場合でも頁マークを正しく解析することができ、顧客に通帳を返却して正しい頁を開いて再度挿入するようにガイドすることができる。
【実施例3】
【0061】
(構成)
実施例3の通帳記帳機の構成は、以下に述べる制御部のほかは図1に示した実施例1の通帳記帳機と同様であるので、簡略化のためにその詳細な説明は省略する。
【0062】
前述の実施例2の通帳記帳機では、頁マーク20が横バーコードのときは、基準とするバーが必ず存在するとは限らず、いずれの結果も正常に読み取られて誤読してしまうというおそれがあった。
【0063】
実施例3の通帳記帳機では、このような不具合を解消するために、制御部2に、印字終了頁に塗潰し部21とともに図9に示したような印字終了マーク30を印字ヘッド9aにより印字する機能、印字終了マーク30を読み取って印字終了頁かどうかを判定し当該判定結果に基づいて頁マーク20を解析する機能を追加した構成としている。
【0064】
(動作)
以上の構成により実施例3の通帳記帳機は以下のように動作する。この動作を、図9を用いて以下詳細に説明する。
【0065】
実施例3の通帳記帳機では、未記帳明細を印字し、挿入された頁の最終行まで印字が完了したときに、図9に示したように、通帳先端部に黒ベタ印字により塗潰し部21を設けるとともに黒ベタ印字により印字終了マーク30を印字する。
【0066】
そして、未記帳明細を印字するときは、挿入された頁に印字終了マーク30があるかどうかを検出する。なお、印字終了マーク30は、塗潰し部21を設けた印字終了頁の場合のみ印字されていることになるので、印字終了マーク30の有無の検出範囲は、常に塗潰し部21があるものとして、当該塗潰し部下端21aを基準として検出すればよい。
【0067】
そして、印字終了マーク30が検出されない場合は、記帳できる行がまだ残っている頁であり、塗潰し部21は設けられていないので、前述の図7(a)のようになっているものとして頁マーク20を読取って当該頁が印字すべき印字最終頁であることを確認し、当該頁が印字最終頁であったときは未記帳明細の印字を行い、印字を終了した後、顧客に通帳10を返却する。
【0068】
一方、頁マーク20を読取って当該頁が印字すべき印字最終頁でないとき、或いは挿入された頁に印字終了マーク30が検出されたときは、当該頁は印字最終頁でありこれ以上印字できない頁を開いて挿入されたと判定し、「正しい頁を開いて、再度通帳の挿入をお願いいたします」などの画面表示とともに、顧客へ通帳を返却する。
【0069】
(実施例3の効果)
以上のように実施例3の通帳記帳機では、制御部に、印字終了頁に印字ヘッドにより塗潰し部とともに印字終了マークを印字する機能、印字終了マークを読み取って印字終了頁かどうかを判定し当該判定結果に基づいて頁マークを解析する機能を追加した構成としたので、頁マークが横バーコードの場合であっても、頁マークを確実に読み取ることができる。
【実施例4】
【0070】
(構成)
実施例4の通帳記帳機の構成は図1に示した実施例1ないし実施例3の通帳記帳機と同様であるので、簡略化のためにその詳細な説明は省略するが、実施例4の通帳記帳機では、通帳の構成が異なり、図10に示したように塗潰し部21を通帳10のすべての頁に印刷した構成となっている。
【0071】
(動作)
以上の構成により実施例4の通帳記帳機は以下のように動作する。この動作を、図10を用いて以下詳細に説明する。
【0072】
実施例4の通帳記帳機では、塗潰し部21がすべての頁に印刷されているので、従来技術にて説明した図17のように中紙がずれた場合でも、前のすべての頁に塗潰し部21が設けられているので、ラインセンサ8により通帳先端22から当該頁の塗潰し部下端21aまで「黒」として読み取られ、「黒」から「白」に変化する塗潰し部下端21aを基準として頁マーク20を読み取るようにすればよい。
【0073】
また、塗潰し部21が設けられた印字終了頁を開いて挿入した場合でも、頁マーク20が横バーコードの場合でも、常に、塗潰し部下端21aを基準として頁マーク20を読み取るようにすればよいので、実施例2の通帳処理装置の不具合についても解消することができる。
【0074】
そして、未記帳明細を印字するときに、塗潰し部下端21aを基準として頁マーク20を読取って当該頁が印字すべき印字最終頁であるときは未記帳明細の印字を行い、印字を終了した後、顧客に通帳を返却する。
【0075】
一方、頁マーク20を読取って当該頁が印字すべき印字最終頁ではないときは、当該頁は印字終了頁でありこれ以上印字できない頁を開いて挿入されたか、誤って未使用の頁を開いて挿入したと判定し、「正しい頁を開いて、再度通帳の挿入をお願いいたします」などの画面表示とともに、顧客へ通帳を返却する
【0076】
なお、以上の実施例4の通帳記帳機の説明では、塗潰し部21をあらかじめ印刷して置くように説明したが、通帳が最初に挿入されたときに、塗潰し部21を全頁に印字ヘッド9aによりベタ印字するようにしてもよい。
【0077】
(実施例4の効果)
以上のように実施例4の通帳記帳機では、通帳を、通帳のすべての頁の通帳先端に塗潰し部を設けるようにしたので、実施例3と同様、頁マークが横バーコードの場合であっても、また、印字終了頁を開いて挿入した場合であっても、頁マークを確実に読み取ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0078】
以上述べたように、本発明は、金融機関等で使用される通帳の頁マークを読み取って記帳する通帳記帳機を備えた自動取引装置に広く用いることができる。
【符号の説明】
【0079】
1 通帳記帳機
2、42 制御部
3 挿入口
5 MSリードライト部
6 磁気ヘッド
7 頁行リード部
8 ラインセンサ
9 印字部
9a 印字ヘッド
10 通帳
15 記憶部
15b 白黒判定バッファ
20 頁マーク
21 塗潰し部
21a 塗潰し部下端
22 通帳先端
23 挿入頁先端
30 印字終了マーク
100 上位制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通帳先端を黒から白への変化点として検出し通帳先端から所定の位置に印刷した通帳の頁を表わす頁マークおよび印字行を読み取る頁行読取手段と、通帳に未記帳データを印字する印字手段と、当該頁マークを読み取って頁を解析し当該頁が記帳印字する頁であったときは前記印字手段にて記帳印字する制御手段を備えた通帳記帳機であって、
前記制御手段は、当該頁の最終行まで印字を完了するとき若しくは完了したときは、前記印字手段により当該頁の通帳先端に塗潰し部を設けるようにしたことを特徴とする通帳記帳機。
【請求項2】
前記頁マークは、横バーコードまたは縦バーコードであることを特徴とする請求項1記載の通帳記帳機。
【請求項3】
前記頁マークは、縦バーコードであって、
前記制御手段は、塗潰し部が設けられていないものとして頁マークを読み取るとともに塗潰し部が設けられているものとして頁マークを読み取り、いずれか正常に読み取れた方を当該頁とするようにしたことを特徴とする請求項1記載の通帳記帳機。
【請求項4】
前記制御手段は、最終行まで印字を完了するとき若しくは完了した印字終了頁に前記印字手段により前記塗潰し部とともに印字終了マークを印字し、前記頁行読取手段により前記印字終了マークを読み取って当該印字終了マークの有無に基づいて前記頁マークを読み取るようにしたことを特徴とする請求項1記載の通帳記帳機。
【請求項5】
通帳先端を黒から白への変化点として検出し通帳先端から所定の位置に印刷した通帳の頁を表わす頁マークを読み取る頁行読取手段と、通帳に未記帳データを印字する印字手段と、当該頁マークを読み取って頁を解析し当該頁が印字最終頁であったときは前記印字手段にて記帳印字する制御手段を備えた通帳記帳機に用いる通帳であって、
前記通帳は、すべての頁の通帳先端に塗潰し部を設けたことを特徴とする通帳。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2011−148153(P2011−148153A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−10273(P2010−10273)
【出願日】平成22年1月20日(2010.1.20)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】