説明

通常葉書及びその製造方法

【課題】 見開き4頁の形態の通常葉書とその製造方法を提供する。
【解決手段】 上から第一葉片、第二葉片及び第三葉片が折り線を介して断面Z字(S字)状に折り畳まれると共に、各対向葉片が疑似接着媒体を介して剥離可能に疑似接着された通常葉書において、第二葉片と第三葉片を連接する折り線と逆側の開放縁辺に一定の条件を付与すると剥離不能に接着する完全接着剤層を形成すると共に、第二葉片又は第三葉片の前記折り線側に開封の端緒が形成されていることを特徴とした通常葉書により解決される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は通常葉書及びその製造方法に関する。詳しくは、見かけは1枚の通常葉書であるにも関わらず、複数の葉片が剥離可能に一体化されおり、多量の情報を伝達できるにも関わらず通常葉書と同じ料金で郵送することができる通常葉書及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近「圧着葉書」と称され、見掛けは1枚の葉書であるにも関わらず、複数の葉片が剥離可能(以下疑似接着という)に折り畳まれたり、或いは切り重ねられたものが多用されている。前記圧着葉書は、その大きさや使用される用紙の斤量等が郵政法に適合する範囲で設計されており、通常葉書料金であるにも関わらず多量の情報を隠蔽状態で郵送することができる優れものである。
【0003】
現状、前記圧着葉書の中で、一番情報量の多い形態としてZ折り形態の葉書がある。このものは折り線を介して連接された3枚の葉片を断面Z字状に折り畳んだもので、それぞれの葉片に情報を記載することができる。そして、この葉書の変形として3枚の葉片を渦巻き状に折り畳む巻き折り形態の葉書も考えられる。このような形態の例として特開2004−98644号公報に記載の三つ折り葉書がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−98644号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記Z折りや巻き折り形態の葉書は、圧着葉書の形態として基本的な形態になる。葉書重量や葉書本体の規定等の制限で、これ以上の葉片を連接したものでは通常葉書として成立しないからである。なぜならば、前記郵政法の規定では、本体となる葉片の両面に各々本体と連接されている1枚ずつの葉片が貼付された形態のものが規定範囲に属すことになるため、合計3葉片が最高の枚数になる。また、貼付葉片の上に異なる葉片を二重に貼付したり、何れかの貼付葉片が本体と連接されていない場合は規定範囲外と見なされてしまうので、前記巻き折り形態に関しては、記述の葉書本体の規定範囲から逸脱し、結局のところ現状ではZ折り形態が規定範囲内の形態として使用されている。
【0006】
然るに現状のZ折りでは、その形態のために情報の表示順が定まり辛く、表面側と裏面側でデザイン等が分断されてしまう。従って、受取人が読み取る際に、内容の記載が表裏面で順序立てて繋がらなくなりレイアウト等に苦労を必要とする。また平面に展開できるものの、展開後単なる1枚のチラシになるため格段面白みがない。圧着葉書を使用する者としてはより訴求効果のある販促形態が欲しいものである。
【0007】
また現状のZ折は、片面プリンターで受取人の住所と個人情報を同時にプリントアウトできるという便利さがある。然るに容易に剥離することができるため、郵送途上誤って開封してしまい、プライバシーに関わる重要な情報が漏洩する等の事故が絶えず、この点においても機密性に優れた形態の圧着葉書が欲しい。
【0008】
そこで考えられるのが、順を追って内容を確認できる見開き状の製本形態である。そして個人情報を記載している頁同士を袋とじにして、意図的に開封しない限り容易に開封しないように構成すればよい。
然るにこのような形態の圧着葉書を製造しようとすると、3枚の葉片を各々1箇所の縁辺で接続し、尚且つ袋とじの開封手段を施す必要があるため、単純に折り畳んだだけのZ折と比較すると加工が極めて複雑になる。
本発明は、係る問題に鑑み、出願人が鋭意研究の末発明したものであり、訴求効果に優れると共に機密性に富んだ通常葉書とその画期的な製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記問題を解決するために、本発明の通常葉書は、上から第一葉片、第二葉片及び第三葉片が折り線を介して断面Z字(S字)状に折り畳まれると共に、各対向葉片が疑似接着媒体を介して剥離可能に疑似接着された通常葉書において、第二葉片と第三葉片を連接する折り線と逆側の開放縁辺に一定の条件を付与すると剥離不能に接着する完全接着剤層を形成すると共に、第二葉片と第三葉片を連接する折り線側の第二葉片又は第三葉片の何れかに開封の端緒が形成されていることを特徴としている。
【0010】
また上記問題を解決するために、本発明の通常葉書の製造方法は、折り線を介して第一葉片、第二葉片及び第三葉片が横方向に連接された単位シートが、天地方向の切取線を介して縦方向に連接されると共に、第二葉片及び第三葉片の開放縁辺に一定の条件を付与することにより接着する完全接着剤層を形成した長尺状シートを用いた情報通信体の製造方法であり、第一葉片と第二葉片の裏面及び第二葉片と第三葉片の表面に疑似接着媒体を形成する疑似接着媒体形成工程、疑似接着媒体が形成された長尺状シートを断面Z字(S字)状に折り畳む工程、折り畳まれた長尺状シートを単位シート毎に断裁する断裁工程、断裁された単位シートを加圧又は加熱・加圧処理により剥離可能に一体化する一体化工程とからなると共に、前記疑似接着媒体を形成する工程から断裁工程までの間の任意の工程中或いは工程間にマージナル部分を切除する切除工程及び開封手段の形成工程が配置されていることを特徴としている。
【0011】
なお、両マージナル部分の切除工程および開封手段の形成工程は、疑似接着媒体を形成する工程から断裁工程までの間の任意の工程中或いは工程間に段階的にあるいは一箇所に集中して配置されていても構わない。
【0012】
また、単位シート毎に断裁する断裁工程と剥離可能に一体化する一体化工程の順序を入れ替えてもよく、それに合わせてマージナル部分の切除工程等を任意の工程中或いは工程間に配置しても構わない。
【0013】
本発明に使用される長尺状シートは、上質紙、マットコート紙、グロスコート紙、合成紙等の中から選択される。斤量に関しては四六判で45〜110kgの範囲で選択されることが好ましい。
【0014】
前記疑似接着媒体として公知の様々な媒体が採用できるが、採用する媒体により以下の各種方式に分けられる。
1)業界で後糊方式と称されるもので、疑似接着性のUVニスやエマルジョンタイプの 疑似接着ニスや糊を、印刷後の疑似接着予定面に塗布して疑似接着皮膜を形成するも の。
このものは疑似接着皮膜が形成された面同士を対向させて加圧又は加熱・加圧処理 を施すことにより剥離可能に接着することができる。
2)業界で先糊方式と称されるもので、例えば天然ゴムや合成ゴムを主剤とした疑似接 着性の接着剤を印刷前用紙の疑似接着予定面に予め塗布したもの。このような用紙を 業界では「圧着紙」と称している。
このものは、印刷後に疑似接着予定面同士を対向させて折り畳み、加圧処理を施せ ば、対向面同士を剥離可能に接着することができる。
3)業界でフィルム方式と称されるもので、予め剥離可能に積層した一対のフィルムの 両外側に感熱接着剤層や粘着剤層を形成したものを、対向面間に介在させて剥離可能 に一体化する挟み込み方式や、印刷用紙の疑似接着予定面に疑似接着層を形成したフ ィルムを被覆ラミネートして、その後折り畳んで疑似接着層同士を対向させ、加圧或 いは加熱・加圧処理を施すことにより剥離可能に一体化する全面貼り方式がある。
上記各種方式が代表的に挙げられるが、本発明においては前記フィルムラミネートによる全面貼り方式が、システムの取り回し等が極めて簡便なため好ましい。しかし他の方式でも構わず、それらを排除するものではない。
【発明の効果】
【0015】
本発明の通常葉書は、今までにない見開き4頁の製本タイプのため、受取人に対してインパクトがあり訴求効果に優れる。さらに個人情報が隠蔽されている葉片同士を例えばミシン目を破壊した後に開封するため機密性に富み、自然開封等の事故がない。
また、本発明の製造方法によれば、長尺状シートの各葉片が単純な連接により構成されると共に単純な折り形態で済むため、公知のシステムで容易に加工ができ効率的である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】(A)、(B)及び(C)は、本発明の通常葉書H1の表面図、裏面図及びX−X線断面図である。
【図2】(A)、(B)および(C)は本発明の異なる態様の通常葉書H2の表面図及びY−Y線断面図である。
【図3】は通常葉書H1及びH2の開封状態を分かりやすく示す断面図である。
【図4】疑似接着フィルムシートGを厚さ方向に拡大した断面図である。
【図5】本発明の通常葉書H1の製造方法の工程を分かりやすく説明する要部概略図である。
【図6】(A)及び(B)は本発明の通常葉書H1の製造方法に使用する長尺状シートS1の表面図および裏面図である。
【図7】(A)及び(B)は本発明の通常葉書H2の製造方法に使用する長尺状シートS2の表面図および裏面図である。
【図8】(A)及び(B)は長尺状シートS1を使用した通常葉書H1の製造方法であって、図5中のV−V線及びW−W線断面図である。
【図9】(A)及び(B)は長尺状シートS2を使用した通常葉書H2の製造方法であって、図5中のV−V線及びW−W線断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下本発明を図面に沿って説明する。
[実施例1:通常葉書その1]
本発明の通常葉書H1は、図1(C)に示すように、上から第一葉片11、第二葉片12、及び第三葉片13の順に各折り線14、15から断面Z字状に折り畳まれている。そして第一葉片11と第二葉片12及び第二葉片12と第三葉片13の対向面間は疑似接着媒体の一つである疑似接着フィルムシートGを介して剥離可能に接着されている。また第二葉片12と第三葉片13の開放側縁辺は通常では接着性を示さないが一定の条件を付与すると接着性を示す接着剤Kにより剥離不能に完全接着されている。さらに第三葉片13の折り線15側には第三葉片13と疑似接着フィルムシートGを貫通するマイクロミシンによるミシン目Mが形成されている。
【0018】
前記接着剤Kとして、例えば100℃前後の熱が掛けられると接着する感熱性接着剤や、強圧を掛けると接着する感圧性接着剤或いは水分により接着性を発揮する感湿性接着剤等を好適に使用することができる。
【0019】
疑似接着フィルムシートGは図4に示すように、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、アセテート、ポリカーボネート、ナイロン等の比較的腰の強い材質からなる基材1の、一方の面に公知の感熱接着剤層2を形成し、残る一方の面に疑似接着層3を形成した、サーマルラミネート方式に対応した3層構成のものを好適に使用することができるが、前記感熱接着剤層2を省略してドライラミネート方式に対応した2層構成のものを使用しても構わない。
【0020】
前記疑似接着フィルムシートGは、疑似接着層3側を対向させて加熱又は加熱・加圧処理を施すと、疑似接着層同士が剥離可能に接着する。そして疑似接着後に剥離すると、疑似接着層の界面や何れかの疑似接着層と基材の間、或いは前記両者の混合の形態で剥離することができる。
なお、本実施例では、疑似接着媒体として、フィルムラミネートによる全面貼り方式で説明するが他の疑似接着媒体を使用した方式でも一向に構わない。
【0021】
図1(A)に示すように、通常葉書H11の表面は、郵便切手欄、郵便番号欄、受取人の住所氏名等が記載されている。また、第一葉片11の幅が第二葉片12の幅より短いため、通常葉書H1の左側縁辺に沿って、第二葉片2に表示された「POST CARD」の文言が表出して確認できるよう構成されている。なお、この部分に生じている段差を利用して、受取人は容易に剥離開封することができるのである。
【0022】
図1(B)に示すように、通常葉書H1の裏面に当たる第三葉片13表面には、広告宣伝等の一般情報が記載されている。なお右側縁辺のマイクロミシンによるミシン目Mを折り曲げて破壊することにより、受取人は容易に剥離開封することができる。
【0023】
この通常葉書H1の受取人は、既述の段差部とミシン目Mを利用して各葉片を剥離する。そして図3(A)に示すように、最終的に見開き4頁に製本された各頁の情報を、表面に被覆された疑似接着フィルムシートGを透して視認することができる。
なお、この通常葉書H1は、図1(C)及び図3に示すように、最終的に右側縁辺が綴じられた製本状態になるが、断面S字状で左側縁辺が綴じられた形態でも構わない。また図1に示す通常葉書H1は縦長形態であるが、横長形態の通常葉書でも構わず、その場合も前記同様左右の何れの縁辺側が綴じられていても構わない。
【0024】
[実施例2:通常葉書その2]
次に図2に示す通常葉書ついて説明する。なお、本実施例2の通常葉書は、前記実施例1と比較すると、第一葉片の横幅が第二葉片と同じであること。第一葉片の右下に切り欠き部Rが設けられている点、第一葉片の郵便番号欄上部に丸窓が貫通して設けられ、その丸窓を通して第二葉片に記載された「郵便葉書」の文言が表出していることが相違するが、その他については同じである。
【0025】
図2(C)に示すように本実施例の通常葉書H2は、上から第一葉片21、第二葉片22及び第三葉片23の順に各折り線24及び25から断面Z状に折り畳まれている。そして第一葉片21と第二葉片22及び第二葉片22と第三葉片23の対向面間は疑似接着媒体の一つである疑似接着フィルムシートGを介して剥離可能に接着されている。また第二葉片22と第三葉片23の開放側縁辺は、接着剤Kにより剥離不能に完全接着されている。さらに第三葉片23の折り線25側には第三葉片23と疑似接着フィルムシートGを貫通するマイクロミシンによるミシン目Mが形成されている。
【0026】
図2(A)に示すように、通常葉書H2の表面に当たる第一葉片21表面には、郵便切手欄、郵便番号欄、受取人の住所氏名等が記載されている。また、第一葉片21の郵便番号欄上部に丸窓が4箇所横並びに貫通しており、その窓を通して第二葉片22の前記丸窓に該当する場所に記載されている「郵便葉書」の文言が視認できるように構成されている。なお左下切り欠き部Rにより生じる段差を利用して、第一葉片21と第二葉片22は容易に剥離開封することができる。
【0027】
図2(B)に示すように、通常葉書H2の裏面に当たる第三葉片23表面には、広告宣伝等の一般情報が記載されている。なお右側縁辺のマイクロミシンによるミシン目Mを折り曲げて破壊することにより、受取人は容易に剥離開封することができる。
【0028】
この通常葉書H2の受取人は、既述の段差部とミシン目Mを利用して各葉片を剥離する。そして前記実施例1と同様、図3(B)に示すように、最終的に見開き4頁に製本された各頁の情報を、表面に被覆された疑似接着フィルムシートGを透して視認することができる。
なお、この通常葉書H2も、図2(C)に示すように、最終的に右側縁辺が綴じられた製本状態になるが、断面S字状で左側縁辺が綴じられた形態でも構わない。また縦長形態の通常葉書S2を横長形態にして、何れかの縁辺で製本状態にしても構わない。
【0029】
[実施例3:通常葉書の製造方法その1]
図6(A)に示すように長尺状シートS1は第一葉片11、第二葉片12及び第三葉片13が折り線14、15を介して横方向へ連接された単位シートt1が、天地方向の切取線16を介して縦方向に連接されている。第一葉片11は第二葉片12および第三葉片13より若干幅が狭く設計されており、表面には郵便切手欄、郵便番号欄及び受取人の住所氏名等が記載されている。また、第二葉片12及び第三葉片13表面には各種金額等の個人情報(個人情報のみでなく、一般情報や個人情報と一般情報が混在していても構わない)が記載されると共に、折り畳んだ際に開放側になる縁辺に沿って接着剤Kが塗布されている。なお、前記接着剤Kは第二葉片12又は第三葉片13の何れかの葉片のみに塗布しておいても構わない。また塗布形態についても格別な制限はなく、切れ目のない帯状や前記帯状パターンが複数に分割されていても構わず、さらに四角形や丸或いは星型等の各種パターンを連続的に塗布しても構わない。
【0030】
図6(B)に示すように通常葉書完成後に表出することになる第三葉片13裏面には一般情報が記載され、第二葉片12及び第一葉片11裏面には、例えば秘密を要する個人情報がそれぞれ記載されている。前記個人情報は一般情報が混在していても構わず、さらに一般情報のみでも構わない。なお、第二葉片2左側縁辺に沿った帯状の部分には「POST CARD」の表示がなされている。この部分は通常葉書H1の完成後に表出して外部から視認することができる。
【0031】
前記構成の長尺状シートS1は、例えば折り線16から蛇腹状に折り畳まれてブロック状態で図5に示すように図中左下に設置される。そして上方のサポートローラ41へ引き上げられると共にほぼ水平方向に向きを変える。なお後述するが、第一葉片11側のマージナル部分19は予め切除されていても構わず、また図示されないインタースタッカ等により切除しながらサポートローラ41へ供給しても構わない。そして長尺状シートS1は、マージナル部分19に形成されているマージナル孔18を、前記サポートローラ41の下流に設置されているピントラクタ42のピンと合致させて、さらに下流の一対のヒートローラ43a、43bへ搬送される。
【0032】
一対のヒートローラ43a、43bには、上方及び下方で待機している各ロールから疑似接着フィルムシートGが繰り出され、ヒートローラ43a、43bにおいて通過する長尺状シートS1の疑似接着予定面と感熱接着剤層2側で整合されると共に、加熱・加圧処理が施されて両者は強固に接着されるのである。この時点で長尺状シートS1は図8(A)に示す断面図の状態になっている。
【0033】
一対のヒートローラ43a、43bを通過した長尺状シートS1は下流に設置されているニップローラ46a、46bに至るまでに、スリッタ44a、44bにより一方のマージナル部分19を切除すると共に、ミシン目入れ装置45a、45bにより開封用のミシン目M(通常の破断用マイクロミシンで構わない)を図7中の第三葉片13に二点鎖線で示す位置に形成する。なお、前記スリッタ44a、44bによるマージナル部分19の切除とミシン目入れ装置45a、45bによるミシン目Mの穿設は何れが先に行われても構わず、もちろん同時に行われてもよい。また後述するインタースタッカ等に搭載されたスリッタやミシン入れの機能によりヒートローラ43a、43bからダイカットローラ51aとバックアップローラ51bからなる断裁装置までの間で実行されても構わない。そしてニップローラ46a、46bに牽引されてさらに下流の折り畳み装置47を通過する。
【0034】
なお、前記ニップローラ46a、46bと折り畳み装置47の間に複数のサポートローラ等を設けてその間で長尺シートS1を弛ませることにより、前記折り畳み装置47の手前で用紙S1に掛かるバックテンションを抜くように構成しても構わない。
【0035】
そして長尺状シートS1は、図8(B)に示すように断面Z字(S字)状に折り畳まれながら上方のサポートローラ48へ引き上げられると共にほぼ水平に向きを変え、残りのマージナル部分19を下流側のピントラクタ49のピンと合致させてさらに下流へと搬送される。
【0036】
ピントラクタ49の下流にはスリッタ50a、50bが設置されており、前記残りのマージナル部分19を切除しながら、下流のダイカットローラ51aとバックアップローラ51bからなる断裁装置へ搬送される。そして長尺状シートS1は単位シートt1毎に天地方向で切断され単品の二つ折り葉書用紙となり、さらに下流の一体化工程へと搬送されるのである。
【0037】
一体化工程は、例えば上下一対の搬送ローラ52a、52bとヒータパネル53a、53bが交互に配置された加熱オーブンで通過する単位シートt1を加熱しておいて、さらに排出口に設置されたヒートローラ54a、54bにより加熱・加圧処理を施す。この処理により前記断裁された単位シートt1は、第一葉片1と第二葉片2及び第二葉片2と第三葉片3の疑似接着フィルムシートGを介した対向面同士が剥離可能に、また第二葉片2及び第三葉片3の開放側縁辺に設けられている例えば熱や圧力に反応する接着剤Kが剥離不能に一挙に接着一体化されるのである。このようにして製造された通常葉書H1は、ベルトコンベア等からなるスタッカ55に順次積載される。
【0038】
[実施例4:通常葉書の製造方法その2]
本実施例で使用される長尺状シートS2と前記実施例4で使用される長尺状シートS1を比較すると、本実施例では第一葉片21及び第二葉片22の幅が同じであること、第一葉片21左下に切り欠き部Rが追加形成されていること、第一葉片21の上部に丸窓が貫通して形成されていること及び第二葉片22の前記第一葉片21上部に形成された丸窓に対応した位置に「郵便葉書」の文言が記載されている点で異なる。
【0039】
ところで、本実施例と前記実施例3を比較すると、それぞれの長尺状シートS1及びS2に既述の通りの相違点があるものの、製造方法についてはまったく同一工程であり重複するため詳細な説明は省略する。なお、製造工程中での相違は、実施例4では最初のスリッタ44a、44bによる切除を、第一葉片11のマージナル部分19側を切除して第三葉片13側のマージナル部分19で下流へ搬送しているが、本実施例では第一葉片21或いは第二葉片22の何れのマージナル部分29を先に切除しても構わない。
【0040】
ただし製造工程の最上流に長尺状シートS2の何れかのマージナル部分29を予め切除して設置する場合、疑似接着フィルムシートGが葉片からはみ出すことがないように、やや疑似接着予定面の内側に配置する必要が生じる。これについては既述の実施例3も共通である。
【0041】
また本実施例においては、両マージナル部分29の切除を、下流側のスリッタ50a、50bを並列に設置しておいて、一挙に切除しても構わない。その場合図5に示す製造工程中の長尺シートS2のV−V線及びW−W線の断面図は、図9(A)及び(B)に示す通りである。
【0042】
これらマージナル部分29の切除に関しては、製造工程中の任意の位置に配置して構わず、段階的に切除しても或いは一挙に切除しても構わない。さらにヒートローラ43a、43bからダイカットローラ51aとバックアップローラ51bからなる断裁装置までの間に、スリッタやミシン入れ機構を搭載したインタースタッカやオートフィーダ等を配置して、それによりマージナル部分を切除したり或いはミシン目Mを設けても構わない。
【0043】
本発明は、前記実施例に限られるものではない。
例えば、前記一体化工程で、加熱・加圧処理をヒータパネルによる加熱処理と排出口のローラを加熱装置のない単なる加圧ローラにして、加熱と加圧処理を分けた構成にしても構わない。またヒートロールに強圧を掛ける構成にして、ヒートロールのみにより一度で両処理を完了するようにしても構わない。
【0044】
また、ダイカットローラ51a及びバックアップローラ51bからなる断裁工程と、スリッタ44a、44b及び50a、50bによるマージナル部分19の切除工程並びに一体化工程はそれぞれ順番を入れ替えても構わない。即ち長尺状シートS1、S2或いはS3のまま一体化しておいて、排出後にスリッタで切除すると共に単位シート毎に断裁する方法や、スリッタでマージナル部分19を切除した後に長尺状シートのまま一体化し、その後単位シートに断裁する方法等色々考えられるが何れを採用しても構わない。
【0045】
さらに他の疑似接着媒体を使用する場合、ヒートローラ43a、43bの位置にそれぞれの形成手段を設置すればよい。
【符号の説明】
【0046】
H1、H2、通常葉書
G 疑似接着フィルムシート
K 接着剤
S1、S2、長尺状シート
t1、t2、単位シート
R 切り欠き部
1 基材
2 感熱接着剤層
3 疑似接着層
11、12、13、21、22、23 葉片
14、15、24、25 折り線
16、17、26、27 切取線
18、28 マージナル孔
19、29 マージナル部分
41、48 サポートローラ
42、49 ピントラクタ
43a、43b ヒートローラ
44a、44b、50a、50b スリッタ
45a、45b ミシン目入れ装置
46a、46b ニップローラ
47 折り畳み装置
51a、51b 断裁装置
40 バックアップローラ
52a、52b 搬送ローラ
53a、53b ヒータパネル
54a、54b ヒートローラ
55 スタッカ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上から第一葉片、第二葉片及び第三葉片が折り線を介して断面Z字(S字)状に折り畳まれると共に、各対向葉片が疑似接着媒体を介して剥離可能に疑似接着された通常葉書において、第二葉片と第三葉片を連接する折り線と逆側の開放縁辺に一定の条件を付与すると剥離不能に接着する完全接着剤層を形成すると共に、第二葉片と第三葉片を連接する折り線側の第二葉片又は第三葉片の何れかに開封の端緒が形成されていることを特徴とした通常葉書。
【請求項2】
折り線を介して第一葉片、第二葉片及び第三葉片が横方向に連接された単位シートが、天地方向の切取線を介して縦方向に連接されると共に、第二葉片及び第三葉片の開放縁辺に一定の条件を付与することにより接着する完全接着剤層を形成した長尺状シートを用いた情報通信体の製造方法であり、第一葉片と第二葉片の裏面及び第二葉片と第三葉片の表面に疑似接着媒体を形成する疑似接着媒体形成工程、疑似接着媒体が形成された長尺状シートを断面Z字(S字)状に折り畳む工程、折り畳まれた長尺状シートを単位シート毎に断裁する断裁工程、断裁された単位シートを加圧又は加熱・加圧処理により剥離可能に一体化する一体化工程とからなると共に、前記疑似接着媒体を形成する工程から断裁工程までの間の任意の工程中或いは工程間にマージナル部分を切除する切除工程及び開封手段の形成工程が配置されていることを特徴とした通常葉書の製造方法。
【請求項3】
一体化工程の後に断裁工程が配置されたことを特徴とする請求項2に記載の通常葉書の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2012−158163(P2012−158163A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−33887(P2011−33887)
【出願日】平成23年2月1日(2011.2.1)
【出願人】(000105280)ケイディケイ株式会社 (99)
【Fターム(参考)】