説明

通気方向制御装置及びこれを具備した建物

【課題】必要に応じて、二重ガラス障子等の二重窓障子又は二重壁間の中空層を換気及び空調に利用できる上に、外気を建物内に導入又は建物内の空気を外気に排出でき、しかも、省エネルギ化を実現できるのみならず、非同期的な開閉を行わせることができると共に低価格化を図り得る通気方向制御装置及びこれを具備した建物を提供すること。
【解決手段】通気方向制御装置1は、内部の中空部2と外部3とを連通する開口4〜7を具備した区画部材8と、二個の開口4及び5を開閉できるように区画部材8の中空部2にA1及びA2方向に走行自在に配されている開閉板部材9と、二個の開口6及び7を開閉できるように区画部材8の中空部2にA1及びA2方向に走行自在に配されている開閉板部材10と、A1及びA2方向に連動走行させるように開閉板部材9及び10に連結されている走行手段11とを具備している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物内外及び建物内の通気等を行うに好適な通気方向制御装置及びこれを具備した建物に関する。
【背景技術】
【0002】
最近の建物の窓では、建物壁を二重壁にしたり、ガラス障子を二重にしてその間に中空層(空気層)を設け、この中空層を断熱層として利用して、外気の温度変化に建物内の温度が影響されないようにし、建物内の温度維持のためのエネルギ消費量を少なくすることが試みられているが、中空層は通常密閉されているために、例えば夏場等の昼間には太陽光線の二重壁又は二重ガラス障子への照射で中空層内の空気の温度が著しく上昇して中空層内の空気が外気温以上となり、建物内の冷房に対する負荷が増大しエネルギ消費量の低減を期待する程得られない虞があり、また、最近の高層の建物の窓では、危険防止等のためにそれの開閉ができないようになっているために、外気が適温、適湿にも拘らず建物内に対して冷暖房を含めて空調を行う必要があり、これによるエネルギ消費量は莫大となっており、しかも、斯かる空調は建物内において空気を循環させるために、空気が一旦細菌等で汚染されると、好ましくない事態が生じる場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−185186号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、中空層、下部内側通路、下部外側通路及び下階の中空層に夫々連通する開口を具備したケーシング内に回転自在にフラップを配し、このフラップを回転させて通気方向を制御する特許文献1に記載のような通気方向制御装置が提案されており、斯かる通気方向制御装置によれば、上記の問題を効果的に解決できるのであるが、上記の通り円弧面を有した中空のフラップを回転させるようになっているために、非同期的な開閉を行わせ難い上に、フラップ自体の費用に多くの費用を必要とする。
【0005】
本発明は、前記諸点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、必要に応じて、二重ガラス障子等の二重窓障子又は二重壁間の中空層を換気及び空調に利用できる上に、外気を建物内に導入又は建物内の空気を外気に排出でき、しかも、省エネルギ化を実現できるのみならず、非同期的な開閉を行わせることができると共に低価格化を図り得る通気方向制御装置及びこれを具備した建物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の通気方向制御装置は、内部に中空部を有すると共に内部の中空部と外部とを連通する少なくとも三個の開口を具備した区画部材と、走行により少なくとも三個の開口のうちの少なくとも一個の開口を開閉できるように区画部材の中空部に走行自在に配されている第一の開閉板部材と、走行により少なくとも三個の開口のうちの残余の少なくとも二個の開口を開閉できるように区画部材の中空部に走行自在に配されている第二の開閉板部材と、これら第一及び第二の開閉板部材を連動走行させるように第一及び第二の開閉板部材に連結されている走行手段とを具備している。
【0007】
本発明の通気方向制御装置によれば、三個以上の開口を第一及び第二の開閉板部材の走行により開閉できるようになっているために、例えば、一つの開口を二重窓障子又は二重壁間の中空層に、他の一つの開口を建物内部に、更に他の一つの開口を建物外部、即ち外気に夫々連通させて、一つの開口と他の一つの開口とを開放して、更に他の一つの開口を開閉板部材により閉鎖することにより、中空層と建物内部とを連通させることができ、中空層を換気又は空調の通路とでき、而して、中空層を換気の通路とする場合には、例えば夏場等に中空層の空気が外気温以上になることを防ぐことができて建物内の冷房に対する負荷を減少できる結果、省エネルギ化を実現でき、しかも、中空層を空調の通路とする場合には、例えば冬場等に中空層で暖められた空気を暖房に利用できる結果、これまた省エネルギ化を実現でき、また例えば一つの開口を開閉板部材により閉鎖する一方、他の一つの開口と更に他の一つの開口とを開放することにより、外気を建物内に導入又は建物内の空気を外気に排出できて、新鮮な外気でもって建物内を清浄にできるのみならず、矩形状の開閉板部材を用いることができるために、斯かる開閉板部材を板体から容易に形成できて費用を低減できる。
【0008】
本発明の好ましい例では、走行手段は、駆動力を発生する駆動力発生手段と、可撓性の長尺体と、駆動力発生手段からの駆動力によって可撓性の長尺体を走行させるべく、駆動力発生手段からの駆動力を可撓性の長尺体に伝達する伝達手段と、クラッチ機構と、可撓性の長尺体の走行を案内する長尺体案内手段と、第一及び第二の開閉板部材の走行を案内する開閉板部材走行案内手段とを具備しており、第一の開閉板部材を可撓性の長尺体の走行と同期的に走行させる一方、第二の開閉板部材を可撓性の長尺体の走行と部分的に非同期的に走行させて第一及び第二の開閉板部材を連動走行させるように、可撓性の長尺体を第一の開閉板部材に直結させ、可撓性の長尺体を第二の開閉板部材にクラッチ機構を介して連結させて、第一及び第二の開閉板部材に連結されており、この場合、駆動力発生手段は、電動モータを具備しており、可撓性の長尺体は、一端で第一の開閉板部材に連結されていると共に他端に係合突起を有したチェーンを具備しており、伝達手段は、一方では、電動モータの出力回転軸に連結されている一方、他方では、チェーンの一端及び他端間で当該チェーンに係合したスプロケットホイールを具備しており、長尺体走行案内手段は、チェーンを受容するように区画部材に形成された長尺体走行案内溝を具備しており、開閉板部材走行案内手段は、区画部材に形成された開閉板部材走行案内溝手段と、この開閉板部材走行案内溝手段に受容されて区画部材に係合すると共に第一及び第二の開閉板部材に設けられた係合手段とを具備していてもよく、ここで、開閉板部材走行案内溝手段は、一つの例では、第一の開閉板部材の走行を案内する第一の案内溝と、第二の開閉板部材の走行を案内する第二の案内溝とを具備しており、係合手段は、第一の開閉板部材に設けられていると共に第一の案内溝に受容されて区画部材に係合する第一の係合部材と、第二の開閉板部材に設けられていると共に第二の案内溝に受容されて区画部材に係合する第二の係合部材とを具備している。
【0009】
好ましい例では、クラッチ機構は、第二の開閉板部材に回転自在に設けられていると共にチェーンの他端の係合突起を受容するスリットを有したクラッチ板と、第二の案内溝に連接されていると共に第二の案内溝の伸びる方向に対して交差する方向に延びるクラッチ溝と、クラッチ板に設けられていると共にクラッチ板の回転で第二の案内溝及びクラッチ溝に交代的に受容されるクラッチ係合部材と有しており、クラッチ板は、チェーンの他端の係合突起がスリット外に位置して当該係合突起をスリットが受容しない場合には、クラッチ溝にクラッチ係合部材を受容させるように、第一の回転状態に設定される一方、チェーンの他端の係合突起をスリットが受容する場合には、係合突起の走行による回転モーメントでクラッチ溝から第二の案内溝にクラッチ係合部材を移行させるように、第二の回転状態に設定される。
【0010】
好ましい例では、区画部材は、少なくとも四個の開口を具備しており、第一の開閉板部材は、二個の開口の交代的な開閉を走行手段による走行で行うようになっており、第二の開閉板部材は、残る開口としての二個の開口の同時的な閉鎖と交代的な開閉とを走行手段による第一の開閉板部材の走行との連動で行うようになっており、区画部材の少なくとも四個の開口の夫々は、建物内の部屋に開口して連通している第一の通路と、建物外の外気に開口して連通している第二の通路と、空調機、熱交換器又は送風機に連通している第三の通路と、建物壁の窓に設置される二重窓障子間の空間からなる中空層とに連通されている。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、必要に応じて、二重ガラス障子等の二重窓障子又は二重壁間の中空層を換気及び空調に利用できる上に、外気を建物内に導入又は建物内の空気を外気に排出でき、しかも、省エネルギ化を実現できるのみならず、非同期的な開閉を行わせることができると共に低価格化を図り得る通気方向制御装置及びこれを具備した建物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本発明の実施の形態の好ましい例の断面図である。
【図2】図2は、図1に示す例の区画部材の説明斜視図である。
【図3】図3は、図1に示す開閉板部材の説明斜視図である。
【図4】図4は、図1に示す他の開閉板部材の説明斜視図である。
【図5】図5は、図1に示す例の動作説明図である。
【図6】図6は、図1に示す例の動作説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に本発明及びその実施の形態を、図に示す好ましい例に基づいて更に詳細に説明する。なお、本発明はこれら例に何等限定されないのである。
【0014】
図1から図4において、本例の通気方向制御装置1は、内部に中空部2を有すると共に内部の中空部2と外部3とを連通する少なくとも三個の開口、本例では四個の方形の開口4、5、6及び7を具備した区画部材8と、A1及びA2方向の走行により四個の開口4、5、6及び7のうちの少なくとも一個、本例では二個の開口4及び5を開閉できるように区画部材8の中空部2にA1及びA2方向に走行自在に配されている開閉板部材9と、A1及びA2方向の走行により四個の開口4、5、6及び7のうちの残余の少なくとも二個の開口6及び7を開閉できるように区画部材8の中空部2にA1及びA2方向に走行自在に配されている開閉板部材10と、これら開閉板部材9及び10をA1及びA2方向に連動走行させるように開閉板部材9及び10に連結されている走行手段11とを具備している。
【0015】
区画部材8は、互いに対面した一対の側壁15及び16と、開口4が設けられている前壁17と、前壁17に対面した後壁18と、開口5が設けられた上壁19と、上壁19に対面していると共に開口6及び7が設けられた下壁20と、開口4、5、6及び7の夫々を囲繞して前壁17、上壁19及び下壁20に夫々取付けられたゴム等からなる矩形環状の弾性シール部材21、22、23及び24とを具備している。
【0016】
中空部2に収容されていると共に開口4及び5を開閉するた開閉板部材9は、一方の面の周囲で弾性シール部材21又は22に接触して開口4又は開口5を密閉閉鎖できるように開口4及び開口5よりも一回り大きい矩形の開閉板本体30と、開閉板本体30の他方の面に固着された連結板本体31と、連結板本体31の横方向Bの両端の夫々に一体的に形成された連結部32及び33とを具備しており、連結部32及び33の夫々には貫通孔34が形成されている。
【0017】
中空部2に収容されていると共に開口6及び7を開閉する開閉板部材10は、一方の面の周囲で弾性シール部材23又は24に接触して開口6又は開口7を密閉閉鎖できるように開口6及び開口7よりも一回り大きい矩形の開閉板本体35と、開閉板本体35の横方向Bの両側面に夫々固着された連結板36及び37とを具備しており、連結板36及び37の夫々は、夫々一対の貫通孔38が形成された連結部39及び40の夫々を有している。
【0018】
走行手段11は、開閉板部材9及び10をA1及びA2方向に連動走行させる駆動力を発生する駆動力発生手段としての側壁15に取付けられた電動モータ51と、可撓性の長尺体としてのチェーン52と、電動モータ51からの駆動力によってチェーン52をA1及びA2方向に走行させるべく、電動モータ51からの駆動力をチェーン52に伝達する伝達手段53と、開閉板部材9及び10を部分的に非同期的に移動させるクラッチ機構54と、チェーン52のA1及びA2方向の走行を案内する長尺体案内手段55と、開閉板部材9及び10を開口4、5、6及び7にもたらすべく、開閉板部材9及び10のA1及びA2方向の走行を案内する開閉板部材走行案内手段56とを具備している。
【0019】
電動モータ51を除いて、チェーン52、伝達手段53、クラッチ機構54、長尺体案内手段55及び開閉板部材走行案内手段56は、側壁15及び16側の両方に互いに同様に機能するように同一構成をもって設けられており、以下、側壁15側に設けられたチェーン52、伝達手段53、クラッチ機構54、長尺体案内手段55及び開閉板部材走行案内手段56について主に説明する。
【0020】
チェーン52は、可撓性のチェーン本体61と、チェーン本体61の一端に回転自在に設けられていると共に連結部32の貫通孔34に回転自在に挿入された軸62と、チェーン本体61の他端に回転自在に設けられた軸63とを有しており、チェーン本体61は、一端で軸62を介して開閉板部材9の連結部32に回転自在に連結されている。
【0021】
伝達手段53は、一方では、電動モータ51の出力回転軸に連結されている一方、他方では、チェーン52の一端及び他端間で噛み合い係合しているスプロケットホイール65を具備しており、スプロケットホイール65は、側壁15に回転自在に支持されていると共に電動モータ51の出力回転軸に連結された回転軸66と、回転軸66に固着されていると共にチェーン52の一端及び他端間で噛み合い係合しているスプロケットホイール本体67とを具備しており、スプロケットホイール本体67は、側壁15の内面70に形成された円形溝部71に配されており、側壁16側に設けられたスプロケットホイールにおいて、側壁15側のスプロケットホイール本体67と同様のスプロケットホイール本体は、回転軸66と同様の回転軸でもって側壁16に回転自在に支持されており、斯かる回転軸66と同様の側壁16側の回転軸は、区画部材8の中空部2を側壁15側から側壁16側まで横切って設けられた連結回転軸72を介して連結されており、而して、側壁16側に設けられたスプロケットホイール本体は、側壁15側のスプロケットホイール本体67が回転されると斯かる連結回転軸72を介して同様に回転されるようになっている。
【0022】
クラッチ機構54は、チェーン本体61の他端の軸63に回転自在に設けられた係合突起74と、開閉板部材10の連結部39に軸75を介して当該軸75を中心としてR1及びR2方向に回転自在に設けられていると共に係合突起74を受容するスリット76を有したクラッチ板77と、開閉板部材走行案内手段56の案内溝78に連接されていると共に案内溝78の伸びる方向に対して交差する方向、本例では直交して延びるクラッチ溝79(図5参照)と、クラッチ板77に設けられていると共にクラッチ板77のR1及びR2方向の回転で案内溝78及びクラッチ溝79に交代的に受容されるクラッチ係合部材80を有している。
【0023】
軸75は、クラッチ板77に形成された貫通孔85を貫通して連結部39の貫通孔38に嵌合されており、クラッチ溝79は、案内溝78と共に側壁15の内面70に形成されており、クラッチ係合部材80は、クラッチ板77に形成された貫通孔86に嵌合された軸87と、軸87に回転自在に取付けられていると共にクラッチ板77のR1及びR2方向の回転で案内溝78及びクラッチ溝79に交代的に受容されるローラ88とを具備している。
【0024】
クラッチ板77は、チェーン本体61の他端の係合突起74がスリット76外に位置して当該係合突起74をスリット76が受容しない場合には、図1に示すように、自重による又は図示しないばねによるR2方向の回転モーメントでクラッチ溝79にローラ88を受容させるように、第一の回転状態に設定される一方、チェーン本体61の他端の係合突起74をスリット76が受容する場合には、図5に示すように、自重による又は図示しないばねによるR2方向の回転モーメントに抗する係合突起74のA1方向の走行によるR1方向の回転モーメントでクラッチ溝79から案内溝78にローラ88を移行させるように、第二の回転状態に設定される。
【0025】
走行手段11は、電動モータ51の作動による出力回転軸の回転で、回転軸66を介してスプロケットホイール本体67を回転させ、スプロケットホイール本体67の回転でスプロケットホイール本体67に噛み合ったチェーン本体61をA1及びA2方向に走行させ、チェーン本体61のA1及びA2方向の走行で、軸62を介して開閉板部材9をチェーン本体61のA1及びA2方向の走行と同期的にA1及びA2方向に走行させる一方、係合突起74がスリット76外に位置する場合における電動モータ51の作動でのその出力回転軸の回転によるチェーン本体61のA1の走行で、係合突起74をA1方向に走行させ、係合突起74のA1方向の走行で当該係合突起74をスリット76に受容させ、係合突起74のスリット76への受容でクラッチ板77をR1方向に回転させると共にクラッチ溝79から案内溝78にローラ88を移行させ、クラッチ板77を第二の回転状態に設定し、クラッチ板77の第二の回転状態への設定と係合突起74の更なるA1方向の走行とで係合突起74に係合するクラッチ板77をA1方向に走行させ、クラッチ板77のA1方向の走行で連結板36を介して開閉板部材10をA1方向に走行させ、逆に、係合突起74がスリット76に受容されてクラッチ板77がR1方向に回転されている場合における電動モータ51の作動でのその出力回転軸の回転によるチェーン本体61のA2方向の走行で、係合突起74をA2方向に走行させ、係合突起74のA2方向の走行で係合突起74に係合するクラッチ板77をA2方向に走行させ、クラッチ板77のA2方向の走行で連結板36を介して開閉板部材10をA2方向に走行させ、クラッチ板77のA2方向の走行中での案内溝78からクラッチ溝79へのローラ88の移行でクラッチ板77をR2方向に回転させてクラッチ板77を第一の回転状態に設定し、クラッチ板77の第一の回転状態への設定と係合突起74のA2方向の走行とで係合突起74のスリット76からの抜け出しをもって係合突起74のクラッチ板77への係合を解除し、こうして走行手段11は、開閉板部材10をチェーン52のA1及びA2方向の走行と部分的に非同期的に走行させ、開閉板部材9及び10を連動走行させるように、チェーン52を開閉板部材9には直結させ、開閉板部材10にはクラッチ機構54を介して連結されている。
【0026】
長尺体走行案内手段55は、チェーン本体61を受容するように区画部材8の側壁15の内面70に形成された長尺体走行案内溝91と、軸62に回転自在に装着されたローラ92と、ローラ92と同様に軸63に回転自在に装着された図示しないローラとを具備している。
【0027】
長尺体走行案内溝91は、ローラ92及びチェーン本体61の一部を案内する直線的に延びた案内溝部95と、案内溝部95の一端に連通した円形溝部71と、一端で円形溝部71に連通していると共に軸63に回転自在に装着された図示しないローラ及びチェーン本体61の他の一部を案内する案内溝部96とを有しており、案内溝部96は、一端で円形溝部71に連通していると共に案内溝部95に直交する縦案内溝部97と、一端で縦案内溝部97に連通していると共に円弧状に湾曲した湾曲案内溝部98と、一端で湾曲内溝部98に連通していると共に案内溝部95に対して実質的に平行に伸びた直線案内溝部99とを具備している。
【0028】
長尺体走行案内溝91には、チェーン本体61の撓みが阻止されるようにして、且つ、チェーン本体61、ローラ92及び軸63に回転自在に装着された図示しないローラが抜け出さないようにして、これらチェーン本体61、ローラ92及び軸63に回転自在に装着された図示しないローラの夫々がA1及びA2方向に走行自在に受容されて、長尺体走行案内溝91を規定する区画部材8の側壁15に係合している。
【0029】
開閉板部材走行案内手段56は、区画部材8の側壁15の内面70に形成された開閉板部材走行案内溝手段101と、開閉板部材走行案内溝手段101に受容されて区画部材8の側壁15に係合すると共に開閉板部材9及び10に設けられた係合手段102とを具備している。
【0030】
開閉板部材走行案内溝手段101は、開閉板部材9の走行を案内する案内溝105と、開閉板部材10の走行を案内する案内溝78とを具備しており、案内溝105は、案内溝部95に対して傾斜して伸びた傾斜案内溝部107と、一端で傾斜案内溝部107に連通していると共に円弧状に伸びた円弧案内溝部108とを具備しており、案内溝78は、直線案内溝部99に対して実質的に平行に伸びている。
【0031】
係合手段102は、開閉板部材9に設けられていると共に案内溝105に受容されて区画部材8の側壁15に係合する係合部材111と、開閉板部材10に設けられていると共に案内溝78に受容されて区画部材8の側壁15に係合する係合部材112とを具備している。
【0032】
係合部材111は、連結部33に形成された貫通孔34に嵌合された軸116と、軸116に回転自在に設けられていると共に案内溝105に受容されて案内溝105を規定する区画部材8の側壁15に係合したローラ117とを具備しており、係合部材112は、クラッチ機構54と共用の軸75に回転自在に設けられていると共に案内溝78に受容されて案内溝78を規定する区画部材8の側壁15に係合したローラ118と、貫通孔38に嵌合された軸119と、軸119に回転自在に設けられていると共に案内溝78に受容されて案内溝78を規定する区画部材8の側壁15に係合したローラ120とを具備している。
【0033】
開閉板部材走行案内手段56は、チェーン本体61のA1及びA2方向の走行での開閉板部材9の開口4及び15間での走行をローラ92の案内溝部95に沿う走行とローラ117の案内溝105に沿う走行とで案内するようになっていると共にチェーン本体61のA1及びA2方向の走行での開閉板部材10の開口6及び7間での走行をローラ118及び120の案内溝78に沿う走行で案内するようになっている、
【0034】
以上の通気方向制御装置1は、開口4は、建物外の外気に開口して連通している通路に、開口5は、空調機、熱交換器又は送風機に連通している通路に、開口6は、建物内の部屋に開口して連通している通路に、開口7は、建物壁の窓に設置される二重窓障子間の空間からなる中空層に連通している通路に夫々連通されて建物の窓際の天井又は床に設けて用いられる。
【0035】
通気方向制御装置1において、図1に示すように、開閉板部材9により開口4が閉鎖される一方、開閉板部材10により開口6が閉鎖されていると、中空部2を介して開口5と開口7とが連通されて、二重窓障子間の空間からなる中空層と空調機、熱交換器又は送風機とが連通される結果、二重窓障子間の空間からなる中空層の空気を空調機、熱交換器又は送風機に利用できて、夏場等に中空層の空気が外気温以上になることを防ぐことができて建物内の部屋の冷房に対する負荷を減少できる一方、冬場等に中空層で暖められた空気を暖房に利用できて省エネルギ化を実現でき、また、電動モータ51の作動で開閉板部材9及び10が走行されて、図5に示すように、開口4及び5を開放する開口4及び5間の中間位置に開閉板部材9がもたらされる一方、開口6及び7を同時的に閉鎖する位置に開閉板部材10がもたらされると、建物外の外気と空調機、熱交換器又は送風機とが連通される結果、建物外の外気を空調機、熱交換器又は送風機に利用でき、更に、電動モータ51の作動で開閉板部材9及び10が走行されて、図6に示すように、開口5を閉鎖する位置に開閉板部材9がもたらされる一方、開口6に代えて交代的に開口7を閉鎖する位置に開閉板部材10がもたらされると、建物外の外気と建物内の部屋とが連通される結果、建物外の外気を建物内の部屋に利用又は建物内の部屋の空気を建物外に排気できて、新鮮な外気でもって建物内の部屋を清浄にできるのみならず、矩形状の開閉板部材9及び10を用いることができるために、斯かる開閉板部材9及び10を板体から容易に形成できて費用を低減できる。
【0036】
通気方向制御装置1では、四個の開口4から7を有しているが、本発明は、これに限定されず、三個の開口若しくは五個以上の開口を有していてもよい。
【符号の説明】
【0037】
1 通気方向制御装置
2 中空部
3 外部
4、5、6、7 開口
8 区画部材
9 開閉板部材
10 開閉板部材
11 走行手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に中空部を有すると共に内部の中空部と外部とを連通する少なくとも三個の開口を具備した区画部材と、走行により少なくとも三個の開口のうちの少なくとも一個の開口を開閉できるように区画部材の中空部に走行自在に配されている第一の開閉板部材と、走行により少なくとも三個の開口のうちの残余の少なくとも二個の開口を開閉できるように区画部材の中空部に走行自在に配されている第二の開閉板部材と、これら第一及び第二の開閉板部材を連動走行させるように第一及び第二の開閉板部材に連結されている走行手段とを具備している通気方向制御装置。
【請求項2】
走行手段は、駆動力を発生する駆動力発生手段と、可撓性の長尺体と、駆動力発生手段からの駆動力によって可撓性の長尺体を走行させるべく、駆動力発生手段からの駆動力を可撓性の長尺体に伝達する伝達手段と、クラッチ機構と、可撓性の長尺体の走行を案内する長尺体案内手段と、第一及び第二の開閉板部材の走行を案内する開閉板部材走行案内手段とを具備しており、第一の開閉板部材を可撓性の長尺体の走行と同期的に走行させる一方、第二の開閉板部材を可撓性の長尺体の走行と部分的に非同期的に走行させて第一及び第二の開閉板部材を連動走行させるように、可撓性の長尺体を第一の開閉板部材に直結させ、可撓性の長尺体を第二の開閉板部材にクラッチ機構を介して連結させて、第一及び第二の開閉板部材に連結されている請求項1に記載の通気方向制御装置。
【請求項3】
駆動力発生手段は、電動モータを具備しており、可撓性の長尺体は、一端で第一の開閉板部材に連結されていると共に他端に係合突起を有したチェーンを具備しており、伝達手段は、一方では、電動モータの出力回転軸に連結されている一方、他方では、チェーンの一端及び他端間で当該チェーンに係合したスプロケットホイールを具備しており、長尺体走行案内手段は、チェーンを受容するように区画部材に形成された長尺体走行案内溝を具備しており、開閉板部材走行案内手段は、区画部材に形成された開閉板部材走行案内溝手段と、この開閉板部材走行案内溝手段に受容されて区画部材に係合すると共に第一及び第二の開閉板部材に設けられた係合手段とを具備している請求項2に記載の通気方向制御装置。
【請求項4】
開閉板部材走行案内溝手段は、第一の開閉板部材の走行を案内する第一の案内溝と、第二の開閉板部材の走行を案内する第二の案内溝とを具備しており、係合手段は、第一の開閉板部材に設けられていると共に第一の案内溝に受容されて区画部材に係合する第一の係合部材と、第二の開閉板部材に設けられていると共に第二の案内溝に受容されて区画部材に係合する第二の係合部材とを具備している請求項3に記載の通気方向制御装置。
【請求項5】
クラッチ機構は、第二の開閉板部材に回転自在に設けられていると共にチェーンの他端の係合突起を受容するスリットを有したクラッチ板と、第二の案内溝に連接されていると共に第二の案内溝の伸びる方向に対して交差する方向に延びるクラッチ溝と、クラッチ板に設けられていると共にクラッチ板の回転で第二の案内溝及びクラッチ溝に交代的に受容されるクラッチ係合部材と有しており、クラッチ板は、チェーンの他端の係合突起がスリット外に位置して当該係合突起をスリットが受容しない場合には、クラッチ溝にクラッチ係合部材を受容させるように、第一の回転状態に設定される一方、チェーンの他端の係合突起をスリットが受容する場合には、係合突起の走行による回転モーメントでクラッチ溝から第二の案内溝にクラッチ係合部材を移行させるように、第二の回転状態に設定される請求項3又は4に記載の通気方向制御装置。
【請求項6】
区画部材は、少なくとも四個の開口を具備しており、第一の開閉板部材は、二個の開口の交代的な開閉を走行手段による走行で行うようになっており、第二の開閉板部材は、残る開口としての二個の開口の同時的な閉鎖と交代的な開閉とを走行手段による第一の開閉板部材の走行との連動で行うようになっており、区画部材の少なくとも四個の開口の夫々は、建物内の部屋に開口して連通している第一の通路と、建物外の外気に開口して連通している第二の通路と、空調機、熱交換器又は送風機に連通している第三の通路と、建物壁の窓に設置される二重窓障子間の空間からなる中空層とに連通されている請求項1から5
のいずれか一項に記載の通気方向制御装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の通気方向制御装置を具備した建物。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate