通気機構を備えた衣料品
【課題】衣料品の内側に向かって面積の大きい通気を許し、ジャケットまたはコート状の衣料品の場合は、前側スライドファスナを開く必要なく通気を可能にする通気機構を有する衣料品を提供する。
【解決手段】本発明の衣料品は、主要ファスナ装置と補助ファスナ装置とを有しており、主要ファスナ装置が2つの衣料品部分の互いに向き合う縁部を離着可能に結合するように形成され、かつ互いに離着可能に結合できる2つの主要ファスナ側縁部を有しており、これらが両衣料品縁部のそれぞれ一方と結合されている。両主要ファスナ側縁部の少なくとも一方は、通気材料を介して対応する衣料品縁部と結合されていて、これを通して主要ファスナ装置を閉じた状態でも通気用空気が衣料品の内側に到達できる。補助ファスナ装置は、被覆条片として形成され、被覆条片が閉鎖位置と開放位置との間で主要ファスナ装置に対して相対的に移動可能である。
【解決手段】本発明の衣料品は、主要ファスナ装置と補助ファスナ装置とを有しており、主要ファスナ装置が2つの衣料品部分の互いに向き合う縁部を離着可能に結合するように形成され、かつ互いに離着可能に結合できる2つの主要ファスナ側縁部を有しており、これらが両衣料品縁部のそれぞれ一方と結合されている。両主要ファスナ側縁部の少なくとも一方は、通気材料を介して対応する衣料品縁部と結合されていて、これを通して主要ファスナ装置を閉じた状態でも通気用空気が衣料品の内側に到達できる。補助ファスナ装置は、被覆条片として形成され、被覆条片が閉鎖位置と開放位置との間で主要ファスナ装置に対して相対的に移動可能である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通気機構を備えた衣料品、これに適したスライドファスナ、およびこれに適した衣料品単位体に関する。
ここにおいて衣料品という概念は、身体を覆うすべての物品、特に靴、手袋および帽子類も包含している。
【背景技術】
【0002】
たとえばオートバイ運転者用の衣料品は、高い耐風性、好ましくは防水性も有しており、空気透過性は相応に小さく、衣料品の内側の通気もわずかであるが、これは暖かい日には不快となりえる。
【0003】
US5845336 AおよびUS6263510 B1より公知のオートバイ運転者用のジャケットは、スライドファスナによりさまざまな程度に閉鎖可能な通気口によって形成された通気機構を備えており、これらの通気口を通って通気用空気がジャケットの内側に到達できる。通気口が広く開きすぎたり、小石や昆虫などの異物が進入したりするのを防ぐために、通気口の裏には網状材料が当ててある。この網状材料は、上記公知のジャケットにおいてスライドファスナの内側で当該スライドファスナと平行に延びているので、スライドファスナ平面に対して平行に延びた、開くことのできない第2のスライドファスナ平面を形成している。
【0004】
US5845336 Aの場合、網状材料の側縁部はジャケットの繊維層に固く縫い付けられている。これらの繊維層には、スライドファスナの閉鎖チェーンを支持する当該スライドファスナの側縁テープが固着された繊維条片も縫合されている。US6263510 B1の場合は、網状材料の両側端末はスライドファスナの両側縁テープのそれぞれ一方と結合されている。いずれの場合も、網状材料の幅は大きくされていて、スライドファスナで閉鎖可能なジャケットの開口部は通気のために十分大きく開くことができる。
【0005】
オートバイ用ジャケットの利用者にとって通気の必要があるかないかにより、スライドファスナを開いたり閉じたりしておく。開いた状態では、通気用空気はスライドファスナの後ろに配置された網状材料を貫通してオートバイ用ジャケットの内側に到達できる。
【0006】
通気口を水の進入から守るために、公知の両ジャケットでは通気口は被覆条片(フラップとも呼ぶ)を付けている。被覆条片は、通気口のスライドファスナを被覆している閉じた状態と、通気口のスライドファスナを露出させている開いた状態とにおいて固定できる。
【0007】
スライドファスナが開いている状態でも、両側のスライドファスナは網状材料によって一緒に保持され、したがって、スライドファスナで閉鎖可能なジャケット開口部を完全にオープンにすることはできないので、これら公知の解決においては、ジャケットを着たり脱いだりするために開かなければならないジャケットの前側開口領域に通気機構を設けることはできない。それゆえ上記の両刊行物から知られている通気機構は、ジャケットの補助的な開口部、たとえば胸ポケットや肩の領域にのみ適している。それゆえ、このような通気機構によっては、通気効果が相応に制限された比較的小さい通気口しか実現できない。
【0008】
オートバイの運転中に非常に暑くなって通気の必要が生じ、あるいは、たとえば雨が降り始めたためにオートバイ運転中に通気機構を閉じることが必要になったら、運転しながらスライドファスナを開いたり閉じたりしなければならない。しかも手は比較的厚いオートバイ用手袋を着用している。したがって、運転中にスライドファスナを操作することは非常に厄介であり、相応に時間もかかり、相当長時間注意が散漫になるだけでなく、オートバイを片手で操縦するために危険性もかなり高くなる。
【0009】
オートバイ運転者を雨および/または飛沫から保護し、オートバイ用ジャケットの呼吸活動を保証するために、US5845336 Aに従うオートバイ用ジャケットは防水性かつ水蒸気透過性の機能層が装備されている。
【0010】
EP0405062 B1により、水蒸気透過性の防水機能層が装備されたジャケット状またはコート状の衣料品の前側スライドファスナに、スライドファスナの上に位置する被覆条片、およびスライドファスナと被覆条片との間に配置された中間条片とを設けることが知られている。中間条片は、水が前側スライドファスナに進入するのを防ぐために水密に形成されている。
【0011】
さらに、WO96/24263号により知られている衣料品は、背中領域、肩領域および中央スライドファスナと袖付け根部との間にある脇腹領域に通気領域を有している。各々の通気領域は、通気の必要性に合わせて調節できる開閉エレメントを備えた通気口が設けられている。この開閉エレメントは、通気口をすべて閉じるか、一部だけ閉じるか、全然閉じないように調節できる。この目的のために各々の開閉エレメントは、対応する通気領域を完全に閉じるか、完全または部分的に開くことを可能にする開閉機構、たとえばスライドファスナを備えている。
【0012】
手袋をしてオートバイを運転している最中に、そのような開閉エレメントの開閉機構を操作することは困難であり、したがって問題がある。
【0013】
ドイツのミュンヘンに本社のあるBMWが「BMWキャニオン」という名称で提供しているオートバイ運転者用ジャケットは、正面領域にジャケットを開閉するための内側のスライドファスナと、2つの被覆条片部分を閉じるための外側スライドファスナとを有している。内側のスライドファスナは2つの革製ジャケット正面部分と結合されている。両被覆条片部分は、それぞれ閉じた革からなる外側層と、通気口を供えた内側層とを包含しており、内側層は外側層と固定せずに結合されている。被覆条片の、外側スライドファスナから離れている側縁部は、空気透過性の継目によりジャケットの表層材料と結合されており、被覆条片が開いている状態では通気穴を通って内側層と外側層との間に達した空気がジャケットの内側に到達できる。
【0014】
このジャケットでも、通気および非通気に調節するために、スライドファスナを開いたり、閉じたりしなければならないが、これは既述したように手袋を装着した手では困難である。さらに、通気のために被覆条片を開いていると、比較的高速時に発生する風圧によって、通気口を付けた内側層が被覆条片の外側層に押し付けられて、通気が機能しなくなるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】米国特許第5845336号明細書
【特許文献2】米国特許第6263510号明細書
【特許文献3】欧州特許第0405062号明細書
【特許文献4】国際公開第96/24263号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明の基礎をなす課題は、衣料品の内側に向かって面積の大きい通気を許し、ジャケットまたはコート状の衣料品の場合は、前部ファスナの領域でも前側スライドファスナを開く必要なく通気を可能にする通気機構を有する衣料品を提供することである。
【0017】
さらに、通気機構を作動させるためにスライドファスナのスライダを操作する必要がないものとする。これは、オートバイ運転者がオートバイを運転している間にオートバイ用ジャケットの通気機構を通気状態にしたいと思った場合のように、分厚い手袋をした状態では実行するのが非常に困難である。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記の課題は、特許請求項1に従う衣料品、特許請求項38に従うスライドファスナ、および特許請求項42に従う衣料品単位体によって解決される。本発明の実施形態が従属請求項に記載されている。
【発明の効果】
【0019】
本発明による衣料品においては、上に挙げた両US特許明細書におけるように、通気材料が主要ファスナ装置の前または後ろに当該主要ファスナと平行に配置されておらず、主要ファスナの側方延長部に、すなわち主要ファスナ装置の側方に接続しているので、本発明による通気機構は、一方では主要ファスナ装置を任意に大きく開くのを妨げず、他方では主要ファスナ装置を閉じた状態でも通気が可能である。
【0020】
それゆえ、本発明による通気機構は、ジャケット状またはコート状の衣料品の正面ファスナまたは前部ファスナの領域にも配置できる。公知の両通気機構とは異なり、本発明による通気機構は、主要ファスナ装置の開口幅を制限せず、したがってスライドファスナの開放も妨げないが、これはジャケット状またはコート状の衣料品を着たり脱いだりするために欠かせない。また、本発明による通気機構を通した通気は、主要ファスナ装置を部分的または完全に開くことを必要とする。
【0021】
たとえばジャケット状の衣料品の前部ファスナによって、上記のUS特許明細書に従うジャケットのポケット状の通気口を通すよりも、はるかに高い通気効果が達成される。
【0022】
本発明に従う場合において、通気材料は、通気位置に配置されているときは通気用空気が自由に貫流でき、上記のBMWジャケットにおけるように空気を通さない層が裏に設けられていないので、走行速度が高く空気圧も相応に高い場合でも効果的な通気が支障なく可能である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明による衣料品の実施形態を示す。
【図2】図1の切断線II−IIに沿って断面した、閉じた状態における閉鎖領域と通気領域の縮尺通りではない概略的な断面図である。
【図2a】図2に示した構造用の種々の開閉エレメントを示す。
【図2b】図2に示した構造用の種々の開閉エレメントを示す。
【図2c】図2に示した構造用の種々の開閉エレメントを示す。
【図3】図1の切断線III−IIIに沿って断面した、図2に示す衣料品の閉鎖部と通気部の縮尺通りの概略的な断面図である。
【図4a】本発明による通気材料と組み合わせた慣用的なスライドファスナを示す。
【図4b】本発明に従い通気材料で作製されたスライドファスナを示す。
【図5】表層材料とこの表層材料内に固着せずに掛着した機能層とを有する衣料品の、図2に示した構成の詳細図である。
【図6】表層材料と機能層とを互いに結合して積層体にした、図2に示した構成の詳細図である。
【図7】衣料品が表層材料と、表層材料から分離した機能ライナとを有する、図2に示した構成の詳細図である。
【図8】図2に類似した断面図であるが、被覆条片と中間条片とがジャケット内側に向いたスライドファスナ内側上にあるようにした本発明の実施形態を示している。
【図9】図2に類似した断面図であるが、絞り条片として形成された通気絞り機構を有する本発明の実施形態を示している。
【図10】図1に類似した衣料品であるが、互いに独立に閉鎖位置または開放位置にもたらすことができ閉鎖位置ではそれぞれ通気材料の部分領域のみ覆う2つの被覆条片部分を有する被覆条片として形成された通気絞り機構を有している。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明による通気機構の通気材料は、主要ファスナ装置の両側に配置するか、または主要ファスナ装置の片側だけに配置することができる。このことは、スライドファスナの両側縁テープの少なくとも一方かまたは両スライドテープが通気材料で作られて通気可能に形成されていることにより、通気材料がスライドファスナ内に組み込まれている場合でも当てはまる。
【0025】
本発明は、主要ファスナ装置と補助ファスナ装置とを有する衣料品を提供するものであり、主要ファスナ装置は、衣料品材料で作製された2つの衣料品部分の互いに向き合う縁部を離着可能に結合するように形成され、互いに離着可能に結合できる2つの主要ファスナ側縁部を備えており、当該主要ファスナ側縁部が両衣料品縁部のそれぞれ一方と結合されており、しかも両主要ファスナ側縁部の少なくとも一方が、通気機構を形成する通気材料を介して対応する衣料品縁部と結合されていて、当該通気材料を通して主要ファスナ装置を閉じた状態でも、通気用空気が衣料品の内側に到達できるようになっており、さらに補助ファスナ装置が被覆条片として形成されていて、被覆条片が少なくとも通気材料を覆う閉鎖位置と、被覆条片が通気材料を露出させる開放位置との間で、主要ファスナ装置に対して相対的に移動可能であるようにした。
【0026】
したがって通気機構を通気可能状態に入れるために、最初に主要ファスナ装置を開かねばならないということがない。主要ファスナ装置がスライドファスナである蓋然性は最も高いが、通気機構を働かせるためにスライドファスナを操作する必要はない。これは特に厚いオートバイ用手袋を着用していると困難である。
【0027】
主要ファスナ装置にスライドファスナを使用する場合、本発明の第1の側面に従い、好ましくは繊維側縁テープを備えた、慣用的なスライドファスナを使用できる。これらの側縁テープは閉鎖チェーンと結合されていない長手方向側で、通気材料帯の第1の長手方向側とそれぞれ結合しており、通気材料帯の第2の長手方向側は衣料品の表層材料と結合している。この場合、側縁テープが通気材料帯と、できるだけ同じ色をしたスライドファスナを使うようにすることが好ましい。
【0028】
本発明の第2の側面に従い、側縁テープ自体が通気材料によって作製されたスライドファスナを使用すれば、色の適合の問題はなくなる。このようなスライドファスナでは、スライドテープの幅が慣用的なスライドファスナより広いと、スライドファスナの通気側縁テープが慣用的なスライドファスナの側縁テープよりも広くない場合よりも、大きい通気面積を提供できるので好都合である。そのような本発明によるスライドファスナを用いることにより、一方では色の適合の問題が回避され、他方では衣料品を製造する際の作業コストが低減される。なぜならば、継目、すなわち慣用的なスライドファスナを使用した場合にその側縁テープと両通気材料帯との間に作製しなければならない継目がなくなるからである。
【0029】
本発明の実施形態において、スライドファスナは、側縁テープは横断方向で異なる材料厚を有している。スライドファスナの閉鎖チェーンが固着されている側縁テープの領域では、閉鎖チェーンエレメント材料厚は大きい。他方、側縁テープの残りの領域では、より大きい通気効果を達成するために材料厚は小さく、多孔性は大きい。側縁テープを衣料品の表層材料と縫合しやすくするために、側縁テープの両縁部で材料厚をより大きくし、その間にある中央領域では材料厚を小さくすることも可能である。
【0030】
スライドファスナ自体の側縁テープを通気材料で作製すること、あるいは慣用的なスライドファスナの側縁テープを別個の通気材料帯と結合することは、互いに排除しあう選択肢ではない。たとえばスライドファスナの側縁テープと別個の通気材料帯に対して、それぞれ異なる色を選択することによって特別の色のアクセントを置くために、通気性のある側縁テープを備えた本発明によるスライドファスナを、別個の通気材料帯と組み合わせることも可能である。
【0031】
本発明の第3の側面に従い、本発明による通気機構は、主要ファスナ装置、および補助
ファスナ装置を形成する被覆条片を一緒に衣料品単位体にまとめ、構成単位体として衣料
品メーカーに供給できる。
【0032】
本発明による通気機構は、スライドファスナとして形成された主要ファスナ装置に適しているだけでなく、他の主要ファスナ装置、たとえば面ファスナや磁石ファスナにも適している。
【0033】
本発明による衣料品の通気機構を備えたファスナ装置とは、たとえばジャケット状またはコート状の衣料品の前部ファスナであってよく、また他のファスナ、たとえば衣料品の内側に貫通する穴を離着可能に閉じるためのファスナや、衣料品のポケット開口部を離着可能に閉じるためのファスナであってもよい。しかし、また主要ファスナ装置は、互いに突き当てることができる2つの衣料品部分、たとえばズボンの脚部や袖部などを離着可能に結合するための装置であってもよく、それによって半ズボンを長ズボン、ショートスリーブをロングスリーブにしたり、ズボンやスリーブの継目区分を開放可能なファスナ装置によって一緒に保持したりできる。
【0034】
本発明による通気機構は、オートバイ運転者用の衣服だけでなく、自転車運転者やスキーヤー用の衣料品としても、あるいは職業上の防護服にも適している。
【0035】
それがオートバイ運転者用の衣服にとって特に有利なのは、オートバイ運転者用の衣服は、安全上の理由から、また高い走行速度で十分な風防を提供するためにほぼ空気を通さず、したがって、特に暑い日や低速で運転する際には、衣料品の内側に冷却空気を供給することが必要となる。
【0036】
特にオートバイ運転者用衣服として使用する場合は、衣料品の防水性も重要な観点である。それゆえ現今では、オートバイ運転者用衣服は防水性が付与されている。それは防水性の表層材料を使用するか、または水および空気を通す表層材料の内側に防水機能層を配することによって行う。防水機能層は、衣料品の呼吸能力を維持して、発汗による湿気を衣料品の外側に排出できるように水蒸気透過性であることが好ましい。
【0037】
そのような機能層を装備された衣料品において、通気機構を衣料品の前部ファスナの領域に配置すると、別の利点が得られる。通気機構を衣料品の前部ファスナの外部、たとえば、上記のUS特許明細書に従うジャケットにおけるように、胸または肩の領域にポケット状に配置すると、この箇所で機能層を中断しなければならない。なぜならば、さもないと気密な機能層は通気遮断部として働くだろうからである。機能層は通気開口部の領域、特に通気機構との関連で必要な通気機構周囲の継目の領域でシールされなければならないので、これは多大なコストを必要とする。これに対して本発明は、通気機構を、ジャケット状の衣料品の前部ファスナの領域、つまりもともと機能層を中断しなければならない領域に配置することを可能にする。
【0038】
たとえば、温度が低いとか、風が強いときなど、本発明による通気が必要とされないか、または望まれない時間は通気を停止するために、被覆条片が設けられている。この被覆条片は、閉じた状態では通気機構を被覆し、通気が望ましい場合は開いた状態にして、通気機構を露出させることができる。防水衣料品の場合は、被覆条片も水密に形成して、閉じた状態で冷却空気や水が衣料品の内側に進入するのを防ぐことが好ましい。防水で水蒸気透過性でもある機能層を付けた衣料品の場合は、被覆条片も空気を通す防水表層材料が装備され、水蒸気透過性の防水機能層を設けると、被覆条片の領域で衣料品の呼吸能力を阻止しないために好都合である。
【0039】
水が通気機構に進入するのを特に効果的に防止するために、本発明の実施形態では、主要ファスナ装置と被覆条片との間にさらに中間条片が配置されており、閉じた状態で通気機構を覆うようになっている。被覆条片と中間条片は、好ましくは主要ファスナ装置の異なる側で表層材料に固着されており、中間条片の固定されていない端部がそれ自身を中心にして外側に折り返されていて、水や風に対して捕捉迷路を生み出していることが好都合である。これらの方策は、オートバイ運転者用衣服において、水が走行風によって通気機構に推進されるのを防ぐために特に有利である。
【0040】
被覆条片および場合によっては中間条片も、それらの閉鎖位置に保持するために、被覆条片と衣料品の表層材料、もしくは中間条片を用いる場合は被覆条片と中間条片に、離着可能で互いに補完的な開閉エレメントが装備されており、被覆条片を閉じた状態で保持できるようになっている。特に好ましいのは、被覆条片および場合によっては中間条片にも離着可能な固定エレメントを設けて、これらを開いた状態で離着可能に固定できるようにすることである。それによって通気の必要があるときに、被覆条片および場合によっては中間条片が意図せずに閉じることによって通気機構が遮断されるようなことはない。
【0041】
被覆条片および場合によっては中間条片も、主要ファスナ装置のそれぞれ一方の長手方向端部に固定して、そこから主要ファスナ装置の上に折り返すか、またはそこから離れる方向に折り返すことができる。たいていの場合に好適なのは、被覆条片および場合によっては中間条片も主要ファスナ装置の長手方向側の横に固着して、主要ファスナ装置のそれぞれの長手方向側から主要ファスナ装置と通気機構の上に折り返し、また通気機構から離れる方向に折り返せるようにすることである。
【0042】
好ましくは、水蒸気を通す防水機能層を使用する場合は特別の方策を講じて、被覆条片もしくは中間条片の個々の構成要素を互いに固着したり、被覆条片もしくは中間条片を衣料品の表層材料に固着したりする継目を水密にし、そのような継目を通って水が進入するのを防がなければならない。この目的のために、そのような継目は、たとえば継目シーリングテープで水密にするか、または防水接着剤継目として形成する。
【0043】
本発明の実施形態において、通気機構に付加的な構成要素、たとえばポケット、主要ファスナ装置および/または光を反射する機構が設けられ、通気材料の中またはその脇に配置されている。
【0044】
本発明による通気機構と被覆条片とを備え、場合によっては中間条片も有する衣料品において、当該衣料品の利用者、たとえばオートバイ運転者は、通気機構を開閉するために、単に被覆条片、場合によっては中間条片も折り返して、開いた状態から閉じた状態に、またはその逆にするだけで、通気または非通気の状態を作り出せる。これは、厚い手袋を装着した手でも、極めて短い時間で全く問題なく可能なので、そのような操作はオートバイの運転中でも難なく行うことができる。これは開閉エレメントが磁石エレメントの場合に特に該当し、通気機構の開閉は、オートバイ運転者が被覆条片および場合によっては中間条片を、手袋を装着した手でこするだけで行うことができる。
【0045】
本発明の実施形態において、通気機構は、通気材料に加えて通気絞り機構を有しており、非通気と最大通気の2つの可能性のほかに、その中間にあって通気を絞った通気段階を選択できるようになっている。絞り位置では、通気絞り機構は通気材料に対して平行に、通気材料を少なくとも部分的に覆うように配置されていて、ジャケット内側に達した通気用空気の量を減らす。絞り解除位置では、通気絞り機構は通気材料を露出させて、通気絞りを働かせない。
【0046】
別の実施形態では、通気絞り機構は、被覆条片および/または中間条片が少なくとも2つの条片部分に区分されていて、互いに独立に開放位置または閉鎖位置に移動できるようになっている。この場合、通気性能は、幾つの条片部分が開放位置にあるかによって決まる。
【0047】
別の実施形態では、通気絞り機構は、通気材料と被覆条片もしくは(設けられている場合は)中間条片との間に絞り条片が配置されていることによって形成される。この絞り条片は、通気材料の少なくとも一部を覆う閉鎖位置と、通気材料を露出させる開放位置とに移動可能である。絞り条片は、通気材料の空気透過率よりも小さい空気透過率を有する通気絞り材料によって作製されている。通気絞り機構の2つの変化例を互いに組み合わせることもできる。この場合、絞られた通気はさらに細かく段階分けされる。
【0048】
水蒸気透過性の防水機能層に適した材料は、たとえば、刊行物US−A−4,725,418およびUS−A−4,493,870に記載されているように、特にポリウレタン、ポリプロピレンおよびポリエステルであり、ポリエーテルエステルとその積層体を含む。特に優先されるのは、US−A−3,953,566およびUS−A−4,187,390に記載されているように、延伸した微多孔性ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)、および、親水性含浸剤および/または親水層を施した延伸ポリテトラフルオロエチレンである。これについてはUS−A−4,194,041参照。微多孔性機能層とは平均孔径が約0.2mと約0.3mの間にある機能層を意味する。
【0049】
孔径は、アメリカ合衆国フロリダ州ハイアレアスのコールター・エレクトロニクス社が製造しているコールター・ポロメータ(商標名)で測定できる。
【0050】
「防水」とは、面状形成物、たとえば機能層または撥水性表層材料(場合によっては防水継目も含む)が、水の浸透圧1×104Paに耐えられることをいう。機能層材料が水の浸透圧1×105Pa以上に耐えられると好都合である。水の浸透圧は温度20±2℃の蒸留水を100cm2の機能層試験片に圧力を上げながら加える試験法で測定できる。水の昇圧は1分当たり60±3cmWsとする。この場合、水の浸透圧は最初に水が試験片の反対側に現れたときの圧力に相当する。詳細なやり方は1981年のISO規格0811に記載されている。
【0051】
「水蒸気透過性」とは、面状形成物、たとえば機能層の水蒸気透過係数Retが150m2×Pa×W−1以下であることをいう。水蒸気透過係数はホーエンシュタインの皮膚モデルによって試験する。この試験法は、DIN EN31092(02/94)もしくはISO 11092(1993)に記載されている。
【0052】
面状形成物の空気透過率は欧州規格EN ISO9237(1955)に規定され、リットル/m2/sで表される。本発明による通気機構の通気材料の最小空気透過率は約30リットル/m2/sから40リットル/m2/sである。本発明の実用的な実施形態において、通気材料の空気透過率は約100リットル/m2/sから1000リットル/m2/sの範囲またはそれ以上である。通気絞り材料の最小空気透過率は約30リットル/m2/sから40リットル/m2/sであるが、これより著しく高くてもよく、たとえば100リットル/m2/sから400リットル/m2/sの範囲またはそれ以上に達することもある。
【実施例】
【0053】
本発明との関連において、通気性材料とは、本発明による通気機構を備えない衣料品において通常用いられている材料よりも空気透過率の高い材料を意味する。これについて次の例を掲げる。
【0054】
1.TITEX社の撥水性スライドファスナTIZIP
空気透過率<5.0リットル/m2/s
空気透過性は実用的に存在しない。
【0055】
2.EP0581186 B1の図1に示された防水二重被覆条片との関連で用いられる通常のスライドファスナ。スライドファスナと被覆条片との間にePTFE機能層と織物とからなる2層積層体を備える。
空気透過率<15.0リットル/m2/s
空気透過性がほとんどない衣料品正面構造である。
【0056】
3.スライドファスナによって閉じられた防水二重被覆条片を有する通常のスライドファスナ。防水二重被覆条片は、スライドファスナの左右にそれぞれ1つの被覆条片を有しており、いずれもePTFE能層を備えた2層積層体によって構成されている(例2と同様)。
空気透過率2.3リットル/m2/s
空気透過性は実用的に存在しない。
【0057】
4.レコナ社の通気材料コーデュラAFT。ポリアミド66からなる鎖編み。
空気透過率>765.0リットル/m2/s
空気透過性は非常に高い。
【0058】
5.絞り条片材料:シーフィールド社の300dtexコーデュラ・バスケット織。
空気透過率41.2リットル/m2/s
4.の通気材料に比べると空気透過性は小さいが、なおも感じられる。
【0059】
6.図3に示した本発明による通気構造。被覆条片31と中間条片49はそれぞれ開放位置にある。
空気透過率543.0リットル/m2/s
慣用的なスライドファスナを使用するため空気透過性は4.で用いる通気材料より小さいが、それでも比較的高い空気透過性を有する。
【0060】
7.図2に示した本発明による通気構造。被覆条片31と中間条片49はそれぞれ閉鎖位置にある。
空気透過率3.4リットル/m2/s
空気透過性は実用的に存在しない。
【0061】
以下に、本発明を実施形態に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明による衣料品の実施形態を示す。
図2は、図1の切断線II−IIに沿って断面した、閉じた状態における閉鎖領域と通気領域の縮尺通りではない概略的な断面図である。
図2aから図2cは、図2に示した構造用の種々の開閉エレメントを示す。
【0062】
図3は、図1の切断線III−IIIに沿って断面した、図2に示す衣料品の閉鎖部と通気部の縮尺通りの概略的な断面図である。
図4aは、本発明による通気材料と組み合わせた慣用的なスライドファスナを示す。
図4bは、本発明に従い通気材料で作製されたスライドファスナを示す。
【0063】
図5は、表層材料とこの表層材料内に固着せずに掛着した機能層とを有する衣料品の、図2に示した構成の詳細図である。
図6は、表層材料と機能層とを互いに結合して積層体にした、図2に示した構成の詳細図である。
【0064】
図7は、衣料品が表層材料と、表層材料から分離した機能ライナとを有する、図2に示した構成の詳細図である。
図8は、図2に類似した断面図であるが、被覆条片と中間条片とがジャケット内側に向いたスライドファスナ内側上にあるようにした本発明の実施形態を示している。
【0065】
図9は、図2に類似した断面図であるが、絞り条片として形成された通気絞り機構を有する本発明の実施形態を示している。
図10は、図1に類似した衣料品であるが、互いに独立に閉鎖位置または開放位置にもたらすことができ閉鎖位置ではそれぞれ通気材料の部分領域のみ覆う2つの被覆条片部分を有する被覆条片として形成された通気絞り機構を有している。
【0066】
図1に例として示した衣料品は、スライドファスナ13として形成された主要ファスナ装置と、被覆条片31として形成された補助ファスナ装置とからなる、前部ファスナを有するジャケット11である。図4aで見やすく示されているように、スライドファスナ13は、2つの繊維側縁テープ15および17を含んでおり、これらの繊維側縁テープには、互いに向き合う長手方向縁部に、歯、螺旋体、掛け金または溝として形成された1組の開閉エレメント19を有するそれぞれ1つの閉鎖チェーンが固着されている。図1のみに示されているスライダ21を滑らせることによって、閉鎖チェーンは閉じるために互いにかみ合い、開くためにかみ合いが外れる。
【0067】
スライドファスナ13の側縁テープ15および17は、スライドファスナ13で閉じようとする両ジャケット部分23もしくは25に直接固着されているのではなく、それぞれ通気材料からなる各々1つの通気帯27もしくは29を介して固着されている。通気材料とは、好ましくは繊維材料であり、特に織物、メリヤス、ニット、フェルト、メッシュまたはネットであり、比較的高い空気透過性を有するように作製されている。この場合、最小空気透過率は約30リットル/m2/sから40リットル/m2/sであるが、実用的な実施形態においてはこれよりはるかに高くてもよく、通気材料の空気透過率は、約100リットル/m2/sから1000リットル/m2/sの範囲またはそれ以上のこともある。本発明の実施形態では、通気材料として、編成されたメッシュ構造を有する繊維面状形成物を使用する。これはレコナ社の商標コーデュラAFTで入手でき、空気透過率765リットル/m2/s以上である。
【0068】
図4bは、スライドファスナそれ自体の側縁テープ15aおよび17aが通気材料からなる本発明の実施形態を示している。側縁テープ15aおよび17aの幅は、十分な通気面積を提供するために、慣用的なスライドファスナの側縁テープ15および17の幅よりも大きいことが好都合である。このスライドファスナ13の側縁テープ15aおよび17aにも上記の材料コーデュラAFTが適している。
【0069】
図1の下部に切断線II−IIの領域に示されているように、通気帯27および29を通した通気が所望されない場合は、スライドファスナ13と通気帯27および29を被覆条片31で覆うことができる。
【0070】
図2は、図1に示した切断線II−IIに沿って切断したジャケット11の前部の一部の横断面を縮尺通りではなく概略的に示している。ここでは、側縁テープ15および17と、これらに取り付けて互いにかみ合っている開閉エレメント19を有するスライドファスナ13、さらに側縁テープ15および17の両側に通気機構の通気帯27および29が見られる。スライドファスナ13の側縁テープ15、17および通気機構の通気帯27および29は、それぞれ1つの重ね継目33もしくは35により互いに隣接する長手方向縁部に縫合されている。通気帯27および29の、スライドファスナ13から離れた長手方向縁部は、継目37もしくは39によって図2で左側の衣服縁部41もしくは右側の衣服縁部43に固着されている。
【0071】
図面を節約するために、図2の右側と左側にそれぞれ使用する材料層が異なる実施形態を示した。しかしこれは、スライドファスナ13の両側で構造の異なるジャケットを製造するという意味ではない。図2の右側はいわゆるLTDライナ構造の実施形態を示している。LTDとはライナ・ツー・ドロップを表している。これは水蒸気透過性の防水衣料品のための構造であり、表層材料45とこれと分離した機能ライナ47が使用されている。機能ライナ47は、水蒸気透過性の防水機能層とライナ層とを有する積層体からなる。表層材料45は機能層を有することができるが、有しなくてもよい。
【0072】
LTDライナ構造で有利なのは、追加ライナを省けるためにジャケットを軽量化できる点と、表層材料側の形成に関して表層材料も機能層も有する積層体を使用する場合よりも自由度が大きい点である。LTDライナ構造において別個の表層材料45を使用すると、機能層に対して守らなければならない条件や機能層の機能にとって障害となる条件に関わりなく、表層材料にポケットを縫製したり、刺繍を施したりできる。表層材料と機能層とを含んだ積層体を使用すると、ポケットや刺繍のすべての縫目を継目シールテープでシールしなければならないが、LTDライナ構造では、機能ライナ47にそのような縫目はないため、シールする必要がない。
【0073】
図2の左側はLTDライナ構造ではなく、表層材料と機能層とを備えた積層体46と、機能層を有しないライナ48とからなる構造を示している。
【0074】
図2に示した実施形態では、スライドファスナ13と通気帯27および29の領域に、上述した被覆条片31のほかに、被覆条片31とスライドファスナ13との間に中間条片49が設けられている。この実施形態では、被覆条片31と中間条片49とが、ジャケットの着用者の体から見てスライドファスナの外側にある。しかし以下に図8に基づいて詳しく説明するように、両条片31および49は、スライドファスナ13の内側に配置することもできる。
【0075】
図2の実施形態では、被覆条片31は、図2で見てスライドファスナ13および右側通気帯29の右方にある固定された被覆条片側と、図2で見てスライドファスナ13の左方にある固定されていない被覆条片側53とを有している。中間条片49は、図2で見てスライドファスナ13および左通気帯27の左方にある固定された中間条片側55と、固定されていない被覆条片側57とを有している。固定されていない被覆条片側57は、中間条片49を広げて伸ばせばスライドファスナ13の右側に位置するであろうが、ここでは固定されていない端部が上に向かって折り戻されているためにスライドファスナ13の上方にある。これにより、被覆条片31と中間条片49との間に侵入した水を捕捉する包囲溝59が生じる。
【0076】
被覆条片31は、スライドファスナ13から見て外側に位置する被覆条片外側部分61と、その内側にある被覆条片内側部分63とを有している。中間条片49は、その外側に中間条片外側部分65、その内側に中間条片内側部分67を有している。被覆条片外側部分61と中間条片外側部分65は、ジャケット11の表層材料45からなるが、被覆条片内側部分63と中間条片内側部分67は、機能ライナ67の材料か、または機能層を有する別の材料からなる。被覆条片外側部分61と被覆条片内側部分63は、固定されていない被覆条片側53でダブルシーム69によって互いに結合されている。中間条片外側部分65と中間条片内側部分67は、固定されていない中間条片側57でダブルシーム71によって互いに固着されている。
【0077】
図2で、被覆条片外側部分61および被覆条片内側部分63の右側は、ダブルシーム73もしくはダブルシーム75によって、表層材料45もしくは機能ライナ47の対応する縁部に固着されている。図2で、中間条片外側部分65および中間条片内側部分67の左側端部は、ダブルシーム77もしくはシングルシーム79によって、表層材料・機能層積層体46もしくはライナ48の対応する縁部に固着されている。
【0078】
固定された被覆条片側51の領域では、被覆条片外側部分61の内側に被覆条片側の条片中間部81が配置されており、この条片中間部81の図2で、右側はダブルシーム73によって被覆条片外側部分61と表層材料45の対応する縁部に結合され、図2で、左側の近傍では接着剤継目83によって被覆条片内側部分63と水密に結合されている。被覆条片側の条片中間部81は、防水機能層を有している。それゆえ、図2で接着剤継目83の左側で被覆条片外側部分61の材料を貫通して進入した水は、接着剤継目の83の右側に、したがって継目39,73および75には到達できない。ダブルシーム75は、被覆条片内側部分63および機能ライナ47の外側で継目シールテープ85によって水密にシールされているので、ダブルシーム73および/またはその右側に存在する表層材料45を貫通した水は、継目39および75に到達できず、したがってジャケット11の内側に進入できない。
【0079】
中間条片外側部分65は、固定された中間条片側55の領域でその内側に中間条片側の条片中間部87を備えている。条片中間部87は、図2で見て、左側でダブルシーム77により、中間条片外側部分65にも表層材料・機能層積層体46の対応する縁部にも結合され、図2で、右側の近傍では防水接着剤継目89によって中間条片内側部分67の外側と水密に結合されている。ダブルシーム77は、内側で継目シールテープ91によってシールされている。
【0080】
図2で、左側の接着剤継目89は、中間条片外側部分65を通って進入した水が継目37および79に進出するのを防ぐ。図2で、左側の継目シールテープ91は、水がダブルシーム77を通ってジャケットの内側に進出するのを防ぐ。
接着剤継目83および/または接着剤継目89の代わりに、別の方法で水密にした継目、たとえば継目シールテープでシールした縫目を設けることもできる。
【0081】
図2に破線で示した円IIa内には、2つの協働する開閉エレメント、すなわち被覆条片31の内側に配置された開閉エレメント93と、中間条片49の外側に配置された開閉エレメント95が略示されている。この方策により、通気機構が働くべきでないときは、被覆条片31は閉じた状態で中間条片49に離着可能に固定できる。図2aから図2cには、開閉エレメント93および95の代替例が示されている。図2aに示した実施形態では、開閉エレメントに極性が異なる永久磁石プレートが使用され、図2bの実施の形態では面ファスナ、図2cに示す実施形態では1組のスナップが用いられている。
【0082】
実用的な例では、図2に明瞭に見られるように、一方では被覆条片31と中間条片49との間、他方では中間条片49とスライドファスナ13と通気帯27,29との間に間隔がない。特にオートバイの運転中やスキー滑降中に、被覆条片31と中間条片49は走行風によってスライドファスナ13と通気帯27および29に密に押し付けられるので、風や水がスライドファスナ13および通気帯27,29まで進入する可能性は、図2の表現から推測されるよりはるかに小さい。上述したように、包囲溝59に基づき、水が通気帯27,29に進入する蓋然性はもともと極めて小さい。
【0083】
図3は、図1の切断線III−IIIに沿って断面した図2に従う構造を開いた状態で示している。ここでは被覆条片31も中間条片49も、通気用空気が通気帯27および29に自由に到達できるほど大きく開いている。実用においては、被覆条片31と中間条片49はさらに大きく、表層材料45のそれぞれ隣接する領域に載るまで折り返すことができ、そこで走行風か、(図示されていない)別のファスナまたは固定エレメントによって固持される。
【0084】
したがって、通気機構を働かせるために、上で検討した従来技術におけるように、スライドファスナ13を開く必要がなく、被覆条片31と中間条片49を、図2に示した位置から図3に示した位置またはさらに大きく開いた位置にもたらすだけでよい。これは単純な手の動きで可能であり、手に厚い手袋を装着していてもできる。
【0085】
図5から図7に基づき、さらにジャケット11の材料層の設計構造の点で種々異なる実施形態を検討する。ここでは、被覆条片31を閉じた状態で、図2の右側の部分に対応する構造部分のみ示されている。
【0086】
図5は、いわゆるZライナ構造を示しており、ジャケットは、表層材料と、これと分離して表層材料に固着せずに掛着された機能層97とを有している。機能層97は、外周領域のみで表層材料45とダブルシーム99によって縫合されている。この構造では、被覆条片外側部分61は外側に、好ましくはジャケットの表層材料45と同じ材料からなる表層材料を有し、内側に機能層101を有している。この場合、被覆条片外側部分61の表層材料45と機能層101を結合して積層体にしても良い。被覆条片内側部分63も同様に機能層を備えて構成されている。この機能層は継目39により通気帯29の右側と結合され、接着剤継目83により被覆条片外側部分61の機能層101と結合されている。表装材料45および被覆条片外側部分61の機能層101をジャケットの表装材料45および機能層97の対応する縁部と結合しているダブルシーム99は、継目シールテープ103によってシールされている。接着剤継目83の左側に進入した水は、接着剤継目83により継目39まで、したがってジャケットの内側まで進出するのを妨げられる。ダブルシーム99を貫通した水は、継目シールテープ103により継目39まで、したがってジャケット内側まで進出するのを妨げられる。
【0087】
被覆条片外側部分61の構造に関しては、幾つかの変化例が可能である。防水表層材料または機能層と組み合わせた表層材料を使用でき、その際に機能層を表層材料と固着しないで結合され、または積層体の形で結合されてよい。
【0088】
図6に示された実施形態は、いわゆる積層体構造を示している。ここでは、ジャケット11の表層材料と機能層とは互いに積層体105として結合されている。この積層体105は、表層材料層と機能層とからなる2層積層体か、または表層材料層、機能層およびそれらの間にある機能層とからなる3層積層体であってよい。これはジャケットの特に単純で軽量な構造に導く。図6に示した実施形態では、被覆条片外側部分61も、少なくとも1つの表層材料と機能層とを有するそのような積層体からなる。それ以外の点では、この実施形態の構造は図5に従う実施形態と一致している。
【0089】
この実施形態の被覆条片31の構造に関しても、幾つかの変化例が可能である。被覆条片外側部分61および/または被覆条片内側部分63は、上述した材料層からなる2層積層体または3層積層体で構成できる。ある変化例では、被覆条片外側部分61は、機能層積層体を有し、被覆条片内側部分63は機能層のない繊維層を有している。他の変化例では、被覆条片内側部分63が機能層積層体を有し、被覆条片外側部分61が機能層のない繊維層を有している。
【0090】
図7は、図2の右側の範囲に示された既述のLTDライナ構造を示しており、表層材料45およびこれと分離して機能層とライナ層とを有する機能ライナ47が使用される。図7は、この構造を拡大して示しているが、それ以外の点では図2に示したLTDライナ構造の右側の構造と一致しているので、図7については当該箇所の説明を参照できる。
【0091】
図8は、本発明による通気機構のすでに略述した実施形態を示しており、被覆条片31と中間条片49は、ジャケット11の使用者の体に向いたスライドファスナ13の内側に配置されている。その他の点では条片31と49は構造が等しく、先行の図面との関連で説明したのと同じ変化例を有することができる。それゆえ図8では、先行の図面で使用したのと同じ参照符号を用いる。
【0092】
図9および図10に示す本発明の実施形態では、通気機構は、通気帯27および29に加えて通気絞り機構を有しており、それによって非通気と最大通気の2つの可能性のほかに、その中間にあって通気を絞った通気段階を選択できるようになっている。絞り位置では、通気絞り機構は通気材料に対して平行に、通気材料を少なくとも部分的に覆うように配置されていて、ジャケット内側に達した通気用空気の量を減らす。絞り解除位置では、通気絞り機構は通気材料を露出させて、通気絞りを働かせない。
【0093】
図9には、通気絞り機構を有する第1の実施形態が、図1の切断線II−IIに沿って断面して示されている。この通気絞り機構は、一方では通気帯27,29とスライドファスナ13との間、他方では被覆条片31と中間条片49との間に、絞り条片111を配置することによって構成されている。この絞り条片111は、通気帯27および29の少なくとも一部を覆う閉鎖位置と、通気帯27および29を露出させる開放位置との間で、通気帯27および29に対して相対的に移動可能である。絞り条片111は、通気材料の空気透過率よりも小さい空気透過率を有する通気絞り材料によって作製されている。通気材料の最小空気透過率は約30リットル/m2/sで、実用的な実施形態では約20リットル/m2/sから約400リットル/m2/sの範囲にある。絞り機構111を備えた本発明による通気機構を実用的に実現した例は、絞り機構111がシーフィールド社の300dtexのコーデュラ・バスケット織の名称で市販されている材料で作製されており、空気透過率は40.2リットル/m2/sである。
【0094】
絞り条片111は、図9の左側では、継目37によって通気帯27の左側縁部および中間条片内側部分67と結合されている。図9の右側では、絞り条片111は少なくとも1つの開閉エレメント113を備えていて、絞り条片111を閉じた位置または絞り位置で保持できるようになっている。開閉エレメント113は、たとえばマグネットボタン、スナップまたは面ファスナであってよい。開閉エレメントは、被覆条片内側部分63の内側に配置された相互補完的な開閉エレメントと協働する。絞り条片111をその開放位置でも固定できるように、図9で絞り条片111の左側の領域に(図示されていない)別の相互補完的な開閉機構を設けることができる。
【0095】
図10は、図1と類似の正面図で、2つの部分からなる被覆条片、すなわち、図10で上側の被覆条片部分117と、図10で下側の被覆条片部分119とを備えたジャケット115を示している。これらの被覆条片部分は、スライドファスナ13の異なる高さに固着され、それぞれ選択により開放位置と閉鎖位置とに旋回可能である。図10の表現では、上側被覆条片部分117は開放位置にあり、下側被覆条片部分119は閉鎖位置にある。この実施形態では中間条片も図10の上側の中間条片部分120と、図10では下側被覆条片部分119に隠れて見えない下側の中間条片部分とに区分される。そのため図10に示した位置では、両通気帯27,29はジャケットの上側領域では露出したままであり、通気機構の通気作用はジャケット115の上側領域でのみ与えられている。両被覆条片部分117,119が閉鎖位置にあると、両通気帯27,29は完全に覆われて通気機構が遮断される。図10に示された実施形態では、各々の条片部分117,119,120と見えない中間条片部分は複数の開閉エレメント121、123を備えており、これらの条片部分を閉じた位置に保つことができるようになっている。開閉エレメントは、たとえばマグネットボタン、スナップまたは面ファスナであってよい。これらの条片部分を開いた位置に保持できる開閉エレメントを設けることもできる。
【0096】
両被覆条片部分117,119と両中間条片部分は、それらの下側端末領域にそれぞれ面ファスナエレメント125を備え、閉鎖位置に保持できるようになっている。ここでは下側の両条片部分は閉じた状態にあるため、上側の両条片部分117,120の面ファスナエレメントしか見えない。
【0097】
図10に示した実施形態の(図示されない)改変において、被覆条片および場合によっては中間条片も横断方向ではなく、長手方向で2つの条片部分に区分されており、それぞれ互いに独立に開放位置または閉鎖位置にもたらすことができる。
【0098】
図9および図10に示した両変化例、すなわち、図9に示す通気絞り機構と、場合によっては図10に示した複数の部分からなる中間条片を組み合わせることもできる。この場合、通気の絞りはさらに細かい段階に分けられる。
【技術分野】
【0001】
本発明は、通気機構を備えた衣料品、これに適したスライドファスナ、およびこれに適した衣料品単位体に関する。
ここにおいて衣料品という概念は、身体を覆うすべての物品、特に靴、手袋および帽子類も包含している。
【背景技術】
【0002】
たとえばオートバイ運転者用の衣料品は、高い耐風性、好ましくは防水性も有しており、空気透過性は相応に小さく、衣料品の内側の通気もわずかであるが、これは暖かい日には不快となりえる。
【0003】
US5845336 AおよびUS6263510 B1より公知のオートバイ運転者用のジャケットは、スライドファスナによりさまざまな程度に閉鎖可能な通気口によって形成された通気機構を備えており、これらの通気口を通って通気用空気がジャケットの内側に到達できる。通気口が広く開きすぎたり、小石や昆虫などの異物が進入したりするのを防ぐために、通気口の裏には網状材料が当ててある。この網状材料は、上記公知のジャケットにおいてスライドファスナの内側で当該スライドファスナと平行に延びているので、スライドファスナ平面に対して平行に延びた、開くことのできない第2のスライドファスナ平面を形成している。
【0004】
US5845336 Aの場合、網状材料の側縁部はジャケットの繊維層に固く縫い付けられている。これらの繊維層には、スライドファスナの閉鎖チェーンを支持する当該スライドファスナの側縁テープが固着された繊維条片も縫合されている。US6263510 B1の場合は、網状材料の両側端末はスライドファスナの両側縁テープのそれぞれ一方と結合されている。いずれの場合も、網状材料の幅は大きくされていて、スライドファスナで閉鎖可能なジャケットの開口部は通気のために十分大きく開くことができる。
【0005】
オートバイ用ジャケットの利用者にとって通気の必要があるかないかにより、スライドファスナを開いたり閉じたりしておく。開いた状態では、通気用空気はスライドファスナの後ろに配置された網状材料を貫通してオートバイ用ジャケットの内側に到達できる。
【0006】
通気口を水の進入から守るために、公知の両ジャケットでは通気口は被覆条片(フラップとも呼ぶ)を付けている。被覆条片は、通気口のスライドファスナを被覆している閉じた状態と、通気口のスライドファスナを露出させている開いた状態とにおいて固定できる。
【0007】
スライドファスナが開いている状態でも、両側のスライドファスナは網状材料によって一緒に保持され、したがって、スライドファスナで閉鎖可能なジャケット開口部を完全にオープンにすることはできないので、これら公知の解決においては、ジャケットを着たり脱いだりするために開かなければならないジャケットの前側開口領域に通気機構を設けることはできない。それゆえ上記の両刊行物から知られている通気機構は、ジャケットの補助的な開口部、たとえば胸ポケットや肩の領域にのみ適している。それゆえ、このような通気機構によっては、通気効果が相応に制限された比較的小さい通気口しか実現できない。
【0008】
オートバイの運転中に非常に暑くなって通気の必要が生じ、あるいは、たとえば雨が降り始めたためにオートバイ運転中に通気機構を閉じることが必要になったら、運転しながらスライドファスナを開いたり閉じたりしなければならない。しかも手は比較的厚いオートバイ用手袋を着用している。したがって、運転中にスライドファスナを操作することは非常に厄介であり、相応に時間もかかり、相当長時間注意が散漫になるだけでなく、オートバイを片手で操縦するために危険性もかなり高くなる。
【0009】
オートバイ運転者を雨および/または飛沫から保護し、オートバイ用ジャケットの呼吸活動を保証するために、US5845336 Aに従うオートバイ用ジャケットは防水性かつ水蒸気透過性の機能層が装備されている。
【0010】
EP0405062 B1により、水蒸気透過性の防水機能層が装備されたジャケット状またはコート状の衣料品の前側スライドファスナに、スライドファスナの上に位置する被覆条片、およびスライドファスナと被覆条片との間に配置された中間条片とを設けることが知られている。中間条片は、水が前側スライドファスナに進入するのを防ぐために水密に形成されている。
【0011】
さらに、WO96/24263号により知られている衣料品は、背中領域、肩領域および中央スライドファスナと袖付け根部との間にある脇腹領域に通気領域を有している。各々の通気領域は、通気の必要性に合わせて調節できる開閉エレメントを備えた通気口が設けられている。この開閉エレメントは、通気口をすべて閉じるか、一部だけ閉じるか、全然閉じないように調節できる。この目的のために各々の開閉エレメントは、対応する通気領域を完全に閉じるか、完全または部分的に開くことを可能にする開閉機構、たとえばスライドファスナを備えている。
【0012】
手袋をしてオートバイを運転している最中に、そのような開閉エレメントの開閉機構を操作することは困難であり、したがって問題がある。
【0013】
ドイツのミュンヘンに本社のあるBMWが「BMWキャニオン」という名称で提供しているオートバイ運転者用ジャケットは、正面領域にジャケットを開閉するための内側のスライドファスナと、2つの被覆条片部分を閉じるための外側スライドファスナとを有している。内側のスライドファスナは2つの革製ジャケット正面部分と結合されている。両被覆条片部分は、それぞれ閉じた革からなる外側層と、通気口を供えた内側層とを包含しており、内側層は外側層と固定せずに結合されている。被覆条片の、外側スライドファスナから離れている側縁部は、空気透過性の継目によりジャケットの表層材料と結合されており、被覆条片が開いている状態では通気穴を通って内側層と外側層との間に達した空気がジャケットの内側に到達できる。
【0014】
このジャケットでも、通気および非通気に調節するために、スライドファスナを開いたり、閉じたりしなければならないが、これは既述したように手袋を装着した手では困難である。さらに、通気のために被覆条片を開いていると、比較的高速時に発生する風圧によって、通気口を付けた内側層が被覆条片の外側層に押し付けられて、通気が機能しなくなるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】米国特許第5845336号明細書
【特許文献2】米国特許第6263510号明細書
【特許文献3】欧州特許第0405062号明細書
【特許文献4】国際公開第96/24263号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明の基礎をなす課題は、衣料品の内側に向かって面積の大きい通気を許し、ジャケットまたはコート状の衣料品の場合は、前部ファスナの領域でも前側スライドファスナを開く必要なく通気を可能にする通気機構を有する衣料品を提供することである。
【0017】
さらに、通気機構を作動させるためにスライドファスナのスライダを操作する必要がないものとする。これは、オートバイ運転者がオートバイを運転している間にオートバイ用ジャケットの通気機構を通気状態にしたいと思った場合のように、分厚い手袋をした状態では実行するのが非常に困難である。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記の課題は、特許請求項1に従う衣料品、特許請求項38に従うスライドファスナ、および特許請求項42に従う衣料品単位体によって解決される。本発明の実施形態が従属請求項に記載されている。
【発明の効果】
【0019】
本発明による衣料品においては、上に挙げた両US特許明細書におけるように、通気材料が主要ファスナ装置の前または後ろに当該主要ファスナと平行に配置されておらず、主要ファスナの側方延長部に、すなわち主要ファスナ装置の側方に接続しているので、本発明による通気機構は、一方では主要ファスナ装置を任意に大きく開くのを妨げず、他方では主要ファスナ装置を閉じた状態でも通気が可能である。
【0020】
それゆえ、本発明による通気機構は、ジャケット状またはコート状の衣料品の正面ファスナまたは前部ファスナの領域にも配置できる。公知の両通気機構とは異なり、本発明による通気機構は、主要ファスナ装置の開口幅を制限せず、したがってスライドファスナの開放も妨げないが、これはジャケット状またはコート状の衣料品を着たり脱いだりするために欠かせない。また、本発明による通気機構を通した通気は、主要ファスナ装置を部分的または完全に開くことを必要とする。
【0021】
たとえばジャケット状の衣料品の前部ファスナによって、上記のUS特許明細書に従うジャケットのポケット状の通気口を通すよりも、はるかに高い通気効果が達成される。
【0022】
本発明に従う場合において、通気材料は、通気位置に配置されているときは通気用空気が自由に貫流でき、上記のBMWジャケットにおけるように空気を通さない層が裏に設けられていないので、走行速度が高く空気圧も相応に高い場合でも効果的な通気が支障なく可能である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明による衣料品の実施形態を示す。
【図2】図1の切断線II−IIに沿って断面した、閉じた状態における閉鎖領域と通気領域の縮尺通りではない概略的な断面図である。
【図2a】図2に示した構造用の種々の開閉エレメントを示す。
【図2b】図2に示した構造用の種々の開閉エレメントを示す。
【図2c】図2に示した構造用の種々の開閉エレメントを示す。
【図3】図1の切断線III−IIIに沿って断面した、図2に示す衣料品の閉鎖部と通気部の縮尺通りの概略的な断面図である。
【図4a】本発明による通気材料と組み合わせた慣用的なスライドファスナを示す。
【図4b】本発明に従い通気材料で作製されたスライドファスナを示す。
【図5】表層材料とこの表層材料内に固着せずに掛着した機能層とを有する衣料品の、図2に示した構成の詳細図である。
【図6】表層材料と機能層とを互いに結合して積層体にした、図2に示した構成の詳細図である。
【図7】衣料品が表層材料と、表層材料から分離した機能ライナとを有する、図2に示した構成の詳細図である。
【図8】図2に類似した断面図であるが、被覆条片と中間条片とがジャケット内側に向いたスライドファスナ内側上にあるようにした本発明の実施形態を示している。
【図9】図2に類似した断面図であるが、絞り条片として形成された通気絞り機構を有する本発明の実施形態を示している。
【図10】図1に類似した衣料品であるが、互いに独立に閉鎖位置または開放位置にもたらすことができ閉鎖位置ではそれぞれ通気材料の部分領域のみ覆う2つの被覆条片部分を有する被覆条片として形成された通気絞り機構を有している。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明による通気機構の通気材料は、主要ファスナ装置の両側に配置するか、または主要ファスナ装置の片側だけに配置することができる。このことは、スライドファスナの両側縁テープの少なくとも一方かまたは両スライドテープが通気材料で作られて通気可能に形成されていることにより、通気材料がスライドファスナ内に組み込まれている場合でも当てはまる。
【0025】
本発明は、主要ファスナ装置と補助ファスナ装置とを有する衣料品を提供するものであり、主要ファスナ装置は、衣料品材料で作製された2つの衣料品部分の互いに向き合う縁部を離着可能に結合するように形成され、互いに離着可能に結合できる2つの主要ファスナ側縁部を備えており、当該主要ファスナ側縁部が両衣料品縁部のそれぞれ一方と結合されており、しかも両主要ファスナ側縁部の少なくとも一方が、通気機構を形成する通気材料を介して対応する衣料品縁部と結合されていて、当該通気材料を通して主要ファスナ装置を閉じた状態でも、通気用空気が衣料品の内側に到達できるようになっており、さらに補助ファスナ装置が被覆条片として形成されていて、被覆条片が少なくとも通気材料を覆う閉鎖位置と、被覆条片が通気材料を露出させる開放位置との間で、主要ファスナ装置に対して相対的に移動可能であるようにした。
【0026】
したがって通気機構を通気可能状態に入れるために、最初に主要ファスナ装置を開かねばならないということがない。主要ファスナ装置がスライドファスナである蓋然性は最も高いが、通気機構を働かせるためにスライドファスナを操作する必要はない。これは特に厚いオートバイ用手袋を着用していると困難である。
【0027】
主要ファスナ装置にスライドファスナを使用する場合、本発明の第1の側面に従い、好ましくは繊維側縁テープを備えた、慣用的なスライドファスナを使用できる。これらの側縁テープは閉鎖チェーンと結合されていない長手方向側で、通気材料帯の第1の長手方向側とそれぞれ結合しており、通気材料帯の第2の長手方向側は衣料品の表層材料と結合している。この場合、側縁テープが通気材料帯と、できるだけ同じ色をしたスライドファスナを使うようにすることが好ましい。
【0028】
本発明の第2の側面に従い、側縁テープ自体が通気材料によって作製されたスライドファスナを使用すれば、色の適合の問題はなくなる。このようなスライドファスナでは、スライドテープの幅が慣用的なスライドファスナより広いと、スライドファスナの通気側縁テープが慣用的なスライドファスナの側縁テープよりも広くない場合よりも、大きい通気面積を提供できるので好都合である。そのような本発明によるスライドファスナを用いることにより、一方では色の適合の問題が回避され、他方では衣料品を製造する際の作業コストが低減される。なぜならば、継目、すなわち慣用的なスライドファスナを使用した場合にその側縁テープと両通気材料帯との間に作製しなければならない継目がなくなるからである。
【0029】
本発明の実施形態において、スライドファスナは、側縁テープは横断方向で異なる材料厚を有している。スライドファスナの閉鎖チェーンが固着されている側縁テープの領域では、閉鎖チェーンエレメント材料厚は大きい。他方、側縁テープの残りの領域では、より大きい通気効果を達成するために材料厚は小さく、多孔性は大きい。側縁テープを衣料品の表層材料と縫合しやすくするために、側縁テープの両縁部で材料厚をより大きくし、その間にある中央領域では材料厚を小さくすることも可能である。
【0030】
スライドファスナ自体の側縁テープを通気材料で作製すること、あるいは慣用的なスライドファスナの側縁テープを別個の通気材料帯と結合することは、互いに排除しあう選択肢ではない。たとえばスライドファスナの側縁テープと別個の通気材料帯に対して、それぞれ異なる色を選択することによって特別の色のアクセントを置くために、通気性のある側縁テープを備えた本発明によるスライドファスナを、別個の通気材料帯と組み合わせることも可能である。
【0031】
本発明の第3の側面に従い、本発明による通気機構は、主要ファスナ装置、および補助
ファスナ装置を形成する被覆条片を一緒に衣料品単位体にまとめ、構成単位体として衣料
品メーカーに供給できる。
【0032】
本発明による通気機構は、スライドファスナとして形成された主要ファスナ装置に適しているだけでなく、他の主要ファスナ装置、たとえば面ファスナや磁石ファスナにも適している。
【0033】
本発明による衣料品の通気機構を備えたファスナ装置とは、たとえばジャケット状またはコート状の衣料品の前部ファスナであってよく、また他のファスナ、たとえば衣料品の内側に貫通する穴を離着可能に閉じるためのファスナや、衣料品のポケット開口部を離着可能に閉じるためのファスナであってもよい。しかし、また主要ファスナ装置は、互いに突き当てることができる2つの衣料品部分、たとえばズボンの脚部や袖部などを離着可能に結合するための装置であってもよく、それによって半ズボンを長ズボン、ショートスリーブをロングスリーブにしたり、ズボンやスリーブの継目区分を開放可能なファスナ装置によって一緒に保持したりできる。
【0034】
本発明による通気機構は、オートバイ運転者用の衣服だけでなく、自転車運転者やスキーヤー用の衣料品としても、あるいは職業上の防護服にも適している。
【0035】
それがオートバイ運転者用の衣服にとって特に有利なのは、オートバイ運転者用の衣服は、安全上の理由から、また高い走行速度で十分な風防を提供するためにほぼ空気を通さず、したがって、特に暑い日や低速で運転する際には、衣料品の内側に冷却空気を供給することが必要となる。
【0036】
特にオートバイ運転者用衣服として使用する場合は、衣料品の防水性も重要な観点である。それゆえ現今では、オートバイ運転者用衣服は防水性が付与されている。それは防水性の表層材料を使用するか、または水および空気を通す表層材料の内側に防水機能層を配することによって行う。防水機能層は、衣料品の呼吸能力を維持して、発汗による湿気を衣料品の外側に排出できるように水蒸気透過性であることが好ましい。
【0037】
そのような機能層を装備された衣料品において、通気機構を衣料品の前部ファスナの領域に配置すると、別の利点が得られる。通気機構を衣料品の前部ファスナの外部、たとえば、上記のUS特許明細書に従うジャケットにおけるように、胸または肩の領域にポケット状に配置すると、この箇所で機能層を中断しなければならない。なぜならば、さもないと気密な機能層は通気遮断部として働くだろうからである。機能層は通気開口部の領域、特に通気機構との関連で必要な通気機構周囲の継目の領域でシールされなければならないので、これは多大なコストを必要とする。これに対して本発明は、通気機構を、ジャケット状の衣料品の前部ファスナの領域、つまりもともと機能層を中断しなければならない領域に配置することを可能にする。
【0038】
たとえば、温度が低いとか、風が強いときなど、本発明による通気が必要とされないか、または望まれない時間は通気を停止するために、被覆条片が設けられている。この被覆条片は、閉じた状態では通気機構を被覆し、通気が望ましい場合は開いた状態にして、通気機構を露出させることができる。防水衣料品の場合は、被覆条片も水密に形成して、閉じた状態で冷却空気や水が衣料品の内側に進入するのを防ぐことが好ましい。防水で水蒸気透過性でもある機能層を付けた衣料品の場合は、被覆条片も空気を通す防水表層材料が装備され、水蒸気透過性の防水機能層を設けると、被覆条片の領域で衣料品の呼吸能力を阻止しないために好都合である。
【0039】
水が通気機構に進入するのを特に効果的に防止するために、本発明の実施形態では、主要ファスナ装置と被覆条片との間にさらに中間条片が配置されており、閉じた状態で通気機構を覆うようになっている。被覆条片と中間条片は、好ましくは主要ファスナ装置の異なる側で表層材料に固着されており、中間条片の固定されていない端部がそれ自身を中心にして外側に折り返されていて、水や風に対して捕捉迷路を生み出していることが好都合である。これらの方策は、オートバイ運転者用衣服において、水が走行風によって通気機構に推進されるのを防ぐために特に有利である。
【0040】
被覆条片および場合によっては中間条片も、それらの閉鎖位置に保持するために、被覆条片と衣料品の表層材料、もしくは中間条片を用いる場合は被覆条片と中間条片に、離着可能で互いに補完的な開閉エレメントが装備されており、被覆条片を閉じた状態で保持できるようになっている。特に好ましいのは、被覆条片および場合によっては中間条片にも離着可能な固定エレメントを設けて、これらを開いた状態で離着可能に固定できるようにすることである。それによって通気の必要があるときに、被覆条片および場合によっては中間条片が意図せずに閉じることによって通気機構が遮断されるようなことはない。
【0041】
被覆条片および場合によっては中間条片も、主要ファスナ装置のそれぞれ一方の長手方向端部に固定して、そこから主要ファスナ装置の上に折り返すか、またはそこから離れる方向に折り返すことができる。たいていの場合に好適なのは、被覆条片および場合によっては中間条片も主要ファスナ装置の長手方向側の横に固着して、主要ファスナ装置のそれぞれの長手方向側から主要ファスナ装置と通気機構の上に折り返し、また通気機構から離れる方向に折り返せるようにすることである。
【0042】
好ましくは、水蒸気を通す防水機能層を使用する場合は特別の方策を講じて、被覆条片もしくは中間条片の個々の構成要素を互いに固着したり、被覆条片もしくは中間条片を衣料品の表層材料に固着したりする継目を水密にし、そのような継目を通って水が進入するのを防がなければならない。この目的のために、そのような継目は、たとえば継目シーリングテープで水密にするか、または防水接着剤継目として形成する。
【0043】
本発明の実施形態において、通気機構に付加的な構成要素、たとえばポケット、主要ファスナ装置および/または光を反射する機構が設けられ、通気材料の中またはその脇に配置されている。
【0044】
本発明による通気機構と被覆条片とを備え、場合によっては中間条片も有する衣料品において、当該衣料品の利用者、たとえばオートバイ運転者は、通気機構を開閉するために、単に被覆条片、場合によっては中間条片も折り返して、開いた状態から閉じた状態に、またはその逆にするだけで、通気または非通気の状態を作り出せる。これは、厚い手袋を装着した手でも、極めて短い時間で全く問題なく可能なので、そのような操作はオートバイの運転中でも難なく行うことができる。これは開閉エレメントが磁石エレメントの場合に特に該当し、通気機構の開閉は、オートバイ運転者が被覆条片および場合によっては中間条片を、手袋を装着した手でこするだけで行うことができる。
【0045】
本発明の実施形態において、通気機構は、通気材料に加えて通気絞り機構を有しており、非通気と最大通気の2つの可能性のほかに、その中間にあって通気を絞った通気段階を選択できるようになっている。絞り位置では、通気絞り機構は通気材料に対して平行に、通気材料を少なくとも部分的に覆うように配置されていて、ジャケット内側に達した通気用空気の量を減らす。絞り解除位置では、通気絞り機構は通気材料を露出させて、通気絞りを働かせない。
【0046】
別の実施形態では、通気絞り機構は、被覆条片および/または中間条片が少なくとも2つの条片部分に区分されていて、互いに独立に開放位置または閉鎖位置に移動できるようになっている。この場合、通気性能は、幾つの条片部分が開放位置にあるかによって決まる。
【0047】
別の実施形態では、通気絞り機構は、通気材料と被覆条片もしくは(設けられている場合は)中間条片との間に絞り条片が配置されていることによって形成される。この絞り条片は、通気材料の少なくとも一部を覆う閉鎖位置と、通気材料を露出させる開放位置とに移動可能である。絞り条片は、通気材料の空気透過率よりも小さい空気透過率を有する通気絞り材料によって作製されている。通気絞り機構の2つの変化例を互いに組み合わせることもできる。この場合、絞られた通気はさらに細かく段階分けされる。
【0048】
水蒸気透過性の防水機能層に適した材料は、たとえば、刊行物US−A−4,725,418およびUS−A−4,493,870に記載されているように、特にポリウレタン、ポリプロピレンおよびポリエステルであり、ポリエーテルエステルとその積層体を含む。特に優先されるのは、US−A−3,953,566およびUS−A−4,187,390に記載されているように、延伸した微多孔性ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)、および、親水性含浸剤および/または親水層を施した延伸ポリテトラフルオロエチレンである。これについてはUS−A−4,194,041参照。微多孔性機能層とは平均孔径が約0.2mと約0.3mの間にある機能層を意味する。
【0049】
孔径は、アメリカ合衆国フロリダ州ハイアレアスのコールター・エレクトロニクス社が製造しているコールター・ポロメータ(商標名)で測定できる。
【0050】
「防水」とは、面状形成物、たとえば機能層または撥水性表層材料(場合によっては防水継目も含む)が、水の浸透圧1×104Paに耐えられることをいう。機能層材料が水の浸透圧1×105Pa以上に耐えられると好都合である。水の浸透圧は温度20±2℃の蒸留水を100cm2の機能層試験片に圧力を上げながら加える試験法で測定できる。水の昇圧は1分当たり60±3cmWsとする。この場合、水の浸透圧は最初に水が試験片の反対側に現れたときの圧力に相当する。詳細なやり方は1981年のISO規格0811に記載されている。
【0051】
「水蒸気透過性」とは、面状形成物、たとえば機能層の水蒸気透過係数Retが150m2×Pa×W−1以下であることをいう。水蒸気透過係数はホーエンシュタインの皮膚モデルによって試験する。この試験法は、DIN EN31092(02/94)もしくはISO 11092(1993)に記載されている。
【0052】
面状形成物の空気透過率は欧州規格EN ISO9237(1955)に規定され、リットル/m2/sで表される。本発明による通気機構の通気材料の最小空気透過率は約30リットル/m2/sから40リットル/m2/sである。本発明の実用的な実施形態において、通気材料の空気透過率は約100リットル/m2/sから1000リットル/m2/sの範囲またはそれ以上である。通気絞り材料の最小空気透過率は約30リットル/m2/sから40リットル/m2/sであるが、これより著しく高くてもよく、たとえば100リットル/m2/sから400リットル/m2/sの範囲またはそれ以上に達することもある。
【実施例】
【0053】
本発明との関連において、通気性材料とは、本発明による通気機構を備えない衣料品において通常用いられている材料よりも空気透過率の高い材料を意味する。これについて次の例を掲げる。
【0054】
1.TITEX社の撥水性スライドファスナTIZIP
空気透過率<5.0リットル/m2/s
空気透過性は実用的に存在しない。
【0055】
2.EP0581186 B1の図1に示された防水二重被覆条片との関連で用いられる通常のスライドファスナ。スライドファスナと被覆条片との間にePTFE機能層と織物とからなる2層積層体を備える。
空気透過率<15.0リットル/m2/s
空気透過性がほとんどない衣料品正面構造である。
【0056】
3.スライドファスナによって閉じられた防水二重被覆条片を有する通常のスライドファスナ。防水二重被覆条片は、スライドファスナの左右にそれぞれ1つの被覆条片を有しており、いずれもePTFE能層を備えた2層積層体によって構成されている(例2と同様)。
空気透過率2.3リットル/m2/s
空気透過性は実用的に存在しない。
【0057】
4.レコナ社の通気材料コーデュラAFT。ポリアミド66からなる鎖編み。
空気透過率>765.0リットル/m2/s
空気透過性は非常に高い。
【0058】
5.絞り条片材料:シーフィールド社の300dtexコーデュラ・バスケット織。
空気透過率41.2リットル/m2/s
4.の通気材料に比べると空気透過性は小さいが、なおも感じられる。
【0059】
6.図3に示した本発明による通気構造。被覆条片31と中間条片49はそれぞれ開放位置にある。
空気透過率543.0リットル/m2/s
慣用的なスライドファスナを使用するため空気透過性は4.で用いる通気材料より小さいが、それでも比較的高い空気透過性を有する。
【0060】
7.図2に示した本発明による通気構造。被覆条片31と中間条片49はそれぞれ閉鎖位置にある。
空気透過率3.4リットル/m2/s
空気透過性は実用的に存在しない。
【0061】
以下に、本発明を実施形態に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明による衣料品の実施形態を示す。
図2は、図1の切断線II−IIに沿って断面した、閉じた状態における閉鎖領域と通気領域の縮尺通りではない概略的な断面図である。
図2aから図2cは、図2に示した構造用の種々の開閉エレメントを示す。
【0062】
図3は、図1の切断線III−IIIに沿って断面した、図2に示す衣料品の閉鎖部と通気部の縮尺通りの概略的な断面図である。
図4aは、本発明による通気材料と組み合わせた慣用的なスライドファスナを示す。
図4bは、本発明に従い通気材料で作製されたスライドファスナを示す。
【0063】
図5は、表層材料とこの表層材料内に固着せずに掛着した機能層とを有する衣料品の、図2に示した構成の詳細図である。
図6は、表層材料と機能層とを互いに結合して積層体にした、図2に示した構成の詳細図である。
【0064】
図7は、衣料品が表層材料と、表層材料から分離した機能ライナとを有する、図2に示した構成の詳細図である。
図8は、図2に類似した断面図であるが、被覆条片と中間条片とがジャケット内側に向いたスライドファスナ内側上にあるようにした本発明の実施形態を示している。
【0065】
図9は、図2に類似した断面図であるが、絞り条片として形成された通気絞り機構を有する本発明の実施形態を示している。
図10は、図1に類似した衣料品であるが、互いに独立に閉鎖位置または開放位置にもたらすことができ閉鎖位置ではそれぞれ通気材料の部分領域のみ覆う2つの被覆条片部分を有する被覆条片として形成された通気絞り機構を有している。
【0066】
図1に例として示した衣料品は、スライドファスナ13として形成された主要ファスナ装置と、被覆条片31として形成された補助ファスナ装置とからなる、前部ファスナを有するジャケット11である。図4aで見やすく示されているように、スライドファスナ13は、2つの繊維側縁テープ15および17を含んでおり、これらの繊維側縁テープには、互いに向き合う長手方向縁部に、歯、螺旋体、掛け金または溝として形成された1組の開閉エレメント19を有するそれぞれ1つの閉鎖チェーンが固着されている。図1のみに示されているスライダ21を滑らせることによって、閉鎖チェーンは閉じるために互いにかみ合い、開くためにかみ合いが外れる。
【0067】
スライドファスナ13の側縁テープ15および17は、スライドファスナ13で閉じようとする両ジャケット部分23もしくは25に直接固着されているのではなく、それぞれ通気材料からなる各々1つの通気帯27もしくは29を介して固着されている。通気材料とは、好ましくは繊維材料であり、特に織物、メリヤス、ニット、フェルト、メッシュまたはネットであり、比較的高い空気透過性を有するように作製されている。この場合、最小空気透過率は約30リットル/m2/sから40リットル/m2/sであるが、実用的な実施形態においてはこれよりはるかに高くてもよく、通気材料の空気透過率は、約100リットル/m2/sから1000リットル/m2/sの範囲またはそれ以上のこともある。本発明の実施形態では、通気材料として、編成されたメッシュ構造を有する繊維面状形成物を使用する。これはレコナ社の商標コーデュラAFTで入手でき、空気透過率765リットル/m2/s以上である。
【0068】
図4bは、スライドファスナそれ自体の側縁テープ15aおよび17aが通気材料からなる本発明の実施形態を示している。側縁テープ15aおよび17aの幅は、十分な通気面積を提供するために、慣用的なスライドファスナの側縁テープ15および17の幅よりも大きいことが好都合である。このスライドファスナ13の側縁テープ15aおよび17aにも上記の材料コーデュラAFTが適している。
【0069】
図1の下部に切断線II−IIの領域に示されているように、通気帯27および29を通した通気が所望されない場合は、スライドファスナ13と通気帯27および29を被覆条片31で覆うことができる。
【0070】
図2は、図1に示した切断線II−IIに沿って切断したジャケット11の前部の一部の横断面を縮尺通りではなく概略的に示している。ここでは、側縁テープ15および17と、これらに取り付けて互いにかみ合っている開閉エレメント19を有するスライドファスナ13、さらに側縁テープ15および17の両側に通気機構の通気帯27および29が見られる。スライドファスナ13の側縁テープ15、17および通気機構の通気帯27および29は、それぞれ1つの重ね継目33もしくは35により互いに隣接する長手方向縁部に縫合されている。通気帯27および29の、スライドファスナ13から離れた長手方向縁部は、継目37もしくは39によって図2で左側の衣服縁部41もしくは右側の衣服縁部43に固着されている。
【0071】
図面を節約するために、図2の右側と左側にそれぞれ使用する材料層が異なる実施形態を示した。しかしこれは、スライドファスナ13の両側で構造の異なるジャケットを製造するという意味ではない。図2の右側はいわゆるLTDライナ構造の実施形態を示している。LTDとはライナ・ツー・ドロップを表している。これは水蒸気透過性の防水衣料品のための構造であり、表層材料45とこれと分離した機能ライナ47が使用されている。機能ライナ47は、水蒸気透過性の防水機能層とライナ層とを有する積層体からなる。表層材料45は機能層を有することができるが、有しなくてもよい。
【0072】
LTDライナ構造で有利なのは、追加ライナを省けるためにジャケットを軽量化できる点と、表層材料側の形成に関して表層材料も機能層も有する積層体を使用する場合よりも自由度が大きい点である。LTDライナ構造において別個の表層材料45を使用すると、機能層に対して守らなければならない条件や機能層の機能にとって障害となる条件に関わりなく、表層材料にポケットを縫製したり、刺繍を施したりできる。表層材料と機能層とを含んだ積層体を使用すると、ポケットや刺繍のすべての縫目を継目シールテープでシールしなければならないが、LTDライナ構造では、機能ライナ47にそのような縫目はないため、シールする必要がない。
【0073】
図2の左側はLTDライナ構造ではなく、表層材料と機能層とを備えた積層体46と、機能層を有しないライナ48とからなる構造を示している。
【0074】
図2に示した実施形態では、スライドファスナ13と通気帯27および29の領域に、上述した被覆条片31のほかに、被覆条片31とスライドファスナ13との間に中間条片49が設けられている。この実施形態では、被覆条片31と中間条片49とが、ジャケットの着用者の体から見てスライドファスナの外側にある。しかし以下に図8に基づいて詳しく説明するように、両条片31および49は、スライドファスナ13の内側に配置することもできる。
【0075】
図2の実施形態では、被覆条片31は、図2で見てスライドファスナ13および右側通気帯29の右方にある固定された被覆条片側と、図2で見てスライドファスナ13の左方にある固定されていない被覆条片側53とを有している。中間条片49は、図2で見てスライドファスナ13および左通気帯27の左方にある固定された中間条片側55と、固定されていない被覆条片側57とを有している。固定されていない被覆条片側57は、中間条片49を広げて伸ばせばスライドファスナ13の右側に位置するであろうが、ここでは固定されていない端部が上に向かって折り戻されているためにスライドファスナ13の上方にある。これにより、被覆条片31と中間条片49との間に侵入した水を捕捉する包囲溝59が生じる。
【0076】
被覆条片31は、スライドファスナ13から見て外側に位置する被覆条片外側部分61と、その内側にある被覆条片内側部分63とを有している。中間条片49は、その外側に中間条片外側部分65、その内側に中間条片内側部分67を有している。被覆条片外側部分61と中間条片外側部分65は、ジャケット11の表層材料45からなるが、被覆条片内側部分63と中間条片内側部分67は、機能ライナ67の材料か、または機能層を有する別の材料からなる。被覆条片外側部分61と被覆条片内側部分63は、固定されていない被覆条片側53でダブルシーム69によって互いに結合されている。中間条片外側部分65と中間条片内側部分67は、固定されていない中間条片側57でダブルシーム71によって互いに固着されている。
【0077】
図2で、被覆条片外側部分61および被覆条片内側部分63の右側は、ダブルシーム73もしくはダブルシーム75によって、表層材料45もしくは機能ライナ47の対応する縁部に固着されている。図2で、中間条片外側部分65および中間条片内側部分67の左側端部は、ダブルシーム77もしくはシングルシーム79によって、表層材料・機能層積層体46もしくはライナ48の対応する縁部に固着されている。
【0078】
固定された被覆条片側51の領域では、被覆条片外側部分61の内側に被覆条片側の条片中間部81が配置されており、この条片中間部81の図2で、右側はダブルシーム73によって被覆条片外側部分61と表層材料45の対応する縁部に結合され、図2で、左側の近傍では接着剤継目83によって被覆条片内側部分63と水密に結合されている。被覆条片側の条片中間部81は、防水機能層を有している。それゆえ、図2で接着剤継目83の左側で被覆条片外側部分61の材料を貫通して進入した水は、接着剤継目の83の右側に、したがって継目39,73および75には到達できない。ダブルシーム75は、被覆条片内側部分63および機能ライナ47の外側で継目シールテープ85によって水密にシールされているので、ダブルシーム73および/またはその右側に存在する表層材料45を貫通した水は、継目39および75に到達できず、したがってジャケット11の内側に進入できない。
【0079】
中間条片外側部分65は、固定された中間条片側55の領域でその内側に中間条片側の条片中間部87を備えている。条片中間部87は、図2で見て、左側でダブルシーム77により、中間条片外側部分65にも表層材料・機能層積層体46の対応する縁部にも結合され、図2で、右側の近傍では防水接着剤継目89によって中間条片内側部分67の外側と水密に結合されている。ダブルシーム77は、内側で継目シールテープ91によってシールされている。
【0080】
図2で、左側の接着剤継目89は、中間条片外側部分65を通って進入した水が継目37および79に進出するのを防ぐ。図2で、左側の継目シールテープ91は、水がダブルシーム77を通ってジャケットの内側に進出するのを防ぐ。
接着剤継目83および/または接着剤継目89の代わりに、別の方法で水密にした継目、たとえば継目シールテープでシールした縫目を設けることもできる。
【0081】
図2に破線で示した円IIa内には、2つの協働する開閉エレメント、すなわち被覆条片31の内側に配置された開閉エレメント93と、中間条片49の外側に配置された開閉エレメント95が略示されている。この方策により、通気機構が働くべきでないときは、被覆条片31は閉じた状態で中間条片49に離着可能に固定できる。図2aから図2cには、開閉エレメント93および95の代替例が示されている。図2aに示した実施形態では、開閉エレメントに極性が異なる永久磁石プレートが使用され、図2bの実施の形態では面ファスナ、図2cに示す実施形態では1組のスナップが用いられている。
【0082】
実用的な例では、図2に明瞭に見られるように、一方では被覆条片31と中間条片49との間、他方では中間条片49とスライドファスナ13と通気帯27,29との間に間隔がない。特にオートバイの運転中やスキー滑降中に、被覆条片31と中間条片49は走行風によってスライドファスナ13と通気帯27および29に密に押し付けられるので、風や水がスライドファスナ13および通気帯27,29まで進入する可能性は、図2の表現から推測されるよりはるかに小さい。上述したように、包囲溝59に基づき、水が通気帯27,29に進入する蓋然性はもともと極めて小さい。
【0083】
図3は、図1の切断線III−IIIに沿って断面した図2に従う構造を開いた状態で示している。ここでは被覆条片31も中間条片49も、通気用空気が通気帯27および29に自由に到達できるほど大きく開いている。実用においては、被覆条片31と中間条片49はさらに大きく、表層材料45のそれぞれ隣接する領域に載るまで折り返すことができ、そこで走行風か、(図示されていない)別のファスナまたは固定エレメントによって固持される。
【0084】
したがって、通気機構を働かせるために、上で検討した従来技術におけるように、スライドファスナ13を開く必要がなく、被覆条片31と中間条片49を、図2に示した位置から図3に示した位置またはさらに大きく開いた位置にもたらすだけでよい。これは単純な手の動きで可能であり、手に厚い手袋を装着していてもできる。
【0085】
図5から図7に基づき、さらにジャケット11の材料層の設計構造の点で種々異なる実施形態を検討する。ここでは、被覆条片31を閉じた状態で、図2の右側の部分に対応する構造部分のみ示されている。
【0086】
図5は、いわゆるZライナ構造を示しており、ジャケットは、表層材料と、これと分離して表層材料に固着せずに掛着された機能層97とを有している。機能層97は、外周領域のみで表層材料45とダブルシーム99によって縫合されている。この構造では、被覆条片外側部分61は外側に、好ましくはジャケットの表層材料45と同じ材料からなる表層材料を有し、内側に機能層101を有している。この場合、被覆条片外側部分61の表層材料45と機能層101を結合して積層体にしても良い。被覆条片内側部分63も同様に機能層を備えて構成されている。この機能層は継目39により通気帯29の右側と結合され、接着剤継目83により被覆条片外側部分61の機能層101と結合されている。表装材料45および被覆条片外側部分61の機能層101をジャケットの表装材料45および機能層97の対応する縁部と結合しているダブルシーム99は、継目シールテープ103によってシールされている。接着剤継目83の左側に進入した水は、接着剤継目83により継目39まで、したがってジャケットの内側まで進出するのを妨げられる。ダブルシーム99を貫通した水は、継目シールテープ103により継目39まで、したがってジャケット内側まで進出するのを妨げられる。
【0087】
被覆条片外側部分61の構造に関しては、幾つかの変化例が可能である。防水表層材料または機能層と組み合わせた表層材料を使用でき、その際に機能層を表層材料と固着しないで結合され、または積層体の形で結合されてよい。
【0088】
図6に示された実施形態は、いわゆる積層体構造を示している。ここでは、ジャケット11の表層材料と機能層とは互いに積層体105として結合されている。この積層体105は、表層材料層と機能層とからなる2層積層体か、または表層材料層、機能層およびそれらの間にある機能層とからなる3層積層体であってよい。これはジャケットの特に単純で軽量な構造に導く。図6に示した実施形態では、被覆条片外側部分61も、少なくとも1つの表層材料と機能層とを有するそのような積層体からなる。それ以外の点では、この実施形態の構造は図5に従う実施形態と一致している。
【0089】
この実施形態の被覆条片31の構造に関しても、幾つかの変化例が可能である。被覆条片外側部分61および/または被覆条片内側部分63は、上述した材料層からなる2層積層体または3層積層体で構成できる。ある変化例では、被覆条片外側部分61は、機能層積層体を有し、被覆条片内側部分63は機能層のない繊維層を有している。他の変化例では、被覆条片内側部分63が機能層積層体を有し、被覆条片外側部分61が機能層のない繊維層を有している。
【0090】
図7は、図2の右側の範囲に示された既述のLTDライナ構造を示しており、表層材料45およびこれと分離して機能層とライナ層とを有する機能ライナ47が使用される。図7は、この構造を拡大して示しているが、それ以外の点では図2に示したLTDライナ構造の右側の構造と一致しているので、図7については当該箇所の説明を参照できる。
【0091】
図8は、本発明による通気機構のすでに略述した実施形態を示しており、被覆条片31と中間条片49は、ジャケット11の使用者の体に向いたスライドファスナ13の内側に配置されている。その他の点では条片31と49は構造が等しく、先行の図面との関連で説明したのと同じ変化例を有することができる。それゆえ図8では、先行の図面で使用したのと同じ参照符号を用いる。
【0092】
図9および図10に示す本発明の実施形態では、通気機構は、通気帯27および29に加えて通気絞り機構を有しており、それによって非通気と最大通気の2つの可能性のほかに、その中間にあって通気を絞った通気段階を選択できるようになっている。絞り位置では、通気絞り機構は通気材料に対して平行に、通気材料を少なくとも部分的に覆うように配置されていて、ジャケット内側に達した通気用空気の量を減らす。絞り解除位置では、通気絞り機構は通気材料を露出させて、通気絞りを働かせない。
【0093】
図9には、通気絞り機構を有する第1の実施形態が、図1の切断線II−IIに沿って断面して示されている。この通気絞り機構は、一方では通気帯27,29とスライドファスナ13との間、他方では被覆条片31と中間条片49との間に、絞り条片111を配置することによって構成されている。この絞り条片111は、通気帯27および29の少なくとも一部を覆う閉鎖位置と、通気帯27および29を露出させる開放位置との間で、通気帯27および29に対して相対的に移動可能である。絞り条片111は、通気材料の空気透過率よりも小さい空気透過率を有する通気絞り材料によって作製されている。通気材料の最小空気透過率は約30リットル/m2/sで、実用的な実施形態では約20リットル/m2/sから約400リットル/m2/sの範囲にある。絞り機構111を備えた本発明による通気機構を実用的に実現した例は、絞り機構111がシーフィールド社の300dtexのコーデュラ・バスケット織の名称で市販されている材料で作製されており、空気透過率は40.2リットル/m2/sである。
【0094】
絞り条片111は、図9の左側では、継目37によって通気帯27の左側縁部および中間条片内側部分67と結合されている。図9の右側では、絞り条片111は少なくとも1つの開閉エレメント113を備えていて、絞り条片111を閉じた位置または絞り位置で保持できるようになっている。開閉エレメント113は、たとえばマグネットボタン、スナップまたは面ファスナであってよい。開閉エレメントは、被覆条片内側部分63の内側に配置された相互補完的な開閉エレメントと協働する。絞り条片111をその開放位置でも固定できるように、図9で絞り条片111の左側の領域に(図示されていない)別の相互補完的な開閉機構を設けることができる。
【0095】
図10は、図1と類似の正面図で、2つの部分からなる被覆条片、すなわち、図10で上側の被覆条片部分117と、図10で下側の被覆条片部分119とを備えたジャケット115を示している。これらの被覆条片部分は、スライドファスナ13の異なる高さに固着され、それぞれ選択により開放位置と閉鎖位置とに旋回可能である。図10の表現では、上側被覆条片部分117は開放位置にあり、下側被覆条片部分119は閉鎖位置にある。この実施形態では中間条片も図10の上側の中間条片部分120と、図10では下側被覆条片部分119に隠れて見えない下側の中間条片部分とに区分される。そのため図10に示した位置では、両通気帯27,29はジャケットの上側領域では露出したままであり、通気機構の通気作用はジャケット115の上側領域でのみ与えられている。両被覆条片部分117,119が閉鎖位置にあると、両通気帯27,29は完全に覆われて通気機構が遮断される。図10に示された実施形態では、各々の条片部分117,119,120と見えない中間条片部分は複数の開閉エレメント121、123を備えており、これらの条片部分を閉じた位置に保つことができるようになっている。開閉エレメントは、たとえばマグネットボタン、スナップまたは面ファスナであってよい。これらの条片部分を開いた位置に保持できる開閉エレメントを設けることもできる。
【0096】
両被覆条片部分117,119と両中間条片部分は、それらの下側端末領域にそれぞれ面ファスナエレメント125を備え、閉鎖位置に保持できるようになっている。ここでは下側の両条片部分は閉じた状態にあるため、上側の両条片部分117,120の面ファスナエレメントしか見えない。
【0097】
図10に示した実施形態の(図示されない)改変において、被覆条片および場合によっては中間条片も横断方向ではなく、長手方向で2つの条片部分に区分されており、それぞれ互いに独立に開放位置または閉鎖位置にもたらすことができる。
【0098】
図9および図10に示した両変化例、すなわち、図9に示す通気絞り機構と、場合によっては図10に示した複数の部分からなる中間条片を組み合わせることもできる。この場合、通気の絞りはさらに細かい段階に分けられる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通気機構を備えた衣料品であって、当該衣料品が主要ファスナ装置(13)と補助ファスナ装置(31)とを有しており、主要ファスナ装置(13)が衣料品材料で作られた2つの衣料品部分の互いに向き合う縁部(10,12)を離着可能に結合するように形成されていて、かつ互いに離着可能に結合できる2つの主要ファスナ側縁部を有しており、これらの主要ファスナ側縁部が両衣料品縁部(10,12)のそれぞれ一方と結合されており、しかも両主要ファスナ側縁部の少なくとも一方が、通気機構を形成する通気材料(27,29)を介して対応する衣料品縁部(10,12)と結合されていて、当該通気材料を通して主要ファスナ装置(13)を閉じた状態でも通気用空気が衣料品の内側に到達できるようになっており、さらに補助ファスナ装置が被覆条片(31)として形成されていて、被覆条片(31)が通気材料(27,29)の少なくとも一部を覆う閉鎖位置と、被覆条片(31)が通気材料(27,29)の少なくとも一部を露出させる開放位置との間で主要ファスナ装置(13)に対して相対的に移動可能であるようにした、通気機構を備えた衣料品。
【請求項2】
被覆条片(31)が1つの部分からなり、閉鎖位置では通気材料(27,29)を完全に覆い、開放位置では完全に露出させるようにした請求項1記載の衣料品。
【請求項3】
被覆条片(31)が複数の部分からなり、その個々の条片部分(117,119)はそれぞれ互いに独立に、通気材料の対応する部分を覆う開放位置と、通気材料の対応する部分を露出させる閉鎖位置とに移動可能であり、その通気性能は幾つの条片部分(117,119)が開放位置にあるかによって決まるようにした請求項1記載の衣料品。
【請求項4】
被覆条片(31)が通気材料(27,29)の外側を覆うようにした請求項1から3のいずれか1項記載の衣料品。
【請求項5】
通気材料(27,29)が空気透過性の繊維面状形成物によって形成されている請求項1から4のいずれか1項記載の衣料品。
【請求項6】
通気材料(27,29)が網状またはメッシュ状の材料を有している請求項5記載の衣料品。
【請求項7】
通気材料(27,29)の空気透過率が30リットル/m2/s以上である請求項1から6のいずれか1項記載の衣料品。
【請求項8】
被覆条片(31)が、主要ファスナ装置(13)の第1側縁部の横で衣料品の表層材料(45)に固着されている固定された被覆条片側(51)と、固定されていない被覆条片側(53)とを有しており、しかも被覆条片(31)が固定された被覆条片側(51)を中心にして開放位置と閉鎖位置との間で旋回可能である請求項1から7のいずれか1項記載の衣料品。
【請求項9】
被覆条片(31)が主要ファスナ装置(13)に対してほぼ平行に延びており、固定された被覆条片側(51)と、固定されていない被覆条片側(53)とがそれぞれ被覆条片の長手方向側によって形成されており、固定された被覆条片の長手方向側が主要ファスナ装置(13)の第1の長手方向側の横で衣料品表層材料(45)に固着されている請求項8記載の衣料品。
【請求項10】
衣料品材料と被覆条片(31)とが防水に形成されていて、被覆条片(31)が衣料品材料に水密に固着されている請求項1から9のいずれか1項記載の衣料品。
【請求項11】
被覆条片(31)が空気透過性の防水材料(45)から作られ、防水機能層を装備されている請求項10記載の衣料品。
【請求項12】
主要ファスナ装置(13)がスライドファスナ、面ファスナ、磁石ファスナおよびスナップファスナの群から選択されている請求項1から11のいずれか1項記載の衣料品。
【請求項13】
主要ファスナ装置(13)がスライドファスナとして形成されており、当該スライドファスナ(13)が互いに向き合う2つの側縁テープ(15,17)を有していて、各々の側縁テープ(15,17)が閉鎖チェーンを付けた第1の長手方向側と、対応する衣料品縁部(10,12)と結合した第2の長手方向側とを有しており、両側縁テープ(15,17)の少なくとも一方の第1の長手方向側と、これに対応する衣料品縁部(10,12)との結合が少なくとも部分的に通気材料(27,29)によって形成されている請求項12記載の衣料品。
【請求項14】
横断方向延在の少なくとも一部と長手方向延在の少なくとも一部にわたって通気材料によって作製されて、スライドファスナ(13)の両側縁テープ(15a,17a)の少なくとも一方が通気可能であるように形成されていることによって、スライドファスナ(13)それ自体が通気機構として形成されている請求項13記載の衣料品。
【請求項15】
固有の通気材料(27,29)を備えていないスライドファスナ(13)を有しており、スライドファスナ(13)の両側縁テープ(15,17)の少なくとも一方の第2の長手方向側が、対応する衣料品縁部(10,12)と通気材料(27,29)を介して結合されている請求項13または14記載の衣料品。
【請求項16】
主要ファスナ装置(13)がジャケット状またはコート状の衣料品の前側開口部を離着可能に閉鎖するために設けられている請求項1から15のいずれか1項記載の衣料品。
【請求項17】
主要ファスナ装置(13)が互いに突き合わせることのできる2つの衣料品部分を離着可能に結合するために設けられている請求項1から16のいずれか1項記載の衣料品。
【請求項18】
被覆条片(31)に対して平行に延びている中間条片(49)を有しており、当該中間条片(49)が閉鎖状態では主要ファスナ装置(13)と被覆条片(31)との間にあり、開放状態では通気材料(27,29)の少なくとも一部を完全に露出させるようにした請求項1から17のいずれか1項記載の衣料品。
【請求項19】
中間条片(49)が1つの部分からなり、開放位置で通気材料(27,29)を完全に
露出させるようにした請求項18記載の衣料品。
【請求項20】
中間条片(49)が複数の部分からなり、その個々の条片部分(117,119)はそれぞれ互いに独立に開放位置に移動でき、そこで通気材料(27,29)のそれぞれ対応する部分を露出させるようにした請求項1記載の衣料品。
【請求項21】
中間条片(49)が防水性に形成されている請求項18から20のいずれか1項記載の衣料品。
【請求項22】
中間条片(49)が、主要ファスナ装置(13)の第1の側縁部と向き合う主要ファスナ装置(13)の第2の側縁部上で衣料品の表層材料(45)に水密に固着されている固定された中間条片側(55)と、固定されていない中間条片側(57)とを有しており、中間条片(49)が固定された中間条片側(55)を中心にして旋回可能である請求項18から21のいずれか1項記載の衣料品。
【請求項23】
中間条片(49)が主要ファスナ装置(13)に対してほぼ平行に延びており、固定された中間条片(55)と固定されていない中間条片(57)とが、それぞれ中間条片の長手方向側によって形成されており、固定された中間条片の長手方向側(55)が主要ファスナ装置(13)の第2の長手方向側の横で衣料品表層材料(45)に固着されている請求項18から21のいずれか1項記載の衣料品。
【請求項24】
被覆条片(31)と中間条片(49)のうち少なくとも一方が、衣料品の内側から外側に向かって見て上下に重なって条片内側部分(63,67)と、条片外側部分(61,65)と、固定された条片側(51,55)の領域にある条片端末領域とを有している請求項1から23のいずれか1項記載の衣料品。
【請求項25】
条片外側部分(61,65)と条片内側部分(63,67)とがそれぞれ1つの繊維面状形成物によって形成されていて、固定されていない条片側(53,57)の領域では第1の条片継目(69,71)により互いに結合され、固定された条片側(51,55)の領域では第2の条片継目(73,75,77,83)により互いに結合されている請求項24記載の衣料品。
【請求項26】
第2の条片継目(73,75,77,83)が水密である請求項25記載の衣料品。
【請求項27】
被覆条片(31)と中間条片(49)のうち少なくとも一方が、条片内側部分(63,67)と条片外側部分(61,65)との間に配置された中間部(81,87)を有しており、当該中間部(81,87)が条片中間部継目(83,89)により条片内側部分(63,67)に固着された第1の条片中間部端末と、第2の条片継目(73,77)により条片外側部分(61,65)に固着された第2の条片中間部端末とを有している請求項18から26のいずれか1項記載の衣料品。
【請求項28】
条片中間部(81,87)が防水機能層を有している請求項27記載の衣料品。
【請求項29】
機能層が防水性か水蒸気透過性である請求項11から28のいずれか1項記載の衣料品。
【請求項30】
機能層が延伸したポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)からなる層を有している請求項39記載の衣料品。
【請求項31】
条片中間部継目(83,89)が防水接着剤継目を有している請求項27から30のいずれか1項記載の衣料品。
【請求項32】
条片中間部継目(83,89)が防水継目シールテープでシールされた縫目を有している請求項27から31のいずれか1項記載の衣料品。
【請求項33】
第2の条片継目(73,77)が防水継目シールテープ(85,91)でシールされた縫目(75,77)を有している請求項25から32のいずれか1項記載の衣料品。
【請求項34】
通気材料に対して平行に配置された通気絞り機構(111,117,119)を有しており、当該通気絞り機構(111;117,119)が選択により、通気材料の少なくとも部分領域を覆う絞り位置と、通気材料を露出させる絞り解除位置とに移動可能である請求項1から33のいずれか1項記載の衣料品。
【請求項35】
通気絞り機構が通気材料と被覆条片(31)もしくは(設けられている場合は)中間条片(49)との間に配置された絞り条片(111)を有しており、当該絞り条片(111)が通気材料(27,29)の少なくとも部分領域を覆う閉鎖位置と、通気材料(27,29)の少なくとも一部を露出させる開放位置とに移動可能であり、絞り条片(111)が通気材料の空気透過率よりも小さい空気透過率を有する通気絞り材料によって作製されている請求項34記載の衣料品。
【請求項36】
通気絞り材料の最小空気透過率が約30リットル/m2/sと40リットル/m2/sの範囲にある請求項35記載の衣料品。
【請求項37】
通気機構が付加的にポケット、主要ファスナ装置および光を反射する機構の群から選択された少なくとも1つの装置を有している請求項1から36のいずれか1項記載の衣料品。
【請求項38】
互いに向き合う2つの繊維側縁テープ(15a,17a)に固着された閉鎖チェーンを有しており、閉鎖チェーンがスライダ(21)により摺動方向に応じて交互に互いにかみ合って閉じ、およびかみ合いが外れて開き、両側縁テープ(15a,17a)の少なくとも一方が、横断方向延在の少なくとも一部と長手方向延在の少なくとも一部にわたって通気用空気を通す通気材料によって作製されていることによって通気可能に形成されているスライドファスナ。
【請求項39】
通気材料の最小空気透過率が30リットル/m2/s以上である請求項38記載のスライドファスナ。
【請求項40】
通気材料が網状またはメッシュ状の材料で形成されている請求項38または39記載のスライドファスナ。
【請求項41】
通気性のある側縁テープ(15a,17a)が幅方向で異なる材料厚を有しており、しかも閉鎖チェーンを備えた長手方向縁部の領域では材料厚がより大きく、閉鎖チェーンから離れた領域では材料厚がより小さくなっている請求項38から40のいずれか1項記載のスライドファスナ。
【請求項42】
衣料品材料で作製された2つの衣料品部分を互いに向き合う2つの縁部(10,12)で結合するために形成された2つの衣料品側縁部を有する衣料品単位体であって、当該構造単位体が互いに離着可能に結合できる2つのファスナ側縁部を備えた主要ファスナ装置(13)を有しており、当該ファスナ側縁部が両構造単位体縁部のそれぞれ一方と結合されており、しかも両ファスナ側縁部の少なくとも一方が、通気機構を形成する通気材料(27,29)を介して対応する構造単位体と結合されていて、当該通気材料を通して主要ファスナ装置(13)が閉じた状態でも通気用空気を通すことができ、さらに当該構造単位体には被覆条片(31)として形成された補助ファスナ装置が配置されていて、当該被覆条片(31)が通気材料(27,29)の少なくとも一部を覆う閉鎖位置と、被覆条片(31)が通気材料(27,29)の少なくとも一部を露出させる開放位置との間で主要ファスナ装置(13)に対して相対的に移動可能であるようにした衣料品単位体。
【請求項43】
主要ファスナ装置、通気材料および被覆条片(31)が請求項1から34のいずれか1項記載の主要ファスナ装置(13)、通気材料(27,29)および被覆条片(31)に従って形成されている請求項42記載の衣料品単位体。
【請求項44】
請求項16から29に従って形成されて、ファスナ装置、通気材料および被覆条片(31)と結合されている中間条片を有する請求項42または43記載の衣料品単位体。
【請求項45】
請求項30から33に従って形成されて、主要ファスナ装置、通気材料および被覆条片(31)および場合によっては中間条片と結合されている通気絞り機構を有する請求項42から44のいずれか1項記載の衣料品単位体。
【請求項46】
主要ファスナ装置が請求項38から41のいずれか1項記載のスライドファスナを有する請求項42記載の衣料品単位体。
【請求項1】
通気機構を備えた衣料品であって、当該衣料品が主要ファスナ装置(13)と補助ファスナ装置(31)とを有しており、主要ファスナ装置(13)が衣料品材料で作られた2つの衣料品部分の互いに向き合う縁部(10,12)を離着可能に結合するように形成されていて、かつ互いに離着可能に結合できる2つの主要ファスナ側縁部を有しており、これらの主要ファスナ側縁部が両衣料品縁部(10,12)のそれぞれ一方と結合されており、しかも両主要ファスナ側縁部の少なくとも一方が、通気機構を形成する通気材料(27,29)を介して対応する衣料品縁部(10,12)と結合されていて、当該通気材料を通して主要ファスナ装置(13)を閉じた状態でも通気用空気が衣料品の内側に到達できるようになっており、さらに補助ファスナ装置が被覆条片(31)として形成されていて、被覆条片(31)が通気材料(27,29)の少なくとも一部を覆う閉鎖位置と、被覆条片(31)が通気材料(27,29)の少なくとも一部を露出させる開放位置との間で主要ファスナ装置(13)に対して相対的に移動可能であるようにした、通気機構を備えた衣料品。
【請求項2】
被覆条片(31)が1つの部分からなり、閉鎖位置では通気材料(27,29)を完全に覆い、開放位置では完全に露出させるようにした請求項1記載の衣料品。
【請求項3】
被覆条片(31)が複数の部分からなり、その個々の条片部分(117,119)はそれぞれ互いに独立に、通気材料の対応する部分を覆う開放位置と、通気材料の対応する部分を露出させる閉鎖位置とに移動可能であり、その通気性能は幾つの条片部分(117,119)が開放位置にあるかによって決まるようにした請求項1記載の衣料品。
【請求項4】
被覆条片(31)が通気材料(27,29)の外側を覆うようにした請求項1から3のいずれか1項記載の衣料品。
【請求項5】
通気材料(27,29)が空気透過性の繊維面状形成物によって形成されている請求項1から4のいずれか1項記載の衣料品。
【請求項6】
通気材料(27,29)が網状またはメッシュ状の材料を有している請求項5記載の衣料品。
【請求項7】
通気材料(27,29)の空気透過率が30リットル/m2/s以上である請求項1から6のいずれか1項記載の衣料品。
【請求項8】
被覆条片(31)が、主要ファスナ装置(13)の第1側縁部の横で衣料品の表層材料(45)に固着されている固定された被覆条片側(51)と、固定されていない被覆条片側(53)とを有しており、しかも被覆条片(31)が固定された被覆条片側(51)を中心にして開放位置と閉鎖位置との間で旋回可能である請求項1から7のいずれか1項記載の衣料品。
【請求項9】
被覆条片(31)が主要ファスナ装置(13)に対してほぼ平行に延びており、固定された被覆条片側(51)と、固定されていない被覆条片側(53)とがそれぞれ被覆条片の長手方向側によって形成されており、固定された被覆条片の長手方向側が主要ファスナ装置(13)の第1の長手方向側の横で衣料品表層材料(45)に固着されている請求項8記載の衣料品。
【請求項10】
衣料品材料と被覆条片(31)とが防水に形成されていて、被覆条片(31)が衣料品材料に水密に固着されている請求項1から9のいずれか1項記載の衣料品。
【請求項11】
被覆条片(31)が空気透過性の防水材料(45)から作られ、防水機能層を装備されている請求項10記載の衣料品。
【請求項12】
主要ファスナ装置(13)がスライドファスナ、面ファスナ、磁石ファスナおよびスナップファスナの群から選択されている請求項1から11のいずれか1項記載の衣料品。
【請求項13】
主要ファスナ装置(13)がスライドファスナとして形成されており、当該スライドファスナ(13)が互いに向き合う2つの側縁テープ(15,17)を有していて、各々の側縁テープ(15,17)が閉鎖チェーンを付けた第1の長手方向側と、対応する衣料品縁部(10,12)と結合した第2の長手方向側とを有しており、両側縁テープ(15,17)の少なくとも一方の第1の長手方向側と、これに対応する衣料品縁部(10,12)との結合が少なくとも部分的に通気材料(27,29)によって形成されている請求項12記載の衣料品。
【請求項14】
横断方向延在の少なくとも一部と長手方向延在の少なくとも一部にわたって通気材料によって作製されて、スライドファスナ(13)の両側縁テープ(15a,17a)の少なくとも一方が通気可能であるように形成されていることによって、スライドファスナ(13)それ自体が通気機構として形成されている請求項13記載の衣料品。
【請求項15】
固有の通気材料(27,29)を備えていないスライドファスナ(13)を有しており、スライドファスナ(13)の両側縁テープ(15,17)の少なくとも一方の第2の長手方向側が、対応する衣料品縁部(10,12)と通気材料(27,29)を介して結合されている請求項13または14記載の衣料品。
【請求項16】
主要ファスナ装置(13)がジャケット状またはコート状の衣料品の前側開口部を離着可能に閉鎖するために設けられている請求項1から15のいずれか1項記載の衣料品。
【請求項17】
主要ファスナ装置(13)が互いに突き合わせることのできる2つの衣料品部分を離着可能に結合するために設けられている請求項1から16のいずれか1項記載の衣料品。
【請求項18】
被覆条片(31)に対して平行に延びている中間条片(49)を有しており、当該中間条片(49)が閉鎖状態では主要ファスナ装置(13)と被覆条片(31)との間にあり、開放状態では通気材料(27,29)の少なくとも一部を完全に露出させるようにした請求項1から17のいずれか1項記載の衣料品。
【請求項19】
中間条片(49)が1つの部分からなり、開放位置で通気材料(27,29)を完全に
露出させるようにした請求項18記載の衣料品。
【請求項20】
中間条片(49)が複数の部分からなり、その個々の条片部分(117,119)はそれぞれ互いに独立に開放位置に移動でき、そこで通気材料(27,29)のそれぞれ対応する部分を露出させるようにした請求項1記載の衣料品。
【請求項21】
中間条片(49)が防水性に形成されている請求項18から20のいずれか1項記載の衣料品。
【請求項22】
中間条片(49)が、主要ファスナ装置(13)の第1の側縁部と向き合う主要ファスナ装置(13)の第2の側縁部上で衣料品の表層材料(45)に水密に固着されている固定された中間条片側(55)と、固定されていない中間条片側(57)とを有しており、中間条片(49)が固定された中間条片側(55)を中心にして旋回可能である請求項18から21のいずれか1項記載の衣料品。
【請求項23】
中間条片(49)が主要ファスナ装置(13)に対してほぼ平行に延びており、固定された中間条片(55)と固定されていない中間条片(57)とが、それぞれ中間条片の長手方向側によって形成されており、固定された中間条片の長手方向側(55)が主要ファスナ装置(13)の第2の長手方向側の横で衣料品表層材料(45)に固着されている請求項18から21のいずれか1項記載の衣料品。
【請求項24】
被覆条片(31)と中間条片(49)のうち少なくとも一方が、衣料品の内側から外側に向かって見て上下に重なって条片内側部分(63,67)と、条片外側部分(61,65)と、固定された条片側(51,55)の領域にある条片端末領域とを有している請求項1から23のいずれか1項記載の衣料品。
【請求項25】
条片外側部分(61,65)と条片内側部分(63,67)とがそれぞれ1つの繊維面状形成物によって形成されていて、固定されていない条片側(53,57)の領域では第1の条片継目(69,71)により互いに結合され、固定された条片側(51,55)の領域では第2の条片継目(73,75,77,83)により互いに結合されている請求項24記載の衣料品。
【請求項26】
第2の条片継目(73,75,77,83)が水密である請求項25記載の衣料品。
【請求項27】
被覆条片(31)と中間条片(49)のうち少なくとも一方が、条片内側部分(63,67)と条片外側部分(61,65)との間に配置された中間部(81,87)を有しており、当該中間部(81,87)が条片中間部継目(83,89)により条片内側部分(63,67)に固着された第1の条片中間部端末と、第2の条片継目(73,77)により条片外側部分(61,65)に固着された第2の条片中間部端末とを有している請求項18から26のいずれか1項記載の衣料品。
【請求項28】
条片中間部(81,87)が防水機能層を有している請求項27記載の衣料品。
【請求項29】
機能層が防水性か水蒸気透過性である請求項11から28のいずれか1項記載の衣料品。
【請求項30】
機能層が延伸したポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)からなる層を有している請求項39記載の衣料品。
【請求項31】
条片中間部継目(83,89)が防水接着剤継目を有している請求項27から30のいずれか1項記載の衣料品。
【請求項32】
条片中間部継目(83,89)が防水継目シールテープでシールされた縫目を有している請求項27から31のいずれか1項記載の衣料品。
【請求項33】
第2の条片継目(73,77)が防水継目シールテープ(85,91)でシールされた縫目(75,77)を有している請求項25から32のいずれか1項記載の衣料品。
【請求項34】
通気材料に対して平行に配置された通気絞り機構(111,117,119)を有しており、当該通気絞り機構(111;117,119)が選択により、通気材料の少なくとも部分領域を覆う絞り位置と、通気材料を露出させる絞り解除位置とに移動可能である請求項1から33のいずれか1項記載の衣料品。
【請求項35】
通気絞り機構が通気材料と被覆条片(31)もしくは(設けられている場合は)中間条片(49)との間に配置された絞り条片(111)を有しており、当該絞り条片(111)が通気材料(27,29)の少なくとも部分領域を覆う閉鎖位置と、通気材料(27,29)の少なくとも一部を露出させる開放位置とに移動可能であり、絞り条片(111)が通気材料の空気透過率よりも小さい空気透過率を有する通気絞り材料によって作製されている請求項34記載の衣料品。
【請求項36】
通気絞り材料の最小空気透過率が約30リットル/m2/sと40リットル/m2/sの範囲にある請求項35記載の衣料品。
【請求項37】
通気機構が付加的にポケット、主要ファスナ装置および光を反射する機構の群から選択された少なくとも1つの装置を有している請求項1から36のいずれか1項記載の衣料品。
【請求項38】
互いに向き合う2つの繊維側縁テープ(15a,17a)に固着された閉鎖チェーンを有しており、閉鎖チェーンがスライダ(21)により摺動方向に応じて交互に互いにかみ合って閉じ、およびかみ合いが外れて開き、両側縁テープ(15a,17a)の少なくとも一方が、横断方向延在の少なくとも一部と長手方向延在の少なくとも一部にわたって通気用空気を通す通気材料によって作製されていることによって通気可能に形成されているスライドファスナ。
【請求項39】
通気材料の最小空気透過率が30リットル/m2/s以上である請求項38記載のスライドファスナ。
【請求項40】
通気材料が網状またはメッシュ状の材料で形成されている請求項38または39記載のスライドファスナ。
【請求項41】
通気性のある側縁テープ(15a,17a)が幅方向で異なる材料厚を有しており、しかも閉鎖チェーンを備えた長手方向縁部の領域では材料厚がより大きく、閉鎖チェーンから離れた領域では材料厚がより小さくなっている請求項38から40のいずれか1項記載のスライドファスナ。
【請求項42】
衣料品材料で作製された2つの衣料品部分を互いに向き合う2つの縁部(10,12)で結合するために形成された2つの衣料品側縁部を有する衣料品単位体であって、当該構造単位体が互いに離着可能に結合できる2つのファスナ側縁部を備えた主要ファスナ装置(13)を有しており、当該ファスナ側縁部が両構造単位体縁部のそれぞれ一方と結合されており、しかも両ファスナ側縁部の少なくとも一方が、通気機構を形成する通気材料(27,29)を介して対応する構造単位体と結合されていて、当該通気材料を通して主要ファスナ装置(13)が閉じた状態でも通気用空気を通すことができ、さらに当該構造単位体には被覆条片(31)として形成された補助ファスナ装置が配置されていて、当該被覆条片(31)が通気材料(27,29)の少なくとも一部を覆う閉鎖位置と、被覆条片(31)が通気材料(27,29)の少なくとも一部を露出させる開放位置との間で主要ファスナ装置(13)に対して相対的に移動可能であるようにした衣料品単位体。
【請求項43】
主要ファスナ装置、通気材料および被覆条片(31)が請求項1から34のいずれか1項記載の主要ファスナ装置(13)、通気材料(27,29)および被覆条片(31)に従って形成されている請求項42記載の衣料品単位体。
【請求項44】
請求項16から29に従って形成されて、ファスナ装置、通気材料および被覆条片(31)と結合されている中間条片を有する請求項42または43記載の衣料品単位体。
【請求項45】
請求項30から33に従って形成されて、主要ファスナ装置、通気材料および被覆条片(31)および場合によっては中間条片と結合されている通気絞り機構を有する請求項42から44のいずれか1項記載の衣料品単位体。
【請求項46】
主要ファスナ装置が請求項38から41のいずれか1項記載のスライドファスナを有する請求項42記載の衣料品単位体。
【図1】
【図2】
【図2a】
【図2b】
【図2c】
【図3】
【図4a】
【図4b】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図2a】
【図2b】
【図2c】
【図3】
【図4a】
【図4b】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2010−275682(P2010−275682A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−206989(P2010−206989)
【出願日】平成22年9月15日(2010.9.15)
【分割の表示】特願2004−530144(P2004−530144)の分割
【原出願日】平成15年8月13日(2003.8.13)
【出願人】(391018178)ダブリュ.エル.ゴア アンド アソシエーツ,ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (40)
【氏名又は名称原語表記】W.L. GORE & ASSOCIATES, GESELLSCHAFT MIT BESCHRANKTER HAFTUNG
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月15日(2010.9.15)
【分割の表示】特願2004−530144(P2004−530144)の分割
【原出願日】平成15年8月13日(2003.8.13)
【出願人】(391018178)ダブリュ.エル.ゴア アンド アソシエーツ,ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (40)
【氏名又は名称原語表記】W.L. GORE & ASSOCIATES, GESELLSCHAFT MIT BESCHRANKTER HAFTUNG
【Fターム(参考)】
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