通水管の継手
【課題】 合成樹脂製の通水管に係止爪が必要以上に食い込むのを避けて通水管の破断を防ぐことができ、かつ、係止爪が反り返って破壊されるのを防ぐことができる、通水管の継手を提供する。
【解決手段】 継手2は、通水管1が挿入される、第1リング5と第2リング6とを備える。第1リング5は、通水管1を係止する弾性変形可能な係止爪5bを備える。この係止爪5bは、接続方向Pに傾斜するようにして内側に向けて延出されて、その延出された先端部分に通水管1の外面に食い込む爪部5cを有する。第2リング6は、第1リング5よりも、抜脱方向Q側に位置する。この第2リング6は、係止爪5bを受け止める弾性変形可能な規制片6bを備える。この規制片6bは、接続方向Pに傾斜するようにして内側に向けて延出されて、その延出された先端に、通水管1の外面に当接可能な先端部6cを有する。
【解決手段】 継手2は、通水管1が挿入される、第1リング5と第2リング6とを備える。第1リング5は、通水管1を係止する弾性変形可能な係止爪5bを備える。この係止爪5bは、接続方向Pに傾斜するようにして内側に向けて延出されて、その延出された先端部分に通水管1の外面に食い込む爪部5cを有する。第2リング6は、第1リング5よりも、抜脱方向Q側に位置する。この第2リング6は、係止爪5bを受け止める弾性変形可能な規制片6bを備える。この規制片6bは、接続方向Pに傾斜するようにして内側に向けて延出されて、その延出された先端に、通水管1の外面に当接可能な先端部6cを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、合成樹脂製の通水管を接続する継手に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、合成樹脂製の通水管(パイプ)を接続する継手において、通水管が接続される接続部に通水管を保持する保持リングが用いられるものがあった(例えば、特許文献1参照)。図25に示されるように、この保持リング20は、リング状の保持リング本体21と、その保持リング本体21から通水管の挿入方向Tに傾斜するようにして内側に向けて延出されて通水管の外面に食い込む係止爪22、22とからなっていた。そして、係止爪22の先端部近傍には、その先端部よりも低い突部23、23が設けられて、これら突部23、23が、係止爪22が通水管に過剰に食い込むのを規制していた。
【0003】
【特許文献1】特許第2685105号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記従来の継手にあっては、通水管に、挿入方向Tとは反対方向に大きな抜脱力が作用し続けると、係止爪22が通水管に食い込む範囲が、係止爪22の先端部分から突部23にまで拡大して、通水管に亀裂が発生し、その通水管が破断し易くなるという問題があった。
【0005】
また、係止爪22は、通水管が挿入されるときには容易に弾性変形し、通水管に抜脱力が作用するときには、通水管に確実に食い込む必要性があることから、薄板状に形成された。それ故、係止爪22は、強度的に弱く、通水管に大きな抜脱力が作用した際には、係止爪22が反り返るようにして破壊される虞があった。
【0006】
この発明は、上記した従来の欠点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、合成樹脂製の通水管に係止爪が必要以上に食い込むのを避けて通水管の破断を防ぐことができ、かつ、係止爪が反り返って破壊されるのを防ぐことができる、通水管の継手を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係る通水管の継手は、前記目的を達成するために、次の構成からなる。すなわち、
請求項1に記載の発明に係る通水管の継手は、合成樹脂製の通水管が挿入されて接続される接続部を、少なくとも一つ具備してなる。この継手は、前記接続部に、前記通水管との間を止水する止水リングが設けられるとともに、前記通水管が挿入される金属製の、第1リングと第2リングとが隣接して設けられる。ここで、前記第1リングは、リング状の第1リング本体と、その第1リング本体の周方向に複数設けられて前記通水管を係止する弾性変形可能な係止爪とを備える。この係止爪は、前記第1リング本体から、前記通水管が前記接続部に接続される接続方向に傾斜するようにして内側に向けて延出されて、その延出された先端部分に前記通水管の外面に食い込む爪部を有する。また、前記第2リングは、前記第1リングよりも、前記通水管が前記接続部から抜け出る抜脱方向側に位置する。そして、前記第2リングは、リング状の第2リング本体と、その第2リング本体の周方向に複数設けられて、前記抜脱方向へ撓む前記係止爪を受け止めてその撓みを規制する弾性変形可能な規制片とを備える。この規制片は、前記第2リング本体から前記接続方向に傾斜するようにして内側に向けて、前記係止爪の高さよりも低い位置まで延出されて、その延出された先端に、前記通水管の外面に当接可能な先端部を有する。
【0008】
この継手によると、第1リングにおける、通水管の外面に食い込む爪部を有する係止爪とか、第2リングにおける、通水管の外面に当接可能な先端部を有する規制片は、弾性変形可能であって、通水管の接続方向に傾斜するようにして内側に向けて延出されているため、通水管を接続部に接続するにあたって、その通水管を接続部に挿入すると、その通水管は、第1リングおよび第2リングの内側を、少なくとも係止爪を倒すようにして容易に押し進むことができる。そこで、接続部に挿入された通水管に、水圧とか外力によって抜脱方向の力が作用すると、接続方向に倒された係止爪が、抜脱方向に復帰するように撓んで起立ぎみとなり、その係止爪の先端部分の爪部が通水管の外面に食い込む。このとき、第1リングよりも抜脱方向側に位置する第2リングの規制片が、抜脱方向に復帰するように撓んで起立ぎみとなった係止爪を受け止めてその撓みを規制する。そして、係止爪を抜脱方向で受け止めた規制片は、弾性変形可能であるが、抜脱方向へ撓むことなく通水管の外面に当接するか、あるいは、係止爪に押されて抜脱方向へ撓むことで起立ぎみとなって通水管の外面に当接すると、その規制片の抜脱方向への撓みが制限される。このため、規制片は、係止爪を強固に受け止めてその係止爪の撓みを確実に規制することができる。さらに、少なくとも通水管に水圧とか外力によって抜脱方向の力が作用したときには、弾性変形可能な規制片が通水管の外面に当接することから、すなわち規制片が通水管の外面に達するまで延出されることから、その規制片は、係止爪をその先端側の最大位置まで受け止める。
【0009】
また、請求項2に記載の発明に係る通水管の継手は、合成樹脂製の通水管が外側に嵌め込まれて接続される接続部を、少なくとも一つ具備してなる。この継手は、前記接続部に、前記通水管との間を止水する止水リングが設けられるとともに、前記通水管が外側に嵌められる金属製の、第1リングと第2リングとが隣接して設けられる。ここで、前記第1リングは、リング状の第1リング本体と、その第1リング本体の周方向に複数設けられて前記通水管を係止する弾性変形可能な係止爪とを備える。この係止爪は、前記第1リング本体から、前記通水管が前記接続部に接続される接続方向に傾斜するようにして外側に向けて延出されて、その延出された先端部分に前記通水管の内面に食い込む爪部を有する。また、前記第2リングは、前記第1リングよりも、前記通水管が前記接続部から抜け出る抜脱方向側に位置する。そして、前記第2リングは、リング状の第2リング本体と、その第2リング本体の周方向に複数設けられて、前記抜脱方向へ撓む前記係止爪を受け止めてその撓みを規制する弾性変形可能な規制片とを備える。この規制片は、前記第2リング本体から前記接続方向に傾斜するようにして外側に向けて、前記係止爪の高さよりも低い位置まで延出されて、その延出された先端に、前記通水管の内面に当接可能な先端部を有する。
【0010】
この継手によると、第1リングにおける、通水管の内面に食い込む爪部を有する係止爪とか、第2リングにおける、通水管の内面に当接可能な先端部を有する規制片は、弾性変形可能であって、通水管の接続方向に傾斜するようにして外側に向けて延出されているため、通水管を接続部に接続するにあたって、その通水管を接続部の外側に嵌め込むと、その通水管は、第1リングおよび第2リングの外側を、少なくとも係止爪を倒すようにして容易に押し進むことができる。そこで、接続部に嵌め込まれた通水管に、水圧とか外力によって抜脱方向の力が作用すると、接続方向に倒された係止爪が、抜脱方向に復帰するように撓んで起立ぎみとなり、その係止爪の先端部分の爪部が通水管の内面に食い込む。このとき、第1リングよりも抜脱方向側に位置する第2リングの規制片が、抜脱方向に復帰するように撓んで起立ぎみとなった係止爪を受け止めてその撓みを規制する。そして、係止爪を抜脱方向で受け止めた規制片は、弾性変形可能であるが、抜脱方向へ撓むことなく通水管の内面に当接するか、あるいは、係止爪に押されて抜脱方向へ撓むことで起立ぎみとなって通水管の内面に当接すると、その規制片の抜脱方向への撓みが制限される。このため、規制片は、係止爪を強固に受け止めてその係止爪の撓みを確実に規制することができる。さらに、少なくとも通水管に水圧とか外力によって抜脱方向の力が作用したときには、弾性変形可能な規制片が通水管の内面に当接することから、すなわち規制片が通水管の内面に達するまで延出されることから、その規制片は、係止爪をその先端側の最大位置まで受け止める。
【0011】
また、請求項3に記載の発明に係る通水管の継手のように、請求項1または2に記載の継手において、前記規制片における前記先端部は、前記爪部よりも、周方向において幅広に形成されるのが望ましい。このように、規制片の先端部を幅広に形成することで、この先端部が通水管に食い込むのを的確に避けることができる。
【発明の効果】
【0012】
この発明に係る通水管の継手によれば、次の効果がある。
【0013】
請求項1に記載された通水管の継手によれば、合成樹脂製の通水管の外面に当接して撓みが制限された規制片は、係止爪を強固に受け止めてその係止爪の撓みを確実に規制するため、通水管に係止爪が必要以上に食い込むのを避けて通水管の破断を防ぐことができる。しかも、規制片が、通水管の外面に当接して、係止爪をその先端側の最大位置まで受け止めるため、係止爪が反り返って破壊されるのを防ぐことができる。
【0014】
また、請求項2に記載された通水管の継手によれば、合成樹脂製の通水管の内面に当接して撓みが制限された規制片は、係止爪を強固に受け止めてその係止爪の撓みを確実に規制するため、通水管に係止爪が必要以上に食い込むのを避けて通水管の破断を防ぐことができる。しかも、規制片が、通水管の内面に当接して、係止爪をその先端側の最大位置まで受け止めるため、係止爪が反り返って破壊されるのを防ぐことができる。
【0015】
また、請求項3に記載された通水管の継手によれば、加えて、規制片の先端部を爪部よりも幅広に形成することで、この先端部が通水管に食い込むのを的確に避けることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、この発明に係る通水管の継手を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。
【0017】
図1〜図12は、本発明の第一の実施の形態を示す。図中符号1は、配管材としての、可撓性を有する合成樹脂製の通水管であり、例えば、架橋ポリエチレンとかポリブデン等の合成樹脂管からなる。2は、前記通水管1の継手である。
【0018】
この継手2は、通水管1が挿入されて接続される接続部3を、少なくとも一つ具備する。そこで、この接続部3に、通水管1との間を止水する止水リング4が設けられるとともに、通水管1が挿入される金属製の、第1リング5と第2リング6とが隣接して設けられる。ここにおいて、第1リング5は、リング状の第1リング本体5aと、その第1リング本体5aの周方向に複数設けられて通水管1を係止する弾性変形可能な係止爪5bとを備える。そして、係止爪5bは、第1リング本体5aから、通水管1が接続部3に接続される接続方向P(つまり、通水管1が接続部3に挿入される挿入方向)に傾斜するようにして内側に向けて延出されて、その延出された先端部分に通水管1の外面に食い込む爪部5cを有する。また、第2リング6は、第1リング5よりも、通水管1が接続部3から抜け出る抜脱方向Q側に位置する。この第2リング6は、リング状の第2リング本体6aと、その第2リング本体6aの周方向に複数設けられて、前記抜脱方向Qへ撓む係止爪5bを受け止めてその撓みを規制する弾性変形可能な規制片6bとを備える。そして、規制片6bは、第2リング本体6aから前記接続方向Pに傾斜するようにして内側に向けて、前記係止爪5bの高さよりも低い位置まで延出されて、その延出された先端に、前記通水管1の外面に当接可能な先端部6cを有する。図示実施の形態においては、この先端部6cは、前記爪部5cよりも、周方向において幅広に形成されている。
【0019】
具体的には、継手2は、継手本体2aと、前記止水リング4と、その止水リング4を抜け止めするストッパー7と、前記第1および第2リング5、6と、それら第1および第2リング5、6を前記ストッパー7とで挟んで保持する保持体としての袋ナット8とからなる。そして、継手2には、一方側に前記接続部3が設けられ、他方側に他の接続部11が設けられる。
【0020】
継手本体2aは、水が通るように筒状に形成されて、その一方側は、前記接続部3を構成する接続基部3aとなっている。この接続基部3aは、その内側が、通水管1の端部部分が収容される収容空間3bとなっており、その収容空間3bの奥端には、通水管1の所定以上の進入を止めるための段部3cが設けられている。そして、接続基部3aの口元内面には、先端に開放するようにして前記止水リング4が嵌まる凹部3dが形成されている。また、接続基部3aの外面には、雄ねじ3eが螺設されている。
【0021】
ストッパー7は、リング状に形成されて、接続基部3aの口元端面に突き当てられるストッパー本体7aと、そのストッパー本体7aから延出されて凹部3dに嵌まる突部7bとからなる。そして、この突部7bによって止水リング4が抜け止めされる。また、ストッパー本体7aの内面は、第1リング5の係止爪5bとか第2リング6の規制片6bを逃がすために、前記抜脱方向Q側ほど広がるテーパー状に形成されている。
【0022】
第1リング5は、図9および図10に示すように、前記第1リング本体5aが平板リング状に形成されて、前記係止爪5bが、第1リング本体5aの周方向に並ぶようにして、複数(図示実施の形態においては、16個)設けられている。係止爪5bは、第1リング本体5aの内周から延設されて、先端側ほど幅狭となる略三角形状をして、先端は、円弧状に形成されている。第2リング6は、図11および図12に示すように、前記第2リング本体6aが平板リング状に形成されて、前記規制片6bが、第2リング本体6aの周方向に並ぶようにして、複数(図示実施の形態においては、8個)設けられている。規制片6bは、第2リング本体6aの内周から延設されて、各規制片6b、6bは、互いがスリット6dによって分離される。そして、規制片6bの先端は、接続部3の軸心3fを中心とする円弧形状をして、その先端の全体が前記先端部6cを構成している。
【0023】
これら第1リング5と第2リング6とは、それらの係止爪5bと規制片6bとが前記接続方向Pに傾斜するように、かつ、第1リング5が前記接続方向P側となるように、重ねられて、第1リング本体5aがストッパー7の先端面に当接するように配置される。
【0024】
袋ナット8は、ナット本体8aと底壁8bとからなり、その底壁8bに、通水管1が通る孔8cが明けられている。そして、袋ナット8は、底壁8bで第2リング本体6aを押えるように、接続基部3aの雄ねじ3eにねじ込まれる。こうして、接続基部3aに、止水リング4と、ストッパー7と、第1および第2リング5、6と、袋ナット8とが組み付けられ、これら、接続基部3aと止水リング4とストッパー7と第1および第2リング5、6と袋ナット8とで、前記接続部3が形成される。なお、通水管1を接続部3に接続する前に、予め、通水管1の先端部分には筒状のインコア9が挿入される。
【0025】
また、継手本体2aの他方側は、前記他の接続部11となって、雄ねじ11aが螺設されている。そして、この他の接続部11が、例えば、金属製等の給水管とか、水栓とか、ヘッダー等に接続される。
【0026】
次に、第一の実施の形態に示す継手2の作用効果について説明する。この継手2によると、第1リング5における、合成樹脂製の通水管1の外面に食い込む爪部5cを有する係止爪5bとか、第2リング6における、通水管1の外面に当接可能な先端部6cを有する規制片6bは、弾性変形可能であって、通水管1の接続方向Pに傾斜するようにして内側に向けて延出されている。このため、通水管1を接続部3に接続するにあたって、その通水管1を接続部3に前記接続方向Pに向けて挿入すると、その通水管1は、第1リング5および第2リング6の内側を、少なくとも係止爪5bを倒すようにして(場合によっては、係止爪5bに加えて規制片6bを倒すようにして)容易に押し進むことができる(図4、図5参照)。そこで、接続部3に挿入された通水管1に、水圧とか外力によって抜脱方向Qの力が作用すると、接続方向Pに倒された係止爪5bが、抜脱方向Qに復帰するように撓んで起立ぎみとなり、その係止爪5bの先端部分の爪部5cが通水管1の外面に食い込む(図6〜図8参照)。
【0027】
このとき、第1リング5よりも抜脱方向Q側に位置する第2リング6の規制片6bが、抜脱方向Qに復帰するように撓んで起立ぎみとなった係止爪5bを受け止めてその撓みを規制する。そして、係止爪5bを抜脱方向Qで受け止めた規制片6bは、弾性変形可能であるが、抜脱方向Qへ撓むことなく通水管1の外面に当接するか、あるいは、係止爪5bに押されて抜脱方向Qへ撓むことで起立ぎみとなって通水管1の外面に当接すると、その規制片6bの抜脱方向Qへの撓みが制限される。このため、規制片6bは、係止爪5bを強固に受け止めてその係止爪5bの撓みを確実に規制することができる。ここにおいて、規制片6bは、弾性変形可能であることから、通水管1の外径寸法のバラツキを吸収して通水管1の外面に当接する。また、ここにおいて、規制片6bの先端部6cは、爪部5cよりも、周方向において幅広に形成されており、これによって、この先端部6cが通水管1の外面に食い込むのを的確に避けることができ、この先端部6cは、係止爪5bの撓みをより確実に規制することができる。そして、このように、合成樹脂製の通水管1の外面に当接して撓みが制限された規制片6bは、係止爪5bを強固に受け止めてその係止爪5bの撓みを確実に規制するため、通水管1に係止爪5bが必要以上に食い込むのを避けて通水管1の破断を防ぐことができる。さらに、少なくとも通水管1に水圧とか外力によって抜脱方向Qの力が作用したときには、弾性変形可能な規制片6bが通水管1の外面に当接することから、すなわち規制片6bが通水管1の外面に達するまで延出されることから、その規制片6bは、係止爪5bをその先端側の最大位置まで受け止め、このため、係止爪5bが反り返って破壊されるのを防ぐことができる。
【0028】
図13〜図24は、本発明の第二の実施の形態を示す。この実施の形態にあっては、第一の実施の形態とは、通水管1の係止される面が異なるが、基本的な構造は同様であり、以下に、同様の部位には同一の符号を付して説明する。
【0029】
配管材としての、可撓性を有する合成樹脂製の通水管1は、例えば、架橋ポリエチレンとかポリブデン等の合成樹脂管からなる。
【0030】
継手2は、通水管1が外側に嵌め込まれて接続される接続部3を、少なくとも一つ具備する。そこで、この接続部3に、通水管1との間を止水する止水リング4が設けられるとともに、通水管1が外側に嵌められる金属製の、第1リング5と第2リング6とが隣接して設けられる。ここにおいて、第1リング5は、リング状の第1リング本体5aと、その第1リング本体5aの周方向に複数設けられて通水管1を係止する弾性変形可能な係止爪5bとを備える。そして、係止爪5bは、第1リング本体5aから、通水管1が接続部3に接続される接続方向P(つまり、通水管1が接続部3に嵌め込まれる嵌込方向)に傾斜するようにして外側に向けて延出されて、その延出された先端部分に通水管1の内面に食い込む爪部5cを有する。また、第2リング6は、第1リング5よりも、通水管1が接続部3から抜け出る抜脱方向Q側に位置する。この第2リング6は、リング状の第2リング本体6aと、その第2リング本体6aの周方向に複数設けられて、前記抜脱方向Qへ撓む係止爪5bを受け止めてその撓みを規制する弾性変形可能な規制片6bとを備える。そして、規制片6bは、第2リング本体6aから前記接続方向Pに傾斜するようにして外側に向けて、前記係止爪5bの高さよりも低い位置まで延出されて、その延出された先端に、前記通水管1の内面に当接可能な先端部6cを有する。図示実施の形態においては、この先端部6cは、前記爪部5cよりも、周方向において幅広に形成されている。
【0031】
具体的には、継手2は、継手本体2aと、前記止水リング4と、前記第1および第2リング5、6と、それら第1および第2リング5、6を継手本体2aとで挟んで保持する保持体としての袋ナット8とからなる。そして、継手2には、一方側に前記接続部3が設けられ、他方側に他の接続部11が設けられる。
【0032】
継手本体2aは、水が通るように筒状に形成されて、その一方側は、前記接続部3を構成する接続基部3aとなっている。この接続基部3aは、その外側が、通水管1の端部部分が収容される収容空間3bとなっており、その収容空間3bの奥端には、通水管1の所定以上の進入を止めるための段部3cが設けられている。そして、接続基部3aの外面には、奥側に、前記止水リング4が嵌まる凹部3d、3dが形成され、接続基部3aの口元部分3gは、外面が径小に形成されている。そして、この口元部分3gの外側奥端が、第1リング5を止めるための段部3hとなり、また、口元部分3gの外面には、雄ねじ3eが螺設されている。
【0033】
第1リング5は、図21および図22に示すように、前記第1リング本体5aが平板リング状に形成されて、前記係止爪5bが、第1リング本体5aの周方向に並ぶようにして、複数(図示実施の形態においては、16個)設けられている。係止爪5bは、第1リング本体5aの外周から延設されて、先端側ほど幅狭となる略三角形状をして、先端は、円弧状に形成されている。第2リング6は、図23および図24に示すように、前記第2リング本体6aが平板リング状に形成されて、前記規制片6bが、第2リング本体6aの周方向に並ぶようにして、複数(図示実施の形態においては、8個)設けられている。規制片6bは、第2リング本体6aの外周から延設されて、各規制片6b、6bは、互いがスリット6dによって分離される。そして、規制片6bの先端は、接続部3の軸心3fを中心とする円弧形状をして、その先端の全体が前記先端部6cを構成している。
【0034】
これら第1リング5と第2リング6とは、それらの係止爪5bと規制片6bとが前記接続方向Pに傾斜するように、かつ、第1リング5が前記接続方向P側となるように、重ねられて、第1リング本体5aが段部3hに当接するように配置される。
【0035】
袋ナット8は、ナット本体8aと底壁8bとからなり、その底壁8bに、水が通る孔8cが明けられている。そして、袋ナット8は、ナット本体8aで第2リング本体6aを押えるように、接続基部3aにおける雄ねじ3eにねじ込まれる。こうして、接続基部3aに、止水リング4、4と、第1および第2リング5、6と、袋ナット8とが組み付けられ、これら、接続基部3aと止水リング4、4と第1および第2リング5、6と袋ナット8とで、前記接続部3が形成される。なお、図示実施の形態においては、接続部3には、通水管1を覆って保護する保護筒10が設けられてる。この保護筒10は、通水管1を接続部3に接続する前に、予め、接続部3に取り付けられる。詳細には、接続部3には、収容空間3bよりも奥側に、径大となった取付部3iが形成されており、保護筒10は、その端部部分が取付部3iに嵌め込まれるようにして取付固定される。
【0036】
また、継手本体2aの他方側は、前記他の接続部11となって、雄ねじ11aが螺設されている。そして、この他の接続部11が、例えば、金属製等の給水管とか、水栓とか、ヘッダー等に接続される。
【0037】
次に、第二の実施の形態に示す継手2の作用効果について説明する。この継手2によると、第1リング5における、合成樹脂製の通水管1の内面に食い込む爪部5cを有する係止爪5bとか、第2リング6における、通水管1の内面に当接可能な先端部6cを有する規制片6bは、弾性変形可能であって、通水管1の接続方向Pに傾斜するようにして外側に向けて延出されている。このため、通水管1を接続部3に接続するにあたって、その通水管1を接続部3の外側に前記接続方向Pに向けて嵌め込むと、その通水管1は、第1リング5および第2リング6の外側を、少なくとも係止爪5bを倒すようにして(場合によっては、係止爪5bに加えて規制片6bを倒すようにして)容易に押し進むことができる(図16、図17参照)。そこで、接続部3に嵌め込まれた通水管1に、水圧とか外力によって抜脱方向Qの力が作用すると、接続方向Pに倒された係止爪5bが、抜脱方向Qに復帰するように撓んで起立ぎみとなり、その係止爪5bの先端部分の爪部5cが通水管1の内面に食い込む(図18〜図20参照)。
【0038】
このとき、第1リング5よりも抜脱方向Q側に位置する第2リング6の規制片6bが、抜脱方向Qに復帰するように撓んで起立ぎみとなった係止爪5bを受け止めてその撓みを規制する。そして、係止爪5bを抜脱方向Qで受け止めた規制片6bは、弾性変形可能であるが、抜脱方向Qへ撓むことなく通水管1の内面に当接するか、あるいは、係止爪5bに押されて抜脱方向Qへ撓むことで起立ぎみとなって通水管1の内面に当接すると、その規制片6bの抜脱方向Qへの撓みが制限される。このため、規制片6bは、係止爪5bを強固に受け止めてその係止爪5bの撓みを確実に規制することができる。ここにおいて、規制片6bは、弾性変形可能であることから、通水管1の内径寸法のバラツキを吸収して通水管1の内面に当接する。また、ここにおいて、規制片6bの先端部6cは、爪部5cよりも、周方向において幅広に形成されており、これによって、この先端部6cが通水管1の内面に食い込むのを的確に避けることができ、この先端部6cは、係止爪5bの撓みをより確実に規制することができる。そして、このように、合成樹脂製の通水管1の内面に当接して撓みが制限された規制片6bは、係止爪5bを強固に受け止めてその係止爪5bの撓みを確実に規制するため、通水管1に係止爪5bが必要以上に食い込むのを避けて通水管1の破断を防ぐことができる。さらに、少なくとも通水管1に水圧とか外力によって抜脱方向Qの力が作用したときには、弾性変形可能な規制片6bが通水管1の内面に当接することから、すなわち規制片6bが通水管1の内面に達するまで延出されることから、その規制片6bは、係止爪5bをその先端側の最大位置まで受け止め、このため、係止爪5bが反り返って破壊されるのを防ぐことができる。
【0039】
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるわけではなく、その他種々の変更が可能である。例えば、継手2には、一方側に接続部3が設けられ、他方側に他の接続部11が設けられているが、両側に接続部3が設けられてもよい。また、継手本体2aを分岐するように形成することで、継手2に、接続部3が三つ以上設けられてもよい。
【0040】
また、第1リング5と第2リング6とは、隣接して設けられるが、それらの少なくとも係止爪5bと規制片6bとが近接あるいは接触するようにして配置されるのであれば、第1リング本体5aと第2リング本体6aとが離れるようにして配置されても構わない。
【0041】
また、第1リング5と第2リング6との組において、例えば、第2リング6を一個用いる以外に、複数個重ねて用いてもよい。また、接続部3において、この第1リング5と第2リング6との組を、一組設ける以外に、複数組設けても構わない。
【0042】
また、第1リング5では、係止爪5bが、略三角形状に形成されて、その先端部分が爪部5cとなっているが、係止爪5bにおける爪部5cよりも基端側を幅広に形成することで、爪部5cの両側あるいは一方側に、通水管1(第一の実施の形態では、通水管1の外面、第二の実施の形態では、通水管1の内面)に当接する段部を設けてもよい。
【0043】
また、第2リング6では、規制片6bにおいて、その先端の全体が、通水管1(第一の実施の形態では、通水管1の外面、第二の実施の形態では、通水管1の内面)に当接可能な先端部6cを構成しているが、先端部6cから僅かに突出して(詳細には、爪部5cの高さに達しないように突出して)、通水管1(第一の実施の形態では、通水管1の外面、第二の実施の形態では、通水管1の内面)に食い込む突部を設けてもよい。
【0044】
また、接続部3における止水リング4は、第一の実施の形態では一つ設けられ、第二の実施の形態では二つ設けられているが、止水リング4の数は、一つとか二つに限定されるものではなく、必要に応じて幾つ設けられても構わない。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】この発明の第一の実施の形態の、継手に通水管を接続する前の断面図である。
【図2】同じく、図1におけるA部拡大図である。
【図3】同じく、図1におけるB−B線による断面図である。
【図4】同じく、継手に通水管を接続する途中の断面図である。
【図5】同じく、図4におけるC部拡大図である。
【図6】同じく、継手に通水管を接続して、通水管に抜脱方向の力が作用したときの断面図である。
【図7】同じく、図6におけるD部拡大図である。
【図8】同じく、図6におけるE−E線による断面図である。
【図9】同じく、第1リングの拡大平面図である。
【図10】同じく、図9におけるF−F線による拡大断面図である。
【図11】同じく、第2リングの拡大平面図である。
【図12】同じく、図11におけるG−G線による拡大断面図である。
【図13】この発明の第二の実施の形態の、継手に通水管を接続する前の断面図である。
【図14】同じく、図13におけるH部拡大図である。
【図15】同じく、図13におけるI−I線による断面図である。
【図16】同じく、継手に通水管を接続する途中の断面図である。
【図17】同じく、図16におけるJ部拡大図である。
【図18】同じく、継手に通水管を接続して、通水管に抜脱方向の力が作用したときの断面図である。
【図19】同じく、図18におけるK部拡大図である。
【図20】同じく、図18におけるL−L線による断面図である。
【図21】同じく、第1リングの拡大平面図である。
【図22】同じく、図21におけるM−M線による拡大断面図である。
【図23】同じく、第2リングの拡大平面図である。
【図24】同じく、図23におけるN−N線による拡大断面図である。
【図25】従来の継手の保持リングを示す斜視図である。
【符号の説明】
【0046】
1 通水管
2 継手
3 接続部
4 止水リング
5 第1リング
5a 第1リング本体
5b 係止爪
5c 爪部
6 第2リング
6a 第2リング本体
6b 規制片
6c 先端部
P 接続方向
Q 抜脱方向
【技術分野】
【0001】
この発明は、合成樹脂製の通水管を接続する継手に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、合成樹脂製の通水管(パイプ)を接続する継手において、通水管が接続される接続部に通水管を保持する保持リングが用いられるものがあった(例えば、特許文献1参照)。図25に示されるように、この保持リング20は、リング状の保持リング本体21と、その保持リング本体21から通水管の挿入方向Tに傾斜するようにして内側に向けて延出されて通水管の外面に食い込む係止爪22、22とからなっていた。そして、係止爪22の先端部近傍には、その先端部よりも低い突部23、23が設けられて、これら突部23、23が、係止爪22が通水管に過剰に食い込むのを規制していた。
【0003】
【特許文献1】特許第2685105号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記従来の継手にあっては、通水管に、挿入方向Tとは反対方向に大きな抜脱力が作用し続けると、係止爪22が通水管に食い込む範囲が、係止爪22の先端部分から突部23にまで拡大して、通水管に亀裂が発生し、その通水管が破断し易くなるという問題があった。
【0005】
また、係止爪22は、通水管が挿入されるときには容易に弾性変形し、通水管に抜脱力が作用するときには、通水管に確実に食い込む必要性があることから、薄板状に形成された。それ故、係止爪22は、強度的に弱く、通水管に大きな抜脱力が作用した際には、係止爪22が反り返るようにして破壊される虞があった。
【0006】
この発明は、上記した従来の欠点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、合成樹脂製の通水管に係止爪が必要以上に食い込むのを避けて通水管の破断を防ぐことができ、かつ、係止爪が反り返って破壊されるのを防ぐことができる、通水管の継手を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係る通水管の継手は、前記目的を達成するために、次の構成からなる。すなわち、
請求項1に記載の発明に係る通水管の継手は、合成樹脂製の通水管が挿入されて接続される接続部を、少なくとも一つ具備してなる。この継手は、前記接続部に、前記通水管との間を止水する止水リングが設けられるとともに、前記通水管が挿入される金属製の、第1リングと第2リングとが隣接して設けられる。ここで、前記第1リングは、リング状の第1リング本体と、その第1リング本体の周方向に複数設けられて前記通水管を係止する弾性変形可能な係止爪とを備える。この係止爪は、前記第1リング本体から、前記通水管が前記接続部に接続される接続方向に傾斜するようにして内側に向けて延出されて、その延出された先端部分に前記通水管の外面に食い込む爪部を有する。また、前記第2リングは、前記第1リングよりも、前記通水管が前記接続部から抜け出る抜脱方向側に位置する。そして、前記第2リングは、リング状の第2リング本体と、その第2リング本体の周方向に複数設けられて、前記抜脱方向へ撓む前記係止爪を受け止めてその撓みを規制する弾性変形可能な規制片とを備える。この規制片は、前記第2リング本体から前記接続方向に傾斜するようにして内側に向けて、前記係止爪の高さよりも低い位置まで延出されて、その延出された先端に、前記通水管の外面に当接可能な先端部を有する。
【0008】
この継手によると、第1リングにおける、通水管の外面に食い込む爪部を有する係止爪とか、第2リングにおける、通水管の外面に当接可能な先端部を有する規制片は、弾性変形可能であって、通水管の接続方向に傾斜するようにして内側に向けて延出されているため、通水管を接続部に接続するにあたって、その通水管を接続部に挿入すると、その通水管は、第1リングおよび第2リングの内側を、少なくとも係止爪を倒すようにして容易に押し進むことができる。そこで、接続部に挿入された通水管に、水圧とか外力によって抜脱方向の力が作用すると、接続方向に倒された係止爪が、抜脱方向に復帰するように撓んで起立ぎみとなり、その係止爪の先端部分の爪部が通水管の外面に食い込む。このとき、第1リングよりも抜脱方向側に位置する第2リングの規制片が、抜脱方向に復帰するように撓んで起立ぎみとなった係止爪を受け止めてその撓みを規制する。そして、係止爪を抜脱方向で受け止めた規制片は、弾性変形可能であるが、抜脱方向へ撓むことなく通水管の外面に当接するか、あるいは、係止爪に押されて抜脱方向へ撓むことで起立ぎみとなって通水管の外面に当接すると、その規制片の抜脱方向への撓みが制限される。このため、規制片は、係止爪を強固に受け止めてその係止爪の撓みを確実に規制することができる。さらに、少なくとも通水管に水圧とか外力によって抜脱方向の力が作用したときには、弾性変形可能な規制片が通水管の外面に当接することから、すなわち規制片が通水管の外面に達するまで延出されることから、その規制片は、係止爪をその先端側の最大位置まで受け止める。
【0009】
また、請求項2に記載の発明に係る通水管の継手は、合成樹脂製の通水管が外側に嵌め込まれて接続される接続部を、少なくとも一つ具備してなる。この継手は、前記接続部に、前記通水管との間を止水する止水リングが設けられるとともに、前記通水管が外側に嵌められる金属製の、第1リングと第2リングとが隣接して設けられる。ここで、前記第1リングは、リング状の第1リング本体と、その第1リング本体の周方向に複数設けられて前記通水管を係止する弾性変形可能な係止爪とを備える。この係止爪は、前記第1リング本体から、前記通水管が前記接続部に接続される接続方向に傾斜するようにして外側に向けて延出されて、その延出された先端部分に前記通水管の内面に食い込む爪部を有する。また、前記第2リングは、前記第1リングよりも、前記通水管が前記接続部から抜け出る抜脱方向側に位置する。そして、前記第2リングは、リング状の第2リング本体と、その第2リング本体の周方向に複数設けられて、前記抜脱方向へ撓む前記係止爪を受け止めてその撓みを規制する弾性変形可能な規制片とを備える。この規制片は、前記第2リング本体から前記接続方向に傾斜するようにして外側に向けて、前記係止爪の高さよりも低い位置まで延出されて、その延出された先端に、前記通水管の内面に当接可能な先端部を有する。
【0010】
この継手によると、第1リングにおける、通水管の内面に食い込む爪部を有する係止爪とか、第2リングにおける、通水管の内面に当接可能な先端部を有する規制片は、弾性変形可能であって、通水管の接続方向に傾斜するようにして外側に向けて延出されているため、通水管を接続部に接続するにあたって、その通水管を接続部の外側に嵌め込むと、その通水管は、第1リングおよび第2リングの外側を、少なくとも係止爪を倒すようにして容易に押し進むことができる。そこで、接続部に嵌め込まれた通水管に、水圧とか外力によって抜脱方向の力が作用すると、接続方向に倒された係止爪が、抜脱方向に復帰するように撓んで起立ぎみとなり、その係止爪の先端部分の爪部が通水管の内面に食い込む。このとき、第1リングよりも抜脱方向側に位置する第2リングの規制片が、抜脱方向に復帰するように撓んで起立ぎみとなった係止爪を受け止めてその撓みを規制する。そして、係止爪を抜脱方向で受け止めた規制片は、弾性変形可能であるが、抜脱方向へ撓むことなく通水管の内面に当接するか、あるいは、係止爪に押されて抜脱方向へ撓むことで起立ぎみとなって通水管の内面に当接すると、その規制片の抜脱方向への撓みが制限される。このため、規制片は、係止爪を強固に受け止めてその係止爪の撓みを確実に規制することができる。さらに、少なくとも通水管に水圧とか外力によって抜脱方向の力が作用したときには、弾性変形可能な規制片が通水管の内面に当接することから、すなわち規制片が通水管の内面に達するまで延出されることから、その規制片は、係止爪をその先端側の最大位置まで受け止める。
【0011】
また、請求項3に記載の発明に係る通水管の継手のように、請求項1または2に記載の継手において、前記規制片における前記先端部は、前記爪部よりも、周方向において幅広に形成されるのが望ましい。このように、規制片の先端部を幅広に形成することで、この先端部が通水管に食い込むのを的確に避けることができる。
【発明の効果】
【0012】
この発明に係る通水管の継手によれば、次の効果がある。
【0013】
請求項1に記載された通水管の継手によれば、合成樹脂製の通水管の外面に当接して撓みが制限された規制片は、係止爪を強固に受け止めてその係止爪の撓みを確実に規制するため、通水管に係止爪が必要以上に食い込むのを避けて通水管の破断を防ぐことができる。しかも、規制片が、通水管の外面に当接して、係止爪をその先端側の最大位置まで受け止めるため、係止爪が反り返って破壊されるのを防ぐことができる。
【0014】
また、請求項2に記載された通水管の継手によれば、合成樹脂製の通水管の内面に当接して撓みが制限された規制片は、係止爪を強固に受け止めてその係止爪の撓みを確実に規制するため、通水管に係止爪が必要以上に食い込むのを避けて通水管の破断を防ぐことができる。しかも、規制片が、通水管の内面に当接して、係止爪をその先端側の最大位置まで受け止めるため、係止爪が反り返って破壊されるのを防ぐことができる。
【0015】
また、請求項3に記載された通水管の継手によれば、加えて、規制片の先端部を爪部よりも幅広に形成することで、この先端部が通水管に食い込むのを的確に避けることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、この発明に係る通水管の継手を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。
【0017】
図1〜図12は、本発明の第一の実施の形態を示す。図中符号1は、配管材としての、可撓性を有する合成樹脂製の通水管であり、例えば、架橋ポリエチレンとかポリブデン等の合成樹脂管からなる。2は、前記通水管1の継手である。
【0018】
この継手2は、通水管1が挿入されて接続される接続部3を、少なくとも一つ具備する。そこで、この接続部3に、通水管1との間を止水する止水リング4が設けられるとともに、通水管1が挿入される金属製の、第1リング5と第2リング6とが隣接して設けられる。ここにおいて、第1リング5は、リング状の第1リング本体5aと、その第1リング本体5aの周方向に複数設けられて通水管1を係止する弾性変形可能な係止爪5bとを備える。そして、係止爪5bは、第1リング本体5aから、通水管1が接続部3に接続される接続方向P(つまり、通水管1が接続部3に挿入される挿入方向)に傾斜するようにして内側に向けて延出されて、その延出された先端部分に通水管1の外面に食い込む爪部5cを有する。また、第2リング6は、第1リング5よりも、通水管1が接続部3から抜け出る抜脱方向Q側に位置する。この第2リング6は、リング状の第2リング本体6aと、その第2リング本体6aの周方向に複数設けられて、前記抜脱方向Qへ撓む係止爪5bを受け止めてその撓みを規制する弾性変形可能な規制片6bとを備える。そして、規制片6bは、第2リング本体6aから前記接続方向Pに傾斜するようにして内側に向けて、前記係止爪5bの高さよりも低い位置まで延出されて、その延出された先端に、前記通水管1の外面に当接可能な先端部6cを有する。図示実施の形態においては、この先端部6cは、前記爪部5cよりも、周方向において幅広に形成されている。
【0019】
具体的には、継手2は、継手本体2aと、前記止水リング4と、その止水リング4を抜け止めするストッパー7と、前記第1および第2リング5、6と、それら第1および第2リング5、6を前記ストッパー7とで挟んで保持する保持体としての袋ナット8とからなる。そして、継手2には、一方側に前記接続部3が設けられ、他方側に他の接続部11が設けられる。
【0020】
継手本体2aは、水が通るように筒状に形成されて、その一方側は、前記接続部3を構成する接続基部3aとなっている。この接続基部3aは、その内側が、通水管1の端部部分が収容される収容空間3bとなっており、その収容空間3bの奥端には、通水管1の所定以上の進入を止めるための段部3cが設けられている。そして、接続基部3aの口元内面には、先端に開放するようにして前記止水リング4が嵌まる凹部3dが形成されている。また、接続基部3aの外面には、雄ねじ3eが螺設されている。
【0021】
ストッパー7は、リング状に形成されて、接続基部3aの口元端面に突き当てられるストッパー本体7aと、そのストッパー本体7aから延出されて凹部3dに嵌まる突部7bとからなる。そして、この突部7bによって止水リング4が抜け止めされる。また、ストッパー本体7aの内面は、第1リング5の係止爪5bとか第2リング6の規制片6bを逃がすために、前記抜脱方向Q側ほど広がるテーパー状に形成されている。
【0022】
第1リング5は、図9および図10に示すように、前記第1リング本体5aが平板リング状に形成されて、前記係止爪5bが、第1リング本体5aの周方向に並ぶようにして、複数(図示実施の形態においては、16個)設けられている。係止爪5bは、第1リング本体5aの内周から延設されて、先端側ほど幅狭となる略三角形状をして、先端は、円弧状に形成されている。第2リング6は、図11および図12に示すように、前記第2リング本体6aが平板リング状に形成されて、前記規制片6bが、第2リング本体6aの周方向に並ぶようにして、複数(図示実施の形態においては、8個)設けられている。規制片6bは、第2リング本体6aの内周から延設されて、各規制片6b、6bは、互いがスリット6dによって分離される。そして、規制片6bの先端は、接続部3の軸心3fを中心とする円弧形状をして、その先端の全体が前記先端部6cを構成している。
【0023】
これら第1リング5と第2リング6とは、それらの係止爪5bと規制片6bとが前記接続方向Pに傾斜するように、かつ、第1リング5が前記接続方向P側となるように、重ねられて、第1リング本体5aがストッパー7の先端面に当接するように配置される。
【0024】
袋ナット8は、ナット本体8aと底壁8bとからなり、その底壁8bに、通水管1が通る孔8cが明けられている。そして、袋ナット8は、底壁8bで第2リング本体6aを押えるように、接続基部3aの雄ねじ3eにねじ込まれる。こうして、接続基部3aに、止水リング4と、ストッパー7と、第1および第2リング5、6と、袋ナット8とが組み付けられ、これら、接続基部3aと止水リング4とストッパー7と第1および第2リング5、6と袋ナット8とで、前記接続部3が形成される。なお、通水管1を接続部3に接続する前に、予め、通水管1の先端部分には筒状のインコア9が挿入される。
【0025】
また、継手本体2aの他方側は、前記他の接続部11となって、雄ねじ11aが螺設されている。そして、この他の接続部11が、例えば、金属製等の給水管とか、水栓とか、ヘッダー等に接続される。
【0026】
次に、第一の実施の形態に示す継手2の作用効果について説明する。この継手2によると、第1リング5における、合成樹脂製の通水管1の外面に食い込む爪部5cを有する係止爪5bとか、第2リング6における、通水管1の外面に当接可能な先端部6cを有する規制片6bは、弾性変形可能であって、通水管1の接続方向Pに傾斜するようにして内側に向けて延出されている。このため、通水管1を接続部3に接続するにあたって、その通水管1を接続部3に前記接続方向Pに向けて挿入すると、その通水管1は、第1リング5および第2リング6の内側を、少なくとも係止爪5bを倒すようにして(場合によっては、係止爪5bに加えて規制片6bを倒すようにして)容易に押し進むことができる(図4、図5参照)。そこで、接続部3に挿入された通水管1に、水圧とか外力によって抜脱方向Qの力が作用すると、接続方向Pに倒された係止爪5bが、抜脱方向Qに復帰するように撓んで起立ぎみとなり、その係止爪5bの先端部分の爪部5cが通水管1の外面に食い込む(図6〜図8参照)。
【0027】
このとき、第1リング5よりも抜脱方向Q側に位置する第2リング6の規制片6bが、抜脱方向Qに復帰するように撓んで起立ぎみとなった係止爪5bを受け止めてその撓みを規制する。そして、係止爪5bを抜脱方向Qで受け止めた規制片6bは、弾性変形可能であるが、抜脱方向Qへ撓むことなく通水管1の外面に当接するか、あるいは、係止爪5bに押されて抜脱方向Qへ撓むことで起立ぎみとなって通水管1の外面に当接すると、その規制片6bの抜脱方向Qへの撓みが制限される。このため、規制片6bは、係止爪5bを強固に受け止めてその係止爪5bの撓みを確実に規制することができる。ここにおいて、規制片6bは、弾性変形可能であることから、通水管1の外径寸法のバラツキを吸収して通水管1の外面に当接する。また、ここにおいて、規制片6bの先端部6cは、爪部5cよりも、周方向において幅広に形成されており、これによって、この先端部6cが通水管1の外面に食い込むのを的確に避けることができ、この先端部6cは、係止爪5bの撓みをより確実に規制することができる。そして、このように、合成樹脂製の通水管1の外面に当接して撓みが制限された規制片6bは、係止爪5bを強固に受け止めてその係止爪5bの撓みを確実に規制するため、通水管1に係止爪5bが必要以上に食い込むのを避けて通水管1の破断を防ぐことができる。さらに、少なくとも通水管1に水圧とか外力によって抜脱方向Qの力が作用したときには、弾性変形可能な規制片6bが通水管1の外面に当接することから、すなわち規制片6bが通水管1の外面に達するまで延出されることから、その規制片6bは、係止爪5bをその先端側の最大位置まで受け止め、このため、係止爪5bが反り返って破壊されるのを防ぐことができる。
【0028】
図13〜図24は、本発明の第二の実施の形態を示す。この実施の形態にあっては、第一の実施の形態とは、通水管1の係止される面が異なるが、基本的な構造は同様であり、以下に、同様の部位には同一の符号を付して説明する。
【0029】
配管材としての、可撓性を有する合成樹脂製の通水管1は、例えば、架橋ポリエチレンとかポリブデン等の合成樹脂管からなる。
【0030】
継手2は、通水管1が外側に嵌め込まれて接続される接続部3を、少なくとも一つ具備する。そこで、この接続部3に、通水管1との間を止水する止水リング4が設けられるとともに、通水管1が外側に嵌められる金属製の、第1リング5と第2リング6とが隣接して設けられる。ここにおいて、第1リング5は、リング状の第1リング本体5aと、その第1リング本体5aの周方向に複数設けられて通水管1を係止する弾性変形可能な係止爪5bとを備える。そして、係止爪5bは、第1リング本体5aから、通水管1が接続部3に接続される接続方向P(つまり、通水管1が接続部3に嵌め込まれる嵌込方向)に傾斜するようにして外側に向けて延出されて、その延出された先端部分に通水管1の内面に食い込む爪部5cを有する。また、第2リング6は、第1リング5よりも、通水管1が接続部3から抜け出る抜脱方向Q側に位置する。この第2リング6は、リング状の第2リング本体6aと、その第2リング本体6aの周方向に複数設けられて、前記抜脱方向Qへ撓む係止爪5bを受け止めてその撓みを規制する弾性変形可能な規制片6bとを備える。そして、規制片6bは、第2リング本体6aから前記接続方向Pに傾斜するようにして外側に向けて、前記係止爪5bの高さよりも低い位置まで延出されて、その延出された先端に、前記通水管1の内面に当接可能な先端部6cを有する。図示実施の形態においては、この先端部6cは、前記爪部5cよりも、周方向において幅広に形成されている。
【0031】
具体的には、継手2は、継手本体2aと、前記止水リング4と、前記第1および第2リング5、6と、それら第1および第2リング5、6を継手本体2aとで挟んで保持する保持体としての袋ナット8とからなる。そして、継手2には、一方側に前記接続部3が設けられ、他方側に他の接続部11が設けられる。
【0032】
継手本体2aは、水が通るように筒状に形成されて、その一方側は、前記接続部3を構成する接続基部3aとなっている。この接続基部3aは、その外側が、通水管1の端部部分が収容される収容空間3bとなっており、その収容空間3bの奥端には、通水管1の所定以上の進入を止めるための段部3cが設けられている。そして、接続基部3aの外面には、奥側に、前記止水リング4が嵌まる凹部3d、3dが形成され、接続基部3aの口元部分3gは、外面が径小に形成されている。そして、この口元部分3gの外側奥端が、第1リング5を止めるための段部3hとなり、また、口元部分3gの外面には、雄ねじ3eが螺設されている。
【0033】
第1リング5は、図21および図22に示すように、前記第1リング本体5aが平板リング状に形成されて、前記係止爪5bが、第1リング本体5aの周方向に並ぶようにして、複数(図示実施の形態においては、16個)設けられている。係止爪5bは、第1リング本体5aの外周から延設されて、先端側ほど幅狭となる略三角形状をして、先端は、円弧状に形成されている。第2リング6は、図23および図24に示すように、前記第2リング本体6aが平板リング状に形成されて、前記規制片6bが、第2リング本体6aの周方向に並ぶようにして、複数(図示実施の形態においては、8個)設けられている。規制片6bは、第2リング本体6aの外周から延設されて、各規制片6b、6bは、互いがスリット6dによって分離される。そして、規制片6bの先端は、接続部3の軸心3fを中心とする円弧形状をして、その先端の全体が前記先端部6cを構成している。
【0034】
これら第1リング5と第2リング6とは、それらの係止爪5bと規制片6bとが前記接続方向Pに傾斜するように、かつ、第1リング5が前記接続方向P側となるように、重ねられて、第1リング本体5aが段部3hに当接するように配置される。
【0035】
袋ナット8は、ナット本体8aと底壁8bとからなり、その底壁8bに、水が通る孔8cが明けられている。そして、袋ナット8は、ナット本体8aで第2リング本体6aを押えるように、接続基部3aにおける雄ねじ3eにねじ込まれる。こうして、接続基部3aに、止水リング4、4と、第1および第2リング5、6と、袋ナット8とが組み付けられ、これら、接続基部3aと止水リング4、4と第1および第2リング5、6と袋ナット8とで、前記接続部3が形成される。なお、図示実施の形態においては、接続部3には、通水管1を覆って保護する保護筒10が設けられてる。この保護筒10は、通水管1を接続部3に接続する前に、予め、接続部3に取り付けられる。詳細には、接続部3には、収容空間3bよりも奥側に、径大となった取付部3iが形成されており、保護筒10は、その端部部分が取付部3iに嵌め込まれるようにして取付固定される。
【0036】
また、継手本体2aの他方側は、前記他の接続部11となって、雄ねじ11aが螺設されている。そして、この他の接続部11が、例えば、金属製等の給水管とか、水栓とか、ヘッダー等に接続される。
【0037】
次に、第二の実施の形態に示す継手2の作用効果について説明する。この継手2によると、第1リング5における、合成樹脂製の通水管1の内面に食い込む爪部5cを有する係止爪5bとか、第2リング6における、通水管1の内面に当接可能な先端部6cを有する規制片6bは、弾性変形可能であって、通水管1の接続方向Pに傾斜するようにして外側に向けて延出されている。このため、通水管1を接続部3に接続するにあたって、その通水管1を接続部3の外側に前記接続方向Pに向けて嵌め込むと、その通水管1は、第1リング5および第2リング6の外側を、少なくとも係止爪5bを倒すようにして(場合によっては、係止爪5bに加えて規制片6bを倒すようにして)容易に押し進むことができる(図16、図17参照)。そこで、接続部3に嵌め込まれた通水管1に、水圧とか外力によって抜脱方向Qの力が作用すると、接続方向Pに倒された係止爪5bが、抜脱方向Qに復帰するように撓んで起立ぎみとなり、その係止爪5bの先端部分の爪部5cが通水管1の内面に食い込む(図18〜図20参照)。
【0038】
このとき、第1リング5よりも抜脱方向Q側に位置する第2リング6の規制片6bが、抜脱方向Qに復帰するように撓んで起立ぎみとなった係止爪5bを受け止めてその撓みを規制する。そして、係止爪5bを抜脱方向Qで受け止めた規制片6bは、弾性変形可能であるが、抜脱方向Qへ撓むことなく通水管1の内面に当接するか、あるいは、係止爪5bに押されて抜脱方向Qへ撓むことで起立ぎみとなって通水管1の内面に当接すると、その規制片6bの抜脱方向Qへの撓みが制限される。このため、規制片6bは、係止爪5bを強固に受け止めてその係止爪5bの撓みを確実に規制することができる。ここにおいて、規制片6bは、弾性変形可能であることから、通水管1の内径寸法のバラツキを吸収して通水管1の内面に当接する。また、ここにおいて、規制片6bの先端部6cは、爪部5cよりも、周方向において幅広に形成されており、これによって、この先端部6cが通水管1の内面に食い込むのを的確に避けることができ、この先端部6cは、係止爪5bの撓みをより確実に規制することができる。そして、このように、合成樹脂製の通水管1の内面に当接して撓みが制限された規制片6bは、係止爪5bを強固に受け止めてその係止爪5bの撓みを確実に規制するため、通水管1に係止爪5bが必要以上に食い込むのを避けて通水管1の破断を防ぐことができる。さらに、少なくとも通水管1に水圧とか外力によって抜脱方向Qの力が作用したときには、弾性変形可能な規制片6bが通水管1の内面に当接することから、すなわち規制片6bが通水管1の内面に達するまで延出されることから、その規制片6bは、係止爪5bをその先端側の最大位置まで受け止め、このため、係止爪5bが反り返って破壊されるのを防ぐことができる。
【0039】
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるわけではなく、その他種々の変更が可能である。例えば、継手2には、一方側に接続部3が設けられ、他方側に他の接続部11が設けられているが、両側に接続部3が設けられてもよい。また、継手本体2aを分岐するように形成することで、継手2に、接続部3が三つ以上設けられてもよい。
【0040】
また、第1リング5と第2リング6とは、隣接して設けられるが、それらの少なくとも係止爪5bと規制片6bとが近接あるいは接触するようにして配置されるのであれば、第1リング本体5aと第2リング本体6aとが離れるようにして配置されても構わない。
【0041】
また、第1リング5と第2リング6との組において、例えば、第2リング6を一個用いる以外に、複数個重ねて用いてもよい。また、接続部3において、この第1リング5と第2リング6との組を、一組設ける以外に、複数組設けても構わない。
【0042】
また、第1リング5では、係止爪5bが、略三角形状に形成されて、その先端部分が爪部5cとなっているが、係止爪5bにおける爪部5cよりも基端側を幅広に形成することで、爪部5cの両側あるいは一方側に、通水管1(第一の実施の形態では、通水管1の外面、第二の実施の形態では、通水管1の内面)に当接する段部を設けてもよい。
【0043】
また、第2リング6では、規制片6bにおいて、その先端の全体が、通水管1(第一の実施の形態では、通水管1の外面、第二の実施の形態では、通水管1の内面)に当接可能な先端部6cを構成しているが、先端部6cから僅かに突出して(詳細には、爪部5cの高さに達しないように突出して)、通水管1(第一の実施の形態では、通水管1の外面、第二の実施の形態では、通水管1の内面)に食い込む突部を設けてもよい。
【0044】
また、接続部3における止水リング4は、第一の実施の形態では一つ設けられ、第二の実施の形態では二つ設けられているが、止水リング4の数は、一つとか二つに限定されるものではなく、必要に応じて幾つ設けられても構わない。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】この発明の第一の実施の形態の、継手に通水管を接続する前の断面図である。
【図2】同じく、図1におけるA部拡大図である。
【図3】同じく、図1におけるB−B線による断面図である。
【図4】同じく、継手に通水管を接続する途中の断面図である。
【図5】同じく、図4におけるC部拡大図である。
【図6】同じく、継手に通水管を接続して、通水管に抜脱方向の力が作用したときの断面図である。
【図7】同じく、図6におけるD部拡大図である。
【図8】同じく、図6におけるE−E線による断面図である。
【図9】同じく、第1リングの拡大平面図である。
【図10】同じく、図9におけるF−F線による拡大断面図である。
【図11】同じく、第2リングの拡大平面図である。
【図12】同じく、図11におけるG−G線による拡大断面図である。
【図13】この発明の第二の実施の形態の、継手に通水管を接続する前の断面図である。
【図14】同じく、図13におけるH部拡大図である。
【図15】同じく、図13におけるI−I線による断面図である。
【図16】同じく、継手に通水管を接続する途中の断面図である。
【図17】同じく、図16におけるJ部拡大図である。
【図18】同じく、継手に通水管を接続して、通水管に抜脱方向の力が作用したときの断面図である。
【図19】同じく、図18におけるK部拡大図である。
【図20】同じく、図18におけるL−L線による断面図である。
【図21】同じく、第1リングの拡大平面図である。
【図22】同じく、図21におけるM−M線による拡大断面図である。
【図23】同じく、第2リングの拡大平面図である。
【図24】同じく、図23におけるN−N線による拡大断面図である。
【図25】従来の継手の保持リングを示す斜視図である。
【符号の説明】
【0046】
1 通水管
2 継手
3 接続部
4 止水リング
5 第1リング
5a 第1リング本体
5b 係止爪
5c 爪部
6 第2リング
6a 第2リング本体
6b 規制片
6c 先端部
P 接続方向
Q 抜脱方向
【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂製の通水管が挿入されて接続される接続部を、少なくとも一つ具備してなる継手であって、
前記接続部に、前記通水管との間を止水する止水リングが設けられるとともに、前記通水管が挿入される金属製の、第1リングと第2リングとが隣接して設けられ、
前記第1リングは、リング状の第1リング本体と、その第1リング本体の周方向に複数設けられて前記通水管を係止する弾性変形可能な係止爪とを備え、
前記係止爪は、前記第1リング本体から、前記通水管が前記接続部に接続される接続方向に傾斜するようにして内側に向けて延出されて、その延出された先端部分に前記通水管の外面に食い込む爪部を有し、
前記第2リングは、前記第1リングよりも、前記通水管が前記接続部から抜け出る抜脱方向側に位置し、かつ、
前記第2リングは、リング状の第2リング本体と、その第2リング本体の周方向に複数設けられて、前記抜脱方向へ撓む前記係止爪を受け止めてその撓みを規制する弾性変形可能な規制片とを備え、
前記規制片は、前記第2リング本体から前記接続方向に傾斜するようにして内側に向けて、前記係止爪の高さよりも低い位置まで延出されて、その延出された先端に、前記通水管の外面に当接可能な先端部を有する、通水管の継手。
【請求項2】
合成樹脂製の通水管が外側に嵌め込まれて接続される接続部を、少なくとも一つ具備してなる継手であって、
前記接続部に、前記通水管との間を止水する止水リングが設けられるとともに、前記通水管が外側に嵌められる金属製の、第1リングと第2リングとが隣接して設けられ、
前記第1リングは、リング状の第1リング本体と、その第1リング本体の周方向に複数設けられて前記通水管を係止する弾性変形可能な係止爪とを備え、
前記係止爪は、前記第1リング本体から、前記通水管が前記接続部に接続される接続方向に傾斜するようにして外側に向けて延出されて、その延出された先端部分に前記通水管の内面に食い込む爪部を有し、
前記第2リングは、前記第1リングよりも、前記通水管が前記接続部から抜け出る抜脱方向側に位置し、かつ、
前記第2リングは、リング状の第2リング本体と、その第2リング本体の周方向に複数設けられて、前記抜脱方向へ撓む前記係止爪を受け止めてその撓みを規制する弾性変形可能な規制片とを備え、
前記規制片は、前記第2リング本体から前記接続方向に傾斜するようにして外側に向けて、前記係止爪の高さよりも低い位置まで延出されて、その延出された先端に、前記通水管の内面に当接可能な先端部を有する、通水管の継手。
【請求項3】
前記規制片における前記先端部は、前記爪部よりも、周方向において幅広に形成されている、請求項1または2に記載の、通水管の継手。
【請求項1】
合成樹脂製の通水管が挿入されて接続される接続部を、少なくとも一つ具備してなる継手であって、
前記接続部に、前記通水管との間を止水する止水リングが設けられるとともに、前記通水管が挿入される金属製の、第1リングと第2リングとが隣接して設けられ、
前記第1リングは、リング状の第1リング本体と、その第1リング本体の周方向に複数設けられて前記通水管を係止する弾性変形可能な係止爪とを備え、
前記係止爪は、前記第1リング本体から、前記通水管が前記接続部に接続される接続方向に傾斜するようにして内側に向けて延出されて、その延出された先端部分に前記通水管の外面に食い込む爪部を有し、
前記第2リングは、前記第1リングよりも、前記通水管が前記接続部から抜け出る抜脱方向側に位置し、かつ、
前記第2リングは、リング状の第2リング本体と、その第2リング本体の周方向に複数設けられて、前記抜脱方向へ撓む前記係止爪を受け止めてその撓みを規制する弾性変形可能な規制片とを備え、
前記規制片は、前記第2リング本体から前記接続方向に傾斜するようにして内側に向けて、前記係止爪の高さよりも低い位置まで延出されて、その延出された先端に、前記通水管の外面に当接可能な先端部を有する、通水管の継手。
【請求項2】
合成樹脂製の通水管が外側に嵌め込まれて接続される接続部を、少なくとも一つ具備してなる継手であって、
前記接続部に、前記通水管との間を止水する止水リングが設けられるとともに、前記通水管が外側に嵌められる金属製の、第1リングと第2リングとが隣接して設けられ、
前記第1リングは、リング状の第1リング本体と、その第1リング本体の周方向に複数設けられて前記通水管を係止する弾性変形可能な係止爪とを備え、
前記係止爪は、前記第1リング本体から、前記通水管が前記接続部に接続される接続方向に傾斜するようにして外側に向けて延出されて、その延出された先端部分に前記通水管の内面に食い込む爪部を有し、
前記第2リングは、前記第1リングよりも、前記通水管が前記接続部から抜け出る抜脱方向側に位置し、かつ、
前記第2リングは、リング状の第2リング本体と、その第2リング本体の周方向に複数設けられて、前記抜脱方向へ撓む前記係止爪を受け止めてその撓みを規制する弾性変形可能な規制片とを備え、
前記規制片は、前記第2リング本体から前記接続方向に傾斜するようにして外側に向けて、前記係止爪の高さよりも低い位置まで延出されて、その延出された先端に、前記通水管の内面に当接可能な先端部を有する、通水管の継手。
【請求項3】
前記規制片における前記先端部は、前記爪部よりも、周方向において幅広に形成されている、請求項1または2に記載の、通水管の継手。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【公開番号】特開2008−223924(P2008−223924A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−64431(P2007−64431)
【出願日】平成19年3月14日(2007.3.14)
【出願人】(000243803)未来工業株式会社 (550)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年3月14日(2007.3.14)
【出願人】(000243803)未来工業株式会社 (550)
【Fターム(参考)】
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