説明

通路設備

【課題】一対の構造物の間に架設された通路設備が、地震発生時に移動(変位)するのを抑制する。
【解決手段】ホーム12に下端が接合され、上階部14に上端が接合された桁30と、桁30に支持された踏み板40とを備える階段20であって、桁30は、複数の構造材321、322、323が連節されてなり、一端から他端にかけて山折りの節と谷折りとの節とが繰り返され、該節の折り曲げ角度が可変であるように構成されており、踏み板40は、複数に分割されてなることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一対の構造物の間に架設された通路設備に関する。
【背景技術】
【0002】
免震装置を介して上部構造物と下部構造物とを接合した免震建物構造において、免震装置が配された免震階を通過する階段を、下部構造物から構造的に縁切りすることにより免震化を図ったものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、免震化された建物とその建物に隣接した建物とを渡り廊下で連結した免震建物構造において、その渡り廊下にエキスパンションジョイントを設けることにより免震化を図ったものが知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001―349089号公報
【特許文献2】特開2000−73582号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1記載の免震建物構造では、上部構造物に接合された階段における上端から縁切り部分までの全体が、上部構造物に追従して下部構造物に対して相対的に変位する。このため、地震発生時に、階段の縁切り部分が大きく変位してしまうことになる。また、特許文献2記載の免震建物構造のように、渡り廊下にエキスパンションジョイントを設けると、施工が困難でコストも高くなる。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、一対の構造物の間に架設された通路設備が、地震発生時に移動(変位)するのを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係る通路設備は、一対の構造物の一方に一端が接合され、前記一対の構造物の他方に他端が接合された桁と、該桁によって支持された踏み板とを備える通路設備であって、前記桁は、複数の構造材が連節されてなり、一端から他端にかけて山折りの節と谷折りとの節とが繰り返され、該節の折り曲げ角度が可変であるように構成されており、前記踏み板は、複数に分割されてなることを特徴とする。
【0008】
上記通路設備において、前記桁は、一対の前記構造材が交差されて連結されてなる連結体が、複数連節されたパンタグラフ機構として構成されてもよく、複数に分割された前記踏み板の各々は、前記連結体の前記一対の構造材が交差する節に支持されてもよい。
【0009】
また、上記通路設備において、前記一対の構造物の一方は、非免震構造物であり、前記一対の構造物の他方は、前記一方の上側に配置された免震構造物であってもよい。さらに、上記通路設備は、階段、スロープ、踊り場、及び渡り廊下の何れかであってもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、一対の構造物の間に架設された通路設備が、地震発生時に移動(変位)するのを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】一実施形態に係る階段を備える免震建物を示す立面図である。
【図2】一実施形態に係る階段を示す立面図である。
【図3】一実施形態に係る階段を示す分解斜視図である。
【図4】(A)は、ヒンジの構造を示す分解斜視図であり、(B)は、ヒンジの構造を示す斜視図である。
【図5】(A)は、ヒンジの構造を示す分解斜視図であり、(B)は、ヒンジの構造を示す斜視図である。
【図6】比較例に係る階段を備える免震建物を示す立面図である。
【図7】一実施形態に係る階段を備える免震建物の作用を説明するための立面図である。
【図8】比較例に係る階段を示す立面図である。
【図9】一実施形態に係る階段を示す立面図である。
【図10】他の実施形態に係る階段を拡大して示す立面図である。
【図11】他の実施形態に係るスロープを示す立面図である。
【図12】他の実施形態に係る踊り場を示す立面図である。
【図13】他の実施形態に係る踊り場を示す底面図である。
【図14】他の実施形態に係る渡り廊下を備える免震建物を示す立面図である。
【図15】他の実施形態に係る渡り廊下を示す立面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照しながら説明する。図1は、一実施形態に係る階段20を備える免震建物10の構成を示す立面図である。この図に示すように、免震建物10は、駅舎であり、非免震構造物である鉄道のホーム12と、ホーム12及び線路11に跨るように建てられた架構13と、免震ゴム等の免震装置15を介して架構13の上に建てられた免震構造物である上階部14と、上端を上階部14に接合され下端をホーム12に接合された階段20とを備えている。
【0013】
図2は、階段20の構成を示す立面図である。なお、図中矢印Xで示す左右方向は、ホーム12の長手方向及び線路が延びる方向である。この図に示すように、階段20は、上端を上階部14に接合され下端をホーム12に接合された複数(例えば3個)の桁30と、複数の桁30に支持された踏み板40とを備えている。踏み板40は、各段毎に分割されており、昇降方向(図中矢印X方向に対して傾斜した図中矢印A方向)に配列されている。
【0014】
図3は、階段20を示す分解斜視図である。この図に示すように、複数の桁30は、昇降方向と直交する水平方向(図中矢印Y方向)に所定間隔空けて配されており、各桁30は、昇降方向に延びている。
【0015】
桁30は、昇降方向に伸縮するパンタグラフ機構32と、パンタグラグ機構32の一端(下端)にヒンジ37により連結された下接合部34と、パンタグラフ機構32の他端(上端)にヒンジ37により連結された上固定部36とを備えている。下固定部34は、ホーム12にピン接合され、上接合部36は、上階部14にピン接合されている。
【0016】
パンタグラフ機構32は、昇降方向及び水平方向に対して直交する方向(図中矢印B方向)に幅のある板状の構造材321、322、323を連節してなる。パンタグラフ機構32は、構造材321、322がX字状に連結されてなる複数の連結体32Xが、昇降方向に複数連節された構成になっている。また、パンタグラフ機構32の上下両端においては、一対の構造材323がV字状に連結されてなる連結体32Vが、連結体32Xに連結されている。
【0017】
構造材321、322は、交差点においてヒンジ33を介して互いに回動自在に連結されている。また、構造材321、322は、連結体32X同士の連結点においてヒンジ35を介して互いに回動自在に連結されている。また、構造材323は、上下両端の構造材321、322にヒンジ35を介して互いに回動自在に連結されている。これにより、パンタグラフ機構32は、一端から他端にかけて山折りの節(ヒンジ35)と谷折りとの節(ヒンジ33)とが繰り返され、該節の折り曲げ角度が可変であるように構成されている。
【0018】
各踏み板40は、水平な踏面40Aと、踏面40Aに対して直角な蹴上げ40Bとが一体となった構成であり、階段20の各段を構成している。踏面40Aの裏面には、ヒンジ33が備える連結ピン38の上端が固定されており、各踏み板40は、ヒンジ33に支持されている。
【0019】
図4(A)は、ヒンジ33の構造を示す分解斜視図であり、図4(B)は、ヒンジ33の構造を示す斜視図である。これらの図に示すように、連結体32Xの交差点に設けられたヒンジ33は、構造材321が有するスリーブ321Sと、構造材322が有するスリーブ322Sと、スリーブ321S、322Sに挿通されこれらを互いに回動自在に連結する連結ピン38とを備える。
【0020】
構造材321は、一列に並んだ一対の板材321A、321Bを、スリーブ321Sを介して接合してなる。また、構造材322は、一列に並んだ一対の板材322A、322Bを、スリーブ322Sを介して接合してなる。スリーブ322Sは有底の円筒体であり、連結ピン38はスリーブ322Sの底部により保持される。
【0021】
ここで、構造材321では、連結ピン38の挿入方向(図中矢印C方向)にスリーブ321Sと切欠き321Cとがこの順序で並び、構造材322では、連結ピン38の挿入方向に切欠き322Cとスリーブ322Sとがこの順序で並んでいる。構造材321のスリーブ321Sは、構造材322の切欠き322Cに挿入され、構造材322のスリーブ322Sは、構造材321の切欠き321Cに挿入される。これにより、構造材321、322が同一面内でX字状に交差するように連結される。
【0022】
図5(A)は、ヒンジ35の構造を示す分解斜視図であり、図5(B)は、ヒンジ35の構造を示す斜視図である。これらの図に示すように、連結体32X同士の連結点に設けられたヒンジ35は、構造材321の長手方向の一端に設けられたスリーブ321Rと、構造材322の長手方向の一端に設けられたスリーブ322Rと、スリーブ321R、322Rに挿通されこれらを互いに回動自在に連結する連結ピン39とを備える。
【0023】
ここで、構造材322では、連結ピン39の挿入方向(図中矢印C方向)にスリーブ322Rと段差部322Dとがこの順序で並び、構造材321では、連結ピン39の挿入方向に段差部321Dとスリーブ321Rとがこの順序で並んでいる。構造材322のスリーブ322Sは、構造材321の段差部321Dに配され、構造材321のスリーブ321Rは、構造材322の切欠き322Dに配される。これにより、連結体32X同士が同一平面内で昇降方向に連結される。
【0024】
図6は、下接合部34を拡大して示す立面図である。この図に示すように、下接合部34は、下側の連結体32Vにヒンジ37により連結され、ホーム12の床面の裏側に架設された鉄骨梁16にピン接合されている。下接合部34は、ガセットプレート34Aと、ガセットプレート34Aを鉄骨梁16に回動可能に連結する連結ピン34Bとを備えている。連結ピン34Bは、ホーム12と直交する水平方向(図3に示す矢印Y方向)と平行に配されている。
【0025】
ヒンジ37は、一対の構造材323の一方に設けられたスリーブ323Sと、他方に一対の構造材323の他方に設けられたスリーブ323S´と、ガセットプレート34Aに設けられた一対のスリーブ34C、34Dと、これらに挿入される連結ピン38とにより構成されている。連結ピン38の挿入方向(図中矢印C方向)に、スリーブ34C、スリーブ323S、スリーブ323S´、スリーブ34Dの順序で並んでおり、これにより、下接合部34と連結体32Vとが、連結ピン38の周りに回動可能に連結されている。
【0026】
図7は、上接合部36を拡大して示す立面図である。この図に示すように、上接合部34は、上側の連結体32Vにヒンジ37により連結され、上階部14の床面の裏側に架設された鉄骨梁18にピン接合されている。上接合部36は、ガセットプレート36Aと、ガセットプレート36Aを鉄骨梁18に回動可能に連結する連結ピン36Bとを備えている。連結ピン36Bは、ホーム12と直交する水平方向(図3に示す矢印Y方向)と平行に配されている。
【0027】
ヒンジ37は、一対の構造材323の一方に設けられたスリーブ323Sと、他方に一対の構造材323の他方に設けられたスリーブ323S´と、ガセットプレート36Aに設けられた一対のスリーブ36C、36Dと、これらに挿入される連結ピン38とにより構成されている。連結ピン38の挿入方向(図中矢印C方向)に、スリーブ36C、スリーブ323S、スリーブ323S´、スリーブ36Dの順序で並んでおり、これにより、下接合部34と連結体32Vとが、連結ピン38の周りに回動可能に連結されている。
【0028】
ところで、免震建物10に地震動が作用した場合には、非免震構造物であるホーム12と免震構造物である上階部14とが、相対的に変位しようとする。ホーム12と上階部14とが、相対的にホーム12の長手方向(図2及び図3に示す矢印X方向)に変位しようとした場合には、複数の桁30が、パンタグラフ機構32により、昇降方向(図2及び図3に示す矢印A方向)に伸縮する。これにより、ホーム12と上階部14とのホーム12の長手方向への相対的な変位が許容される。
【0029】
また、ホーム12と上階部14とが、ホーム12の幅方向(図3に示す矢印Y方向)に変位しようとした場合には、複数の桁30が、パンタグラフ機構32により、上端及び下端を支点としてホーム12の幅方向に揺動する。これにより、ホーム12と上階部14とのホーム12の幅方向への相対的な変位が許容される。
【0030】
従って、免震構造物である上階部14と階段20の上端とが接合され、非免震構造物であるホーム12と階段20の下端とが接合されているにも関わらず、上階部14を免震化できる。
【0031】
図8は、比較例に係る免震建物500を示す立面図である。この図に示すように、免震建物500では、階段20の下端がホーム12に対して構造的に縁切りされている。このため、地震発生時における階段20のホーム12に対する相対的な変位量は、階段20の上端から下端にかけて一様である。即ち、地震発生時の上階部14の図中Y方向への変位用Y1と、階段20の上端の図中Y方向への変位量Y2と、階段20の下端の図中Y方向への変位量Y3とが等しくなる。
【0032】
これに対して、図9に示すように、上端を上階部14に接合された階段20の下端をホーム12に接合している本実施形態では、地震発生時の階段20のホーム12に対する相対的な変位量は、階段20の上端から下端にかけて次第に小さくなり、下端において零になる。これにより、下端をホーム12に対して構造的に縁切りしている場合と比較して、地震発生時における階段20のホーム12に対する相対的な変位の総量を、半分程度に抑制できる。
【0033】
以上により、本実施形態に係る免震建物10によれば、上階部14を免震化できると共に、地震発生時における階段20のホーム12に対する相対的な変位量を抑制できる。
【0034】
また、本実施形態に係る階段20では、連結ピン38が、連結体32Xの構造材321、322が交差する節から突出しており、その先端に、各踏み板40が固定されている。ここで、例えば、連結体32X同士を連結する2点の節から連結ピン39を突出させ、その2本の連結ピン39の先端に各踏み板40を固定した場合には、当該2点の節が各踏み板40に拘束されることになる。これにより、パンタグラフ機構32は伸縮不能且つ揺動不能となる。これに対して、本実施形態に係る階段20では、各踏み板40を、上述したように連結ピン38に固定しているため、パンタグラフ機構32が、伸縮可能且つ揺動可能である。
【0035】
また、パンタグラフ機構32が伸縮する場合に、複数の連結ピン38は、伸縮方向に沿って直線的に移動する。これにより、各踏み板40を連結ピン38に固定することにより、パンタグラフ機構32が伸縮する際に、複数の踏み板40を、伸縮方向に沿って直線的に移動させることができる。
【0036】
なお、本実施形態では、階段20の踏み板は、1段毎に分割されているが、複数段毎に分割されていてもよい。また、本実施形態では、階段20の全体を伸縮可能且つ揺動可能に構成したが、階段20の中間部分等、その一部のみを伸縮可能且つ揺動可能に構成してもよい。
【0037】
また、本実施形態では、階段の上端から下端までの全体を、伸縮可能な桁30と複数に分割された踏み板40とにより構成した。しかし、図10に示すように、階段の下部を、非免震構造体の床と一体の鉄筋コンクリート製の階段21等としてもよい。この場合、階段21の側面に固定したガセットプレート19に、下接合部34のガセットプレート34Aを連結ピン34Bにより連結する等して、階段20の下端を階段21に接合すればよい。
【0038】
図11は、他の実施形態に係るスロープ120を備える免震建物100を示す立面図である。この図に示すように、免震建物100は、上端を上階部14にピン接合され下端をホーム12にピン接合されたスロープ120を備えている。
【0039】
スロープ120は、上端を上階部14に接合され下端をホーム12に接合された複数(例えば3個)の桁30と、複数の桁30に支持され昇降方向(図中矢印A方向)に配列された複数の踏み板140とを備えている。
【0040】
各踏み板140は、昇降方向と直交する水平方向に延びる板材であり、その裏面にはヒンジ33が備える連結ピン38の上端が固定されており、ヒンジ33に支持されている。昇降方向に隣設された一対の踏み板140は、一方の踏み板140の下端と他方の踏み板140の上端とが互いに重なり合うように配されている。
【0041】
本実施形態に係るスロープ120によれば、上述の実施形態に係る階段20と同様、免震構造物である上階部14にスロープ120の上端が接合され、非免震構造物であるホーム12にスロープ120の下端が接合されているにも関わらず、上階部14を免震化できる。また、スロープ120の下端をホーム12に対して構造的に縁切りしている場合と比較して、地震発生時におけるスロープ120のホーム12に対する相対的な変位の総量を、半分程度に抑制できる。
【0042】
図12は、他の実施形態に係る踊り場220を備える免震建物200を示す立面図である。また、図13は、踊り場220を示す底面図である。これらの図に示すように、免震建物200は、上端を上階部14に接合された上側階段202と、下端をホーム12に接合された下側階段204と、一端を上側階段202の下端に接合され他端を下側階段204の上端に接合された踊り場220とを備えている。
【0043】
踊り場220は、一端を上側階段202の下端に接合され他端を下側階段204の上端に接合された複数(例えば図13に示すように3個)の桁230と、複数の桁230に支持され上側階段202の下端から下側階段204の上端に向かう水平方向(図中矢印X方向)に配列された複数の踏み板140とを備えている。
【0044】
図13に示すように、複数の桁230は、昇降方向と直交する水平方向(図中矢印Y方向)に所定間隔空けて配されており、各桁230は、図中矢印X方向に延びている。桁230は、図中矢印X方向に伸縮するパンタグラフ機構32と、パンタグラグ機構32の一端に結合された固定部236と、パンタグラフ機構32の他端に結合された固定部234とを備えている。固定部236は、上側階段202の下端に固定され、固定部234は、下側階段204の上端に固定されている。
【0045】
各踏み板140は、昇降方向と直交する水平方向(図中矢印Y方向)に延びる板材であり、その裏面にはヒンジ33が備える連結ピン38の上端が固定されており、ヒンジ33に支持されている。図中矢印X方向に隣設された一対の踏み板140は、一方の踏み板140の下端と他方の踏み板140の上端とが互いに重なり合うように配されている。
【0046】
本実施形態に係る踊り場220によれば、免震構造物である上階部14に接合された上側階段202と、非免震構造物であるホーム12に接合された下側階段204とに踊り場220が接合されているにも関わらず、上階部14を免震化できる。また、上側階段202と下側階段204とを踊り場を境にして構造的に縁切りしている場合と比較して、地震発生時における上側階段202と下側階段204との相対的な変位の総量を、半分程度に抑制できる。
【0047】
なお、本実施形態では、上側階段202と下側階段204とを連結する踊り場220を例に挙げたが、この踊り場220を上下のエスカレータを連結する踊り場に適用してもよい。
【0048】
図14は、他の実施形態に係る渡り廊下320を備える免震建物300を示す立面図である。この図に示すように、免震建物300は、互いに離間して建てられた構造物302、304と、一端を構造物302に接合され他端を構造物304に接合された渡り廊下320とを備えている。構造物302は、基礎部に免震装置306が設置された免震構造物であるビルであり、構造部304は、非免震構造物であるビルである。
【0049】
図15は、渡り廊下320を示す立面図である。この図に示すように、渡り廊下320は、一端を構造物302に接合され他端を構造物304に接合された複数(例えば3個)の桁230と、複数の桁230に支持され構造物302側から構造物304側に向かう水平方向(図中矢印X方向)に配列された複数の踏み板140とを備えている。
【0050】
本実施形態に係る渡り廊下320によれば、渡り廊下320が、構造物302と構造物304とに接合されているにも関わらず、渡り廊下320を、その両側の支点間距離の変動に追従するように変形させることができる。また、渡り廊下320を、構造物302、304の一方から構造的に縁切りしている場合と比較して、地震発生時における渡り廊下320の構造物302、304に対する相対的な変位の総量を、半分程度に抑制できる。
【0051】
なお、上記の各実施形態では、一対の構造物の一方を免震構造物としたが、一対の構造物の両方を非免震構造物としてもよく、また、一対の構造物の双方を免震構造物にしてもよい。また、1棟のビルの免震層を通過する階段に本発明を適用する等、種々の変形が可能である。
【0052】
また、上記の各実施形態では、階段20、スロープ120、踊り場220、及び渡り廊下320を、一対の構造物に対して接合したが、この接合は、上述したようにピン接合としてもよく、剛接合としてもよい。さらに、桁30、230にパンタグラフ機構を設けることは必須ではなく、これに替えて蛇腹機構等を設けてもよい。
【0053】
また、上記の各実施形態では、階段20、スロープ120、踊り場220を、駅舎に用いたが、ビル等の他の建物に用いてもよい。
【符号の説明】
【0054】
10 免震建物、11 線路、12 ホーム(構造物)、13 架構、14 上階部(構造物)、15 免震装置、20 階段(通路設備)、30 桁、32 パンタグラフ機構、32X、32V 連結体、33 ヒンジ(節)、34 下接合部、34A ガセットプレート、34B 連結ピン、34C、34D スリーブ、35 ヒンジ(節)、36 上接合部、36A ガセットプレート、36B 連結ピン、36C、36D スリーブ、37 ヒンジ、38、39 連結ピン、40 踏み板、40A 踏み面、40B 蹴上げ、321、322、323 構造材、321A、321B、322A、322B 板材、321S、322S、321R、322R、323S、323S´ スリーブ、321C、322C 切欠き部、321D、322D 段差部、100 免震建物、120 スロープ(通路設備)、140 踏み板、200 免震建物、202 上側階段(構造物)、204 下側階段(構造物)、220 踊り場(通路設備)、230 桁、234、236 固定部、300 免震建物、302、304 構造物、306 免震装置、320 渡り廊下(通路設備)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の構造物の一方に一端が接合され、前記一対の構造物の他方に他端が接合された桁と、該桁によって支持された踏み板とを備える通路設備であって、
前記桁は、複数の構造材が連節されてなり、一端から他端にかけて山折りの節と谷折りとの節とが繰り返され、該節の折り曲げ角度が可変であるように構成されており、
前記踏み板は、複数に分割されてなる
ことを特徴とする通路設備。
【請求項2】
前記桁は、一対の前記構造材が交差されて連結されてなる連結体が、複数連節されたパンタグラフ機構として構成され、
複数に分割された前記踏み板の各々は、前記連結体の前記一対の構造材が交差する節に支持されている
ことを特徴とする請求項1に記載の通路設備。
【請求項3】
前記一対の構造物の一方は、非免震構造物であり、前記一対の構造物の他方は、前記一方の上側に配置された免震構造物である
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の通路設備。
【請求項4】
階段、スロープ、踊り場、及び渡り廊下の何れかである
ことを特徴とする請求項1から請求項3までの何れか1項に記載の通路設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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