造型機のための鋳枠ユニット及びそれを用いた造型方法
内側に鋳物砂を保持するための鋳枠であって、鋳型の変形や型ずれを防止する鋳枠を開示する。上部鋳枠104と下部鋳枠105との各々は、鋳型が造型される開口を規定し、且つこの開口内へ鋳物砂を供給する少なくとも1つの供給口101を有する本体を含む。この本体には、その開口を挟んで対向し、各々が貫通孔を有する1対のフランジ102が外側へ延出している。枠部材には、鋳枠の外部のアクチュエータからの力が鋳枠へ伝わるように、そのアクチュエータと係合可能な係合部材を設けてある。模型定盤107を挟んで対向する上部鋳枠104と下部鋳枠105とは、それらの貫通孔に一対の連結棹106を嵌め込むことにより一体的に連結されて、鋳枠ユニットを形成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋳物砂によって鋳型を造型する造型機における鋳枠及びそれを用いた鋳型造型方法に関する。
【0002】
背景技術
例えば出願人に譲渡された特開平7−16705号公報(1993年7月2日出願)に記載されたように、抜枠造型機は公知である。このような造型機には、上部鋳枠と下部鋳枠との1対の鋳枠から造型済み鋳型を抜型した後に、必要に応じて鋳型の側面にきせ枠を被せて注湯する抜枠造型方法が適用される。
【0003】
同公報に記載されるように、従来の造型機の鋳枠においては、上部鋳枠と下部鋳枠とが片持ち支持されており、各々の一方の側面側のみにより結合可能とされている。このため、上部鋳枠と下部鋳枠との間には、それらを重ね合わせた時点では鋳枠を結合する側の反対側で隙間を生じ、抜型時には鋳枠結合側で隙間を生じてしまう。その結果、鋳型面が鋳枠合わせ面と平行にならないため、型ずれが発生する。これは鋳型抜型時に鋳型が模型に対して垂直に抜型されないので型落ちするなどの不具合を生じ易くさせる。
【0004】
また鋳型を内在する上部鋳枠と下部鋳枠とは、特に鋳型合わせ装置によって重ね合せているが、実際には精度高く重ね合わせるのが困難である。
【0005】
発明の概要
従って本発明は、型ずれや型落ちを抑制する鋳枠及びそれを用いた鋳型造型方法を提供することを目的とする。
【0006】
本発明は鋳物砂を保持するための鋳枠を提供し、この鋳枠は、
鋳型が造型される開口を規定すると共に、この開口内へ鋳物砂を供給する少なくとも1つの供給口を有する本体と、
一つの鋳枠を他の鋳枠へ一体的に連結して相互に近接及び離隔可能に支持するように適合された複数の連結棹に対して、この鋳枠を装着するように本体に設けられた装着部材とを備える。
【0007】
本発明によれば、1対の鋳枠は単体の鋳枠ユニットを形成する。その一方の鋳枠と他方の鋳枠とは互いに同一の形状を有してもよく、異なる形状を有してもよい。
【0008】
本発明の鋳枠からなる鋳枠ユニットは、模型定盤が上面と下面との両面に模型を持つならば、無枠式造型機で用いてもよい。
【0009】
従って本発明は、上述の鋳枠ユニットを用いて無枠式造型機で鋳型を造型する方法も提供する。この方法は、
鋳枠ユニットを形成する1対の鋳枠の開口に1対の圧縮部材をそれぞれ挿入することにより、1対の造型空間を画成する造型空間画成段階と、
この1対の造型空間内に供給口を通じて鋳物砂を充填する充填段階と、
充填された鋳物砂を前記圧縮部材により圧縮して2個の半割鋳型を造型する圧縮段階とを含む。
【0010】
好ましくは、造型空間規定段階がなされる位置と充填段階がなされる位置との間で鋳枠ユニットを移動させる移動段階を含む。この場合、圧縮段階は、鋳枠ユニットが移動する経路においてなすことができる。更に、圧縮段階の後に、鋳枠ユニット内の1対の半割鋳型を、中子を収める位置へ移動させることができる。
【0011】
本発明の造型方法が適用される無枠式造型機は、造型空間規定段階がなされる位置と充填段階がなされる位置との間で鋳枠ユニットを移動させる回転フレームと、1対の圧縮部材をそれぞれ駆動させる1対の駆動手段とを含むことが好ましい。この場合、駆動手段は、回転フレームと一体的に移動させるようにしてもよいが、固定位置においてもよい。後者の場合は回転フレームの剛性を最小にできる。或いは、1対の駆動手段の一方は回転フレームと一体的に移動し、他方は固定位置においてもよい。この場合は回転フレームの剛性を小さくすることができる。
【0012】
造型空間画成段階は、1対の造型空間を同時に画成してもよい。これは上部鋳型と下部鋳型との高さが同じである場合に適する。
【0013】
造型空間画成段階は、1対の造型空間をそれぞれ別のタイミングで画成してもよい。これは上部鋳型と下部鋳型との高さが異なる場合に適する。
【0014】
造型空間画成段階は、充填段階に先立って完了させてもよい。これにより造型速度を速めることができる。
【0015】
例えば、造型空間画成段階が一回のみでは充填が不充分になる場合には、充填段階において更なる造型空間画成段階を少なくとも一回なしてもよい。これにより、充填の改善を図ることができる。
【0016】
更に本発明は、上述の鋳枠ユニットを用いて枠付造型機により鋳型を造型する方法も提供する。この方法は、
鋳型造型機において上部及び下部鋳枠ユニットによって模型定盤を挟持すると共に上部及び下部鋳枠における模型定盤が無いそれぞれの開口部に上部及び下部圧縮部材をそれぞれ挿入して上下二つの造型空間を画成する段階と、
上部及び下部鋳枠並びに模型定盤を垂直状態にし、且つ砂供給口を上方に移動させる段階と、
砂供給口から造型空間の各々に鋳物砂を充填する段階と、
上部鋳枠及び模型定盤を水平状態に戻しながら上部及び下部圧縮部材を更に挿入させて、造型空間内の鋳物砂をそれぞれ圧縮する段階と、
模型定盤を前記上部及び下部鋳枠から分離して鋳型造型機から搬出する段階と、
上部及び下部鋳枠を重ね合せて製品キャビティを画成する段階と、
製品キャビティに注湯する注湯手段へ上部及び下部鋳枠ユニットを移送し、この注湯後の上部及び下部鋳枠ユニットを、その鋳型ばらしをなす鋳型ばらし手段へ移送して鋳型ばらしをなす段階と、
鋳型をばらした上部及び下部鋳枠ユニットを枠付造型機へ回送する段階とを含む。
【0017】
本発明の各実施形態において好ましい鋳物砂は、ベンナイトを粘結剤とする生型砂である。
【0018】
本発明の上述及び他の目的と特徴は、添付図面を参照して説明する以下の好適実施形態により一層明らかになろう。
【実施形態の詳細な説明】
【0019】
図1は本発明に係る鋳枠Fを示す。図においては2つの鋳枠Fを重ね合わせて示しており、係合部材2aは上側の鋳枠Fに、係合部材3aは下側の鋳枠Fに設けられている。他の構成については上側の鋳枠と下側の鋳枠とで同様である。
【0020】
鋳枠Fは、開口を規定する周壁部(本体)を有し、その一辺には開口内へ鋳物砂を充填するための少なくとも1つの砂供給口101を設けてある。鋳枠Fの周壁部の対向する1対の側壁の外面には、フランジ(装着部材)102が設けられている。1対のフランジ102の各々には一つの貫通孔103が穿孔されており、鋳枠Fの開口を挟んで1対の貫通孔103が対向している。
【0021】
フランジ102は鋳枠Fの本体と一体的に鋳造成型してもよく、或いは本体とは別個に製作して、この本体に対して機械的に取り付け可能な構造としてもよい。例えば既存の鋳枠を本体として用い、この本体に対してフランジ102を取り付けても本発明の鋳枠Fを構成することができる。この場合、鋳枠Fの係合部材2a,3aはフランジ102と一体成型することが好ましい。係合部材2a,3aの機能については後述する。
【0022】
図2及び図3に示すように、鋳枠ユニットは、それぞれ本発明の鋳枠Fと同様な構成である上部鋳枠104及び下部鋳枠105を含む。但し、上部鋳枠104と下部鋳枠105とは必ずしも同一形状とする必要はなく、互いに異なる形状としてもよい。上部鋳枠104及び下部鋳枠105の各々の貫通孔103には、上部鋳枠104と下部鋳枠105とを一体的に結合するための連結棹106が摺動可能に嵌合されている。実際の造型時には、上部鋳枠104及び下部鋳枠105は連結棹106に案内されて昇降し、上部鋳枠104と下部鋳枠105との間にマッチプレート107を挟持して造型準備がなされる。
【0023】
本発明による鋳枠ひいては鋳枠ユニットは、鋳型造型後に抜枠をなす無枠式造型機(抜枠造型機)にも適用でき、枠付造型機、即ち鋳型造型後に抜枠をなさずに鋳枠内に鋳型を残したまま鋳造ラインへ送り出す造型機にも適用可能である。
【0024】
図4、図5及び図6は、図2及び図3に示す鋳枠ユニットが適用される無枠式造型機の一例を示す。無枠式造型機においては、直方体状の機台1の内部空間に造型空間画成ステーションP、砂入れステーションS、中子入れ・抜型ステーションWが集約されている。鋳枠ユニットは、これら各ステーションに移動可能とされており、造型機の所定位置に機械的に恒常的に固定されるものではない。
【0025】
造型空間画成ステーションPには、側壁に砂供給口をそれぞれ有する二対の上部及び下部鋳枠2,3が配置されている。この造型空間画成ステーションPは、二対の上部及び下部鋳枠2,3のうちの1対における上部鋳枠2と下部鋳枠3との間にマッチプレート5を入出可能に配設する搬入機構4と、スクイーズ機構9とを備えている。上部鋳枠2、下部鋳枠3、及びマッチプレート5は、上述の上部鋳枠104、下部鋳枠105、及びマッチプレート107と同様であり、鋳枠ユニットを形成している。
【0026】
スクイーズ機構9には、1対の上部鋳枠2と下部鋳枠3との間にマッチプレート5が挟持された状態で、上部鋳枠2及び下部鋳枠3におけるマッチプレート5が位置する側の反対側の各開口に対して、上部スクイーズプレート6及び下部スクイーズプレート7をそれぞれ挿抜可能に設けてある。またスクイーズ機構9は、機台1に設けた支持軸8を中心として垂直面内で正逆回動可能に支持されている。その回動範囲は、マッチプレート5を挟持した1対の上部鋳枠2及び下部鋳枠3が垂直姿勢になる位置と、水平姿勢になる位置との間である。造型空間画成ステーションPには、スクイーズ機構9を正逆回転駆動させるための横向きのシリンダ10も備えてある。
【0027】
砂入れステーションSは、シリンダ10の伸長作動により垂直状態にある1対の上部及び下部鋳枠2,3に対して砂供給口から鋳物砂を充填する砂充填機構11を有する。
【0028】
中子入れ・抜型ステーションWは、重ね合わせられて水平状態にあり、上下の半割鋳型を内在する1対の上及び下部鋳枠2,3から上下の半割鋳型を抜き出す鋳型抜出し機構12と、1対の上部及び下部鋳枠2,3が水平状態にあるスクイーズ機構9と鋳型抜出し機構12との間を、1対ずつ上下に連なって水平に並ぶ水平状態の二対の上部及び下部鋳枠2,3を交互に間欠的に旋回させ、且つ上部鋳枠2を係止して昇降可能な鋳枠旋回機構13とを備えている。
【0029】
二対の上部及び下部鋳枠2,3の各対は、図4に示すように、上部鋳枠2の前後外側面に摺動自在に垂設した1対の連結棹14の間に下部鋳枠4を摺動自在に架装し、更に下部鋳枠4を1対の連結棹14の下端位置で係止するようになっており、造型時に搬入されるマッチプレートと共に鋳枠ユニットを構成する。
【0030】
上述の係合部材2a,3aは、例えば上部鋳枠2の両側面の中央部(2a)と、スクイーズ機構9側に位置しているときの下部鋳枠3の両側面の一端(3a)とにそれぞれ設けられており、鋳枠旋回機構13に保持可能とされている。図示の例では、この係合部材2a,3aは孔を有する凸部であり、例えば、その孔に挿通されたピン(図示せず)を介して鋳枠旋回機構13の後述する上部及び下部係止部材37,39に連結される。係合部材2a及び3aは上部及び下部係止部材37及び39に連結可能又は着脱可能であれば、その形状は任意であるので、凸部に代えて例えば凹部としてもよい。また係合部材2a,3aはフランジ102(図1)に設けてもよいが、鋳枠の本体に設けてもよい。
【0031】
マッチプレート5の搬送機構4は、図4に示すように、スクイーズ機構9の支持軸8に環装したリング部材15と、砂充填機構11に枢支し且つピストンロッドの先端をリング部材15の一部に回動自在に連接したシリンダ16と、基端がリング部材15に固着した片持ち構造の1対のアーム17とからなる。シリンダ16の伸縮作動により1対のアーム17が上下方向に回動して、スクイーズ機構9における水平状態の上部鋳枠2と下部鋳枠3との間にマッチプレート5を搬入及び搬出させる。
【0032】
スクイーズ機構9においては、図4に示すように、機台1の上部の中央に装着した支持軸8に回転フレーム18が中心付近にて垂直面内で正逆回転自在に枢支して設けてあり、この回転フレーム18の右側面には上下方向へ延びる1対の案内ロッド19が前後方向へ所要の間隔をおいて装着してある。この1対の案内ロッド19の間において、その上部には逆L字状の上部昇降フレーム20が、下部にはL字状の下部昇降フレーム21が、それぞれ一体的に設けたホルダーを介して摺動自在に架装してある。これら上部及び下部昇降フレーム20及び21は、回転フレーム18に装着した上向きシリンダ22及び下向きシリンダ23の伸縮作動により相互に接近及び離反する。
【0033】
上部昇降フレーム20には上部スクイーズプレート6を進退させる複数のシリンダ24が、下部昇降フレーム21には下部スクイーズプレート7を進退させる複数のシリンダ25がそれぞれ装着してある。上部及び下部昇降フレーム20及び21の各々の水平状上面は、上部及び下部鋳枠2及び3をそれぞれ押圧可能な大きさを有している。
【0034】
本実施形態においては、スクイーズプレート(圧縮部材)6,7を駆動させるシリンダ(駆動手段)は、回転フレーム18と一体的に移動させるようにしてある。これに代えて、シリンダは固定位置においてもよく、スクイーズプレート6,7の何れか一方のためのシリンダを回転フレーム18と一体的に移動させ、他方を固定位置においてもよい。
【0035】
機台1の天井部に(図示では左寄り位置で)装着された砂充填機構11は、2個のエアレーションタンク27を有し、上部鋳枠2と下部鋳枠3とにそれぞれ独立に鋳物砂を低圧の圧縮空気で浮遊又は流動化させながら充填(エアレーション充填)する。
【0036】
尚、低圧圧縮空気を用いて鋳物砂を浮遊又は流動化させるエアレーション充填は、例えば本願の出願人に譲渡された米国特許U.S6,749,003B2号に記載されている。低圧圧縮空気の圧力の大きさは、0.05Mpa乃至0.18Mpaの範囲が好ましいことも判明している。但し、本発明に適用される充填法はエアレーション充填に限定されるものではない。例えば、より高圧の圧縮空気を用いるブロー充填を適用してもよく、それに減圧を併用してもよい。
【0037】
鋳型抜出し機構12においては、上下に重なった水平状態の上部及び下部鋳枠2,3内に進入可能な抜出し板28が、機台1の天井部に装着した下向きシリンダ29のピストンロッドの下端に固着され、このシリンダ29の伸縮作動により抜出し板28が昇降するようにしてある。抜出し板28の直下には、上部及び下部鋳枠2,3から抜き出された上下の半割鋳型を受ける鋳型受けテーブル30が配設してある。この鋳型受けテーブル30はシリンダ31の伸縮作動により伸縮するパンタグラフ32によって昇降する(図5参照)。
【0038】
鋳枠旋回機構13においては、高さ方向に沿って延伸する回転シャフト33が水平回転自在に機台1に装着してある。この回転シャフト33の上端は、機台1の天井に装着したモータ34の出力軸に連結してあり、このモータ34の駆動により回転シャフト33が180度正逆回動するようにしてある。
【0039】
ここで回転シャフト33の回動範囲の180度とは、造型した鋳型をその造型位置から鋳枠旋回機構13により鋳型抜出し機構12へ移動させるための回動角度範囲の一例である。この回動角度範囲は、鋳型抜出し機構12の設置位置に応じて定まるのであるから、180度に限定されるものではない。所望の回動位置に合わせて鋳型抜出し機構を設置してもよい。
【0040】
回転シャフト33の上部には支持部材35が装着してある。この支持部材35には、下方へ延出して前後方向へ所要の間隔をもって対をなす二対の案内ロッド36が垂設してあり、これら二対の案内ロッド36は回転シャフト33を中心として対向している。案内ロッド36の各対には、上部鋳枠2の係合部材2aを係止可能な上部係止部材37が上下方向に摺動自在に架装してある。この上部係止部材37には、回転シャフト33に装着した上向きシリンダ38のピストンロットの先端が固着してあり、シリンダ38の伸縮作動によって上部係止部材37が昇降するようにされている。一方、二対の案内ロッド36の下端には、2個の下部鋳枠3の係合部材3aを係止可能な下部係止部材39が固着してある。
【0041】
鋳型排出装置40は、上部及び下部鋳枠2,3内から抜き出された上下の半割鋳型を鋳型受けテーブル30上から押し出す機能を有している。
【0042】
本発明の鋳型造型方法によれば、先ず鋳枠ユニットの開口部に1対の圧縮部材(図4の造型機においてはスクイーズプレート6,7)を挿入して1対の鋳型造型空間を画成する。この造型空間に鋳物砂を充填する。その後、圧縮部材により鋳物砂を圧縮して2個の半割鋳型を造型する(図8)。
【0043】
本発明の鋳型造型方法においては、造型空間を完成する位置と、この造型空間に鋳物砂を充填する位置との間で鋳枠ユニットを移動させてもよい。この場合、鋳枠ユニットが移動する経路において、造型空間に充填された鋳物砂を圧縮することができる(図9)。
【0044】
図9に示す方法について、上述した鋳枠ユニット及び無枠式造型機を用いて、図4で示す状態から鋳枠無しの上下の半割鋳型を造型する場合を例として更に詳しく説明する。
【0045】
先ず造型空間画成ステーションPにおいて、搬送機構4のシリンダ16を伸長作動させて1対のアーム17によりマッチプレート5を水平状態の1対の上部鋳枠2と下部鋳枠3との間に搬入する。
【0046】
次いで、スクイーズ機構9の上向きシリンダ22及び下向きシリンダ23を収縮作動させて上部及び下部昇降フレーム20,21を介して上部及び下部鋳枠2,3を相互に接近させる。このとき、上部鋳枠2と下部鋳枠3とは、マッチプレート5と共に連結棹14により一体的に結合された鋳枠ユニットを構成している。
【0047】
その後、上部及び下部鋳枠2,3によってマッチプレート5を挟持しながら、スクイーズ機構10の複数のシリンダ24,25の各々を所要長さだけ伸長作動させる。そして上部スクイーズプレート6及び下部スクイーズプレート7をそれぞれ上部鋳枠2及び下部鋳枠3内に所要長さだけ挿入して、上下に2つの造型空間を画成しながら、シリンダ10を伸長作動させる。更に、スクイーズ機構9を支持軸8を中心に時計方向へ回動させて、1対の上部及び下部鋳枠2,3並びにマッチプレート5を垂直状態にすると共に、砂供給口を上方へ移動させる(図4参照)。
【0048】
上下の1対の造型空間の画成は、例えば上部鋳型と下部鋳型との高さが同じであるならば、1対の造型空間を同時に画成してもよいであろう。或いは、例えば上部鋳型と下部鋳型との高さが異なる場合には、1対の造型空間をそれぞれ別のタイミングで画成してもよい。
【0049】
次いで、砂入れステーションSでは、適宜な充填法、例えば低圧(大気圧より低い圧力)の圧縮空気を用いるエアレーション充填法により、砂充填機構11により砂供給口から上下2つの造型空間へ鋳物砂を充填する。
【0050】
続いて、造型空間画成ステーションPにおいて、1対をなす上部及び下部鋳枠2,3並びにマッチプレート5を水平状態へ復帰させながら、上部及び下部鋳枠2及び3内にそれぞれ浸入している上部及び下部スクイーズプレート6,7を更に浸入させて、上下2つの造型空間内の鋳物砂をそれぞれスクイーズする。次いで、上向きシリンダ22及び下向きシリンダ23を伸長作動させて、上部昇降フレーム20と下部昇降フレーム21とを相互に離反させる。
【0051】
造型空間の画成が一回のみでは鋳物砂の充填が不充分になる場合には、その改善を図るために、この鋳物砂を充填する段階において更なる造型空間画成を少なくとも一回なしてもよい。勿論、造型速度を速めるためには、造型空間の画成は、鋳物砂の充填に先立って完了させておくことが望ましい。
【0052】
次いで、中子入れ及び抜型ステーションWでは、鋳枠旋回機構13のシリンダ38を伸長作動させて、鋳物砂をスクイーズしてなる半割鋳型を内在した上部鋳枠2を上部係止部材37により吊り上げてマッチプレート5から分離する。一方、下部鋳枠3は鋳枠旋回機構13の下部係止部材39上に載置する。続いて、シリンダ16を収縮作動させて、1対のアーム17によりマッチプレート5を上部鋳枠2と下部鋳枠3との間から搬出する。
【0053】
次いで、鋳枠旋回機構13のモータ34の駆動により回転シャフト33を所要角度範囲に亘って回動させることにより、鋳型を内在する上部及び下部鋳枠2,3を鋳型抜出し機構12まで旋回移動させる。続いて、必要に応じて鋳型に中子を設定した後、シリンダ38の収縮作動により鋳型を内在する上部鋳枠2を上部係止部材37を介して下降させ、下部鋳枠3に重ね合せる。
【0054】
次いで、鋳型抜出し機構12のシリンダ31の伸長作動により鋳型受けテーブル42を上昇させて、これに下部鋳枠2を載置させる。一方、シリンダ41の伸長動作により鋳型受けテーブル30上に半割鋳型を内在する上部及び下部鋳枠2,3を載置する。続いて、鋳型抜出し機構12のシリンダ29を伸長作動させて抜出し板28を上部鋳枠2の半割鋳型上に当接させる。その後、シリンダ41を収縮作動させて抜出し板28及び鋳型受けテーブル30を相互に連動させながら下降させて、上部及び下部鋳枠2,3から半割鋳型を抜き出す。続いて、シリンダ31を収縮作動して鋳型排出レベルまで下降させ、伸縮鋳型排出装置40によって鋳型受けテーブル30上の上下の半割鋳型を押し出す。
【0055】
尚、上述した工程において、造型した半割鋳型に必要に応じて中子を嵌め込むことが望まれることもあろう。この場合には、半割鋳型を内在する上部及び下部鋳枠2,3を鋳型抜出し機構12へ旋回移動するまでに、先行して造型した半割鋳型に中子を嵌め込んだ後、上述と同様にして、半割鋳型を内在する1対の上部及び下部鋳枠2,3を重ね合せ、半割鋳型を押し出す。
【0056】
本実施形態においては、上部及び下部鋳枠は2対を用いたが、1対のみを用いてもよい。1対の上部及び下部鋳枠を用いる場合でも、鋳型造型空間に砂を充填する位置と鋳型造型を完成する位置の移動経路において、上部鋳枠用の第1スクイーズプレート(上部スクイーズプレート)と下部鋳枠用の第2スクイーズプレート(下部スクイーズプレート)を各々の鋳枠に対して独立して近接離反できる。これにより鋳物砂の圧縮が可能であるので、造型に要する時間を短縮できる。また、この移動経路中において上部鋳枠用の第1スクイーズプレートと下部鋳枠用の第2スクイーズプレートとを各々の鋳枠から抜き出すこともできる。これによれば、造型に要する時間を更に短縮できるので、中子を嵌め込むための作業時間も充分に確保できる。
【0057】
また、マッチプレート5,107は、両面に模型を有する模型定盤であれば、その製造方法は任意である。例えば、一面のみに模型盤を有する上枠用の模型定盤と、一面のみに模型盤を有する下型用の模型定盤との背面同志を対向させて組み合わせたマッチプレートを製造若しくは再利用してもよい。
【0058】
次に、本発明を枠付造型機に適用した実施形態について説明する。図10に概略的に示すように、枠付造型機に基づく鋳物鋳造ラインは、枠付造型機51、注湯ライン52、鋳型ばらし装置53及び鋳枠回送装置54からなる。枠付造型機51は鋳枠付き上部及び下部鋳型を造型する。次いで注湯ライン52は、造型後の上部及び下部鋳型の製品キャビティ内に注湯する。鋳型ばらし装置53は、注湯後の上部及び下部鋳枠から鋳型を押し出す。鋳枠回送装置54は、後述の上部及び下部鋳枠ユニット46(図11及び12)を鋳型ばらし装置53から造型機51へ回送する。
【0059】
図11乃至図14に示すように、造型機51は、内部に空間を形成した直方体状の機台1を含む。その内部空間には、側壁に砂供給口をそれぞれ有する上部鋳枠2と下部鋳枠3とを相互に接近及び離隔自在に連結した複数組の上部及び下部鋳枠ユニット46が収容されている。これら上部鋳枠2、下部鋳枠3及び上部及び下部鋳枠ユニット46は、上述の実施形態における上部鋳枠、下部鋳枠及び鋳枠ユニットと同様である。複数組の上部及び下部鋳枠ユニット46のうちの1組のユニット46の上部鋳枠2と下部鋳枠3との間には、移送機構4aによって搬入及び搬出可能に配設された模型定盤、例えば上下両面が模型を有するマッチプレート5が配置されている。但し、模型定盤5は、マッチプレートに限定されるものではく、上面又は下面の何れか一方に模型を有するものでもよい。
【0060】
機台1の内部空間に収容されたスクイーズ機構9は、上部鋳枠2と下部鋳枠3とによりマッチプレート5を鋏持し、上部鋳枠2及び下部鋳枠3におけるマッチプレート5とは反対側の各々の開口部に対して進入及び退出可能な上部スクイーズプレート6及び下部スクイーズプレート7を含む。また上述の実施形態と同様にスクイーズ機構9は、機台1に設けた支持軸8を含むと共に、マッチプレート5を挟持した上下の鋳枠2,3をこれらが垂直状態になる位置と水平状態になる位置との間で支持軸8を中心に垂直面内で正逆回転可能に支持している。
【0061】
機台1の内部空間には、上述の実施形態と同様に、スクイーズ機構9を正逆回転させる回転駆動機構としての横向きのシリンダ10と、このシリンダ10の伸長作動によって垂直状態にある1対の上下の鋳枠2,3に対して上述の砂供給口から鋳物砂を吹き込む砂充填機構11、水平状態の2組の上部及び下部鋳枠ユニット46を交互に間欠的に旋回させ且つ上部鋳枠2を係止して昇降させる鋳枠旋回機構13も収容されている。
【0062】
この鋳枠旋回機構13の右側に隣接して配置してあるのは、上述の実施形態の鋳型抜出し機構12に代えて、上部及び下部鋳枠ユニット46を移送させる鋳枠ユニット移送装置12aである。鋳枠旋回機構13の基本的構成は上述の実施形態と同様であるが、その旋回範囲は 1対の上下の鋳枠2,3が水平状態にあるスクイーズ機構9と鋳枠ユニット移送装置12aとの間である。
【0063】
図12に示すように、複数組の上部及び下部鋳枠ユニット46の各々の上部鋳枠2及び下部鋳枠3においては、上部鋳枠2の前後両外側面に垂設した1対の連結棹14の間に下部鋳枠3を摺動自在に装架し、更に下部鋳枠3が1対の連結棹14の下端位置で係止するようにしてある。上部鋳枠2の両側面の中央部と、下部鋳枠3がスクイーズ機構9側に位置するときにおける下部鋳枠3の両側面の一端には、それぞれ係合部材(図12には示さないが、図1の2a及び3aと同様であり、例えば孔を有する凸部である)を設けてある。
【0064】
図11を参照すると、マッチプレート5の移送機構4は、スクイーズ機構9の支持軸8に環装したリング部材15と、このリング部材15にピストンロッドの先端を回動自在に連接したシリンダ(図11には図示しないが、無枠式造型機の実施形態のシリンダ16と同様である)の伸縮作動により左右方向へ回動する片持ち構造の1対のアーム17と、マッチプレート5を載置して左右方向へ往復動自在な吊下げ型の台車45とからなる。
【0065】
スクイーズ機構9においては、機台1の上部の中央に装着した支持軸8に回転フレーム18が中心付近にて垂直面内で正逆回転自在に枢支して設けられ、この回転フレーム18の右側面には上下方向へ延出する1対の案内ロッド19が前後方向へ所要の間隔をおいて装着してある。この1対の案内ロッド19の間において、その上部には逆L字状の上昇降フレーム20が、その下部にはL字状の下昇降フレーム21が、一体的に設けたホルダーを介して各々が摺動自在にして装架してあり、これら上部フレーム20と下部下昇降フレーム21とは、回転フレーム18に装着した上向きシリンダ及び下向きシリンダ(図11には示していないが、無枠式造型機の実施形態における回転フレーム18に装着した上向きシリンダ22と及び下向きシリンダ23と同様である)の伸縮作動によって相互に接近及び離隔する。
【0066】
上部昇降フレーム20には上部スクイーズプレート6を進退させる複数のシリンダ24が、また、下部昇降フレーム21には下部スクイーズプレート7を進退させる複数のシリンダ25がそれぞれ装着してある。また、上部及び下部昇降フレーム20,21のそれぞれの水平状の上面は上部及び下部鋳枠2及び3をそれぞれ押圧することができる大きさを有している。
【0067】
砂充填機構11は、上部鋳枠2と下部鋳枠3とにそれぞれ独立に鋳物砂を低圧(好ましくは0.05Mpa乃至0.18Mpa)の圧縮空気で浮遊又は流動化させながら充填(エアレーション充填)する例えば2つのエアレーション充填機構であることが好ましい。2つのエアレーション充填機構は、それぞれ独立に制御及び作動させてもよいが、同時に又は同一の制御により作動させることもできる。
【0068】
依然として図11を参照すると、鋳枠旋回機構13には、垂直な回転シャフト33が機台1に水平回転自在に装着してある。この回転シャフト33の上端には、機台1の天井に装着したモータ34の出力軸が連結してあり、そのモータ34の駆動により回転シャフト33が180度正逆回動するようにしてある。回転シャフト33の上部には支持部材35が装着してあり、この支持部材35には、前後方向に所要間隔をもって対をなして下方へ延出する二対の案内ロッド36が垂設してある。これら二対の案内ロッド36は回転シャフト33を中心にして左右2対向している。案内ロッド36の各対には、上部鋳枠2の係合部材を係止可能な上部係止部材37が案内ロッド36に沿って上下に摺動自在に架装してある。各上部係止部材37は、回転シャフト33に装着した上向きシリンダ(図示せず)のピストンロットの先端に固着して、そのシリンダの伸縮作動によって昇降するようにしてある。二対の案内ロッド36の下端には、二個の下部鋳枠3の係合部材を係止可能な下部係止部材39が固着してある。
【0069】
次に、枠付造型機を用いて図10に示す状態から上部及び下部鋳型を造型して、鋳物を鋳造する手順について説明する。
【0070】
先ず移送機構4により台車45を介してマッチプレート5を上部及び下部鋳枠ユニット46の水平状態の上部鋳枠2と下部鋳枠3との間に搬入する。次いで、スクイーズ機構9の上向き及び下向きシリンダをそれぞれ収縮作動させて上部及び下部昇降フレーム20及び21を介して上部及び下部鋳枠2及び3を相互に接近させる。これら上部及び下部鋳枠2及び3によってマッチプレート5を挟持しながら、スクイーズ機構9の複数のシリンダ24,25をそれぞれ所要長さ伸長作動させて上部及び下部スクイーズプレート6及び7を上部及び下部鋳枠2及び3内に所要長さ挿入して、上部と下部との二つの造型空間を画成する。更に、シリンダ10を伸長作動させてスクイーズ機構9を支持軸8を中心に時計方向へ回転させて1対の上部及び下部鋳枠2及び3並びにマッチプレート5を垂直状態にする。これと共に砂供給口を上方へ移動させて、砂充填機構11の下端に当接させる(図15参照)。
【0071】
次いで、砂充填機構11により砂供給口から上下二つの造型空間へ鋳物砂を充填する。続いて、1対の上部及び下部鋳枠2及び3並びにマッチプレート5を水平状態に戻しながら、上部及び下部スクイーズプレート6及び7を更に進入させて上下二つの造型空間内の鋳物砂をそれぞれ圧縮する。次いで、上向き及び下向きシリンダをそれぞれ伸長作動させて上部及び下部昇降フレーム20及び21を相互に離隔する。続いて、鋳枠旋回機構13のシリンダを伸長作動させて、鋳物砂を圧縮してなる鋳型を内在した上部鋳枠2を上部係止部材37によって吊り上げると共にマッチプレート5から分離し、下部鋳枠3を鋳枠旋回機構13の下部係止部材39上にそれぞれ載置させる。
【0072】
次いで、移送機構4により台車45を介してマッチプレート5を上部鋳枠2と下部鋳枠3との間から搬出する。続いて(必要とあれば鋳型に中子を嵌め込んだ後)、鋳型を内在する上部鋳枠2をシリンダの収縮作動により上部係止部材37を介して下降させて、下部鋳枠3に重ね合せる。次いで、鋳枠旋回機構13のモータ34の駆動により回転シャフト33を所要角度回動させて鋳型内在の上部及び下部鋳枠2及び3を鋳枠ユニット移送装置12aまで旋回移動させる。続いて、鋳枠回送装置54により鋳枠ユニット移送装置12aを介して上部及び下部鋳枠ユニット46を、枠付造型機51から注湯ライン52、鋳型ばらし装置53へ順次送り込んだ後、造型機51へ回送する。
【0073】
上述の各実施形態は、本発明を例示するものであって、限定を意図するものではなく、添付の請求項に記載された本発明の要旨を逸脱しない範囲で様々な変更をなし得ることは明らかである。
【0074】
例えば本発明は無枠式造型機と枠付造型機との何れにも適用できるが、これらの造型機は図示の設計に限定されるものではない。例えば造型機の圧縮部材としてはスクイーズプレート6,7を示したが、これに代えて、複数の駆動源で上下動する複数の上部及び下部スクイーズフットとしてもよい。圧縮部材の駆動源は、高い出力を得るためには油圧シリンダが適するが、所望により空気圧シリンダとしてもよい。或いは電気モータを用いてもよく、この場合は駆動流体の配管系を伴わないので造型機の設置の自由度が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】図1は本発明に係る一つの鋳枠の平面図を示す。
【図2】図2は本発明に係る一対の鋳枠からなる鋳枠ユニットを一部破断して概略的に示す側面図である。
【図3】図3は図2と同様な図であって、上部鋳枠と下部鋳枠とによってマッチプレートを挟持した状態を示す。
【図4】図4は本発明の方法が適用される造型機の一例を示す一部切り欠き正面図である。
【図5】図5は図1のA-A矢視図であって、鋳枠ユニットの上部鋳枠と下部鋳枠とによりマッチプレートを挟持した状態を示す。
【図6】図6は図4の造型機の平面図を示す。
【図7】図7は図4の造型機の動作を説明する図であって、鋳枠ユニットへ鋳物砂を充填する状態を示す。
【図8】図8は図4の無枠式造型機に基づく鋳造設備における本発明による鋳型造型方法を概略的に示す工程図である。
【図9】図9は図4の無枠式造型機を用いる本発明による他の鋳型造型方法を概略的に示す工程図である。
【図10】図10は本発明による鋳型造型方法が適用される枠付造型機に基づく鋳造設備を概略的に示す図である。
【図11】図11は図10の鋳造設備における枠付造型機を示す正面図である。
【図12】図12は図11の枠付造型機に用いた鋳枠ユニットの正面図である。
【図13】図13は図12の鋳枠ユニットの左側面図である。
【図14】図14は図12の鋳枠ユニットの右側面図である。
【図15】図15は図11の造型機の動作を説明する図であって、鋳枠ユニットへ鋳物砂を充填する状態を示す。
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋳物砂によって鋳型を造型する造型機における鋳枠及びそれを用いた鋳型造型方法に関する。
【0002】
背景技術
例えば出願人に譲渡された特開平7−16705号公報(1993年7月2日出願)に記載されたように、抜枠造型機は公知である。このような造型機には、上部鋳枠と下部鋳枠との1対の鋳枠から造型済み鋳型を抜型した後に、必要に応じて鋳型の側面にきせ枠を被せて注湯する抜枠造型方法が適用される。
【0003】
同公報に記載されるように、従来の造型機の鋳枠においては、上部鋳枠と下部鋳枠とが片持ち支持されており、各々の一方の側面側のみにより結合可能とされている。このため、上部鋳枠と下部鋳枠との間には、それらを重ね合わせた時点では鋳枠を結合する側の反対側で隙間を生じ、抜型時には鋳枠結合側で隙間を生じてしまう。その結果、鋳型面が鋳枠合わせ面と平行にならないため、型ずれが発生する。これは鋳型抜型時に鋳型が模型に対して垂直に抜型されないので型落ちするなどの不具合を生じ易くさせる。
【0004】
また鋳型を内在する上部鋳枠と下部鋳枠とは、特に鋳型合わせ装置によって重ね合せているが、実際には精度高く重ね合わせるのが困難である。
【0005】
発明の概要
従って本発明は、型ずれや型落ちを抑制する鋳枠及びそれを用いた鋳型造型方法を提供することを目的とする。
【0006】
本発明は鋳物砂を保持するための鋳枠を提供し、この鋳枠は、
鋳型が造型される開口を規定すると共に、この開口内へ鋳物砂を供給する少なくとも1つの供給口を有する本体と、
一つの鋳枠を他の鋳枠へ一体的に連結して相互に近接及び離隔可能に支持するように適合された複数の連結棹に対して、この鋳枠を装着するように本体に設けられた装着部材とを備える。
【0007】
本発明によれば、1対の鋳枠は単体の鋳枠ユニットを形成する。その一方の鋳枠と他方の鋳枠とは互いに同一の形状を有してもよく、異なる形状を有してもよい。
【0008】
本発明の鋳枠からなる鋳枠ユニットは、模型定盤が上面と下面との両面に模型を持つならば、無枠式造型機で用いてもよい。
【0009】
従って本発明は、上述の鋳枠ユニットを用いて無枠式造型機で鋳型を造型する方法も提供する。この方法は、
鋳枠ユニットを形成する1対の鋳枠の開口に1対の圧縮部材をそれぞれ挿入することにより、1対の造型空間を画成する造型空間画成段階と、
この1対の造型空間内に供給口を通じて鋳物砂を充填する充填段階と、
充填された鋳物砂を前記圧縮部材により圧縮して2個の半割鋳型を造型する圧縮段階とを含む。
【0010】
好ましくは、造型空間規定段階がなされる位置と充填段階がなされる位置との間で鋳枠ユニットを移動させる移動段階を含む。この場合、圧縮段階は、鋳枠ユニットが移動する経路においてなすことができる。更に、圧縮段階の後に、鋳枠ユニット内の1対の半割鋳型を、中子を収める位置へ移動させることができる。
【0011】
本発明の造型方法が適用される無枠式造型機は、造型空間規定段階がなされる位置と充填段階がなされる位置との間で鋳枠ユニットを移動させる回転フレームと、1対の圧縮部材をそれぞれ駆動させる1対の駆動手段とを含むことが好ましい。この場合、駆動手段は、回転フレームと一体的に移動させるようにしてもよいが、固定位置においてもよい。後者の場合は回転フレームの剛性を最小にできる。或いは、1対の駆動手段の一方は回転フレームと一体的に移動し、他方は固定位置においてもよい。この場合は回転フレームの剛性を小さくすることができる。
【0012】
造型空間画成段階は、1対の造型空間を同時に画成してもよい。これは上部鋳型と下部鋳型との高さが同じである場合に適する。
【0013】
造型空間画成段階は、1対の造型空間をそれぞれ別のタイミングで画成してもよい。これは上部鋳型と下部鋳型との高さが異なる場合に適する。
【0014】
造型空間画成段階は、充填段階に先立って完了させてもよい。これにより造型速度を速めることができる。
【0015】
例えば、造型空間画成段階が一回のみでは充填が不充分になる場合には、充填段階において更なる造型空間画成段階を少なくとも一回なしてもよい。これにより、充填の改善を図ることができる。
【0016】
更に本発明は、上述の鋳枠ユニットを用いて枠付造型機により鋳型を造型する方法も提供する。この方法は、
鋳型造型機において上部及び下部鋳枠ユニットによって模型定盤を挟持すると共に上部及び下部鋳枠における模型定盤が無いそれぞれの開口部に上部及び下部圧縮部材をそれぞれ挿入して上下二つの造型空間を画成する段階と、
上部及び下部鋳枠並びに模型定盤を垂直状態にし、且つ砂供給口を上方に移動させる段階と、
砂供給口から造型空間の各々に鋳物砂を充填する段階と、
上部鋳枠及び模型定盤を水平状態に戻しながら上部及び下部圧縮部材を更に挿入させて、造型空間内の鋳物砂をそれぞれ圧縮する段階と、
模型定盤を前記上部及び下部鋳枠から分離して鋳型造型機から搬出する段階と、
上部及び下部鋳枠を重ね合せて製品キャビティを画成する段階と、
製品キャビティに注湯する注湯手段へ上部及び下部鋳枠ユニットを移送し、この注湯後の上部及び下部鋳枠ユニットを、その鋳型ばらしをなす鋳型ばらし手段へ移送して鋳型ばらしをなす段階と、
鋳型をばらした上部及び下部鋳枠ユニットを枠付造型機へ回送する段階とを含む。
【0017】
本発明の各実施形態において好ましい鋳物砂は、ベンナイトを粘結剤とする生型砂である。
【0018】
本発明の上述及び他の目的と特徴は、添付図面を参照して説明する以下の好適実施形態により一層明らかになろう。
【実施形態の詳細な説明】
【0019】
図1は本発明に係る鋳枠Fを示す。図においては2つの鋳枠Fを重ね合わせて示しており、係合部材2aは上側の鋳枠Fに、係合部材3aは下側の鋳枠Fに設けられている。他の構成については上側の鋳枠と下側の鋳枠とで同様である。
【0020】
鋳枠Fは、開口を規定する周壁部(本体)を有し、その一辺には開口内へ鋳物砂を充填するための少なくとも1つの砂供給口101を設けてある。鋳枠Fの周壁部の対向する1対の側壁の外面には、フランジ(装着部材)102が設けられている。1対のフランジ102の各々には一つの貫通孔103が穿孔されており、鋳枠Fの開口を挟んで1対の貫通孔103が対向している。
【0021】
フランジ102は鋳枠Fの本体と一体的に鋳造成型してもよく、或いは本体とは別個に製作して、この本体に対して機械的に取り付け可能な構造としてもよい。例えば既存の鋳枠を本体として用い、この本体に対してフランジ102を取り付けても本発明の鋳枠Fを構成することができる。この場合、鋳枠Fの係合部材2a,3aはフランジ102と一体成型することが好ましい。係合部材2a,3aの機能については後述する。
【0022】
図2及び図3に示すように、鋳枠ユニットは、それぞれ本発明の鋳枠Fと同様な構成である上部鋳枠104及び下部鋳枠105を含む。但し、上部鋳枠104と下部鋳枠105とは必ずしも同一形状とする必要はなく、互いに異なる形状としてもよい。上部鋳枠104及び下部鋳枠105の各々の貫通孔103には、上部鋳枠104と下部鋳枠105とを一体的に結合するための連結棹106が摺動可能に嵌合されている。実際の造型時には、上部鋳枠104及び下部鋳枠105は連結棹106に案内されて昇降し、上部鋳枠104と下部鋳枠105との間にマッチプレート107を挟持して造型準備がなされる。
【0023】
本発明による鋳枠ひいては鋳枠ユニットは、鋳型造型後に抜枠をなす無枠式造型機(抜枠造型機)にも適用でき、枠付造型機、即ち鋳型造型後に抜枠をなさずに鋳枠内に鋳型を残したまま鋳造ラインへ送り出す造型機にも適用可能である。
【0024】
図4、図5及び図6は、図2及び図3に示す鋳枠ユニットが適用される無枠式造型機の一例を示す。無枠式造型機においては、直方体状の機台1の内部空間に造型空間画成ステーションP、砂入れステーションS、中子入れ・抜型ステーションWが集約されている。鋳枠ユニットは、これら各ステーションに移動可能とされており、造型機の所定位置に機械的に恒常的に固定されるものではない。
【0025】
造型空間画成ステーションPには、側壁に砂供給口をそれぞれ有する二対の上部及び下部鋳枠2,3が配置されている。この造型空間画成ステーションPは、二対の上部及び下部鋳枠2,3のうちの1対における上部鋳枠2と下部鋳枠3との間にマッチプレート5を入出可能に配設する搬入機構4と、スクイーズ機構9とを備えている。上部鋳枠2、下部鋳枠3、及びマッチプレート5は、上述の上部鋳枠104、下部鋳枠105、及びマッチプレート107と同様であり、鋳枠ユニットを形成している。
【0026】
スクイーズ機構9には、1対の上部鋳枠2と下部鋳枠3との間にマッチプレート5が挟持された状態で、上部鋳枠2及び下部鋳枠3におけるマッチプレート5が位置する側の反対側の各開口に対して、上部スクイーズプレート6及び下部スクイーズプレート7をそれぞれ挿抜可能に設けてある。またスクイーズ機構9は、機台1に設けた支持軸8を中心として垂直面内で正逆回動可能に支持されている。その回動範囲は、マッチプレート5を挟持した1対の上部鋳枠2及び下部鋳枠3が垂直姿勢になる位置と、水平姿勢になる位置との間である。造型空間画成ステーションPには、スクイーズ機構9を正逆回転駆動させるための横向きのシリンダ10も備えてある。
【0027】
砂入れステーションSは、シリンダ10の伸長作動により垂直状態にある1対の上部及び下部鋳枠2,3に対して砂供給口から鋳物砂を充填する砂充填機構11を有する。
【0028】
中子入れ・抜型ステーションWは、重ね合わせられて水平状態にあり、上下の半割鋳型を内在する1対の上及び下部鋳枠2,3から上下の半割鋳型を抜き出す鋳型抜出し機構12と、1対の上部及び下部鋳枠2,3が水平状態にあるスクイーズ機構9と鋳型抜出し機構12との間を、1対ずつ上下に連なって水平に並ぶ水平状態の二対の上部及び下部鋳枠2,3を交互に間欠的に旋回させ、且つ上部鋳枠2を係止して昇降可能な鋳枠旋回機構13とを備えている。
【0029】
二対の上部及び下部鋳枠2,3の各対は、図4に示すように、上部鋳枠2の前後外側面に摺動自在に垂設した1対の連結棹14の間に下部鋳枠4を摺動自在に架装し、更に下部鋳枠4を1対の連結棹14の下端位置で係止するようになっており、造型時に搬入されるマッチプレートと共に鋳枠ユニットを構成する。
【0030】
上述の係合部材2a,3aは、例えば上部鋳枠2の両側面の中央部(2a)と、スクイーズ機構9側に位置しているときの下部鋳枠3の両側面の一端(3a)とにそれぞれ設けられており、鋳枠旋回機構13に保持可能とされている。図示の例では、この係合部材2a,3aは孔を有する凸部であり、例えば、その孔に挿通されたピン(図示せず)を介して鋳枠旋回機構13の後述する上部及び下部係止部材37,39に連結される。係合部材2a及び3aは上部及び下部係止部材37及び39に連結可能又は着脱可能であれば、その形状は任意であるので、凸部に代えて例えば凹部としてもよい。また係合部材2a,3aはフランジ102(図1)に設けてもよいが、鋳枠の本体に設けてもよい。
【0031】
マッチプレート5の搬送機構4は、図4に示すように、スクイーズ機構9の支持軸8に環装したリング部材15と、砂充填機構11に枢支し且つピストンロッドの先端をリング部材15の一部に回動自在に連接したシリンダ16と、基端がリング部材15に固着した片持ち構造の1対のアーム17とからなる。シリンダ16の伸縮作動により1対のアーム17が上下方向に回動して、スクイーズ機構9における水平状態の上部鋳枠2と下部鋳枠3との間にマッチプレート5を搬入及び搬出させる。
【0032】
スクイーズ機構9においては、図4に示すように、機台1の上部の中央に装着した支持軸8に回転フレーム18が中心付近にて垂直面内で正逆回転自在に枢支して設けてあり、この回転フレーム18の右側面には上下方向へ延びる1対の案内ロッド19が前後方向へ所要の間隔をおいて装着してある。この1対の案内ロッド19の間において、その上部には逆L字状の上部昇降フレーム20が、下部にはL字状の下部昇降フレーム21が、それぞれ一体的に設けたホルダーを介して摺動自在に架装してある。これら上部及び下部昇降フレーム20及び21は、回転フレーム18に装着した上向きシリンダ22及び下向きシリンダ23の伸縮作動により相互に接近及び離反する。
【0033】
上部昇降フレーム20には上部スクイーズプレート6を進退させる複数のシリンダ24が、下部昇降フレーム21には下部スクイーズプレート7を進退させる複数のシリンダ25がそれぞれ装着してある。上部及び下部昇降フレーム20及び21の各々の水平状上面は、上部及び下部鋳枠2及び3をそれぞれ押圧可能な大きさを有している。
【0034】
本実施形態においては、スクイーズプレート(圧縮部材)6,7を駆動させるシリンダ(駆動手段)は、回転フレーム18と一体的に移動させるようにしてある。これに代えて、シリンダは固定位置においてもよく、スクイーズプレート6,7の何れか一方のためのシリンダを回転フレーム18と一体的に移動させ、他方を固定位置においてもよい。
【0035】
機台1の天井部に(図示では左寄り位置で)装着された砂充填機構11は、2個のエアレーションタンク27を有し、上部鋳枠2と下部鋳枠3とにそれぞれ独立に鋳物砂を低圧の圧縮空気で浮遊又は流動化させながら充填(エアレーション充填)する。
【0036】
尚、低圧圧縮空気を用いて鋳物砂を浮遊又は流動化させるエアレーション充填は、例えば本願の出願人に譲渡された米国特許U.S6,749,003B2号に記載されている。低圧圧縮空気の圧力の大きさは、0.05Mpa乃至0.18Mpaの範囲が好ましいことも判明している。但し、本発明に適用される充填法はエアレーション充填に限定されるものではない。例えば、より高圧の圧縮空気を用いるブロー充填を適用してもよく、それに減圧を併用してもよい。
【0037】
鋳型抜出し機構12においては、上下に重なった水平状態の上部及び下部鋳枠2,3内に進入可能な抜出し板28が、機台1の天井部に装着した下向きシリンダ29のピストンロッドの下端に固着され、このシリンダ29の伸縮作動により抜出し板28が昇降するようにしてある。抜出し板28の直下には、上部及び下部鋳枠2,3から抜き出された上下の半割鋳型を受ける鋳型受けテーブル30が配設してある。この鋳型受けテーブル30はシリンダ31の伸縮作動により伸縮するパンタグラフ32によって昇降する(図5参照)。
【0038】
鋳枠旋回機構13においては、高さ方向に沿って延伸する回転シャフト33が水平回転自在に機台1に装着してある。この回転シャフト33の上端は、機台1の天井に装着したモータ34の出力軸に連結してあり、このモータ34の駆動により回転シャフト33が180度正逆回動するようにしてある。
【0039】
ここで回転シャフト33の回動範囲の180度とは、造型した鋳型をその造型位置から鋳枠旋回機構13により鋳型抜出し機構12へ移動させるための回動角度範囲の一例である。この回動角度範囲は、鋳型抜出し機構12の設置位置に応じて定まるのであるから、180度に限定されるものではない。所望の回動位置に合わせて鋳型抜出し機構を設置してもよい。
【0040】
回転シャフト33の上部には支持部材35が装着してある。この支持部材35には、下方へ延出して前後方向へ所要の間隔をもって対をなす二対の案内ロッド36が垂設してあり、これら二対の案内ロッド36は回転シャフト33を中心として対向している。案内ロッド36の各対には、上部鋳枠2の係合部材2aを係止可能な上部係止部材37が上下方向に摺動自在に架装してある。この上部係止部材37には、回転シャフト33に装着した上向きシリンダ38のピストンロットの先端が固着してあり、シリンダ38の伸縮作動によって上部係止部材37が昇降するようにされている。一方、二対の案内ロッド36の下端には、2個の下部鋳枠3の係合部材3aを係止可能な下部係止部材39が固着してある。
【0041】
鋳型排出装置40は、上部及び下部鋳枠2,3内から抜き出された上下の半割鋳型を鋳型受けテーブル30上から押し出す機能を有している。
【0042】
本発明の鋳型造型方法によれば、先ず鋳枠ユニットの開口部に1対の圧縮部材(図4の造型機においてはスクイーズプレート6,7)を挿入して1対の鋳型造型空間を画成する。この造型空間に鋳物砂を充填する。その後、圧縮部材により鋳物砂を圧縮して2個の半割鋳型を造型する(図8)。
【0043】
本発明の鋳型造型方法においては、造型空間を完成する位置と、この造型空間に鋳物砂を充填する位置との間で鋳枠ユニットを移動させてもよい。この場合、鋳枠ユニットが移動する経路において、造型空間に充填された鋳物砂を圧縮することができる(図9)。
【0044】
図9に示す方法について、上述した鋳枠ユニット及び無枠式造型機を用いて、図4で示す状態から鋳枠無しの上下の半割鋳型を造型する場合を例として更に詳しく説明する。
【0045】
先ず造型空間画成ステーションPにおいて、搬送機構4のシリンダ16を伸長作動させて1対のアーム17によりマッチプレート5を水平状態の1対の上部鋳枠2と下部鋳枠3との間に搬入する。
【0046】
次いで、スクイーズ機構9の上向きシリンダ22及び下向きシリンダ23を収縮作動させて上部及び下部昇降フレーム20,21を介して上部及び下部鋳枠2,3を相互に接近させる。このとき、上部鋳枠2と下部鋳枠3とは、マッチプレート5と共に連結棹14により一体的に結合された鋳枠ユニットを構成している。
【0047】
その後、上部及び下部鋳枠2,3によってマッチプレート5を挟持しながら、スクイーズ機構10の複数のシリンダ24,25の各々を所要長さだけ伸長作動させる。そして上部スクイーズプレート6及び下部スクイーズプレート7をそれぞれ上部鋳枠2及び下部鋳枠3内に所要長さだけ挿入して、上下に2つの造型空間を画成しながら、シリンダ10を伸長作動させる。更に、スクイーズ機構9を支持軸8を中心に時計方向へ回動させて、1対の上部及び下部鋳枠2,3並びにマッチプレート5を垂直状態にすると共に、砂供給口を上方へ移動させる(図4参照)。
【0048】
上下の1対の造型空間の画成は、例えば上部鋳型と下部鋳型との高さが同じであるならば、1対の造型空間を同時に画成してもよいであろう。或いは、例えば上部鋳型と下部鋳型との高さが異なる場合には、1対の造型空間をそれぞれ別のタイミングで画成してもよい。
【0049】
次いで、砂入れステーションSでは、適宜な充填法、例えば低圧(大気圧より低い圧力)の圧縮空気を用いるエアレーション充填法により、砂充填機構11により砂供給口から上下2つの造型空間へ鋳物砂を充填する。
【0050】
続いて、造型空間画成ステーションPにおいて、1対をなす上部及び下部鋳枠2,3並びにマッチプレート5を水平状態へ復帰させながら、上部及び下部鋳枠2及び3内にそれぞれ浸入している上部及び下部スクイーズプレート6,7を更に浸入させて、上下2つの造型空間内の鋳物砂をそれぞれスクイーズする。次いで、上向きシリンダ22及び下向きシリンダ23を伸長作動させて、上部昇降フレーム20と下部昇降フレーム21とを相互に離反させる。
【0051】
造型空間の画成が一回のみでは鋳物砂の充填が不充分になる場合には、その改善を図るために、この鋳物砂を充填する段階において更なる造型空間画成を少なくとも一回なしてもよい。勿論、造型速度を速めるためには、造型空間の画成は、鋳物砂の充填に先立って完了させておくことが望ましい。
【0052】
次いで、中子入れ及び抜型ステーションWでは、鋳枠旋回機構13のシリンダ38を伸長作動させて、鋳物砂をスクイーズしてなる半割鋳型を内在した上部鋳枠2を上部係止部材37により吊り上げてマッチプレート5から分離する。一方、下部鋳枠3は鋳枠旋回機構13の下部係止部材39上に載置する。続いて、シリンダ16を収縮作動させて、1対のアーム17によりマッチプレート5を上部鋳枠2と下部鋳枠3との間から搬出する。
【0053】
次いで、鋳枠旋回機構13のモータ34の駆動により回転シャフト33を所要角度範囲に亘って回動させることにより、鋳型を内在する上部及び下部鋳枠2,3を鋳型抜出し機構12まで旋回移動させる。続いて、必要に応じて鋳型に中子を設定した後、シリンダ38の収縮作動により鋳型を内在する上部鋳枠2を上部係止部材37を介して下降させ、下部鋳枠3に重ね合せる。
【0054】
次いで、鋳型抜出し機構12のシリンダ31の伸長作動により鋳型受けテーブル42を上昇させて、これに下部鋳枠2を載置させる。一方、シリンダ41の伸長動作により鋳型受けテーブル30上に半割鋳型を内在する上部及び下部鋳枠2,3を載置する。続いて、鋳型抜出し機構12のシリンダ29を伸長作動させて抜出し板28を上部鋳枠2の半割鋳型上に当接させる。その後、シリンダ41を収縮作動させて抜出し板28及び鋳型受けテーブル30を相互に連動させながら下降させて、上部及び下部鋳枠2,3から半割鋳型を抜き出す。続いて、シリンダ31を収縮作動して鋳型排出レベルまで下降させ、伸縮鋳型排出装置40によって鋳型受けテーブル30上の上下の半割鋳型を押し出す。
【0055】
尚、上述した工程において、造型した半割鋳型に必要に応じて中子を嵌め込むことが望まれることもあろう。この場合には、半割鋳型を内在する上部及び下部鋳枠2,3を鋳型抜出し機構12へ旋回移動するまでに、先行して造型した半割鋳型に中子を嵌め込んだ後、上述と同様にして、半割鋳型を内在する1対の上部及び下部鋳枠2,3を重ね合せ、半割鋳型を押し出す。
【0056】
本実施形態においては、上部及び下部鋳枠は2対を用いたが、1対のみを用いてもよい。1対の上部及び下部鋳枠を用いる場合でも、鋳型造型空間に砂を充填する位置と鋳型造型を完成する位置の移動経路において、上部鋳枠用の第1スクイーズプレート(上部スクイーズプレート)と下部鋳枠用の第2スクイーズプレート(下部スクイーズプレート)を各々の鋳枠に対して独立して近接離反できる。これにより鋳物砂の圧縮が可能であるので、造型に要する時間を短縮できる。また、この移動経路中において上部鋳枠用の第1スクイーズプレートと下部鋳枠用の第2スクイーズプレートとを各々の鋳枠から抜き出すこともできる。これによれば、造型に要する時間を更に短縮できるので、中子を嵌め込むための作業時間も充分に確保できる。
【0057】
また、マッチプレート5,107は、両面に模型を有する模型定盤であれば、その製造方法は任意である。例えば、一面のみに模型盤を有する上枠用の模型定盤と、一面のみに模型盤を有する下型用の模型定盤との背面同志を対向させて組み合わせたマッチプレートを製造若しくは再利用してもよい。
【0058】
次に、本発明を枠付造型機に適用した実施形態について説明する。図10に概略的に示すように、枠付造型機に基づく鋳物鋳造ラインは、枠付造型機51、注湯ライン52、鋳型ばらし装置53及び鋳枠回送装置54からなる。枠付造型機51は鋳枠付き上部及び下部鋳型を造型する。次いで注湯ライン52は、造型後の上部及び下部鋳型の製品キャビティ内に注湯する。鋳型ばらし装置53は、注湯後の上部及び下部鋳枠から鋳型を押し出す。鋳枠回送装置54は、後述の上部及び下部鋳枠ユニット46(図11及び12)を鋳型ばらし装置53から造型機51へ回送する。
【0059】
図11乃至図14に示すように、造型機51は、内部に空間を形成した直方体状の機台1を含む。その内部空間には、側壁に砂供給口をそれぞれ有する上部鋳枠2と下部鋳枠3とを相互に接近及び離隔自在に連結した複数組の上部及び下部鋳枠ユニット46が収容されている。これら上部鋳枠2、下部鋳枠3及び上部及び下部鋳枠ユニット46は、上述の実施形態における上部鋳枠、下部鋳枠及び鋳枠ユニットと同様である。複数組の上部及び下部鋳枠ユニット46のうちの1組のユニット46の上部鋳枠2と下部鋳枠3との間には、移送機構4aによって搬入及び搬出可能に配設された模型定盤、例えば上下両面が模型を有するマッチプレート5が配置されている。但し、模型定盤5は、マッチプレートに限定されるものではく、上面又は下面の何れか一方に模型を有するものでもよい。
【0060】
機台1の内部空間に収容されたスクイーズ機構9は、上部鋳枠2と下部鋳枠3とによりマッチプレート5を鋏持し、上部鋳枠2及び下部鋳枠3におけるマッチプレート5とは反対側の各々の開口部に対して進入及び退出可能な上部スクイーズプレート6及び下部スクイーズプレート7を含む。また上述の実施形態と同様にスクイーズ機構9は、機台1に設けた支持軸8を含むと共に、マッチプレート5を挟持した上下の鋳枠2,3をこれらが垂直状態になる位置と水平状態になる位置との間で支持軸8を中心に垂直面内で正逆回転可能に支持している。
【0061】
機台1の内部空間には、上述の実施形態と同様に、スクイーズ機構9を正逆回転させる回転駆動機構としての横向きのシリンダ10と、このシリンダ10の伸長作動によって垂直状態にある1対の上下の鋳枠2,3に対して上述の砂供給口から鋳物砂を吹き込む砂充填機構11、水平状態の2組の上部及び下部鋳枠ユニット46を交互に間欠的に旋回させ且つ上部鋳枠2を係止して昇降させる鋳枠旋回機構13も収容されている。
【0062】
この鋳枠旋回機構13の右側に隣接して配置してあるのは、上述の実施形態の鋳型抜出し機構12に代えて、上部及び下部鋳枠ユニット46を移送させる鋳枠ユニット移送装置12aである。鋳枠旋回機構13の基本的構成は上述の実施形態と同様であるが、その旋回範囲は 1対の上下の鋳枠2,3が水平状態にあるスクイーズ機構9と鋳枠ユニット移送装置12aとの間である。
【0063】
図12に示すように、複数組の上部及び下部鋳枠ユニット46の各々の上部鋳枠2及び下部鋳枠3においては、上部鋳枠2の前後両外側面に垂設した1対の連結棹14の間に下部鋳枠3を摺動自在に装架し、更に下部鋳枠3が1対の連結棹14の下端位置で係止するようにしてある。上部鋳枠2の両側面の中央部と、下部鋳枠3がスクイーズ機構9側に位置するときにおける下部鋳枠3の両側面の一端には、それぞれ係合部材(図12には示さないが、図1の2a及び3aと同様であり、例えば孔を有する凸部である)を設けてある。
【0064】
図11を参照すると、マッチプレート5の移送機構4は、スクイーズ機構9の支持軸8に環装したリング部材15と、このリング部材15にピストンロッドの先端を回動自在に連接したシリンダ(図11には図示しないが、無枠式造型機の実施形態のシリンダ16と同様である)の伸縮作動により左右方向へ回動する片持ち構造の1対のアーム17と、マッチプレート5を載置して左右方向へ往復動自在な吊下げ型の台車45とからなる。
【0065】
スクイーズ機構9においては、機台1の上部の中央に装着した支持軸8に回転フレーム18が中心付近にて垂直面内で正逆回転自在に枢支して設けられ、この回転フレーム18の右側面には上下方向へ延出する1対の案内ロッド19が前後方向へ所要の間隔をおいて装着してある。この1対の案内ロッド19の間において、その上部には逆L字状の上昇降フレーム20が、その下部にはL字状の下昇降フレーム21が、一体的に設けたホルダーを介して各々が摺動自在にして装架してあり、これら上部フレーム20と下部下昇降フレーム21とは、回転フレーム18に装着した上向きシリンダ及び下向きシリンダ(図11には示していないが、無枠式造型機の実施形態における回転フレーム18に装着した上向きシリンダ22と及び下向きシリンダ23と同様である)の伸縮作動によって相互に接近及び離隔する。
【0066】
上部昇降フレーム20には上部スクイーズプレート6を進退させる複数のシリンダ24が、また、下部昇降フレーム21には下部スクイーズプレート7を進退させる複数のシリンダ25がそれぞれ装着してある。また、上部及び下部昇降フレーム20,21のそれぞれの水平状の上面は上部及び下部鋳枠2及び3をそれぞれ押圧することができる大きさを有している。
【0067】
砂充填機構11は、上部鋳枠2と下部鋳枠3とにそれぞれ独立に鋳物砂を低圧(好ましくは0.05Mpa乃至0.18Mpa)の圧縮空気で浮遊又は流動化させながら充填(エアレーション充填)する例えば2つのエアレーション充填機構であることが好ましい。2つのエアレーション充填機構は、それぞれ独立に制御及び作動させてもよいが、同時に又は同一の制御により作動させることもできる。
【0068】
依然として図11を参照すると、鋳枠旋回機構13には、垂直な回転シャフト33が機台1に水平回転自在に装着してある。この回転シャフト33の上端には、機台1の天井に装着したモータ34の出力軸が連結してあり、そのモータ34の駆動により回転シャフト33が180度正逆回動するようにしてある。回転シャフト33の上部には支持部材35が装着してあり、この支持部材35には、前後方向に所要間隔をもって対をなして下方へ延出する二対の案内ロッド36が垂設してある。これら二対の案内ロッド36は回転シャフト33を中心にして左右2対向している。案内ロッド36の各対には、上部鋳枠2の係合部材を係止可能な上部係止部材37が案内ロッド36に沿って上下に摺動自在に架装してある。各上部係止部材37は、回転シャフト33に装着した上向きシリンダ(図示せず)のピストンロットの先端に固着して、そのシリンダの伸縮作動によって昇降するようにしてある。二対の案内ロッド36の下端には、二個の下部鋳枠3の係合部材を係止可能な下部係止部材39が固着してある。
【0069】
次に、枠付造型機を用いて図10に示す状態から上部及び下部鋳型を造型して、鋳物を鋳造する手順について説明する。
【0070】
先ず移送機構4により台車45を介してマッチプレート5を上部及び下部鋳枠ユニット46の水平状態の上部鋳枠2と下部鋳枠3との間に搬入する。次いで、スクイーズ機構9の上向き及び下向きシリンダをそれぞれ収縮作動させて上部及び下部昇降フレーム20及び21を介して上部及び下部鋳枠2及び3を相互に接近させる。これら上部及び下部鋳枠2及び3によってマッチプレート5を挟持しながら、スクイーズ機構9の複数のシリンダ24,25をそれぞれ所要長さ伸長作動させて上部及び下部スクイーズプレート6及び7を上部及び下部鋳枠2及び3内に所要長さ挿入して、上部と下部との二つの造型空間を画成する。更に、シリンダ10を伸長作動させてスクイーズ機構9を支持軸8を中心に時計方向へ回転させて1対の上部及び下部鋳枠2及び3並びにマッチプレート5を垂直状態にする。これと共に砂供給口を上方へ移動させて、砂充填機構11の下端に当接させる(図15参照)。
【0071】
次いで、砂充填機構11により砂供給口から上下二つの造型空間へ鋳物砂を充填する。続いて、1対の上部及び下部鋳枠2及び3並びにマッチプレート5を水平状態に戻しながら、上部及び下部スクイーズプレート6及び7を更に進入させて上下二つの造型空間内の鋳物砂をそれぞれ圧縮する。次いで、上向き及び下向きシリンダをそれぞれ伸長作動させて上部及び下部昇降フレーム20及び21を相互に離隔する。続いて、鋳枠旋回機構13のシリンダを伸長作動させて、鋳物砂を圧縮してなる鋳型を内在した上部鋳枠2を上部係止部材37によって吊り上げると共にマッチプレート5から分離し、下部鋳枠3を鋳枠旋回機構13の下部係止部材39上にそれぞれ載置させる。
【0072】
次いで、移送機構4により台車45を介してマッチプレート5を上部鋳枠2と下部鋳枠3との間から搬出する。続いて(必要とあれば鋳型に中子を嵌め込んだ後)、鋳型を内在する上部鋳枠2をシリンダの収縮作動により上部係止部材37を介して下降させて、下部鋳枠3に重ね合せる。次いで、鋳枠旋回機構13のモータ34の駆動により回転シャフト33を所要角度回動させて鋳型内在の上部及び下部鋳枠2及び3を鋳枠ユニット移送装置12aまで旋回移動させる。続いて、鋳枠回送装置54により鋳枠ユニット移送装置12aを介して上部及び下部鋳枠ユニット46を、枠付造型機51から注湯ライン52、鋳型ばらし装置53へ順次送り込んだ後、造型機51へ回送する。
【0073】
上述の各実施形態は、本発明を例示するものであって、限定を意図するものではなく、添付の請求項に記載された本発明の要旨を逸脱しない範囲で様々な変更をなし得ることは明らかである。
【0074】
例えば本発明は無枠式造型機と枠付造型機との何れにも適用できるが、これらの造型機は図示の設計に限定されるものではない。例えば造型機の圧縮部材としてはスクイーズプレート6,7を示したが、これに代えて、複数の駆動源で上下動する複数の上部及び下部スクイーズフットとしてもよい。圧縮部材の駆動源は、高い出力を得るためには油圧シリンダが適するが、所望により空気圧シリンダとしてもよい。或いは電気モータを用いてもよく、この場合は駆動流体の配管系を伴わないので造型機の設置の自由度が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】図1は本発明に係る一つの鋳枠の平面図を示す。
【図2】図2は本発明に係る一対の鋳枠からなる鋳枠ユニットを一部破断して概略的に示す側面図である。
【図3】図3は図2と同様な図であって、上部鋳枠と下部鋳枠とによってマッチプレートを挟持した状態を示す。
【図4】図4は本発明の方法が適用される造型機の一例を示す一部切り欠き正面図である。
【図5】図5は図1のA-A矢視図であって、鋳枠ユニットの上部鋳枠と下部鋳枠とによりマッチプレートを挟持した状態を示す。
【図6】図6は図4の造型機の平面図を示す。
【図7】図7は図4の造型機の動作を説明する図であって、鋳枠ユニットへ鋳物砂を充填する状態を示す。
【図8】図8は図4の無枠式造型機に基づく鋳造設備における本発明による鋳型造型方法を概略的に示す工程図である。
【図9】図9は図4の無枠式造型機を用いる本発明による他の鋳型造型方法を概略的に示す工程図である。
【図10】図10は本発明による鋳型造型方法が適用される枠付造型機に基づく鋳造設備を概略的に示す図である。
【図11】図11は図10の鋳造設備における枠付造型機を示す正面図である。
【図12】図12は図11の枠付造型機に用いた鋳枠ユニットの正面図である。
【図13】図13は図12の鋳枠ユニットの左側面図である。
【図14】図14は図12の鋳枠ユニットの右側面図である。
【図15】図15は図11の造型機の動作を説明する図であって、鋳枠ユニットへ鋳物砂を充填する状態を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋳物砂を保持するための鋳枠であって、
鋳型が造型される開口を規定すると共に、この開口内へ鋳物砂を供給する少なくとも1つの供給口を有する本体と、
一つの前記鋳枠を他の鋳枠へ一体的に連結して相互に近接及び離隔可能に支持するように適合された複数の連結棹に対して、前記鋳枠を装着するように前記本体に設けられた装着部材とを備える鋳枠。
【請求項2】
請求項1に記載の鋳枠において、前記本体又は前記装着部材が、前記鋳枠の外部のアクチュエータからの力が前記鋳枠へ伝わるように、そのアクチュエータと係合可能な係合部材を更に備える鋳枠。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の鋳枠において、前記装着部材が前記本体と一体成型されている鋳枠。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の鋳枠において、前記装着部材が前記本体とは個別に製作されており、且つ前記本体に対して機械的に取り付けられている鋳枠。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の鋳枠において、1対の鋳枠が一つの鋳枠ユニットを形成する鋳枠。
【請求項6】
請求項5に記載の鋳枠において、前記鋳枠ユニットの一方の鋳枠と他方の鋳枠とが互いに同一の形状を有する鋳枠。
【請求項7】
請求項5に記載の鋳枠において、前記鋳枠ユニットの一方の鋳枠と他方の鋳枠とが互いに異なる形状を有する鋳枠。
【請求項8】
請求項6又は7に記載の鋳枠において、前記鋳枠ユニットは、前記1対の鋳枠が前記装着部材により装着された1対の前記連結棹を有する鋳枠。
【請求項9】
請求項8に記載の鋳枠において、前記鋳枠ユニットは、前記1対の鋳枠の間に挾持可能であり、少なくとも一面に模型を持つ模型定盤を有する鋳枠。
【請求項10】
請求項9に記載の鋳枠において、前記装着部材は、前記開口を挟んで対向する1対が各々の鋳枠から外側へ延出すると共に、各々が貫通孔を有し、その貫通孔は、1対の前記鋳枠を整合させて重ね合わせたときに、一方の前記鋳枠の前記貫通孔が他方の前記鋳枠の対応する前記貫通孔に連通するように位置している鋳枠。
【請求項11】
請求項10に記載の鋳枠において、前記鋳枠ユニットにおける前記連結棹が前記貫通孔に対して摺動可能に嵌合されている鋳枠。
【請求項12】
請求項11に記載の鋳枠において、前記模型定盤が両面に模型を有するマッチプレートであり、
前記鋳枠ユニットが、鋳物砂を圧縮する1対の圧縮部材を有する無枠式造型機に組み込まれる鋳枠。
【請求項13】
請求項12に記載の鋳枠を用いて前記無枠式造型機で鋳型を造型する方法であって、
前記鋳枠ユニットを形成する1対の鋳枠の前記開口に前記1対の圧縮部材をそれぞれ挿入することにより、1対の造型空間を画成する造型空間画成段階と、
この1対の造型空間内に前記供給口を通じて鋳物砂を充填する充填段階と、
前記充填された鋳物砂を前記圧縮部材により圧縮して2個の半割鋳型を造型する圧縮段階とを含む方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法において、前記造型空間画成段階がなされる位置と前記充填段階がなされる位置との間で前記鋳枠ユニットを移動させる移動段階を含む方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法において、前記圧縮段階は、前記鋳枠ユニットが移動する経路においてなされる方法。
【請求項16】
請求項15に記載の方法において、前記鋳枠ユニットが移動する経路においてなされる前記圧縮段階は、前記鋳枠ユニットが移動する前になされる方法。
【請求項17】
請求項13乃至16の何れか一項に記載の方法において、前記圧縮段階の後に、前記鋳枠ユニット内の1対の半割鋳型を、中子を収める位置へ移動させる段階を更に含む方法。
【請求項18】
請求項13乃至16の何れか一項に記載の方法において、前記圧縮段階の後に、前記鋳枠ユニット内の1対の半割鋳型を、抜型位置に移動させる段階を更に含む方法。
【請求項19】
請求項14乃至18の何れか一項に記載の方法において、前記無枠式造型機が、
前記造型空間規定段階がなされる位置と前記充填段階がなされる位置との間で前記鋳枠ユニットを移動させる回転フレームと、
前記1対の圧縮部材をそれぞれ駆動させる1対の駆動手段とを含む方法。
【請求項20】
請求項19に記載の方法において、前記1対の駆動手段が前記回転フレームと一体的に移動する方法。
【請求項21】
請求項19に記載の方法において、前記1対の駆動手段が固定位置にある方法。
【請求項22】
請求項19に記載の方法において、前記1対の駆動手段の一方は前記回転フレームと一体的に移動し、他方は固定位置にある方法。
【請求項23】
請求項13乃至22の何れか一項に記載の方法において、前記造型空間画成段階は、前記1対の造型空間を同時に画成する方法。
【請求項24】
請求項13乃至22の何れか一項に記載の方法において、前記造型空間画成段階は、前記1対の造型空間をそれぞれ別のタイミングで画成する方法。
【請求項25】
請求項13乃至22の何れか一項に記載の方法において、前記造型空間画成段階は、前記充填段階に先立って完了する方法。
【請求項26】
請求項13乃至22の何れか一項に記載の方法において、前記充填段階において更なる造型空間画成段階が少なくとも一回なされる方法。
【請求項27】
請求項13乃至22の何れか一項に記載の方法において、前記半割鋳型を鋳枠から抜き出す前に、注湯する方法。
【請求項28】
請求項11に記載の鋳枠において、前記鋳枠ユニットが、鋳物砂を圧縮する上部及び下部圧縮部材を有する枠付造型機に組み込まれる鋳枠。
【請求項29】
請求項28に記載の鋳枠を用いて、前記枠付造型機により鋳型を造型する方法であって、
前記鋳型造型機において前記上部及び下部鋳枠ユニットによって前記模型定盤を挟持すると共に前記上部及び下部鋳枠における前記模型定盤が無いそれぞれの開口部に上部及び下部圧縮部材をそれぞれ挿入して上下二つの造型空間を画成する段階と、
前記上部及び下部鋳枠並びに前記模型定盤を垂直状態にし、且つ前記砂供給口を上方に移動させる段階と、
前記砂供給口から前記造型空間の各々に鋳物砂を充填する段階と、
前記上部鋳枠及び模型定盤を水平状態に戻しながら前記上部及び下部圧縮部材を更に挿入させて、前記造型空間内の鋳物砂をそれぞれ圧縮する工程と、
前記模型定盤を前記上部及び下部鋳枠から分離して前記鋳型造型機から搬出する段階と、前記上部及び下部鋳枠を重ね合せて製品キャビティを画成する段階と、
前記製品キャビティに注湯する注湯手段へ前記上部及び下部鋳枠ユニットを移送し、この注湯後の前記上部及び下部鋳枠ユニットを、その鋳型ばらしをなす鋳型ばらし手段へ移送して鋳型ばらしをなす段階と、
鋳型をばらした前記上部及び下部鋳枠ユニットを前記枠付造型機へ回送する段階とを含む方法。
【請求項30】
請求項29に記載の方法において、前記枠付造型機は、
前記模型定盤を前記上部鋳枠と前記下部鋳枠との間に対して搬入及び搬出させる第一の搬送手段と、
前記上部圧縮部材及び下部圧縮部材を有し、且つ前記上部鋳枠及び下部鋳枠並びに前記模型定盤が垂直状態になる位置と水平状態になる位置との間を垂直面内で正逆回転可能に支持した圧縮手段と、
この圧縮手段を正逆回転させる回転駆動手段と、
この回転駆動手段の駆動によって、垂直状態にある前記上部及び下部鋳枠に対して前記砂供給口から鋳物砂を充填する充填手段と、
前記上部及び下部鋳枠ユニットを前記圧縮手段に対して搬入及び搬出させ、且つ前記上部鋳枠を昇降させる第二の搬送手段とを備える方法。
【請求項31】
請求項30に記載の方法において、前記上部及び下部鋳枠ユニットによって前記模型定盤を挟持した状態で、前記上部圧縮部材及び下部圧縮部材は、前記上部及び下部鋳枠における前記模型定盤とは反対側の対応する前記開口部に対して挿抜自在である方法。
【請求項1】
鋳物砂を保持するための鋳枠であって、
鋳型が造型される開口を規定すると共に、この開口内へ鋳物砂を供給する少なくとも1つの供給口を有する本体と、
一つの前記鋳枠を他の鋳枠へ一体的に連結して相互に近接及び離隔可能に支持するように適合された複数の連結棹に対して、前記鋳枠を装着するように前記本体に設けられた装着部材とを備える鋳枠。
【請求項2】
請求項1に記載の鋳枠において、前記本体又は前記装着部材が、前記鋳枠の外部のアクチュエータからの力が前記鋳枠へ伝わるように、そのアクチュエータと係合可能な係合部材を更に備える鋳枠。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の鋳枠において、前記装着部材が前記本体と一体成型されている鋳枠。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の鋳枠において、前記装着部材が前記本体とは個別に製作されており、且つ前記本体に対して機械的に取り付けられている鋳枠。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の鋳枠において、1対の鋳枠が一つの鋳枠ユニットを形成する鋳枠。
【請求項6】
請求項5に記載の鋳枠において、前記鋳枠ユニットの一方の鋳枠と他方の鋳枠とが互いに同一の形状を有する鋳枠。
【請求項7】
請求項5に記載の鋳枠において、前記鋳枠ユニットの一方の鋳枠と他方の鋳枠とが互いに異なる形状を有する鋳枠。
【請求項8】
請求項6又は7に記載の鋳枠において、前記鋳枠ユニットは、前記1対の鋳枠が前記装着部材により装着された1対の前記連結棹を有する鋳枠。
【請求項9】
請求項8に記載の鋳枠において、前記鋳枠ユニットは、前記1対の鋳枠の間に挾持可能であり、少なくとも一面に模型を持つ模型定盤を有する鋳枠。
【請求項10】
請求項9に記載の鋳枠において、前記装着部材は、前記開口を挟んで対向する1対が各々の鋳枠から外側へ延出すると共に、各々が貫通孔を有し、その貫通孔は、1対の前記鋳枠を整合させて重ね合わせたときに、一方の前記鋳枠の前記貫通孔が他方の前記鋳枠の対応する前記貫通孔に連通するように位置している鋳枠。
【請求項11】
請求項10に記載の鋳枠において、前記鋳枠ユニットにおける前記連結棹が前記貫通孔に対して摺動可能に嵌合されている鋳枠。
【請求項12】
請求項11に記載の鋳枠において、前記模型定盤が両面に模型を有するマッチプレートであり、
前記鋳枠ユニットが、鋳物砂を圧縮する1対の圧縮部材を有する無枠式造型機に組み込まれる鋳枠。
【請求項13】
請求項12に記載の鋳枠を用いて前記無枠式造型機で鋳型を造型する方法であって、
前記鋳枠ユニットを形成する1対の鋳枠の前記開口に前記1対の圧縮部材をそれぞれ挿入することにより、1対の造型空間を画成する造型空間画成段階と、
この1対の造型空間内に前記供給口を通じて鋳物砂を充填する充填段階と、
前記充填された鋳物砂を前記圧縮部材により圧縮して2個の半割鋳型を造型する圧縮段階とを含む方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法において、前記造型空間画成段階がなされる位置と前記充填段階がなされる位置との間で前記鋳枠ユニットを移動させる移動段階を含む方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法において、前記圧縮段階は、前記鋳枠ユニットが移動する経路においてなされる方法。
【請求項16】
請求項15に記載の方法において、前記鋳枠ユニットが移動する経路においてなされる前記圧縮段階は、前記鋳枠ユニットが移動する前になされる方法。
【請求項17】
請求項13乃至16の何れか一項に記載の方法において、前記圧縮段階の後に、前記鋳枠ユニット内の1対の半割鋳型を、中子を収める位置へ移動させる段階を更に含む方法。
【請求項18】
請求項13乃至16の何れか一項に記載の方法において、前記圧縮段階の後に、前記鋳枠ユニット内の1対の半割鋳型を、抜型位置に移動させる段階を更に含む方法。
【請求項19】
請求項14乃至18の何れか一項に記載の方法において、前記無枠式造型機が、
前記造型空間規定段階がなされる位置と前記充填段階がなされる位置との間で前記鋳枠ユニットを移動させる回転フレームと、
前記1対の圧縮部材をそれぞれ駆動させる1対の駆動手段とを含む方法。
【請求項20】
請求項19に記載の方法において、前記1対の駆動手段が前記回転フレームと一体的に移動する方法。
【請求項21】
請求項19に記載の方法において、前記1対の駆動手段が固定位置にある方法。
【請求項22】
請求項19に記載の方法において、前記1対の駆動手段の一方は前記回転フレームと一体的に移動し、他方は固定位置にある方法。
【請求項23】
請求項13乃至22の何れか一項に記載の方法において、前記造型空間画成段階は、前記1対の造型空間を同時に画成する方法。
【請求項24】
請求項13乃至22の何れか一項に記載の方法において、前記造型空間画成段階は、前記1対の造型空間をそれぞれ別のタイミングで画成する方法。
【請求項25】
請求項13乃至22の何れか一項に記載の方法において、前記造型空間画成段階は、前記充填段階に先立って完了する方法。
【請求項26】
請求項13乃至22の何れか一項に記載の方法において、前記充填段階において更なる造型空間画成段階が少なくとも一回なされる方法。
【請求項27】
請求項13乃至22の何れか一項に記載の方法において、前記半割鋳型を鋳枠から抜き出す前に、注湯する方法。
【請求項28】
請求項11に記載の鋳枠において、前記鋳枠ユニットが、鋳物砂を圧縮する上部及び下部圧縮部材を有する枠付造型機に組み込まれる鋳枠。
【請求項29】
請求項28に記載の鋳枠を用いて、前記枠付造型機により鋳型を造型する方法であって、
前記鋳型造型機において前記上部及び下部鋳枠ユニットによって前記模型定盤を挟持すると共に前記上部及び下部鋳枠における前記模型定盤が無いそれぞれの開口部に上部及び下部圧縮部材をそれぞれ挿入して上下二つの造型空間を画成する段階と、
前記上部及び下部鋳枠並びに前記模型定盤を垂直状態にし、且つ前記砂供給口を上方に移動させる段階と、
前記砂供給口から前記造型空間の各々に鋳物砂を充填する段階と、
前記上部鋳枠及び模型定盤を水平状態に戻しながら前記上部及び下部圧縮部材を更に挿入させて、前記造型空間内の鋳物砂をそれぞれ圧縮する工程と、
前記模型定盤を前記上部及び下部鋳枠から分離して前記鋳型造型機から搬出する段階と、前記上部及び下部鋳枠を重ね合せて製品キャビティを画成する段階と、
前記製品キャビティに注湯する注湯手段へ前記上部及び下部鋳枠ユニットを移送し、この注湯後の前記上部及び下部鋳枠ユニットを、その鋳型ばらしをなす鋳型ばらし手段へ移送して鋳型ばらしをなす段階と、
鋳型をばらした前記上部及び下部鋳枠ユニットを前記枠付造型機へ回送する段階とを含む方法。
【請求項30】
請求項29に記載の方法において、前記枠付造型機は、
前記模型定盤を前記上部鋳枠と前記下部鋳枠との間に対して搬入及び搬出させる第一の搬送手段と、
前記上部圧縮部材及び下部圧縮部材を有し、且つ前記上部鋳枠及び下部鋳枠並びに前記模型定盤が垂直状態になる位置と水平状態になる位置との間を垂直面内で正逆回転可能に支持した圧縮手段と、
この圧縮手段を正逆回転させる回転駆動手段と、
この回転駆動手段の駆動によって、垂直状態にある前記上部及び下部鋳枠に対して前記砂供給口から鋳物砂を充填する充填手段と、
前記上部及び下部鋳枠ユニットを前記圧縮手段に対して搬入及び搬出させ、且つ前記上部鋳枠を昇降させる第二の搬送手段とを備える方法。
【請求項31】
請求項30に記載の方法において、前記上部及び下部鋳枠ユニットによって前記模型定盤を挟持した状態で、前記上部圧縮部材及び下部圧縮部材は、前記上部及び下部鋳枠における前記模型定盤とは反対側の対応する前記開口部に対して挿抜自在である方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【国際公開番号】WO2005/068107
【国際公開日】平成17年7月28日(2005.7.28)
【発行日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−517128(P2005−517128)
【国際出願番号】PCT/JP2005/000691
【国際出願日】平成17年1月20日(2005.1.20)
【特許番号】特許第3966353号(P3966353)
【特許公報発行日】平成19年8月29日(2007.8.29)
【出願人】(000191009)新東工業株式会社 (474)
【Fターム(参考)】
【国際公開日】平成17年7月28日(2005.7.28)
【発行日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【国際出願番号】PCT/JP2005/000691
【国際出願日】平成17年1月20日(2005.1.20)
【特許番号】特許第3966353号(P3966353)
【特許公報発行日】平成19年8月29日(2007.8.29)
【出願人】(000191009)新東工業株式会社 (474)
【Fターム(参考)】
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