造形膨らませ水面遊具
【課題】水面上と水面下とを往復させて、空気を入れて各種造形物の形状に膨らませて遊ぶ遊具を提供する。
【解決手段】乾燥状態では通気性を備える一方で濡れた状態では通気性が阻害される布状シート材で作られ、窄めた開口部2aから送り込まれた圧搾空気Aにより膨らんだ造形空間Bが形成可能となる袋状布体2と、内部に空気圧搾空間Cが形成され、下端部1bには大きく開いた開放口5が備わり、上端部1aには通気口4が備わった筒状体1と、前記筒状体1の通気口4と前記袋状布体2の開口部2aとが連通されて、気密に結合可能とする結合手段3とを備えて構成される。そして、前記結合手段3で結合した前記袋状布体2と一体の前記筒状体1を、水面上と水面下とを往復をさせて、前記筒状体1の空気圧搾空間C内の空気を前記袋状布体2の造形空間B内に送り込み、前記袋状布体2を造形した形状に膨らませて遊ぶ。
【解決手段】乾燥状態では通気性を備える一方で濡れた状態では通気性が阻害される布状シート材で作られ、窄めた開口部2aから送り込まれた圧搾空気Aにより膨らんだ造形空間Bが形成可能となる袋状布体2と、内部に空気圧搾空間Cが形成され、下端部1bには大きく開いた開放口5が備わり、上端部1aには通気口4が備わった筒状体1と、前記筒状体1の通気口4と前記袋状布体2の開口部2aとが連通されて、気密に結合可能とする結合手段3とを備えて構成される。そして、前記結合手段3で結合した前記袋状布体2と一体の前記筒状体1を、水面上と水面下とを往復をさせて、前記筒状体1の空気圧搾空間C内の空気を前記袋状布体2の造形空間B内に送り込み、前記袋状布体2を造形した形状に膨らませて遊ぶ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、風呂やプールなどの水面において、布状物の中に空気を入れて膨らませて遊ぶ遊具に関する。
【背景技術】
【0002】
風呂などでタオルなどの布を濡らしてその布の中に空気を入れて膨らませて遊ぶことが行われている。
そのように遊ぶための布が無地では何の趣向性もないので、布面にタコなどの絵を描いて空気で膨らますことでその絵が立体的になるようにした下記特許文献1に記載の考案が提案されている。
一方、空気で布を膨らませるものではないが、例えば、下記特許文献2に記載のプラッスチック製の玩具や、下記特許文献3に記載のぬいぐるみ玩具などのように、動物を模るなどして趣向性を持たせた水面に浮かべて遊ぶ遊具も提案されている。
【0003】
しかしながら、上記特許文献1の考案は、布に描かれた動物の絵をその布の中央に空気による適度の膨らみを形成させることで絵を立体的に見せられる点で子供たちに興味を抱かせるものとなってはいるが、その絵に合わせて位置や大きさなどをバランスが取れるように膨らませるのは難しく、特に年齢の低い乳幼児では描かれた絵に合わせて膨らませることは困難である。また、もともと平面的な布なので、膨らませた布の周囲を適度に絞るのが難しい上、中に空気を入れることも、また口を塞ぐことも片手では容易に行うことができない。
さらに、一旦膨らませても手を離すと布が開いてしまい膨らんだ形を維持させることができなといった欠点もある。
他方、上記特許文献2の硬いプラスチック製の玩具では、造形自体には趣向性があるものの形状を変化させることについては殆ど期待できず、また、上記特許文献3の布製の玩具も握れば多少の変形が生じはするが、ぬいぐるみであるために大きな変形を起こさせることはできず、そのような変化についての趣向性は大変乏しいので子供が水遊びに早く飽きてしまう心配もある。
【特許文献1】実用登録第3003545
【特許文献2】特開2005−80795
【特許文献3】特開2004−65458
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで本発明は、親と子が風呂やプールなどの水面で、潰れて萎んだ布の形状を簡単に立体造形的な形状に膨らませて遊ぶこができ、しかも、その膨張や収縮の変化を親子で楽しみつつ相互のコミュニケーション機会を高め、さらに知識を貪欲に吸収し思考力を高めつつある成長過程にある幼児に対して、見た目の水と空気と布などの自然現象の観察や、浮力や圧力のバランスを調節するという目に見えない事象の体感による思考力強化などの実験学習の効果も期待することができる遊具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以上の課題を解決するため、本発明の造形膨らませ水面遊具は、請求項1に発明においては、(a)乾燥状態では通気性を備える一方で濡れた状態では通気性が阻害される布状シート材で作られ、窄めた開口部から送り込まれた圧搾空気により膨らんだ造形物を形成可能な袋状布体と、(b)内部に空気圧搾空間が形成され、下端部には大きく開いた開放口が備わり、上端部には通気口が備わった筒状体と、(c)前記筒状体の通気口と前記袋状布体の開口部とが連通されて、前記筒状体と前記袋状布体とを気密に結合可能とする結合手段とを備えて成り、
前記筒状体の空気圧搾空間内の空気を前記袋状布体内に送り込み、前記袋状布体を造形した形状に膨らませて遊べるようにしたことを特徴とする。
【0006】
請求項2に記載の発明においては、上記請求項1に記載の発明において、前記筒状体の通気口に袋状布体内の空気よりも前記筒状体の空気圧搾空間内の空気の方が高圧のときに開き、且つ前記筒状体の空気圧搾空間内の空気より前記袋状布内の空気の方が同圧以上の圧力のとき閉じる逆止弁を設けたことを特徴とする。
【0007】
請求項3に記載の発明においては、(a)乾燥状態では通気性を備える一方で濡れた状態では通気性が阻害される布状シート材で作られ、窄めた開口部から送り込まれた圧搾空気により膨らんだ造形物を形成可能な複数の袋状布体と、(b)内部に空気圧搾空間が形成され、下端部には大きく開いた開放口が備わり、上端部には前記袋状布体の個数と同数の通気口が、前記袋状布体の各通気口とそれぞれ対応する形状に備わった筒状体と、(c)前記筒状体の各通気口と、該各通気口に対応した前記袋状布体の開口部とが連通されて、前記筒状体と前記各袋状布体とを気密に結合可能とする結合手段とを備えて成り、前記筒状体の空気圧搾空間内の空気を前記各袋状布体内に送り込み、前記各袋状布体を造形した形状に膨らませて遊べるようにしたことを特徴とする。
【0008】
請求項4に記載の発明においては、上記請求項3に記載の発明において、前記筒状体の各通気口に、袋状布体の造形空間内の空気よりも前記筒状体の空気圧搾空間内の空気の方が高圧のときに開き、且つ前記筒状体の空気圧搾空間内の空気より前記袋状布体の造形空間内の空気の方が同圧以上の圧力のとき閉じる逆止弁を設けたことを特徴とする。
【0009】
請求項5に記載の発明においては、上記請求項4に記載の発明において、前記筒状体の各通気口に設けた逆止弁のうち少なくとも一つが他の逆止弁とは異なる圧力で開く逆止弁6であることを特徴とする。
【0010】
請求項6に記載の発明においては、上記請求項1又は3に記載の発明において、前記筒状体の少なくとも一つの通気口に、袋状布体内から前記筒状体の空気圧搾空間へと流れる空気の圧力で鳴る笛を設けたことを特徴とする。
【0011】
請求項7に記載の発明においては、上記請求項1から6のうちいずれかに記載の発明において、前記筒状体の少なくとも一つの通気口に、前記筒状体の空気圧搾空間から袋状布体内へと流れる空気の圧力で鳴る笛を設けたことを特徴とする。
【0012】
請求項8に記載の発明においては、上記請求項1から7のうちいずれかに記載の発明において、前記結合手段が、筒状体1の外周面に袋状布体の開口部を被着して該開口部の外から輪状体を締め付け状態で嵌着して成ることを特徴とする。
【0013】
請求項9に記載の発明においては、上記請求項8に記載の発明において、前記輪状体が、輪ゴムであることを特徴とする請求項8に記載の造形膨らませ水面遊具。
【0014】
請求項10に記載の発明においては、上記請求項1から9のうちいずれかに記載の発明において、前記筒状体に、1つ又は複数の筒体を出没可能に連結して成ることを特徴とする。
【0015】
請求項11に記載の発明においては、上記請求項1から10のうちいずれかに記載の発明において、前記筒状体に錘を設け、該錘の重量調節で、水中での袋状布体内の空気による浮力とのバランスで、水中に浮遊又は沈没を可能としたことを特徴とする。
【0016】
請求項12に記載の発明においては、上記請求項1から11のうちいずれかに記載の発明において、前記袋状布体に設けた模様が、温度により変色可能とする顔料で描かれたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明の造形膨らませ水面遊具は、前記袋状布体が乾燥状態では通気性を備え且つ濡れた状態では通気性が阻害される布状シート材で作られているので、前記結合手段により結合された前記袋状布体と前記筒状体を、水面上と水面下とを往復させることで、前記筒状体内の空気圧搾空間に取り込まれた空気が水に浸かって濡れた袋状布体の中に送り込まれて該袋状布体を膨らませることができる。
前記袋状布体は開口部が前記筒状体に連結されるので、前記筒状体を片手で持って水面上と水面下とを往復させるだけの単純な作業により、幼児でも風呂やプールなどの水面で簡単に膨らませて遊ぶこができる。
その膨らんだときの袋状布体の形状は、空気が抜けて潰れた形状から空気が入れられて膨らんだ造形的で立体的な形状へと大きく変化させてその変化の過程を観察できる。そして、親と子で一緒に遊べば、親が子供に対してその袋状布体の形状が変化する原理などを解説しながら遊べるので、親子のコミュニケーションを活発にすることが可能となる。
そして、同時に知識を貪欲に吸収し思考力を高めつつある成長過程にある幼児に対して、空気の性質や浮力や圧力などの自然現象について、布の形状の変化をバランスを考えつつ行うことで体感させて思考力を強化させるなど、親が子供に実験的な学習をさせることが可能となる。
【0018】
また、請求項2に記載の発明では、空気を入れて膨らまされた袋状布体内の空気が逆止弁で閉じ込められるので、水中から水面上に出して置いても容易に空気が抜けてしまうことなく、前記袋状布体が乾いて水の表面張力の膜が破れるまで立体造形を維持させておくことが可能となる。
また、前記袋状布体が濡れているときには、手で膨らみを握り潰すことで水の表面張力の膜を破って中の空気を強制的に押し出して立体的な造形を崩すことが可能となる。
されに、膨らんでいる袋状布体まで水中に沈めた場合は、手でその膨らみを握り潰すことで水圧に抗して中の空気を気泡状に強制的に押し出して立体的な造形を崩すことが可能となる。
このように単に袋状布体を立体的な造形に膨らませることの面白さだけではなく、その膨らんでいるものを潰すことの面白さも味わうことが可能となる。
【0019】
請求項3に記載の発明においては、上記請求項1に記載の発明と同様に前記袋状布体が乾燥状態では通気性を備えるとともに濡れた状態では通気性が阻害される布状シート材で作られ、立体的な造形物を模した造形空間が形成可能となる複数の袋状布体の開口部が、筒状体の各通気口と連通されて結合手段で前記筒状体と前記各袋状布体とが気密に結合されるので、これを水面上と水面下とを往復させると、前記筒状体の空気圧搾空間内の空気が前記各袋状布体内に送り込まれて、それぞれ前記各袋状布体を造形した形状に膨らませることが可能となる。
この形態では、前記各袋状布体は全てを同一な造形にする必要はなく、全部異なる造形の形状にすることもできる。
そして、1個の遊具で各個別に膨らんだ多様な造形を楽しむこが可能となる。
【0020】
請求項4に記載の発明においては、上記発明において、前記筒状体の各通気口毎に逆止弁を設ければ、水中から水面上に出して置いても各個の前記各袋状布体の造形空間から空気が抜けないので、水中から出しても、しばらくはそのままそれらを各個別に膨らませたままの状態にておくことが可能となる。
【0021】
請求項5に記載の発明においては、上記発明において、前記筒状体の各通気口に設けた逆止弁のうち少なくとも一つが他の逆止弁とは異なる圧力で開く逆止弁としたので、低い圧力に対応した逆止弁のある前記筒状体内の空間から、高い圧力に対応した逆止弁のある各袋状布体内の造形された空間へと順に時間差を置いて前記各袋状布体を膨らませることが可能となる。
【0022】
請求項6に記載の発明においては、膨らんでいる袋状布体を押し潰すときその袋状布体内にある空気に加わる圧力で笛を鳴らすことが可能となる。
その際、複数の袋状布体を備えた形態では、各筒状体の通気口に設けた笛を音階に音を出すものを設ければ、例えばハーモニーとなる音階の笛にしたり、各個別の袋状布体内の空間を楽譜の音符に順位に潰して行くことで、簡単なメロディも演奏でき、このように音による愉しみも得られ、遊びの種類を増やすことができる。
ただし、強く押すと中の空気は袋状布体の表面の水の表面張力の膜を破って押し出されて潰される。
【0023】
請求項7に記載の発明においては、前記筒状体の通気口に、前記筒状体の空気圧搾空間から袋状布体の造形された空間へと流れる空気の圧力で鳴る笛が設けられているので、これを水面上と水面下とを往復させて前記筒状体の空気圧搾空間内の空気が前記各袋状布体内に送り込むときにはその圧力で通気口に設けた笛7を鳴らすことができる。
その際、複数の袋状布体を備えた形態では、通気口に設けた低い圧力に対応した笛から、高い圧力に対応した笛へと順に時間差を置いて鳴らすことも可能となる。
このため、各笛の音色をそれぞれ替えておけば、例えばハーモニーとなる音階の笛にするなどで音を愉しむことが可能となる。
【0024】
請求項8に記載の発明においては、前記結合手段を筒状体の外周面に袋状布体の開口部を被着して該開口部の外から輪ゴムなどの輪状体を締め付け状態で嵌着する形態とすれば、前記筒状体に前記袋状布体を簡単に装着して結合できる。
【0025】
請求項10に記載の発明においては、前記筒状体に、複数の筒体を出没可能に連結したものなので、筒体を引き出せば空気圧搾空間を大きく形成することができ、袋状布体内の空間に空気を入れるときに水面上と水面下との一度の往復で多量の空気を入れることが可能となり、また圧搾空気の圧力も高められる利点がある。
【0026】
請求項11に記載の発明においては、前記筒状体に錘を設け、該錘の重量調節で、水中での袋状布体内の空気による浮力とのバランスで、水中に浮遊又は沈没が可能となり、錘の選択で、水面のみならず、水中を浮遊させたり、水中深く沈めて放置したりして遊ぶことが可能となる。
【0027】
請求項12に記載の発明においては、前記袋状布体の表面の模様が温度により変色し、風呂で遊ぶときには、体感する熱さと温度とを関係づけながら変色する色を楽しめ、また、水面の温度、水中の温度、空気中の温度との違いを知り、その色の変化を子供に学習させつつ遊ぶことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
本発明の造形膨らませ水面遊具の実施形態を以下詳細に説明する。
本発明には大きく分けて請求項1に記載の発明の形態と請求項3に記載の発明の形態とがある。
その内の1つである、請求項1に記載の発明の形態においては、図1及び図2、図11に示すように、空気を入れて膨らました造形空間Bが形成可能となる袋状布体2と、空気圧搾空間Cが形成される筒状体1と、前記筒状体1と前記袋状布体2とを連通状態に結合する結合手段3とから構成され、もう1つである請求項3に記載の発明の形態においては、図13に示すように、造形空間Bが形成可能となる複数の袋状布体2と、空気圧搾空間Cが形成される筒状体1と、前記各袋状布体2と前記筒状体1とを連通状態に結合する結合手段3とから構成される。
即ち、本発明は、1つの筒状体1に対して1つの袋状布体2を結合する形態と複数の袋状布体2を結合する形態とがある。
【0029】
上記2つの形態のうち、1つの筒状体1に対して1つの袋状布体2を結合する形態から先に説明する。
この形態では本発明の、図2に示すように、前記袋状布体2(a)、前記筒状体1(b)、前記結合手段3(c)の各部が形成される。
(a)前記袋状布体2は、乾燥状態では通気性を備える一方で濡れた状態では通気性が阻害される布状シート材で作られ、窄めた開口部2aから送り込まれた圧搾空気Aにより膨らんだ立体的な造形物を模した造形空間Bが形成可能となっている。
(b)前記筒状体1は、内部に空気圧搾空間Cが形成され、下端部1bには大きく開いた開放口5が備わり、上端部1aには通気口4が備わっている。
(c)前記結合手段3は、前記筒状体1の通気口4と前記袋状布体2の開口部2aとが連通されて、前記筒状体1と前記袋状布体2とを気密に結合可能となっている。
【0030】
この形態では、前記結合手段3で結合した前記袋状布体2と前記筒状体1を、水面上と水面下とを往復させると、前記筒状体1の空気圧搾空間C内の空気が前記袋状布体2の造形空間B内に送り込まれ、前記袋状布体2を造形した形状に膨らんでいく。
本発明では、このように水面で前記袋状布体2を膨らませたり、膨らませた袋状布体2を潰したしつつ、水中に潜らせたり、水面上に浮かべたりして遊ぶことが可能となる。
【0031】
また上記形態では、図6から図11に示すように、前記筒状体1の通気口4に袋状布体2の造形空間B内の空気よりも前記筒状体1の空気圧搾空間C内の空気の方が高圧のときに開き、且つ前記筒状体1の空気圧搾空間C内の空気より前記袋状布体2の造形空間B内の空気の方が同圧以上の圧力のとき閉じる逆止弁6を設けることができる。
このように逆止弁6を備えた形態では、膨らんでいる前記袋状布体2の造形空間B内の空気がすぐには抜けないので、膨らんだまましばらくは水上を離れた宙にある状態の水の外でも遊ぶことが可能となる。
【0032】
また、前記筒状体1は、図2に示すように、内部に空気圧搾空間Cを形成し、下端部1bを開放し、上端部1aには通気口4を備える。
前記筒状体1の材質は金属やプラスチックなどで筒状に加工したものなどを使用することが可能である。
前記筒状体1内の空気圧搾空間Cは、前記袋状布体2の造形空間Bへ空気を入れる場合に、図2に示すように、前記筒状体1を水中に沈めることで、風呂などの水面Wの相対的な上昇により、空気圧搾空間C内の水面Lが上昇して、中の空気が圧搾されるようにした空間であり、ここの圧搾空気Aは前記袋状布体2に送り込まれる。
なお、前記筒状体1の上端部1aは、図2に示すように、開放した態様と、図6に示すように、該筒状体の上端を仕切った上端隔壁1cに通気口4を設けた態様とが可能である。
【0033】
次に、1つの筒状体1に対して複数の袋状布体2を結合する形態を説明する。
この形態では本発明の、図14に示すように、複数の袋状布体2(a)、前記筒状体1(b)、前記結合手段3(c)の各部が形成される。
(a)前記複数の袋状布体2の各々は、乾燥状態では通気性を備える一方で濡れた状態では通気性が阻害される布状シート材で作られ、窄めた開口部2aから前記筒状体1で送り込まれた圧搾空気により、膨らんだ立体的な造形物を模した造形空間Bが形成可能となっている。
(b)前記筒状体1は、内部に空気圧搾空間Cが形成され、下端部1bには大きく開いた開放口5が備わり、上端部1aには前記袋状布体2の個数と同数の通気口4a、4b、4cが、前記袋状布体9の各通気口4a、4b、4cとそれぞれ対応する形状に備わっている。
(c)前記結合手段3は前記筒状体1の各通気口4a、4b、4cと、該各通気口4a、4b、4cに対応した前記各袋状布体9a、9b、9cの開口部2aとが連通されて、前記筒状体1と前記各袋状布体9a、9b、9cとを気密に結合可能となっている。
【0034】
この形態は上記構成なので、前記結合手段3で結合した前記各袋状布体9a、9b、9cと一体となった前記筒状体1を、水面上と水面下とを往復させて、前記筒状体1の空気圧搾空間C内の空気を前記各袋状布体9a、9b、9cの各造形空間B内に送り込み、前記各袋状布体9a、9b、9cをそれぞれ造形した形状に膨らませて遊ぶことが可能となる。
【0035】
また、この形態では、図14に示すように、前記筒状体1の各通気口4a、4b、4c毎に逆止弁6a、6b、6cを設ければ、水中から水面上に出して置いても前記各袋状布体9a、9b、9cのそれぞれの造形空間Bから空気が抜けないので、それらを各個別に膨らませておくことが可能となる。
前記各逆止弁6a、6b、6cは前記筒状体1の各通気口4a、4b、4cに異なる圧力で開く逆止弁6a、6b、6cを設けても良い。
【0036】
さらに、この複数の袋状布体9a、9b、9cを設けた形態では、図14に示すように、前記筒状体1の各通気口4a、4b、4cを該筒状体の上端を仕切った上端隔壁1cに設け、該通気口4a、4b、4cに袋状布体9a、9b、9cの造形空間B内の空気よりも前記筒状体1の空気圧搾空間C内の空気の方が高圧のときに開き、且つ前記筒状体1の空気圧搾空間C内の空気と前記袋状布体2の造形空間B内の空気とが同圧以上の圧力のとき閉じる逆止弁6a、6b、6cを設けることが可能となる。
【0037】
そしてこの形態でも、前記筒状体1の複数の通気口4a、4b、4cを該筒状体の上端を仕切った上端隔壁1cに設けて、この上端隔壁1cの該各通気口4a、4b、4cに袋状布体9a、9b、9cの造形空間B内の空気よりも前記筒状体1の空気圧搾空間C内の空気の方が高圧のときに開き、且つ前記筒状体1の空気圧搾空間C内の空気より前記袋状布体9a、9b、9cの造形空間B内の空気の方が同圧以上の圧力のときに閉じる逆止弁6a、6b、6cを設けることが可能である。
【0038】
この形態でも 前記筒状体1の材質は金属やプラスチックなどで筒状に加工したものが使用でき、該筒状体1は、内部に空気圧搾空間Cを形成し、下端部1bを開放し、上端部1aには通気口4a、4b、4cを備える。
前記いずれの空気圧搾空間Cも、前記袋状布体2の造形空間Bへ空気を入れる場合、水中に沈めようとすると、図2に示すように、水面の相対的な上昇により、圧搾されて空気を入れる空間である。
また、前記筒状体1の上端部1aは、図14に示すように、該筒状体の上端を仕切った上端隔壁1cに複数の通気口4a、4b、4cを設けた態様を示しているが、必ずしも上端隔壁1cが必要なものではなく、直接複数の管を分岐させてそれぞれに通気口を形成しても良い。
【0039】
上記の1つの筒状体1に対して1つの袋状布体2を結合する形態と、複数の袋状布体9a、9b、9cを結合する形態とは、前記袋状布体2、9a、9b、9cの材質は、容易に変形可能な薄い柔軟な素材であって、乾燥状態では通気性を備えるとともに濡れた状態では通気性が阻害される布状シート材を使用することについては共通している。
即ち、この布状シート材には小さい孔を多く開けた樹脂シートや木綿の布などを使用し、表面が濡れたときに表面張力で水が微細孔を塞ぐことが可能となり、且つこの微細孔は、空気の大きな圧力により表面張力による水の膜が壊れて空気が漏れように作られているものを使用する。
また、その布状シート材は、袋状に窄めて絞り端部2b側に設けた前記通気口4に被着可能な開口部2aが形成され、その開口部2aから送り込まれた圧搾空気により、布中央に膨らみ部2cが大きく膨らんだ造形空間Bが形成できるようにする。
この開口部2aは開いた袋状布体2を窄めることで形成しても良いが、袋状布体2を開口部2aが一定の大きさの袋状に形成したものでも良い。
【0040】
前記袋状布体2で形成される造形空間Bは、膨らんだ状態のとき、前記袋状布体2の外観が動物、植物などの自然の造形や、煙突、ビルなどの建造物の造形や、テレビ、携帯電話などの電子機器類の造形、三角錐、四面体などの立体造形や、アニメキャラクターなど各種の造形とすることが可能である。
例えば、本実施例の図1ではタコを、図14ではキノコを造形したものを示している。
【0041】
前記筒状体1の通気口4に逆止弁6を設けていない形態では、図12に示すように、前記袋状布体2の造形空間Bから前記筒状体1の空気圧搾空間Cへと流れる空気の圧力で鳴る笛7を設けることもできる。
また、この図12に示すように、逆止弁6を設けていない形態又は逆止弁6を設けた形態のいずれにも前記筒状体1の通気口4に、前記筒状体1の空気圧搾空間Cから袋状布体2の造形空間Bへと流れる空気の圧力で鳴る笛7bを装着することが可能である。
【0042】
前記結合手段3は、図3に示すように、前記筒状体1の通気口4と前記袋状布体2の開口部2aとを連通状態に結合するものであり、図3では、筒状体1の外周面に袋状布体2の開口部2aを被着して該開口部2aの外から輪状体3aを締め付け状態で嵌着した形態を示している。
使用する前記輪状体3aは、プラスチックや金属製にした場合には、前記袋状布体2の開口部2aに上から嵌着したときに簡単に抜け落ちることがないように多少締め付けられる程度の径に製作する。また、前記輪状体3aを輪ゴムとする場合には、前記袋状布体2の開口部2aを前記筒状体1の外周に締め付けて連結できるので容易に外れ難くなるので好ましい。
また前記輪状体3aがプラスチックや金属製の場合、図3に示すように、幅が細いと前記袋状布体2の開口端の絞り端部2bが外に食み出して見苦しくなることがあり、このような食み出し部分が隠れるように、図4に示す上下に長い筒体3bを使用して、これを嵌着する態様も可能である。
【0043】
前記結合手段3の上記各形態では使用時に前記袋状布体2と前記筒状体1とを着脱可能することも、また常時固定させておくこともできるが、前記袋状布体2と前記筒状体1とを着脱可能となることを前提とする形態としては、前記袋状布体2の開口部2aにゴム紐を縫いこむなどして、前記筒状体1の外周にゴムの収縮力で前記袋状布体2が抜け落ちないように装着する態様も可能である。こうすれば着脱が容易となる。また、前記袋状布体2の開口部2aに前記筒状体1の外周又は内周に内接又は外接して前記筒状体1に対して出没可能な径の筒体を接着剤や針金などで固着した態様も可能である。
他にも、前記結合手段3は各種の形態が可能となるので、上記の結合手段3のみに限定するものではない。
【0044】
また、前記筒状体1には、図13及び図114に示すように、その中に複数の筒体8a、8b、8cを出没可能に連結した形態が可能である。
この形態の場合では、複数の筒体8a、8b、8cを引き出せば中の空気圧搾空間Cを大きく広げることができ、水面上と水面下との一度の往復で、袋状布体2の造形空間Bに一度に多量の空気を入れることが可能となり、膨らましきるのに少ない回数の往復ですみ、また圧搾空気の圧力もより高められ、袋状布体2の造形物に張りを持たせるように空気を入れることが可能となる。
【0045】
また、図5に示すように、前記筒状体1に錘10を設けて、該錘10の重量調節で、水中での袋状布体2内の造形空間Bにある空気による浮力とのバランスで、水中に浮遊又は沈没を可能とすることも可能である。
この図5に示す錘10は輪状の金属環を嵌めた態様を示しているが、この形状に限定するものではなく、前記筒状体1の側面などの一部に固定可能であれば板状や玉状の錘でも良い。
【0046】
なお、図1に示すように、前記袋状布体2に設けた模様11を温度により変色可能とする顔料12で描くこともでき、この場合、水面の温度、水中の温度、空気中の温度との違いを知ることができ、また、その色を変化させて遊ぶことも可能となる。
【0047】
(遊び方)
次に本発明の遊び方を説明する。
まず、前記結合手段3により結合された前記袋状布体2と前筒状体1は、図3、図4、図5、図6の(イ)に示すように、前記袋状布体2が潰れている状態となっている。
これを、図6の(イ)に示す水面W上から、図7に示す水面W下に入れると圧搾空間Cの水面Lが上がり両水位面の水位差Hの圧力で圧搾され前記筒状体1内の空気圧搾空間Cの空気が逆止弁6を明けて空気が、濡れた前記袋状布体2内の造形空間Bに送り込まれる。そして前記袋状布体2が膨らんで行く(袋状布体2が膨らんでいる状態を図1、図2、図7から図14に示す)。
前記空気圧搾空間Cの容量が造形空間Bの容量より小さい場合、一回沈めるだけでは図7の(ロ)に示すように、充分膨らみきらないで、造形が変形された状態となっている。
そして、図8(ハ)に示すように水面W上に上げると、逆止弁6から外に出ないので膨らんだ形が一応保持され、そのままでも、造形空間Bの空気の浮力で水面に浮かべて遊ぶことができる。
【0048】
これをさらに、図9の(ニ)に示すように、2回沈めるると、もう一度前記空気圧搾空間Cの空気が前記袋状布体2内に送り込まれていくので、図10の(ホ)に示すように、充分に膨らんだ状態となる。そして、更に深く沈めると前記筒状体1の空気圧搾空間C内の空気より前記袋状布体2の造形空間B内の空気の方が同圧以上の圧力となって逆止弁6が閉じる。
このまま、水中に沈めて遊んでも良いが、水面Wから上に上げると、図11の(へ)に示すように前記袋状布体2が充分に膨らんだまま、しばらくはその大きさが保持される。
【0049】
そして、前記袋状布体2が膨らんでいるとき、指で潰すように押すと、空気の大きな圧力により前記袋状布体2の微細孔に張った表面張力による水の膜が壊れて噴出し音を伴って空気が漏れ出て萎む。これを水中で行えば前記袋状布体2の表面から多くの気泡が発生して萎んで行く。
また、笛7を備えた形態では、膨らませるときや、潰すときの通気口4から圧搾空気の流れで笛を鳴らして遊ぶことができる。
本発明では、前記袋状布体2の形状変化の過程を観察しつつ親と子で一緒に遊べば、その変化について親子のコミュニケーションを活発に行うことができ、空気の性質や浮力や圧力などの自然現象について体感できて、親が子供に実験的な学習をさせることが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明の造形膨らませ水面遊具は、風呂やプールなどの水面で遊ぶ遊具であるが、池や水槽などの自然の中で遊ぶことも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の袋状布体が膨らんだ状態の外観を示す斜視図である。
【図2】本発明の袋状布体が膨らんだ状態の縦断側面図である。
【図3】本発明の袋状布体が萎んだ状態の斜視図である。
【図4】別の形態の袋状布体が萎んだ状態の斜視図である。
【図5】錘を備えた形態の袋状布体が萎んだ状態の斜視図である。
【図6】袋状布体が萎んだ状態の縦断側面図である。
【図7】袋状布体が少し膨らんだ状態の縦断側面図である。
【図8】水面上の袋状布体が少し膨らんだ状態の縦断側面図である。
【図9】再度水中に入れて袋状布体がもう少し膨らんだ状態の縦断側面図である。
【図10】袋状布体が充分膨らんだ状態の縦断側面図である。
【図11】水面上の袋状布体が充分膨らんだ状態の縦断側面図である。
【図12】笛を設けた形態の袋状布体が膨らんだ状態の縦断側面図である。
【図13】出没する筒体を設けた形態の袋状布体が膨らんだ状態の縦断側面図である。
【図14】複数の袋状布体が膨らんだ状態の縦断側面図である
【符号の説明】
【0052】
1 筒状体
1a 筒状体の上部
1b 筒状体の下部
1c 上端隔壁
2 袋状布体
2a 開口部
2b 絞り端部
2c 膨らみ部
3 結合手段
3a 輪状体
4 開口部
4a 開口部
4b 開口部
4c 開口部
5 開放口
6 逆止弁
6a 逆止弁
6b 逆止弁
6c 逆止弁
7 笛
8a 筒体
8b 筒体
8c 筒体
9a 袋状布体
9b 袋状布体
9c 袋状布体
10 錘
11 模様
12 顔料
W 風呂の水面
L 筒状体内の水面
A 圧搾空気
B 造形空間
C 空気圧搾空間
H 水位差
【技術分野】
【0001】
本発明は、風呂やプールなどの水面において、布状物の中に空気を入れて膨らませて遊ぶ遊具に関する。
【背景技術】
【0002】
風呂などでタオルなどの布を濡らしてその布の中に空気を入れて膨らませて遊ぶことが行われている。
そのように遊ぶための布が無地では何の趣向性もないので、布面にタコなどの絵を描いて空気で膨らますことでその絵が立体的になるようにした下記特許文献1に記載の考案が提案されている。
一方、空気で布を膨らませるものではないが、例えば、下記特許文献2に記載のプラッスチック製の玩具や、下記特許文献3に記載のぬいぐるみ玩具などのように、動物を模るなどして趣向性を持たせた水面に浮かべて遊ぶ遊具も提案されている。
【0003】
しかしながら、上記特許文献1の考案は、布に描かれた動物の絵をその布の中央に空気による適度の膨らみを形成させることで絵を立体的に見せられる点で子供たちに興味を抱かせるものとなってはいるが、その絵に合わせて位置や大きさなどをバランスが取れるように膨らませるのは難しく、特に年齢の低い乳幼児では描かれた絵に合わせて膨らませることは困難である。また、もともと平面的な布なので、膨らませた布の周囲を適度に絞るのが難しい上、中に空気を入れることも、また口を塞ぐことも片手では容易に行うことができない。
さらに、一旦膨らませても手を離すと布が開いてしまい膨らんだ形を維持させることができなといった欠点もある。
他方、上記特許文献2の硬いプラスチック製の玩具では、造形自体には趣向性があるものの形状を変化させることについては殆ど期待できず、また、上記特許文献3の布製の玩具も握れば多少の変形が生じはするが、ぬいぐるみであるために大きな変形を起こさせることはできず、そのような変化についての趣向性は大変乏しいので子供が水遊びに早く飽きてしまう心配もある。
【特許文献1】実用登録第3003545
【特許文献2】特開2005−80795
【特許文献3】特開2004−65458
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで本発明は、親と子が風呂やプールなどの水面で、潰れて萎んだ布の形状を簡単に立体造形的な形状に膨らませて遊ぶこができ、しかも、その膨張や収縮の変化を親子で楽しみつつ相互のコミュニケーション機会を高め、さらに知識を貪欲に吸収し思考力を高めつつある成長過程にある幼児に対して、見た目の水と空気と布などの自然現象の観察や、浮力や圧力のバランスを調節するという目に見えない事象の体感による思考力強化などの実験学習の効果も期待することができる遊具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以上の課題を解決するため、本発明の造形膨らませ水面遊具は、請求項1に発明においては、(a)乾燥状態では通気性を備える一方で濡れた状態では通気性が阻害される布状シート材で作られ、窄めた開口部から送り込まれた圧搾空気により膨らんだ造形物を形成可能な袋状布体と、(b)内部に空気圧搾空間が形成され、下端部には大きく開いた開放口が備わり、上端部には通気口が備わった筒状体と、(c)前記筒状体の通気口と前記袋状布体の開口部とが連通されて、前記筒状体と前記袋状布体とを気密に結合可能とする結合手段とを備えて成り、
前記筒状体の空気圧搾空間内の空気を前記袋状布体内に送り込み、前記袋状布体を造形した形状に膨らませて遊べるようにしたことを特徴とする。
【0006】
請求項2に記載の発明においては、上記請求項1に記載の発明において、前記筒状体の通気口に袋状布体内の空気よりも前記筒状体の空気圧搾空間内の空気の方が高圧のときに開き、且つ前記筒状体の空気圧搾空間内の空気より前記袋状布内の空気の方が同圧以上の圧力のとき閉じる逆止弁を設けたことを特徴とする。
【0007】
請求項3に記載の発明においては、(a)乾燥状態では通気性を備える一方で濡れた状態では通気性が阻害される布状シート材で作られ、窄めた開口部から送り込まれた圧搾空気により膨らんだ造形物を形成可能な複数の袋状布体と、(b)内部に空気圧搾空間が形成され、下端部には大きく開いた開放口が備わり、上端部には前記袋状布体の個数と同数の通気口が、前記袋状布体の各通気口とそれぞれ対応する形状に備わった筒状体と、(c)前記筒状体の各通気口と、該各通気口に対応した前記袋状布体の開口部とが連通されて、前記筒状体と前記各袋状布体とを気密に結合可能とする結合手段とを備えて成り、前記筒状体の空気圧搾空間内の空気を前記各袋状布体内に送り込み、前記各袋状布体を造形した形状に膨らませて遊べるようにしたことを特徴とする。
【0008】
請求項4に記載の発明においては、上記請求項3に記載の発明において、前記筒状体の各通気口に、袋状布体の造形空間内の空気よりも前記筒状体の空気圧搾空間内の空気の方が高圧のときに開き、且つ前記筒状体の空気圧搾空間内の空気より前記袋状布体の造形空間内の空気の方が同圧以上の圧力のとき閉じる逆止弁を設けたことを特徴とする。
【0009】
請求項5に記載の発明においては、上記請求項4に記載の発明において、前記筒状体の各通気口に設けた逆止弁のうち少なくとも一つが他の逆止弁とは異なる圧力で開く逆止弁6であることを特徴とする。
【0010】
請求項6に記載の発明においては、上記請求項1又は3に記載の発明において、前記筒状体の少なくとも一つの通気口に、袋状布体内から前記筒状体の空気圧搾空間へと流れる空気の圧力で鳴る笛を設けたことを特徴とする。
【0011】
請求項7に記載の発明においては、上記請求項1から6のうちいずれかに記載の発明において、前記筒状体の少なくとも一つの通気口に、前記筒状体の空気圧搾空間から袋状布体内へと流れる空気の圧力で鳴る笛を設けたことを特徴とする。
【0012】
請求項8に記載の発明においては、上記請求項1から7のうちいずれかに記載の発明において、前記結合手段が、筒状体1の外周面に袋状布体の開口部を被着して該開口部の外から輪状体を締め付け状態で嵌着して成ることを特徴とする。
【0013】
請求項9に記載の発明においては、上記請求項8に記載の発明において、前記輪状体が、輪ゴムであることを特徴とする請求項8に記載の造形膨らませ水面遊具。
【0014】
請求項10に記載の発明においては、上記請求項1から9のうちいずれかに記載の発明において、前記筒状体に、1つ又は複数の筒体を出没可能に連結して成ることを特徴とする。
【0015】
請求項11に記載の発明においては、上記請求項1から10のうちいずれかに記載の発明において、前記筒状体に錘を設け、該錘の重量調節で、水中での袋状布体内の空気による浮力とのバランスで、水中に浮遊又は沈没を可能としたことを特徴とする。
【0016】
請求項12に記載の発明においては、上記請求項1から11のうちいずれかに記載の発明において、前記袋状布体に設けた模様が、温度により変色可能とする顔料で描かれたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明の造形膨らませ水面遊具は、前記袋状布体が乾燥状態では通気性を備え且つ濡れた状態では通気性が阻害される布状シート材で作られているので、前記結合手段により結合された前記袋状布体と前記筒状体を、水面上と水面下とを往復させることで、前記筒状体内の空気圧搾空間に取り込まれた空気が水に浸かって濡れた袋状布体の中に送り込まれて該袋状布体を膨らませることができる。
前記袋状布体は開口部が前記筒状体に連結されるので、前記筒状体を片手で持って水面上と水面下とを往復させるだけの単純な作業により、幼児でも風呂やプールなどの水面で簡単に膨らませて遊ぶこができる。
その膨らんだときの袋状布体の形状は、空気が抜けて潰れた形状から空気が入れられて膨らんだ造形的で立体的な形状へと大きく変化させてその変化の過程を観察できる。そして、親と子で一緒に遊べば、親が子供に対してその袋状布体の形状が変化する原理などを解説しながら遊べるので、親子のコミュニケーションを活発にすることが可能となる。
そして、同時に知識を貪欲に吸収し思考力を高めつつある成長過程にある幼児に対して、空気の性質や浮力や圧力などの自然現象について、布の形状の変化をバランスを考えつつ行うことで体感させて思考力を強化させるなど、親が子供に実験的な学習をさせることが可能となる。
【0018】
また、請求項2に記載の発明では、空気を入れて膨らまされた袋状布体内の空気が逆止弁で閉じ込められるので、水中から水面上に出して置いても容易に空気が抜けてしまうことなく、前記袋状布体が乾いて水の表面張力の膜が破れるまで立体造形を維持させておくことが可能となる。
また、前記袋状布体が濡れているときには、手で膨らみを握り潰すことで水の表面張力の膜を破って中の空気を強制的に押し出して立体的な造形を崩すことが可能となる。
されに、膨らんでいる袋状布体まで水中に沈めた場合は、手でその膨らみを握り潰すことで水圧に抗して中の空気を気泡状に強制的に押し出して立体的な造形を崩すことが可能となる。
このように単に袋状布体を立体的な造形に膨らませることの面白さだけではなく、その膨らんでいるものを潰すことの面白さも味わうことが可能となる。
【0019】
請求項3に記載の発明においては、上記請求項1に記載の発明と同様に前記袋状布体が乾燥状態では通気性を備えるとともに濡れた状態では通気性が阻害される布状シート材で作られ、立体的な造形物を模した造形空間が形成可能となる複数の袋状布体の開口部が、筒状体の各通気口と連通されて結合手段で前記筒状体と前記各袋状布体とが気密に結合されるので、これを水面上と水面下とを往復させると、前記筒状体の空気圧搾空間内の空気が前記各袋状布体内に送り込まれて、それぞれ前記各袋状布体を造形した形状に膨らませることが可能となる。
この形態では、前記各袋状布体は全てを同一な造形にする必要はなく、全部異なる造形の形状にすることもできる。
そして、1個の遊具で各個別に膨らんだ多様な造形を楽しむこが可能となる。
【0020】
請求項4に記載の発明においては、上記発明において、前記筒状体の各通気口毎に逆止弁を設ければ、水中から水面上に出して置いても各個の前記各袋状布体の造形空間から空気が抜けないので、水中から出しても、しばらくはそのままそれらを各個別に膨らませたままの状態にておくことが可能となる。
【0021】
請求項5に記載の発明においては、上記発明において、前記筒状体の各通気口に設けた逆止弁のうち少なくとも一つが他の逆止弁とは異なる圧力で開く逆止弁としたので、低い圧力に対応した逆止弁のある前記筒状体内の空間から、高い圧力に対応した逆止弁のある各袋状布体内の造形された空間へと順に時間差を置いて前記各袋状布体を膨らませることが可能となる。
【0022】
請求項6に記載の発明においては、膨らんでいる袋状布体を押し潰すときその袋状布体内にある空気に加わる圧力で笛を鳴らすことが可能となる。
その際、複数の袋状布体を備えた形態では、各筒状体の通気口に設けた笛を音階に音を出すものを設ければ、例えばハーモニーとなる音階の笛にしたり、各個別の袋状布体内の空間を楽譜の音符に順位に潰して行くことで、簡単なメロディも演奏でき、このように音による愉しみも得られ、遊びの種類を増やすことができる。
ただし、強く押すと中の空気は袋状布体の表面の水の表面張力の膜を破って押し出されて潰される。
【0023】
請求項7に記載の発明においては、前記筒状体の通気口に、前記筒状体の空気圧搾空間から袋状布体の造形された空間へと流れる空気の圧力で鳴る笛が設けられているので、これを水面上と水面下とを往復させて前記筒状体の空気圧搾空間内の空気が前記各袋状布体内に送り込むときにはその圧力で通気口に設けた笛7を鳴らすことができる。
その際、複数の袋状布体を備えた形態では、通気口に設けた低い圧力に対応した笛から、高い圧力に対応した笛へと順に時間差を置いて鳴らすことも可能となる。
このため、各笛の音色をそれぞれ替えておけば、例えばハーモニーとなる音階の笛にするなどで音を愉しむことが可能となる。
【0024】
請求項8に記載の発明においては、前記結合手段を筒状体の外周面に袋状布体の開口部を被着して該開口部の外から輪ゴムなどの輪状体を締め付け状態で嵌着する形態とすれば、前記筒状体に前記袋状布体を簡単に装着して結合できる。
【0025】
請求項10に記載の発明においては、前記筒状体に、複数の筒体を出没可能に連結したものなので、筒体を引き出せば空気圧搾空間を大きく形成することができ、袋状布体内の空間に空気を入れるときに水面上と水面下との一度の往復で多量の空気を入れることが可能となり、また圧搾空気の圧力も高められる利点がある。
【0026】
請求項11に記載の発明においては、前記筒状体に錘を設け、該錘の重量調節で、水中での袋状布体内の空気による浮力とのバランスで、水中に浮遊又は沈没が可能となり、錘の選択で、水面のみならず、水中を浮遊させたり、水中深く沈めて放置したりして遊ぶことが可能となる。
【0027】
請求項12に記載の発明においては、前記袋状布体の表面の模様が温度により変色し、風呂で遊ぶときには、体感する熱さと温度とを関係づけながら変色する色を楽しめ、また、水面の温度、水中の温度、空気中の温度との違いを知り、その色の変化を子供に学習させつつ遊ぶことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
本発明の造形膨らませ水面遊具の実施形態を以下詳細に説明する。
本発明には大きく分けて請求項1に記載の発明の形態と請求項3に記載の発明の形態とがある。
その内の1つである、請求項1に記載の発明の形態においては、図1及び図2、図11に示すように、空気を入れて膨らました造形空間Bが形成可能となる袋状布体2と、空気圧搾空間Cが形成される筒状体1と、前記筒状体1と前記袋状布体2とを連通状態に結合する結合手段3とから構成され、もう1つである請求項3に記載の発明の形態においては、図13に示すように、造形空間Bが形成可能となる複数の袋状布体2と、空気圧搾空間Cが形成される筒状体1と、前記各袋状布体2と前記筒状体1とを連通状態に結合する結合手段3とから構成される。
即ち、本発明は、1つの筒状体1に対して1つの袋状布体2を結合する形態と複数の袋状布体2を結合する形態とがある。
【0029】
上記2つの形態のうち、1つの筒状体1に対して1つの袋状布体2を結合する形態から先に説明する。
この形態では本発明の、図2に示すように、前記袋状布体2(a)、前記筒状体1(b)、前記結合手段3(c)の各部が形成される。
(a)前記袋状布体2は、乾燥状態では通気性を備える一方で濡れた状態では通気性が阻害される布状シート材で作られ、窄めた開口部2aから送り込まれた圧搾空気Aにより膨らんだ立体的な造形物を模した造形空間Bが形成可能となっている。
(b)前記筒状体1は、内部に空気圧搾空間Cが形成され、下端部1bには大きく開いた開放口5が備わり、上端部1aには通気口4が備わっている。
(c)前記結合手段3は、前記筒状体1の通気口4と前記袋状布体2の開口部2aとが連通されて、前記筒状体1と前記袋状布体2とを気密に結合可能となっている。
【0030】
この形態では、前記結合手段3で結合した前記袋状布体2と前記筒状体1を、水面上と水面下とを往復させると、前記筒状体1の空気圧搾空間C内の空気が前記袋状布体2の造形空間B内に送り込まれ、前記袋状布体2を造形した形状に膨らんでいく。
本発明では、このように水面で前記袋状布体2を膨らませたり、膨らませた袋状布体2を潰したしつつ、水中に潜らせたり、水面上に浮かべたりして遊ぶことが可能となる。
【0031】
また上記形態では、図6から図11に示すように、前記筒状体1の通気口4に袋状布体2の造形空間B内の空気よりも前記筒状体1の空気圧搾空間C内の空気の方が高圧のときに開き、且つ前記筒状体1の空気圧搾空間C内の空気より前記袋状布体2の造形空間B内の空気の方が同圧以上の圧力のとき閉じる逆止弁6を設けることができる。
このように逆止弁6を備えた形態では、膨らんでいる前記袋状布体2の造形空間B内の空気がすぐには抜けないので、膨らんだまましばらくは水上を離れた宙にある状態の水の外でも遊ぶことが可能となる。
【0032】
また、前記筒状体1は、図2に示すように、内部に空気圧搾空間Cを形成し、下端部1bを開放し、上端部1aには通気口4を備える。
前記筒状体1の材質は金属やプラスチックなどで筒状に加工したものなどを使用することが可能である。
前記筒状体1内の空気圧搾空間Cは、前記袋状布体2の造形空間Bへ空気を入れる場合に、図2に示すように、前記筒状体1を水中に沈めることで、風呂などの水面Wの相対的な上昇により、空気圧搾空間C内の水面Lが上昇して、中の空気が圧搾されるようにした空間であり、ここの圧搾空気Aは前記袋状布体2に送り込まれる。
なお、前記筒状体1の上端部1aは、図2に示すように、開放した態様と、図6に示すように、該筒状体の上端を仕切った上端隔壁1cに通気口4を設けた態様とが可能である。
【0033】
次に、1つの筒状体1に対して複数の袋状布体2を結合する形態を説明する。
この形態では本発明の、図14に示すように、複数の袋状布体2(a)、前記筒状体1(b)、前記結合手段3(c)の各部が形成される。
(a)前記複数の袋状布体2の各々は、乾燥状態では通気性を備える一方で濡れた状態では通気性が阻害される布状シート材で作られ、窄めた開口部2aから前記筒状体1で送り込まれた圧搾空気により、膨らんだ立体的な造形物を模した造形空間Bが形成可能となっている。
(b)前記筒状体1は、内部に空気圧搾空間Cが形成され、下端部1bには大きく開いた開放口5が備わり、上端部1aには前記袋状布体2の個数と同数の通気口4a、4b、4cが、前記袋状布体9の各通気口4a、4b、4cとそれぞれ対応する形状に備わっている。
(c)前記結合手段3は前記筒状体1の各通気口4a、4b、4cと、該各通気口4a、4b、4cに対応した前記各袋状布体9a、9b、9cの開口部2aとが連通されて、前記筒状体1と前記各袋状布体9a、9b、9cとを気密に結合可能となっている。
【0034】
この形態は上記構成なので、前記結合手段3で結合した前記各袋状布体9a、9b、9cと一体となった前記筒状体1を、水面上と水面下とを往復させて、前記筒状体1の空気圧搾空間C内の空気を前記各袋状布体9a、9b、9cの各造形空間B内に送り込み、前記各袋状布体9a、9b、9cをそれぞれ造形した形状に膨らませて遊ぶことが可能となる。
【0035】
また、この形態では、図14に示すように、前記筒状体1の各通気口4a、4b、4c毎に逆止弁6a、6b、6cを設ければ、水中から水面上に出して置いても前記各袋状布体9a、9b、9cのそれぞれの造形空間Bから空気が抜けないので、それらを各個別に膨らませておくことが可能となる。
前記各逆止弁6a、6b、6cは前記筒状体1の各通気口4a、4b、4cに異なる圧力で開く逆止弁6a、6b、6cを設けても良い。
【0036】
さらに、この複数の袋状布体9a、9b、9cを設けた形態では、図14に示すように、前記筒状体1の各通気口4a、4b、4cを該筒状体の上端を仕切った上端隔壁1cに設け、該通気口4a、4b、4cに袋状布体9a、9b、9cの造形空間B内の空気よりも前記筒状体1の空気圧搾空間C内の空気の方が高圧のときに開き、且つ前記筒状体1の空気圧搾空間C内の空気と前記袋状布体2の造形空間B内の空気とが同圧以上の圧力のとき閉じる逆止弁6a、6b、6cを設けることが可能となる。
【0037】
そしてこの形態でも、前記筒状体1の複数の通気口4a、4b、4cを該筒状体の上端を仕切った上端隔壁1cに設けて、この上端隔壁1cの該各通気口4a、4b、4cに袋状布体9a、9b、9cの造形空間B内の空気よりも前記筒状体1の空気圧搾空間C内の空気の方が高圧のときに開き、且つ前記筒状体1の空気圧搾空間C内の空気より前記袋状布体9a、9b、9cの造形空間B内の空気の方が同圧以上の圧力のときに閉じる逆止弁6a、6b、6cを設けることが可能である。
【0038】
この形態でも 前記筒状体1の材質は金属やプラスチックなどで筒状に加工したものが使用でき、該筒状体1は、内部に空気圧搾空間Cを形成し、下端部1bを開放し、上端部1aには通気口4a、4b、4cを備える。
前記いずれの空気圧搾空間Cも、前記袋状布体2の造形空間Bへ空気を入れる場合、水中に沈めようとすると、図2に示すように、水面の相対的な上昇により、圧搾されて空気を入れる空間である。
また、前記筒状体1の上端部1aは、図14に示すように、該筒状体の上端を仕切った上端隔壁1cに複数の通気口4a、4b、4cを設けた態様を示しているが、必ずしも上端隔壁1cが必要なものではなく、直接複数の管を分岐させてそれぞれに通気口を形成しても良い。
【0039】
上記の1つの筒状体1に対して1つの袋状布体2を結合する形態と、複数の袋状布体9a、9b、9cを結合する形態とは、前記袋状布体2、9a、9b、9cの材質は、容易に変形可能な薄い柔軟な素材であって、乾燥状態では通気性を備えるとともに濡れた状態では通気性が阻害される布状シート材を使用することについては共通している。
即ち、この布状シート材には小さい孔を多く開けた樹脂シートや木綿の布などを使用し、表面が濡れたときに表面張力で水が微細孔を塞ぐことが可能となり、且つこの微細孔は、空気の大きな圧力により表面張力による水の膜が壊れて空気が漏れように作られているものを使用する。
また、その布状シート材は、袋状に窄めて絞り端部2b側に設けた前記通気口4に被着可能な開口部2aが形成され、その開口部2aから送り込まれた圧搾空気により、布中央に膨らみ部2cが大きく膨らんだ造形空間Bが形成できるようにする。
この開口部2aは開いた袋状布体2を窄めることで形成しても良いが、袋状布体2を開口部2aが一定の大きさの袋状に形成したものでも良い。
【0040】
前記袋状布体2で形成される造形空間Bは、膨らんだ状態のとき、前記袋状布体2の外観が動物、植物などの自然の造形や、煙突、ビルなどの建造物の造形や、テレビ、携帯電話などの電子機器類の造形、三角錐、四面体などの立体造形や、アニメキャラクターなど各種の造形とすることが可能である。
例えば、本実施例の図1ではタコを、図14ではキノコを造形したものを示している。
【0041】
前記筒状体1の通気口4に逆止弁6を設けていない形態では、図12に示すように、前記袋状布体2の造形空間Bから前記筒状体1の空気圧搾空間Cへと流れる空気の圧力で鳴る笛7を設けることもできる。
また、この図12に示すように、逆止弁6を設けていない形態又は逆止弁6を設けた形態のいずれにも前記筒状体1の通気口4に、前記筒状体1の空気圧搾空間Cから袋状布体2の造形空間Bへと流れる空気の圧力で鳴る笛7bを装着することが可能である。
【0042】
前記結合手段3は、図3に示すように、前記筒状体1の通気口4と前記袋状布体2の開口部2aとを連通状態に結合するものであり、図3では、筒状体1の外周面に袋状布体2の開口部2aを被着して該開口部2aの外から輪状体3aを締め付け状態で嵌着した形態を示している。
使用する前記輪状体3aは、プラスチックや金属製にした場合には、前記袋状布体2の開口部2aに上から嵌着したときに簡単に抜け落ちることがないように多少締め付けられる程度の径に製作する。また、前記輪状体3aを輪ゴムとする場合には、前記袋状布体2の開口部2aを前記筒状体1の外周に締め付けて連結できるので容易に外れ難くなるので好ましい。
また前記輪状体3aがプラスチックや金属製の場合、図3に示すように、幅が細いと前記袋状布体2の開口端の絞り端部2bが外に食み出して見苦しくなることがあり、このような食み出し部分が隠れるように、図4に示す上下に長い筒体3bを使用して、これを嵌着する態様も可能である。
【0043】
前記結合手段3の上記各形態では使用時に前記袋状布体2と前記筒状体1とを着脱可能することも、また常時固定させておくこともできるが、前記袋状布体2と前記筒状体1とを着脱可能となることを前提とする形態としては、前記袋状布体2の開口部2aにゴム紐を縫いこむなどして、前記筒状体1の外周にゴムの収縮力で前記袋状布体2が抜け落ちないように装着する態様も可能である。こうすれば着脱が容易となる。また、前記袋状布体2の開口部2aに前記筒状体1の外周又は内周に内接又は外接して前記筒状体1に対して出没可能な径の筒体を接着剤や針金などで固着した態様も可能である。
他にも、前記結合手段3は各種の形態が可能となるので、上記の結合手段3のみに限定するものではない。
【0044】
また、前記筒状体1には、図13及び図114に示すように、その中に複数の筒体8a、8b、8cを出没可能に連結した形態が可能である。
この形態の場合では、複数の筒体8a、8b、8cを引き出せば中の空気圧搾空間Cを大きく広げることができ、水面上と水面下との一度の往復で、袋状布体2の造形空間Bに一度に多量の空気を入れることが可能となり、膨らましきるのに少ない回数の往復ですみ、また圧搾空気の圧力もより高められ、袋状布体2の造形物に張りを持たせるように空気を入れることが可能となる。
【0045】
また、図5に示すように、前記筒状体1に錘10を設けて、該錘10の重量調節で、水中での袋状布体2内の造形空間Bにある空気による浮力とのバランスで、水中に浮遊又は沈没を可能とすることも可能である。
この図5に示す錘10は輪状の金属環を嵌めた態様を示しているが、この形状に限定するものではなく、前記筒状体1の側面などの一部に固定可能であれば板状や玉状の錘でも良い。
【0046】
なお、図1に示すように、前記袋状布体2に設けた模様11を温度により変色可能とする顔料12で描くこともでき、この場合、水面の温度、水中の温度、空気中の温度との違いを知ることができ、また、その色を変化させて遊ぶことも可能となる。
【0047】
(遊び方)
次に本発明の遊び方を説明する。
まず、前記結合手段3により結合された前記袋状布体2と前筒状体1は、図3、図4、図5、図6の(イ)に示すように、前記袋状布体2が潰れている状態となっている。
これを、図6の(イ)に示す水面W上から、図7に示す水面W下に入れると圧搾空間Cの水面Lが上がり両水位面の水位差Hの圧力で圧搾され前記筒状体1内の空気圧搾空間Cの空気が逆止弁6を明けて空気が、濡れた前記袋状布体2内の造形空間Bに送り込まれる。そして前記袋状布体2が膨らんで行く(袋状布体2が膨らんでいる状態を図1、図2、図7から図14に示す)。
前記空気圧搾空間Cの容量が造形空間Bの容量より小さい場合、一回沈めるだけでは図7の(ロ)に示すように、充分膨らみきらないで、造形が変形された状態となっている。
そして、図8(ハ)に示すように水面W上に上げると、逆止弁6から外に出ないので膨らんだ形が一応保持され、そのままでも、造形空間Bの空気の浮力で水面に浮かべて遊ぶことができる。
【0048】
これをさらに、図9の(ニ)に示すように、2回沈めるると、もう一度前記空気圧搾空間Cの空気が前記袋状布体2内に送り込まれていくので、図10の(ホ)に示すように、充分に膨らんだ状態となる。そして、更に深く沈めると前記筒状体1の空気圧搾空間C内の空気より前記袋状布体2の造形空間B内の空気の方が同圧以上の圧力となって逆止弁6が閉じる。
このまま、水中に沈めて遊んでも良いが、水面Wから上に上げると、図11の(へ)に示すように前記袋状布体2が充分に膨らんだまま、しばらくはその大きさが保持される。
【0049】
そして、前記袋状布体2が膨らんでいるとき、指で潰すように押すと、空気の大きな圧力により前記袋状布体2の微細孔に張った表面張力による水の膜が壊れて噴出し音を伴って空気が漏れ出て萎む。これを水中で行えば前記袋状布体2の表面から多くの気泡が発生して萎んで行く。
また、笛7を備えた形態では、膨らませるときや、潰すときの通気口4から圧搾空気の流れで笛を鳴らして遊ぶことができる。
本発明では、前記袋状布体2の形状変化の過程を観察しつつ親と子で一緒に遊べば、その変化について親子のコミュニケーションを活発に行うことができ、空気の性質や浮力や圧力などの自然現象について体感できて、親が子供に実験的な学習をさせることが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明の造形膨らませ水面遊具は、風呂やプールなどの水面で遊ぶ遊具であるが、池や水槽などの自然の中で遊ぶことも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の袋状布体が膨らんだ状態の外観を示す斜視図である。
【図2】本発明の袋状布体が膨らんだ状態の縦断側面図である。
【図3】本発明の袋状布体が萎んだ状態の斜視図である。
【図4】別の形態の袋状布体が萎んだ状態の斜視図である。
【図5】錘を備えた形態の袋状布体が萎んだ状態の斜視図である。
【図6】袋状布体が萎んだ状態の縦断側面図である。
【図7】袋状布体が少し膨らんだ状態の縦断側面図である。
【図8】水面上の袋状布体が少し膨らんだ状態の縦断側面図である。
【図9】再度水中に入れて袋状布体がもう少し膨らんだ状態の縦断側面図である。
【図10】袋状布体が充分膨らんだ状態の縦断側面図である。
【図11】水面上の袋状布体が充分膨らんだ状態の縦断側面図である。
【図12】笛を設けた形態の袋状布体が膨らんだ状態の縦断側面図である。
【図13】出没する筒体を設けた形態の袋状布体が膨らんだ状態の縦断側面図である。
【図14】複数の袋状布体が膨らんだ状態の縦断側面図である
【符号の説明】
【0052】
1 筒状体
1a 筒状体の上部
1b 筒状体の下部
1c 上端隔壁
2 袋状布体
2a 開口部
2b 絞り端部
2c 膨らみ部
3 結合手段
3a 輪状体
4 開口部
4a 開口部
4b 開口部
4c 開口部
5 開放口
6 逆止弁
6a 逆止弁
6b 逆止弁
6c 逆止弁
7 笛
8a 筒体
8b 筒体
8c 筒体
9a 袋状布体
9b 袋状布体
9c 袋状布体
10 錘
11 模様
12 顔料
W 風呂の水面
L 筒状体内の水面
A 圧搾空気
B 造形空間
C 空気圧搾空間
H 水位差
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)乾燥状態では通気性を備える一方で濡れた状態では通気性が阻害される布状シート材で作られ、窄めた開口部から送り込まれた圧搾空気により膨らんだ造形物を形成可能な袋状布体と、
(b)内部に空気圧搾空間が形成され、下端部には大きく開いた開放口が備わり、上端部には通気口が備わった筒状体と、
(c)前記筒状体の通気口と前記袋状布体の開口部とが連通されて、前記筒状体と前記袋状布体とを気密に結合可能とする結合手段とを備えて成り、
前記筒状体の空気圧搾空間内の空気を前記袋状布体内に送り込み、前記袋状布体を造形した形状に膨らませて遊べるようにしたことを特徴とする造形膨らませ水面遊具。
【請求項2】
筒状体の通気口に袋状布体内の空気よりも前記筒状体の空気圧搾空間内の空気の方が高圧のときに開き、且つ前記筒状体の空気圧搾空間内の空気より前記袋状布体内の空気の方が同圧以上の圧力のとき閉じる逆止弁を設けたことを特徴とする請求項1に記載の造形膨らませ水面遊具。
【請求項3】
(a)乾燥状態では通気性を備える一方で濡れた状態では通気性が阻害される布状シート材で作られ、窄めた開口部から送り込まれた圧搾空気により膨らんだ造形物が形成可能な複数の袋状布体と、
(b)内部に空気圧搾空間が形成され、下端部には大きく開いた開放口が備わり、上端部には前記袋状布体の個数と同数の通気口が、前記袋状布体の各通気口とそれぞれ対応する形状に備わった筒状体1と、
(c)前記筒状体の各通気口と、該各通気口に対応した前記袋状布体の開口部とが連通されて、前記筒状体と前記各袋状布体とを気密に結合可能とする結合手段とを備えて成り、
前記筒状体の空気圧搾空間内の空気を前記各袋状布体内に送り込み、前記各袋状布体を造形した形状に膨らませて遊べるようにしたことを特徴とする造形膨らませ水面遊具。
【請求項4】
筒状体の各通気口に、袋状布体内の空気よりも前記筒状体の空気圧搾空間内の空気の方が高圧のときに開き、且つ前記筒状体の空気圧搾空間内の空気より前記袋状布体内の空気の方が同圧以上の圧力のとき閉じる逆止弁を設けたことを特徴とする請求項2に記載の造形膨らませ水面遊具。
【請求項5】
筒状体の各通気口に設けた逆止弁のうち少なくとも一つが他の逆止弁とは異なる圧力で開く逆止弁であることを特徴とする請求項4に記載の造形膨らませ水面遊具。
【請求項6】
筒状体の少なくとも一つの通気口に、袋状布体内から前記筒状体の空気圧搾空間へと流れる空気の圧力で鳴る笛を設けたことを特徴とする請求項1又は3に記載の造形膨らませ水面遊具。
【請求項7】
筒状体の少なくとも一つの通気口に、前記筒状体の空気圧搾空間から袋状布体内へと流れる空気の圧力で鳴る笛を設けたことを特徴とする請求項1から6のうちいずれかに記載の造形膨らませ水面遊具。
【請求項8】
結合手段が、筒状体の外周面に袋状布体の開口部を被着して該開口部の外から輪状体を締め付け状態で嵌着して成ることを特徴とする請求項1から7のうちいずれかに記載の造形膨らませ水面遊具。
【請求項9】
輪状体3aが、輪ゴムであることを特徴とする請求項8に記載の造形膨らませ水面遊具。
【請求項10】
筒状体に、1つ又は複数の筒体を出没可能に連結して成ることを特徴とする請求項1から9のうちいずれかに記載の造形膨らませ水面遊具。
【請求項11】
筒状体に錘を設け、該錘の重量調節で、水中での袋状布体内の空気による浮力とのバランスで、水中に浮遊又は沈没を可能としたことを特徴とする請求項1から10のうちいずれかに記載の造形膨らませ水面遊具。
【請求項12】
袋状布体に設けた模様が、温度により変色可能とする顔料で描かれたことを特徴とする請求項1から11のうちいずれかに記載の造形膨らませ水面遊具。
【請求項1】
(a)乾燥状態では通気性を備える一方で濡れた状態では通気性が阻害される布状シート材で作られ、窄めた開口部から送り込まれた圧搾空気により膨らんだ造形物を形成可能な袋状布体と、
(b)内部に空気圧搾空間が形成され、下端部には大きく開いた開放口が備わり、上端部には通気口が備わった筒状体と、
(c)前記筒状体の通気口と前記袋状布体の開口部とが連通されて、前記筒状体と前記袋状布体とを気密に結合可能とする結合手段とを備えて成り、
前記筒状体の空気圧搾空間内の空気を前記袋状布体内に送り込み、前記袋状布体を造形した形状に膨らませて遊べるようにしたことを特徴とする造形膨らませ水面遊具。
【請求項2】
筒状体の通気口に袋状布体内の空気よりも前記筒状体の空気圧搾空間内の空気の方が高圧のときに開き、且つ前記筒状体の空気圧搾空間内の空気より前記袋状布体内の空気の方が同圧以上の圧力のとき閉じる逆止弁を設けたことを特徴とする請求項1に記載の造形膨らませ水面遊具。
【請求項3】
(a)乾燥状態では通気性を備える一方で濡れた状態では通気性が阻害される布状シート材で作られ、窄めた開口部から送り込まれた圧搾空気により膨らんだ造形物が形成可能な複数の袋状布体と、
(b)内部に空気圧搾空間が形成され、下端部には大きく開いた開放口が備わり、上端部には前記袋状布体の個数と同数の通気口が、前記袋状布体の各通気口とそれぞれ対応する形状に備わった筒状体1と、
(c)前記筒状体の各通気口と、該各通気口に対応した前記袋状布体の開口部とが連通されて、前記筒状体と前記各袋状布体とを気密に結合可能とする結合手段とを備えて成り、
前記筒状体の空気圧搾空間内の空気を前記各袋状布体内に送り込み、前記各袋状布体を造形した形状に膨らませて遊べるようにしたことを特徴とする造形膨らませ水面遊具。
【請求項4】
筒状体の各通気口に、袋状布体内の空気よりも前記筒状体の空気圧搾空間内の空気の方が高圧のときに開き、且つ前記筒状体の空気圧搾空間内の空気より前記袋状布体内の空気の方が同圧以上の圧力のとき閉じる逆止弁を設けたことを特徴とする請求項2に記載の造形膨らませ水面遊具。
【請求項5】
筒状体の各通気口に設けた逆止弁のうち少なくとも一つが他の逆止弁とは異なる圧力で開く逆止弁であることを特徴とする請求項4に記載の造形膨らませ水面遊具。
【請求項6】
筒状体の少なくとも一つの通気口に、袋状布体内から前記筒状体の空気圧搾空間へと流れる空気の圧力で鳴る笛を設けたことを特徴とする請求項1又は3に記載の造形膨らませ水面遊具。
【請求項7】
筒状体の少なくとも一つの通気口に、前記筒状体の空気圧搾空間から袋状布体内へと流れる空気の圧力で鳴る笛を設けたことを特徴とする請求項1から6のうちいずれかに記載の造形膨らませ水面遊具。
【請求項8】
結合手段が、筒状体の外周面に袋状布体の開口部を被着して該開口部の外から輪状体を締め付け状態で嵌着して成ることを特徴とする請求項1から7のうちいずれかに記載の造形膨らませ水面遊具。
【請求項9】
輪状体3aが、輪ゴムであることを特徴とする請求項8に記載の造形膨らませ水面遊具。
【請求項10】
筒状体に、1つ又は複数の筒体を出没可能に連結して成ることを特徴とする請求項1から9のうちいずれかに記載の造形膨らませ水面遊具。
【請求項11】
筒状体に錘を設け、該錘の重量調節で、水中での袋状布体内の空気による浮力とのバランスで、水中に浮遊又は沈没を可能としたことを特徴とする請求項1から10のうちいずれかに記載の造形膨らませ水面遊具。
【請求項12】
袋状布体に設けた模様が、温度により変色可能とする顔料で描かれたことを特徴とする請求項1から11のうちいずれかに記載の造形膨らませ水面遊具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2010−104531(P2010−104531A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−279078(P2008−279078)
【出願日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【出願人】(508325647)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【出願人】(508325647)
【Fターム(参考)】
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