説明

連動引分式折戸装置

【課題】車椅子を利用する身障者や要介護者等によっても、手動で簡単に左右折戸が機械的に連動する簡略な構造の連動引分式折戸装置を提供する。
【解決手段】左右の折戸10・11が面一状態で全閉した引分戸Dを開けるとき、例えば一側の折戸10が折り曲げ始まると、この折戸の折れ曲がり初期動作に従って、その折戸の転回する戸先側折戸パネル18上の押圧突起25が係合した一方のスライダ40が押されて、ガイドレール35に沿って戸尻側へ向けスライドし、その一方のスライダが係止した蹴り出しレバー60の一端部60aを押し回す一方で、反対側の他端部60cでレバー受け31を押圧し、そのレバー受けを固定した他側の折戸11の戸先側折戸パネル19をてこの作用によって蹴り出し、この蹴り出しレバーの蹴り出しを契機として、一側の折戸の折れ曲がり動作に連動して他側の折戸も折り曲がり動作を始動する構成にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一対の折戸を左右に開閉する折戸式の引分戸の中にあって、一側の折戸を開閉操作すれば、それに連動して他側の折戸も開閉する、身障者や要介護者等にとっても使い勝手のよい連動引分式折戸装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、引分戸は、開時に開口部の面積を比較的広く確保できるため、例えばストレッチャーやベットが通過する病院等の施設に、好んで設置される一方で、同じ引分戸の中でも、引戸式のものは、開口部の左右に壁等に沿って引戸の引込みスペースを確保する必要があるため、通常、開口部の横に壁などのない箇所には、折戸式の引分戸が付設される。
【0003】
しかし、折戸式の引分戸では、例えば開時に、通常、一方のハンドル等を持って一側の折戸を折り曲げて開放してから、他方のハンドル等を持って他側の折戸を折り曲げて開放して初めて、全開する構造であるため、例えば車椅子を利用する身障者や要介護者等が1人で同じように開閉操作するには、そのたびに左右に移動しなければならず、身障者等にとっては容易ではなく不便であるという欠点があった。そこで、従来の引分式折戸装置の中には、電動モータを駆動して左右の折戸を連動させて自動的に開閉する構造とし、身障者等によっても簡単に開閉操作できるようにしたものが見られる。
【特許文献1】特開2002−13352号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、従来、上述のように電動モータを用いた連動引分式折戸装置では、それだけ全体に装置が複雑で大型になり、コストも高くなるという大きな問題があった。そこで、従来から、手動により左右折戸が機械的に連動する簡略な構造の引分式折戸装置が提供されることが強く望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで、本発明者らは、上述した従来の課題を解決すべく、鋭意開発研究を重ね、車椅子を利用する身障者や要介護者等によっても、手動によって簡単に左右折戸が機械的に連動する簡略な構造からなる、本発明の連動引分式折戸装置を完成させるに至った。即ち、請求項1に記載の発明は、たとえば以下に示す図示実施の形態のとおり、2枚の折戸パネル17・18、19・20を折り曲げ自在に連結した一対の折戸10・11を直列に配設して面一な引分戸Dを形成し、その引分戸Dの開時は、一側の折戸10が折れ曲がる開放初期動作に従って他側の折戸11を折り曲げながら左右に開放する連動引分式折戸装置であって、前記引分戸Dで開閉する扉開口部Sの上枠12の長さ方向に沿って固定し、走行ガイド溝36を下向きにして敷設するガイドレール35と、それぞれ下面に有した突起係合穴42を下向きとし、上部を前記走行ガイド溝36に係合させて前記ガイドレール35でスライド自在に保持する一対のスライダ40・41と、前記上枠12の両端側に回転自在に軸支した左右一対の滑車48・48間に掛け回し、一側の直線ワイヤー部50aに一方の前記スライダ40を締結する一方、他側の直線ワイヤー部50bに他方の前記スライダ41を締結して往復回動可能に巻装した連動ワイヤー50と、前記折戸10・11の戸先側折戸パネル18・19の上端にそれぞれ立設して前記スライダ40・41の前記突起係合穴42に係合する押圧突起25・26と、前記折戸10・11の隣り合う戸先側折戸パネル18・19の上端に固定し、それら折戸パネル18・19から前記折戸10・11の折込み方向と反対向きに突設したレバー受け30・31と、前記上枠12に各々のレバー支点部60b・61bで回動自在に同軸に枢支し、前記引分戸Dの閉時は、それぞれ一端部60a・61aが互いに別の前記スライダに係止する一方、他端部60c・61cは互いに異なる前記折戸上の前記レバー受けに係止した状態を保持される一対の蹴り出しレバー60・61を備え、前記引分戸Dの開時、一側の前記折戸10が折り曲げ始まると、その折れ曲がり初期動作に従って、転回する戸先側折戸パネル18上の前記押圧突起25が係合した一方の前記スライダ40が押されて戸尻側へ向けスライドし、その一方のスライダ40が係止した前記蹴り出しレバー60の一端部60aを押し回す一方で、反対側の他端部60cで前記レバー受け31を押して蹴り出し、その蹴り出しレバー60の蹴り出しを契機に、他方の前記折戸11を折り曲げ始動させてなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
請求項1に記載の発明では、たとえ一対の折戸を左右に開閉する折戸式の引分戸であっても、いずれか一側の折戸を開閉操作すると、その開閉初期動作に従って、一側の折戸上の押圧突起に押されて一方のスライダが片側へスライドして連動ワイヤーを回動し、その連動ワイヤーの一方のスライダとは反対の他側の直線ワイヤー部に締結した他方のスライダを、その他側の直線ワイヤー部の移動に従って、一方のスライダと反対の他側へスライドさせ、この他方のスライダに他側の折戸上の押圧突起が押されて、他側の折戸も、一側の折戸の開閉動作に連動して開閉する。従って、請求項1に記載の発明によれば、引分戸の開閉時は、その開閉操作のたびに引分戸の手前でいちいち左右に移動しなくてもよく、車椅子を利用する身障者や要介護者等であっても、その場で簡単に開閉操作することができ、しかも、電動式ではなく、手動によって左右折戸が機械的に連動する簡略な構造であるため、全体に装置の簡略化や低コスト化を実現することができる。
【0007】
加えて、請求項1に記載の発明では、左右の折戸が面一状態で全閉した引分戸を開ける場合でも、いずれか一側の折戸が折り曲げ始まると、この折戸の折れ曲がり初期動作に従って、その折戸の転回する戸先側折戸パネル上の押圧突起が係合した一方のスライダが押されて、ガイドレールに沿って戸尻側へ向けスライドし、その一方のスライダが係止した蹴り出しレバーの一端部を押し回す一方で、反対側の他端部でレバー受けを押圧し、そのレバー受けを固定した他側の折戸の戸先側折戸パネルをてこの作用によって蹴り出し、この蹴り出しレバーの蹴り出しを契機として、一側の折戸の折れ曲がり動作に連動して他側の折戸も折り曲がり動作を始動する。従って、請求項1に記載の発明によれば、たとえ左右の折戸が面一状態で全閉した引分戸を開けるときでも、折戸は、より抵抗少なくスムーズに折れ曲がり、車椅子を利用する身障者や要介護者等によっても、開放操作を負荷なく極めて容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図面を参照しつつ、本発明の最良の実施形態について説明する。
【0009】
図1は、本発明の一例である連動引分式折戸装置を引分戸の全閉状態において示す組立斜視図、図2は連動引分式折戸装置を図1とは別の角度から見て示す組立斜視図、図3は連動引分式折戸装置の分解斜視図である。図示例の連動引分式折戸装置は、戸枠Fに左右一対の折戸10・11からなる引分戸Dを吊設し、左右の折戸10・11が折戸連動機構Aで連動して開閉するように組み付けた構造になっている。
【0010】
戸枠Fは、天井側の上枠12と、左右に向かい合う一対の縦枠13・14とで矩形に扉開口部を枠付けし、縦枠13・14の上端側と下端側に、それぞれ左右の折戸10・11を回動自在に案内する上部アングル15と下部アングル16を固着している。一方、折戸10・11は、それぞれ2枚の折戸パネル17・18、19・20を、公知のギヤヒンジ21の噛み合いを介して折り曲げ自在に連結し、戸尻側折戸パネル17・20の上端面17a・20aにおいて戸尻側に上ヒンジプレート22を固着し、下端面の戸尻側に下ヒンジプレート23を固着している。そして、下ヒンジプレート23の筒穴23aに下部アングル16の枢軸16aを嵌挿し、上ヒンジプレート22の凸部22aを上部アングル15のガイド穴15aに嵌着し、戸尻側折戸パネル17・20を縦枠13・14にそれぞれ回動自在に取り付けて、引分戸Dを吊持してなる。なお、折戸10・11には、戸尻側折戸パネル17・20の板面において、戸先側折戸パネル18・19寄りにそれぞれバーハンドルh1・h2を付設している。
【0011】
そこで、本発明の連動引分式折戸装置は、引分戸D側において、折戸10・11上に固設する左右一対の押圧突起25・26およびレバー受け30・31を備える一方、戸枠F側において、ガイドレール35と、一対のスライダ40・41と、一対の滑車組立体45・46と、連動ワイヤー50と、レバー組立体55とを備えて折戸連動機構Aを構成し、バーハンドルを持って一側の折戸を開閉操作すれば、その開閉操作に連動して他側の折戸も開閉する構造になっている。
【0012】
即ち、折戸連動機構Aは、まず折戸10・11側において、隣り合う戸先側折戸パネル18・19の上端面18a・19aの中央寄りに、それぞれ取付プレート27・28をねじ止めし、取付プレート27・28上にピン状の押圧突起25・26を立設する。更に、戸先側折戸パネル18・19の上端面18a・19aには、それぞれ戸尻側折戸パネル17・20寄り端縁に、金属製のレバー受け30・31を固定する。レバー受け30・31は、ねじ挿通用の丸穴(図示省略)を有したベース板30a・31aと、ベース板30a・31a上に重ねて装着し、取付位置調節用の長穴32を有したL板状の受けプレート30b・31bとからなる。かかるレバー受け30・31は、それぞれ戸先側折戸パネル18・19と直交する向きに上端面18a・19a上に固定するが、特に受けプレート30b・31bのL状先端部を、戸先側折戸パネル18・19から、折戸10・11の折込み方向と反対向き(図中手前)に突出させて止めねじで固定する。止めねじは、長穴32からベース板30a・31aの丸穴に通して戸先側折戸パネル18・19の上端面18a・19a上に捩じ込む。従って、レバー受け30・31は、ベース板30a・31aに対し受けプレート30b・31bを長穴32の長さに応じてスライドさせて突出長さを微調節することができるようになっている。
【0013】
一方、折戸連動機構Aにおいて、戸枠F側に組み付けるガイドレール35は、長尺な金属板を曲げ加工し、中央板部35aの両側部35bを断面L状に立ち上げ、そのL状の両側部35bの向かい合う先端縁にそれぞれ係合片35cを有した溝形に成形し、内部にスライダ40・41を案内する走行ガイド溝36を形成してなる。かかるガイドレール35は、走行ガイド溝36を下向きにし、中央板部35aにおいて上枠12の長さ方向に沿って固定する。
【0014】
スライダ40・41は、それぞれ樹脂製ピースで、図4でも示すように、図中手前側の長さ方向両端の角を面取りし、そこにテーパ部40a・40b、41a・41bを形成する。また、ピース厚さ方向には、略中心を貫通するピース長手方向に長穴状の突起係合穴42を設ける一方、図中上部側の両側面には、そのピース長さ方向に沿ってそれぞれガイドレール35の係合片35cと対応するレール係合溝40c・41cを設けると共に、図中下部の下面には、その長さ方向に沿って平行な2列のワイヤー係合溝40d・41dを設けてなる。ワイヤー係合溝40d・41dは、図5に示すように、突起係合穴42の両隣位置で溝幅を一段大きくし、そこに後述のワイヤー取付管51・52を嵌め込む細筒穴状の嵌込み穴部40e・40f、41e・41fを形成してなる。かかるスライダ40・41は、それぞれテーパ部40a・40b、41a・41bをレバー組立体55側に向けて(図1、図2参照)、レール係合溝に40c・41cに係合片35cを係合させてガイドレール35でスライド自在に保持すると共に、各々の突起係合穴42に戸先側折戸パネル18・19上の押圧突起25・26を係合させるようになっている。
【0015】
滑車組立体45・46は、図3および図6に示すように、それぞれ滑車ブラケット47と滑車48を備え、滑車48の車軸を、滑車ブラケット47に有した長穴に挿通して枢支し、該滑車ブラケット48で滑車48を回転可能に且つブラケット長さ方向に移動可能に横に寝かせて組み立て、滑車48・48間に掛け回す連動ワイヤー50の張り具合を調整可能な構造になっている。かかる滑車組立体45・46は、ガイドレール35の中央板部35aを間に挟んで、図1および図2に示すように上枠12の長さ方向両端に互いの滑車48・48を対向させて取り付ける。
【0016】
連動ワイヤー50は、図4に示すように、一対の第1および第2ワイヤー取付管51・52に通してそれらをワイヤー途中で保持し、エンドレスに繋いだ金属製ワイヤーからなる。ワイヤー取付管51・52は、その管径方向に穿設してパイプ穴51a・52aと連通する雌ねじ穴51b・52bを有してなる。かかる連動ワイヤー50は、図5および図6に示すように、滑車48・48間に細長いループ状に掛け回すと共に、平行な直線ワイヤー部50a・50bをそれぞれワイヤー係合溝40b・41bに係合させてスライダ40・41に連結する。そして、スライダ40・41の突起係合穴42にそれぞれ戸先側折戸パネル18・19上の押圧突起25・26を係合し、そのうちの一方のスライダ40には、一側の嵌込み穴部40eに第1ワイヤー取付管51を嵌め込み、その雌ねじ穴51bに止めねじを捩じ込んで、一方のスライダ40を一側の直線ワイヤー部50aに締結する。一方、他方のスライダ41の他側の嵌込み穴部41fに第2ワイヤー取付管52を嵌め込み、その雌ねじ穴52bに止めねじを捩じ込んで、他方のスライダ41を他側の直線ワイヤー部50bに締結して連動ワイヤー50を滑車48・48間で往復回動可能に巻装する。
【0017】
レバー組立体55は、図3に示すように、レバーブラケット56と、レバーブラケット56で支持する一対の蹴り出しレバー60・61を備える。レバーブラケット56は、長手の金属板を曲げ加工し、平板部56aの両端部56bをL板状に屈曲させて形成してなる。蹴り出しレバー60・61は、それぞれレバー本体が細長い金属板製で、一端部60a・61aをL状に屈曲し、その一端部寄り中央で一段幅広に形成し、そこにレバー支点部60b・61bを形成してなる。そして、各々の一端部60a・61aに回転ローラ62・63を縦向きに軸支する一方、他端部60c・61cに樹脂製の消音キャップ64・65を被せた構造になっている。かかるレバー組立体55は、互いのレバー支点部60b・61bにおいて、蹴り出しレバー60・61を重ね合わせ、レバーブラケット56の平板部56aに支点軸を中心として回動自在に枢支して組み立てる。そして、図1および図2に示すように、左右折戸10・11が面一となる引分戸Dの閉止状態において、ガイドレール35の図中手前側にあって、支点軸66が折戸10・11の戸先側折戸パネル18・19間に位置する中間位置で、レバーブラケット56の両端56bを上枠12に固着して組み付ける。すると、折戸連動機構Aにおいて、図7でも示すように、レバー組立体55の蹴り出しレバー60・61は、各々の一端部60a・61aの回転ローラ62・63が互いに別のスライダ40・41のテーパ部40a・41aに係止する一方、他端部60c・61cの消音キャップ64・65が互いに異なる戸先側折戸パネル18・19上のレバー受け30・31の受けプレート30b・31bに係止した状態で保持されてなる。
【0018】
さて、上述した構成の折戸連動機構Aを備えた連動引分式折戸装置では、面一状態で全閉した引分戸Dを開けるとき、例えばバーハンドルh1を持って戸尻側折戸パネル17を押し、図8(A)に示すように、一側の折戸10を折り曲げ始めると、この折戸10の折れ曲がり初期動作に従って、転回する戸先側折戸パネル18上の押圧突起25に一方のスライダ40が押されて、ガイドレール25に沿って戸尻側の縦枠13側へ向けスライドし、それと一体に連動ワイヤー50を一方向へ回動させ始める。すると、図8(B)に示すように、縦枠13側へスライドし始めたスライダ40で、そのテーパ部40aが係止した蹴り出しレバー60を、回転ローラ62を介して押し回し、反対側の他端部60cで消音キャップ64を介してレバー受け31を押圧し、そのレバー受け31を固定した他側の折戸11の戸先側折戸パネル19を、てこの作用によって蹴り出す。すると、この蹴り出しレバー60の蹴り出しを契機として、図8(C)に示すように、一側の折戸10の折れ曲がり動作に連動して他側の折戸11も折り曲がり動作を始動する。
【0019】
しかる後、戸尻側折戸パネル17を押し続けて一側の折戸10を、図9(A)に示すようにく字状に折り曲げると、この折れ曲がり動作に従って、一方のスライダ40が押圧突起25に押されて戸尻側の縦枠13側へ更にスライドして連動ワイヤー50を更に一方向へ回動する。すると、連動ワイヤー50の他側の直線ワイヤー部50bに締結した他方のスライダ41は、他側の直線ワイヤー部50bの移動に従って、一方のスライダ40と反対の戸尻側の縦枠14側へスライドする。そうすると、この他方のスライダ41に戸先側折戸パネル19上の押圧突起26が押され、それに従って他側の折戸11も、図9(B)および図10に示すように、一側の折戸10の折れ曲がり動作に連動して更に鋭角に折れ曲がり、その後、図示しないが、両側の折戸10・11がそれぞれ折り畳み状態になって左右に開き、引分戸Dの扉開口部Sを全開する。
【0020】
他方、連動引分式折戸装置では、同様に引分戸Dを開けるときに、以上とは反対のバーハンドルh2を持って、戸尻側折戸パネル20を押して他側の折戸11を折り曲げて開放操作した場合は、この他側の折戸11の折れ曲がり初期動作に従って、今度は、戸先側折戸パネル19上の押圧突起26に他方のスライダ41が押されて、縦枠14側へ向けスライドし、同じ連動ワイヤー50を他方向へ回動させ始める。すると、図示省略するが、縦枠14へスライドし始めたスライダ41で、そのテーパ部41aが係止した蹴り出しレバー61を、回転ローラ63を介して押し回し、反対側の他端部61cで消音キャップ65を介してレバー受け30を押圧し、そのレバー受け30を固定した一側の折戸10の戸先側折戸パネル18を、てこの作用によって蹴り出し、この蹴り出しレバー61の蹴り出しを契機に、他側の折戸11の折れ曲がり動作に連動して一側の折戸10も折り曲がり動作を始動する。
【0021】
しかる後、戸尻側折戸パネル20を押し続けて、他側の折戸11をく字状に折り曲げると、この折れ曲がり動作に従って、他方のスライダ41が押圧突起26に押されて縦枠14側へ更にスライドして連動ワイヤー50を更に他方向へ回動する。すると、連動ワイヤー50の一側の直線ワイヤー部50aに締結した一方のスライダ40は、一側の直線ワイヤー部50aの移動に従って、縦枠13側へスライドする。そうすると、この一方のスライダ40に戸先側折戸パネル18上の押圧突起25が押され、それに従って一側の折戸11も、他側の折戸11の折れ曲がり動作に連動して更に鋭角に折れ曲がり、その後は、上述したと同様に、両側の折戸10・11がそれぞれ折り畳み状態になって左右に開き、引分戸Dの扉開口部Sを全開する。
【0022】
さて反対に、折戸10・11を折り畳んで全開状態の引分戸Dを閉めるときは、戸先側折戸パネル18・19のいずれか一方、例えば一側の折戸10の戸先側折戸パネル18を押して両折戸パネル17・18を転回させながら、一側の折戸10を開く。すると、転回する戸先側折戸パネル18上の押圧突起25に押されて一方のスライダ40が縦枠14側へ向けてスライドし、連動ワイヤー50を他方向へと回動する。すると、連動ワイヤー50の他側の直線ワイヤー部50bに締結した他方のスライダ41は、他側の直線ワイヤー部50bの移動に従って反対の縦枠13側へ向けスライドする。そうすると、この他方のスライダ41に戸先側折戸パネル19上の押圧突起26が押され、それに従って他側の折戸11も、一側の折戸10の展開動作に連動して展開し、その後、両側の折戸10・11が面一な状態になって引分戸Dの扉開口部Sを全閉する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一例である連動引分式折戸装置を引分戸の全閉状態において示す組立斜視図である。
【図2】連動引分式折戸装置を図1とは別の角度から見て示す組立斜視図である。
【図3】連動引分式折戸装置の分解斜視図である。
【図4】スライダと連動ワイヤーの構造を示す斜視図である。
【図5】(A)は一方のスライダと押圧突起と連動ワイヤーの連結構造を示し、(B)は他方のスライダと押圧突起と連動ワイヤーの連結構造を示す斜視図である。
【図6】スライダと連動ワイヤーの締結状態を示す折戸連動機構の底面図である。
【図7】折戸連動機構の構造を引分戸の全閉状態において示す平面図である。
【図8】蹴り出しレバーによる折戸の蹴り出し動作を段階的に分けて示す折戸連動機構の平面図である。
【図9】折戸が連動して折り曲げ開放動作する状態を段階的に分けて示す折戸連動機構の平面図である。
【図10】連動引分式折戸装置を引分戸の全開手前の状態において示す斜視図である。
【符号の説明】
【0024】
A 折戸連動機構
D 引分戸
F 戸枠
S 扉開口部
10・11 折戸
17〜20 折戸パネル
25・26 押圧突起
30・31 レバー受け
35 ガイドレール
36 走行ガイド溝
40・41 スライダ
42 突起係合穴
48 滑車
50 連動ワイヤー
50a 一側の直線ワイヤー部
50b 他側の直線ワイヤー部
60・61 蹴り出しレバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2枚の折戸パネルを折り曲げ自在に連結した一対の折戸を直列に配設して面一な引分戸を形成し、その引分戸の開時は、一側の折戸が折れ曲がる開放初期動作に従って他側の折戸を折り曲げながら左右に開放する連動引分式折戸装置であって、
前記引分戸で開閉する扉開口部の上枠の長さ方向に沿って固定し、走行ガイド溝を下向きにして敷設するガイドレールと、
それぞれ下面に有した突起係合穴を下向きとし、上部を前記走行ガイド溝に係合させて前記ガイドレールでスライド自在に保持する一対のスライダと、
前記上枠の両端側に回転自在に軸支した左右一対の滑車間に掛け回し、一側の直線ワイヤー部に一方の前記スライダを締結する一方、他側の直線ワイヤー部に他方の前記スライダを締結して往復回動可能に巻装した連動ワイヤーと、
前記折戸の戸先側折戸パネルの上端にそれぞれ立設して前記スライダの前記突起係合穴に係合する押圧突起と、
前記折戸の隣り合う戸先側折戸パネルの上端に固定し、それら折戸パネルから前記折戸の折込み方向と反対向きに突設したレバー受けと、
前記上枠に各々のレバー支点部で回動自在に同軸に枢支し、前記引分戸の閉時は、それぞれ一端部が互いに別の前記スライダに係止する一方、他端部は互いに異なる前記折戸上の前記レバー受けに係止した状態を保持される一対の蹴り出しレバーを備え、
前記引分戸の開時、一側の前記折戸が折り曲げ始まると、その折れ曲がり初期動作に従って、転回する戸先側折戸パネル上の前記押圧突起が係合した一方の前記スライダが押されて戸尻側へ向けスライドし、その一方のスライダが係止した前記蹴り出しレバーの一端部を押し回す一方で、反対側の他端部で前記レバー受けを押して蹴り出し、その蹴り出しレバーの蹴り出しを契機に、他方の前記折戸を折り曲げ始動させてなることを特徴とする、連動引分式折戸装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−63884(P2008−63884A)
【公開日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−244639(P2006−244639)
【出願日】平成18年9月8日(2006.9.8)
【出願人】(000239714)文化シヤッター株式会社 (657)
【出願人】(592114703)株式会社ベスト (69)
【Fターム(参考)】