説明

連合学習システム

学習システムは、画像が言葉、物体、色、サイズ、音節の音、頭字語、テキストまたはこれらの任意の組み合わせと連合される、柔軟な連合学習法を含む。画像は、概念の機能面に関連する。システムの方法は、馴染みのある物、概念に連合された言葉、または両者の、色、フォントサイズ、形または任意の他の特徴を調節することにより、心像に基づくナラティブなどにおける連合を強化しうる。さらに、双方向型システムおよび物体を用いて、心像と概念の機能面との間の連合を強化できる。物体は、食べ物、パズル、ゲーム、および玩具でありうる。食べ物のアイテムは、連合レッスンを提供するカードを伴うパッケージでありうる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本特許明細書の開示の一部は、著作権保護を受ける内容を含む。著作権所有者は、特許商標庁のファイルまたは記録にあるとおりの、本特許開示の任意の者によるファクシミリによる複製に対しては異議を有さないが、他の場合にはいかなる著作権も全て留保する。
【0002】
関連出願の相互参照
本出願は、2006年4月5日に出願の米国特許出願第11/278,801号の出願日の利益を請求し、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
技術分野は、学習および記憶システムおよび学習方法に関する。
【背景技術】
【0004】
学習および記憶システムは良く知られているが、問題に満ちている。
【0005】
Myers教授は、著書Psychology、2004年、343―383頁の、Memoryと題した章の中で、画像に結びつく言葉は、抽象的な低心像性の言葉よりも記憶しやすいことが知られていると指摘する。さらに、Margaret Matlinは、著書Cognition、1998年の170―179頁で、心像は、思い出さなければならないアイテムが相互作用して示される場合に最も有効であることが、調査において一貫して示されると述べる。例えば、「ゾウ」と「ドル札」の対を記憶したい場合には、ゾウが鼻にドル札を持っているのを思い浮かべればよいと述べる。これは、ショッピングリストおよびその他の言葉のリストを記憶するために用いられる。
【0006】
David Myersは、著書Psychologyの中で、人は、画像に結びつく言葉を抽象的な低心像性の言葉より良く記憶すると書くが、複雑な概念の画像は、必ずしも有用でない。Super Memory,Super Student:How to Raise Your Grades in 30 Days、1990年の15頁で、Harry Lorayneの著書は、人が新しいものを記憶するためには、その新しいものが、その人がすでに知っているか記憶している何かと連合されなければならないと強調する。しかしこれは、言葉または名前のリストを記憶する上で有効であるにとどまる。例えば、Lorayneは148頁で、分子アデノシン二リン酸(ADP)の頭字語を記憶する一つの方法は、サル(ape)と学部長(dean)が豆(pea)を食べる、であると述べる。これによって学生は、ADPというイニシャルを記憶できるかもしれないが、ADPが何であるか、それが生物学でどのように使用されるか、といった概念を学習する上では効果がない。
【0007】
Margaret Matlinは、著書Cognition、1998年の172頁で、語連合は学習直後の超短期想起(recall)を生み出すが、反復テスト、キーワードの絵、および反復練習を伴わないと、キーワードに基づく連合記憶は弱いと書く。また、単にキーワードを画像と連合させるだけは、抽象的な概念、プロセスおよび知識を教えることができない。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0008】
学習システムには、過去の連合学習法が対応できない抽象的概念を記憶および学習するために、テキスト、テキストおよび物体、または物体、色、サイズ、音節の音、頭字語、言葉またはこれらの組み合わせと連合された馴染みのある物の画像を関連づける、柔軟な連合方法が含まれる。一例においては、情報は、概念に関連している。概念が、テキスト、物、物体の画像、色、サイズ、頭字語の音、音節、言葉またはこれらの組み合わせと連合されうる。画像は、DVDまたはCDプレーヤなどのビデオプレーヤに接続されたコンピュータプログラムまたはディスプレイデバイスを用いて動画化されうる。
【0009】
システムの一つの利点は、抽象的な概念の機能面を連合させることが可能である。論理連合により、特徴的な機能が概念の情報と連合されうる。論理的推論により、物と概念の情報との間に共通性が示されうる。フォントサイズ、形または色が、画像と概念の機能面との間の連合の形成を助け、記憶保持を向上させうる。
【0010】
別の利点は、概念が他の概念の上に構築されて、記憶保持が強化されるような形で、概念の機能面を教えられることである。また、テキストおよび画像の多くの側面を用いて、テキストおよび画像を概念の機能面と連合させうる。例えば、生物の最小区分を表わす概念、すなわち細胞は、連合を強化する一態様として、フォントサイズを最小区分としての細胞の概念と連合させて、比較的小さなフォントサイズで「最小のもの」として書かれうる。
【0011】
さらに別の利点は、心像に基づくナラティブを用いて、生物学的プロセスのような概念の機能面を説明するために、学習システムを使用しうることである。
【0012】
さらに別の利点は、このような学習システムを双方向型システムにより利用できることである。電子的視覚化システムには、コンピュータ関連のデバイス、テレビ、ビデオゲームおよびそれらの組み合わせが含まれるが、これに限られない。別の例においては、双方向型システムは、パズル、玩具、他の有形物などの三次元の物体を取り入れることができ、他の物が概念の機能面と連合されうる。
【0013】
本発明のいくつかの実施形態は、他の学習技術の欠点に対処する。改良されたテキスト、パズルおよびビデオゲームを使用したシステムを用いて、キーワードと連合された概念の機能面を伴う文脈でキーワードを記憶できるような、キーワードと連合させる画像を提供しうる。システムは、パズルを組み立てたり、ビデオゲームをすることにより、連合学習の反復練習およびテストを可能にし、他の方法により提供される弱い連合を上回る、さらに別の利点を提供する。
【0014】
一つの利点は、学習システムが、画像と、概念に連合されたキーワードと、概念の機能面との間に論理連合が確立されるように、画像を概念と連合させうることである。
【0015】
図面は本発明の例を示すが、本発明は、開示された例だけに限られない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
この詳細な記載および図面は、本発明のいくつかの例を提供するが、本発明は開示された例だけに限られない。むしろ本発明は、最終的に生じる請求項のみにより制限される。提供された図面および記載に基づけば、連合学習のためのシステムの例および使用法の多くの変化形が、本分野を知る者に明らかである。
【0017】
情報は、言葉または概念でありうる。図1Aにおいては、生物の文脈における「細胞(cell)」という言葉が、「独房(jail cell)」の画像と連合される。ここでは、画像により、人16が独房の格子11と錠13からなることが示され、馴染みのある言葉の画像が、似た音の言葉と連合される。同様に、木18および犬20も、このような格子と錠からなる。「独房」は、生物の最小区分である「細胞」と連合されうる既知の物である。格子と錠が表示されないことから生物としてより特定しやすい、人10、木12および犬14のシルエットが、さらに示される。
【0018】
細胞は、言葉であるのに加えて、概念でもある。したがって、全生物の区分を有し、含むものとして描かれた、言葉または概念と連合された物である「独房」に、細胞の概念が関連づけられる。図1Bにおいては、生物の細胞に関連する概念の機能面に画像を連合するのを助ける、提供されたナラティブ。テキスト、音節、頭字語および物の画像には、色、サイズ、言葉の音などが含まれうる。図1Aにおいては、画像は動画化されていないが、他の物は、連合された概念の機能面を強化するために動画を使用しうる。図1Bにおいては、ナラティブのフォントサイズ、形および色が調節される。「最小のもの」2と「細胞」3との間のフォントサイズの変更が、生物の最小区分としての細胞の原理の連合を強化する。
【0019】
図2に示される別の例においては、細胞のエネルギーまたはパワーの源としての働きをするミトコンドリア(mitochondrion)が、独房17に収容されてウェイト19をリフティングする「強い囚人(mighty con)」21(刑務所のストライプを着たボディビルダー)の画像と連合される。「強い囚人」が、細胞のミトコンドリアと連合される。この画像は、図1A〜1Bに示される独房との間の連合をもとにする。ミトコンドリアは生物の細胞の中にあり、細胞にエネルギーを提供する細胞の発電所である。したがって、「強い囚人」という一つの物の物理的属性が、細胞の発電所であるミトコンドリアの機能面と関連づけられる。図1A〜2で示される学習システムは、学生に単に記憶されたキーワードのリストではなく、ミトコンドリアの機能面についての知識を提供する、細胞およびミトコンドリアに関連した連合を提供し、学生は、ミトコンドリア(強い囚人)が、複雑な生物の最小区分である細胞(独房)の発電所であると記憶することができる。
【0020】
図3Aにおいては、「タンパク質(protein)」という言葉が、この例ではテニス選手であるプロフェッショナルのティーンエイジャー、「プロティーン」の画像と連合される。タンパク質は、多くのプロセスで使用される。にきび26を有し、テニスラケット24と金30が出ている書類カバン28とを持つティーンエイジャー22を描くことにより、タンパク質という言葉が、「プロティーン」と連合される。タンパク質は、細胞のアクションヒーローとして説明しうる。「タンパク質」という言葉の二つの音節は、「プロ」(プロフェッショナル)と「ティーン」(ティーンエイジャー)という言葉と似た音をもつ。プロフェッショナルのティーンエイジャーは、テニスコート上のアクションヒーローでもある。図3A〜3Bにおいては、背景に独房の格子を用いて、「プロティーン」が細胞と連合される。別の例においては、テニスコート上のネットが、独房の格子で表わされうる。色、陰影およびフォントサイズを用いて、言葉が画像と連合される。例えば、図3Aの画像が、アクションを示すために動画化されうる。
【0021】
キーワード連合で説明される共通の特徴が、様々なフォントサイズおよび/または色により関連付けおよび/または強調されうる。図3Bにおいては、連合の容易性を高めるために、タンパク質という言葉の音節「tein」(すなわち、赤テキスト4、8)、および「プロティーン」という言葉の「ティーン」(すなわち、赤テキスト5、6、7)が、赤色で示される。(図中に色は示されない。)ティーンエイジャーは、赤にきびを有することが多い。「ティーン」の特徴、すなわち赤にきびをさらに強調し、音節「tein」と関連づけるために、両方の音節が赤で表示される。
【0022】
本発明の例で利用されるキーワード連合および創造的なテキストの活用に加えて、別の連合学習技術である論理連合が使用される。論理連合の一例では、論理的推論により、特徴物に元の言葉または概念と共通性があることが示される、連合が利用される。したがって、物体は、概念を表す。
【0023】
図4においては、白い雪片(white snowflakes)34を有する赤いコウカンチョウ32が、青い空35を背景に木の枝36にとまっている。皮膚の病気である乾癬は、人間に、ただれのように見える赤い患部の上に白い薄片状の鱗(flaky scale)を有する赤い病変を形成する。乾癬とコウカンチョウの間には、例えば赤いというある共通性があることから、乾癬がコウカンチョウという馴染みのある物と連合される。例えば、「上昇する(soars)」(すなわち飛ぶ鳥)と「ただれ(sores)」(すなわち、赤く腫れた領域)との間に共通性が示される。コウカンチョウは「上昇し」、病気の乾癬は、「ただれ」をもたらす。動画化された上昇するコウカンチョウの画像(図示せず)を用いて、乾癬という用語を、コウカンチョウの「上昇」とさらに連合しうる。コウカンチョウの翼の白い雪片が、乾癬を、赤いただれ上の白い薄片状の鱗と連合させるのに役立つ。したがって、乾癬の機能面と、赤いコウカンチョウおよび雪片との間に連合が作られる。
【0024】
キーワード語連合と同様に、論理連合において説明される共通の特徴は、様々なフォントサイズおよび/または色により関連付けおよび/または強調されうる。例えば、コウカンチョウ32が、青い空35(色は示されない)を上昇する。「青い空を上昇する」が、テキストとして図に加えられ、青色で表わされればよい。乾癬という言葉の、「ただれ」という概念の音は、コウカンチョウが連合される概念、すなわち「青い空を上昇する」と共通性をもつ。論理接続を強化するために、テキストを用いて、コウカンチョウが、乾癬を表わす白い薄片状の鱗(雪)を伴う赤いただれを有するために、青い空を上昇できないことを説明するナラティブを提供しうる。適切なプロトコルで手当てした後、動画化されたコウカンチョウが青い空に上昇する様子が示されうる。
【0025】
図5においては、屋根の上にパン38、42を伴う黒い車40が示される。キーワード連合の例においては、「炭素(carbon)」という言葉が、他のものである「自動車パン(car bun)」と連合される。黒い車を黒い炭素源と連合させる論理連合の例においては、車は黒である。石炭および油などの、炭素ベースの化石燃料の主要な源は黒である。したがって、炭素を含む材料と車との間に共通性、すなわち同じ黒い色が存在する。炭素自体は黒い色と連合されないが、連合は、黒い石炭と油が炭素ベースの燃料であるという概念を教えるのに有効である。この連合は、前述のように、テキストを用いて強化されうる。
【0026】
キーワードおよび論理連合の画像および創造的なテキストの活用は、以下の技術および/または双方向型システムの一つにより利用されうる。一例においては、本発明のこれらの実施形態を利用するシステムは、電子的視覚化システムである。電子的視覚化システムの例には、コンピュータモニタ、テレビ、パーソナル・ディジタル・アシスタント、または、携帯電話または携帯型デジタルメディアプレーヤなどの他の電子的デバイスが含まれる。(例えばiPod(登録商標)。)あるいは、他の例では、Sony Playstation(登録商標)またはMicrosoft Xbox(登録商標)などの、他の電子的デバイスが使用される。例えば、電子的視覚化システムが、図1〜4に示される実施形態を、静的に、または動画として表示しうる。本発明の様々な実施形態を利用した他のシステムは、ビデオゲーム、またはパズルおよび玩具などの三次元の物体を利用しうる。玩具は、アクションフィギュアのような物またはアクションフィギュアを含む。さらに別の例では、概念学習システムは、可聴出力を含むインタフェースを利用しうる。動画を用いて、上昇する(soaring)鳥と病気により生じる上昇(soars)など、画像と概念の機能面との間の連合が強化されることが好ましい。
iPod(登録商標)は、Apple Computer,Inc.の登録商標である。
Playstation(登録商標)は、Sony Computer Entertainment,Inc.の登録商標であり、Xbox(登録商標)は、Microsoft Corporationの登録商標である。
【0027】
ビデオゲームシステムが、図6に表示される。プレーヤは、分子DNAまたはデオキシリボ核酸のための、キーワードと連合された画像を構築するように指示される。この例においては、DNAが、「犬Nリンゴ(Dog N Apple)」、またはリンゴ46を伴う犬44と連合される。雌犬は、赤目45をもつ雌のテリア44、または「彼女の赤目テリア(her red eye terrier)」およびリンゴ46である。「彼女の赤目テリア」という言葉は、生物の「遺伝(hereditary)」材料であるDNAと連合される。DNAは、糖(S)、リン酸(P)および四種類の塩基、アデニン(A)、チミン(T)、シトシン(C)およびグアニン(G)を含む、ヌクレオチドの鎖を含む。例えば、「犬Nアップル」(DNA)のキーワード連合を通じて、DNAの糖リン酸バックボーンが、DNAのバックボーンとして示される。
【0028】
ロリポップは砂糖のように甘いことから、ロリポップ48が糖(S)を表す。糖は、一例では、キャンディーケインとして表されてもよい。ロリポップ48は、四つの異なる色の野球ベースとして描かれた四つの塩基(bases)、アデニン54、チミン56、シトシン58およびグアニン52の一つに結合される。野球の球場62も、示される。DNA塩基の、野球ベース62とのキーワード連合に加えて、各塩基の頭文字をもとに連合させるために、色が選択される。例えば、Gはグアニンを表し、それ故緑(green)である。Aはアデニンを表わし、琥珀(amber)色である。チミン(T)はチール(teal)色であり、シトシン(C)はサンゴ(coral)色である。DNA塩基に関わる先の例では、図6に色は示されない。ビデオゲームにおいては、プレーヤは、さかさまの犬70と、正しい向きの犬44の後方端66で開始する。一例においては、ビデオキャラクター(図示されず)が、キャンディーショップ60に行って糖(すなわち、ロリポップ48)を入手し、野球場62に行って正しい塩基を入手し、歯科医院64に行ってリン酸塩(phosphate)との連合として使用される(すなわちfloss―fate)フロス(floss)50を入手することにより、正しい向きの犬を作る。さかさまに示された犬の図の前端70および後方端68も、示される。フロス50のリン酸(P)は、DNAのバックボーンを形成するリン酸を表し、デンタルフロスとして示される。キーワード連合の例では、「フロス」の音が、リン酸(phosphate)の音節「phos」の音と連合し、フロスの容器の画像は、学生が、リン酸がDNA(すなわち、犬Nアップル)のバックボーンを形成するという概念を学習するのを助ける。
【0029】
音楽、ホルン、エンジン、および鳥の歌などの音は、システムを使用するモチベーションを改善するために使用でき、システムにより教えられる概念の維持促進を伴いうる。
【0030】
図7は、糖88、犬Nアップル84すなわち「DNA」、およびベース82と、リン酸80を伴うパズルを示す。学生は、ピースをDNAの鎖に組み立て、画像、音および概念の連合を強化する。一例においては、図6に示されるゲームを行う前、間、または後に、「Take Me Out to the Ballgame(私を野球場に連れてって)」の曲に合わせて以下の歌詞が歌われる:
私を野球場に連れてって
DNAを作るのを手伝って
綿菓子とデンタルフロスを買って
それがDNAのバックボーン。
グアニン、アデニン、チミンにシトシン
それが二重らせんの塩基
DNAを作るベースは
G、A、T、Cだから。
カスタムメイドの歌詞と曲があるか否かを問わず、他の曲が演奏されてもよく、可聴音によりモチベーション、システムの概念の記憶および理解を強化する。
【0031】
さらに、ゲームは、システムにプレーヤを含みうる。図6に示されるゲームでプレーヤがプロティーンになってDNAを作るような、自己実現を提供するゲームは、ゲームをするモチベーションを高め、システムが教える概念のより良好な維持を伴う。概念の機能面に参加するプレーヤとしての自己実現の経験を提供することにより、モチベーション、記憶保持および概念化が改善されると考えられる。学習システムに音が取り入れられて、音と概念の連合が関連付けされうる。例えば、細胞死、すなわちアポトーシスのプロセスは、「ポン」という音と連合されうる。他の画像、テキスト、および色、または他の連合が、アポトーシスの機能面と連合されてもよい。音は、機械的デバイス、電子的要素により含まれ、または、電子的視覚化システムの一部として含まれうる。
【0032】
言葉と認識可能な画像の連合が、教える概念の機能面に関連する論理連合と組み合わされる。このようにして、図1〜7に示されるように、抽象的な概念を教えることができ、細胞とは何か、生物学においてどのように機能するか、という概念の機能面を教える、容易に認識可能および記憶可能な画像に関連させることができる。フォントサイズ、色および他の属性の使用が、画像と、テキストと教える概念との間の連合を強化し、キーワードおよびキーワードに関連した概念の機能面の記憶の維持を改善する。一つの例により次の例を作ることができることから、全てのキーワードおよび概念の記憶維持が強化される。
【0033】
概念が、心像に基づくナラティブにより説明されてもよい。一例においては、生理的プロセスなどの生物学的プロセスの機能的連合を教えるために、レースのナラティブを用いることができる。図8〜9で説明される、そのような生理的プロセスの一つは、循環経路に関する。図8および9においては、白いボート92(色は図示されない)と赤いボート94(色は図示されない)のボートが、それぞれ白血球と赤血球を表し、紫のプレート(plate)96(色は図示されない)が、別の細胞である血小板(platelet)を表す。これは、通常の染色方法を用いて紫色に染色されるため、紫で示される。図8と9とでは、ボート92、94および紫のプレート96が同じ番号で示される点に留意されたい。
【0034】
白血球細胞、赤血球細胞および血小板を含む血液は、図8の「左の美味しい木で90(left at tree yum)」(左心房(left atrium))から、図9のアートギャラリー(art galleries)100(動脈(arteries))に移動する。一例においては、ボートレースのシナリオが、ビデオゲームに取り入れられうる。学生は、ビデオゲームで血管を通るレースを繰り返すことにより、循環系に関連した概念の連合の機能面を繰り返し強化する。別の例においては、レースの心像を用いて、骨、神経、消化管、泌尿系の他の経路および場所に関わるプロセスに関連する機能面を強化しうる。実際に、レースの心像を用いて、既知の経路またはタイムラインに沿って進行する糖分解のプロセスなど、任意の一連の関連する概念を連合させうる。
【0035】
心像に基づくナラティブの別の例においては、細胞におけるエネルギー生成のプロセス(すなわち、糖分解およびクレブズ回路)が、酸素およびグルコースが体に入り、エネルギー生成のための分子(すなわち、アデノシン三リン酸またはATP)、および二酸化炭素および水の副産物をつくる方法を教える、動画化された画像により示される。一例においては、酸素とグルコースが、エネルギーを生成するために筋肉に運ばれる。心像に基づくナラティブの一つが、図10〜18に示される。様々な分子および細胞成分が、象徴で表わされる。図10においては、女性歌手104が、ネイティブアメリカンの歌を歌う。彼女の声帯の筋肉は、ATPを生成しなければならない。これは、テキスト、ナレーション、または声帯についての詳細および細胞にエネルギーを与えるプロセスを示すために徐々に拡大する連続画像により表わされうる。図10の牧草地106には、雄牛(ox)108およびエンジン(engine)110があり、両方とも酸素(oxigen)122と連合される。この例においては、歌手104は、エネルギープロセスで必要な糖である、グルコース(glucose)または「接着剤のゴースト(glue ghost)120」を取り入れることにより、エネルギーを必要とする。接着剤のゴースト120は、糖を表すために使用されうるキャンディーケイン114と、ゴーストに似た接着剤のボトル116との二つの成分を含む。この接着剤のゴースト120は、グルコースと連合された象徴の一例である。図11では、接着剤のゴースト130すなわちグルコースと、雄牛エンジン122すなわち酸素とが、歌手の口118に入る。これらの物質は、胃へ、そして血液中へと入る(動画は示されない)。
【0036】
図12においては、肺の肺胞が、ビオラ(viola)を持つフクロウ(owl)、またはフクロウビオラ(owl viola)124(肺胞)として示される。肺胞はよく、空気の入ったブドウのような嚢として説明されるため、フクロウ124は、ブドウの房126の上にとまっている。ビオラを持つフクロウ124の隣には、二つの毛細血管128、129があり、毛細血管のうちの一つであるチューブ128は、キャップ(cap)をかぶって笑っている人131を含む。「笑える(hilarious)キャップ(cap)」が、毛細血管(capillary)と連合される。もう一つの毛細血管129では、赤血球細胞を表す赤いボート132(色は図示されない)が、モヒカン(Mohawk)頭の雄の小鬼(goblin)134である「彼―モ―小鬼(He−mo−goblin)」を乗せており、赤血球細胞の酸素を運ぶ成分であるヘモグロビン(hemoglobin)と連合される。これらの象徴を他のエクササイズで繰り返して、連合を強化しうる。
【0037】
図13および14は、ヘモグロビンの脱酸素および酸素化状態を表す。図13においては、彼―モ―小鬼136が、青みがかった赤いボート140(図に色は示されない)に乗った痩せた小鬼136として示される。この彼―モ―小鬼136は、ヘモグロビンの脱酸素状態と連合される。ヘモグロビンは、酸素分子を運べる酸素担体である。ヘモグロビンの脱酸素状態を象徴するために、ボート140が、青みがかった赤で表わされる(図には示されない)。図14においては、筋肉隆々の彼―モ―小鬼138が、酸素と連合された「雄牛エンジン」141を運ぶ様子が示される。彼―モ―小鬼138が、ヘモグロビンの酸素化状態と連合される。ボート142は、今度は血の赤で表わされる(図には示されない)。
【0038】
図13〜14は、別の生化学的プロセス、アロステリック調節、またはより適切には、アロステリック活性化を示す。ヘモグロビンが酸素の第一分子を結合すると、第一酸素結合タンパク質サブユニットが、ヘモグロビン複合体の構造変化を誘発し、他のヘモグロビンタンパク質サブユニットの酸素に対する親和性を増加させる。したがって、痩せた彼―モ―小鬼136が、筋肉隆々の彼―モ―小鬼138になる。さらに、赤いボート142は、ラムのボトル146、147を伴う黄色の海144(色は図示されない)にある。これは、海(sea)のラム(rum)(すなわち血清(serum))が血液の黄色の成分であり、血液の色のもとは赤血球細胞すなわち赤いボート142であるという概念を教える。ここでも、ナラティブが、例えばテキスト、ナレーションおよび/または動画により教えられうる。
【0039】
図15においては、独房152の前でポーズをとる筋肉マン148が、筋細胞を表す。雄牛エンジン160(酸素)、および接着剤のゴースト150(グルコース)が、筋細胞に入らなければならないことを示すために、筋肉マン148の隣にある。図16の例においては、筋細胞のエネルギーを作る細胞小器官であるミトコンドリアが、囚人服156を着た自転車158の上のカニ154として表わされる。カニ154は、オルガン161を弾いている。細胞のミトコンドリアは、クレブズ回路(Krebs cycle)と呼ばれるプロセスによってエネルギーを作るが、これが、一例では自転車(cycle)上のカニ(crab)と同一視される。図17においては、ミトコンドリアが同様のカニ166によって表わされ、このカニの上に、6つの雄牛エンジン(酸素)170、180、190、200、210、220および一つの接着剤のゴースト240(グルコース)がある。エネルギーを作るために、六つの酸素と一つのグルコースが必要である。代替的な例においては、「強い囚人」が、ミトコンドリアと連合されうる。一例においては、靴からカニをぶら下げて一輪車に乗った強い囚人が示されうる。この代替的連合を用いて、細胞にエネルギーを与えるために利用される生化学的プロセスの同じ機能面を表わしうる。
【0040】
図18においては、六つの二酸化炭素(carbon dioxide)分子、6つの水分子、および38個のATPが示される。酸素およびグルコースが消費されて、例えば282および284でそれぞれ示される「車パン」と2つの「雄牛ダイス(ox dies)」で表わされる二酸化炭素が生成される。六つの水は、例えば、262のような水バケツによって表される。38個のATP(すなわち、「Aテント小屋(A Tepees)」)は、例えばテント小屋400などの38個のテント小屋で表される。したがって、牧草地106の女性歌手104は、現在たくさんのATPを有するため、ネイティブアメリカンの歌を歌えるようになった。図10〜18は、心像に基づくナラティブの一例として、動画化されうる。図10―18に基づく動画は、ミトコンドリア、細胞、グルコースと酸素からのATPの形成についての漫画の連合を構築し、クレブズ回路を細胞生化学の機能面に連合された画像に連合するための、心像に基づくナラティブを提供できる。
【0041】
システムにおいて食べ物を用いて、モチベーションを高め、システム内で教えられる概念のある機能面を強化しうる。いくつかの例としては、菓子、チョコレートバー、ロリポップ、綿菓子、ミント、およびホットドッグがある。例えば、菓子が、グルコース(元の例では接着剤のゴースト)と連合されうる。別の例においては、「LEミント」を用いて、元素の周期表の元素についての学習を強化しうる。砂糖菓子が販売され、元素についての概念を教えるシステムで使用されるカードを含めばよい。図10、11および15で「雄牛エンジン」の役割を説明する際に使用される例のように、酸素の「LEミント」は、元素を紹介し、細胞生物学におけるその役割を含みうる。例えば、「LEミント」は、収集可能なトレーディングカード等を含みうる。「LEミント」は、包装と、図11の雄牛エンジンのマークのような元素に連合された画像のマークを伴うトレーディングカードとを含む、ミントの部分を伴うチョコレート砂糖菓子でありうる。例えば、カードの第一サイドが、図19Aに示される。あるいは、図19Aが、キャンディーバーなどの砂糖菓子の表面に描かれうる。図19Bに示されるカードの反対側、すなわち第二サイドは、元素の原子番号および原子量を示す。これらの例においては、第一サイドがカードまたは砂糖菓子の前側であり、第二サイドがカードの裏側、すなわちカードまたは砂糖菓子の背面でありうる。例えば、複雑な概念の一つ以上の側面を教えうる複数のカードが、砂糖菓子とともにパッケージされうる。
【0042】
提供された例の代替的な組み合わせおよび変化形は、本開示に基づいて明らかとなる。概念の機能面を連合的に学習するために使用されうる沢山の例の、全ての具体例を提供することは不可能である。例においては、システムは、全て生化学の学習に使用されたが、他の教育分野において他のキーワードおよび他の機能面を教えることもできる。連合学習システムの使用は、細胞生化学に限られない。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1A】は、連合学習システムの例を示す。
【図1B】は、連合学習システムの例を示す。
【図2】は、別の例を示す。
【図3A】は、別の例を示す。
【図3B】は、別の例を示す。
【図4】は、別の例を示す。
【図5】は、さらに別の例を示す。
【図6】は、連合学習の双方向型システムの例を示す。
【図7】は、連合学習の一例において使用される三次元の物の例を示す。
【図8】は、連合学習の一例による心像に基づくナラティブの例を示す。
【図9】は、連合学習の一例による心像に基づくナラティブの例を示す。
【図10】は、心像に基づくナラティブを用いた連合学習のさらなる例を示す。
【図11】は、心像に基づくナラティブを用いた連合学習のさらなる例を示す。
【図12】は、心像に基づくナラティブを用いた連合学習のさらなる例を示す。
【図13】は、心像に基づくナラティブを用いた連合学習のさらなる例を示す。
【図14】は、心像に基づくナラティブを用いた連合学習のさらなる例を示す。
【図15】は、心像に基づくナラティブを用いた連合学習のさらなる例を示す。
【図16】は、心像に基づくナラティブを用いた連合学習のさらなる例を示す。
【図17】は、心像に基づくナラティブを用いた連合学習のさらなる例を示す。
【図18】は、心像に基づくナラティブを用いた連合学習のさらなる例を示す。
【図19A】は、学習概念を強化する食品の例を示す。
【図19B】は、学習概念を強化する食品の例を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
概念を学習するためのシステムは、画像と概念のある機能面との間に論理関係が確立されるように、前記画像を前記概念と連合させることを含む。
【請求項2】
前記画像が動画化され、前記システムが、前記画像の動きを、前記概念のある機能面と連合させることをさらに含む、請求項1に記載の学習システム。
【請求項3】
前記画像を漫画として描写することと、前記漫画と前記概念のある機能面との間の前記連合を説明するテキストを提供することをさらに含む、請求項1に記載の学習システム。
【請求項4】
前記画像の口頭の名前が、前記概念のある機能面を説明する言葉と似て聞こえるように、画像を命名することをさらに含む、請求項1に記載の学習システム。
【請求項5】
前記テキストと、前記画像と、前記概念のある機能面との間の前記連合を強化するために、フォントサイズまたは色を使用することをさらに含む、請求項3に記載の学習システム。
【請求項6】
前記使用のステップが、前記テキストに表示されたキーワードに、前記キーワードと連合された画像の色と同じテキストカラーを使用することを含む、請求項5に記載の学習システム。
【請求項7】
前記画像の形を、前記概念のある機能面に連合させることをさらに含む、請求項1に記載の学習システム。
【請求項8】
双方向型ユーザインタフェースを提供することをさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
携帯電話または携帯式電子デバイスに電子的視覚化システムを表示することをさらに含む、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記双方向型ユーザインタフェースが、ビデオゲームであり、前記ビデオゲームが、前記概念のある機能面に参加するプレーヤとしての自己実現の経験を提供する、請求項8に記載のシステム。
【請求項11】
前記連合させるステップが、前記概念の機能面を物体と連合させる、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記物体が、パズル、玩具またはアクションフィギュアである、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記連合させるステップが、音をキーワードまたはキーワードの一部と連合させる、請求項1に記載のシステムであり、前記音および前記キーワードが、前記概念のある機能面と連合されるように、可聴音を生み出すことをさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
テキスト、ナレーションまたは動画を使用して前記画像と前記概念のある機能面との間の連合を強化する、心像に基づくナラティブを提供することをさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
前記画像が複数の画像であり、前記複数の画像の各々が、前記心像に基づくナラティブを提供するステップにおいて使用される、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記心像に基づくナラティブを提供するステップが、前記概念のある機能面と連合されたタイムラインまたはパスに沿って進むことを含む、請求項14に記載のシステム。
【請求項17】
前記連合させるステップが、音およびキーワードの両方が前記概念のある機能面に連合されるように、前記音を前記キーワードと連合させる、請求項1に記載のシステム。
【請求項18】
前記音が、歌詞、曲またはその両方を含む、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
ゲームをすることをさらに含み、前記ゲームが、前記ゲームのプレーヤのための役割 を含み、前記プレーヤが、概念のある機能面と連合されたプロセスに参加する、請求項1に記載のシステム。
【請求項20】
食べ物を食べるステップをさらに含み、前記食べ物が、概念のある機能面と連合される、請求項1に記載のシステム。
【請求項21】
前記食べ物が、砂糖菓子である、請求項20に記載のシステム。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19A】
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【図19B】
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【公表番号】特表2009−532740(P2009−532740A)
【公表日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−504370(P2009−504370)
【出願日】平成19年3月13日(2007.3.13)
【国際出願番号】PCT/US2007/063868
【国際公開番号】WO2007/117834
【国際公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【出願人】(508297665)ロジオロジー, エルエルシー (1)
【Fターム(参考)】