説明

連結具

【課題】介在物のどの位置からでも取付対象物に取り付けられるような連結具を提供する。
【解決手段】介在物3の貫通孔を挿通して固定する連結具であって、表側部材4と裏側部材5からなる。表側部材は表面6と、この表面部から後方に突出する第1係合部7からなる。第1係合部は、基部71と、この基部の先端に設けた回動部72からなる。回動部72は、長孔78を有すると共に基部71の先端を中心として回動可能である。裏側部材は、前方の第2係合部と、後方のテープ接合部52からなる。前記第2係合部は、第1係合部と係合する係合孔53を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連結具に関する。この連結具は、ベルトやテープ類等の介在物を取付対象物に着脱自在に取り付けるときに用いることができ、例えば、衣服、カバンなど、幅広い分野で使用可能である。
【背景技術】
【0002】
例えば、肩掛けベルトと取っ手の双方を有するカバンにおいて、肩掛けベルトを使用しないときには取り外す必要がある。また、カバンの取っ手のみを取り外して別の取っ手に交換したいという場合もある。そのようなとき、ベルトや取っ手をカバンに着脱自在に取り付けるには、一対の雌雄部材からなる差し込み式バックルを使用することが多い(例えば、下記特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−320
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記従来技術では、雌雄のバックル部材はそれぞれベルトの末端に位置して、ベルト末端同士を結合する。通常の場合、それで何も問題はないが、例えば、ベルトの中間部で取付対象物に取り付けられれば、意外性のある製品が得られる。
【0004】
本発明は、ベルトやテープ類等の介在物のどの位置からでも取付対象物に取り付けられるような連結具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の連結具は、介在物の貫通孔を挿通して固定する連結具であって、表側部材と裏側部材からなり、前記表側部材は表面部と、この表面部から後方に突出する第1係合部からなり、前記第1係合部は、基部と、この基部の先端に設けた回動部からなり、前記回動部は、長孔を有すると共に前記基部の先端を中心として回動可能であり、前記裏側部材は、第2係合部を有し、前記第2係合部は、前記第1係合部と係合する係合孔を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
従来の連結具は、ベルトなどの介在物の末端に取り付けていたが、本発明の連結具によれば、介在物の貫通孔を挿通して固定するので、どの位置にでも取り付けることができる。これにより、連結具としての適用範囲が著しく拡大された。
【0007】
また、連結方法も介在物の貫通孔を挿通して一対の表裏部材を固定させるだけであって、特別な器具は不要であり、先鋭な突起物や針などを使用しなくてもよいので安全である。
【0008】
本発明の付随的な効果として、必要に応じて装飾機能を持たせることができることが挙げられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
前記介在物は、下記実施例ではベルトやテープを例示しているが、その他一般の衣服やカバンに対する装飾物の取り付けにも利用することができる。
【0010】
そのため、前記表側部材の前記表面部は装飾面とすることが好ましい。これにより見栄えをよくすることができるので、衣服の目立つ位置にも取り付けることができる。例えば、袖のカフスボタン、折り襟のバッジ、バッグ表面の商標や標示物の取付けなどに利用することができる。
【0011】
回動部の回動機構としては、例えば、前記基部先端がU字型の溝を有し、前記溝の壁同士の間がピンでつながれており、前記回動部が、前記U字型溝にはまる厚みを有すると共に、前記ピンを中心として回動可能なものとすることができる。
【0012】
好ましくは、前記基部が、弾性体を内蔵しており、この弾性体の先端が、前記表面部と反対側に付勢されると共に、前記溝の壁の抜け止めにより移動量が制約されているものとする。弾性体としては、例えばばねを使用することができる。
【0013】
前記回動部の側部に、前記弾性体の先端と係合可能なくぼみを設けてもよい。両者の係合により、回動位置を固定することができるからである。
【0014】
前記回動部材は、例えば、前記介在物に対して垂直な位置から平行位置に回動し、その後、前記長孔に沿って上下動するものとすることができる。
【0015】
前記裏側部材は、前記第2係合部の後方にテープ接合部を設けることで、ベルトやテープ類への接合が容易となる。
【実施例1】
【0016】
以下、添付の図面に基づき、本発明の実施例を説明する。
【0017】
図1は、本発明の1実施例である連結具1を使用した手提げバッグ2の斜視図である。図2は、図1における連結具1の拡大斜視図である。これらの図から明らかなように、この連結具1は、ベルト3を挟む、表側部材4と裏側部材5の2部品からなる。
【0018】
図3は、表側部材の(a)正面図、(b)背面図、(c)側面図、(d)平面図、(e)横断面図である。
【0019】
表側部材4は、表面装飾部6と、この表面装飾部6から後方に突出する第1係合部7からなる。
【0020】
表面装飾部6は、ストッパーの役割を果たす平面板であるが、外部に現れるので、装飾されていることが好ましい。
【0021】
第1係合部7は、基部71と、基部の先端に設けた回動部72からなる。
【0022】
図3(e)に示すように、基部71は、内部が中空であり、中空部に圧縮ばね73を内蔵している。基部71の先端はU字型の溝74を有し、この溝壁同士の間をピン75でつないでいる。ばね73の先端76は、結合方向に付勢されているが、溝壁の抜け止め77により移動量が制約されている。
【0023】
回動部72は、楕円板であり、前記U字型溝にはまる厚みを有すると共に、中央に長孔78が設けられている。長孔78には前記ピン75が挿通されていて、後述するように、このピン75を中心として回動可能である。回動部72は、前記ばね73の力を受けて結合方向に付勢されている。また、回動部72の楕円板の側部には、後記する目的で、図3(c)に示すように、小さなくぼみ79が設けられている。
【0024】
図4は、裏側部材5の(a)正面図、(b)背面図、(c)右側面図、(d)左側面図、(e)底面図、(f)X−X断面図、(g)Y−Y断面図である。
【0025】
裏側部材5は、前半分の第2係合部51と、後半分のテープ接合部52からなる。
【0026】
第2係合部51は、単に係合孔53を設けているだけの平板である。全体は、ほぼ三角形状であるが、これはデザイン上のもので技術的な意味はない。
【0027】
テープ接合部52は、別の特許出願の対象となっているもので、ここでは詳細に触れない。要するに、図2に示すように、このテープ接合部52にテープ8の先端が固定されているのである。
【0028】
ベルト3を挟んで、表側部材4と裏側部材5を接続する前に、図2に示すように、予めベルト3に貫通孔31を設けておく必要がある。この貫通孔31は表側部材4の係合部7の通過を許容するが、表面装飾部6の通過は許容しない大きさである。
【0029】
表側部材4と裏側部材5を接続するには、図2に示すように、表側部材4の係合部7をベルトの貫通孔31に挿通し、さらに、裏側部材5の係合孔53を通過させる。その状態が図5の(a)でもある。
【0030】
続いて、係合部7の回動部材72を回動させ(図5(b))、回動部材72をベルト3と平行にする(図5(c))。その後、回動部材72を押し下げると、長孔78が下降してピン75が相対的に上昇する。このとき、回動部材72のくぼみ79とばね先端76が係合するので、その位置で安定する。この状態でロックが完成し、手提げバッグ2のテープ8とベルト3が連結されたことになる。ロックを解除するには、上記と逆の手順による。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の1実施例である連結具を使用した手提げバッグの斜視図である。
【図2】図1における連結具の拡大斜視図である。
【図3】表側部材の(1)正面図、(2)背面図、(3)側面図、(4)平面図、(5)横断面図である。
【図4】裏側部材の(a)正面図、(b)背面図、(c)右側面図、(d)左側面図、(e)底面図、(f)X−X断面図、(g)Y−Y断面図である。
【図5】(a)−(d)は、表裏部材の連結方法の各段階を示す断面図である。
【符号の説明】
【0032】
1 連結具
2 バッグ
3 ベルト
31 貫通孔
4 表側部材
5 裏側部材
51 係合部
52 テープ接合部
53 係合孔
6 表面装飾部
7 係合部
71 基部
72 回動部材
74 U字状溝
75 ピン
76 先端
78 長孔
8 テープ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
介在物(3)の貫通孔(31)を挿通して固定する連結具(1)であって、表側部材(4)と裏側部材(5)からなり、
前記表側部材(4)は表面部(6)と、この表面部(6)から後方に突出する第1係合部(7)からなり、
前記第1係合部(7)は、基部(71)と、この基部(71)の先端に設けた回動部(72)からなり、
前記回動部(72)は、長孔(78)を有すると共に前記基部(71)の先端を中心として回動可能であり、
前記裏側部材(5)は、第2係合部(51)を有し、
前記第2係合部(51)は、前記第1係合部(7)と係合する係合孔(53)を有することを特徴とする連結具。
【請求項2】
前記表側部材(4)の前記表面部(6)が装飾面である請求項1記載の連結具。
【請求項3】
前記基部(71)先端はU字型の溝(74)を有し、前記溝(74)の壁同士の間をピン(75)でつないでおり、前記回動部(72)は、前記U字型溝(74)にはまる厚みを有すると共に、前記ピン(75)を中心として回動可能である楕円板である請求項1又は2記載の連結具。
【請求項4】
前記基部(71)は、弾性体(73)を内蔵しており、この弾性体(73)の先端(76)は、前記表面部(6)と反対側に付勢されると共に、前記溝(74)の壁の抜け止め(77)により移動量が制約されている請求項3に記載の連結具。
【請求項5】
前記回動部72の側部に、前記弾性体(73)の先端(76)と係合可能なくぼみ(79)が設けられている請求項4記載の連結具。
【請求項6】
前記回動部材(72)は、前記介在物(3)に対して垂直な位置から平行位置に回動し、その後、前記長孔(78)に沿って上下動が可能である請求項1ないし5のいずれかに記載の連結具。
【請求項7】
前記裏側部材(5)は、前方の前記第2係合部(51)と、後方のテープ接合部(52)からなる請求項1ないし6のいずれかに記載の連結具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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