説明

連結式陳列箱

【課題】連結して重量のある商品を収納しても、安定した吊下状態で陳列できる連結式陳列箱を提供する。
【解決手段】周壁3の後部から上方へ延びる背壁6を、上端で繋がった後背板8と前背板9とが重なり合う構造とし、後背板8の下部及び上部に、下向きの差込片14及び下広がりの差込穴17をそれぞれ設け、差込片14の頭部15を両側に張り出させて、その上縁に段部16を形成し、差込穴17の入口幅を差込片14の頭部15の最大幅よりも狭く設定する。複数個の陳列箱を上下に配列して連結する際、上段側陳列箱の差込片14を下段側陳列箱の差込穴17に挿入すると、差込片14の段部16が差込穴17の両側方で後背板8と前背板9の稜部に係合して、差込片14が差込穴17から抜け止めされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、連結した状態で店頭に吊り下げて商品を陳列できるようにした陳列箱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、下記特許文献1には、図6に示すように、周壁51の後部から背壁52を上方へ延長し、背壁52の上部に下向きの差込片53を、下部に上向きの差込片54をそれぞれ切込により設け、上下に配列した複数個の陳列箱50を、差込片53,54の相互差し込みにより連結して吊下状態で商品を陳列できるようにした陳列箱が記載されている。
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第2579896号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような連結式陳列箱では、下段側の陳列箱50に重量のある商品を収納すると、その差込片53の基端両側から背壁52の上端へかけて材料の板紙が裂けて、下段側の陳列箱50が落下するおそれがあった。
【0005】
そこで、この発明は、連結して重量のある商品を収納しても、安定した吊下状態で陳列できる連結式陳列箱を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、この発明に係る連結式陳列箱では、周壁の後部から上方へ延びる背壁を、上端で繋がった後背板と前背板とが重なり合う構造とし、後背板の下部及び上部に、連結用係合部として下向きの差込片及び下広がりの差込穴をそれぞれ設け、差込片の頭部を両側に張り出させて、その上縁に段部を形成し、差込穴の入口幅を差込片の頭部の最大幅よりも狭く設定したのである。
【0007】
このような陳列箱を上下に複数個配列して連結する際、上段側陳列箱の差込片を下段側陳列箱の差込穴に挿入すると、差込片の段部が差込穴の両側方で後背板と前背板の稜部に係合して、差込片が差込穴から抜け止めされる。
【発明の効果】
【0008】
上記のような陳列箱では、複数個連結して吊り下げた状態において、下段側陳列箱に重量のある商品を収納しても、その荷重が作用する後背板と前背板の稜部が裂けにくく、安定した状態で商品を陳列することができる。
【0009】
また、単体でも商品を陳列でき、連結作業も簡単であるので、商品の数やサイズ、重量に応じて、陳列形態を柔軟に変更することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0011】
ここに示す連結式陳列箱は、本体1とこれに付属する仕切体2とから成り、図1に示すような板紙製ブランクから形成される。
【0012】
本体1のブランクでは、周壁3をなすように、前面板4の一側に繋がる側面板5に背壁6が、他側に繋がる側面板5に継代片7がそれぞれ連設され、背壁6は、一側の側面板5に繋がる後背板8の上端に前背板9を連設したものとされている。前面板4及び後背板8の下端には底面板10が、側面板5の下端には底面板11がそれぞれ連設され、前面板4の上端には前重板12及び底重板13が順次連設されている。
【0013】
後背板8の下部には、下方から上方へ切り込んで下向きの差込片14が設けられ、差込片14の頭部15は両側方へ張り出し、その上縁には段部16が形成されている。また、頭部15の先端両角部には差込誘導用のテーパが形成されている。
【0014】
後背板8の上部には、前背板9との稜部から下広がりに切り込んで差込穴17が設けられ、差込穴17の入口幅は、差込片14の頭部15の最大幅よりも狭く設定されている。また、後背板8及び前背板9の両側上部には、紐穴18が設けられている。
【0015】
一方、仕切体2のブランクでは、中頂板21の両側から斜め下方へ仕切板22及び底敷板23が順次連設され、底敷板23の後端には背当板24が、各仕切板22の後端には背折板25がそれぞれ連設されている。一方の背折板25と仕切板22の境界には差込穴26が、他方の背折板25の端縁には差込片27がそれぞれ設けられ、中頂板21の前端には前折板28が連設されている。
【0016】
上記のようなブランクから本体1を組み立てるには、図2に示すように、前面板4、一対の側面板5及び後背板8を角筒状に折り曲げ、継代片7を後背板8に貼り付けて周壁3を形成し、前背板9を後背板8の前面に重ねて貼り合わせ、底面板10,11を組み合わせて底面を閉止し、前重板12を前面板4の後面に、底重板13を底面板10,11の上面に重ね合わせる。
【0017】
また、仕切体2を組み立てるには、中頂板21から各仕切板22を下方へ折り曲げ、底敷板23を外側へ折り曲げて、背当板24を斜め上方へ折り曲げ、二枚の背折板25を内側へ折り曲げて重ね合わせ、差込穴26に差込片27を差し込んで保形し、前折板28を下方へ折り曲げる。
【0018】
このように組み立てた本体1に仕切体2をセットする際には、底敷板23を底重板13に載せ、背折板25を前背板9に、前折板28を前重板12にそれぞれ当接させ、背当板24を前背板9に凭れさせる。
【0019】
上記のような陳列箱は、図3に示すように、単体で商品の陳列台として使用でき、紐穴18に吊紐19を挿通して、吊下状態で商品を陳列することもできる。また、図4に示すように、上下に複数個配列して連結し、吊り下げた状態で商品を陳列することもできる。
【0020】
この連結に際し、図5に示すように、上段側の陳列箱の差込片14を、下段側の陳列箱の差込穴17に挿入すると、差込片14の段部16が差込穴17の両側方で後背板8と前背板9の稜部に係合して、差込片14が差込穴17から抜け止めされる。
【0021】
そして、連結状態において、下段側陳列箱に重量のある商品を収納して吊り下げても、その荷重が作用する後背板8と前背板9の稜部が裂けにくく、安定した状態で商品を陳列することができ、また、3個以上の多数個連結して商品を陳列することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】この発明に係る陳列箱のブランクを示す図
【図2】同上の組立過程を示す斜視図
【図3】同上の組立状態を示す斜視図
【図4】同上の連結状態を前方から示す斜視図
【図5】同上の連結部分を後方から示す拡大斜視図
【図6】従来の陳列箱の連結状態を後方から示す斜視図
【符号の説明】
【0023】
1 本体
2 仕切体
3 周壁
4 前面板
5 側面板
6 背壁
7 継代片
8 後背板
9 前背板
10,11 底面板
12 前重板
13 底重板
14 差込片
15 頭部
16 段部
17 差込穴
18 紐穴
19 吊紐
21 中頂板
22 仕切板
23 底敷板
24 背当板
25 背折板
26 差込穴
27 差込片
28 前折板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
周壁3の後部から背壁6を上方へ延長し、背壁6の下部及び上部に連結用の係合部を切込により設け、上下に複数個配列して連結し、吊下状態で商品を陳列できるようにした陳列箱において、前記背壁6を、上端で繋がった後背板8と前背板9とが重なり合う構造とし、後背板8の下部及び上部に、連結用係合部として下向きの差込片14及び下広がりの差込穴17をそれぞれ設け、差込片14の頭部15を両側に張り出させて、その上縁に段部16を形成し、差込穴17の入口幅を差込片14の頭部15の最大幅よりも狭く設定したことを特徴とする連結式陳列箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−337411(P2006−337411A)
【公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−158411(P2005−158411)
【出願日】平成17年5月31日(2005.5.31)
【出願人】(000115980)レンゴー株式会社 (502)
【Fターム(参考)】