説明

連結椅子

【課題】連結椅子の連結材を脚部材の先端部へ固定する際の部品点数を減らすとともに作業工数を低減させることにある。
【解決手段】複数の椅子21と、それらの椅子を相互に連結する連結材22と、その連結材22を支持する脚部材25と、を具える連結椅子3において、前記脚部材25の先端部に一端部を掛止されるとともに他端部を前記脚部材25の先端部にボルト28で締着されて、前記脚部材25の前記先端部との間に前記連結材22を挟持固定するブラケット26を具えることを特徴とするものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、脚部材によって支持された連結材で相互に連結された複数の椅子を有する連結椅子に関し、特には、その連結椅子の脚部材への連結材の固定構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
脚部材によって支持された連結材で相互に連結された複数の椅子を有する連結椅子としては従来、例えば本願出願人が先に特許文献1にて開示した移動観覧席に用いられているものが知られ、この移動観覧席は、図12にその中間の二段について示すように、複数段の床台1と、各床台1を水平状態で移動可能に支持する脚部2と、連結材で相互に連結された複数の座起立型椅子を有して各床台1上に起倒可能に装着された連結椅子3とを具えており、各床台1は、連結椅子3の左右方向に水平に延在する貫材4と、その貫材4の長手方向に間隔が空いた複数の部位に後端部をそれぞれ結合されてその貫材4から連結椅子3の前方向へ水平に突出する複数本の腕材5と、それら複数本の腕材5上に張り渡された床材6とを有し、脚部2は、貫材4の長手方向に間隔が空いた複数の部位に上端部をそれぞれ結合されてその貫材4から下方に延在する複数本の支柱7と、それらの支柱7の下端部に後端部付近をそれぞれ結合されて腕材5と平行に延在する複数本の脚材8と、それらの脚材8の前端部および後端部にそれぞれ設けられた複数個の移動用ローラー9とを有するとともに、高い方の段では支柱7の後面側にその支柱7の補強のための傾斜ブレース10を有している。
【0003】
そしてこの移動観覧席においては、上記複数本の支柱7の長さが床台1毎に床台1間の段差分ずつ異なるとともに、複数本の支柱7の上端部が結合される貫材4の部位の間隔が床台1毎に少しずつ異なることで、複数段の床台1が、互いに階段状にずれる進出位置と、互いに上下方向に整列する後退位置との間で水平状態のまま移動することができ、その後退位置に移動させる際は、連結椅子3を前方に倒して床材6間に収納する。
【0004】
このような移動観覧席において、連結椅子3を起倒可能に床台1上に装着する際には、従来は例えば特許文献2にて開示されているように、床台1上にブラケットで支持されて床台1の左右方向へ延在する支持軸を断面コ字状すなわち樋状の脚部材の基部に貫通させて、その支持軸で脚部材を床台1の前後方向へ揺動可能に支持し、その脚部材の先端に固着された断面略L字状の受けブラケット上に、連結椅子3の複数の座起立型椅子を相互に連結する角パイプ状の連結材を配置し、その連結材の上に断面略逆L字状の挟みブラケットを被せて、それら受けブラケットと挟みブラケットとの間に連結椅子3の連結材を配置し、それらのブラケットの両端部同士をそれぞれ、脚部材の両側に2本ずつ位置する合計4本のボルトで締め付けることで、それら受けブラケットと挟みブラケットとの間に連結椅子3の連結材を挟持固定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3903354号
【特許文献2】特開2000−204777号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、本願発明者は上記従来の連結椅子についてさらに研究を進めたところ、以下の如き改良の余地を見出した。すなわち、上記従来の連結椅子3の、連結材を脚部材に固定する固定構造は、2つのブラケットを脚部材の両側に位置する4本のボルトで締め付ける必要があるため、部品点数が多くなるとともに作業工数が嵩むという不都合があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、上記従来の連結椅子の課題を有利に解決するものであり、この発明の連結椅子は、複数の椅子と、それらの椅子を相互に連結する連結材と、その連結材を支持する脚部材と、を具える連結椅子において、前記脚部材の先端部に一端部を掛止されるとともに他端部を前記脚部材の先端部にボルトで締着されて、前記脚部材の前記先端部との間に前記連結材を挟持固定するブラケットを具えることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
この発明の連結椅子にあっては、複数の椅子を相互に連結する連結材が、脚部材の先端部にブラケットの一端部を掛止するとともにその脚部材の先端部にブラケットの他端部をボルトで締着することで、その脚部材の先端部とブラケットとの間に挟持固定され、これによって連結椅子の複数の椅子が脚部材により支持される。
【0009】
従って、この発明の連結椅子によれば、連結材を脚部材の先端部へ固定する際に、脚部材の先端部へのブラケットの一端部の掛止と他端部のボルト締着とで済むので、ブラケットが1つで済み、ブラケットの端部を締着するボルトの本数も1〜2本で済んで、部品点数を減らせるとともに作業工数も低減させることができる。
【0010】
なお、この発明の連結椅子においては、前記脚部材は、樋状の部材からなるとともに前記樋状における底部が低い方の段側になるように先端部を階段状に形成されており、前記脚部材の階段状の先端部の低い方の段の角部には、前記ブラケットの前記一端部を掛止する掛止部が形成され、前記脚部材の階段状の先端部の高い方の段には、前記ブラケットの前記他端部を締着するためのボルト孔またはボルトが設けられていても良い。
【0011】
このようにすれば、脚部材の階段状の先端部の低い方の段にブラケットの一端部を掛止した後、その低い方の段に連結椅子の連結材を乗せ、次いでブラケットを連結材に被せてから、ブラケットの他端部を、脚部材の階段状の先端部の高い方の段に設けられたボルト孔またはボルトを用いてその先端部に締着するという簡易な作業工程で、連結椅子の連結材を脚部材の先端部に固定することができる。
【0012】
しかも、脚部材の階段状の先端部の、樋の底部に近いため剛性が高い、低い方の段の角部にブラケットの一端部を掛止するので、脚部材の先端部への連結材の固定強度を高めることができる。
【0013】
また、この発明の連結椅子においては、前記脚部材は、樋状の部材からなるとともに前記樋状における底部が低い方の段側になるように先端部を階段状に形成されており、前記脚部材の階段状の先端部の低い方の段の角部には、前記ブラケットの前記他端部を締着するためのボルト孔またはボルトが設けられ、前記脚部材の階段状の先端部の高い方の段には、前記ブラケットの前記一端部を掛止する掛止部材が装着されていても良い。
【0014】
このようにすれば、脚部材の階段状の先端部の高い方の段に装着された掛止部材にブラケットの一端部を掛止した後、その脚部材の先端部の低い方の段に連結椅子の連結材を乗せ、次いでブラケットを連結材に被せてから、ブラケットの他端部を、脚部材の階段状の先端部の低い方の段に設けられたボルト孔またはボルトを用いてその先端部に締着するという簡易な作業工程で、連結椅子の連結材を脚部材の先端部に固定することができる。
【0015】
しかも、階段状の先端部の高い方の段の配置およびそこへの掛止部材の配置を適宜設定できるので、ブラケットの掛止部を脚部材の階段状の先端部の低い方の段に設ける場合よりも脚部材の先端部に対する連結材の固定位置の設定の自由度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】この発明の連結椅子の一実施例を具える移動観覧席をその複数段の床台が互いに階段状にずれた進出位置にある状態で示す側面図である。
【図2】上記実施例の連結椅子を具える移動観覧席をその複数段の床台が互いに上下方向に整列した後退位置にある状態で示す側面図である。
【図3】上記実施例の連結椅子を具える移動観覧席の全体を、椅子を省略して示す背面図である。
【図4】(a),(b)は、上記実施例の連結椅子の連結材を脚部材の先端部に固定する構造を示す正面図および側面図である。
【図5】(a)〜(d)は、上記実施例の連結椅子における脚部材を示す平面図、正面図、側面図および背面図である。
【図6】(a),(b),(c)は、上記実施例の連結椅子における挟みブラケットを示す平面図、正面図および側面図である。
【図7】(a)は、上記実施例の連結椅子における脚ブラケットを、そこに脚部材を組み付けた状態で示す正面図、(b)は、上記脚ブラケットを、そこに脚部材および挟みブラケットを組みつけて連結材を挟持させた状態で示す側面図、(c)は、上記脚ブラケットに組み付けた脚部材に連結材を挟持させる方法を示す側面図、(d)は、上記脚ブラケットに組み付けた脚部材および挟みブラケットを、連結材を挟持させて倒した状態で示す側面図である。
【図8】(a),(b)は、この発明の連結椅子の他の一実施例における連結材を脚部材の先端部に固定する構造を示す正面図および側面図である。
【図9】(a)〜(d)は、上記実施例の連結椅子における脚部材を示す平面図、正面図、側面図および背面図である。
【図10】(a),(b),(c)は、上記実施例の連結椅子における挟みブラケットを示す平面図、正面図および側面図である。
【図11】(a)は、上記実施例の連結椅子における脚ブラケットを、そこに脚部材を組み付けた状態で示す正面図、(b)は、上記脚ブラケットを、そこに脚部材および挟みブラケットを組みつけて連結材を挟持させた状態で示す側面図、(c)は、上記脚ブラケットに組み付けた脚部材に連結材を挟持させる方法を示す側面図、(d)は、上記脚ブラケットに組み付けた脚部材および挟みブラケットを、連結材を挟持させて倒した状態で示す側面図である。
【図12】従来の連結椅子を具える移動観覧席の中間の二段の構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づく実施例によって詳細に説明する。ここに、図1は、この発明の連結椅子の一実施例を具える移動観覧席をその複数段の床台が互いに階段状にずれた進出位置にある状態で示す側面図、図2は、上記実施例の連結椅子を具える移動観覧席をその複数段の床台が互いに上下方向に整列した後退位置にある状態で示す側面図、図3は、上記実施例の連結椅子を具える移動観覧席の全体を、椅子を省略して示す背面図である。
【0018】
この実施例の連結椅子3を具える移動観覧席も、図12に示す従来の連結椅子を具える移動観覧席と同様、複数段の床台1と、各床台1を水平状態で移動可能に支持する脚部2と、連結材で相互に連結された複数の座起立型椅子21を有して各床台1上に起倒可能に装着された連結椅子3とを具えており、各床台1は、連結椅子3の左右方向に水平に延在する貫材4と、その貫材4の長手方向に間隔が空いた複数の部位に後端部をそれぞれ結合されてその貫材4から連結椅子3の前方向へ水平に突出する複数本の腕材5と、それら複数本の腕材5上に張り渡された床材6とを有し、脚部2は、貫材4の長手方向に間隔が空いた複数の部位に上端部をそれぞれ結合されてその貫材4から下方に延在する複数本の支柱7と、それらの支柱7の下端部に後端部付近をそれぞれ結合されて腕材5と平行に延在する複数本の脚材8と、それらの脚材8の前端部および後端部にそれぞれ設けられた複数個の移動用ローラー9とを有するとともに、3段目から5段目までの高い方の段では支柱7の後面側にその支柱7の補強のための傾斜ブレース10を有している。
【0019】
そしてこの実施例の連結椅子3を具える移動観覧席においても、図3に示すように、上記複数本の支柱7の長さが床台1毎に床台1間の段差分ずつ異なって、床台1が低くなるにつれて支柱7の長さが短くなるとともに、複数本の支柱7の上端部が結合される貫材4の部位の間隔が床台1毎に少しずつ異なって、床台1が低くなるにつれて支柱7の間隔が短くなることで、複数段の床台1が、図1に示す、互いに階段状にずれる進出位置と、図2に示す、互いに上下方向に整列する後退位置との間で水平状態のまま移動できる。
【0020】
そして最上段の床台1の脚材8の両外側には、床面F上に固設された二本のガイドレール11とそれぞれ当接する小さなガイドローラーが設けられていて、それらのガイドローラーとガイドレール11との当接による案内により、各床台1は所定方向へ進退移動することができ、図2に示すように、後退位置に移動させる際は、各連結椅子3を前方に倒して床材6間に収納する。なお、ここでの貫材4は、通路用貫材と座席用貫材とを分けて上下に設けている。
【0021】
しかしてこの実施例の連結椅子3では、図4に示すように、各連結椅子3を構成する複数の座起立型椅子21が、角パイプ状の連結材22で互いに連結されており、この連結椅子3を起倒可能に各床台1上に装着する際には、床台1上に断面略ハット状の脚ブラケット23で支持されて床台1の左右方向へ延在する支持軸24を、断面略コ字状すなわち略樋状の脚部材25の基部に貫通させて、その支持軸24で脚部材25を床台1の前後方向へ揺動可能に支持し、その脚部材25の先端上に上記角パイプ状の連結材22を配置し、その連結材の上に断面略逆L字状の挟みブラケット26を被せて、それら脚部材25の先端と挟みブラケット26との間に連結材22を介装し、その挟みブラケット26の一端部を脚部材25の先端部に掛止するとともに、その挟みブラケット26の他端部を脚部材25の先端部にボルトで締着することで、上記角パイプ状の連結材22をその脚部材25の先端と挟みブラケット26との間に挟持固定している。
【0022】
図5(a)〜(d)は、この実施例の連結椅子3における脚部材25を示す平面図、正面図、側面図および背面図であり、ここにおける脚部材25は、1枚の鋼板を折曲して形成した略樋状(断面コ字状)の部材からなるとともに先端部を2段の階段状に形成され、その樋状における底部の先端部が両側部から切り離されて、その底部の側に位置する1段目25aの先端面と、2段目25bの壁面および先端面とになるように折曲されるとともに、両側部に溶接されており、この底部の先端部には、脚部材25の正面から1段目25aの先端面に至るT字状の孔と、2段目25bの先端面に位置する丸孔とが明けられ、これにより脚部材25の先端部の1段目25aの角部には、上記樋状における底部の先端部のT字状の孔の両側部によって、挟みブラケット26の一端部を掛止する掛止部25cが形成され、またその2段目25bには、上記丸孔によって、挟みブラケット26の他端部を締着するためのボルト孔25dが形成されている。
【0023】
さらに、脚部材25の基部の両側部には、支持軸24を挿通される貫通孔25eが形成され、また脚部材25の基部と先端部との間の中間部の両側部には、駆動軸27を挿通される貫通孔25fが形成され、その貫通孔25fの近くには、図5では省略しているが後述するストッパーボルトと当接する当接部25gが設けられている。
【0024】
図6(a),(b),(c)は、この実施例の連結椅子3における挟みブラケット26を示す平面図、正面図および側面図であり、ここにおける挟みブラケット26は、1枚の鋼板を折曲して形成した略逆L字状の部材からなるとともに、その一端部(図6(b),(c)では下端部)に逆T字状の掛合部26aを形成され、またその他端部(図6(a)では上端部)に丸孔状のボルト孔26bを形成されており、掛合部26aは、図6(c)に示すように、隣接する他の部分に対し内側にオフセットしている。
【0025】
図7(a)は、この実施例の連結椅子3における脚ブラケット23を、そこに脚部材25を組み付けた状態で示す正面図、図7(b)は、上記脚ブラケット23を、そこに脚部材25および挟みブラケット26を組みつけて連結材22を挟持させた状態で示す側面図、図7(c)は、上記脚ブラケット23に組み付けた脚部材25に連結材22を挟持させる方法を示す側面図、そして図7(d)は、上記脚ブラケット23に組み付けた脚部材25および挟みブラケット26を、連結材22を挟持させて倒した状態で示す側面図である。
【0026】
図7に示すように、ここにおける脚ブラケット23は、1枚の鋼板を折曲して形成した断面略ハット状の部材からなるとともに一端部の両側部に支持軸24を挿通されて支持する貫通孔23aを形成され、また上記一端部の両側部に駆動軸27と当接しないための逃げ部を形成され、その逃げ部に隣接する一側部にストッパーボルト23bを突出長さ調節可能に水平に設けられている。さらにこの脚ブラケット23内には、駆動軸27に一端部を連結された図示しないリンクと、そのリンクの他端部を進退駆動する図示しないクランクと、そのクランクを回動させる図示しない歯車組とが収容されて、その歯車組の図示しない入力軸が脚ブラケット23の両側面から突出している。
【0027】
脚部材25は、この脚ブラケット23の貫通孔23aに挿通された支持軸24を介してその基部を脚ブラケット23に、図7(b)および(d)に示すように起立位置と倒れ位置との間で揺動可能に支持され、図7(c)に示すようにその起立位置に位置する脚部材25の先端部の1段目25aのT字状の孔内に挟みブラケット26の掛合部26aを挿入してその挟みブラケット26の掛合部26aを1段目25aの角部の掛止部25cに内側から掛合させてから、連結材22をその1段目25aの先端面と2段目25bの壁面とに当接させて脚部材25の先端部に搭載し、次いで図7(b)に示すように挟みブラケット26を図では時計方向へ約90度回転させて、挟みブラケット26のボルト孔26bと脚部材25の先端部の2段目25cのボルト孔25dとを整列させ、それらのボルト孔26b,25dに挿通したボルト28をナット29で締着することで、脚部材25の先端部に連結材22を挟持固定する。
【0028】
かかる脚ブラケット23を、図4に示すように、床台1上に例えば図示しないボルトで固定することにより、連結椅子3を、図4(b)中実線で示す起立した使用位置と、図4(b)中仮想線で示す前に倒れた収納位置との間で揺動可能に支持することができ、その連結椅子3の使用位置と収納位置との間での揺動は、各脚ブラケット23に突設されて互いに連結された上記歯車組の入力軸を図示しないモータで駆動することで、床台1の展開時および収納時に自動的に行うことができる。
【0029】
この実施例の連結椅子3を具える移動観覧席にあっては、複数の座起立式椅子21を相互に連結する連結材22が、各床台1上に起倒可能に基部を支持された脚部材25の先端部に挟みブラケット26の一端部を掛止するとともにその脚部材25の先端部に挟みブラケット26の他端部をボルト28で締着することで、その脚部材25の先端部と挟みブラケット26との間に挟持固定され、これによって、複数段の床台1が図1に示すように互いに階段状にずれる進出位置にある際には連結椅子3が起こされて着座可能とされ、また複数段の床台1がその進出位置から図2に示すように互いに上下方向に整列する後退位置へ移動する際には連結椅子3が倒されて床台1間に収容される。
【0030】
従って、この実施例の連結椅子3によれば、連結椅子3の連結材22を脚部材25の先端部へ固定する際に、脚部材25の先端部への挟みブラケット26の一端部の掛止と他端部のボルト締着とで済むので、ブラケットが1つで済み、挟みブラケット26の端部を締着するボルト28の本数も1本で済んで、部品点数を減らせるとともに作業工数も低減させることができる。
【0031】
さらに、この実施例の連結椅子3によれば、脚部材25は、樋状の部材からなるとともにその樋状における底部が低い方の段である1段目25a側になるように先端部を階段状に形成されており、脚部材25の階段状の先端部の1段目25aの角部には、挟みブラケット26の一端部にある掛合部26aを掛止する掛止部25cが形成され、脚部材25の階段状の先端部の2段目には、挟みブラケット26の他端部を締着するためのボルト孔25dが設けられているので、脚部材25の階段状の先端部の1段目に挟みブラケット26の一端部を掛止した後、その1段目に連結材22を乗せ、次いで挟みブラケット26を連結材22に被せてから、挟みブラケット26の他端部を、脚部材25の階段状の先端部の2段目に設けられたボルト孔25dを用いてボルト28とナット29でその先端部に締着するという簡易な作業工程で、連結材22を脚部材25の先端部に固定することができる。
【0032】
しかも、脚部材25の階段状の先端部の、樋の底部に近いため剛性が高い1段目の角部に挟みブラケット26の掛合部26aを掛止するので、脚部材25の先端部への連結材22の固定強度を高めることができる。
【0033】
図8(a),(b)は、この発明の連結椅子の他の一実施例における連結材を脚部材の先端部に固定する構造を示す正面図および側面図であり、この実施例の連結椅子3は、角パイプ状の連結材22を脚部材25と挟みブラケット26とで挟持する構造のみが先の実施例と異なっており、他の点では先の実施例と同様に構成されている。
【0034】
すなわちこの実施例の連結椅子3でも先の実施例と同様、図8に示すように、各連結椅子3を構成する複数の座起立型椅子21が、角パイプ状の連結材22で互いに連結されており、この連結椅子3を起倒可能に各床台1上に装着する際には、床台1上に断面略ハット状の脚ブラケット23で支持されて床台1の左右方向へ延在する支持軸24を、断面略コ字状すなわち略樋状の脚部材25の基部に貫通させて、その支持軸24で脚部材25を床台1の前後方向へ揺動可能に支持し、その脚部材25の先端上に上記角パイプ状の連結材22を配置し、その連結材の上に断面略逆L字状の挟みブラケット26を被せて、それら脚部材25の先端と挟みブラケット26との間に連結材22を介装し、その挟みブラケット26の一端部を脚部材25の先端部に掛止するとともに、その挟みブラケット26の他端部を脚部材25の先端部にボルトで締着することで、上記角パイプ状の連結材22をその脚部材25の先端と挟みブラケット26との間に挟持固定している。
【0035】
図9(a)〜(d)は、この実施例の連結椅子3における脚部材25を示す平面図、正面図、側面図および背面図であり、ここにおける脚部材25は、1枚の鋼板を折曲して形成した略樋状(断面コ字状)の部材からなるとともに先端部を2段の階段状に形成され、その樋状における底部の先端部が両側部から切り離されて、その底部の側に位置する1段目25aの傾斜した角部となるように折曲されるとともに、両側部に溶接されており、この底部の先端部には丸孔が明けられ、これにより脚部材25の先端部の1段目25aの角部には、挟みブラケット26の一端部を締着するためのボルト孔25dが形成され、そのボルト孔25dの裏側にはナット29が溶接されている。また脚部材25の先端部の2段目25bの両側部の間には、挟みブラケット26の他端部を掛止する掛止部材としての掛止ピン30が設けられている。
【0036】
さらに、脚部材25の基部の両側部には、支持軸24を挿通される貫通孔25eが形成され、また脚部材25の基部と先端部との間の中間部の両側部には、駆動軸27を挿通される貫通孔25fが形成され、その貫通孔25fの近くには、図9では省略しているが後述するストッパーボルトと当接する当接部25gが設けられている。
【0037】
図10(a),(b),(c)は、この実施例の連結椅子3における挟みブラケット26を示す平面図、正面図および側面図であり、ここにおける挟みブラケット26は、1枚の鋼板を折曲して形成した略逆L字状の部材からなるとともに、その一端部(図10(a)では上端部)に断面略U字状の掛合部26aを形成され、またその他端部(図10(b),(c)では下端部)に丸孔状のボルト孔26bを形成されており、その他端部は、図10(c)に示すように、隣接する他の部分に対し外側に傾斜している。
【0038】
図11(a)は、この実施例の連結椅子3における脚ブラケット23を、そこに脚部材25を組み付けた状態で示す正面図、図11(b)は、上記脚ブラケット23を、そこに脚部材25および挟みブラケット26を組みつけて連結材22を挟持させた状態で示す側面図、図11(c)は、上記脚ブラケット23に組み付けた脚部材25に連結材22を挟持させる方法を示す側面図、そして図11(d)は、上記脚ブラケット23に組み付けた脚部材25および挟みブラケット26を、連結材22を挟持させて倒した状態で示す側面図である。
【0039】
図11に示すように、ここにおける脚ブラケット23も、1枚の鋼板を折曲して形成した断面略ハット状の部材からなるとともに一端部の両側部に支持軸24を挿通されて支持する貫通孔23aを形成され、また上記一端部の両側部に駆動軸27と当接しないための逃げ部を形成され、その逃げ部に隣接する一側部にストッパーボルト23bを突出長さ調節可能に水平に設けられている。さらにこの脚ブラケット23内には、駆動軸27に一端部を連結された図示しないリンクと、そのリンクの他端部を進退駆動する図示しないクランクと、そのクランクを回動させる図示しない歯車組とが収容されて、その歯車組の図示しない入力軸が脚ブラケット23の両側面から突出している。
【0040】
脚部材25は、この脚ブラケット23の貫通孔23aに挿通された支持軸24を介してその基部を脚ブラケット23に、図11(b)および(d)に示すように起立位置と倒れ位置との間で揺動可能に支持され、図11(c)に示すようにその起立位置に位置する脚部材25の先端部の2段目25bの掛合ピン30に挟みブラケット26の掛合部26aを引掛けてその挟みブラケット26の掛合部26aを2段目25bの先端部に掛合させてから、連結材22を1段目25aの先端面と2段目25bの壁面とに当接させて脚部材25の先端部に搭載し、次いで図11(b)に示すように挟みブラケット26を図では反時計方向へ約90度回転させて、挟みブラケット26のボルト孔26bと脚部材25の先端部の1段目25aのボルト孔25dとを整列させ、それらのボルト孔26b,25dに挿通したボルト28をナット29で締着することで、脚部材25の先端部に連結材22を挟持固定する。
【0041】
かかる脚ブラケット23を、図8に示すように、床台1上に例えば図示しないボルトで固定することにより、連結椅子3を、図8(b)中実線で示す起立した使用位置と、図8(b)中仮想線で示す前に倒れた収納位置との間で揺動可能に支持することができ、その連結椅子3の使用位置と収納位置との間での揺動は、各脚ブラケット23に突設されて互いに連結された上記歯車組の入力軸を図示しないモータで駆動することで、床台1の展開時および収納時に自動的に行うことができる。
【0042】
そしてこの実施例の連結椅子3によっても、先の実施例と同様、連結材22を脚部材25の先端部へ固定する際に、脚部材25の先端部への挟みブラケット26の一端部の掛止と他端部のボルト締着とで済むので、ブラケットが1つで済み、挟みブラケット26の端部を締着するボルト28の本数も1本で済んで、部品点数を減らせるとともに作業工数も低減させることができる。
【0043】
さらに、この実施例の連結椅子3によれば、脚部材25は、樋状の部材からなるとともにその樋状における底部が低い方の段である1段目25a側になるように先端部を階段状に形成されており、脚部材25の階段状の先端部の1段目25aの角部には、挟みブラケット26の他端部を締着するためのボルト孔25dが設けられ、脚部材25の階段状の先端部の2段目には、挟みブラケット26の一端部を掛止する掛止ピン30が装着されているので、脚部材25の階段状の先端部の2段目に装着された掛止ピン30に挟みブラケット26の一端部を掛止した後、その脚部材25の先端部の1段目に連結椅子3の連結材22を乗せ、次いで挟みブラケット26を連結材22に被せてから、挟みブラケット26の他端部を、脚部材25の階段状の先端部の1段目に設けられたボルト孔25dを用いてその先端部に締着するという簡易な作業工程で、連結椅子3の連結材22を脚部材25の先端部に固定することができる。
【0044】
しかも、脚部材25の階段状の先端部の2段目の配置およびそこへの掛止ピン30の配置を適宜設定できるので、挟みブラケット26の掛止部26aを脚部材25の階段状の先端部の1段目25aに設ける場合よりも脚部材25の先端部に対する連結材22の固定位置の設定の自由度を高めることができ、図示例では、挟みブラケット26の掛止部26aを脚部材25の階段状の先端部の1段目25aに設ける場合よりも脚部材25の先端部に対する連結材22の固定位置を後方に設定している。
【0045】
以上、図示例に基づき説明したが、この発明は上述の例に限定されるものでなく、特許請求の範囲の記載範囲内で適宜変更し得るものであり、例えば、上記実施例の椅子を設けた移動観覧席では貫材4を座席用貫材と通路用貫材とを分けて設けたが、貫材4は座席用と通路用とで共通のものとしても良い。また、上記例の連結椅子3は何れも、移動観覧席の展開収納時にモータで自動的に起倒させるように構成したが、連結椅子3を手作業で起倒させるようにしても良く、その場合に、起立位置で脚部材25を解放可能に掛止するロック機構を設けても良い。
【0046】
さらに、脚部材25の先端部にボルト孔25dを設ける代りにボルトを突設し、挟みブラケット26のボルト孔26bを長孔あるいは切り欠きとしても良く、あるいは、脚部材25の先端部のボルト孔25d自体に雌ねじを形成しても良い。また、上記例では何れも挟みブラケット26の端部を脚部材25の先端部に締着するボルト28の本数を1本としたが、所要に応じてこれを2本としても良い。
【0047】
そして、上記例の連結椅子3は、移動観覧席の各床台1上に起倒可能に設置したが、この発明の連結椅子は、脚部材を自立させる足部材を設けて移動観覧席の床台上に載置するようにしても良く、あるいはそれを移動観覧席以外の場所で用いても良く、それらの場合に連結材で相互に連結される複数の椅子は、座起立式のものでなくても良い。
【産業上の利用可能性】
【0048】
かくしてこの発明の連結椅子によれば、連結材を脚部材の先端部へ固定する際に、脚部材の先端部へのブラケットの一端部の掛止と他端部のボルト締着とで済むので、ブラケットが1つで済み、ブラケットの端部を締着するボルトの本数も1〜2本で済んで、部品点数を減らせるとともに作業工数も低減させることができる。
【符号の説明】
【0049】
1 床台
2 脚部
3 連結椅子
4 貫材
4A 座席用貫材
4B 通路用貫材
5 腕材
5A 座席用腕材
5B 通路用腕材
6 床材
6A 座席用床材
6B 通路用床材
6C 見切り材
7 支柱
8 脚材
9 移動用ローラー
10 傾斜ブレース
11 ガイドレール
12 ブラケット
13 腕材取付け金具
14 ストッパーボルト
15 腕材支持ローラー
16 補助ステップ
21 座起立型椅子
22 連結材
23 脚ブラケット
23a 貫通孔
23b ストッパーボルト
24 支持軸
25 脚部材
25a 1段目
25b 2段目
25c 掛止部
25d ボルト孔
25e 貫通孔
25f 貫通孔
25g 当接部
26 挟みブラケット
26a 掛合部
26b ボルト孔
27 駆動軸
28 ボルト
29 ナット
30 掛止ピン
F 床面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の椅子(21)と、
それらの椅子を相互に連結する連結材(22)と、
その連結材(22)を支持する脚部材(25)と、
を具える連結椅子(3)において、
前記脚部材(25)の先端部に一端部を掛止されるとともに他端部を前記脚部材(25)の先端部にボルト(28)で締着されて、前記脚部材(25)の前記先端部との間に前記連結材(22)を挟持固定するブラケット(26)を具えることを特徴とする、連結椅子。
【請求項2】
前記脚部材(25)は、樋状の部材からなるとともに前記樋状における底部が低い方の段側になるように先端部を階段状に形成されており、
前記脚部材(25)の階段状の先端部の低い方の段の角部には、前記ブラケット(26)の前記一端部を掛止する掛止部が形成され、
前記脚部材(25)の階段状の先端部の高い方の段には、前記ブラケット(26)の前記他端部を締着するためのボルト孔またはボルトが設けられていることを特徴とする、請求項1記載の連結椅子。
【請求項3】
前記脚部材(25)は、樋状の部材からなるとともに前記樋状における底部が低い方の段側になるように先端部を階段状に形成されており、
前記脚部材(25)の階段状の先端部の低い方の段の角部には、前記ブラケット(26)の前記他端部を締着するためのボルト孔またはボルトが設けられ、
前記脚部材(25)の階段状の先端部の高い方の段には、前記ブラケット(26)の前記一端部を掛止する掛止部材が装着されていることを特徴とする、請求項1記載の連結椅子。
【請求項4】
前記脚部材(25)は、一枚の板材が折曲されて形成されたものであることを特徴とする、請求項1から3までの何れか1項記載の連結椅子。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate