説明

連結管及びこれを用いた湯水混合栓の取付け構造

【課題】構成のシンプル化と施工の容易化とを図ることのできる連結管及びこれを用いた湯水混合栓の取付け構造を提供すること。
【解決手段】湯水混合栓1に設けられた二つの接続口10に各々接続される二つの偏心管3と、壁W内に配置された一次側配管4に一端側が連結されると共に、他端側からは、湯水混合栓1に接続される偏心管3の上流部13が回動自在に連結される二つの連結管2とを用いて、湯水混合栓1を二つの一次側配管4に連結するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、湯水混合栓の取付けに用いられる連結管及びこれを用いた湯水混合栓の取付け構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、壁内に配置された一次側配管に偏心管を介して湯水混合栓を連結する場合、偏心管の上流部に形成された雄ねじ部にシールテープを巻き付けた後、この雄ねじ部を一次側配管の先端に設けられた雌ねじ部にねじ込むことが一般的に行われている。このねじ込みは、ねじ込み深さが十分な水密性を得られるレベルに達し、かつ、偏心管に接続された湯水混合栓が水平となるように偏心管が適切な方向を向いている状態になれば完了することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−159138号公報
【特許文献2】特開2006−132207号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記ねじ込みを行う際に、偏心管の方向を調整するために偏心管のねじ戻し(ねじ込みの逆となる操作)を少しでも行うと、シールテープが水密状態を損なうように変形して漏水を引き起こしてしまう恐れがある。従って、ねじ戻しをすることなく、方向を微調整しながら偏心管を慎重にねじ込まなければならないこの施工は、特に未習熟な者にとっては難しく、シールテープの巻き直しをも含めた施工のやり直しを余儀なくされることが多い。
【0005】
また、特許文献1,2に記載の偏心管では、上記のような微調整を必要としないが、機構が複雑で施工方法が特殊であり、施工が十分に容易とは言い難い。
【0006】
本発明は上述の事柄に留意してなされたもので、その目的は、構成のシンプル化と施工の容易化とを図ることのできる連結管及びこれを用いた湯水混合栓の取付け構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係る連結管は、壁内に配置された一次側配管に一端側が連結されると共に、他端側からは、湯水混合栓に接続される偏心管の上流部が回動自在に連結される(請求項1)。
【0008】
一方、上記目的を達成するために、本発明に係る湯水混合栓の取付け構造は、湯水混合栓に設けられた二つの接続口に各々接続される二つの偏心管と、各偏心管に連結される請求項1に記載の連結管とを備えた(請求項2)。
【発明の効果】
【0009】
本願発明では、構成のシンプル化と施工の容易化とを図ることのできる連結管及びこれを用いた湯水混合栓の取付け構造が得られる。
【0010】
すなわち、本願発明の連結管を用いて湯水混合栓を取り付けるようにすれば、その取付け方法の各工程はいずれも簡易となり、従って、熟練を要さず、初心者でも湯水混合栓を容易かつ好適に取り付けることができるようになる。
【0011】
また、連結管の構成はシンプルにすることができ、偏心管についても、その上流部を連結管に回動可能に連結することができるように構成しさえすれば、他の部位には公知の構成を採用可能である。従って、本願発明の湯水混合栓の取付け構造は全体としてシンプル化を図ることができるものとなる。
【0012】
さらに、本願発明の湯水混合栓の取付け構造は、種々の構成を有する湯水混合栓を取付けの対象とすることができ、汎用性の点でも優れている。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施の形態に係る連結管を用いた湯水混合栓の取付け構造の構成を概略的に示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら以下に説明する。
【0015】
図1に示すように、本実施の形態に係る湯水混合栓1は、連結管2及び偏心管3を介して、壁W内に配置された二つの一次側配管4に連結される。ここで、二つの一次側配管4の一方(図1では左側)は湯供給管、他方(図1では右側)は水供給管である。
【0016】
湯水混合栓1は、水栓本体5の中央部に吐水管6及びシャワーホース7が接続され、水栓本体5から両者6,7に導出する湯水の温度及び流量は、水栓本体5の左右に設けられた温度調整ハンドル8及び流量調整ハンドル9によってそれぞれ調整可能となっている。
【0017】
そして、水栓本体5の背面の左右に設けられた接続口10にそれぞれ偏心管3の下流部11が接続される。ここで、偏心管3の下流部11は袋ナットにより構成され、接続口10は袋ナットの雌ねじ部が螺合する雄ねじ部(図示していない)を有する。
【0018】
一方、連結管2は、一端側に設けられた上流部12が一次側配管4にねじ込まれて螺合連結される。すなわち、上流部12には雄ねじ部が設けられ、一次側配管4の先端には上流部12が螺合する雌ねじ部が設けられている。
【0019】
また、連結管2には、その他端側から偏心管3の上流部13が回動自在に連結される。すなわち、連結管2は他端側に簡易着脱機構を有する継手14を備えている。この継手14は、内筒15と、この内筒15と同心円状に配置され、先端の内径が他の部位よりも大であり、内筒15の軸方向に摺動可能であると共に図示していない弾性部材により内筒15の先端向きに付勢されている外筒16と、内筒15に形成された複数(例えば四つ)の貫通孔の各々に外側から嵌装され貫通孔を通り抜けることのできない大きさを有する小球17とを有する。
【0020】
継手14は、摺動する外筒16の位置に応じてロック状態とフリー状態とに切り換わる。すなわち、外筒16がその摺動可能範囲において内筒15の先端に最も近い位置にあるときは、外筒16の先端以外の部位が各小球17を押圧し、各小球17の一部は貫通孔を抜けて内筒15の内側に突出した状態に保たれるロック状態となる。また、外筒16に対する付勢に抗して外筒16を摺動させ、外筒16の先端が各小球17を外側から覆うようにすると、外筒16の先端の内径は大となっており、各小球17は貫通孔内に退避可能なフリー状態となる。尚、このフリー状態でも、各小球17が貫通孔から外れてしまうことは外筒16の先端によって防止される。
【0021】
これに対して、偏心管3の上流部13には環状溝18が設けられ、継手14がロック状態にあるときの各小球17は環状溝18に係合可能であり、しかもこの係合が行われている状態で、偏心管3は内筒15の軸回りに回動可能となっている。また、継手14がフリー状態にあるときは前記係合が解除され、継手14に対する偏心管3の上流部13の挿抜が可能となる。
【0022】
尚、図1において、19は座金であり、連結管2の上流部12に装着されている。
【0023】
次に、湯水混合栓の取付け方法について説明する。
【0024】
(1)まず、二つある一次側配管4にそれぞれ連結管2の上流部12を螺合連結する。
【0025】
(2)次に、各連結管2の継手14に偏心管3の上流部13を連結する。すなわち、フリー状態にした継手14に偏心管3の上流部13を挿入した後、継手14をロック状態にして、上流部13の環状溝18に継手14の各小球17が係合した状態とする。
【0026】
(3)続いて、二つある偏心管3の下流部11をそれぞれ、湯水混合栓1の水栓本体5の接続口10に接続し、この接続は、下流部11が接続口10に対して軸回りに回動可能となる程度に留める。
【0027】
(4)最後に、二つの偏心管3を連結管2の内筒15の軸回りに回動させて、湯水混合栓1が水平となるように二つの偏心管3の向きを調整し、この調整後に各偏心管3の下流部11(袋ナット)を締め付け、下流部11が接続口10に回動不能に固定された状態とする。
【0028】
上記(1)〜(4)の各工程は何れも簡易であり、従って、本実施形態の湯水混合栓1の取付け方法は、熟練を要さず、初心者でも湯水混合栓1を容易かつ好適に取り付けることができるようになる。
【0029】
また、連結管2の構成はシンプルであり、偏心管3についても、上流部13を連結管2に回動可能に連結することができるように構成してあれば、他の部位には公知の構成を採用可能である。従って、本実施形態の湯水混合栓1の取付け構造は全体としてシンプル化を図ることができるものとなる。
【0030】
さらに、本実施形態の湯水混合栓の取付け構造は、種々の構成を有する湯水混合栓を取付けの対象とすることができ、汎用性の点でも優れている。
【0031】
なお、本発明は、上記の実施の形態に何ら限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々に変形して実施し得ることは勿論である。例えば、以下のような変形例を挙げることができる。
【0032】
連結管2の上流部12の螺合連結の相手方となる一次側配管4の先端の雌ねじ部は、一次側配管4の先端に一体成形された雌ねじ部であってもよいし、一次側配管4の先端に接続されたザルボと称される筒状の接続部材が有する雌ねじ部であってもよい。
【0033】
継手14には、上述した構成以外の他の簡易着脱機構やワンタッチカプラ式の構造を採用可能である。また、継手14に、偏心管3の上流部13が連結されると開弁し、この連結が解除されると閉弁する安全弁を内蔵してもよい。
【0034】
湯水混合栓1の取付け方法の工程(1)〜(4)のうち、(1)〜(3)の順は適宜に変更可能であり、(1)、(3)、(2)、(4)の順で行う、(2)、(1)、(3)、(4)の順に行う、(1)と(3)を同時に行った後、(2)、(4)をこの順で行う、といったことが可能である。
【0035】
なお、上記変形例どうしを適宜組み合わせてもよいことはいうまでもない。
【符号の説明】
【0036】
1 湯水混合栓
2 連結管
3 偏心管
4 一次側配管
5 水栓本体
6 吐水管
7 シャワーホース
8 温度調整ハンドル
9 流量調整ハンドル
10 接続口
11 偏心管の下流部
12 連結管の上流部
13 偏心管の上流部
14 継手
15 内筒
16 外筒
17 小球
18 環状溝
19 座金
W 壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁内に配置された一次側配管に一端側が連結されると共に、他端側からは、湯水混合栓に接続される偏心管の上流部が回動自在に連結される連結管。
【請求項2】
湯水混合栓に設けられた二つの接続口に各々接続される二つの偏心管と、各偏心管に連結される請求項1に記載の連結管とを備えた湯水混合栓の取付け構造。


【図1】
image rotate


【公開番号】特開2013−57180(P2013−57180A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−195093(P2011−195093)
【出願日】平成23年9月7日(2011.9.7)
【出願人】(000144072)株式会社三栄水栓製作所 (111)
【Fターム(参考)】