説明

連続インクジェットプリンタのための洗浄システム

【課題】ノズル及び捕捉器を洗浄するためのシステムを有するインクジェットプリンタを提供する。
【解決手段】連続インクジェットプリンタのための洗浄システムは、供給口(42)を通ってプリントヘッド(12)の前面(34)上に溶媒を運ぶために溶媒供給源(44)に接続した第1の溶媒供給導管(40)を含む。第2の溶媒供給導管(71)は、供給口を通って捕捉器(20)の表面上に溶媒を運ぶために溶媒供給源(44)に接続されている。プリントヘッド(12)及び捕捉器(20)に供給された溶媒は、真空下で除去され、インク供給システム(30)に戻される。洗浄システムは、上述の前面上に配置された上述の溶媒をインクが印刷のために上述のオリフィスを通って流れる方向とは逆にこのオリフィスに流入させるオリフィス目詰まり除去機構を含むことができる。洗浄システムはまた、洗浄中にプリントヘッドに応力波を発生させるための圧電素子を含むことができる。圧電素子は、離間した液滴の流れをノズルから発生させるために、ノズルにおいてインク流れに摂動を作り出すのに印刷中に同じく用いられる圧電結晶発振器を含むことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、全体的にはインクジェットプリンタのためのプリントヘッドに関し、より詳細には、ノズル及び捕捉器を洗浄するためのシステムを有するインクジェットプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の連続インクジェットプリンタは、一般的に直線配列に配置された1つ又は複数のオリフィス(ノズル)を有する液滴発生器へ加圧下で導電インクを供給する。インクは、フィラメントの形態で各オリフィスから吐出し、続いて液滴の流れに分かれる。流れ中の個々の液滴は、フィラメントから分かれた領域で選択的に荷電され、これらの荷電された液滴は、次に静電場によって望ましい方向に偏向される。偏向された液滴は、印刷受容媒体に進むことができるが、非偏向液滴は、溝又は捕捉器に捕らわれて再循環される。
【0003】
プリンタがある一定の期間にわたって停止された後に、オリフィスの周りのインクは乾き上がり、多くの場合にオリフィスへの外側開口部を部分的に詰まらせ、かつ完全に目詰まりさせることもある。更に、1日中又は週末のような長い停止期間中に、乾いたインクは、インクの種類によりオリフィス又はオリフィスに取り付けた通路内に塊を形成する場合がある。
【0004】
一般的に、プリントヘッド洗浄システム及び方法は、ノズル又は液滴発生器に限定されている。しかし、インク堆積物及び残留物はまた、例えば捕捉器の周りに蓄積する。インク液滴は、多くの場合に捕捉器上又は内に沈殿する。インク堆積物及び残留物は、これらの構成要素上に蓄積するので、構成要素及びその間の導管の目詰まりのために、又は蓄積残留物とインク液滴の間の干渉のために印刷品質が阻害される。すなわち、これらの構成要素を通るインク及び他の流体の再利用率は、堆積物及び残留物の蓄積が増加すると減少する。多くの場合に、インクジェットプリンタは、操作者が手作業でこれらの構成要素を洗浄するために完全に停止され、それによってプリンタの使用を不可能にする。
【0005】
すなわち、インクジェットプリンタのプリントヘッドの様々な構成要素をより有効に洗浄するためのシステム及び方法に対する必要性が存在する。全体として、インクジェットプリンタのプリントヘッドを洗浄する効率的なシステム及び方法に対する必要性が存在する。
【0006】
【特許文献1】米国特許第6,575,556号
【発明の開示】
【0007】
本発明の実施形態によれば、連続インクジェットプリンタのための洗浄システムが提供される。プリンタは、インクがリザーバからプリントヘッドへ流れるインク流動システムを有する。インクは、基体の表面に液滴を印加することによって画像が形成される基体に向けて、プリントヘッドから一連の個別の液滴で噴出される。基体に付加されない液滴は、捕捉器内に集められ、再利用のためにインク流動システムへの帰還ラインを通じて再循環される。プリントヘッドは、前面及びこの前面を通って延びる少なくとも1つのオリフィスを含む。洗浄システムは、供給口を通ってプリントヘッドの前面上へ溶媒を運ぶために溶媒供給源に接続した第1の溶媒供給導管を含む。第2の溶媒供給導管は、供給口を通って捕捉器の表面上へ溶媒を運ぶために溶媒供給源に接続されている。
【0008】
洗浄システムは、上述の前面上に配置された上述の溶媒をインクが印刷のために上述のオリフィスを通って流れる方向とは逆にこのオリフィス内に流入させるオリフィス目詰まり除去機構を含むことができる。一実施形態によれば、プリンタは、このオリフィスにインクを供給するための主導管を更に含み、オリフィス目詰まり除去機構は、負圧を印加して前面からオリフィスを通って真空導管内に溶媒を吸引することができるように主導管に接続した真空導管を含む。逆止弁は、真空導管に配置することができ、この逆止弁は、この真空導管を通って第1の方向に溶媒を吸引させるために開き、反対方向にこの導管を通る逆流を防ぐために閉じるようになっている。逆止弁は、好ましくは、始動又は停止時に起こる小さな漏れを防ぐか又は最小限にすることが見出されているゴム製ダックビル弁として作られる。
【0009】
洗浄システムはまた、洗浄中にプリントヘッドに応力波を発生させるための圧電素子を含むことができる。圧電素子は、離間した液滴の流れをノズルから発生させるためにノズルでインク流れに摂動を作り出すために印刷中に同じく用いられる圧電結晶発振器を含むことができる。
【0010】
別の実施形態は、インクが、基体の表面に液滴を印加することによって画像が形成される基体に向けて一連の個別の液滴でインクが噴出されるプリントヘッドにリザーバから流れるようになっており、かつ基体に付加されない液滴が、捕捉器内に集められて再利用のためにインク流動システムへの帰還ラインを通じて再循環され、プリントヘッドが、前面及びこの前面を通って延びる少なくとも1つのオリフィスを含み、オリフィスが、インクを噴出するためのノズルを形成する、インク流動システムを有する種類の連続インクジェットプリンタを洗浄する方法に関する。洗浄方法は、オリフィスに隣接する前面に沿って溶媒が移動するように溶媒供給導管を通ってプリントヘッドの前面に溶媒を流す段階と、プリントヘッドの前面からこの溶媒を除去するために前面から排水導管内に溶媒を吸引する段階と、捕捉器の表面上へ直接に溶媒を流す段階と、捕捉器から帰還ラインを通して溶媒を吸引する段階とを含む。本方法はまた、インクが印刷のためにオリフィスを通って流れる方向とは逆にプリントヘッドの前面上に配置された溶媒をオリフィスに流入させる段階を含むことができる。本方法はまた、プリントヘッド内の乾燥したインクを緩めるために洗浄中にプリントヘッドに応力波を発生させる段階を含むことができる。
【0011】
別の実施形態は、印刷サイクル中に基体に向って液滴流を放出するためのオリフィスを呈する前面を備えたプリントヘッドを有する種類の連続インクジェットプリンタを洗浄する方法に関する。洗浄方法は、このオリフィスに隣接するこの前面に沿って溶媒が移動するようにプリントヘッドの前面に溶媒を供給する段階と、プリントヘッド内の乾燥したインクを緩めるために洗浄処理中にプリントヘッドに応力波を発生させる段階とを含む。
【0012】
別の実施形態は、前面とこの前面を通って延びる少なくとも1つのオリフィスとを含むプリントヘッドを有する連続インクジェットプリンタのための洗浄システムに関する。洗浄システムは、オリフィスに隣接するプリントヘッドの前面に溶媒を供給するための導管を含む。インクをオリフィスに供給するために、主インク導管が設けられる。負圧を印加して前面からオリフィスを通って真空導管内に溶媒を吸引することができるように、真空導管が主導管に接続される。逆止弁は、真空導管に配置される。逆止弁は、真空導管を通って第1の方向に溶媒を吸引させるために開き、反対方向に導管を通る逆流を防ぐために閉じるようになっている。
【0013】
上述の要約、並びに本発明のいくつかの実施形態の以下の詳細説明は、添付図面と併せて読むと更に良く理解されるであろう。本発明を例示する目的のために、いくつかの実施形態を図面に示している。しかし、本発明は、添付図面に示す配置及び手段に限定されないことを理解すべきである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1は、本発明の実施形態による洗浄システムを組み込むプリンタを示している。プリンタは、液滴発生器12と、荷電電極14と、接地板16と、高圧偏向板18と、捕捉器20とを有するプリントヘッド10を含む。荷電電極14、接地板16、高圧偏向板18、及び捕捉器20は、液滴発生器12とプリントヘッド窓(図示せず)から遠隔に位置する基体21との間に位置決めされる。本明細書においてその全内容が引用により組み込まれている「インクジェットプリンタのための自浄式プリントヘッド」という名称の米国特許第6,575,556号に示されて説明されているように、印刷中に、液滴発生器12は、主導管24からインクを受け取る。液滴発生器12によって受け取られたインクに対して選択振動数の振動エネルギを与えるために、圧電シリンダ26が主導管24の周りに結合されている。液滴流は、このようにして作り出され、荷電電極14によって選択的に荷電される。偏向板18と接地板16の間に形成された静電場は、捕捉器20の上のインクの荷電液滴を基体21上へ偏向する。偏向板18と接地板16の間を通る非荷電液滴は、偏向されず、帰還ライン31を通じてインクリザーバ30内にインクを再循環させて戻すために真空で支援された捕捉器20内に直接通される。
【0015】
液滴発生器12は、前面34を有する外側ハウジング又は本体32を有する。前面34は、’556特許に説明されているように溶媒可溶性のほぼ平面的な表面を含むことができる。この表面は、溶媒の粘性が低い時に溶媒を広げて薄膜として溶媒を維持するために溶媒可溶性である。溶媒可溶性材料は、例えば、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)とすることができる。この用途のためには、溶媒可溶性表面は、溶媒がその上で広がる傾向があるものであるが、溶媒不溶性表面は、溶媒がその上で玉になる傾向があるものである。
【0016】
オリフィス36は、インク流れを放出するために主導管24の端部で前面34を通って延びている。液滴発生器12はまた、一端がオリフィス36の近くの前面34上の供給口42で終端する溶媒供給導管40を有する。溶媒供給導管40の反対端は、溶媒供給システム44に接続される。’556特許に説明されているように、溶媒が供給口42から流れる時の溶媒に対する圧力を軽減することにより、供給口42で薄膜を形成する加圧溶媒に影響を与えるために、細い隙間又は孔を有する流量制限器(図示せず)を溶媒供給導管40内に位置決めすることができる。
【0017】
溶媒供給口42の位置からオリフィス36の反対側で、排水口48は、溶媒帰還システム52に接続した排水導管50と連通している。排水口48は、供給口42よりも大きくすることができる。排水導管50は、真空下にある(例えば、約10インチ水銀)。溶媒54が、供給口40から出てオリフィス36の上を通って排水口48内に流れることは、’556特許に説明されている。
【0018】
図2を参照すると、溶媒供給システム44は、溶媒補給容器62から導管64を通って液滴発生器12の供給導管へ洗浄液又は溶媒を流すポンプ60を含む。導管64は、溶媒供給システム44において接続した代替的な流量制限器66と共に示されている。代替的な流量制限器66は、液滴発生器12における溶媒供給導管40内に配置された流量制限器の代わりに用いることができる。流量制限器66は、溶媒供給圧の調節によって溶媒の流量を制御するために設けられる。液滴発生器12への溶媒の流量を制御するために、導管64と供給導管40の間に電磁作動弁のような弁68が相互接続される。同様に、電磁作動弁のような弁70が、溶媒供給導管40から捕捉器20への溶媒の流量を制御するために導管64と捕捉器供給ライン71の間に相互接続される。代替的に、捕捉器20及び液滴発生器12の両方への溶媒の流量を調節するために、単一の弁を用いることもできると考えられる。
【0019】
弁74は、ポンプ60に圧縮空気76を供給するために溶媒供給システム44に設けられる。ポンプ60は、プリントヘッド12及び捕捉器20へ溶媒を強制するか又は押し出すために圧縮空気76を用いる。しかし、圧縮空気を用いない他のポンプシステムを代わりに用いることができると考えられることは認められるであろう。
【0020】
溶媒帰還システム52は、インク圧調整器84に導管82を通って接続したインク圧電磁作動弁80(以後、単にインク圧ソレノイド80と呼ぶ)を有し、このインク圧調整器は、次に、導管88を通ってインク圧力タンク86に接続されている。インク圧力タンク86は、更に、導管90を通って主導管24に接続されている。ソレノイド80はまた、導管94を通って弁92と接続する。1つの方向において、弁92はまた、液滴発生器12において排水導管50と連結する導管96に接続する。別の方向において、弁92は、インクリザーバ30に対して開いた導管98に接続する。
【0021】
図1及び図2を参照すると、インクジェットプリンタが作動している時、インクは、移送ポンプ100によってリザーバ30から送り込まれ、インク圧力タンク86内で加圧され、次に、印刷のために導管90を通じて主導管24に供給される。インクは、導管82、インク圧調整器84、導管88、及びインク圧力タンク86内への圧縮空気を可能にするインク圧ソレノイド80を作動することによって加圧される。導管94内の圧縮空気は、インクリザーバ真空導管96からの導管96を閉鎖する空気作動弁92を閉じる。
【0022】
洗浄処理に対して(好ましくは、始動前、停止後、及び/又は保守運転中の)、主導管24に供給されたインクは、インク流れを止めるインク圧力タンク86を減圧するためにインク圧ソレノイド80の電源を切ることによって遮断される。ソレノイド80の電源を切ることはまた、弁92を開かせて、導管96を通ってインクリザーバ30(真空下)に導管50を接続させる。これは、液滴発生器12の前面34からの使用済み溶媒及び残りのインクをインクリザーバ30に入れることを可能にする。同様に、洗浄中に捕捉器20に供給された溶媒は、帰還ライン31を通ってリザーバ30内に吸引される。洗浄中にインクシステムに付加される溶媒の総量が比較的少ないので、インク組成制御は、洗浄作動によって実質的に影響を受けない。
【0023】
インク圧ソレノイド80の電源が切られると間もなく、弁74が作動される。これは、導管78を通って空気作動ポンプ60へ圧縮空気76を流すことを可能にする。弁68及び70は、ポンプ60から液滴発生器12及び捕捉器20への溶媒の流量を調節するために選択的に開かれる。導管64は、逆流又は還流を防止するために逆止弁102を含むことができる。溶媒供給システム44は、導管64から溶媒供給導管40を通って液滴発生器12内及び前面34上へ加圧下で溶媒を供給する。溶媒は、前面34上のオリフィス36に隣接する区域にわたって広がる。溶媒流れは、均一又は振動性とすることができる。溶媒流れの種類は、その供給圧機構によって決まることになる。例えば、異なるポンプ制限又はポンプ制御システムは、均一又は振動性流体圧力のいずれかを提供し、従って、均一又は振動性溶媒流れのいずれかを提供することができる。
【0024】
溶媒の流れは、前面34及びオリフィス36上の残留物、インク蓄積物、又はあらゆる他の粒子を溶解するが、溶媒は、排水口48内に吸引され、排水導管50を辿って溶媒帰還システム52に戻る。’556特許に説明されているように、排出管50からの適切な負圧又は真空は、重力とは無関係にあらゆるプリントヘッドの空間的な向きで溶媒流れを前面14上に維持し、溶媒がプリントヘッド12から落ちることを防ぐ。所定の洗浄時間の後、弁74は、電源が切られて圧縮空気76の流れは停止し、ポンプ60は止まり、それによって溶媒の流れが止まる。
【0025】
再度図1を参照すると、液滴発生器12にはまた、オリフィス36の直後で主導管24に一端で接続された真空導管110を設けることができる。真空導管110の他端は、真空下で導管112を通じてインクリザーバ30に接続されている。導管110が負圧又は真空を印加している洗浄処理中に、オリフィス36の上を流れる溶媒の一部は、印刷中のインク流れの方向と逆にオリフィス36を通って引き込まれる。溶媒は、次に、主導管24及び真空導管110内に引き込まれ、最後に導管112を通じてインクリザーバ30に戻る。溶媒流れのこの部分は、オリフィス36の内部、並びに主導管24の隣接部分を有効に洗浄する。前面34上の溶媒の残りの部分は、上述のように排水導管50に流入する。振動流を使用して、オリフィス36の内部の残留物を溶解するのを助けることができる。
【0026】
導管110には、エラストマー逆止弁114が設けられる。弁114は、オリフィス36からリザーバ30の方向への溶媒の流れを可能にするために開き、逆方向への流体流れを防止するために閉じる。逆止弁は、好ましくはダックビル弁の形態であり、ゴムのようなエラストマー材料で作ることができる。洗浄処理の終わりに逆流を防ぐことに加えて、弁114はまた、始動及び停止中のインク流れの抑制をもたらす。弁114によってもたらされた抑制は、始動及び停止中のインクの飛び散りを低減するのに有用である。具体的には、始動時に、ジッタ流動効果を引き起こす圧力の急速増加がある。それによって、始動中にインクの飛び散りを引き起こす可能性がある。インクの飛び散りは、プリントヘッドの部品上に沈殿し、凝固し、かつ経時的に蓄積する。インクのこれらの蓄積物は、インクジェットを妨害し又はそれと干渉する可能性がある。同様に、インクの飛び散りは、インク圧が直ちにゼロに落ちないので、停止中に起こる可能性がある。インクジェットが圧力を失うと、それは、バラバラになり、インクの飛び散りをもたらす可能性がある。エラストマーダックビル弁は、始動及び停止中のインクの流れを抑制し、それによってインクの飛び散りが起こる傾向を低減する。
【0027】
上述の洗浄手順中に、供給口42から出た溶媒の流れは、導管50及び110の間で分割される。導管50及び110を通る流量の比率は、これらの導管内の真空の量及びこれらの導管の幾何学的寸法に依存する。例えば、66ミクロン程度とすることができる比較的小さな直径のオリフィス36は、比較的少量の流量を導管110内に引き込ませ、大部分の溶媒は、面34を横切ってオリフィス36の周りで排水口48内に流れる。認められるように、流量比は、導管50及び110の一方又は両方の真空の量を変えることによって調節することができる。この比率は、これらのラインの一方又は両方の真空量を変えることによって最適化することができる。
【0028】
一実施形態のいくつかの態様により、圧電素子26が洗浄処理中に作動される。圧電素子26は、洗浄処理を助ける応力波を発生させる。応力波は、粒子を緩め、補給流量によるこれらの除去を容易にする。圧電素子26に印加された電圧及び周波数は、印刷中に用いられたものと同じとすることができる。例えば、30−75V及び66KHzである。代替的に、より効率的な洗浄のために、周波数掃引30−90KHzが印加される場合があると考えられる。
【0029】
図3を参照すると、ノズル内の圧電素子の設計及び位置は、有効な応力波の生成に寄与するものである。1つの現時点の好ましい実施形態によれば、圧電素子26のパラメータ間の比率は、Lt:OD:ID=2.0:1.4:1であり、ここで、Ltは、圧電チューブ長さであり、ODは、チューブ外径であり、IDは、チューブ内径である。
【0030】
望ましい応力波を発生させるために、圧電素子26並びにそれが結合される形態は、円筒形の形態を有するべきである。圧電素子26は、金属メッキされたセラミックチューブであり、外側部分は負電荷を有し、内側部分は正電荷を有する。正及び負のリードワイヤ140及び142は、圧電素子26の正及び負に荷電した部分144及び146に接続される。圧電チューブの円筒形の形態又はそれが取り付けられた形態を破壊することなく、正のリードワイヤ142を正に荷電した内側部分に取り付けるのは困難である。従って、正の部分144は、それが、正のリードワイヤ140のための接続ポイントを設けるためにチューブ(144aとして表された)の外側の小部分を覆うように拡張されている。この設計は、リードワイヤ140及び142の両方を圧電素子26の外側に取り付けることを可能にする。好ましくは、圧電素子26は、外径区域の負の部分が外径区域全体の少なくとも66%で残るように構成される。
【0031】
圧電素子26からオリフィスまでの距離は、好ましくは1.1OD未満に等しい。更に、ODの導電部分/端部は、好ましくはオリフィス36の方向に向けられている。これらのパラメータは、有効洗浄をもたらすことが見出されている。
【0032】
洗浄開始はまた、ある一定の順序付け及びタイミングによってもたらされる。詳細には、導管24を通る液滴発生器12内へのインクが可能にされた後に、空洞120は、インクで空洞120を満たすのに必要な期間にわたって真空状態に接続したままである。これは、空気がプリントヘッド12の内側に残されないことを保証するものである。このような空気は、そうでなければ印刷中にインク流れ内に引きこまれ、それによって流れの中に間隙を作り出し、正常な印刷作動を妨げると考えられるので、プリントヘッドから空気を排除することは有用である。
【0033】
液滴発生器12の設計はまた、プリンタの始動を清浄にするのに寄与している。より詳細には、インクをオリフィス36に送り出す導管24は、直線的であり、これは、始動及び停止中のインクの飛び散りを低減するのに有効であることが見出されている。バイパス導管110は、製造を容易にするために直角に主導管24に接続する第1の部分118を含む。1つの現時点の好ましい実施形態によれば、導管24及び118は、以下のように構成されている。
L/d=2.3
d=dC
ここで、Lは、オリフィスから導管24及び110間の相互接続部までの距離であり、dは、導管24の直径であり、dCは、導管110の直径である。
【0034】
この比率は、インクジェット及び洗浄の両方に有効であることが見出されている。
【0035】
以上説明したように、空洞120からの逆流は、逆止弁114によって防止される。エラストマー弁114は、圧力変動を受け入れ、停止及び始動中のインクの飛び散りを防止する。このような飛び散りは、接地板又は偏向板上に沈澱するので、たとえ小さな飛び散りの防止でも重要である。時間と共にこのようなインクの飛び散りは蓄積し、インクジェットを遮断し、従って、正常な印刷処理を妨げる可能性がある。
【0036】
図3に示すように、液滴発生器の本体32は、嵌合第1及び第2部分150及び152を含むことができる。管状圧電素子26は、第1の部分の内部上に形成された管状部材154の上に取り付けられる。管状部材154は、主導管24を形成する。逆止弁114は、区画120内に取り付けられ、第1及び第2部分150及び152間に挟まれる。
【0037】
本発明をいくつかの実施形態を参照して説明したが、本発明の範囲から逸脱することなく様々な変更を行うことができ、かつ均等物で置換することができることが当業者によって理解されるであろう。更に、特定の状況又は材料を本発明の教示に適応させるために、その範囲から逸脱することなく多くの修正を行うことができる。従って、本発明は、開示した特定的な実施形態に限定されず、本発明は、特許請求の範囲に属する全ての実施形態を含むことになるように意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】液滴発生器を断面で示す本発明の実施形態のインクジェットプリンタの構成要素の簡略側面図である。
【図2】本発明の実施形態によるインクジェットプリンタ内で溶媒を循環させるためのシステムの図である。
【図3】本発明の実施形態による液滴発生器の断面図である。
【符号の説明】
【0039】
12 プリントヘッド
20 捕捉器
30 インク供給システム
34 プリントヘッドの前面
40 第1の溶媒供給導管
42 供給口
44 溶媒供給源
71 第2の溶媒供給導管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インク流動システムを有する種類の連続インクジェットプリンタのための洗浄システムであって、該インク流動システムでは、基体(21)の表面に液滴を印加することによって画像が形成される該基体(21)に向けてインクが一連の個別の液滴で噴出されるプリントヘッド(12)に該インクがリザーバ(30)から流れるようになっており、かつ該基体(21)に付加されない液滴が捕捉器(20)に集められ、再利用のために帰還ライン(31)を通じて該インク流動システムに再循環され、該プリントヘッド(12)は、前面(34)及び該前面(34)を通って延びる少なくとも1つのオリフィス(36)を含み、該オリフィス(36)は、該インクを噴出するためのノズルを形成しており、
溶媒の供給源(62)と、
供給口(42)を通ってプリントヘッド(12)の前面(34)上に溶媒を運ぶために前記溶媒供給源(62)に接続した第1の溶媒供給導管(40)と、
供給口を通って捕捉器(20)の表面上に溶媒を運ぶために前記溶媒供給源(62)に接続した第2の溶媒供給導管(71)と、
を含むことを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記前面上に配置された前記溶媒をインクが印刷のために前記オリフィスを通って流れる方向とは逆に該オリフィスに流入させるオリフィス目詰まり除去機構を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の洗浄システム。
【請求項3】
前記プリンタは、前記オリフィスにインクを供給するための主導管を更に含み、
前記オリフィス目詰まり除去機構は、前記主導管に接続した真空導管を更に含み、そのために前記前面から前記オリフィスを通って該真空導管内に溶媒を吸引するために負圧を印加することができる、
ことを特徴とする請求項2に記載の洗浄システム。
【請求項4】
前記真空導管を通って第1の方向に溶媒を吸引させるために開き、該導管を通って反対方向に逆流するのを防ぐために閉じるようになった、該真空導管に配置された逆止弁を更に含むことを特徴とする請求項3に記載の洗浄システム。
【請求項5】
前記逆止弁は、エラストマー部材を含むことを特徴とする請求項4に記載の洗浄システム。
【請求項6】
洗浄中に前記プリントヘッドに応力波を発生させるための圧電素子を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の洗浄システム。
【請求項7】
前記圧電素子は、離間した液滴の流れを前記ノズルから発生させるために該ノズルにおいて前記インクの流れに摂動を作り出すのに印刷中に同じく用いられる圧電結晶発振器を含むことを特徴とする請求項6に記載の洗浄システム。
【請求項8】
前記プリントヘッドの前記前面から溶媒を吸引するための排水導管を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の洗浄システム。
【請求項9】
インク流動システムを有する種類の連続インクジェットプリンタを洗浄する方法であって、該インク流動システムでは、基体(21)の表面に液滴を印加することによって画像が形成される該基体(21)に向けてインクが一連の個別の液滴で噴出されるプリントヘッド(12)に該インクがリザーバ(30)から流れるようになっており、かつ該基体(21)に付加されない液滴が捕捉器(20)に集められ、再利用のために帰還ライン(31)を通じて該インク流動システムに再循環され、該プリントヘッド(12)は、前面(34)及び該前面(34)を通って延びる少なくとも1つのオリフィス(36)を有しており、
溶媒をプリントヘッド(12)の前面(34)まで溶媒供給導管(40)を通して該溶媒がオリフィス(36)に隣接する該前面(34)に沿って移動するように流す段階と、
前記溶媒を前記プリントヘッド(12)の前記前面(34)から除去するために、該溶媒を該前面(34)から排水導管(50)内に吸引する段階と、
前記捕捉器(20)の表面上に溶媒を直接に流す段階と、
前記溶媒を前記捕捉器(20)から帰還ライン(31)を通して吸引する段階と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項10】
前記プリントヘッドの前記前面上に配置された前記溶媒をインクが印刷のために前記オリフィスを通って流れる方向とは逆に該オリフィス内に流す段階を更に含むことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
洗浄処理中に前記プリントヘッドに応力波を発生させる段階を更に含むことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項12】
洗浄中に前記プリントヘッドの圧電素子を作動する段階を更に含むことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項13】
印刷サイクル中に基体(21)に向けて液滴流を放出するためのオリフィス(36)を呈する前面(34)を備えたプリントヘッド(12)を有する種類の連続インクジェットプリンタを洗浄する方法であって、
溶媒をプリントヘッド(12)の前面(34)に該溶媒がオリフィス(36)に隣接する該前面(34)に沿って移動するように供給する段階と、
前記プリントヘッド(12)における乾燥したインクを緩めるために、洗浄処理中に該プリントヘッド(12)に応力波を発生させる段階と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項14】
応力波を発生させる前記段階は、洗浄中に前記プリントヘッドの圧電素子を作動させる段階を含むことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記プリンタは、前記基体に付加されない液滴を集めるための捕捉器を更に含み、
前記捕捉器の表面上に溶媒を直接に流す段階と、
前記溶媒を前記捕捉器から帰還ラインを通して吸引する段階と、
を更に含むことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記プリントヘッドの前記前面上に配置された前記溶媒をインクが印刷のために前記オリフィスを通って流れる方向とは逆に該オリフィス内に流す段階を更に含むことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項17】
マーク付けされる基体(21)にインクを向ける、インクジェットプリンタのための自浄式プリントヘッド(10)であって、
印刷サイクル中に基体(21)に向けて液滴流を放出するためのオリフィス(36)を含む前面(34)を有する液滴発生器(12)と、
前記印刷サイクル中に前記液滴流におけるインク液滴を選択的に荷電するための荷電電極(14)と、
前記印刷サイクル中に前記基体(21)に向けてインクの荷電液滴を偏向させるために静電場が間に形成される偏向板(18)及びチャンネルが形成された接地板(16)と、
前記印刷サイクル中にインクの非荷電液滴を受け取るための捕捉器(20)と、
洗浄サイクル中に前記液滴発生器(12)の前記前面(34)に対して及び前記捕捉器(20)に対して溶媒を直接に供給する溶媒供給システム(44)と、
を含むことを特徴とするプリントヘッド(10)。
【請求項18】
マーク付けされる基体(21)にインクを向ける、インクジェットプリンタのための自浄式プリントヘッド(10)であって、
印刷サイクル中に基体(21)に向けて液滴流を放出するためのオリフィス(36)を有する液滴発生器(12)、
を含み、
前記液滴発生器(12)は、圧電素子(26)を含み、該圧電素子は、該液滴発生器(12)に応力波を発生させるように洗浄サイクルに作動可能であり、かつ離間した液滴の流れを前記オリフィス(36)から発生させるために該オリフィス(36)においてインクの流れに摂動を作り出すように印刷サイクル中に作動可能であり、
洗浄処理中に前記液滴発生器(12)の少なくとも一部分を洗浄するために該液滴発生器(12)に溶媒を供給する溶媒供給システム(44)、
を更に含み、
前記溶媒は、前記補給流体が前記液滴発生器(12)の上を流れる時に該液滴発生器(12)からインク残留物を除去するように調製されている、
ことを特徴とするプリントヘッド(10)。
【請求項19】
前記溶媒供給システムは、前記オリフィスに隣接する前記液滴発生器の外部表面に溶媒を供給することを特徴とする請求項18に記載のプリントヘッド。
【請求項20】
前記プリントヘッドは、更に、前記印刷サイクル中に非荷電インク液滴を捕捉するための捕捉器を含み、
前記溶媒供給システムは、更に、前記洗浄処理中に前記捕捉器の表面に溶媒を直接に供給する、
ことを特徴とする請求項18に記載のプリントヘッド。
【請求項21】
前面(34)と該前面(34)を通って延びる少なくとも1つのオリフィス(36)とを含むプリントヘッド(12)を有する、連続インクジェットプリンタのための洗浄システムであって、
オリフィス(36)に隣接するプリントヘッド(12)の前面(34)に溶媒を供給するための導管(40)と、
前記オリフィス(36)にインクを供給するための主インク導管(24)と、
真空導管(110)と、
を含み、
前記真空導管(110)は、前記前面(34)から前記オリフィス(36)を通って該真空導管(110)内に溶媒を吸引するために負圧を印加することができるように前記主導管(24)に接続しており、
前記真空導管(110)を通って第1の方向に溶媒を吸引させるために開き、かつ該導管(110)を通って反対方向に逆流するのを防ぐために閉じるようになった、該真空導管(110)に配置された逆止弁(114)、
を更に含むことを特徴とするシステム。
【請求項22】
前記逆止弁は、エラストマー逆止弁を含むことを特徴とする請求項21に記載の洗浄システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2007−529338(P2007−529338A)
【公表日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−503273(P2007−503273)
【出願日】平成17年3月15日(2005.3.15)
【国際出願番号】PCT/EP2005/002750
【国際公開番号】WO2005/090084
【国際公開日】平成17年9月29日(2005.9.29)
【出願人】(502153385)ヴィデオジェット テクノロジーズ インコーポレイテッド (22)
【Fターム(参考)】