説明

連続式かん流バイオリアクタシステム

【課題】液体を収容並びに操作するシステム及び方法を提供する。
【解決手段】該システム及び方法は、容器及びユニット操作、細胞培養、細胞密閉、バイオリアクタ、及び/又は製薬システムの部品を含む。このような容器及びユニット操作は連続かん流リアクタもしくはバイオリアクタシステムを指し、バイオリアクタの形態の装置を有し、該バイオリアクタは、1以上の生成物を生成する細胞を回収する。装置は、使い捨て可能な折畳み式バッグを備え、該バッグは、液体を含有するのに用いられる。折畳み式バッグは、液個分離装置に連結されている。従って、分離装置内の液体から細胞を分離してから、細胞は、細胞を再び回収する折畳み式バッグへと戻される。一方、液体を含有する生成物は、別のコンテナで集められる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ある実施例において、液体を収容並びに操作するシステム並びに方法に関する。ある実施例においては、細胞培養、細胞格納、バイオリアクタ及び/又は医薬品製造システムに用いられる容器、単位操作及び部品に関する。ある実施例においては、本発明に係るシステム及び方法は、連続式かん流バイオリアクタに関する。
尚、本出願は、米国特許法第35巻第119条(e)の規定に基づき、米国仮特許出願第60/962,671号(出願日:2007年7月30日 発明の名称:「連続式かん流バイオリアクタシステム」)の優先権を主張するものである。当該米国仮特許出願は、本明細書に参照として組み込まれるものである。
【背景技術】
【0002】
液体操作用の様々な容器、装置、部品及び単位操作及び/又は化学的、生化学的及び/又は生物学的プロセスを実行する様々な容器、装置、部品及び単位操作が利用可能となっている。例えば、生物学的材料(例えば、動物細胞及び植物細胞(例えば、哺乳類の細胞、植物細胞或いは昆虫の細胞))及び微生物・細菌培養は、バイオリアクタを用いて行なわれる。
複雑な生物学的生成物(タンパク質など(例えば、モノクロナル抗体、ペプチド及びホルモン))は、発酵或いは細胞培養(バクテリア、イースト、昆虫或いは菌類)から一次回収並びに最終的には精製に至るまでの多数の工程を必要とする。
従来のバイオ技術による生成物の製法は、一般的に、バッチプロセス或いはフェドバッチプロセスを用いてなされる。これらプロセスにおいて、連続的な単位操作が実行され、その後、オフラインでの実験室分析が行なわれる。実験室分析は、工程中の様々な時点から採取された代表サンプルに対して実行され、質の保証を図っている。
【0003】
ある場合において、バッチ操作或いはフェドバッチ操作と比較して、連続的なバイオプロセスが実行され、効率の向上が図られている。この効率の向上は、精製時間の損失の低減を図ること、設備変更並びに小型化、生産性の高い機械装置を用いることによりなされる。
特定のバイオリアクションの操作において、新鮮な細胞培地がバイオリアクタに連続的に供給され、バイオリアクタから排出される。尚、リアクタ内の培地体積は一定に保たれる。更に、バイオリアクタ内で細胞保存すること或いはバイオリアクタからの採取物流から細胞をリサイクルすることは、バイオリアクタから生成物を取り除く際に、細胞が失われないようにして行なわれる。バイオリアクタ内で高密度の細胞を保存することにより、バッチシステムと比較して、バイオリアクションにおける生成率の改善を図ることができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
化学物質製造システム、医薬品製造システム及びバイオリアクタシステムなどの製造システムは既知のものであるが、このようなシステムの改善は、様々な技術分野において有用なものである。特に、連続的なかん流を実行するために特別に設計された廃棄可能な部品を備えるシステムが有益であることを、本発明者は本発明に関連して認識している。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、ある実施例において、液体を収容並びに操作するシステム並びに方法に関する。ある実施例においては、細胞培養、細胞格納、バイオリアクタ及び/又は医薬品製造システムに用いられる容器、単位操作及び部品に関する。ある実施例においては、このような容器及び単位操作は、連続式かん流混合システム、化学反応システム或いはバイオリアクタシステムに用いられる。ある実施例において、本発明の対象は、関連する生成物、特定の問題を解決する代替手法及び/又は1若しくはそれ以上のシステム及び/又は物の複数の異なる使用法である。
【0006】
ある実施例において、一式のシステムが提供される。一実施例において、システムは第1装置を備える。
第1装置は、第1の折畳み式のバッグを備える。このバッグは、液体を収容するために用いられる。第1の折畳み式バッグは、少なくとも1つの入口、少なくとも1つの出口並びにベースプレートを備える。ベースプレートは、折畳み式バッグに固定されるとともに羽根車を支持する。
第1装置は更に、第1の再利用可能な支持構造部を備える。この支持構造部は、第1の折畳み式バッグを取り囲むとともに支持する。
システムは更に、第2装置を備える。第2装置は、第1装置に対して流体流通を行なうよう形成される。第2装置は、少なくとも1つの入口と少なくとも1つの出口を備える。第1の折畳み式バッグの出口は、第2装置の入口に対して流体流通を行なうよう形成される。また、第2装置の出口は、第1の折畳み式バッグの入口に対して流体流通を行なうよう形成される。
【0007】
他の実施例において、システムは、第1装置を備える。この第1装置は、運搬可能な構成部分(モジュール)として形成される。このモジュールは、第1の折畳み式バッグを備える。第1の折畳み式バッグは、液体を収容可能に形成される。更に、このモジュールは、第1の再利用可能な支持構造部を備え、この支持構造部は、折畳み式バッグを取り囲むとともに支持する。
システムは更に、第2装置を備える。この第2装置は、運搬可能な構成部分(モジュール)として形成される。第2装置は、第1装置に対して、流体流通を行なうよう形成される。
第2装置は、液体成分と固体成分を分離する装置を備える。第1装置と第2装置の間で流体流通が開始すると、各装置は、各装置間の接続を解除することなく相対的に他方に対して移動動作をする。
第1の折畳み式バッグは更に、ベースプレートを備える。ベースプレートは折畳み式バッグに固定されるとともに羽根車を支持するように形成される。必要に応じて、シャフトがベースプレートに接続する。ある実施例において、羽根車はベースプレートに接続する。例えば、羽根車は、磁気駆動される。或いは、羽根車は、直接的にシャフトを介して駆動力を受けるように形成される。
【0008】
他の実施例において、システムは、第1装置を備える。第1装置は、第1の折畳み式バッグを備える。折畳み式バッグは、液体を収容可能に形成される。第1の折畳み式バッグは、少なくとも1つの入口と少なくとも1つの出口を備える。
第1装置は更に、第1の再利用可能な支持構造部を備える。この支持構造部は、第1の折畳み式バッグを取り囲むとともに支持する。
第2装置は、第1装置に対して、流体流通を行なうよう形成される。第2装置は、第2の折畳み式バッグを備える。第2の折畳み式バッグは、液体を収容する。第2の折畳み式バッグは、少なくとも1つの入口と少なくとも1つの出口を備える。第2装置は更に、第2の再利用可能な支持構造部を備える。この支持構造部は、第2の折畳み式バッグを取り囲むとともに支持する。
第1の折畳み式バッグの出口は、第2の折畳み式バッグの入口に対して流体流通を行なう。また、第2の折畳み式バッグの出口は、第1の折畳み式バッグの入口に対して、流体流通を行なう。
第1の折畳み式バッグは更に、ベースプレートを備える。ベースプレートは、折畳み式バッグに固定されるとともに羽根車を支持可能に形成される。必要に応じてシャフトがベースプレートに接続する。ある実施例において、羽根車はベースプレートに接続する。羽根車は、磁気駆動される。或いは、羽根車は、直接的にシャフトを介して駆動力を受けるように形成される。
【0009】
他の実施例において、システムは第1装置を備える。第1装置は、第1の折畳み式バッグを備える。この折畳み式バッグは、液体を収容可能である。第1装置は更に、第1の再利用可能な支持構造部を備える。この支持構造部は、折畳み式バッグを取り囲むとともに支持する。
システムは更に、第2装置を備える。第2装置は、第1装置に対して、流体流通を行なう。第2装置は、遠心分離機を備える。遠心分離機は、液体成分と固体成分が混合された混合液から複数の粒子成分或いは固体物質を分離する。
【0010】
ある実施例において、一式の方法が提供される。
一の実施例において、方法は、第1の液体を第1の折畳み式バッグから装置に搬送する段階を備える。尚、第1の液体は、複数の粒子成分或いは固体物質を含有する。また装置は、液体成分と固体成分を分離する装置を備える。
第1の折畳み式バッグは、第1の再利用可能な支持構造部によって、支持される。この支持構造部は、第1の折畳み式バッグを取り囲むとともに支持する。
方法は更に、装置内で、複数の粒子成分或いは固体物質の少なくとも一部を第1の液体から分離する段階と、第2の液体を装置から第1の折畳み式バッグへ搬送する段階を備える。尚、第1の液体と第2の液体は、互いに異なる粒子成分濃度或いは固体物質濃度を有する。装置は、折畳み式バッグの外部或いは内部に配される。
【0011】
他の実施例において、方法は、連続的に第1の液体を折畳み式バッグに導入する段階を備える。折畳み式バッグは、羽根車を備える。第1の液体は、第1の粒子濃度或いは固体物質濃度を備える。折畳み式バッグは、再利用可能な支持構造部により支持される。支持構造部は、折畳み式バッグを取り囲むとともに支持する。
方法は、連続的に第2の液体を折畳み式バッグから回収する段階を備える。第2の液体は、第2の粒子濃度或いは固体物質濃度を備える。第1の粒子濃度或いは固体物質濃度は、第2の粒子濃度或いは固体物質濃度とは異なる。
折畳み式バッグの内部容積は、導入工程及び回収工程の間、略一定に保たれる。ある実施例において、第2の液体は、回収工程直後の折畳み式バッグ内に残存する液体と略同質である。折畳み式バッグから回収された第2の液体内の粒子濃度或いは固体物質濃度は、回収工程直後の折畳み式バッグ内に残存する液体内の粒子濃度或いは固体物質濃度に略等しい。
【0012】
他の実施例において、方法は、第1の液体を羽根車を備える折畳み式バッグに導入する段階を備える。第1の液体は、第1の粒子濃度或いは固体物質濃度を備える。折畳み式バッグは再利用可能な支持構造部により支持される。支持構造部は折畳み式バッグを取り囲むとともに支持する。
方法は更に、折畳み式バッグ内で第1の液体を羽根車を用いて混合する段階と、折畳み式バッグから第2の液体を回収する段階を備える。第2の液体は、第2の粒子濃度或いは固体物質濃度を有する。第1の粒子濃度或いは固体物質濃度は、第2の粒子濃度或いは固体物質濃度と相違する。第2の液体は、回収工程直後に折畳み式バッグ内に残存する液体と略同質であり、折畳み式バッグから回収される第2の液体の粒子或いは固体物質の濃度は、回収工程直後の折畳み式バッグ内に残存する粒子濃度或いは固体物質濃度に略等しい。方法は更に、折畳み式バッグから装置に向けて液体を流動させる段階と、装置から折畳み式バッグに向けて液体を流動させる段階を備える。
【0013】
本発明の他の有利な特徴並びに新規な特徴は、下記の詳細な説明から明らかになるが、添付の図面に関連して説明される本発明の様々な実施例に本発明の技術的範囲が制限されるものではない。本明細書及び参照として組み込まれる文献が相矛盾及び/又は不一致の開示内容であったとしても、本発明の明細書は、有効なものである。参照として組み込まれる2若しくはそれ以上の文献が互いに矛盾する開示及び/又は不一致な開示内容を含む場合には、最新の有効日を有する文献が有効なものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に、図を参照しつつ本発明の非限定的実施例が説明される。添付の図面は概略的なものであり、寸法通りに描かれたものではない。図中において、同一の要素或いは略同一の要素として描かれたものには、一般的に、同一の符号が付されている。明瞭性の観点から、全ての図面に対して、本発明の各実施例の全ての要素(当業者が理解するのに必要ではない要素)には符号は付されていない。
【0015】
本発明は、ある実施例において、液体を収容並びに操作するシステム並びに方法に関する。ある実施例において、本発明は、細胞培養、細胞格納、バイオリアクタ及び/又は医薬品製造システムに用いられる容器、単位操作及び部品に関する。ある実施例においては、このような容器及び単位操作は、連続式かん流混合システム、化学反応システム或いはバイオリアクタシステムに用いられ、1若しくはそれ以上の使い捨て可能な構成要素を備える。例えば、ある実施例において、本発明のシステムは、バイオリアクタの形態の装置を備える。バイオリアクタ内で細胞を育て、必要に応じて、細胞を採取可能である。細胞は、1若しくはそれ以上の生成物を作り出す。装置は、使い捨て可能な折畳み式のバッグを備える。バッグは液体を収容するとともに、液体成分と固体成分(例えば、細胞)を分離する装置に対して流体流通を行なう。例えば、折畳み式バッグの出口は、分離装置の入口に接続する。また分離装置の出口は、折畳み式バッグの入口に接続する。このような構造により、分離後の固体(例えば、細胞)を本発明のリアクタ/バイオリアクタに循環させることができる。したがって、ある実施例においては、分離装置内で液体から細胞を分離した後、一部の或いは全ての細胞が、折畳み式バッグに流し戻される。その間、液体内に含まれる生成物が別個のコンテナ内で回収される。このようなシステム内での生成物形成の効率は、本明細書に開示される混合システムを用いることにより向上する。
【0016】
有利な点として、反応器/バイオリアクタに接続する分離装置及び/又は他の装置が、1若しくはそれ以上の使い捨て可能な構成要素(例えば、折畳み式バッグ)を備える。流体操作システムの単一回の使用は、連続式かん流を実行する上での複雑性並びに高コストを緩和する。なぜなら、洗浄並びに蒸気殺菌の必要性がなくなるためである。したがって、配管の複雑性は低減され、使い捨て不能なステンレス鋼からなる特定のシステムと比較して、システムを素早く且つ低廉に構築することができる。
【0017】
下記の文献は、完全な形式で本明細書に参照として組み込まれる。
・国際特許出願PCT/US2008/001051(出願日:2008年1月25日 発明の名称:「Information Acquisition and Management Systems and Methods in Bioreactor Systems and Manufacturing Facilities」 出願人:Galliher他)
・米国特許出願US12/011,492(出願日:2008年1月25日 発明の名称:「Information Acquisition and Management Systems and Methods in Bioreactor Systems and Manufacturing Facilities」 出願人:Galliher他)
・国際特許出願PCT/US2008/001005(出願日:2008年1月25日 発明の名称:「Bag Wrinkle Remover, Leak Detection Systems and Electromagnetic Agitation for Liquid Containment Systems」 出願人:Galliher他)
・米国特許出願US12/011,493(出願日:2008年1月25日 発明の名称:「Bag Wrinkle Remover, Leak Detection Systems and Electromagnetic Agitation for Liquid Containment Systems」 出願人:Galliher他)
・米国仮特許出願US61/039,382(出願日:2008年3月25日 発明の名称:「Temperature Control System」 出願人:P.A. Mitchell他)
・米国特許出願US12/039,052(出願日:2008年2月28日 発明の名称:「Weight Measurements of Liquids in Flexible Containers」 出願人:P.A. Mitchell他)
・米国特許出願US11/879,033(出願日:2007年7月13日 発明の名称:「Environmental Containment Systems」 出願人:G. Hodge他)
・国際特許出願PCT/US2007/015954(出願日:2007年7月13日 発明の名称:「Environmental Containment Systems」 出願人:Galliher他)
・国際特許出願PCT/US2007/014050(出願日:2007年6月15日 発明の名称:「Gas Delivery Configurations, Foam Control Systems, and Bag Molding Methods and Articles for Collapsible Bag Vessels」 出願人:Fisher他)
・米国特許出願US11/818,901(出願日:2007年6月15日 発明の名称:「Gas Delivery Configurations, Foam Control Systems, and Bag Molding Methods and Articles for Collapsible Bag Vessels」 出願人:Fisher他)
・米国特許出願US11/147,124(出願日:2005年6月6日 発明の名称:「Disposable Bioreactor Systems and Methods」 出願人:G. Hodge他)(米国特許出願公開第2005/0272146号公報 公開日:2005年12月8日)
・国際特許出願PCT/US2005/020083(出願日:2005年6月6日 発明の名称:「Disposable Bioreactor Systems and Methods」 出願人:G. Hodge他)(国際公開WO2005/118771 公開日:2005年12月15日)
・米国特許出願US11/050,133(出願日:2005年2月3日 発明の名称:「System and Method for Manufacturing」 出願人:G. Hodge他)(米国特許出願公開第2005/0226794号公報 公開日:2005年10月13日)
・国際特許出願PCT/US2005/002985(出願日:2005年2月3日 発明の名称:「System and Method for Manufacturing」 出願人:G. Hodge他)(国際公開WO2005/076093号公報 公開日:2005年8月18日)
【0018】
本明細書において、説明の大半がバイオリアクタ(及び/又は、生物化学及び化学反応システム(例えば、液体収容容器)に関連した本発明の例示的な応用形態に関するものであるが、本発明並びに本発明の用途はこれに限定されるものではなく、本発明の特徴は、他の用途(封入システム、一般的には、容器(例えば、混合システム及び濾過システム)内に流体(例えば、液体或いは気体)を封入及び/又は処理するためのシステム)に関する用途に用いることができ、更には、生物学的、化学的及び/又は薬品製造工程(例えば、一次回収、濾過、クロマトグラフィシステム、細胞培養システム、顕微鏡及び/又は他の分析装置など)に用いることが可能である。本明細書に記載される多くの実施例において、折畳み式バッグ或いは可撓性コンテナを有する容器を使用するが、本発明の特徴は、折畳み式でないコンテナ或いは剛性のコンテナを備える容器並びに液体封入部を有する他の構造を有するものと一体化されたものも含む。
【0019】
本発明の一実施例において、流体を収容し、操作するシステムが提供される。図1の手順では、システム(10)が装置(14)を備え、該装置(14)が容器を備えることを示している。平易かつ簡潔な記載とするため、一般的に前後の文意にて制限しない限り、「容器」という用語は、容積測定用のコンテナを示す。該容積測定用のコンテナは、液体を収容するのに用いられたり、容積測定用のコンテナを支持する支持構造体として用いられたり、ユニット操作部品として用いられたり、あるいは他の装置もしくは他の装置の部品として用いられる。他の装置もしくは他の装置の部品は、細胞培養、細胞密閉、バイオリアクタ、化学製品の製造システム、医薬製品の製造システム、もしくは他の製造物の製造システムの少なくとも一部として形成されている。ユニット操作部品は、混合槽型バイオリアクタ、濾過システム、種培養による増殖システム (seed culture expansion systems)、初期回収システム、クロマトグラフィシステム、充填システム、密閉式の溶剤及びバッファ準備システム、そして浄水システム(例えば、注射用蒸留水(WFI)システム)を含むが、これらに限定されない。「容器」の簡便な用語は、上述のシステムもしくは他のシステムに該当する。
【0020】
いくつかの実施例において、装置(14)は1以上の使い捨て可能な部品を備える。詳細は下記に示すが、装置(14)はリアクタを備えることが例示される。該リアクタは、化学製品、生物学的製品、及び/又は医薬製品を製造する際に用いられる。そして、該製品は、使い捨て可能な折畳み式バッグの形態で生産され、該バッグは液体を収容するのに用いられる。折畳み式バッグは、再利用可能な構造の内表面に覆われていて、該形状により、折畳み式バッグは支持される。
【0021】
特定の実施例において、装置(14)は液体を備え、該液体は生存要素及び/又は非生存要素を備え、該要素として、微粒子物質及び固体が例示される(例えば、細胞、ビーズ、沈殿物、結晶等)。本明細書において、「固体」が液体内の物質あるいは液体によって運ばれることを意味する場合、「固体」は液体内では溶解しない、あるいは液体と混合され、混合溶液が形成される。固体は、必ずしも完全な固形物である必要はない。いくつかの実施例において、固体は、変形可能な個体を含み、該個体として、細胞、生物体、そしてゼラチン質の粒子などがあげられる。固体の大きさ及びその浮力、固体の表面性質、そして液体の熱力学特性に応じて、固体は安定した懸濁液(例えば、コロイド懸濁液)を形成するかどうか判断される。いくつかの実施例において、粒子及び固体を含む要素は、生物学的製品、化学製品、及び/又は医薬製品を製造する過程の一部で用いられ、該過程により1以上の製品が生成される、あるいは製品が構成される。例えば、装置(14)は、様々な固体を元に様々な製品を製造する際に用いられる。該固体とは、例えばバクテリア、昆虫細胞、菌類、哺乳類細胞、ヒト細胞、組織、酵母菌、原生動物、線虫、ウイルス、藻、そして植物細胞があげられる。昆虫、植物、魚そしてエビなどの高等生物もまた、固体を有し、該固体は1以上の製品を生成するのに用いられる。更なる固体の例は以下において詳細を述べる。非生存固体は装置内に収容されているが、該固体は、例えば、ビーズ(サイトデックスビーズ(cytodex beads))、沈殿物、そして生物学的結晶あるいは非生物学的性状の結晶を備える。
【0022】
装置(14)は、装置(18)と流体流通する構造を有し、該装置(18)は液体を収容する容器を備える。流体流通は、いくつかの実施例においては連続的に行われ、他の実施例においては周期的に行われる。いくつかの実施例では、液体は装置(14)から装置(18)へと移動し、該装置(18)では液体の操作が行われる。操作とは、例えば、混合、曝気処理、分離、濾過、反応発生、液体内の要素濃度の変更などを行うことを意味する。いくつかの実施例では、液体操作は液体の移動時に行われる。例えば、装置間を接続するチューブはフィルタを備え、該フィルタは、液体から固体を分離するのに用いられる。他の例において、液体操作は、液体が装置(18)内に収容されている間に行われる。例えば、装置(18)は分離装置(例えば、遠心分離機、中空糸カラム、あるいは他の適切な装置)を備え、該装置により、液体から要素が分離される。いくつかの例において、分離装置は、液固分離装置であり、該装置は微粒子物質をあるいは固体を液体から分離するのに用いられる。
【0023】
装置(14)と同様に、装置(18)は、いくつかの実施例において、1以上の使い捨て可能な部品を備える。該部品として、例えば、折畳み式バッグがあげられ、該バッグは液体を収容するのに用いられる。折畳み式バッグは、再利用可能な支持構造体を備えた内表面に覆われていて、該形状により、折畳み式バッグは支持される。例えば、ある特定の実施例において、装置(18)は遠心分離機の形態を有し、該遠心分離機は、使い捨て可能で、折畳み式のバッグを備え、該バッグには操作される液体が収納されている。
【0024】
ある特定の実施例において、使い捨て可能な部品及び再利用可能な支持構造体を有することは有利な点である。折畳み式バッグ内の液体は支持構造体と接触しないため、また支持構造体は洗浄することなく再利用することが可能である。つまり、流体操作あるいはその他の過程が、折畳み式バッグ内で行われてから、コンテナは支持構造体から回収され、2つ目のコンテナ(例えば、使い捨て可能なコンテナ)に取り替えられる。2回目の流体操作あるいは過程は、2つ目のコンテナで行われるが、この過程において、第1のコンテナあるいは再利用可能な支持構造体を洗浄する必要はない。
【0025】
他の実施例において、使い捨て可能なコンテナ以外の使い捨て可能な部品は装置と関連づけられている。例えば、本明細書において、使い捨て可能な濾過要素、センサ、サンプリング装置、ポンプ、バルブ、そして混合器が、装置と組み合わせて用いられる。
【0026】
いくつかの実施例において、装置(14)の出口は、装置(18)の入口と流体流通していて、装置(18)の出口は、装置(14)の入口と流体流通している。従って、第1液体は装置(14)から装置(18)へと流れ、第2液体は装置(14)から装置(18)へと流れる。なお、第1流体と第2流体は同一もしくは異なるものであってもよい。このような実施例において、液体の再利用は装置(14)と装置(18)の間で行われる。例えば、第1液体の操作が、装置(18)内で行われ、第2液体は装置(14)へと移動する(22)。いくつかの実施例において、第2液体は、第1液体とは異なる要素及び/又は異なる要素濃度(例えば、微粒子物質あるいは固体)を有する。
【0027】
ある実施例において、装置(18)は細胞分離装置(例えば、遠心分離機あるいはフィルタ)であり、該装置は、装置(14)内の第1液体から細胞を分離するのに用いられる。分離後、細胞は装置(14)へ第2液体懸濁液(例えば、保持液(retantate))の形態で運び戻され、細胞は継続的成長又は回収がなされる。一方、分離された残留液(例えば、浸透液、第3液体)は移動され(24)、装置(28)内で集められる。いくつかの例として、第3液体は細胞によって作り出された生成物を有する。生成物は分離され(例えば、精製され)及び/又は装置(28)をさらに用いて処理が行われる。例えば、装置(28)は、使い捨て可能で折畳み式のバッグなどの容器を備え、該容器は、液体を保持したり(例えば、保存用バッグ)、液体操作を更に行なうために収容したりするのに用いられる。
【0028】
さらなる実施例もしくは代替可能な実施例において、液体全てもしくはその一部は、装置(18)から装置(34)へと移動(32)し、その液体はさらに処理が行われる。例えば、第3液体が生成物を有する場合、生成物は、装置(34)内で生じる化学反応、生物学的反応、及び/又は薬学的反応における反応剤として用いられている。従って、装置(14)及び(18)と同様に、装置(34)は1以上のユニット操作部品を備え、該部品として、リアクタが例示され、該リアクタは、生物学的製品、化学製品、及び/又は医薬製品を製造する過程あるいは段階において用いられる。
【0029】
任意で、いくらかの実施例において、装置(14)は1以上の装置(40)と流体流通している。例えば、液体は、連続的に、あるいは、周期的に装置(40)から装置(14)へ移動する(42)。装置(40)は、例えば、保存用タンクなどの容器を備え、該容器は、溶剤、バッファ、反応剤、及び/又は他の流体を収容するのに用いられる。複数の装置(40)は様々な溶剤、バッファ、反応剤及び/又は他の液体を収容し、これらは装置(14)へと移動される。1以上の装置(40)は使い捨て可能な部品を備え、該部品は、折畳み式バッグであり、液体を収容するのに用いられる。折畳み式バッグは任意で、再利用可能な支持構造体により支持され、収容されている。
【0030】
いくつかの実施例において、装置(14)と装置(18)との間の移動(16)がなされている間に、移動(42)が行われる。このような実施例において、連続的な灌流反応あるいは生物反応が行われる。例えば、ある特定の実施例において、比較的低濃度の細胞を含有する第1液体が装置(14)から装置(18)へと移動している間、細胞と液体との分離が装置(18)において行われる。比較的高濃度の細胞を含有する第2液体(例えば、保持液(retantate))は装置(14)へと運び戻され(22)、細胞の再利用が行われる。一方、溶剤あるいは他の試薬は装置(40)から装置(14)へと移動される。このような特定の実施例において、装置(18)は、第1濃度要素(例えば、細胞)を有する第1液体を装置(14)から受容し、第2濃度要素を有する第2液体を輸送する。上述したように、第1液体濃度と第2液体濃度はいくつかの実施例においては同一であり、他の実施例においては異なる。
【0031】
いくつかの実施例において、移動(42)と移動(16)は同時に行なわれ、ほぼ一定容積の液体が装置(14)内で維持される。本明細書に述べるように、液体を「ほぼ一定容積」とする過程は、反応あるいは液体の他操作を装置内で行なうことを意味する。ある特定の実施例では、該装置内の液体容積は10%以上変動しない。他の実施例では、作業過程を通して、該装置内の液体容積は5%以上、1%以上、0.5%以上、あるいは0.1%以上変動しない。装置が容器(例えば、リアクタ)を有する場合、上記条件が満たされれば、ほぼ一定容積の液体を容器内で操作することが可能である。
【0032】
装置内の液体容積(ほぼ一定の容積)を測定する作業はさまざまな方法により行なわれる。さまざまな方法の中には、装置の支持部あるいは脚部の下方に1以上の負荷細胞(ロードセル:load cell)を配置する方法が含まれるが、この方法に限定されない。なお、この方法は、2008年2月28日に出願された、米国特許出願第12/039,052に記載された方法であり、該出願は、P.A. Mitchell等により出願され、「Weight Measurements of Liquids in Flexible Containers」という発明の名称が付されている。また、本明細書において、該出願は、参考文献として組み込まれている。
【0033】
ある実施例において、装置(14)は、ほぼ均一に混合された液体を生成するよう、設計されている。第1位置での装置内の第1部分の液体が、第2位置での装置内の第2部分の液体のほぼ同一の要素濃度(例えば、微粒子物質、固体、気体、栄養物等)を有する場合、液体は「ほぼ均一に混合される」。第1位置及び第2位置は物理的に離れていて、離間距離は、少なくとも、液体を収容する装置内の水位範囲の最大断面寸法の1/2である。上述の「ほぼ同一の濃度」は、ある特定の実施例において、第1位置での要素濃度と第2位置での要素濃度は10%しか変わらないことを意味している。また、上述の「ほぼ同一の濃度」は、他の実施例において、第1位置での要素濃度と第2位置での要素濃度は、5%、1%、0.5%、あるいは0.1%しか変わらないことを意味している。例えば、第1位置と第2位置は、装置の上部と底部である。いくつかの実施例において、装置(14)は混合器を備え、該混合器は、磁気により駆動可能な羽根車の形態があげられ、該形態は、装置内で能率よく混合することが可能である。物質付加後、該物質がほぼ均一になるまでどれくらいの時間が掛かるかを混合時間として定義する。この場合、例えば、いくつかの実施例において、この混合時間は、装置内の流体要素の平均滞留時間の10%に満たない。他の実施例において、滞留時間は、装置内の流体要素の平均時間の8%、6%、4%、あるいは2%に満たない。磁気により駆動可能な羽根車は、いくつかの実施例においては、使い捨て可能であって、1回しか利用できない。この羽根車について、詳細は下記に記載する。
【0034】
本明細書に記載する混合器を備えた装置は、十分に均一化された液体を該装置から回収することが可能である。例えば、装置から回収された液体の一部は、回収直後に装置内に残留する液体に対し、十分に均一化されている。従って、装置から回収された一部の液体の要素濃度(例えば、微粒子物質、固体、気体、栄養素など)は、回収直後に装置内に残留する液体の要素濃度とほぼ同一である(即ち、上述の「ほぼ均一に混合された」要素濃度と、ある程度、濃度が異なる)。ほぼ均一に混合された液体が、液体再利用システム(例えば、第1装置の出口と第2装置の入口が接続され、第2装置の出口と第1装置の入口が接続されるシステム)と一体化され、1以上の使い捨て可能な要素(例えば、折畳み式バッグ)を備えた装置と任意で一体化される場合、本発明のシステムは、従来システムと比して、生物学的、化学的、及び/又は薬学的製品をより能率よく形成することが可能である。例えば、本発明のシステムが、細胞培養あるいは生産物を作り出す高等生物に用いられると、細胞あるいは生物の要する栄養素が液体内に分散されるので、装置内で十分に混合された液体は、細胞あるいは生物の生存能力を向上させることが可能である。従って、非能率的に産物形成がなされる、非混合液体の量は減少する。
【0035】
図1を再び参照することで、システム(10)は、任意により、1以上の装置(48)を備え、該装置は装置(40)と流体流通している。装置(48)は、例えば、混合システムを備え、該システムは溶液を生成し、該溶液は、1以上の装置(40)に保存される。装置(48)は、いくつかの実施例において、磁気により駆動可能な羽根車及び/又は折畳み式バッグを備えることで、任意により、この羽根車及びバッグは、単一ユニットとして一体化され、使い捨て可能なように設計される。
【0036】
いくつかの実施例において、本明細書記載のシステム(例えば、図1のシステム(10))と関連付けられている個々の装置は、1以上の使い捨て可能な部品を備える。このようなある特定の実施例において、個々の装置は使い捨て可能なバッグ、折畳み式バッグ(例えば、ライナ)を備える。上述したように、個々の装置間の流体流通は連続的もしくは周期的に行なわれる。2つの装置間の周期的な流体流通は、1以上の要素、例えば、中間調節バルブ、チェックバルブ、ポンプなどによって制御されている。装置間の制限された流体流通が行なわれる。例えば、フィルタあるいは他の装置により、微粒子物質、固体及び/又は不要物質ではなく、液体が1つの装置からもう1つ別の装置へと通過可能となる。さらに、1以上の圧力計、センサ、ポンプ、及び/又は他の部品は装置間に配され、液体の流れを測定したり、流体を移動させたり、もしくは他の目的のために用いられる。
【0037】
図1の全ての装置は、本発明の全ての実施例で示される必要はない。そして、図示した装置は異なって配置されてもよい。特定の実施例では、図示された装置以外に、さらに付加的な装置を用いてもよい。詳細は以下に述べるが、例えば、他のユニット操作部品あるいは要素が、付加的な装置として、他の実施例において示されてもよい。
【0038】
任意で、本明細書における装置は、環境密閉エンクロージャ備える。本明細書で用いられる「環境密閉エンクロージャ」は、少なくとも部分的に周囲を取り囲むとともに、閉鎖空間あるいは閉鎖可能な空間(例えば、密閉空間)を作り出す。操作時において、エンクロージャ内の該空間は、殺菌環境、無菌環境、実質的に粒子非含有環境、あるいは粒子数の少ない環境になっている(エンクロージャ周囲の環境と比較した場合)。密閉装置は換気システムと流体流通されていて、該システムは、例えば、密閉装置内部の環境を維持するのに役立つ。換気システムは、エンクロージャ外部に配されるもしくは、部分的もしくは完全にエンクロージャ内に配される。代替可能な実施例として、換気システムを付け加えるかわりに、いくつかの他の環境処理システムが用いられることにより、殺菌環境、無菌環境、実質的に粒子非含有環境、あるいは粒子数の少ない環境を作り出すとともにその環境を維持する。例えば、他の環境処理システムとして、紫外線及び/又は他の放射線による殺菌装置、蒸気、エチレンオキシド及び/又は他の殺菌剤の発生装置が例示される。本明細書の記載に加え、本明細書に関連する環境密閉エンクロージャ、部品、及びその方法は、2007年7月13日に出願された国際特許出願及び米国特許出願において詳細に記載されている。該出願は、Galliher等により出願され、「Environmental Containment Systems」という題目が付されている。また、本明細書において、該出願は、参考文献として組み込まれている。
【0039】
特定の実施例、特に大きな容器を用いる実施例において、環境密閉エンクロージャの形状及び/又は輪郭は、エンクロージャが取り付けられた容器の形状及び/又は輪郭を補完する。これにより、容器周囲の様々な位置から容器内の物質にアクセス可能となる。補完的形状及び/又は輪郭を有することで、容器と密閉エンクロージャを組合せた大きさ及び/又は設置面積を小さくすることが可能となる。特定の実施例において、物質に、環境密閉エンクロージャ周囲の環境空気の影響を受けることなく、アクセスすることが可能である。従って、そのような環境密閉エンクロージャにより、例えば、人的要因、装置的要因、及び環境空気による、雑菌混入を防ぐ、あるいはその混入量を減少させることが可能である。また、使用者が物質に触れることを防ぐ、あるいは触れることを減少させることが可能である。これらのシステムは、容器内の毒素あるいは感染性物質を、より安全に生成及び/又は分離するのに便利である。
【0040】
本明細書に記載するように、環境密閉エンクロージャを装置に備えることにより、1以上の製造過程を経て、装置内の環境の整合性及び制御がなされる。従って、いくつかの実施例において、装置は分類されていない周囲空間において使用され、別の清潔な空間設備を形成及び/又は維持するのに生じるコストを抑えることができる。さらに、装置内の環境状態は、特有の製造システムで用いられる通常の分類方法で分類される。例えば、発酵バイオリアクタとして用いられる装置は非分類として取り扱われる。一方、浄化を目的として設計された装置はクラス10,000として分類される。種とバルクの製剤原料は、装置環境を満たすため、クラス100として分類される。当業者は、特定の生物学的、化学的、及び/又は薬学的製造過程を行なうのに要する適切な環境を決定することができる。さらに、いくつかの実施例において、環境処理システムは、適所において汚染回収システムを備え、該システムは装置内部を洗浄する装置及び/又は装置内の殺菌環境、無菌環境、実質的な粒子非含有環境、あるいは減少した粒子の環境を維持する装置に関連付けられている。
【0041】
ある実施例において、本発明の装置は個々の運搬可能なモジュールとして形成されていて、該モジュールは他のモジュールと相互接続されている。ある実施例において、モジュールは、連続した生物学的、化学的及び/又は薬学的製造工程(例えば、生物医薬品)もしくは他の流体操作工程を実施するために用いられる。例えば、図2に示す実施例では、システム(60)は第1装置(62)を備え、該装置は、ホイール(64)もしくは装置の移動及び/または運搬可能性を促進する他の部品を有する。任意により、第1装置は接続(72)を介して第2装置(66)と接続されてもよい。
装置間の接続は様々な手段により行なわれる。例えば、剛性チューブあるいは可撓性チューブ、ラッチなどにより接続される。ある実施例において、可撓性を有する接続手段を用いて、装置間を相互接続していると、装置は互いに様々な配向で移動可能である。例えば、装置間が流体流通されている場合、各装置間の相互接続は途切れずに、各装置は互いに関連して移動可能である。この特徴により、特に急なコーナーにおいても、装置は輸送可能となる。装置間の相互接続及び相互接続の方法は、米国特許出願第11/050,133号(出願日:2005年2月3日、発明の名称:「製造システム及びその方法」、出願人G. Hodge等 米国特許出願公開公報第2005/0226794号公報 公開日:2005年10月13日)国際特許出願PCT/US2005/002985(出願日:2005年2月3日 発明の名称:「製造システム及びその方法」 出願人:G. Hodge等 国際特許出願公開公報WO2005/076093 公開日:2005年8月18日)国際特許出願及び米国特許出願 (出願日:2007年7月13日 発明の名称:「環境密閉システム」 出願人:Galliher 等)各出願の記載内容を参照することにより、本明細書に組み込まれている。
【0042】
装置(62)及び装置(66)との間の接続は、第1装置(62)で処理が行なわれる前、その処理中、及び/又はその処理後になされる。ある実施例において、接続(72)により、装置間の流体流通が可能となる。この接続配置により、装置(62)内の物質は、装置(66)の内部へと移動する。環境密閉エンクロージャを備えた装置において、エンクロージャ間の接続は、流体流通により行なわれる。エンクロージャ間の流体流通は単独で行なわれる、もしくは装置内部の流体流通を伴う。任意により、装置間は物理的に接続されているが、装置内部において流体流通は行なわれない。
【0043】
装置(62)から装置(66)への物質の移動により、該物質はさらに装置(66)内で処理もしくは操作が行なわれる。なお、装置(66)は装置(62)とは異なる機能を有する(例えば、異なるユニット操作部品)。例えば、装置(62)がリアクタの形態による容器を有し、該リアクタにより生物学的製品、化学製品、及び/又は医薬製品が製造される。一方、装置(66)は装置(62)内に形成される物質を精製するよう形成される容器を有する。
【0044】
装置(66)内で物質のさらなる処理あるいは操作が必要となる場合、装置(66)は装置(68)と接続(73)を介して相互接続される。該相互接続は、上述した方法で、装置(62)と装置(66)との接続が行なわれる。装置(68)は、装置(66)とは異なった処理を行なうよう、設計及び形成されている。例えば、装置(66)は容器を備え、該容器は、限外濾過システムを有する。該限外濾過システムとしては、接線流の限外濾過装置等が例示される。当然ながら、付加された装置は相互接続され、該装置はさらなる処理機能を有する。
【0045】
ある実施例において、1以上の装置(62)(66)(68)及び/又は(70)は、それぞれ換気システム、冷却システム、フィードバック制御システム、及び/又は他の要素あるいはシステムに、必要に応じて関連付けられる。該要素あるいはシステムにより、装置は互いに独立して、必要に応じて、操作可能となる。
【0046】
独立して輸送/運搬可能に形成された装置は、再構成される。この再構成は、装置内で第2の生物学的製品、化学製品、もしくは医薬製品の製造過程、あるいは他の流体の操作過程を実行した後に行なわれる。例えば、装置(62)内の物質が装置(66)へと移動後、装置(62)と装置(66)は接続が解除され、装置(62)は第2過程を実行する。ある実施例において、第2過程は第1過程とは無関係である。例えば、第1過程は薬物を形成する段階であり、第2過程は細胞を回収する段階である。他の実施例において、第1過程は薬物の先駆物質を形成する段階であり、第2過程は薬物の先駆物質を化合物に反応させ、薬物を製造する段階である。
【0047】
装置内の使い捨て可能な部品を使用することで、装置の再構成を促進する。例えば、ある実施例において、装置(62)は容器(65)を備え、該容器は、使い捨て可能な、折り畳式バッグの形態を有する。このバッグは、生物学的反応、化学反応、及び/又は薬学的反応の反応容器として用いられる。使い捨て可能なバッグ内で第1過程が実行され、物質が装置(62)から装置(66)へと移動した後に、使い捨て可能なバッグは装置(62)から回収され、新しい使い捨て可能なバッグが装置内に挿入される。この配置を用いることで、移動された物質が装置(66)内で処理が行なわれる間に、第2過程が装置(62)内で実施される。同様に、装置(62)内で第2過程が実施されてから、装置内の物質が装置(66)へと移動する。代替可能な実施例として、装置(62)は接続(74)を介して、装置(70)と相互接続される。従って、システム(60)を用いて1以上の過程を同時に実施することが可能となる。これにより、使用者の時間と空間を節約することが可能である。
【0048】
他の実施例において、液体の再利用は、2以上の装置間で行なわれる。該装置は、独立して輸送もしくは運搬することが可能である。例えば、装置(66)の出口は装置(68)の入口に、接続(73)(例えば、チューブもしくは他の流体移動装置)を介して接続される。装置(68)の出口は接続(80)を介して装置(66)の入口に接続される。ある実施例において、第1液体は第1要素濃度を有し、該要素は装置(66)から装置(68)へと流れる。そして、第2液体は第2要素濃度を有し、該要素は装置(68)から装置(66)へと流れる。ある実施例において、第1液体濃度と第2液体濃度は同一である。他の実施例において、第1液体濃度と第2液体濃度は異なる。任意により、装置(62)の出口は、装置(66)の入口に接続されている。そのようなシステムにおいて、液体は絶え間なく装置(62)から装置(66)へと導入される。液体は絶え間なく装置(66)から装置(68)へと回収される。ある実施例において、液体移動が行なわれるので、ほぼ一定容積の液体が装置(66)内に維持される。さまざまな容積の液体移動も行なわれる。任意により、回収直後、装置(66)から回収した液体部分は装置(66)内に残留する液体に対してほぼ均質である。これにより、装置から取り除かれた要素濃度(例えば、微粒子物質、固体、気体、栄養物等)は、回収直後に装置内に残留する液体成分濃度とほぼ同一である。
【0049】
運搬可能な装置は単独で処理を行なうことが可能であり、該装置は、独立してカスタマイズされることにより、特定の生物学的、化学的、及び/又は薬学的製造過程を行なう。例えば、これにより、システム(60)はカスタマイズが行なわれ、第1位置で特定の過程を行う。またはシステム(60)は分解されてから、第2位置へと輸送され、第2位置で同じ処理を行なう。各装置は運搬可能で、独立して操作が行なわれるため、第2位置で装置を組み立てるのに要する時間と専門知識は最小化される。特に使用者が第2位置でシステムの使用についての訓練を受けていない時もしくは不慣れである時、装置が自動化され、装置は第2位置でセットアップ及び使用が促進される。さらに、必要であれば、環境密閉エンクロージャを有する装置を用いることで、殺菌状態、無菌状態、粒子非含有状態、あるいは削減された粒子状態で操作される。従って、装置は、殺菌室環境もしくは無菌室環境でなくとも使用でき、殺菌環境、無菌環境、粒子非含有環境、あるいは削減された粒子環境が必要となる処理を行うことが可能である。この特徴により、コストを節約することが可能である。加えて、無菌室あるいは他の設備も不要である。
【0050】
本明細書に記載されるように、固体もしくは液体内の溶解物、懸濁物、もしくは他の含有物の形態による様々な要素は、本発明のシステム及び装置内に収容される。ある実施例において、固体もしくは実体が用いられることで、1以上の生成物を生成もしくは生成を促進する。固体はマイクロキャリア(例えば、多孔性もしくは非多孔性のポリマー球、固体球、ゼラチン質の粒子、マイクロビーズ、そしてマイクロディスク)、特定の化学基(例えば、第3アミン基)で電荷を帯びた交差結合ビーズ(例えば、デキストラン)、非多孔性のポリマーファイバ内で閉じ込められた細胞を有する2Dマイクロキャリア、3Dキャリア(例えば、多孔性ファイバを備えたキャリアファイバ、中空糸、マルチカートリッジ式のリアクタ、そして半浸透性膜)、イオン交換容量が削減されたマイクロキャリア、細胞、毛細血管、そして集合体(例えば、細胞集合体)があげられるが、これらに限定されない。
【0051】
ある実施例において、液体内の要素は生存可能であり、細胞や他の構成要素を含んでもよい。生存可能な要素は、動物(例えば、ハムスター、ネズミ、ブタ、ウサギ、イヌ、魚、エビ、線虫、そしてヒト)、昆虫(例えば、蛾及び蝶)、植物(例えば、藻、とうもろこし、トマト、米、小麦、大麦、ムラサキウマゴヤシ、サトウキビ、大豆、ジャガイモ、レタス、ルピナス、タバコ、菜種(菜種油)、ヒマワリ、カブ、甜菜糖蜜及び甘しゃ糖蜜、種子、紅花、及びピーナッツ)、バクテリア、菌類、酵母などの細胞培養物を含むがこれらに限定されない。ある実施例において、上述の有機体(例えば、昆虫、甲殻類など)は、本明細書記載の装置に含まれる。
【0052】
動物細胞はチャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)、マウス骨髄腫細胞、MO035細胞(NS0細胞株)、ハイブリドーマ細胞(例えば、骨髄腫細胞に結合させるBリンパ球)、ベビーハムスター腎臓細胞(BHK)、サル腎臓由来細胞株(monkey COS)、サル腎臓上皮細胞(VERO)マウス胚線維芽細胞(NIH−3T3)、マウス結合組織線維芽細胞(L929)、ウシ大動脈血管内皮細胞(BAE-1)、マウス骨髄腫リンパ芽球様細胞(NS0)、マウスB細胞リンパ腫リンパ芽球様細胞(WEHI231)、マウスリンパ腫リンパ芽球様細胞(YAC1)、マウス線維芽細胞(LS)、マウス肝細胞(例えば、MC/9, NCTCクローン 1469)そして、ラット肝細胞(例えば、ARL-6、BRL3A、H4S、Phi 1 (Fu5細胞から))が含まれるが、これらに限定されない。
【0053】
ヒト細胞は、以下に例示する細胞を含む。網膜細胞(PER−C6)、胚腎臓細胞(HEK−293)、肺線維芽細胞(MRC−5)、頸部上皮細胞(HELA)、2倍体線維芽細胞(WI38)、腎臓上皮細胞(HEK293)、肝上皮細胞(HEPG2)、リンパ腫リンパ芽球様細胞(Namalwa)、白血病リンパ芽球様細胞(HL60)、骨髄腫リンパ芽球様細胞(U266B1)、神経芽細胞腫神経芽細胞(SHSY5Y)、2倍体細胞株細胞(例えば、ポリオウイルスの増殖)、膵島細胞、胚幹細胞(hES)、ヒト間充織幹細胞(MSCs 例えば、骨形成細胞、軟骨形成細胞、テノジェニック細胞(tenogenic cell)、筋原細胞、脂質生成細胞、骨髄間質系細胞とは区別されている)、ヒト神経幹細胞(NSC)、ヒト組織球性リンパ腫細胞(U937)、そしてヒト肝細胞があげられる。このヒト肝細胞には、WRL68(肺細胞由来)、PLC/PRF/5(すなわち、B型肝炎の配列を含む)、Hep3B(すなわち、血漿タンパク質を生成:フィブリノゲン、αフェトプロテイン、トランスフェリン、アルブミン、補体C3 及び/又はα2マクログロブリン)、そしてHepG2(すなわち、血漿タンパク質を生成:プロトロンビン、アンチトロンビンIII、αフェトプロテイン、補体C3及び/又はフィブリノゲン)があげられる。
【0054】
ある実施例において、昆虫由来の細胞(バキュロウイルス及びスポドプテラ・フルギペルダ卵巣細胞(Sf21細胞はSf9細胞株を生成)そして植物及び/または食品由来の細胞が培養される。例えば、以下に示す供給源由来の細胞が、本明細書記載の様々な種類の装置内で培養される。供給源としては、米(例えば、イネ (Oryza sativa)、Bengal品種のイネのカルス培養物、そしてTaipei309品種のイネのカルス培養物)、大豆(例えば、Williams82品種のダイズ(Glycine max))、トマト(Seokwang品種のトマト(Lycopersicum esculentum))、そしてタバコの葉(ブライトイエロー2号(Bright Yellow2)(BY−2)を含んだアグロバクテリウム・ツメファシエンス、NT-1品種のタバコ、BY-2品種のタバコ、そしてPetite Havana SR-1品種のタバコ)があげられる。
【0055】
他の実施例において、バクテリア、菌類、あるいは酵母は装置内で培養される。バクテリアは、例えば、サルモネラ菌、大腸菌、ビブリオ菌、枯草菌、ストレプトミセス、蛍光菌、プチダ菌、シュードモナス菌種、ロドコッカス菌種、ストレプトミセス菌種、そしてアルカリゲネス菌種を含むが、これらに限定されない。真菌細胞は例えば、クロコウジカビ、トリコデルマ・リーゼイの種から培養される。酵母細胞はハンセヌラ・ポリモルファ、ピキア・パストリス、出芽酵母、サッカロマイセス・バイアヌス(S. bayanus)と交配されたサッカロミケス・ケレウィシエ(S. cerevisiae)、クルイベロミセス・ラクチス由来のLAC4及びLAC12遺伝子と交配されたサッカロミケス・ケレウィシエ、アスペルギルス・シロウサミと交配されたサッカロミケス・ケレウィシエ、枯草菌、サッカロミケスダイアスタシクス(Saccharomyces diastasicus)、サッカロミケス・オシデンタリス(Saccharomyces occidentalis)、ピヒア・ スティピティス(Pichia stipitis)の遺伝子を有する、サッカロミケス・クレウィシエ、そしてシゾサッカロミセス・ポンベを備える。
【0056】
さまざまな最終生成物は、本明細書記載の装置内で生成される。生成物は、タンパク質(例えば、抗体及び酵素)、ワクチン、ウイルス産物、ホルモン、免疫調整剤、代謝剤、脂肪酸、ビタミン、薬剤、抗生剤、細胞、そして組織を含む。タンパク質としては限定されないが、以下のものが含まれる。プラスミノーゲン活性化因子(tPA)、血液凝固因子、増殖因子(例えば、インターフェロンやケモカインを含むサイトカイン)、接着分子、タンパク質のBcl-2ファミリー、ポリへドリンタンパク質、ヒト血清アルブミン、scFV抗体フラグメント、ヒト赤血球生成促進因子、マウスモノクローナル重鎖γ、マウスIgG2b/K、 マウス IgG1、重鎖 mAb、ブライオンディン 1(Bryondin 1)、ヒトインターロイキン-2、ヒトインターロイキン-4、リシン、ヒトα-1抗トリプトシン、ビスクFv抗体断片(biscFv antibody fragment)、免疫グロブリン、ヒト顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(hGM-CSF)、B型肝炎表面抗原(HBsAG)、ヒトリソチーム、IL−12、そしてHBsAgに対するmAbがあげられる。血漿タンパク質は、以下のものが含まれる。フィブリノゲン、αフェトプロテイン、トランスフェリン、アルブミン、補体C3 及びα2マクログロブリン、プロトロンビン、アンチトロンビンIII、αフェトプロテイン、補体C3及びフィブリノゲン、インスリン、B型肝炎表面抗原、尿酸酸化酵素、グルカゴン、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子、ヒルジン/デシルジン、アンジオスタチン、エラスターゼ阻害剤、エンドスタチン、上皮増殖因子アナログ、インスリン様成長因子−1、カリクレイン阻害剤、α−1抗トリプトシン、腫瘍壊死因子、コラーゲンタンパク質ドメイン(コラーゲン糖タンパク質全体ではない)、代謝副産物を有さないタンパク質、ヒトアルブミン、ウシアルブミン、トロンボモジュリン、トランスフェリン、血友病A第VIII因子(すなわち、CHOあるいはBHK細胞由来)、血友病B第VIIa因子(すなわち、BHK細胞由来)、血友病B第IX因子(すなわちCHO由来)、ヒト分泌アルカリホスファターゼ、アプロチニン、ヒスタミン、ロイコトリエン、IgEレセプタ、N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼ−III、そして抗血友病因子VIIIがあげられる。酵素は本明細書記載の装置内でさまざまな供給源から生成される。酵素は以下のものを含むがこれらに限定されない。酵母からのYepACT-AMY-ACT-X24混成酵素、コウジカビα−アミラーゼ、キシラナーゼ、ウロキナーゼ、組織プラスミノーゲンアクチベーター(rt-PA)、ウシキモシン、グルコセレブロシダーゼ(CHO由来のゴーシェ病治療酵素)、ラクターゼ、トリプシン、アプロチニン、ヒトラクトフェリン、リゾチーム、そしてオレオシンがあげられる。
【0057】
ある実施例において、ワクチンが生成される。ワクチンの例としては、以下のものがあげられるが、これらに限定されない。前立腺癌に対するワクチン、ヒトパピローマウイルスワクチン、ウイルス性インフルエンザワクチン、3価赤血球凝集素インフルエンザワクチン、エイズワクチン、HIVワクチン、マラリアワクチン、炭疽病ワクチン、細菌性髄膜炎ワクチン、水疱ワクチン、コレラワクチン、ジフテリアワクチン、ヘモフィルスインフルエンザb菌ワクチン、A型肝炎ワクチン、B型肝炎ワクチン、百日咳ワクチン、ペストワクチン、肺炎球菌性肺炎ワクチン、ポリオワクチン、狂犬病ワクチン、ヒト狂犬病ワクチン、破傷風ワクチン、腸チフスワクチン、黄熱病ワクチン、家畜口蹄疫ワクチン、ニューカッスル病ウイルス、口蹄疫ワクチン、DNAワクチン、ベネズエラウマ脳炎ワクチン、癌(結腸癌)ワクチン(即ち、予防ワクチンもしくは治療ワクチン)、はしか・おたふく風邪・風疹ワクチン、黄熱病ワクチン、インフルエンザ菌ワクチン(Hib)、百日咳サブユニットを有するジフテリア・破傷風ワクチン(DTP)、多糖(類)に結合するワクチン(例えば、インフルエンザ菌、ナイセリア骨髄膜炎)、スタフィロコッカス・ニューモニエワクチン、ニコチンワクチン、多発性硬化症ワクチン、牛海綿上脳病(狂牛病)ワクチン、IgG1(ホスホン酸エステル)ワクチン、IgM(神経ペプチドハプテン)ワクチン、SIgA/G(ミュータンス連鎖球菌アドへシン)ワクチン、scFv-bryodin 1 免疫毒素(CD-40)ワクチン、IgG(単純ヘルペスウイルス)ワクチン、LSC(単純ヘルペスウイルス)ワクチン、ノーウォークウイルスワクチン、ヒトサイトメガロウイルスワクチン、ロタウイルスワクチン、RSウイルスFワクチン、インスリン依存性の自己免疫性糖尿病ワクチン、下痢ワクチン、ライノウイルスワクチン、単純ヘルペスウイルスワクチン、及びリンパ腫治療に用いられる個別の癌ワクチン(即ち、注射用、経口用、食用の形状)を含む。ある実施例において、組換え型サブユニットワクチンが生成される。このワクチンの例は以下の通りである。B型肝炎ウイルス外被タンパク質ワクチン、狂犬病ウイルスのグリコプロテインワクチン、大腸菌の熱不安定性エンテロトキシンワクチン、ノーウォークウイルスのカプシドタンパク質ワクチン、糖尿病自己抗原ワクチン、コレラ毒素Bサブユニットワクチン、コレラ毒素Bワクチン、コレラ毒素A2サブユニットワクチン、ロタウイルスエンテロトキシンワクチン、毒素原性大腸菌ワクチン、線毛抗原ワクチン、及び豚伝染性胃腸炎ウイルスのグリコプロテインSワクチンがあげられる。
【0058】
ある実施例において、本発明のシステムにウイルス産物を生成することが望ましい。ウイルス産物としては以下のものがあげられるが、これらに限定されない。シンドビスウイルス産物、VSVウイルス産物、水疱性口内炎ウイルス産物、オンコルナウイルス産物、肝炎ウイルス産物、アメリカナマズウイルス産物、呼吸器合胞体ウイルス産物、コロナウイルス産物、口蹄疫ウイルス産物、狂犬病ウイルス産物、ポリオウイルス産物、レオウイルス産物、はしかウイルス産物、おたふく風邪ウイルス産物があげられる。
【0059】
ホルモンは、最終産物の他の分類であり、本明細書記載の装置にて生成される。ホルモンは、以下のものを含むがこれらに限定されない。成長ホルモン(例えば、ヒト成長ホルモン(hGH)及びウシ成長ホルモン)、成長因子ホルモン、β及びγインターフェロンホルモン、血管内皮増殖因子(VEGF)ホルモン、ソマトスタチンホルモン、血小板由来の成長因子(PDGF)ホルモン、卵胞刺激ホルモン(FSH)、黄体ホルモン、ヒト絨毛性ホルモン、及びエリスロポエチンホルモンなどがあげられる。
【0060】
免疫調整剤は、本明細書記載の装置で生成される。免疫調整剤としては、インターフェロン(例えば、βインターフェロン(多発性硬化症))α−インターフェロンそしてγ−インターフェロン)そしてインターロイキン(例えば、IL−2)があげられるが、これらに限定されない。
【0061】
代謝剤(例えば、シコニン及びパクリタキセル)及び脂肪酸(すなわち、直鎖(例えば、アジピン酸、アゼライン酸、2−ヒドロキシ酸)、分岐鎖(例えば、10−メチルオクタデカン酸及びレチノイン酸)、環含有脂肪酸(例えば、コロナリック酸及びリポ酸)、そして複合脂肪酸(例えば、脂肪細胞でできたアシル補酵素A))もまた生成される。
【0062】
ある実施例において、本明細書記載の装置は、バイオリアクタシステムの少なくとも一部を形成する。バイオリアクタシステムは、上述の1以上の実体を含有もしくは生成する。コンテナを有するバイオリアクタシステム、例えば可動性コンテナなどがあげられるが、コレラに限定されない。当該コンテナは、図3の模式図に示される。図3の実施例で示すように、装置(100)は容器(114)を備える。図示される実施例において、容器は再利用可能な支持構造体である(例えば、ステンレス製のタンク)。この支持構造体は、容器(118)を包囲し、含有する。任意で、装置(100)は環境密閉エンクロージャ(120)を備え、該エンクロージャは、容器(114)の一部分を包囲する。
【0063】
ある実施例において、容器(118)は折畳み式バッグ(例えば、重合体によるバッグ)の形状を有する。付加的にもしくは代替的に、全てもしくは一部の折畳み式バッグあるいは他のコンテナは、剛性ポリマー、金属、及び/またはガラスなどの剛性素材により形成されている。他の実施例において、剛性コンテナは以下の配置で用いられる。容器(114)の内壁は液体と直接接し、コンテナ(118)は存在しない。コンテナ(118)は使い捨て可能であり、支持構造体(114)から容易に取り外し可能になっている。従って、コンテナ(118)は可逆的に支持構造体に取り付けられる(すなわち、部品にダメージを与えることなく、手もしくは道具で分離させることが可能である)。他の実施例において、コンテナ(118)は支持構造体(114)に対し不可逆的に取付けられる。本明細書において、「不可逆的に取付ける」という用語は、2以上の物について記載しているが、2以上の物を取り外す際に、物(もしくは物の部品)の少なくとも一方に対しダメージを及ぼすことを意味する。例えば、破壊もしくは剥気体ことでダメージを及ぼす(例えば、接着剤、道具などを用いて、分離部品をくっつける)。
【0064】
折畳み式バッグが用いられた場合、折畳み式バッグ(118)は流体密封状態であり、液体(122)を収容する。これにより、折畳み式バッグは、反応剤(例えば、固体物質)、培養基及び/又は化学反応、薬学的反応、及び/又は生物学的反応を行なうのに必要な他の要素を含有することができる。折畳み式バッグ(118)が構成されることで、液体(122)は使用中折畳み式バッグとのみ接触を続ける。そして、支持容器(114)とは接触しない。このような実施例において、バッグは使い捨て可能であり、単一の反応系列に用いられる。その後、バッグは処分される。この実施例における折畳み式バッグ内の液体は支持構造体(114)とは接触しないので、支持構造体は洗浄することなく再利用することが可能である。つまり、反応がコンテナ(118)内で行なわれてから、支持構造体(114)から取り除かれ、第2コンテナ(例:使い捨て可能な容器)と取り替えられる。第2の反応は、第2コンテナで行われる。当該反応は、第1コンテナもしくは再利用可能な支持構造体を洗浄せずに行われる。
【0065】
図3に示すのは、任意による入口ポート(142)及び任意による出口ポート(146)である。入口ポート及び出口ポートは、コンテナ(118)内に形成される、及び/又は再利用可能な支持構造体(114)内に形成され、入口ポート及び出口ポートにより、コンテナから容易に液体及び/又は気体を導入及び除去することが可能である。コンテナは、適切な数の入口ポート及び出口ポートを有してもよい。例えば、複数の入口ポートにより、様々な気体組成(複数のスパージャ(sparger:噴霧器)(147)を介して)を提供してもよいし、及び/又は、気体をコンテナへ導入する前に、気体を分離することが可能である。これらのポートは、コンテナ(118)に対して適切な位置に配される。例えば、スパージャを備える特定の装置において、コンテナは、1以上の気体の入口ポートを備え、該ポートはコンテナの底部に位置する。チューブ類が入口及び/又は出口ポートに接続されることで、例えば、輸送及び回収配管をそれぞれ形成する。これにより、コンテナから液体を導入したり、取除いたりすることが可能である。任意により、コンテナ及び/又は支持構造体は、ユーティリティタワー(utility tower)(150)を有し、これにより、コンテナ及び/又は支持構造体内部の1以上の装置と、1以上のポンプ、制御装置、及び/又は電子装置(例えば、電子感知器、電子インターフェース、及び加圧された気体調節器)もしくはその他の装置を相互結合させる。これら装置は、制御システム(134)を用いて、制御される。
【0066】
システムが複数のスパージャを含むために、制御システム(134)は、各スパージャに動作可能に関連付けられるとともに、当該システムは、スパージャが互いに独立して動作するよう構成されている。これにより、例えば、コンテナ内に導入される複数の気体を制御可能となる。一般的に、本明細書において、システムの部品が、1以上の部品と「動作可能に関連付けられている」ということは、以下の点を意味する。これら部品は、互いに直接的に接続されている、これら部品は、互いに接続、取付けを行なわずに互いに直接的に物理的接触が行なわれている、もしくは、これら部品は、互いに直接的に接続されていない。これら部品は、機械的に、磁気的に、電気的に(空間を伝播する電磁信号も含む)、あるいは流体連動により、互いに接続し、部品を関連付けて、所望の機能がもたらされる、あるいは実行することが可能である。
【0067】
装置(100)は、任意により、コンテナ(118)内に配される羽根車(151)などの混合システムを備え、該混合システムは、モーター(152)を用いて、(例えば、単軸を中心に)回転する。モーター(152)は、コンテナの外側(もしくは、内側)に配される。ある実施例において、詳細は以下に記載するが、羽根車とモータは磁気により結合される。ある実施例において、ベースは(例えば、可逆的にもしくは不可逆的に)コンテナ(折畳み式バッグ)に取付けられている。ベースは、羽根車を支持するように構成されることで、「羽根車プレート」もしくは「羽根車支持部」を形成する。羽根車は、例えば、シャフト、ベアリング及び/又は他の部品により、ベースに取り付けられ、もしくはベースにより支持される。ある実施例において、羽根車は磁気的に作動するとともに、シャフト、ベアリング及び/又は他の部品を介してベースに取り付けられる。混合システムは制御システム(134)により制御される。混合システムについての詳細は、下記に記載する。
【0068】
付加的に及び/又は代替的に、装置は機械的消泡装置(図示せず)などの消泡システムを備える。消泡装置は、例えば、コンテナ(118)内に羽根車を備え、該羽根車は、コンテナ上部近辺に配されている。該コンテナは、モータを用いることで、回転(例えば、磁気により)可能であり、当該モータはコンテナ外部もしくは内部に配されている。羽根車は、コンテナ内におけるヘッドスペース内の泡をつぶすのに用いられる。ある実施例において、消泡システムは、制御システムを介して、センサ(例えば、泡センサ)と電気的に通信を行なう。センサは、例えば、ヘッドスペース内の泡の量、もしくはコンテナ内の圧力を決定し、消泡システムの調節もしくは制御する。他の実施例において、消泡システムはあらゆるセンサに対して独立して動作する。消泡システムの詳細については、国際出願(発明の名称:「Gas Delivery Configurations, Foam Control Systems, and Bag Molding Methods and Articles for Collapsible Bag Vessels」)(国際出願日:2007年6月15日)により詳細に記載され、当該記載内容は、本明細書内に組み込まれている。
【0069】
支持構造体(114)及び/又はコンテナ(118)は、ある実施例において、1以上のポート(154)を備え、当該ポートは、サンプリング、解析(例えば、pH及び/又は液体中の溶解気体の量)あるいは、他の目的のために用いられる。これらのポートは、任意の環境密閉エンクロージャ(120)の1以上のアクセスポート(156)と一直線に並ぶ。図示された実施例に示すように、環境密閉エンクロージャは、支持構造体(114)の形状及び外形を補完する形状及び外形を有する。当該エンクロージャは支持構造体に取付けられることにより、コンテナ周囲の様々な位置から、コンテナ内部の物質へとアクセス可能である。補完的形状及び外形を有する環境密閉エンクロージャは、支持構造体、コンテナ、及び環境密閉エンクロージャを組み合わせたもの全体の大きさ及び/又は設置面積を削減する。この特徴は、大きなコンテナに非常に適している。支持構造体(114)及び/又はコンテナ(118)周囲のポート及び/又は他の要素へのアクセスは、この特徴を有さないと、困難である。従って、物質をエンクロージャ周囲の空気(20)に晒すことなく、環境密閉エンクロージャの外側にいる使用者は、ポートを介してコンテナ内部の物質へとアクセス可能である。環境密閉エンクロージャは、例えば、人、装置、外気による、システム内の物質への雑菌混入量、及び/又は物質の使用者への露出量を抑制もしくは減少させる。
【0070】
支持構造体(114)は、1以上のウインドウ部分(160)を有し、該ウインドウ部分は、コンテナ(118)内の液体の水位を確認するのに用いられる。代替的に、再利用可能な支持構造体(114)を透明素材により形成し、これにより、コンテナ(118)内を視認することが可能となる。環境密閉エンクロージャ(120)も、透明素材で形成されることで、エンクロージャ内を視認することが可能となる。
【0071】
1以上の接続部(164)はコンテナ(118)の上部に配され、もしくは他のあらゆる最適な位置に配されてもよい。接続部(164)は開口部、チューブ、及び/又はバルブを備え、これにより、液体、気体などが、コンテナ(118)に追加もしくは取出される。各開口部、チューブ、及び/又はバルブは、任意により、フローセンサ及び/又はフィルタ(図示せず)を備える。任意により、接続部(164)は気体導入ポート及び気体取出ポート(165)と流体流通されている。
【0072】
ある実施例において、1以上の接続部(172)及び(174)は環境密閉エンクロージャ(120)の上部、もしくはいかなる最適な位置に配されてもよい。接続部(172)(174)は開口部、チューブ及び/又はバルブを備え、これにより、気体などが、環境密閉エンクロージャ(120)に追加もしくは取出される。各開口部、チューブ、及び/又はバルブは、任意により、流量センサ及び/又はフィルタ(図示せず)を備える。任意により、接続部(172)及び(174)は換気システム(170)に接続されていて、空隙(130)により定められた、密閉空間と流体流通してもよい。例えば、接続部(172)は密閉空間へ気体を導入する気体入口であってもよいし、接続部(174)は密閉空間から気体を除去する気体出口であってもよい。換気システム(170)はフィルタ(例えば、高性能フィルタ)を備え、制御システム(134)を制御することで、殺菌環境、無菌環境、粒子非含有環境、あるいは粒子数の少ない環境を作り出し、維持する。
【0073】
ある実施例において、装置(100)は、1以上の接続ポート(180)を備え、これにより、支持構造体内部(114)(例えば空隙(132))が第2装置内部と相互接続される。付加的にあるいは代替的に、装置は1以上の接続ポート(182)を備え、該接続ポートは、コンテナ(118)内部(例えば、内部(56))が第2装置内部へと接続するのに用いられる。これらのポートにより、物質を内部(56)から第2装置もしくは他の適切なコンテナ(例えば、密閉バッグ)に移動することを促進する。例えば、チューブを介して(例えば、蠕動ポンプもしくは陽圧を入口に加えることで)ポンプにより、重力により、及び/又は真空を用いることにより、物質を移動させることができる。
【0074】
支持構造体(114)はさらに複数の支持部(186)を備え、任意により、該支持部は車輪(188)を備え、これにより、装置の移動を促進する。支持部は、ある実施例において、ロードセルを備え、該ロードセルはコンテナ内部の液体の重量を決定するのに用いられる。
【0075】
図3に示す特徴全てが、本発明のあらゆる実施例で用いられる必要はない。そして、図示される部品が異なった位置に配されてもよいし、形成されてもよい。さらに、詳細を下記に示すが、付加的要素は、他の実施例として示されてもよい。
【0076】
本明細書に示される様々な実施例は、折畳み式バッグなどのコンテナを備える。本明細書で記載される、「弾性を備えたコンテナ」、「弾性を備えたバッグ」もしくは「折畳み式バッグ」は、以下のことを意味する。当該コンテナもしくはバッグは、独立した支持構造体の利点がない場合、内部圧力(例えば、操作時に、コンテナもしくはバッグ内部の液体及び/又は気体の重量及び/又は静水圧により生じる)を受けると、形状及び/又は構造的完全性を維持することは不可能である。折畳み式バッグは、本質的に、様々なプラスティックなどの弾性を備えた材質により、形成されている。もしくは、折畳み式バッグは、剛性を備えると考えられる材質(例えば、ガラスもしくは特定の金属)で、形成されている。当該材質の厚さ及び/又は物理的特性により、コンテナ全体は、独立した支持構造体の利点がない場合、内部圧力を受けると、形状及び/又は構造的完全性を維持することは不可能である。ある実施例において、折畳み式バッグは、弾性及び剛性を有する材質の組合せを有する;例えば、バッグは、混合システム及び/又は消泡システムに用いられる接続部、ポート、支持部などの剛性部品を備える。
【0077】
コンテナ(例えば、折畳み式バッグ)は、任意の適切な大きさであり、液体を収容する。例えば、コンテナは、1-40L、40-100L、100-200L、200-300L、 300-500L、500-750L、750-1000L、1000-2000L、2000L-5000Lあるいは5000-10000Lの間の容積を有する。ある実施例では、1L以上の容積を有し、他の実施例では、10L、20L、40L、100L、200L、500L もしくは1000L以上の容積を有する。10000L以上の容積も可能である。
【0078】
ある実施例において、折畳み式バッグは使い捨て可能であり、適切な弾性を備えた材質により形成されている。弾性を備えた材質は、米国薬局方USP Class VIと認定された材質である。当該材質は、例えば、シリコン、ポリカーボネート、ポリエチレン、及びポリプロピレンなどである。弾性を備えた材質は、ポリエチレン(例えば、鎖状低密度ポリエチレン及び超低密度ポリエチレン)、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ二塩化ビニリデン、エチレン酢酸ビニル、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸、ポリビニルアルコール、ナイロン、シリコンゴム、他の合成ゴム及び/又は合成プラスティック等のポリマーを備えるが、これらに限定されない。上述のように、弾性を備えたコンテナの一部は、十分に剛性を備えた材質を備え、該材質は、剛性ポリマー(例えば、高密度ポリエチレン)、金属及び/又はガラス(例えば、支持適合部など)などである。他の実施例において、コンテナは実質的に剛性を有する材質により形成されている。コンテナ全てもしくは一部は、光学的に透明になっていて、これにより、コンテナ内部の中身を視認することが可能となる。コンテナを形成するのに用いられる材質もしくは材質の組合せは、以下に示す1以上の特性を基に選択されている。当該特性は、弾性、穿刺力、抗張力、液体及び気体の透過率、不透明度、及び順応性などがあげられ、当該順応性は、ブロー成型、射出成型、もしくは回転成型(例えば、継ぎ目のない折畳み式バッグを成形する)などの特定の過程に対する順応性を意味する。
【0079】
コンテナ(例えば、折畳み式バッグ)は、液体を保持するのに適切な厚さを有するとともに、操作時もしくは取り扱い時における穿刺に対して一定の抵抗を有するよう設計されている。例えば、コンテナの壁部は、全厚250ミル以下(1ミルは25.4マイクロメータ)、200ミル以下、100ミル以下、70ミル以下(1ミルは25.4マイクロメータ)、50ミル以下、25ミル以下、15ミル以下、もしくは10ミル以下である。ある実施例において、コンテナは、1以上の材質層を備え、該材質層は積層される、もしくは、互いに取り付けられる。これにより、特定の特性をコンテナに与えることが可能である。例えば、材質層は、実質的に酸素不浸透材質でできている。他の層は、コンテナに強度を与える材質でできている。さらに、他の層が含まれることにより、コンテナ内の流体に対して耐化学性を与える。コンテナは、あらゆる適切な層を組み合わせて形成されてもよい。コンテナ(例えば、折畳み式バッグ)は、例えば、第1材質層を有し、該材質層は、第2材質層、第3材質層もしくは第5材質層以上の大きさを有する。各層は、例えば、200ミル以下、100ミル以下、50ミル以下、25ミル以下、15ミル以下、10ミル以下、5ミル以下、3ミル以下、もしくはこれらを組み合わせた厚さを有する。
【0080】
本発明のいくつかの実施例において、コンテナは継ぎ目を有さない。コンテナは、例えば継ぎ目のない折畳み式バッグ、もしくは、継ぎ目のない剛性(半剛性)のコンテナである。多くの従来の折畳み式バッグは、2つのシートのプラスティック材質から構成されている。該プラスティック材質は、熱もしくは化学結合により接合がなされ、長手方向に2つの継手を有するコンテナを形成する。シートの開口端は、従来技術により密閉され、アクセス可能な開口部は、コンテナの壁部を介して形成されている。継ぎ目を有する折畳み式バッグは、使用時に、継ぎ目にてもしくはその継ぎ目近辺にて、隙間を形成する。この継ぎ目もしくはその近辺において、折畳み式バッグ内の流体もしくは試薬は完全には混合されていない。ある特定の関連する実施例において、例えば、折畳み式バッグは、化学的、生化学的、及び/又は生物学的反応を行なうのに用いられるが、混合されていない試薬が存在すると、所望の製品の製造が減少する。折畳み式バッグ内に継ぎ目が存在すると、バッグを支持する再利用可能な支持構造体の形状にバッグを適合させることが不可能になる。継ぎ目のない折畳み式バッグを用いることで、2以上の弾性を備えたバッグの壁部を結合させるが、混合及び適合性の問題は避けられるもしくは減少させられる。ある実施例において、継ぎ目のない折畳み式バッグは、独特の形状及び構造を有する、特定の再利用可能な支持構造体に特に適合する。例えば、ほぼ完全に適合する折畳み式バッグがバイオリアクタシステムもしくは生化学反応システム及び/又は化学反応システムの一部に用いられ、継ぎ目のない剛性のコンテナ、もしくは継ぎ目のない半剛性のコンテナは、いくつかの実施例において有益である。
【0081】
ある実施例において、継ぎ目のない折畳み式バッグは、バッグの裏地(例えば、弾性を備えた、バッグの壁部)、1以上の混合システム/混合システム(シャフト及び/又は支持ベース)の部品、及びポートなどが、ポリマー前駆物質を連続的に供給することで成型される。ある実施例において、密閉圧密を行なわずに、成形される。例えば、溶接など行なわずに成形される。継ぎ目のない折畳み式バッグにより、バッグ内部における液体もしくは他製品は、一般的に平らな表面と接触することが可能である。平らな表面は、例えば、多くの皺、折り目、隙間などを有さない表面である。加えて、ある実施例において、液体もしくは製品がバッグ内に導入及び充填されると、折畳み式バッグは、補完的に支持構造体内に適合する。継ぎ目のない、折畳み式バッグは、一般的に均質な、高分子表面を有する化学物質を有し、この化学物質は、例えば、副反応を最小化する。1以上のポリマー前駆物質を含有する、継ぎ目のない折畳み式バッグを形成する方法が実施される。
【0082】
継ぎ目のない折畳み式バッグは、様々な方法により形成される。ある実施例において、継ぎ目のない折畳み式バッグは、液体プラスティックを、鋳型に流し込むことで形成される。この鋳型は、ポート、接続部、支持部、及び剛体部などの部品と予め適合する。これら部品は、混合システム(例えば、シャフト及び/又はベース)を支持するよう、構成され、混合システムは、後に、液体プラスティックにより包囲、浸水、及び/又は組込まれる。部品は剛性の部品である。例えば、使用時に、形状及び/又は構造的完全性を維持する。あらゆる適切な数の部品が(例えば、少なくとも、1、2、5、10、15など)本明細書記載の方法により、コンテナ(例えば、折畳み式バッグ)と一体化される。鋳型は、折畳み式バッグを形成するよう、設計されていて、この折畳み式バッグは、鋳型の形状及び容積を有する。これにより、折畳み式バッグは、再利用可能な支持構造体と同様の形状、容積、及び/もしくは構造を有する。
【0083】
ある実施例において、組み込み部品/リニア成型技術(ECM)を用いることで、形成される。この技術において、チューブポート、攪拌器のベースなどの剛性を有する部品もしくは予め成形された部品は、まず鋳型内に配される。コンテナ(例えば、継ぎ目のない折畳み式バッグ)を形成するのに用いられる、ポリマーもしくはポリマー前駆物質は、以下に示すポリマー製造技術により、導入される(例えば、溶融状態)。ある実施例において、部品もしくは部品部分の一部は、ポリマー前駆物質により溶融される。これにより、部品は、コンテナとともに連続要素(continous element)を形成する。つまり、部品は、コンテナ内の1以上の壁部(例えば、弾性を有する折畳み式バッグの一部)に結合(例えば、融合)される。これにより、継ぎ目のない、単一の、一体化部品を形成する。このような技術は、例えば、ベースプレートに関連付けられたシャフトを形成するのに用いられる。このベースプレートは、折畳み式バッグに一体的に取り付けられている、及び/又は、折畳み式バッグに一体的に取り付けられている、シャフトを有さないベースプレートに一体的に取り付けられる。
【0084】
ある実施例において、特に、流体操作、もしくは、容器内の化学的、生化学的及び/又は生物学的反応を実行する特定の実施例において、容器はほぼ密閉される。例えば、コンテナの外部環境からほぼ密閉されている。ただし、容器へ内容物を追加したり、取出したりすることが可能な1以上の入口ポート及び/又は出口ポートは除かれる。折畳み式バッグが用いられると、バッグが液体で満たされる前は、ほぼ収縮している。液体で満たされると、折畳み式バッグは膨張し始める。他の実施例において、本発明の態様は、開口部を有する容器システムに用いられる。
【0085】
いくつかの実施例において、液体は、入口ポート及び/または出口ポートを介し、装置、容器、コンテナ、もしくはユニット操作部品から導入及び/又は除去される。装置もしくは容器は、リアクタシステムの形態もしくはその一部であり、リアクタシステムは、生物学的、生化学的、もしくは化学的反応を実行する。または、装置もしくは容器は、ユニット操作部品の形状を有し、ユニット操作部品は、例えば、フィルタシステム、種培養拡張システム、初期回収システム、クロマトグラフィシステム、充填システム、密閉培地/バッファ準備システム、及び浄水システムなどがあげられる。装置もしくは容器は、あらゆる適切な数の入口ポート及びあらゆる適切な数の出口ポートを有する。ある実施例において、使い捨て可能なポンプなどのポンプは、例えば、入口ポートを介して、気体もしくは他の流体を容器内に導入するのに用いられる、及び/又は、例えば、出口ポートを介して、気体もしくは他の流体を容器から除去するのに用いられる。
【0086】
ある実施例において、装置もしくは容器は、支持構造体の形態を有する。例えば、容器(114)は、図3に示され、この容器は、コンテナ(118)を包囲及び収容する。支持構造体は、あらゆる適切な形状を有し、この形状により、コンテナを包囲及び/又は収容することが可能である。ある実施例において、支持構造体の形状は、コンテナの形状とほぼ類似する。さらに、コンテナの1以上の壁部は、支持構造体の壁部に適合し、及び/又は、対面する。例えば、全てもしくは一部の支持構造体は、コンテナの1以上の側面部、上部、及び/または底部を包囲する。ある実施例において、コンテナの外部表部面積の少なくとも50%、60%、75%、90%、95%が、支持構造体により包囲されるよう、支持構造体が構成されている。
【0087】
ある実施例において、支持構造体は再利用可能である。支持構造体は、ほぼ剛性を有する材質により形成されている。再利用可能な支持構造体を形成するのに用いられる材質は、以下の材質を含むが、これらに限定されない。材質としては、ステンレス鋼、アルミニウム、ガラス、樹脂含浸処理されたファイバガラスもしくはカーボンファイバ、ポリマー(例えば、高密度ポリエチレン、ポリアクリル酸塩、ポリカーボネート、ポリスチレン、ナイロン、もしくは他のポリアミド、ポリエステル、フェノール性ポリマー、及びこれらの組み合わせがあげられる。支持構造体が用いられる環境において、これらの材質を使用することが認定される。例えば、非放散物質(non-shedding material)は、最小の大きさの粒子生成が必要とされる環境で用いられる。
【0088】
ある実施例において、再利用可能な支持構造体は、工業基準に準じたサイズによるステンレス鋼のバイオリアクタ(もしくは他の標準に準じたリアクタもしくは容器)と略同じの高さ及び直径を有するよう、設計されている。支持構造体は、小容量であるベンチリアクタシステムのサイズに縮小され、設計されてもよい。従って、再利用可能な支持構造体は、あらゆる容量の所望の化学的反応、生化学的反応、及び/又は生物学的反応を行うのに用いられる。多くの実施例において、再利用可能な支持構造体は、コンテナの容量と略同じの容量を有する。他の実施例において、しかしながら、再利用可能な支持構造体は1以上のコンテナを収容するのに用いられる。例えば、単一の再利用可能な支持構造体は、単一のコンテナを支持及び収容するのに用いられ、該単一のコンテナは、支持構造体とほぼ同じ容積を有する。再利用可能な支持構造体は、例えば、1-100L、100-200L、200-300L、300-500L、500-750L、750-1000L、1000-2000L、2000-5000L もしくは5000-10000Lの間の容積を有する。ある実施例において、再利用可能な支持構造体は、1L以上の容積を有し、他の実施例において、再利用可能な支持構造体は、10L、20L、40L、100L、200L、500L、1000L以上の容積を有する。10000L以上の容積も可能である。
【0089】
他の実施例において、しかしながら、本明細書記載の装置もしくは容器は、個々のコンテナ(例えば折畳み式バッグ)及び、支持構造体は有さないが、独立した使い捨て可能なコンテナもしくは再利用可能なコンテナを備える。コンテナは、例えば、プラスティック製の容器であり、ある実施例において、攪拌システムを備える。この攪拌システムは、一体的に、不可逆的に、もしくは取り外し可能に、容器に取付けられている。攪拌システムは、コンテナとともに使い捨て可能である。ある実施例において、このようなシステムは、羽根車を含み、該羽根車は、ポリマーのコンテナに対して溶接もしくはボルトで固定されている。コンテナ及び支持構造体(例えば、継ぎ目のないコンテナ、散布システム、消泡装置など)に関する、本明細書記載の容器の多くの態様もしくは特徴は、独立した、使い捨て可能なコンテナに適用可能である。
【0090】
さらに、装置もしくは容器は、様々なセンサ及び/又はプローブを有し、装置もしくは容器内部の1以上の処理パラメータを制御及び/又は測定するのに用いられる。制御パラメータとしては、例えば、温度、圧力、pH、溶解酸素(DO)、溶解二酸化炭素(DCO2)、混合率及び気体流量などがあげられる。センサは、ある実施例において、光学センサであってもよい。
【0091】
ある実施例において、プロセス制御は、容器、コンテナ、もしくは環境密閉エンクロージャにより構築された無菌バリアを弱めない。例えば、気体流量は、エアフィルタ上流においてロータメータもしくは質量流量メータにより測定及び/又は制御される。他の実施例において、使い捨て可能な光学プローブは、指示染料を含有する素材の「パッチ」が用いられるよう設計されている。このパッチは、使い捨て可能なコンテナの内側表面に取付けられているとともに、再利用可能な指示構造体内部の窓を介して、使い捨て可能なコンテナの壁部に示されている。例えば、溶解酸素、pH、及び/又はCO2はそれぞれ、光学パッチ及び光学センサにより、測定及び制御されている。このパッチ及びセンサは、例えば、ガンマ線が照射可能な、生体適合ポリマーに取付けられていて、このポリマーは、コンテナ表面に密閉、組み込まれる、もしくは、取付けられている。
【0092】
装置もしくは容器は、動作可能に温度調整器に関連付けられている。温度調整器は、例えば、熱交換器、閉ループ状のウォータージャケット、電気毛布、もしくはペルティエ式ヒータがあげられる。容器内の液体を加熱する他のヒータは、当業者には周知であるとともに、本明細書記載の装置を組み合わせて利用可能である。ヒータは、熱電対及び/又は抵抗温度検出器(RTD)を含み、この検出器は、容器内の内容物の温度を感知する。熱電対温度検出器は、動作可能に温度調整器に接続され、容器内の内容物の温度を調整する。任意により、熱伝導材質は、容器の表面に組み込まれ、伝熱面を供給する。このことで、容器の他部分を形成する材質による断熱効果を克服する。
【0093】
装置の冷却は、装置上に取付けられた、閉ループ状のウォータージャケットによる冷却システム、あるいは、装置に関連付けられた、カバー/ジャケットを介して、標準的な熱交換器により行われる。例えば、熱交換器は再利用可能な支持構造体上に有する(例えば、加熱及び冷却を行う、電気毛布あるいはパッケージ化されたデュアルユニットは、加熱/冷却の両方に構成されている装置部品であるが、冷却ジャケットとは分離して配されている。)冷却は、ペルティエ式冷却器により行われる。例えば、ペルティエ式冷却器は、排出管に用いられ、これにより、排出空気における気体を濃縮し、排出フィルタが水に浸ることを妨げる。ある実施例において、低温に冷却される、エチレングリコールもしくは他の液体などの冷却液は、冷却装置内で用いられる。
【0094】
ある実施例において、装置は、気体冷却器を有し、ヘッドスペース及び/又は排出出口を冷却するのに用いられる。例えば、ジャケット冷却、電熱及び/又は化学冷却器、もしくは熱交換器が、排気管及び/又はコンテナのヘッドスペース内で提供される。この冷却により、コンテナへの復水回収が行われ、排出空気フィルタのプラグ及びファウリングを減少させる。ある実施例において、予め冷却された気体をヘッドスペースに一掃することで、露点を低くし、及び/又は、排出空気の水蒸気負荷を低減させる。
【0095】
ある実施例において、センサ及び/又はプローブは、センサ電子モジュールに接続され、モジュールの結果は、端子盤及び/又は継電器箱に送られる。検出操作の結果は、コンピュータ実装制御システム(例えば、コンピュータ)に入力され、様々なパラメータの算出及び制御(例えば、温度及び重量/容積測定)、ディスプレイ及びユーザインターフェースに用いられる。このような制御システムは、電気的システム、機械的システム、及び/又は空気圧システムの組合せを有し、当該システムが熱、空気及び/又は液体を制御する。この熱、空気及び/又は液体は、使い捨て可能なコンテナへと輸送もしくは回収され、プロセス操作の環境パラメータを所望の通りに安定化もしくは制御する。制御システムは、他の機能を実施するが、本発明は、特定の機能もしくは一連の機能に限定されない。
【0096】
本明細書記載の1以上の制御システムは、専用ハードウェア及び/又はファームウェアを用いたり、プログラムされたプロセッサを用いたり、マイクロコードもしくはソフトウェアを用いたりするなどの様々な方法で実施され、これにより、上述の機能もしくは上述のあらゆる適切な機能の組合せを実行する。制御システムは、生物学的、生化学的もしくは化学的反応の1以上の単一リアクタにおける1以上の操作を制御する、もしくは複数の(分離されたもしくは相互接続された)リアクタの操作を制御する。
【0097】
本明細書記載の各システム及び各部品は、様々な技術を用いて実施することが可能である。当該技術としては、ソフトウェア(例えば、C、C#、C++、Java(登録商標)、もしくはこれらの組合せ)、ハードウェア(例えば、1以上のアプリケーション特有の集積回路)、ファームウェア(例えば、電気的にプログラムされたメモリ)もしくはこれらの組合せがあげられる。
【0098】
本発明の様々な実施例は1以上のコンピュータシステム上で実施される。例えば、これらのコンピュータシステムは、Intel社PENTIUM(登録商標)及びXScale、Motorola社 PowerPC、Motorola社 DragonBall、IBM社 HPC、Sun社SPARC、Hewlett Packard社PA-RISC、Advanced Micro Devices (AMD)社のあらゆる種類のプロセッサ、もしくは他の種類のプロセッサなどを用いた汎用コンピュータである。1以上のコンピュータシステムは本発明の様々な実施例を実施するのに用いられている。コンピュータシステムは、例えば、専用プログラム、専用ハードウェア、及び特定用途向け集積回路(ASIC)を含む。本発明の態様は、ソフトウェア、ハードウェアもしくはファームウェア、もしくはこれらの部品で実施される。さらに、このような方法、作用、システム、システム要素及びこれらの組合せは、上述のコンピュータシステムの一部もしくは独立した部品として実装される。
【0099】
ある実施例において、動作可能に本明細書記載の装置もしくは容器に関連付けられた、制御システムは、運搬可能である。制御システムは、例えば、制御システム内の流体操作(例えば、混合及び反応)を実施するのに要する、全てもしくはさまざまな必要な制御及び機能を含む。制御システムは、容器の輸送を促進する支持部と車輪を有する。有利な点として、このような運搬可能な制御システムは、一連の指示がプログラムされている。必要に応じて、システムは輸送されたり(任意により、容器とともに)、容器へ取り付けられたり、従来の流体操作制御システム(例えば、1週間、3日、1日、12時間、6時間、3時間もしくは1時間未満でさえ)よりも短時間で流体操作を実施したりことが可能である。
【0100】
容器を含んだ装置は、1以上の気体源に接続されている。この気体源は、空気、酸素、二酸化炭素、窒素、アンモニアもしくはこれらの混合気体などがあげられる。気体は、圧縮されたり、ポンプで押し出されたりする。このような気体は、適切な増殖及び/又は反応条件を提供するのに用いられ、これにより、容器内に内容物を生成する。気体は、容器内の内容物に対して散布するのに用いられ、これにより、例えば、混合もしくは他の目的を実施する。例えば、散布を行うある実施例において、気泡の大きさとその分布は、容器に気泡を加える前に多孔質表面を経て、気流の入口を通過することで制御することが可能である。さらに、散布表面は、多孔質表面の外表面上で加圧及び減圧(もしくは真空を用いる)を交互に行うことで、粒子もしくは固体(例えば、細胞)分離装置として用いられる。
【0101】
ある実施例において、装置は容器又はコンテナを含んでいるが、該装置は様々な気体供給源と接続しており、入口気体はフィルタ、流量計、及び/又はバルブを任意に通過してもよい。該入口気体は装置に入る前に制御システムによって制御されることもある。バルブは空気圧式アクチュエータ(例えば、圧縮空気/二酸化炭素、又は他の気体によって作動される)であってもよい。該空気圧式アクチュエータは電磁バルブによって制御されてもよい。電磁バルブは端子盤に接続された継電器によって制御されてもかまわない。該端子盤は制御システムに接続されている。端子盤は例えば、PCIの端子盤、又はUSB/パラレル、接続部のファイアポートの端子盤を備えてもよい。他の実施例では、閉鎖型フラッシュバルブは追加ポート、細胞採取、及びサンプリングのためのバルブに用いられる。進歩的な管状ピンチバルブは流れを正確に測定することが可能だが、これも同様に使用可能である。場合によっては、バルブが閉鎖式フラッシュバルブ(例えば、入口ポート、出口ポート、サンプリングポートに用いられる)であってもよい。入口気体は装置の任意の適切な入口に接続されてもよい。ある実施例では、入口気体は1以上のスパージャに関連付けられる。以下に詳細に記載しているように、該スパージャは独立して制御可能である。
【0102】
図3で説明された模範的な実施例で示されているように、コンテナを備える装置は全体の装置(100)の一部として様々な部品と作動可能なように関連付けられる。これに応じて、コンテナ及び/又は支持構造部は複数の付属品を有し、フィルタ、センサ、及び混合器などの機能部品との接続を容易にする。さらに、コンテナ及び/又は支持構造部は液状培地や気体などの試薬を提供する管との接続を容易にする。コンテナ及び付属品は使用前に消毒され、これにより外部の大気汚染から内容物を保護する「滅菌包装材料」を提供する。ある実施例では、コンテナ内部の内容物は再利用可能な支持構造部と接していないため、再利用可能な支持構造部は消毒をせずに、特に化学的、生化学的、及び/又は生物学的反応を行った後に再度利用可能である。一方で、支持構造部に接続されたコンテナ及び/又は付属品は廃棄可能である。別の実施例では、コンテナ、付属品、及び/又は再利用可能な支持構造部は再度利用される(例えば、洗浄後及び消毒後に)。
【0103】
ある実施例では、装置又は容器は、コンテナの内容物を混合する混合システム、及び/又は、コンテナの上部にできた空間で気泡を除去又は減少させる非発泡システムも備える。混合及び/又は非発泡システムは攪拌器又は混合器を含む。ある実施例では1以上の攪拌器又は混合器が用いられる。攪拌器及び/又は混合器が同じ場合もあれば、異なる場合もある。例えば、混合器の電力を増やすために1以上の攪拌システムが用いられることもある。ある実施例では、高さが調節可能な攪拌器があり、その結果、例えば、ドラフトシャフトは、羽根車又は攪拌器をタンク底部より高い位置に上げること、及び/又は複数の羽根車又は攪拌器を用いることを可能にする。容器の混合システムは使い捨てか、又は一度の使用(コンテナとともに)を意図したものであってもよい。
【0104】
流体を混合する様々な方法がコンテナ内で行われる。例えば、磁気作動、スパージング、及び/又は空気揚水ポンプに基づいた混合器が使用可能である。直接的に駆動軸で作動する混合器は密閉され、かつ磁気的に結合していないが、この混合器もまた使用可能である。ある特定の実施例では、米国特許出願第11/147,124号(出願日:2005年6月6日、発明の名称:“Disposable Bioreactor Systems and Methods”、出願人:G. Hodge, et al.)で開示され、米国特許出願公報第2005/0272146号(公開日2005年12月8日)及び、PCT出願(発明の名称:“Gas Delivery Configurations, Foam Control System, and Bag Molding Methods and Articles for Collapsible Bag Vessels”、出願日:2007年6月15日)として公開された混合システムがあるが、各文献は参照されることにより本出願に組み込まれ、該混合システムは本記載の実施例により用いられる。例えば、混合システムは、コンテナ内部、電力調整器、及び/又はモータ制御器の内部に配された羽根車を駆動させるモータを備える。
【0105】
ある実施例においては、複数の(1、2、又は3以上)混合器及び羽根車がコンテナ(折畳み式バッグ)内の内容物を混合させるために用いられる。さらに又はその代わりに、混合システムは高さが調節可能な羽根車、及び/又は羽根の形状が異なる羽根車を備える。例えば、混合器は延出した駆動シャフトを有し、該駆動シャフトにより羽根車をコンテナの底部に対して様々な高さに上げることが可能になる。延出したシャフトにより複数の羽根車を統合させることも可能である。他の実施例において、バイオリアクタシステムはコンテナごとに1以上の攪拌駆動部を含む。該攪拌駆動部により混合器の電力が増す。
【0106】
混合器の効率を高めるために、コンテナは例えば内側のフィルム膜又は突起部などのバッフルを含む。該バッフルはコンテナの内側を横切るように配されるか、又は様々な高さ及び角度で内部表面から延出する。バッフルはコンテナと一体化している限り、ポリマー、金属、又はセラミックなどの任意の適切な材料の形状であってもよい。ある実施例では、可逆的又は不可逆的に折畳み式バッグに取り付けられる。別の実施例では、バッフルは可逆的又は不可逆的に再利用可能な支持構造部に取り付けられる。
【0107】
ある実施例では、駆動攪拌器が直接用いられる。典型的には、攪拌器はコンテナに直接挿入されたシャフト駆動部を有する。場合によっては、シャフトがコンテナから抜け出る位置は殺菌状態で保たれる。例えば、内部及び/又は外部の回転シールは無菌密閉を維持するために用いられ、及び/又は新鮮な熱蒸気が無菌密閉を容易に維持するために用いられる。無菌密閉を維持することにより、シャフトにより引き起こされた、例えば、外部環境や既存気体による汚染が減少するか又は避けられる。
【0108】
別の実施例においては、磁気攪拌器が用いられる。磁気攪拌器は、典型的には固定磁石や永久磁石などの磁石を用いて、例えば羽根車、ブレード、羽根、厚板、円錐形の部品等の攪拌器を回転させるか、さもなければ移動させる。場合によっては、磁気攪拌器内部の磁石は固定されるとともに順に作動可能で、これにより内部の磁性羽根車のハブを介して攪拌器等を加速させるか又は減速させる。シャフトがコンテナを貫通していないため、例えば、内部及び/又は外部の回転シール、新鮮な熱蒸気などを用いて、攪拌器を無菌状態で維持する必要はない。
【0109】
さらに別の実施例では、電気機械の高分子攪拌器が用いられる。該攪拌器は例えば、電気機械高分子基の羽根車を備える。該攪拌器は「パドリング」によって自らを回転させる。該「パドリング」は、即ち、攪拌器が機械的に羽根をはためかせて攪拌器又は羽根車を動かす、即ち、回転させながら動かす。
【0110】
ある実施例において、混合システムとして、及び/又は非発泡システムとして使用可能な装置が図4乃至図6に記されているが、これら装置の実施例は具体的に限定されるものではない。他の配列も可能であるが、図示された装置は磁気駆動の羽根車を含む。これらの磁場配位において、モータは直接、羽根車には接続されない。駆動ヘッドに関連付けられる磁石は、羽根車のハブに関連付けられる磁石と一直線上に並ぶことが可能である。これによって、駆動ヘッドが磁気相互作用を介して羽根車を回転させることが可能となる。場合によっては、モータ部(及び他のモータに関連付けられる部品)は支持構造部上に取り付けられることもある。
【0111】
図4Aで説明された実施例で示されているように、具体例としてのシステムは一般的に、その低位部のコンテナの壁部(402、例えば折畳み式バッグ)に部分的に取り付けられた羽根車の支持構造部(400、例えばベースプレート又は羽根車プレート)、羽根車のハブ(404)、モータ(406)、モータシャフト(408)、及び駆動ヘッド(410)を備える。羽根車の支持部は以下の適切な技術を用いて、コンテナの壁部に取り付けられてもかまわない。該技術とは、例えば2つの羽根車支持部の2つの部分をともに熱溶接すること、コンテナの壁部をそれらの間で又は壁部上で挟むこと、又は記載されている以外の方法を用いることである。一例として、コンテナの壁部にある開口部は、羽根車の厚板の中央部がコンテナ外部から内部へ(又はその逆)延出可能なように用いられる。その後、シーリングリング(図示せず)を羽根車の支持部の外周に付着させるか、又はコンテナを直接、前記外周に溶接させて、これらによってコンテナの壁部をそれらの間で密閉してもよい。他の実施例として、コンテナの壁部内の小型の開口部を用いて、開口部よりわずかに大きな羽根車の支持部の外周縁を備えるシールが形成されてもかまわない。他の実施例においては、羽根車の支持部の少なくとも一部はコンテナの壁部に埋め込まれるか、及び/又は羽根車の支持部及びコンテナは同時に組み立てられる(例えば、回転成形、射出成形、又はブロー成形によって)。
【0112】
ある実施例においては、1以上のスパージャは羽根車の支持部と関連付けられる。該羽根車の支持部は空気や他の気体をコンテナ内部へ方向付けるために用いられる。場合によっては、スパージャは多孔、微孔、又は限外ろ過部品(409、例えば、スパージャ部品)を備えてもよい。スパージャを用いることにより、注入される気体又は流体がコンテナ内部へ及び/又は外部へ出入り可能となってもよい。これは、気体供給源との接続のためにスパージャが特定の寸法で作られることによってなされる。該接続は管(411)を介して行われる。上記のようなスパージャ及び/又は流体の追加又は除去は、場合によっては、混合システムとともに(例えば、羽根車のハブの回転)用いられてもかまわない。スパージングシステムは、以下に詳細に記載されている。
【0113】
図4Aで説明されている実施例において、羽根車の支持部の内側にはシャフト又は柱(412)を備えてもかまわない。羽根車のハブ(404)内の中央開口部(404)は該シャフト又は柱(412)を収容する。羽根車のハブが羽根車の支持部の表面上方でわずかな距離(405)をおいて維持され(物理スペーサを用いて)、それらの間の摩擦を避ける。低摩擦材料が羽根車のハブの製造において用いられ、羽根車のハブと柱の間の摩擦を最小化させる。別の実施例においては、1以上のベアリングが摩擦を減らすために含まれる。例えば、ある実施例では、羽根車の支持部と柱の間の摩擦を減少させる又は避けるために、羽根車のハブはベアリング423−A(例えば、ローラーベアリング、ボールベアリング、根軸のボールベアリング)、スラストベアリング、レースベアリング、ダブルレースベアリング、レイジースーザン式ベアリング、又は他の適切なベアリングを備える。さらに、駆動ヘッドは、ベアリング(423−A)と同じか又は異なるベアリング(423−B)及び/又は物理スペーサ(424)を備え、駆動ヘッドと羽根車の支持部との間の摩擦を減少させる又は避けてかまわない。
【0114】
羽根車のハブは同様に1以上の磁石(414)を備えてもよい。該磁石(414)はハブの周辺又は他の任意の適切な位置に配されてもよい。また、磁石(414)は駆動ヘッド(410)上に提供された磁石(416)の位置と一致してもかまわない。磁極は、羽根車のハブの磁石と駆動ヘッドの磁石との間の磁気引力量が増すような形で配置される。
【0115】
駆動ヘッド(410)はモータ(406)のシャフト(408)上の中央に取り付けられる。羽根車のハブもまた1以上の羽根車のブレード(418)を備えてもよい。場合によっては、羽根車内に埋め込まれた磁石が、溶液やスラリ、又は粉末から鉄粒子又は磁性粒子を取り除くために用いられることも可能である。
【0116】
混合システムのさらなる実施例は米国特許出願第11/147,124号(出願日:2005年6月6日、発明の名称:「Disposable Bioreactor Systems and Methods」、出願人:G. Hodge, et al.)で詳細に記載され、米国特許出願公報第2005/0272146号(公開日:2005年12月8日)として公開されている。該特許公報は参照することにより本出願に組み込まれるものとする。
【0117】
図4Bは機械的に駆動する羽根車を有する他の実施例を例証している。図示されているように、この実施例は羽根車の支持部(450)、シャフト(455)を有する羽根車のハブ(454)、及びシャフト(458)を有する外部モータ(456)を備える。羽根車のハブのシャフトとモータのシャフトとの間のシャフトの接続は、当業者によく知られた方法でなされる(例えば、ギアボックス、ヘックスドライブなどで)。
【0118】
羽根車の支持部は、例えば、その下位部でコンテナの壁部(402)の側部に取り付け可能である。羽根車の支持部はここで記載される任意の方法によってコンテナの壁部に取り付けられてもかまわない。以下に記載のごとく、多孔、微孔、又は限外ろ過部品(409)も同様に本実施例に含まれてもよく、これによって、注入される気体又は流体のバイオリアクタへの出入りが可能になる。図4Bで例証されている実施例において、羽根車のハブのシャフトは羽根車の支持部(450)内で中央に配されたシール(462、場合によってはベアリングも含む)内に収容されてもかまわない。シールは容器の内容物の汚染を防ぐか、又は汚染を減少させるために用いられる。羽根車支持部と柱の間の摩擦を減らすために、羽根車のハブは羽根車の支持部の表面上にわずかな距離を置いて維持されることも可能である。羽根車のハブは1以上の羽根車のブレード(468)、又は羽根、厚板、円錐の部品等の他の適切な混合構造を備えてもよい。これら部品を駆動ヘッドと羽根車の支持部の間で垂直及び平行に、慎重にかつ近接するように配することにより、記載されている混合装置に大きな利益をもたらすことが可能である。
【0119】
図5を参照すると、羽根車に磁気的に結合された駆動ヘッドの1つの実施例が略式的に示されている。図5では、羽根車の支持部(501)を有するシステム(500)の断面図が示されているが、システム(500)はほぼ水平な部分(504)を備える。該水平な部分(504)からは、ほぼ垂直な羽根車のシャフト(508)が羽根車(509、中心510及びブレード511を含むこともある)を支持するように上方へ延出する。羽根車(509)はシャフト(508)を軸に回転する。この回転はベアリング(507)によって任意に促進される。該ベアリング(507)は、ローラーベアリング、ボールベアリング(根軸のボールベアリング)、スラストベアリング、レースベアリング、ダブルレースベアリング、レイジースーザン式ベアリングのような任意の適切なベアリング、又は他の適切なベアリングであってもよい。羽根車の支持部(501)は駆動ヘッドの位置合わせ部品(512)を備え、例証されている実施例において、該位置合わせ部品はほぼ垂直に下方向に垂れ下がった隆起部である。該隆起部は駆動ヘッド(516)の一部が挿入可能な円形凹部を形成する。駆動ヘッドが羽根車の支持部と係合する際に、駆動ヘッドが羽根車(509)と比べて所定の所望の位置に置かれるようにガイド部品(512)は配される。ある配置において、ガイド部品(512)が羽根車の支持部と係合する際に、ガイド部品は羽根車(509)に対して駆動ヘッドが中心にくるよう合わせる。さらなる任意の実施例として、物理スペーサ(520)が駆動ヘッド(516)と羽根車の支持部の底部表面(524)との間に提供される。該支持部の底部表面は、駆動ヘッドが羽根車の支持部に対して理想的に配された位置で駆動ヘッドの上部表面(526)の一部と位置を合わせる。(520)は、羽根車の底部表面(524)を駆動ヘッドの上部表面(526)と所望の距離だけ物理的に引き離す。しかし、上部表面(526)と底部表面(524)との間の少なくとも一部は、駆動ヘッド及び羽根車の支持部との間で断続的、物理的に接続する(空気や同様の気体の空間が存在しない)。これにより、駆動ヘッドの羽根車に対する誤差が他の従来の配置で実現されるよりも一層小さくなることが可能になるとともに、駆動ヘッドと羽根車支持部との係合が再生可能となり安定化する。場合によっては、駆動ヘッドは凹部(528)を備え、(520)の少なくとも一部がこの凹部に挿入可能である。この配置により、駆動ヘッドとの係合が再生可能となり安定化する。
【0120】
羽根車の支持部の底部表面と駆動ヘッドの上部表面は距離(521)によって離されてもよい(例えば、を用いて)。ある実施例では、距離(521)は羽根車の支持部のほぼ水平な部分(504)の平均的な厚み(530)の50%と同じくらいの大きさである。別の実施例では、この距離は羽根車の支持部の厚みの40%、30%、20%、10%、又は5%にすぎない。
【0121】
実施例によっては、(520)は、羽根車の支持部のほぼ水平な部分(504)の平均的な厚み(530)の50%と同じくらいの厚みである。他の実施例においては、この厚みは羽根車の支持部の40%、30%、20%、10%、又は5%の厚みに過ぎない。
【0122】
実施例のある組み合わせにおいて、(520)は、羽根車の支持部に対して駆動ヘッドの回転を促進するベアリングである。(520)がベアリングである場合、ローラーベアリング、ボールベアリング(根軸のボールベアリング)、スラストベアリング、レースベアリング、ダブルレースベアリング、レイジースーザン式ベアリングなどの任意の適切なベアリングを選択することも可能である。
【0123】
図5で例証されている実施例では、駆動ヘッドは正常な作動中にシャフト(508)に対して水平方向にわずか5mmしか位置を変えず、又は別の実施例では、4、3、2、1mmしか位置を変えない(正常作動中には0.5mm又は0.25mm)。図5で例証されている配置を用いた実施例において、駆動ヘッドは同様に羽根車の支持部の底部表面(524)に対してわずか10mm、1mm、0.5mm、0.25mm、0.1mm、又は0.005mmだけしか距離を変えない。
【0124】
特に(520)が用いられる実施例における図5の配置は、羽根車の支持部(501)が受け取る他の物理的な支持に加えて、羽根車の支持部(501)に物理的な支持を与える。上記支持を与えることは、羽根車を備える折畳み式バッグ(例えば、混合器及び/又は非発泡装置)において特に有効である。
【0125】
任意の羽根車の支持部(501)は、羽根車のブレードの下に配されたスパージャ(540)を備える。スパージャは1以上の気体供給源と接続するために寸法を合わせることが可能である。例えば、ポートを備えてもかまわない。該ポートは1以上の気体供給源と流体連通する管(542)と接続可能である。
【0126】
ここで例証されている図は、コンテナの底部分、又は底部分近傍に配された羽根車を示すが、他の実施例においては、羽根車はコンテナ内部の任意の適切な場所、例えば、コンテナの中心近傍又は上部近傍に配されることが可能である。これは、羽根車を支持するシャフトの長さを延出させることにより、又は他の任意の適切な配置により実行可能である。羽根車の容器内での位置は容器内で行われる工程次第である。例えば、スパージングが要求される実施例では、羽根車はスパージャの近傍に配され、その結果、羽根車がコンテナに挿入される気泡を一掃する及び/又は管理することが可能となる。さらに、ここで記載された図はシャフトと関連付けられる単一の羽根車を示すが、1以上の羽根車が実施例では使用可能である。例えば、シャフトと結合した第1の羽根車はコンテナ底部近傍に配され、シャフトと結合した第2の羽根車はコンテナ中心近傍に配される。第1の羽根車は注入された気体を十分に一掃し、第2の羽根車はコンテナ内部の内容物を適切に混合させる。
【0127】
ある実施例では、羽根車の支持部は折畳み式バッグに容易に固定可能なように特殊設計される。折畳み式バッグに取り付けられた羽根車の公知の配置は、折畳み式バッグの羽根車支持部への非理想的な取り付け、又は上記取り付けのための非理想的な技術、又はその両方に起因する欠点を持つ。図5で例証されている実施例で示されているように、羽根車の支持部は羽根車がその上で回転するシャフトとほぼ垂直な基盤を有する。該基盤は、特定の平均的な厚みの第1部分(534)、及びバッグへの取り付けを容易にするために第1部分よりも薄く、可撓性の多い任意の第2の周辺部分(536)を有する。第1部分の厚みは全体の厚みの横断面として定義される。該全体の厚みの横断面は任意地点で第1部分によって定められる。第1部分が様々な厚みの波状構造又は他の構造を備える場合、ここで議論されている厚みはもっとも厚い部分として定義される。ある実施例の第2の周辺部分は、折畳み式バッグの構造と同様か、又は原則的に一致する構成物を形成し、折畳み式バッグの厚みと同様の厚みを提供する。別の実施例では、第2の周辺部分は折畳み式バッグの構成物とは異なる構成物によって形成される。例えば、別の実施例では、第1部分は低密度のポリエチレンで形成され、第2部分は高密度のポリエチレン、ポリプロピレン、シリコン、ポリカーボネート、及び/又はポリメタクリル酸で形成される。
【0128】
混合システム(500)が関連付けられる容器は、システムが容器内の内容物の重みで破損したり、曲がったり、及び/又は崩壊したりしないようにシステムの一部を支持する。上記のものとして、第1部分(534)及び/又は第2部分(536)は適切な平均的厚みを有している。該第1部分(534)及び/又は第2部分(536)は適切な材料で形成され、その結果、一方又は双方の部分が、使用中に又は容器内に詰め込まれた内容物の重みを受けながら、羽根車のシャフト及び/又は支持構造部そのものを適切に支持することが可能である。ある実施例では、容器の大きさ及び設計次第で、支持部(例えば、再利用可能な支持構造部の形状である容器114)は領域(554、例えば、第2部分)下で支持領域(554)に延出し、領域(550)を支持せずに容器の外部にある大気(20)に晒したままにする。上記実施例では、第2部分(536)は強固で、及び/又は十分に丈夫な材料で形成される。他の実施例では、容器は領域(554)と(550)の両方の領域下に延出する。ある実施例では、システムは、システム強度の大部分が第1部分(534)の領域(550)に起因するよう設計されている。したがって、第1部分(534)は強固で、及び/又は十分に丈夫な材料で形成される。一方で、第2部分(536)は可撓性を有し、及び/又は容器内に詰め込まれた内容物の重みに耐えかねて自らを支持できない。別の実施例では、第1部分と第2部分の両方が容器内に詰め込まれた内容物の重みを受けながらも自らを支持可能である。
【0129】
羽根車の支持部の周辺部分の厚み、及び折畳み式バッグ(540)の壁部の厚みは、取り付け前では100%を超えない範囲で異なる。又は、他の実施例では、80%、60%、40%、20%、又は10%を超えない範囲で異なる(例えば、バッグの壁部と周辺部分の間の大きな厚みのパーセンテージとして)。羽根車の支持部の周辺部分の厚み、及び使い捨てのバッグ(少なくとも羽根車の支持部に取り付けられた部分)の厚みは、類似した(又は適合する)材料から作られるとともに、同様の厚みである。羽根車の支持部をバッグに接続させることは容易に再生可能な方法で促進され、及び製品を用いても促進可能である。該製品は、厚み及び、バッグが羽根車支持部の取り付け部分へと移行する際に生じる著しい不規則性の影響を受けない。ここで記載されている通り、バッグと指示部を接続させることは、例えば、成形及び溶接(例えば超音波又は熱溶接)を備える適切な方法によってなされる。
【0130】
ある実施例では、入れ換え可能なブレードを有する羽根車は、ここで記載されている装置とともに用いることが可能である。図6はハブ(572)を備える羽根車(570)を示している。該ハブ(572)は一般的には環状の外周を有してもよく、中心通路(576)を備えてもかまわない。羽根車のシャフト又は柱(図示されず)は該中心通路内部に存する。ハブ(572)は1以上のスロット(578)を備える。別の実施例では、該スロット(578)内部には、1以上の羽根車のブレード(580)が入れ換え可能なように挿入される。図示されているように、1つのスロット(578)がブレードを収容せずに描かれているとともに、1つのスロット(578)が羽根車のブレードを収容して描かれている。ブレード及びブレードスロットは非常に図式的に描かれており、当然のことながら、異なる大きさ、形状及び、ブレードとスロットのピッチがここで記載されている様々な混合目的のために当業者によって選択可能であることは当業者には明白である。以下の任意の技術によって本発明に従うとともに本発明を適切に使用するために十分なほど、ブレード(580)気体ロット(578)内部に配されるとともに強固に固定可能である。該技術は例えば、摩擦調整、圧入、戻り止め機構、クリッピング及びクリップリリースの配置、ねじ留め、ペグ、クランプ、又は上記のようなもの、溶接(例えば、熱及び超音波溶接)、及び接着剤の使用を含む。
【0131】
図6で例証されているような本発明の入れ換え可能なブレードの配置により、異なるブレードが混合/回転装置内の単一のハブとともに用いられることが可能であり、その結果、該装置が様々な目的のために用いられたり、又は様々な回転速度、トルク、混合プロファイルなどを備えたりすることが可能になるという利点をもたらす。例えば、第1サイズのブレード又はピッチを第2サイズのブレード又はピッチに置き換えることが可能であり、これによって、大型又は小型のシヤー、エアレーション、混合、又は当業者によりその類のものとして理解されるものを作り上げる。入れ換え可能なブレード(例えば、飛行機のプロペラのブレード)は様々な分野で公知である一方で、ここに記載されているような折畳み式バッグ装置内の入れ換え可能なブレードは、当該技術分野の知識に基づいて発見されるとは予想されていなかったとみられる。なぜなら、上記のようなバッグは、溶解を防ぐためにシヤーの限界以下で混合されなければならない細胞を含む培地のために、又は高濃度のシヤーに耐えうる他の材料を含む培地のためにのみ、通常は用いられてきたからである。しかしながら、ここで記載されているように、折畳み式バッグの装置は複数のブレードを用いて準備可能であるとともに、2以上の混合プロファイルのどちらか、又は両方を用いて提供可能である。
【0132】
場合によっては、羽根車(実施例によっては、駆動ヘッドと羽根車の磁気的結合を介して)は、モータによって駆動される。該モータは逆方向に回転することも可能であり、及び/又は回転スピードに関して微調整することも可能である。回転方向の逆転により、様々なエアレーション/スパージャのプロファイルなどを生成する際に重要な利点をもたらす。さらに、羽根車の速度の微調整により、エアレーション/スパージング(散布)、シア(sheer)、又はその類の正確かつ制御可能な程度、及び/又は均衡を可能にする。これは混合のための様々な培地、特に細胞を含む培地に関連して非常に有効であるように決定されてきた。上記のような実施例により、羽根車の回転速度を再現可能かつ制御可能に調節できるようになる。該羽根車の回転速度は、羽根車の最大の総回転速度の10%から90%の間の回転速度領域により、プラスマイナス5%、又はそれ以下に達する。他の実施例においては、本速度の4%、3%、2%、又は1%の回転調整は促進される。1つの装置においては、これら態様はサーボモータを用いることにより実現化される。
【0133】
本明細書で記載されている羽根車システムにより、システムは液体や固体、又は任意の種類の気泡を混合することが可能である。例えば、コンテナ内部の液体は混合され、栄養の分布及び細胞の成長に用いる溶解気体を提供する。同じ使い捨てのコンテナは、バッファ及び培地、又は溶液を混合するのに用いられてもかまわない。該溶液は使い捨て製品の所望の接触面を含む。このことは、容器が殺菌されたり、無菌状態を維持したりする必要のない応用例も含む。さらに、ここで記載されている実施例により、流体/混合物/気体を保持するコンテナが、再利用可能な支持構造部から取り外されるとともに廃棄されることが可能となる。その結果、再利用可能な支持構造部は、コンテナ内部で混合された流体によって汚されることはない。それゆえ、再利用可能な支持構造部を使用後に毎回清浄したり消毒したりする必要はない。
【0134】
ある実施例では、複数のスパージャ(スパージング部品を含む)は気体の様々な供給源と接続するために必要な大きさで作られ、及び/又は独立して制御されてもかまわないが、該スパージャはここで記載された装置に関連付けられる。気体の種類、スパージャの数、及び装置内で用いられるスパージャの種類と形状は(例えば、バイオリアクタシステム、又は生化学/化学反応システム)、実行される特別な工程(例えば、好気性反応対嫌気性反応)、毒性の副産物の液体からの除去、反応のpH調整などに部分的に左右される。ここで記載されている実施例と関連して以下に詳細に記載されているように、システムは様々な気体に対する異なるスパージャを備え、該気体は化学的、生化学的、及び/又は生物学的反応を引き起こす様々な機能を有する。例えば、細胞培養のためのバイオリアクタシステムは、様々な種類の気体を備える。該気体は、例えば、培養液中に溶解した酸素量を調整する「溶解酸素(DO)の調整気体」、培養液中の毒性副産物の量を調整する「ストリップ気体」、及び培養液中のpHを調整する「pH調整気体」が挙げられる。各種類の気体は、独立して作動及び調整される様々なスパージャを用いて培養液中に注入される。上記のようなシステムはプロセス制御を高速にするとともにプロセス制御変動を少なくする(例えば、DO調整気体、ストリップ気体、及びpH調整気体を混合してリアクタに注入される1つの気体流とするシステムと比較する)ことが有益な点である。ここで記載されているバイオリアクタ内で行われる化学的、生化学的、及び/又は生物学的反応は、気体の消費量も削減する。気体の消費量が少なく済むため、高価な気体のための費用を削減でき、及び/又は総気体流量も減らすことができる(例えば、ストリップ気体)。また、該気体消費量の減少により、気泡の発生を減らし、及び/又は必要な入口気体の細菌濾過器の大きさを縮小させることが可能である。
【0135】
ある実施例において、ここで記載されている装置及び容器はバイオリアクタシステムの一部分である。ある種類の細胞培養法に用いられるバイオリアクタでは、細胞は成長して分裂するために、糖分、窒素源((アンモニア(NH3)又はアミノ酸のような))、様々な塩分、微量金属、及び酸素のような栄養分を必要とする。他の栄養分のように、酸素がリアクタ中に等しく均一に分配されることは、同一の細胞の成長をもたらすために必要不可欠である。酸素の分配が不足すると、酸素を奪われた細胞にくぼみが形成される。これにより、成長は遅れ、細胞の代謝は変質し、又は細胞が死に至ることすらある。細胞が副産物を作るよう設計された応用例では、酸素欠乏が副産物構造の量及び質に重大な影響を与えかねない。細胞に有効な栄養分の量は常に流体中の栄養分の濃度に部分的には左右される。糖分、窒素源、塩分、及び微量金属は流体中に溶解しやすく、それゆえ、過多になるとともに容易に細胞に適用可能である。他方では、酸素は比較的難溶性で、又は水に「溶解」しにくい。さらに、細胞の発育に必要な高温に加えて塩分が存在するため、溶解酸素濃度はさらに低下する。上記のことを埋め合わせるために、絶えず安定して酸素を流体へと運ぶ(例えば、ここで記載されている1以上のスパージャを用いて)急速溶解した酸素センサーシステムを用いて、急速かつ均一にバイオリアクタ内で分配させてもかまわない。これにより、酸素欠乏が低下し、又は防止される。
【0136】
培養流体中に入り込む気泡により酸素の運搬は重要な管理パラメータであるので、気体運搬システムの一定の反応時間も同様に重要である。ある実施例では、細胞集団の密度が高まるにつれて、豊富なDO調整気体に酸素を供給する気体処理システムの反応速度はますます重要になってくる。これに応じて、ある実施例では、ここに記載されているシステムが1以上のセンサを備える。該センサは多くの酸素(又は他の気体)の必要性を探知するDOセンサ、気体制御装置、及び1以上のスパージャである。該スパージャは、例えば、N2/O2/空気の調整気体を用いて余分な酸素で培養物を満たすよう信号を送ることが可能である。この濃縮された気体がリアクタに到達する時間が遅れると、DOが減少し酸素欠乏に至る可能性があるので、ここで記載されているシステムはセンサ間の制御フィードバックループ、気体制御装置、及びスパージャを備えてもよい。したがって、酸素含有調整気体(例えば、N/O/混合空気)が反応し、均一に供給及び分配され、制御された予測可能な細胞の成長及び副産物の形成のために用いられる。スパージャ及び/又は気体組成を独立で制御することが可能な本記載のシステムは、異なる気体をコンテナにスパージングする前に気体が押し出される必要があるシステムと比べると、有利である。
【0137】
さらに、圧縮空気及び圧縮酸素をリアクタに供給するのはコストがかさむため、あるシステムが実施される。該システムは十分な酸素のみを濃縮した空気を提供し、その結果、気泡がコンテナのヘッドスペースに奪われる(及び、排気ラインを介して失われる)ことがなくなる。これは例えば、システムで用いられる他の気体(例えば、ストリップ気体及び/又はpH調整気体)から独立して調整気体の量及び流速を制御することによってなされる。
【0138】
いかなる理論の制約も受けることなく、空気、純酸素、混合気体からバイオリアクタの流体に酸素を運搬する速度は、流体中の気泡の総表面領域量に直接的に関連していると信じられている。したがって、大型の気泡は超小型の気泡の細かな霧状よりも小さな総表面領域を備える。このため、本発明の実施例では、調整気体は微孔性のスパージャを介して提供され、超小型の気泡を形成する。微孔性のスパージャは以下のサイズ(平均的な直径)の開口部を備える。該開口部のサイズは、例えば、500ミクロン以下、200ミクロン以下、100ミクロン以下、60ミクロン以下、50ミクロン以下、40ミクロン以下、30ミクロン以下、20ミクロン以下、10ミクロン以下、3ミクロン以下、約1ミクロン以下、又は0.1ミクロン以下である。ある実施例において、ミクロポーラスのスパージャは0.1ミクロンから100ミクロンの大きさの開口部を有している。当然のことながら、大きな開口部を有するスパージャも同様に用いられる。例えば、スパージャは0.1mmから10mmの大きさの開口部を有しても構わない。開口部の大きさは100ミクロン以上、200ミクロン以上、500ミクロン以上、1mm以上、3mm以上、5mm以上、7mm以上、又は10mm以上であっても構わない。開口部は任意の適切な断面形状を有してもよい(例えば、円形、長円形、三角形、不定形、四角形、長方形、又は類似するような形状)。様々な大きさの開口部の組み合わせを有するスパージャはここで記載される容器内に組み込まれることが可能である。
【0139】
さらに、細胞の順調な成長及び代謝制御は、例えば、二酸化炭素、アンモニア、及び揮発性有機酸などの細胞成長の毒性副産物の除去次第である。二酸化炭素は水に非常に溶解しやすく、細胞への有毒作用を悪化させることがある。これら副産物はストリップ気体を用いて培養物に気体を供給することにより培養液から「揮散」させることが可能である。これに応じて、ストリップ気体及び気泡が培養物から(及び、例えば、排気口から)漏れ出るために十分に高い流速で注入されるストリップ気体を均一に分配することは、細胞の成長及び/又は副産物の生成に重要である。これらのパラメータはシステムで用いられる他の気体(例えば、調整気体及び/又はpH調整気体)から独立してストリップ気体用の別のスパージャを用いて制御される。
【0140】
ある実施例において、ストリップ気体は、0.1mm及び10mmの大きさの開口部を有するスパージャを用いてコンテナに注入される。例えば、開口部の大きさは100ミクロン以上、200ミクロン以上、500ミクロン以上、1mm以上、3mm以上、5mm以上、7mm以上、又は10mm以上であってもかまわない。上記のような開口部の大きさにより比較的大きな気泡がコンテナの液体を介して通過することが可能になる。これによって、コンテナのヘッドスペースに大量の気泡を作ることなく、液体から毒性副産物を取り除くことが可能である。
【0141】
実施例によっては、pH調整気体はバイオリアクタシーシステム内の流体中のpHを調整する(増加又は減少)ために用いられる。例えば、二酸化炭素は溶液のpHを増加させるために用いられ、アンモニアは溶液のpHを減少させるために用いられる。ある実施例では、pH調整気体は二酸化炭素、アンモニア、又はpHを調整する他の気体を備える。別の実施例では、反応流体中のpHは、pH(例えば、CO2)を増加させる作用物質を含む第1スパージャ及び、pH(NH3)を減少させる作用物質を含む第2スパージャによって調整される。
【0142】
1以上のpH調整気体は、システムに関連付けられたpH調整センサからの信号を受けてバイオリアクタシステムのコンテナに加えられる。pH調整気体は独立して作動し、酸素必要量(例えば、DO調整気体)又はストリップ気体システムに干渉されることはない。pH調整気体は様々な大きさの開口部を有するスパージャを用いることによりコンテナへと注入される。
【0143】
他の実施例においては、通常酸素を必要とせずに成長する細胞、又は酸素の影響を受けやすい細胞は、培養物から酸素が除去されることを必要とする。このような媒養物へ窒素気体は均一かつ制御されて分配され、細胞の適切な成長及び生成物の組成を制御するために用いられる。
【0144】
上記のように、ここで記載された実施例の中で、空気、CO2、O2、N2、NH3及び/又は溶解酸素のような気体はコンテナ内部にスパージングされる。場合によっては、例えば、スパージングが急速に活性化するか又は必要に応じて変化するように、スパージングは制御可能である。複数のスパージャが用いられる場合もある。例えば、ある実施例においては、様々な気体組成が複数のスパージャを用いてコンテナに注入される。該複数のスパージャは、例えば、第1の気体組成のための第1スパージャ、第2の気体組成のための第2スパージャ、第3の気体組成のための第3スパージャなどが挙げられる。気体は組成及び/又は濃度が異なる。ある特定の実施例として、第1気体組成はCO2が5%の空気を備え、第2気体組成はCO2が10%の空気を備える。他の実施例では、第1気体組成はO2を備え、第2気体組成はN2を備える。さらなる他の実施例では、第1気体組成は調整気体を備え、第2気体組成はストリップ気体を備え、及び第3気体組成はpH調整気体を備える。当然のことながら、気体のその他の組み合わせも同様に可能である。場合によっては、複数のスパージャは高速な応答を可能にするために有用である。なぜなら、例えば、コンテナに注入される気体組成は活性化させることによって急速に変化するからであり、複数のスパージャは単一で及び/又は組み合わせて用いられるからである。ある特定の実施例として、コンテナに注入される気体は、第1気体から(第1スパージャを介して)第2気体に(第2スパージャを介して)、及び/又は第1気体と第2気体の組み合わせ、又は第2気体と第3気体との組み合わせ等へ急速に切り替え可能である。それぞれの気体の流速も互いに独立して変えることができる(対照的に、単一のスパージャの場合、組成の変化は新しい組成がコンテナ内部に注入される前にスパージャに到達することを必要とする)。さらに、複数のスパージャを用いることにより、必要に応じて、特定の種類の気体、例えば、ストリップ気体、DO調整気体、pH調整気体、空気、CO2、O2、N2、NH3又は他の適切な気体に対するスパージャをカスタマイズすることが可能になる。
【0145】
スパージングは断続的に、周期的に、場合によっては、例えば、バイオリアクタシステム内部及び/又はコンテナ内部の特定の事象に応えて実行される。例えば、上記のように、スパージャは1以上のセンサ及び制御システムに接続されている。該制御システムはスパージング量、気泡の程度、コンテナ内の物質の量又は濃度を測定するともに、1以上の気体組成のスパージングを開始し、減少させ、または増加させることによって反応する。
【0146】
ある特定の実施例においては、装置又は容器(例えば、生物学的、生化学的、又は化学的反応をもたらすリアクタシステムの一部として)は、多量の液体を含む形状をしているとともに、液体を収容するための少なくとも2リットル(又は他の適切な容量)の容量のコンテナ(例えば、折畳み式バッグ)を備える。容器は任意でコンテナを囲むとともに収容する支持構造部を備える。さらに、容器は第1スパージャを備える。該第1スパージャはコンテナと流体連通する第1気体組成の供給源に接続された又は接続されるよう必要な寸法に合わせられる。
容器は第2スパージャをさらに備える。該第2スパージャは、コンテナと流体連通する第1気体組成とは異なり、第2気体組成の供給源に接続された又は接続されるよう必要な寸法に合わせられる。容器は制御システムをさらに備える。該制御システムは第1及び第2スパージャと動作可能なように関連付けられるとともに、上記スパージャを互いに独立して作動させるよう形状が決められている。当然のことながら、第3、第4、第5のスパージャ、又は多数のスパージャ(例えば、10以上、又は20以上)は、例えば、コンテナの大きさによっては含まれることも可能である。実施例によっては、容器は羽根車とベースプレートを含む混合システムをさらに備え、前記第1及び第2スパージャが前記ベースプレートと関連付けられることを特徴とする。容器は装置の一部であり、該装置は少なくとも部分的には容器を囲むとともに、任意で容器に取り付けられた1以上の環境密閉エンクロージャ(外殻体:enclosure)を備える。ある特定の実施例においては、第1気体組成は空気を備えるとともに、第2気体組成はO2及びN2を追加した空気を備える。追加のスパージャが含まれる場合、スパージャはN2、CO2、NH3、及び/又は他の任意の適切な気体を備える気体の供給源に接続可能である。
【0147】
他の模範となる実施例において、多量の液体を収容するよう形状が決められた装置又は容器は、液体を収容するコンテナ(例えば、折畳み式バッグ)、及び折畳み式バッグを囲むとともに収容する支持構造部を任意で備える。容器はコンテナに接続された第1スパージャを含み、第1スパージャは第1開口部の大きさを有し、第1スパージャの少なくとも一部が第1気体組成の供給源と接続するよう特定の寸法に合わせられることを特徴とする。容器はコンテナに接続された第2スパージャをさらに含み、第2スパージャは第2開口部の大きさを有し、第2スパージャの少なくとも一部が第2気体組成の供給源と接続するよう特定の寸法に合わさせられることを特徴とする。第2気体組成は第1気体組成と同一か又は異なる組成をしている。実施例によっては、バイオリアクタシステムの一部である。あるいは、容器は生化学/化学反応システム、又は混合システムの一部であってもかまわない。容器は第1及び第2スパージャと動作可能なように関連付けられるとともに、互いに独立して前記スパージャ(又はそれとともに関連付けられる気体)を作動させるよう形状が決められてもかまわない。容器は適切な数のスパージャ(10以上、又は20以上のスパージャ)を含み、コンテナは任意の適切な体積を有していてもかまわない(例えば、2リットル、10リットル、20リットル、40リットル、又は100リットル以上)。第1及び/又は第2気体組成は、例えば、N2、O2、CO2、NH3又は空気を備える。例えば、ある実施例において、第1気体は空気を備え、第2気体はO2とN2を追加した空気を備える。第1開口部の大きさは第2開口部の大きさよりも大きい。例えば、第1開口部の大きさは0.1mmから10mmの間で、第2開口部の大きさは0.1ミクロンから100ミクロンの間であってもよい。
【0148】
スパージャに関連付けられる開口部は適切な材料で形成可能である。例えば、ある実施例において、多孔性ポリマー材料は気体を材料の一方の側から他方の側に運搬することを可能にするスパージング部品として用いられる。開口部は金属、セラミック、ポリマー、及び/又はそれらの組み合わせのような他の材料からなることも可能である。微細孔又は開口部を有する材料は適切な形状を備える。例えば、材料は編みこまれたり、織り込まれたり、あるいはメッシュ又は他の多孔性部品を形成するために用いられてかまわない。部品は例えば、薄板、膜、及び角材の形状で、任意の適切な寸法を有していてもかまわない。場合によっては、上記部品は例えば図5で例証されているように、羽根車又は羽根車の支持部とともに組み込まれてもよい。部品は羽根車又は羽根車領域の内部に配されるとともに固定可能である。その結果、以下からなる任意の数の技術によって本発明を適切に使用するとともに本発明に従うことになる。該技術は、例えば、摩擦嵌合、圧入嵌合、戻り止め機構、クリッピング及びクリップリリースの配置、ねじ留め、ペグ、クランプなど、溶接(例えば、熱及び超音波溶接)、及び接着剤の使用を含む。他の実施例においては、羽根車及び/又は羽根車の支持部の一部は、微細孔又は開口部を用いて直接組み立てられることも可能である。該微細孔又は開口部によって流体がそれらの間を流れることが可能になる。
【0149】
別の実施例においては、スパージャは、気体(例えば、ストリップ気体)を装置へと運搬する複数の微細孔(例えば、直径5−10ミクロンの穴部、又は他の実施例のより大きな穴部)を備える開放式のチューブ/パイプの形状であってもかまわない。チューブは直線でも曲線状でもよく、剛体、半剛体、又は可撓性を有してもかまわない。実施例によっては、チューブは装置の底部に配される。例えば、チューブは折畳み式バッグの底から延出してもかまわない。しかしながら、他の実施例においては、他の配置も可能である。例えば、チューブの全て又は一部は装置の側部、上部、及び/又は中心部に配されてもかまわない。複数の開放式チューブを用いるスパージャも使用されてもよい。
【0150】
ある実施例では、異なるスパージャの組み合わせがここで記載されている装置に用いられる。例えば、ある装置(又は折畳み式バッグ)は、羽根車の支持部に組み込まれる1以上のスパージャと同様に、開放式チューブの形状をした1以上のスパージャを備えてもよい。他のスパージャの形状も同様に可能である。
【0151】
スパージャに関連づけられた開口部は、いかなる好適な材質で形成されてもよい。例えば、ある実施例において、多孔性高分子材料が散布要素として用いられる。この散布要素は、材料の一端から他端へと気体を輸送させることが可能である。また、開口部は他の材質を用いて形成されてもよい。他の材質とは例えば、金属、セラミック、ポリマー及び/又はそれらの組み合わせなどである。孔或いは開口部を有する材質は、いかなる好適な構造であってよい。例えば、その材質は編目、織目を有していてもよく、或いはメッシュ又は他の多孔性要素を形成するように用いられてもよい。例えば要素はシート、フィルム及びブロックの形態であり、いかなる好適な寸法を有していてもよい。いくつかの場合において、そのような要素は、羽根車或いは羽根車の支持部に組み込まれている(例えば図5参照)。要素は、羽根車或いは羽根車の支持部の領域内に十分にしっかりと配置され保持されるので、好適に利用されることができる。また、この配置及び保持は、以下の多数の技術を用いた発明に基づきなされる。その技術は例えば、摩擦嵌め、プレス嵌め、戻り止め機構、留め金具の固定装置及び留め金具の解放装置、ねじ、くぎやクランプなどによる固定、溶接(熱溶接及び超音波溶接)、及び接着剤の使用を含む。他の実施例において、羽根車及び/又は羽根車の支持部の一部は、孔或いは開口部を用いて直接組み立てられてもよい。この孔或いは開口部は、流体が流入することが可能である。
【0152】
その他の実施例において、スパージャは開口状のチューブ或いはパイプであってもよい。このチューブ或いはパイプは複数の孔を有する(例えば、このチューブ或いはパイプは、5から10ミクロンの直径の穴を有する。或いは他の実施例において、さらに大きな穴を有する)。このチューブ或いはパイプは気体(例えばストリップ気体)を装置へ供給するものである。チューブは直線状或いは湾曲状であり、また、剛性、半剛性、或いは弾性を有してもよい。いくつかの実施例において、チューブは装置の底面部分に配される。例えば、チューブは折畳み式バッグの底面から延出してもよい。しかしながら他の実施例においては、チューブのその他の配置も可能である。例えば、チューブの全体或いは一部分は、装置の側部、上面、及び/又は中央部分に配されてもよい。複数のオープンチューブスパージャが用いられてもよい。
【0153】
ある実施例において、様々なスパージャの組み合わせが、本明細書中に説明される装置中で用いられている。例えば、装置(或いは折畳み式バッグ)は、オープンチューブの形状をした1以上のスパージャを備えてもよい。また同様に、装置(或いは折畳み式バッグ)は、羽根車の支持部に組み込まれた1以上のスパージャを備えてもよい。スパージャのその他の配置も可能である。
【0154】
装置或いは容器は、制御システムと電気通信する1以上のセンサを任意により備えてもよい。このセンサは、コンテナ内の気体(例えば酸素、窒素、二酸化炭素、アンモニア、反応の副生成物)の量或いは濃度を測定するものである。付加的に及び/又は代替的に、容器は制御システムと電気通信するセンサを備えてもよい。このセンサはコンテナ内の液体のpHを測定する。或いはコンテナ(例えばバッグ)内の気泡の量又は程度を測定する。
【0155】
上述の通り、制御システム及びフィードバックループは、ここで説明される様々な過程を制御するのに用いられる。この制御システム及びフィードバックループは、ある実施例における散布の度合、混合の度合、試薬濃度の量、或いは他の実施例におけるポンプの作用或いは換気システムの作用を含む。そのような制御及びフィードバックの処理の例は、図7に示す実施例中に示されている。システム(600)は、第1のセンサ(602)(例えば、コンテナ内の液体の二酸化炭素の量及び/又は濃度を検出するセンサ)を備える。またシステム(600)は、第2のセンサ(604)(例えば、コンテナ内の液体の酸素の量及び/又は濃度を検出するセンサ)を備える。センサの目盛りを測定した後、コンテナ(608)に試薬を加える。そして流体操作処理が行われる。この流体操作処理とは、混合、もしくは生物学的、化学的、或いは生化学的反応を実行したりすることである。処理が進むにつれ、酸素及び二酸化炭素などの気体の量は、コンテナ内の液体内で変化する。例えば、細胞を必要とする生物学的反応が行われると、細胞は酸素を消費し、やがて二酸化炭素を生成する。この消費と生成は、細胞の成長段階によって変化する。したがって、気体の量及び/又は濃度はセンサ(例えば時間関数)によって測定される。また、気体の量及び/又は濃度に関連する信号(612)及び(614)は、制御システム(620)へ送信される。制御システムは記録されたパラメータ(624)を含む。そのパラメータは、1以上の気体の閾値などである。閾値は、使用者によって反応の前或いはその間に入力される。例えば、ストリップ気体を用いてスパージャが作動し、二酸化炭素の量を削減する前においては、パラメータは液体中の二酸化炭素の一定の閾値を有する。したがって、信号が制御システムから送信され、部品(632)を作動させることになる。部品(632)とは、ストリップ気体源に接続されるバルブなどである。このバルブは二酸化炭素の量を削減するのに用いられる。ストリップ気体が容器(608)へと導入されると、二酸化炭素の量及び/又は濃度は減少する。この二酸化炭素の量及び/又は濃度は、制御システムに送信される信号により測定可能である。二酸化炭素の量及び/又は濃度が一定のレベルにまで減少すると、制御システムはコンテナ内に導入されている二酸化炭素の量を低下或いは非活性化させることができる。それによりフィードバックループは完結される。第2センサ(614)を用いて、上述の処理と同様の処理が独立して行われる。第2センサは、例えば、第2の気体、pH、或いはコンテナのヘッドスペース内の気泡の量を測定するものである。他の実施例において、同様の方法を用いて、環境密閉エンクロージャの粒子物質の量が測定される。またこの方法は、環境処理プロセスを活性化/抑制化する。
【0156】
その他の実施例において、上記の方法と同様のフィードバックの過程は、装置に加えられた試薬(例:グルコース)の量を制御するために行われる。例えば、細胞培養(或いは他の有機体培養)に用いられる装置は1以上のセンサを有する。このセンサは装置内にある液体中の溶解酸素の量を検出する。細胞はグルコースを消費すると成長し続ける。グルコースが略消費されると、細胞は成長の速度を弱め、酸素をあまり必要としなくなる。これにより溶解酸素レベルが上昇する。センサは(連続的或いは周期的に)溶解酸素の増加レベルを検知可能であり、この信号は制御システムへと送信される。溶解酸素が一定の高閾値レベルに達すると、制御システムは信号を送信する。(尚、この高閾値レベルは制御システムに前もってプログラムすることができる。)この信号はポンプ、バルブ、或いはグルコースの容器と動作可能に関連するその他の部品に送信される。グルコースが装置内の液体に加えられると、細胞は成長し続け、さらなる酸素を消費する。この酸素は溶解酸素センサにより検出される。溶解酸素が一定の低閾値レベルに達すると、制御システムは信号を送信する。(尚、この低閾値レベルは制御システムに前もってプログラムすることができる。)この信号は、ポンプ、バルブ、或いはその他の部品に送信され、装置に加えられているグルコースのレベルを低減する。過多のグルコースを細胞に投与することは有害な結果をもたらしうる場合もある。有利なことに、加えられたグルコースの量を制御するフィードバックを備える装置において、過多のグルコースを細胞へ投与することが避けられ、或いは削減される。装置内でこの過程を実行する間、装置に加えられた他の試薬の量を制御する同様のシステムが用いられてもよい。
【0157】
本明細書中で述べられるように、本発明のシステムは1以上の分離装置を有する。ある実施例においては、分離装置は液固分離装置である。すなわち、固体物を含有する液体から固体物を分離するよう設定及び配置された装置である。他の実施例において、本明細書中に述べられる分離装置は、液体内に溶けている実体(例:タンパク質)を分離する。
【0158】
分離装置は、本発明のシステム或いは装置と、いかなる好適な方法を用いて関連づけられてもよい。いくつかの実施例において、分離装置は、コンテナ(例:折畳み式バッグ)或いは装置の内側部分又は表面部分に配される。このコンテナ或いは装置は、分離する液体及び固体を含んでいる。分離装置はコンテナの構造の一部であってもよい。例えば、いくつかの実施例においては、コンテナのベースプレートの一部であってよい。例えば、このようなある実施例において、スパージャ(図4A参照)として用いられる前述の多孔質部品(409)は、多孔質培地を備えてもよい。この多孔質培地の有する孔の大きさ及び構造は、部品(409)を通じてコンテナから液体を取り除く際に、細胞やその他の固体物を液体から分離するのに効果的である。他の実施例において、分離装置はコンテナの外側にある。このコンテナは、分離する液体及び固体を含んでいる。例えば、分離装置は少なくとも液体移動装置/管の一部分を形成してもよい。この装置/管は2つの装置に接続されてもよい。或いは、分離装置は、第1装置と流体流通する第2装置の少なくとも一部分を形成してもよい。内部及び外部分離装置が用いられてもよい。またいくつかの実施例においては、複数の分離装置が連続して及び/又は平行に配されてもよい。
【0159】
本発明のシステムにおいて、分離は連続的或いは周期的に行われる。さらに、本明細書中で述べるように、分離装置は、1以上の他の装置を用いて液体リサイクルシステム(例:環状)の一部を形成してもよい。例えば、バイオリアクタ等の装置の出口は、分離装置の入口と流体流通可能である。そして、分離装置の出口は、装置の入口と流体流通可能である。いくつかの実施例において、このようなシステムは連続的にかん流を行うために用いられる。
【0160】
分離する特殊な要素に応じ、様々な分離装置が本明細書中に説明されるシステムを実行することができる。このようなシステムは、液体を収容するコンテナ(例:折畳み式バッグ)の内側或いは外側にある。孔の大きさ、流速、クロスフロー循環率、ろ過率、及び膜面積率に対するろ過量などのパラメータは、当業者により理解可能であるこれらのシステム或いはその他のシステム内で選択及び/又は変更されることが可能である。また、この選択及び/又は変更は、特定のパフォーマンス目標を満たす必要がある場合に行われる。例えば、いくつかの実施例において、分離装置は、システムの様々な部分を通過する固体の濃度を操作し、制御することが可能である。回転分離装置(例:遠心分離機)では、毎分回転数、すなわち装置の重力を変更することにより、この固体の濃度の制御が可能となる。分離装置から流れる透過流量もまた制御される。孔の大きさは所望の実行結果の通り選択される。
【0161】
いくつかの実施例において、分離装置はろ過装置の形状をなす。ろ過装置は、微小孔フィルタ、限外ろ過装置、薄膜フィルタ、デプスフィルタ、中空糸フィルタ、加圧ろ過装置、接線流フィルタ、回転フィルタなどが含まれるが、これらに限定されない。潜在的に好適な中空糸フィルタの例は、Amersham Biosciences社の中空糸カートリッジ(カタログ番号UFP-500-C-6A, 500K MWカットオフ, 0.48m2, 中空糸ファイバID 0.5mm)である。
【0162】
他の実施例において、本明細書中に説明される装置中の液体から固体を分離するのに、重力沈降が用いられる。沈降装置などの装置は、傾斜していてもしていなくてもよいが、従来技術において周知のものであり、本発明のシステムにおいて用いられてよい。
【0163】
分離装置はまた、いくつかの実施例において遠心分離機の形で用いられてもよい。ある実施例において、遠心分離機の利用は、無菌状態を維持するのが困難であるため、細胞培養に適用が限られている。しかし本発明の一形態においては、使い捨て可能な内袋/折畳み式バッグを備える遠心分離機を、本発明に説明されるシステムの一部として使用することを伴う。液固混合物は使い捨て可能な内袋内に収容される。この使い捨て可能な内袋は再利用可能な指示構造体により支持される。したがって、内袋内の液固混合物は指示構造体と接触しないので、支持構造体は洗浄せずに再利用可能である。例えば、分離を行った後、内袋は指示構造体から取り外され、第2(例:使い捨て)の内袋と取り替えることができる。そして、第1の内袋或いは再利用可能な指示構造体のいずれも洗浄することなく、第2の分離は第2の内袋を用いて行われる。使い捨て可能な部品を有する遠心分離機の例は、Carr Centritech CELL 1 遠心分離機(商品/部品 = 細胞; 商品/部品番号 = 85400)である。
【0164】
上述の通り、いくつかの実施例においては、本発明のシステムは液体(例:培地、バッファ、試薬、或いは他の溶液)を保存する貯蔵タンクを備える。貯蔵タンクは折畳み式バッグの形状であってよい。この折畳み式バッグは、再利用可能な支持構造体による支持を任意により追加することが可能である。またこの再利用可能な支持構造体は、折畳み式バッグを包囲し収容する。他の実施例において、剛性を有するコンテナは、液体と直に接する内壁を有しており、貯蔵タンクとして使用することができる。
【0165】
いくつかの場合において、貯蔵タンクは混合システムと流体流通している。この混合システムは貯蔵タンクに収容される溶液を生成する。いくつかのこのような実施例において、溶液を貯蔵タンクへ移す前、或いは溶液を貯蔵タンクへ移す間、1以上の滅菌済みフィルタが使用され、溶液を濾過する。このようなシステムは、例えばろ過された培地(例:コンテナ内で行われる発酵或いはその他の過程に好適なもの)として、培養基及びグルコース培地(グルコース、ビタミン等を含む)などを生成する。有利な点は、これら及び他のシステムが、適切な高圧蒸気殺菌法或いは蒸気処理によって滅菌された培地を必要としなくなることである。
【0166】
ある実施例において、本明細書中に説明するシステムは密閉樹脂添加/カラム充填システムを備える。通常カラム充填は、無菌室内で樹脂を含む口部の開いたカーボイを用いて行われる。この樹脂は、樹脂スラリがカラムに供給されるのと同時に、手動で混合される。しかしながら、ある実施例において、弾性を有するコンテナなどにはクロマトグラフィー樹脂が充填される。このクロマトグラフィー樹脂は、スラリがカラムへ供給されるのと同時に、撹拌器でスラリにされる。
【0167】
その他の態様において、気泡塔或いはエアーリフトシステム(空気或いは他の気体の気泡を利用するもの)が使い捨て可能なバッグと共に用いられる。このようなシステムは、リアクタの底部付近に気体(例:空気)を加えることにより、攪拌力をもたらす。このシステムにおいて、上昇気泡及び低濃度の気体飽和液は上昇し、下降する気体欠乏液を移動させ、上から下への循環が生み出される。上昇する液体の経路は、例えば、バッグのチャンバ内に仕切りを用いることで導かれる。例えば、バイオリアクタバッグの内側を上面及び底部の間隙を用いて垂直に等分するプラスティックのシートを利用する。いくつかの実施例において、再利用可能な支持構造体と共に用いられるバッグは、このような隔壁を備える。その他の実施例において、隔壁は再利用可能な支持構造体に取り付けられている。気体は仕切りの一方側に加えられることにより、気体及び気体が豊富な液体を一方側へ上昇させ、バリアシートの上面を越える。そして、仕切りの下を通過し気体添加点へと戻って、もう一方側で減少する。加えて、このような気泡塔或いはエアーリフトシステム及び方法は、本明細書中で説明される他のいかなる混合システムと組み合わせられてもよい。
【0168】
光を要する化学的、生化学的及び/又は生物学的過程において、本明細書中に説明される装置は、本発明の他の態様に関連して、直接的、非直接的及び/又は芯線を通過する光(例:光ファイバー)を備えてもよい。いかなる好適な光源が用いられてもよい。例えば、このような装置は、植物細胞の光合成の促進などの過程に役立つ。ある特定の実施例において、光合成は、蛍光の弾性を有するコンテナが光を供給するのに用いられる。この光は例えば、植物の成長に用いられるものである。
【0169】
以下の例は本発明のいくつかの実施例を描写するものであるが、本発明の全範囲を限定して解釈するものではなく、またその範例となるものではない。
【実験例】
【0170】
この実施例は細菌のかん流方法を説明するものである。このかん流方法は、細胞分離装置と連動する使い捨てバイオリアクタシステムを用いて行われる。特に、大腸菌などの微生物の培養にはXDR200(登録商標)使い捨て可能バイオリアクタシステムが使用された。また、細胞分離には中空糸カートリッジが使用された。
【0171】
XDR200バイオリアクタ(図5に図示する単一の公称2ミクロンのフリットスパージャ及び磁気駆動の羽根車)は、Bionet(又はPLC)制御システムを用いて制御される。バイオリアクタの制御パラメータは表1に示される。まず、65Lの培養物はバッチモードで操作される。この操作は、標的細胞密度が5±1AUに達するまで、及び/又は、グルコース濃度が5±2g/Lに達するまで行われる。これらの数値は、光学濃度測定装置を用いて測定される。そしてかん流が開始され、外側の細胞の分離/かん流の標的培養密度への影響、全ての培養液のパフォーマンス、及び培養液グルコース濃度を2g/L以上に制御する能力を試験する。細胞は中空糸カートリッジの濃縮水流を介してバイオリアクタへ戻される。条件培養液或いは廃液は、中空糸カートリッジからの透過水流を介して廃液容器へと流れる。培地供給システム/培地供給源からの培地は、継続的或いは半継続的にバイオリアクタ内へ送られる。この培地が送られる速度は中空糸透過流出速度と等しい。これは、バイオリアクタ或いは培養液量を略一定に保つためである。
【0172】
ここで用いた中空糸カートリッジは、GE Healthcare社 型番UFP-500-C-6Aである。カートリッジの表面積は4800cm2で、公称管腔の内径は0.5mmである。カートリッジは製造業者の推奨に従い以下の通りに準備した。
精製水で洗浄
20%のエタノールで洗浄、一晩おいて再循環させる。
精製水で洗浄
水分流動測定(399Lmh/14.5psi以上で25度)
オートクレーブ(液体循環:121度で60分間)
【0173】
溶液供給65L(一日のリアクタの量)は、一分間あたりの透過水流45-50mLと等しいものであった。この中空糸の予想透過水流速度は、50mL/分を著しく越えた。したがって、透過水流速度を安定して制限することが必要とされた。これは、透過水流速度が制限されない場合、膜汚染がもたらされるためである。透過水流は、標的培養値を維持するために調整された。クロスフローは透過水流の10から20倍に維持された。これは特に、濃縮水流速度1.4L/分が達成されるためである。製造業者が推奨するこのファイバのクロスフロー速度の範囲は1.1から8.6L/分である。また、膜間圧力(Transmembrane Pressure:TMP)は5から15psiであった。
【0174】
XDRバイオリアクタから中空糸カートリッジへ、ポンプを用いることにより培養液がくみ出された。圧力計はポンプ及びカートリッジ間に配された。中空糸カートリッジの膜間圧は、約5psi、或いはそれ以下に保持された。これは、中空糸カートリッジの濃縮水排出口及び透過液排出管のバルブ、或いはクランプを必要に応じ調節することにより達成された。カートリッジの透過ポートから流出した条件培地及び濃縮水より流出した細胞は、バイオリアクタへと戻った。供給及び濃縮管は調整され、バイオリアクタ内における飛散及び/又は発泡を最小限にした。
【0175】
以下の手順は、バイオリアクタ内における大腸菌発酵を行い、大腸菌を増殖させるためのものである。
バイアルを−80度の冷凍庫から取り出し、ラベルからデータを記録する。
バイアルを室温で解凍する。細胞を4mLのプラスチックチューブに移す。氷の上で5分間培養する。
培養液に42度で45秒間熱ショックを与える。
SOC培地を800μL加え、37度で1時間培養する。毎分250回転で一定の振動を与える。
500ml振盪フラスコ内のL培地1000mL−培養物に培養物1mlを植菌する。
4から8時間、37度で植菌を行う。毎分250回転で一定の振動を与える。
植菌10分後、及び、その後1時間ごとにサンプルを取り出す。液体の光学密度を600nm(OD600)で測定する。約1.0mLのサンプルを獲得し、適宜USP水で希釈する。結果をデータシートに記録する。(注:細菌性細胞の培養液は、1.0のOD600=8×108 cells/mLの光学密度である。)
成長曲線のグラフを描く。3OD(光学密度)に達するのに必要な時間を決定し終了する。
2.8Lの振盪フラスコに植菌する準備ができるまで4から8のステップを繰り返す。
10)2.8L振盪フラスコ内で1000mLに拡大した時にOD600を決定する。
11)L培地990mLを含む2つの2.8L振盪フラスコに、対数増殖期培養10mLを植菌する。
12)37度で所定時間培養する。毎分250回転で一定の振動を与える。
a)フラスコにそれぞれ「A」及び「B」のラベルを貼る。それから毎時間ごとにOD600の測定を、細胞密度が安定するまで及び/又は減少し始めるまで行う。結果をデータシートに記録する。
b)フラスコBはXDR200を植菌するのに用いられる。
13)フラスコBのOD600を、65Lに拡大した時に決定する。
14)XDR200内のLB+グルコース+硫酸マグネシウム+消泡剤204の65L培養液に、対数増殖期培養1000mLを植菌する。
15)植菌10分後、及び、その後1時間ごとにサンプルを取り出し、OD600を測定する。結果をデータシートに記録する。
反応の結果は図7から図10に「実行#2」として示している。図8に見られるように、かん流過程が光学密度36である間、細胞は成長する。図9から図11は時間関数として様々なパラメータの測定結果を示す。
【0176】
この例は、バイオリアクタ及び中空糸カートリッジの組み合わせが、連続的なかん流の下操作可能であることを示す。この操作は大腸菌細胞の修復及び培養液の維持のため行われる。
【0177】
【表1】

【0178】
本発明のいくつかの実施例が説明及び描写される一方で、通常の技術を有する当業者は、機能を実行すること、及び/又は結果及び/又は本明細書に記載の1以上の効果を得るための他の手段及び/又は構造を容易に想到することができる。またこのような変形及び/又は修正は、本発明の範囲内であるとみなされる。さらに通常は、当業者は本明細書に説明される全てのパラメータ、寸法、材料及び形態が模範とされることになることを認識している。そして実際のパラメータ、寸法、材料及び/又は形態は、特定の適用或いは本発明の教示が用いられる応用に基づいている。当業者は通常の実験、本明細書に説明される特定の実施例の多くの同等物を用いることにより理解し、或いは解明することが可能である。したがって、前述の実施例は例としてのみ提示される。また添付の請求の範囲及びその同等物の範囲内において、本発明は、特に説明及び請求の範囲に記載された以外の別の方法で実施されてもよい。本発明は、本明細書に記載の各個別の特徴、システム、物、材料、キット及び/又は方法を対象とするものである。さらに、このようなシステム、物、材料、キット及び/又は方法を2つ以上組み合わせることも本発明の範囲内に含まれる。それは、システム、物、材料、キット及び/又は方法が互いに矛盾したものでない場合に限る。
本明細書中で定義され用いられる全ての定義は当然、辞書の定義、参照することにより本明細書に組み込まれる文献中の定義、及び/又は用語の普通の意味を使い分ける。
本発明の明細書及び請求の範囲において用いられる不定冠詞「a」や「an」は、はっきりと提示されない限り、当然「少なくとも1つ」という意味である。
また、はっきりと提示されない限り、本明細書中に主張される1以上のステップ或いは作用を含むあらゆる方法において、その方法のステップ或いは作用の順番は、ステップ或いは作用が引用される順番に限定される必要はない。
本発明の明細書及び請求の範囲に用いられる「及び/又は」という表現は、要素の「一方或いは両方」を当然意味する。すなわち、例えば結合した要素は、ある場合においては結合した状態で示され、他の場合においては分離した状態で示されている。
「及び/又は」の節で特に特定された要素以外の他の要素が任意により示されてもよい。特に特定されたこれらの要素に関連しても関連しなくても、他の要素を任意に示すことができる。したがって、非制限的な例として、「A及び/又はB」とは、以下のことを言及することができる。すなわち、ある実施例においては、Aのみが言及される(B以外の要素を任意で含む)。その他の実施例においては、Bのみが言及される(A以外の要素を任意で含む)。さらに他の実施例においては、A及びBの両方が言及される(他の要素を任意で含む)。以上の事などが言及される。本発明の明細書及び請求の範囲中で用いられるように、「或いは」という言葉は当然上で定義した「及び/又は」と同じ意味を有する。例えば、リスト中のアイテムを分離する場合、「或いは」又は「及び/又は」という表現は包括的なものであると解釈されるべきである。すなわち、要素の数或いはリスト、及び任意でリストに載っていない追加のアイテムが少なくとも1つ含まれるが、また同様に1以上含まれる。言葉がはっきりと提示される場合にのみ、すなわち「(そのうちの)1つのみ」或いは「(そのうちの)厳密に1つ」などといった場合、要素の数あるいはリストの厳密に1つの要素を含むことが言及される。一般的に、本明細書中に用いられる「或いは」という言葉は、排他的な代替物(例えば、「一方或いは他方であるが両方ではない」)を指し示すものとして解釈される。この言葉は、「どちらか一方」「(そのうちの)1つの」「(そのうちの)1つのみ」或いは「(そのうちの)厳密に1つ」という排他性を意味する言葉のあとに続くものである。
上記の明細書と同様に請求の範囲において、全ての移行句は非限定的に用いられるものである。移行句とは例えば、「構成する(comprising)」「備える(including)」「運ぶ(carrying)」「有する(having)」「含む(containing)」「包含する(involving)」「保持する(holding)」「〜からなる(composed of)」などである。非限定的とはすなわち、それを含むがそれに限定されることはないということを意味する。「〜からなる(consisting of)」及び「不可欠に〜からなる(consisting essentially of)」という移行句のみが、それぞれ限定的或いは半限定的な移行句である。
【図面の簡単な説明】
【0179】
【図1】本発明の一実施例に係るいくつかの装置の液体内部流通を示す概略図である。
【図2】本発明の一実施例に係るいくつかの装置の液体内部流通を示す概略図であり、個々の装置は持ち運び可能に形成されている。
【図3】本発明の一実施例に係るバイオリアクタシステムの少なくとも一部を形成する装置を示す概略図である。
【図4A】本発明の一実施例に係る羽根車を備える混合装置を示す図である。
【図4B】本発明の一実施例に係る羽根車を備える混合装置を示す図である。
【図5】本発明の一実施例に係る羽根車を示し、羽根車は外部に配されるモータと磁気的に接続する。
【図6】本発明の一実施例に係る羽根車を示す。
【図7】本発明の一実施例に係る本明細書にて開示された装置及びシステムの特定の実施例を操作するための制御及びフィードバックプロセスの一例を示す。
【図8】連続式かん流工程の間の時間経過に伴うバイオリアクタ内での大腸菌細胞の光学密度の増大を示すグラフである。
【図9】図8に示すプロセスの実行の間に用いられたバイオリアクタ内での様々な測定パラメータを示す。
【図10】図8に示すプロセスの実行の間に用いられたバイオリアクタ内での様々な測定パラメータを示す。
【図11】図8に示すプロセスの実行の間に用いられたバイオリアクタ内での様々な測定パラメータを示す。
【符号の説明】
【0180】
14・・・装置
18・・・装置
40・・・装置
48・・・装置
62・・・装置
66・・・装置
68・・・装置
70・・・装置
100・・装置
10・・・システム
60・・・システム
64・・・車輪
65・・・容器
114・・容器
120・・環境密閉エンクロージャ
118・・コンテナ
114・・支持構造体
122・・液体
147・・スパージャ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
微粒子物質、溶質、あるいは気体を有する流体を収容及び操作するシステムであって、
液体を含有するよう適合する第1折畳み式バッグを備える第1装置を備え、該第1装置は、
前記折畳み式バッグは第1入口、第1出口、及び前記第1折畳み式バッグに取付けられるベースプレートと、
前記ベースプレートに関連付けられた羽根車と、
前記第1折畳み式バッグを包囲するとともに支持する、第1の再利用可能な支持構造体を備え、
前記システムは、さらに、
前記第1装置と流体流通する第2装置を備え、前記第2装置は第2入口及び第2出口を備え、前記第2装置は前記第1折畳み式バッグの外側に配される、もしくは、前記第2装置は前記第1折畳み式バッグの内側に配され、
(a)前記第2装置が前記第1折畳み式バッグの外側に配されている際、前記第1折畳み式バッグの前記第1出口は、前記第2装置の前記第2入口と流体流通し、
(b)前記第2装置が前記第1折畳み式バッグの内側に配されている際、前記第1折畳み式バッグの前記第1出口は、前記第2装置の前記第2出口と流体流通していて、前記第2装置の前記第2入口は前記第1折畳み式バッグの内側の液体と直接的に流体流通していることを特徴とする、システム。
【請求項2】
前記第2装置は、
(a)前記第1装置の外側に配されるとともに、第1液体を受容するよう形成され、該液体は前記第1装置からの第1要素濃度を有するとともに、第2要素濃度を有する第2液体を前記第1装置へと輸送し、前記第1濃度と前記第2濃度は異なり、
あるいは、前記第2装置は、
(b)前記第1折畳み式バッグの内側に配され、前記第2装置の前記第2入口を介して、第1液体を受容するよう形成され、該第1液体は、第1要素濃度を有し、該要素は、前記第1折畳み式バッグの内側の液体から直接得て、前記第2装置は、前記要素の第2要素濃度を有する液体を前記第1装置へと輸送し、前記第1濃度及び前記第2濃度は異なることを特徴とする、請求項1記載のシステム。
【請求項3】
前記要素は、
(a)生菌、死菌、沈殿物、細胞、多孔性もしくは非多孔性のポリマー球、固体球、ゼラチン質の粒子、マイクロビーズ、マイクロディスク、交差結合ビーズ、生化学分子実体、及びこれらの組み合わせから選択される物質を備え、
あるいは、前記要素は、
(b)細胞を備え、該細胞は固体上で成長し、該固体は固体球、ファイバ、ゼラチン粒子、ポリマー粒子、非多孔性粒子、多孔性粒子、及びこれらの組合せから選択されることを特徴とする、請求項2記載のシステム。
【請求項4】
前記第2装置はさらに、第2折畳み式バッグと第2再利用可能な支持構造体を備え、該支持構造体は前記第2折畳み式バッグを包囲し、支持するよう用いられることを特徴とする、請求項1乃至請求項3いずれか記載のシステム。
【請求項5】
使用時における前記第2装置と前記第1装置との流体流通は、連続的あるいは周期的に行われることを特徴とする、請求項1乃至請求項4いずれか記載のシステム。
【請求項6】
(a)前記ベースプレートは前記折畳み式バッグに不可逆的に取付けられ、及び/又は、
(b)前記羽根車は磁気駆動による羽根車及び直接的なシャフト駆動による羽根車から選択されることを特徴とする、請求項1乃至請求項5いずれか記載のシステム。
【請求項7】
前記第1装置はバイオリアクタシステムの少なくとも一部を形成し、もしくは製薬製造システムの少なくとも一部を形成することを特徴とする、請求項1乃至請求項6いずれか記載のシステム。
【請求項8】
前記第1折畳み式バッグは、約1Lから約1000Lまでの容量を収容することを特徴とする、請求項1記載のシステム。
【請求項9】
前記第2装置は、
(a)少なくとも分離装置の一部を形成し、
任意により該分離装置は、
液固分離装置を備え、該装置は、遠心分離装置、沈降装置、中空糸フィルタ、平膜フィルタ、スパイラル巻フィルタ、スピンフィルタ、及び加圧フィルタ装置から選択され、
そして/または、前記第2装置は、
(b)培地もしくはバッファの貯蔵タンク、混合システム、そしてバッチにより、周期的にもしくは連続的に回収を行うシステムから選択される装置の一部であることを特徴とする、請求項1乃至請求項8いずれか記載のシステム。
【請求項10】
さらに、液固分離装置を備え、該装置は前記第1折畳み式バッグの表面もしくは内部に配され、任意により、前記分離装置は、微小孔フリット、限外濾過膜、スピンフィルタ、遠心分離器、及び沈降装置から選択されることを特徴とする、請求項1乃至請求項8いずれか記載のシステム。
【請求項11】
(a)前記第1支持構造体が、1以上のバッフルを備え、該バッフルは、内部あるいは外部のいずれかに前記折畳み式バッグの一部として取り付けられる、もしくは前記外部支持構造体の一部として取付けられ、
及び/または、
(b) 冷却流体あるいは加熱流体を含有する、前記第1折畳み式バッグが、1以上のバッフルを備えることを特徴とする、請求項1乃至請求項10いずれか記載のシステム。
【請求項12】
(a)前記第1折畳み式バッグは1以上の内部仕切りを備え、及び/または、
(b)前記第1装置及び前記第2装置はそれぞれ運搬可能なモジュールの形状であり、
前記第1装置及び前記第2装置の互いの流体流通を維持したままで、各装置はもう一方の装置に連動して、移動可能であることを特徴とする、請求項1乃至請求項11いずれか記載のシステム。
【請求項13】
前記羽根車は羽根車の支持部に存し、該支持部は、前記羽根車の支持部の下方における側面壁部に取付けられ、これにより、前記羽根車は前記バッグの底の中央部から外れた位置に配されることを特徴とする、請求項1乃至請求項12いずれか記載のシステム。
【請求項14】
粒子、溶質、あるいは気体を含んだ液体を含有及び操作する方法であって、
生化学溶質、粒子、固体及びこれらの組合せから選択された複数の物質を備える第1液体を、第1折畳み式バッグから、液固分離装置を備えた装置へと移動させる段階と、
前記液固分離装置を備えた装置は、前記折畳み式バッグの外部もしくは内部に存し、
前記第1折畳み式バッグは再利用可能な第1支持構造体によって支持され、該支持構造体は、前記第1折畳み式バッグを包囲するとともに支持するのに用いられ、
前記方法は、さらに、
複数の前記生化学溶質、粒子、固体及びこれらの組合せの少なくとも一部を、前記装置において、前記第1液体から分離する段階と、
第2液体を、前記装置から、前記第1折畳み式バッグへ移動させる段階を備え、前記第1液体及び前記第2液体は、前記生化学溶質、粒子、固体及びこれらの組合せの異なる濃度を有することを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項14記載の粒子、溶質もしくは気体を備えた流体を含有及び操作する方法であって、
前記装置内の前記第1溶液から分離された、少なくとも一部の複数の生化学的溶質、粒子、固体、もしくはこれらの組合せは、生化学物質、細胞、表面上に細胞を有する固体もしくは表面上に細胞を有さない固体、半剛性の球体、高分子球、沈殿物、そしてこれらの組合せから選択され、
前記装置から前記第1折畳み式バッグへと移動された前記第2液体は、前記第1溶液内における生化学的溶質、粒子、固体もしくはこれらの組合せの濃度よりも、高濃度の生化学的溶質、粒子、固体もしくはこれらの組合せを備えることにより、分離された前記生化学的溶質、粒子、固体もしくはこれらの組合せの一部もしくは全てを、前記折畳み式バッグへと逆流させることを特徴とする、方法。
【請求項16】
請求項1乃至請求項13いずれか記載のシステムにおける前記第1折畳み式バッグを備えたバイオリアクタもしくは医薬装置から、溶質もしくは細胞を、回収もしくは再利用する方法であって、
前記方法は、
前記バイオリアクタ内の液体のほぼ一定容積を維持する間、前記第1折畳み式バッグにおける液状培地内の細胞培養懸濁液を、溶質もしくは細胞の第1濃度へと上昇させる段階と、
溶質もしくは細胞の前記第1濃度を有する、前記溶質もしくは細胞培養懸濁液を備えた前記液状培地の一部を、前記第1折畳み式バッグの前記第1出口から、前記分離装置を備えた前記第2外部装置の前記第2入口へと連続的に流出させる段階、もしくは、前記第2内部分離装置を経て前記第1装置の前記出口へと連続的に流出させる段階と、
液体を、前記第2装置の前記第2出口から、前記第1折畳み式バッグの前記第1入口へと流入させると同時に、前記第2装置における前記分離装置を用いることで、少なくとも一部の溶質もしくは細胞を、前記第1折畳み式バッグから前記第2装置へと流入する前記液状培地から分離させる段階と、
分離された少なくとも一部の前記溶質もしくは細胞を回収する段階を備え、前記回収は、前記第2装置が、一部もしくは全ての前記分離された溶質もしくは細胞を前記折畳み式バッグへと逆流させることで行なわれる、もしくは、前記第2装置が、直接前記第1装置内へ流体を逆流させることで行われ、前記回収段階は、前記流出、流入及び回収の段階において、前記折畳み式バッグのほぼ一定量を継続的に維持する間に、行なわれ、これにより、前記バイオリアクタもしくは医薬装置内の液体のほぼ一定量を維持する間、前記バイオリアクタから溶質もしくは細胞を回収及び再利用することを特徴とする、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−72182(P2009−72182A)
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−197067(P2008−197067)
【出願日】平成20年7月30日(2008.7.30)
【出願人】(508230743)エクセレレックス インク. (11)
【Fターム(参考)】