連続溶融金属めっき設備のスナウト内異物除去装置
【課題】連続溶融金属めっき設備のスナウト内異物除去装置を提供する。
【解決手段】スナウト内浴面に発生する異物をスナウト外に排出するガスリフトポンプを有し、前記ガスリフトポンプは一方の直管部がスナウト内のめっき浴面に吸引口を有する吸い込み配管をなし、他方の直管部がスナウト外のめっき浴面に排出口を有する排出配管をなす略Ｕ字状の連通管と、前記排出配管に内挿され、ガスリフト用ガスを放出するガス供給管を有し、前記ガス供給管はガスリフト用ガスが供給される直管部と前記直管部の先端に同軸に取り付けられ、前記ガスリフト用ガスを放出する先端部材を備え、前記先端部材は前記直管部より大径の円筒部材で、前記排出口側となる端面に、前記直管部の外周に沿って配置された複数の開口部を有し、好ましくは先端を円錐体とする。
【解決手段】スナウト内浴面に発生する異物をスナウト外に排出するガスリフトポンプを有し、前記ガスリフトポンプは一方の直管部がスナウト内のめっき浴面に吸引口を有する吸い込み配管をなし、他方の直管部がスナウト外のめっき浴面に排出口を有する排出配管をなす略Ｕ字状の連通管と、前記排出配管に内挿され、ガスリフト用ガスを放出するガス供給管を有し、前記ガス供給管はガスリフト用ガスが供給される直管部と前記直管部の先端に同軸に取り付けられ、前記ガスリフト用ガスを放出する先端部材を備え、前記先端部材は前記直管部より大径の円筒部材で、前記排出口側となる端面に、前記直管部の外周に沿って配置された複数の開口部を有し、好ましくは先端を円錐体とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、連続溶融金属めっき設備のスナウト内異物除去装置に関する。
【背景技術】
【０００２】
連続溶融亜鉛めっきは、一般に、焼鈍炉から冷却帯を経由し、スナウトを介してめっき浴槽へ導かれた鋼帯が、浴中のシンクロールで上方に方向転換され、浴中のサポートロールにより反りが矯正された後、浴外に引き上げられてガスワイピングノズルによってめっき付着量が調整される。このような連続溶融亜鉛めっきにおいては、めっき浴槽で異物が鋼帯の表面に付着し、品質欠陥を生じる。めっき槽で生成する異物には、ドロスと称される異物や、亜鉛ヒュームが凝固したアッシュ等がある。
【０００３】
ドロスは鋼帯から亜鉛浴に溶出したＦｅと、亜鉛浴に添加され、めっき密着性を向上させるＡｌとが反応して生じるＦｅ２Ａｌ５で通常トップドロスと称され、トップドロスが浴槽内で、鋼帯に付着し、付着した鋼板を加工すると金型を損傷させたり、押し疵を発生させる。
【０００４】
アッシュは亜鉛ヒュームの固体で、鋼板表面に付着した状態で溶融亜鉛めっきされるので、溶融亜鉛めっき後、ガスワイピングによって吹き飛ばされると不めっき部が発生する。
【０００５】
めっき浴槽内には、上述したドロスやアッシュ以外に、亜鉛浴が空気に接触して生成する酸化ドロスもあり、これらの異物は、スナウト内浴面で鋼帯に付着する場合が多く、特に酸化ドロスは鋼帯が亜鉛浴内に引き込まれる際の流れによってスナウト内へ引き込まれる。
【０００６】
そのため、スナウト内の浴面からドロス等の異物を除去する方法や装置が種々提案され、特許文献１にはモーターポンプにより溶融亜鉛と共にドロス等の異物を吸い込んでスナウト外へ排出する方法が記載されている。
【０００７】
特許文献２には、めっき槽内にＵ字型連通管を沈設し、その一端は吸込側配管でスナウト内の浴面位置で開口させてドロス等の異物を吸い込ませ、他端は吐き出し側配管でスナウト外の浴面下で開口させて、当該開口部からスナウト内のドロス等の異物を排出させる、ガスリフトポンプを利用したスナウト内異物除去装置が記載されている。
【０００８】
スナウト内からの異物の吸い込みは、吐出し側配管内に、その開口部の上方から管軸に沿って装入したガス供給管から吐出される不活性ガスの上昇に伴って生じる溶融亜鉛の上昇流による。
【０００９】
特許文献２記載の方法の場合、吐き出し側配管とその内部に装入されるガス供給管との同心円状の間隔が狭く、Ｕ字型連通管を浴中から一時引き揚げると、管内のドロスが固まって、再使用ができなくなくなるが多い。
【００１０】
そのため、特許文献３では、Ｕ字管の底部中央に抜き穴を設けるとともに、吐き出し側配管内にガス供給管をその側壁から装入して異物排出経路を確保し、更に、非稼動時には移動手段によりＵ字管を完全に浴外に待機させることを提案している。いずれにしても特許文献２、３ではガスリフトする気泡の分散を均一にすることが十分でなく効率的に異物をスナウト外に排出することの問題が残る。
【００１１】
特許文献４には、スナウト内のめっき浴面を通過する鋼板に対して下向きに窒素ガスを吹き付けるノズルを設けて、窒素ガスの反射力を利用してスナウト内浴面に浮遊するスカムを鋼板から剥離すること、更にはガスリフトポンプを併用するスナウト内スカム付着防止装置が記載されている。
【特許文献１】特開平３−１４０４４８号公報
【特許文献２】特開２０００−２６５２５４号公報
【特許文献３】特開２００５−２６４２２４号公報
【特許文献４】特開平７−１５０３２３号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【００１２】
ところで、最近、自動車業界や家電業界において表面処理鋼板の表面性状に関する品質
要求が厳格化され、スナウト内浴面に浮遊する異物等による表面欠陥をより減少させるため、ガスリフトポンプの性能向上が必要となっている。
【００１３】
ガスリフトポンプの場合、吐き出し管内の溶融亜鉛の上昇流の流速や前記吐き出し管内での上昇流の分布の影響が予測されるところ、特許文献２〜４のいずれにも記載がなく、溶融亜鉛めっきにおけるガスリフトポンプの性能を向上させる方法は明らかにされていない。
【００１４】
そこで、本発明は、スナウト内浴面に浮遊する異物等のスナウト外への排出性能に優れるガスリフトポンプを備えた連続溶融金属めっき設備のスナウト内異物除去装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【００１５】
本発明の課題は以下の手段により達成可能である。
１．ガスリフトポンプを用いてスナウト内浴面に発生する異物をスナウト外に排出するスナウト内異物除去装置であって、前記ガスリフトポンプは一方の直管部がスナウト内のめっき浴面に吸引口を有する吸い込み配管をなし、他方の直管部がスナウト外のめっき浴面に排出口を有する排出配管をなす略Ｕ字状の連通管と、前記排出配管に内挿され、ガスリフト用ガスを放出するガス供給管を有し、前記ガス供給管はガスリフト用ガスが供給される直管部と前記直管部の先端に同軸に取り付けられ、前記ガスリフト用ガスを放出する先端部材を備え、前記先端部材は前記直管部より大径の円筒部材で、前記排出口側となる端面に、前記直管部の外周に沿って配置された複数の開口部を有していることを特徴とする連続溶融金属めっき設備のスナウト内異物除去装置。
２．前記先端部材の先端が円錐体であることを特徴とする１記載の連続溶融金属めっき設備のスナウト内異物除去装置。
【発明の効果】
【００１６】
本発明によれば、排出配管内で均一な気液混合が得られるので、少ないガス量で効率よくスナウト内の異物の排出が可能で、産業上極めて有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１７】
以下、本発明を図面を用いて詳細に説明する。
図１は本発明の一実施例に係る連続溶融金属めっき設備のスナウト内異物除去装置の構成を説明する模式図で、図において１はめっき浴槽、２はシンクロール、３はスナウト、４はサポートロール、５はガスワイピングノズル、６はＵ字連通管、６ａはＵ字連通管６の吸い込み配管、６ｂはＵ字連通管の排出配管、７はガス供給管、７１はガス供給管７の先端部、ａは鋼帯、ｂは異物、ｃはＮ２ガスの気泡を示す。
【００１８】
図示したスナウト内異物除去装置は、Ｕ字連通管の溶融金属内に挿入したガス供給管から浮上する気泡に随伴させて前記溶融金属を上昇させるガスリフトポンプ方式により、スナウトの内側の浴面に浮遊する異物等をスナウトの外側に排出する。
【００１９】
Ｕ字連通管６は一方の直管部が吸い込み配管６ａで、スナウト３の内側のめっき浴面に浮遊する異物が吸引可能なように、めっき浴面が吸引口となる高さとする。
【００２０】
Ｕ字連通管６の他方の直管部は排出配管６ｂをなし、ガス供給管７がその先端部が、排出配管６の底部近傍となるように挿入されている。ガス供給管７には、Ｎ２ガスなど不活性ガスがガス供給装置（図示しない）から供給され、排出配管６の底部近傍の先端部から排出配管６ｂ内に放出される。
【００２１】
本発明に係るスナウト内異物除去装置では、ガス供給管７はガスリフト用ガスが供給される直管部とその先端に同軸に取り付けられてガスを放出する、開口部を有する先端部材７１を備える。
【００２２】
図２に先端部材７１の形状および溶融亜鉛がガスリフトされる様子を模式的に示す。先端部材７１は、ガス供給管７の直管部より大径の円筒部を有する形状で、排出配管６ｂの排出口側となる端面に、直管部の外周に沿って複数の開口部７１ｂが設けられている。
【００２３】
ガス供給管７に供給されるＮ２ガスは直管部を通過して、先端部７１の開口部７１ｂから、上方となる溶融亜鉛の液面に向かってガス供給管の周囲に均等に放出されて気泡７を生成し、排出配管６内に溶融亜鉛の上昇流ｄを生起する。
【００２４】
先端部材７１は上述した構造を有するので、ガス供給管７の直管部から直接放出される場合と比較して気泡ｃが分散し、気液混合が均一化されて、より少ない窒素量で、スナウト内のドロスの排出が可能となる。また、Ｎ２ガスが上方に向かって放出されるので、気泡ｃがスムーズに上昇し、溶融亜鉛の上昇流ｄもスムーズとなる。
【００２５】
その結果、排出配管６ｂの排出口での湯面の攪拌が抑制され、排出口における溶融亜鉛の酸化が抑制され、めっき浴槽１の内部においてドロス生成が軽減され品質欠陥の回避も可能となる。尚、複数の開口部７１ｂを均等に配置することにより気泡の分散が更に均等化されて好ましい。
【００２６】
先端部材７１の先端部７１ａを円錐体とすると、更に、ガスリフトする溶融亜鉛に対する抵抗が減少し、排出量を増大させることが可能で好ましい。
【００２７】
尚、本発明において、Ｕ字連通管６は、左右で平行となる直管部を有する略Ｕ字連通管も含むものとする。また、排出配管６、ガス供給管７の直管部および先端部材の円筒部の直径については特に規定しない。所望するドロスの排出能力に応じて適宜選定する。
【実施例】
【００２８】
連続溶融亜鉛めっきのめっき浴槽内に図１、図２に示すスナウト異物除去装置を用いて本発明を実施した。鋼帯ａの最大板幅１８８０ｍｍとし、ガスリフトポンプを構成する連通管６ｂは、内径７４ｍｍφ、ガス供給管７は内径１１ｍｍφを使用し、先端の窒素ガス吐出開口部は３ｍｍφ×８個として浴面下約６５０ｍｍ迄挿入し、また、窒素ガスの流量は２０ｍ３／時とした。以上の条件により約２週間連続操業を行ったが、スナウト内のドロスおよびアッシュに関する異物欠陥は大幅に減少した。
【図面の簡単な説明】
【００２９】
【図１】本発明の一実施例に係る連続溶融金属めっき設備のスナウト内異物除去装置の構成を説明する図。
【図２】図１に示したスナウト内異物除去装置の一部を拡大する図。
【符号の説明】
【００３０】
１ めっき浴槽
２ シンクロール
３ スナウト
４ サポートロール
５ ガスワイピングノズル
６ Ｕ字連通管
６ａ 吸い込み配管
６ｂ 排出配管
７ ガス供給管
７１ 先端部材
７１ａ 先端部
７１ｂ 開口部
ａ 鋼帯
ｂ 異物
ｃ 気泡
ｄ 上昇流
【技術分野】
【０００１】
本発明は、連続溶融金属めっき設備のスナウト内異物除去装置に関する。
【背景技術】
【０００２】
連続溶融亜鉛めっきは、一般に、焼鈍炉から冷却帯を経由し、スナウトを介してめっき浴槽へ導かれた鋼帯が、浴中のシンクロールで上方に方向転換され、浴中のサポートロールにより反りが矯正された後、浴外に引き上げられてガスワイピングノズルによってめっき付着量が調整される。このような連続溶融亜鉛めっきにおいては、めっき浴槽で異物が鋼帯の表面に付着し、品質欠陥を生じる。めっき槽で生成する異物には、ドロスと称される異物や、亜鉛ヒュームが凝固したアッシュ等がある。
【０００３】
ドロスは鋼帯から亜鉛浴に溶出したＦｅと、亜鉛浴に添加され、めっき密着性を向上させるＡｌとが反応して生じるＦｅ２Ａｌ５で通常トップドロスと称され、トップドロスが浴槽内で、鋼帯に付着し、付着した鋼板を加工すると金型を損傷させたり、押し疵を発生させる。
【０００４】
アッシュは亜鉛ヒュームの固体で、鋼板表面に付着した状態で溶融亜鉛めっきされるので、溶融亜鉛めっき後、ガスワイピングによって吹き飛ばされると不めっき部が発生する。
【０００５】
めっき浴槽内には、上述したドロスやアッシュ以外に、亜鉛浴が空気に接触して生成する酸化ドロスもあり、これらの異物は、スナウト内浴面で鋼帯に付着する場合が多く、特に酸化ドロスは鋼帯が亜鉛浴内に引き込まれる際の流れによってスナウト内へ引き込まれる。
【０００６】
そのため、スナウト内の浴面からドロス等の異物を除去する方法や装置が種々提案され、特許文献１にはモーターポンプにより溶融亜鉛と共にドロス等の異物を吸い込んでスナウト外へ排出する方法が記載されている。
【０００７】
特許文献２には、めっき槽内にＵ字型連通管を沈設し、その一端は吸込側配管でスナウト内の浴面位置で開口させてドロス等の異物を吸い込ませ、他端は吐き出し側配管でスナウト外の浴面下で開口させて、当該開口部からスナウト内のドロス等の異物を排出させる、ガスリフトポンプを利用したスナウト内異物除去装置が記載されている。
【０００８】
スナウト内からの異物の吸い込みは、吐出し側配管内に、その開口部の上方から管軸に沿って装入したガス供給管から吐出される不活性ガスの上昇に伴って生じる溶融亜鉛の上昇流による。
【０００９】
特許文献２記載の方法の場合、吐き出し側配管とその内部に装入されるガス供給管との同心円状の間隔が狭く、Ｕ字型連通管を浴中から一時引き揚げると、管内のドロスが固まって、再使用ができなくなくなるが多い。
【００１０】
そのため、特許文献３では、Ｕ字管の底部中央に抜き穴を設けるとともに、吐き出し側配管内にガス供給管をその側壁から装入して異物排出経路を確保し、更に、非稼動時には移動手段によりＵ字管を完全に浴外に待機させることを提案している。いずれにしても特許文献２、３ではガスリフトする気泡の分散を均一にすることが十分でなく効率的に異物をスナウト外に排出することの問題が残る。
【００１１】
特許文献４には、スナウト内のめっき浴面を通過する鋼板に対して下向きに窒素ガスを吹き付けるノズルを設けて、窒素ガスの反射力を利用してスナウト内浴面に浮遊するスカムを鋼板から剥離すること、更にはガスリフトポンプを併用するスナウト内スカム付着防止装置が記載されている。
【特許文献１】特開平３−１４０４４８号公報
【特許文献２】特開２０００−２６５２５４号公報
【特許文献３】特開２００５−２６４２２４号公報
【特許文献４】特開平７−１５０３２３号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【００１２】
ところで、最近、自動車業界や家電業界において表面処理鋼板の表面性状に関する品質
要求が厳格化され、スナウト内浴面に浮遊する異物等による表面欠陥をより減少させるため、ガスリフトポンプの性能向上が必要となっている。
【００１３】
ガスリフトポンプの場合、吐き出し管内の溶融亜鉛の上昇流の流速や前記吐き出し管内での上昇流の分布の影響が予測されるところ、特許文献２〜４のいずれにも記載がなく、溶融亜鉛めっきにおけるガスリフトポンプの性能を向上させる方法は明らかにされていない。
【００１４】
そこで、本発明は、スナウト内浴面に浮遊する異物等のスナウト外への排出性能に優れるガスリフトポンプを備えた連続溶融金属めっき設備のスナウト内異物除去装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【００１５】
本発明の課題は以下の手段により達成可能である。
１．ガスリフトポンプを用いてスナウト内浴面に発生する異物をスナウト外に排出するスナウト内異物除去装置であって、前記ガスリフトポンプは一方の直管部がスナウト内のめっき浴面に吸引口を有する吸い込み配管をなし、他方の直管部がスナウト外のめっき浴面に排出口を有する排出配管をなす略Ｕ字状の連通管と、前記排出配管に内挿され、ガスリフト用ガスを放出するガス供給管を有し、前記ガス供給管はガスリフト用ガスが供給される直管部と前記直管部の先端に同軸に取り付けられ、前記ガスリフト用ガスを放出する先端部材を備え、前記先端部材は前記直管部より大径の円筒部材で、前記排出口側となる端面に、前記直管部の外周に沿って配置された複数の開口部を有していることを特徴とする連続溶融金属めっき設備のスナウト内異物除去装置。
２．前記先端部材の先端が円錐体であることを特徴とする１記載の連続溶融金属めっき設備のスナウト内異物除去装置。
【発明の効果】
【００１６】
本発明によれば、排出配管内で均一な気液混合が得られるので、少ないガス量で効率よくスナウト内の異物の排出が可能で、産業上極めて有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１７】
以下、本発明を図面を用いて詳細に説明する。
図１は本発明の一実施例に係る連続溶融金属めっき設備のスナウト内異物除去装置の構成を説明する模式図で、図において１はめっき浴槽、２はシンクロール、３はスナウト、４はサポートロール、５はガスワイピングノズル、６はＵ字連通管、６ａはＵ字連通管６の吸い込み配管、６ｂはＵ字連通管の排出配管、７はガス供給管、７１はガス供給管７の先端部、ａは鋼帯、ｂは異物、ｃはＮ２ガスの気泡を示す。
【００１８】
図示したスナウト内異物除去装置は、Ｕ字連通管の溶融金属内に挿入したガス供給管から浮上する気泡に随伴させて前記溶融金属を上昇させるガスリフトポンプ方式により、スナウトの内側の浴面に浮遊する異物等をスナウトの外側に排出する。
【００１９】
Ｕ字連通管６は一方の直管部が吸い込み配管６ａで、スナウト３の内側のめっき浴面に浮遊する異物が吸引可能なように、めっき浴面が吸引口となる高さとする。
【００２０】
Ｕ字連通管６の他方の直管部は排出配管６ｂをなし、ガス供給管７がその先端部が、排出配管６の底部近傍となるように挿入されている。ガス供給管７には、Ｎ２ガスなど不活性ガスがガス供給装置（図示しない）から供給され、排出配管６の底部近傍の先端部から排出配管６ｂ内に放出される。
【００２１】
本発明に係るスナウト内異物除去装置では、ガス供給管７はガスリフト用ガスが供給される直管部とその先端に同軸に取り付けられてガスを放出する、開口部を有する先端部材７１を備える。
【００２２】
図２に先端部材７１の形状および溶融亜鉛がガスリフトされる様子を模式的に示す。先端部材７１は、ガス供給管７の直管部より大径の円筒部を有する形状で、排出配管６ｂの排出口側となる端面に、直管部の外周に沿って複数の開口部７１ｂが設けられている。
【００２３】
ガス供給管７に供給されるＮ２ガスは直管部を通過して、先端部７１の開口部７１ｂから、上方となる溶融亜鉛の液面に向かってガス供給管の周囲に均等に放出されて気泡７を生成し、排出配管６内に溶融亜鉛の上昇流ｄを生起する。
【００２４】
先端部材７１は上述した構造を有するので、ガス供給管７の直管部から直接放出される場合と比較して気泡ｃが分散し、気液混合が均一化されて、より少ない窒素量で、スナウト内のドロスの排出が可能となる。また、Ｎ２ガスが上方に向かって放出されるので、気泡ｃがスムーズに上昇し、溶融亜鉛の上昇流ｄもスムーズとなる。
【００２５】
その結果、排出配管６ｂの排出口での湯面の攪拌が抑制され、排出口における溶融亜鉛の酸化が抑制され、めっき浴槽１の内部においてドロス生成が軽減され品質欠陥の回避も可能となる。尚、複数の開口部７１ｂを均等に配置することにより気泡の分散が更に均等化されて好ましい。
【００２６】
先端部材７１の先端部７１ａを円錐体とすると、更に、ガスリフトする溶融亜鉛に対する抵抗が減少し、排出量を増大させることが可能で好ましい。
【００２７】
尚、本発明において、Ｕ字連通管６は、左右で平行となる直管部を有する略Ｕ字連通管も含むものとする。また、排出配管６、ガス供給管７の直管部および先端部材の円筒部の直径については特に規定しない。所望するドロスの排出能力に応じて適宜選定する。
【実施例】
【００２８】
連続溶融亜鉛めっきのめっき浴槽内に図１、図２に示すスナウト異物除去装置を用いて本発明を実施した。鋼帯ａの最大板幅１８８０ｍｍとし、ガスリフトポンプを構成する連通管６ｂは、内径７４ｍｍφ、ガス供給管７は内径１１ｍｍφを使用し、先端の窒素ガス吐出開口部は３ｍｍφ×８個として浴面下約６５０ｍｍ迄挿入し、また、窒素ガスの流量は２０ｍ３／時とした。以上の条件により約２週間連続操業を行ったが、スナウト内のドロスおよびアッシュに関する異物欠陥は大幅に減少した。
【図面の簡単な説明】
【００２９】
【図１】本発明の一実施例に係る連続溶融金属めっき設備のスナウト内異物除去装置の構成を説明する図。
【図２】図１に示したスナウト内異物除去装置の一部を拡大する図。
【符号の説明】
【００３０】
１ めっき浴槽
２ シンクロール
３ スナウト
４ サポートロール
５ ガスワイピングノズル
６ Ｕ字連通管
６ａ 吸い込み配管
６ｂ 排出配管
７ ガス供給管
７１ 先端部材
７１ａ 先端部
７１ｂ 開口部
ａ 鋼帯
ｂ 異物
ｃ 気泡
ｄ 上昇流
【特許請求の範囲】
【請求項１】
ガスリフトポンプを用いてスナウト内浴面に発生する異物をスナウト外に排出するスナウト内異物除去装置であって、前記ガスリフトポンプは一方の直管部がスナウト内のめっき浴面に吸引口を有する吸い込み配管をなし、他方の直管部がスナウト外のめっき浴面に排出口を有する排出配管をなす略Ｕ字状の連通管と、前記排出配管に内挿され、ガスリフト用ガスを放出するガス供給管を有し、前記ガス供給管はガスリフト用ガスが供給される直管部と前記直管部の先端に同軸に取り付けられ、前記ガスリフト用ガスを放出する先端部材を備え、前記先端部材は前記直管部より大径の円筒部材で、前記排出口側となる端面に、前記直管部の外周に沿って配置された複数の開口部を有していることを特徴とする連続溶融金属めっき設備のスナウト内異物除去装置。
【請求項２】
前記先端部材の先端が円錐体であることを特徴とする請求項１記載の連続溶融金属めっき設備のスナウト内異物除去装置。
【請求項１】
ガスリフトポンプを用いてスナウト内浴面に発生する異物をスナウト外に排出するスナウト内異物除去装置であって、前記ガスリフトポンプは一方の直管部がスナウト内のめっき浴面に吸引口を有する吸い込み配管をなし、他方の直管部がスナウト外のめっき浴面に排出口を有する排出配管をなす略Ｕ字状の連通管と、前記排出配管に内挿され、ガスリフト用ガスを放出するガス供給管を有し、前記ガス供給管はガスリフト用ガスが供給される直管部と前記直管部の先端に同軸に取り付けられ、前記ガスリフト用ガスを放出する先端部材を備え、前記先端部材は前記直管部より大径の円筒部材で、前記排出口側となる端面に、前記直管部の外周に沿って配置された複数の開口部を有していることを特徴とする連続溶融金属めっき設備のスナウト内異物除去装置。
【請求項２】
前記先端部材の先端が円錐体であることを特徴とする請求項１記載の連続溶融金属めっき設備のスナウト内異物除去装置。
【図１】
【図２】
【図２】
【公開番号】特開２００８−５６９８４（Ｐ２００８−５６９８４Ａ）
【公開日】平成２０年３月１３日（２００８．３．１３）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００６−２３４７９５（Ｐ２００６−２３４７９５）
【出願日】平成１８年８月３１日（２００６．８．３１）
【出願人】（０００００１２５８）ＪＦＥスチール株式会社 (8,589)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２０年３月１３日（２００８．３．１３）
【国際特許分類】
【出願日】平成１８年８月３１日（２００６．８．３１）
【出願人】（０００００１２５８）ＪＦＥスチール株式会社 (8,589)
【Ｆターム（参考）】
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