説明

連続濾過装置、および連続濾過方法

【課題】用途の異なる各種の水、および水以外の各種の液体などから、浮遊物、異物などを連続的に濾過する装置、および、この濾過装置を使用した連続濾過方法を提供する。
【解決手段】長さ方向に直角に切断した断面が円形、長方形、多角形または楕円形を呈する筒状濾過タンクの内部に、濾過タンク13の長さ方向に沿って複数個の円筒状フィルター22、23を、二個一組にして外側面を相互に狭い間隔にして隣接させ、相互に独立して回転可能に配置されてなる濾過装置であって、相互に隣接する二個一組の円筒状フィルター外側面の狭い間隔の狭窄部が形成する一方のV字状溝に、筒状フィルター面を洗浄する洗浄液噴射手段が設置され、他方のV字状溝にドレン室が設置され、濾過装置によって被濾過液体11を連続的に濾過する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連続濾過装置、および連続濾過方法に関する。さらに詳しくは、用途の異なる各種の水、および水以外の各種の液体などから、浮遊物、異物などを連続的に濾過する装置、液状の媒体に浮遊する固体の化学反応生成物、液状の化学反応生成物に混在する固形物、などを連続的に濾過する装置、および、この濾過装置を使用した連続濾過方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
従来、飲料水用の河川水、井戸水、地下水、各種工場で使用される多量の工業用水、工場で使用された多量の工業用水の循環水、大型船舶バラスト水、原子力、火力発電所用の冷却水など、用途の異なる各種の水から浮遊物、異物を濾過する濾過装置は、多数提案されている。また、液状の媒体に浮遊する固体の化学反応生成物、液状の化学反応生成物に混在する固形物を連続的に濾過する装置なども、多数提案されている。これら提案されている連続濾過装置は、特殊な用途に使用されるものであり、汎用性に乏しい。
【特許文献1】特開平6−55018号公報
【特許文献2】特開2005−88835号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明者らは、汎用性のある連続濾過装置技術を提供すべく鋭意検討した結果、本発明を完成するに至ったものである。本発明の目的は、次のとおりである。
1.用途の異なる各種の水(飲料水用の河川水、井戸水、地下水、各種工場で使用される多量の工業用水、循環工業用水、大型船舶バラスト水、原子力、火力発電所用の冷却水など)から、浮遊物、異物の濾過装置を提供すること。
2.用途の異なる各種の油(船舶の燃料油、潤滑油、食用油など)からの浮遊物、異物の濾過装置を提供すること。
3.液状の媒体に浮遊する固体の化学反応生成物、液状の化学反応生成物に混在する固形物を連続的に濾過する装置を提供すること。
4.上記濾過装置を使用した濾過方法を提供すること。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、第一発明では、長さ方向に直角に切断した断面が円形、長方形、多角形または楕円形を呈する筒状濾過タンクの内部に、濾過タンクの長さ方向に沿って偶数個の円筒状フィルターを、二個一組にして外側面で狭窄部を形成して隣接させ、相互に独立して回転可能に配置されてなる濾過装置において、
相互に隣接する二個一組の円筒状フィルター外側面の狭い間隔の狭窄部が形成する一方のV字状溝に、筒状フィルター面を洗浄する洗浄液噴射手段が設置され、他方のV字状溝に、ドレン室が設置されてなることを特徴とする、連続濾過装置を提供する。
【0005】
さらに第二発明では、長さ方向に直角に切断した断面が楕円形の濾過タンクの内部に、濾過タンクの長さ方向に沿って偶数個の円筒状フィルターを、二個一組にして外側面で狭窄部を形成して隣接させ、相互に独立して回転可能に配置されてなる濾過装置によって、被濾過液体を濾過するにあたり、
相互に隣接する二個一組の円筒状フィルター外側面の隣接部が形成する一方のV字状溝に、円筒状フィルター面を洗浄する洗浄液噴射手段が設置され、他方のV字状溝に、ドレン室が設置された連続濾過装置を使用し、
ドレン室の圧力を円筒状フィルターの圧力よりも小さくすることを特徴とする、被濾過液体の連続濾過方法を提供する。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、以下詳細に説明するとおりであり、次のような特別に有利な効果を奏し、その産業上の利用価値は極めて大である。
1.本発明に係る濾過装置は、被濾過液体が多量あっても、濾過タンク内に円筒状フィルターが複数本装備されているので、濾過作業を円滑に遂行できる。
2.本発明に係る濾過装置は、円筒状フィルターから洗浄液噴射ノズルの洗浄液で洗浄された浮遊物を、直ちにドレン室によって吸い込むことができるので、洗浄された浮遊物が再度円筒状フィルターに付着することがない。
3.本発明に係る濾過装置は、ドレン室の開口部に扉を設けたときは、ドレン室に吸い込まれる被濾過液体を少なく調節できるので、稼動させる際の消費エネルギーを節約することができる。
4.本発明に係る濾過装置は、用途の異なる各種の水、および水以外の各種の液体、液状の媒体に浮遊する固体の化学反応生成物、液状の化学反応生成物に混在する固形物、などを連続的に濾過することができるので、汎用性が優れている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明を詳細に説明する。本発明に係る連続式濾過装置は、濾過タンク、この濾過タンク内部に偶数個の円筒状フィルター(フィルターエレメント)が配置され、かつ、相互に隣接する二個一組の円筒状フィルター外側面で狭窄部が形成され、この狭窄部を頂点にして対称に二つのV字状溝が形成されてなる。このV字状溝の一方に、筒状フィルター面を洗浄する洗浄液噴射手段が設置され、V字状溝の他方には、ドレン室が設置された構造とされている。
【0008】
濾過タンクは、濾過タンクの外から濾過タンク内部に被濾過液体を受け入れ、被濾過液体が円筒状フィルターに吸い込まれるまでの間、一時的に溜めるための筐体(外側容器)である。円筒状フィルターに被濾過液体を吸い込んだ際に、被濾過液体に含まれる浮遊物、異物が円筒状フィルター表面に溜まる。円筒状フィルター表面に溜まった浮遊物や異物は、濾過タンクの内部に設置された洗浄液噴射手段から噴射される洗浄液によって除去されるので、濾過タンクは円筒状フィルターの洗浄室として機能する。この濾過タンクは、長さ方向に直角に切断した断面が円形、長方形、多角形または楕円形の筒状体を呈するものとし、両端部は板状体で塞いだ構造とされる。被濾過液体の濾過タンク内での滞留を少なくするという観点から、長さ方向に直角に切断した断面が円形、楕円形のものが好適である。
【0009】
濾過タンクは、被濾過液体で腐食され難い金属または強化プラスチックから調製される。濾過タンク調製用金属の種類は、この装置によって濾過する被濾過液体の種類に応じて選ぶことができる。強化プラスチックは、ガラス繊維や炭素繊維などによって補強された、不飽和ポリエステル樹脂などをいう。濾過タンクの大きさ(長さ、最大径)、壁面の厚さなどは、素材、使用目的、設置する場所などにより変えることができる。長さは20cm〜20m、最大径は35cm〜3m、厚さは1mm〜10cmの範囲で選ぶことができる。濾過タンクの長さ方向に直角に切断した断面が円形の場合には、直径は15cm〜3mの範囲で選ぶことができる。濾過タンクの長さ方向に直角に切断した断面が楕円形の場合は、短径は10cm〜30m、長径は15cm〜50mの範囲で選ぶことができる。
【0010】
上記の濾過タンクの内部には、円筒状フィルター(フィルターエレメント)が配置される。円筒状フィルターは、濾過タンクの長さ方向に沿って配置され、濾過タンク内に移送される被濾過液体に適用される入口と出口の圧力差に、円筒状フィルターの外側を高く、円筒状フィルターの内側を低くすることによって、被濾過液体に混入している浮遊物、異物を円筒状フィルター表面に配置される濾過材(フィルターまたはメッシュとも呼称される)の外表面に付着させ、円筒状フィルターの内部に入らない(透過させない)ようにするように機能する。円筒状フィルターは、骨材(フレーム)とこの骨材の両端に円板が配置され、これら両者によって、円筒状フィルターの外形が円筒形状を維持するようにされ、骨材の外側面に濾過材を配置して濾過面とされる。
【0011】
骨材は、濾過材を支持(保持)するように機能する。骨材は、被濾過液体で腐食され難い金属や、強化プラスチックによって構成する。筒状にされた骨材の両端部に配置される円板もまた、被濾過液体で腐食され難い金属や、強化プラスチックによって構成する。骨材は、格子状にされた構造、棒状体を長さ方向に平行に配置した構造、長さ方向に配置した棒状体にさらに直角に複数本の棒状体を配置して格子状にされた構造、板状体に比較的大きな穴を複数穿設した(パンチドメタル)構造などのいずれかにすることができる。円筒状フィルターの大きさは、上記濾過タンクの内部に複数本配置可能な大きさとする。円筒状フィルターの両端部に配置される円板は、骨材を円筒状に固定し、円筒内部に吸い込まれた濾過液の出口が設けられる。骨材と円板との固定方法には、両者の材質によって最適の方法を選べばよい。固定方法の具体例としては、溶接、ロウ付け、接着、融着、圧着、ネジ止め、バンドによる巻き締めなどを挙げることができる。後記する濾過材(メッシュ)の種類によっては、濾過材そのものに骨材としての機能も兼ねさせることもできる。
【0012】
円筒状フィルターの上記骨材の外側面には、濾過材(メッシュ)を配置する。濾過材は被濾過液体に混入している浮遊物、異物を通過させず、円筒状フィルターの内部に透過させないで、濾過材の表面に残すように機能する。濾過材は一層でもよいが、多層とするのが好ましい。濾過材の孔の粗さは、平均粒径が小さな異物を濾過して除く場合は、目の細かい濾過材とするのが好ましく、平均粒径が大きい異物を濾過して除く場合は、目の粗い濾過材とするのが好ましい。濾過材は、50メッシュ〜4000メッシュの範囲で選ぶことができる。濾過材を多層とする場合には、目の細かい濾過材を内側(骨材側)に配置し、目の粗い濾過材を外側に配置するのが好ましい。
【0013】
濾過材(メッシュ)は、被濾過液体で腐食され難い金属や、強化プラスチックによって構成する。濾過材(メッシュ)は、多数の小孔が穿設された金属製多孔板(パンチドメタル)、金属製網、金属製織物、金属製不織布、プラスチック製多孔板、プラスチック製網、プラスチック製織物、プラスチック製不織布などによって構成することができる。金属としては、ステンレススチール、ニッケル、ニッケル合金、銅、銅合金などが挙げられる。プラスチックとしては、ポリエステル、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリアセタールなどが挙げられる。織物の場合は、平織りや綾織が好ましい。濾過材を複数枚の金属製網、金属製織物、金属製不織布などで構成する場合には、複数枚を重ねた状態で焼結して一体化したものが好ましい。
【0014】
濾過タンクに一時的に貯められた被濾過液は、(1)円筒状フィルター(フィルターエレメント)の濾過液の出口側に減圧を適用して、円筒状フィルターの円筒内部に吸い込む方法、または、(2)被濾過液を濾過タンクに送り込む際に、入口側から加圧ポンプによって押し込む方法などによって、円筒状フィルター骨材の外側面に配置した濾過材(メッシュ)を通過させて、浮遊物、異物を除去して濾過液を円筒状フィルター内部に導く。円筒状フィルターに導かれた浮遊物や異物を除去された濾過液は、円筒状フィルターの端部に設けられた出口から濾過タンク外に導かれる。被濾過液に含まれる浮遊物、異物などは濾過材(メッシュ)の表面に残る。上記(1)の場合、円筒状フィルターの入口と出口の差圧は、0.5kPa〜100kPaの範囲で選ばれる。上記(2)の場合の加圧の程度は、濾過装置の大きさ、被濾過液体の種類、これに含まれる浮遊物、異物の種類、大きさ、筒状フィルターのメッシュの大きさなどにより、10kPa〜1000kPaの範囲で選ぶことができる。
【0015】
円筒状フィルターは、前記濾過タンクの内部に、円筒状フィルターの中心軸が濾過タンクの中心軸に沿って平行にして複数個、二個一組にして相互に狭い間隔の狭窄部を形成して隣接させ、かつ、二個の円筒状フィルターを相互に独立して回転可能に配置する。ここで隣接とは、二個の円筒状フィルターの濾過材(メッシュ)が相互に接触させず、狭い間隔の狭窄部を形成して隔離させた状態をいう。隔離する間隔(狭窄部の間隔)は、円筒状フィルターの直径が大きいときは、隔離する間隔を大きくし、直径が小さいときは、隔離する間隔を小さくする。隔離する間隔(狭窄部の間隔)は、5mm〜50cmの範囲で選ぶのが好ましい。
【0016】
円筒状フィルターは、濾過タンクの長さ方向両端板に設けた板状体に、円筒状フィルターの中心軸の一端を軸支し、中心軸の他端はモーターによって回転可能に配置する。濾過タンクの内部に二個一組の円筒状フィルターを配置する場合の回転方向は、相互に独立して回転可能とする。相互に独立してとは、二個が同方向または逆方向に、同じ速度または異なる速度で回転することを意味する。濾過タンクの内部に、二個一組にして二組(四個)の円筒状フィルターを配置する場合、固定方法や回転方向は上の二個の場合と同様である。濾過タンクの内部に三組(六個)の円筒状フィルターを配置する場合、固定方法や回転方向は上の二個一組の場合と同様である。
【0017】
円筒状フィルターを二個一組にして相互に隣接させて、濾過タンクの両端の板状体に軸支し、円筒状フィルターを長さ方向に直角に切断した際の切断面は、二個の円筒状フィルターの隣接部が最も接近した部分(狭窄部)を挟んで、二つのV字状溝が形成される。本発明に係る連続濾過装置では、上記V字状溝の一方のV字状溝(V1)に、洗浄液噴射手段が配置され、他方のV字状溝(V2)にドレン室が配置される。
【0018】
上記V字状溝(V1)に配置する噴射ノズル(a)の大きさは、V字状溝(V1)を形成する濾過材面に接触させずに配置できる大きさとする。噴射ノズル(a)は、濾過材面に付着した浮遊物、異物に、加圧された洗浄液を噴射し、強制的に剥ぎ取る目的で配置するので、筒状フィルターの長さとほぼ同じ長さとする必要があるが、噴射ノズル(a)を一個または複数個配置し、V字状溝(V1)内で筒状フィルターの長さ方向に沿って移動可能な構造とするのがよい。噴射ノズル(a)を2個とした場合は、噴射ノズル(a)移動距離は筒状フィルターの長さの半分となる。V字状溝(V1)内に一個の噴射ノズル(a)を配置する場合は、濾過材面に対する噴射ノズル(a)の角度を変更(首振り)可能とするのが好ましい。V字状溝(V1)内に複数個の噴射ノズル(a)を配置する場合は、各噴射ノズル(a)を濾過材面に対する角度を変更して配置するのが好ましく、濾過材面に対する噴射ノズル(a)の角度を変更(首振り)可能に配置することもできる。濾過材面に対する洗浄ノズルの角度は、0〜90°の範囲で角度とするのが好適である。
【0019】
一方のV字状溝(V1)に配置される洗浄液噴射手段は、筒状フィルターの濾過材(メッシュ)面に洗浄液を噴射し、濾過材面に付着した浮遊物、異物に洗浄液を噴霧し、これらを強制的に剥ぎ取るように機能する。洗浄液噴射手段は、(a)洗浄液を濾過材面上に噴霧する噴霧ノズル、(b)噴霧ノズルをV字状溝(V1)に沿って移動させる移動手段、(c)洗浄液を濾過タンク外に設置した洗浄液タンクから噴霧ノズルに送る洗浄液移送手段などによって構成される。
【0020】
上記(b)噴射ノズルをV字状溝(V1)に沿って移動させる移動手段としては、ボールネジ機構、油圧シリンダー機構、空圧シリンダー機構、リニアモーター機構などが挙げられる。中でも、機構の単純さ、製作・保全の難易などの観点から、ボールネジ機構が好適である。上記(c)濾過タンク外に設置した洗浄液タンクから洗浄液を噴射ノズルに送る洗浄液移送手段としては、フレキシブルチューブが好適である。噴射ノズル(a)から筒状フィルターの濾過材面に噴射する洗浄液は、浮遊物や異物を含まない被濾過液体と同種のものが好ましく、中でも、被濾過液体から浮遊物や異物を濾過した後の濾過液が特に好ましい。
【0021】
二個一組の円筒状フィルターによって形成される他方のV字状溝(V2)に配置されるドレン室は、上記(b)噴射ノズルからの洗浄液によって円筒状フィルターの濾過材から剥ぎ取られた浮遊物や異物を素早く受け入れて、被濾過液体に混入しないようにし、洗浄効率を高める機能を果たす。ドレン室は、(d)筒状の浮遊物や異物の割合の多い濾過液体を受け入れる開口部(e)がV字状溝(V2)側に開口させて設けられた筐体、(f)開口部(e)で受けた浮遊物や異物を多く含む排液を、ドレン室に外に移送する排液移送手段、などによって構成される。
【0022】
浮遊物や異物を受ける筐体(d)は、V字状溝(V2)の長さと同じ長さにされた中空の筐体構造とされ、長さ方向両端部には、V字状溝(V2)の両端部を塞ぐV字型舌片が配置された構造とされる。筐体(d)は、濾過タンクと同様に、被濾過液体で腐食され難い金属、強化プラスチックから調製される。筐体(d)の全体の長さは、円筒状フィルターの長さと同様に15cm〜19mの範囲で選ばれ、複数に区画されていてもよい。筐体(d)の厚さは0.5mm〜5cmの範囲で選ばれる。筐体(d)の長さ方向両端部には、V字型舌片を設けるのが好ましい。V字型舌片を設けることによって、濾過タンクに滞留している円筒状フィルターによって濾過されていない被濾過液体が、開口部(e)に流入するのを防止することができる。
【0023】
筐体(d)のV字状溝(V2)側に開口させて設けられた開口部(e)は、濾過材から剥ぎ取られた浮遊物や異物を受け入れる。開口部(e)は長方形にされ、その長さは、V字状溝(V2)の長さに依存し、筐体(d)の長さと同様に、15cm〜19mの範囲で選ばれ、その幅は、円筒状フィルターの直径、二個の円筒状フィルターの間隔などに依存し、5mm〜50mmの範囲で選ばれる。開口部(e)には、格子状の桟が設けられていてもよく、桟に囲まれた部分には、ばねによってドレン室の内側から桟に付勢された扉が設けられていてもよい。ばねで筐体(d)の内側から桟に付勢された扉は、洗浄液噴射手段から噴射される洗浄液の圧力によって内側に開くような構造とするのが好適である。扉は、プラスチック板、金属板によって調製するのが好ましく、厚さは1mm〜5mmの範囲とし、扉の大きさは桟に囲まれた部分の大きさに同じにするのが好ましい。扉を桟側に付勢するためのバネは、腐食され難い金属で調製した針金が好ましく、針金の直径は金属の種類により変わることがあり、0.5mm〜5mmの範囲で選ばれる。
【0024】
開口部(e)には、長方形にされた開口部(e)の長辺の両側に、開口部(e)を塞ぐ可撓性に優れた複数枚の閉鎖部材を設けることもできる。この閉鎖部材は、洗浄液噴射手段から噴射される洗浄液によってドレン室の内側に開くようにする。閉鎖部材は可撓性材料製シートによって調製するのが好ましく、可撓性材料としては軟質PVC、熱可塑性エラストマーなどが挙げられ、その厚さは開口部の大きさにより変わることがあり、1mm〜10mmの範囲で選ぶことができる。一個の閉鎖部材の大きさも、開口部の大きさにより適宜変えることができる。
【0025】
開口部(e)には、長方形開口部の長さ方向に一方の端から他方の端に亘り、穴を穿設したテープを移動可能に設けることもできる。テープは、筐体(d)の長さ方向両端部に設けたV字型舌片部分に、巻き取り、巻き戻し可能なロールを設け、モーターの稼動で開口部を移動可能とする。テープは、金属箔、プラスチックフィルムより調製し、幅5mm〜50mm、厚さ0.1mm〜10mm、穿設する穴の数1〜100個、大きさ20mm〜40mの範囲で選ぶことができる。このテープは、洗浄液噴射手段に同期させてテープを移動させることもできる。
【0026】
筐体(d)の背面側(開口部の反対側)は濾過タンクの内壁面に接触するようにされ、背面側の適所に、一個以上の排液取出し手段(f)が設けられる。筐体(d)に集められた浮遊物、異物の多い未濾過液は、排液取出し手段(f)によって濾過タンク外に排出される。排液取出し手段(f)は、パイプと移送ポンプによって構成する。パイプは、筐体(d)の背面側から濾過タンクの壁面と貫通して濾過タンク外に出され、濾過タンク外の適所に移送ポンプを配置して、浮遊物、異物の多い排液を、排液タンクに強制的に移送するように機能する。
【0027】
一方のV字状溝(V1)に設置された洗浄液噴射手段と、他方のV字状溝(V2)に配置されたドレン室とは、狭窄部で連続板によって連接された筐体構造とされていてもよい。狭窄部で連続板によって連接された筐体構造とされている場合は、筐体の長さを円筒状フィルターの長さと同じにすることもできるし、筐体の長さを円筒状フィルターより短くし、この筐体を円筒状フィルターの長さ方向に沿って移動可能とすることもできる。
【0028】
筐体の長さを円筒状フィルターより短い場合、筐体を円筒状フィルターの長さ方向に沿って移動させる移動手段としては、ボールネジ機構、油圧シリンダー機構、空圧シリンダー機構、リニアモーター機構などが挙げられる。移動手段の設置は、洗浄液噴射手段を配置した側、ドレン室側のいずれか一方でもよいが、双方に設置し、連動させるのが好適である。
【0029】
円筒状フィルターによって浮遊物、異物を除去された濾過液は、それぞれの用途、濾過液が水の場合には工業用水、循環工業用水、原子力、火力発電所用の冷却水などに使用されるまで、濾過液タンクに貯えられる。濾過液の一部は、円筒状フィルター(フィルターエレメント)外側面の洗浄液として使用することもできる。排液タンクに移送された浮遊物、異物の多い排液は、排液タンク内で静置させることによって、液体と固体浮遊物、液体と固体沈殿物とを分離し、分離した液体を被濾過液タンクに循環して、上と同様の手順で濾過操作に供することができる。大型船舶バラスト水の場合は、濾過液は海に戻される。沈殿させて固体浮遊物、固体沈殿物は、化学反応生成物のような有用物の場合は、これを次の工程に移送し回収して活用することができる。固体浮遊物、固体沈殿物が廃棄物の場合は、別途廃棄する。廃棄方法は、浮遊物、沈殿物の種類により、焼却処分、埋め立て処分する方法などが挙げられる。
【0030】
円筒状フィルター表面の濾過材(メッシュ)が目詰まりした場合には、被濾過液体を濾過する操作とは逆に、円筒状フィルター内部から洗浄用液体を圧入(または噴射)することにより、濾過材(メッシュ)に詰まった浮遊物や異物を濾過タンク内の空間部21aに押出し、効率よく洗浄することができる。濾過材から押出された浮遊物や異物を含む液体は、被濾過液体に混合して再度濾過操作を行うか、または、廃棄処理する。
【実施例】
【0031】
以下、本発明を図面に基づいて説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の記載例に限定されるものではない。
【0032】
図1は、本発明に係る連続濾過装置によって被濾過液体を濾過する際の一例の概略図であり、図2は、筒状濾過タンクの内部に二個の筒状フィルターを配置した連続濾過装置の一例の縦断面略図、図3は、図2のA−A部分での横断面図であり、図4は、噴射ノズルを移動させるボールネジ機構を示す側面略図であり、図5は、円筒状フィルター外側面の狭窄部での洗浄液の流れを示す概略図である。図6は、一個のドレン室に二個の噴射ノズルを配置した状態を示す一例の斜視略図、図7は、ドレン室と噴射ノズルの双方を連動させて移動可能にした状態を示す一例の斜視略図、図8は、ドレン室の開口部に格子を形成した一例の斜視略図を示し、図9は、格子状開口部に扉を設けた一例の斜視略図である
【0033】
図10は、洗浄液噴射手段とドレン室とが、狭窄部で連続板によって連接された筐体構造とされた一例を示す斜視略図であり、図11は、筒状濾過タンクの内部に四個の筒状フィルターを配置した連続濾過装置の一例の横断面略図であり、図12は、筒状濾過タンクの内部に四個の筒状フィルターを配置した連続濾過装置の一例の横断面略図である。
【0034】
図1は、本発明に係る連続濾過装置によって被濾過液体を濾過する際の一例の概略図であり、図示されていない被濾過液体タンクから移送された被濾過液体11は、加圧ポンプ12によって加圧された状態で連続濾過装置13に送り込まれ、連続濾過装置13内で浮遊物、異物を除去される。浮遊物、異物が除去された濾過液は、出口14から取り出され、浮遊物、異物の多いドレンは、ドレン抜き取り口15から抜き取られ、図示されていない静置槽で静置されて固液分離され、洗浄液噴射手段に送られ洗浄液とされたり、液体部分は被濾過液体11に混合され、連続濾過装置13に送り込まれたりして、連続濾過装置によって再度濾過される。
【0035】
以下、本発明に係る連続濾過装置13を、筒状濾過タンク内に二個の筒状フィルターを配置した例に基づいて、説明する。図2および図3において、21は筒状濾過タンク、22、23は円筒状フィルターであり、円筒状フィルター22、23の上下が筒状濾過タンク21の上下の板状体に軸支され、モーターMによって相互に独立して、点線の矢印の方向に回転可能に配置されている。円筒状フィルター22、23は、外側面の狭い間隔の狭窄部24が形成する一方のV字状溝(V1)25に、筒状フィルター面を洗浄する洗浄液噴射手段27が設置され、他方のV字状溝(V2)26に、ドレン室28が設置されている。
【0036】
洗浄液噴射手段27は、前記したとおり、図4に示したボールネジ機構によって上下に移動可能にされている。。ボールネジ機構は、噴霧ノズル27aを送りネジ軸27bに螺合させ、ガイド棒27cでガイドしつつ送りネジ軸27bを回転させることによって、移動可能にされている。(a)洗浄液を濾過材面上に噴霧する噴霧ノズル25aは、狭窄部24が形成する一方のV字状溝内25で、点線の矢印の方向に回転させられている円筒状フィルター22、23の長さ方向に沿って、上下に移動可能にされている(c)洗浄液は、濾過タンク外に設置した図示されていない洗浄液タンクから、洗浄液移送手段としてのフレキシブルチューブ27dなどによって噴霧ノズル27aに送られる。
【0037】
図示されていない被濾過液体タンクから、筒状濾過タンク13内の空間部13aに送り込まれた被濾過液体11は、図5に円筒状フィルター外側面の狭窄部24での洗浄液の流れを矢印で概略図として示したように、被濾過液体より圧力が低くされ、点線の矢印の方向に回転させられている円筒状フィルター22、23内に吸い込まれる。その際、被濾過液体に含まれる浮遊物、異物17は、円筒状フィルター22、23の表面に配置された濾過材(メッシュ)上に溜まる。濾過材上に溜まった浮遊物、異物に噴霧ノズル27aから噴射洗浄液を噴射することによって剥ぎ取り、剥ぎ取られた浮遊物、異物をドレン室28に送り込む。ドレン室28から抜き取られた浮遊物、異物の多い液体は、前記したとおり、図示されていない排液タンク内で静置させることによって、液体と固体浮遊物、液体と固体沈殿物とを分離し、分離した液体を被濾過液タンクに循環して、上と同様の手順で濾過操作に供することができる。
【0038】
図6〜図7は、噴射ノズルとドレン室の変形例を示した斜視略図である。図6は、一個のドレン室68に二個の噴射ノズルを配置した一例の斜視略図であり、ドレン室68は円筒状フィルター22、23とほぼ同一の長さにされ、二個の噴射ノズル67a、67bは、図4に示したボールネジ機構によって、円筒状フィルター22、23の長さ方向に沿って、移動可能にされている。図7は、ドレン室78が小型化された例であり、ドレン室78は噴射ノズル77と連動させて移動可能にされている。ドレン室78と噴射ノズル77とは、図4に示したボールネジ機構によって、円筒状フィルター22、23の長さ方向に沿って、移動可能にされる。
【0039】
図8は、ドレン室の開口部に格子を形成した一例の斜視略図であり、図9は、格子状開口部に扉を設けた一例の斜視略図である。格子状開口部に設けられた扉は、通常は格子状開口部を塞ぎ、濾過タンク内の空間部21aに溜まった被濾過液体が無制限にドレン室に流入するのを防ぐ。ドレン室開口部の格子状にされた前面(狭窄部側)に、前記したとおり、開口部の長さ方向に一方の端から他方の端に亘り、穴を穿設したテープを移動可能に設けることもできる。
【0040】
図7および図8に示した例は、噴射ノズルとドレン室とが狭窄部を挟んで分離されているが、図9に示した例は、噴射ノズルとドレン室とが狭窄部で連続板によって連接された筐体構造90内に収納とされている例である。筐体構造90は、ボールネジ機構などの移動手段によって、上下移動可能にできることは前記したとおりである。
【0041】
図10は、濾過タンク103内に四個の筒状フィルター(22a、22b、23a、23b)を配置した連続濾過装置の一例の横断面略図である。この例の場合も、二個一組にして外側面で狭窄部を形成して隣接させ、相互に独立して回転可能(点線の矢印方向)に配置されてなる。噴射ノズル107とドレン室108とは、狭窄部を挟んで対向させて設置する。
【0042】
図11は、濾過タンク113内に六個の筒状フィルター(24a、24b、25a、25b、26a、26b)を配置した連続濾過装置の一例の横断面略図である。この例の場合も、二個一組にして外側面で狭窄部を形成して隣接させ、相互に独立して回転可能(点線の矢印方向)に配置されてなる。噴射ノズル117とドレン室108とは、狭窄部を挟んで対向させて設置する。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明に係る濾過装置は、次の分野で使用可能である。
1.用途の異なる各種の水(飲料水用の河川水、井戸水、地下水、各種工場で使用される多量の工業用水、工場で使用された多量の工業用水の循環水、大型船舶バラスト水、原子力、火力発電所用の冷却水など)から、浮遊物、異物を濾過できる。
2.用途の異なる各種の油(船舶の燃料油、潤滑油、食用油など)からの浮遊物、異物の濾過することができる。
3.生産工程を循環する液状物から、有用物の回収する装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明に係る連続濾過装置によって被濾過液体を濾過する際の一例の概略図である。
【図2】筒状濾過タンクの内部に二個の筒状フィルターを配置した連続濾過装置の一例の縦断面略図である。
【図3】図1のA−A部分での横断面図である。
【図4】噴射ノズルを移動させるボールネジ機構を示す側面略図である。
【図5】円筒状フィルター外側面の狭窄部での洗浄液の流れを示す概略図である。
【図6】一個のドレン室に二個の噴射ノズルを配置した一例の斜視略図である。
【図7】ドレン室と噴射ノズルの双方を連動させて移動可能にした状態を示す一例の斜視略図である。
【図8】ドレン室の開口部に格子を形成した一例の斜視略図である。
【図9】格子状開口部に扉を設けた一例の斜視略図である。
【図10】洗浄液噴射手段とドレン室とが、狭窄部で連続板によって連接された筐体構造とされた一例を示す斜視略図である。
【図11】筒状濾過タンクの内部に四個の筒状フィルターを配置した連続濾過装置の一例の横断面略図である。
【符号の説明】
【0045】
11:被濾過液体
12: 加圧ポンプ
13、103、113:濾過タンク
13a:濾過タンク内の空間部
14:濾過液体出口
15、105、115:ドレン抜き取り口
16:円筒状フィルター内に吸い込まれる液体
17:浮遊物または異物
22、23、22a、23a、22b、23b、22c、23c、24a、24b、25a、25b、26a、26b:円筒状フィルター
24:狭窄部
25:V字状溝(V1)
26:V字状溝(V2)
27:洗浄液噴射手段
27a、57、67a、67b、77、87、107、117:洗浄液噴射ノズル
27b:送りネジ軸
27c:ガイド棒
27d:フレキシブルチューブ
28、68、78、88、108、118:ドレン室
90:筐体構造




【特許請求の範囲】
【請求項1】
長さ方向に直角に切断した断面が円形、長方形、多角形または楕円形を呈する筒状濾過タンクの内部に、濾過タンクの長さ方向に沿って偶数個の円筒状フィルターを、二個一組にして外側面で狭窄部を形成して隣接させ、相互に独立して回転可能に配置されてなる濾過装置において、
相互に隣接する二個一組の円筒状フィルター外側面の狭い間隔の狭窄部が形成する一方のV字状溝に、筒状フィルター面を洗浄する洗浄液噴射手段が設置され、他方のV字状溝に、ドレン室が設置されてなることを特徴とする、連続濾過装置。
【請求項2】
洗浄液噴射手段が、二個一組の円筒状フィルター外側面の隣接部が形成するV字状溝の一方に、このV字状溝の長さ方向に沿って偶数個配置されてなる、請求項1に記載の連続濾過装置。
【請求項3】
洗浄液噴射部が、二個一組の円筒状フィルター外側面の隣接部が形成するV字状溝の一方に、このV字状溝の長さ方向に沿って設置されてなり、この洗浄液噴射部が、ボールネジ、油圧シリンダー、空圧シリンダー、リニアモーターのいずれかによって移動可能にされてなる、請求項1または請求項2に記載の連続濾過装置。
【請求項4】
洗浄液噴射手段のノズルから噴射される洗浄液が、円筒状フィルターの表面に対して、0〜90°の範囲で角度を調節して噴射可能にされてなる、請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の連続濾過装置。
【請求項5】
ドレン室は、二個一組の円筒状フィルター隣接部側に開口部が設けられ、ドレン室全体に減圧を適用可能にされてなる、請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の連続濾過装置。
【請求項6】
ドレン室の開口部は、長方形にされ、かつ、格子状の桟が設けられ、桟に囲まれた部分には、ばねによって内側から桟に付勢された扉が設けられ、洗浄液噴射手段から噴射される洗浄液によって内側に開くようにされてなる、請求項5に記載の連続濾過装置。
【請求項7】
ドレン室の開口部には、長方形にされた開口部の長辺の両側に、開口部を塞ぐ可撓性に優れた複数枚の閉鎖部材が設けられ、洗浄液噴射手段から噴射される洗浄液によって内側に開くようにされてなる、請求項5に記載の連続濾過装置。
【請求項8】
ドレン室の開口部には、長方形開口部の長さ方向に一方の端から他方の端に亘るテープが配置され、このテープには穴が穿設されてなり、洗浄液噴射手段に同期させて移動可能にされてなる、請求項6または請求項7に記載の連続濾過装置。
【請求項9】
狭窄部を挟んだV字状溝に設置された洗浄液噴射手段とドレン室とが、狭窄部で連続板によって連接された筐体構造とされてなる、請求項1に記載の連続濾過装置。
【請求項10】
筐体が、円筒状フィルターの長さ方向に沿って移動可能にされてなる、請求項9に記載の連続濾過装置。
【請求項11】
長さ方向に直角に切断した断面が楕円形の濾過タンクの内部に、濾過タンクの長さ方向に沿って偶数個の円筒状フィルターを、二個一組にして外側面で狭窄部を形成して隣接させ、相互に独立して回転可能に配置されてなる濾過装置によって、被濾過液体を濾過するにあたり、
相互に隣接する二個一組の円筒状フィルター外側面の隣接部が形成する一方のV字状溝に、円筒状フィルター面を洗浄する洗浄液噴射手段が設置され、他方のV字状溝に、ドレン室が設置された連続濾過装置を使用し、
ドレン室の圧力を円筒状フィルターの圧力よりも小さくすることを特徴とする、被濾過液体の連続濾過方法。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−106791(P2009−106791A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−278399(P2007−278399)
【出願日】平成19年10月26日(2007.10.26)
【出願人】(000237167)富士フィルター工業株式会社 (11)
【Fターム(参考)】