説明

連続的に整列可能な電子筐体

少なくとも1つまたは複数の印刷回路基板(LP)を収容する多重整列可能な電子筐体(1)であって、取付けレールなどの組立体基部にロックするための固定手段(2、3)を有する固定脚を好ましくは備え、固定脚と、好ましくは底部(5)と、整列方向においていずれの場合にも当該電子筐体の範囲を定める互いに平行をなす2つの主側壁(6、7)とを有する、好ましくは独立した筐体基部(12)を備え、筐体基部(4)とは別に形成され、筐体基部(4)に配置可能であり、且つ主側壁(6、7)を互いに接続する1または複数の側部品(14、15)を備え、これにより側部品(14、15)と主側壁(6、7)との間に少なくとも部分的に、5mmを越える幅を有する重複領域(21)が形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前文に係る連続的に整列可能な電子筐体に関する。
【背景技術】
【0002】
このような電子筐体は、それ自体が公知であるが、電磁破壊に対する防護またはESD(静電気放電)に対する防護に関して、さらなる設計最適化を求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、上記課題を解決することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、この課題を請求項1の対象により解決する。
【0005】
簡単な態様で、本発明は、特にESDに対して防護された態様で、印刷回路基板を伴う電子部品を収容する、合成物質からなる筐体を設計する可能性を提供する。
【0006】
好ましくは、少なくとも1つの印刷回路基板に1または複数のコネクタプラグが設けられ、コネクタプラグに側面部品がロックされうる。このことは、組立作業を確実に簡略化する。なぜなら、プラグコネクタおよび側部品が印刷回路基板に事前組立てされ且つこのデリケートな部品が組立時に筐体基部内で十分に保護されるためである。このようにして、プラグコネクタおよび側面部品を有する少なくとも1つの印刷回路基板は、筐体基部に挿入可能である事前組立可能なユニットを構成する。
【0007】
特に好ましい態様では、プラグコネクタは、ピンストリップまたはソケットボードとして形成される。他の実施形態、例えばRJ45プラグまたはソケットの形態としても考えられる。
【0008】
好ましくは、印刷回路基板は、プラグコネクタおよび側部品とともに、筐体基部に挿入可能な事前組立ユニットを構成する。これにより、組立が簡単となり、特に確実となる。
【0009】
本発明の好適な実施形態は、従属請求項に見出される。
【0010】
本発明の典型的な実施形態は、図面を参照しながら以下で詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】電子筐体の構成要素を示す分解斜視図である。
【図2】整列方向における電子筐体の構成要素を示す側面図である。
【図3】電子筐体の個別のサブグループに関する様々な組立段階において図1の電子筐体を示す斜視図である。
【図4】電子筐体の個別のサブグループに関する様々な組立段階において図1の電子筐体を示す斜視図である。
【図5】電子筐体の個別のサブグループに関する様々な組立段階において図1の電子筐体を示す斜視図である。
【図6】組立段階における図1の電子筐体を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、好ましくはU字状の取付けレール(不図示)にロックするための固定手段(Rastmittel)2、3を有する固定脚(Rastfuss)を設けられた、多重整列可能な電子筐体1の斜視図を示している。必須ではないが好ましい設計において、電子筐体は、取付けレールへのロックを必要とする。ベースたる筐体1は、異なる方法で組立体基部により配置可能となるように設計されてもよく、この場合には固定脚が適宜修正される。
【0013】
電子筐体1は、取付けレールの方向に対して垂直、つまり図2の平面に対して垂直に隣同士に整列されうる。
【0014】
電子筐体1は、筐体基部4を有し、筐体基部は、好ましくは、合成物質の射出成形部品として一部品で形成される。筐体基部は、固定手段2、3を有する固定脚を有し、これにより、固定手段3の一方が固定縁となり、他方がある種のスライドまたは作動スライド2となりうる。
【0015】
筐体基部4は、好ましくは取付けレールの近くにさらに、底部5(ここでは、固定縁3の領域にのみ見られる。)を有する。底部5は、ESD防護性能を重視する態様では、その全てまたは大半を閉鎖して形成され、例えば、ESD防護性能を重視しない態様では空気スリットまたは空気ダクトを設けるために、開口が設けられてもよい。
【0016】
底部5は、好ましくは取付けレールの両側に延びる。固定脚の領域には、取付けレールのバスバーに接続するための手段(不図示)が設けられうる。
【0017】
底部5には、取付けレールから離れて垂直上向きに2つの側壁6、7が隣接し、側壁は、好ましくは互いに平行に並べられ、電子筐体の格子寸法つまりXの間隔で配置される。以下では、これらの側壁を主側壁6、7と称する(図1参照)。主側壁は、整列方向Xにおける電子筐体1の幅Xを既定する。
【0018】
主側壁6、7は、取付けレール上で整列方向Xに対して垂直に延びる。取付けレールからこの方向で見ると、主側壁は、この方向「Z」に向いており、まず、取付けレールの両側に延びるY方向に広い基部領域8aを有し、この基部領域8のZ方向上方に狭い領域8bを有する。これにより、主側壁6、7は、取付けレールに対して本質的に逆T字状をなす。
【0019】
筐体基部は、少なくとも基部領域8aでは、基部領域8aにおいて主側壁6、7を接続する比較的短い側壁部9を有しうる。
【0020】
側壁6、7間のベースたる筐体1には、図1の上部に示すように、少なくとも1つまたは複数の印刷回路基板LPのための収容領域が設けられる。
【0021】
この印刷回路基板LPは、好ましくは、少なくとも部分的にほぼ鋸歯状の側部形状を有する。これにより、印刷回路基板の縁部に形成される階段状部10(図1、2)は、少なくとも1つまたは複数のピンストリップ11(あるいはソケットストリップ)を印刷回路基板LPの縁部に配置するために用いられる。ピンストリップは、例えばはんだ付け技術を用いて導電態様で接触領域(ここでは個別の詳細が見られない。)を介して印刷回路基板に接続される。
【0022】
ストリップには、隔壁により互いに分離され且ついずれの場合にもピンストリップ11の接続ピンの1つを受容するために設計された接続チャンバ13を有する筐体12が配置されうる(図1、2参照)。
【0023】
ピンストリップ11は、好ましくは印刷回路基板の縁部の両側に本質的に垂直に延びるように、いずれの場合にも階段状部10に配置される。これにより、ピンストリップは、対応するソケットストリップ(不図示)が取付けレールに対して本質的にある方向から、「上から下へ」差込可能であるように、いずれの場合にも階段状部10の下脚に位置する。
【0024】
筐体基部4は、主側壁6、7の間の基部上の領域に、筐体基部と一体的に接続され且つ電子筐体1の周囲を遮るいかなる側部品も有しない。
【0025】
図1〜図4に関連する設計を見ると、筐体基部4に固定可能であり、ベースたる筐体1に対して配置可能であり且つ好ましくはロック態様でそこに固定可能な側壁14、15が設けられる。側壁は、主側壁6、7を互いに接続し、それらに対して垂直に並べられる。
【0026】
上面から見ると、これらの側壁14、15は、本質的にU字状を呈する。
【0027】
図3に示す側面では、U字状の側部品14、15は、凹部16が設けられて同様に部分的に階段状の形状を有している。凹部は、組立状態でピンストリップ11が内部に入り込むように設計および配置される。これにより、凹部16を通じてピンストリップ11をソケットストリップに接触させうる。
【0028】
側部品14、15は、特にZ方向における後者の縁部に沿う縦脚の領域に縁部17、18を有する。縁部では、互いに外方を向く外側面において側部品の壁厚が他の領域よりも幾分小さい。
【0029】
側部品14、15の縦脚19、20間の間隔は、それらの外側の間隔が壁6、7の間隔Xに対応するように寸法付けられる。一方、縁部17、18は、組立状態で縁部17、18と壁6、7との間に重複領域21が形成されるように、整列方向で内側から壁6、7の裏面を押さえるように設計される。
【0030】
この重複領域21は、好ましくは、いずれの場合にも5mmを超える幅を有する。好ましくは、さらなる最適化のために、この幅は6〜9mmであり、特に8mmである。
【0031】
側部品14、15が基部領域に係合する領域では、対応する大きな重複領域が同様に形成される。ここで、側部品および基部領域には、側部品14、15を基部にさらに固定する何か、互いに交互に裏面を押さえるリブ22a、22bがさらに設けられてもよい(図1)。
【0032】
このようにして、電磁技術的に特に破壊に耐える態様で、取付けレールの近くに当たるこの低い領域に電子筐体を設計できる。これにより、好ましい破壊に耐える設計では、側壁に通気口23、24が設けられない(ここで、この態様は図示されていない。)。このようにして、簡単な態様でESD耐性を伴う電子筐体を提供できる。
【0033】
好ましくは、電子筐体の全ての部品、つまり、特にベースたる筐体および側部品14、15は、絶縁性の合成物質からなる。
【0034】
しかし、側部品14、15は、金属製でもよく、および/または電子筐体の要素は、例えば合成物質または金属などの異なる材料を用いて製造されてもよい。
【0035】
X方向では、電子筐体1は、図1に示すように、例えば12.5mmの長さを有する。
【0036】
電子筐体1は、好ましくは、ロック態様またはクランプ態様で側部品14、15および主側壁6、7に固定可能である蓋部25により上部を閉鎖される。図1によれば、このロック作用は、好ましくは孔26に対するクランプの態様で行われる。孔は、側壁の固定突起27を通過させ、これにより、側部品14、15を取付けレールに対して垂直に(Y方向に)引き離すことが蓋部25により防止される。蓋部25は、他の接続も取り込み可能であり、および/またはマーキングのために利用可能であり、ここでさらに、好ましくは透明なカバー28が設けられてもよい。
【0037】
いずれの場合にも2または3以上の印刷回路基板LP(不図示)を保持するように、電子筐体1を設計してもよい。さらに、例えば、側部品の変更、または異なる側部品14、15により、多少大きな通気機能または冷却機能を伴う電子筐体を形成してもよい。
【0038】
ここで側部品14、15がピンストリップと接触するように設計される一方で、凹部16は、例えばRJ45形式のプラグ、導光プラグ、または他の種類のプラグもしくはソケットなど他の接続が凹部を通じて到達可能となるように形成されてもよい。
【0039】
鋸歯状の形状によれば、取付けレールに対して垂直な方向で比較的高く形成することができる。このことは、この方向では構造の空間がほとんど制限されないため有利である。
【符号の説明】
【0040】
1 ベースたる筐体
2、3 固定手段
4 筐体基部
5 底部
6、7 側壁
8 基部領域
9 側壁部
10 部
11 ピンストリップ
12 筐体
13 接続チャンバ
14、15 側部品
16 凹部
17、18 縁部
19、20 縦脚
21 重複領域
22a、22b リブ
23、24 開口
25 蓋部
26 孔
27 固定突起
28 カバー
X、Z 方向
X1 構造幅
LP 印刷回路基板


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つまたは複数の印刷回路基板(LP)を収容する多重整列可能な電子筐体(1)であって、
a.取付けレールその他の組立体基部にロックするための固定手段(2、3)を有する固定脚を好ましくは備え、
b.前記固定脚と、好ましくは底部(5)と、整列方向においていずれの場合にも当該電子筐体の範囲を定める互いに平行をなす2つの主側壁(6、7)とを有する、好ましくは一体形成された筐体基部(4)を備え、
c.前記筐体基部(4)とは別に形成され、前記筐体基部(4)に配置可能であり、且つ前記主側壁(6、7)を互いに接続する1または複数の側部品(14、15)を備え、
d.これにより前記側部品(14、15)と前記主側壁(6、7)との間に少なくとも部分的に、5mmを越える幅を有する重複領域(21)が形成される、電子筐体。
【請求項2】
前記重複領域(21)が6mm〜9mmの幅を有することを特徴とする、請求項1に記載の電子筐体。
【請求項3】
前記重複領域(21)が8mmの幅を有することを特徴とする、請求項2に記載の電子筐体。
【請求項4】
ESD耐性を有するように形成されることを特徴とする、請求項1に記載の電子筐体。
【請求項5】
前記少なくとも1つの印刷回路基板(LP)に1または複数のプラグコネクタ(11)が配置されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の電子筐体。
【請求項6】
プラグコネクタ(11)および前記側部品(14、15)を有する前記印刷回路基板(LP)が、前記筐体基部(4)に挿入可能である事前組立可能なユニットを構成することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の電子筐体。
【請求項7】
プラグコネクタがピンストリップ(11)またはソケットストリップ(12)として形成されることを特徴とする、請求項3に記載の電子筐体。
【請求項8】
前記側部品(14、15)が蓋部(25)を介して互いに接続され、前記取付けレールに対する垂直な引き離しに抗するようにクランプ状の態様で固定されることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の電子筐体。
【請求項9】
前記主側壁(6、7)が、Z方向で前記取付けレールから見ると、まず、前記取付けレールの両側に延びるY方向に広い基部領域(8a)を有し、この基部領域(8)のZ方向上方に狭い領域(8b)を有することで、前記主側壁(6、7)が前記取付けレールに対して本質的に逆T字状をなすことを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の電子筐体。
【請求項10】
前記筐体基部(4)が、基部領域(8a)の領域にのみ、前記基部領域(8a)で前記主側壁(6、7)を接続する側壁部(9)を有することを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の電子筐体。
【請求項11】
前記少なくとも1つまたは複数の印刷回路基板が、いずれの場合にも部分的に鋸歯状の側部形状を有し、これによりプラグコネクタ(11)を配置される階段状部(10)が形成され、これにより前記印刷回路基板が整列方向Xに連なることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載の電子筐体。
【請求項12】
前記側部品(14、15)が、上面から見ると、U字状の形状を有することを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一項に記載の電子筐体。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2012−518895(P2012−518895A)
【公表日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−550508(P2011−550508)
【出願日】平成22年2月3日(2010.2.3)
【国際出願番号】PCT/EP2010/051304
【国際公開番号】WO2010/094563
【国際公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【出願人】(505422464)ワイドミュラー インターフェース ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト (29)
【氏名又は名称原語表記】Weidmueller Interface GmbH & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Klingenbergstrasse 16, D−32758 Detmold, Germany
【Fターム(参考)】