説明

連鎖端子

【課題】架橋部の切断端に鋭いエッジが発生しなくなり、それにより、電線等を傷付けるおそれを軽減できる連鎖端子を提供する。
【解決手段】帯板状のキャリア3の側縁部にそれぞれ架橋部5を介して連結されることで多数の端子2が連鎖状に配列されており、架橋部5を予め設定された切断線Sに沿って切断することにより、各端子2をキャリア3から切り離すようにした連鎖端子1において、架橋部5の両側縁を、端子2側の架橋部5の幅が広くキャリア3側の架橋部5の幅が狭くなるように、切断線Sに垂直な線Lに対して傾斜した傾斜縁6として形成し、特に傾斜縁6を切断線Sに沿う位置に近い角度まで傾斜させた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯板状のキャリアの側縁部にそれぞれ架橋部を介して多数の端子を連結した連鎖端子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
端子の生産性や納入効率等を向上させるため、複数の端子をキャリアと一体に連鎖状に形成し、使用時に各端子をキャリアから切り離す形態の連鎖端子が広く知られている。
【0003】
図3は、例えば、特許文献1に記載された従来の連鎖端子の構成を示す平面図である。
【0004】
この連鎖端子21は、帯板材をプレス機械により所定形状に打ち抜き加工することで形成されたもので、帯板状のキャリア23の側縁部に、多数の端子22が連鎖状に配列されている。各端子22は、それぞれ架橋部25を介してキャリア23の側縁部に連結されており、架橋部25を、予め設定された切断線Sに沿って切断することにより、キャリア23から切り離せるようになっている。
【0005】
図4(a)は連鎖端子を架橋部25で切断した状態を示し、図4(b)は切断箇所を拡大して示している。
【0006】
従来の連鎖端子21における架橋部25は、両側縁が互いに平行な一定幅の帯板状に形成されており、切断線Sに沿って架橋部25を刃物等で切断すると、切断端27の両角部28が略直角の鋭いエッジとなっていた。このように架橋部25の切断端27に鋭い角度のエッジが発生すると、例えば、アース端子等のように、端子を剥き出しで使用する場合に、このエッジが電線などを傷付ける原因となるおそれがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−348838号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述したように、従来の連鎖端子21では、端子22とキャリア23を繋ぐ架橋部25を切断して端子22をキャリア23から切り離した場合に、架橋部25の切断端27の両角部28に鋭いエッジが発生し、それが原因で電線等を傷付けるおそれがあった。
【0009】
本発明は、上記事情を考慮し、架橋部の切断端に鋭いエッジが発生しなくなり、それにより、電線等を傷付けるおそれを軽減できる連鎖端子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、請求項1の発明の連鎖端子は、帯板状のキャリアの側縁部にそれぞれ架橋部を介して連結されることで多数の端子が連鎖状に配列され、前記架橋部を予め設定された切断線に沿って切断することで、前記各端子を前記キャリアから切り離すようにした連鎖端子において、前記架橋部の両側縁を、前記端子側の架橋部の幅が広く前記キャリア側の架橋部の幅が狭くなるように、前記切断線に垂直な線に対して傾斜した傾斜縁として形成したことを特徴とする。
【0011】
請求項2の発明の連鎖端子は、請求項1に記載の連鎖端子であって、前記傾斜縁を前記切断線に沿う位置に近い角度まで傾斜させたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明によれば、架橋部の両側縁を、切断線に垂直な線に対して傾斜した傾斜縁として形成しているので、端子をキャリアから切り離すために架橋部を切断した場合に、切断端の両角部の角度を直角よりも大きな鈍角にすることができる。従って、角部にエッジができる場合であっても、エッジの角度を直角よりも緩やかな角度にすることができて、電線等を傷つけるおそれを軽減することができ、安全性を高めることができる。
【0013】
請求項2の発明によれば、前記傾斜縁を、切断線に沿う位置に近い角度まで傾斜させているので、切断端の両角部の角度を180°に近い鈍角状にすることができる。従って、切断端の一層の安全性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】(a)は本発明の実施形態の連鎖端子の端子切り離し前の状態を示す平面図、(b)は(a)のA円部の拡大図である。
【図2】(a)は同連鎖端子の架橋部を切断した状態を示す平面図、(b)は(a)のB円部の拡大図である。
【図3】従来の連鎖端子の構成を示す平面図である。
【図4】(a)は同連鎖端子を架橋部で切断した状態を示す平面図、(b)は(a)のC円部の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態を図面を参照して説明する。
【0016】
図1は実施形態の連鎖端子の端子切り離し前の状態を示す図、図2は同連鎖端子の架橋部を切断した状態を示す図である。
【0017】
この連鎖端子1は、帯板材をプレス機械により所定形状に打ち抜き加工することで形成されたもので、帯板状のキャリア3の側縁部に、多数の端子2が連鎖状に配列されている。各端子2は、それぞれ架橋部5を介してキャリア3の側縁部に連結されており、架橋部5を、予め設定された切断線Sに沿って切断することにより、キャリア3から切り離せるようになっている。
【0018】
キャリア3には、所定間隔でパイロットホール4が設けられており、このパイロットホール4を利用して、連鎖端子1を構成する帯板をプレス装置に規則正しく間欠送りすることができ、送り停止した状態でプレス装置によって帯板に所定のプレス加工を施すことができるようになっている。
【0019】
また、この連鎖端子1では、架橋部5の両側縁を、端子2側の架橋部5の幅が広くキャリア3側の架橋部5の幅が狭くなるように、切断線Sに垂直な線Lに対して角度θだけ傾斜した傾斜縁6として形成している。特に本実施形態では、傾斜縁6を、切断線Sに沿う位置に近い角度(θ=約70°〜80°程度)まで傾斜させている。なお、図1(b)において、符号Mで示す線は傾斜縁6の延長線であり、θはMとLに挟まれた角度として定義される。
【0020】
このように構成した連鎖端子1において、切断線Sに沿って架橋部25を刃物等で切断すると、図2に示すように、切断端7の両角部8の角度αを直角よりも大きな鈍角にすることができる。特に、本実施形態の場合、傾斜縁6を、切断線Sに沿う位置に近い角度まで傾斜させているので、切断端7の両角部8の角度αを180°に近い鈍角状にすることができる。従って、切断端7にエッジがほとんど発生せず、電線等を傷つけるおそれを軽減することができて、安全性を高めることができる。
【符号の説明】
【0021】
1 連鎖端子
2 端子
3 キャリア
5 架橋部
6 傾斜縁
7 切断端
S 切断線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯板状のキャリアの側縁部にそれぞれ架橋部を介して連結されることで多数の端子が連鎖状に配列され、前記架橋部を予め設定された切断線に沿って切断することで、前記各端子を前記キャリアから切り離すようにした連鎖端子において、
前記架橋部の両側縁を、前記端子側の架橋部の幅が広く前記キャリア側の架橋部の幅が狭くなるように、前記切断線に垂直な線に対して傾斜した傾斜縁として形成したことを特徴とする連鎖端子。
【請求項2】
請求項1に記載の連鎖端子であって、
前記傾斜縁を前記切断線に沿う位置に近い角度まで傾斜させたことを特徴とする連鎖端子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−64506(P2012−64506A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−209348(P2010−209348)
【出願日】平成22年9月17日(2010.9.17)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】