説明

遊技媒体自動払出システム

【課題】テスト打ち時の遊技場の従業員の作業負担を極力抑制可能な遊技媒体自動払出システムを提供する。
【解決手段】遊技媒体を払出すために払出ボタン7の押下げと、従業員記録媒体1を用いて、認証手段15の認証を受けると、遊技媒体の払出しを要求する払出信号を送出する払出指令手段12と、遊技機に投入された遊技媒体の計数を行うとともにこの計数に応じた計数信号を送出可能な計数手段13と、計数手段13から計数信号を受信し、この受信した計数信号を集計し、この集計値が所定の値になると、払出信号の送出を払出指令手段12に要求する集計手段18と、払出信号を払出指令手段12から受信すると所定量の遊技媒体の払出しを行う払出手段10と、からなる構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機の不具合の確認等のために行われるテスト打ち時に、遊技媒体を自動で払出して遊技機に供給する自動払出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、遊技機が遊技場に導入されると、まず初めに当該遊技機の不具合の確認等のためにテスト打ちが行われる。このテスト打ちは、遊技者が通常遊技するのに近い環境で、遊技を行うものである。テスト打ちの際には、従来は遊技場の従業員がパチンコ玉等の遊技媒体を遊技機の上皿に投入し、遊技機のハンドルを固定して行っていた。
【0003】
しかし、この方法では上皿に遊技媒体が不足すると、従業員が遊技媒体を運んできて、上皿に投入する必要があり、従業員の作業負担が大きくなっていた。しかも、一度に遊技場に導入される遊技機は複数であることが通常であるため、例えば、新規開店時のようにテスト打ちを行う遊技機の数が多いとテスト打ちの作業負担は膨大となる。このような作業負担を軽減するため、特許文献1に記載されている技術が存在する。これは、受け皿と、この受け皿から流下した遊技媒体を遊技機の上皿へ揚送する揚送装置を設けるものであり、この受け皿を遊技機下部に配置すると共に受け皿に遊技媒体を投入するものである。
【特許文献1】特開2006−175171
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、当該装置では始めに従業員が遊技媒体を受け皿に投入する必要があり、更に、受け皿に遊技媒体が不足した場合にも従業員が遊技媒体を受け皿に投入する必要があるものとなっており、依然として従業員の作業負担は大きいままである。また、特許文献1に開示されている装置を各遊技機に設ける場合は、その費用が膨大なものとなる。また、特許文献1に開示されている装置を一回のテスト打ちで複数の遊技機で使い回す場合は、当該装置の移動作業を行う必要が生じ、従業員に新たな作業負担が生じ、作業負担の軽減は十分ではない。
【0005】
そこで本発明は、上記課題を鑑みて、テスト打ち時の遊技場の従業員の作業負担を極力抑制可能な遊技媒体自動払出システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、遊技媒体を払出すための所定の払出操作を受け付ける払出操作手段と、
当該払出操作手段が払出操作を受け付けると遊技媒体の払出しを要求する払出信号を送出する払出指令手段と、
遊技機に投入された遊技媒体の計数を行うとともにこの計数に応じた計数信号を送出可能な計数手段と、
前記計数手段から前記計数信号を受信し、この受信した計数信号を集計し、この集計値が所定の値になると、前記払出信号の送出を前記払出指令手段に要求する集計手段と、
前記払出信号を払出指令手段から受信すると所定量の遊技媒体の払出しを行う払出手段と、からなる、遊技媒体自動払出システムとした。
【0007】
請求項2の発明は、前記払出手段が払出しを行う所定量の遊技媒体は、前記集計手段が集計した集計値相当量の遊技媒体である、請求項1に記載の遊技媒体自動払出システムとした。
【0008】
請求項3の発明は、遊技場の従業員に予め配布した従業員用記録媒体と、
当該従業員用記録媒体に記録されている識別情報を読取り可能な読取手段と、
前記従業員用記録媒体の識別情報が記憶されている識別情報記憶手段と、
前記読取手段で読み取った識別情報と前記識別情報記憶手段に記録されている識別情報との認証を行う認証手段と、
遊技機に対応して配置されている遊技媒体払出装置の運営モードをテストモードとテストモード以外のモードとに切り替える切替手段と、
遊技媒体払出装置の運営モードの切替操作を受け付ける切替操作手段を更に備え、
前記認証手段による認証の成功と、前記切替操作手段の切替操作による前記遊技媒体払出装置の運営モードのテストモードへの切替とを条件として、前記払出操作手段が払出操作を受け付け可能となる、請求項1又は2に記載の遊技媒体自動払出システムとした。
【0009】
請求項4の発明は、前記払出操作手段は、払出ボタンと、遊技場の従業員に予め配布した従業員用記録媒体に記録されている識別情報を読み取る読取手段と、前記従業員用記録媒体の識別情報が記憶されている識別情報記憶手段と、前記読取手段で読み取った識別情報と前記識別情報記憶手段に記憶されている識別情報との認証を行う認証手段と、からなり、
前記払出ボタンの押下と、前記認証手段による認証の成功とを条件として前記払出指令手段に払出信号を送出させる、請求項1〜3のいずれかに記載の遊技媒体自動払出システムとした。
【0010】
請求項5の発明は、前記払出操作手段の操作に応じて前記払出手段の払出す遊技媒体量を予め設定する払出数設定手段を更に備える、請求項1、3又は4のいずれかに記載の遊技媒体自動払出システムとした。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明によれば、払出操作手段を操作すると、遊技媒体の払出しが行われ、また計数手段によって遊技機に投入された遊技媒体の計数を行い、この計数に応じた計数信号を送出し、集計手段によって、当該計数信号を受信して集計し、この集計値が所定の値になると、再度遊技媒体の払出しが行われる構成になっているため、遊技機に自動で遊技媒体が補填されることになり、テスト打ち時の遊技場の従業員の作業負担を極力抑制することができる。また遊技機の上皿に残っている遊技媒体の減少に合わせて、遊技媒体の払出しを行うことができる。さらに、請求項2の発明によれば、計数手段によって遊技機に投入された遊技媒体の計数を行い、集計値が所定の値になると、当該集計値分の遊技媒体量を払出す構成になっているため、遊技機の上皿に残っている遊技媒体の減少に合わせて的確に、遊技媒体の払出しを行うことができる。
【0012】
請求項3の発明によれば、切替手段に対して所定の操作を行い、遊技媒体払出装置の運営モードをテストモードに切り替えないと、遊技媒体払出装置がテスト打ちのために設定された遊技媒体の払出し操作を受け付けない構成としたため、遊技媒体払出装置の誤作動を防ぐことができ、便宜である。また、前記認証手段による認証の成功と、前記切替操作手段の切替操作との2つを、前記遊技媒体払出装置の運営モードがテストモードへ切り替わり、テスト打ちのために設定された払出し操作を受け付ける条件としたため、遊技媒体払出装置の誤作動をより万全に防ぐことができ、便宜である。
【0013】
請求項4の発明によれば、払出操作手段を用いて、所定の払出操作を行わないと、遊技媒体払出装置が遊技媒体の払出しを行わない構成としたため、遊技媒体払出装置の誤作動を防ぐことができ、便宜である。また、前記認証手段による認証の成功と、前記切替操作手段の切替操作の2つを、遊技媒体払出装置が遊技媒体の払出しを行う条件としたため、遊技媒体払出装置の誤作動をより万全に防ぐことができ、便宜である。
【0014】
請求項5の発明によれば、払い出す遊技媒体の量を予め設定できる構成とすることにより、より正確に払い出す遊技媒体の量を調整することができ、便宜である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
遊技媒体を払出すための所定の払出操作を受け付ける払出操作手段と、当該払出操作手段が払出操作を受け付けると遊技媒体の払出しを要求する払出信号を送出する払出指令手段と、遊技機に投入された遊技媒体の計数を行うとともにこの計数に応じた計数信号を送出可能な計数手段と、前記計数手段から前記計数信号を受信し、この受信した計数信号を集計し、この集計値が所定の値になると、前記払出信号の送出を前記払出指令手段に要求する集計手段と、前記払出信号を払出指令手段から受信すると所定量の遊技媒体の払出しを行う払出手段と、からなる構成とすることにより、遊技機に自動で遊技媒体が補填され、テスト打ち時の遊技場の従業員の作業負担を極力抑制することができ、遊技機の上皿に残っている遊技媒体の減少に合わせて、遊技媒体の払出しを行うことができる。
【実施例1】
【0016】
図1は、遊技媒体自動払出システムAを示す概念図である。遊技媒体自動払出システムAは、従業員用記録媒体1と遊技媒体払出装置2と管理装置3から構成されており、遊技媒体払出装置2と管理装置3は、通信回線を通じて接続されて、情報及び信号の送受信が可能である。従業員用記録媒体1は、内部に情報を書込み、また内部に記録された情報を読出すことのできる媒体であればよく、例えば、集積回路を組み込んだ会員用IDカード、ICコイン等である。特に、従業員用記録媒体1は、当該従業員用記録媒体1に割り振られた固有の識別情報を記録する識別情報記録手段4を有している。なお、本実施例では従業員用記録媒体1に割り振られた固有の識別情報を用いているが、これに限定されるものではなく、各従業員用記録媒体1を識別できるものであれば何を用いても良い。
【0017】
遊技媒体払出装置2は、図2に示すように遊技機5に対応して設けられている台間機であり、パチンコ玉(遊技媒体)の払出し機である。遊技媒体払出装置2は特に、切替手段9、払出手段10を備えている。
【0018】
切替手段9は、遊技場の従業者による、ボタンの押下等の切替操作手段8に対する操作と、後述する従業員用記録媒体1の認証の成功を条件として、遊技媒体払出装置2の運営モードをテストモードとテストモード以外のモードに切り替える。また、この切替が完了すると管理装置3に対して切替完了信号を送信する。払出手段10は、払出指令手段12から払出信号を受信すると所定量の遊技媒体を払い出して、遊技機5に供給する制御機構である。
【0019】
管理装置3は、プログラム制御により動作するコンピュータであり、管理装置3は特に、読取手段6、払出ボタン7、切替操作手段8、表示手段11、払出指令手段12、計数手段13、識別情報記憶手段14、認証手段15、払出数設定手段17、集計手段18、モード制御手段29、状態記憶手段30を備えている。読取手段6は、従業員用記録媒体1と有線又は無線通信を行い、従業員用記録媒体1の識別情報記録手段4に記録されている識別情報を読み取る。切替操作手段8は、ボタンやレバー等、遊技場の従業員が遊技媒体払出装置2の外部から操作できるものである。表示手段11は、各種の情報、例えば遊技に関する情報や遊技機5の稼働情報を表示したり、本発明の遊技媒体自動払出システムAを制御するコマンドやそれに対する応答出力等を表示したりする、CRT、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、モニタ等である。
【0020】
払出指令手段12は、払出操作手段が遊技場の従業者等の払出操作を受け付けると、遊技媒体の払い出しを要求する払出信号を、払出手段10に送出する。なお、払出操作手段とは、従業員用記録媒体1、読取手段6、払出ボタン7、識別情報記憶手段14、認証手段15を指し、払出操作手段による払出操作とは、従業員用記録媒体1と読取手段6間で通信を行わせ、従業員用記録媒体1に記録されている識別情報と、識別情報記憶手段14に記憶されている識別情報とを認証手段15に比較させて、一致するか否かの認証を行わせること、及び払出ボタン7の押下を指す。計数手段13は、遊技機5に投入された遊技媒体の計数を行うとともに、当該計数に応じた計数信号を送出可能であり、投入された遊技媒体を遊技機5の裏で受ける皿と、遊技媒体を計数し、通常、遊技媒体を10個数えるごとに、1つの計数信号を送出するセンサーとで構成されている(図示省略)。
【0021】
識別情報記憶手段14は、例えば、大容量メモリーとして機能するハードディスク(HD)を用いることができ、遊技場の従業員の所持する従業員用記録媒体1の各識別情報を記憶している。
【0022】
また記録媒体(メディア)へのアクセスを実現するための外部記憶ドライブを識別情報記憶手段14に備えれば、記録媒体に記録されたプログラム等を遊技媒体払出装置2のシステムにロードすることができる。記録媒体には、フレキシブルディスク(FD)、CD-ROM、CD-R、CD-RW、PCカード、DVD、ICメモリーカード、MO、メモリースティック等が含まれる。
【0023】
認証手段15は、例えば、CPU(CentralProcessing Unit)により構成することができ、識別情報記憶手段14に記憶されている識別情報を呼び出して、遊技媒体払出装置2の読取手段6が読み取った従業員用記録媒体1の識別情報と比較し、一致するか否かの認証を行う。
【0024】
払出数設定手段17は、遊技媒体の払出数を入力可能なキーボードやポインティングデバイス(マウス)、タッチパネル等に代表されるユーザインターフェイスと、入力した遊技媒体の払出数を確認可能なCRT、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、モニタ等の表示器とから構成されている。遊技場の従業員は、この払出数設定手段17を用いて遊技媒体の払出数を設定すれば、払出操作手段の操作により払出手段10の払出す遊技媒体の量を自由に設定することができる。集計手段18は、計数手段13から送出された計数信号を受信して集計し、この集計値が所定の値になると、前記払出信号の送出を払出指令手段12に要求する。
【0025】
モード制御手段29は、例えば、CPU(CentralProcessing Unit)により構成することができ、認証手段15から切替操作に基づく認証に成功した旨の認証成功信号を受信したとき、遊技媒体払出装置2の運営モードを切り替えるために管理装置3側から切替手段9に対して指令を行うものである。また、状態記憶手段30は、例えば大容量メモリーとして機能するハードディスク(HD)を用いることができ、遊技媒体払出装置2の運営モードを記憶するものである。切替手段9により遊技媒体払出装置2の運営モードが、例えばテストモードに切り替わって切替手段9から切替完了の信号を受信したとき、その信号に基づいて状態記憶手段30に記憶している、当該遊技媒体払出装置2の状態情報をテストモードに書き換える。
【0026】
次に、遊技媒体自動払出システムAの具体的な処理の流れを、図3〜5を用いて説明する。図3に示すように、遊技場の従業員が管理装置3の切替操作手段8を操作すると(ステップS101)、管理装置3は切替操作信号を受け付け(ステップS102)、読取手段6に従業員用記録媒体1をかざすよう促す報知が表示手段11への表示或いは音声等によりなされる。そして、遊技場の従業員が従業員用記録媒体1を管理装置3の読取手段6に翳す等して(ステップS103)、従業員用記録媒体1と読取手段6との間で通信を行わせると、読取手段6は、従業員用記録媒体1の識別情報記録手段4に記録されている識別情報を読み取って、認証手段15に送信する(ステップS104)。識別情報を受信した認証手段15は、識別情報記憶手段14に記憶されている従業員の各識別情報を呼び出して、当該識別情報と比較し、一致するか否かの認証を行う(ステップS105)。認証が成功した場合には、切替操作に基づく認証に成功した旨の認証成功信号をモード制御手段29に送信する。モード制御手段29は、切替操作で指定されたモード(テストモード)への切替を指令するモード切替信号を遊技媒体払出装置2の切替手段9に送信する。切替手段9は遊技媒体払出装置2の運営モードをテストモードに切り替えると(ステップS106)、切替完了信号を管理装置3に送信する。この切替完了信号を受信すると、状態記憶手段30は当該遊技媒体払出装置2の運営モードがテストモードである旨を記憶し(ステップS107)、表示手段11は遊技媒体払出装置2の運営モードがテストモードに切り替わった旨を表示する(ステップS108)。一方、認証に失敗した場合は、表示手段11は、認証に失敗した旨を表示する(ステップS109)。なお、この切替操作手段による払出操作と、従業員用記録媒体1を用いた認証とを一定時間以内に行わせるようにしても良い。
【0027】
なお、本実施例では、切替操作手段8の切替操作の次に、認証手段15による認証を行う順番になっているが、この構成に限らず、認証手段15による認証が成功した後に、切替操作手段8に対して切替操作を行う構成としてもよい。また、切替操作手段8の操作中に認証手段15による認証を行わせる構成としても良い。例えば、切替操作手段8をボタンで構成している場合、このボタンが押下されている間に従業員用記録媒体1を読取手段6に翳す、などである。さらに、従業員用記録媒体1を読取手段6に翳しながら切替操作手段8の切替操作を受け付ける構成としても良い。この場合、従業員用記録媒体1と読取手段6とが交信されている状態で、切替操作手段8による切替操作がなされた場合に、切替手段9が動作するよう構成する。
【0028】
このテストモードの状態で、図4に示すように、払出操作手段の払出操作を行うと、払出指令手段12が払出信号を遊技媒体払出装置2の払出手段10に送信し、払出手段10は遊技媒体の払出しを行う。以下、具体的に説明する。遊技媒体払出装置2の運営モードがテストモードの状態で、遊技場の従業員が、管理装置3の払出ボタン7を押し下げると(ステップS201)、管理装置3は払出操作信号を受け付け(ステップS202)、読取手段6に従業員用記録媒体1をかざすよう促す報知が表示手段11への表示或いは音声等によりなされる。そして、遊技場の従業員が従業員用記録媒体1を管理装置3の読取手段6に翳す等して(ステップS203)、従業員用記録媒体1と読取手段6との間で通信を行わせると、読取手段6は、従業員用記録媒体1の識別情報記録手段4に記録されている識別情報を読み取って、認証手段15に送信する(ステップS204)。識別情報を受信した認証手段15は、識別情報記憶手段14に記憶されている従業員の各識別情報を呼び出して、当該識別情報と比較し、一致するか否かの認証を行う(ステップS205)。この認証に成功した場合は、払出操作に基づく認証に成功した旨の認証成功信号を払出指令手段12に送信する。一方、認証に失敗した場合には、表示手段11は、認証に失敗した旨を表示する(ステップS206)。なお、この払出操作手段による払出操作と、従業員用記録媒体1を用いた認証とを一定時間以内に行わせるようにしても良い。
【0029】
認証成功信号を受信した払出指令手段12は、払出信号を遊技媒体払出装置2の払出手段10及び集計手段18に送信する(ステップS207)。払出信号を受信した払出手段10は、所定量の遊技媒体を払出して、遊技機5に供給する(ステップS208)。または、予め払出数設定手段17の入力操作によって、設定された量の遊技媒体を払い出す。また、払出信号を受信した集計手段18は、自身が保持している集計値をクリアする(ステップS209)。
【0030】
なお、本実施例では、払出ボタン7の押下げの次に、認証手段15による認証を行う順番になっているが、この構成に限らず、認証手段15による認証が成功した後に、払出ボタン7を押下げる構成としてもよい。また、払出ボタン7を押下げながら認証手段15による認証を行わせるように構成しても良い。さらに、従業員用記録媒体1を読取手段6に翳しながら払出ボタン7を押下させる構成としても良い。この場合、従業員用記録媒体1と読取手段6とが交信されている状態で、払出ボタン7が押下された場合に、払出手段10が動作するよう構成する。
【0031】
また、遊技機5の上皿24に払い出された遊技媒体を遊技機5内に投入するため、遊技機5に備えているハンドル28を所定位置に固定する。このようにハンドル28を固定することにより、上皿24から遊技機5内に導入された遊技媒体を自動的に遊技機5に投入することができるため、遊技場の従業員は、係るハンドル28の固定作業を行うだけでよく、従業員の作業負担が軽減される。
【0032】
計数手段13は、遊技機5内に投入された遊技媒体が遊技機5から計数手段13に流下すると、この遊技媒体の計数を行い、この計数に応じて計数信号を集計手段18に送出する(ステップS210)。集計手段18は、計数手段13から計数信号を受信すると、この受信した計数信号を集計し(ステップS211)、この集計値が所定の値になると(ステップS212)、払出要求信号を管理装置3の払出指令手段12に送信して、払出信号の送出を払出指令手段12に要求する。払出要求信号を受信した払出指令手段12は、払出信号を遊技媒体払出装置2の払出手段10に送信する(ステップS213)。払出信号を受信した払出手段10は、所定量の遊技媒体を払出して、遊技機5に供給する(ステップS214)。また、集計手段18は払出要求信号を送出すると、集計値をクリアしてリセットし(ステップS215)、その後計数手段13から受信した計数信号を再び集計し、この集計値が所定の値になると、払出要求信号を管理装置3の払出指令手段12に送信するとともに、集計値をクリアする。その後も同様の動作を繰り返す。なお、上記所定の値は任意の値を定めることができ、例えば、一般的に用いられる500円分の貸玉数である125とすることができる。また、集計手段18からの払出要求信号に応じて払出される所定量の遊技媒体数も任意の値とすることができ、例えば集計値をクリアするタイミングに用いられる上記所定の値と同じ数値(遊技媒体量)とすることができる。
【0033】
遊技媒体自動払出システムAの遊技媒体の自動払出を終了する場合には、図5に示すように、遊技媒体払出装置2の運営モードをテストモードからテストモード以外のモード、例えば通常モードに切り替える。具体的な流れは、テストモードへの切替と同様である。遊技場の従業員が管理装置3の切替操作手段8を操作し(ステップS301)、又従業員用記録媒体1を読取手段6に翳す等して(ステップS303)、従業員用記録媒体1と読取手段6間で通信を行わせ、認証手段15に認証を行わせる(ステップS305)。その結果、認証に成功した場合、切替操作に基づく認証に成功した旨の認証成功信号をモード制御手段29に送信する。この認証成功信号を受信したモード制御手段29は、切替操作で指定されたモード(例えば通常モード)への切替を指令するモード切替信号を遊技媒体払出装置2の切替手段9に送信する。そして切替手段9は、遊技媒体払出装置2の運営モードを通常モードに切り替え(ステップS306)、切替が完了すると切替完了信号を管理装置3に送信する。この切替完了信号を受信すると、状態記憶手段30は当該遊技媒体払出装置2の運営モードを通常モードである旨に書き換えて記憶し(ステップS307)、表示手段11は遊技媒体払出装置2の運営モードが通常モードに切り替わった旨を表示する(ステップS308)。
【0034】
なお、自動払出の終了方法としては、上述の方法の他に、例えば遊技媒体払出装置2に設けられている取消ボタン(図示省略)等の所定のボタンの操作や、このボタン操作と従業員用記録媒体1との組み合わせにより行うこととしても良い。すなわち、自動払出の終了とテストモードから他のモードへの切り替えを別個の操作により行うこととしても良い。また、テストモードから通常モードへの切替方法は一例であり、テストモードから他のモードに切り替えられれば、その方法は問わないものである。
【0035】
上述したように、遊技媒体自動払出システムAを構成することによって、テスト打ちの際に、遊技場の従業員が遊技機に遊技媒体を投入する作業負担を極力抑制することができ、遊技機の上皿に残っている遊技媒体の減少に合わせて、遊技媒体の払出しを行うことができる。また遊技場の従業員は、遊技媒体払出装置2の運営モードの切替及び遊技媒体の払出しの際のいずれの場合においても、管理装置3に対してのみ操作を行えば良いため、操作を一元化でき、便宜である。
【0036】
なお、本実施例においては、遊技媒体払出装置2の運営モードの切替の条件として、切替操作手段8の切替操作と、認証手段15の行う認証の成功の2つが必要な構成を示しているが、この構成に限定されるものではなく、切替操作手段8の切替操作あるいは、認証手段15の認証の成功のみを、遊技媒体払出装置2の運営モードの切替の条件とする構成としても良い。認証手段15の認証の成功のみを運営モード切替の条件とする場合、認証に成功すると、状態記憶手段30に記憶されているモードをチェックし、通常モードと記憶されていればテストモードに切り替え、テストモードと記憶されていれば通常モードに切り替えるなどの構成とすることができる。また、例えば通常モードからテストモードへの切替えは切替操作手段8の切替操作と認証手段15の行う認証の成功の2つを条件とし、テストモードから通常モードへの切替は認証のみとすることも可能である。この場合はテストモードから通常モードへの切替時に認証に成功すると状態記憶手段30の状態をチェックして切替を行うよう構成することができる。このようにすることで、通常モードを基軸として切替操作手段8を用いて他の複数のモードへ切り替えることができ、通常モードへ戻す場合は簡易な操作で行うことができる。
【0037】
また、本実施例においては、遊技媒体の払出しの条件として、払出ボタン7の押下げと、認証手段15の行う認証の成功の2つが必要な構成を示しているが、この構成に限定されるものではなく、払出ボタン7の押下げ、あるいは、認証手段15の認証の成功のいずれか1つを、遊技媒体の払出しの条件とする構成としても良い。
【0038】
従って、例えば認証の成功を遊技媒体払出装置2の運営モードの切替の条件及び遊技媒体の払出しの条件としない場合には、認証に必要な、従業員用記録媒体1、読取手段6、識別情報記憶手段14、認証手段15の構成要素は不要となる。一方、認証の成功のみを遊技媒体払出装置2の運営モードの切替の条件及び遊技媒体の払出しの条件とする場合には、払出ボタン7、切替操作手段8の構成要素は不要となる。更に、例えば認証の成功を遊技媒体払出装置2の運営モードの切替の条件とし、払出ボタン7の押下げのみを遊技媒体の払出しの条件とする場合には、従業員用記録媒体1、読取手段6、識別情報記憶手段14、認証手段15の構成要素は、遊技媒体払出装置2の運営モードの切替を行う際にのみ、使用されることとなる。つまり本実施例で示した遊技媒体払出装置2の運営モードの切替の条件と、遊技媒体の払出しの条件の組み合わせは、一例であって、条件及びそれに伴う構成要素の組み合わせは自在である。
【0039】
なお、本実施例では管理装置3に識別情報記憶手段14及び認証手段15を設け、管理装置3にて認証を行っているが、認証を遊技媒体払出装置2で行っても良い。この場合は、例えば各遊技媒体払出装置2に読取手段6、識別情報記憶手段14、認証手段15を設け、所定のタイミングで管理装置3の識別情報記憶手段14の記憶情報を受信して遊技媒体払出装置2の識別情報記憶手段14に記憶しておき、認証に用いるように構成することができる。
【0040】
また、上記実施例1では、遊技媒体払出装置2の運営モードを切り替える際、この切替操作で同時に、又は別個の操作で管理装置3の運営モードをテストモードとテストモード以外のモードとに切り替えるよう構成しても良い。遊技媒体払出装置2と同時に切り替える場合は、上述の切替操作・認証操作を行った際に遊技媒体払出装置2と管理装置3との運営モードをテストモードとテストモード以外のモードとに相互に切り替える。遊技媒体払出装置2の運営モード切替と別個で管理装置3の運営モード切替を行う場合は、遊技媒体払出装置2と管理装置3とに切替操作に必要な構成手段を設け、それぞれで行うよう構成することができる。
【0041】
また、管理装置3からの運営モードの切替え、遊技媒体の払出指令は、遊技場に設置しているすべての遊技媒体払出装置2に対して一斉に行うこともできるし、個々の、あるいは予め指定された単位(例えば島単位)に属する遊技媒体払出装置2に対して行うこともできる。
【0042】
なお、上記実施例1において、各構成要素を遊技媒体払出装置2又は管理装置3に備えることとしているが、これは実施例の記載に限定されるものではなく、構成要素を備える装置が実施例の記載と異なっている場合であっても、本発明の範囲に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】実施例1の遊技媒体自動払出システムの全体を示す概念図である。
【図2】遊技媒体払出装置、遊技機を示す正面図ある。
【図3】実施例1のテストモードへの切替処理の流れを示す流れ図である。
【図4】実施例1の遊技媒体払出処理の流れを示す流れ図である。
【図5】実施例1のテストモードから通常モードへの切替処理の流れを示す流れ図である。
【符号の説明】
【0044】
A:遊技媒体自動払出システム、1:従業員用記録媒体、2:遊技媒体払出装置、3:管理装置、4:識別情報記録手段、5:遊技機、6:読取手段、7:払出ボタン、8:切替操作手段、9:切替手段、10:払出手段、11:表示手段、12:払出指令手段、13:計数手段、14:識別情報記憶手段、15:認証手段、17:払出数設定手段、18:集計手段、24:上皿、28:ハンドル、29:モード制御手段、30:状態記憶手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技媒体を払出すための所定の払出操作を受け付ける払出操作手段と、
当該払出操作手段が払出操作を受け付けると遊技媒体の払出しを要求する払出信号を送出する払出指令手段と、
遊技機に投入された遊技媒体の計数を行うとともにこの計数に応じた計数信号を送出可能な計数手段と、
前記計数手段から前記計数信号を受信し、この受信した計数信号を集計し、この集計値が所定の値になると、前記払出信号の送出を前記払出指令手段に要求する集計手段と、
前記払出信号を払出指令手段から受信すると所定量の遊技媒体の払出しを行う払出手段と、からなることを特徴とする、遊技媒体自動払出システム。
【請求項2】
前記払出手段が払出しを行う所定量の遊技媒体は、前記集計手段が集計した集計値相当量の遊技媒体であることを特徴とする、請求項1に記載の遊技媒体自動払出システム。
【請求項3】
遊技場の従業員に予め配布した従業員用記録媒体と、
当該従業員用記録媒体に記録されている識別情報を読取り可能な読取手段と、
前記従業員用記録媒体の識別情報が記憶されている識別情報記憶手段と、
前記読取手段で読み取った識別情報と前記識別情報記憶手段に記録されている識別情報との認証を行う認証手段と、
遊技機に対応して配置されている遊技媒体払出装置の運営モードをテストモードとテストモード以外のモードとに切り替える切替手段と、
遊技媒体払出装置の運営モードの切替操作を受け付ける切替操作手段を更に備え、
前記認証手段による認証の成功と、前記切替操作手段の切替操作による前記遊技媒体払出装置の運営モードのテストモードへの切替とを条件として、前記払出操作手段が払出操作を受け付け可能となることを特徴とする、請求項1又は2に記載の遊技媒体自動払出システム。
【請求項4】
前記払出操作手段は、払出ボタンと、遊技場の従業員に予め配布した従業員用記録媒体に記録されている識別情報を読み取る読取手段と、前記従業員用記録媒体の識別情報が記憶されている識別情報記憶手段と、前記読取手段で読み取った識別情報と前記識別情報記憶手段に記憶されている識別情報との認証を行う認証手段と、からなり、
前記払出ボタンの押下と、前記認証手段による認証の成功とを条件として前記払出指令手段に払出信号を送出させることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の遊技媒体自動払出システム。
【請求項5】
前記払出操作手段の操作に応じて前記払出手段の払出す遊技媒体量を予め設定する払出数設定手段を更に備えることを特徴とする、請求項1、3又は4のいずれかに記載の遊技媒体自動払出システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−273889(P2010−273889A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−129730(P2009−129730)
【出願日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【出願人】(501005966)大都販売株式会社 (110)
【Fターム(参考)】