説明

遊技媒体貸出機、遊技媒体貸出システム及び遊技媒体貸出機に用いる残額移行方法

【課題】遊技客の利便性を向上させることを課題とする。
【解決手段】CRユニット30は、1枚目のプリペイドカードの残金額が所定値(例えば、CRパチンコ機40の玉投出機構における最小投出数に相当する金額)未満である場合には、1枚目のプリペイドカードの残金額を2枚目のプリペイドカードに合算して移行する価値付けを行い、2枚目のプリペイドカードをカード収納部36に受け入れ、一方、1枚目のプリペイドカードの残金額が所定値以上である場合には、2枚目のプリペイドカードの受入を拒否し、2枚目のプリペイドカードをカード挿入口309から返却(排出)する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、挿入操作を受け付けた遊技用記録媒体から識別情報を読み取る読取部と、遊技用記録媒体を収納する収納部とを有し、読取部によって読み取られた識別情報から得られる遊技用記録媒体の有価価値の残額に基づいて遊技媒体の貸出処理を行う遊技媒体貸出機、遊技媒体貸出システム及び遊技媒体貸出機に用いる残額移行方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、パチンコ玉やメダルなどの遊技媒体を貸し出す遊技媒体貸出機として、投入された遊技用記録媒体の価値(例えば、貨幣の金額または金額に相当する価値を示す価値データ)に基づいて遊技媒体を貸し出すカード処理ユニット(以下、CRユニットと称す)がよく知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
かかるCRユニットは、カードリーダにて読取り対象のプリペイドカード1枚を一時的に保持し、カード収納部にて残額がないプリペイドカードを発行用カードとして最大10枚収納するとともに、使用中のプリペイドカードを一時的に収納することができるように構成されている。なお、かかるCRユニットでは、残額が存在するプリペイドカードを受け入れている場合には、新たに別のプリペイドカードの挿入操作を受け付けてもその挿入カードを使用することはできない。
【0004】
【特許文献1】特開2004−222979号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、遊技媒体の貸出しに課される消費税は、ホール(遊技店)側が負担しているのが現状であるが、将来的には、消費税が増税される傾向にあることから、遊技媒体の貸出しに課される消費税を貸出対価に上乗せしてプリペイドカードの残額から徴収する消費税対応が考えられている。
【0006】
このような消費税対応が行われると、遊技機の投出機構における最小投出数に相当する金額を下回る端数金額がプリペイドカードに残ることになるが、端数金額がプリペイドカードに残っていたとしても遊技媒体を借り受けることができないので、プリペイドカードをCRユニットに放置したまま遊技席を離席する遊技客が多数出てくることが考えられる。例えば、CRパチンコ機においては、パチンコ玉投出機構の最小投出数は「25個(=100円)」であり、少なくとも、これに消費税、たとえば「5%」を乗じた「105(円)」がプリペイドカードの残額に残っていないとパチンコ玉の払出しを行うことができない。
【0007】
このため、上記したCRユニット(特許文献1)では、かかる端数金額もしくはそれに準ずる小額が残ったプリペイドカードの返却操作を行って返却を受けなければ、新たなプリペイドカードを挿入することができず、遊技客が遊技媒体を借受けるのに余計な手間が必要となり、遊技客の利便性を損なうという問題がある。
【0008】
そこで、本発明は、上述した従来技術による課題(問題点)を解消するためになされたものであり、新たなプリペイドカード(2枚目のプリペイドカード)の挿入操作を簡便にし、もって遊技客の利便性を向上させることができる遊技媒体貸出機、遊技媒体貸出システム及び遊技媒体貸出機に用いる残額移行方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1の発明に係る遊技媒体貸出機は、挿入操作を受け付けた遊技用記録媒体から識別情報を読み取る読取部と、前記遊技用記録媒体を収納する収納部とを有し、前記読取部によって読み取られた識別情報から得られる遊技用記録媒体の有価価値の残額に基づいて遊技媒体の貸出処理を行う遊技媒体貸出機であって、前記有価価値の残額が存在する第1の遊技用記録媒体を前記収納部に受け入れている状態で、新たに第2の遊技用記録媒体の挿入操作を受け付けた場合に、前記第1の遊技用記録媒体の有価価値の残額が所定値未満であるか否かを判定する閾値可否判定手段と、前記閾値可否判定手段によって前記所定値未満であると判定された場合に、前記第1の遊技用記録媒体に価値付けられている有価価値の残額を前記第2の遊技用記録媒体に合算して移行する価値付けを行う残額移行価値付け手段と前記残額移行価値付け手段によって前記第2の遊技用記録媒体への残額移行価値付けが行われた場合には、当該挿入操作を受け付けた第2の遊技用記録媒体を前記収納部に受け入れる受入制御を行い、前記閾値可否判定手段によって前記第1の遊技用記録媒体が前記所定値以上であると判定された場合には、前記第2の遊技用記録媒体を排出する排出制御を行う受入/排出制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0010】
また、請求項2の発明に係る遊技媒体貸出機は、上記の発明において、前記第1の遊技用記録媒体が会員用記録媒体であるか否かを判定する記録媒体種別判定手段をさらに備え、前記残額移行価値付け手段は、前記閾値可否判定手段によって前記第1の遊技用記録媒体が前記所定値未満であると判定され、かつ前記記録媒体種別判定手段によって前記第1の遊技用記録媒体が前記会員用記録媒体ではないと判定された場合にのみ前記第2の遊技用記録媒体への残額移行価値付けを行うことを特徴とする。
【0011】
また、請求項3の発明に係る遊技媒体貸出システムは、遊技場にて使用される遊技用記録媒体に記録された識別情報に対応する有価価値を管理する管理装置と、挿入操作を受け付けた遊技用記録媒体から識別情報を読み取る読取部ならびに前記遊技用記録媒体を収納する収納部とを有し、前記読取部によって読み取られた識別情報から得られる遊技用記録媒体の有価価値の残額に基づいて遊技媒体の貸出処理を行う遊技媒体貸出機とを有する遊技媒体貸出システムであって、前記遊技媒体貸出機は、前記有価価値の残額が存在する第1の遊技用記録媒体を前記収納部に受け入れている状態で、新たに第2の遊技用記録媒体の挿入操作を受け付けた場合に、前記第1の遊技用記録媒体の有価価値の残額が所定値未満であるか否かを判定する閾値可否判定手段と、前記閾値可否判定手段によって前記第1の遊技用記録媒体が前記所定値未満であると判定された場合には、当該挿入操作を受け付けた第2の遊技用記録媒体を前記収納部に受け入れる受入制御を行い、前記第1の遊技用記録媒体が前記所定値以上であると判定された場合には、前記第2の遊技用記録媒体を排出する排出制御を行う受入/排出制御手段とを備え、前記管理装置は、前記閾値可否判定手段によって前記所定値未満であると判定された場合に、前記第1の遊技用記録媒体に価値付けられている有価価値の残額を前記第2の遊技用記録媒体の識別情報に対応する有価価値に合算して移行する残額移行手段を備えたことを特徴とする。
【0012】
また、請求項4の発明に係る遊技媒体貸出システムは、上記の発明において、前記遊技用記録媒体は、当該遊技用記録媒体に価値付けられた有価価値に基づいて貨幣を払出す記録媒体精算機により現金に精算されるものであり、前記遊技媒体の貸出処理は、当該遊技媒体貸出機に接続されるCR遊技機に対して前記遊技媒体の貸出指示を行い、該CR遊技機の遊技媒体投出機構から貸し遊技媒体を投出させる処理であって、前記管理装置は、前記記録媒体精算機にて取扱い可能な金額、前記CR遊技機における遊技媒体投出機構の最小投出単位に相当する金額および/または所定の小額貨幣の金額を設定値として記憶する第1の設定値記憶手段と、前記第1の設定値記憶手段によって記憶された設定値のうちいずれか1つの設定値を選択する設定値選択手段と、前記設定値選択手段によって選択された設定値を前記遊技媒体貸出機に配信する設定値配信手段とをさらに備え、前記遊技媒体貸出機は、前記設定値配信手段によって配信された設定値を記憶する第2の設定値記憶手段をさらに備え、前記閾値可否判定手段は、前記第1の遊技用記録媒体の有価価値の残額が、前記第2の設定値記憶手段によって記憶された設定値未満であるか否かを判定することを特徴とする。
【0013】
また、請求項5の発明に係る遊技媒体貸出機に用いる残額移行方法は、挿入操作を受け付けた遊技用記録媒体から識別情報を読み取る読取部と、前記遊技用記録媒体を収納する収納部とを有し、前記読取部によって読み取られた識別情報から得られる遊技用記録媒体の有価価値の残額に基づいて遊技媒体の貸出処理を行う遊技媒体貸出機に用いる残額移行方法であって、前記有価価値の残額が存在する第1の遊技用記録媒体を前記収納部に受け入れている状態で、新たに第2の遊技用記録媒体の挿入操作を受け付けた場合に、前記第1の遊技用記録媒体の有価価値の残額が所定値未満であるか否かを判定する閾値可否判定工程と、前記閾値可否判定工程によって前記所定値未満であると判定された場合に、前記第1の遊技用記録媒体に価値付けられている有価価値の残額を前記第2の遊技用記録媒体に合算して移行する価値付けを行う残額移行価値付け工程と前記残額移行価値付け工程によって前記第2の遊技用記録媒体への残額移行価値付けが行われた場合には、当該挿入操作を受け付けた第2の遊技用記録媒体を前記収納部に受け入れる受入制御を行い、前記閾値可否判定工程によって前記第1の遊技用記録媒体が前記所定値以上であると判定された場合には、前記第2の遊技用記録媒体を排出する排出制御を行う受入/排出制御工程とを含んだことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、有価価値の残額が存在する第1の遊技用記録媒体を収納部に受け入れている状態で、新たに第2の遊技用記録媒体の挿入操作を受け付けた場合に、第1の遊技用記録媒体の有価価値の残額が所定値未満であるか否かを判定し、前記所定値未満であると判定した場合に、第1の遊技用記録媒体に価値付けられている有価価値の残額を第2の遊技用記録媒体に合算して移行する価値付けを行い、第2の遊技用記録媒体への残額移行価値付けを行った場合には、当該挿入操作を受け付けた第2の遊技用記録媒体を収納部に受け入れる受入制御を行い、第1の遊技用記録媒体が前記所定値以上であると判定した場合には、第2の遊技用記録媒体を排出する排出制御を行うように構成したので、新たな遊技用記録媒体(第2の遊技用記録媒体)の挿入操作を簡便にすることができ、遊技客の利便性を向上させることが可能な遊技媒体貸出機、遊技媒体貸出システム及び遊技媒体貸出機に用いる残額移行方法が得られるという効果を奏する。
【0015】
また、本発明によれば、第1の遊技用記録媒体が会員用記録媒体であるか否かを判定し、第1の遊技用記録媒体が所定値未満であると判定し、かつ第1の遊技用記録媒体が会員用記録媒体ではないと判定した場合にのみ第2の遊技用記録媒体への残額移行価値付けを行うように構成したので、第1の遊技用記録媒体が会員用記録媒体である場合に会員用記録媒体が収納部に回収される事態を防止することができ、会員用記録媒体の紛失という不利益を招くことなく、遊技客の利便性を向上させることが可能な遊技媒体貸出機が得られるという効果を奏する。
【0016】
また、本発明によれば、管理装置が、記録媒体精算機にて取扱い可能な金額、CR遊技機における遊技媒体投出機構の最小投出単位に相当する金額および/または所定の小額貨幣の金額を設定値として記憶し、記憶した設定値のうちいずれか1つの設定値を選択し、選択した設定値を遊技媒体貸出機に配信し、遊技媒体貸出機が、配信された設定値を記憶し、第1の遊技用記録媒体の有価価値の残額が、記憶した設定値未満であるか否かを判定するように構成したので、店内設備や客層などの遊技店の特性に応じて遊技用記録媒体の受入条件を適切に変更することができ、遊技店の特性に適合した遊技用記録媒体の残額移行を行うことが可能な遊技媒体貸出システムが得られるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下の添付図面を参照して、本発明に係る遊技媒体貸出機(その残額移行方法)の好適な実施例を詳細に説明する。なお、以下では、本発明に係る遊技媒体貸出機(以下、「CRユニット」と称す)を実施例1として説明した後に、本発明に含まれる他の実施例を実施例2として説明する。
【実施例1】
【0018】
以下の実施例1では、本実施例1に係るCRユニットの概要および特徴、このCRユニットの構成および処理の流れを順に説明する。なお、本実施例1では、本発明をパチンコ遊技を対象とする遊技システムに適用することとする。
【0019】
[概要および特徴(実施例1)]
まず最初に、図1及び図2を用いて、実施例1に係るCRユニットを含む遊技システムのシステム構成を説明し、この遊技システムにおけるCRユニットの位置付けを明確にしてから、実施例1に係るCRユニットの概要および特徴を説明する。図1は、実施例1に係る遊技システム1のシステム構成を示すシステム構成図であり、また、図2は、実施例1に係るCRユニット30の特徴を説明するための概念図である。
【0020】
図1に示すように、遊技店内に設置される遊技システム1は、プリペイドカードに関連付けられた金額の残額を管理するための管理装置(以下、プリペイドカード管理T/Cと称す)10を頂点にして、会員管理を行うための管理装置(以下、会員管理T/Cと称す)15、「島」と呼ばれるグループごとに設けられた島コントローラ20、カード発行機60及びカード精算機65が接続された構成となる。さらに、島コントローラ20には、各島に設置された複数のCRパチンコ機40それぞれに併設されたCRユニット(カード処理ユニット)30が接続されている。
【0021】
この遊技システム1では、プリペイドカードPC(CRユニット30又はカード発行機60により遊技者に対して発行され、発行店の識別情報、カード固有の識別コード、発行額、カード種別などが記録される)を遊技用記録媒体として用いることができる。
【0022】
CRパチンコ機40は、パチンコ玉を遊技領域に発射して遊技者が遊技を行う装置である。また、CRユニット30は、プリペイドカードPCに関連付けられた金額の残額(以下、残金額と言う)を上限としてパチンコ玉の貸出し処理を行うことを主機能とするものであり、遊技店に設置された複数のCRパチンコ機40それぞれに対して1台ずつペアとなるように用意され、CRパチンコ機40の相互間に挟まれる形で設置してある。
【0023】
また、CRユニット30は、遊技客の利便性を向上させる観点から、遊技客によって挿入された紙幣を受け入れた際に、内部のカード収納部36にて収納する内蔵カードをプリペイドカードPCとして発行する機能が付加されており、このカード収納部36は、内部収納容量として最大「10枚」の内蔵カードを収納することができるように構成されている。なお、カード収納部36には、金額が価値付けられていないプリペイドカードのみが収納されている。
【0024】
カード発行機60は、現金が入金された場合に、該入金金額に応じた有価価値が関連付けられるプリペイドカードPCの発行処理並びにプリペイドカードPCに関連付けられた金額に対する加算処理を主機能とするものであり、遊技店に数台設置されている。また、カード精算機65は、プリペイドカードPCに関連付けられた残金額の精算処理を主機能とするものであり、具体的には、プリペイドカードPCの回収と引き換えに残金額に相当する現金を払出すものである。
【0025】
遊技者は、カード発行機60から発行されたプリペイドカードPCをCRユニット30に挿入して、パチンコ玉の貸出操作を行うことに加え、CRユニット30に現金を投入することにより、CRユニット単体でのプリペイドカードPCの発行を受けて、パチンコ玉を借り受けることができ、もってパチンコ遊技を行うことが可能となる。
【0026】
これらのCRユニット30、CRパチンコ機40及びカード発行機60は、各島に設けた島コントローラ20を通じてプリペイドカード管理T/C10及び会員管理T/C15と称される管理装置の制御下にある。
【0027】
会員管理T/C15は、遊技店に少なくとも1台設置してあり、設置した遊技店の統括管理、例えばカード管理、会員の管理、売上管理などを行うとともに、プリペイドカードPC並びに会員カードMCの有価価値に関する情報を記憶管理する部分である。但し、プリペイドカードPCの情報管理は、プリペイドカード管理T/C10が担っているものとする。
【0028】
プリペイドカード管理T/C10は、プリペイドカードの識別情報(プリペイドカードID)及びこのプリペイドカードの残金額を記憶管理する装置である。例えば、CRユニット30にて高額紙幣が挿入された場合には、CRユニット30から発行対象となる内蔵カードのプリペイドカードIDとともに挿入紙幣の金額を受け付け、当該プリペイドカードIDに挿入紙幣分の金額を価値付けた後、CRユニット30に「価値付け完了通知」を返信する。なお、本実施例では、カードに記録した磁気データを改ざんするなどの不正行為を防止する観点から、プリペイドカードには「金額」を記録せず、プリペイドカードIDのみを記録する構成を採用することとする。
【0029】
ここで、かかる遊技システム1において、本実施例1に係るCRユニット30は、挿入操作を受け付けたプリペイドカードからプリペイドカードIDを読み取るカードリーダ(C/R)35と、プリペイドカードを収納するカード収納部36とを有し、C/R35によって読み取られたプリペイドカードIDから得られるプリペイドカードの残金額に基づいてパチンコ玉の貸出し処理を行うことを概要とし、新たなプリペイドカード(2枚目のプリペイドカード)の挿入操作を簡便にし、もって遊技客の利便性を向上させることを主たる特徴とする。
【0030】
すなわち、実施例1に係るCRユニット30では、カード収納部36にて残額が存在する1枚目のプリペイドカードが既に保持されている状態で新たに2枚目のプリペイドカードの挿入操作を受け付ける状況に着目し、1枚目のプリペイドカードの残金額を2枚目のプリペイドカードに移行させるか否かを1枚目のプリペイドカードの残金額によって適切に決定している。なお、ここで言う「1枚目のプリペイドカード」及び「2枚目のプリペイドカード」は、特許請求の範囲における「第1の遊技用記録媒体」及び「第2の遊技用記録媒体」に相当する。
【0031】
これを具体的に説明すると、かかるCRユニット30では、カード収納部36にて残額が存在する1枚目のプリペイドカードが既に保持されている状態で、新たに2枚目のプリペイドカードの挿入操作を受け付けると(1)、2枚目のプリペイドカードをC/R35まで取り込んでおき、1枚目のプリペイドカードの残金額が所定値(例えば、CRパチンコ機40の玉投出機構における最小投出数に相当する金額「105円」)未満であるか否かを判定する(2)。
【0032】
このとき、CRユニット30は、1枚目のプリペイドカードの残金額が所定値未満であると判定した場合には、1枚目のプリペイドカードの残金額を2枚目のプリペイドカードに合算して移行する価値付けを行う(3)とともに、2枚目のプリペイドカードをカード収納部36に受け入れる(4)。なお、この場合、残額が移行されてゼロとなった1枚目のプリペイドカードは発行用のカードなる。
【0033】
また、1枚目のプリペイドカードの残金額が所定値以上であると判定した場合には、2枚目のプリペイドカードの受入を拒否し、2枚目のプリペイドカードをカード挿入口から返却(排出)する(5)。
【0034】
このように、1枚目のプリペイドカードの残金額が所定値(例えば、CRパチンコ機40の玉投出機構における最小投出数に相当する金額)未満である場合には、1枚目のプリペイドカードの残金額を2枚目のプリペイドカードに移行させることで、新たなプリペイドカード(2枚目のプリペイドカード)の挿入操作を簡便にしている。
【0035】
したがって、上記した従来技術の例で言えば、カード収納部36にて残額が存在する1枚目のプリペイドカードが既に保持されている状態で新たに2枚目のプリペイドカードの挿入操作を受け付けても2枚目のプリペイドカードの受入を画一的に拒否することで、端数金額もしくはそれに準ずる小額が残った1枚目のプリペイドカードの返却操作を行わせる手間を掛けるのではなく、1枚目のプリペイドカードの残金額が所定値未満である場合には、1枚目のプリペイドカードの残金額を2枚目のプリペイドカードに合算して移行する価値付けを行い、2枚目のプリペイドカードをカード収納部36に受け入れることで、2枚目のプリペイドカードの挿入操作を簡便にすることができ、上記した主たる特徴のように、遊技客の利便性を向上させることが可能になる。
【0036】
さらに、本実施例1に係るCRユニット30によれば、1枚目のプリペイドカード及び2枚目のプリペイドカードの残金額を2枚目のプリペイドカードに合算して移行する価値付けを行うので、端数金額もしくはそれに準ずる小額が残った1枚目のプリペイドカードが破棄されることがなくなり、遊技店のプリペイドカードに係る設備投資費用を低減することが可能になる。
【0037】
また、本実施例1に係るCRユニット30によれば、1枚目のプリペイドカードの残金額が所定値以上であると判定した場合、すなわち1枚目のプリペイドカードの残金額が端数金額(=小額)ではないと判定した場合には、2枚目のプリペイドカードの受入を拒否する排出制御を行うので、第三者が1枚目のプリペイドカードから多額な残額を抜き取る不正行為を防止することも可能になる。
【0038】
[CRユニット30の構成]
続いて、実施例1に係るCRユニット30の外観構成並びに内部構成を説明する。なお、ここでは、図3を用いて、実施例1に係るCRユニット30の外観構成を説明してからこのCRユニット30の内部構成を説明する。
【0039】
図3は、実施例1に係るCRユニット30の外観を示した正面図である。同図に示すように、このCRユニット30は、縦長の直方体型の筐体として構成したもので、その本体部前面の上寄りには、下方に向かって順に、状態表示ランプ301、カード状態表示LED302、リモコン受光部310、入金可能表示LED303が付設されている。
【0040】
状態表示ランプ301は、当該CRユニット30が運用可能であるか否かを点灯色の切換えによって表すランプであり、例えば、「緑点灯」により運用可能な旨を表し、「赤点灯」により運用不能な旨を表す。
【0041】
カード状態表示LED302は、当該CRユニット30に内蔵するプリペイドカードの補充又は回収の要否を点灯/点滅によって表すLEDであり、例えば、「点灯」によりプリペイドカードの補充が必要な旨を表し、「点滅」によりプリペイドカードの回収が必要な旨を表し、また、「消灯」によりプリペイドカードの補充及び回収が不要な旨を表す。
【0042】
リモコン受光部310は、図示しない専用のリモコンから照射される赤外線を受光するものであり、リモコンから照射される赤外線を通じてCRユニット30に対する各種操作(例えば、プリペイドカードの補充操作及び回収操作など)を受け付ける。
【0043】
入金可能表示LED303は、当該CRユニット30に紙幣の入金が可能であるか否かを点灯/点滅によって表すLEDであり、例えば、「点灯」により紙幣の入金が可能である旨を表し、また、「点滅」により紙幣の入金が不可能な旨を表す。
【0044】
また、本体部前面の中央部には、高額紙幣(例えば、「一万円」、「五千円」や「二千円」など)を含む紙幣を挿入する紙幣投入口308、及び、プリペイドカードや会員カードなどの各種カードを挿入するカード挿入口309が設けられている。
【0045】
さらに、本体部前面の下寄りには、下方に向かって順に、7SEG表示部304、モード表示LED305、各種ボタン群、末尾同列に貸出ボタン306及び返却ボタン307が設けられている。
【0046】
7SEG表示部304は、7セグメントのLEDから形成される表示部であり、当該CRユニット30のランニング表示を行うものである。例えば、挿入紙幣の金額、プリペイドカードの残金額、貯玉数、再プレイ回数やポイントを表示したり、或いは、専用のリモコンによってプリペイドカードの補充操作又は回収操作が行われている場合には、補充すべき枚数又は回収すべき枚数を表示したりする。
【0047】
モード表示LED305は、7SEG表示部304にてどのモードの情報が表示されているかを表示するものである。例えば、「残金額」、「貯玉数」、「再プレイ回数」または「ポイント」のうちいずれの情報を7SEG表示部304に表示しているかを該当ランプを点灯させることで表す。
【0048】
貸出ボタン306は、遊技客による玉貸し要求を受け付ける操作ボタンであり、この貸出ボタン306が押下されると後述する玉貸し処理部39aにて「玉貸し処理」が行われる。また、返却ボタン307は、遊技客によるプリペイドカードの返却要求を受け付ける操作ボタンであり、この返却ボタン307が押下されると挿入中のプリペイドカードがカード挿入口309から返却される。
【0049】
次に、図4を用いて、図3に示したCRユニット30の内部構成について説明する。図4は、実施例1に係るCRユニット30の内部構成を示すブロック図である。図4に示すように、このCRユニット30は、操作部31と、表示部32と、通信制御IF部33と、BVユニット部34と、カードリーダ(C/R)35と、カード収納部36と、搬送/繰出機構部37と、記憶部38と、制御部39とを備える。
【0050】
操作部31は、各種ボタン群、貸出ボタン306及び返却ボタン307などの総称であり、また、表示部32は、図3に示した状態表示ランプ301、カード状態表示LED302、入金可能表示LED303、7SEG表示部304及びモード表示LED305などの総称である。
【0051】
通信制御IF部33は、当該CRユニット30と他の装置(例えば、プリペイドカード管理T/C10、会員管理T/C15、島コントローラ20およびCRパチンコ機40などの装置)の間で各種通信の制御を行う処理部である。
【0052】
BVユニット部34は、紙幣投入口308に挿入された紙幣の金種を識別する紙幣識別機であり、識別した挿入紙幣の金種を制御部39に出力する。なお、挿入紙幣が偽造紙幣である場合には、当該紙幣を返却する。
【0053】
カードリーダ(C/R)35は、カード挿入口309に挿入されたプリペイドカードや会員カードなどの各種カードに記録された情報を読み込むカードリーダであり、具体的には、これら各種カードからプリペイドカードの識別情報や会員カードの識別情報を読み込み、該読み込んだ情報を制御部39に出力する。
【0054】
カード収納部36は、金額が価値付けられていないプリペイドカードを収納する収納部であり、遊技客がプリペイドカードを持参していなくとも現金により遊技可能にするため、事前に複数枚のプリペイドカードを収納したものである。例えば、遊技客によって紙幣が挿入されると、複数枚のプリペイドカードうちの一枚がC/R35の位置に繰り出され、現金による金額関連付けの対象とされる。
【0055】
搬送/繰出機構部37は、各種カードの搬送/繰出を行う機構部である。具体的には、カード挿入口309から挿入されたプリペイドカードをC/R35に搬送したり、C/R35に保持されたプリペイドカードをカード収納部36に搬送(収納)したり(図5−2参照)、また、カード収納部36に収納された内蔵プリペイドカードをC/R35に繰出したり、C/R35に保持されたプリペイドカードをカード挿入口309に繰出(排出)したりする(図5−1参照)。
【0056】
記憶部38は、制御部39による各種処理に必要なデータおよびプログラムを格納する格納手段(記憶手段)であり、本発明に関連する情報として、後述する閾値可否判定部39bにて比較値として用いる設定値情報38aを記憶している。なお、本実施例1では、この設定値情報38aとして、CRパチンコ機40の玉投出機構における最小投出数「25個(=100円)」に消費税「5%」を乗じた金額「105円」がプリペイドカード管理T/C10から起動時に通知されることとする。
【0057】
制御部39は、CRユニット30の全体制御を司る制御部であり、特に本発明に密接に関連するものとしては、玉貸し処理部39a、閾値可否判定部39b、記録媒体種別判定部39c及び残額移行価値付け部39dを備える。
【0058】
このうち、玉貸し処理部39aは、パチンコ玉を貸出す「玉貸し処理」を行う処理部である。具体的には、残金額が存在するプリペイドカードが挿入された状態で、貸出ボタン306の押下を受け付けた場合に、CRパチンコ機40に玉貸し指示を行ってCRパチンコ機40内部の玉投出機構から所定金額(例えば、1050円)分のパチンコ玉「250個」を投出させる。
【0059】
閾値可否判定部39bは、カード収納部36にて残額が存在する1枚目のプリペイドカードが既に保持されている状態で、新たに2枚目のプリペイドカードの挿入操作を受け付けた場合に、1枚目のプリペイドカードの残金額が所定値未満であるか否かを判定する処理部である。具体的には、1枚目のプリペイドカードの残金額が記憶部38に記憶された設定値「105円」未満であるか否かを判定する。
【0060】
記録媒体種別判定部39cは、カード収納部36にて受入中のプリペイドカードのカード種別が会員カードであるか否かを判定する処理部である。具体的には、1枚目のプリペイドカードのプリペイドカードIDが会員管理T/C15に登録されているか否かを照査し、会員管理T/C15に登録されていれば、1枚目のプリペイドカードが「会員カード」であると判定し、また、会員管理T/C15に登録されていなければ、1枚目のプリペイドカードが「会員カード」ではないと判定し、その場合には、残額移行価値付け部39dに後述する「残額移行価値付け処理」を要請する。
【0061】
残額移行価値付け部39dは、1枚目のプリペイドカードに価値付けられている残金額を2枚目のプリペイドカードに合算して移行する価値付けを行う処理部である。具体的には、閾値可否判定部39bによって1枚目のプリペイドカードの残金額が「105円」未満であると判定され、かつ記録媒体種別判定部39cによって1枚目のプリペイドカードのカード種別が「会員カード」ではないと判定された場合に、1枚目のプリペイドカードのプリペイドカードIDに対応する残金額を2枚目のプリペイドカードのプリペイドカードIDに対応する残金額に合算して移行するようにプリペイドカード管理T/C10に依頼する。
【0062】
このように、1枚目のプリペイドカードのカード種別が「会員カード」ではない場合にしか、1枚目のプリペイドカードの残金額を2枚目のプリペイドカードに合算して移行する価値付けを行わないので、1枚目のプリペイドカードが「会員カード」である場合にカード収納部36に回収される事態を防止することができる。
【0063】
[処理の流れ]
次に、本実施例1に係るCRユニット30の各種処理の流れを説明する。なお、ここでは、CRユニット30にて行われる(1)基本制御処理を説明してから、本発明の特徴である(2)残額移行価値付け処理を説明する。
【0064】
(1)基本制御処理
前述したように、ここでは、図6及び図7を用いて、実施例1に係るCRユニット30の基本制御処理を説明する。図6及び図7は、実施例1に係るCRユニット30の基本制御処理の手順を示すフローチャートである。この「基本制御処理」は、CRユニット30の電源がON状態である限り、再帰的に行われる処理である。
【0065】
図6に示すように、紙幣投入口308より紙幣が挿入されると(ステップS601肯定)、搬送/繰出機構部37は、カード収納部36に収納された内蔵のプリペイドカードを1枚目のプリペイドカードとしてC/R35に繰り出し、玉貸し処理部39aは、BVユニット34にて判別された挿入紙幣の金額を当該プリペイドカードに価値付けた後に(ステップS602)、この1枚目のプリペイドカードをカード収納部36に収納し直すとともに、該プリペイドカードに価値付けた金額を7SEG表示部304に表示させる(ステップS603)。なお、ここで言う「価値付け」とは、内蔵のプリペイドカードのプリペイドカードID及び挿入紙幣の金額をプリペイドカード管理T/C10に通知し、プリペイドカード管理T/C10にて当該プリペイドカードIDに挿入金額を対応付けて記憶させる処理を指す。また、当然のことながら、挿入紙幣が偽造紙幣である場合には、かかる「価値付け処理」は行われることなく、挿入紙幣は返却される。
【0066】
この場合、当該プリペイドカードの残金額が「0」であることはないので(ステップS604肯定)、玉貸し処理部39aは、玉貸し操作が行われるのを待機する貸出操作受付待機状態に移行する(ステップS605)。
【0067】
また、カード挿入口309より1枚目のプリペイドカードが挿入されると(ステップS606肯定)、玉貸し処理部39aは、挿入されたプリペイドカードのプリペイドカードIDに対応する残金額をプリペイドカード管理T/C10に問合せ(ステップS607)、この1枚目のプリペイドカードをカード収納部36に収納するとともに、先の問合せにより得られた残金額7SEG表示部304に表示させる(ステップS603)。
【0068】
このとき、当該プリペイドカードの残金額が「0」でなければ(ステップS604肯定)、玉貸し処理部39aは、玉貸し操作が行われるのを待機する貸出操作受付待機状態に移行し(ステップS605)、また、当該プリペイドカードの残度数が「0」であれば(ステップS604否定)、この1枚目のプリペイドカードを発行用カードとしてそのまま格納し(ステップS608)、処理を終了する。
【0069】
ここで、貸出ボタン306の押下操作を受け付けた場合、すなわち玉貸し操作を受け付けた場合(ステップS605肯定)には、玉貸し処理部39aは、1枚目のプリペイドカードの残金額を所定金額「1050円」分について減算するようにプリペイドカード管理T/C10に指示し、この度数減算が完了した後にCRパチンコ機40に所定金額分のパチンコ玉「250個」を投出するように指示する「玉貸し処理」を行う(ステップS609)。
【0070】
このとき、挿入中のプリペイドカードの残金額が「0」になれば(ステップS604否定)、この1枚目のプリペイドカードを発行用カードとしてそのまま格納し(ステップS608)、処理を終了する。また、挿入中のプリペイドカードの残金額が「0」でなければ(ステップS604肯定)、貸出操作受付待機状態に再度移行する(ステップS605)。
【0071】
また、返却ボタン307の押下操作を受け付けた場合、すなわちプリペイドカードの返却操作を受け付けた場合(ステップS610肯定)に、玉貸し処理部39aは、搬送/繰出機構部37に対してプリペイドカードの返却指示を行って当該プリペイドカードをカード挿入口309に繰出(排出)させ(ステップS611)、処理を終了する。
【0072】
一方、図7に示すように、カード収納部36にて残額が存在する1枚目のプリペイドカードが既に保持されている状態で、新たに2枚目のプリペイドカードの挿入操作を受け付けた場合(ステップS612肯定)に、閾値可否判定部39bは、1枚目のプリペイドカードの残金額が記憶部38に記憶された設定値情報38a、たとえば設定値「105円」未満であるか否かを判定する(ステップS613)。
【0073】
このとき、1枚目のプリペイドカードの残金額が「105円」未満であると判定された場合には、記録媒体種別判定部39cは、1枚目のプリペイドカードのプリペイドカードIDが会員管理T/C15に登録されているか否かをさらに判定する(ステップS614)。
【0074】
ここで、1枚目のプリペイドカードのプリペイドカードIDが会員管理T/C15に登録されていないと判定された場合(ステップS613肯定かつステップS614肯定)に、制御部39は、カード収納部36に収納されたカード収納枚数(1枚目のプリペイドカードを含む)が上限枚数であるか否かを判定し、その結果、上限枚数に満たない場合(ステップS615否定)には、搬送/繰出機構部37及び残額移行価値付け部39dは、相互に協働して後述する『残額移行価値付け処理』を行い(ステップS616)、玉貸し操作が行われるのを待機する貸出操作受付待機状態に移行する(ステップS605)。
【0075】
また、カード収納枚数が上限枚数である場合(ステップS615肯定)であっても、記録媒体種別判定部39cによって2枚目のプリペイドカードのプリペイドカードIDが会員管理T/C15に登録されていると判定された場合(ステップS617肯定)には、『残額移行価値付け処理』を行い(ステップS616)、玉貸し操作が行われるのを待機する貸出操作受付待機状態に移行する(ステップS605)。なお、2枚目のプリペイドカードのプリペイドカードIDが会員管理T/C15に登録されていない場合(ステップS617否定)には、2枚目のプリペイドカードをカード挿入口309からそのまま返却(排出)し(ステップS618)、玉貸し操作が行われるのを待機する貸出操作受付待機状態に移行する(ステップS605)。
【0076】
このように、1枚目のプリペイドカードがカード収納部36に収納された時点でカード収納枚数が上限枚数に達していたとしても、2枚目のプリペイドカードが会員カードである場合には、そのまま『残額移行価値付け処理』を行うことができる。何故ならば、会員カード(2枚目のプリペイドカード)は必ず持ち帰られるため、カード収納部36に上限枚数を超えてカードを収納する事態が起こりえないからである。これにより、1枚目のプリペイドカードの残金額が後から挿入された会員カードに移行価値付けすることができ、上限枚数ぎりぎりまで残額移行価値付けを行うことが可能になる。
【0077】
また、1枚目のプリペイドカードの残金額が「105円」以上であると判定されるか、もしくは1枚目のプリペイドカードのプリペイドカードIDが会員管理T/C15に登録されていると判定された場合(ステップS613否定又はステップS614否定)には、搬送/繰出機構部37は、図5−1に示すように、2枚目のプリペイドカードをカード挿入口309からそのまま返却(排出)し(ステップS618)、玉貸し操作が行われるのを待機する貸出操作受付待機状態に移行する(ステップS605)。
【0078】
(2)残額移行価値付け処理
次に、図8を用いて、実施例1に係るCRユニット30の残額移行価値付け処理を説明する。図8は、実施例1に係るCRユニット30の残額移行価値付け処理の手順を示すフローチャートである。この「残額移行価値付け処理」は、上記したステップS612肯定、ステップS613肯定、ステップS614肯定かつステップS615否定である場合、或いは、上記したステップS612肯定、ステップS613肯定、ステップS614肯定、ステップS615肯定かつステップS617肯定である場合に行われる。
【0079】
同図に示すように、残額移行価値付け部39dは、1枚目のプリペイドカードのプリペイドカードIDに対応する残金額を2枚目のプリペイドカードのプリペイドカードIDに対応する残金額に合算して移行するようにプリペイドカード管理T/C10に依頼する(ステップS801)。
【0080】
続いて、搬送/繰出機構部37は、図5−2に示すように、2枚目のプリペイドカードをカード収納部36に搬送(収納)する(ステップS802)。なお、この時、カード収納部36のカード収納枚数が上限枚数であり、かつ2枚目のプリペイドカードが会員カードであった時(ステップS615肯定かつステップS617肯定)にはカード収納部36に収納不能であるので、2枚目のプリペイドカードは返却ボタン307が押下されるまでC/R35に保持されることになる。
【0081】
その後、プリペイドカード管理T/C10から残額移行完了通知を受け付けると、制御部39は、合算後の残金額を7SEG表示部304に表示させ(ステップS803)、処理を終了する。
【0082】
上述してきたように、本実施例1に係るCRユニット30によれば、1枚目のプリペイドカードの残金額が所定値未満である場合には、1枚目のプリペイドカードの残金額を2枚目のプリペイドカードに合算して移行する価値付けを行い、2枚目のプリペイドカードをカード収納部36に受け入れるように構成したので、2枚目のプリペイドカードの挿入操作を簡便にすることができ、遊技客の利便性を向上させることが可能である。
【0083】
さらに、本実施例1に係るCRユニット30によれば、1枚目のプリペイドカードのカード種別が「会員カード」ではない場合にしか、1枚目のプリペイドカードの残金額を2枚目のプリペイドカードに合算して移行する価値付けを行わないように構成したので、1枚目のプリペイドカードが「会員カード」である場合に「会員カード」がカード収納部36に回収される事態を防止することができ、会員カードの紛失という不利益を伴うことなく、遊技客の利便性を向上させることが可能である。
【実施例2】
【0084】
さて、これまで本発明の実施例について説明したが、本発明は上述した実施例以外にも、種々の異なる形態にて実施されてよいものである。そこで、以下では、本発明に含まれる他の実施例を説明する。
【0085】
(1)1枚目のプリペイドカードの残額の取扱い
上記した実施例1では、2枚目のプリペイドカードを受け入れた場合に、1枚目のプリペイドカードの残金額を2枚目のプリペイドカードの残金額に一義的に合算することとしたが、本発明はこれに限定されることなく、1枚目のプリペイドカードの残金額は遊技店が回収するようにしてもよい。
【0086】
例えば、残金額が「105円」未満である1枚目のプリペイドカードをカード収納部36に収納してから所定期間(例えば、「10分」)以上経過した場合には、その残金額を遊技店の売上に計上し、当該プリペイドカードのプリペイドカードIDに対応する残金額を「0」に更新するようにCRユニット30を構成してもよい。
【0087】
すなわち、これによって、遊技客が端数金額もしくはそれに準ずる小額が残っているプリペイドカードを放棄した場合に、そのプリペイドカードの残金額を回収するとともに、カード自体をカード収納部36に回収することができ、空き台の回収整理を効率良く行うことが可能になる。
【0088】
また、本発明では、プリペイドカード管理T/C10の許可通知を得た後に初めて1枚目のプリペイドカードの残金額を2枚目のプリペイドカードに残金額を合算するように構成したり、また、プリペイドカード管理T/C10にて1枚目のプリペイドカードの残金額の取扱いを決定するようにしてもよい。
【0089】
すなわち、これによって、遊技店の管理者などが1枚目及び2枚目のプリペイドカードの保持者が同一人物であることを確認してから、プリペイドカードの残額移行を許可したり、また、1枚目及び2枚目のプリペイドカードの保持者がそれぞれ違う場合には、2枚目のプリペイドカードの受け入れは許可するが1枚目のプリペイドカードの残金額を遊技店に回収するというように、プリペイドカードの残額移行を多面的に行うことできる。
【0090】
(2)設定値の配信
また、上記した実施例1では、閾値可否判定部39bが1枚目のプリペイドカードの残金額と比較する設定値として、CRパチンコ機40の玉投出機構における最小投出数に相当する金額を用いることとしたが、本発明はこれに限定されるものではなく、他の設定値を用いる場合でも本発明を同様に適用することができる。
【0091】
例えば、プリペイドカード管理T/C10にて、CRパチンコ機40の玉投出機構における最小投出数に相当する金額「105円」、カード精算機65にて取扱う最小単位の貨幣の金額(例えば、「500円」)や所定の小額貨幣の金額(例えば、「100円」)をさらに設定値として記憶管理しておき、このようにして記憶管理した設定値のうちいずれか1つの設定値を自動または手動で選択し、該選択した設定値をCRユニット30の起動時や遊技店の設備改変時などの任意の契機に配信し、一方、CRユニット30では、配信を受け付けた設定値を記憶部38に記憶しておき、閾値可否判定手段が1枚目のプリペイドカードの残金額と比較する比較値として用いるように、プリペイドカードT/C10及びCRユニット30を含む遊技媒体貸出システムとして構成してもよい。
【0092】
この例によれば、CRパチンコ機40の玉投出機構にて投出不可能な金額を残額移行により救済するように設定値を定めたり、また、遊技店内に配設されるカード精算機65が「500円」未満の硬貨を取扱わず、プリペイドカードの残金額が精算できない場合に、プリペイドカードの精算に代えてプリペイドカードの残額移行を行うことができるように設定値を定めたり、或いは、遊技客の利用意欲を喚起しにくい小額貨幣未満の金額を残額移行により救済するように設定値を定めたりすることができる。つまり、店内設備や客層などの遊技店の特性に応じてプリペイドカードの受入条件を適切に変更することができ、遊技店の特性に適合したプリペイドカードの残額移行を行うことが可能になる。
【0093】
(3)その他
例えば、上記の実施例1では、消費税の税率を「5%」とした場合の実施例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、消費税の税率が任意の税率である場合にも同様に適用することができる。
【0094】
なお、上記の実施例1では、本発明をパチンコ遊技を対象とする遊技システムに適用することとしたが、本発明はこれに限定されるものではなく、パチスロ遊技を対象として含めた遊技システム、或いはパチスロ遊技のみを対象とする遊技システムであっても本発明を同様に適用することができる。
【0095】
また、本実施例において説明した各処理のうち、自動的におこなわれるものとして説明した処理の全部または一部を手動的におこなうこともでき、あるいは、手動的におこなわれるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的におこなうこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0096】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。さらに、各装置にて行なわれる各処理機能は、その全部または任意の一部が、CPUおよび当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
【産業上の利用可能性】
【0097】
以上のように、本発明に係る遊技媒体貸出機、遊技媒体貸出システム及び遊技媒体貸出機に用いる残額移行方法は、新たな遊技用記録媒体(第2の遊技用記録媒体)の挿入操作を簡便にし、もって遊技客の利便性を向上させることができる遊技媒体貸出機、遊技媒体貸出システム及び遊技媒体貸出機に用いる残額移行方法に適している。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】実施例1に係る遊技システム1のシステム構成を示すシステム構成図である。
【図2】実施例1に係るCRユニット30の特徴を説明するための概念図である。
【図3】実施例1に係るCRユニット30及びCRパチンコ機40の外観を示した正面図である。
【図4】実施例1に係るCRユニット30の内部構成を示すブロック図である。
【図5−1】2枚目のプリペイドカードの繰出(排出)制御を説明するための説明図である。
【図5−2】2枚目のプリペイドカードの搬送(受入)制御を説明するための説明図である。
【図6】実施例1に係るCRユニット30の基本制御処理1の手順を示すフローチャートである。
【図7】実施例1に係るCRユニット30の基本制御処理2の手順を示すフローチャートである。
【図8】実施例1に係るCRユニット30の残額移行価値付け処理の手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0099】
1 遊技システム
10 プリペイドカード管理T/C
15 会員管理T/C
20 島コントローラ
30 CRユニット(カード処理ユニット)
31 操作部
32 表示部
33 通信制御IF部
34 BVユニット部
35 C/R(カードリーダ)
36 カード収納部
37 搬送/繰出機構部
38 記憶部
39 制御部
39a 玉貸し処理部
39b 閾値可否判定部
39c 記録媒体種別判定部
39d 残額移行価値付け部
40 CRパチンコ機
60 カード発行機
65 カード精算機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
挿入操作を受け付けた遊技用記録媒体から識別情報を読み取る読取部と、前記遊技用記録媒体を収納する収納部とを有し、前記読取部によって読み取られた識別情報から得られる遊技用記録媒体の有価価値の残額に基づいて遊技媒体の貸出処理を行う遊技媒体貸出機であって、
前記有価価値の残額が存在する第1の遊技用記録媒体を前記収納部に受け入れている状態で、新たに第2の遊技用記録媒体の挿入操作を受け付けた場合に、前記第1の遊技用記録媒体の有価価値の残額が所定値未満であるか否かを判定する閾値可否判定手段と、
前記閾値可否判定手段によって前記所定値未満であると判定された場合に、前記第1の遊技用記録媒体に価値付けられている有価価値の残額を前記第2の遊技用記録媒体に合算して移行する価値付けを行う残額移行価値付け手段と
前記残額移行価値付け手段によって前記第2の遊技用記録媒体への残額移行価値付けが行われた場合には、当該挿入操作を受け付けた第2の遊技用記録媒体を前記収納部に受け入れる受入制御を行い、前記閾値可否判定手段によって前記第1の遊技用記録媒体が前記所定値以上であると判定された場合には、前記第2の遊技用記録媒体を排出する排出制御を行う受入/排出制御手段と
を備えたことを特徴とする遊技媒体貸出機。
【請求項2】
前記第1の遊技用記録媒体が会員用記録媒体であるか否かを判定する記録媒体種別判定手段をさらに備え、
前記残額移行価値付け手段は、前記閾値可否判定手段によって前記第1の遊技用記録媒体が前記所定値未満であると判定され、かつ前記記録媒体種別判定手段によって前記第1の遊技用記録媒体が前記会員用記録媒体ではないと判定された場合にのみ前記第2の遊技用記録媒体への残額移行価値付けを行うことを特徴とする請求項1に記載の遊技媒体貸出機。
【請求項3】
遊技場にて使用される遊技用記録媒体に記録された識別情報に対応する有価価値を管理する管理装置と、挿入操作を受け付けた遊技用記録媒体から識別情報を読み取る読取部ならびに前記遊技用記録媒体を収納する収納部とを有し、前記読取部によって読み取られた識別情報から得られる遊技用記録媒体の有価価値の残額に基づいて遊技媒体の貸出処理を行う遊技媒体貸出機とを有する遊技媒体貸出システムであって、
前記遊技媒体貸出機は、
前記有価価値の残額が存在する第1の遊技用記録媒体を前記収納部に受け入れている状態で、新たに第2の遊技用記録媒体の挿入操作を受け付けた場合に、前記第1の遊技用記録媒体の有価価値の残額が所定値未満であるか否かを判定する閾値可否判定手段と、
前記閾値可否判定手段によって前記第1の遊技用記録媒体が前記所定値未満であると判定された場合には、当該挿入操作を受け付けた第2の遊技用記録媒体を前記収納部に受け入れる受入制御を行い、前記第1の遊技用記録媒体が前記所定値以上であると判定された場合には、前記第2の遊技用記録媒体を排出する排出制御を行う受入/排出制御手段とを備え、
前記管理装置は、
前記閾値可否判定手段によって前記所定値未満であると判定された場合に、前記第1の遊技用記録媒体に価値付けられている有価価値の残額を前記第2の遊技用記録媒体の識別情報に対応する有価価値に合算して移行する残額移行手段を備えた
ことを特徴とする遊技媒体貸出システム。
【請求項4】
前記遊技用記録媒体は、当該遊技用記録媒体に価値付けられた有価価値に基づいて貨幣を払出す記録媒体精算機により現金に精算されるものであり、
前記遊技媒体の貸出処理は、当該遊技媒体貸出機に接続されるCR遊技機に対して前記遊技媒体の貸出指示を行い、該CR遊技機の遊技媒体投出機構から貸し遊技媒体を投出させる処理であって、
前記管理装置は、
前記記録媒体精算機にて取扱い可能な金額、前記CR遊技機における遊技媒体投出機構の最小投出単位に相当する金額および/または所定の小額貨幣の金額を設定値として記憶する第1の設定値記憶手段と、
前記第1の設定値記憶手段によって記憶された設定値のうちいずれか1つの設定値を選択する設定値選択手段と、
前記設定値選択手段によって選択された設定値を前記遊技媒体貸出機に配信する設定値配信手段とをさらに備え、
前記遊技媒体貸出機は、
前記設定値配信手段によって配信された設定値を記憶する第2の設定値記憶手段をさらに備え、
前記閾値可否判定手段は、前記第1の遊技用記録媒体の有価価値の残額が、前記第2の設定値記憶手段によって記憶された設定値未満であるか否かを判定することを特徴とする請求項3に記載の遊技媒体貸出システム。
【請求項5】
挿入操作を受け付けた遊技用記録媒体から識別情報を読み取る読取部と、前記遊技用記録媒体を収納する収納部とを有し、前記読取部によって読み取られた識別情報から得られる遊技用記録媒体の有価価値の残額に基づいて遊技媒体の貸出処理を行う遊技媒体貸出機に用いる残額移行方法であって、
前記有価価値の残額が存在する第1の遊技用記録媒体を前記収納部に受け入れている状態で、新たに第2の遊技用記録媒体の挿入操作を受け付けた場合に、前記第1の遊技用記録媒体の有価価値の残額が所定値未満であるか否かを判定する閾値可否判定工程と、
前記閾値可否判定工程によって前記所定値未満であると判定された場合に、前記第1の遊技用記録媒体に価値付けられている有価価値の残額を前記第2の遊技用記録媒体に合算して移行する価値付けを行う残額移行価値付け工程と
前記残額移行価値付け工程によって前記第2の遊技用記録媒体への残額移行価値付けが行われた場合には、当該挿入操作を受け付けた第2の遊技用記録媒体を前記収納部に受け入れる受入制御を行い、前記閾値可否判定工程によって前記第1の遊技用記録媒体が前記所定値以上であると判定された場合には、前記第2の遊技用記録媒体を排出する排出制御を行う受入/排出制御工程と、
を含んだことを特徴とする遊技媒体貸出機に用いる残額移行方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5−1】
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【図5−2】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−279091(P2008−279091A)
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−126318(P2007−126318)
【出願日】平成19年5月11日(2007.5.11)
【出願人】(000001432)グローリー株式会社 (1,344)
【Fターム(参考)】