説明

遊技機、主制御部、主制御基板、後段部、周辺基板、認証方法及び認証プログラム

【課題】遊技機の主制御基板に対する不正基板との交換等による不正行為や誤動作を検知すると共に、周辺部の処理負荷を軽減する。
【解決手段】遊技機1の主制御部10は、出力する制御コマンドが第1又は第2制御コマンドの時、第1又は第2個体検査値を生成する個体検査値生成部12を備え、第1個体検査値を第1制御コマンド、又は第2個体検査値を第2制御コマンドに付加して後段部20又は周辺部30へ送信する。後段部20は、第1制御コマンドの受信時は付加された第1個体検査値と、予め保持する第1演算値とを照合し主制御部10を認証する第1個体認証部24を備え、認証結果を周辺部30へ送信する。周辺部30は、第2制御コマンドの受信時は付加された第2個体検査値と予め保持する第2演算値とを照合し、或いは、後段部20から受信した認証結果に基づき主制御部10を認証する第2個体認証部を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ店等の遊技店に設置されるパチンコ遊技機、雀球遊技機、アレンジボール等の弾球遊技機、スロットマシン等の回胴式遊技機などの遊技機、これら遊技機に設けられた主制御部、この主制御部が搭載された主制御基板、上記各遊技機に設けられた後段部、この後段部が搭載された周辺基板、上記各遊技機で行われる認証方法及び認証プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
遊技機に対し行われる、メダルや遊技球など(以下、遊技媒体という)を遊技とは無関係に強制的に払い出させる不正行為のうち、主制御部が搭載された主制御基板や周辺部が搭載された周辺基板に関するものとして、例えば以下に示すものがある。
(1)正規な主制御基板と不正な主制御基板との交換
(2)主制御基板に搭載されたCPUが実行する正規なプログラムが記憶されたROMと上記プログラムを改ざんした不正なプログラムが記憶されたROMとの交換
(3)主制御基板と周辺基板との間に不正な基板(なりすまし基板)を設け、かつ上記(2)のROMの交換
【0003】
このような不正行為を防止するため、従来の遊技機には、以下に示すものがあった。すなわち、この遊技機には、特典付与の可否を決定するとともに第3識別情報を記憶しているメイン制御部(主制御部)と、主制御部に接続され、第1識別情報を記憶している第1サブ制御部(第1周辺部)と、主制御部に接続され、第2識別情報を記憶している第2サブ制御部(第2周辺部)とを備えたものがある。この遊技機では、主制御部から第1周辺部に向けてのみ情報の出力が可能であり、主制御部と第2周辺部は、相互に情報の入出力が可能である。第2周辺部は、第2識別情報を主制御部に出力する手段を有している。一方、主制御部は、第2識別情報と第3識別情報を第1周辺部に出力する手段を有している。第1周辺部は、第1識別情報と第2識別情報と第3識別情報を用いて所定演算を行う演算手段と、演算手段の演算結果に基づいて遊技機に不正な改造が行われたか否かを判別する手段を有している(例えば、特許文献1参照。)。以下、この技術を第1の従来例と呼ぶ。
【0004】
また、従来の遊技機には、大当たり図柄を表示する図柄表示装置と、遊技状況に応じて図柄制御部へデータを送信する主制御装置(主制御部)と、遊技状況に応じ主制御部から受信する制御データに基づいて図柄表示装置を制御する図柄制御部(周辺部)とを備えているものもある。このパチンコ遊技機では、主制御部は、第1鍵データを記憶する第1の記憶手段と、図柄制御部の動作を制御するための制御データに対し第1鍵データに対応する暗号化を行う暗号化手段と、遊技状況に対応する制御データに暗号化を施したデータを周辺部へ送信する送信手段と、予め定めたタイミングに、第1鍵データを変更する第1鍵変更手段とを備えている。周辺部は、第2鍵データを記憶する第2の記憶手段と、主制御部から受信した暗号データに対し第2鍵データに対応する処理を行うことにより、該受信した暗号データの正当性を判定し、正当である場合に該暗号データを認証する認証手段と、受信した暗号データが認証された場合に該暗号データに対応する動作を図柄表示装置に行わせる動作制御手段と、第1鍵データの変更タイミングに合致するように予め定められたタイミングに、第2鍵データを第1鍵データに対応するように変更する第2鍵変更手段とを備えている(例えば、特許文献2参照。)。以下、この技術を第2の従来例と呼ぶ。
【0005】
また、従来のパチンコ遊技機には、主制御基板(主制御部)と、主制御部によって送信された制御コマンドに基づいて所定の処理を行う周辺基板(周辺部)とを備えるものもある。このパチンコ遊技機では、主制御部は、周辺部に送信する制御コマンドが所定の制御コマンドである場合、主制御部を認証するための認証データを所定の制御コマンドに対応する制御コマンドデータに付加して周辺部に送信する。そして、周辺部は、所定の制御コマンドデータを受信すると、この所定の制御コマンドデータに付加して送信された認証データに基づいて主制御部を認証する(例えば、特許文献3参照。)。以下、この技術を第3の従来例と呼ぶ。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−21330号公報
【特許文献2】特開2002−210194号公報
【特許文献3】特開2008−279037号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
第1の従来例では、ランプやスピーカ等を制御する第1周辺部に搭載されているCPUが第1識別情報と第2識別情報と第3識別情報を用いて所定演算を行い、表示を制御する第2周辺部に搭載されているCPUが上記演算結果に基づいて遊技機に不正な改造が行われたか否かを判別している。
【0008】
このように、CPUに既存の処理(例えば、演出処理)以外に認証処理を実行させるためには、既存の処理に認証機能及び認証タイミングなどの処理を追加する必要がある。このため、認証機能を追加するための認証タイミングの設計、認証機能の実現化、動作のシミュレーション及び所望の機能が得られるか否かを確認する検証(ベリフィケーション)に多大の時間と労力を要し、これにより、遊技機の開発に時間と手間が大幅にかかってしまうという問題がある。このような問題は、特に、遊技機の機種変更をする際に顕著に現れる。さらに、最近の遊技機の演出の多様化に伴って、CPUが実行すべきプログラムのコードサイズも膨大になる傾向にあるため、認証機能の追加により上記の問題は益々増大する。
【0009】
また、CPUに既存の処理の他に認証処理を実行させる場合、CPUの処理負荷が増大するため、処理速度が低下し、演出のための表示がスムーズに行われなかったり、最悪の場合には、認証処理自体を追加できなかったりするなどの問題があった。特に最近では、遊技の興趣向上を図るために、リーチや大当たり等の際に遊技者の視覚や聴覚に訴える演出が多様となる傾向にあり、上記問題が発生するおそれが増大する。
【0010】
また、第1の従来例では、周辺部を構成する1つのCPUが1回の認証処理(IDの加算処理)を行っているだけである。さらに、周辺部を構成するCPUに既存の処理の他に認証処理を実行させることにより周辺部を構成するCPUの処理負荷が増大する。それゆえ、周辺部を構成するCPUにセキュリティをより強化するために、今まで以上に複雑な演算による認証処理や複数回の認証処理を実行させることは困難である。
【0011】
一方、第2の従来例では、主制御部では、暗号化手段が図柄制御部の動作を制御するための制御データに対し第1鍵データに対応する暗号化を行い、第1鍵変更手段が予め定めたタイミングに、第1鍵データを変更している。周辺部では、認証手段が主制御部から受信した暗号データに対し第2鍵データに対応する処理を行うことにより、受信した暗号データの正当性を判定し、正当である場合に該暗号データを認証し、第2鍵変更手段が第1鍵データの変更タイミングに合致するように予め定められたタイミングに、第2鍵データを第1鍵データに対応するように変更している。つまり、主制御部も周辺部も高度で複雑な暗号化処理及び認証処理を行っている。したがって、第2の従来例では、主制御部を構成するCPUも周辺部を構成するCPUもそれぞれの処理負荷が増大するため、処理速度が低下し、遊技内容の進行に伴う基本処理や演出処理という本来の処理がスムーズに行われないおそれがある。
【0012】
また、第3の従来例では、第1の従来例と同様に、周辺部のCPUに既存のゲーム処理の他に、認証処理を実行させる場合、所定の制御コマンドに認証データを付加して周辺部に送信しても、周辺部のCPUの処理負荷が増大するため、処理速度が低下し、演出のための表示がスムーズに行われなかったり、認証処理自体の追加が難しくなったりする設計上の制約が生じることが考えられる。特に最近では、遊技の興趣向上を図るために、図柄の変動の制御について遊技者の視覚や聴覚に訴える演出が多様となる傾向にある。したがって、各種の演出制御を行う周辺部(画像制御部)に対して認証処理を行う負荷を低減させるような認証手段を設けた遊技機を構築することが望ましい。
【0013】
さらに、周辺部を構成するCPUに既存の処理の他に認証処理を実行させることにより周辺部を構成するCPUの処理負荷やプログラム容量が増大する。それゆえ、周辺部を構成するCPUにセキュリティをより強化するために、今まで以上に複雑な演算による認証処理や複数回の認証処理を実行させることは困難である。
【0014】
ところで、遊技機は、外部から電気的な雑音や機械的な振動等が加えられた場合、誤動作する場合がある。例えば、主制御部から周辺部に制御コマンドが送信されている際に、電磁波や静電気などの雑音が遊技機外部から加えられると、この雑音の影響により制御コマンドデータにビットエラーが発生し、制御コマンドが変更されてしまうという誤動作が生じる。この場合、本来周辺部に送信されるべき制御コマンドが大当たりコマンド以外の制御コマンドであるにも関わらず、ビットエラーが発生して当該制御コマンドが大当たりコマンドに変更されてしまうと、不正行為が行われた場合でなくても、遊技者に不当に多くの遊技媒体が払い出され、遊技店が多大な損害を被ってしまう。ところが、第1〜第3の従来例では、このような誤動作に起因した問題について何ら対策を施していないので、遊技店が多大な損害を被るという問題を解決することができない。
【0015】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、遊技機の正規の主制御基板と不正な主制御基板との交換等による不正行為や遊技機の誤動作を検知でき、周辺部のCPUの処理負荷を軽減することができる遊技機、主制御部、主制御基板、後段部、周辺基板、認証方法及び認証プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決するために本発明は、制御コマンドを示す制御信号を出力する主制御部と、前記制御コマンドに応じた処理を行う周辺部と、後段部とを備える遊技機であって、前記主制御部は、前記制御コマンドに対応するデータの全部又は一部を第1グループに属する制御コマンドに対応する第1データと第2グループに属する制御コマンドに対応する第2データとに少なくとも分類して、記憶するデータ記憶部と、前記第1データに対応される第1検査値及び前記第2データに対応される第2検査値を生成する検査値生成部と、前記周辺部に処理を行わせるために制御信号として出力される制御コマンドが前記第1グループに属する場合には前記第1データに前記第1検査値を付加して第1制御信号を構成し、前記制御コマンドが前記第2グループに属する場合には前記第2データに前記第2検査値を付加して第2制御信号を構成する付加部と、前記第1制御信号又は前記第2制御信号を前記周辺部へ送信する第1送信部とを備え、前記後段部は、前記第1検査値に対応する第1演算値を記憶する第1演算値記憶部と、前記第1送信部より前記周辺部を介して送信された前記第1制御信号を少なくとも受信する第1受信部と、前記第1受信部が受信した制御信号にて示された制御コマンドが前記第1グループに属する制御コマンドであるか否かを識別する第1識別部と、前記第1識別部で識別された前記第1グループに属する制御コマンドを示す前記第1制御信号に含まれる前記第1検査値と前記第1演算値とが対応するか否かに基づいて前記主制御部の個体の正当性を認証する第1認証部と、前記第1認証部が得た認証結果を示す認証結果信号を前記周辺部へ送信する第2送信部とを備え、前記周辺部は、前記第2検査値に対応する第2演算値を記憶する第2演算値記憶部と、前記第1送信部より送信された前記第1制御信号又は前記第2制御信号、或いは前記第2送信部より送信された前記認証結果信号を受信する第2受信部と、前記第2受信部が受信した制御信号にて示された制御コマンドが前記第2グループに属する制御コマンドであるか否かを識別する第2識別部と、前記第1送信部より送信された前記第1制御信号を前記後段部に少なくとも送信する第3送信部と、前記第2受信部が受信した前記認証結果信号が前記主制御部の個体の正当性が認証されたことを示しているか否か、又は、前記第2識別部で識別された前記第2グループに属する制御コマンドを示す前記第2制御信号に含まれる前記第2検査値が前記第2演算値と対応するか否かに基づいて前記主制御部の個体の正当性を認証する第2認証部と、前記第2認証部が得た認証結果に応じた処理を行う処理部とを備えることを特徴とする。
【0017】
また、上記課題を解決するために本発明は、周辺部又は後段部によって個体の正当性を認証され、制御コマンドを示す制御信号を出力する遊技機の主制御部であって、前記制御コマンドに対応するデータの全部又は一部を第1グループに属する制御コマンドに対応する第1データと第2グループに属する制御コマンドに対応する第2データとに少なくとも分類し、記憶するデータ記憶部と、前記主制御部の個体の正当性を認証する際に用い、前記第1データに対応される第1検査値及び前記第2データに対応される第2検査値を生成する検査値生成部と、前記周辺部に処理を行わせるために制御信号として出力される制御コマンドが前記第1グループに属する場合には前記第1データに前記第1検査値を付加して第1制御信号を構成し、前記周辺部に処理を行わせるために制御信号として出力される制御コマンドが前記第2グループに属する場合には前記第2データに前記第2検査値を付加して第2制御信号を構成する付加部と、前記第1制御信号又は前記第2制御信号を前記周辺部へ送信する送信部とを備えることを特徴とする。
【0018】
さらにまた、上記課題を解決するために本発明の遊技機の主制御基板は、本発明の主制御部が搭載されていることを特徴とする。
【0019】
さらにまた、上記課題を解決するために本発明は、制御コマンドを示す制御信号を出力する主制御部と、前記制御コマンドに応じた処理を行う周辺部と、後段部とを備える遊技機に用いられる認証方法であって、前記主制御部が、前記周辺部に処理を行わせるために制御信号として出力される制御コマンドが第1グループに属する制御コマンドである場合には第1検査値を生成する第1のステップと、前記主制御部が、前記第1のステップで生成された前記第1検査値を前記第1グループに属する制御コマンドに対応する第1データに付加して第1制御信号を構成し、前記周辺部へ送信する第2のステップと、前記主制御部が、前記周辺部に処理を行わせるために制御信号として出力される制御コマンドが第2グループに属する制御コマンドである場合には第2検査値を生成する第3のステップと、前記主制御部が、前記第3のステップで生成された前記第2検査値を前記第2グループに属する制御コマンドに対応する第2データに付加して第2制御信号を構成し、前記周辺部へ送信する第4のステップと、前記周辺部が、前記第2のステップで送信された前記第1制御信号を前記後段部に少なくとも送信する第5のステップと、前記後段部が、前記第5のステップで送信された前記第1制御信号に含まれる前記第1検査値と、予め前記後段部で保持され前記第1のステップで生成された前記第1検査値に対応する第1演算値とが対応するか否かに基づいて前記主制御部の個体の正当性を認証する第6のステップと、前記後段部が、前記第6のステップで得られた認証結果を示す認証結果信号を前記周辺部に送信する第7のステップと、前記周辺部が、前記第4のステップで送信された前記第2制御信号に含まれる前記第2検査値と、予め前記周辺部で保持され前記第3のステップで生成された前記第2検査値に対応する第2演算値とが対応するか否かに基づいて前記主制御部の個体の正当性を認証する第8のステップと、前記周辺部が、前記7のステップで送信された前記認証結果信号にて示された前記第6のステップで得られた前記認証結果、又は前記第8のステップで得られた認証結果に応じた処理を行う第9のステップとを有することを特徴とする。
【0020】
さらにまた、上記課題を解決するために本発明のコンピュータ読み取り可能な認証プログラムは、制御コマンドを示す制御信号を出力する主制御部と、前記制御コマンドに応じた処理を行う周辺部と、後段部とを備える遊技機に搭載されるコンピュータに、前記主制御部が、前記制御コマンドに対応するデータの全部又は一部を第1グループに属する制御コマンドに対応する第1データと第2グループに属する制御コマンドに対応する第2データとに少なくとも分類し、記憶するデータ記憶機能と、前記主制御部が、前記第1データに対応される第1検査値及び前記第2データに対応される第2検査値を生成する検査値生成機能と、前記主制御部が、前記周辺部に処理を行わせるために制御信号として出力される制御コマンドが前記第1グループに属する場合には前記第1データに前記第1検査値を付加して第1制御信号を構成し、前記制御コマンドが前記第2グループに属する場合には前記第2データに前記第2検査値を付加して第2制御信号を構成する付加機能と、前記主制御部が、前記第1制御信号又は前記第2制御信号を前記周辺部へ送信する第1送信機能と、前記後段部が、前記第1検査値に対応する第1演算値を記憶する第1演算値記憶機能と、前記後段部が、前記第1送信機能の実行により前記周辺部を介して送信された前記第1制御信号を少なくとも受信する第1受信機能と、前記後段部が、前記第1受信機能の実行により受信した制御信号にて示された制御コマンドが前記第1グループに属する制御コマンドであるか否かを識別する第1識別機能と、前記後段部が、前記第1識別機能の実行により識別された前記第1グループに属する制御コマンドを示す前記第1制御信号に含まれる前記第1検査値と前記第1演算値とが対応するか否かに基づいて前記主制御部の個体の正当性を認証する第1認証機能と、前記後段部が、前記第1認証機能の実行により得た認証結果を示す認証結果信号を前記周辺部へ送信する第2送信機能と、前記周辺部が、前記第2検査値に対応する第2演算値を記憶する第2演算値記憶機能と、前記周辺部が、前記第1送信機能の実行により送信された前記第1制御信号又は前記第2制御信号、或いは前記第2送信機能の実行により送信された前記認証結果信号を受信する第2受信機能と、前記周辺部が、前記第2受信機能の実行により受信した制御信号にて示された制御コマンドが前記第2グループに属する制御コマンドであるか否かを識別する第2識別機能と、前記周辺部が、前記第1送信機能の実行により送信された前記第1制御信号を前記後段部に少なくとも送信する第3送信機能と、前記周辺部が、前記第2受信機能の実行により受信した前記認証結果信号が前記主制御部の個体の正当性が認証されたことを示しているか否か、又は、前記第2識別機能の実行により識別された前記第2グループに属する制御コマンドを示す前記第2制御信号に含まれる前記第2検査値が前記第2演算値と対応するか否かに基づいて前記主制御部の個体の正当性を認証する第2認証機能と、前記周辺部が、前記第2認証機能の実行により得た認証結果に応じた処理を行う処理機能とを実現させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、遊技機の正規の主制御基板と不正な主制御基板との交換等による不正行為や遊技機の誤動作を検知でき、周辺部のCPUの処理負荷を軽減することができる。
【0022】
具体的には、本発明によれば、主制御部は、第1及び第2個体検査値を生成し、第1個体検査値を第1グループの制御コマンドデータに付加するとともに、第2個体検査値を第2グループの制御コマンドデータに付加し、それぞれ制御信号を構成して周辺部又は後段部へ送信する。周辺部は、受信した制御信号を後段部へ送信するとともに、処理部に対し制御信号に含まれる制御コマンドデータに基づく処理を行わせる。また、周辺部は、受信した制御信号が第2グループの制御コマンドを示す場合、受信した制御信号に含まれる第2個体検査値を用いて主制御部の個体の正当性を認証し、得られた認証結果に応じた処理を行う。後段部は、受信した制御信号が第1グループの制御コマンドを示す場合、受信した制御信号に含まれる第1個体検査値を用いて主制御部の個体の正当性を認証し、得られた認証結果が不成功の場合は周辺部へその旨を通知する。これにより、上記不正行為や遊技機の誤動作を検知することができ、遊技者に不当に多くの遊技媒体が払い出され、遊技店が多大な損害を被ることを防止できる。
【0023】
また、本発明によれば、認証処理の一部を後段部が実行するので、周辺部を構成するCPUの処理負荷の増大を抑制することができる。このため、周辺部の処理速度が低下し、演出のための表示がスムーズに行われないなどの問題の発生を防止することができる。
【0024】
また、本発明によれば、遊技機の認証処理を後段部と周辺部の両方で行っているので、主制御部に対する上記不正行為及び雑音等に起因する遊技機の誤作動の他、後段部に対する不正行為及び誤動作を検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施の形態1に係るパチンコ遊技機の認証処理に関する機能構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係るパチンコ遊技機の外観構成を示す正面図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係るパチンコ遊技機の電気的構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施の形態1に係るパチンコ遊技機を構成する主制御部における検査値の生成方法を模式的に示す説明図である。
【図5】本発明の実施の形態1に係るパチンコ遊技機を構成する主制御部が出力する制御信号が示す制御コマンドのグループ分けの一例を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態1に係るパチンコ遊技機を構成する主制御部が出力する制御信号のデータフォーマットの一例を模式的に示す図である。
【図7】本発明の実施の形態1に係るパチンコ遊技機を構成する主制御部による演出制御部及び賞球制御部へのコマンド送信を含む処理を示すフローチャートである。
【図8】本発明の実施の形態1に係るパチンコ遊技機を構成する主制御部による演出制御部及び賞球制御部へのコマンド送信を含む処理を示すフローチャートである。
【図9】大当たり関連コマンドの送信タイミングの一例を示すタイミングチャートである。
【図10】本発明の実施の形態1に係るパチンコ遊技機を構成する演出制御部による図柄変動処理を示すフローチャートである。
【図11】本発明の実施の形態1に係るパチンコ遊技機を構成する演出制御部による大当たり時の処理を示すフローチャートである。
【図12】本発明の実施の形態1に係るパチンコ遊技機を構成するランプ制御部によるランプ制御処理を示すフローチャートである。
【図13】本発明の実施の形態1に係るパチンコ遊技機を構成する主制御部による認証に関する処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【図14】本発明の実施の形態1に係るパチンコ遊技機を構成する後段部による認証に関する処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【図15】本発明の実施の形態1に係るパチンコ遊技機を構成する演出制御部による認証に関する処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
<<実施の形態1>>
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態である実施の形態1について説明する。
図1は、本発明の実施の形態1に係る遊技機の一つであるパチンコ遊技機1の認証処理に関する機能構成を示すブロック図である。このパチンコ遊技機1は、主制御部10と、後段部20と、周辺部30とを備えている。主制御部10は、データ記憶部11と、個体検査値生成部12と、付加部13と、送信部14とを備えている。
【0027】
データ記憶部11には、主制御部10が周辺部30に対して所定の処理を行わせる制御コマンドを示す制御信号を構成する制御コマンドデータをはじめとして、主制御部10で使用される各種データ(プログラムコードを含む)が記憶されている。制御コマンドは、その種類ごとに少なくとも2つのグループに予め分類されており、データ記憶部11は、それぞれの制御コマンドに対応する制御コマンドデータがどの制御コマンドグループに属するかが判るような形式で制御コマンドデータを記憶している。
【0028】
具体的には、本実施の形態1では、制御コマンドデータの全部又一部が、主制御部10が認証に関する処理を開始するトリガとなる所定の制御コマンドに対応する制御コマンドデータと、所定の制御コマンド以外の制御コマンド(以下、通常の制御コマンド)に対応する制御コマンドデータとに分類され、更に所定の制御コマンドに対応する制御コマンドデータが、第1グループと第2グループの2つのグループに分類されている。そして、分類された制御コマンドデータは、各々がどの制御コマンドグループに属するかが判るような形式でデータ記憶部11の所定の記憶領域に記憶されている。なお、この所定の記憶領域は、必ずしも、制御コマンドデータの分類に応じて別個の記憶領域として設けられている必要はない。
【0029】
個体検査値生成部12は、主制御部10の個体としての正当性(アイデンティティ)を認証(以下、個体認証という)するために用いる個体検査値を生成する。具体的には、個体検査値生成部12は、まず、データ記憶部11に記憶されているデータのうち所定のデータを分割して、いくつのデータブロックの数(以下、分割数という)に分割するかを決定し、決定した分割数に基づいて所定のデータを分割数個に分割する。所定のデータとは、データ記憶部11に記憶されているデータの全部又は一部である。続いて、個体検査値生成部12は、予め保持する結合法則を満たす複数方式の2項演算(例えば、加算、乗算、排他的論理和)の中から1つの2項演算を選択し、分割された各データに対して選択された2項演算を施して分割数個の(分割数と同数の)個体検査値を生成する。
【0030】
個体検査値は、後述するように所定の制御コマンドに対応する制御コマンドデータに付加されて周辺部30へ送信され、また、所定の制御コマンドは2つの制御コマンドグループに分かれている。ここでは、1回の認証処理では、1つの制御コマンドグループに属する制御コマンドデータに対して、1つの分割数から生成された分割数個の個体検査値をそれぞれ付加するものとする。具体的には、個体検査値生成部12は、主制御部10で実行タイミングとなった制御コマンドが第1グループの制御コマンドに該当する場合に、第1グループの制御コマンドデータに付加する個体検査値(以下、第1個体検査値という)及び個体認証データ(以下、第1個体認証データという)を生成する。個体検査値生成部12は、まず、第1分割数を決定し、データ記憶部11に記憶されている所定のデータを第1分割数個に分割する。続いて、個体検査値生成部12は、予め保持する結合法則を満たす複数方式の2項演算の中から第1方式の2項演算を選択し、分割された第1分割数個のデータのそれぞれに対して、第1方式の2項演算を施して第1分割数個の第1個体検査値を生成する。その後、個体検査値生成部12は、生成した第1分割数個の第1個体検査値のそれぞれに対して暗号化処理を施して第1分割数個の第1個体認証データを生成する。第2グループの制御コマンドデータへ付加する第2個体検査値及び第2個体認証データの生成も同様である。
【0031】
付加部13は、個体検査値生成部12で生成された分割数個の個体認証データのそれぞれを、制御コマンドデータへ付加して認証データが付加された制御信号である認証データ付制御信号を構成する。具体的には、第1個体認証データは第1グループの制御コマンドデータへ付加して、又は第2個体認証データは第2グループの制御コマンドデータへ付加して、認証データ付制御信号を構成し、周辺部30へ送信するべく送信部14へ転送する。
送信部14は、付加部13より転送された第1個体認証データが付加された第1グループの制御コマンドデータで構成された認証データ付制御信号、第2個体認証データが付加された第2グループの制御コマンドデータで構成された認証データ付制御信号、又は通常の制御コマンドデータで構成された制御信号を周辺部30へ送信する。ここで、「転送」とは、例えば主制御部10内部でのデータや信号の受け渡しを意味し、「送信」とは、例えば主制御部10から後段部20へのデータや信号の伝送を意味する。
【0032】
後段部20は、受信部21と、識別部22と、第1期待値記憶部23と、第1個体認証部24と、送信部25とを備えている。
受信部21は、主制御部10より周辺部30を介して送信された制御信号を受信すると、受信した制御信号を識別部22へ転送する。
【0033】
識別部22は、受信部21より転送されてきた制御信号に含まれる制御コマンドデータが、どの制御コマンドグループに属する制御コマンドデータに該当するかを識別し、該当する制御コマンドグループごとに予め設定された処理を実行する。具体的には、識別部22は、受信部21より転送された制御信号に含まれる制御コマンドデータの種類を確認し、制御コマンドデータの示す内容が第1グループの制御コマンドに該当するものであるか否かを判断する。識別部22は、受信した制御信号が第1グループ制御コマンドに該当する場合は、受信した制御信号は第1個体認証データが付加された認証データ付制御信号であると判断し、これを用いて後段部20で個体認証を行うとして後段部20を構成する第1個体認証部24へ転送する。一方、受信した制御信号が第1グループの制御コマンドに該当しない場合は、後段部20での認証処理には使用しないとして受信した制御信号を破棄する。
【0034】
第1期待値記憶部23は、主制御部10を構成するデータ記憶部11に記憶されている所定のデータと同一のデータに対して結合法則を満たす第1方式の2項演算を行って得られた演算値を期待値(以下、第1個体認証期待値という)として予め記憶している。
【0035】
第1個体認証部24は、まず、識別部22より転送された認証データ付制御信号に含まれる個体認証データに復号化処理を施して個体検査値を抽出する。ここでは、第1個体認証データに復号化処理が施され第1個体検査値が抽出されることとなる。続いて、第1個体認証部24は、抽出した第1個体検査値に対して予め保持する結合法則を満たす第1方式の2項演算を行う(以下、結合処理という)。そして、得られた演算結果(以下、結合結果という)を、第1期待値記憶部23に予め記憶されている第1個体認証期待値と照合し、結合結果と第1個体認証期待値とが一致するか否かに基づいて主制御部10に対する個体認証を行う。
【0036】
その後、第1個体認証部24は、第1個体検査値を用いた個体認証の結果(以下、第1個体認証結果という)の内容を示す認証結果信号を生成する。具体的には、第1個体認証結果が、結合結果と第1個体認証期待値とが一致したことを示す場合は、成功であったことを示す認証結果信号(以下、認証成功信号という)を生成する。また、第1個体認証結果が、結合結果と第1個体認証期待値とが一致しなかったことを示す場合は、不成功であったことを示す認証結果信号(以下、認証不成功信号という)を生成する。また、第1個体認証部24は、受信した制御信号が第1グループの制御コマンドに該当しない場合は後段部20にて認証処理を行わない旨を示すデータ(以下、認証未実施データという)を生成し、当該データに基づく認証結果信号を生成する。そして、第1個体認証部24は、認証結果信号を周辺部30へ送信するべく送信部25へ転送するとともに、受信した制御信号を破棄する。
送信部25は、第1個体認証部24より転送された認証結果信号を周辺部30へ送信する。
【0037】
周辺部30は、受信部31と、識別部32と、送信部33と、第2期待値記憶部34と、第2個体認証部35と、報知部36とを備えている。
受信部31は、受信部31aと受信部31bとを備えている。受信部31aは、主制御部10を構成する送信部14より送信された制御信号を受信すると、受信した制御信号を識別部32へ転送する。受信部31bは、後段部20を構成する送信部25より送信された認証結果信号を受信すると、第2個体認証部35へ転送する。なお、受信部31aと受信部31bとは、主制御部10より送信された信号を受信する処理と後段部20より送信された信号を受信する処理とが実現できれば一つの機能に統合することもできる。
【0038】
識別部32は、受信部31aより転送されてきた制御信号と同一内容の制御信号をそのまま後段部20へ転送するべく、送信部33へ転送する。また、識別部32は、後段部20を構成する識別部22と同様に、受信部31aより転送されてきた制御信号に含まれる制御コマンドデータが、どの制御コマンドグループに属する制御コマンドデータに該当するかを識別する。具体的には、識別部32は、受信部31aより転送された制御信号に含まれる制御コマンドデータの示す内容が第2グループの制御コマンドに該当するものであるか否かを判断する。識別部32は、受信した制御信号が第2グループの制御コマンドに該当する場合は、受信した制御信号は第2個体認証データが付加された認証データ付制御信号であると判断し、これを用いて周辺部30で個体認証を行うとして、周辺部30を構成する第2個体認証部35へ転送する。一方、識別部32は、受信した制御信号が第2グループの制御コマンドに該当しない場合は、受信部31aより転送されてきた制御信号に含まれる制御コマンドデータに基づいて演出処理を実行させるべく、同制御信号に含まれる制御コマンドデータの内容と同一内容を示す制御信号を演出処理部へ転送する。
【0039】
送信部33は、識別部32より転送されてきた制御信号を後段部20へ送信する。
第2期待値記憶部34は、主制御部10を構成するデータ記憶部11に記憶されている所定のデータと同一のデータに対して結合法則を満たす第2方式の2項演算を行って得られた演算値を期待値(以下、第2個体認証期待値という)として予め記憶している。
【0040】
第2個体認証部35は、識別部32より認証データ付制御信号が転送された場合、認証データ付制御信号に含まれる第2個体認証データに復号化処理を施して第2個体検査値を抽出する。続いて、第2個体認証部35は、抽出した第2個体検査値に対して予め保持する結合法則を満たす第2方式の2項演算を用いて結合処理を行う。そして、得られた結合結果を第2期待値記憶部34に予め記憶されている第2個体認証期待値と照合し、結合結果と第2個体認証期待値とが一致するか否かに基づいて主制御部10に対する個体認証を行う。
【0041】
第2個体認証部35は、第2個体検査値の結合結果と第2個体認証期待値とが一致しない場合、主制御部10に対する第2個体検査値を用いた個体認証は不成功であったと判断し、報知信号を生成し、報知部36へ転送する。また、第2個体認証部35は、後段部20での第1個体認証結果の内容を示す認証結果信号が受信部31bから転送されてきた場合、認証結果信号の内容を確認する。そして、主制御部10に対する第1個体検査値を用いた個体認証は不成功であったと判断される場合は、同様に報知信号を生成し、報知部36へ転送する。それ以外の場合は、第2個体認証部35は、主制御部10に対する個体認証は不成功ではなかったと判断し、受信した制御信号を演出処理部へ転送し、制御信号に含まれる制御コマンドデータに基づいて演出処理を実行させる。
【0042】
図2は、本発明の実施の形態1に係る遊技機の1つであるパチンコ遊技機1の外観構成を示す正面図である。また、図3は、図2に示すパチンコ遊技機1の電気的構成を示すブロック図である。
【0043】
本実施の形態1に係るパチンコ遊技機1は、遊技盤101を備えている。遊技盤101の図2において右下方であって、枠部材110の右下部には、遊技者によって操作され、発射部292(図3参照)を作動させるための操作ハンドル113が設けられている。操作ハンドル113は、遊技者側に突出する形状を呈している。操作ハンドル113は、発射部292を作動させて遊技球を発射させる発射指示部材114を備えている。発射指示部材114は、操作ハンドル113の外周部において、遊技者から見て右回りに回転可能に設けられている。発射部292は、発射指示部材114が遊技者によって直接操作されている場合に、遊技球を発射させる。公知の技術であるため説明を省略するが、操作ハンドル113には、遊技者が発射指示部材114を直接操作していることを検出するセンサなどが設けられている。
【0044】
発射部292の作動によって発射された遊技球は、レール102a,102b間を上昇して遊技盤101の上部位置に達した後、遊技領域103内を落下する。遊技領域103には、複数の釘(図示略)や、遊技球の落下方向を変化させる風車(図示略)や、入球口が配設されており、遊技球を各種の方向に向けて落下させるようにしている。ここで、「入球口」は、いずれも後述する第1始動口105、第2始動口120、普通入賞口107、第1大入賞口109c、第2大入賞口129cの総称である。
【0045】
遊技盤101の略中央部分には、図柄表示部104が配置されている。図柄表示部104は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD)やプラズマディスプレイパネル(PDP)等のディスプレイを有している。図柄表示部104の下方には、遊技領域103に向けて打ち込まれた遊技球を受入れ可能な第1始動口105が配置されている。第1始動口105の下方には、第2始動口120が配置されている。第2始動口120は、一対の可動片(図示略)が閉状態であるときは遊技球を受け入れることが不可能又は受け入れ困難となっており、この一対の可動片が開状態であるときは、第1始動口105よりも遊技球の受け入れが容易となる。
【0046】
また、図柄表示部104の左側には、入賞ゲート106が配設されている。入賞ゲート106は、遊技球の通過を検出し、第2始動口120を一定時間だけ開放させる普通図柄の抽選を行うために設けられている。図柄表示部104の左側部や下方等には、複数の普通入賞口107が配設されている。各普通入賞口107に遊技球が入球すると、所定の賞球数(例えば、10個)の払い出しが行われる。遊技領域103の最下部には、どの入球口にも入球しなかった遊技球を回収する回収口108が設けられている。
【0047】
図柄表示部104は、後述する演出制御部203(図3参照)から第1始動口105又は第2始動口120に遊技球が入球したことが報知されたときに、複数の装飾図柄の変動表示を開始し、所定時間経過後に当該装飾図柄の変動を停止させる。この停止時に特定図柄(例えば、「777」)が揃うと、遊技者は第1大当たり遊技(長当たり遊技)を実行する権利を獲得したこととなり、その後、第1大当たり遊技(長当たり遊技)が開始される。第1大当たり遊技(長当たり遊技)が開始されると、遊技領域103の下方に位置する第1大入賞口開閉装置109における第1大入賞口開閉扉109aが、一定の期間開放する動作を所定回数(例えば、15回)繰り返し、入球した遊技球に対応する賞球が払い出される。
【0048】
一方、図柄表示部104における上記装飾図柄の停止時に上記特定図柄とは別の特定図柄(例えば、「737」)が揃うと、遊技者は第2大当たり遊技(短当たり遊技)を実行する権利を獲得したこととなり、その後、第2大当たり遊技(短当たり遊技)が開始される。第2大当たり遊技(短当たり遊技)が開始されると、第1大入賞口開閉装置109の右斜め上方に位置する第2大入賞口開閉装置129における第2大入賞口開閉扉129aが、第1大入賞口開閉扉109aの開閉動作に比して短い時間にて一定の期間開放する動作を所定回数(例えば、15回)繰り返し、入球した遊技球がある場合、これに対応する賞球が払い出される。
【0049】
また、遊技盤101の遊技領域103の外周には、枠部材110が設けられ、開口部から遊技領域103が遊技者側に露出している。枠部材110は、遊技者側に突出する形状を呈している。枠部材110において、遊技領域103の左上部及び右下部には、演出ライト(ランプユニット)111a及び111bがそれぞれ設けられている。各演出ライト111a及び111bは、複数のライト112を備えている。各演出ライト111a及び111bは、上下駆動モータ(図示略)でそれぞれ駆動されることにより、それぞれが備える複数のライト112から照射される光の方向を上下方向、すなわち、パチンコ遊技機1の正面にいる遊技者の頭部と腹部を結ぶ方向に平行な方向に変更可能に構成されている。
【0050】
また、各ライト112は、各演出ライト111a及び111bを構成する回転駆動モータ(図示略)で駆動されることにより、それぞれ所定半径を有する円の円周方向に移動する。上記構成により、各ライト112から照射された光を回転移動させつつ、各演出ライト111a及び111b全体から照射された光を上下移動させる演出を行うことができる。さらに、枠部材110の下部には、遊技球が供給される受け皿ユニット119が設けられている。この受け皿ユニット119には、貸し玉装置(図示略)から貸し出される遊技球が供給される。
【0051】
図2において、図柄表示部104の右側には、演出用の役物(以下、「演出役物」という)115が設けられている。演出役物115は、キャラクターとして人間の上半身(特に頭部)を模式的に表している。演出役物115は、キャラクターの瞼部116を開閉して、キャラクターが瞬きをするが如くに、瞼部116を上下方向に沿って移動可能に設けられている。また、演出役物115は、キャラクターの頭部を左右方向に移動可能に設けられている。
【0052】
また、枠部材110において、操作ハンドル113の左側には、遊技者により操作されるチャンスボタン117が設けられている。チャンスボタン117の操作は、例えば、遊技中における特定のリーチ演出に際し、チャンスボタン117の操作を促すガイダンスが表示されている間だけ有効となる。
【0053】
加えて、枠部材110には、演出効果音又は不正を知らしめる音響を出力するスピーカ277(図3参照)が組み込まれている。このスピーカ277は、高音・中音・低音の領域を出力できるタイプのものであり、通常演出時は高音・中音・低音をバランスよく出力するが、例えば、特別演出時又は不正等があった場合には、周りによく聞こえるように高音領域を高く出力するように制御される。
【0054】
次に、本発明の実施の形態1に係るパチンコ遊技機1の電気的構成について、図3に示すブロック図を参照して説明する。パチンコ遊技機1は、電気的な構成上は、制御手段200に、第1始動口検出部221等の各種検出手段や、図柄表示部104等の各種演出手段、役物作動装置231、払出部291、発射部292などが接続されて構成されている。制御手段200は、図3に示す例では、主制御部10と、後段部20と、演出制御部203と、賞球制御部204と、ランプ制御部205とから構成されている。また、周辺部30における上記認証機能を実現する手段は、演出制御部203に備えられていることとして説明する。
【0055】
<主制御部>
主制御部10は、CPU10aと、ROM10bと、RAM10cと、カウンタ回路(タイマ)(図示略)等を備えている。CPU10aは、パチンコ遊技機1の遊技に係る基本動作を制御し、ROM10bに予め記憶されているプログラム(プログラムコード)に基づき、遊技内容の進行に伴う基本処理を実行する。ROM10bには、CPU10aがパチンコ遊技機1の遊技内容の進行に伴う基本処理を実行するためのプログラムコードが予め記憶されている。ROM10bの全部又は一部は、例えば、図1に示すデータ記憶部11の機能に対応させることができる。RAM10cは、CPU10aがパチンコ遊技機1の遊技内容の進行に伴う基本処理を実行する際に行う演算処理において、データ等のワークエリアとして機能する。カウンタ回路(タイマ)は、経過時間をカウントする。
この主制御部10では、第1始動口105又は第2始動口120への遊技球の入球を契機として、大当たりの抽選を行うとともに、この抽選結果に基づいて、ROM10bに記憶されている演出に係わるコマンドの選択を行う。
【0056】
主制御部10の入力側には、第1始動口検出部221と、第2始動口検出部225と、ゲート検出部222と、普通入賞口検出部223と、第1大入賞口検出部214と、第2大入賞口検出部224とが接続されている。第1始動口検出部221は、第1始動口105に遊技球が入球したことを検出して検出結果を主制御部10に送信する。第2始動口検出部225は、第2始動口120に遊技球が入球したことを検出して検出結果を主制御部10に送信する。ゲート検出部222は、入賞ゲート106を遊技球が通過したことを検出して検出結果を主制御部10に送信する。普通入賞口検出部223は、普通入賞口107に入球した遊技球を検出して検出結果を主制御部10に送信する。第1大入賞口検出部214は、第1大入賞口109cに入球した遊技球を検出して検出結果を主制御部10に送信する。第2大入賞口検出部224は、第2大入賞口129cに入球した遊技球を検出して検出結果を主制御部10に送信する。上記各検出部は、例えば、近接スイッチなどを用いて構成することができる。
【0057】
また、この主制御部10の出力側には、役物作動装置231が接続されている。本実施の形態1では、役物作動装置231は、第1大入賞口開閉扉109a及び第2大入賞口開閉扉129aをそれぞれ開閉させる第1大入賞口開閉ソレノイド109b及び第2大入賞口開閉ソレノイド129bと、第2始動口120を開閉させる第2始動口開閉ソレノイド120bとから構成されている。
【0058】
役物作動装置231は、主制御部10によって制御され、長当たり遊技時に、第1大入賞口開閉ソレノイド109bを通電して第1大入賞口開閉扉109aを開放したり、短当たり遊技及び小当たり遊技時に、第2大入賞口開閉ソレノイド129bを通電して第2大入賞口開閉扉129aを開放したり、また、上記普通図柄の当選によって第2始動口開閉ソレノイド120bを通電して第2始動口120を開閉したりする。
【0059】
また、主制御部10は、以上概略説明した、パチンコ遊技機1の遊技に係る基本動作制御の他、本実施の形態1の特徴である、不正防止のために主制御部10の認証に関する処理を実行する手段を備えている。この認証に関する処理を実行する手段は、CPU10aがROM10bに予め記憶されているプログラム(プログラムコード)を実行することにより実現される。主制御部10は、上記基本動作制御の処理内容を表した制御コマンドの実行に際し、制御コマンドに対応した制御コマンドデータより構成される制御信号を演出制御部203等へ送信する。ここで、主制御部10は、実行タイミングとなった制御コマンドが、予め設定した所定の制御コマンドに該当する場合は、以下の[1]〜[5]に示す認証に関する処理を開始し、認証データを生成する。そして、主制御部10は、実行タイミングの制御コマンドに対応する制御コマンドデータ(及び後述する付随データ)に、生成した認証データを付加して認証データ付制御信号を構成し、演出制御部203等へ送信する。以下、実行タイミングとなった制御コマンドが所定の制御コマンドに該当する場合のことを、単に所定の制御コマンドの送信タイミングという。
【0060】
[1]分割数の決定
主制御部10は、ROM10bに予め記憶されている所定のデータを分割する数である分割数を決定する。所定のデータとは、例えば、主制御部10が演出制御部203などに対して所定の処理を行わせるための制御コマンドに対応する制御コマンドデータや、所定のプログラムコード(命令コードや固定データ)をはじめとして、主制御部10を構成するROM10bに記憶されている各種データの全部又は一部のことである。以下、所定のデータの一例として、所定のプログラムコードを用いて説明する。主制御部10は、例えば、乱数生成回路(図示略)や上記プログラムコードを構成する乱数生成プログラムによって生成された値を分割数としたり、主制御部10の他の処理において生成される値を所定のタイミングで参照し、その値を分割数としたりすることができる。この場合、分割数の上限を予め設定しておいてもよい。
【0061】
本実施の形態1では、主制御部10は乱数を用いて分割数を決定しているが、これは分割数を決定するための一実施例であって、乱数を用いないで分割数を決定するようにしてもよい。例えば、主制御部10に予め分割数を決定するためのテーブルを保持させておき、分割数を決定するタイミング等で主制御部10がそのテーブルから予め定めた規則に応じて分割数を取得するようにしてもよい。
【0062】
また、主制御部10が分割数を決定するタイミングは、主制御部10が所定の制御コマンドを示す制御信号を演出制御部203へ送信する前であれば任意に設定することができる。例えば、主制御部10は、所定の制御コマンドの送信タイミングごとに1個の分割数を決定してもよいし、予め一度に複数個(例えば、所定の制御コマンドを分類するグループ数と同数個)を決定しておき、所定の制御コマンドの送信タイミングごとに1個ずつ使用するようにしてもよい。また、1個の分割数を、所定の制御コマンドの送信タイミングで複数回にわたって使用し、予め設定した回数や時間が経過した後に分割数を決定し直すようにしてもよい。本実施の形態1では、主制御部10は、所定の制御コマンドの送信タイミングごとに1個の分割数を決定するとする。そして、所定の制御コマンドの中の第1グループの制御コマンドの送信タイミングで決定される分割数を第1分割数、第2グループの制御コマンドの送信タイミングで決定される分割数を第2分割数とする。第1分割数と第2分割数は同じ値であっても異なる値であってもよい。
なお、上記分割数を決定する処理を実行する手段は、例えば、図1に示す個体検査値生成部12の一機能に対応させることができる。
【0063】
[2]個体検査値の生成
次に、主制御部10は、ROM10b内の所定のプログラムコードが予め記憶されている記憶領域を[1]の処理において決定された分割数で分割する。そして、主制御部10は、ROM10bの分割された各記憶領域に記憶されているプログラムコードに対して2項演算を行って、主制御部10を個体認証するための分割数個の個体検査値を生成する。なお、個体検査値の生成方式(例えば、個体検査値の生成に用いる結合法則を満たす2項演算の種類等)については、主制御部10、後段部20、及び演出制御部203との間で予め共有されている。
【0064】
「結合法則を満たす2項演算」とは、2項間の演算を行う2項演算のうち、演算子を§とし、任意の数をa,b,cとした場合、式(1)が成立する2項演算をいう。
(a§b)§c=a§(b§c)=a§b§c ・・・(1)
すなわち、「結合法則を満たす2項演算」とは、演算対象a,b,cについて、1度に2項演算を行う演算対象としてどのように分割して演算子§により演算した場合であっても、得られる演算結果が同一値となるような2項演算をいう。ただし、任意の数a,bに対してa♪bの演算結果が常に0になるような演算子♪は、演算子§から除く。上記結合法則を満たす2項演算の定義された集合を一般に半群と呼ぶことから、このような2項演算を以下では半群演算と呼ぶことにする。半群演算としては、例えば、加算、乗算、排他的論理和がある。
【0065】
以下、半群演算の簡単な具体例を2つ挙げる。
まず、所定のプログラムコードを分割して得られた各データブロックを構成する各データをD0,D1,D2,・・・,DN(Nは各データブロックの最終アドレス)とする。
(A)半群演算として加算(演算子+)が選択されている場合は、式(2)を計算する。
D0+D1+D2+・・・+DN …(2)
(B)半群演算として排他的論理和(演算子XOR)が選択されている場合は、式(3)を計算する。
D0 XOR D1 XOR D2 XOR ・・・ DN …(3)
【0066】
各個体検査値の生成方法について、図4を参照して説明する。
図4は、主制御部10における個体検査値の生成方法を模式的に示す説明図である。個体検査値は、主制御部10がROM10bに予め記憶されている所定のデータを用いて生成する。より詳細には、主制御部10は、ROM10bの所定の記憶領域を任意の分割数で分割した上で、分割した記憶領域にそれぞれ記憶されたプログラムコードに対して結合法則を満たす2項演算(半群演算)を行って個体検査値を算出する。半群演算としては、上記のように、例えば、加算、乗算や排他的論理和演算などが挙げられる。
【0067】
なお、本実施の形態1では、[1]の処理において決定された第1分割数によって分割されたROM10b内の各記憶領域に記憶されているプログラムコードに対して第1方式の半群演算を行って、得られた第1分割数個の個体検査値を第1個体検査値とし、第2分割数によって分割されたROM10b内の各記憶領域に記憶されているプログラムコードに対して第2方式の半群演算を行って、得られた第2分割数個の個体検査値を第2個体検査値とする。しかしながら、本発明はこれに限定されず、主制御部10は、1つの半群演算を保持し単一方式の半群演算で個体検査値を生成したり、3以上の複数方式の半群演算を保持しその中から1つの半群演算を選択して個体検査値を生成したりしてもよい。この場合、第1方式と第2方式とは同一の方式でも異なる方式でもよく、後段部20及び演出制御部203において、主制御部10と同様の半群演算方式、及び半群演算方式に対応する個体認証期待値を保持しておけばよい。また、個体検査値の生成の際の分割対象である所定のプログラムコードは、第1個体検査値の生成の際と第2個体検査値の生成の際とでROM10b内の同一の記憶領域に記憶されているデータとしても異なる記憶領域に記憶されているデータとしてもよい。この場合、後段部20及び演出制御部203においても、第1個体検査値の生成の際に用いたられた所定のプログラムコードと同一のデータで生成した個体認証期待値と、第2個体検査値の生成の際に用いられた所定のプログラムコードと同一のデータで生成した個体認証期待値とを区別して保持しておけばよい。すなわち、第1個体検査値と第2個体検査値の生成処理の内容は同じあってもよい。
【0068】
(個体検査値生成の計算例)
個体検査値生成の計算の一例を以下に示す。
図4に示すプログラムコード記憶領域400には、12個のプログラムコード(「0x01」〜「0x09」,「0x0A」〜「0x0C」)が記憶されている。分割数を3とした場合、プログラムコード記憶領域400は、例えば、4個のプログラムコードを含むブロック400a、3個のプログラムコードを含むブロック400b、5個のプログラムコードを含むブロック400cに分割できる。主制御部10は、これらの各ブロックに記憶されたプログラムコードに対してそれぞれ半群演算を行って個体検査値を算出する。なお、上記ブロック内のプログラムコード数は例示である。分割したブロック内のプログラムコード数は固定値としてもよいし、ランダムに決定してもよい。
【0069】
例えば、半群演算として式(2)の加算を用いる方法を第1方式とすると、ブロック400aに記憶された4個のプログラムコード「0x01」、「0x02」、「0x03」、「0x04」を加算して個体検査値a「0x0A」が得られる。同様に、ブロック400bに記憶された3個のプログラムコード「0x05」、「0x06」、「0x07」を加算して個体検査値b「0x12」が、ブロック400cに記憶された5個のプログラムコード「0x08」、「0x09」、「0x0A」、「0x0B」、「0x0C」を加算して個体検査値c「0x32」がそれぞれ得られる。
【0070】
また、例えば、半群演算として式(3)の排他的論理和演算を用いる方法を第2方式とすると、ブロック400aに記憶された4個のプログラムコード「0x01」、「0x02」、「0x03」、「0x04」に排他的論理和演算を行い個体検査値a「0x04」が得られる。同様に、ブロック400bに記憶された3個のプログラムコード「0x05」、「0x06」、「0x07」に排他的論理和演算を行い個体検査値b「0x04」が、ブロック400cに記憶された5個のプログラムコード「0x08」、「0x09」、「0x0A」、「0x0B」、「0x0C」に排他的論理和演算を行い個体検査値c「0x0C」がそれぞれ得られる。
【0071】
本実施の形態1では、主制御部10は、後述するように、パチンコ遊技機1の正規性を認証するためのデータを生成し、生成したデータを制御コマンドデータに付加して制御信号を構成し、後段部20又は演出制御部203に送信する。ここでは、制御コマンドデータに付加される主制御部10の個体としての正当性を認証するためのデータを総称して個体認証データとしている。個体認証データは、個体検査値又は個体検査値に対して暗号化処理を施すことにより得られたデータである。本実施の形態1では、個体認証データは、個体検査値に暗号化処理を施して得られたデータとして説明するが、本発明はこれに限定されず、個体検査値そのものを個体認証データとして認証に関する処理を行ってもよい。この場合、主制御部10において個体検査値に暗号化処理を施す必要がなく、後段部20又は演出制御部203で個体検査値を抽出する際に個体認証データに対する復号化処理を施す必要がないため、認証に関する処理を簡易化することができ、処理負荷の増大を抑制することができる。
なお、上記個体検査値を生成する処理を実行する手段は、例えば、図1に示す個体検査値生成部12の一機能に対応させることができる。
【0072】
[3]個体認証データの生成
主制御部10は、上記[2]の処理で生成した個体検査値に対して暗号化処理を施し、制御コマンドデータに付加する個体認証データを生成する。ここで、暗号化方式としては、例えば、シーザー暗号、単一換字暗号、エニグマなど、比較的簡易なものを採用することができる。以下において用いる暗号化方式についても同様である。シーザー暗号は、メッセージ(平文)を構成する文字を一定の文字数だけずらすことによって暗号化する暗号化方式である。単一換字暗号は、平文を構成する文字を別の文字に変換することによって暗号化する暗号化方式である。エニグマは、鍵暗号鍵を用いたエニグマの設定、エニグマを用いた通信鍵の暗号化、通信鍵を用いたエニグマの再設定、平文の暗号化及び、暗号化された通信鍵と暗号化された平文の結合による通信文の生成という過程を経る暗号化方式である。
【0073】
主制御部10において、個体検査値に対して暗号化処理を施すことにより得られた個体認証データを後段部20又は演出制御部203に送信した場合には、何らの処理も施していない個体検査値をそのまま後段部20又は演出制御部203に送信する場合と比較して、個体検査値を不正行為者により分析される可能性を低減することができる。なお、主制御部10は、個体検査値ごとで異なる暗号化処理を施してもよい。
【0074】
上記暗号化処理に対して、更に所定の加工処理を加えてもよい。所定の加工処理としては、例えば、暗号化処理が施された個体検査値を用いた四則演算又は論理演算等を行って所定のデータ長を有する演算データを得る処理、これらの四則演算又は論理演算等により得られた演算データのビット配列を並び変える処理、上記演算データのビットをシフト又はロテイト(rotate)する処理、暗号化処理が施された個体検査値を構成する複数のビットを取り出して所定の規則に従って並べて1つのデータを生成する処理などが考えられる。
【0075】
本実施の形態1では、[2]の処理において生成された第1個体検査値又は第2個体検査に対して暗号化処理等を施したものを、それぞれ第1個体認証データ又は第2個体認証データとしている。第1個体認証データの生成の際に施す暗号化処理と、第2個体認証データの生成の際に施す暗号化処理とは、同じ暗号化処理でもよく、それぞれ異なる暗号化処理でもよい。
【0076】
なお、主制御部10が、個体検査値を生成するタイミングと個体認証データを生成するタイミングとは、個体認証データが付加される所定の制御コマンドを示す制御信号を演出制御部203へ送信する前であれば特に制限はなく、主制御部10の制御プログラム中に、個体検査値を生成する処理と個体検査値を用いて個体認証データを生成する処理とを行うプログラムを組み込んでおけばよい。但し、例えば、生成した第1個体認証データを全て演出制御部203へ送信するまでは、第1グループの制御コマンドの送信タイミングになっても新たに第1個体検査値を生成せずに、未送信の第1個体認証データを第1グループの制御コマンドデータに付加して送信する。このことは、第2個体検査値及び第2個体認証データの生成及び送信のタイミングに関しても同様である。
【0077】
(個体認証データ生成の計算例)
個体認証データ生成の計算の一例を以下に示す。
図4に示す個体検査値a「0x0A」から個体認証データを生成することを例にとって説明する。上記の暗号化処理として、個体検査値に制御コマンドデータを加算し、次に、得られたデータから「0x03」を減算する処理を採用する。主制御部10は、個体検査値aに上記の暗号化処理を施して個体認証データを生成する。
【0078】
この個体認証データを付加する制御コマンドデータの値を仮に「0xEE」、及び「0x01」とする。暗号化処理では、個体検査値a「0x0A」に制御コマンドデータの値「0xEE」を加算するので、「0xF8」が得られる。次に、この「0xF8」から「0x03」を減算すると、個体認証データの値「0xF5」が得られる。
同様に、図4に示すプログラムコード記憶領域400に記録された、個体検査値b「0x12」から個体認証データを生成すると「0xF2」の値、個体検査値c「0x32」から個体認証データを生成すると「0x1D」の値となる。
【0079】
なお、個体認証データとともに送信される制御コマンドデータ、又は後述する付随データの少なくともいずれか一方のデータと個体検査値とを併せたデータに暗号化処理を施すことにより個体認証データを生成してもよい。また、個体認証データには、個体認証データとともに送信される制御コマンドデータや付随データに関するデータを含ませてもよい。制御コマンドデータや付随データに関するデータとは、制御コマンドデータや付随データに対して上記加工処理や、ハッシュ関数による演算やパリティチェック、巡回冗長検査(Cyclic Redundancy Check:CRC)、チェックサムなどの演算を行って得られた値などである。
【0080】
個体認証データとともに送信する制御コマンドデータや付随データを用いて個体認証データを生成することにより、不正な制御部によって個体認証データを再利用された場合であっても、個体認証データと制御コマンドの整合がとれず、不正を検知することができる。また、誤動作により制御コマンドデータが変更された場合であっても、認証は成功しないため、上記雑音等に起因して変更された制御コマンドデータに対応した制御コマンドの実行を防止することもできる。
【0081】
また、個体認証データに制御コマンドデータや付随データに関するデータを含ませる場合、主制御部10は制御コマンドデータや付随データに関するデータと個体検査値とを合わせて暗号化処理を施して、個体認証データを生成する処理を行ってもよい。
【0082】
また、暗号化処理及び復号化処理等の方式については、主制御部10と後段部20及び演出制御部203との間で予め取り決めておけばよい。例えば、主制御部10で第1暗号化方式を用いて第1個体検査値に暗号化処理を施し第1個体認証データを生成した場合、後段部20は、第1暗号化方式に対応する復号化方式で復号化処理を施し、第1個体検査値を抽出して認証に関する処理を行う。また、主制御部10で、第2暗号化方式を用いて第2個体検査値に暗号化処理を施し第2個体認証データを生成した場合、演出制御部203は、第2暗号化方式に対応する復号化方式で復号化処理を施し、第2個体検査値を抽出して認証に関する処理を行う。
【0083】
また、主制御部10は、個体認証データの生成に用いる暗号化処理等の方式を予め複数用意しておき、[1]の処理において決定された今回の分割数に基づいて、複数の暗号化処理等の方式の中から次回の個体認証データの生成に用いる1つの方式を選択するようにしてもよい。具体的には、主制御部10は、例えば、今回の分割数が奇数の場合は次回の暗号化方式を今回用いた暗号化方式と異なるものを選択し、今回の分割数が偶数の場合は次回の暗号化方式を今回用いた暗号化方式と同一のものを選択する。このとき、復号化処理等の方式の選択方法についても暗号化処理等の方式のときと同様に、例えば、後述する今回の結合数や今回の結合数に基づく復号化方式の選択情報に従って、次回用いられる暗号化方式に対応した復号化方式を選択するように、主制御部10と後段部20及び演出制御部203との間で予め取り決めておけばよい。
なお、これら暗号化処理全般のことについては、後段部20や演出制御部203での認証に関するデータや情報信号の生成処理においても同様に当てはまる。また、上記個体認証データを生成する処理を実行する手段は、例えば、図1に示す個体検査値生成部12の一機能に対応させることができる。
【0084】
[4]制御信号へのデータ付加
主制御部10は、[3]の処理で生成した個体認証データを演出制御部203や演出制御部203を介して後段部20へ送信する場合、個体認証データを所定の制御コマンドに対応する制御コマンドデータへ付加して認証データ付制御信号を構成し演出制御部203や後段部20へ送信する。
【0085】
所定の制御コマンドとは、パチンコ遊技機1の通電中において、パチンコ遊技機1の動作(例えば、初期化動作や演出動作あるいは客待ちデモンストレーションなど)を指示するための各種の制御コマンドの中から任意に選定した制御コマンドをいう。
より具体的に例を挙げれば、所定の制御コマンドとは、大当たり状態の継続中に送信される大当たりコマンド、大当たり状態の処理を開始させるための大当たり開始コマンド、大当たり状態の処理を終了させるための大当たり終了コマンド、周辺部30に大当たり前のリーチ状態の処理を実行させるための大当たりリーチコマンド、周辺部30に電源投入時の処理を実行させるための電源投入コマンド、周辺部30に非遊技状態におけるデモ表示を実行させるための客待ちデモコマンド、周辺部30に非遊技状態におけるデモ表示を停止させるための客待ちデモ停止コマンド、周辺部30に抽選時の抽選結果がはずれの場合の処理を実行させるためのはずれコマンド、普通電動役物(電動チューリップ)の開放抽選やいわゆるフェイクと呼ばれる大当たりと同様に特別電動役物が短時間だけ開放するような小当たり状態の継続中に送信される小当たりコマンドなどをいう。その他、例えば、電源オフコマンド、はずれリーチコマンド、はずれ非リーチコマンド、ラウンド開始コマンド、ラウンド終了コマンドなどがある。
【0086】
本実施の形態1では、主制御部10に対する個体認証を行う機能を、後段部20と演出制御部203で別々に個体認証機能を有し、後段部20と演出制御部203のどちらで個体認証処理を行うかは、個体認証データが付加された制御コマンドデータが属するグループによって識別されている。このため、本実施の形態1では、所定の制御コマンドを更に2つの制御コマンドグループに分けている。主制御部10は、第1グループ制御コマンドの送信タイミングであれば、[3]の処理において第1個体認証データを生成した後、第1グループの制御コマンドデータへ付加し、第1個体認証データが付加された制御コマンドデータより構成された認証データ付制御信号を生成する。一方、第2グループの制御コマンドの送信タイミングの場合は、第2個体認証データを生成し、第2グループの制御コマンドデータへ付加して認証データ付制御信号を生成する。なお、1つの分割数から生成された分割数個の個体検査値を、制御コマンドグループを跨いで付加してしまうと、後述する結合処理の結果と個体認証期待値とが一致しなくなり、正規の主制御部10であっても認証が不成功となるため、1つの分割数から生成された個体検査値は同じ制御コマンドグループの制御コマンドデータへ付加する必要がある。
【0087】
所定の制御コマンドのグループ分けの方法は任意であるが、例えば、制御コマンドの出力頻度や演出制御部203の処理負荷と、個体認証処理の実行場所(後段部20又は演出制御部203)との観点からグループ分けをすることができる。図5に所定の制御コマンドのグループに分けの一例を示す。第1グループの制御コマンドデータに付加された個体認証データは、後段部20での個体認証に使用し、第2グループの制御コマンドデータに付加された個体認証データは、演出制御部203での個体認証に使用するものとする。演出制御部203は、認証処理の他に通常の遊技進行に伴って演出処理を実行する必要があるため、演出制御部203における認証処理の処理負荷はできるだけ抑制することが望ましい。例えば、出力頻度の高い制御コマンドは後段部20で認証処理を行うように割り当て、出力頻度の低い制御コマンドは演出制御部203で認証処理を行うように割り当てることが考えられる。例1では、出力頻度が高いはずれコマンドや、出力頻度が中程度の客待ちデモ関連のコマンドなどは第1グループとし、出力頻度が低い大当たり関連のコマンドなどは第2グループとしている。
【0088】
また、例えば、演出制御部203にて演出処理と認証処理とができるだけ同時行われないように、演出処理の負荷が大きいとき、すなわち遊技進行中は後段部20で認証処理を行うように割り当て、演出処理の負荷が小さいとき、すなわち遊技進行中ではないときは演出制御部203で認証処理を行うように割り当てることが考えられる。例2では、遊技進行中に出力される大当たり関連のコマンドやはずれコマンドなどは第1グループとし、遊技停止中に出力される電源投入コマンドや客待ちデモ関連のコマンドは第2グループとしている。なお、これらのグループ分けは、後段部20及び演出制御部203との間で共有されている。また、個体認証データを制御コマンドデータへ付加する処理を実行する手段は、例えば、図1に示す付加部13の機能に対応させることができる。
【0089】
[5]制御信号の送信
主制御部10は、認証データ付制御信号を演出制御部203や演出制御部203を介して後段部20に送信する。認証データ付制御信号の送信タイミングは、あくまで制御信号に含まれる制御コマンドデータの内容を示す制御コマンドの実行タイミングを記述したプログラムコードに従う。
【0090】
ここで、主制御部10が演出制御部203に送信する制御信号のデータフォーマットの一例について、図6に示す模式図を参照して説明する。図6(1)には、制御コマンドデータ301及び付随データ302が含まれる通常の制御信号310を示す。制御コマンドデータ301cは、制御コマンド固有のデータであって、第1グループ及び第2グループの制御コマンドグループ以外の制御コマンドデータである。また、付随データ302は、制御コマンドデータ301に付随するデータであり、例えば、現在の遊技状態を示すデータなど制御コマンドデータ301に対応する処理を実行するために必要な制御データである。
【0091】
一方、主制御部10は、演出制御部203に第1個体認証データを送信する場合、図6(2)に示すように、第1グループの制御コマンドデータ301a及び付随データ302に加え、第1個体認証データ303aを含んだ認証データ付制御信号320を生成し、演出制御部203へ送信する。また、主制御部10は、演出制御部203に第2個体認証データを送信する場合、図6(3)に示すように、第2グループの制御コマンドデータ301b及び付随データ302に加え、第2個体認証データ303bを含んだ認証データ付制御信号330を生成し、演出制御部203へ送信する。
【0092】
なお、図6には示していないが、通常の制御信号310及び認証データ付制御信号320、330には、一般的なデータ通信で伝送される制御信号と同様に、BCC(Block Check Character)等が含まれている場合もある。BCCは、データ伝送の過程で発生するデータ誤りなどをチェックするために、伝送ブロックごとに付加される誤り検出符号である。また、図6には示していないが、通常の制御信号310に、個体認証データのデータ長と同一のデータ長を有する任意の値(例えば、オール0又はオール1)のダミーデータを個体認証データに代えて付加し、通常の制御信号310と認証データ付制御信号320、330とが同一データ長となるように構成してもよい。この場合、主制御部10と演出制御部203との間で、通信中の制御信号に含まれるデータから個体認証データ303が抽出され、不正に解析されてしまう危険性を低減することができる。
【0093】
また、認証データ付制御信号320は、図6(2)に示すような制御コマンドデータ301a、付随データ302、第1個体認証データ303aの順で配置された認証データ付制御信号320に限らず、これらを任意の順番で配置してもよい。例えば、第1個体認証データ303aを制御信号の先頭に設けたり、制御コマンドデータ301aと付随データ302との間に第1個体認証データ303aを挿入したりしてもよい。図6(3)に示す第2個体認証データ303bを含んだ認証データ付制御信号330も同様である。
【0094】
このように、個体認証データ303を制御信号に含めることによって、個体認証データ303を単体で送信する場合と比較して、主制御部10と後段部20及び演出制御部203との間の通信負荷の増大を抑えることができるとともに、通信中のデータの中から個体認証データ303が抽出され、解析されてしまう危険性を低減することができる。
なお、これら制御信号のデータフォーマットなど、各種データや情報信号の伝送形態全般については、後段部20や演出制御部203での認証に関するデータや情報信号の伝送形態においても同様に当てはまる。
本実施の形態1では、後段部20での認証結果を演出制御部203へ送信する際に、認証結果を制御信号に含めずに認証結果信号を送信することとしているが、受信した制御信号(演出制御部203より送信された第1グループに属する制御コマンドを示す制御信号)に含める形態で演出制御部203へ送信することも考えられる。この場合、後段部20から演出制御部203へ送信される制御信号にフラグを立てておくなどして、主制御部10から演出制御部203へ送信される制御信号との識別ができるようにしておけばよい。また、認証データ付制御信号を演出制御部203へ送信する処理を実行する手段は、例えば、図1に示す送信部14の機能に対応させることができる。
【0095】
<後段部>
後段部20は、CPU20aと、ROM20bと、RAM20c等を備えている。CPU20aは、ROM20bに予め記憶されているプログラム(プログラムコード)に基づき処理を行う。ROM20bには、CPU20aが処理を実行するためのプログラムコードに加え、主制御部10を構成するROM10bに予め記憶されている分割対象の所定のプログラムコードと同一のデータに対して第1方式の半群演算を行って得られた第1個体認証期待値が予め記憶されている。ROM20bの記憶領域のうち、上記第1個体認証期待値が予め記憶されている記憶領域は、例えば、図1に示す第1期待値記憶部23に対応させることができる。RAM20cは、CPU20aが処理を実行する際に行う演算処理や認証に関する処理を実行する際に行う演算処理等のワークエリアとして機能する。
【0096】
本実施の形態1において、この後段部20の認証に関する処理は、以下の[1]〜[5]の通りである。
[1]制御信号の受信・識別
演出制御部203は、主制御部10から送信された制御信号をそのまま後段部20に送信する。後段部20は、演出制御部203より送信された制御信号を受信すると、受信した制御信号に含まれる制御コマンドデータの種類を確認し、制御コマンドデータの示す内容が第1グループの制御コマンドに該当するものであるか否かを判断する。受信した制御信号が第1グループの制御コマンドに該当する場合は、受信した制御信号は第1個体認証データが付加された認証データ付制御信号であると判断し、これを用いて後段部20で個体認証を行う。一方、受信した制御信号が第1グループの制御コマンドに該当しない場合は、認証処理は行わず受信した制御信号を破棄するともに、認証処理が未実施である旨を演出制御部203へ通知する。具体的には[2]及び[3]の処理は行わず、[4]の処理を行う。なお、演出制御部203より送信された制御信号を受信し、識別する処理を実行する手段は、例えば、図1に示す受信部21及び識別部22の機能に対応させることができる。
【0097】
[2]第1個体検査値の抽出
後段部20は、第1個体認証データが付加された認証データ付制御信号から第1個体認証データを抽出する。次に後段部20は、抽出した第1個体認証データから第1個体検査値を抽出してRAM20cの所定の記憶領域である個体検査値用メモリに記憶する。なお、第1個体検査値に主制御部10において暗号化処理が施されている場合、後段部20は、施された暗号化処理に対応する復号化処理を第1個体認証データに施し、第1個体検査値を抽出する。
【0098】
[3]第1個体検査値を用いた個体認証
後段部20は、個体検査値用メモリ内に記憶されているすべての個体検査値に対して、以下に示す順序で半群演算を行うことによって、主制御部10の個体認証処理を行う。
{1}後段部20は、上記個体検査値用メモリ内に記憶されているすべての第1個体検査値を用いて第1方式の半群演算を行う。
{2}後段部20は、予め記憶されている第1個体認証期待値をROM20bの所定の記憶領域から読み出す。
{3}後段部20は、上記{1}の処理における結合結果と、上記{2}の処理で読み出した第1個体認証期待値が一致するか否か判断する。
後段部20は、結合結果と第1個体認証期待値が一致した場合には、個体認証は成功であったと判断する。
【0099】
半群演算は上記結合法則を満たしているため、主制御部10のROM10bに予め記憶されている所定のプログラムコードと同一のデータのすべてに対して半群演算を行って得られた結果である個体認証期待値と、所定のプログラムコードから生成された分割数個の個体検査値に対して半群演算を行って得られた結合結果とは一致する。このとき、すなわち主制御部10に対する個体認証が成功したときは、結合処理の対象となった個体検査値の数(結合数)と、分割数とは当然に一致する。これにより、後段部20は、主制御部10に対する個体としての正当性を認証する。
一方、後段部20は、結合結果と第1個体認証期待値が一致しなかった場合には、個体認証は成功ではなかったと判断する。
【0100】
{4}{3}の処理で個体認証が成功であった場合、後段部20は、第1個体検査値を用いた個体認証が成功であったことを示す第1個体認証結果を生成する。
{5}{3}の処理で個体認証が成功ではなかった場合、後段部20は、受信した第1個体検査値の数が所定数以上か否かを判断する。所定数は、今回の第1個体検査値を用いた結合処理での結合数(今回の第1分割数)以上かつプログラムコード記憶領域400(図4参照)に記憶されているプログラムコードを分割可能な数(最大分割数)以下の範囲内の任意の数である。
{5−1}受信した第1個体検査値の数が所定数以上の場合、後段部20は、第1個体検査値を用いた個体認証が不成功であったと判断して、不成功であったことを示す第1個体認証結果を生成する。
{5−2}受信した第1個体検査値の数が所定数未満の場合、後段部20は、第1個体検査値を用いた個体認証の結果を判断できる段階ではないとして、成功又は不成功を示す第1個体認証結果に代えて、例えば、個体認証結果のデータ長と同一のデータ長を有する任意の値(例えば、オール0又はオール1)のダミーデータを認証中途データとして生成し、第1個体認証結果とみなす。
【0101】
(個体認証期待値生成の計算例)
個体認証期待値の生成方法について、図4を参照して説明する。
後段部20や演出制御部203は、プログラムコード記憶領域400に記憶された分割対象の所定のプログラムコードと同一のデータ全体に対して半群演算を行った値を個体認証期待値として保持している。例えば、第1方式の場合の第1個体認証期待値は「0x01」〜「0x0C」の和である「0x4E」となる。また、第2方式の場合の第2個体認証期待値は「0x01」〜「0x0C」の排他的論理和である「0x0C」となる。後段部20や演出制御部203では、主制御部10による個体検査値生成方法である半群演算の数と同数の個体認証期待値を保持している。本実施の形態1では、後段部20は、少なくとも第1方式の半群演算を行って得られる第1個体認証期待値、演出制御部203は、少なくとも第2方式の半群演算を行って得られる第2個体認証期待値をそれぞれ保持している。
【0102】
個体認証期待値は、例えば、製造時などに予め後段部20を構成するROM20bや演出制御部203を構成するROM203bの所定の記憶領域に記憶させてもよいが、これに限定されず他の構成部から後段部20又は演出制御部203に送信することとしてもよい。他の構成部としては、例えば、賞球制御部204や個体認証期待値を生成するための専用の処理部(以下、個体認証期待値算出部という)などがある。なお、個体認証期待値算出部は、予め記憶されている個体認証期待値を後段部20又は演出制御部203に送信してもよい。また、外部接続用インターフェイス(図示略)を介して、外部の機器から後段部20又は演出制御部203や個体認証期待値算出部に個体認証期待値を算出するために必要な係数などを送信してもよい。このように、後段部20を構成するROM20bや演出制御部203を構成するROM203bの所定の記憶領域に、予め個体認証期待値を記憶させずに、他の構成部から取得することとすれば、個体検査値を事後的に変更することが可能となる。なお、第1個体検査値を用いた個体認証の処理を実行する手段は、例えば、図1に示す第1個体認証部24の一機能に対応させることができる。
【0103】
[4]認証結果信号の生成・送信
後段部20は、[3]の処理で得られた第1個体認証結果を演出制御部203へ送信する。その後、受信した制御信号を破棄し、認証に関する処理を終了する。また、後段部20は、[1]の処理にて受信した制御信号が第1グループの制御コマンドに該当しない場合、認証処理は未実施である旨を演出制御部203へ通知するとともに、受信した制御信号を破棄する。例えば、成功又は不成功を示す個体認証結果及び認証中途データのデータ長と同一のデータ長を有しこれらとは異なる値のデータを認証未実施データとして生成し、演出制御部203へ送信する。なお、後段部20は、第1個体認証結果(認証未実施データを含む)を演出制御部203へ送信する際、これらに暗号化処理を施したものを演出制御部203へ送信してもよい。これらの後段部20の認証に関する処理([1]〜[4]の処理)の詳細については、後述する。
【0104】
後段部20は、識別結果に応じた内容や第1個体認証結果に応じた内容(成功、不成功、認証中途、又は認証未実施のいずれか)を示す認証結果信号を生成し、演出制御部203へ送信する。演出制御部203は、後段部20から認証結果信号を受信したらその内容を確認し、第1個体認証結果が成功、認証中途、又は認証未実施を示す場合は演出処理を実行し、第1個体認証結果が不成功を示す場合は報知処理を実行する。このように、後段部20から演出制御部203へ認証結果信号を送信するとき、後段部20が受信した制御信号の種類や認証結果の成否にかかわらず、同一データ長の認証結果信号を演出制御部203へ送信するように構成することで、不正行為者を撹乱することができる。また、認証結果信号を生成し演出制御部203へ送信する処理を実行する手段は、例えば、図1に示す第1個体認証部24の一機能及び送信部25に対応させることができる。
【0105】
なお、後段部20は、識別結果や認証結果に応じた内容を演出制御部20へ送信する際に、認証結果信号を生成するのではく、識別結果や認証結果を当該結果の生成の際に受信した制御信号の制御コマンドデータにその都度付加し、中間認証情報付制御信号を生成して送信することとしてもよい。具体的には、後段部20は、受信した制御信号が第1グループの制御コマンドに該当する場合は、成功又は不成功を示す第1個体認証結果若しくは認証中途データを生成し、受信した第1グループの制御コマンドデータにそれぞれ付加し、中間認証情報付制御信号として演出制御部203へ送信する。同様に、後段部20は、受信した制御信号が第2グループの制御コマンドに該当する場合は、認証未実施データを生成し、受信した第2グループの制御コマンドデータに付加し、中間認証情報付制御信号として演出制御部203へ送信する。なお、通常の制御信号の場合は、何も付加せず通常の制御信号をそのまま送信する。よって、演出制御部203から後段部20へ送信される制御信号と、後段部20から演出制御部203へ送信される制御信号とは、同一制御コマンドデータであって同一データ長を有する制御信号となり、不正行為者を撹乱することができる。また、演出制御部203の受信部は、主制御部10からの信号を受信する受信部と、後段部20からの信号を受信する受信部とを実質的に同じ構成とすることができるため、設計が容易となり低コスト化に貢献することができる。
【0106】
また、後段部20は、第1個体認証結果が不成功を示す場合のみ認証結果信号を送信するとして、不成功を示す認証結果信号(認証不成功信号)を生成し、演出制御部203へ送信してもよい。この場合、演出制御部203は、後段部20から認証不成功信号を受信するまでは、少なくとも後段部20の認証処理ではパチンコ遊技機1で不正行為や誤動作が検知されていないと判断し、主制御部10より送信された制御信号に基づいて演出処理を継続して実行しておく。演出制御部203は、認証不成功信号を受信したら、パチンコ遊技機1で不正行為や誤動作が発生したおそれがあると判断し、報知処理を実行する。演出制御部203は、主制御部10より制御信号を直接受信し、受信した制御信号を後段部20へ送信しながらも、同制御信号に基づいて演出処理を並行して実行することができる。また、後段部20が、認証結果を成功不成功に拘わらず常に演出制御部203へ送信しなくとも、演出制御部203にて、後段部20より送信される認証不成功信号を受信したか否かを確認していれば、不正行為等の発生を検知し、その旨を報知することができる。
【0107】
(認証結果生成の計算例)
認証結果の生成の計算の一例を以下に示す。
後段部20は、すべての値の出現確率が等しい一様乱数(uniform random numbers)により1バイト長の乱数(範囲「0x00」〜「0xFF」)を発生させる。例えば、一様乱数により乱数「0x4B」を発生させたとする。後段部20は、第1個体検査値を用いた個体認証が成功であった場合、一様乱数により発生させた乱数「0x4B」の下位2ビットの値を「11」としたデータ「0x4B」を第1個体認証結果とする。一方、後段部20は、第1個体検査値を用いた個体認証が不成功であった場合、一様乱数により発生させた乱数「0x4B」の下位2ビットの値を「00」としたデータ「0x48」を第1個体認証結果とする。また、後段部20は、第1個体検査値を用いた個体認証が認証中途を示す場合、一様乱数により発生させた乱数「0x4B」の下位2ビットの値を「01」としたデータ「0x49」を第1個体認証結果とする。また、後段部20は、第1個体検査値を用いた個体認証が認証未実施を示す場合、一様乱数により発生させた乱数「0x4B」の下位2ビットの値を「10」としたデータ「0x4A」を第1個体認証結果とする。なお、認証結果の内容をそれぞれ下位2ビットで表現することはあくまで計算例の一つであって、本発明はこれに限定されない。
【0108】
<演出制御部>
演出制御部203は、CPU203aと、ROM203bと、RAM203cと、VRAM203d等を備えている。CPU203aは、主に遊技中における演出を制御し、ROM203bに予め記憶されているプログラム(プログラムコード)に基づき、主制御部10より送信される制御信号にて示された制御コマンドに基づいて演出の抽選及び演出処理を実行する。ROM203bには、CPU203aが演出の抽選及び演出処理を実行するためのプログラムコードと、過去の演出パターンとが予め記憶されていることに加え、主制御部10を構成するROM10bに予め記憶されている分割対象の所定のプログラムコードと同一のデータに対して第2方式の半群演算を行って得られた第2個体認証期待値が予め記憶されている。ROM203bの記憶領域のうち、上記第2個体認証期待値が予め記憶されている記憶領域は、例えば、図1に示す第2期待値記憶部34に対応させることができる。RAM203cは、CPU203aが演出の抽選及び演出処理を実行する際に行う演算処理や認証に関する処理を実行する際に行う演算処理等のワークエリアとして機能する。VRAM203dには、図柄表示部104に表示させるための画像データが書き込まれる。
【0109】
この演出制御部203は、主制御部10より送信される演出に係る制御コマンドを示す制御信号を受信すると、この制御信号にて示された制御コマンドに基づいて抽選を行い、演出背景パターン、リーチ演出パターン、登場キャラクター等の演出を確定するとともに、当該確定した演出の制御を行う。
また、演出制御部203の出力側には、図柄表示部104が接続されており、抽選によって決定された内容のとおりに、図柄表示部104に、例えば、図柄変動の演出表示を展開する。
【0110】
そして通常、CPU203aがROM203bに記憶されたプログラムを読み込んで、背景画像表示処理、図柄画像表示及び変動処理、キャラクター画像表示処理など各種画像処理を実行し、必要な画像データをROM203bから読み出してVRAM203dに書き込む。背景画像、図柄画像、キャラクター画像は、表示画面上において図柄表示部104に重畳表示される。
すなわち、図柄画像やキャラクター画像は背景画像よりも手前に見えるように表示される。このとき、同一位置に背景画像と図柄画像が重なる場合、Zバッファ法など周知の陰面消去法により各画像データのZバッファのZ値を参照することで、図柄画像を優先してVRAM203dに記憶させる。
【0111】
また、演出制御部203は、以上概略説明した演出に関する処理の他に、主制御部10や後段部20から送信された制御信号の種類に応じて、ROM203bに予め記憶されているプログラムに基づき、以下の[1]〜[5]に示す認証に関する処理を実行する。
【0112】
[1]制御信号の受信
演出制御部203は、主制御部10から送信された、制御コマンドデータ及び付随データのみからなる通常の制御信号、第1グループの制御コマンドデータ及び付随データに加え第1個体認証データから構成された認証データ付制御信号、第2グループの制御コマンドデータ及び付随データに加え第2個体認証データから構成された認証データ付制御信号の3種類の制御信号を受信する。なお、主制御部10より送信された制御信号を受信する処理を実行する手段は、例えば、図1に示す受信部31aの機能に対応させることができる。
【0113】
[2]制御信号の識別・後段部への制御信号の送信
演出制御部203は、受信した制御信号に含まれる制御コマンドデータの種類にかかわらず、当該制御信号と同一内容の制御信号を一旦そのまま後段部20へ送信する。また、演出制御部203は、当該制御信号に含まれる制御コマンドデータの種類を確認し、制御コマンドデータの示す内容が第2グループの制御コマンドに該当するものであるか否かを判断する。なお、演出制御部203は、受信した制御信号を第1個体認証データが付加された認証データ付制御信号であると判断した場合、当該制御信号だけを後段部20へ送信するように構成することもできる。この場合、当該制御信号から第1個体認証データを抽出し、第1個体認証データだけを後段部20に送信してもよい。
【0114】
演出制御部203は、受信した制御信号が第2グループの制御コマンドに該当しない場合は、受信した制御信号は通常の制御信号又は第1個体認証データが付加された認証データ付制御信号であると判断し、演出制御部203で認証処理は行わず上記演出に関する処理を実行すべく、以下の[5]−{1}の処理を実行する。
一方、受信した制御信号が第2グループの制御コマンドに該当する場合は、受信した制御信号は第2個体認証データが付加された認証データ付制御信号であると判断し、これを用いて演出制御部203で個体認証を行うべく、以下の[3]及び[4]の処理を実行する。なお、受信した制御信号を識別するとともに、後段部20へ送信する処理を実行する手段は、例えば、図1に示す識別部32及び送信部33の機能に対応させることができる。
【0115】
[3]第2個体検査値の抽出
演出制御部203は、第2個体認証データが付加された認証データ付制御信号から第2個体認証データを抽出する。次に演出制御部203は、抽出した第2個体認証データから第2個体検査値を抽出してRAM203cの所定の記憶領域である個体検査値用メモリに記憶する。なお、第2個体検査値に主制御部10において暗号化処理が施されている場合、演出制御部203は、施された暗号化処理に対応する復号化処理を第2個体認証データに施し、第2個体検査値を抽出する。
【0116】
[4]第2個体検査値を用いた個体認証
演出制御部203は、個体検査値用メモリ内に記憶されているすべての個体検査値に対して、以下に示す順序で半群演算を行うことによって、主制御部10の個体認証処理を行う。
{1}演出制御部203は、上記個体検査値用メモリ内に記憶されているすべての第2個体検査値を用いて第2方式の半群演算を行う。
{2}演出制御部203は、予め記憶されている第2個体認証期待値をROM203bの所定の記憶領域から読み出す。
{3}演出制御部203は、上記{1}の処理における結合結果と、上記{2}の処理で読み出した第2個体認証期待値が一致するか否か判断する。
演出制御部203は、結合結果と第2個体認証期待値が一致した場合には、個体認証は成功であったと判断する。
一方、演出制御部203は、結合結果と第2個体認証期待値が一致しなかった場合には、個体認証は不成功であったと判断する。
【0117】
{4}{3}の処理で個体認証に成功であった場合、演出制御部203は、第2個体検査値を用いた個体認証に成功したと判断し、少なくとも今回の認証に関する処理ではパチンコ遊技機1の正規性を認証することができたと判断し、以下の[5]―{1}の処理を行う。
{5}{3}の処理で個体認証が成功ではなかった場合、演出制御部203は、受信した第2個体検査値の数が所定数以上か否かを判断する。所定数は、今回の第2個体検査値を用いた結合処理での結合数(今回の第2分割数)以上かつプログラムコード記憶領域400(図4参照)に記憶されているプログラムコードを分割可能な数(最大分割数)以下の範囲内の任意の数である。
{5−1}受信した第2個体検査値の数が所定数未満の場合、演出制御部203は、第2個体検査値を用いた個体認証が不成功であったと判断できる段階ではなく、少なくとも今回の認証に関する処理ではパチンコ遊技機1で不正行為や誤動作が検知されていないと判断し、以下の[5]―{1}の処理を行う。
{5−2}受信した第2個体検査値の数が所定数以上の場合、演出制御部203は、第2個体検査値を用いた個体認証が不成功であったと判断し、パチンコ遊技機1で不正行為や誤動作が発生したおそれがあると判断し、以下の[5]−{2}の処理を行う。
【0118】
[5]認証結果に基づく処理
{1−1}演出制御部203は、[2]の処理、[4]−{4}の処理、[4]−{5−1}の処理の処理において、少なくとも今回の認証に関する処理ではパチンコ遊技機1で不正行為や誤動作が検知されていないと判断された場合、受信した制御信号を構成する制御コマンドデータ及び付随データに基づいて、上記演出に関する処理を実行させる。
{1−2}演出制御部203は、後段部20より送信される認証結果信号を受信したか否かを確認する。演出制御部203は、認証結果信号が認証不成功を示す結果でない場合(成功、認証中途、認証未実施のいずれか)は、少なくとも今回の後段部20での認証に関する処理ではパチンコ遊技機1で不正行為や誤動作が検知されていないと判断し、認証に関する処理を終了する。一方、演出制御部203は、認証結果信号が認証不成功を示す結果である場合は、後段部20における個体認証が不成功であったと判断し、パチンコ遊技機1で不正行為や誤動作が発生したおそれがあると判断して、その旨を報知すべく、以下の{2}の処理を実行する。
【0119】
{2}演出制御部203は、[4]−{5−2}の処理において、パチンコ遊技機1で不正行為や誤動作が発生したおそれがあると判断された場合、その旨を報知するために報知信号を生成し、報知部へ転送する。[5]−{1−2}の処理において、後段部20より認証不成功を示す認証結果信号を受信した場合も同様である。そして、演出制御部203は、不正行為等を検知した旨を報知する報知処理を行う。その後、演出制御部203は、受信した制御信号を構成する制御コマンドデータ及び付随データを破棄し、上記演出に関する処理を中断し、認証に関する処理を終了する。なお、演出制御部203は、データの破棄や演出に関する処理の中断等は行わず、報知のみを行うようにしてもよい。また、第2個体検査値を用いた個体認証の処理を実行する手段、及び後段部20からの認証結果信号を受信する手段は、例えば、図1に示す第2個体認証部35、及び受信部31bの機能に対応させることができる。
【0120】
演出制御部203は、報知処理として不正行為等を検知した旨の報知信号を生成し、例えば、図柄表示部104やランプ制御部205、あるいはパチンコ遊技機1を管理するセンター制御装置などに送信する。図柄表示部104やランプ制御部205等は、受信した報知信号に基づいて、パチンコ遊技機1で不正行為や誤動作が発生したおそれがある旨を報知する演出を実行する。この演出は、例えば、図柄表示部104に通常出現しないキャラクターを出現させたり、通常出現するキャラクターを通常とは異なる方法で出現させるなどである。また、図柄表示部104の輝度を変えたり、色を変えたり、ランプ制御部205に対して所定のランプを表示制御するようにしてもよい。いずれにせよ、遊技店の従業員が当該パチンコ遊技機1の前を通過した際に、その状態に気付くようにしてあればよい。また、この演出は、顧客がその状態に気付かないような演出でもよく、また、顧客が容易に気付く演出であってもよい。顧客が容易に気付く演出にすれば、不正行為を効率的に抑止することができる。
【0121】
また、報知信号に「大当たり中」や「確率変動中」などのパチンコ遊技機1の遊技状態に関する情報を含めてもよい。これらの遊技状態に関する情報に基づいて、パチンコ遊技機1を管理するセンター制御装置などによって不正行為が行われているか否かの判断を行ってもよい。例えば、大当たり中や確率変動中は入賞が集中していても正常である場合がある。よって、大当たり中や確率変動中は、その他の状態とは異なる条件で不正行為のおそれがあるか否かについて判断するのがよい。また、遊技状態に関する情報は、報知信号に含めずに別信号として出力するようにしてもよい。この場合、従業員は、報知信号と遊技状態に関する情報の両方に基づいて、不正行為のおそれがあるか否かについて判断する。なお、演出制御部203で生成された報知信号に基づいて、パチンコ遊技機1で不正行為や誤動作が発生したおそれがある旨を報知する演出処理を実行する手段や、報知信号を受信するパチンコ遊技機1を管理するセンター制御装置は、例えば、図1に示す報知部37の機能に対応させることができる。
【0122】
演出制御部203の入力側には、上記チャンスボタン117が操作されたことを検出するチャンスボタン検出部220が接続されている。また演出制御部203の出力側には、スピーカ277が接続されており、演出制御部203において確定したとおりに、音声が出力されるようにしている。
また演出制御部203の出力側には、ランプ制御部205を備えている。
【0123】
<その他の制御部>
ランプ制御部205は、演出制御部203より送信された制御信号にて示された制御コマンドに基づきROM205bから読み込んだプログラムを作動させて演出処理を実行するCPU205aと、上記プログラム及び各種演出パターンデータを記憶するROM205bと、CPU205aの演算処理時におけるデータのワークエリアとして機能するRAM205c等を備えている。ランプ制御部205は、ランプ262、演出ライト111a及び111b、演出役物作動装置254を制御する。演出役物作動装置254は、演出役物115等の、演出用の役物を作動させるモータやソレノイド等によって構成されている。
【0124】
ランプ制御部205は、遊技盤101や台枠等に設けられている各種ランプ262に対する点灯制御等を行い、また、演出ライト111a及び111bをそれぞれ構成する複数のライト112に対する点灯制御等を行い、各ライト112からの光の照射方向を変更するためにモータに対する駆動制御等を行う。
また、ランプ制御部205は、演出制御部203より送信された制御信号にて示された制御コマンドに基づき、演出役物115を動作させる演出役物作動装置254のソレノイドや、瞼部116を動作させる演出役物作動装置254のモータに対する駆動制御等を行う。
【0125】
賞球制御部204は、主制御部10と送受信可能に接続されている。賞球制御部204は、ROM204bに記憶されたプログラムに基づき、賞球制御を行う。この賞球制御部204は、ROM204bに記憶されたプログラムを作動して賞球制御の処理を実行するCPU204aと、CPU204aの演算処理時におけるデータのワークエリアとして機能するRAM204c等を備えている。
【0126】
賞球制御部204は、接続される払出部291に対して、各入球口(第1始動口105、第2始動口120、普通入賞口107、第1大入賞口109c、第2大入賞口129c)に入球した遊技球に対応した賞球数を払い出す制御を行う。また、賞球制御部204は、発射部292に対する遊技球の発射の操作を検出し、遊技球の発射を制御する。発射部292は、遊技のための遊技球を発射するものであり、遊技者による遊技操作を検出するセンサ(図示略)と、遊技球を発射させるソレノイド等(図示略)を備えている。賞球制御部204は、発射部292のセンサにより遊技操作を検出すると、検出された遊技操作に対応してソレノイド等を駆動させて遊技球を間欠的に発射させ、遊技盤101の遊技領域103に遊技球を送り出す。
払出部291は、遊技球の貯留部から所定数を払い出すためのモータ等からなる。
【0127】
上記構成の主制御部10と、後段部20と、演出制御部203と、賞球制御部204と、ランプ制御部205とは、それぞれ異なるプリント基板(例えば、主制御部10は主制御基板、後段部20は中間基板、演出制御部203は演出制御基板、賞球制御部204は賞球制御基板、ランプ制御部205はランプ制御基板)に搭載されている。これらのうち、中間基板、演出制御基板、賞球制御基板及びランプ制御基板の総称として、「周辺基板」を用いる。なお、例えば、後段部20は、演出制御部203と同一のプリント基板上に搭載することもできる。また、賞球制御部204は、主制御部10と同一のプリント基板上に搭載することもできる。
【0128】
次に、上記構成のパチンコ遊技機1の動作について、図面を参照して説明する。なお、以下の説明において、「制御信号を送信する」とは、制御信号を構成する個体認証データや付随データ等の有無は考慮しないものとする。
主制御部10による演出制御部203及び賞球制御部204への制御信号の送信を含む処理について、図7及び図8に示すフローチャートを参照して説明する。
まず、主制御部10は、パチンコ遊技機1の電源投入に伴う初期設定処理を実行(ステップS1)した後、ステップS2へ進む。なお、パチンコ遊技機1に電源が投入された際には、周辺基板が主制御基板から受信する制御信号を確実に取り込むために、周辺基板が立ち上がってRAM領域の初期化処理を行い、待機状態となった後、主制御基板が立ち上がるように構成されている。主制御部10は、初期設定処理として、例えば、スタックポインタに予め決められた所定値を設定するとともに、後段部20、演出制御部203及び賞球制御部204が待機状態になることを待つために、所定時間(例えば、約1秒間)だけ待機する。
【0129】
ステップS2では、主制御部10は、演出制御部203及び賞球制御部204に電源投入コマンドを示す制御信号を送信した後、ステップS3へ進む。電源投入コマンドを示す制御信号を受信すると、演出制御部203は、図柄表示部104やランプ制御部205のそれぞれに対して電源投入時の演出用の制御コマンド、具体的には、遊技機が非遊技状態における客待ちのデモ画面を表示するための客待ちデモコマンド、あるいは、ランプの点灯等を行うための制御コマンドを示す制御信号を送信する。
【0130】
なお、電源投入コマンドは、電源投入後に電源投入に伴う処理を実行させるための制御コマンドを示し、各制御基板が立ち上がった後に、主制御部10が演出制御部203及び賞球制御部204に送信する制御信号にて示された制御コマンドであって、電源投入後の立ち上げ時における遊技を制御するための初期制御情報、例えば、制御モード、バックアップデータ等を送信するための制御コマンド、あるいは初期演出表示の制御を行うための制御コマンド、例えば、客待ちデモ等の各種のデモ表示を開始させるための制御コマンドである。また、この電源投入コマンドは遊技機のリセットボタンを押圧したときに実行される、上記制御モード、バックアップデータ等を送信するための制御コマンドも含む。
【0131】
ステップS3では、主制御部10は、RAM10cに記憶されている未抽選入賞回数データを参照して、未抽選入賞回数が0回であるか否かを判断する。ここで、未抽選入賞回数とは、第1始動口検出部221又は第2始動口検出部225で検出された遊技球の数(入賞回数)から、当該遊技球の入球に対応する抽選が行われた回数(既抽選回数)を減じた数である。ステップS3の判断結果が「NO」の場合、すなわち、未抽選入賞回数が0回でない場合には、主制御部10は、後述するステップS10へ進む。一方、ステップS3の判断結果が「YES」の場合、すなわち、未抽選入賞回数が0回である場合には、主制御部10は、ステップS4へ進む。
【0132】
ステップS4では、主制御部10は、電源投入時のデモが開始されてから経過した時間を計測した後、ステップS5へ進む。ステップS5では、主制御部10は、電源投入時のデモが開始されてから所定時間が経過したか否かを判断する。ステップS5の判断結果が「YES」の場合、すなわち、電源投入時のデモが開始されてから所定時間が経過した場合には、主制御部10は、ステップS6へ進む。なお、上記電源投入時のデモを開始するための制御コマンドは、客待ちデモコマンドとしてもよい。
【0133】
ステップS6では、主制御部10は、演出制御部203に客待ちデモコマンドを示す制御信号を送信した後、ステップS7へ進む。客待ちデモコマンドを受信すると、演出制御部203は、図柄表示部104やランプ制御部205のそれぞれに対して客待ちデモ用の制御信号を送信する。
【0134】
一方、ステップS5の判断結果が「NO」の場合、すなわち、電源投入時のデモ(又は客待ちデモ)が開始されてから所定時間が経過していない場合には、主制御部10は、ステップS7へ進む。ステップS7では、主制御部10は、第1始動口検出部221で第1始動口105への遊技球の入球が検出されたか又は第2始動口検出部225で第2始動口120への遊技球の入球が検出されたか否かを判断する。ステップS7の判断結果が「YES」の場合、すなわち、第1始動口検出部221で第1始動口105への遊技球の入球が検出されたか又は第2始動口検出部225で第2始動口120への遊技球の入球が検出された場合には、主制御部は、ステップS8へ進む。
【0135】
一方、ステップS7の判断結果が「NO」の場合、すなわち、第1始動口検出部221で第1始動口105への遊技球の入球が検出されず、かつ、第2始動口検出部225で第2始動口120への遊技球の入球が検出されない場合には、主制御部は、ステップS4へ戻り、ステップS4以降の処理を繰り返す。
【0136】
ステップS8では、主制御部10は、客待ちデモ(又は電源投入時のデモ)が開始されてから計測していた時間をクリアした後、ステップS9へ進む。ステップS9では、主制御部10は、未抽選入賞回数に1を加算する。なお、第1始動口検出部221又は第2始動口検出部225で複数の遊技球の入球が検出された場合、このステップS9では、主制御部10は、未抽選入賞回数に入球に相当する数を加算する。そして、主制御部10は、ステップS10へ進む。ステップS10では、主制御部10は、予め用意された乱数カウンタ(例えば、0〜250をカウント)から1つの大当たり判定用乱数を無作為に取得した後、ステップS11へ進む。ステップS11では、主制御部10は、未抽選入賞回数から1を減算した後、ステップS12へ進む。
【0137】
ステップS12では、主制御部10は、例えば、予めROM10bに記憶されている大当り判定データテーブルを参照して、ステップS10の処理で取得した大当たり判定用乱数が、この大当り判定データテーブルに記憶されている大当たりの乱数値であるか否かを判断する。また、ステップS12では、主制御部10は、取得した大当たり判定用乱数がはずれの乱数の場合には、例えば、大当り判定データテーブルを参照して、さらに「リーチ有りのはずれ」又は「リーチ無しのはずれ」であるかについても判断する。ステップS12の判断結果が「YES」の場合、すなわち、ステップS10で取得した大当たり判定用乱数が予め定められた大当たり乱数である場合には、主制御部10は、ステップS13へ進む。
【0138】
ステップS13では、主制御部10は、演出制御部203に、例えば、大当たりの種別コード(通常当りか確率変動当りか等)、リーチ有り、図柄変動時間、等の制御データ(付随データ)を含む大当たりリーチコマンド(図柄変動コマンド)を示す制御信号を送信した後、ステップS14へ進む。ステップS14では、主制御部10は、図柄変動時間が経過したか否かを判断する。ステップS14の判断結果が「NO」の場合、すなわち、図柄変動時間が経過していない場合には、主制御部10は、同判断を繰り返す。そして、図柄変動時間が経過すると、ステップS14の判断結果が「YES」となり、主制御部10は、ステップS15へ進む。
【0139】
ステップS15では、主制御部10は、演出制御部203に図柄停止コマンドを示す制御信号を送信した後、ステップS16へ進む。ステップS16では、主制御部10は、演出制御部203に大当たり開始コマンドを示す制御信号を送信した後、ステップS17へ進む。ステップS17では、主制御部10は、演出制御部203に大当たり中の各ラウンドに対応するコマンド(大当たりコマンド)を示す制御信号を順次送信し、すべてのラウンドの大当たりコマンドを示す制御信号の送信を終了した後、ステップS18へ進む。ステップS18では、主制御部10は、演出制御部203に大当たり終了コマンドを示す制御信号を送信した後、ステップS22へ進む。
【0140】
一方、ステップS12の判断結果が「NO」の場合、すなわち、ステップS10の処理で取得した大当たり判定用乱数が予め定められた大当たり乱数でない場合には、主制御部10は、ステップS19へ進む。ステップS19では、主制御部10は、「リーチ有りのはずれ」の場合には「はずれリーチコマンド(図柄変動コマンド)」を示す制御信号を、「リーチ無しのはずれ」の場合には「はずれコマンド(図柄変動コマンド)」を示す制御信号を演出制御部203に送信した後、ステップS20へ進む。
【0141】
ステップS20では、主制御部10は、図柄変動時間が経過したか否かを判断する。ステップS20の判断結果が「NO」の場合、すなわち、図柄変動時間が経過していない場合には、主制御部10は、同判断を繰り返す。そして、図柄変動時間が経過すると、ステップS20の判断結果が「YES」となり、主制御部10は、ステップS21へ進む。ステップS21では、主制御部10は、演出制御部203に図柄停止コマンドを示す制御信号を送信した後、ステップS22へ進む。
【0142】
ステップS22では、主制御部10は、パチンコ遊技機1の電源がオフにされたか否かを判断する。ステップS22の判断結果が「NO」の場合、すなわち、パチンコ遊技機1の電源がオフにされていない場合には、主制御部10は、図7に示すステップS3へ戻り、ステップS3以降の処理を繰り返す。
【0143】
一方、ステップS22の判断結果が「YES」の場合、すなわち、パチンコ遊技機1の電源がオフにされた場合には、主制御部10は、ステップS23へ進む。ステップS23では、主制御部10は、演出制御部203に終了処理コマンドを示す制御信号を送信した後、一連の処理を終了する。
【0144】
ここで、図9に、大当たり関連コマンド(大当たりリーチコマンド、大当たり開始コマンド、大当たりコマンド、大当たり終了コマンド)の送信タイミングの一例であるタイミングチャートを示す。図9(1)に示す大当たりリーチコマンドは、ランダムに送信される。また、図9(2)に示す大当たり開始コマンドは、実際に大当たりが発生した場合に、大当たり状態に移行する際に1度だけ送信される。さらに、図9(3)に示す大当たりコマンドは、大当たり状態に移行した後、ラウンドごとに継続的に送信される。また、図9(4)に示す大当たり終了コマンドは、大当たり状態のすべてのラウンドが終了し、通常の状態に移行する際に1度だけ送信される。
【0145】
次に、演出制御部203による処理について説明する。以下では、図柄変動時(大当たりリーチコマンド(図8に示すステップS13参照)又は、はずれリーチコマンド(図8に示すステップS19参照)を受信した場合)及び、大当たり時の演出制御部203の処理について説明する。
【0146】
まず、演出制御部203による図柄変動処理について、図10に示すフローチャートを参照して説明する。
演出制御部203は、主制御部10から送信された、図柄変動コマンドである大当たりリーチコマンド(図8に示すステップS13参照)又ははずれリーチコマンド(図8に示すステップS19参照)のいずれかを示す制御信号を受信したか否かを判断する(図10のステップS31参照)。この判断結果が「NO」の場合には、演出制御部203は、同判断を繰り返す。そして、大当たりリーチコマンド又ははずれリーチコマンドのいずれかを示す制御信号を受信すると、ステップS31の判断結果が「YES」となり、演出制御部203は、ステップS32へ進む。
【0147】
ステップS32では、演出制御部203は、予め用意された乱数(例えば、0〜250)から1つの変動演出選択用乱数を無作為に取得した後、ステップS33へ進む。ステップS33では、演出制御部203は、ステップS32の処理で取得した変動演出選択用乱数に基づいて変動演出の種類を選択した後、ステップS34へ進む。
【0148】
ステップS34では、演出制御部203は、図柄表示部104やランプ制御部205に変動演出別の演出開始コマンドを示す制御信号を送信した後、ステップS35へ進む。ステップS35では、演出制御部203は、変動演出の演出時間が経過したか否かを判断する。ステップS35の判断結果が「NO」の場合、すなわち、変動演出の演出時間が経過していない場合には、演出制御部203は、ステップS36へ進む。
【0149】
ステップS36では、演出制御部203は、主制御部10から送信された図柄停止コマンド(図8に示すステップS15及びS21参照)を示す制御信号を受信したか否かを判断する。ステップS36の判断結果が「NO」の場合、すなわち、図柄停止コマンドを示す制御信号を受信していない場合には、演出制御部203は、ステップS35へ戻り、ステップS35以降の処理を繰り返す。
【0150】
一方、ステップS36の判断結果が「YES」の場合、すなわち、図柄停止コマンドを示す制御信号を受信した場合には、演出制御部203は、ステップS37へ進む。また、ステップS35の判断結果が「YES」の場合、すなわち、変動演出の演出時間が経過した場合にも、演出制御部203は、ステップS37へ進む。ステップS37では、演出制御部203は、図柄表示部104やランプ制御部205に演出停止コマンドを示す制御信号を送信した後、一連の処理を終了する。
【0151】
次に、演出制御部203による大当たり時の処理について、図11に示すフローチャートを参照して説明する。
まず、演出制御部203は、主制御部10から送信された大当たり開始コマンド(図8に示すステップS16参照)を示す制御信号を受信したか否かを判断する(図11のステップS41参照)。この判断結果が「NO」の場合には、演出制御部203は、同判断を繰り返す。そして、大当たり開始コマンドを示す制御信号を受信すると、ステップS41の判断結果が「YES」となり、演出制御部203は、ステップS42へ進む。
【0152】
ステップS42では、演出制御部203は、図柄表示部104やランプ制御部205に大当たり開始処理コマンドを示す制御信号を送信した後、ステップS43へ進む。ステップS43では、演出制御部203は、主制御部10から送信されたラウンド別の大当たりコマンド(図8に示すステップS17参照)を示す制御信号を受信したか否かを判断する。この判断結果が「NO」の場合には、演出制御部203は、同判断を繰り返す。そして、ラウンド別の大当たりコマンドを示す制御信号を受信すると、ステップS43の判断結果が「YES」となり、演出制御部203は、ステップS44へ進む。
【0153】
ステップS44では、演出制御部203は、図柄表示部104やランプ制御部205に受信したラウンド別の大当たりコマンドに対応するラウンド別処理コマンドを示す制御信号を送信した後、ステップS45へ進む。ステップS45では、主制御部10から送信された大当たり終了コマンド(図8に示すステップS18参照)を示す制御信号を受信したか否かを判断する。この判断結果が「NO」の場合には、演出制御部203は、同判断を繰り返す。そして、大当たり終了コマンドを示す制御信号を受信すると、ステップS45の判断結果が「YES」となり、演出制御部203は、ステップS46へ進む。ステップS46では、演出制御部203は、図柄表示部104やランプ制御部205に、受信した大当たり終了コマンドを示す制御信号を送信した後、一連の処理を終了する。
【0154】
次に、ランプ制御部205によるランプ制御処理について説明する。ここでは、演出制御部203から図柄変動コマンドを示す制御信号を受信した場合(図柄変動時)の処理について、図12に示すフローチャートを参照して説明する。
まず、ランプ制御部205は、演出制御部203から演出開始コマンド(図10に示すステップS34参照)を示す制御信号を受信したか否かを判断する(図12のステップS51参照)。この判断結果が「NO」の場合には、ランプ制御部205は、同判断を繰り返す。そして、演出開始コマンドを示す制御信号を受信すると、ステップS51の判断結果が「YES」となり、ランプ制御部205は、ステップS52へ進む。
【0155】
ステップS52では、ランプ制御部205は、例えば、ROM205bから予めコマンド別に記憶されているデータを読み出した後、ステップS53へ進む。ステップS53では、ランプ制御部205は、コマンド別の選択ルーチンを実行した後、ステップS54へ進む。ステップS54では、ランプ制御部205は、ランプデータをセットした後、ステップS55へ進む。
【0156】
ステップS55では、ランプ制御部205は、ランプ262にランプデータを出力した後、ステップS56へ進む。これにより、ランプ262は、ランプ制御部205から出力されたランプデータに基づいて、点灯又は消灯する。ステップS56では、ランプ制御部205は、演出制御部203から演出停止コマンド(図10に示すステップS37参照)を示す制御信号を受信したか否かを判断する。この判断結果が「NO」の場合には、ランプ制御部205は、ステップS55へ戻り、ステップS55以降の処理を繰り返す。一方、ステップS56の判断結果が「YES」の場合、すなわち、演出制御部203から演出停止コマンドを示す制御信号を受信した場合には、ランプ制御部205は、ステップS57へ進む。ステップS57では、ランプ制御部205は、ランプデータの出力を停止した後、一連の処理を終了する。
【0157】
以上説明したように、演出制御部203及びランプ制御部205は、主制御部10から送信される制御信号にて示された制御コマンドに基づいて各種の処理を行っている。賞球制御部204についても同様である。以下、演出制御部203、賞球制御部204及びランプ制御部205の総称として、「周辺部」を用いる。従って、図1に示す本実施の形態1に係るパチンコ遊技機1の周辺部30は、演出制御部203の機能を有する演出制御手段、賞球制御部204の機能を有する賞球制御手段及びランプ制御部205の機能を有するランプ制御手段を備えている。
【0158】
ところで、上記のように、遊技機に対し行われる不正行為や、雑音等に起因する遊技機の誤動作により、遊技とは無関係に遊技媒体が払い出され遊技店が多大な損害を被ってしまうことがある。そこで、上記不正行為及び雑音等に起因する遊技機の誤動作を防止するため、本実施の形態1に係るパチンコ遊技機1では、演出制御部203の後段に後段部20を設けている。
そして、本実施の形態1においては、主制御部10は、所定のプログラムコードを用いて第1及び第2個体認証データを生成し、これらを第1グループ及び第2グループの制御コマンドデータに付加して後段部20又は演出制御部203に送信する。
【0159】
後段部20は、第1グループの制御コマンドデータに付加された第1個体認証データに含まれる第1個体検査値を用いて個体認証を行い、得られた第1個体認証結果から認証結果信号を生成し演出制御部203へ送信する。演出制御部203は、主制御部10より送信された制御信号を後段部20へ送信する。また、演出制御部203は、第2グループの制御コマンドデータに付加された第2個体認証データを用いて個体認証を行うとともに、後段部20より送信された認証結果信号から後段部20での認証処理の結果を確認する。そして、演出制御部203は、第1個体認証結果や第2の個体認証結果に応じた処理を行う。このように、後段部20及び演出制御部203を認証者、主制御部10を被認証者とした認証処理を行い、パチンコ遊技機1の正規性を認証する。この認証処理によって、上記不正行為を検知して、パチンコ遊技機1への不正を防止することができるとともに、外部から加えられる電気的な雑音や機械的な振動等に起因するパチンコ遊技機1の誤動作を低減することができる。
【0160】
以下、主制御部10、後段部20、及び演出制御部203の間で行う認証に関する処理の手順について説明する。なお、主制御部10と賞球制御部204との間の認証に関する処理は、主制御部10と周辺部30との間の認証に関する処理の手順を示した図13及び図14に示すフローチャートとほぼ同様の手順で行われるため説明を省略する。
【0161】
図13は、主制御部10による認証に関する処理の手順の一例を示すフローチャートである。主制御部10は、制御信号の送信タイミングとなると(ステップS61:YES)、当該制御信号に含まれる制御コマンドデータの内容が所定の制御コマンドに該当するものであるか、すなわち、当該制御信号の送信タイミングは、所定の制御コマンドの送信タイミングであるか否かを判断する(ステップS62)。所定の制御コマンドの送信タイミングである場合(ステップS62:YES)、主制御部10は、ステップS64へ進み、所定の制御コマンドの送信タイミングでない場合(ステップS62:NO)、主制御部10は、通常の制御信号を演出制御部203へ送信する(ステップS63)。ステップS64では、主制御部10は、送信する制御信号に含まれる制御コマンドデータの内容が所定の制御コマンドの中の第1グループの制御コマンドに該当するものであるか否かを判断する(ステップS64)。
【0162】
送信する制御信号に含まれる制御コマンドデータの内容が第1グループの制御コマンドに該当する場合(ステップS64:YES)、主制御部10は、まず、前回の認証に関する処理の際などで既に生成した第1個体認証データが未送信のまま保持されていないかを確認する(ステップS65)。未送信の第1個体認証データが保持されていた場合(ステップS65:YES)、主制御部10は、第1個体認証データを第1グループの制御コマンドデータに付加し、演出制御部203へ送信しておく。未送信の第1個体認証データが保持されていない場合(ステップS65:NO)、主制御部10は、第1グループの制御コマンドデータに付加する第1個体認証データの生成を開始すべく、第1分割数を決定する(ステップS66)。分割数の決定方法は任意である。また、分割数は所定の制御コマンドの送信タイミングとなる前に決定されてもよい。
【0163】
主制御部10は、決定した第1分割数で所定のプログラムコードを分割し、分割された各データのそれぞれに対して第1方式の半群演算を行って第1個体検査値を生成する(ステップS67)。続いて、主制御部10は、第1個体検査値に対して暗号化処理を施して第1個体認証データを生成する(ステップS68)。この処理により、分割数個の個体検査値及び個体認証データが生成される。なお、個体検査値の生成は、所定の制御コマンドの送信タイミングとなる前に行っておいてもよい。続いて、主制御部10は、生成した第1個体認証データを第1グループの制御コマンドデータに付加し(ステップS69)、第1個体認証データが付加された認証データ付制御信号を演出制御部203へ送信する(ステップS70)。なお、認証データ付制御信号は、連続して送信してもよいし、通常の制御信号に混ぜて送信してもよいが、主制御部10は、全ての第1認証データを送信するまで(ステップS76:NO)、ステップS61に戻り、認証データ付制御信号の送信を繰り返す。主制御部10は、全ての第1認証データを送信すると(ステップS76:YES)、本フローチャートによる処理を終了する。
【0164】
一方、送信する制御信号に含まれる制御コマンドデータの内容が、所定の制御コマンドの中の第1グループの制御コマンドに該当しない場合(ステップS64:NO)、主制御部10は、第2グループの制御コマンドの制御信号を送信するとして、まず、前回の認証に関する処理の際などで既に生成した第2個体認証データが未送信のまま保持されていないかを確認する(ステップS71)。未送信の第2個体認証データが保持されていた場合(ステップS71:YES)、主制御部10は、第2個体認証データを第2グループの制御コマンドデータに付加し、演出制御部203へ送信しておく。未送信の第2個体認証データが保持されていない場合(ステップS71:NO)、主制御部10は、第2グループの制御コマンドデータに付加する第2個体認証データの生成を開始すべく、第2分割数を決定する(ステップS72)。分割数の決定方法は任意である。また、分割数は所定の制御コマンドの送信タイミングとなる前に決定されてもよい。
【0165】
主制御部10は、決定した第2分割数で所定のプログラムコードを分割し、分割された各データのそれぞれに対して第2方式の半群演算を行って第2個体検査値を生成する(ステップS73)。続いて、主制御部10は、第2個体検査値に対して暗号化処理を施して第2個体認証データを生成する(ステップS74)。なお、個体検査値の生成は、所定の制御コマンドの送信タイミングとなる前に行っておいてもよい。続いて、主制御部10は、生成した第2個体認証データを第2グループの制御コマンドデータに付加し(ステップS75)、第2個体認証データが付加された認証データ付制御信号を演出制御部203へ送信する(ステップS70)。なお、認証データ付制御信号は、連続して送信してもよいし、通常の制御信号に混ぜて送信してもよいが、主制御部10は、全ての第2個体認証データを送信するまで(ステップS76:NO)、ステップS61に戻り、認証データ付制御信号の送信を繰り返す。主制御部10は、全ての第2認証データを送信すると(ステップS76:YES)、本フローチャートによる処理を終了する。
【0166】
次に、後段部20による認証に関する処理について説明する。図14は、後段部20による認証に関する処理の手順の一例を示すフローチャートである。後段部20は、演出制御部203から送信された制御信号を受信すると(ステップS81:YES)、受信した制御信号に含まれる制御コマンドデータの内容が、第1グループの制御コマンドに該当するか否かを判断する(ステップS82)。受信した制御信号に含まれる制御コマンドデータの内容が、第1グループの制御コマンドに該当する場合(ステップS82:YES)、後段部20は、受信した制御信号は、第1個体認証データが付加された認証データ付制御信号であると判断し、第1個体検査値を用いた個体認証を開始するべくステップS83へ進む。
【0167】
一方、受信した制御信号に含まれる制御コマンドデータの内容が、第1グループの制御コマンドに該当しない場合(ステップS82:NO)、後段部20は、受信した制御信号は、第1個体認証データが付加された認証データ付制御信号ではなく、後段部20では認証処理に使用しないものと判断する。ここで、後段部20は、制御信号に含まれる制御コマンドデータの内容が、第1グループの制御コマンドに該当するか否かを判断するのではなく、例えば、制御信号に含まれる制御コマンドデータ又は付随データを構成する任意のビット又は別個に設けられている識別データ(図示略)が第1認証データが含まれていることを示しているか否かを判断することとしてもよい。その後、後段部20は、後段部20で認証処理を行わなかった旨を示す認証未実施データを生成し(ステップS90)、ステップS91へ進む。
【0168】
後段部20は、第1個体検査値を用いた個体認証として、まず、受信した認証データ付制御信号に含まれる第1個体認証データを抽出し、さらに第1個体認証データに対して復号化処理を施して第1個体検査値を抽出し(ステップS83)、個体検査値用メモリに記憶する。続いて、後段部20は、個体検査値用メモリ内の全ての第1個体検査値に対して第1方式の半群演算にて結合処理を行う(ステップS84)。個体検査値用メモリ内の第1個体検査値が1つの場合は、結合処理を行わずにそのままステップS85へ進む。そして、後段部20は、結合処理の演算結果(結合結果)と予め保持している第1個体認証期待値とを照合し、結合結果と第1個体認証期待値とが一致するか否かを判断する(ステップS85)。結合結果と第1個体認証期待値とが一致する場合(ステップS85:YES)、後段部20は、主制御部10に対する第1個体検査値を用いた個体認証は成功であったと判断し、その旨を示す第1個体認証結果を生成し(ステップS86)、ステップS91へ進む。
【0169】
一方、結合結果と第1個体認証期待値とが一致しない場合(ステップS85:NO)、後段部20は、受信した第1個体検査値の数が所定数以上であるか否かを判断する(ステップS87)。ここで所定数とは、今回の第1個体検査値を用いた結合処理での結合数(今回の第1分割数)以上かつ最大分割数以下の範囲内の任意の数である。受信した第1個体検査値の数が所定数以上の場合(ステップS87:YES)、後段部20は、主制御部10に対する第1個体検査値を用いた個体認証は不成功であったと判断してその旨を示す第1個体認証結果を生成し(ステップS88)、ステップS91へ進む。また、受信した第1個体検査値の数が所定数未満の場合(ステップS87:NO)、後段部20は、第1個体検査値を用いた個体認証の結果を判断できる段階ではないとして、認証結果に代わる認証中途データを生成し(ステップS89)、ステップS91へ進む。
【0170】
そして、後段部20は、成功を示す第1個体認証結果、不成功を示す第1個体認証結果、認証中途データ、又は認証未実施データの4通りの認証結果のいずれかの内容を示す認証結果信号を生成し(ステップS91)、演出制御部203へ送信した後(ステップ91)、受信した制御信号を破棄し(ステップS92)、本フローチャートによる処理を終了する。
【0171】
次に、演出制御部203による認証に関する処理について説明する。図15は、演出制御部203による認証に関する処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。演出制御部203は、主制御部10から送信された制御信号を受信すると(ステップS101:YES)、受信した制御信号と同一内容の制御信号を一旦そのまま後段部20へ送信する(ステップS102)。その後、演出制御部203は、受信した制御信号に含まれる制御コマンドデータの内容が、第2グループの制御コマンドに該当するか否かを判断する(ステップS103)。受信した制御信号に含まれる制御コマンドデータの内容が、第2グループの制御コマンドに該当する場合(ステップS103:YES)、演出制御部203は、受信した制御信号は、第2個体認証データが付加された認証データ付制御信号であると判断し、第2個体検査値を用いた個体認証を開始する。一方、受信した制御信号に含まれる制御コマンドデータの内容が、第2グループの制御コマンドに該当しない場合(ステップS103:NO)、演出制御部203は、受信した制御信号は、第2個体認証データが付加された認証データ付制御信号ではないと判断し、ステップS107へ進む。ここで、演出制御部203は、制御信号に含まれる制御コマンドデータの内容が、第2グループの制御コマンドに該当するか否かを判断するのではなく、例えば、制御信号に含まれる制御コマンドデータ又は付随データを構成する任意のビット又は別個に設けられている識別データ(図示略)が第2認証データが含まれていることを示しているか否かを判断することとしてもよい。
【0172】
演出制御部203は、第2個体検査値を用いた個体認証として、まず、受信した認証データ付制御信号に含まれる第2個体認証データを抽出し、さらに第2個体認証データに対して復号化処理を施して第2個体検査値を抽出し(ステップS104)、個体検査値用メモリに記憶する。続いて、演出制御部203は、個体検査値用メモリ内の全ての第2個体検査値に対して第2方式の半群演算にて結合処理を行う(ステップS105)。個体検査値用メモリ内の第2個体検査値が1つの場合は、結合処理を行わずにそのままステップS106へ進む。そして、演出制御部203は、結合処理の演算結果(結合結果)と予め保持している第2個体認証期待値とを照合し、結合結果と第2個体認証期待値とが一致するか否かを判断する(ステップS106)。結合結果と第2個体認証期待値とが一致する場合(ステップS106:YES)、演出制御部203は、主制御部10に対する第2個体検査値を用いた個体認証は成功であったと判断する。そして、演出制御部203は、少なくとも今回の認証に関する処理ではパチンコ遊技機1の正規性を認証することができたと判断し、演出処理を実行させるべくステップS107へ進む。
【0173】
一方、結合結果と第2個体認証期待値とが一致しない場合(ステップS106:NO)、演出制御部203は、受信した第2個体検査値の数が所定数以上であるか否かを判断する(ステップS108)。ここで所定数とは、今回の第2個体検査値を用いた結合処理での結合数(今回の第2分割数)以上かつ最大分割数以下の範囲内の任意の数である。受信した第2個体検査値の数が所定数以上の場合(ステップS108:YES)、演出制御部203は、主制御部10に対する第2個体検査値を用いた個体認証は不成功であったと判断する。そして、演出制御部203は、パチンコ遊技機1で不正行為や誤動作が発生したおそれがあると判断して、報知を行うべくステップS109へ進む。一方、受信した第2個体検査値の数が所定数未満の場合(ステップS108:NO)、演出制御部203は、主制御部10に対する第2個体検査値を用いた個体認証が不成功であったと判断できる段階ではなく、少なくとも今回の認証に関する処理ではパチンコ遊技機1で不正行為や誤動作が検知されていないと判断し、演出処理を実行させるべくステップS107へ進む。
【0174】
演出制御部203は、少なくとも今回の認証に関する処理ではパチンコ遊技機1で不正行為や誤動作が検知されていないと判断した場合、受信した制御信号を演出処理部へ転送し、受信した制御信号に含まれる制御コマンドデータに基づいて、演出処理を実行させる(ステップS107)。その後、演出制御部203は、後段部20より認証結果信号を受信したか否かを判断するべくステップS111へ進む。また、演出制御部203は、パチンコ遊技機1で不正行為や誤動作が発生したおそれがあると判断された場合(ステップS108:YES)、報知信号を生成し、報知部へ転送する(ステップS109)。そして演出制御部203は、受信した制御信号に含まれる制御コマンドデータ及び付随データを破棄し(ステップS110)、本フローチャートによる処理を終了する。
【0175】
また、演出制御部203は、後段部20より認証結果信号を受信した場合(ステップS111:YES)、当該認証結果信号が、不成功を示す第1個体認証結果を表した信号に該当するか否かを判断する(ステップS112)。受信した認証結果信号が、不成功を示す第1個体認証結果を表した信号に該当する場合(ステップS112:YES)、演出制御部203は、主制御部10に対する第1個体検査値を用いた個体認証は不成功であったと判断し、報知信号を生成して報知部へ転送し(ステップS113)、本フローチャートによる処理を終了する。一方、受信した認証結果信号が、不成功を示す第1個体認証結果を表した信号に該当しない場合(ステップS112:NO)、演出制御部203は、受信した認証結果信号が、認証中途データを表す信号に該当するか否かを判断する(ステップS114)。
【0176】
受信した認証結果信号が、認証中途データを表す信号に該当する場合(ステップS114:YES)、演出制御部203は、受信した認証中途データの数が最大分割数以上か否かを判断する(ステップS115)。受信した認証中途データの数が最大分割数以上の場合(ステップS115:YES)、演出制御部203は、後段部20での第1個体検査値を用いた個体認証が不成功であったと判断し、パチンコ遊技機1で不正行為や誤動作が発生したおそれがあると判断し、報知信号を生成して報知部へ転送し(ステップS113)、本フローチャートによる処理を終了する。また、受信した認証中途データの数が最大分割数未満の場合(ステップS115:NO)、演出制御部203は、主制御部10に対する第1個体検査値を用いた個体認証が不成功であったと判断できる段階ではなく、少なくとも今回の認証に関する処理ではパチンコ遊技機1で不正行為や誤動作が検知されていないと判断し、本フローチャートによる処理を終了する。
【0177】
また、受信した認証結果信号が、認証中途データを表す信号に該当しない場合(ステップS114:NO)、演出制御部203は、受信した認証結果信号が、成功を示す第1個体認証結果又は認証未実施データのいずれかであると判断する。そして、演出制御部203は、少なくとも今回の後段部20での認証に関する処理ではパチンコ遊技機1で不正行為や誤動作が検知されていないと判断し、本フローチャートによる処理を終了する。
【0178】
このように、本実施の形態1では、主制御部10の個体認証を行う機能を後段部20と演出制御部203とで別個に保有し、主制御部10にて送信タイミングとなった制御コマンドが属する制御コマンドグループが替わるごとに、後段部20と演出制御部203のどちらで主制御部10の個体認証を行うかを変更している。よって、不正行為者は、主制御部10での個体検査値の送信タイミングや個体認証処理の実行場所(後段部20又は演出制御部203)の変更タイミング等を知ることができない。従って、本実施の形態1は、主制御部10、後段部20、及び演出制御部203の間の処理における認証強度を向上させることができるとともに、上記不正行為及び遊技機の誤動作を検知することができ、これらに起因する不正な制御コマンドの実行を防止することができる。さらに、本実施の形態1では、主制御部10にて送信タイミングとなった制御コマンドが属する制御コマンドグループが替わるごとに、少なくとも分割数を決定し直している。そして、主制御部10は、特定の制御コマンドグループに属する制御コマンドの送信タイミングのときに決定された分割数を基にして所定のプログラムコードを分割し、当該分割数個の個体検査値を、当該特定の制御コマンドグループ内に属する制御コマンドデータに全て付加して後段部20又は演出制御部203へ送信している。分割数は、主制御部10だけが知り得る値であり、1つの分割数から生成された分割数個の複数の個体検査値を、異なる制御コマンドグループの制御コマンドデータにグループを跨いで付加してしまうと、後段部20又は演出制御部203での結合処理時に結合結果と個体認証期待値とが一致しなくなる。よって、不正行為者が個体検査値を不正に生成し後段部20及び演出制御部203に送信しても、認証処理は成功せず不正行為を検知することができる。従って、本実施の形態1は、主制御部10、後段部20、及び演出制御部203の間の処理における認証強度をさらに向上させることができ、パチンコ遊技機1全体のセキュリティ強度を向上させることができる。
【0179】
また、本実施の形態1では、後段部20及び演出制御部203での認証に関する処理として、後段部20は、主制御部10で生成された第1個体検査値を用いた個体認証を行い、その結果(成功、不成功、認証中途、又は認証未実施のいずれか)の如何に拘わらず同一データ長の認証結果信号を生成し、演出制御部203へ送信する。すなわち、後段部20が演出制御部203へ送信する認証結果信号は、演出制御部203が後段部20へ送信する制御信号の種類(制御コマンドグループの種類)の如何に拘らず、後段部20が制御信号を受信すれば常に送信される。更に、後段部20が演出制御部203へ送信する認証結果信号は、後段部20での認証結果の如何に拘わらず、常に同一データ長の信号として送信される。そして、認証結果信号として第1個体認証結果又は認証未実施データのどちらを演出制御部203へ送信するかは、予め任意に設定された制御コマンドのグループ分けによって決まる。また、認証結果信号として不成功ではない第1個体認証結果が送信される場合でも、成功又は認証中途データの2つの情報が存在し、どちらを演出制御部203へ送信するかは、主制御部10だけが知り得る分割数によって決まる。また、演出制御部203が認証中途データを受信したとき、第1個体検査値を用いた個体認証が不成功であると判断されるのは、予め任意に設定された最大分割数との比較によって決まる。従って、不正行為者が、後段部20と演出制御部203との間で送受信されるデータ信号を不正に窃取したとしても認証結果信号の内容が切り替わるタイミングを知ることができない。よって、主制御部10に対する不正行為等の他、後段部20に対する不正行為等も検知することができ、後段部20と演出制御部203との間の処理における認証強度を向上させることができ、パチンコ遊技機1全体のセキュリティ強度を向上させることができる。
【0180】
また、本実施の形態1では、パチンコ遊技機1の認証処理として、主制御部10で実行タイミングとなった制御コマンドが第1グループの制御コマンドグループに属する場合は、後段部20で個体認証処理を行い、主制御部10で実行タイミングとなった制御コマンドが第2グループの制御コマンドグループに属する場合は、演出制御部203で個体認証処理を行っている。つまり、認証処理の一部を後段部20が実行するので、演出制御部203を構成するCPUの処理負荷の増大を抑制することができる。このため、演出制御部203の処理速度が低下し、演出のための表示がスムーズに行われないなどの問題の発生を防止することができる。このとき、本実施の形態1では、主制御部10が出力する制御コマンドのグループ分けの方法は任意に設定可能であるため、後段部20と演出制御部203での認証処理の実行割合を高い自由度で設定することができ、認証強度の向上と演出制御部203での処理負荷の低減をバランスよく保つことができる。
【0181】
また、本実施の形態1では、パチンコ遊技機1の認証処理として、主制御部10では、実行タイミングとなった制御コマンドが所定の制御コマンドである場合のみ、個体検査値を生成し、個体検査値を用いた認証処理を行う。認証処理を行うことによって主制御部10や演出制御部203の処理負荷が増大するのは、所定の制御コマンドの実行タイミングのときのみであり、主制御部10や演出制御部203の処理負荷が増大する割合を抑えることができる。また、演出制御部203が実行するプログラムには所定の制御コマンドに関する認証処理を追加するだけでよい。したがって、演出制御部203が実行するプログラム全体にわたる新たなタイミングの設計する必要がないので、すべての制御コマンドに個体検査値が付加される場合と比較して、認証機能を追加するタイミングの設計、機能の実装、機能の検証など、より簡単に、少ない作業工数で実現することができる。
【0182】
ここで、所定の制御コマンドが大当たりコマンドである場合、大当たりコマンドを示す制御信号は大当たり中のラウンドごとに送信されるため、大当たり状態にある一定期間中に複数回の認証処理を行うこととなり、認証処理の確度を向上させることができる。
【0183】
また、所定の制御コマンドが大当たり開始コマンドや大当たり終了コマンドである場合、大当たり開始コマンドや大当たり終了コマンドは、大当たり状態を開始又は終了させる制御コマンドであり、他の制御コマンドと比較して、送信頻度が低い。したがって、制御信号の中から認証データが抽出される可能性を低減することができる。また、制御信号の中から認証データが抽出されても、取得できるサンプル数が少ないため、認証データが解析される危険性を低減することができる。
【0184】
また、所定の制御コマンドが大当たりリーチコマンドである場合、大当たりリーチは、大当たりと比較して発生頻度が高い。また、大当たりリーチの発生タイミングはランダム性を有する。したがって、大当たりリーチコマンドデータを送信する際に認証処理を行うことにより、時間軸上における認証処理の実施位置が分散される。そして、このように時間軸上における認証処理の実施位置を分散することによって、認証処理の信頼性を向上させることができる。これは、認証データの通信不具合や認証データの改ざんが一定の期間行われた場合であっても、時間をおいてランダムに認証処理が行われるので、通信不具合や改ざんの影響を回避できる可能性が高くなるためである。
【0185】
さらに、所定の制御コマンドが電源投入コマンドである場合、電源投入コマンドを示す制御信号は、パチンコ遊技機1の電源の投入時やリセット時など、パチンコ遊技機1の初期化処理を行う際に送信される。初期化処理は、パチンコ遊技機1のメインの処理である遊技(ゲーム進行)関連処理とは異なる処理区分に分類される。したがって、本発明のように、初期化処理中に認証処理を組み込めば、遊技関連処理中に認証処理を組み込む場合と比較して、プログラム設計やテストにかかる工程(工数)が増加する割合を低減することができる。すなわち、初期化処理中に認証処理を組み込むことによって、開発コストの低減や品質管理上のメリットを得ることができる。また、初期化処理中に認証処理を組み込めば、パチンコ遊技機1の起動直後に認証処理を行うため、遊技店が閉店した後に不正が行われた場合などであっても、顧客が入店する前に不正を検出することができる。よって、不正による被害が発生する危険性を低減することができる。
【0186】
また、所定の制御コマンドが客待ちデモコマンド又は客待ちデモ停止コマンドである場合、客待ちデモコマンド又は客待ちデモ停止コマンドを示す制御信号は、パチンコ遊技機1が非遊技状態、すなわち、パチンコ遊技機1のメインの処理である遊技(ゲーム進行)関連処理が行われていない場合に送信されるので、認証処理による処理負荷の増大が遊技関連処理に影響を与えることがない。このため、主制御部10や周辺部30が高度な処理能力を有していない場合や、遊技関連処理の処理負荷が大きいパチンコ遊技機1であっても、認証処理機能を追加することができる。また、客待ちデモコマンド及び客待ちデモ停止コマンドは、顧客がパチンコ遊技機1を操作する前に発行されるコマンドであるので、顧客がパチンコ遊技機1を操作する前に不正行為を検出することができる。
【0187】
さらに、所定の制御コマンドがはずれコマンドである場合、「はずれ」は、抽選時の抽選結果として最も発生頻度が高いので、はずれコマンドデータの送信時に制御コマンドデータに認証データ303を付加することとすれば、抽選から認証処理への流れをパチンコ遊技機1の処理の基本形とみなすことができる。一方、大当たりリーチ時や大当たり時の処理は、パチンコ遊技機1の機種ごとに演出方法が変更されるなど、特殊な処理に区分されるが、はずれ時の処理はパチンコ遊技機1の機種ごとの差異が少ない。このため、本実施の形態1のように、はずれ時の処理に認証処理を組み込めば、認証処理の流れに大きな変更を加えることなく、パチンコ遊技機1の本体を他の機種に再利用することが可能となる。
【0188】
また、本実施の形態1では、演出制御部203の後段に後段部20を設けているので、主制御部10を構成するCPU10aと演出制御部203を構成するCPU203aとの間の処理能力の差異や、主制御部10を構成するROM10bやRAM10cと演出制御部203を構成するROM203bやRAM203cとの間の記憶容量の差異を、後段部20において吸収することができる。これにより、主制御部10と演出制御部203との間で処理能力や記憶容量に差異があるにもかかわらず、主制御部10と演出制御部203との間のセキュリティ強度を維持することができる。
【0189】
例えば、主制御部10を構成するCPU10aの処理能力や主制御部10を構成するROM10bやRAM10cの記憶容量が、演出制御部203を構成するCPU203aの処理能力や演出制御部203を構成するROM203bやRAM203cの記憶容量と比較して余裕がある場合、主制御部10は、検査値に対して複雑又は高度な暗号化処理を施して得られた認証データを演出制御部203を介して後段部20に送信し、後段部20は、受信した上記認証データを用いて認証に関する処理を行い、得られた結果等に対して比較的簡易又は低度な暗号化処理を施して、演出制御部203に送信する。そして、演出制御部203は、後段部20での認証結果に応じた処理を行う。このように構成することにより、演出制御部203において複雑又は高度な復号化方式を採用しなくても、パチンコ遊技機1として高度のセキュリティ強度を維持することができる。
【0190】
また、演出制御部203を構成するCPU203aの処理能力や演出制御部203を構成するROM203bやRAM203bの記憶容量が、主制御部10を構成するCPU10aの処理能力や主制御部10を構成するROM10bやRAM10cの記憶容量と比較して余裕がある場合、主制御部10は、検査値を認証データとしてそのままあるいは比較的簡易又は低度な暗号化処理を施して得られた認証データを演出制御部203を介して後段部20に送信し、後段部20は、受信した上記認証データを用いて認証に関する処理を行い、得られた結果等に対して複雑又は高度な暗号処理を施して、演出制御部203に送信する。そして、演出制御部203は、後段部20での認証結果に応じた処理を行う。このように構成することにより、主制御部10において複雑又は高度な暗号化方式を採用しなくても、パチンコ遊技機1として高度のセキュリティ強度を維持することができる。
【0191】
このようなことは、主制御部10及び演出制御部203をそれぞれ構成するCPU10a及び203aの処理能力や、ROM10b及び203b並びにRAM10c及び203cの記憶容量における余裕に差異がある場合だけでなく、このような差異はないが、主制御部10を構成するCPU10a又は演出制御部203を構成するCPU203aが、それぞれ実行するプログラムの一方の全部又は一部が変更された場合(バージョンアップなど)や、検査値又は中間認証情報等のデータ構造等において、主制御部10と演出制御部203との間で形式的な差異が発生した場合についても同様に当てはまる。
【0192】
また、本実施の形態1では、主制御部10は、個体検査値を生成するための所定のデータの分割方法として、乱数生成回路や乱数生成プログラムなどによって生成された値を分割数として決定し、所定のデータを決定された分割数の個数に分割していたが、本発明はこれに限定されない。主制御部10は、個体検査値生成の対象となる各データブロックを構成するデータの量(以下、データ量という)を先に決定し、主制御部10は、所定の記憶領域内の所定のデータを、決定したデータ量の分だけ分割する。そして、主制御部10は、データ量で分割されたそれぞれのデータブロックごとに半群演算を行って、主制御部10を認証するための分割したデータブロック数と同数の個体検査値を生成する。すなわち、分割して得られたデータブロックの数が分割数になる。データ量の決定方法は、乱数生成回路や乱数生成プログラムの他、主制御部10の他の処理において生成される値を所定のタイミングで参照し、その値をデータ量としたりする方法が考えられる。
【0193】
この場合、主制御部10は、1つの個体検査値を生成するごとに、その生成に用いるデータ量を決定すると、主制御部10の所定の記憶領域内の所定のデータの全てを用いて、個体検査値の生成が完了するまで、データ量の決定と個体検査値の生成とを繰り返すこととなる。このとき、いくつの個体検査値が生成されるか(すなわち、分割数がいくつになるか)は、所定の記憶領域内の所定のデータの全てを用いて個体検査値を生成するまで判明しない。このように、分割数そのものを決定するのではなく、個体検査値の生成に用いるデータ量を決定することで、分割数が不正に窃取される可能性を低減することができる。なお、主制御部10は、1つの個体検査値を生成するごとにデータ量を決定するのではなく、予め個体検査値の生成に用いるデータ量を決定しておいてもよい。また、全ての個体検査値の生成に用いるデータ量を等しくするようにしてもよく、このときはデータ量を決定した時点で分割数が予測可能となる。
【0194】
<<実施の形態2>>
以下、本発明の実施の形態2に係るパチンコ遊技機1について説明する。
本実施の形態2に係るパチンコ遊技機1は、その外観構成や電気的構成及び遊技処理に関する機能構成や処理内容は実施の形態1と同様である。また、本実施の形態2に係るパチンコ遊技機1の認証処理に関する機能構成は、各機能を実現するための認証に関する処理の内容が若干異なるものの、制御コマンドをグループ分けしグループごとで個体認証処理の実行場所を変更可能とする機能を有することなど、図1に示した実施の形態1の機能構成と基本的に同様である。実施の形態1と実施の形態2における相違点は、パチンコ遊技機1の認証に関する処理の内容であって、実施の形態2での主制御部10における個体検査値の生成、並びに後段部20及び周辺部30(演出制御部203)における個体認証期待値の生成及び個体検査値との照合処理の内容が実施の形態1と異なる。
【0195】
具体的には、実施の形態1では、主制御部10において個体検査値を生成する際に、まず、乱数生成回路などで分割数を決定し、決定した分割数に基づいてROM10bに記憶されている所定のデータを分割し、分割された各データに対して半群演算を施して分割数個の個体検査値を生成し後段部20又は周辺部30(演出制御部203)へ送信する。後段部20及び周辺部30(演出制御部203)では、受信した個体検査値に対して結合処理を施して得られた結合結果を、予め保持する個体認証期待値と照合する。
一方、本実施の形態2では、主制御部10において個体検査値を生成する際に、所定のデータを分割せずに個体検査値とし後段部20又は周辺部30(演出制御部203)へ送信する。後段部20及び周辺部30(演出制御部203)では、受信した個体検査値に対し結合処理を施さず、予め保持する個体認証期待値と照合する。このように、実施の形態1では、個々の個体検査値の値が、認証処理の度に変化する分割数の大きさに応じて変動する変動値となっているのに対し、実施の形態2では固定値である。
【0196】
本実施の形態2では、上記以外の点は、基本的に実施の形態1と同様であるため、実施の形態1のパチンコ遊技機1と同一の部材には同一の符号を付してその詳細な説明は省略し、認証に関する処理の異なる点についてのみ重点的に説明する。
【0197】
<主制御部>
以下、主制御部10における認証に関する処理について詳細に説明する。それ以外のパチンコ遊技機1の遊技に係る基本動作制御に関する処理は実施の形態1と同様であるため、説明を省略する。主制御部10は、実行タイミングとなった制御コマンドが、実施の形態1と同様の第1グループの制御コマンドに該当する場合、以下の[1]〜[4]に示す認証に関する処理を開始して、第1個体検査値及び第1個体認証データを生成し、第1個体認証データを第1グループの制御コマンドデータに付加する。そして、認証データ付制御信号を構成し周辺部30(演出制御部203)へ送信する。また、主制御部10で実行タイミングとなった制御コマンドが、第2グループの制御コマンドに該当する場合も、同様である。
【0198】
[1]個体検査値の生成
本実施の形態2では、主制御部10は、個体検査値の生成の際、ROM10b内に予め記憶されている所定のデータを分割して個体検査値を生成せず、所定のデータそのものを用いて個体検査値を生成する。個体検査値の生成に用いられる所定のデータは、ROM10b内に記憶されている各種データの全部又は一部であって、個体検査値生成にのみ用いられるデータか否かを問わない。また、所定のデータは、第1個体検査値の生成に用いられるものと第2個体検査値の生成に用いられるものとで、ROM10b内の記憶領域に記憶されているデータであれば、同一の記憶領域に記憶されているデータであってもよいし、別個の記憶領域に記憶されているデータであってもよい。すなわち、第1個体検査値と第2個体検査値は、同一の値となっても異なる値となってもよい。なお、後段部20及び周辺部30(演出制御部203)が保持する個体認証期待値の生成に用いられるデータについても、個体検査値の生成に用いられた所定のデータと対応させておく。
【0199】
[2]個体認証データの生成
主制御部10は、上記[1]の処理で生成した第1個体検査値又は第2個体検査値に対してそれぞれ暗号化処理を施し、第1制御コマンドデータ又は第2制御コマンドデータに付加する第1個体認証データ又は第2個体認証データを生成する。暗号化処理全般のことについては、基本的に実施の形態1と同様であるが、本実施の形態2では、分割数が存在しないため、分割数に基づいて複数の暗号化方式の中から次回の個体認証データの生成に用いる1つの暗号化方式を選択するような暗号化方式の切替処理は行わない。
【0200】
[3]制御信号へのデータ付加
主制御部10は、第1グループの制御コマンドの送信タイミングであれば、[2]の処理において生成した第1個体認証データを、第1グループの制御コマンドデータへ付加し、第1個体認証データが付加された認証データ付制御信号を構成する。一方、第2グループの制御コマンドの送信タイミングであれば、[2]の処理において生成した第2個体認証データを、第2グループの制御コマンドデータへ付加し、第2個体認証データが付加された認証データ付制御信号を構成する。なお、制御コマンドのグループ分けの方法は、実施の形態1と同様である。
【0201】
[4]制御信号の送信
主制御部10は、認証データ付制御信号を周辺部30(演出制御部203)及び周辺部30(演出制御部203)を介して後段部20に送信する。
【0202】
<後段部>
以下、後段部20における認証に関する処理について詳細に説明する。それ以外は実施の形態1と同様であるため、説明を省略する。
後段部20を構成するROM20bには、主制御部10を構成するROM10bに記憶されている所定のデータと同一のデータが予め記憶されている。本実施の形態2では、主制御部10での個体検査値の生成の際に、主制御部10を構成するROM10bに記憶されている所定のデータを分割しない。このため、後段部20及び周辺部30(演出制御部203)は、個体認証期待値として、実施の形態1のように所定のデータと同一のデータに対して結合法則を満たす2項演算を施して得られた演算値(変動値)を用いるのではなく、所定のデータと同一のデータそのもの(固定値)を用いることとなる。
【0203】
[1]制御信号の受信・識別
後段部20は、実施の形態1と同様に、周辺部30(演出制御部203)から送信された制御信号を受信すると、受信した制御信号にて示された制御コマンドの種類を確認する。受信した制御信号が第1グループの制御コマンドに該当する場合は、受信した制御信号は、第1個体認証データが付加された認証データ付制御信号であると判断し、これを用いて後段部20で個体認証を行う。一方、受信した制御信号が第1グループの制御コマンドに該当しない場合は、認証処理は行わず認証未実施データを生成する。
【0204】
[2]第1個体検査値の抽出
後段部20は、第1個体認証データが付加された認証データ付制御信号から第1個体認証データを抽出する。次に後段部20は、抽出した第1個体認証データから第1個体検査値を抽出してRAM20cの所定の記憶領域である個体検査値用メモリに記憶する。
【0205】
[3]第1個体検査値を用いた個体認証
後段部20は、個体検査値用メモリ内に記憶されている第1個体検査値を用いて主制御部10の個体認証処理を行う。本実施の形態2では、主制御部10での個体検査値の生成の際に、主制御部10を構成するROM10bに記憶されている所定のデータを分割しない。このため、個体検査値は固定値であり、後段部20及び周辺部30(演出制御部203)は、受信した個体検査値に対して結合処理を施さず、受信した個体検査値そのものを各々が予め保持する個体認証期待値と照合する。
【0206】
{1}後段部20は、個体検査値用メモリから読み出した第1個体検査値とROM20bの所定の記憶領域から読み出した第1個体認証期待値とを照合する。後段部20は、第1個体検査値と第1個体認証期待値とが一致する場合、主制御部10の個体認証に成功したと判断する。一方、後段部20は、第1個体検査値と第1個体認証期待値とが一致しなかった場合、主制御部10の個体認証は不成功であったと判断する。
{2}{1}の処理で個体認証に成功した場合、後段部20は、第1個体検査値を用いた個体認証が成功であったことを示す第1個体認証結果を生成する。
{3}{1}の処理で個体認証に不成功であった場合、後段部20は、第1個体検査値を用いた個体認証が不成功であったことを示す第1個体認証結果を生成する。
本実施の形態2において、個体検査値は固定値のため、第1個体検査値と第1個体認証期待値とが一致しなかった場合は、直ちに主制御部10の個体認証は不成功であったと判断することができる。従って、実施の形態1において成功又は不成功を示す第1個体認証結果に代えて生成した認証中途データは、本実施の形態2では生成しない。
【0207】
[4]認証結果信号の生成・送信
後段部20は、[3]の処理で得られた第1個体認証結果、及び[1]の処理で得られた認証未実施データに基づいて認証結果信号(成功、不成功、又は認証未実施のいずれか)を生成し、演出制御部203へ送信する。
【0208】
<演出制御部>
以下、周辺部30の一つである演出制御部203が認証に関する処理を行う場合について詳細に説明する。それ以外は実施の形態1と同様であるため、説明を省略する。
演出制御部203を構成するROM203bにも、後段部20と同様に、主制御部10を構成するROM10bに記憶されている所定のデータと同一のデータが予め記憶されており、所定のデータと同一のデータそのものを第2個体認証期待値として用いる。
【0209】
[1]制御信号の受信
演出制御部203は、主制御部10から送信された制御信号を受信すると、受信した制御信号にて示された制御コマンドの種類を確認する。
【0210】
[2]制御信号の識別・後段部への制御信号の送信
演出制御部203は、受信した制御信号に含まれる制御コマンドデータの種類にかかわらず、当該制御信号と同一内容の制御信号を一旦そのまま後段部20へ送信する。また、演出制御部203は、受信した制御信号が第2グループの制御コマンドに該当しない場合は、演出制御部203で認証処理は行わず上記演出に関する処理を実行すべく、以下の[5]−{1}の処理を実行する。また、演出制御部203は、演出制御部203は、受信した制御信号が第2グループの制御コマンドに該当する場合は、これを用いて演出制御部203で個体認証を行うべく、以下の[3]及び[4]の処理を実行する。
【0211】
[3]第2個体検査値の抽出
演出制御部203は、第2個体認証データが付加された認証データ付制御信号から第2個体認証データを抽出する。次に演出制御部203は、抽出した第2個体認証データから第2個体検査値を抽出してRAM203cの所定の記憶領域である個体検査値用メモリに記憶する。
【0212】
[4]第2個体検査値を用いた個体認証
演出制御部203は、個体検査値用メモリ内に記憶されている第2個体検査値を用いて主制御部10の個体認証処理を行う。本実施の形態2では、後段部20と同様に結合処理は行わず、受信した第2個体検査値そのものを演出制御部203を構成するROM203bの所定の記憶領域に予め記憶された第2個体認証期待値と照合する。
【0213】
{1}演出制御部203は、個体検査値用メモリから読み出した第2個体検査値とROM203bの所定の記憶領域から読み出した第2個体認証期待値とが一致する場合、主制御部10の個体認証に成功したと判断する。一方、演出制御部203は、第2個体検査値と第2個体認証期待値とが一致しなかった場合、主制御部10の個体認証は不成功であったと判断する。
{2}{1}の処理で個体認証に成功した場合、演出制御部203は、第2個体検査値を用いた個体認証に成功したと判断し、少なくとも今回の認証に関する処理ではパチンコ遊技機1の正規性を認証することができたと判断し、以下の[5]―{1}の処理を行う。
{3}{1}の処理で個体認証に不成功であった場合、演出制御部203は、第2個体検査値を用いた個体認証が不成功であったと判断し、パチンコ遊技機1で不正行為や誤動作が発生したおそれがあると判断し、以下の[5]−{2}の処理を行う。
【0214】
[5]認証結果に基づく処理
{1−1}演出制御部203は、[2]の処理、及び[4]−{2}の処理において、少なくとも今回の認証に関する処理ではパチンコ遊技機1で不正行為や誤動作が検知されていないと判断された場合、受信した制御信号を構成する制御コマンドデータ及び付随データに基づいて、上記演出に関する処理を実行させる。
{1−2}演出制御部203は、後段部20より送信される認証結果信号を受信したか否かを確認する。演出制御部203は、認証結果信号が認証不成功を示す結果出ない場合(成功、認証未実施のいずれか)は、後段部20が個体認証に成功しているとみなし、認証に関する処理を終了する。一方、演出制御部203は、認証結果信号が認証不成功を示す結果である場合は、後段部20における個体認証が不成功であったと判断し、パチンコ遊技機1で不正行為や誤動作が発生したおそれがあると判断して、その旨を報知すべく、以下の{2}の処理を実行する。
【0215】
{2}演出制御部203は、[4]−{3}の処理において、パチンコ遊技機1で不正行為や誤動作が発生したおそれがあると判断された場合、その旨を報知するために報知信号を生成し、報知部へ転送する。[5]−{1−2}の処理において、後段部20より認証不成功を示す認証結果信号を受信した場合も同様である。そして、演出制御部203は、不正行為等を検知した旨を報知する報知処理を行うとともに、受信した制御信号を構成する制御コマンドデータ及び付随データを破棄し、上記演出に関する処理を中断し、認証に関する処理を終了する。なお、報知処理に関しては、実施の形態1と同様であるため、説明を省略する。
【0216】
以下、主制御部10と後段部20及び演出制御部203との間で行う認証に関する処理の手順について説明する。実施の形態1と認証に関する処理の手順で異なるもののみ、図13〜図15に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0217】
図13は、主制御部10による認証に関する処理の手順の一例を示すフローチャートである。主制御部10は、制御信号の送信タイミングとなると(ステップS61:YES)、所定の制御コマンドの中の第1グループの制御コマンドの送信タイミングであるか否かを判断する(S64)。そして、主制御部10は、第1グループの制御コマンドの送信タイミングの場合(ステップS64:YES)、主制御部10は、まず、前回の認証に関する処理の際などで既に生成した第1個体認証データが未送信のまま保持されていないかを確認する(ステップS65)。未送信の第1個体認証データが保持されていた場合(ステップS65:YES)、主制御部10は、第1個体認証データを第1グループの制御コマンドデータに付加し、演出制御部203へ送信しておく。なお、本実施の形態2では、所定のデータを分割して個体検査値を生成しないため、1回の認証処理では、1つの制御コマンドグループの制御コマンドデータに対し、1つの個体検査値(個体認証データ)が付加されるため、ステップS65の処理は省略することも可能である。
【0218】
未送信の第1個体認証データが保持されていない場合(ステップS65:NO)、主制御部10は、ステップS66の処理は実行せずに、所定のデータを用いて第1個体検査値とし(ステップS67)、暗号化処理を施して第1個体認証データを生成する(ステップS68)。その後、主制御部10は、生成した第1個体認証データを第1グループの制御コマンドデータに付加し(ステップS69)、第1個体認証データが付加された認証データ付制御信号を演出制御部203へ送信し(ステップS70)、本フローチャートによる処理を終了する。本実施の形態2では、所定のデータを分割して個体検査値を生成しないため、ステップS76の処理は実行しない。
【0219】
一方、主制御部10は、第1グループの制御コマンドの送信タイミングでない場合(ステップS64:NO)、送信する制御信号に含まれる制御コマンドデータの内容が、所定の制御コマンドの中の第1グループの制御コマンドに該当しない場合(ステップS64:NO)、主制御部10は、第2グループの制御コマンドの制御信号を送信するとして、まず、前回の認証に関する処理の際などで既に生成した第2個体認証データが未送信のまま保持されていないかを確認する(ステップS71)。未送信の第2個体認証データが保持されていた場合(ステップS71:YES)、主制御部10は、第2個体認証データを第2グループの制御コマンドデータに付加し、演出制御部203へ送信しておく。なお、ステップS71の処理もステップS65の処理と同様に省略可能である。
【0220】
未送信の第2個体認証データが保持されていない場合(ステップS71:NO)、主制御部10は、ステップS72の処理は実行せずに、所定のデータを用いて第2個体検査値とし(ステップS73)、暗号化処理を施して第2個体認証データを生成する(ステップS74)。その後、主制御部10は、生成した第2個体認証データを第2グループの制御コマンドデータに付加し(ステップS75)、第2個体認証データが付加された認証データ付制御信号を演出制御部203へ送信し(ステップS70)、本フローチャートによる処理を終了する。
【0221】
次に、後段部20による認証に関する処理について説明する。図14は、後段部20による認証に関する処理の手順の一例を示すフローチャートである。後段部20は、演出制御部203から送信された制御信号を受信すると(ステップS81:YES)、受信した制御信号が、第1グループの制御コマンドに該当するか否かを判断する(ステップS82)。第1グループの制御コマンドに該当する場合(ステップS82:YES)、後段部20は、受信した制御信号は、第1個体認証データが付加された認証データ付制御信号であると判断し、第1個体検査値を用いた個体認証を開始する。一方、受信した制御信号が、第1グループの制御コマンドに該当しない場合(ステップS82:NO)、後段部20は、受信した制御信号は、第1個体認証データが付加された認証データ付制御信号ではないと判断し、認証未実施データを生成し(ステップS90)、ステップS91へ進む。
【0222】
続いて、後段部20は、第1個体検査値を用いた個体認証として、まず、受信した認証データ付制御信号に含まれる第1個体認証データを抽出し、さらに第1個体検査値を抽出する(ステップS83)。そして、後段部20は、ステップS84の処理は実行せず、主制御部10より送信された第1個体検査値と予め保持する第1個体認証期待値とを照合し、第1個体検査値と第1個体認証期待値とが一致するか否かを判断する(ステップS85)。両者が一致する場合(ステップS85:YES)、主制御部10に対する第1個体検査値を用いた個体認証は成功であったと判断し、その旨を示す第1個体認証結果を生成し(ステップS86)、ステップS91へ進む。一方、両者が一致しない場合(ステップS85:NO)、本実施の形態2では、所定のデータを分割して個体検査値を生成しないため、ステップS87の処理は実行せずに、主制御部10に対する第1個体検査値を用いた個体認証は不成功であったと判断する。そして、後段部20は、不成功を示す第1個体認証結果を生成し(ステップS88)、ステップS91へ進む。そして、後段部20は、成功を示す第1個体認証結果、不成功を示す第1個体認証結果、又は認証未実施データの3通りの認証結果のいずれかの内容を示す認証結果信号を生成し(ステップS91)、演出制御部203へ送信した後(ステップ91)、受信した制御信号を破棄し(ステップS92)、本フローチャートによる処理を終了する。
【0223】
次に、演出制御部203による認証に関する処理について説明する。図15は、演出制御部203による認証に関する処理の手順の一例を示すフローチャートである。演出制御部203は、主制御部10から送信された制御信号を受信すると(ステップS101:YES)、受信した制御信号と同一内容の制御信号を一旦そのまま後段部20へ送信する(ステップS102)。その後、演出制御部203は、受信した制御信号が、第2グループの制御コマンドに該当するか否かを判断する(ステップS103)。第2グループの制御コマンドに該当する場合(ステップS103:YES)、演出制御部203は、受信した制御信号は、第2個体認証データが付加された認証データ付制御信号であると判断し、第2個体検査値を用いた個体認証を開始する。一方、受信した制御信号が、第2グループの制御コマンドに該当しない場合(ステップS103:NO)、演出制御部203は、受信した制御信号は、第2個体認証データが付加された認証データ付制御信号ではないと判断し、ステップS107へ進む。
【0224】
続いて、演出制御部203は、第2個体検査値を用いた個体認証として、まず、受信した認証データ付制御信号に含まれる第2個体認証データを抽出し、さらに第2個体検査値を抽出する(ステップS104)。そして、演出制御部203は、ステップS105の処理は実行せず、主制御部10より送信された第2個体検査値と予め保持する第2個体認証期待値とを照合し、第2個体検査値と第2個体認証期待値とが一致するか否かを判断する(ステップS106)。両者が一致する場合(ステップS106:YES)、演出制御部203は、主制御部10に対する第2個体検査値を用いた個体認証は成功であったと判断し、ステップS107へ進む。一方、両者が一致しない場合(ステップS106:NO)、本実施の形態2では、所定のデータを分割して個体検査値を生成しないため、ステップS108の処理は実行せずに、演出制御部203は、主制御部10に対する第2個体検査値を用いた個体認証は不成功であったと判断し、ステップS109へ進む。
【0225】
演出制御部203は、少なくとも今回の認証に関する処理ではパチンコ遊技機1で不正行為や誤動作が検知されていないと判断した場合、演出処理を実行させる(ステップS107)。また、演出制御部203は、パチンコ遊技機1で不正行為や誤動作が発生したおそれがあると判断された場合(ステップS106:NO)、報知信号を生成し、報知部へ転送する(ステップS109)。そして演出制御部203は、受信した制御信号に含まれる制御コマンドデータ及び付随データを破棄し(ステップS110)、本フローチャートによる処理を終了する。
【0226】
また、演出制御部203は、後段部20より認証結果信号を受信した場合(ステップS111:YES)、当該認証結果信号が、不成功を示す第1個体認証結果を表した信号に該当するか否かを判断する(ステップS112)。受信した認証結果信号が、不成功を示す第1個体認証結果を表した信号に該当する場合(ステップS112:YES)、演出制御部203は、主制御部10に対する第1個体検査値を用いた個体認証は不成功であったと判断し、報知信号を生成して報知部へ転送し(ステップS113)、本フローチャートによる処理を終了する。
【0227】
一方、受信した認証結果信号が、不成功を示す第1個体認証結果を表した信号に該当しない場合(ステップS112:NO)、演出制御部203は、ステップS114及びステップS115の代わりに、受信した認証結果信号が成功を示す第1個体認証結果又は認証未実施データのいずれかを示すか否かを判断する。受信した認証結果信号がどちらかに該当する場合、演出制御部203は、主制御部10に対する第1個体検査値を用いた個体認証が不成功であったと判断できる段階ではなく、少なくとも今回の認証に関する処理ではパチンコ遊技機1で不正行為や誤動作が検知されていないと判断し、本フローチャートによる処理を終了する。また、受信した認証結果信号がどちらかにも該当しない場合、演出制御部203は、後段部20での第1個体検査値を用いた個体認証が不成功であったと断定できないものの、パチンコ遊技機1で不正行為や誤動作が発生したおそれがあると判断し、報知信号を生成して報知部へ転送し(ステップS113)、本フローチャートによる処理を終了する。
【0228】
以上説明したように、本実施の形態2のパチンコ遊技機1は、主制御部10において個体検査値を生成する際に所定のデータを分割せず、固定値の個体検査値を後段部20又は演出制御部203へ送信し、後段部20及び演出制御部203では、受信した個体検査値に対し結合処理を施さず、予め保持する個体認証期待値と照合する。しかしながら、本実施の形態2においても、主制御部10の個体認証を行う機能を後段部20と演出制御部203とで別個に保有し、主制御部10にて送信タイミングとなった制御コマンドが属する制御コマンドグループが替わるごとに、後段部20と演出制御部203のどちらで主制御部10の個体認証を行うかを変更している。よって、不正行為者は、主制御部10での個体検査値の送信タイミングや個体認証処理の実行場所(後段部20又は演出制御部203)の変更タイミング等を知ることがでない。従って、本実施の形態2では、主制御部10、後段部20、及び演出制御部203の間の処理における認証強度の向上を図りながらも、認証処理の内容を簡便にすることができ、低コストで実効性の高い認証機能を提供することができる。
【0229】
また、本実施の形態2においても、後段部20及び演出制御部203での認証に関する処理として、後段部20は、主制御部10で生成された第1個体検査値を用いた個体認証を行い、その結果如何に拘わらず同一データ長の認証結果信号を生成し(成功、不成功、又は認証未実施のいずれか)、演出制御部203へ送信する。よって、不正行為者が、後段部20と演出制御部203との間で送受信されるデータ信号を不正に窃取したとしても認証結果信号の内容が切り替わるタイミングを知ることができないため、後段部20と演出制御部203との間の処理における認証強度を向上させることができる。
【0230】
<<実施の形態3>>
実施の形態1及び2では、後段部20と演出制御部203とは別個のハードウェア構成とする例を示したが、これに限定されない。
例えば、実施の形態1及び2に関していえば、後段部20を構成するCPU20aが有する機能と演出制御部203を構成するCPU203aが有する機能を1個のCPUが有するように構成するとともに、後段部20を構成するROM20bに記憶されているプログラムコードやそれ以外の固定データと演出制御部203を構成するROM203bに記憶されているプログラムコードやそれ以外の固定データを1個のROMに記憶するように構成してもよい。この場合、後段部20と演出制御部203との間におけるデータの送受信は、例えば、後段部20を構成するRAM20cのワークエリアとして機能するとともに、演出制御部203を構成するRAM203cのワークエリアとして機能する1個のRAMにおいて、ある記憶領域から他の記憶領域へのデータの複写や参照すべきアドレスの書き換えなどにより実現することができる。
【0231】
但し、上記のような場合、1個のCPUが2個のCPUの機能を備えることになるので、一般的には処理負荷が増大する。そこで、例えば、デュアルCPUの構成により後段部20の処理を行う、などが考えられる。
【0232】
本実施の形態3のパチンコ遊技機1は後段部20と演出制御部203とを1個のソフトウェアで構成したので、実施の形態1及び2において得られる効果の他に、さらに以下に示す効果が得られる。
【0233】
1.並行開発及び情報セキュリティ向上
演出制御部と後段部とがソフトウェア構成上分離独立している場合は、演出制御部及び後段部をそれぞれ並行して個別に開発することが可能であり、これにより、例えば、以下に示す効果が得られる。
【0234】
[1]演出制御部と後段部とについて同時に設計、開発を行うことができるため、並行開発できない場合と比較して、製品の開発期間を短縮することができる。
[2]演出制御部と後段部とについてそれぞれ独立した開発体制をとることができるため、演出制御部と後段部の設計製造検証を行う際の業務上の機密情報(例えば、認証処理の方式など、遊技に関する処理など)を、それぞれの開発体制外に流出させる可能性を減らすことができる。
【0235】
2.検証の容易性
演出制御部と後段部とがソフトウェア構成上分離独立している場合は、演出制御部及び後段部に対しそれぞれ個別に検証を行うことが可能である。したがって、演出制御部と後段部とが分離されていないものに対する検証を行う場合と比較し、それぞれの機能が狭い機能で閉じているため、短期間かつ少人数で検証を行うことができる。
【0236】
3.認証用のハードウェアとして、演出制御部とは別個のCPU又は専用集積回路などを設けることができない場合であっても、ソフトウェアで容易に認証機能を追加することができる。
【0237】
4.演出制御部の処理負荷軽減
後段部に実装する認証機能を演出制御部のソフトウェアで実装する場合、演出制御部の処理負荷が増大することになる。そこで、演出制御部を構成するCPUとしてデュアルコアCPUを用いることが考えられる。認証処理を実現するための処理負荷をデュアルコアCPUを利用することによって、処理の分散を図ることが可能になるため、演出制御部の既存の遊技処理をできる限り影響しないように、認証機能を追加することができ、認証機能の実現が容易になる。
【0238】
<<その他の実施の形態>>
本発明の具体的な構成は上記各実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
例えば、実施の形態1及び2では、演出制御部203の後段に後段部20を設ける例を示したが、これに限定されず、賞球制御部204の後段に後段部20を設けてもよい。この場合、賞球制御部204は報知手段を備えていないが、主制御部10と賞球制御部204との間は双方向通信が可能であるので、認証が不成功となった場合には、賞球制御部204から主制御部10に対して、制御コマンドデータ及び付随データとともに認証が不成功となった旨のデータを送信するように構成してもよい。そして、主制御部10は、上記不成功となった旨のデータを中演出制御部203に送信し、演出制御部203において、不成功となった旨のデータに基づいて、不正行為が行われたことを報知させる。
また、上記各実施の形態に係るパチンコ遊技機1では、後段部20をCPU、ROM、RAM等を備えて構成しているが、同様の機能を持たせたLSI等の集積回路として実現するようにしてもよい。
【0239】
また、上記各実施の形態では、主制御部10と、後段部20及び周辺部30は少なくとも別個のCPU、ROM、RAM等を備えて構成され、各部の機能は別個のプログラム上で実現されているが、一つのミドルウェアで、各部の機能を実現するように構成してもよい。これにより、遊技機の新機種開発において、汎用性の高いミドルウェアとして認証機能を付加させることができ、他機種への水平展開が容易となり機種ごとの設計変更は軽微なもので済むため、低コスト化の実現に貢献することができる。
【0240】
また、上記各実施の形態では、本発明をパチンコ遊技機に適用する例を示したが、これに限定されず、本発明は、雀球遊技機、アレンジボール等のパチンコ遊技機以外の弾球遊技機、スロットマシン等の回胴式遊技機などの他の遊技機にも適用することができる。これらの遊技機においても、上記各実施の形態と同様に構成することにより、上記各実施の形態と同様の効果を得ることができる。
また、上記各実施の形態は、その目的及び構成等に特に矛盾や問題がない限り、互いの技術を流用することができる。
【符号の説明】
【0241】
1 パチンコ遊技機
10 主制御部
10a,20a,203a,204a CPU
10b,20b,203b,204b ROM
10c,20c,203c,204c RAM
11 データ記憶部
12 個体検査値生成部
13 付加部
14 送信部
20 後段部
21 受信部
22 識別部
23 第1期待値記憶部
24 第1個体認証部
25 送信部
30 周辺部
31a 受信部
31b 受信部
32 識別部
33 送信部
34 第2期待値記憶部
35 第2個体認証部
36 報知部
203 演出制御部
203d VRAM
204 賞球制御部
301a 第1グループの制御コマンドデータ
301b 第2グループの制御コマンドデータ
301c 第1及び第2グループ以外の制御コマンドデータ
302 付随データ
303a 第1個体認証データ
303b 第2個体認証データ
305 中間認証情報
310 通常の制御信号
320 第1個体認証データが付加された認証データ付制御信号
330 第2個体認証データが付加された認証データ付制御信号
340 中間認証情報付制御信号


【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御コマンドを示す制御信号を出力する主制御部と、前記制御コマンドに応じた処理を行う周辺部と、後段部とを備える遊技機であって、
前記主制御部は、
前記制御コマンドに対応するデータの全部又は一部を第1グループに属する制御コマンドに対応する第1データと第2グループに属する制御コマンドに対応する第2データとに少なくとも分類して、記憶するデータ記憶部と、
前記第1データに対応される第1検査値及び前記第2データに対応される第2検査値を生成する検査値生成部と、
前記周辺部に処理を行わせるために制御信号として出力される制御コマンドが前記第1グループに属する場合には前記第1データに前記第1検査値を付加して第1制御信号を構成し、前記制御コマンドが前記第2グループに属する場合には前記第2データに前記第2検査値を付加して第2制御信号を構成する付加部と、
前記第1制御信号又は前記第2制御信号を前記周辺部へ送信する第1送信部とを備え、
前記後段部は、
前記第1検査値に対応する第1演算値を記憶する第1演算値記憶部と、
前記第1送信部より前記周辺部を介して送信された前記第1制御信号を少なくとも受信する第1受信部と、
前記第1受信部が受信した制御信号にて示された制御コマンドが前記第1グループに属する制御コマンドであるか否かを識別する第1識別部と、
前記第1識別部で識別された前記第1グループに属する制御コマンドを示す前記第1制御信号に含まれる前記第1検査値と前記第1演算値とが対応するか否かに基づいて前記主制御部の個体の正当性を認証する第1認証部と、
前記第1認証部が得た認証結果を示す認証結果信号を前記周辺部へ送信する第2送信部とを備え、
前記周辺部は、
前記第2検査値に対応する第2演算値を記憶する第2演算値記憶部と、
前記第1送信部より送信された前記第1制御信号又は前記第2制御信号、或いは前記第2送信部より送信された前記認証結果信号を受信する第2受信部と、
前記第2受信部が受信した制御信号にて示された制御コマンドが前記第2グループに属する制御コマンドであるか否かを識別する第2識別部と、
前記第1送信部より送信された前記第1制御信号を前記後段部に少なくとも送信する第3送信部と、
前記第2受信部が受信した前記認証結果信号が前記主制御部の個体の正当性が認証されたことを示しているか否か、又は、前記第2識別部で識別された前記第2グループに属する制御コマンドを示す前記第2制御信号に含まれる前記第2検査値が前記第2演算値と対応するか否かに基づいて前記主制御部の個体の正当性を認証する第2認証部と、
前記第2認証部が得た認証結果に応じた処理を行う処理部とを備える
ことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記検査値生成部は、前記周辺部に処理を行わせるために制御信号として出力される制御コマンドが前記第1グループに属する場合には前記データ記憶部に記憶されている所定のデータを分割し、分割された各データのそれぞれに対して結合法則を満たす2項演算を施して前記第1検査値を生成するとともに、前記周辺部に処理を行わせるために制御信号として出力される制御コマンドが前記第2グループに属する場合には前記データ記憶部に記憶されている所定のデータを分割し、分割された各データのそれぞれに対して結合法則を満たす2項演算を施して前記第2検査値を生成し、
前記第1演算値記憶部は、前記データ記憶部に記憶されている前記第1検査値の生成の際に用いられた前記所定のデータと同一のデータに対し前記第1検査値の生成の際に用いられた前記2項演算を施して得られた前記第1演算値を記憶し、
前記第2演算値記憶部は、前記データ記憶部に記憶されている前記第2検査値の生成の際に用いられた前記所定のデータと同一のデータに対し前記第2検査値の生成の際に用いられた前記2項演算を施して得られた前記第2演算値を記憶し、
前記第1認証部は、前記第1識別部で識別された前記第1グループに属する制御コマンドを示す前記第1制御信号に含まれる前記第1検査値に対し前記第1検査値の生成の際に用いられた前記2項演算を施して得られた演算結果と、前記第1演算値とが対応するか否かに基づいて前記主制御部の個体の正当性を認証し、
前記第2認証部は、前記第2受信部が受信した前記認証結果信号が前記主制御部の個体の正当性が認証されたことを示しているか否か、又は、前記第2識別部で識別された前記第2グループに属する制御コマンドを示す前記第2制御信号に含まれる前記第2検査値に対し前記第2検査値の生成の際に用いられた前記2項演算を施して得られた演算結果と前記第2演算値とが対応するか否かに基づいて前記主制御部の個体の正当性を認証する
ことを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
前記データ記憶部には、前記主制御部から出力される前記第1グループに属する制御コマンドを示す前記制御信号の出力頻度が、前記主制御部から出力される前記第2グループに属する制御コマンドを示す前記制御信号の出力頻度よりも高くなるように設定された前記第1データ及び前記第2データが記憶されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の遊技機。
【請求項4】
前記第1グループに属する制御コマンドは、
前記周辺部に抽選時の抽選結果がはずれの場合の処理を実行させるためのはずれコマンド、
前記周辺部に非遊技状態におけるデモ表示を実行させるための客待ちデモコマンド、
前記周辺部に非遊技状態におけるデモ表示を停止させるための客待ちデモ停止コマンド、
の中の少なくとも1つであり、
前記第2グループに属する制御コマンドは、
大当たり中の各ラウンドに対応する大当たりコマンド、
大当たり状態の処理を開始させるための大当たり開始コマンド、
大当たり状態の処理を終了させるための大当たり終了コマンド、
前記周辺部に大当たり前のリーチ状態の処理を実行させるための大当たりリーチコマンド、
小当たり中の各ラウンドに対応する小当たりコマンド、
前記周辺部に電源投入時の処理を実行させるための電源投入コマンド、
の中の少なくとも1つである
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の遊技機。
【請求項5】
前記データ記憶部には、前記周辺部での前記第1グループに属する制御コマンドに応じた処理を行う際の処理負荷が、前記周辺部での前記第2グループに属する制御コマンドに応じた処理を行う際の処理負荷よりも大きくなるように設定された前記第1データ及び前記第2データが記憶されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の遊技機。
【請求項6】
前記第1グループに属する制御コマンドは、
大当たり中の各ラウンドに対応する大当たりコマンド、
大当たり状態の処理を開始させるための大当たり開始コマンド、
大当たり状態の処理を終了させるための大当たり終了コマンド、
前記周辺部に大当たり前のリーチ状態の処理を実行させるための大当たりリーチコマンド、
小当たり中の各ラウンドに対応する小当たりコマンド、
前記周辺部に抽選時の抽選結果がはずれの場合の処理を実行させるためのはずれコマンド、
の中の少なくとも1つであり、
前記第2グループに属する制御コマンドは、
前記周辺部に非遊技状態におけるデモ表示を実行させるための客待ちデモコマンド、
前記周辺部に非遊技状態におけるデモ表示を停止させるための客待ちデモ停止コマンド、
前記周辺部に電源投入時の処理を実行させるための電源投入コマンド、
の中の少なくとも1つである
ことを特徴とする請求項1、2又は5に記載の遊技機。
【請求項7】
前記検査値生成部は、前記第1検査値を第1暗号化方式で暗号化し、
前記検査値生成部は、前記第2検査値を第2暗号化方式で暗号化し、
前記第1認証部は、前記検査値生成部で暗号化された前記第1検査値を前記第1暗号化方式に対応する復号化方式で復号化して前記主制御部の個体の正当性を認証し、得られた認証結果を第3暗号化方式で暗号化し、
前記第2認証部は、前記第1認証部で暗号化された前記第1認証部が得た前記認証結果を前記第3暗号化方式に対応する復号化方式で復号化し、又は、前記検査値生成部で暗号化された前記第2検査値を前記第2暗号化方式に対応する復号化方式で復号化する
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の遊技機。
【請求項8】
前記検査値生成部は、前記第1検査値と、前記第1データ又は該第1データの付随データの少なくとも1つとを併せたデータを暗号化する、或いは、前記第2検査値と、前記第2データ又は該第2データの付随データの少なくとも1つとを併せたデータを暗号化することを特徴とする請求項7に記載の遊技機。
【請求項9】
前記主制御部は、前記検査値生成部が前記データ記憶部に記憶されている前記所定のデータを分割して前記第1検査値及び前記第2検査値を生成する場合には、前記所定のデータを分割する分割数を決定する決定部をさらに備えることを特徴とする請求項7又は8に記載の遊技機。
【請求項10】
前記主制御部は、前記検査値生成部が前記データ記憶部に記憶されている前記所定のデータをして前記第1検査値及び前記第2検査値を生成する場合には、前記所定のデータを分割するデータ量を決定する決定部をさらに備えることを特徴とする請求項7又は8に記載の遊技機。
【請求項11】
前記検査値生成部は、複数の暗号化方式にて暗号化可能であり、前記分割数に基づいて、前記第1暗号化方式又は前記第2暗号化方式を変更し、
前記第1認証部は、複数の暗号化方式にて暗号化可能及び複数の復号化方式にて復号化可能であり、前記主制御部の個体の正当性を認証した際に前記2項演算の対象となった前記第1検査値の数に基づいて、前記第1暗号化方式に対応する復号化方式又は前記第3暗号化方式を変更し、
前記第2認証部は、複数の復号化方式にて復号化可能であり、前記主制御部の個体の正当性を認証した際に前記2項演算の対象となった前記第1検査値の数に基づいて前記第3暗号化方式に対応する復号化方式を変更し、又は、前記主制御部の個体の正当性を認証した際に前記2項演算の対象となった前記第2検査値の数に基づいて前記第2暗号化方式に対応する復号化方式を変更する
ことを特徴とする請求項9に記載の遊技機。
【請求項12】
前記検査値生成部は、複数の暗号化方式にて暗号化可能であり、前記データ記憶部に記憶されている前記所定のデータを前記データ量で分割して得られた前記所定のデータのブロックの数に基づいて、前記第1暗号化方式又は前記第2暗号化方式を変更し、
前記第1認証部は、複数の暗号化方式にて暗号化可能及び複数の復号化方式にて復号化可能であり、前記主制御部の個体の正当性を認証した際に前記2項演算の対象となった前記第1検査値の数に基づいて、前記第1暗号化方式に対応する復号化方式又は前記第3暗号化方式を変更し、
前記第2認証部は、複数の復号化方式にて復号化可能であり、前記主制御部の個体の正当性を認証した際に前記2項演算の対象となった前記第1検査値の数に基づいて前記第3暗号化方式に対応する復号化方式を変更し、又は、前記主制御部の個体の正当性を認証した際に前記2項演算の対象となった前記第2検査値の数に基づいて前記第2暗号化方式に対応する復号化方式を変更する
ことを特徴とする請求項10に記載の遊技機。
【請求項13】
前記データ記憶部に記憶されている前記所定のデータは、前記主制御部が実行する処理を表す所定のプログラムコードを含むことを特徴とする請求項1乃至12のいずれかに記載の遊技機。
【請求項14】
前記処理部は、前記第2認証部が得た前記認証結果が前記主制御部の個体の正当性を認証することに不成功であったことを示す場合には、その旨を報知する処理を実行することを特徴とする請求項1乃至13のいずれかに記載の遊技機。
【請求項15】
周辺部又は後段部によって個体の正当性を認証され、制御コマンドを示す制御信号を出力する遊技機の主制御部であって、
前記制御コマンドに対応するデータの全部又は一部を第1グループに属する制御コマンドに対応する第1データと第2グループに属する制御コマンドに対応する第2データとに少なくとも分類し、記憶するデータ記憶部と、
前記主制御部の個体の正当性を認証する際に用い、前記第1データに対応される第1検査値及び前記第2データに対応される第2検査値を生成する検査値生成部と、
前記周辺部に処理を行わせるために制御信号として出力される制御コマンドが前記第1グループに属する場合には前記第1データに前記第1検査値を付加して第1制御信号を構成し、前記周辺部に処理を行わせるために制御信号として出力される制御コマンドが前記第2グループに属する場合には前記第2データに前記第2検査値を付加して第2制御信号を構成する付加部と、
前記第1制御信号又は前記第2制御信号を前記周辺部へ送信する送信部とを備える
ことを特徴とする主制御部。
【請求項16】
請求項15に記載の主制御部が搭載されていることを特徴とする遊技機の主制御基板。
【請求項17】
請求項15に記載の主制御部と、該主制御部の個体の正当性を認証する周辺部とを備えた遊技機に設けられた後段部であって、
前記第1検査値に対応する演算値を記憶する演算値記憶部と、
前記主制御部より前記周辺部を介して送信された前記第1制御信号を少なくとも受信する受信部と、
前記受信部にて受信した制御信号にて示された制御コマンドが前記第1グループに属する制御コマンドであるか否かを識別する識別部と、
前記識別部で識別された前記第1グループに属する制御コマンドを示す前記第1制御信号に含まれる前記第1検査値と前記演算値とが対応するか否かに基づいて前記主制御部の個体の正当性を認証する認証部と、
前記認証部が得た認証結果を示す認証結果信号を前記周辺部へ送信する送信部とを備える
ことを特徴とする後段部。
【請求項18】
請求項15に記載の主制御部と、該主制御部の個体の正当性を認証する後段部とを備えた遊技機に設けられた周辺部であって、
前記第2検査値に対応する演算値を記憶する演算値記憶部と、
前記第1制御信号、又は前記第2制御信号、或いは前記後段部にて生成され送信された前記第1検査値を用いて得られた前記主制御部の個体の正当性に関する認証結果を示す認証結果信号を受信する受信部と、
前記受信部が受信した制御信号にて示される制御コマンドが前記第2グループに属する制御コマンドであるか否かを識別する識別部と、
前記主制御部の前記送信部より送信された前記第1制御信号を前記後段部に少なくとも送信する送信部と、
前記受信部が受信した前記認証結果信号が前記主制御部の個体の正当性が認証されたことを示しているか否か、又は、前記識別部で識別された前記第2グループに属する制御コマンドを示す前記第2制御信号に含まれる前記第2検査値が前記演算値と対応するか否かに基づいて前記主制御部の個体の正当性を認証する認証部と、
前記認証部が得た認証結果に応じた処理を行う処理部とを備える
ことを特徴とする周辺部。
【請求項19】
請求項17又は18に記載の周辺部及び後段部が搭載されていることを特徴とする遊技機の周辺基板
【請求項20】
制御コマンドを示す制御信号を出力する主制御部と、前記制御コマンドに応じた処理を行う周辺部と、後段部とを備える遊技機に用いられる認証方法であって、
前記主制御部が、前記周辺部に処理を行わせるために制御信号として出力される制御コマンドが第1グループに属する制御コマンドである場合には第1検査値を生成する第1のステップと、
前記主制御部が、前記第1のステップで生成された前記第1検査値を前記第1グループに属する制御コマンドに対応する第1データに付加して第1制御信号を構成し、前記周辺部へ送信する第2のステップと、
前記主制御部が、前記周辺部に処理を行わせるために制御信号として出力される制御コマンドが第2グループに属する制御コマンドである場合には第2検査値を生成する第3のステップと、
前記主制御部が、前記第3のステップで生成された前記第2検査値を前記第2グループに属する制御コマンドに対応する第2データに付加して第2制御信号を構成し、前記周辺部へ送信する第4のステップと、
前記周辺部が、前記第2のステップで送信された前記第1制御信号を前記後段部に少なくとも送信する第5のステップと、
前記後段部が、前記第5のステップで送信された前記第1制御信号に含まれる前記第1検査値と、予め前記後段部で保持され前記第1のステップで生成された前記第1検査値に対応する第1演算値とが対応するか否かに基づいて前記主制御部の個体の正当性を認証する第6のステップと、
前記後段部が、前記第6のステップで得られた認証結果を示す認証結果信号を前記周辺部に送信する第7のステップと、
前記周辺部が、前記第4のステップで送信された前記第2制御信号に含まれる前記第2検査値と、予め前記周辺部で保持され前記第3のステップで生成された前記第2検査値に対応する第2演算値とが対応するか否かに基づいて前記主制御部の個体の正当性を認証する第8のステップと、
前記周辺部が、前記7のステップで送信された前記認証結果信号にて示された前記第6のステップで得られた前記認証結果、又は前記第8のステップで得られた認証結果に応じた処理を行う第9のステップと
を有することを特徴とする認証方法。
【請求項21】
制御コマンドを示す制御信号を出力する主制御部と、前記制御コマンドに応じた処理を行う周辺部と、後段部とを備える遊技機に搭載されるコンピュータに、
前記主制御部が、前記制御コマンドに対応するデータの全部又は一部を第1グループに属する制御コマンドに対応する第1データと第2グループに属する制御コマンドに対応する第2データとに少なくとも分類し、記憶するデータ記憶機能と、
前記主制御部が、前記第1データに対応される第1検査値及び前記第2データに対応される第2検査値を生成する検査値生成機能と、
前記主制御部が、前記周辺部に処理を行わせるために制御信号として出力される制御コマンドが前記第1グループに属する場合には前記第1データに前記第1検査値を付加して第1制御信号を構成し、前記制御コマンドが前記第2グループに属する場合には前記第2データに前記第2検査値を付加して第2制御信号を構成する付加機能と、
前記主制御部が、前記第1制御信号又は前記第2制御信号を前記周辺部へ送信する第1送信機能と、
前記後段部が、前記第1検査値に対応する第1演算値を記憶する第1演算値記憶機能と、
前記後段部が、前記第1送信機能の実行により前記周辺部を介して送信された前記第1制御信号を少なくとも受信する第1受信機能と、
前記後段部が、前記第1受信機能の実行により受信した制御信号にて示された制御コマンドが前記第1グループに属する制御コマンドであるか否かを識別する第1識別機能と、
前記後段部が、前記第1識別機能の実行により識別された前記第1グループに属する制御コマンドを示す前記第1制御信号に含まれる前記第1検査値と前記第1演算値とが対応するか否かに基づいて前記主制御部の個体の正当性を認証する第1認証機能と、
前記後段部が、前記第1認証機能の実行により得た認証結果を示す認証結果信号を前記周辺部へ送信する第2送信機能と、
前記周辺部が、前記第2検査値に対応する第2演算値を記憶する第2演算値記憶機能と、
前記周辺部が、前記第1送信機能の実行により送信された前記第1制御信号又は前記第2制御信号、或いは前記第2送信機能の実行により送信された前記認証結果信号を受信する第2受信機能と、
前記周辺部が、前記第2受信機能の実行により受信した制御信号にて示された制御コマンドが前記第2グループに属する制御コマンドであるか否かを識別する第2識別機能と、
前記周辺部が、前記第1送信機能の実行により送信された前記第1制御信号を前記後段部に少なくとも送信する第3送信機能と、
前記周辺部が、前記第2受信機能の実行により受信した前記認証結果信号が前記主制御部の個体の正当性が認証されたことを示しているか否か、又は、前記第2識別機能の実行により識別された前記第2グループに属する制御コマンドを示す前記第2制御信号に含まれる前記第2検査値が前記第2演算値と対応するか否かに基づいて前記主制御部の個体の正当性を認証する第2認証機能と、
前記周辺部が、前記第2認証機能の実行により得た認証結果に応じた処理を行う処理機能と
を実現させるためのコンピュータ読み取り可能な認証プログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate


【公開番号】特開2011−229584(P2011−229584A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−100385(P2010−100385)
【出願日】平成22年4月23日(2010.4.23)
【出願人】(000161806)京楽産業.株式会社 (4,820)
【出願人】(300023383)株式会社トリニティーセキュリティーシステムズ (376)
【Fターム(参考)】