説明

遊技機のリール駆動機構

【課題】リールを円滑に回転させることができる遊技機のリール駆動機構の提供。
【解決手段】サブベース42には、電動モーター43およびプーリーシャフト45が取り付けられている。電動モーター43の出力軸にはモータープーリー44が嵌着され、プーリーシャフト45にはリール側プーリー47が回転可能に取り付けられている。リール側プーリー47には、一体に回転可能なようにリールが連結される。モータープーリー44とリール側プーリー47との間には、ループ状の駆動ベルト49が架けられている。サブベース42上の取付ブロック50には、回転可能な押圧体62が設けられ、押圧体62は取付ブロック50と押圧体62との間に設けられた付勢バネ63により付勢され、駆動ベルト49を押圧して張力を発生させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数個のリールを回転させた後に停止させて、表示された図柄の組合せにより当たりとされる遊技機のリール駆動機構に関する。
【背景技術】
【0002】
図7において、遊技機100を示す。遊技機100は、箱体101の中にそれぞれ外周面にフィルムが巻かれた3個のリール102を内蔵している。各々のリール102に巻かれたフィルムには、多種類の図柄が記載されている。
遊技者が遊技機100により遊興する場合、遊技機用コインをコイン投入口103に投入し作動レバー104を操作することにより、すべてのリール102を回転させる。その後、3つの停止ボタン105を操作してリール102を停止させる。この時に、前扉106の窓部107を介して表示される各リール102の図柄の組合せにより当たりとされた場合に、多くの遊技機用コインを得るようになっている。この遊技機100はスロットマシンと呼ばれることもあり、広く普及している。
【0003】
通常、この遊技機の各リールは、ステッピングモーター等により駆動されている。例えば、ステッピングモーターの出力軸をリールの回転中心に接続し、リールをステッピングモーターにより直接に駆動する遊技機のリール駆動機構があった(特許文献1参照)。これは、ステッピングモーターとリールとの間の伝達部材を不要とし、リール駆動機構を低コストにできるという特長を有していた。
【0004】
しかしながら、その一方で上述した従来技術によるリール駆動機構は、リールをステッピングモーターで直接に駆動するため、ステッピングモーターの回転を減速することが困難で、使用可能なステッピングモーターの種類に制約が発生する。
また、リールに対するステッピングモーターの取付位置も、その回転中心位置に拘束されるため、周辺の各部材のレイアウトの自由度が低下して構造が複雑化し、リール駆動機構の大型化を招くことがあった。
【0005】
これに対して、ステッピングモーターの出力軸に取り付けられた駆動プーリーと、リールに一体回転可能に取り付けられた従動プーリーとの間にベルトが張架され、ベルトを介してステッピングモーターの駆動力をリールに伝達しているリール駆動機構があった(例えば、特許文献2参照)。
これによれば、駆動プーリーと従動プーリーのベルトに対する噛み合い歯の数を変えることにより、ステッピングモーターの減速比を自由に変化させることができ、上述した課題を解消することができる。
【0006】
また、ステッピングモーターの駆動力をベルトを介してリールに伝達しているため、リールに対するステッピングモーターの取付位置にも、ある程度の自由度が発生する。
さらに、ベルトが緩衝部材となって、ステッピングモーターの作動に起因する振動がリールに伝わりにくく、リールの滑らかな回転を可能にする。
【特許文献1】特開2003−190364号公報
【特許文献2】特開2003−190384号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、ベルトを介してステッピングモーターの駆動力をリールに伝達しているリール駆動機構においては、その長時間の作動によりベルトが伸長し、駆動プーリーと従動プーリー間におけるベルト張力が低下して、ベルトと駆動プーリーあるいは従動プーリーとの間に滑り等が発生し、リールの円滑な回転を妨げることがあった。
【0008】
駆動プーリーと従動プーリーに張架されるベルトには、できるだけ伸長しにくい材質が使用されるが、どのような材質であれ経年劣化は避けられず、張力が与えられた状態での長時間の使用によりベルトが伸長することは、ある程度やむを得なかった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、リールを円滑に回転させることができる遊技機のリール駆動機構を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明による遊技機のリール駆動機構は、基体と、基体に取り付けられた駆動モーターと、駆動モーターの出力軸に取り付けられ、出力軸とともに回転する駆動プーリーと、基体に対して回転可能に設けられ、リールに連結可能であって、回転することによりリールを回転させる従動プーリーと、駆動プーリーおよび従動プーリー間に張架され、駆動プーリーによる駆動力を従動プーリーへ伝達するループ状の伝達ベルトと、基体上に設けられ、伝達ベルトの駆動プーリーおよび従動プーリーと係合する部位の間を押圧することにより、伝達ベルトに張力を付与する張力付与手段とを備える。
【0010】
これにより、伝達ベルトが長時間の作動により伸長することがあっても、張力付与手段が伝達ベルトを押圧して一定の張力を付与するため、駆動プーリーあるいは従動プーリーとの間に滑り等が発生せず、常にリールの円滑な回転が維持される。
【0011】
また、本発明による遊技機のリール駆動機構は、張力付与手段が、伝達ベルトの駆動プーリーから従動プーリーへ向けて移動する部位を押圧する。
これにより、駆動モーターを停止させた場合に、従動プーリーが慣性によりさらに回転しようとするが、伝達ベルトが張力付与手段により押圧されているため、駆動プーリーの停止と相まって、伝達ベルトの駆動プーリーから従動プーリーへ向けて移動する部位に発生する張力が増大する。したがって、伝達ベルトの張力により従動プーリーを即座に停止させることができ、駆動モーターの停止後のリールのオーバーランを防ぐことができる。
【0012】
また、本発明による遊技機のリール駆動機構において、基体は、伝達ベルトと対向するように形成された保持部を備え、張力付与手段は、伝達ベルトと係合するとともに、保持部と伝達ベルトとの間に位置するように、基体に対して移動可能に設けられた押圧部材と、保持部と押圧部材との間に縮設されることにより、押圧部材を保持部に対して反発させて伝達ベルトを押圧させる弾性部材とを備えている。
これにより、張力付与手段を伝達ベルトのループ内側または外側のいずれかのみに設けることができ、張力付与手段を小型化できるとともに、リール駆動機構の各部材の配置に自由度が生まれる。
【0013】
また、本発明による遊技機のリール駆動機構において、基体は、伝達ベルトと対向するように形成された固定部を備え、張力付与手段は、伝達ベルトと係合するとともに、当接する伝達ベルトの部位を間に挟んで、固定部と対向するように、基体に対して移動可能に設けられた押圧部材と、固定部と押圧部材との間に張設されることにより、押圧部材を固定部に向けて牽引して伝達ベルトを押圧させる弾性部材とを備えている。
これにより、弾性部材は引っ張られた状態で、押圧部材に荷重を与えて伝達ベルトを押圧させているため、圧縮された状態にある場合に比べ、その経年劣化が少なく耐久性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
<実施形態1>
図1乃至図5に基づき、本発明の実施形態1による遊技機のリール駆動機構4について説明する。尚、図5は本実施形態によるリールユニット3の断面図であるが、図5における横方向がリールユニット3の回転軸方向であり、説明中において特に断らない限り、図5における上方をリールユニット3の上方とし、図5における下方をリールユニット3の下方とする。また、図3および図4は、本実施形態によるリール駆動機構4の斜視図であるが、本図においてベースプレート41は省略している。また、図5においてフィルム82は省略している。
【0015】
図1に示すように、遊技機の箱体1には、前扉11が左右の一側を中心に回動可能に取り付けられている。前扉11の内面には、後述するようにリール装置2の図柄が表示される3分割された窓部12が形成されている。また、窓部12の下方には、リール装置2の回転を開始する作動レバー13と、リール装置2の回転を止める停止ボタン14が設けられている。
【0016】
箱体1内にはリール装置2が収容されており、リール装置2は3個のリールユニット3を備えている。それぞれのリールユニット3は回転軸方向に並べられており、各々のベースプレート41の上端部を天板21により連結するとともに、下端部を底板22により連結して固定している。
【0017】
図2に示すように、ベースプレート41は金属製の板材をプレス成形して形成され、後述するリール駆動機構4(本発明の遊技機のリール駆動機構に該当する)の一部を構成している。ベースプレート41の上端には天板21に取り付けられる上部フランジ41aが、リール8(本発明のリールに該当する)方向に折り曲げられて形成されている。また、ベースプレート41の下端には、同様にリール8方向に折り曲げられ、底板22に取り付けられる底部フランジ41bが形成されている。
【0018】
次に、図2乃至図5に基づき、リール駆動機構4について詳述する。本実施形態においてリール駆動機構4は、ベースプレート41、サブベース42、電動モーター43、モータープーリー44、プーリーシャフト45、第1軸受46、リール側プーリー47、第2軸受48、駆動ベルト49、取付ブロック50、回転センサ51、テンショナー60を備えている。
【0019】
ベースプレート41の中央部には、絞られてリール8方向に突出した取付座面41cが形成されている。取付座面41cの突出面は平坦状に形成され、サブベース42(ベースプレート41、サブベース42、後述するプーリーシャフト45および取付ブロック50を包括することにより、本発明の基体に該当する)が取り付けられている。サブベース42は金属板により形成されており、電動モーター43による発生トルクに抗するように、十分な剛性を備えている。
【0020】
図3に示すように、サブベース42上には電動モーター43(本発明の駆動モーターに該当する)が取り付けられている。電動モーター43は、本実施形態においてはステッピングモータが使用されているが、これに限られるものではない。電動モーター43の出力軸43a(本発明の駆動モーターの出力軸に該当する)には、モータープーリー44(本発明の駆動プーリーに該当する)が嵌着されており、モータープーリー44は出力軸43aとともに回転可能とされている。モータープーリー44は概ね円柱状を呈しているが、外周面にはギヤ歯44aを備えた係合溝44bが形成されている。
【0021】
また、サブベース42上には、プーリーシャフト45が回転不能に取り付けられている。プーリーシャフト45は、その端部をサブベース42のシャフト孔42aに圧入することにより取り付けられている。プーリーシャフト45は、大径部45aと大径部45aに連結した小径部45bとを備えており、大径部45aと小径部45bとの連結部位には段部45c(図2示)が形成されている。
【0022】
プーリーシャフト45の小径部45bには、第1軸受46の内周面が嵌合している(図5示)。第1軸受46は公知の転がり軸受であり、図5における右端面をプーリーシャフト45の段部45cに当接させて、その軸方向の位置決めが成されている。
さらに、プーリーシャフト45には、リール側プーリー47(本発明の従動プーリーに該当する)が取り付けられる。図5に示すように、リール側プーリー47は回転軸中心の取付部47aと、取付部47aから半径方向にプレート状に広がったフランジ部47bとを備えている。リール側プーリー47の取付部47aには内周孔47cが貫通しており、内周孔47cは、その内周面から半径方向内方に突出した仕切り壁47dにより分断されている。また、リール側プーリー47のフランジ部47bの外周面には、モータープーリー44のギヤ歯44aと同形状のギヤ歯47eが形成されている。さらに、取付部47aには複数の螺子孔47fが設けられている(図5示)。
【0023】
リール側プーリー47は、内周孔47cに第1軸受46の外周面を嵌入させることにより、プーリーシャフト45に対して回転可能に取り付けられる。リール側プーリー47は、内周孔47cと第1軸受46の外周面を当接させて半径方向の位置決めが成されるとともに、仕切り壁47dを第1軸受46の図5における左端面に当接させて、その軸方向の位置決めを行っている。
【0024】
図5に示すように、プーリーシャフト45に取り付けられたリール側プーリー47の内周孔47cには、さらに第2軸受48が圧入される。第2軸受48は第1軸受46と同様に、公知の転がり軸受であり、外周面を内周孔47cに圧入するとともに、内周面をプーリーシャフト45の小径部45bに嵌着させている。
【0025】
また、第2軸受48の図5における右端面は、リール側プーリー47の仕切り壁47dに当接させている。したがって、リール側プーリー47は第1軸受46および第2軸受48により、仕切り壁47dの両面から支承されるため、プーリーシャフト45に対して、がたつかず安定して回転することが可能となる。
【0026】
モータープーリー44とリール側プーリー47間には、駆動ベルト49(本発明の伝達ベルトに該当する)が所定の張力を発生した状態で架けられている。駆動ベルト49は伸長し難い合成ゴムまたは合成樹脂材料によりループ状に形成されており、モータープーリー44による駆動力をリール側プーリー47に伝達する。駆動ベルト49のループ内周面には、モータープーリー44およびリール側プーリー47のギヤ歯44a、47eと対応する歯形状(図示せず)が形成されており、これがモータープーリー44およびリール側プーリー47のギヤ歯44a、47eと係合することにより、駆動ベルト49のモータープーリー44およびリール側プーリー47に対する滑りを防止している。
【0027】
リール側プーリー47の図5における左端面47gには、スペーサブロック7が当接されている。スペーサブロック7は、回転軸中心に形成されたボス部7aと、ボス部7aから半径方向外方へと広がったプレート部7bとを備え、概ねハット状を呈している。また、ボス部7aの回転軸中心には係合孔7cが設けられ、プレート部7bには複数の貫通孔7dが設けられている。スペーサブロック7は、リール側プーリー47に対してあらゆる寸法、形状のリール8を連結可能にするために設けられており、リール8の形状に応じて使い分け、リール側プーリー47の左端面47gとリール8の取付部81aとの間の寸法調整を行っている。
【0028】
スペーサブロック7は、係合孔7cがプーリーシャフト45の小径部45bに嵌合することにより、その半径方向の位置決めが成されるとともに、プレート部7bの図5における右端面がリール側プーリー47の左端面47gに当接することにより、その回転軸方向の位置決めを行っている。
【0029】
リール8は、合成樹脂材料にて一体に成型されたホイール状のリールフレーム81と、リールフレーム81の外周面上に巻回貼付されたフィルム82とを備えている(図2示)。フィルム82は合成樹脂材料にて形成され、表面には複数の図柄が表示されている。
リールフレーム81は回転中心に形成された取付部81aと、フィルム82が貼付された外輪81bと、取付部81aから放射状に延び、外輪81bへと接続された複数のスポーク81cとを備えている。取付部81aの中心部は回転軸方向に突出することにより、突出した側の反対側に位置決め孔81dが形成されている。また、取付部81aには位置決め孔81dを囲むように取付孔81eが形成され、回転軸中心にはプーリーシャフト45が挿入される挿通孔81fが形成されている。
【0030】
リール8は、取付部81aの図5における右端面とリール側プーリー47の左端面47gとの間において、スペーサブロック7を狭持した状態でリール側プーリー47に取り付けられている。具体的には、リール8の位置決め孔81dにスペーサブロック7のボス部7aの外周面が嵌合し、挿通孔81fにプーリーシャフト45の先端部が挿通された状態で、取付孔81eに挿入した複数の取付螺子83を、スペーサブロック7の貫通孔7dを通過させた後、リール側プーリー47の螺子孔47fに締め付けて固定されている。
【0031】
したがって、位置決め孔81dにスペーサブロック7のボス部7aの外周面が嵌合することにより、リール8の半径方向の位置決めが成され、取付部81aの右端面がスペーサブロック7のプレート部7bの図5における左端面に当接することにより、リール8の回転軸方向の位置決めが行われている。
【0032】
図3に示すように、サブベース42上には駆動ベルト49の近傍に位置するように、テンショナー60(本発明の張力付与手段に該当する)が取り付けられている。テンショナー60は、サブベース42上に設けられた取付ブロック50に鉛直方向に圧入された枢支ピン61(図2示)と、枢支ピン61により回動可能に取り付けられた押圧体62(本発明の押圧部材に該当する)と、取付ブロック50と押圧体62との間に介装された付勢バネ63(本発明の弾性部材に該当する)とを備えている。
【0033】
取付ブロック50はサブベース42上に螺子固定され、その上部には駆動ベルト49と対向する立壁50a(本発明の保持部に該当する)が形成されており、押圧体62は立壁50aと駆動ベルト49との間に位置している。押圧体62は枢支ピン61が挿通された後、止め具64を枢支ピン61に嵌着することにより、上下方向に移動不能かつ、枢支ピン61を中心に水平方向に回動可能に取り付けられる。押圧体62には駆動ベルト49と係合するベルト溝62aが形成されている(図3示)。
【0034】
押圧体62の背面にはバネ孔62bが形成されており、バネ孔62bには付勢バネ63の一端が収容されている。付勢バネ63の他端は、押圧体62の背後に位置する立壁50aに保持されており、付勢バネ63は立壁50aと押圧体62との間で圧縮されている。付勢バネ63の弾性力により、押圧体62は立壁50aに対して反発し、駆動ベルト49を一定の荷重で押圧している。押圧体62は、潤滑性に優れたポリアミド樹脂材料により形成され、駆動ベルト49との当接部は駆動ベルト49の移動を妨げないように、滑らかな曲面により形成されている。または、押圧体62を摺動性の高いベアリングなどで形成してもよい。
【0035】
図3に示すように、テンショナー60の押圧体62は、駆動ベルト49がモータープーリー44およびリール側プーリー47と係合する部位の間を、駆動ベルト49のループ内方へ向けて押圧することにより、駆動ベルト49に張力を付与している。また、押圧体62は、駆動ベルト49のモータープーリー44からリール側プーリー47へ向けて移動する部位(駆動ベルト49のリール側プーリー47への入力側)を押圧している。
【0036】
図4に示すように、リール側プーリー47には、回転センサ51を構成する遮光体52が取り付けられている。遮光体52は、リール側プーリー47の外周部下面にボルト締めされて固定され、リール側プーリー47と一体に回転可能とされている。遮光体52は概ねL字状を呈しており、リール側プーリー47への取付部52aと、取付部52aから図4において下方へと延びた検出部52bとを備えている。
【0037】
一方、遮光体52とともに回転センサ51を構成するフォトセンサ53は、サブベース42の下面から螺子止めされることにより、サブベース42上に固定されている。フォトセンサ53は上部に凹部53aを備えており、リール側プーリー47とともに回転する遮光体52の検出部52bが凹部53aを通過可能とされている。
【0038】
遮光体52が凹部53aを通過する際に、凹部53aの発光部(一端)と受光部(他端)の光源からの光を遮ることにより、フォトセンサ53がリール側プーリー47の回転位置を検出することができ、延いてはリール8の回転位置が検出される。尚、回転センサ51は上述したものには限られず、ホール素子等を使用してもよい。
上述した遊技機の作動レバー13、停止ボタン14、電動モーター43およびフォトセンサ53は、遊技機の作動を制御するコントローラー(図示せず)と電気的に接続されている。
【0039】
次に、本実施形態によるリール駆動機構の作動方法について説明する。遊技機に遊技機用コインが投入され作動レバー13が操作されると、コントローラーが駆動電流を供給して、リール8に接続されたすべての電動モーター43を作動させる。電動モーター43の作動により、その駆動力がモータープーリー44および駆動ベルト49を介して、リール側プーリー47へと伝達される。リール側プーリー47の回転はリール8へと伝達され、リール8の回転により窓部12に表示されるすべてのリール8の図柄が変化していく。
【0040】
その後、停止ボタン14が各々操作されると、コントローラーは予め決定されている図柄の組合せが窓部12に表示されるように、回転センサ51によって検出された各リール8の位置に基づき、それぞれの電動モーター43の停止タイミングを演算する。演算結果に基づき、コントローラーは各々の電動モーター43を、別々に停止させる。
電動モーター43が停止した後も、リール側プーリー47はリール8等の慣性により回転を継続しようとするが、停止した電動モーター43が負荷となり、間もなくリール側プーリー47もリール8とともに停止する。各リール8の停止によって、窓部12に表示された図柄の組合せに基づき、遊技者に対して遊技機用コインが与えられる。
【0041】
本実施形態によれば、ベースプレート41およびサブベース42と、サブベース42に取り付けられた電動モーター43と、電動モーター43の出力軸43aに取り付けられ、出力軸43aとともに回転するモータープーリー44と、サブベース42に対して回転可能に取り付けられるとともに、リール8に連結可能であって、回転することによりリール8を回転させるリール側プーリー47と、モータープーリー44およびリール側プーリー47間に張架され、モータープーリー44による駆動力をリール側プーリー47へ伝達するループ状の駆動ベルト49とを備えた遊技機のリール駆動機構において、サブベース42上に設けられ、駆動ベルト49がモータープーリー44およびリール側プーリー47と係合する部位の間を、駆動ベルト49のループ内方へ向けて押圧することにより、駆動ベルト49に張力を付与するテンショナー60を備えている。
【0042】
これにより、駆動ベルト49が長時間の作動により伸長することがあっても、テンショナー60が駆動ベルト49を押圧して一定の張力を付与するため、モータープーリー44あるいはリール側プーリー47との間に滑り等が発生せず、常にリール8の円滑な回転が維持される。
【0043】
また、テンショナー60が緩衝部材となって、電動モーター43の作動時の振動がリール側プーリー47に伝わりにくく、リール8の滑らかな回転が可能になる。
また、本実施形態による遊技機のリール駆動機構4は、テンショナー60が、駆動ベルト49のモータープーリー44からリール側プーリー47へ向けて移動する部位を押圧している。
【0044】
これにより、電動モーター43を停止させた場合に、リール側プーリー47が慣性によりさらに回転しようとするが、駆動ベルト49がテンショナー60により押圧されているため、モータープーリー44の停止と相まって、駆動ベルト49のモータープーリー44からリール側プーリー47へ向けて移動する部位に発生する張力が増大する。したがって、駆動ベルト49の張力によりリール側プーリー47を即座に停止させることができ、電動モーター43の停止後のリール8のオーバーランを防ぐことができる。
【0045】
また、本実施形態によれば、サブベース42上の取付ブロック50が、駆動ベルト49と対向するように形成された立壁50aを備え、テンショナー60は、駆動ベルト49と係合するとともに、立壁50aと駆動ベルト49との間に位置するように、サブベース42に対して移動可能に設けられた押圧体62と、立壁50aと押圧体62との間に縮設されることにより、押圧体62を立壁50aに対して反発させて駆動ベルト49を押圧させる付勢バネ63とを備えている。
これにより、テンショナー60を駆動ベルト49のループ内側または外側のいずれかのみに設けることができ、テンショナー60を小型化できるとともに、リール駆動機構4の各部材の配置に自由度が生まれる。
【0046】
<実施形態2>
図6に基づき、本発明の実施形態2による遊技機のリール駆動機構4について説明する。尚、図6において、ベースプレート41は省略している。本実施形態において、サブベース42上には取付ブロック54および固定柱55(本発明の固定部に該当し、上述したベースプレート41、サブベース42、プーリーシャフト45、取付ブロック54および固定柱55を包括することにより、本発明の基体に該当する)が螺子固定されている。
【0047】
テンシヨナー90(本発明の張力付与手段に該当する)は、取付ブロック54上に鉛直方向に圧入された実施形態1と同様の枢支ピン61と、枢支ピン61に回動可能に取り付けられ、駆動ベルト49のループ外周面に当接した押圧体91(本発明の押圧部材に該当する)と、固定柱55と押圧体91との間に介装された付勢バネ92(本発明の弾性部材に該当する)とを備えている。
【0048】
固定柱55はサブベース42上において、駆動ベルト49の内周面と対向するように固定されており、上端には係止突部55aが形成されている。押圧体91は枢支ピン61が挿通された後、実施形態1と同様の止め具64を枢支ピン61に嵌着することにより、上下方向に移動不能かつ、枢支ピン61を中心に水平方向に回動可能に取り付けられる。押圧体91は当接する駆動ベルト49の部位を間に挟んで、固定柱55と対向している。押圧体91の上面には、牽引部91aが突出している。
【0049】
付勢バネ92の両端部は、固定柱55の係止突部55aと押圧体91の牽引部91aとの間に引っ張った状態で架けられている。したがって、その弾性力により、押圧体91を固定柱55に向けて引っ張って駆動ベルト49に一定の荷重で当接させ、駆動ベルト49をループ内方へ向けて押圧させている。図6に示すように、付勢バネ92は駆動ベルト49の上方に延びるように設けられているが、駆動ベルト49の下方に配置してもよい。その他の構成および作用については、実施形態1の場合と同様であるため、説明は省略する。
【0050】
本実施形態によれば、サブベース42上には駆動ベルト49と対向するように固定柱55が形成され、テンシヨナー90は、駆動ベルト49と係合するとともに、当接する駆動ベルト49の部位を間に挟んで、固定柱55と対向するように、サブベース42に対して移動可能に設けられた押圧体91と、固定柱55と押圧体91との間に張設されることにより、押圧体91を固定柱55に向けて牽引して駆動ベルト49を押圧させる付勢バネ92とを備えている。
【0051】
これにより、付勢バネ92は引っ張られた状態で、押圧体91に荷重を与えて駆動ベルト49を押圧させているため、圧縮された状態にある場合に比べ、付勢バネ92の経年劣化が少なく耐久性を向上させることができる。
【0052】
<他の実施形態>
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、次のように変形または拡張することができる。
電動モーター43、プーリーシャフト45等のリール駆動機構4の構成部材は、サブベース42を介さずに、ベースプレート41に直接に取り付けてもよい。
テンショナー60、90の押圧体62、91を付勢する手段は、バネに限られるものではなく、弾性ゴムあるいは磁石の吸引力または反発力を利用したもの等であってもよい。
【0053】
押圧体62、91を駆動ベルト49の内周面に当接させ、駆動ベルト49をループ外方へ向けて押圧させてもよい。
押圧体62、91をサブベース42に対して平行移動可能に取り付け、付勢バネ63、92の付勢力により、押圧体62、91を平行移動させて駆動ベルト49を押圧させてもよい。
【0054】
リール8が軸受を介してプーリーシャフト45に回転可能に取り付けられ、リール8に対してリール側プーリー47が固定されていてもよい。すなわち本発明は、リール側プーリー47がプーリーシャフト45に対して直接に取り付けられているリール駆動機構も、リール側プーリー47がリール8等を介してプーリーシャフト45に対して間接的に取り付けられているリール駆動機構も含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の実施形態1による遊技機の内部斜視図
【図2】図1に示した遊技機のリールユニットの分解斜視図
【図3】図2に示したリール駆動機構の外観斜視図
【図4】図2に示したリール駆動機構の下方から見た場合の外観斜視図
【図5】図2に示したリールユニットの軸方向にカットした場合の断面図
【図6】実施形態2によるリール駆動機構の外観斜視図
【図7】一般的な遊技機の正面図
【符号の説明】
【0056】
図面中、4はリール駆動機構、8はリール、41はベースプレート(基体)、42はサブベース(基体)、43は電動モーター(駆動モーター)、43aは出力軸、44はモータープーリー(駆動プーリー)、47はリール側プーリー(従動プーリー)、49は駆動ベルト(伝達ベルト)、50は取付ブロック(基体)、50aは立壁(保持部)、55は固定柱(固定部)、60,90はテンショナー(張力付与手段)、62,91は押圧体(押圧部材)、63,92は付勢バネ(弾性部材)を示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基体と、
該基体に取り付けられた駆動モーターと、
該駆動モーターの出力軸に取り付けられ、前記出力軸とともに回転する駆動プーリーと、
前記基体に対して回転可能に設けられ、リールに連結可能であって、回転することにより前記リールを回転させる従動プーリーと、
前記駆動プーリーおよび前記従動プーリー間に張架され、前記駆動プーリーによる駆動力を前記従動プーリーへ伝達するループ状の伝達ベルトと、
前記基体上に設けられ、前記伝達ベルトの前記駆動プーリーおよび前記従動プーリーと係合する部位の間を押圧することにより、前記伝達ベルトに張力を付与する張力付与手段と、
を備えたことを特徴とする遊技機のリール駆動機構。
【請求項2】
前記張力付与手段は、前記伝達ベルトの前記駆動プーリーから前記従動プーリーへ向けて移動する部位を押圧することを特徴とする請求項1に記載の遊技機のリール駆動機構。
【請求項3】
前記基体は、
前記伝達ベルトと対向するように形成された保持部を備え、
前記張力付与手段は、
前記伝達ベルトと係合するとともに、前記保持部と前記伝達ベルトとの間に位置するように、前記基体に対して移動可能に設けられた押圧部材と、
前記保持部と前記押圧部材との間に縮設されることにより、前記押圧部材を前記保持部に対して反発させて前記伝達ベルトを押圧させる弾性部材と、
を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の遊技機のリール駆動機構。
【請求項4】
前記基体は、
前記伝達ベルトと対向するように形成された固定部を備え、
前記張力付与手段は、
前記伝達ベルトと係合するとともに、当接する伝達ベルトの部位を間に挟んで、前記固定部と対向するように、前記基体に対して移動可能に設けられた押圧部材と、
前記固定部と前記押圧部材との間に張設されることにより、前記押圧部材を前記固定部に向けて牽引して前記伝達ベルトを押圧させる弾性部材と、
を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の遊技機のリール駆動機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−29588(P2010−29588A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−197563(P2008−197563)
【出願日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【出願人】(000100827)アイシン機工株式会社 (122)
【出願人】(598023126)エィ・ケィ・ケィ・エム株式会社 (23)
【Fターム(参考)】