説明

遊技機の回路基板収納ケース

【課題】回路基板収納ケースに形成されている通風孔から針金などの挿入に起因したゴト行為を有効に防止すること。
【解決手段】遊技機内部に設けられ遊技実行中に所定条件が満たされた場合に遊技状態を遊技者にとって有利な状態とする遊技用プログラムを記憶した記憶媒体ROMその他の電子部品CPU・RAMが取り付けられた電子回路基板24を収納する遊技機の回路基板収納ケース25に係る。
この回路基板収納ケース25は、回路基板収納ケース25の蓋体253の所定領域A2に設けられた複数の通風孔28bと、通風孔28bの形成されている所定領域A2に対向しかつ所定の間隔を開けてケース内に設けられたファン259とを有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スロットマシン、パチンコ遊技機等、遊技者が遊技媒体を用いて遊技する遊技機に内蔵される遊技用の回路基板を収納する回路基板収納ケースに関する。
【背景技術】
【0002】
パチンコ遊技機やパチンコスロットに代表されるように、遊技媒体を用いて遊技者が遊技する遊技機では、遊技実行中に所定条件を満たすと遊技者に有利な特別遊技状態である大当たりとなり、遊技球やメダル等の遊技媒体を多量に獲得できる。遊技媒体は、種々の景品と交換できるため、遊技者は大当たり獲得を目指す。
【0003】
大当たりになると、遊技機に組み込まれた可変表示装置に各種図柄の変動やキャラクターの出現により実行される様々な演出が表示される。
【0004】
可変表示装置に表示される演出は、遊技機内部に実装された制御装置によって制御されるが、制御装置は、可変表示装置への演出の表示制御だけでなく、大当たりを引き当てるための大当たり抽選プログラムを実行する。大当たり抽選プログラムは、電子的制御に基づいて特定の乱数を引き当てた場合に大当たりとなるように設定されたプログラムである。
【0005】
また、遊技機には各種電飾やスピーカが取り付けられているが、制御装置は、これらの電飾を光らせたり、演出に合わせて鳴り響く効果音をスピーカから出したりするといった制御も行う。そのために制御装置には、基本処理装置としてのCPU(Central Processing Unit)と、CPUでの処理に用いられるデータを一時記憶するRAM(Random Access Memory)と、CPUにて処理する前記大当たり抽選プログラムを含む各種プログラムその他のプログラムを記憶したROM(Read Only Memory)とが回路基板上に備えられている。
【0006】
そして、CPUは、RAMに記憶されているデータやROMに記憶されているプログラムを必要に応じて読み出すことで、各種制御を実行する。CPU・RAM・ROM(以下、電子部品)が取り付けられている回路基板は、遊技機内部に取り付けられており、通常は遊技機の開閉蓋を開けないと触れることができない。
【0007】
一方、大当たりの引き当て率は、各遊技機の内部に備えられている設定装置を操作することで、ホール側で変更することができる。設定装置は、遊技機における各種入賞毎の当選確率を、例えば、設定値1〜6までの6段階の如く複数の段階の何れかに設定する装置である。通常、設定値が大きいほど、当選確率を高められる。設定値は、前記RAMに記憶される。
【0008】
また、設定値の変更(以下、設定変更という)は、機種にもよるが、遊技機の電源が落ちている状態で設定変更用のキーを入れ、その後電源を入れた状態で設定装置の操作ボタンを操作することで行う。
【0009】
当該設定変更は、遊技機本体の電源投入時にのみ行えるように構成されていることから、店舗の営業時間内に行われることはない。通常、次の営業日分の設定は、前日又は当日の入賞率の設定データ・店舗の全遊技機における当選確率の分布・遊技機を設置してからの日数等を参考にして、閉店後、1台1台手作業で行われる。
【0010】
ところで大当たりすると、既述のように遊技球やメダル等の遊技媒体を多量に獲得できるため、いわゆる「ゴト師」と呼ばれる者の不正行為(いわゆるゴト行為)への対策をホール側は取らねばならない。最近はグループが組織立って悪業をするケースも増えており、不正行為により騙し取られる金額は、以前とは桁が違ってきている。
【0011】
不正行為の主たるものとしては、ROMに記憶されているプログラムの改竄が挙げられる。当該不正行為を実行するために、開店中に店内の例えばトイレの換気穴から天井に上がって閉店を待ち、閉店後従業員が居なくなってからホール内に忍び込んだり、又は店員を抱き込んだりすることで、不正行為の実行用に予め改竄されたプログラムを含む電子部品と基盤ごと交換する。そして、翌日、当該交換された遊技機で遊技をするのである。
【0012】
このような不正行為の対策を図るためと、回路基板に取り付けられている電子部品は発熱し、そのままであると当該電子部品に触れた作業者が火傷を負う危険性があるのでこれを回避するために、電子部品は、回路基板ごと所定のケース(以下、回路基板収納ケースという)に収納されて遊技機本体に取り付けられる。
【0013】
また、電子部品を正常に機能させるには、一定の温度範囲での使用が要求される。このため回路基板収納ケースには、通風孔が多数形成され、電子部品からの発熱により、回路基板収納ケース内が規定温度以上になることを防止する。
【0014】
しかしこの通風孔が、不正行為に利用される可能性を孕んでいるという。すなわち遊技機にはスピーカの出力孔など、遊技機の外部から内部に通じる通し孔が形成されており、ゴト師はこの通し孔から遊技機内部に針金その他の小さい抵抗の導線を入れ、回路基板収納ケースの通風孔を経由して、回路基板上の電気回路の二点間をこれら針金等で接続することにより結線的にショートさせ、遊技機全体を電源投入直後の状態(又は電源を一旦落として入れ直した状態)にする。そして、その上で設定変更用の信号配線をショートさせて設定変更信号(多くは接点信号)を発生させることにより、電子部品に通常の設定値の変更操作がなされたものと認識させて不正に「設定値」を変更するという。
【0015】
このような不正行為は、例えば監視カメラの前に立って監視者の視界を遮る者、見張り役となる者、不正行為の設定作業を行う者等、複数人で役割分担を決めて実行することで比較的容易になるため、開店中であっても実行されるケースが少なくない。
【0016】
そして、一旦遊技機を高設定に変更してしまえば、外見上は普通にゲームを楽しんでいるようにしか見えないため、不正が行われたことを発見するのは困難である。したがって、ゲームが長時間継続して行われ、不正行為者にとっては、詐取できる金額が大きくなる。
【0017】
このように針金や導線を用いた不正行為は、天井裏に忍び込んだり、ホールの店員を抱え込んだりする場合よりもリスクを低減することができるので、近年増加傾向にある。
【0018】
その結果、不正行為による被害が店舗の経営上看過できない状態に及ぶケースも稀ではない。また、不正行為は当然に犯罪を形成するものであるから、このような不正行為の防止、摘発のためには、かなりの支出及び労力を考慮しなければならない。
【0019】
【特許文献1】特開平6−154389号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本発明は、上記実情に鑑みて発明されたものであり、その解決しようとする課題は、回
路基板収納ケースに形成されている通風孔から針金などの導線を挿入することに起因したゴト行為を有効に防止することが可能な技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明は、前記課題を解決するため、以下の手段を採用した。
【0022】
すなわち本発明の回路基板収納ケースは、遊技機内部に設けられ遊技実行中に所定条件が満たされた場合に遊技状態を遊技者にとって有利な状態とする遊技用プログラムを記憶した記憶媒体その他の電子部品が取り付けられた回路基板を収納する遊技機の回路基板収納ケースであって、この回路基板収納ケースの壁面のうち所定領域に設けられた複数の通風孔と、当該通風孔の形成されている前記所定領域に対向しケース内に設けられたファンとを有することを特徴とする。
ファンは適宜の駆動手段によって回転するようにする。
【0023】
回路基板収納ケースの壁面に設けられた複数の通風孔を介して、外気がケース内に流入するようになるため、電子部品から発する熱が緩和される。
【0024】
また、当該通風孔に対向されてケース内に設けられたファンが駆動手段によって回転されると、ファンが回転していないときに比べ、ケース内において多量の外気の流通を期待できるから、ケース内の温度を下げるのに役立つ。
【0025】
ファンが回転していれば、回路基板収納ケースの通風孔からゴト師が針金や導線を入れても針金や導線の進入が阻まれる。
【0026】
さらにファンは、回転板と、当該回転板の一方の面であって、前記所定領域に対向する側の面に形成された複数の羽根部と、前記回転板のうち前記羽根部同士の間の領域に形成された複数の貫通孔とを有するようにしてもよい。なぜならば、このような構成にすることで、ファンによってケース内に流入した外気は、羽根部同士の間の領域に形成された複数の貫通孔を経由して、ファンの裏側にまで満遍なく行き渡る。このため、ケース内の温度を一層効果的に下げることができる。
【0027】
加えて前記ファンの貫通孔及び前記回路基板収納ケースの外壁に設けられた通風孔は、相互に他方に対して形成パターンが異なるように形成すると好適である。このようにすると、ファンが停止した状態にあるときに通風孔及び貫通孔が同軸上にあることは可能性としては低いため、ファンが駆動していないときに、ゴト行為により針金や導線をケースの通風孔に譬え入れることができたとしても、ファンの貫通孔にまで挿入することは極めて難しいからである。
【0028】
前記ファンは、ケース内部に設けられた駆動手段と予め接続されることよって、又は当該ケースが設置される前記遊技機の筐体に設けられた駆動手段と接続されることによって、前記駆動手段から駆動力が伝達されて回転するようにしてもよい。ファンがケース内部に設けられた駆動手段と予め接続された状態にあれば、ケースが設置される遊技機の筐体にケースを設置するだけの簡単な作業でよく、遊技機の筐体に設けられた駆動手段とファンとを接続する場合は、異なった遊技機に駆動手段を使用することも可能であるから部品の共有化を図れる。
【発明の効果】
【0029】
本発明の回路基板収納ケースによれば、ゴト行為によってケースの通風孔から針金や導線が万一入れられてもファンによってその進入が阻まれるので、ゴト行為を有効に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明に係る遊技機の回路基板収納ケースの実施形態を図面を参照しながら説明する。
【0031】
図1に示すように、遊技機であるパチンコスロット10は、その筐体11の前面に上扉12aと下扉12bとを有する。各扉12a,12bは、それぞれ一対の扉ヒンジ16,16(図面では下扉12bのヒンジ16のみ示す。)により回動自在に取り付けられている。
【0032】
この明細書で前とは、図1に正対した場合、すなわち遊技者とパチンコスロット10とが対向した場合の遊技者の側をいい、後ろとは同じく遊技者の向こう側をいい、上・下及び左・右は同じく遊技者の上側、下側、左側及び右側をいうことにする。
【0033】
上扉12aには、3個の表示窓13が設けられており、これらの窓を介して、筐体11内に設けられるリールユニット26の第1リール14a、第2リール14b、第3リール14cを見ることができる。各リールには多数の図柄が表示されている。そして一つの表示窓13から1リールにつき3個の図柄を見ることができ、表示窓13に記した図示しない所定の入賞有効ライン上で第1〜第3リールが所定図柄で揃うことにより、遊技者にとって有利な特別遊技状態である大当たりが発生する。なお、入賞有効ライン上で第1〜第3リールが所定図柄で揃うことを所定条件が揃ったということにする。
【0034】
下扉12bには、図示しないゲームの開始時に操作される1枚ベットボタン,MAXベットボタン,ペイアウトボタン,メダルを投入するためのメダル投入口,メダルベットが行われた後に操作される押下式スタートレバー,押下式スタートレバーの押下操作により回転し始めるリールの動作を停止させるための第1〜第3ストップボタン等が設けられている。さらに、下扉12bの下部には、メダル受け皿,配当メダル払い出し口,灰皿等の収納部17が設けられている。
【0035】
また、図1からわかるように筐体11内には、電子回路基板24が、回路基板収納ケース25に収納された状態で、リールユニット26よりも奥になるように取り付けられる。リールユニット26は、支持枠27により筐体11の内壁に着脱自在に取り付けられる。
【0036】
電子回路基板24には、図示はしないが、既述したROM,CPU,RAMなどの各種電子部品が実装されている。また、電子回路基板24には後述する駆動手段としてのステッピングモータ257を通すモータ通し孔241が形成されている(図2,図3参照)。
【0037】
回路基板収納ケース25は、透光性を有するABS樹脂その他のポリスチレン系樹脂からできており、電子回路基板24を収納するケース本体251と、ケース本体251に対し回動可能に取り付けられる板状の蓋体253とからなり、蓋体253を閉じたときに偏平な直方体形状を呈するようになっている。
【0038】
ケース本体251は、電子回路基板24を収納できるように一方に開口するほぼ箱形状をしている。すなわちケース本体251は、底壁面251aと、その周縁から立ち上がる周壁面251bとからなる(図2,3参照)。
【0039】
底壁面251aには、その少なくとも四隅に電子回路基板24を支持する支持脚255が複数形成されているとともに、支持脚255よりも幾分厚みのあるステッピングモータ257が取り付けられている(図3参照)。
【0040】
支持脚255は、偏平な截頭円錐形状をしており、その頭部255aに電子回路基板24を載置し、適宜の接着剤やネジその他の固定手段で電子回路基板24を固定する。なお、支持脚255のことを截頭支持脚255と呼称する。截頭支持脚255で電子回路基板24を支持すると電子回路基板24は底壁面251aに対して平行になるように、截頭支持脚255は総て同じ高さとされている。
【0041】
ステッピングモータ257は、モータ本体257aと、このモータ本体に回転自在に支持され、モータ本体257aの一端から突出される回転軸257bとからなる。
ステッピングモータ257を底壁面251aに取り付けた後、電子回路基板24を截頭支持脚255に載置すると、回転軸257bが電子回路基板24のモータ通し孔241から突出される。
【0042】
当該突出した回転軸257bには、ファン259が電子回路基板24から幾分離された状態で取り付けられる。ステッピングモータ257は、図示しない電源装置により電源が入れられるとそれに合わせて駆動し、切られると停止するようになっている。
なお、回路基板収納ケース25を筐体11に取り付けると、電源の投入に合わせてステッピングモータ257に電流が流れる準備が調うようになっている。
【0043】
ファン259は、その平面形状が円形をしており、その中心部に設けられた軸貫通孔260にステッピングモータ257の回転軸257bが圧入される(図3参照)。
【0044】
またファン259は、回転円板259aと、回転円板259aの一方の面である上表面に円周方向で等間隔に形成され、回転円板259aの中心から回転円板259aの周縁に向けて放射状に延びる複数(この実施形態では4枚)の羽根部259bと、回転円板259aのうち羽根部259bによって仕切られた4つのエリアA1に多数貫通して設けられた流通孔259cとを有する。エリアA1は、4分の1円とされている。
【0045】
ケース本体251の周壁面251bのうち、回路基板収納ケース25を筐体11に取り付けたときに上側又は左右側方に位置する上側壁面251b1及び左の側壁面251b2には、流通孔259cよりも小さめの通風孔28aが複数ランダムに形成されている。しかし、両孔28a・259cは同じ大きさであっても、また流通孔259cよりも通風孔28aの方が大きめであってもよい。
【0046】
ケース本体251の周壁面251bに設けられる通風孔28aの形成箇所は、上側壁面251b1及び左の側壁面251b2に限られない。要は、回路基板収納ケース25を筐体11に取り付けたときに、ゴト師がそれらの通風孔28aから針金その他の小さい抵抗の導線を物理的に入れ難い箇所であって、空気の流通が好適に行える箇所であればどこでもよい。
【0047】
蓋体253はケースヒンジ29を介してケース本体251に取り付けられている。そして蓋体253には、蓋体253を閉じたときにファン259と対向する位置でかつファン259とほぼ同じ大きさで同じ形状の円形をした所定領域A2に通風孔28bが複数形成されている。なお、所定領域A2を図面では2点鎖線で示す。所定領域A2は、多数の通風孔28bを形成することで蓋体253に占められる領域である。なお、ファン259よりも所定領域A2を小さくしても大きくしてもよい。
【0048】
そして、ファン259の回路基板収納ケース25内における位置は、蓋体253を閉じた時に蓋体253の内面とファン259の羽根部259bとの間が所定の間隔sとなるようにされている(図3)。間隔sは、ファン259が回転したときに回路基板収納ケース25内に外気が流通するのに最適な隙間となるように設定されている。
【0049】
次に作用効果を説明する。
回路基板収納ケース25は、そのケース本体251及び蓋体253にそれぞれ複数の通風孔28a及び28bが形成されているので、これらの通風孔28a,28bを介して、外気がケース25内で流通するようになる。したがって、それだけでも電子回路基板24の電子部品やステッピングモータ257から発する熱による回路基板収納ケース25内の温度の上昇が抑制される。
【0050】
加えて、回路基板収納ケース25は、その蓋体253に形成されている通風孔28bに対向して設けられているファン259がステッピングモータ257によって駆動力が伝達されて回転するので、ファン259の回転方向に応じて外気を回路基板収納ケース25に対して強制的に取り入れたり又は排出したりすることができる。
【0051】
図3では、ファン259が所定の方向に回転することで、外気が蓋体253の通風孔28bから回路基板収納ケース25に入り込んで回路基板収納ケース25内を流通し、その間に回路基板収納ケース25内の熱を吸収し、その後、ケース本体251の通風孔28aから回路基板収納ケース25の外部へ出て行く状態を矢印a1で示している。
【0052】
なお、ファン259を逆方向に回転することで、回路基板収納ケース25内に貯まっている高温の空気を回路基板収納ケース25から排出することができる。この場合の回路基板収納ケース25内の空気の流れは、先ほどとは反対でケース本体251の空気がファン259によって通風孔28bから押し出されるようにして排出され、当該押し出された分だけ空気が通風孔28a経由で回路基板収納ケース25内に流入するようになる(図3の矢印a1と逆方向に空気が流入する。)。ファン259が回転すると、ファン259が回転していないときよりも多量の外気が回路基板収納ケース25内に入り込む。したがって、回路基板収納ケース25内の温度を一層効果的に下げることができる。
【0053】
また、回路基板収納ケース25の蓋体253に形成された通風孔28bからゴト師が針金や導線を入れるゴト行為を行っても、ファン259は、蓋体253が閉じている状態では通風孔28bと対向状態にあるばかりか、その時にファン259が回転していれば、針金や導線が、ファン259の羽根部259bに当たるので、針金や導線の進入を容易に阻むことができる。
【0054】
さらにファン259が回転することで回路基板収納ケース25に流入した外気は、ファン259の多数の流通孔259cを経由して、電子回路基板24の裏側にまで満遍なく行き渡る。このため、回路基板収納ケース25内の温度を一層効果的に下げることができる。
【0055】
加えてファン259の流通孔259c及び蓋体253に設けられた通風孔28bは、相互に他方に対して形成パターンが異なり、既述のように流通孔259cよりも通風孔28bは小さめでランダムに形成されているから、単位面積当たりの両孔の形成個数も相違する。よってファン259が停止した状態にあるときに通風孔28b及び流通孔259cが同軸上にあることは可能性としては極めて低い。このため、ファン259が駆動していない状態において、ゴト行為により針金や導線を回路基板収納ケース25の通風孔28bに譬え入れることができたとしても、針金や導線をファン259の流通孔259cに挿入することは極めて難しくなる。
【0056】
また、回路基板収納ケース25の通風孔28aは、回路基板収納ケース25を筐体11に取り付けたときにゴト師がそれらの通風孔28aから針金その他の小さい抵抗の導線を元来入れ難い箇所に形成してあるため、通風孔28a経由で針金や導線をケース内に入れ
ること自体不可能に近い。
【0057】
このように回路基板収納ケース25によれば、ゴト行為によってケースの通風孔28aや28bから針金や導線が入れられることはまずあり得ない。したがってゴト行為を有効に防止することができる。
【0058】
なお、本発明は、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0059】
例えば、上記説明では、回路基板収納ケース25内に電子回路基板24、ファン259及びステッピングモータ257を収納したものを例示したが、電子回路基板24及びファン259を回路基板収納ケース25に収納し、ステッピングモータ257は筐体11に設け、回路基板収納ケース25を筐体11に取り付けたときにステッピングモータ257とファン259とが接続されるような構造にしてもよい。
【0060】
一般に回路基板収納ケース25を新しいものと交換する場合、一部にのみ欠陥がある場合であっても、回路基板収納ケース25はユニットとして取り扱われるから欠陥のない部品まで廃棄の対象とされる。
【0061】
しかし、ステッピングモータ257を回路基板収納ケース25から分離すると、例えば回路基板収納ケース25の電子回路基板24に故障を生じた場合、新しい回路基板収納ケース25と交換してもステッピングモータ257はそのまま使用できるので、部品を無駄に廃棄する必要がない。反対にステッピングモータ257だけが故障した場合は、ステッピングモータ257の交換だけで済む。
【0062】
反対に既述のように、回路基板収納ケース25内に、電子回路基板24は元より、ステッピングモータ257と、ファン259とを設けたものであれば、筐体11に回路基板収納ケース25を取り付けるだけの簡単な作業で済み、ステッピングモータ257と、ファン259との接続は不要であるため、取り付けに手間が掛からない。
【0063】
また、上記の実施形態では本発明の回路基板収納ケース25をパチンコスロットに適用ししたものを例示したが、パチンコ遊技機に適用できるのはいうまでもない。
【0064】
パチンコ遊技機に適用する場合において、例えば、パチンコ遊技機の役物(例えば権利物の権利発生用アタッカー)の動力源としてステッピングモータ257を兼用することも可能である。その場合、ステッピングモータ257のモータ本体257aの回転軸257bの両端を使用できるように回転軸257bの両端をステッピングモータ257のモータ本体257aから突出させ、そのうちの一方にファン259を他方にパチンコ遊技機の役物を取り付けて、ファン259及び役物を回転する。このようにすることで、モータを兼用できるため部品点数の削減に有効である。
【0065】
加えてファン259の流通孔259cは、ゴト行為防止対策を強化するためにはなくてもよいが、その場合、回路基板収納ケース25内における空気の流通性を高めるために、ステッピングモータ257の回転数を高めたり、回路基板収納ケース25の通風孔28aや蓋体253に形成されている通風孔28bの数や径を大きくすることが望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明に係る遊技機の回路基板収納ケースが適用されるパチンコスロットの外観を示す分解斜視図である。
【図2】回路基板収納ケースをその蓋体を開いた状態で示す斜視図である。
【図3】図2の蓋体を閉じた状態でのIII−III線拡大断面図である。
【図4】ファンの平面図である。
【図5】回路基板収納ケースの蓋体の平面図である。
【符号の説明】
【0067】
10 パチンコスロット(遊技機)
11 筐体
12a 上扉
12b 下扉
13 表示窓
14a 第1リール
14b 第2リール
14c 第3リール
16 扉ヒンジ
17 収納部
24 電子回路基板(回路基板)
25 (回路基板収納ケース)
26 リールユニット
27 支持枠
28a ケース本体に形成されている通風孔
28b 蓋体に形成されている通風孔(通風孔)
29 ケースヒンジ
241 モータ通し孔
251 ケース本体
251a 底壁面
251b 周壁面
251b1 上側壁面(壁面)
251b2 側壁面(壁面)
253 蓋体
255 截頭支持脚
255a 截頭支持脚の頭部
257 ステッピングモータ(駆動手段)
257a モータ本体
257b 回転軸
259 (ファン)
259a 回転円板(回転板)
259b 羽根部
259c 流通孔(回転板の貫通孔)
260 軸貫通孔
A1 エリア(回転円板のうち羽根部同士の間の領域)
A2 蓋体の所定領域(所定領域)
a1 空気の流れ方向を示す矢印
s 蓋体の所定領域とファンとの間の所定の間隔(所定の間隔)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技機内部に設けられ遊技実行中に所定条件が満たされた場合に遊技状態を遊技者にとって有利な状態とする遊技用プログラムを記憶した記憶媒体その他の電子部品が取り付けられた回路基板を収納する遊技機の回路基板収納ケースであって、
この回路基板収納ケースの壁面のうち所定領域に設けられた複数の通風孔と、
当該通風孔の形成されている前記所定領域に対向しケース内に設けられたファンとを有することを特徴とする遊技機の回路基板収納ケース。
【請求項2】
前記ファンは、
回転板と、
当該回転板の一方の面であって、前記所定領域に対向する側の面に形成された複数の羽根部と、
前記回転板のうち前記羽根部同士の間の領域に形成された複数の貫通孔とを有することを特徴とする請求項1に記載の回路基板収納ケース。
【請求項3】
前記ファンの貫通孔及び前記回路基板収納ケースの壁面のうち前記所定領域に設けられた複数の通風孔は、相互に他方に対して形成パターンが異なることを特徴とする請求項2に記載の回路基板収納ケース。
【請求項4】
前記ファンは、ケース内部に設けられた駆動手段と予め接続されることよって、又は当該ケースが設置される前記遊技機の筐体に設けられた駆動手段と接続されることによって、前記駆動手段から駆動力が伝達されて回転することを特徴とする請求項3に記載の回路基板収納ケース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−6177(P2008−6177A)
【公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−181464(P2006−181464)
【出願日】平成18年6月30日(2006.6.30)
【出願人】(390031772)株式会社オリンピア (2,719)
【Fターム(参考)】