説明

遊技機の操作装置

【課題】 簡単な構成によってコストを抑えつつ、耐破損性及び耐久性を向上させた操作装置を備える遊技機をを得る。
【解決手段】 遊技機の外装部を構成する操作パネル64を合成樹脂により型成形によって形成するとともに、操作パネル64には、表側から押圧することで裏側へ弾性変形する弾性片96、98を一体的に設ける。操作パネル64の表面には、合成樹脂からなるフィルム88をインサート成形により一体的に設け、フィルム88によって操作パネル64の表面を被覆する。この操作パネル64の裏側にスイッチを設け、スイッチの可動検出部が、球貸ボタン52及び返却ボタン54の押圧操作により弾性変形し操作パネル64の裏側へ移動する弾性片96、98に押し込まれるよう構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機の操作装置に係り、詳細には、貸球の貸し出し操作や球貸機に挿入したプリペイドカードの取り出し操作等を行うために遊技機の外装部に設けられる遊技機の操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
パチンコ機等の遊技機では、上皿(打球供給皿)の前面等に、貸球の貸し出し操作用となる球貸ボタン及び球貸機に挿入したプリペイドカードの取り出し操作用となる返却ボタンが設けられている。遊技者は、これらのボタンを操作することで、貸球の借用やプリペイドカードの受け取りが可能となり、このような操作装置に関する技術としては、スイッチが実装された基板(プリント配線板)を基板ケースの裏面に取り付けるとともに基板ケースにはスイッチに対応する弾性片を設け、さらに基板ケースの表面に透明プラスチック製のプッシュプレートを取り付けて弾性片を覆うことにより、ボタン操作では、プッシュプレートを押圧することでその押圧方向へ弾性変形する弾性片にスイッチが押し込まれるようになり、これによって、ボタン操作を容易にし誤操作を防止するようにしているものがある(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−369959号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述した特許文献1の構成では、基板ケースの表面とプッシュプレートとの間に隙間が設けられているため、異物の落下等によってプッシュプレートに衝撃が加わった場合には、その衝撃力がプッシュプレートに直接作用して破損しやすくなり、さらに、上記の隙間によって押圧操作時のプッシュプレートの変形量は大きくされるため、弾性変形及び復元を繰り返すことによる疲労破壊が生じやすくなり耐久性の低下が懸念される。また、上皿とは別体の基板ケースやプッシュプレートを用いているため、部品点数が多く製造コストが高くなる問題もある。
【0004】
本発明は上記事実を考慮して、簡単な構成によってコストを抑えつつ、耐破損性及び耐久性を向上させた操作装置を備える遊技機を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために請求項1に記載の発明は、遊技機の外装部を構成する型成形により形成された合成樹脂からなるパネル部材と、前記パネル部材に一体的に設けられ、パネル部材の表側から押圧されることによりパネル部材の裏側へ弾性変形可能とされた弾性片と、前記弾性片を被覆し且つ弾性片の表面に略密着するよう前記パネル部材の表面にインサート成形により一体的に設けられた合成樹脂からなるフィルムと、前記パネル部材の裏側に配置され、前記押圧によって弾性変形される前記弾性片に可動検出部が押し込まれることによりOFF状態からON状態に切り替わるスイッチと、を有することを特徴としている。
【0006】
請求項1に記載の発明では、遊技機の外装部を構成するパネル部材を合成樹脂により型成形によって形成するとともに、このパネル部材に、パネル部材の表側から押圧することでパネル部材の裏側へ弾性変形する弾性片を一体的に設ける。パネル部材の表面には、合成樹脂からなるフィルムをインサート成形により一体的に設け、このフィルムによりパネル部材の表面を被覆するとともにフィルムは弾性片の表面に略密着するよう構成する。また、パネル部材の裏側には、可動検出部を備えるスイッチを設け、このスイッチは、弾性変形に伴いパネル部材の裏側へ移動する弾性片に可動検出部が押し込まれる位置に配置する。
【0007】
この操作装置における操作では、フィルムにおける弾性片との対応部位がフィルムの表面側から押圧されると、フィルムは裏面側へ弾性変形し、それに伴いフィルムに略密着された弾性片がフィルムに直接押されてパネル部材の裏側へ弾性変形する。この弾性変形でパネル部材の裏側へ移動する弾性片に可動検出部が押し込まれることにより、スイッチはOFF状態からON状態に切り替わり、遊技機では、このスイッチの状態変化に基づく所定の動作が行われる。
【0008】
このように、この操作装置では、フィルムをパネル部材の表面に一体的に設けているため、このパネル部材に一体化されて保持されているフィルムの表面に異物の落下等によって衝撃が加えられても、その衝撃力はフィルムを保持するパネル部材によって直接的に受け止められるため、フィルムが単独で大きく変形したり破損するようなことを防止できる。
【0009】
また、パネル部材に設けた弾性片もフィルムに密着させていることにより、操作でフィルムが押圧されたときのフィルムと弾性片の弾性変形量はほぼ等しくされ、操作におけるフィルムの変形量を小さくすることができる。これにより、例えば、弾性片とフィルムの間に隙間があり、操作時には弾性片よりもフィルムの方が大きく変形されるような構成に比べ、フィルムに弾性変形及び復元の繰り返しによる疲労破壊が生じにくくなり、フィルムの耐久性を向上することができる。
【0010】
また、フィルムをインサート成形によってパネル部材の表面に一体的に設けることにより、部品点数が少なくされて構成が簡素化され、これによって、製造コストを低減することができる。
【0011】
したがって、この遊技機の操作装置であれば、簡単な構成によってコストを抑えつつ、耐破損性及び耐久性を向上させることができる。
【0012】
請求項2に記載の発明は、請求項1記載の遊技機の操作装置において、前記弾性片を前記パネル部材に形成した孔部内に設け、この弾性片は、前記孔部の内周縁に一端が接続されるとともに孔部の内側を内周縁に沿って延出された腕部と、前記腕部の他端に接続されて前記孔部の略中央に配置されるとともに前記押圧によって前記可動検出部を押し込む押圧部と、を有することを特徴としている。
【0013】
請求項2に記載の発明では、操作装置の操作時に、フィルムにおける弾性片との対応部位がフィルムの表面側から押圧され、フィルムが裏面側へ弾性変形すると、パネル部材の孔部内に設けられた弾性片は、孔部の略中央に配置された押圧部がフィルムによって押される。これに伴い、孔部の内周縁に一端が接続されて他端に接続された押圧部を片持ち状態に支持する腕部が弾性変形し、押圧部はパネル部材の裏側へ移動してスイッチの可動検出部を押し込む。
【0014】
この押圧部及び腕部を有する弾性片では、腕部が孔部の内側を内周縁に沿って延出されることにより、腕部の長さ寸法の変更幅を大きくすることができる。これにより、例えば、パネル部材を含む遊技機の外装部の強度を高めるために、パネル部材を高い剛性を有する合成樹脂によって形成するような場合でも、腕部の長さ寸法を変更することで腕部の弾性力を容易に調整できるようになる。例えば、腕部の長さ寸法を大きくした場合には、腕部の弾性力を小さくすることができ、さらに、腕部の弾性変形量に伴う押圧部の移動量(ストローク)を大きくすることができる。これにより、操作装置の操作に必要とされる押圧力を所望の値に容易に設定できるようになり、さらに、可動検出部のストロークが大きいスイッチ等にも容易に対応できるようになるため、設計自由度が向上する。
【発明の効果】
【0015】
本発明の遊技機における操作装置は上記構成としたので、簡単な構成によりコストを抑えつつ、耐破損性及び耐久性を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態に係るパチンコ機について図面を参照して説明する。
【0017】
(パチンコ機の構成)
図1に示されるように、パチンコ機10は、機器の外郭を構成するとともにパチンコホールの島設備に設置される矩形状の外枠12を備えている。外枠12の前面には矩形額縁状の内枠14が配置され、内枠14は、外枠12に設けられた一対のヒンジ部16、18に左側端部が軸支されて開閉可能に取り付けられている。また、外枠12の前面下部には下飾り20が取り付けられている。
【0018】
内枠14の前面上部には、円形状の窓部25にガラス板22が装着されたガラス枠26が配置されている。ガラス枠26は、左側端部が内枠14に軸支されて開閉可能に取り付けられており、このガラス枠26の窓部25に装着されたガラス板22は、図1の紙面奥行き方向に所定の間隔で互いに平行に配置された一対のガラス板からなる二重構造となっている。
【0019】
ガラス枠26の裏面側となる内枠14の上部には、矩形状の開口部(図示省略)が形成されている。この開口部には遊技盤Pがセットされており、遊技盤Pは、ガラス枠26を内枠14に閉塞した状態でガラス枠26(ガラス板22)に覆われている。
【0020】
ガラス枠26の前面には、遊技の進行に応じて点灯又は点滅等し照明による演出効果を生み出す演出用の表示灯142がガラス板22(遊技盤Pの遊技領域)を取り囲むように配置されており、さらに左上隅及び右上隅には、賞球払出エラー及び払出状態エラー等の各種エラーを報知するエラー用の表示灯144が配置されている。また、各エラー用の表示灯144の内側には、遊技の効果音をステレオ出力するスピーカー146L、146Rが配設されている。
【0021】
内枠14の前面下部には、一般的な上皿及び下皿の機能を兼ね備える打球供給皿としての一体皿ユニット30が配置されている。一体皿ユニット30は、パネル部材32の左側端部が内枠14に軸支されて開閉可能に取り付けられており、パネル部材32の前面には、上部に遊技球を貯える球皿部34が形成された球皿本体36が突設されている。また、パネル部材32前面の左側下部には灰皿38が設けられ、右側下部には打球の発射力(飛距離)を調整するための発射ハンドル39が取り付けられている。
【0022】
内枠14裏面の右側端部には、上下方向に延出された図示しない施錠装置が取り付けられており、施錠装置のシリンダー錠(錠前)54は内枠14前面の右側端部に設けられた台座55から露出されている。この施錠装置によって、内枠14は外枠12に、ガラス枠26は内枠14にそれぞれ施錠されるとともに、一体皿30は内枠14にロックされて、それぞれ閉塞状態に固定される。また、シリンダー錠54の鍵孔56に図示しない鍵を差し込んで所定方向に回すことにより、内枠14と外枠12、及び、ガラス枠26と内枠14がそれぞれ解錠され、ガラス枠26を開放すると、一体皿ユニット30と内枠14とのロック状態が解除可能となる。
【0023】
一体皿ユニット30に設けられた球皿部34の底面は、図1に示されるパチンコ機10の正面視にて右側から左側へ下り傾斜している。その傾斜方向の上流側となる右側の球皿奥壁面には、パチンコ機10内に設けられた賞球払出装置(図示省略)から払い出された賞球や貸球が排出される球排出口46が形成されており、傾斜方向の下流側となる左側の球皿底面上には、上流側から流下する遊技球を1列に整列して一体皿ユニット30の裏面に配置された球送り装置(図示省略)に送り込むための整列通路が設けられている。この一体皿ユニット30の球皿部34に、上記の球排出口46から遊技球(賞球又は貸球)が排出されると、遊技球は球皿28内を左方向へ流下し整列通路により1列に整列されて球送り装置に送り込まれる。ここで、遊技者により、発射ハンドル34が回動操作されると、球送り装置から、内枠14の左下部に設けられた発射装置(図示省略)に遊技球が送り込まれ、発射装置から遊技盤Pの遊技領域へ向けて遊技球が発射される。
【0024】
また、球皿本体36の前面における上部中央には、3桁表示が可能な7セグメント表示器により、台間球貸機に挿入したプリペイドカードの残度数等を表示する表示装置50が設けられており、表示装置50の右側には、貸球の貸し出し操作を行う球貸ボタン52と、台間球貸機からプリペイドカードを取り出すための返却ボタン54が配設されている。
【0025】
(操作装置の構成)
次に、本実施形態に係る一体皿ユニット30に設けられた球貸ボタン52及び返却ボタン54を備える操作装置について説明する。
【0026】
図2に示されるように、一体皿ユニット30の球皿本体36における前面上部には、球皿外装パネル62と操作パネル64とをユニット化して構成された操作部ユニット60が設けられ、この操作部ユニット60は、球皿本体36の前面上部に形成されたユニット取付部66に嵌め込まれて、球皿本体36の裏面側から図示しないネジにより取り付けられるようになっている。
【0027】
前述した表示装置50は、このユニット取付部66の中央部に取り付けられている。また、ユニット取付部66の右側には、正面視略コ字状のリブによって構成される一対の台座68、69が左右幅方向に所定の間隔で設けられており、この一対の台座68、69には、スイッチ基板70が取り付けられるようになっている。
【0028】
スイッチ基板70のプリント配線板72には、前面の左右側端部における所定位置に、同一構成の2つのスイッチ74、75が実装されている。これらのスイッチ74、75は、可動検出部76、77が押し込まれることによりOFF状態からON状態に切り替わるプッシュスイッチであり、スイッチ基板70が台座68、69に取り付けられると、対応する台座68、69のほぼ中央にそれぞれ配置されるようになっている(図7参照)。プリント配線板72の前面中央には、プリント配線板72に配線されたパターンを介してスイッチ74、75と電気的に接続されたコネクター78が実装されている。このコネクター78には、パチンコ機10内に設けられた制御基板(図示省略)のケーブルが接続され、これにより、スイッチ74、75は制御基板と電気的に接続され、スイッチ74、75から出力されるスイッチング信号(ON/OFF信号)が制御基板に入力されるようになる。
【0029】
操作パネル64は、例えばダークスモーク色のABS樹脂等のような、有色で光透過性を有する合成樹脂により型成形によって形成されている。この操作パネル64は、図3に示されるように、横長の略矩形状とされ、球皿本体36及び球皿外装パネル62の表面形状(曲面)に倣い、前面64Aの中央部が側端部に対し前方へ膨らんだ曲面状とさている。
【0030】
操作パネル64の前面64Aには、中央に逆三角形状の凸部80が設けられ、凸部80の左右に、図示のような略平行四辺形状の凸部82、84が設けられている。凸部82、84の前面(表面)には、PET樹脂等の合成樹脂によって形成されたフィルム86、88が設けられており、これらのフィルム86、88は、操作パネル64の成形時にインサート成形されることで凸部82、84の前面に固着され、操作パネル64に一体的に設けられている。
【0031】
また、この合成樹脂製のフィルム86、88には、インサート成形前のフィルム単品状態で印刷を施すことができるため、本実施形態の場合、左側の凸部82に設けるフィルム86の表面に、例えばパチンコ機10の製造会社名や機種名等を印刷して表示することが可能である。
【0032】
右側の凸部84の前面84A(図7参照)に設けられているフィルム88には、前述した球貸ボタン52及び返却ボタン54にそれぞれ対応する正面視円形の所定部位(図6参照)を、図7に示されるように、周辺部に対して前方へ僅かに膨出させた膨出部92、94が設けられている。また、図3及び図4に示されるように、フィルム88の表面における膨出部92、94の周縁(周辺部との境界)には、各ボタンの位置を示す円形の輪郭線90が印刷によって設けられ、さらに、膨出部92、94の下方には、各ボタンの名称(「玉貸」/「返却」)を示すボタン名表示91が印刷によって設けられている。
【0033】
操作パネル64には、図5〜図7に示されるように、フィルム88の膨出部92、94にそれぞれ対応する弾性片96、98が設けられており、本実施形態では、球貸ボタン52は膨出部92及び弾性片96によって構成され、返却ボタン54は膨出部94及び弾性片98によって構成されている。なお、弾性片96、98は、図6に示されるように、正面視では左右が反転されるが基本的には同一形状のものである。
【0034】
図6及び図7に示されるように、弾性片96、98は、フィルム88の膨出部92、94と略同径にそれぞれ形成された略円形状の孔部100内に配置されており、本実施形態では、操作パネル64の成形時に型成形によって形成され、凸部84に一体的に設けられている。また、図7に示されるように、弾性片96の前面96A及び弾性片98の前面98Aは、周辺部に対して中央部が少し盛り上がった曲面状とされており、弾性片96の前面96Aは膨出部92の裏面に密着し、弾性片98の前面98Aは膨出部94の裏面に密着して、これらの弾性片96、98はフィルム88に被覆されている。
【0035】
球貸ボタン52を構成する弾性片96は、図6に示されるように、孔部100の内周縁101における右下部から左側へ略水平に延出され途中から上方へ円弧状に屈曲された略J字状で弾性変形が可能とされた腕部102、及び、腕部102の先端に繋がれてその先端の右側となる孔部100の略中央に配置された略矩形板状の押圧部(可動部)104を備えており、押圧部104の裏面には、図7に示されるように、後方へ所定寸法突出されたボス部106が設けられている。この腕部102を介して孔部100の内周縁101に繋がれた弾性片96の押圧部104は、腕部102によって片持ち状態に支持されている。
【0036】
返却ボタン54を構成する弾性片98は、孔部100の内周縁101における左下部から右側へ略水平に延出され途中から上方へ円弧状に屈曲された略逆J字状で弾性変形が可能とされた腕部103、及び、腕部103の先端に繋がれてその先端の左側となる孔部100の略中央に配置された略矩形板状の押圧部(可動部)105を備えており、押圧部105の裏面には、後方へ所定寸法突出されたボス部107が設けられている。この腕部103を介して孔部100の内周縁101に繋がれた弾性片98の押圧部105は、腕部103によって片持ち状態に支持されている。
【0037】
球皿外装パネル62は、ABS樹脂等の合成樹脂により型成形によって形成されている。図3に示されるように、球皿外装パネル62の中央部には、操作パネル64の凸部80に対応する逆三角形状の開口部110が形成され、開口部110の左右には、操作パネル64の凸部82、84に対応する略平行四辺形状の開口部112、114が形成されている。上述した操作パネル64は、この球皿外装パネル62の裏面に取り付けられており、その取付状態では、図4に示されるように、球皿外装パネル62の開口部110、112、114に操作パネル64の凸部80、82、84が嵌め込まれるとともに、開口部110、112、114から露出された凸部80、82、84の露出面(前面)が球皿外装パネル62の前面とほぼ面一にされている。
【0038】
この球皿外装パネル62と操作パネル64とがユニット化されて構成された操作部ユニット60は、前述したように、球皿本体36の前面上部に形成されたユニット取付部66に嵌め込まれて取り付けられている。その取付状態では、図7に示されるように、操作パネル64における凸部84の裏側(裏面84Bの後方)にスイッチ基板70が配置されるとともに、球貸ボタン52を構成する弾性片96に設けられたボス部106がスイッチ基板70に設けられたスイッチ74の前側に配置されて、ボス部106の先端面がスイッチ74の可動検出部76に略接触し、返却ボタン54を構成する弾性片98に設けられたボス部107がスイッチ75の前側に配置されて、ボス部107の先端面がスイッチ75の可動検出部77に略接触している。
【0039】
また、操作パネル64における凸部80の裏側には表示装置50が配置され(図1参照)、この表示装置50によって表示される情報は、パチンコ機10の前方から光透過性を有する凸部80を通して視認できるようになる。
【0040】
次に、以上説明したパチンコ機10の操作装置の作用について説明する。
【0041】
本実施形態のパチンコ機10において、遊技者が貸球を借用する場合には、パチンコ機10に隣接配置された台間球貸機にプリペイドカードを挿入し、一体皿ユニット30の球皿本体36における前面上部に設けられた球貸ボタン52を押圧操作することにより行う。また、台間球貸機からプリペイドカードを取り出す場合には、返却ボタン54を押圧操作することにより行う。このボタン操作では、遊技者が球皿本体36の上部中央付近に左手を乗せると、左手の親指が右方向に向けられて球貸ボタン52及び返却ボタン54の近傍に配置されるため、通常は、そのような状態で、フィルム88の表面に対して少し盛り上がっている球貸ボタン52及び返却ボタン54の位置を目視しなくとも左手の親指の触感で容易に把握することができ、所望のボタンを簡単に押すことができる。
【0042】
ここで、球貸ボタン52が押圧されると(図7の矢印P1)、すなわち、球貸ボタン52を構成するフィルム88の膨出部92が表面側から押圧されると、膨出部92は裏面側へ弾性変形し、それに伴い膨出部92に密着された弾性片96の押圧部104は膨出部92に直接押されて操作パネル64の裏側へ移動し、押圧部104を支持する腕部102は操作パネル64の裏側へ弾性変形する。この押圧部104のボス部106に可動検出部76が押し込まれて、スイッチ74がOFF状態からON状態に切り替わり、パチンコ機10では、機内に設けられた賞球払出装置から所定数の貸球が払い出され、球排出口46から一体皿ユニット30の球皿部34に排出される。また、スイッチ74は、スイッチ基板70を支持する台座68のほぼ中央に配置されているため、このスイッチ74に加わる押圧力は台座68によって受け止められる。これにより、プリント配線板72が後側へ撓んで可動検出部76が押し込み不良となることを防止できている。
【0043】
また、球貸ボタン52の押圧が解除されると、膨出部92は自身の弾性力によって元の膨出状態に復帰し、それに伴い弾性片96の押圧部104は腕部102の弾性力によって元の位置に復帰する。これにより、押圧部104のボス部106による可動検出部76の押し込みが解除されて、スイッチ74がON状態からOFF状態に切り替わる。
【0044】
返却ボタン54の場合も球貸ボタン52と同様に、返却ボタン54が押圧されると(図7の矢印P2)、すなわち、返却ボタン54を構成するフィルム88の膨出部94が表面側から押圧されると、膨出部94は裏面側へ弾性変形し、それに伴い膨出部94に密着された弾性片98の押圧部105は膨出部94に直接押されて操作パネル64の裏側へ移動し、押圧部105を支持する腕部103は操作パネル64の裏側へ弾性変形する。この押圧部105のボス部107に可動検出部77が押し込まれて、スイッチ75がOFF状態からON状態に切り替わり、台間球貸機では、機内に挿入されたプリペイドカードが排出される。また、このスイッチ75も、スイッチ基板70を支持する台座69のほぼ中央に配置されているため、このスイッチ75に加わる押圧力は台座69によって受け止められ、プリント配線板72が後側へ撓むことによる可動検出部77の押し込み不良を防止できている。
【0045】
また、返却ボタン54の押圧が解除されると、膨出部94は自身の弾性力によって元の膨出状態に復帰し、それに伴い弾性片98の押圧部105は腕部103の弾性力によって元の位置に復帰する。これにより、押圧部105のボス部107による可動検出部77の押し込みが解除されて、スイッチ75がON状態からOFF状態に切り替わる。
【0046】
そして、このパチンコ機10の操作装置では、フィルム88を操作パネル64の凸部84の前面84Aに一体的に設けているため、この操作パネル64の凸部84に一体化されて保持されているフィルム88の表面に異物の落下等によって衝撃が加えられても、その衝撃力はフィルム88を保持する凸部84によって直接的に受け止められるため、フィルム88が単独で大きく変形したり破損するようなことを防止できる。
【0047】
また、操作パネル64の凸部84に設けた弾性片96、98も前面96A、98Aをフィルム88の膨出部92、94に密着させていることにより、操作で膨出部92、94が押圧されたときの膨出部92、94と弾性片96、98の弾性変形量(腕部102、103の弾性変形量及び押圧部104、105の変位量)はほぼ等しくされ、操作における膨出部92、94の変形量を小さくすることができる。これにより、例えば、弾性片とフィルムの間に隙間があり、操作時には弾性片よりもフィルムの方が大きく変形されるような構成に比べ、フィルム88に弾性変形及び復元の繰り返しによる疲労破壊が生じにくくなり、フィルム88の耐久性を向上することができる。
【0048】
また、フィルム88をインサート成形によって操作パネル64における凸部84の前面84Aに一体的に設けるていることにより、部品点数が少なくされて構成が簡素化され、これによって、製造コストを低減することができる。
【0049】
このように、本実施形態に係るパチンコ機10の操作装置では、簡単な構成によってコストを抑えつつ、耐破損性及び耐久性を向上させることができる。
【0050】
また、本実施形態では、球貸ボタン52及び返却ボタン54の操作時に、フィルム88の膨出部92、94が表面側から押圧され、膨出部92、94が裏面側へ弾性変形すると、操作パネル64の孔部100内に設けられた弾性片96、98は、孔部100の略中央に配置された押圧部104、105が膨出部92、94によって押される。これに伴い、孔部100の内周縁101に一端が接続されて他端に接続された押圧部104、105を片持ち状態に支持する腕部102、103が弾性変形し、押圧部104、105は操作パネル64の裏側へ移動してスイッチ74、75の可動検出部76、77を押し込む。
【0051】
この押圧部104、105及び腕部102、103を有する弾性片96、98では、腕部102、103が孔部100の内側を内周縁101に沿って延出されていることにより、腕部102、103の長さ寸法の変更幅を大きくすることができる。これにより、操作パネル64を含むパチンコ機10の外装部(操作部ユニット60)の強度を高めるために、操作パネル64を高い剛性を有する合成樹脂によって形成するような場合でも、腕部102、103の長さ寸法を変更することで腕部102、103の弾性力を容易に調整できるようになる。例えば、腕部102、103の長さ寸法を大きくすることにより、腕部102、103の弾性力を小さくすることができ、さらに、腕部102、103の弾性変形量に伴う押圧部104、105の移動量(ストローク)を大きくすることができる。これにより、球貸ボタン52及び返却ボタン54の操作に必要とされる押圧力を所望の値に容易に設定できるようになり、さらに、可動検出部のストロークが大きいスイッチ等にも容易に対応できるようになるため、設計自由度が向上する。
【0052】
次に、操作パネル64に設ける弾性片の変形例について説明する。
【0053】
この変形例では、図8に示されるように、操作パネル64の孔部100内に設けられた弾性片116、118は、それぞれ2本の腕部102、103を備えている。この2本の腕部102、103は、図示のように、押圧部104、105を挟んで上下に配置され上下対称の形状に形成されており、押圧部104、105は、それら2本の腕部102、103によって両持ち状態に支持されている。
【0054】
以上の構成により、この変形例の場合も、各ボタンの操作で、フィルム88の膨出部92、94が表面側から押圧され、膨出部92、94が裏面側へ弾性変形すると、弾性片116、118は、孔部100の略中央に配置された押圧部104、105が膨出部92、94によって押されるのに伴い、押圧部104、105を両持ち状態に支持する2本の腕部102、103がそれぞれ弾性変形する。そして、押圧部104、105は操作パネル64の裏側へ移動し、ボス部106、107によってスイッチ74、75の可動検出部76、77が押し込まれる。
【0055】
また、この変形例における弾性片116、118では、押圧部104、105が上下に配置された2本の腕部102、103により両持ち状態に支持されているため、押圧部104、105及びボス部106、107は前後方向にほぼ直線移動するようになり、これによって、可動検出部76、77の押し込み不良を確実に防止することができる。
【0056】
以上、本発明を上述した特定の実施形態により詳細に説明したが、本発明はそれに限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能である。
【0057】
例えば、上述した実施形態では、貸球の貸し出し操作や球貸機に挿入したプリペイドカードの取り出し操作を行うためのボタンを備える操作装置を例に説明したが、本発明はこれに限らず、例えば、遊技において変動表示される図柄を停止させるための停止ボタン等を備える他の操作装置にも適用することことができる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の一実施形態に係るパチンコ機を示す正面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る一体皿ユニットを示す分解斜視図である。
【図3】図2の一体皿ユニットにおける操作部ユニットの分解状態を示す拡大斜視図である。
【図4】図2の一体皿ユニットにおける操作部ユニットの組立状態を示す拡大斜視図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る一体皿ユニットを示す正面図である。
【図6】図5のA部付近を示す拡大正面図である。
【図7】図5のA部付近を示す7−7線断面図である。
【図8】本発明の他の実施形態に係る一体皿ユニットに設けられた操作ボタン付近を示す拡大正面図である。
【符号の説明】
【0059】
10 パチンコ機
30 一体皿ユニット
60 操作部ユニット(外装部)
62 球皿外装パネル(外装部)
64 操作パネル(外装部/パネル部材)
74、75 スイッチ
76、77 可動検出部
84 凸部
84A 前面(表面)
88 フィルム
96、98 弾性片
100 孔部
101 内周縁
102、103 腕部
104、105 押圧部
116、118 弾性片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技機の外装部を構成する型成形により形成された合成樹脂からなるパネル部材と、
前記パネル部材に一体的に設けられ、パネル部材の表側から押圧されることによりパネル部材の裏側へ弾性変形可能とされた弾性片と、
前記弾性片を被覆し且つ弾性片の表面に略密着するよう前記パネル部材の表面にインサート成形により一体的に設けられた合成樹脂からなるフィルムと、
前記パネル部材の裏側に配置され、前記押圧によって弾性変形される前記弾性片に可動検出部が押し込まれることによりOFF状態からON状態に切り替わるスイッチと、
を有することを特徴とする遊技機の操作装置。
【請求項2】
前記弾性片を前記パネル部材に形成した孔部内に設け、この弾性片は、前記孔部の内周縁に一端が接続されるとともに孔部の内側を内周縁に沿って延出された腕部と、前記腕部の他端に接続されて前記孔部の略中央に配置されるとともに前記押圧によって前記可動検出部を押し込む押圧部と、を有することを特徴とする請求項1記載の遊技機の操作装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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