説明

遊技機の表示装置

【課題】パチンコ機、スロット機等の遊技機に付設される表示装置であって、遊技者が別の遊技機でプレイしながら、自分が希望する他の優秀台の状況を適宜簡単に知ることができ、しかもコストを低く抑えることのできる表示装置を提供すること。
【解決手段】パチンコ機等の遊技機ごとに取り付けられている呼び出しランプ装置20に、所望の他の遊技機を選択する選択手段29と、当該他の遊技機の稼働状況を表示させることのできる外部情報表示手段とを設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ機、スロット機等の遊技機に付設され、稼働状況等を表示する表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
パチンコ機、スロット機等の遊技機には、当該遊技機の稼働状況を店員(ホールスタッフ)に素早く知らせることを主たる目的とした表示装置として呼び出しランプ装置が付設されている。この表示装置は、大当たりが出た場合に点灯して客や店員に知らせるとともに、必要に応じて客がランプを点灯させることにより、玉詰まりや遊技機のトラブルを店員に知らせることができるもので、店員はこれを監視していることにより、直ちに各種のトラブルに対処することができる。
【0003】
さらに、上記遊技機の表示装置には、それが取り付けられている遊技機の大当たり(特賞)回数(特賞状態となった回数)、確率変動(特賞状態が発生する確率)、スタート回数(特賞状態が終了してから現在までに電動役物が作動した回数)等の遊技データ(稼働状況)に関する情報を表示する機能も設けられていて、外部から各遊技機の遊技データを知ることができるようになっている。この種の表示システムとしては、例えば下記特許文献1、特許文献2及び特許文献3等に示すものが提案されている。
【0004】
【特許文献1】特開2004−248727号公報
【特許文献2】特開2005−27899号公報
【特許文献3】特開2005−13333号公報
【0005】
上記特許文献1に記載のものは、パチンコ遊技機の大当たり終了後に確変/時短信号が出力されている期間を判定期間として設定し、当該判定期間中に特賞信号が出力された時は当該判定期間中の遊技状態を確変状態と判定し、確変/時短信号がオフとなると判定期間が終了するが、この時、特賞信号がオフのままだと判定期間中の遊技状態は時短状態であったと判定し、これら判定結果を集計して台別の情報表示端末に表示するものである。また、上記特許文献2に記載のものは、負けが込んでいる会員の不快感を軽減することを目的とするもので、非稼働台が発生した場合に、その非稼働台が優秀台であったときは、負けが込んでいる会員にその優秀台情報を通知するものである。
【0006】
さらに、上記特許文献3に記載のものは、他の遊技機のデータを知ることができるもので、各パチンコ遊技機の遊技データ(特賞回数、累計スタート回数など)を集計し、他のパチンコ遊技機群についての遊技データと個別に比較して、遊技者により予め設定されている台移動条件を満たしているパチンコ遊技機が存在する場合に、当該遊技機を特定可能な移動先候補を液晶表示部に表示するようになっているものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献3に記載のものは、遊技者が遊技対象の遊技機を変更するに際し、従来のように多数の遊技機の遊技データを逐一比較しなくても、表示手段に表示された内容に基づいて簡単に移動先となる遊技機を決定できるという利点がある。特許文献3におけるこの表示装置は、上下に長い柱状に形成され、表示ランプ、タッチパネルを有する液晶表示部、当該遊技点の会員の獲得ポイントを表示するポイント表示部、会員カード挿入口等が上下に並べて設けられている。そして、この表示装置は、遊技機に隣接して設けられているカードリーダーの外側に並設されている。
【0008】
一方、同じ遊技店に頻繁に出入りする遊技者は、過去の観察からその遊技店における自分に適した好みの優秀台(遊技機)を数台記憶しているのが普通である。そして、自分に適した優秀台が非稼働状態である場合は、その遊技機でプレイすることを望んでいる。しかしながら、自分の好みにあった特定の遊技機が空きの状態であるとは限らず、他人がこの遊技機でプレイしている場合は、その遊技機が空くまで、やむを得ず他の遊技機でプレイするのが普通である。この場合、目的とする遊技機が空いているかどうかを、その遊技機の現在の遊技データとともに、他の遊技機でプレイしながら知ることができれば便利であるが、遊技中にこれを簡単に知ることはできなかった。
【0009】
すなわち、上記特許文献3に記載の装置は、各遊技機の遊技データを複数の遊技機群の遊技データと個別に対比して、その対比結果があらかじめ設定されている移動条件を満たす遊技機を表示するものであるから、有利な遊技機を選ぶには便利であるが、自分が狙っている特定の遊技機の状況を適宜簡単に知ることのできるものではない。また、特許文献3に記載されている装置では、遊技機ごとの表示装置ユニットがカードリーダーの横に並べて設けられているので、表示装置ユニットを特別に設ける分だけコストが高くなるとともに、これらを合わせた遊技機の幅が広くなるという問題点がある。
【0010】
そこで、本発明は、上記従来提案されている種々のシステムを改良し、任意の遊技機でプレイしながら、自分が希望する他の優秀台の状況を適宜簡単に知ることができ、しかもコストを低く抑えることのできる表示装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記課題を解決するため、次のような表示装置を提供する。すなわち、請求項1に記載の遊技機の表示装置は、パチンコ機等の遊技機ごとに取り付けられている呼び出しランプ装置に、所望の他の遊技機を選択する選択手段と、当該他の遊技機の稼働状況を表示させることのできる外部情報表示手段とを設けたことを特徴としている。また、請求項2に記載の遊技機の表示装置は、請求項1に記載の遊技機の表示装置であって、各遊技機の表示装置に、所望の遊技機を指定する手段として、遊技機番号入力用押しボタンスイッチを設けたものである。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る遊技機の表示装置は、任意の遊技機でプレイをしながら、当該プレイ中の遊技機とは異なる他の遊技機であって自分がプレイしたいと望む特定の遊技機の稼働状況すなわちその遊技機の遊技データと、その遊技機が空いているかどうかを適宜知ることができるので、当該特定の遊技機が空いた場合は、ただちにその遊技機へ移動してプレイを行うことができる。自分の狙う特定の遊技機が複数台ある場合においても、他の遊技機を選択する選択手段が設けられているので、所望の遊技機の選択を簡単に行うことができる。また、既設の呼び出しランプ装置を利用(既存の呼び出しランプ装置に組み込んでもよく、既設の呼び出しランプ装置の代わりに、既存の呼び出しランプ装置に上記選択手段と外部情報表示手段を組み込んだ新たな呼び出しランプ装置を設けてもよい)して表示を行うことができるので、別途表示装置を設ける必要がなく、コストを低く抑えることができ、しかもコンパクトで、余計なスペースも必要としない。さらに、請求項2に係る表示装置は、他の遊技機を選択する手段として押しボタンスイッチが設けられているので、簡単に所望の遊技機を選択することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について具体的に説明する。図1は遊技機であるパチンコ機のと付設の呼び出しランプ装置の外観図、図2は本発明に係る表示装置を備えた表示システムの説明図である。各遊技機1の上部にはそれぞれ呼び出しランプ装置2が付設され、遊技機1の側部には、公知の玉貸機3が設けられている。呼び出しランプ装置2は、遊技者が必要に応じて呼び出しボタンを操作して呼び出しランプ4を点灯させ、遊技場の店員を呼び出すためのものであるとともに、上記のとおり、当該遊技機の遊技データを表示し、客の遊技機選択のための情報を提供する表示手段として構成されている。
【0014】
この呼び出しランプ装置2は、遊技機に対する影響を避けるため、遊技機からの電源供給は受けず、別途電源を供給されるようになっているが、制御部は遊技機の大当たり、確率変動、スタート等の情報端子に接続されていて、これらの情報が入力されるようになっている。なお、情報端子がない遊技機については、入賞時に動作するランプの光、リレーの磁気等をセンサで検出して作動させるようになっている。
【0015】
図2は、呼び出しランプ装置2の概略を表すブロック図で、遊技機1からの遊技データ(情報)が演算部を含む制御部(CPU)10に入力され、そこで演算処理されたデータが該制御部から呼び出しランプ装置2本体の液晶表示部20に出力されるとともに、外部に出力される。また、この呼び出しランプ装置2には、点灯・点滅するランプ4が設けられ、必要に応じて表示ランプが点灯・点滅させられる。
【0016】
図3は、本発明の表示装置のシステムを表す図で、遊技機であるパチンコ機1の情報端末が呼び出しランプ装置2の入力ボード5に接続され、該入力ボードから入力回路7に当該遊技機の稼働データと呼び出し信号が入力される。なお、入力回路7には不正検出装置9が接続されていて、不正電波等を検出した場合は警報を発するようになっている。
【0017】
入力回路7は、制御部であるCPU(マイコン)10に接続されている。このマイコン10に入力された遊技データは、所定の演算処理が施され、その結果がそれぞれ増幅回路12,…を通って外部コンピュータへの出力回路21、他の遊技機へデータを送るための通信回路22、当該遊技台に付設の呼び出しランプ装置2に設けられている液晶式表示装置20にデータを表示するための表示回路23、大当たりの際にランプ4を点滅させるランプ回路24等に入力される。他の遊技台へデータを送るための通信回路22は、通信線27により他の各遊技機に接続されており、各遊技台の稼働データを他の各遊技台へ送信するとともに、他の遊技機のデータを受信するようになっている。なお、このように有線で通信する代りに、無線で通信するようにしてもよいことは言うまでもない。
【0018】
一方、トラブルが発生した場合の呼び出し信号は、上記マイコン10から増幅回路12を経て代表ランプ出力回路26に入力される。この場合は、代表ランプが点灯し、店員に何らかのトラブルがあったことを報知する。
【0019】
呼び出しランプ装置2には、呼び出しランプ点灯用のスイッチ(呼び出しボタン)28と、他の遊技機を選択するための遊技機選択手段として、押しボタンスイッチ29(a,b,c)が設けられている。これらの押しボタンスイッチにより、所望の遊技機の機械番号を入力して指定すれば、その遊技機の遊技データと稼働状態が外部情報として表示部に表示される。遊技機選択手段としては、図示例の押しボタンスイッチに限らず、タッチパネルや他のスイッチを用いることもできる。
【0020】
なお、このように液晶表示部で視覚的に表示する代りに、または視覚的な表示とともに、イヤホンで音声により情報を伝達するようにしてもよい。この場合は、イヤホン接続部28として、イヤホンジャック挿入孔を呼び出しランプ装置2に設けておく。音声が自分にのみ聞こえ、隣の他人には聞こえないものであればよいので、イヤホンのかわりに小さなスピーカを用いてもよい。
【0021】
図4は、上記表示装置20の表示部分の画面を例示するもので、この表示装置20には、本日の大当たり回数(特賞回数)を表示する当日大当たり表示部分20a、前日の大当たり回数を表示する前日大当たり表示部分20b、前々日の大当たり回数を表示する前々日大当たり表示部分20c、本日の確率変動回数を表示する確変表示部分20d、本日の当たり間スタート回数を表示するスタート回数表示部分20e、複数日の当たり履歴バーグラフ表示部分20f、当たり間スタート履歴グラフ表示部分20g等が設けられている。
【0022】
なお、上記表示装置20の当日大当たり表示部分20a、確変表示部分20d、スタート回数表示部分20eには、本日もしくは複数日間(図示例では7日間)の累計データ(順に、大当たり回数、確変回数、スタート回数)を表示することもできるようになっている。
【0023】
次に、遊技機1がパチスロ機である場合は、当該遊技機からの出力がマルチ基盤31を介して上記入力回路7に入力される一方、該マルチ基盤31から増幅回路32を経てコンピュータ出力回路33に入力され、図示を省略した遊技条件設定等のためのコンピュータに入力される。
【0024】
また、パチスロ機用の表示装置30は、本日の大当たり(BB)回数表示部分30a、前日及び前々日のBB回数表示部分30b、30c、特役(RB)回数表示部分30d、ボーナス履歴バーグラフ表示部30e、本日当たり間ゲーム回数、獲得枚数表示部30f等が設けられている。これらの表示部に、本日及び7日間累計データ、本日ゲーム回数平均、過去最高データを表示することも可能である。
【0025】
通常の遊技状態においては、遊技時間の経過とともに、当該遊技機に付設の呼び出しランプ装置2に当該遊技機1から種々の遊技データが入力され、制御部10によって演算された情報の集計結果が、表示装置20(30)に表示される。現在空きとなっているいずれかの遊技機1を選んで遊技しようとする者は、当該空きとなっている各遊技機に付設されている表示装置20(30)の表示内容を見ることにより、当該遊技機の稼働状態を一目で知ることができるので便利である。
【0026】
一方、いずれかの遊技機1で遊技中の者が、自分が希望する特定の遊技機が空いているかどうかと、その遊技データを知りたい場合は、遊技機選択手段である押しボタンスイッチ29(a,b,c)でその遊技機の番号を入力して指定すればよい。すると、当該指定された遊技機の遊技データが通信線27を通って現在遊技中の遊技機1の呼び出しランプ装置2に入力され、現在遊技中の遊技機の遊技データの変わりに、希望する遊技機の遊技データが表示部20(30)に表示される。この場合は、表示部20(30)が外部情報表示手段として機能する。また、その遊技データが変動しているかどうかにより当該遊技機が空いているかどうかを知ることができるので、空いている場合は、直ちにその遊技機に移動して遊技を開始することができるのである。遊技機が一定時間使用されない場合は、「空き」の状態であると表示する表示部を設けておけば、さらに便利である。
【0027】
なお、玉詰まり等のトラブルが発生した場合は、従来と同様に、呼び出しボタン28を押して呼び出しランプ装置のランプ4を自発的に点灯(点滅)させればよい。すると、店員がすぐにこれに気づいてやって来るので、トラブルを迅速に解消することができる。
【0028】
この表示装置20(30)は、パチンコ機等の遊技機に設けられている既存の呼び出しランプ装置を利用して、所望する他の遊技機の稼働状況を選択的に表示させることができるので、低コストで実施することができる点に大きな特徴がある。そして、不本意ながら他の遊技機でプレイしている遊技者が、遊技を続けながら、好みの遊技機の状況を適宜簡単に知ることができるので、所望の遊技機が空きとなった場合は、ただちにその遊技機に移動して遊技を再開することができる。この場合、その遊技機の今までの遊技データを確認することができるので、遊技機の状況が不利な方に変化している場合は、移動をやめることができ、被害を少なくすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明に係る遊技機の呼び出しランプ装置は、電気回路を組み合わせることにより構成されるもので、工業的に製造することができ、遊技機の分野できわめて効果的に採用することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】遊技機であるパチンコ機の外観図である。
【図2】その表示装置のブロック図である。
【図3】呼び出しランプ装置のブロック図である。
【図4】パチンコ機用呼び出しランプ装置の外観図である。
【図5】スロット機用呼び出しランプ装置の外観図である。
【符号の説明】
【0031】
1 遊技機
2 呼び出しランプ装置
3 玉貸し機
4 ランプ
7 入力回路
10 制御部(マイコン)
20 パチンコ機用表示部
27 通信線
28 呼び出しボタン
29 押しボタンスイッチ(遊技機選択手段)
30 スロット機用表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パチンコ機等の遊技機ごとに取り付けられている呼び出しランプ装置に、他の遊技機の作動状況を選択表示させることのできる外部情報表示手段を設けたことを特徴とする遊技機の表示装置。
【請求項2】
各遊技機の表示装置に所望の他の遊技機を指定する手段として遊技機番号入力用押しボタンスイッチが設けられている請求項1に記載の遊技機の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−61176(P2007−61176A)
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−247782(P2005−247782)
【出願日】平成17年8月29日(2005.8.29)
【出願人】(505212588)株式会社スターベックス (7)
【Fターム(参考)】