説明

遊技機用遊技媒体を用いた募金システム

【課題】遊技媒体を景品に交換する一態様として、遊技者が公益団体等へ寄付をすることができる機会を提供できる遊技機用遊技媒体を用いた募金システムを提供する。
【解決手段】玉計数器によって計数された遊技者の持玉や情報記録媒体Cに記憶されている持玉の数量を指定して交換景品を決定するのと同様に、景品交換POS端末装置11あるいは寄付専用端末装置15によって、持玉を寄付として決定すると、寄付の玉数・交換レート・寄付対象団体を含む情報が景品管理サーバ14へ送信され、この景品管理サーバ14が管理する寄付履歴を1ヶ月単位で纏めた寄付金額と寄付先(NPO団体A)の情報を含む寄付金決済指令を寄付金決済センタ30へ送信すると、寄付金決済センタ30が寄付金額を金融機関サーバ40cの遊技店口座から金融機関サーバ40aの公益基金A口座へ移すことで、遊技者の持玉を媒介としたNPO団体Aへの募金が完了する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技者が所持する遊技媒体で募金ができるようにした遊技機用遊技媒体を用いた募金システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、パチンコ機やスロットマシン等の遊技機が設置されている遊技場では、遊技者が獲得した遊技媒体を所定のレートで換算した価値に基づき、遊技店が用意した景品と交換できるようになっているが、低額の景品にも満たない端玉が残ると、遊技者にとっても遊技店にとっても処理に困るところである。
【0003】
また、遊技店で会員登録を行った遊技者が、獲得した遊技媒体を当該遊技店に預けておける貯玉システムを採用する店舗もあり、貯玉システムを使えば、端玉を預けて次回の来店時に使うことができ、遊技者にとっても遊技店にとっても利便性がよい。しかも、貯玉システムによって多くの遊技媒体を貯めておくと、それだけ高額の景品と交換できるようになることから、遊技店の貯玉システムを利用している会員が、通信端末よりIP網を介して遊技店のWebサーバへアクセスして交換可能な景品を要求すると、当該会員の貯玉を減算すると共に要求した景品の発注を景品提供会社に要請し、景品提供会社から会員の所へ景品が宅配されるようにした景品交換システムが提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−310992号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された景品交換システムでは、当該遊技店にて会員登録していないと貯玉システムを利用できないため、会員登録をしていないビジターは、獲得した遊技媒体を景品交換する際に、やはり端玉の処理で困ることとなる。また、低額の端玉景品は遊技者にとって必ずしも必要なものでは無い場合もあり、端玉景品がそのまま廃棄されたりして、無駄なものとなってしまう点も問題である。
【0006】
そこで、本発明は、上記問題点に鑑み成されたもので、遊技媒体を景品に交換する一態様として、遊技者が公益団体等へ寄付をすることができる機会を提供できる遊技機用遊技媒体を用いた募金システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、請求項1に係る発明は、遊技店に設置された遊技機での遊技に用いる遊技媒体を所持する遊技者が、自らの意思で任意数量の遊技媒体を寄付対象に決定する寄付遊技媒体決定手段と、前記寄付遊技媒体決定手段により決定された数量の遊技媒体の価値を、その種別に応じたレートに基づき特定する寄付金額特定手段と、前記寄付金額特定手段により特定された金額の寄付金を、予め定めた寄付対象団体への寄付とする寄付金決済指令を遊技店外へ送信する寄付金決済指令手段と、前記寄付金決済指令手段より通信回線を介して寄付金決済指令を受けることに基づき、指令送信元の遊技店が入金可能な遊技店口座より、指定された寄付対象団体が出金可能な団体口座へ指定金額を移す寄付金決済センタと、を備え、遊技者が所持する遊技媒体で募金ができるようにしたことを特徴とする。
【0008】
また、請求項2に係る発明は、遊技店に設置された遊技機での遊技に用いる遊技媒体を所持する遊技者が、自らの意思で任意数量の遊技媒体を所望の寄付対象団体への寄付対象に決定する寄付対象・寄付遊技媒体決定手段と、前記寄付対象団体・寄付対象遊技媒体決定手段により決定された数量の遊技媒体の価値を、その種別に応じたレートに基づき特定する寄付金額特定手段と、前記寄付金額特定手段により特定された金額の寄付金を、前記寄付対象・寄付遊技媒体決定手段により決定された寄付対象団体への寄付とする寄付金決済指令を遊技店外へ送信する寄付金決済指令手段と、前記寄付金決済指令手段より通信回線を介して寄付金決済指令を受けることに基づき、指令送信元の遊技店が入金可能な遊技店口座より、指定された寄付対象団体が出金可能な団体口座へ指定金額を移す寄付金決済センタと、を備え、遊技者が所持する遊技媒体で募金ができるようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に係る遊技機用遊技媒体を用いた募金システムによれば、遊技店に設置された遊技機での遊技に用いる遊技媒体を所持する遊技者が、自らの意思で任意数量の遊技媒体を寄付対象に決定する寄付遊技媒体決定手段と、前記寄付遊技媒体決定手段により決定された数量の遊技媒体の価値を、その種別に応じたレートに基づき特定する寄付金額特定手段と、前記寄付金額特定手段により特定された金額の寄付金を、予め定めた寄付対象団体への寄付とする寄付金決済指令を遊技店外へ送信する寄付金決済指令手段と、前記寄付金決済指令手段より通信回線を介して寄付金決済指令を受けることに基づき、指令送信元の遊技店が入金可能な遊技店口座より、指定された寄付対象団体が出金可能な団体口座へ指定金額を移す寄付金決済センタと、を備え、遊技者が所持する遊技媒体で募金ができるようにしたので、遊技者が所持する遊技媒体を所望の景品と交換できない端数分を寄付対象団体への募金とすることができる。遊技店にとっても景品交換数に満たない端数の遊技媒体処理で煩雑な対応が不要となる。加えて、遊技店は寄付金決済センタを介して寄付対象団体への募金を行うので、遊技店が寄付対象団体への募金を直接行う必要が無く、遊技店の処理負担も軽減される。また、遊技店が予め定めておく寄付対象団体も、寄付金決済センタが決済可能な一覧から選ぶような運用とすることもできる。
【0010】
また、請求項2に係る遊技機用遊技媒体を用いた募金システムによれば、遊技店に設置された遊技機での遊技に用いる遊技媒体を所持する遊技者が、自らの意思で任意数量の遊技媒体を所望の寄付対象団体への寄付対象に決定する寄付対象・寄付遊技媒体決定手段と、前記寄付対象団体・寄付対象遊技媒体決定手段により決定された数量の遊技媒体の価値を、その種別に応じたレートに基づき特定する寄付金額特定手段と、前記寄付金額特定手段により特定された金額の寄付金を、前記寄付対象・寄付遊技媒体決定手段により決定された寄付対象団体への寄付とする寄付金決済指令を遊技店外へ送信する寄付金決済指令手段と、前記寄付金決済指令手段より通信回線を介して寄付金決済指令を受けることに基づき、指令送信元の遊技店が入金可能な遊技店口座より、指定された寄付対象団体が出金可能な団体口座へ指定金額を移す寄付金決済センタと、を備え、遊技者が所持する遊技媒体で募金ができるようにしたので、遊技者が所持する遊技媒体を所望の景品と交換できない端数分を遊技者が望む寄付対象団体への募金とすることができる。遊技店にとっても景品交換数に満たない端数の遊技媒体処理で煩雑な対応が不要となる。加えて、遊技店は寄付金決済センタを介して寄付対象団体への募金を行うので、遊技店が寄付対象団体への募金を直接行う必要が無く、遊技店の処理負担も軽減される。また、遊技者が募金対象候補として選べる寄付対象団体も、寄付金決済センタが決済可能な一覧から遊技店が寄付対象候補として遊技者に提示するような運用とすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】遊技機用遊技媒体を用いた募金システムの概略構成図である。
【図2】(a)は景品交換POS端末装置の表示画面における端玉寄付画面のイメージ図、(b)は遊技者用表示操作端末の表示画面における端玉寄付画面のイメージ図である。
【図3】景品交換POS端末装置で受け付けた取引内容を景品管理サーバへ送信する電文例である。
【図4】(a)は景品管理サーバが管理する1ヶ月間の寄付履歴一覧のデータテーブル、(b)は景品管理サーバが1ヶ月間の寄付履歴を日次集計したデータテーブル、(c)は景品管理サーバが1ヶ月間の寄付履歴を寄付先毎に集計して作成した月次管理表を示す。
【図5】遊技媒体貸出装置から寄付を可能にするための遊技店内システム構成図である。
【図6】持玉でプレイして残った端玉を寄付したとき、遊技媒体貸出装置のタッチ液晶表示部に表示される表示内容の遷移図である。
【図7】本体にタッチ液晶表示部を備える封入球式遊技機にて端玉寄付を行う場合の概要説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本発明に係る遊技機用遊技媒体を用いた募金システムの実施形態を添付図面に基づいて説明する。本実施形態においては、遊技媒体として遊技球を用いる遊技機が設置された遊技場に適用するものとしたが、遊技媒体としてメダルを用いるスロット式遊技機が設定されている場合にも適用可能である。
【0013】
図1は、遊技機用遊技媒体として遊技者が所持する遊技球である持玉を、景品交換の一態様として募金に充てることができる遊技機用遊技媒体を用いた募金システムの概略構成を示すもので、種々の遊技機が設置された遊技店10、該遊技店10と広域通信網20を介して接続される寄付金決済センタ30を必須構成とし、この寄付金決済センタ30は、広域通信網20を介して種々の金融機関(金融機関サーバ40a〜40c)と取引可能である。
【0014】
なお、図1の構成では、金融機関サーバ40aは、NPO団体Aが擁する公益基金Aを管理する口座があり、金融機関サーバ40bは、NPO団体Bが擁する公益基金Bを管理する口座があり、金融機関サーバ40cは、遊技店10の口座がある場合を示したが、寄付金決済センタ30の機能を大手ネットバンクが果たす場合、遊技店10の口座および寄付対象団体の基金口座を寄付金決済センタ30内に設けておくことで、広域通信網20を介して他行宛ての送金や引落を別途行う必要がなくなる。また、寄付対象団体を選定する基準も特に制限はなく、著しく社会性を欠くものでなければ、活動内容はもちろん法人・任意団体の何れであっても、寄付対象団体に選定して構わない。
【0015】
遊技店10には、遊技者の持玉を景品に交換するために、景品交換POS端末装置11があり、遊技者の持玉数に応じて任意の景品を選ぶことができる。例えば、景品交換POS端末装置11へ遊技者の持玉を入力する場合、景品交換POS端末装置11と接続されたジェットカウンタに遊技者が実球を投入することで、計数された持玉数が景品交換POS端末装置11に入力され、景品交換を行うことができる。あるいは、各遊技者が所持する情報記録媒体C(当該遊技店10で登録されている会員が所持する会員カードや、固有のID番号が記録されており主にビジターが使用するICコインなど)に記録された持ち玉数をカードリーダ・ライタ12を介して景品交換POS端末装置11が読み出すことで、遊技者の持玉数を景品交換POS端末装置11へ入力できるようにしても良い。
【0016】
上記のようにして、遊技者の持玉数を取り込んだ景品交換POS端末装置11では、店員の操作により、遊技者が所望する交換景品を指定してゆく。例えば、遊技者の持玉が5000であった場合に、4000玉分の景品Aと900玉分の景品Bを選択して、100玉が残っている(図1のPOS景品交換画面を参照)。このように、交換可能な景品に満たない端玉が生じ、会員ではないために貯玉への預入ができず、端玉景品を遊技者が望まない場合、この端玉を公益団体等への寄付として使い切ることができる。
【0017】
例えば、残玉数分に対して寄付を選択すると、景品交換POS端末装置11のパネル面11aには、図2(a)に示すような操作画面が表示される。そして、残玉数に等しい寄付可能玉数を、2つの寄付対象団体に適宜振り分け、「寄付」の受け付けか、「取消」かの最終判断を遊技者に委ねる。無論、寄付の最終操作である寄付ボタンの押下を遊技店員が行うこともできるが、遊技者の自発的な行為として寄付を成立させるためには、遊技者が自ら寄付ボタンを押すことが望ましいのである。この場合、景品交換POS端末装置11のパネル面11aを遊技者に操作させるようにしても良いが、遊技者に遊技者用表示操作端末13を手渡し、この遊技社用表示操作端末13の表示面13aに表示された表示内容(図2(b)を参照)を確認して貰い、納得した上で遊技者に寄付ボタンの押下を促すのである。
【0018】
遊技者が寄付ボタンを押すことで、任意数量の持玉を寄付対象団体への寄付とすることが決定すると、この交換景品の情報と併せて寄付に関する情報を含む景品交換取引電文として景品管理サーバ14へ送信され、この景品管理サーバ14で交換景品に関する情報と共に寄付に関する情報も収集・管理される。なお、景品交換において持玉による寄付を行った場合、寄付玉数を印字した寄付控え11bを遊技者に手渡すようにすれば、遊技店の会員ではないビジターでも、寄付の実績を証明することができるので、遊技店が寄付実績に応じた優遇サービスを行う場合、ビジターでも寄付控え11bを持っていれば、そのサービスを受けることが可能となる。
【0019】
景品交換POS端末装置11から景品交換サーバ14へ送信される景品交換取引電文としては、図3(a)〜(c)に示すようなもので、例えば、ヘッダ情報として「営業日付」、「店舗番号」、景品交換POS端末装置11の固有番号である「POS番号」、景品交換の対応を行った遊技店員の固有番号である「担当者コード」、この景品交換POS端末装置11で景品交換の対応を行ったシリアル番号である「取引番号」、景品交換対応の「開始時刻」、景品交換対応の「終了時刻」、会員もしくはビジターの種別を示す「会員/ビジター」、景品交換に受け容れた遊技媒体のレートを示す「貸玉レート」を含み、このヘッダ情報と併せて、取引内容の詳細が送信される。
【0020】
例えば、図3(a)に示す景品交換取引電文は、ビジターである遊技者が2つの情報記録媒体Cを所持しており、両媒体の持玉数の総計5000玉から、1000玉分の景品Aを4個、100玉分の景品Bを9個、残り100玉をNPO団体Aの公益基金Aへの寄付とした場合である。図3(b)に示す景品交換取引電文は、会員である遊技者が所持する情報記録媒体Cに記録された持玉の全数である9800玉に、貯玉から引き出した200玉を足して、総計10000玉で1000玉分の景品Aを10個と交換し、寄付は行わなかった場合である。図3(c)に示す景品交換取引電文は、会員である遊技者が所持する情報記録媒体Cに記録された持玉の全数である5110玉で、1000玉分の景品Aを5個と交換し、100玉分を貯玉として預け入れ、残りの10玉をNPO団体Bの公益基金Bへの寄付とした場合である。
【0021】
また、持玉の寄付を景品交換のとき以外にもできるように、遊技店10の店内には、寄付専用端末装置15を設けてある。寄付専用端末装置15を使う場合、景品交換POS専用端末装置11のように玉計数用のジェットカウンタが接続されていないことから、持玉数の記録された情報記録媒体Cを所持している必要がある。そして、情報記録媒体Cを寄付専用端末装置15に投入すると、表示パネル15aには寄付の選択画面(例えば、図2(a)と同様な画面)が表示され、遊技者の決定ボタン押下により寄付を決定すると、寄付電文(例えば、図3(d)を参照)が景品交換サーバ14へ送信される。
【0022】
以上のように、本実施形態においては、遊技店内に設置した景品交換POS端末装置11や寄付専用端末装置15が「遊技店に設置された遊技機での遊技に用いる遊技媒体を所持する遊技者が、自らの意思で任意数量の遊技媒体を寄付対象に決定する寄付遊技媒体決定手段」として機能するのである。
【0023】
一方、景品管理サーバ14では、景品取引履歴の中から寄付レコードを抽出することで寄付履歴(例えば、図4(a)を参照)を管理し、寄付玉数とその貸玉レートと寄付玉レート(例えば、景品交換レートと同一)により定まる金額に基づいて算出できる寄付金を指定の寄付対象団体への募金として処理する旨を指示する寄付金決済指令を、所定のタイミングで寄付金決済センタ30へ送信する。例えば、1日の集計額を閉店後に寄付として決済する場合には、図4(b)に示すような日次集計を作成して、集計日毎に寄付金決済センタ30へ寄付金決済指令を送信すれば良いし、1ヶ月単位で決済する場合には、図4(c)に示すような月次管理表を作成して、1ヶ月単位の集計金額に基づいて寄付金決済センタ30へ寄付金決済指令を送信すれば良い。寄付金決済センタ30へ寄付金決済指令を行った集計欄に対しては、その日を支払通知日として記入しておく。
【0024】
なお、寄付金決済指令を行うタイミングは1日毎や1ヶ月毎に限定されるものではなく、1週間毎でも良いし、予め定めた最低寄付金額以上になることを決済タイミングとしても良いし、寄付金の集計値が最低寄付金額を越えるか、所定の寄付期間が経過するか、最先の条件が達成されたタイミングで決済指令を行うようにしても良い。
【0025】
以上のように、本実施形態においては、遊技店10に設置された景品管理サーバ14が「前記寄付遊技媒体決定手段により決定された数量の遊技媒体の価値を、その種別に応じたレートに基づき特定する寄付金額特定手段と、前記寄付金額特定手段により特定された金額の寄付金を、予め定めた寄付対象団体への寄付とする寄付金決済指令を遊技店外へ送信する寄付金決済指令手段」として機能するのである。
【0026】
遊技店10の景品管理サーバ14より寄付金決済指令を受けた寄付金決済センタ30では、遊技店10の口座がある金融機関サーバ40cから寄付金相当額を引き落とす要求を行い、金融機関サーバ40cより寄付金相当額が寄付金決済センタ30に振り込まれると、これを金融機関サーバ40aの公益基金A口座へ振り込む。これにより、寄付金の決済が完了する。なお、遊技店口座から公益基金A口座へ寄付金相当額を振り込むように寄付金決済センタ30から金融機関サーバ40cへ指示するだけでも、遊技店10からNPO団体Aへの寄付金決済を完了できる。また、寄付金を口座間の電子データの移動で処理せずに、寄付金決済センタ30から寄付対象団体へ直接送付あるいは持参することで、寄付金決済を行うようにしても良い。
【0027】
以上のように、本実施形態においては、遊技店10の景品管理サーバ14と広域通信網20を介して接続される寄付金決済センタ30が「前記寄付金決済指令手段より通信回線を介して寄付金決済指令を受けることに基づき、指令送信元の遊技店が入金可能な遊技店口座より、指定された寄付対象団体が出金可能な団体口座へ指定金額を移す寄付金決済センタ」として機能するのである。
【0028】
そして、本実施形態の遊技機用遊技媒体を用いた募金システムによれば、遊技者の持玉のうち、所望の景品と交換できない端数分などを寄付対象団体への募金とすることができる。遊技店10にとっても景品交換数に満たない端玉の処理で煩雑な対応をする必要が無くなり、遊技者と遊技店の双方にとって有益なシステムとなる。加えて、遊技店10が寄付対象団体へ直接寄付するのではなく、様々な遊技店10と契約した寄付金決済センタ30を介して寄付対象団体への募金を行う構成としたので、遊技店10では、遊技者から預かった寄付用の玉から募金額を算出して寄付金決済センタ30へ指示すれば良いことから、景品交換の一態様として寄付が追加されたことによる遊技店の処理負担が著しく増えることもない。
【0029】
また、遊技店10とは別の存在である寄付金決済センタ30が様々な公益団体と折衝することで、寄付対象団体を広く募ることができるので、寄付金決済センタ30が用意した寄付対象団体の一覧から、遊技店10が寄付を行う団体を自由に選択できるような運用とすることも可能である。このように、様々な公益団体が寄付対象団体として選べるようになると、募金対象が散らばって、なかなか募金額が上がらなくなる反面、特定のNPO活動などに賛同する遊技者にとっては、募金のインセンティブが上がり、端玉だけではなく、貯玉から相当数の寄付を行う可能性もあるので、景品交換POS端末装置11や寄付専用端末装置15から寄付を選択するときに、寄付対象団体の一覧を表示したり、団体名や活動内容での絞り込み検索を行えるようにしておき、遊技者自らの意思で寄付対象団体を決定するようにしても良い。
【0030】
斯くする場合には、景品交換POS端末装置11や寄付専用端末装置15が「遊技店に設置された遊技機での遊技に用いる遊技媒体を所持する遊技者が、自らの意思で任意数量の遊技媒体を所望の寄付対象団体への寄付対象に決定する寄付対象・寄付遊技媒体決定手段」として機能し、景品管理サーバ14が「前記寄付対象団体・寄付対象遊技媒体決定手段により決定された数量の遊技媒体の価値を、その種別に応じたレートに基づき特定する寄付金額特定手段」として機能し、寄付金決済センタ30が「前記寄付金額特定手段により特定された金額の寄付金を、前記寄付対象・寄付遊技媒体決定手段により決定された寄付対象団体への寄付とする寄付金決済指令を遊技店外へ送信する寄付金決済指令手段と、前記寄付金決済指令手段より通信回線を介して寄付金決済指令を受けることに基づき、指令送信元の遊技店が入金可能な遊技店口座より、指定された寄付対象団体が出金可能な団体口座へ指定金額を移す寄付金決済センタ」として機能すれば、遊技者が所持する遊技媒体で、遊技者が希望する寄付対象団体への募金ができる。
【0031】
上述したように、遊技店10からNPO団体AやNPO団体B等へ寄付金の決済が行われ、各団体より受領確認の通知(寄付証明書など)を遊技店10が受領することで、図4(c)の月次管理表における寄付先確認日が特定され、このタイミングで寄付済みフラグをセットする運用としておけば、景品管理サーバ14が管理している寄付履歴の一覧で、個々の遊技者から受け取った寄付用の遊技媒体に基づく寄付が完了しているかどうかを簡単に見分けることができる。
【0032】
なお、上記実施形態における募金システムは、寄付対象団体への寄付として募金箱に現金を入れるイメージであるが、例えば、寄付対象団体が寄付金込みの値付けをした寄付景品を購入することで寄付を行うような募金システムとすることも可能である。例えば、寄付対象団体から予め寄付景品を遊技店で預かっておくか、寄付景品を寄付対象団体から景品交換者宅へ後日送付するように調整しておき、遊技者が遊技店10内での交換景品として寄付景品を選択し、自らの意思で寄付景品交換ボタンを押下することで、寄付景品との交換が決定されて、景品管理サーバ14が寄付金決済センタ30へ寄付金決済指令を行うことにより、寄付金決済センタ30が行う決済処理として遊技店口座から公益基金口座へ寄付景品相当額が移されることで、寄付景品による寄付が完了する。すなわち、寄付景品を媒介として寄付対象団体への寄付を行う場合にも、上述した募金システムを改変することなく対応できるのである。
【0033】
また、上述した遊技機用遊技媒体を用いた募金システムでは、遊技者が遊技を終えた後など、遊技を行っていないときに、遊技店10内の景品交換POS端末装置11や寄付専用端末装置15を使って遊技媒体を寄付に充てる操作を行うものとしたが、遊技中あるいは遊技媒体を使い切って遊技機を離れる直前に寄付操作を行うことができれば、一層利便性の高いものとなる。そこで、図5に基づき、遊技機100と対応して設けられた遊技媒体貸出装置200において、寄付の受付を可能とした構成例を説明する。なお、図5は遊技店10のみを示すものであるが、図示を省略した外部通信手段により、寄付金決済センタ30等とのデータ通信が可能である。
【0034】
遊技店10には、複数の遊技機100が設置されている。各遊技機100に対応して遊技媒体貸出装置200が設けられている。これら遊技機100および遊技媒体貸出装置200に対応して設けられる球箱ユニット300は、遊技媒体貸出装置200が備える遊技媒体計数部へ遊技者の持玉(遊技機100の遊技に使える遊技球であり、遊技において獲得した獲得球や遊技媒体貸出装置200から借り受けた貸し球の総称である)を導入するものである。
【0035】
また、遊技店10内には、前述した景品交換POS端末装置11、景品管理サーバ14、寄付専用端末装置15に加えて、遊技媒体貸出装置200に投入された情報記録媒体C(当該遊技場の会員として登録した遊技者に付与される会員カード、貨幣と等価な価値が記録されたプリペイド式のカードやICコインなどで、遊技店内で固有の識別情報であるカードIDが付与されているもの)の使用履歴や購入履歴などを管理するプリペイドシステム管理コンピュータ16、当該遊技店の会員が遊技店で獲得した遊技球を預けた貯玉を管理する顧客管理コンピュータ17、遊技店10の各種情報を収集して統括的に管理するためのホールコンピュータ18等が、店内ネットワークを介して接続され、種々の情報や指令信号が授受される。
【0036】
遊技機100は、ガラス枠110のガラス越しに遊技者が見える遊技盤(図示省略)へ遊技球を弾発して遊技を行うもので、遊技盤上に設けられた種々の入賞口へ入賞すると所定数の賞球が排出されて上皿120に導入される。上皿120に大量の球が貯まって溢れると、賞球は上皿120の下方部に設けられた下皿130に導かれ、下皿130に貯まって行く。なお、下皿130の底部には球排出口を設けてあり、排出スイッチ131を操作することで球排出口を開成させることができ、下皿130に貯まった球を球箱ユニット300へ移すことができる。上皿120に貯まった遊技球は、所定の発射位置へ誘導されて待機し、操作ハンドル140を遊技者が回動操作することで発射装置(図示省略)が駆動し、操作ハンドル140の回動量に応じた弾発勢で遊技球が1個宛て発射される。操作ハンドル140が初期位置に戻ると、発射装置が止まり、発射停止となる。
【0037】
遊技媒体貸出装置200は、貨幣投入口201や情報記録媒体挿排口202から紙幣や情報記録媒体Cが投入されると、投入額や消費価値に応じた遊技球を貸し出すものである。遊技媒体貸出装置200の前面には、タッチ液晶表示部203を設け、投入された金額や情報記録媒体Cの価値情報を表示したり、遊技者のパネル操作によって所望のタイミングで遊技球の貸出を受けることもできる。また、遊技店員等が所持するリモコンからの信号(例えば、赤外光)を受光するリモコン受光部204を設け、遊技店員等がリモコンで遊技媒体貸出装置200に対する動作指令を行うことも可能である。
【0038】
なお、遊技媒体貸出装置200はCRユニットとしての機能を備え、対応する遊技機100のCR遊技機としての機能を備えるものであるから、遊技機100と遊技媒体貸出装置200とで球貸関連の信号をやりとりして遊技機100の賞球排出装置から貸出用の遊技球を排出させることもできるし、遊技媒体貸出装置200が備える遊技媒体払出部を作動させ、上皿120の球貯留部の上方に排出口が位置するように調整した球排出ノズル205から遊技媒体を排出することもできる。
【0039】
また、遊技媒体貸出装置200は、その下方部に遊技媒体計数部を備えるもので、球箱ユニット300の持ち玉貯留部301に貯まった持ち玉が持ち玉誘導部310内の球通路から供給され、遊技者の操作あるいは遊技媒体貸出装置200からの指令信号によって持ち玉のカウントが指示されると、持ち玉カウント用の遊技媒体計数部によって持ち玉を1個宛検出し、遊技媒体貸出装置200内で持ち玉の計数および情報記録媒体Cへの記録が行われる。カウント済みの持ち玉は更に下流へと流下して行き、持ち玉排出路202より排出される。
【0040】
上記のように構成された遊技機100で遊技するために、会員カードである情報記録媒体Cを遊技媒体貸出装置200に投入したとき、例えば、図6(a)に示すように、遊技に使える持玉が十分にあることから、指定払出ボタンを押す毎に所定数(例えは、25玉)が払い出され、遊技機100で遊技を行うことができる。この遊技を行っている間、持玉寄付ボタンは有効であり、持玉を遊技に使わないで寄付することも可能である。そして、持玉を使いながら遊技を行った結果、図6(b)に示すように、持玉が指定払出数に満たなくなったとき、持玉寄付ボタンが点灯あるいは点滅することで、端玉の処理方法として寄付があることを遊技者に認識させる。ここで、遊技者が自らの意思で持玉寄付ボタンを押すと、持玉全数が寄付として景品管理サーバ14へ送信され、上述したように、寄付履歴として管理される。持玉が零になると、図6(c)に示すように、持玉寄付ボタンが操作できない無効状態となり、持玉を使い切った遊技者は、情報記録媒体Cの返却を受ければ、景品カウンタへ行って端玉の処理を行うことなく、そのまま遊技店10を出ることができ、遊技者の利便性が良い。
【0041】
上述した遊技機100は遊技媒体貸出装置200との組み合わせで、実球を遊技者に貸し出すものであったが、遊技者の持玉を寄付に充てることができる遊技機は、これに限定されるものではない。図7に示す封入球式遊技機100′は、機内に所定数の遊技球が封入された状態で機内を循環させることで弾球遊技を行うものであり、これに対応して設けられた遊技媒体貸出装置200′は、会員カードやICコイン等の情報記録媒体Cを受け容れて、遊技者の指定した数量の持玉や貯玉を遊技に使えるように封入球式遊技機100′へ指示するものである。
【0042】
封入球式遊技機100′は、実球を取り扱う必要がないことから、上皿や下皿が設けられていた比較的広い領域を自由に使うことができるので、ここに大型の操作表示部150を設け、このタッチ操作表示部150を遊技者が操作して球貸要求や貯玉引落を要求すると、これが遊技媒体貸出装置200′へ送信され、情報記録媒体Cに基づいて管理している持玉の使用や貯玉の引落を行い、その分を封入球式遊技機100′で遊技に使用できるようになる。そして、遊技に使える持玉を寄付に充てる操作も、このタッチ操作表示部150から行うことができ、例えば、図7のタッチ操作表示部150の表示例に示すように、持玉の残数が指定払出数に満たない24個になったとき、遊技者が自らの意思で寄付ボタンを押下すると、持玉全数(プレイ可能玉数)が寄付として景品管理サーバ14へ送信され、上述したように、寄付履歴として管理される。従って、持玉を使い切った遊技者は、情報記録媒体Cの返却を受ければ、景品カウンタへ行って端玉の処理を行うことなく、そのまま遊技店10を出ることができる。
【0043】
以上、本発明に係る遊技媒体貸出装置の実施形態を添付図面に基づいて説明したが、本発明の包摂範囲は、この実施形態に限定されるものではなく、公知既存の手法を適宜転用することで実現しても構わない。
【符号の説明】
【0044】
10 遊技店
11 景品交換POS端末装置
12 カードリーダ・ライタ
13 遊技者用表示操作端末
14 景品管理サーバ
15 寄付専用端末装置
20 広域通信網
30 寄付金決済センタ
40a〜40c 金融機関サーバ
C 情報記録媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技店に設置された遊技機での遊技に用いる遊技媒体を所持する遊技者が、自らの意思で任意数量の遊技媒体を寄付対象に決定する寄付遊技媒体決定手段と、
前記寄付遊技媒体決定手段により決定された数量の遊技媒体の価値を、その種別に応じたレートに基づき特定する寄付金額特定手段と、
前記寄付金額特定手段により特定された金額の寄付金を、予め定めた寄付対象団体への寄付とする寄付金決済指令を遊技店外へ送信する寄付金決済指令手段と、
前記寄付金決済指令手段より通信回線を介して寄付金決済指令を受けることに基づき、指令送信元の遊技店が入金可能な遊技店口座より、指定された寄付対象団体が出金可能な団体口座へ指定金額を移す寄付金決済センタと、
を備え、遊技者が所持する遊技媒体で募金ができるようにしたことを特徴とする遊技機用遊技媒体を用いた募金システム。
【請求項2】
遊技店に設置された遊技機での遊技に用いる遊技媒体を所持する遊技者が、自らの意思で任意数量の遊技媒体を所望の寄付対象団体への寄付対象に決定する寄付対象・寄付遊技媒体決定手段と、
前記寄付対象団体・寄付対象遊技媒体決定手段により決定された数量の遊技媒体の価値を、その種別に応じたレートに基づき特定する寄付金額特定手段と、
前記寄付金額特定手段により特定された金額の寄付金を、前記寄付対象・寄付遊技媒体決定手段により決定された寄付対象団体への寄付とする寄付金決済指令を遊技店外へ送信する寄付金決済指令手段と、
前記寄付金決済指令手段より通信回線を介して寄付金決済指令を受けることに基づき、指令送信元の遊技店が入金可能な遊技店口座より、指定された寄付対象団体が出金可能な団体口座へ指定金額を移す寄付金決済センタと、
を備え、遊技者が所持する遊技媒体で募金ができるようにしたことを特徴とする遊技機用遊技媒体を用いた募金システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−161396(P2012−161396A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−22520(P2011−22520)
【出願日】平成23年2月4日(2011.2.4)
【出願人】(501468770)株式会社ジョイコシステムズ (66)
【Fターム(参考)】