遊技機
【課題】遊技機本体と前面扉の間から遊技機内部に異物を差し入れるなどして行われる不正行為を抑制することができる遊技機を提供する。
【解決手段】パチンコ機10は、外枠11に対して回動可能に支持された本体枠13を備えており、さらに本体枠13の前方には前扉枠14が設けられている。前扉枠14は、本体枠13に対して回動可能に支持されている。前扉枠14の背面には、その回動基端側の端部に沿って延びるようにして前扉側部材171が設けられており、本体枠13の前面には、前扉側部材171と対応する位置に本体側部材181が設けられている。前扉側部材171及び本体側部材181は、本体枠13に対する前扉枠14の閉鎖動作に伴い組み合わされるようになっている。
【解決手段】パチンコ機10は、外枠11に対して回動可能に支持された本体枠13を備えており、さらに本体枠13の前方には前扉枠14が設けられている。前扉枠14は、本体枠13に対して回動可能に支持されている。前扉枠14の背面には、その回動基端側の端部に沿って延びるようにして前扉側部材171が設けられており、本体枠13の前面には、前扉側部材171と対応する位置に本体側部材181が設けられている。前扉側部材171及び本体側部材181は、本体枠13に対する前扉枠14の閉鎖動作に伴い組み合わされるようになっている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
遊技機の一種であるパチンコ機には、遊技盤が設けられる遊技機本体と、その遊技機本体の前面側に配置される前面扉とが備えられている。遊技盤の前面側には遊技領域が形成されており、遊技領域には入賞口、入賞装置等の各種遊技機器が設けられている。そして、遊技者により遊技球発射ハンドルが操作されると遊技球が遊技領域に向けて発射される。発射された遊技球が入賞口や入賞装置などに入賞すると、それに伴い所定個数の遊技球が払い出される(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
前面扉は遊技機本体に対して開閉可能に支持されており、前面扉が閉鎖状態にある場合は遊技盤が前面扉により覆われている。前面扉にはガラス等の透明板が遊技盤前面を覆うようにして配設されており、前面扉が閉鎖状態にある場合でもパチンコ機の前方から遊技領域が視認可能となっている。遊技領域は、前面扉が開放されると遊技機前方に露出するようになっており、遊技領域などのメンテナンスがホール管理者等により行われる際には前面扉が開放状態とされる。
【0004】
ここで、不正に利益を得ることを目的として、例えば、前面扉を開放状態として遊技領域を露出させ、入賞装置を手で強制的に開放状態とするとともにその入賞装置や入賞口に遊技球を手で直接入賞させるなどの不正行為が行われるおそれがあるが、通常、遊技中には前面扉が閉鎖状態とされているため、前記不正行為を行うことが困難なものとなっている。
【特許文献1】特開2006−122710号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のように前面扉が遊技機本体に対して開閉可能に支持された構成においては、遊技機本体と前面扉との間から遊技領域に対して不正行為が行われるおそれがある。不正行為として、例えば、遊技機本体と前面扉との間から針金などの不正道具を遊技領域内に侵入させ、不正道具により入賞装置を強制的に開放状態とするとともにその入賞装置や入賞口に遊技球を誘導し、不正に入賞装置や入賞口に遊技球を入賞させて利益を得るという行為が考えられる。
【0006】
なお、遊技機本体と前面扉との間から行われる不正行為は、遊技領域のみを対象とするものではなく、遊技機内部に設けられた遊技部品等なども対象とするものであると考えられる。また、前記不正行為は、パチンコ機に対してのみ行われるものではなく、遊技機本体の前面側に開閉可能に取り付けられた前面扉を有するその他の遊技機に対しても行われるものであると考えられる。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、遊技機本体と前面扉の間から遊技機内部に異物を差し入れるなどして行われる不正行為を抑制することができる遊技機を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下、上記課題を解決するのに有効な手段等につき、必要に応じて効果等を示しつつ説明する。なお以下においては、理解の容易のため、発明の実施の形態において対応する構成を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。
【0009】
手段1.各種遊技部品(一般入賞口82等)が設けられた遊技機本体(本体枠13)と、
前記遊技機本体の前面側に開閉可能に取り付けられた前面扉(前扉枠14)と
を備え、
前記遊技機本体と前記前面扉との間に遊技機内部が形成され、当該遊技機内部に前記各種遊技部品の少なくとも一部が収容された遊技機において、
前記遊技機本体と前記前面扉との間からの異物の侵入を前記遊技機内部に至る手前位置で規制するとともに、前記遊技機本体に対する前記前面扉の遊技機前方への相対的な変位を規制する規制機構(前扉側部材171、本体側部材181)を設けたことを特徴とする遊技機。
【0010】
手段1によれば、規制機構を設けたため、遊技機本体と前面扉との間からの異物の侵入が遊技機内部に至る手前位置で規制される。このため、例えば不正行為者が前面扉と遊技機本体との間から針金や不正道具などの異物を遊技機内部に差し入れようとしても、それが困難なものとなっている。
【0011】
また、規制機構により、遊技機本体に対する前面扉の遊技機前方への相対的な変位が規制される。例えば、遊技機本体と前面扉との間の領域が拡張した場合、規制機構の異物に対する侵入規制能力が低下するおそれがあるが、遊技機本体に対する前面扉の遊技機前方への相対的な変位が規制されるため、遊技機本体と前面扉との間の領域が拡張するように遊技機本体や前面扉に対して外力が加えられても、規制機構の異物に対する侵入規制能力の低下を抑制することができる。したがって、遊技機本体と前面扉との間から異物を遊技機内部に差し入れることの困難性の低下を抑制することができる。
【0012】
以上の結果、遊技機本体と前面扉の間から遊技機内部に異物を差し入れるなどして行われる不正行為を抑制することができる。
【0013】
手段2.手段1において、前記規制機構を、前記遊技機本体及び前記前面扉の周縁部の少なくとも一部に沿って延びるように設けたことを特徴とする遊技機。
【0014】
手段2によれば、規制機構を、遊技機本体及び前面扉の周縁部の少なくとも一部に沿って延びるように設けたため、遊技機本体と前面扉との間からの異物の侵入が遊技機内部に至る手前位置で広範囲に渡って規制されるとともに、遊技機本体と前面扉との間の領域の拡張が広範囲に渡って規制される。したがって、遊技機本体と前面扉との間からの遊技機内部への異物の侵入をより確実に阻止することができる。
【0015】
手段3.手段1又は手段2において、前記規制機構として、
前記遊技機本体及び前記前面扉のいずれか一方に設けられ、前記異物の侵入を規制する第1部材(前扉側部材171)と、
他方に設けられるとともに、前記遊技機本体に対して前記前面扉が閉鎖状態にある場合に前記第1部材に組み合わされる第2部材(本体側部材181)と
を備え、
前記第1部材と前記第2部材とが組み合わされることで前記前面扉の前記変位を規制する構成としたことを特徴とする遊技機。
【0016】
手段3によれば、第1部材により、遊技機本体と前面扉との間からの異物の侵入が遊技機内部に至る手前位置で規制される。このため、前面扉と遊技機本体との間から異物を遊技機内部に差し入れるには、例えば異物を変形させて第1部材を回避させるなどの必要が生じる。したがって、異物を遊技機内部に差し入れることを困難なものとすることができる。
【0017】
また、遊技機本体に対して前面扉が閉鎖状態にある場合に、遊技機本体又は前面扉の一方に設けられた第1部材と他方に設けられた第2部材とが組み合わされることで、遊技機本体に対する前面扉の遊技機前方への相対的な変位が規制される。この場合、遊技機本体と前面扉との間の領域の拡張を規制することができるため、遊技機本体と前面扉の間から異物を遊技機内部に差し入れることの困難性の低下を抑制することができる。
【0018】
すなわち、遊技機本体と前面扉の間から異物を遊技機内部に差し入れることを困難なものとしつつ、異物の差し入れに対する困難性の低下を抑制することができる。
【0019】
手段4.手段3において、前記第1部材を長尺状の部材とし、当該第1部材を前記遊技機本体又は前記前面扉の周縁部の少なくとも一部に沿って延びるように設けたことを特徴とする遊技機。
【0020】
手段4によれば、長尺状の第1部材が、遊技機本体又は前面扉の周縁部の少なくとも一部に沿って延びるように設けられている。このため、遊技機本体と前面扉との間からの異物の侵入を遊技機内部に至る手前位置で広範囲に渡って規制することができる。
【0021】
手段5.手段3において、前記第1部材を複数連ねることで、各第1部材を全体として遊技機本体又は前記前面扉の周縁部の少なくとも一部に沿って延びるように設けたことを特徴とする遊技機。
【0022】
手段5によれば、第1部材が複数連ねられることで、各第1部材が全体として遊技機本体又は前面扉の周縁部の少なくとも一部に沿って延びるように設けられている。このため、遊技機本体と前面扉との間からの異物の侵入を遊技機内部に至る手前位置で広範囲に渡って断続的に規制することができる。
【0023】
手段6.手段3乃至手段5のいずれかにおいて、前記第2部材を、前記第1部材と組み合わされた場合に前記異物の侵入を規制するように、かつ遊技機本体又は前記前面扉の周縁部の少なくとも一部に沿って延びるように設けたことを特徴とする遊技機。
【0024】
手段6によれば、第2部材により、遊技機本体と前面扉との間からの異物の侵入が遊技機内部に至る手前位置で規制される。このため、前面扉と遊技機本体との間から異物を遊技機内部に差し入れるには、第1部材に加えて第2部材を回避させるなどの必要が生じる。したがって、異物を遊技機内部に差し入れることの困難性を高めることができる。また、第2部材を、遊技機本体又は前面扉の周縁部の少なくとも一部に沿って延びるように設けたため、異物の侵入を広範囲に渡って規制することができる。
【0025】
手段7.手段3乃至手段6のいずれかにおいて、前記第1部材は、
第1部材と第2部材とが組み合わされた場合に前記第2部材が遊技機左右方向又は上下方向から入り込む受入部(前扉側部材171の凹溝)と、
前記受入部を形成するとともに、前記第2部材との当接状態では前記前面扉の前記変位を規制する規制部(対向板部173)と
を備えたことを特徴とする遊技機。
【0026】
手段7によれば、第1部材と第2部材とが組み合わされた場合、第2部材が受入部に遊技機左右方向又は上下方向から入り込んだ状態となる。このため、前面扉と遊技機本体との間から異物を遊技機内部に差し入れるには、第1部材と第2部材との間を縫うようにして異物を通過させる必要がある。したがって、前面扉と遊技機本体との間から異物を遊技機内部に差し入れることの困難性をより高めることができる。
【0027】
また、第1部材の規制部を、第2部材との当接状態では遊技機本体に対する前面扉の遊技機前方への相対的な変位を規制するようにした。このため、遊技機本体に対して前面扉が閉鎖状態にある場合に、仮に前面扉が遊技機前方に引っ張られても前面扉の浮き上がりを規制することができる。この場合、遊技機本体と前面扉との間の領域の拡張を規制することができるため、遊技機内部への異物差し入れの困難性の低下を抑制することができる。
【0028】
手段8.手段7において、前記第1部材を、前記規制部と前記第2部材とが当接状態にある場合の当接部が前記遊技機本体及び前記前面扉の周縁部の少なくとも一部に沿って延びるように設けたことを特徴とする遊技機。
【0029】
手段8によれば、規制部と第2部材とが当接状態にある場合の当接部が遊技機本体及び前面扉の周縁部の少なくとも一部に沿って延びるように構成したため、仮に前面扉が遊技機前方に引っ張られても前面扉の浮き上がりを広範囲に渡って規制することができる。したがって、遊技機本体と前面扉との間の領域の局所的な拡張を規制することができる。
【0030】
手段9.手段7又は手段8において、前記遊技機本体及び前記前面扉のいずれか一方に設けられた前記第1部材は、
前記異物の侵入を規制するとともに前記一方の周縁部の少なくとも一部に沿って延びるように、かつ前記受入部を形成するべく前記一方と前記規制部とを連結する連結部(連結板部174)を有することを特徴とする遊技機。
【0031】
手段9によれば、第1部材において、連結部により、遊技機本体と前面扉との間からの異物の侵入が遊技機内部に至る手前位置で広範囲に渡って規制される。また、遊技機本体及び前面扉のうち一方と規制部とが連結部により連結されることで受入部が形成されているため、連結部と規制部とが同一平面上には位置しないこととなる。したがって、第1部材では、連結部と規制部とにより、異物の侵入を異なる方向から規制することができる。これにより、遊技機本体に対して前面扉が閉鎖状態にある場合に、前面扉と遊技機本体との間から異物を遊技機内部に差し入れるには、第1部材における連結部と規制部を回避させるために異物を複数回曲げつつ侵入させる必要が生じる。この場合、更に、第1部材と第2部材との間を縫うようにして異物を通過させる必要があるため、前面扉と遊技機本体との間から異物を遊技機内部に差し入れることの困難性をより一層高めることができる。
【0032】
手段10.手段3乃至手段9のいずれかにおいて、前記遊技機本体に対して前記前面扉を回動可能に支持する支持部(突起軸61,62、支持金具72,73)を設け、
前記第1部材及び前記第2部材を、前記前面扉の閉鎖動作に伴って組み合わされるように設けたことを特徴とする遊技機。
【0033】
手段10によれば、前面扉の閉鎖動作に伴って第1部材と第2部材とが組み合わされる。このため、単に前面扉を閉鎖状態とすることで、遊技機本体に対する前面扉の遊技機前方への相対的な変位を規制することができる。したがって、前面扉を閉鎖状態とした後、遊技機本体や前面扉に対して別の操作を行うことなく、遊技機を、遊技機内部への異物の侵入を規制する状態とすることができる。
【0034】
手段11.手段7乃至手段9のいずれかにおいて、前記遊技機本体に対して前記前面扉を回動可能に支持する支持部(突起軸61,62、支持金具72,73)を設け、
前記前面扉の閉鎖動作に伴って、前記第2部材が前記受入部に遊技機左右方向又は上下方向から入り込む構成としたことを特徴とする遊技機。
【0035】
手段11によれば、前面扉の閉鎖動作に伴って第2部材が受入部に遊技機左右方向又は上下方向から入り込んだ状態となる。このため、単に前面扉を閉鎖状態とすることで、遊技機本体に対する前面扉の遊技機前方への相対的な変位が規制され、遊技機本体と前面扉との間の領域の拡張を規制することができる。したがって、前面扉を閉鎖状態とした後、遊技機本体や前面扉に対して別の操作を行うことなく、遊技機を、遊技機内部への異物の侵入を規制する状態とすることができる。
【0036】
手段12.手段11において、前記受入部を、前記前面扉の閉鎖動作に伴って当該受入部と相対的に移動する前記第2部材の軌道上に設けるとともに、当該受入部の開放側が前記第2部材に向くように設けたことを特徴とする遊技機。
【0037】
手段12によれば、受入部を、その開放側が第2部材に向くようにして第2部材の軌道上に設けたため、前面扉の閉鎖動作に伴って受入部に第2部材を入り込ませることが可能となる。したがって、単に前面扉を閉鎖状態とすることで、第1部材と第2部材とを組み合わせることができる。
【0038】
手段13.手段11又は手段12において、前記第1部材及び前記第2部材を、前記第2部材が前記受入部に入り込む位置が前記支持部より遊技機前方又は後方となるように設けたことを特徴とする遊技機。
【0039】
手段13によれば、前面扉を支持する支持部より遊技機前方又は後方にて第2部材が受入部に入り込むため、第2部材は、遊技機前後方向のみならず遊技機左右方向又は上下方向に相対的に移動しながら受入部に入り込むこととなる。したがって、単に前面扉を閉鎖状態とするだけで、遊技機左右方向又は上下方向から第2部材を受入部に入り込ませることが可能となる。
【0040】
手段14.手段11乃至手段13のいずれかにおいて、前記第1部材及び前記第2部材のいずれか一方を前記前面扉の回動基端側に設け、他方を前記遊技機本体に設けたことを特徴とする遊技機。
【0041】
手段14によれば、第1部材及び第2部材のいずれか一方を前面扉の回動基端側に設け、他方を遊技機本体に設けた。前面扉を回動動作させた場合、回動基端側の曲率半径は回動先端側の曲率半径に比べて小さくなる。したがって、回動基端側と回動先端側の遊技機前後方向への移動量が同一であれば、回動基端側の方が遊技機左右方向又は上下方向への移動量が大きくなる。このため、第1部材及び第2部材のいずれか一方を前面扉の回動基端側に設けた方が受入部への第2部材の入り込み量を大きくすることが可能となる。例えば、前面扉に左右方向又は上下方向から外力が加えられて第2部材が受入部から外れた場合、前面扉が遊技機前方に引っ張られることで遊技機本体と前面扉との間の領域が拡張するおそれがある。ここで、かかる構成とすることにより、前面扉に左右方向又は上下方向から外力が加えられても、第2部材を受入部から外れにくくすることができる。したがって、遊技機本体と前面扉との間の領域の拡張をより確実に規制することができる。
【0042】
手段15.手段14において、前記支持部を、回動軸線方向における前記前面扉の両端部に設けたことを特徴とする遊技機。
【0043】
手段15によれば、回動軸線方向における前面扉の両端部にて、前面扉が支持部により支持されている。この場合、支持部による前面扉の支持間隔が長くなるため、遊技機本体に対する前面扉のがたつきを抑制することができるが、例えば前面扉が遊技機前方に引っ張られると、支持部の中間位置における前面扉の浮き上がりが大きくなるおそれがある。ここで、第1部材又は第2部材が前面扉の回動基端側に設けられているため、仮に前面扉が遊技機前方に引っ張られても、支持部の中間位置においてはもちろんのこと他の位置においても前面扉の浮き上がりを抑制することが可能となる。故に、前面扉のがたつきを抑制しつつ、遊技機本体と前面扉との間の領域の拡張を規制することができる。
【0044】
手段16.手段15において、前記第1部材及び前記第2部材のいずれか一方を、前記両支持部間の略全域に渡るようにかつ当該略全域で他方と組み合わされるように設けたことを特徴とする遊技機。
【0045】
手段16では、第1部材及び第2部材のいずれか一方を、両支持部間の略全域に渡るようにかつその略全域で他方と組み合わされるように設けた。このため、前面扉の回動基端側では、両支持部間の全域に渡って前面扉の遊技機前方への相対的な変位を規制することができる。したがって、前面扉のどの部分が遊技機前方に引っ張られても、支持部の間における前面扉の浮き上がりを抑制することができる。
【0046】
手段17.手段14乃至手段16のいずれかにおいて、前記前面扉が閉鎖状態にある場合に前記遊技機本体と前記前面扉とを当該前面扉の回動先端側にて開放不能に施錠する施錠装置(施錠装置131)を設けたことを特徴とする遊技機。
【0047】
手段17によれば、遊技機本体と前面扉とがその前面扉の回動先端側にて施錠装置により開放不能に施錠されている。したがって、仮に前面扉が遊技機前方に引っ張られても、回動先端側における前面扉の浮き上がりを抑制することが可能となる。これにより、回動先端側において、遊技機本体と前面扉との間から遊技機内部に異物を差し入れることの困難性の低下をより確実に抑制できる。ここで、第1部材及び第2部材のいずれか一方が前面扉の回動基端側に設けられるとともに他方が遊技機本体に設けられているため、回動先端側に加えて回動基端側においても前面扉の浮き上がりを抑制することができる。
【0048】
手段18.手段11乃至手段17のいずれかにおいて、前記遊技機本体又は前記前面扉の一方に、他方の側面を包囲するように前記他方側に張り出した張出部(張出部78)を設けたことを特徴とする遊技機。
【0049】
手段18によれば、前面扉が閉鎖状態にある場合に、遊技機本体又は前面扉の一方に設けられた張出部により他方の側面が包囲される。このため、遊技機本体に対する前面扉の遊技機左右方向又は上下方向への相対的な変位を規制することができる。したがって、仮に前面扉に遊技機左右方向又は上下方向に外力が加えられても、受入部からの第2部材の外れを抑制することができ、ひいては、遊技機本体と前面扉との間の領域の拡張をより確実に規制することができる。また、張出部により遊技機本体と前面扉との間の領域が遊技機左右方向や上下方向にて遮蔽されるため、遊技機内部への異物の侵入の困難性をより一層高めることができる。
【0050】
手段19.手段3乃至手段18のいずれかにおいて、前記第1部材及び前記第2部材を板材により形成したことを特徴とする遊技機。
【0051】
手段19によれば、第1部材及び第2部材が板材により形成されている。このため、比較的安価に規制機構を構成することが可能となり、さらに、規制機構を比較的簡易な構成とすることが可能となる。また、第1部材及び第2部材が板材であるため、それら部材を設けた範囲では全域に渡って、前面扉と遊技機本体との間からの遊技機内部への異物の侵入を規制することができる。
【0052】
手段20.手段19において、前記第1部材及び前記第2部材を金属板により形成したことを特徴とする遊技機。
【0053】
手段20によれば、第1部材及び第2部材が金属板により形成されているため、第1部材及び第2部材の強度を十分に確保することが可能となる。したがって、前面扉が遊技機前方に引っ張られた場合に、第1部材及び第2部材が変形しにくくなっている。故に、比較的安価に規制機構を構成しつつ、遊技機本体と前面扉との間の領域の拡張を規制することができる。
【0054】
手段21.手段1乃至手段20のいずれかにおいて、遊技機前方から視認可能な状態で前記遊技機本体の前面部に設けられ、遊技球が流下する遊技領域(遊技盤81)と、
前記遊技領域を流下する遊技球が入球可能な入球部(一般入賞口82、可変入賞装置83、作動口84)と、
を備え、
前記入球部に遊技球が入球した場合に遊技者に特典が付与される構成とした遊技機において、
前記遊技領域を前記遊技機内部に設けたことを特徴とする遊技機。
【0055】
手段21によれば、遊技領域を遊技機内部に設けたため、遊技領域への異物の侵入を阻止することができる。例えば、不正行為者が前面扉と遊技機本体との間から遊技領域に異物を差し入れて、異物により遊技球を誘導することで入球部に遊技球を不正に入賞させようとしても、それが困難なものとなっている。このため、不正行為者に対して特典が不正に付与されることを抑制できる。すなわち、遊技機本体と前面扉の間から遊技機内部に異物を差し入れるなどして行われる不正行為を抑制することができる。
【0056】
また、かかる構成では、いわゆるパチンコ機に対して上記手段1乃至手段20のいずれかの効果を享受することができる。
【0057】
手段22.手段1乃至手段20のいずれかにおいて、遊技機前方から視認可能な位置に設けられ、複数種の絵柄が変動表示される複数の絵柄表示領域と、各絵柄表示領域における絵柄の変動表示を開始させるべく操作される始動操作手段と、該各絵柄表示領域における絵柄の変動表示を停止させるべく操作される複数の停止操作手段とを備え、
遊技メダルの受入完了状態で前記始動操作手段が操作された場合に各絵柄表示領域における絵柄の変動表示を開始させ、絵柄の変動表示の停止後に、各絵柄表示領域に表示されている絵柄により所定絵柄又は所定絵柄の組み合わせが成立していた場合には遊技者に特典が付与される構成としたことを特徴とする遊技機。
【0058】
手段23によれば、いわゆるスロットマシンに対して上記手段1乃至手段20のいずれかの効果を享受することができる。
【0059】
手段23.手段1乃至手段20のいずれかにおいて、遊技機前方から視認可能な位置に設けられ、複数種の絵柄が変動表示される複数の絵柄表示領域と、遊技機前面部にて遊技球を貯留する貯留部と、該貯留部に貯留された遊技球を取り込む取込装置と、該取込装置による遊技媒体の取り込みを開始させるべく操作される取込開始操作手段と、各絵柄表示領域における絵柄の変動表示を開始させるべく操作される始動操作手段と、該各絵柄表示領域における絵柄の変動表示を停止させるべく操作される複数の停止操作手段とを備え、
前記取込装置により所定数の遊技媒体が取り込まれ、さらに前記始動操作手段が操作された場合に、各絵柄表示領域における絵柄の変動表示を開始させ、絵柄の変動表示の停止後に各絵柄表示領域に表示されている絵柄により所定絵柄又は所定絵柄の組み合わせが成立していた場合には遊技者に特典が付与される構成としたことを特徴とする遊技機。
【0060】
手段23によれば、パチンコ機とスロットマシンとが融合した遊技機に対して上記手段1乃至手段20のいずれかの効果を享受することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0061】
(第1の実施の形態)
以下、遊技機の一種であるパチンコ遊技機(以下、「パチンコ機」という)の一実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。図1はパチンコ機10の正面図、図2及び図3はパチンコ機10の主要な構成を展開して示す斜視図、図4はパチンコ機10の背面図である。なお、図2では便宜上パチンコ機10の遊技領域内の構成を省略している。
【0062】
パチンコ機10は、当該パチンコ機10の外殻を形成する外枠11と、この外枠11に対して前方に回動可能に取り付けられた遊技機主部12とを有する。外枠11は木製の板材を四辺に連結し構成されるものであって矩形枠状をなしている。パチンコ機10は、外枠11を島設備に取り付け固定することにより、遊技ホールに設置される。
【0063】
遊技機主部12は、ベース体としての本体枠13と、その本体枠13の前方に配置される前扉枠14と、本体枠13の後方に配置される裏パックユニット15とを備えている。遊技機主部12のうち本体枠13が外枠11に対して回動可能に支持されている。詳細には、正面視で左側を回動基端側とし右側を回動先端側として本体枠13が前方へ回動可能とされている。
【0064】
本体枠13には、図2に示すように、前扉枠14が回動可能に支持されており、正面視で左側を回動基端側とし右側を回動先端側として前方へ回動可能とされている。また、本体枠13には、図3に示すように、裏パックユニット15が回動可能に支持されており、正面視で左側を回動基端側とし右側を回動先端側として後方へ回動可能とされている。
【0065】
次に、前扉枠14について説明する。なお、以下の説明では、図1〜図3を参照するとともに、前扉枠14の背面の構成については図5を参照する。図5は、前扉枠14の背面構成を示す斜視図である。
【0066】
前扉枠14は本体枠13の前面側全体を覆うようにして設けられている。前扉枠14には後述する遊技領域のほぼ全域を前方から視認することができるようにした窓部21が形成されている。窓部21は、略楕円形状をなし、透明性を有するガラス22が嵌め込まれている。窓部21の周囲には、各種ランプ等の発光手段が設けられている。例えば、窓部21の周縁に沿ってLED等の発光手段を内蔵した環状電飾部23が設けられている。環状電飾部23では、大当たり時や所定のリーチ時等における遊技状態の変化に応じて点灯や点滅が行われる。また、環状電飾部23の中央であってパチンコ機10の最上部には所定のエラー時に点灯するエラー表示ランプ部24が設けられ、さらにその左右側方には賞球払出中に点灯する賞球ランプ部25が設けられている。また、左右の賞球ランプ部25に近接した位置には、遊技状態に応じた効果音などが出力されるスピーカ部26が設けられている。
【0067】
前扉枠14における窓部21の下方には、手前側へ膨出した上側膨出部31と下側膨出部32とが上下に並設されている。上側膨出部31内側には上方に開口した上皿33が設けられており、下側膨出部32内側には同じく上方に開口した下皿34が設けられている。上皿33は、後述する払出装置より払い出された遊技球を一旦貯留し、一列に整列させながら後述する遊技球発射機構側へ導くための機能を有する。また、下皿34は、上皿33内にて余剰となった遊技球を貯留する機能を有する。
【0068】
下側膨出部32の右方には、手前側へ突出するようにして遊技球発射ハンドル41が設けられている。遊技球発射ハンドル41が操作されることにより、後述する遊技球発射機構から遊技球が発射される。
【0069】
前扉枠14の背面の下部には、図2及び図5に示すように、樹脂ケース51が取り付けられている。樹脂ケース51の背面(図5に見える面)は平坦状をなし、前扉枠14を閉じた際に発射レール112の側壁を構成するようになっている。故に、発射レール112から遊技球が前方にこぼれ落ちることが防止される。樹脂ケース51の回動基端側には、パチンコ機10後方に向けて球通路樋52が設置されている。
【0070】
前扉枠14の背面における回動基端側(図5の右側)には、その上端部及び下端部に突起軸61,62が設けられている。これら突起軸61,62は本体枠13に対する組付機構を構成する。上下方向における突起軸61,62間には、前扉枠14の端部に沿って上下方向に延びるようにして、長尺状の前扉側部材171が設けられている。
【0071】
また、前扉枠14の背面における回動先端側(図5の左側)には、図2に示すように、後方に延びる鉤金具63が上下方向に複数並設されている。各鉤金具63は全体として鉤形状に形成されており、鉤金具63の先端に位置する係止部63aにより本体枠13に係止可能となっている。これら鉤金具63は本体枠13に対する施錠機構を構成する。
【0072】
次に、本体枠13について詳細に説明する。図6は本体枠13の正面構成を示す斜視図である。
【0073】
本体枠13は、外形が外枠11とほぼ同一形状をなす樹脂ベース71を主体に構成されている。樹脂ベース71の周縁部には、前方に張り出すようにして張出部78が設けられている。張出部78は、本体枠13に対して前扉枠14が閉鎖状態にある場合に前扉枠14の外周を包囲するように形成されている。この場合、張出部78により、本体枠13と前扉枠14との間の領域が遊技機左右方向及び上下方向の外部に対して遮られている。したがって、仮に不正行為者が針金やフィルムなどの不正道具を本体枠13と前扉枠14との間から侵入させて不正行為を行おうとしても、それが困難なものとなっている。
【0074】
樹脂ベース71の前面における回動基端側(図6の左側)には、その上端部及び下端部に支持金具72,73が取り付けられている。図示は省略するが、支持金具72,73には軸孔が形成されており、それら軸孔に前扉枠14の突起軸61,62が挿入されることにより、本体枠13に対して前扉枠14が回動可能に支持されている。
【0075】
本体枠13において、上下方向における支持金具72,73間には、本体枠13の端部に沿って上下方向に延びるようにして長尺状の本体側部材181が設けられている。本体側部材181は、本体枠13に対して前扉枠14が閉鎖状態にある場合に、前扉枠14の前扉側部材171と組み合わされるようになっている。前扉側部材171及び本体側部材181の詳細については後述する。
【0076】
樹脂ベース71の前面における回動先端側(図6の右側)には、前扉枠14の背面に設けられた鉤金具63を挿入するための挿入孔74がそれぞれ設けられている。挿入孔74は、本体枠13に対して前扉枠14を閉鎖させた際に鉤金具63が挿入される位置に設けられており、鉤金具63の挿入が可能な大きさとなっている。本パチンコ機10では、本体枠13や前扉枠14を施錠状態とするための施錠装置131(図3,図8参照)が本体枠13の背面側に隠れて配置される構成となっている。したがって、鉤金具63が挿入孔74を介して施錠装置131に係止されることによって、前扉枠14が本体枠13に対して開放不能に施錠される。
【0077】
樹脂ベース71の右下隅部には、施錠装置131の解錠操作を行うためのシリンダ錠75が設置されている。シリンダ錠75は施錠装置131に一体化されており、シリンダ錠75の鍵穴に差し込んだキーを左に回すと本体枠13に対する前扉枠14の施錠が解かれるようになっている。なお、シリンダ錠75の鍵穴に差し込んだキーを右に回すと外枠11に対する本体枠13の施錠が解かれるようになっている。
【0078】
樹脂ベース71の中央部には略楕円形状の窓孔76が形成されている。樹脂ベース71には遊技盤81が着脱可能に取り付けられている。遊技盤81は合板よりなり、遊技盤81の前面に形成された遊技領域が樹脂ベース71の窓孔76を通じて本体枠13の前面側に露出した状態となっている。
【0079】
ここで、遊技盤81の構成を図7に基づいて説明する。遊技盤81には、ルータ加工が施されることによって前後方向に貫通する大小複数の開口部が形成されている。各開口部には一般入賞口82,可変入賞装置83,作動口84,スルーゲート85及び可変表示ユニット86等がそれぞれ設けられている。一般入賞口82、可変入賞装置83及び作動口84に遊技球が入ると、それが後述する検知スイッチにより検知され、その検知結果に基づいて所定数の賞球の払い出しが実行される。その他に、遊技盤81の最下部にはアウト口87が設けられており、各種入賞口等に入らなかった遊技球はアウト口87を通って遊技領域から排出される。また、遊技盤81には、遊技球の落下方向を適宜分散、調整等するために多数の釘88が植設されていると共に、風車等の各種部材(役物)が配設されている。
【0080】
可変表示ユニット86には、作動口84への入賞をトリガとして図柄を可変表示する図柄表示装置91が設けられている。また、可変表示ユニット86には、図柄表示装置91を囲むようにしてセンターフレーム92が配設されている。センターフレーム92の上部には、第1特定ランプ部93及び第2特定ランプ部94が設けられている。また、センターフレーム92の上部及び下部にはそれぞれ保留ランプ部95,96が設けられている。下側の保留ランプ部95は、図柄表示装置91及び第1特定ランプ部93に対応しており、遊技球が作動口84を通過した回数は最大4回まで保留され保留ランプ部95の点灯によってその保留個数が表示されるようになっている。上側の保留ランプ部96は、第2特定ランプ部94に対応しており、遊技球がスルーゲート85を通過した回数は最大4回まで保留され保留ランプ部96の点灯によってその保留個数が表示されるようになっている。
【0081】
図柄表示装置91は、液晶ディスプレイを備えた液晶表示装置として構成されており、後述する表示制御装置により表示内容が制御される。図柄表示装置91には、例えば左、中及び右に並べて図柄が表示され、これらの図柄が上下方向にスクロールされるようにして変動表示されるようになっている。そして、予め設定されている有効ライン上に所定の組合せの図柄が停止表示された場合には、特別遊技状態(以下、大当たりという)が発生することとなる。
【0082】
第1特定ランプ部93では、作動口84への入賞をトリガとして所定の順序で発光色の切り替えが行われ、予め定められた色で停止表示された場合には大当たりが発生する。また、第2特定ランプ部94では、遊技球のスルーゲート85の通過をトリガとして所定の順序で発光色の切り替えが行われ、予め定められた色で停止表示された場合には作動口84に付随する電動役物が所定時間だけ開放状態となる。
【0083】
可変入賞装置83は、通常は遊技球が入賞できない又は入賞し難い閉状態になっており、大当たりの際に遊技球が入賞しやすい所定の開放状態に切り換えられるようになっている。可変入賞装置83の開放態様としては、所定時間(例えば30秒間)の経過又は所定個数(例えば10個)の入賞を1ラウンドとして、複数ラウンド(例えば15ラウンド)を上限として可変入賞装置83が繰り返し開放されるものが一般的である。
【0084】
遊技盤81には、内レール部101と外レール部102とが取り付けられており、これら内レール部101と外レール部102とにより誘導レールが構成され、後述する遊技球発射機構から発射された遊技球が遊技領域の上部に案内されるようになっている。
【0085】
遊技盤81の盤面は内レール部101及び外レール部102により内外領域に区画され、略円形状に区画された内側領域が遊技領域とされている。特に本実施の形態では、遊技盤81の盤面上に区画される遊技領域が従来よりも大きく構成されている。
【0086】
ここで、遊技領域を、パチンコ機10の正面から見て内レール部101及び外レール部102によって囲まれる領域のうち、内外レール部101,102の対向部分である球案内通路の領域を除いた領域として説明する。つまり、遊技領域は球案内通路部分を含まないため、遊技領域の向かって左側限界位置は外レール部102によってではなく内レール部101によって特定される。また、遊技領域の向かって右側限界位置は内レール部101によって特定され、遊技領域の下側限界位置はアウト口87が形成された遊技盤81の下端位置によって特定され、遊技領域の上側限界位置は外レール部102によって特定される。
【0087】
遊技領域は、遊技領域拡大という観点からは幅寸法及び高さ寸法が大きい程好ましい。なお、遊技領域の幅又は高さが一定値以上となると、遊技領域の一部が遊技盤81の盤面を越えることも考えられるが、その越えた領域については他の部材を遊技盤面に沿って設けること等によって補えばよい。
【0088】
遊技領域の拡張に関連して、可変表示ユニット86の両側に位置するスルーゲート85は、該ゲート85を通過した遊技球が中央の方へ寄せられるような案内機構を有している。これにより、遊技領域が左右方向及び上下方向に拡張されている場合であっても、遊技球を中央の作動口84や可変入賞装置83の方へと案内することができ、ひいては、遊技領域が拡張されることにより遊技球が入賞しにくくなることによる興趣の低下が抑制されるようになっている。また、遊技領域が左右方向及び上下方向に拡張されていることによって、比較的大型の可変表示ユニット86を遊技領域中央に設けても、可変表示ユニット86の左右両側にスルーゲート85、複数の釘(遊技球を中央に誘導するための三角釘等の誘導釘)、他の役物などを余裕をもってかつ多く配設することができ、可変表示ユニット86の左右両側及び上下両側の遊技領域での遊技球の流れが単調とならず、遊技球の挙動を存分に楽しませることができる。
【0089】
前述したように、遊技領域は、そのほぼ全域を前扉枠14の窓部21(ガラス22)を通じて前方から視認することができるようになっている。したがって、窓部21は、遊技領域の拡張に伴い拡張されることとなる。本パチンコ機10では、遊技領域の拡張に伴い大きめのガラス22が前扉枠14に搭載されている。ここで、前扉枠14のフレーム部分は、前扉枠14自体の強度及びガラス支持強度を確保するのに十分な幅寸法となっているため、窓部21を拡張するためのフレーム部分の縮小には制約が生じることとなる。
【0090】
遊技領域に遊技球を発射する遊技球発射機構110は、樹脂ベース71における窓孔76の下方に取り付けられている。遊技球発射機構110は、電磁式のソレノイド111と、発射レール112と、球送り機構113とからなり、ソレノイド111への電気的な信号の入力により当該ソレノイド111の出力軸が伸縮方向に移動し、球送り機構113によって発射レール112上に置かれた遊技球を遊技領域に向けて打ち出す。
【0091】
遊技球発射機構110では、遊技者による遊技球発射ハンドル41の操作に基づいてソレノイド111が通電され、ソレノイド111が通電されることにより遊技球が遊技領域に打ち出される。ここで、遊技球発射ハンドル41と遊技球発射機構110とは電気的に接続されているが機械的には分離した構成となっている。したがって、遊技球発射ハンドル41と遊技球発射機構110とを別々に設置することが可能となっている。本実施の形態では、遊技球発射機構110が本体枠13に配設されており、遊技球発射ハンドル41が前扉枠14に配設されている。
【0092】
前扉枠14には、上皿33、下皿34及び遊技球発射ハンドル41などが設けられており、前扉枠14は、窓部21の下方におけるフレーム幅が比較的大きくなっている。前扉枠14において、ガラス22の拡張に伴いガラス22周囲のフレーム部分が幅狭になった場合、前扉枠14の強度低下の問題が懸念されるが、前扉枠14に遊技球発射ハンドル41などが設けられることでフレーム幅が確保され、前扉枠14自体の支持構造及びガラス支持構造の十分な強度が確保されている。
【0093】
図6の説明に戻り、発射レール112と遊技盤81に取り付けられた内,外レール部101,102との間には所定間隔の隙間があり、この隙間より下方にはファール球通路126が配設されている。したがって、仮に遊技球発射機構110から発射された遊技球が遊技領域の上部に到達せずに、内,外レール部101,102によって構成される誘導レールを逆戻りする場合には、そのファール球がファール球通路126を介して下皿34に排出される。
【0094】
本体枠13の前面において発射レール112の左方には、左右一対の通路116,117(図8参照)が形成されるとともに、その前方に、通路116,117より排出された遊技球を上皿33又は下皿34の何れかに案内するための遊技球案内ユニット120が取り付けられている。便宜上以下の説明では、通路116を第1通路、通路117を第2通路ともいう。第1通路116及び第2通路117は、本体枠13の背面に設けられた遊技球分配部225(図12参照)に通じている。
【0095】
遊技球案内ユニット120は、ポリカーボネート樹脂等の透明な樹脂材料により内部を視認可能に構成され、本体枠13に対して前扉枠14を閉鎖した状態で本体枠13と前扉枠14との間に収まるよう厚みが比較的薄くなるように形成されている。遊技球案内ユニット120には、前述したファール球通路126が一体的に形成されている。
【0096】
遊技球案内ユニット120には、第1通路116と上皿33とを連通するための連通口121と、第2通路117と下皿34とを連通するための球排出通路122とが形成されている。さらに、遊技球案内ユニット120には、連通口121を閉鎖することが可能な開閉プレート123が取り付けられている。開閉プレート123は支軸124により回動可能に支持され、付勢手段としてのバネ125により連通口121を閉鎖する位置に常時付勢されている。なお、開閉プレート123により連通口121が閉鎖されている場合には、それに連動して球排出通路122も閉鎖されるようになっている。
【0097】
遊技球案内ユニット120の上記構成によれば、前扉枠14を開放した状態ではバネ125の付勢力により開閉プレート123が図示の如く起き上がることで連通口121が閉鎖され、それに連動して球排出通路122も閉鎖される。これにより、連通口121及び球排出通路122の上流側に遊技球が貯留されている状態で前扉枠14を開放した場合に、その貯留球がこぼれ落ちてしまうといった不都合が防止できる。これに対し、前扉枠14を閉鎖した状態では、前扉枠14の裏面に設けられた球通路樋52(図2参照)により、バネ125の付勢力に抗して開閉プレート123が押し開けられる。この状態では、第1通路116と上皿33とが連通口121を介して連通し、それに連動して第2通路117と下皿34とが球排出通路122を介して連通することとなる。
【0098】
次に、本体枠13の背面構成について説明する。図8は本体枠13の背面図である。
【0099】
樹脂ベース71の背面における回動先端側(図8の左側)には、施錠装置131が設けられている。施錠装置131は縦長の取付板137を備えており、取付板137は本体枠13の裏面側に縦方向に取り付けられている。取付板137の背面側には、樹脂ベース71の挿入孔74と対応する位置に扉枠施錠部材138が取り付けられている。扉枠施錠部材138には、鉤金具63を挿入するための係止孔(図示略)が形成されている。扉枠施錠部材138は、上下方向への移動が可能となっており、バネなどの付勢部材により上方に付勢されている。付勢部材の付勢力に抗して扉枠施錠部材138が下方に移動した場合、樹脂ベース71の挿入孔74と扉枠施錠部材138の係止孔とがほぼ重なり、挿入孔74を介して係止孔への鉤金具63の挿入が可能となっている。
【0100】
本体枠13に対して前扉枠14を閉鎖させた場合、前扉枠14の閉鎖動作に伴い鉤金具63が挿入孔74及び扉枠施錠部材138に進入する。そして、扉枠施錠部材138は、鉤金具63により下方へ押されることで付勢部材の付勢力に抗して下方に移動し、鉤金具63の係止部63a(図2参照)が扉枠施錠部材138を通過した後、前記付勢力により係止部63aの分だけ上方に戻る。この場合、鉤金具63と扉枠施錠部材138とが係止状態となり、鉤金具63の係止部63aが扉枠施錠部材138の背面側に引っ掛かることで前扉枠14の遊技機前方への変位が規制されるため、本体枠13に対する前扉枠14の開放が規制される。
【0101】
また、施錠装置131には上下への摺動が可能な摺動杆139が設けられており、摺動杆139が下方に摺動するとそれに伴い扉枠施錠部材138が下方に移動する。さらに、施錠装置131にはシリンダ錠75の錠軸にカム板140が固定されて設けられており、シリンダ錠75のキー操作によってカム板140が図8における時計方向に回動されると、カム板140が摺動杆139に係合することで摺動杆139が下方に摺動する。この場合、扉枠施錠部材138が下方に移動するため、鉤金具63の係止部63aが扉枠施錠部材138に引っ掛からなくなり、鉤金具63と扉枠施錠部材138との係止状態が解除され、本体枠13に対する前扉枠14の施錠が解かれることとなる。
【0102】
樹脂ベース71の背面における回動基端側(図8の右側)には、軸受け金具132が取り付けられている。軸受け金具132には、上下に離間させて軸受け部133が形成されており、これら軸受け部133により本体枠13に対して裏パックユニット15が回動可能に取り付けられている。また、樹脂ベース71の背面には、裏パックユニット15を本体枠13に締結するための被締結孔134が設けられている。
【0103】
樹脂ベース71の背面には、係止金具135が複数設けられており、これら係止金具135によって上述したように樹脂ベース71に対して遊技盤81が取り付けられている。ここで、遊技盤81の背面の構成を説明する。図9は遊技盤81を後方より見た斜視図、図10は遊技盤81から主制御装置ユニット160を取り外した状態を示す背面図である。
【0104】
遊技盤81の中央に配置される可変表示ユニット86には、センターフレーム92を背後から覆う合成樹脂製のフレームカバー141が後方に突出させて設けられており、フレームカバー141に対して後側から上述した図柄表示装置91が取り付けられるとともに、その図柄表示装置を駆動するための表示制御装置が取り付けられている(図示は省略)。これら図柄表示装置91及び表示制御装置は前後方向に重ねて配置され(図柄表示装置が前、表示制御装置が後)、さらにその後方に音声ランプ制御装置ユニット142が搭載されている。音声ランプ制御装置ユニット142は、音声ランプ制御装置143と、取付台144とを具備する構成となっており、取付台144上に音声ランプ制御装置143が装着されている。
【0105】
音声ランプ制御装置143は、後述する主制御装置からの指示に従い音声やランプ表示、及び表示制御装置の制御を司る音声ランプ制御基板を具備しており、音声ランプ制御基板が透明樹脂材料等よりなる基板ボックス145に収容されて構成されている。
【0106】
遊技盤81の背面には、図10に示すように、可変表示ユニット86の下方に集合板ユニット150が設けられている。集合板ユニット150には、各種入賞口に入賞した遊技球を回収するための遊技球回収機構や、各種入賞口等への遊技球の入賞を検知するための入賞検知機構などが設けられている。
【0107】
遊技球回収機構について説明すると、集合板ユニット150には、前記一般入賞口82、可変入賞装置83、作動口84の遊技盤開口部に対応して且つ下流側で1カ所に集合する回収通路151が形成されている。したがって、一般入賞口82等に入賞した遊技球は何れも回収通路151を介して遊技盤81の下方に集合する。遊技盤81の下方には後述する排出通路があり、回収通路151により遊技盤81の下方に集合した遊技球は排出通路内に導出される。なお、アウト口87も同様に排出通路に通じており、何れの入賞口にも入賞しなかった遊技球もアウト口87を介して排出通路内に導出される。
【0108】
入賞検知機構について説明すると、集合板ユニット150には、遊技盤81表側の一般入賞口82と対応する位置に入賞口スイッチ152が設けられ、可変入賞装置83と対応する位置にカウントスイッチ153が設けられ、作動口84に対応する位置に作動口スイッチ154が設けられている。これらスイッチ152〜154により遊技球の入賞がそれぞれ検知される。なお、集合板ユニット150外における可変表示ユニット86の左右両側には、スルーゲート85を通過する遊技球を検知するゲートスイッチ155が設けられている。
【0109】
遊技盤81の背面には、集合板ユニット150を後側から覆うようにして主制御装置ユニット160が搭載されている。主制御装置ユニット160の構成について図11を用いて説明する。図11は主制御装置ユニット160の構成を示す斜視図である。
【0110】
主制御装置ユニット160は、合成樹脂製の取付台161を有し、取付台161に主制御装置162が搭載されている。主制御装置162は、遊技の主たる制御を司る機能(主制御回路)と、電源を監視する機能(停電監視回路)とを有する主制御基板を具備しており、当該主制御基板が透明樹脂材料等よりなる基板ボックス163に収容されて構成されている。
【0111】
基板ボックス163は、略直方体形状のボックスベース(表ケース体)とこのボックスベースの開口部を覆うボックスカバー(裏ケース体)とを備えている。これらボックスベースとボックスカバーとは封印手段としての封印部164によって開封不能に連結され、これにより基板ボックス163が封印されている。封印部164は、基板ボックス163の長辺部に5つ設けられ、そのうち少なくとも一つが用いられて封印処理が行われる。
【0112】
封印部164はボックスベースとボックスカバーとを開封不能に結合する構成であれば任意の構成が適用できるが、封印部164を構成する長孔に係止爪を挿入することでボックスベースとボックスカバーとが開封不能に結合されるようになっている。封印部164による封印処理は、その封印後の不正な開封を防止し、また万一不正開封が行われてもそのような事態を早期に且つ容易に発見可能とするものであって、一旦開封した後でも再度封印処理を行うこと自体は可能である。すなわち、5つの封印部164のうち、少なくとも一つの長孔に係止爪を挿入することにより封印処理が行われる。そして、収容した主制御基板の不具合発生の際や主制御基板の検査の際など基板ボックス163を開封する場合には、係止爪が挿入された封印部と他の封印部との連結部分を切断する。これにより、基板ボックス163のボックスベースとボックスカバーとが分離され、内部の主制御基板を取り出すことができる。その後、再度封印処理する場合は他の封印部の長孔に係止爪を挿入する。基板ボックス163の開封を行った旨の履歴を当該基板ボックス163に残しておけば、基板ボックス163を見ることで不正な開封が行われた旨が容易に発見できる。
【0113】
基板ボックス163の一方の短辺部には、その側方に突出するようにして複数の結合片165が設けられている。これら結合片165は、取付台161に形成された複数の被結合片166と1対1で対応しており、結合片165と被結合片166とにより基板ボックス163と取付台161との間で封印処理が行われる。
【0114】
次に、裏パックユニット15について説明する。図12は裏パックユニット15の正面図、図13は裏パックユニット15の分解斜視図である。
【0115】
裏パックユニット15は、裏パック201を備えており、当該裏パック201に対して、払出機構部202、排出通路盤203、及び制御装置集合ユニット204が取り付けられている。裏パック201は透明性を有する合成樹脂により成形されており、払出機構部202などが取り付けられるベース部211と、パチンコ機10後方に突出し略直方体形状をなす保護カバー部212とを有する。保護カバー部212は左右側面及び上面が閉鎖され且つ下面のみが開放された形状をなし、少なくとも可変表示ユニット86を囲むのに十分な大きさを有する。
【0116】
ベース部211には、その右上部に外部端子板213が設けられている。外部端子板213には各種の出力端子が設けられており、これらの出力端子を通じて遊技ホール側の管理制御装置に対して各種信号が出力される。また、ベース部211にはパチンコ機10後方からみて右端部に上下一対の掛止ピン214が設けられており、掛止ピン214を本体枠13に設けられた前記軸受け部133に挿通させることで、裏パックユニット15が本体枠13に対して回動可能に支持されている。また、ベース部211には、本体枠13に設けられた被締結孔134に対して締結するための締結具215が設けられており、当該締結具215を被締結孔134に嵌め込むことで本体枠13に対して裏パックユニット15が固定されている。
【0117】
ベース部211には、保護カバー部212を迂回するようにして払出機構部202が配設されている。すなわち、裏パック201の最上部には上方に開口したタンク221が設けられており、タンク221には遊技ホールの島設備から供給される遊技球が逐次補給される。タンク221の下方には、下流側に向けて緩やかに傾斜するタンクレール222が連結され、タンクレール222の下流側には上下方向に延びるケースレール223が連結されている。ケースレール223の最下流部には払出装置224が設けられている。払出装置224より払い出された遊技球は、当該払出装置224の下流側に設けられた図示しない払出通路を通じて、裏パック201のベース部211に設けられた遊技球分配部225に供給される。
【0118】
遊技球分配部225は、払出装置224より払い出された遊技球を上皿33、下皿34又は後述する排出通路の何れかに振り分けるための機能を有し、内側の開口部226が第1通路116を介して上皿33に通じ、中央の開口部227が第2通路117を介して下皿34に通じ、外側の開口部228が排出通路に通じるように形成されている。
【0119】
払出機構部202には、裏パック基板229が設置されている。裏パック基板229には、例えば交流24ボルトの主電源が供給され、電源スイッチ229aの切替操作により電源ON又は電源OFFとされるようになっている。
【0120】
ベース部211の下端部には、当該下端部を前後に挟むようにして排出通路盤203及び制御装置集合ユニット204が取り付けられている。排出通路盤203は、制御装置集合ユニット204と対向する面に後方に開放された排出通路231が形成されており、当該排出通路231の開放部は制御装置集合ユニット204によって塞がれている。排出通路231は、遊技ホールの島設備等へ遊技球を排出するように形成されており、上述した回収通路151等から排出通路231に導出された遊技球は当該排出通路231を通ることでパチンコ機10外部に排出される。
【0121】
制御装置集合ユニット204は、横長形状をなす取付台241を有し、取付台241に払出制御装置242と電源及び発射制御装置243とが搭載されている。これら払出制御装置242と電源及び発射制御装置243とは、払出制御装置242がパチンコ機10後方となるように前後に重ねて配置されている。
【0122】
払出制御装置242は、基板ボックス244内に払出装置224を制御する払出制御基板が収容されている。なお、払出制御装置242から払出装置224への払出指令の信号は上述した裏パック基板229により中継される。また、払出制御装置242には状態復帰スイッチ245が設けられている。例えば、払出装置224における球詰まり等、払出エラーの発生時において状態復帰スイッチ245が押されると、球詰まりの解消が図られるようになっている。
【0123】
電源及び発射制御装置243は、基板ボックス246内に電源及び発射制御基板が収容されており、当該基板により、各種制御装置等で要する所定の電源が生成されて出力され、さらに遊技者による遊技球発射ハンドル41の操作に伴う遊技球の打ち出しの制御が行われる。また、電源及び発射制御装置243にはRAM消去スイッチ247が設けられている。本パチンコ機10は各種データの記憶保持機能を有しており、万一停電が発生した際でも停電時の状態を保持し、停電からの復帰の際には停電時の状態に復帰できるようになっている。したがって、例えば遊技ホールの営業終了の場合のように通常手順で電源を遮断すると遮断前の状態が記憶保持されるが、RAM消去スイッチ247を押しながら電源を投入すると、RAMデータが初期化されるようになっている。
【0124】
ここで、前扉側部材171及び本体側部材181について詳細に説明する。
【0125】
まず、前扉側部材171について説明する。図5に示すように、前扉側部材171は、前扉枠14の背面に回動基端側(図5の右側)の端部に沿って上下方向へ延びるようにして設けられている。前扉側部材171は、前扉枠14の上下方向の長さとほぼ同じかそれより若干短くなっている。前扉側部材171は、金属製の当接板部172、対向板部173及び連結板部174により全体として横断面コ字状に形成されている。換言すれば、前扉側部材171において、当接板部172と対向板部173との間には連結板部174を底面とした凹溝が形成されている。また、対向板部173には、切欠173aが複数形成されている。
【0126】
前扉側部材171は、凹溝の開放側が前扉枠14の回動基端側を向くようにして、前扉枠14の背面に取り付けられている。前扉側部材171は、当接板部172の板面が前扉枠14に当接した状態で、小ネジ等の締結部材により前扉枠14に固定されている。したがって、連結板部174が、前扉枠14から遊技機後方に向かって起立するとともに、対向板部173が連結板部174から回動基端側に向かって突出した状態となっている。また、前扉側部材171は、前扉枠14の突起軸61,62よりも遊技機前方に位置している。
【0127】
次に、本体側部材181について説明する。図6に示すように、本体側部材181は、本体枠13の前面に前扉側部材171と対応する側(図6の左側)の端部に沿って上下方向へ延びるようにして設けられている。本体側部材181は、本体枠13の上下方向の長さとほぼ同じかそれより若干短くなっている。本体側部材181は金属製の板状部材により形成されている。本体側部材181には、貫通孔182が複数形成されている。
【0128】
本体側部材181は、その板面が遊技機前後方向を向くようにして、本体枠13の前面に取り付けられている。本体枠13の前面には、樹脂ベース71に凸部185が上下方向に並ぶようにして複数設けられており、各凸部185にはネジ孔(図示略)が形成されている。本体側部材181は、板面が凸部185に当接した状態で、貫通孔182を介して前記ネジ孔に小ネジ等の締結部材がねじ込まれることで前扉枠14に固定されている。各凸部185の間において、本体枠13の樹脂ベース71と本体側部材181との間には、前扉側部材171の対向板部173が入り込むのに十分な領域が確保されている。
【0129】
また、本体側部材181は、長手方向の一端部の全体が本体枠13の回動基端側の張出部78に当接した状態で固定されている。したがって、本体側部材181により、その本体側部材181の遊技機前方の領域と後方の領域とが張出部78の内側にて遮蔽されている。さらに、本体側部材181は、本体枠13の支持金具72,73の軸孔よりも遊技機前方に位置している。
【0130】
次いで、前扉枠14の閉鎖動作に伴う前扉側部材171と本体側部材181との組み合わせ状態について、図14及び図15に基づいて説明する。図14は、前扉側部材171及び本体側部材181周辺におけるパチンコ機10の略図であり、(a)は本体枠13に対して前扉枠14を開放した状態、(b)は本体枠13に対して前扉枠14を閉鎖した状態を示す。但し、図14では説明の便宜上、前扉側部材171及び本体側部材181を除いてパチンコ機10の略図を破線にて示している。図15は、前扉側部材171及び本体側部材181周辺を上方から見た略図であり、(a)は本体枠13に対して前扉枠14を開放した状態、(b)は本体枠13に対して前扉枠14を閉鎖した状態を示す。但し、図15では説明の便宜上、前扉側部材171及び本体側部材181の厚み寸法、及び部材間の寸法を実際の寸法よりも大きく示している。
【0131】
本体枠13に対して前扉枠14が開放状態にある場合は、図14(a)及び図15(a)に示すように、前扉側部材171と本体側部材181とが組み合わされていない状態となっている。ここで、本体側部材181は、本体枠13に対して前扉枠14が回動された際の前扉側部材171の軌道上に設けられている。前扉側部材171は、凹溝の開放側が本体側部材181を受け入れる方向を向くように設けられ、当接板部172と対向板部173との間には本体側部材181が入り込むために十分な領域が確保されている。前扉枠14において、回動軸としての突起軸61,62が前扉側部材171より遊技機前方に位置しているため、本体枠13に対する前扉枠14の閉鎖動作に伴って、前扉側部材171が図15(a)における上方に移動しつつ左方に移動する。これにより、前扉側部材171の凹溝の開放側に本体側部材181が入り込むこととなる。
【0132】
本体枠13に対して前扉枠14が閉鎖状態にある場合、図14(b)及び図15(b)に示すように、本体枠13と前扉枠14との間の領域にて前扉側部材171と本体側部材181とが組み合わされた状態となる。この場合、本体側部材181は、当接板部172と対向板部173との間に前扉側部材171の凹溝の開放側(前扉枠14の回動基端側)から入り込んでおり、前扉側部材171の対向板部173は、本体枠13の樹脂ベース71と本体側部材181との間に入り込んでいる。本体側部材181は、前扉側部材171の上下方向の全体に渡って入り込んでいる。また、本体側部材181は、その板面が当接板部172の板面と対向している。ここで、前扉側部材171は、本体側部材181と組み合わされても、対向板部173に設けられた切欠173aにより本体枠13の凸部185と干渉しないようになっている。
【0133】
また、本体枠13に対して前扉枠14が閉鎖状態にある場合、前扉側部材171及び本体側部材181は本体枠13と前扉枠14との間に位置している。この場合、前扉側部材171において、連結板部174は、前扉枠14の背面側から本体枠13に向かって突出しており、対向板部173は、連結板部174の先端から前扉枠14の回動基端側に向かって突出している。さらに、それら対向板部173や連結板部174により形成されている前扉側部材171の凹溝内において、本体側部材181が凹溝の開放側から連結板部174側に向かって突出している。以上の結果、本体枠13と前扉枠14との間からの不正道具の侵入が阻止される。
【0134】
例えば、不正行為者が本体枠13と前扉枠14との間から不正道具を差し入れようとしても、張出部78によりそれが規制されるようになっている。仮に、不正道具を遊技機前方(図15(b)の下方)から張出部78の内側における本体枠13と前扉枠14との間の領域に差し入れることができたとしても、その領域は本体側部材181により遮蔽されているため、不正道具が本体側部材181に突き当たることとなる。そして、不正道具を曲げるなどして本体側部材181を回避し、前扉側部材171の当接板部172と本体側部材181との間の領域に不正道具を差し入れることができたとしても、その領域は前扉側部材171の連結板部174により遮蔽されているため、不正道具が連結板部174に突き当たることとなる。前扉側部材171と本体側部材181との間の領域は、他にも対向板部173、張出部78、樹脂ベース71などにより遮蔽されているため、不正道具を本体枠13と前扉枠14との間から差し入れることが非常に困難なものとなっている。
【0135】
また、例えば、前扉枠14を遊技機前方に引っ張ることで本体枠13と前扉枠14との間の間隔を拡張させ、不正道具を差し入れ易くする不正が考えられるが、本実施の形態では、本体側部材181が前扉側部材171の開放側の全体に渡って遊技機左右方向(回動基端側)から入り込んでいるため、遊技機前方への前扉枠14の変位がその前扉枠14回動基端側の端部のほぼ全体に渡って規制される。仮に、前扉枠14が遊技機前方に引っ張られても、前扉側部材171の対向板部173が本体側部材181に引っ掛かることとなる。したがって、前扉枠14の浮き上がりが規制され、本体枠13と前扉枠14との間の間隔の拡張が抑制される。さらに、この場合、対向板部173と本体側部材181とがそれぞれの板面のほぼ全体にて当接することとなるため、前扉枠14のどの部分が遊技機前方に引っ張られても、前扉枠14の浮き上がりが規制される。したがって、本体枠13と前扉枠14との間の領域の局所的な拡張が抑制される。
【0136】
次に、パチンコ機10の電気的構成について、図14のブロック図に基づいて説明する。図14では、電力の供給ラインを二重線矢印で示し、信号ラインを実線矢印で示す。
【0137】
主制御装置162に設けられた主制御基板301には、主制御回路302と停電監視回路303とが内蔵されている。主制御回路302には、CPU311が搭載されている。CPU311には、当該CPU311により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM312と、そのROM312内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAM313と、割込回路やタイマ回路、データ入出力回路などの各種回路が内蔵されている。
【0138】
RAM313は、パチンコ機10の電源の遮断後においても電源及び発射制御装置243に設けられた電源及び発射制御基板321からデータ記憶保持用電力が供給されてデータが保持される構成となっている。
【0139】
CPU311には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスラインを介して入出力ポートが接続されている。主制御回路302の入力側には、主制御基板301に設けられた停電監視回路303、払出制御装置242に設けられた払出制御基板322及びその他図示しないスイッチ群などが接続されている。この場合に、停電監視回路303には電源及び発射制御基板321が接続されており、主制御回路302には停電監視回路303を介して電力が供給される。
【0140】
一方、主制御回路302の出力側には、停電監視回路303、払出制御基板322及び中継端子板323が接続されている。払出制御基板322には、賞球コマンドなどといった各種コマンドが出力される。中継端子板323を介して主制御回路302から音声ランプ制御装置143に設けられた音声ランプ制御基板324に対して各種コマンドなどが出力される。
【0141】
停電監視回路303は、主制御回路302と電源及び発射制御基板321とを中継し、また電源及び発射制御基板321から出力される最大電源である直流安定24ボルトの電源を監視する。
【0142】
払出制御基板322は、払出装置224により賞球や貸し球の払出制御を行うものである。演算装置であるCPU331は、そのCPU331により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM332と、ワークメモリ等として使用されるRAM333とを備えている。
【0143】
払出制御基板322のRAM333は、主制御回路302のRAM313と同様に、パチンコ機10の電源の遮断後においても電源及び発射制御基板321からデータ記憶保持用電力が供給されてデータが保持される構成となっている。
【0144】
払出制御基板322のCPU331には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスラインを介して入出力ポートが接続されている。払出制御基板322の入力側には、主制御回路302、電源及び発射制御基板321、及び裏パック基板229が接続されている。また、払出制御基板322の出力側には、主制御回路302及び裏パック基板229が接続されている。
【0145】
電源及び発射制御基板321は、電源部と発射制御部とを備えている。電源部は、二重線矢印で示す経路を通じて、主制御回路302や払出制御基板322等に対して各々に必要な動作電力を供給する。発射制御部は、遊技者による遊技球発射ハンドル41の操作にしたがって遊技球発射機構110の発射制御を担うものであり、遊技球発射機構110は所定の発射条件が整っている場合に駆動される。
【0146】
音声ランプ制御基板324は、各種ランプ部23〜25やスピーカ部26、及び表示制御装置325を制御するものである。演算装置であるCPU341は、そのCPU341により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM342と、ワークメモリ等として使用されるRAM343とを備えている。
【0147】
音声ランプ制御基板324のCPU341にはアドレスバス及びデータバスで構成されるバスラインを介して入出力ポートが接続されている。音声ランプ制御基板324の入力側には中継端子板323に中継されて主制御回路302が接続されており、主制御回路302から出力される各種コマンドに基づいて、各種ランプ部23〜25、スピーカ部26、及び表示制御装置325を制御する。表示制御装置325は、音声ランプ制御基板324から入力する表示コマンドに基づいて図柄表示装置91を制御する。
【0148】
以上詳述した第1の実施の形態によれば、以下の優れた効果を奏する。
【0149】
本体側部材181を、本体枠13の前面に上下方向に延びるようにして設けるとともに、前扉側部材171を、前扉枠14の背面に上下方向に延びるようにして設けたため、前扉側部材171及び本体側部材181により、本体枠13と前扉枠14との間からの不正道具の侵入を広範囲に渡って規制することができる。
【0150】
また、前扉側部材171と本体側部材181とが組み合わされた場合、本体側部材181が前扉側部材171の凹部の上下方向のほぼ全体に前扉枠14の回動基端側から入り込む構成としたため、本体枠13と前扉枠14との間の領域では、対向板部173、連結板部174、本体側部材181が複数の方向から突出した状態となっている。したがって、仮に本体枠13と前扉枠14との間から不正道具を差し入れようとしても、前扉側部材171及び本体側部材181を回避させたりそれら部材171,181の間を通過させたりすることが非常に困難なものとなっており、不正道具を差し入れることの困難性が高くなっている。
【0151】
さらに、前扉側部材171と本体側部材181とが組み合わされた場合、本体側部材181の板面が当接板部172の板面と対向しているため、それら板面が当接することで本体枠13に対する前扉枠14の遊技機前方への相対的な変位が広範囲に渡って規制される。したがって、仮に前扉枠14が遊技機前方に引っ張られても、前扉枠14の浮き上がりを広範囲に渡って規制することができる。また、前扉枠14のどの部分が引っ張られても前扉枠14の浮き上がりを規制し、前扉枠14の局所的な浮き上がりも規制することができる。故に、不正道具を本体枠13と前扉枠14との間から差し入れることの困難性の低下を抑制することができる。
【0152】
例えば、不正行為として、不正道具を本体枠13と前扉枠14との間を通じて遊技領域まで差し入れ、不正道具により遊技球を誘導して一般入賞口82や作動口84に入賞させたり、不正道具により可変入賞装置83を強制的に開放状態として遊技球が入賞しやすい状態としたりすることなどで、所定数の賞球を払い出させて利益を得るという不正が考えられる。ここで、本実施の形態では、前扉側部材171を前扉枠14の回動基端側の端部に設けるとともに、本体側部材181を本体枠13における前扉側部材171と組み合わせが可能な位置に設けた。このため、パチンコ機10の左右方向からなど、一般入賞口82、可変入賞装置83及び作動口84に比較的近い位置からの遊技領域への不正道具の侵入を阻止することができる。また、遊技領域への不正道具の侵入を阻止することで、遊技領域に設けられた開口部などからの遊技盤81の背面側への不正道具の侵入を阻止することができる。
【0153】
以上の結果、本体枠13と前扉枠14との間を通じてパチンコ機10内部に不正道具を差し入れるなどして行われる不正行為を抑制することができる。
【0154】
本体枠13に対する前扉枠14の閉鎖動作に伴って前扉側部材171の開放側に本体側部材181が入り込む構成としたため、単に前扉枠14を本体枠13に対して閉鎖状態とすることで、前扉側部材171と本体側部材181とを組み合わせることができる。したがって、本体枠13に対して前扉枠14が閉鎖状態にある場合は、常時、パチンコ機10を不正行為が抑制される状態とすることができる。
【0155】
前扉側部材171を前扉枠14の回動基端側に設けたため、例えば、前扉側部材171を前扉枠14の回動先端側に設けた場合に比べて、前扉側部材171の開放側への本体側部材181の入り込み量を大きくすることが可能となる。これは、前扉側部材171及び本体側部材181を回動基端側に設けた場合、回動先端側に設けた場合に比べて曲率半径が小さくなり、遊技機前後方向への前扉側部材171の移動量が同じであれば、遊技機左右方向への前扉側部材171の移動量が大きくなるためである。これにより、仮に前扉枠14に対して遊技機左右方向に外力が加えられても、前扉側部材171と本体側部材181との組み合わせ状態を解除させにくくすることができる。
【0156】
張出部78を、本体枠13の樹脂ベース71の周縁部に前扉枠14の外周を包囲するように設けたため、前扉枠14と本体枠13との間への不正道具の差し入れを行いにくくすることができる。また、本体枠13に対する前扉枠14の遊技機左右方向及び上下方向への相対的な変位を規制することができる。したがって、仮に前扉枠14に対して遊技機左右方向に外力が加えられても、前扉側部材171と本体側部材181との組み合わせ状態を解除させにくくすることができる。
【0157】
本実施の形態では、遊技盤81の盤面上に区画される遊技領域の拡大に際し、前扉枠14に上皿33、下皿34及び遊技球発射ハンドル41などを設けることで、前扉枠14自体の支持構造及びガラス支持構造の十分な強度の確保を可能とした。ここで、本体枠13に対して前扉枠14をその上端部及び下端部にて支持したため、上皿33,下皿34,遊技球発射ハンドル41などが設けられていない前扉枠と同じ支持間隔で前扉枠14を支持した場合に比べて前扉枠14の支持間隔が大きくなり、本体枠13に対する前扉枠14のがたつきの発生を抑制することができる。また、遊技領域の拡大に伴い大きめのガラス22が前扉枠14に搭載されているため、フレーム部分の幅が極力縮小されている。
【0158】
以上の結果、前扉枠14の支持間隔の拡大とフレーム幅の縮小とが相まって、前扉枠14が遊技機前方に引っ張られると前扉枠14が容易に浮き上がったり前扉枠14の浮き上がりが大きくなったりすると考えられるが、前扉側部材171及び本体側部材181を前扉枠14及び本体枠13に上下方向に延びるようにして設けたため、前扉枠14において支持部間の全域に渡って浮き上がりを規制することができる。故に、遊技領域を拡大しつつ、本体枠13と前扉枠14との間を通じてパチンコ機10内部に不正道具を差し入れるなどして行われる不正行為を抑制することができる。
【0159】
本体枠13及び前扉枠14の回動先端側に施錠装置131を設けたため、仮に前扉枠14が遊技機前方に引っ張られても回動先端側における前扉枠14の浮き上がりを規制することができる。したがって、前扉枠14の回動基端側及び先端側の両端側の浮き上がりを抑制することができる。故に、不正道具を本体枠13と前扉枠14との間から差し入れることの困難性の低下をより確実に抑制できる。
【0160】
前扉側部材171及び本体側部材181を金属製の板部により形成したため、比較的安価な部材により本体枠13と前扉枠14との間からの不正道具の侵入を規制する規制機構を構成することができる。また、その規制機構を比較的簡易な構成とすることができる。さらに、前扉側部材171及び本体側部材181に十分な強度を持たせることができる。したがって、前扉枠14が遊技機前方に引っ張られても、前扉枠14の変形や浮き上がりを好適に抑制することができる。
【0161】
(第2の実施の形態)
本実施の形態では、前扉側部材171及び本体側部材181の構成が上記第1の実施の形態と異なっている。そこで、前扉側部材171及び本体側部材181の構成について詳細に説明する。以下の説明では、上記第1の実施の形態との相違点を説明し、同一の構成については基本的に説明を省略する。図17はパチンコ機350の主要な構成を展開して示す斜視図、図18は前扉枠354の背面構成を示す斜視図、図19は本体枠353の前面構成を示す斜視図、図20は前扉枠354の背面構成を示す分解斜視図、図21は本体枠13の背面構成を示す分解斜視図である。
【0162】
なお、便宜上、遊技領域内の構成などパチンコ機350の詳細な構成は省略している。また、パチンコ機350は上記第1の実施の形態と同様の鉤金具63を備えており、鉤金具63は、上記第1の実施の形態では前扉枠14の回動先端側に上下方向に複数(3個)並設されていたが、本実施の形態では前扉枠354の回動先端側に上下一対で(上下方向に2個)設けられている。
【0163】
パチンコ機350は、当該パチンコ機350の外殻を形成する外枠351と、この外枠351に対して前方に回動可能に取り付けられた本体枠353と、その本体枠353の前方に配置される前扉枠354とを備えている。前扉枠354は、本体枠353により回動可能に支持されており、正面視で左側を回動基端側とし右側を回動先端側として前方へ回動可能とされている。
【0164】
前扉枠354は本体枠353の前面側全体を覆うようにして設けられている。前扉枠354には、図18に示すように、その回動基端側(図18の右側)の端部に沿って上下方向に延びる長尺状の前扉側部材361が取り付けられている。本体枠353には、図19に示すように、その回動基端側(図19の左側)の端部に沿って上下方向に延びる長尺状の本体側部材381が取り付けられている。前扉側部材361と本体側部材381とは、本体枠353に対して前扉枠354が閉鎖状態にある場合に組み合わされるようになっている。
【0165】
まず、前扉側部材361について説明する。前扉側部材361は、図20に示すように、前扉枠354の上下方向の長さとほぼ同じかそれより若干短い金属製の板材を横断面略L字状に折り曲げて構成されており、この折り曲げによって取付板部363と遊技機前方に起立する前側起立部364とが形成されている。また、取付板部363を挟んで前側起立部364の反対側には、中央部のやや下寄りから上端部にかけて遊技機後方に起立する後側起立部365が形成されている。
【0166】
前扉側部材361は、取付板部363が前扉枠354の背面と当接し且つ前側起立部364が前扉枠354の側面と当接する状態で前扉枠354に取り付けられている。取付板部363には、その板面を貫通する孔部366が上下方向に分散(離間)して配置されており、前扉枠354には、その孔部366に対応する位置にネジ孔371が複数形成されている。前扉側部材361が前扉枠354に取り付けられた状態では孔部366とネジ孔371とが連通しており、ネジなどの固定部材が孔部366を介してネジ孔371にねじ込まれることで、前扉側部材361が前扉枠354に固定されている。この場合、固定部材による固定が複数箇所にて行われているため、前扉枠354からの遊技機後方及び側方への前扉側部材361の浮き上がりがほぼ全体に渡って規制されるとともに、部分的な浮き上がりも規制される。
【0167】
前扉側部材361には、取付板部363の板面を貫通する規制孔367が上下両端部寄りにそれぞれ形成されており、前扉枠354には、前扉枠354の背面から遊技機後方に突出する突出部372が規制孔367に対応する位置に形成されている。規制孔367は、突出部372の嵌合が可能な大きさ及び形状となっており、前扉側部材361が前扉枠354に取り付けられた状態では、前扉枠354の背面側から突出部372が規制孔367に嵌合されている。これにより、前扉枠354に対する前扉側部材361の左右及び上下方向への移動が規制されることとなる。
【0168】
また、前扉側部材361には、前側起立部364の板面を貫通する案内孔368が上下方向に分散(離間)して配置されており、前扉枠354には、前扉枠354の側面から回動基端側に(図20の右方)に突出する案内突部373が案内孔368に対応する位置に形成されている。前扉側部材361が前扉枠354に取り付けられた状態では、前扉枠354の回動基端側から案内突部373が案内孔368に挿入されている。
【0169】
案内孔368は取付板部363に跨るようにして形成されている。案内孔368は、その上下方向の内幅が案内突部373の上下方向の外幅よりも僅かに大きくなっており、前扉枠354に対する前扉側部材361の上下方向への移動が規制されている。また、案内孔368は、その横方向の内幅が案内突部373の前後方向の外幅よりも突出部372の前後幅分だけ大きくなっている。これにより、前扉側部材361を前扉枠354に取り付ける際、案内突部373を案内孔368内の前部(図20の奥側部)に位置合わせすることで、取付板部363が前扉枠354の突出部372に干渉しない状態で案内孔368に案内突部373を挿入させることができる。この場合、前扉枠354からの前扉側部材361のこれ以上の遊技機後方への移動が規制されることとなる。
【0170】
そして、案内孔368の前部に案内突部373を挿入させた状態で前扉側部材361を前方(図20の奥側)に移動させると、突出部372を規制孔367に嵌合させることが可能となる。この場合、案内突部373が案内孔368に挿入されつつ突出部372が規制孔367に嵌合されるため、ネジなどの固定部材だけにより前扉側部材361が前扉枠354に取り付けられている構成と比して、前扉側部材361を前扉枠354から取り外すことがより一層困難なものとなっている。
【0171】
次に、本体側部材381について説明する。図21に示すように、本体枠353の上下方向の長さとほぼ同じかそれより若干短い金属製の板材を横断面略コ字状に折り曲げて構成されており、この折り曲げによって当接板部383、対向板部384及び連結板部385が形成されている。換言すれば、前扉側部材361において、当接板部383と対向板部384との間には連結板部385を底面とした凹溝が形成されている。
【0172】
本体側部材381は、当接板部383の外側面が本体枠353の前面と当接する状態で本体枠353に取り付けられている。この状態では、本体側部材381の凹溝の開放側が本体枠353の回動先端側を向いている。すなわち、連結板部385が前扉枠354から遊技機前方に向かって起立するとともに、対向板部384が連結板部385から回動先端側に向かって突出した状態となっている。
【0173】
本体側部材381には、当接板部383の上下両端部に孔部387がそれぞれ形成されており、本体枠353には、その孔部387に対応する位置に本体側ネジ孔(図示略)が形成されている。本体側部材381が本体枠353に取り付けられた状態では孔部387と本体側ネジ孔とが連通しており、ネジなどの固定部材が孔部387を介して本体側ネジ孔にねじ込まれることで、本体側部材381が本体枠353に固定されている。
【0174】
本体側部材381には、各孔部387の間に本体側部材381を本体枠353に係止するための係止部388が上下方向に分散(離間)して配置されており、本体枠353には、その本体枠353を前後方向に貫通する係止孔392が係止部388に対応する位置に形成されている。本体側部材381が本体枠353に取り付けられた状態では係止部388が係止孔392に挿入されて係止されている。
【0175】
係止部388は、本体部388aと係止爪部388bとにより全体として略L字状に形成されている。本体部388aは遊技機後方に突出しており、係止爪部388bは本体部388aから下方に突出している。係止部388は、当接板部383の一部が本体側部材381の外側に折り曲げられることで遊技機後方に突出して形成されており、本体枠353の係止孔392への挿入が可能な大きさとなっている。
【0176】
係止部388の左右方向の外幅は、本体枠353の係止孔392の左右方向の内幅より僅かに小さくなっており、係止部388を係止孔392に挿入することで、本体枠353に対する本体側部材381の左右方向への移動が規制されている。また、その係止部388の左右方向の外幅は、本体側部材381を構成する板材の外幅に相当しており、上下方向の外幅よりも小さくなっている。これにより、本体枠353の略中央に設けられた遊技領域の設置可能領域を十分に広く確保しつつ、遊技領域の側方位置にて係止部388を本体枠353に係止させることが可能となっている。
【0177】
係止部388の上下方向の外幅は、本体枠353の係止孔392の上下方向の内幅より小さくなっている。そして、係止爪部388bが下方に突出している部分の上下方向の外幅は、係止爪部388bが位置しない部分(本体部388aだけ)の上下方向の外幅より大きくなっている。これにより、本体側部材381を本体枠353に取り付ける際、係止部388を係止孔392に挿入し、その状態で係止部388を下方に移動させることで、係止爪部388bを係止孔392に係止させることが可能となる。本体側部材381が本体枠353に係止されている場合、係止爪部388bが本体枠353の背面に引っ掛かることで本体側部材381の遊技機前方への浮き上がりが規制されることとなる。
【0178】
また、上記したように、本体枠353に対する本体側部材381の係止部分が上下方向に分散しているため、本体側部材381を固定部材により固定する箇所が上下両端部だけでも、本体側部材381が本体枠353に強固に固定されており、本体側部材381を本体枠353から取り外すことがより一層困難なものとなっている。すなわち、本体枠353への本体側部材381の取り付け作業を容易なものとしつつ、本体側部材381の遊技機前方への浮き上がりがほぼ全体に渡って規制され、さらには部分的な浮き上がりも規制される構成を実現している。
【0179】
次いで、前扉枠354の閉鎖動作に伴う前扉側部材361と本体側部材381との組み合わせ状態について、図22に基づいて説明する。図22は、前扉側部材361及び本体側部材381周辺を上方から見た略図であり、(a)は本体枠353に対して前扉枠354を開放した状態、(b)は本体枠353に対して前扉枠354を閉鎖した状態を示す。但し、図22では説明の便宜上、前扉側部材361及び本体側部材381の厚み寸法、及び部材間の寸法を実際の寸法よりも大きく示している。
【0180】
本体枠353に対して前扉枠354が開放状態にある場合は、図22(a)に示すように、前扉側部材361と本体側部材381とが組み合わされていない状態となっている。ここで、本体側部材381は、本体枠353に対して前扉枠354が回動された際の前扉側部材361の軌道上に設けられている。本体側部材381は、凹溝の開放側が前扉側部材361を受け入れる方向を向くように設けられ、当接板部383と対向板部384との間には前扉側部材361の取付板部363及び前側起立部364が入り込むために十分な領域が確保されている。前扉枠354は、前扉側部材361より遊技機前方にて本体枠353に回動可能に支持されており、本体枠353に対する前扉枠354の閉鎖動作に伴って、前扉側部材361が図22(a)における上方に移動しつつ左方に移動する。これにより、本体側部材381の凹溝の開放側に前扉側部材361がその前側起立部364側から入り込むこととなる。
【0181】
本体枠353に対して前扉枠354が閉鎖状態にある場合、図22(b)に示すように、前扉側部材361と本体側部材381とが本体枠353と前扉枠354との端部にて組み合わされた状態となる。この場合、前扉側部材361の取付板部363及び前側起立部364は、当接板部383と対向板部384との間に本体側部材381の凹溝の開放側(前扉枠354の回動基端側に対応する側)から入り込んでおり、その入り込み部分は本体側部材381の上下方向のほぼ全体に渡っている。また、前扉側部材361の前側起立部364は、本体側部材381の内側にて対向板部384と接近している。
【0182】
また、本体枠353に対して前扉枠354が閉鎖状態にある場合、本体側部材381において、連結板部385は本体枠353から前扉枠354側に向かって突出しており、対向板部384は連結板部385の先端から前扉枠354の回動基端側の側面に向かって突出している。さらに、本体側部材381の凹溝内において、連結板部385には前扉側部材361の取付板部363及び前側起立部364が接近しており、対向板部384には前側起立部364が接近している。前扉側部材361の後側起立部365は、本体枠353と前扉枠354との間にて本体枠353に向かって突出している。以上の結果、本体枠353と前扉枠354との間からの不正道具の侵入が阻止される。
【0183】
例えば、不正行為者が本体枠353と前扉枠354との間から不正道具を差し入れようとした場合、仮に、遊技機前方(図22(b)の下方)から前扉側部材361と本体側部材381との間、すなわち前側起立部364と対向板部384との間の領域に不正道具を差し入れることができたとしても、その領域は本体側部材381の連結板部385により遮蔽されているため、不正道具が連結板部385に突き当たることとなる。そして、不正道具を曲げるなどして連結板部385を回避し、前側起立部364と連結板部385との間の領域に不正道具を差し入れることができたとしても、その領域は本体側部材381の当接板部383により遮蔽されているため、不正道具が当接板部383に突き当たることとなる。さらに、本体枠353と前扉枠354との間の領域は、他にも後側起立部365や本体枠353などにより遮蔽されているため、不正道具を本体枠353と前扉枠354との間から差し入れることが非常に困難なものとなっている。
【0184】
また、前扉枠354を遊技機前方に引っ張ることで本体枠353と前扉枠354との間の間隔を拡張させ、不正道具を差し入れ易くする不正が考えられるが、前扉側部材361が本体側部材381の開放側の全体に渡って遊技機左右方向(回動先端側)から入り込んでいるため、本実施の形態でも上記第1の実施の形態と同様に、遊技機前方への前扉枠354の変位が回動基端側の端部のほぼ全体に渡って規制される。仮に、前扉枠354が遊技機前方に引っ張られても、前扉側部材361の前側起立部364が本体側部材381の対向板部384に引っ掛かることとなる。したがって、前扉枠354の浮き上がりが規制され、本体枠353と前扉枠354との間の間隔の拡張が抑制される。さらに、この場合、前扉側部材361の前側起立部364が本体側部材381の対向板部384の板面のほぼ全体に当接することとなるため、前扉枠354のどの部分が遊技機前方に引っ張られても、前扉枠354の浮き上がりが規制される。したがって、本体枠353と前扉枠354との間の領域の局所的な拡張が抑制される。
【0185】
以上詳述した第2の実施の形態によれば、以下の優れた効果を奏する。
【0186】
前扉側部材361を、前扉枠354の回動基端側の端部に上下方向に延びるようにして設けるとともに、本体側部材381を、本体枠353における前扉側部材361と対応する位置に上下方向に延びるようにして設けたため、本体枠353と前扉枠354との間からの不正道具の侵入を広範囲に渡って規制することができる。
【0187】
また、前扉側部材361と本体側部材381とが組み合わされた場合、前扉側部材361が本体側部材381の上下方向のほぼ全体に渡って凹溝の開放側から入り込む構成としたため、本体枠353及び前扉枠354の回動基端側の端部では、本体枠353と前扉枠354との間に通じる領域において、対向板部384、前側起立部364、後側起立部365などが複数の方向から突出した状態となっている。したがって、仮に本体枠353と前扉枠354との間から不正道具を差し入れようとしても、前扉側部材361及び本体側部材381を回避させたりそれら部材361,381の間を通過させたりすることが非常に困難なものとなっており、不正道具を差し入れることの困難性が高くなっている。
【0188】
さらに、前扉側部材361と本体側部材381とが組み合わされた場合、前側起立部364が対向板部384の背面側に接近しており、それら前側起立部364と対向板部384とが当接することで本体枠353に対する前扉枠354の遊技機前方への相対的な変位が広範囲に渡って規制される。したがって、仮に前扉枠354が遊技機前方に引っ張られても、前扉枠354の浮き上がりを広範囲に渡って規制することができる。また、前扉枠354のどの部分が引っ張られても前扉枠354の浮き上がりを規制し、前扉枠354の局所的な浮き上がりも規制することができる。故に、不正道具を本体枠353と前扉枠354との間から差し入れることの困難性の低下を抑制することができる。
【0189】
以上の結果、上記第1の実施の形態と同様に、本体枠353と前扉枠354との間を通じてパチンコ機350内部に不正道具を差し入れるなどして行われる不正行為を抑制することができる。故に、前扉側部材361及び本体側部材381の構成を上記第1の実施の形態と異なる構成としても、第1の実施の形態と同様の効果を得ることが可能となる。
【0190】
なお、上述した実施の形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。
【0191】
(a)上記第1の実施の形態では、前扉側部材171を横断面コ字状の部材とし、本体側部材181を板状の部材としたが、前扉側部材171を板状の部材とし、本体側部材181を横断面コ字状の部材としてもよい。要は、前扉側部材171と本体側部材181とが組み合わされることで、本体枠13と前扉枠14との間からの不正道具の侵入を規制するとともに、本体枠13に対する前扉枠14の遊技機前方への相対的な変位を規制する構成であればよい。
【0192】
(b)上記各実施の形態では、前扉側部材171,361を長尺状とすることで、前扉側部材171,361を前扉枠14,354に上下方向に延びるように設けたが、前扉側部材171,361を複数連ねることで、前扉側部材171,361を前扉枠14に上下方向に延びるように設けてもよい。ここで、本体側部材181,381は、本体枠13,353において前扉側部材171,361と対応するように設ける。この場合、本体枠13,353と前扉枠14,354との間の領域からの不正道具の侵入を広範囲に渡って断続的に規制することができる。但し、各前扉側部材171,361間に隙間が生じると、その隙間からの不正道具の侵入が容易なものとなるおそれがあるため、各前扉側部材171,361間に発生する隙間が小さくなるように構成するとよい。
【0193】
(c)上記各実施の形態では、前扉側部材171,361及び本体側部材181,381の長さを前扉枠14,354及び本体枠13の上下方向の長さと同じかそれより若干短くしたが、それらの長さをさらに短くしてもよい。但し、この場合、本体枠13,353と前扉枠14,354との間の領域において、前扉側部材171,361及び本体側部材181,381により不正道具の侵入が規制される範囲が狭くなったり、前扉側部材171,361と本体側部材181,381とが組み合わされる範囲が狭くなったりするため、不正道具の侵入に対する困難性が低下するおそれがあるが、上記(b)の構成を適用することで、前扉枠14,354及び本体枠13,353の長さを短くした場合でも、不正道具の侵入に対する困難性の低下を抑制することができる。
【0194】
(d)上記第1の実施の形態では、前扉側部材171の対向板部173と本体側部材181とをそれぞれの板面のほぼ全体にて当接可能な構成としたが、対向板部173と本体側部材181とがそれぞれ一部分にて当接する構成としてもよい。但し、この場合、例えば対向板部173と本体側部材181とが当接していない範囲にて前扉枠14が遊技機前方に引っ張られると、前扉枠14が遊技機前方に局所的に浮き上がるおそれがある。したがって、前扉側部材171の対向板部173と本体側部材181とがそれぞれの板面のほぼ全体にて当接可能な構成とすることが望ましい。
【0195】
(e)上記各実施の形態では、前扉側部材171,361を、前扉枠14,354の回動基端側の端部に沿って上下方向に延びるように設けたが、前扉枠14,354の上端部又は下端部に沿って左右方向に延びるように設けてもよい。ここで、本体側部材181,381は、本体枠13における前扉側部材171,361と対応する位置に設ける。この場合、パチンコ機10,350の上下方向における本体枠13,353と前扉枠14,354との間の領域からの不正道具の侵入を規制することができるが、前扉枠14,354の閉鎖動作に伴って前扉側部材171,361と本体側部材181,381とが組み合わされる構成が複雑なものとなるおそれがある。これは、前扉枠14,354(前扉側部材171,361)の移動方向が前後方向及び左右方向であるのに対して、前扉側部材171又は本体側部材381の凹溝の開放側が上下方向となるためである。
【0196】
(f)上記各実施の形態では、前扉側部材171,361を前扉枠14,354の回動基端側に設けたが、前扉枠14,354の回動先端側に設けてもよい。ここで、本体側部材181,381は、本体枠13,353における前扉側部材171,361と対応する位置に設ける。この場合、パチンコ機10,350の左右方向における本体枠13,353と前扉枠14,354との間の領域からの不正道具の侵入を規制することができる。但し、前扉枠14,354において、回動先端側の曲率半径は回動基端側の曲率半径に比べて大きくなる。したがって、前扉側部材171,361の遊技機前後方向への移動量に対する遊技機左右方向への移動量の割合が小さくなり、前扉側部材171の開放側への本体側部材181の入り込み量又は本体側部材381の開放側への前扉側部材361の入り込み量が小さくなる可能性がある。入り込み量が小さくなると、前扉側部材171と本体側部材181との組み合わせが解除されるおそれがある。そこで、前扉側部材171,361及び本体側部材181,381を回動先端側に設けた場合、本体側部材181又は前扉側部材361の入り込み量を十分に確保する構成とすることが望ましい。
【0197】
(g)上記第1の実施の形態では、本体枠13と前扉枠14との間に前扉側部材171及び本体側部材181が位置する構成としたが、本体枠13と前扉枠14との間よりも外側に前扉側部材171及び本体側部材181が位置する構成としてもよい。要は、前扉側部材171及び本体側部材181により、本体枠13と前扉枠14との間からの不正道具の侵入が規制されるとともに、本体枠13に対する前扉枠14の遊技機前方への相対的な変位が規制される構成であればよい。但し、本体枠13と前扉枠14との間に前扉側部材171及び本体側部材181が位置する構成とした方が、不正行為者は、本体枠13と前扉枠14との間という狭小な領域で不正道具を操作しなければならなくなるため、不正道具を本体枠13と前扉枠14との間から差し入れることの困難性を高めることができる。
【0198】
(h)上記第1の実施の形態では、前扉枠14の対向板部173に切欠173aを設けたが、切欠173aを設けなくてもよい。この場合、対向板部173の全体により本体枠13と前扉枠14との間の領域を遮ることができる。したがって、より確実に不正道具の侵入を阻止することができる。但し、本体枠13の凸部185を、前扉枠14の対向板部173に干渉しないように設ける必要がある。
【0199】
(i)上記第1の実施の形態では、張出部78を、本体枠13に前扉枠14の外周を包囲するようにして設けたが、前扉枠14に本体枠13の外周を包囲するようにして設けてもよい。また、張出部78を設けなくてもよい。但し、張出部78を設けない場合は、遊技領域に不正道具を差し入れることの困難性が低下したり、前扉枠14に左右方向への外力が加えられることで前扉側部材171と本体側部材181との組み合わせが解除されたりするおそれがある。この場合、前扉側部材171及び本体側部材181を、遊技機前後方向のみならず、遊技機左右方向又は上下方向への相対的な変位を規制する構成とするとよい。
【0200】
(j)上記各実施の形態では、本体枠13,353に対して前扉枠14,354が回動基端側の上端部及び下端部にて支持される構成としたが、本体枠13,353に対して前扉枠14,354が回動可能となる構成であればよい。例えば、本体枠13,353に対して前扉枠14,354が上端部及び下端部よりも中央寄りにて支持される構成とする。この場合、前扉枠14,354の支持間隔が短くなるため、仮に前扉枠14,354が遊技機前方に引っ張られても前扉枠14,354がより浮き上がりにくくなるが、前扉枠14,354ががたつくおそれがある。したがって、上記実施の形態のように、前扉側部材171,361及び本体側部材181,381を前扉枠14,354及び本体枠13,353に設けた構成であれば、前扉枠14,354の支持間隔を長くしても、不正道具の侵入を抑制しつつ前扉枠14,354のがたつきを抑制することができる。
【0201】
(k)遊技機本体の前面側に開閉可能に取り付けられた前面扉を有する遊技機であれば、上記実施の形態とは異なる他のタイプの遊技機、例えば他の役物を備えたパチンコ機、アレンジボール機、雀球等の遊技機、スロットマシン等の回胴式遊技機や、メダルに代えて遊技球(パチンコ球)を使用する球使用タイプの回胴式遊技機にも適用できる。
【0202】
球使用タイプの回胴式遊技機では、外周に複数の図柄が付されたリール装置(回胴装置)、遊技者により操作されるベットスイッチやスタートレバー等の装置類、遊技球の取込を許可又は禁止すると共に順次取り込まれる遊技球をカウントするための取込装置などが設けられる。この場合、球受皿に貯留された遊技球は、整列通路部及び取込口を介して取込装置に導かれる。そして、遊技者によるベットスイッチの操作に伴い取込装置で遊技球の取込が行われ、その取り込まれた遊技球数に応じて毎回の遊技の開始(スタートレバー操作に伴うリール回転)が許容される。
【図面の簡単な説明】
【0203】
【図1】一実施の形態におけるパチンコ機を示す正面図である。
【図2】パチンコ機の主要な構成を展開して示す斜視図である。
【図3】パチンコ機の主要な構成を展開して示す斜視図である。
【図4】パチンコ機の構成を示す背面図である。
【図5】前扉枠の背面構成を示す斜視図である。
【図6】本体枠の前面構成を示す斜視図である。
【図7】遊技盤の構成を示す正面図である。
【図8】本体枠の構成を示す背面図である。
【図9】遊技盤の背面構成を示す斜視図である。
【図10】遊技盤から主制御装置ユニットを取り外した状態を示す背面図である。
【図11】主制御装置ユニットの構成を示す斜視図である。
【図12】裏パックユニットの構成を示す正面図である。
【図13】裏パックユニットの分解斜視図である。
【図14】前扉側部材及び本体側部材の周辺におけるパチンコ機の略図である。
【図15】前扉側部材及び本体側部材の周辺を上方から見た略図である。
【図16】パチンコ機の電気的構成を示すブロック図である。
【図17】別のパチンコ機の主要な構成を展開して示す斜視図である。
【図18】別の前扉枠の背面構成を示す斜視図である。
【図19】別の本体枠の前面構成を示す斜視図である。
【図20】別の前扉枠の背面構成を示す分解斜視図である。
【図21】別の本体枠の前面構成を示す分解斜視図である。
【図22】別の前扉側部材及び本体側部材の周辺を上方から見た略図である。
【符号の説明】
【0204】
10…遊技機としてのパチンコ機、13…遊技機本体としての本体枠、14…前面扉としての前扉枠、61,62…突起軸、72,73…支持金具、81…遊技領域としての遊技盤、82…入球部を構成する一般入賞口、83…入球部を構成する可変入賞装置、84…入球部を構成する作動口、171…第1部材としての前扉側部材、173…対向部としての対向板部、174…連結部としての連結板部、181…第2部材としての本体側部材、350…パチンコ機、353…本体枠、354…前扉枠、361…前扉側部材、364…前側起立部、381…本体側部材、384…対向板部、385…連結板部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
遊技機の一種であるパチンコ機には、遊技盤が設けられる遊技機本体と、その遊技機本体の前面側に配置される前面扉とが備えられている。遊技盤の前面側には遊技領域が形成されており、遊技領域には入賞口、入賞装置等の各種遊技機器が設けられている。そして、遊技者により遊技球発射ハンドルが操作されると遊技球が遊技領域に向けて発射される。発射された遊技球が入賞口や入賞装置などに入賞すると、それに伴い所定個数の遊技球が払い出される(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
前面扉は遊技機本体に対して開閉可能に支持されており、前面扉が閉鎖状態にある場合は遊技盤が前面扉により覆われている。前面扉にはガラス等の透明板が遊技盤前面を覆うようにして配設されており、前面扉が閉鎖状態にある場合でもパチンコ機の前方から遊技領域が視認可能となっている。遊技領域は、前面扉が開放されると遊技機前方に露出するようになっており、遊技領域などのメンテナンスがホール管理者等により行われる際には前面扉が開放状態とされる。
【0004】
ここで、不正に利益を得ることを目的として、例えば、前面扉を開放状態として遊技領域を露出させ、入賞装置を手で強制的に開放状態とするとともにその入賞装置や入賞口に遊技球を手で直接入賞させるなどの不正行為が行われるおそれがあるが、通常、遊技中には前面扉が閉鎖状態とされているため、前記不正行為を行うことが困難なものとなっている。
【特許文献1】特開2006−122710号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のように前面扉が遊技機本体に対して開閉可能に支持された構成においては、遊技機本体と前面扉との間から遊技領域に対して不正行為が行われるおそれがある。不正行為として、例えば、遊技機本体と前面扉との間から針金などの不正道具を遊技領域内に侵入させ、不正道具により入賞装置を強制的に開放状態とするとともにその入賞装置や入賞口に遊技球を誘導し、不正に入賞装置や入賞口に遊技球を入賞させて利益を得るという行為が考えられる。
【0006】
なお、遊技機本体と前面扉との間から行われる不正行為は、遊技領域のみを対象とするものではなく、遊技機内部に設けられた遊技部品等なども対象とするものであると考えられる。また、前記不正行為は、パチンコ機に対してのみ行われるものではなく、遊技機本体の前面側に開閉可能に取り付けられた前面扉を有するその他の遊技機に対しても行われるものであると考えられる。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、遊技機本体と前面扉の間から遊技機内部に異物を差し入れるなどして行われる不正行為を抑制することができる遊技機を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下、上記課題を解決するのに有効な手段等につき、必要に応じて効果等を示しつつ説明する。なお以下においては、理解の容易のため、発明の実施の形態において対応する構成を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。
【0009】
手段1.各種遊技部品(一般入賞口82等)が設けられた遊技機本体(本体枠13)と、
前記遊技機本体の前面側に開閉可能に取り付けられた前面扉(前扉枠14)と
を備え、
前記遊技機本体と前記前面扉との間に遊技機内部が形成され、当該遊技機内部に前記各種遊技部品の少なくとも一部が収容された遊技機において、
前記遊技機本体と前記前面扉との間からの異物の侵入を前記遊技機内部に至る手前位置で規制するとともに、前記遊技機本体に対する前記前面扉の遊技機前方への相対的な変位を規制する規制機構(前扉側部材171、本体側部材181)を設けたことを特徴とする遊技機。
【0010】
手段1によれば、規制機構を設けたため、遊技機本体と前面扉との間からの異物の侵入が遊技機内部に至る手前位置で規制される。このため、例えば不正行為者が前面扉と遊技機本体との間から針金や不正道具などの異物を遊技機内部に差し入れようとしても、それが困難なものとなっている。
【0011】
また、規制機構により、遊技機本体に対する前面扉の遊技機前方への相対的な変位が規制される。例えば、遊技機本体と前面扉との間の領域が拡張した場合、規制機構の異物に対する侵入規制能力が低下するおそれがあるが、遊技機本体に対する前面扉の遊技機前方への相対的な変位が規制されるため、遊技機本体と前面扉との間の領域が拡張するように遊技機本体や前面扉に対して外力が加えられても、規制機構の異物に対する侵入規制能力の低下を抑制することができる。したがって、遊技機本体と前面扉との間から異物を遊技機内部に差し入れることの困難性の低下を抑制することができる。
【0012】
以上の結果、遊技機本体と前面扉の間から遊技機内部に異物を差し入れるなどして行われる不正行為を抑制することができる。
【0013】
手段2.手段1において、前記規制機構を、前記遊技機本体及び前記前面扉の周縁部の少なくとも一部に沿って延びるように設けたことを特徴とする遊技機。
【0014】
手段2によれば、規制機構を、遊技機本体及び前面扉の周縁部の少なくとも一部に沿って延びるように設けたため、遊技機本体と前面扉との間からの異物の侵入が遊技機内部に至る手前位置で広範囲に渡って規制されるとともに、遊技機本体と前面扉との間の領域の拡張が広範囲に渡って規制される。したがって、遊技機本体と前面扉との間からの遊技機内部への異物の侵入をより確実に阻止することができる。
【0015】
手段3.手段1又は手段2において、前記規制機構として、
前記遊技機本体及び前記前面扉のいずれか一方に設けられ、前記異物の侵入を規制する第1部材(前扉側部材171)と、
他方に設けられるとともに、前記遊技機本体に対して前記前面扉が閉鎖状態にある場合に前記第1部材に組み合わされる第2部材(本体側部材181)と
を備え、
前記第1部材と前記第2部材とが組み合わされることで前記前面扉の前記変位を規制する構成としたことを特徴とする遊技機。
【0016】
手段3によれば、第1部材により、遊技機本体と前面扉との間からの異物の侵入が遊技機内部に至る手前位置で規制される。このため、前面扉と遊技機本体との間から異物を遊技機内部に差し入れるには、例えば異物を変形させて第1部材を回避させるなどの必要が生じる。したがって、異物を遊技機内部に差し入れることを困難なものとすることができる。
【0017】
また、遊技機本体に対して前面扉が閉鎖状態にある場合に、遊技機本体又は前面扉の一方に設けられた第1部材と他方に設けられた第2部材とが組み合わされることで、遊技機本体に対する前面扉の遊技機前方への相対的な変位が規制される。この場合、遊技機本体と前面扉との間の領域の拡張を規制することができるため、遊技機本体と前面扉の間から異物を遊技機内部に差し入れることの困難性の低下を抑制することができる。
【0018】
すなわち、遊技機本体と前面扉の間から異物を遊技機内部に差し入れることを困難なものとしつつ、異物の差し入れに対する困難性の低下を抑制することができる。
【0019】
手段4.手段3において、前記第1部材を長尺状の部材とし、当該第1部材を前記遊技機本体又は前記前面扉の周縁部の少なくとも一部に沿って延びるように設けたことを特徴とする遊技機。
【0020】
手段4によれば、長尺状の第1部材が、遊技機本体又は前面扉の周縁部の少なくとも一部に沿って延びるように設けられている。このため、遊技機本体と前面扉との間からの異物の侵入を遊技機内部に至る手前位置で広範囲に渡って規制することができる。
【0021】
手段5.手段3において、前記第1部材を複数連ねることで、各第1部材を全体として遊技機本体又は前記前面扉の周縁部の少なくとも一部に沿って延びるように設けたことを特徴とする遊技機。
【0022】
手段5によれば、第1部材が複数連ねられることで、各第1部材が全体として遊技機本体又は前面扉の周縁部の少なくとも一部に沿って延びるように設けられている。このため、遊技機本体と前面扉との間からの異物の侵入を遊技機内部に至る手前位置で広範囲に渡って断続的に規制することができる。
【0023】
手段6.手段3乃至手段5のいずれかにおいて、前記第2部材を、前記第1部材と組み合わされた場合に前記異物の侵入を規制するように、かつ遊技機本体又は前記前面扉の周縁部の少なくとも一部に沿って延びるように設けたことを特徴とする遊技機。
【0024】
手段6によれば、第2部材により、遊技機本体と前面扉との間からの異物の侵入が遊技機内部に至る手前位置で規制される。このため、前面扉と遊技機本体との間から異物を遊技機内部に差し入れるには、第1部材に加えて第2部材を回避させるなどの必要が生じる。したがって、異物を遊技機内部に差し入れることの困難性を高めることができる。また、第2部材を、遊技機本体又は前面扉の周縁部の少なくとも一部に沿って延びるように設けたため、異物の侵入を広範囲に渡って規制することができる。
【0025】
手段7.手段3乃至手段6のいずれかにおいて、前記第1部材は、
第1部材と第2部材とが組み合わされた場合に前記第2部材が遊技機左右方向又は上下方向から入り込む受入部(前扉側部材171の凹溝)と、
前記受入部を形成するとともに、前記第2部材との当接状態では前記前面扉の前記変位を規制する規制部(対向板部173)と
を備えたことを特徴とする遊技機。
【0026】
手段7によれば、第1部材と第2部材とが組み合わされた場合、第2部材が受入部に遊技機左右方向又は上下方向から入り込んだ状態となる。このため、前面扉と遊技機本体との間から異物を遊技機内部に差し入れるには、第1部材と第2部材との間を縫うようにして異物を通過させる必要がある。したがって、前面扉と遊技機本体との間から異物を遊技機内部に差し入れることの困難性をより高めることができる。
【0027】
また、第1部材の規制部を、第2部材との当接状態では遊技機本体に対する前面扉の遊技機前方への相対的な変位を規制するようにした。このため、遊技機本体に対して前面扉が閉鎖状態にある場合に、仮に前面扉が遊技機前方に引っ張られても前面扉の浮き上がりを規制することができる。この場合、遊技機本体と前面扉との間の領域の拡張を規制することができるため、遊技機内部への異物差し入れの困難性の低下を抑制することができる。
【0028】
手段8.手段7において、前記第1部材を、前記規制部と前記第2部材とが当接状態にある場合の当接部が前記遊技機本体及び前記前面扉の周縁部の少なくとも一部に沿って延びるように設けたことを特徴とする遊技機。
【0029】
手段8によれば、規制部と第2部材とが当接状態にある場合の当接部が遊技機本体及び前面扉の周縁部の少なくとも一部に沿って延びるように構成したため、仮に前面扉が遊技機前方に引っ張られても前面扉の浮き上がりを広範囲に渡って規制することができる。したがって、遊技機本体と前面扉との間の領域の局所的な拡張を規制することができる。
【0030】
手段9.手段7又は手段8において、前記遊技機本体及び前記前面扉のいずれか一方に設けられた前記第1部材は、
前記異物の侵入を規制するとともに前記一方の周縁部の少なくとも一部に沿って延びるように、かつ前記受入部を形成するべく前記一方と前記規制部とを連結する連結部(連結板部174)を有することを特徴とする遊技機。
【0031】
手段9によれば、第1部材において、連結部により、遊技機本体と前面扉との間からの異物の侵入が遊技機内部に至る手前位置で広範囲に渡って規制される。また、遊技機本体及び前面扉のうち一方と規制部とが連結部により連結されることで受入部が形成されているため、連結部と規制部とが同一平面上には位置しないこととなる。したがって、第1部材では、連結部と規制部とにより、異物の侵入を異なる方向から規制することができる。これにより、遊技機本体に対して前面扉が閉鎖状態にある場合に、前面扉と遊技機本体との間から異物を遊技機内部に差し入れるには、第1部材における連結部と規制部を回避させるために異物を複数回曲げつつ侵入させる必要が生じる。この場合、更に、第1部材と第2部材との間を縫うようにして異物を通過させる必要があるため、前面扉と遊技機本体との間から異物を遊技機内部に差し入れることの困難性をより一層高めることができる。
【0032】
手段10.手段3乃至手段9のいずれかにおいて、前記遊技機本体に対して前記前面扉を回動可能に支持する支持部(突起軸61,62、支持金具72,73)を設け、
前記第1部材及び前記第2部材を、前記前面扉の閉鎖動作に伴って組み合わされるように設けたことを特徴とする遊技機。
【0033】
手段10によれば、前面扉の閉鎖動作に伴って第1部材と第2部材とが組み合わされる。このため、単に前面扉を閉鎖状態とすることで、遊技機本体に対する前面扉の遊技機前方への相対的な変位を規制することができる。したがって、前面扉を閉鎖状態とした後、遊技機本体や前面扉に対して別の操作を行うことなく、遊技機を、遊技機内部への異物の侵入を規制する状態とすることができる。
【0034】
手段11.手段7乃至手段9のいずれかにおいて、前記遊技機本体に対して前記前面扉を回動可能に支持する支持部(突起軸61,62、支持金具72,73)を設け、
前記前面扉の閉鎖動作に伴って、前記第2部材が前記受入部に遊技機左右方向又は上下方向から入り込む構成としたことを特徴とする遊技機。
【0035】
手段11によれば、前面扉の閉鎖動作に伴って第2部材が受入部に遊技機左右方向又は上下方向から入り込んだ状態となる。このため、単に前面扉を閉鎖状態とすることで、遊技機本体に対する前面扉の遊技機前方への相対的な変位が規制され、遊技機本体と前面扉との間の領域の拡張を規制することができる。したがって、前面扉を閉鎖状態とした後、遊技機本体や前面扉に対して別の操作を行うことなく、遊技機を、遊技機内部への異物の侵入を規制する状態とすることができる。
【0036】
手段12.手段11において、前記受入部を、前記前面扉の閉鎖動作に伴って当該受入部と相対的に移動する前記第2部材の軌道上に設けるとともに、当該受入部の開放側が前記第2部材に向くように設けたことを特徴とする遊技機。
【0037】
手段12によれば、受入部を、その開放側が第2部材に向くようにして第2部材の軌道上に設けたため、前面扉の閉鎖動作に伴って受入部に第2部材を入り込ませることが可能となる。したがって、単に前面扉を閉鎖状態とすることで、第1部材と第2部材とを組み合わせることができる。
【0038】
手段13.手段11又は手段12において、前記第1部材及び前記第2部材を、前記第2部材が前記受入部に入り込む位置が前記支持部より遊技機前方又は後方となるように設けたことを特徴とする遊技機。
【0039】
手段13によれば、前面扉を支持する支持部より遊技機前方又は後方にて第2部材が受入部に入り込むため、第2部材は、遊技機前後方向のみならず遊技機左右方向又は上下方向に相対的に移動しながら受入部に入り込むこととなる。したがって、単に前面扉を閉鎖状態とするだけで、遊技機左右方向又は上下方向から第2部材を受入部に入り込ませることが可能となる。
【0040】
手段14.手段11乃至手段13のいずれかにおいて、前記第1部材及び前記第2部材のいずれか一方を前記前面扉の回動基端側に設け、他方を前記遊技機本体に設けたことを特徴とする遊技機。
【0041】
手段14によれば、第1部材及び第2部材のいずれか一方を前面扉の回動基端側に設け、他方を遊技機本体に設けた。前面扉を回動動作させた場合、回動基端側の曲率半径は回動先端側の曲率半径に比べて小さくなる。したがって、回動基端側と回動先端側の遊技機前後方向への移動量が同一であれば、回動基端側の方が遊技機左右方向又は上下方向への移動量が大きくなる。このため、第1部材及び第2部材のいずれか一方を前面扉の回動基端側に設けた方が受入部への第2部材の入り込み量を大きくすることが可能となる。例えば、前面扉に左右方向又は上下方向から外力が加えられて第2部材が受入部から外れた場合、前面扉が遊技機前方に引っ張られることで遊技機本体と前面扉との間の領域が拡張するおそれがある。ここで、かかる構成とすることにより、前面扉に左右方向又は上下方向から外力が加えられても、第2部材を受入部から外れにくくすることができる。したがって、遊技機本体と前面扉との間の領域の拡張をより確実に規制することができる。
【0042】
手段15.手段14において、前記支持部を、回動軸線方向における前記前面扉の両端部に設けたことを特徴とする遊技機。
【0043】
手段15によれば、回動軸線方向における前面扉の両端部にて、前面扉が支持部により支持されている。この場合、支持部による前面扉の支持間隔が長くなるため、遊技機本体に対する前面扉のがたつきを抑制することができるが、例えば前面扉が遊技機前方に引っ張られると、支持部の中間位置における前面扉の浮き上がりが大きくなるおそれがある。ここで、第1部材又は第2部材が前面扉の回動基端側に設けられているため、仮に前面扉が遊技機前方に引っ張られても、支持部の中間位置においてはもちろんのこと他の位置においても前面扉の浮き上がりを抑制することが可能となる。故に、前面扉のがたつきを抑制しつつ、遊技機本体と前面扉との間の領域の拡張を規制することができる。
【0044】
手段16.手段15において、前記第1部材及び前記第2部材のいずれか一方を、前記両支持部間の略全域に渡るようにかつ当該略全域で他方と組み合わされるように設けたことを特徴とする遊技機。
【0045】
手段16では、第1部材及び第2部材のいずれか一方を、両支持部間の略全域に渡るようにかつその略全域で他方と組み合わされるように設けた。このため、前面扉の回動基端側では、両支持部間の全域に渡って前面扉の遊技機前方への相対的な変位を規制することができる。したがって、前面扉のどの部分が遊技機前方に引っ張られても、支持部の間における前面扉の浮き上がりを抑制することができる。
【0046】
手段17.手段14乃至手段16のいずれかにおいて、前記前面扉が閉鎖状態にある場合に前記遊技機本体と前記前面扉とを当該前面扉の回動先端側にて開放不能に施錠する施錠装置(施錠装置131)を設けたことを特徴とする遊技機。
【0047】
手段17によれば、遊技機本体と前面扉とがその前面扉の回動先端側にて施錠装置により開放不能に施錠されている。したがって、仮に前面扉が遊技機前方に引っ張られても、回動先端側における前面扉の浮き上がりを抑制することが可能となる。これにより、回動先端側において、遊技機本体と前面扉との間から遊技機内部に異物を差し入れることの困難性の低下をより確実に抑制できる。ここで、第1部材及び第2部材のいずれか一方が前面扉の回動基端側に設けられるとともに他方が遊技機本体に設けられているため、回動先端側に加えて回動基端側においても前面扉の浮き上がりを抑制することができる。
【0048】
手段18.手段11乃至手段17のいずれかにおいて、前記遊技機本体又は前記前面扉の一方に、他方の側面を包囲するように前記他方側に張り出した張出部(張出部78)を設けたことを特徴とする遊技機。
【0049】
手段18によれば、前面扉が閉鎖状態にある場合に、遊技機本体又は前面扉の一方に設けられた張出部により他方の側面が包囲される。このため、遊技機本体に対する前面扉の遊技機左右方向又は上下方向への相対的な変位を規制することができる。したがって、仮に前面扉に遊技機左右方向又は上下方向に外力が加えられても、受入部からの第2部材の外れを抑制することができ、ひいては、遊技機本体と前面扉との間の領域の拡張をより確実に規制することができる。また、張出部により遊技機本体と前面扉との間の領域が遊技機左右方向や上下方向にて遮蔽されるため、遊技機内部への異物の侵入の困難性をより一層高めることができる。
【0050】
手段19.手段3乃至手段18のいずれかにおいて、前記第1部材及び前記第2部材を板材により形成したことを特徴とする遊技機。
【0051】
手段19によれば、第1部材及び第2部材が板材により形成されている。このため、比較的安価に規制機構を構成することが可能となり、さらに、規制機構を比較的簡易な構成とすることが可能となる。また、第1部材及び第2部材が板材であるため、それら部材を設けた範囲では全域に渡って、前面扉と遊技機本体との間からの遊技機内部への異物の侵入を規制することができる。
【0052】
手段20.手段19において、前記第1部材及び前記第2部材を金属板により形成したことを特徴とする遊技機。
【0053】
手段20によれば、第1部材及び第2部材が金属板により形成されているため、第1部材及び第2部材の強度を十分に確保することが可能となる。したがって、前面扉が遊技機前方に引っ張られた場合に、第1部材及び第2部材が変形しにくくなっている。故に、比較的安価に規制機構を構成しつつ、遊技機本体と前面扉との間の領域の拡張を規制することができる。
【0054】
手段21.手段1乃至手段20のいずれかにおいて、遊技機前方から視認可能な状態で前記遊技機本体の前面部に設けられ、遊技球が流下する遊技領域(遊技盤81)と、
前記遊技領域を流下する遊技球が入球可能な入球部(一般入賞口82、可変入賞装置83、作動口84)と、
を備え、
前記入球部に遊技球が入球した場合に遊技者に特典が付与される構成とした遊技機において、
前記遊技領域を前記遊技機内部に設けたことを特徴とする遊技機。
【0055】
手段21によれば、遊技領域を遊技機内部に設けたため、遊技領域への異物の侵入を阻止することができる。例えば、不正行為者が前面扉と遊技機本体との間から遊技領域に異物を差し入れて、異物により遊技球を誘導することで入球部に遊技球を不正に入賞させようとしても、それが困難なものとなっている。このため、不正行為者に対して特典が不正に付与されることを抑制できる。すなわち、遊技機本体と前面扉の間から遊技機内部に異物を差し入れるなどして行われる不正行為を抑制することができる。
【0056】
また、かかる構成では、いわゆるパチンコ機に対して上記手段1乃至手段20のいずれかの効果を享受することができる。
【0057】
手段22.手段1乃至手段20のいずれかにおいて、遊技機前方から視認可能な位置に設けられ、複数種の絵柄が変動表示される複数の絵柄表示領域と、各絵柄表示領域における絵柄の変動表示を開始させるべく操作される始動操作手段と、該各絵柄表示領域における絵柄の変動表示を停止させるべく操作される複数の停止操作手段とを備え、
遊技メダルの受入完了状態で前記始動操作手段が操作された場合に各絵柄表示領域における絵柄の変動表示を開始させ、絵柄の変動表示の停止後に、各絵柄表示領域に表示されている絵柄により所定絵柄又は所定絵柄の組み合わせが成立していた場合には遊技者に特典が付与される構成としたことを特徴とする遊技機。
【0058】
手段23によれば、いわゆるスロットマシンに対して上記手段1乃至手段20のいずれかの効果を享受することができる。
【0059】
手段23.手段1乃至手段20のいずれかにおいて、遊技機前方から視認可能な位置に設けられ、複数種の絵柄が変動表示される複数の絵柄表示領域と、遊技機前面部にて遊技球を貯留する貯留部と、該貯留部に貯留された遊技球を取り込む取込装置と、該取込装置による遊技媒体の取り込みを開始させるべく操作される取込開始操作手段と、各絵柄表示領域における絵柄の変動表示を開始させるべく操作される始動操作手段と、該各絵柄表示領域における絵柄の変動表示を停止させるべく操作される複数の停止操作手段とを備え、
前記取込装置により所定数の遊技媒体が取り込まれ、さらに前記始動操作手段が操作された場合に、各絵柄表示領域における絵柄の変動表示を開始させ、絵柄の変動表示の停止後に各絵柄表示領域に表示されている絵柄により所定絵柄又は所定絵柄の組み合わせが成立していた場合には遊技者に特典が付与される構成としたことを特徴とする遊技機。
【0060】
手段23によれば、パチンコ機とスロットマシンとが融合した遊技機に対して上記手段1乃至手段20のいずれかの効果を享受することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0061】
(第1の実施の形態)
以下、遊技機の一種であるパチンコ遊技機(以下、「パチンコ機」という)の一実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。図1はパチンコ機10の正面図、図2及び図3はパチンコ機10の主要な構成を展開して示す斜視図、図4はパチンコ機10の背面図である。なお、図2では便宜上パチンコ機10の遊技領域内の構成を省略している。
【0062】
パチンコ機10は、当該パチンコ機10の外殻を形成する外枠11と、この外枠11に対して前方に回動可能に取り付けられた遊技機主部12とを有する。外枠11は木製の板材を四辺に連結し構成されるものであって矩形枠状をなしている。パチンコ機10は、外枠11を島設備に取り付け固定することにより、遊技ホールに設置される。
【0063】
遊技機主部12は、ベース体としての本体枠13と、その本体枠13の前方に配置される前扉枠14と、本体枠13の後方に配置される裏パックユニット15とを備えている。遊技機主部12のうち本体枠13が外枠11に対して回動可能に支持されている。詳細には、正面視で左側を回動基端側とし右側を回動先端側として本体枠13が前方へ回動可能とされている。
【0064】
本体枠13には、図2に示すように、前扉枠14が回動可能に支持されており、正面視で左側を回動基端側とし右側を回動先端側として前方へ回動可能とされている。また、本体枠13には、図3に示すように、裏パックユニット15が回動可能に支持されており、正面視で左側を回動基端側とし右側を回動先端側として後方へ回動可能とされている。
【0065】
次に、前扉枠14について説明する。なお、以下の説明では、図1〜図3を参照するとともに、前扉枠14の背面の構成については図5を参照する。図5は、前扉枠14の背面構成を示す斜視図である。
【0066】
前扉枠14は本体枠13の前面側全体を覆うようにして設けられている。前扉枠14には後述する遊技領域のほぼ全域を前方から視認することができるようにした窓部21が形成されている。窓部21は、略楕円形状をなし、透明性を有するガラス22が嵌め込まれている。窓部21の周囲には、各種ランプ等の発光手段が設けられている。例えば、窓部21の周縁に沿ってLED等の発光手段を内蔵した環状電飾部23が設けられている。環状電飾部23では、大当たり時や所定のリーチ時等における遊技状態の変化に応じて点灯や点滅が行われる。また、環状電飾部23の中央であってパチンコ機10の最上部には所定のエラー時に点灯するエラー表示ランプ部24が設けられ、さらにその左右側方には賞球払出中に点灯する賞球ランプ部25が設けられている。また、左右の賞球ランプ部25に近接した位置には、遊技状態に応じた効果音などが出力されるスピーカ部26が設けられている。
【0067】
前扉枠14における窓部21の下方には、手前側へ膨出した上側膨出部31と下側膨出部32とが上下に並設されている。上側膨出部31内側には上方に開口した上皿33が設けられており、下側膨出部32内側には同じく上方に開口した下皿34が設けられている。上皿33は、後述する払出装置より払い出された遊技球を一旦貯留し、一列に整列させながら後述する遊技球発射機構側へ導くための機能を有する。また、下皿34は、上皿33内にて余剰となった遊技球を貯留する機能を有する。
【0068】
下側膨出部32の右方には、手前側へ突出するようにして遊技球発射ハンドル41が設けられている。遊技球発射ハンドル41が操作されることにより、後述する遊技球発射機構から遊技球が発射される。
【0069】
前扉枠14の背面の下部には、図2及び図5に示すように、樹脂ケース51が取り付けられている。樹脂ケース51の背面(図5に見える面)は平坦状をなし、前扉枠14を閉じた際に発射レール112の側壁を構成するようになっている。故に、発射レール112から遊技球が前方にこぼれ落ちることが防止される。樹脂ケース51の回動基端側には、パチンコ機10後方に向けて球通路樋52が設置されている。
【0070】
前扉枠14の背面における回動基端側(図5の右側)には、その上端部及び下端部に突起軸61,62が設けられている。これら突起軸61,62は本体枠13に対する組付機構を構成する。上下方向における突起軸61,62間には、前扉枠14の端部に沿って上下方向に延びるようにして、長尺状の前扉側部材171が設けられている。
【0071】
また、前扉枠14の背面における回動先端側(図5の左側)には、図2に示すように、後方に延びる鉤金具63が上下方向に複数並設されている。各鉤金具63は全体として鉤形状に形成されており、鉤金具63の先端に位置する係止部63aにより本体枠13に係止可能となっている。これら鉤金具63は本体枠13に対する施錠機構を構成する。
【0072】
次に、本体枠13について詳細に説明する。図6は本体枠13の正面構成を示す斜視図である。
【0073】
本体枠13は、外形が外枠11とほぼ同一形状をなす樹脂ベース71を主体に構成されている。樹脂ベース71の周縁部には、前方に張り出すようにして張出部78が設けられている。張出部78は、本体枠13に対して前扉枠14が閉鎖状態にある場合に前扉枠14の外周を包囲するように形成されている。この場合、張出部78により、本体枠13と前扉枠14との間の領域が遊技機左右方向及び上下方向の外部に対して遮られている。したがって、仮に不正行為者が針金やフィルムなどの不正道具を本体枠13と前扉枠14との間から侵入させて不正行為を行おうとしても、それが困難なものとなっている。
【0074】
樹脂ベース71の前面における回動基端側(図6の左側)には、その上端部及び下端部に支持金具72,73が取り付けられている。図示は省略するが、支持金具72,73には軸孔が形成されており、それら軸孔に前扉枠14の突起軸61,62が挿入されることにより、本体枠13に対して前扉枠14が回動可能に支持されている。
【0075】
本体枠13において、上下方向における支持金具72,73間には、本体枠13の端部に沿って上下方向に延びるようにして長尺状の本体側部材181が設けられている。本体側部材181は、本体枠13に対して前扉枠14が閉鎖状態にある場合に、前扉枠14の前扉側部材171と組み合わされるようになっている。前扉側部材171及び本体側部材181の詳細については後述する。
【0076】
樹脂ベース71の前面における回動先端側(図6の右側)には、前扉枠14の背面に設けられた鉤金具63を挿入するための挿入孔74がそれぞれ設けられている。挿入孔74は、本体枠13に対して前扉枠14を閉鎖させた際に鉤金具63が挿入される位置に設けられており、鉤金具63の挿入が可能な大きさとなっている。本パチンコ機10では、本体枠13や前扉枠14を施錠状態とするための施錠装置131(図3,図8参照)が本体枠13の背面側に隠れて配置される構成となっている。したがって、鉤金具63が挿入孔74を介して施錠装置131に係止されることによって、前扉枠14が本体枠13に対して開放不能に施錠される。
【0077】
樹脂ベース71の右下隅部には、施錠装置131の解錠操作を行うためのシリンダ錠75が設置されている。シリンダ錠75は施錠装置131に一体化されており、シリンダ錠75の鍵穴に差し込んだキーを左に回すと本体枠13に対する前扉枠14の施錠が解かれるようになっている。なお、シリンダ錠75の鍵穴に差し込んだキーを右に回すと外枠11に対する本体枠13の施錠が解かれるようになっている。
【0078】
樹脂ベース71の中央部には略楕円形状の窓孔76が形成されている。樹脂ベース71には遊技盤81が着脱可能に取り付けられている。遊技盤81は合板よりなり、遊技盤81の前面に形成された遊技領域が樹脂ベース71の窓孔76を通じて本体枠13の前面側に露出した状態となっている。
【0079】
ここで、遊技盤81の構成を図7に基づいて説明する。遊技盤81には、ルータ加工が施されることによって前後方向に貫通する大小複数の開口部が形成されている。各開口部には一般入賞口82,可変入賞装置83,作動口84,スルーゲート85及び可変表示ユニット86等がそれぞれ設けられている。一般入賞口82、可変入賞装置83及び作動口84に遊技球が入ると、それが後述する検知スイッチにより検知され、その検知結果に基づいて所定数の賞球の払い出しが実行される。その他に、遊技盤81の最下部にはアウト口87が設けられており、各種入賞口等に入らなかった遊技球はアウト口87を通って遊技領域から排出される。また、遊技盤81には、遊技球の落下方向を適宜分散、調整等するために多数の釘88が植設されていると共に、風車等の各種部材(役物)が配設されている。
【0080】
可変表示ユニット86には、作動口84への入賞をトリガとして図柄を可変表示する図柄表示装置91が設けられている。また、可変表示ユニット86には、図柄表示装置91を囲むようにしてセンターフレーム92が配設されている。センターフレーム92の上部には、第1特定ランプ部93及び第2特定ランプ部94が設けられている。また、センターフレーム92の上部及び下部にはそれぞれ保留ランプ部95,96が設けられている。下側の保留ランプ部95は、図柄表示装置91及び第1特定ランプ部93に対応しており、遊技球が作動口84を通過した回数は最大4回まで保留され保留ランプ部95の点灯によってその保留個数が表示されるようになっている。上側の保留ランプ部96は、第2特定ランプ部94に対応しており、遊技球がスルーゲート85を通過した回数は最大4回まで保留され保留ランプ部96の点灯によってその保留個数が表示されるようになっている。
【0081】
図柄表示装置91は、液晶ディスプレイを備えた液晶表示装置として構成されており、後述する表示制御装置により表示内容が制御される。図柄表示装置91には、例えば左、中及び右に並べて図柄が表示され、これらの図柄が上下方向にスクロールされるようにして変動表示されるようになっている。そして、予め設定されている有効ライン上に所定の組合せの図柄が停止表示された場合には、特別遊技状態(以下、大当たりという)が発生することとなる。
【0082】
第1特定ランプ部93では、作動口84への入賞をトリガとして所定の順序で発光色の切り替えが行われ、予め定められた色で停止表示された場合には大当たりが発生する。また、第2特定ランプ部94では、遊技球のスルーゲート85の通過をトリガとして所定の順序で発光色の切り替えが行われ、予め定められた色で停止表示された場合には作動口84に付随する電動役物が所定時間だけ開放状態となる。
【0083】
可変入賞装置83は、通常は遊技球が入賞できない又は入賞し難い閉状態になっており、大当たりの際に遊技球が入賞しやすい所定の開放状態に切り換えられるようになっている。可変入賞装置83の開放態様としては、所定時間(例えば30秒間)の経過又は所定個数(例えば10個)の入賞を1ラウンドとして、複数ラウンド(例えば15ラウンド)を上限として可変入賞装置83が繰り返し開放されるものが一般的である。
【0084】
遊技盤81には、内レール部101と外レール部102とが取り付けられており、これら内レール部101と外レール部102とにより誘導レールが構成され、後述する遊技球発射機構から発射された遊技球が遊技領域の上部に案内されるようになっている。
【0085】
遊技盤81の盤面は内レール部101及び外レール部102により内外領域に区画され、略円形状に区画された内側領域が遊技領域とされている。特に本実施の形態では、遊技盤81の盤面上に区画される遊技領域が従来よりも大きく構成されている。
【0086】
ここで、遊技領域を、パチンコ機10の正面から見て内レール部101及び外レール部102によって囲まれる領域のうち、内外レール部101,102の対向部分である球案内通路の領域を除いた領域として説明する。つまり、遊技領域は球案内通路部分を含まないため、遊技領域の向かって左側限界位置は外レール部102によってではなく内レール部101によって特定される。また、遊技領域の向かって右側限界位置は内レール部101によって特定され、遊技領域の下側限界位置はアウト口87が形成された遊技盤81の下端位置によって特定され、遊技領域の上側限界位置は外レール部102によって特定される。
【0087】
遊技領域は、遊技領域拡大という観点からは幅寸法及び高さ寸法が大きい程好ましい。なお、遊技領域の幅又は高さが一定値以上となると、遊技領域の一部が遊技盤81の盤面を越えることも考えられるが、その越えた領域については他の部材を遊技盤面に沿って設けること等によって補えばよい。
【0088】
遊技領域の拡張に関連して、可変表示ユニット86の両側に位置するスルーゲート85は、該ゲート85を通過した遊技球が中央の方へ寄せられるような案内機構を有している。これにより、遊技領域が左右方向及び上下方向に拡張されている場合であっても、遊技球を中央の作動口84や可変入賞装置83の方へと案内することができ、ひいては、遊技領域が拡張されることにより遊技球が入賞しにくくなることによる興趣の低下が抑制されるようになっている。また、遊技領域が左右方向及び上下方向に拡張されていることによって、比較的大型の可変表示ユニット86を遊技領域中央に設けても、可変表示ユニット86の左右両側にスルーゲート85、複数の釘(遊技球を中央に誘導するための三角釘等の誘導釘)、他の役物などを余裕をもってかつ多く配設することができ、可変表示ユニット86の左右両側及び上下両側の遊技領域での遊技球の流れが単調とならず、遊技球の挙動を存分に楽しませることができる。
【0089】
前述したように、遊技領域は、そのほぼ全域を前扉枠14の窓部21(ガラス22)を通じて前方から視認することができるようになっている。したがって、窓部21は、遊技領域の拡張に伴い拡張されることとなる。本パチンコ機10では、遊技領域の拡張に伴い大きめのガラス22が前扉枠14に搭載されている。ここで、前扉枠14のフレーム部分は、前扉枠14自体の強度及びガラス支持強度を確保するのに十分な幅寸法となっているため、窓部21を拡張するためのフレーム部分の縮小には制約が生じることとなる。
【0090】
遊技領域に遊技球を発射する遊技球発射機構110は、樹脂ベース71における窓孔76の下方に取り付けられている。遊技球発射機構110は、電磁式のソレノイド111と、発射レール112と、球送り機構113とからなり、ソレノイド111への電気的な信号の入力により当該ソレノイド111の出力軸が伸縮方向に移動し、球送り機構113によって発射レール112上に置かれた遊技球を遊技領域に向けて打ち出す。
【0091】
遊技球発射機構110では、遊技者による遊技球発射ハンドル41の操作に基づいてソレノイド111が通電され、ソレノイド111が通電されることにより遊技球が遊技領域に打ち出される。ここで、遊技球発射ハンドル41と遊技球発射機構110とは電気的に接続されているが機械的には分離した構成となっている。したがって、遊技球発射ハンドル41と遊技球発射機構110とを別々に設置することが可能となっている。本実施の形態では、遊技球発射機構110が本体枠13に配設されており、遊技球発射ハンドル41が前扉枠14に配設されている。
【0092】
前扉枠14には、上皿33、下皿34及び遊技球発射ハンドル41などが設けられており、前扉枠14は、窓部21の下方におけるフレーム幅が比較的大きくなっている。前扉枠14において、ガラス22の拡張に伴いガラス22周囲のフレーム部分が幅狭になった場合、前扉枠14の強度低下の問題が懸念されるが、前扉枠14に遊技球発射ハンドル41などが設けられることでフレーム幅が確保され、前扉枠14自体の支持構造及びガラス支持構造の十分な強度が確保されている。
【0093】
図6の説明に戻り、発射レール112と遊技盤81に取り付けられた内,外レール部101,102との間には所定間隔の隙間があり、この隙間より下方にはファール球通路126が配設されている。したがって、仮に遊技球発射機構110から発射された遊技球が遊技領域の上部に到達せずに、内,外レール部101,102によって構成される誘導レールを逆戻りする場合には、そのファール球がファール球通路126を介して下皿34に排出される。
【0094】
本体枠13の前面において発射レール112の左方には、左右一対の通路116,117(図8参照)が形成されるとともに、その前方に、通路116,117より排出された遊技球を上皿33又は下皿34の何れかに案内するための遊技球案内ユニット120が取り付けられている。便宜上以下の説明では、通路116を第1通路、通路117を第2通路ともいう。第1通路116及び第2通路117は、本体枠13の背面に設けられた遊技球分配部225(図12参照)に通じている。
【0095】
遊技球案内ユニット120は、ポリカーボネート樹脂等の透明な樹脂材料により内部を視認可能に構成され、本体枠13に対して前扉枠14を閉鎖した状態で本体枠13と前扉枠14との間に収まるよう厚みが比較的薄くなるように形成されている。遊技球案内ユニット120には、前述したファール球通路126が一体的に形成されている。
【0096】
遊技球案内ユニット120には、第1通路116と上皿33とを連通するための連通口121と、第2通路117と下皿34とを連通するための球排出通路122とが形成されている。さらに、遊技球案内ユニット120には、連通口121を閉鎖することが可能な開閉プレート123が取り付けられている。開閉プレート123は支軸124により回動可能に支持され、付勢手段としてのバネ125により連通口121を閉鎖する位置に常時付勢されている。なお、開閉プレート123により連通口121が閉鎖されている場合には、それに連動して球排出通路122も閉鎖されるようになっている。
【0097】
遊技球案内ユニット120の上記構成によれば、前扉枠14を開放した状態ではバネ125の付勢力により開閉プレート123が図示の如く起き上がることで連通口121が閉鎖され、それに連動して球排出通路122も閉鎖される。これにより、連通口121及び球排出通路122の上流側に遊技球が貯留されている状態で前扉枠14を開放した場合に、その貯留球がこぼれ落ちてしまうといった不都合が防止できる。これに対し、前扉枠14を閉鎖した状態では、前扉枠14の裏面に設けられた球通路樋52(図2参照)により、バネ125の付勢力に抗して開閉プレート123が押し開けられる。この状態では、第1通路116と上皿33とが連通口121を介して連通し、それに連動して第2通路117と下皿34とが球排出通路122を介して連通することとなる。
【0098】
次に、本体枠13の背面構成について説明する。図8は本体枠13の背面図である。
【0099】
樹脂ベース71の背面における回動先端側(図8の左側)には、施錠装置131が設けられている。施錠装置131は縦長の取付板137を備えており、取付板137は本体枠13の裏面側に縦方向に取り付けられている。取付板137の背面側には、樹脂ベース71の挿入孔74と対応する位置に扉枠施錠部材138が取り付けられている。扉枠施錠部材138には、鉤金具63を挿入するための係止孔(図示略)が形成されている。扉枠施錠部材138は、上下方向への移動が可能となっており、バネなどの付勢部材により上方に付勢されている。付勢部材の付勢力に抗して扉枠施錠部材138が下方に移動した場合、樹脂ベース71の挿入孔74と扉枠施錠部材138の係止孔とがほぼ重なり、挿入孔74を介して係止孔への鉤金具63の挿入が可能となっている。
【0100】
本体枠13に対して前扉枠14を閉鎖させた場合、前扉枠14の閉鎖動作に伴い鉤金具63が挿入孔74及び扉枠施錠部材138に進入する。そして、扉枠施錠部材138は、鉤金具63により下方へ押されることで付勢部材の付勢力に抗して下方に移動し、鉤金具63の係止部63a(図2参照)が扉枠施錠部材138を通過した後、前記付勢力により係止部63aの分だけ上方に戻る。この場合、鉤金具63と扉枠施錠部材138とが係止状態となり、鉤金具63の係止部63aが扉枠施錠部材138の背面側に引っ掛かることで前扉枠14の遊技機前方への変位が規制されるため、本体枠13に対する前扉枠14の開放が規制される。
【0101】
また、施錠装置131には上下への摺動が可能な摺動杆139が設けられており、摺動杆139が下方に摺動するとそれに伴い扉枠施錠部材138が下方に移動する。さらに、施錠装置131にはシリンダ錠75の錠軸にカム板140が固定されて設けられており、シリンダ錠75のキー操作によってカム板140が図8における時計方向に回動されると、カム板140が摺動杆139に係合することで摺動杆139が下方に摺動する。この場合、扉枠施錠部材138が下方に移動するため、鉤金具63の係止部63aが扉枠施錠部材138に引っ掛からなくなり、鉤金具63と扉枠施錠部材138との係止状態が解除され、本体枠13に対する前扉枠14の施錠が解かれることとなる。
【0102】
樹脂ベース71の背面における回動基端側(図8の右側)には、軸受け金具132が取り付けられている。軸受け金具132には、上下に離間させて軸受け部133が形成されており、これら軸受け部133により本体枠13に対して裏パックユニット15が回動可能に取り付けられている。また、樹脂ベース71の背面には、裏パックユニット15を本体枠13に締結するための被締結孔134が設けられている。
【0103】
樹脂ベース71の背面には、係止金具135が複数設けられており、これら係止金具135によって上述したように樹脂ベース71に対して遊技盤81が取り付けられている。ここで、遊技盤81の背面の構成を説明する。図9は遊技盤81を後方より見た斜視図、図10は遊技盤81から主制御装置ユニット160を取り外した状態を示す背面図である。
【0104】
遊技盤81の中央に配置される可変表示ユニット86には、センターフレーム92を背後から覆う合成樹脂製のフレームカバー141が後方に突出させて設けられており、フレームカバー141に対して後側から上述した図柄表示装置91が取り付けられるとともに、その図柄表示装置を駆動するための表示制御装置が取り付けられている(図示は省略)。これら図柄表示装置91及び表示制御装置は前後方向に重ねて配置され(図柄表示装置が前、表示制御装置が後)、さらにその後方に音声ランプ制御装置ユニット142が搭載されている。音声ランプ制御装置ユニット142は、音声ランプ制御装置143と、取付台144とを具備する構成となっており、取付台144上に音声ランプ制御装置143が装着されている。
【0105】
音声ランプ制御装置143は、後述する主制御装置からの指示に従い音声やランプ表示、及び表示制御装置の制御を司る音声ランプ制御基板を具備しており、音声ランプ制御基板が透明樹脂材料等よりなる基板ボックス145に収容されて構成されている。
【0106】
遊技盤81の背面には、図10に示すように、可変表示ユニット86の下方に集合板ユニット150が設けられている。集合板ユニット150には、各種入賞口に入賞した遊技球を回収するための遊技球回収機構や、各種入賞口等への遊技球の入賞を検知するための入賞検知機構などが設けられている。
【0107】
遊技球回収機構について説明すると、集合板ユニット150には、前記一般入賞口82、可変入賞装置83、作動口84の遊技盤開口部に対応して且つ下流側で1カ所に集合する回収通路151が形成されている。したがって、一般入賞口82等に入賞した遊技球は何れも回収通路151を介して遊技盤81の下方に集合する。遊技盤81の下方には後述する排出通路があり、回収通路151により遊技盤81の下方に集合した遊技球は排出通路内に導出される。なお、アウト口87も同様に排出通路に通じており、何れの入賞口にも入賞しなかった遊技球もアウト口87を介して排出通路内に導出される。
【0108】
入賞検知機構について説明すると、集合板ユニット150には、遊技盤81表側の一般入賞口82と対応する位置に入賞口スイッチ152が設けられ、可変入賞装置83と対応する位置にカウントスイッチ153が設けられ、作動口84に対応する位置に作動口スイッチ154が設けられている。これらスイッチ152〜154により遊技球の入賞がそれぞれ検知される。なお、集合板ユニット150外における可変表示ユニット86の左右両側には、スルーゲート85を通過する遊技球を検知するゲートスイッチ155が設けられている。
【0109】
遊技盤81の背面には、集合板ユニット150を後側から覆うようにして主制御装置ユニット160が搭載されている。主制御装置ユニット160の構成について図11を用いて説明する。図11は主制御装置ユニット160の構成を示す斜視図である。
【0110】
主制御装置ユニット160は、合成樹脂製の取付台161を有し、取付台161に主制御装置162が搭載されている。主制御装置162は、遊技の主たる制御を司る機能(主制御回路)と、電源を監視する機能(停電監視回路)とを有する主制御基板を具備しており、当該主制御基板が透明樹脂材料等よりなる基板ボックス163に収容されて構成されている。
【0111】
基板ボックス163は、略直方体形状のボックスベース(表ケース体)とこのボックスベースの開口部を覆うボックスカバー(裏ケース体)とを備えている。これらボックスベースとボックスカバーとは封印手段としての封印部164によって開封不能に連結され、これにより基板ボックス163が封印されている。封印部164は、基板ボックス163の長辺部に5つ設けられ、そのうち少なくとも一つが用いられて封印処理が行われる。
【0112】
封印部164はボックスベースとボックスカバーとを開封不能に結合する構成であれば任意の構成が適用できるが、封印部164を構成する長孔に係止爪を挿入することでボックスベースとボックスカバーとが開封不能に結合されるようになっている。封印部164による封印処理は、その封印後の不正な開封を防止し、また万一不正開封が行われてもそのような事態を早期に且つ容易に発見可能とするものであって、一旦開封した後でも再度封印処理を行うこと自体は可能である。すなわち、5つの封印部164のうち、少なくとも一つの長孔に係止爪を挿入することにより封印処理が行われる。そして、収容した主制御基板の不具合発生の際や主制御基板の検査の際など基板ボックス163を開封する場合には、係止爪が挿入された封印部と他の封印部との連結部分を切断する。これにより、基板ボックス163のボックスベースとボックスカバーとが分離され、内部の主制御基板を取り出すことができる。その後、再度封印処理する場合は他の封印部の長孔に係止爪を挿入する。基板ボックス163の開封を行った旨の履歴を当該基板ボックス163に残しておけば、基板ボックス163を見ることで不正な開封が行われた旨が容易に発見できる。
【0113】
基板ボックス163の一方の短辺部には、その側方に突出するようにして複数の結合片165が設けられている。これら結合片165は、取付台161に形成された複数の被結合片166と1対1で対応しており、結合片165と被結合片166とにより基板ボックス163と取付台161との間で封印処理が行われる。
【0114】
次に、裏パックユニット15について説明する。図12は裏パックユニット15の正面図、図13は裏パックユニット15の分解斜視図である。
【0115】
裏パックユニット15は、裏パック201を備えており、当該裏パック201に対して、払出機構部202、排出通路盤203、及び制御装置集合ユニット204が取り付けられている。裏パック201は透明性を有する合成樹脂により成形されており、払出機構部202などが取り付けられるベース部211と、パチンコ機10後方に突出し略直方体形状をなす保護カバー部212とを有する。保護カバー部212は左右側面及び上面が閉鎖され且つ下面のみが開放された形状をなし、少なくとも可変表示ユニット86を囲むのに十分な大きさを有する。
【0116】
ベース部211には、その右上部に外部端子板213が設けられている。外部端子板213には各種の出力端子が設けられており、これらの出力端子を通じて遊技ホール側の管理制御装置に対して各種信号が出力される。また、ベース部211にはパチンコ機10後方からみて右端部に上下一対の掛止ピン214が設けられており、掛止ピン214を本体枠13に設けられた前記軸受け部133に挿通させることで、裏パックユニット15が本体枠13に対して回動可能に支持されている。また、ベース部211には、本体枠13に設けられた被締結孔134に対して締結するための締結具215が設けられており、当該締結具215を被締結孔134に嵌め込むことで本体枠13に対して裏パックユニット15が固定されている。
【0117】
ベース部211には、保護カバー部212を迂回するようにして払出機構部202が配設されている。すなわち、裏パック201の最上部には上方に開口したタンク221が設けられており、タンク221には遊技ホールの島設備から供給される遊技球が逐次補給される。タンク221の下方には、下流側に向けて緩やかに傾斜するタンクレール222が連結され、タンクレール222の下流側には上下方向に延びるケースレール223が連結されている。ケースレール223の最下流部には払出装置224が設けられている。払出装置224より払い出された遊技球は、当該払出装置224の下流側に設けられた図示しない払出通路を通じて、裏パック201のベース部211に設けられた遊技球分配部225に供給される。
【0118】
遊技球分配部225は、払出装置224より払い出された遊技球を上皿33、下皿34又は後述する排出通路の何れかに振り分けるための機能を有し、内側の開口部226が第1通路116を介して上皿33に通じ、中央の開口部227が第2通路117を介して下皿34に通じ、外側の開口部228が排出通路に通じるように形成されている。
【0119】
払出機構部202には、裏パック基板229が設置されている。裏パック基板229には、例えば交流24ボルトの主電源が供給され、電源スイッチ229aの切替操作により電源ON又は電源OFFとされるようになっている。
【0120】
ベース部211の下端部には、当該下端部を前後に挟むようにして排出通路盤203及び制御装置集合ユニット204が取り付けられている。排出通路盤203は、制御装置集合ユニット204と対向する面に後方に開放された排出通路231が形成されており、当該排出通路231の開放部は制御装置集合ユニット204によって塞がれている。排出通路231は、遊技ホールの島設備等へ遊技球を排出するように形成されており、上述した回収通路151等から排出通路231に導出された遊技球は当該排出通路231を通ることでパチンコ機10外部に排出される。
【0121】
制御装置集合ユニット204は、横長形状をなす取付台241を有し、取付台241に払出制御装置242と電源及び発射制御装置243とが搭載されている。これら払出制御装置242と電源及び発射制御装置243とは、払出制御装置242がパチンコ機10後方となるように前後に重ねて配置されている。
【0122】
払出制御装置242は、基板ボックス244内に払出装置224を制御する払出制御基板が収容されている。なお、払出制御装置242から払出装置224への払出指令の信号は上述した裏パック基板229により中継される。また、払出制御装置242には状態復帰スイッチ245が設けられている。例えば、払出装置224における球詰まり等、払出エラーの発生時において状態復帰スイッチ245が押されると、球詰まりの解消が図られるようになっている。
【0123】
電源及び発射制御装置243は、基板ボックス246内に電源及び発射制御基板が収容されており、当該基板により、各種制御装置等で要する所定の電源が生成されて出力され、さらに遊技者による遊技球発射ハンドル41の操作に伴う遊技球の打ち出しの制御が行われる。また、電源及び発射制御装置243にはRAM消去スイッチ247が設けられている。本パチンコ機10は各種データの記憶保持機能を有しており、万一停電が発生した際でも停電時の状態を保持し、停電からの復帰の際には停電時の状態に復帰できるようになっている。したがって、例えば遊技ホールの営業終了の場合のように通常手順で電源を遮断すると遮断前の状態が記憶保持されるが、RAM消去スイッチ247を押しながら電源を投入すると、RAMデータが初期化されるようになっている。
【0124】
ここで、前扉側部材171及び本体側部材181について詳細に説明する。
【0125】
まず、前扉側部材171について説明する。図5に示すように、前扉側部材171は、前扉枠14の背面に回動基端側(図5の右側)の端部に沿って上下方向へ延びるようにして設けられている。前扉側部材171は、前扉枠14の上下方向の長さとほぼ同じかそれより若干短くなっている。前扉側部材171は、金属製の当接板部172、対向板部173及び連結板部174により全体として横断面コ字状に形成されている。換言すれば、前扉側部材171において、当接板部172と対向板部173との間には連結板部174を底面とした凹溝が形成されている。また、対向板部173には、切欠173aが複数形成されている。
【0126】
前扉側部材171は、凹溝の開放側が前扉枠14の回動基端側を向くようにして、前扉枠14の背面に取り付けられている。前扉側部材171は、当接板部172の板面が前扉枠14に当接した状態で、小ネジ等の締結部材により前扉枠14に固定されている。したがって、連結板部174が、前扉枠14から遊技機後方に向かって起立するとともに、対向板部173が連結板部174から回動基端側に向かって突出した状態となっている。また、前扉側部材171は、前扉枠14の突起軸61,62よりも遊技機前方に位置している。
【0127】
次に、本体側部材181について説明する。図6に示すように、本体側部材181は、本体枠13の前面に前扉側部材171と対応する側(図6の左側)の端部に沿って上下方向へ延びるようにして設けられている。本体側部材181は、本体枠13の上下方向の長さとほぼ同じかそれより若干短くなっている。本体側部材181は金属製の板状部材により形成されている。本体側部材181には、貫通孔182が複数形成されている。
【0128】
本体側部材181は、その板面が遊技機前後方向を向くようにして、本体枠13の前面に取り付けられている。本体枠13の前面には、樹脂ベース71に凸部185が上下方向に並ぶようにして複数設けられており、各凸部185にはネジ孔(図示略)が形成されている。本体側部材181は、板面が凸部185に当接した状態で、貫通孔182を介して前記ネジ孔に小ネジ等の締結部材がねじ込まれることで前扉枠14に固定されている。各凸部185の間において、本体枠13の樹脂ベース71と本体側部材181との間には、前扉側部材171の対向板部173が入り込むのに十分な領域が確保されている。
【0129】
また、本体側部材181は、長手方向の一端部の全体が本体枠13の回動基端側の張出部78に当接した状態で固定されている。したがって、本体側部材181により、その本体側部材181の遊技機前方の領域と後方の領域とが張出部78の内側にて遮蔽されている。さらに、本体側部材181は、本体枠13の支持金具72,73の軸孔よりも遊技機前方に位置している。
【0130】
次いで、前扉枠14の閉鎖動作に伴う前扉側部材171と本体側部材181との組み合わせ状態について、図14及び図15に基づいて説明する。図14は、前扉側部材171及び本体側部材181周辺におけるパチンコ機10の略図であり、(a)は本体枠13に対して前扉枠14を開放した状態、(b)は本体枠13に対して前扉枠14を閉鎖した状態を示す。但し、図14では説明の便宜上、前扉側部材171及び本体側部材181を除いてパチンコ機10の略図を破線にて示している。図15は、前扉側部材171及び本体側部材181周辺を上方から見た略図であり、(a)は本体枠13に対して前扉枠14を開放した状態、(b)は本体枠13に対して前扉枠14を閉鎖した状態を示す。但し、図15では説明の便宜上、前扉側部材171及び本体側部材181の厚み寸法、及び部材間の寸法を実際の寸法よりも大きく示している。
【0131】
本体枠13に対して前扉枠14が開放状態にある場合は、図14(a)及び図15(a)に示すように、前扉側部材171と本体側部材181とが組み合わされていない状態となっている。ここで、本体側部材181は、本体枠13に対して前扉枠14が回動された際の前扉側部材171の軌道上に設けられている。前扉側部材171は、凹溝の開放側が本体側部材181を受け入れる方向を向くように設けられ、当接板部172と対向板部173との間には本体側部材181が入り込むために十分な領域が確保されている。前扉枠14において、回動軸としての突起軸61,62が前扉側部材171より遊技機前方に位置しているため、本体枠13に対する前扉枠14の閉鎖動作に伴って、前扉側部材171が図15(a)における上方に移動しつつ左方に移動する。これにより、前扉側部材171の凹溝の開放側に本体側部材181が入り込むこととなる。
【0132】
本体枠13に対して前扉枠14が閉鎖状態にある場合、図14(b)及び図15(b)に示すように、本体枠13と前扉枠14との間の領域にて前扉側部材171と本体側部材181とが組み合わされた状態となる。この場合、本体側部材181は、当接板部172と対向板部173との間に前扉側部材171の凹溝の開放側(前扉枠14の回動基端側)から入り込んでおり、前扉側部材171の対向板部173は、本体枠13の樹脂ベース71と本体側部材181との間に入り込んでいる。本体側部材181は、前扉側部材171の上下方向の全体に渡って入り込んでいる。また、本体側部材181は、その板面が当接板部172の板面と対向している。ここで、前扉側部材171は、本体側部材181と組み合わされても、対向板部173に設けられた切欠173aにより本体枠13の凸部185と干渉しないようになっている。
【0133】
また、本体枠13に対して前扉枠14が閉鎖状態にある場合、前扉側部材171及び本体側部材181は本体枠13と前扉枠14との間に位置している。この場合、前扉側部材171において、連結板部174は、前扉枠14の背面側から本体枠13に向かって突出しており、対向板部173は、連結板部174の先端から前扉枠14の回動基端側に向かって突出している。さらに、それら対向板部173や連結板部174により形成されている前扉側部材171の凹溝内において、本体側部材181が凹溝の開放側から連結板部174側に向かって突出している。以上の結果、本体枠13と前扉枠14との間からの不正道具の侵入が阻止される。
【0134】
例えば、不正行為者が本体枠13と前扉枠14との間から不正道具を差し入れようとしても、張出部78によりそれが規制されるようになっている。仮に、不正道具を遊技機前方(図15(b)の下方)から張出部78の内側における本体枠13と前扉枠14との間の領域に差し入れることができたとしても、その領域は本体側部材181により遮蔽されているため、不正道具が本体側部材181に突き当たることとなる。そして、不正道具を曲げるなどして本体側部材181を回避し、前扉側部材171の当接板部172と本体側部材181との間の領域に不正道具を差し入れることができたとしても、その領域は前扉側部材171の連結板部174により遮蔽されているため、不正道具が連結板部174に突き当たることとなる。前扉側部材171と本体側部材181との間の領域は、他にも対向板部173、張出部78、樹脂ベース71などにより遮蔽されているため、不正道具を本体枠13と前扉枠14との間から差し入れることが非常に困難なものとなっている。
【0135】
また、例えば、前扉枠14を遊技機前方に引っ張ることで本体枠13と前扉枠14との間の間隔を拡張させ、不正道具を差し入れ易くする不正が考えられるが、本実施の形態では、本体側部材181が前扉側部材171の開放側の全体に渡って遊技機左右方向(回動基端側)から入り込んでいるため、遊技機前方への前扉枠14の変位がその前扉枠14回動基端側の端部のほぼ全体に渡って規制される。仮に、前扉枠14が遊技機前方に引っ張られても、前扉側部材171の対向板部173が本体側部材181に引っ掛かることとなる。したがって、前扉枠14の浮き上がりが規制され、本体枠13と前扉枠14との間の間隔の拡張が抑制される。さらに、この場合、対向板部173と本体側部材181とがそれぞれの板面のほぼ全体にて当接することとなるため、前扉枠14のどの部分が遊技機前方に引っ張られても、前扉枠14の浮き上がりが規制される。したがって、本体枠13と前扉枠14との間の領域の局所的な拡張が抑制される。
【0136】
次に、パチンコ機10の電気的構成について、図14のブロック図に基づいて説明する。図14では、電力の供給ラインを二重線矢印で示し、信号ラインを実線矢印で示す。
【0137】
主制御装置162に設けられた主制御基板301には、主制御回路302と停電監視回路303とが内蔵されている。主制御回路302には、CPU311が搭載されている。CPU311には、当該CPU311により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM312と、そのROM312内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAM313と、割込回路やタイマ回路、データ入出力回路などの各種回路が内蔵されている。
【0138】
RAM313は、パチンコ機10の電源の遮断後においても電源及び発射制御装置243に設けられた電源及び発射制御基板321からデータ記憶保持用電力が供給されてデータが保持される構成となっている。
【0139】
CPU311には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスラインを介して入出力ポートが接続されている。主制御回路302の入力側には、主制御基板301に設けられた停電監視回路303、払出制御装置242に設けられた払出制御基板322及びその他図示しないスイッチ群などが接続されている。この場合に、停電監視回路303には電源及び発射制御基板321が接続されており、主制御回路302には停電監視回路303を介して電力が供給される。
【0140】
一方、主制御回路302の出力側には、停電監視回路303、払出制御基板322及び中継端子板323が接続されている。払出制御基板322には、賞球コマンドなどといった各種コマンドが出力される。中継端子板323を介して主制御回路302から音声ランプ制御装置143に設けられた音声ランプ制御基板324に対して各種コマンドなどが出力される。
【0141】
停電監視回路303は、主制御回路302と電源及び発射制御基板321とを中継し、また電源及び発射制御基板321から出力される最大電源である直流安定24ボルトの電源を監視する。
【0142】
払出制御基板322は、払出装置224により賞球や貸し球の払出制御を行うものである。演算装置であるCPU331は、そのCPU331により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM332と、ワークメモリ等として使用されるRAM333とを備えている。
【0143】
払出制御基板322のRAM333は、主制御回路302のRAM313と同様に、パチンコ機10の電源の遮断後においても電源及び発射制御基板321からデータ記憶保持用電力が供給されてデータが保持される構成となっている。
【0144】
払出制御基板322のCPU331には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスラインを介して入出力ポートが接続されている。払出制御基板322の入力側には、主制御回路302、電源及び発射制御基板321、及び裏パック基板229が接続されている。また、払出制御基板322の出力側には、主制御回路302及び裏パック基板229が接続されている。
【0145】
電源及び発射制御基板321は、電源部と発射制御部とを備えている。電源部は、二重線矢印で示す経路を通じて、主制御回路302や払出制御基板322等に対して各々に必要な動作電力を供給する。発射制御部は、遊技者による遊技球発射ハンドル41の操作にしたがって遊技球発射機構110の発射制御を担うものであり、遊技球発射機構110は所定の発射条件が整っている場合に駆動される。
【0146】
音声ランプ制御基板324は、各種ランプ部23〜25やスピーカ部26、及び表示制御装置325を制御するものである。演算装置であるCPU341は、そのCPU341により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM342と、ワークメモリ等として使用されるRAM343とを備えている。
【0147】
音声ランプ制御基板324のCPU341にはアドレスバス及びデータバスで構成されるバスラインを介して入出力ポートが接続されている。音声ランプ制御基板324の入力側には中継端子板323に中継されて主制御回路302が接続されており、主制御回路302から出力される各種コマンドに基づいて、各種ランプ部23〜25、スピーカ部26、及び表示制御装置325を制御する。表示制御装置325は、音声ランプ制御基板324から入力する表示コマンドに基づいて図柄表示装置91を制御する。
【0148】
以上詳述した第1の実施の形態によれば、以下の優れた効果を奏する。
【0149】
本体側部材181を、本体枠13の前面に上下方向に延びるようにして設けるとともに、前扉側部材171を、前扉枠14の背面に上下方向に延びるようにして設けたため、前扉側部材171及び本体側部材181により、本体枠13と前扉枠14との間からの不正道具の侵入を広範囲に渡って規制することができる。
【0150】
また、前扉側部材171と本体側部材181とが組み合わされた場合、本体側部材181が前扉側部材171の凹部の上下方向のほぼ全体に前扉枠14の回動基端側から入り込む構成としたため、本体枠13と前扉枠14との間の領域では、対向板部173、連結板部174、本体側部材181が複数の方向から突出した状態となっている。したがって、仮に本体枠13と前扉枠14との間から不正道具を差し入れようとしても、前扉側部材171及び本体側部材181を回避させたりそれら部材171,181の間を通過させたりすることが非常に困難なものとなっており、不正道具を差し入れることの困難性が高くなっている。
【0151】
さらに、前扉側部材171と本体側部材181とが組み合わされた場合、本体側部材181の板面が当接板部172の板面と対向しているため、それら板面が当接することで本体枠13に対する前扉枠14の遊技機前方への相対的な変位が広範囲に渡って規制される。したがって、仮に前扉枠14が遊技機前方に引っ張られても、前扉枠14の浮き上がりを広範囲に渡って規制することができる。また、前扉枠14のどの部分が引っ張られても前扉枠14の浮き上がりを規制し、前扉枠14の局所的な浮き上がりも規制することができる。故に、不正道具を本体枠13と前扉枠14との間から差し入れることの困難性の低下を抑制することができる。
【0152】
例えば、不正行為として、不正道具を本体枠13と前扉枠14との間を通じて遊技領域まで差し入れ、不正道具により遊技球を誘導して一般入賞口82や作動口84に入賞させたり、不正道具により可変入賞装置83を強制的に開放状態として遊技球が入賞しやすい状態としたりすることなどで、所定数の賞球を払い出させて利益を得るという不正が考えられる。ここで、本実施の形態では、前扉側部材171を前扉枠14の回動基端側の端部に設けるとともに、本体側部材181を本体枠13における前扉側部材171と組み合わせが可能な位置に設けた。このため、パチンコ機10の左右方向からなど、一般入賞口82、可変入賞装置83及び作動口84に比較的近い位置からの遊技領域への不正道具の侵入を阻止することができる。また、遊技領域への不正道具の侵入を阻止することで、遊技領域に設けられた開口部などからの遊技盤81の背面側への不正道具の侵入を阻止することができる。
【0153】
以上の結果、本体枠13と前扉枠14との間を通じてパチンコ機10内部に不正道具を差し入れるなどして行われる不正行為を抑制することができる。
【0154】
本体枠13に対する前扉枠14の閉鎖動作に伴って前扉側部材171の開放側に本体側部材181が入り込む構成としたため、単に前扉枠14を本体枠13に対して閉鎖状態とすることで、前扉側部材171と本体側部材181とを組み合わせることができる。したがって、本体枠13に対して前扉枠14が閉鎖状態にある場合は、常時、パチンコ機10を不正行為が抑制される状態とすることができる。
【0155】
前扉側部材171を前扉枠14の回動基端側に設けたため、例えば、前扉側部材171を前扉枠14の回動先端側に設けた場合に比べて、前扉側部材171の開放側への本体側部材181の入り込み量を大きくすることが可能となる。これは、前扉側部材171及び本体側部材181を回動基端側に設けた場合、回動先端側に設けた場合に比べて曲率半径が小さくなり、遊技機前後方向への前扉側部材171の移動量が同じであれば、遊技機左右方向への前扉側部材171の移動量が大きくなるためである。これにより、仮に前扉枠14に対して遊技機左右方向に外力が加えられても、前扉側部材171と本体側部材181との組み合わせ状態を解除させにくくすることができる。
【0156】
張出部78を、本体枠13の樹脂ベース71の周縁部に前扉枠14の外周を包囲するように設けたため、前扉枠14と本体枠13との間への不正道具の差し入れを行いにくくすることができる。また、本体枠13に対する前扉枠14の遊技機左右方向及び上下方向への相対的な変位を規制することができる。したがって、仮に前扉枠14に対して遊技機左右方向に外力が加えられても、前扉側部材171と本体側部材181との組み合わせ状態を解除させにくくすることができる。
【0157】
本実施の形態では、遊技盤81の盤面上に区画される遊技領域の拡大に際し、前扉枠14に上皿33、下皿34及び遊技球発射ハンドル41などを設けることで、前扉枠14自体の支持構造及びガラス支持構造の十分な強度の確保を可能とした。ここで、本体枠13に対して前扉枠14をその上端部及び下端部にて支持したため、上皿33,下皿34,遊技球発射ハンドル41などが設けられていない前扉枠と同じ支持間隔で前扉枠14を支持した場合に比べて前扉枠14の支持間隔が大きくなり、本体枠13に対する前扉枠14のがたつきの発生を抑制することができる。また、遊技領域の拡大に伴い大きめのガラス22が前扉枠14に搭載されているため、フレーム部分の幅が極力縮小されている。
【0158】
以上の結果、前扉枠14の支持間隔の拡大とフレーム幅の縮小とが相まって、前扉枠14が遊技機前方に引っ張られると前扉枠14が容易に浮き上がったり前扉枠14の浮き上がりが大きくなったりすると考えられるが、前扉側部材171及び本体側部材181を前扉枠14及び本体枠13に上下方向に延びるようにして設けたため、前扉枠14において支持部間の全域に渡って浮き上がりを規制することができる。故に、遊技領域を拡大しつつ、本体枠13と前扉枠14との間を通じてパチンコ機10内部に不正道具を差し入れるなどして行われる不正行為を抑制することができる。
【0159】
本体枠13及び前扉枠14の回動先端側に施錠装置131を設けたため、仮に前扉枠14が遊技機前方に引っ張られても回動先端側における前扉枠14の浮き上がりを規制することができる。したがって、前扉枠14の回動基端側及び先端側の両端側の浮き上がりを抑制することができる。故に、不正道具を本体枠13と前扉枠14との間から差し入れることの困難性の低下をより確実に抑制できる。
【0160】
前扉側部材171及び本体側部材181を金属製の板部により形成したため、比較的安価な部材により本体枠13と前扉枠14との間からの不正道具の侵入を規制する規制機構を構成することができる。また、その規制機構を比較的簡易な構成とすることができる。さらに、前扉側部材171及び本体側部材181に十分な強度を持たせることができる。したがって、前扉枠14が遊技機前方に引っ張られても、前扉枠14の変形や浮き上がりを好適に抑制することができる。
【0161】
(第2の実施の形態)
本実施の形態では、前扉側部材171及び本体側部材181の構成が上記第1の実施の形態と異なっている。そこで、前扉側部材171及び本体側部材181の構成について詳細に説明する。以下の説明では、上記第1の実施の形態との相違点を説明し、同一の構成については基本的に説明を省略する。図17はパチンコ機350の主要な構成を展開して示す斜視図、図18は前扉枠354の背面構成を示す斜視図、図19は本体枠353の前面構成を示す斜視図、図20は前扉枠354の背面構成を示す分解斜視図、図21は本体枠13の背面構成を示す分解斜視図である。
【0162】
なお、便宜上、遊技領域内の構成などパチンコ機350の詳細な構成は省略している。また、パチンコ機350は上記第1の実施の形態と同様の鉤金具63を備えており、鉤金具63は、上記第1の実施の形態では前扉枠14の回動先端側に上下方向に複数(3個)並設されていたが、本実施の形態では前扉枠354の回動先端側に上下一対で(上下方向に2個)設けられている。
【0163】
パチンコ機350は、当該パチンコ機350の外殻を形成する外枠351と、この外枠351に対して前方に回動可能に取り付けられた本体枠353と、その本体枠353の前方に配置される前扉枠354とを備えている。前扉枠354は、本体枠353により回動可能に支持されており、正面視で左側を回動基端側とし右側を回動先端側として前方へ回動可能とされている。
【0164】
前扉枠354は本体枠353の前面側全体を覆うようにして設けられている。前扉枠354には、図18に示すように、その回動基端側(図18の右側)の端部に沿って上下方向に延びる長尺状の前扉側部材361が取り付けられている。本体枠353には、図19に示すように、その回動基端側(図19の左側)の端部に沿って上下方向に延びる長尺状の本体側部材381が取り付けられている。前扉側部材361と本体側部材381とは、本体枠353に対して前扉枠354が閉鎖状態にある場合に組み合わされるようになっている。
【0165】
まず、前扉側部材361について説明する。前扉側部材361は、図20に示すように、前扉枠354の上下方向の長さとほぼ同じかそれより若干短い金属製の板材を横断面略L字状に折り曲げて構成されており、この折り曲げによって取付板部363と遊技機前方に起立する前側起立部364とが形成されている。また、取付板部363を挟んで前側起立部364の反対側には、中央部のやや下寄りから上端部にかけて遊技機後方に起立する後側起立部365が形成されている。
【0166】
前扉側部材361は、取付板部363が前扉枠354の背面と当接し且つ前側起立部364が前扉枠354の側面と当接する状態で前扉枠354に取り付けられている。取付板部363には、その板面を貫通する孔部366が上下方向に分散(離間)して配置されており、前扉枠354には、その孔部366に対応する位置にネジ孔371が複数形成されている。前扉側部材361が前扉枠354に取り付けられた状態では孔部366とネジ孔371とが連通しており、ネジなどの固定部材が孔部366を介してネジ孔371にねじ込まれることで、前扉側部材361が前扉枠354に固定されている。この場合、固定部材による固定が複数箇所にて行われているため、前扉枠354からの遊技機後方及び側方への前扉側部材361の浮き上がりがほぼ全体に渡って規制されるとともに、部分的な浮き上がりも規制される。
【0167】
前扉側部材361には、取付板部363の板面を貫通する規制孔367が上下両端部寄りにそれぞれ形成されており、前扉枠354には、前扉枠354の背面から遊技機後方に突出する突出部372が規制孔367に対応する位置に形成されている。規制孔367は、突出部372の嵌合が可能な大きさ及び形状となっており、前扉側部材361が前扉枠354に取り付けられた状態では、前扉枠354の背面側から突出部372が規制孔367に嵌合されている。これにより、前扉枠354に対する前扉側部材361の左右及び上下方向への移動が規制されることとなる。
【0168】
また、前扉側部材361には、前側起立部364の板面を貫通する案内孔368が上下方向に分散(離間)して配置されており、前扉枠354には、前扉枠354の側面から回動基端側に(図20の右方)に突出する案内突部373が案内孔368に対応する位置に形成されている。前扉側部材361が前扉枠354に取り付けられた状態では、前扉枠354の回動基端側から案内突部373が案内孔368に挿入されている。
【0169】
案内孔368は取付板部363に跨るようにして形成されている。案内孔368は、その上下方向の内幅が案内突部373の上下方向の外幅よりも僅かに大きくなっており、前扉枠354に対する前扉側部材361の上下方向への移動が規制されている。また、案内孔368は、その横方向の内幅が案内突部373の前後方向の外幅よりも突出部372の前後幅分だけ大きくなっている。これにより、前扉側部材361を前扉枠354に取り付ける際、案内突部373を案内孔368内の前部(図20の奥側部)に位置合わせすることで、取付板部363が前扉枠354の突出部372に干渉しない状態で案内孔368に案内突部373を挿入させることができる。この場合、前扉枠354からの前扉側部材361のこれ以上の遊技機後方への移動が規制されることとなる。
【0170】
そして、案内孔368の前部に案内突部373を挿入させた状態で前扉側部材361を前方(図20の奥側)に移動させると、突出部372を規制孔367に嵌合させることが可能となる。この場合、案内突部373が案内孔368に挿入されつつ突出部372が規制孔367に嵌合されるため、ネジなどの固定部材だけにより前扉側部材361が前扉枠354に取り付けられている構成と比して、前扉側部材361を前扉枠354から取り外すことがより一層困難なものとなっている。
【0171】
次に、本体側部材381について説明する。図21に示すように、本体枠353の上下方向の長さとほぼ同じかそれより若干短い金属製の板材を横断面略コ字状に折り曲げて構成されており、この折り曲げによって当接板部383、対向板部384及び連結板部385が形成されている。換言すれば、前扉側部材361において、当接板部383と対向板部384との間には連結板部385を底面とした凹溝が形成されている。
【0172】
本体側部材381は、当接板部383の外側面が本体枠353の前面と当接する状態で本体枠353に取り付けられている。この状態では、本体側部材381の凹溝の開放側が本体枠353の回動先端側を向いている。すなわち、連結板部385が前扉枠354から遊技機前方に向かって起立するとともに、対向板部384が連結板部385から回動先端側に向かって突出した状態となっている。
【0173】
本体側部材381には、当接板部383の上下両端部に孔部387がそれぞれ形成されており、本体枠353には、その孔部387に対応する位置に本体側ネジ孔(図示略)が形成されている。本体側部材381が本体枠353に取り付けられた状態では孔部387と本体側ネジ孔とが連通しており、ネジなどの固定部材が孔部387を介して本体側ネジ孔にねじ込まれることで、本体側部材381が本体枠353に固定されている。
【0174】
本体側部材381には、各孔部387の間に本体側部材381を本体枠353に係止するための係止部388が上下方向に分散(離間)して配置されており、本体枠353には、その本体枠353を前後方向に貫通する係止孔392が係止部388に対応する位置に形成されている。本体側部材381が本体枠353に取り付けられた状態では係止部388が係止孔392に挿入されて係止されている。
【0175】
係止部388は、本体部388aと係止爪部388bとにより全体として略L字状に形成されている。本体部388aは遊技機後方に突出しており、係止爪部388bは本体部388aから下方に突出している。係止部388は、当接板部383の一部が本体側部材381の外側に折り曲げられることで遊技機後方に突出して形成されており、本体枠353の係止孔392への挿入が可能な大きさとなっている。
【0176】
係止部388の左右方向の外幅は、本体枠353の係止孔392の左右方向の内幅より僅かに小さくなっており、係止部388を係止孔392に挿入することで、本体枠353に対する本体側部材381の左右方向への移動が規制されている。また、その係止部388の左右方向の外幅は、本体側部材381を構成する板材の外幅に相当しており、上下方向の外幅よりも小さくなっている。これにより、本体枠353の略中央に設けられた遊技領域の設置可能領域を十分に広く確保しつつ、遊技領域の側方位置にて係止部388を本体枠353に係止させることが可能となっている。
【0177】
係止部388の上下方向の外幅は、本体枠353の係止孔392の上下方向の内幅より小さくなっている。そして、係止爪部388bが下方に突出している部分の上下方向の外幅は、係止爪部388bが位置しない部分(本体部388aだけ)の上下方向の外幅より大きくなっている。これにより、本体側部材381を本体枠353に取り付ける際、係止部388を係止孔392に挿入し、その状態で係止部388を下方に移動させることで、係止爪部388bを係止孔392に係止させることが可能となる。本体側部材381が本体枠353に係止されている場合、係止爪部388bが本体枠353の背面に引っ掛かることで本体側部材381の遊技機前方への浮き上がりが規制されることとなる。
【0178】
また、上記したように、本体枠353に対する本体側部材381の係止部分が上下方向に分散しているため、本体側部材381を固定部材により固定する箇所が上下両端部だけでも、本体側部材381が本体枠353に強固に固定されており、本体側部材381を本体枠353から取り外すことがより一層困難なものとなっている。すなわち、本体枠353への本体側部材381の取り付け作業を容易なものとしつつ、本体側部材381の遊技機前方への浮き上がりがほぼ全体に渡って規制され、さらには部分的な浮き上がりも規制される構成を実現している。
【0179】
次いで、前扉枠354の閉鎖動作に伴う前扉側部材361と本体側部材381との組み合わせ状態について、図22に基づいて説明する。図22は、前扉側部材361及び本体側部材381周辺を上方から見た略図であり、(a)は本体枠353に対して前扉枠354を開放した状態、(b)は本体枠353に対して前扉枠354を閉鎖した状態を示す。但し、図22では説明の便宜上、前扉側部材361及び本体側部材381の厚み寸法、及び部材間の寸法を実際の寸法よりも大きく示している。
【0180】
本体枠353に対して前扉枠354が開放状態にある場合は、図22(a)に示すように、前扉側部材361と本体側部材381とが組み合わされていない状態となっている。ここで、本体側部材381は、本体枠353に対して前扉枠354が回動された際の前扉側部材361の軌道上に設けられている。本体側部材381は、凹溝の開放側が前扉側部材361を受け入れる方向を向くように設けられ、当接板部383と対向板部384との間には前扉側部材361の取付板部363及び前側起立部364が入り込むために十分な領域が確保されている。前扉枠354は、前扉側部材361より遊技機前方にて本体枠353に回動可能に支持されており、本体枠353に対する前扉枠354の閉鎖動作に伴って、前扉側部材361が図22(a)における上方に移動しつつ左方に移動する。これにより、本体側部材381の凹溝の開放側に前扉側部材361がその前側起立部364側から入り込むこととなる。
【0181】
本体枠353に対して前扉枠354が閉鎖状態にある場合、図22(b)に示すように、前扉側部材361と本体側部材381とが本体枠353と前扉枠354との端部にて組み合わされた状態となる。この場合、前扉側部材361の取付板部363及び前側起立部364は、当接板部383と対向板部384との間に本体側部材381の凹溝の開放側(前扉枠354の回動基端側に対応する側)から入り込んでおり、その入り込み部分は本体側部材381の上下方向のほぼ全体に渡っている。また、前扉側部材361の前側起立部364は、本体側部材381の内側にて対向板部384と接近している。
【0182】
また、本体枠353に対して前扉枠354が閉鎖状態にある場合、本体側部材381において、連結板部385は本体枠353から前扉枠354側に向かって突出しており、対向板部384は連結板部385の先端から前扉枠354の回動基端側の側面に向かって突出している。さらに、本体側部材381の凹溝内において、連結板部385には前扉側部材361の取付板部363及び前側起立部364が接近しており、対向板部384には前側起立部364が接近している。前扉側部材361の後側起立部365は、本体枠353と前扉枠354との間にて本体枠353に向かって突出している。以上の結果、本体枠353と前扉枠354との間からの不正道具の侵入が阻止される。
【0183】
例えば、不正行為者が本体枠353と前扉枠354との間から不正道具を差し入れようとした場合、仮に、遊技機前方(図22(b)の下方)から前扉側部材361と本体側部材381との間、すなわち前側起立部364と対向板部384との間の領域に不正道具を差し入れることができたとしても、その領域は本体側部材381の連結板部385により遮蔽されているため、不正道具が連結板部385に突き当たることとなる。そして、不正道具を曲げるなどして連結板部385を回避し、前側起立部364と連結板部385との間の領域に不正道具を差し入れることができたとしても、その領域は本体側部材381の当接板部383により遮蔽されているため、不正道具が当接板部383に突き当たることとなる。さらに、本体枠353と前扉枠354との間の領域は、他にも後側起立部365や本体枠353などにより遮蔽されているため、不正道具を本体枠353と前扉枠354との間から差し入れることが非常に困難なものとなっている。
【0184】
また、前扉枠354を遊技機前方に引っ張ることで本体枠353と前扉枠354との間の間隔を拡張させ、不正道具を差し入れ易くする不正が考えられるが、前扉側部材361が本体側部材381の開放側の全体に渡って遊技機左右方向(回動先端側)から入り込んでいるため、本実施の形態でも上記第1の実施の形態と同様に、遊技機前方への前扉枠354の変位が回動基端側の端部のほぼ全体に渡って規制される。仮に、前扉枠354が遊技機前方に引っ張られても、前扉側部材361の前側起立部364が本体側部材381の対向板部384に引っ掛かることとなる。したがって、前扉枠354の浮き上がりが規制され、本体枠353と前扉枠354との間の間隔の拡張が抑制される。さらに、この場合、前扉側部材361の前側起立部364が本体側部材381の対向板部384の板面のほぼ全体に当接することとなるため、前扉枠354のどの部分が遊技機前方に引っ張られても、前扉枠354の浮き上がりが規制される。したがって、本体枠353と前扉枠354との間の領域の局所的な拡張が抑制される。
【0185】
以上詳述した第2の実施の形態によれば、以下の優れた効果を奏する。
【0186】
前扉側部材361を、前扉枠354の回動基端側の端部に上下方向に延びるようにして設けるとともに、本体側部材381を、本体枠353における前扉側部材361と対応する位置に上下方向に延びるようにして設けたため、本体枠353と前扉枠354との間からの不正道具の侵入を広範囲に渡って規制することができる。
【0187】
また、前扉側部材361と本体側部材381とが組み合わされた場合、前扉側部材361が本体側部材381の上下方向のほぼ全体に渡って凹溝の開放側から入り込む構成としたため、本体枠353及び前扉枠354の回動基端側の端部では、本体枠353と前扉枠354との間に通じる領域において、対向板部384、前側起立部364、後側起立部365などが複数の方向から突出した状態となっている。したがって、仮に本体枠353と前扉枠354との間から不正道具を差し入れようとしても、前扉側部材361及び本体側部材381を回避させたりそれら部材361,381の間を通過させたりすることが非常に困難なものとなっており、不正道具を差し入れることの困難性が高くなっている。
【0188】
さらに、前扉側部材361と本体側部材381とが組み合わされた場合、前側起立部364が対向板部384の背面側に接近しており、それら前側起立部364と対向板部384とが当接することで本体枠353に対する前扉枠354の遊技機前方への相対的な変位が広範囲に渡って規制される。したがって、仮に前扉枠354が遊技機前方に引っ張られても、前扉枠354の浮き上がりを広範囲に渡って規制することができる。また、前扉枠354のどの部分が引っ張られても前扉枠354の浮き上がりを規制し、前扉枠354の局所的な浮き上がりも規制することができる。故に、不正道具を本体枠353と前扉枠354との間から差し入れることの困難性の低下を抑制することができる。
【0189】
以上の結果、上記第1の実施の形態と同様に、本体枠353と前扉枠354との間を通じてパチンコ機350内部に不正道具を差し入れるなどして行われる不正行為を抑制することができる。故に、前扉側部材361及び本体側部材381の構成を上記第1の実施の形態と異なる構成としても、第1の実施の形態と同様の効果を得ることが可能となる。
【0190】
なお、上述した実施の形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。
【0191】
(a)上記第1の実施の形態では、前扉側部材171を横断面コ字状の部材とし、本体側部材181を板状の部材としたが、前扉側部材171を板状の部材とし、本体側部材181を横断面コ字状の部材としてもよい。要は、前扉側部材171と本体側部材181とが組み合わされることで、本体枠13と前扉枠14との間からの不正道具の侵入を規制するとともに、本体枠13に対する前扉枠14の遊技機前方への相対的な変位を規制する構成であればよい。
【0192】
(b)上記各実施の形態では、前扉側部材171,361を長尺状とすることで、前扉側部材171,361を前扉枠14,354に上下方向に延びるように設けたが、前扉側部材171,361を複数連ねることで、前扉側部材171,361を前扉枠14に上下方向に延びるように設けてもよい。ここで、本体側部材181,381は、本体枠13,353において前扉側部材171,361と対応するように設ける。この場合、本体枠13,353と前扉枠14,354との間の領域からの不正道具の侵入を広範囲に渡って断続的に規制することができる。但し、各前扉側部材171,361間に隙間が生じると、その隙間からの不正道具の侵入が容易なものとなるおそれがあるため、各前扉側部材171,361間に発生する隙間が小さくなるように構成するとよい。
【0193】
(c)上記各実施の形態では、前扉側部材171,361及び本体側部材181,381の長さを前扉枠14,354及び本体枠13の上下方向の長さと同じかそれより若干短くしたが、それらの長さをさらに短くしてもよい。但し、この場合、本体枠13,353と前扉枠14,354との間の領域において、前扉側部材171,361及び本体側部材181,381により不正道具の侵入が規制される範囲が狭くなったり、前扉側部材171,361と本体側部材181,381とが組み合わされる範囲が狭くなったりするため、不正道具の侵入に対する困難性が低下するおそれがあるが、上記(b)の構成を適用することで、前扉枠14,354及び本体枠13,353の長さを短くした場合でも、不正道具の侵入に対する困難性の低下を抑制することができる。
【0194】
(d)上記第1の実施の形態では、前扉側部材171の対向板部173と本体側部材181とをそれぞれの板面のほぼ全体にて当接可能な構成としたが、対向板部173と本体側部材181とがそれぞれ一部分にて当接する構成としてもよい。但し、この場合、例えば対向板部173と本体側部材181とが当接していない範囲にて前扉枠14が遊技機前方に引っ張られると、前扉枠14が遊技機前方に局所的に浮き上がるおそれがある。したがって、前扉側部材171の対向板部173と本体側部材181とがそれぞれの板面のほぼ全体にて当接可能な構成とすることが望ましい。
【0195】
(e)上記各実施の形態では、前扉側部材171,361を、前扉枠14,354の回動基端側の端部に沿って上下方向に延びるように設けたが、前扉枠14,354の上端部又は下端部に沿って左右方向に延びるように設けてもよい。ここで、本体側部材181,381は、本体枠13における前扉側部材171,361と対応する位置に設ける。この場合、パチンコ機10,350の上下方向における本体枠13,353と前扉枠14,354との間の領域からの不正道具の侵入を規制することができるが、前扉枠14,354の閉鎖動作に伴って前扉側部材171,361と本体側部材181,381とが組み合わされる構成が複雑なものとなるおそれがある。これは、前扉枠14,354(前扉側部材171,361)の移動方向が前後方向及び左右方向であるのに対して、前扉側部材171又は本体側部材381の凹溝の開放側が上下方向となるためである。
【0196】
(f)上記各実施の形態では、前扉側部材171,361を前扉枠14,354の回動基端側に設けたが、前扉枠14,354の回動先端側に設けてもよい。ここで、本体側部材181,381は、本体枠13,353における前扉側部材171,361と対応する位置に設ける。この場合、パチンコ機10,350の左右方向における本体枠13,353と前扉枠14,354との間の領域からの不正道具の侵入を規制することができる。但し、前扉枠14,354において、回動先端側の曲率半径は回動基端側の曲率半径に比べて大きくなる。したがって、前扉側部材171,361の遊技機前後方向への移動量に対する遊技機左右方向への移動量の割合が小さくなり、前扉側部材171の開放側への本体側部材181の入り込み量又は本体側部材381の開放側への前扉側部材361の入り込み量が小さくなる可能性がある。入り込み量が小さくなると、前扉側部材171と本体側部材181との組み合わせが解除されるおそれがある。そこで、前扉側部材171,361及び本体側部材181,381を回動先端側に設けた場合、本体側部材181又は前扉側部材361の入り込み量を十分に確保する構成とすることが望ましい。
【0197】
(g)上記第1の実施の形態では、本体枠13と前扉枠14との間に前扉側部材171及び本体側部材181が位置する構成としたが、本体枠13と前扉枠14との間よりも外側に前扉側部材171及び本体側部材181が位置する構成としてもよい。要は、前扉側部材171及び本体側部材181により、本体枠13と前扉枠14との間からの不正道具の侵入が規制されるとともに、本体枠13に対する前扉枠14の遊技機前方への相対的な変位が規制される構成であればよい。但し、本体枠13と前扉枠14との間に前扉側部材171及び本体側部材181が位置する構成とした方が、不正行為者は、本体枠13と前扉枠14との間という狭小な領域で不正道具を操作しなければならなくなるため、不正道具を本体枠13と前扉枠14との間から差し入れることの困難性を高めることができる。
【0198】
(h)上記第1の実施の形態では、前扉枠14の対向板部173に切欠173aを設けたが、切欠173aを設けなくてもよい。この場合、対向板部173の全体により本体枠13と前扉枠14との間の領域を遮ることができる。したがって、より確実に不正道具の侵入を阻止することができる。但し、本体枠13の凸部185を、前扉枠14の対向板部173に干渉しないように設ける必要がある。
【0199】
(i)上記第1の実施の形態では、張出部78を、本体枠13に前扉枠14の外周を包囲するようにして設けたが、前扉枠14に本体枠13の外周を包囲するようにして設けてもよい。また、張出部78を設けなくてもよい。但し、張出部78を設けない場合は、遊技領域に不正道具を差し入れることの困難性が低下したり、前扉枠14に左右方向への外力が加えられることで前扉側部材171と本体側部材181との組み合わせが解除されたりするおそれがある。この場合、前扉側部材171及び本体側部材181を、遊技機前後方向のみならず、遊技機左右方向又は上下方向への相対的な変位を規制する構成とするとよい。
【0200】
(j)上記各実施の形態では、本体枠13,353に対して前扉枠14,354が回動基端側の上端部及び下端部にて支持される構成としたが、本体枠13,353に対して前扉枠14,354が回動可能となる構成であればよい。例えば、本体枠13,353に対して前扉枠14,354が上端部及び下端部よりも中央寄りにて支持される構成とする。この場合、前扉枠14,354の支持間隔が短くなるため、仮に前扉枠14,354が遊技機前方に引っ張られても前扉枠14,354がより浮き上がりにくくなるが、前扉枠14,354ががたつくおそれがある。したがって、上記実施の形態のように、前扉側部材171,361及び本体側部材181,381を前扉枠14,354及び本体枠13,353に設けた構成であれば、前扉枠14,354の支持間隔を長くしても、不正道具の侵入を抑制しつつ前扉枠14,354のがたつきを抑制することができる。
【0201】
(k)遊技機本体の前面側に開閉可能に取り付けられた前面扉を有する遊技機であれば、上記実施の形態とは異なる他のタイプの遊技機、例えば他の役物を備えたパチンコ機、アレンジボール機、雀球等の遊技機、スロットマシン等の回胴式遊技機や、メダルに代えて遊技球(パチンコ球)を使用する球使用タイプの回胴式遊技機にも適用できる。
【0202】
球使用タイプの回胴式遊技機では、外周に複数の図柄が付されたリール装置(回胴装置)、遊技者により操作されるベットスイッチやスタートレバー等の装置類、遊技球の取込を許可又は禁止すると共に順次取り込まれる遊技球をカウントするための取込装置などが設けられる。この場合、球受皿に貯留された遊技球は、整列通路部及び取込口を介して取込装置に導かれる。そして、遊技者によるベットスイッチの操作に伴い取込装置で遊技球の取込が行われ、その取り込まれた遊技球数に応じて毎回の遊技の開始(スタートレバー操作に伴うリール回転)が許容される。
【図面の簡単な説明】
【0203】
【図1】一実施の形態におけるパチンコ機を示す正面図である。
【図2】パチンコ機の主要な構成を展開して示す斜視図である。
【図3】パチンコ機の主要な構成を展開して示す斜視図である。
【図4】パチンコ機の構成を示す背面図である。
【図5】前扉枠の背面構成を示す斜視図である。
【図6】本体枠の前面構成を示す斜視図である。
【図7】遊技盤の構成を示す正面図である。
【図8】本体枠の構成を示す背面図である。
【図9】遊技盤の背面構成を示す斜視図である。
【図10】遊技盤から主制御装置ユニットを取り外した状態を示す背面図である。
【図11】主制御装置ユニットの構成を示す斜視図である。
【図12】裏パックユニットの構成を示す正面図である。
【図13】裏パックユニットの分解斜視図である。
【図14】前扉側部材及び本体側部材の周辺におけるパチンコ機の略図である。
【図15】前扉側部材及び本体側部材の周辺を上方から見た略図である。
【図16】パチンコ機の電気的構成を示すブロック図である。
【図17】別のパチンコ機の主要な構成を展開して示す斜視図である。
【図18】別の前扉枠の背面構成を示す斜視図である。
【図19】別の本体枠の前面構成を示す斜視図である。
【図20】別の前扉枠の背面構成を示す分解斜視図である。
【図21】別の本体枠の前面構成を示す分解斜視図である。
【図22】別の前扉側部材及び本体側部材の周辺を上方から見た略図である。
【符号の説明】
【0204】
10…遊技機としてのパチンコ機、13…遊技機本体としての本体枠、14…前面扉としての前扉枠、61,62…突起軸、72,73…支持金具、81…遊技領域としての遊技盤、82…入球部を構成する一般入賞口、83…入球部を構成する可変入賞装置、84…入球部を構成する作動口、171…第1部材としての前扉側部材、173…対向部としての対向板部、174…連結部としての連結板部、181…第2部材としての本体側部材、350…パチンコ機、353…本体枠、354…前扉枠、361…前扉側部材、364…前側起立部、381…本体側部材、384…対向板部、385…連結板部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
各種遊技部品が設けられた遊技機本体と、
前記遊技機本体の前面側に開閉可能に取り付けられた前面扉と
を備え、
前記遊技機本体と前記前面扉との間に遊技機内部が形成され、当該遊技機内部に前記各種遊技部品の少なくとも一部が収容された遊技機において、
前記遊技機本体と前記前面扉との間からの異物の侵入を前記遊技機内部に至る手前位置で規制するとともに、前記遊技機本体に対する前記前面扉の遊技機前方への相対的な変位を規制する規制機構を設けたことを特徴とする遊技機。
【請求項1】
各種遊技部品が設けられた遊技機本体と、
前記遊技機本体の前面側に開閉可能に取り付けられた前面扉と
を備え、
前記遊技機本体と前記前面扉との間に遊技機内部が形成され、当該遊技機内部に前記各種遊技部品の少なくとも一部が収容された遊技機において、
前記遊技機本体と前記前面扉との間からの異物の侵入を前記遊技機内部に至る手前位置で規制するとともに、前記遊技機本体に対する前記前面扉の遊技機前方への相対的な変位を規制する規制機構を設けたことを特徴とする遊技機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公開番号】特開2008−136836(P2008−136836A)
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−66443(P2007−66443)
【出願日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【出願人】(000144522)株式会社三洋物産 (4,662)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【出願人】(000144522)株式会社三洋物産 (4,662)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]