遊技機
【課題】扁平化が容易である可変入賞装置を備える遊技機を提供すること。
【解決手段】遊技機は、取付穴17が設けられた遊技盤3と、可変入賞装置とを備える。可変入賞装置は、遊技盤3の取付穴17に通された状態で遊技盤に取り付けられ、遊技球Pの受入口23及びその排出口を有する。排出口は、可変入賞装置が遊技盤3に取り付けられたとき、取付穴17内に位置するように設けられている。
【解決手段】遊技機は、取付穴17が設けられた遊技盤3と、可変入賞装置とを備える。可変入賞装置は、遊技盤3の取付穴17に通された状態で遊技盤に取り付けられ、遊技球Pの受入口23及びその排出口を有する。排出口は、可変入賞装置が遊技盤3に取り付けられたとき、取付穴17内に位置するように設けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
遊技機に適用される可変入賞装置は、その内部に遊技球を受け入れるための受入口と、受け入れられた遊技球(入賞球)をその外部に排出するための排出口とを備える。また、前記可変入賞装置はその受入口を開閉する板状のゲートを備え、前記ゲートの開閉により前記受入口からの遊技球の受入が許容され、又は拒絶される。さらに、前記可変入賞装置は、その内部に受け入れられた遊技球をその受入口からその排出口へ導くための傾斜面を備える(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005−329043号公報(段落番号0009〜0011、図3及び4参照)
【0003】
ここで、図15に示す従来の他の遊技機201を参照すると、遊技機201は、遊技盤203と、遊技盤203の前面に設けられ湾曲して伸びるレール205とを備え、レール205に取り囲まれた遊技領域のほぼ中央部に図柄を表示するための液晶表示器のような可変表示装置207が配置され、その下方に可変入賞装置209が配置されている。
【0004】
図16及び図17に示すように、可変入賞装置209は、前記したような遊技球211の受入口213とその排出口215とを備え、また受入口213を開閉するためのゲート217を備える。受入口213のゲート217は、遊技盤203の前記遊技領域に設けられた入賞口への遊技球211の飛入を契機として、又、可変表示装置207の図柄の組み合わせに応じて開けられ、所定時間の経過又は所定数の遊技球211が受入口213に受け入れられることを条件として閉じられる。遊技球211は遊技機201の下端部から発射され、レール205の案内作用を受けて前記遊技領域に至り、該遊技領域を落下する。落下の間、遊技球211は前記入賞口又は可変入賞装置209内にその受入口213から受け入れられ、あるいは受け入れられることなく、最下端部に設けられたアウト口219に至る。
【0005】
遊技球211が可変入賞装置209内に受け入れられるとき、前記遊技領域を落下する遊技球211は、開いた状態のゲート217の後面が規定する傾斜面221上に受け止められ、この上を受入口213に向けて転がり落ちる。次いで、遊技球211は、可変入賞装置209の内部すなわち受入口213の内方に設けられた第1の傾斜面223上及び第2の傾斜面225上を順次に転がり落ちた後、排出口215に至り、これを経て可変入賞装置209の外部に落下する(図16及び図17に示す矢印参照)。
【0006】
図17に示すように、可変入賞装置209は、遊技盤203に設けられた取付穴227に通された状態で遊技盤203に取り付けられ、その取付状態で見て、その排出口215が遊技盤203の後方に位置する。第2の傾斜面225は、ゲート217上からその後方に位置する排出口215までの遊技球211の移動のため、これらの間の橋渡しとして、設けられている。
【0007】
ところで、再び図15を参照すると、今日の遊技機201においては、可変表示装置207の画面がより大きい画面を有する表示装置228へと拡大される傾向にある。画面の拡大により、大きい表示装置228の下縁229は、これまでの小さい可変表示装置207の下縁231より下方のレベルに位置し、これに伴い、可変入賞装置209が配置されるスペースがD1からこれより小さいD2へと低減する。その結果、可変入賞装置209についてその扁平化、より詳細には可変入賞装置209の上下方向寸法の低減が求められるようになってきた。
【0008】
前記従来の可変入賞装置209にあっては、第2の傾斜面225を設ける必要があり、そのためには第2の傾斜面225の配置空間を確保する必要があり、この空間確保の必要性から、その扁平化を図るのに限界があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、扁平化が容易である可変入賞装置を備える遊技機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(請求項1に記載の発明)
請求項1に記載の発明は、遊技機に係り、取付穴が設けられた遊技盤と、前記遊技盤の前記取付穴に通された状態で前記遊技盤に取り付けられた、遊技球の受入口及び排出口を有する可変入賞装置であって前記排出口が前記取付穴内に位置するように設けられている可変入賞装置とを備えることを特徴とする。
【0011】
請求項1に記載の発明によれば、遊技球の受入口及びその下方に位置する排出口を有する可変入賞装置の前記排出口が、前記可変入賞装置が遊技盤に取り付けられた状態で見て、前記取付穴内に位置するように設けられていることから、前記受入口を経て前記可変入賞装置内に受け入れられた遊技球の前記排出口への移動は、前記遊技盤をその厚さ方向に横切ることなく、前記遊技盤の取付穴内すなわちその厚さ内で行われる。このため、前記遊技盤をその厚さ方向へ移動させるために必要とされた傾斜面を設ける必要がなく、その分、前記可変入賞装置の扁平化が可能である。
【0012】
また、請求項1に記載の発明によれば、前記傾斜面が存しないため、前記受入口から前記排出口までの前記遊技球の移動経路を短くすることができる。このため、この間に一列に並び得る遊技球の数量を少なくすることができ、これにより、予め定められた数量を超えて前記可変入賞装置内に余分に入る遊技球の数量を少なくすることができる。さらに、前記遊技球の移動経路の短縮により簡素化されため、前記移動経路中における球詰まりの発生機会を少なくすることができる。さらに、部品の数量が減少することから、前記可変入賞装置の構造をより簡素にすることができる。
【0013】
(請求項2に記載の発明)
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明の構成を備えた上で、前記排出口にこれを通過する遊技球を検知するためのセンサが取り付けられていることを特徴とする。
【0014】
請求項2に記載の発明によれば、前記排出口の前記遊技球の通過の有無をセンサによって検出することができる。
【0015】
(請求項3に記載の発明)
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明の構成を備えた上で、前記遊技盤は、前記可変入賞装置が前記遊技盤に取り付けられたとき、前記排出口の下方に連なるアウト口を有し、また前記遊技盤は、前記排出口を経て前記アウト口に落下する遊技球の衝突を受け、該遊技球の進路の変更をもたらす突起を有することを特徴とする。
【0016】
請求項3に記載の発明によれば、前記排出口を経て前記アウト口に落下する遊技球は、前記遊技盤上を落下してそのアウト口を通過する他の遊技球に衝突する可能性があるところ、前記排出口を経て前記アウト口に落下する遊技球は、落下の途中、前記遊技盤に設けられた突起に衝突し、その進路の変更を受けることから、これが前記他の遊技球に当たったとき、その落下経路を逆方向に跳ね返ることが防止され、これにより前記センサの誤作動を回避することができる。
【0017】
(請求項4に記載の発明)
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の発明の構成を備えた上で、前記排出口はほぼ円形の平面形状を有し、また前記突起は前記遊技球に対する衝突領域を有し、該衝突領域は、前記排出口の周壁面の延長からその半径方向内方に前記排出口の直径と前記遊技球の直径との差より大きい距離に位置し、かつ、前記排出口からその軸線方向下方に前記遊技球の半径より大きい距離に位置することを特徴とする。
【0018】
請求項4に記載の発明によれば、前記突起が有する前記遊技球に対する衝突領域について、前記排出口の周壁面の延長からその半径方向内方に前記排出口の直径と前記遊技球の直径との差より大きい距離にあることとしたから、前記排出口を出た前記遊技球は前記突起に必ず衝突し、また前記排出口からその軸線方向下方に前記遊技球の半径より大きい距離にあることとしたことから、前記排出口を出た遊技球が前記排出口と前記突起とに挟まれ、ここに停滞することを防止することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、従来に比べて、より扁平な可変入賞装置を含む遊技機を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
図1及び図2を参照すると、本発明に係る遊技機の代表的な例であるパチンコ機1が、その一部をなす外枠、ガラス枠、釘等の図示を省略した態様で示されている。
【0021】
パチンコ機1は、全体に矩形状を呈する遊技盤3と、遊技盤3に取り付けられた可変入賞装置5とを備える。
【0022】
遊技盤3にはその前面に弧状を呈する2つのレール7が取り付けられ、両レール7によってほぼ円形の遊技領域9が形成されている。遊技領域9のほぼ中央部には液晶表示器からなる可変表示装置11が配置されている。可変表示装置11は、例えば液晶表示装置、7セグメントLED、ドットマトリクス表示装置、モータの回転により可変表示するドラム等であり、複数の数字や図柄等からなる演出図柄を変動表示する。可変表示装置11の下方には可変表示装置11を始動させるパチンコ球(遊技球)を受け入れる、いわゆる電動チューリップを有する始動入賞口13が配置されている。可変入賞装置5は始動入賞口13の直下に配置されている。遊技領域9の最下方には、入賞口等のいずれにも入賞しなかった遊技球を回収するためのアウト口15が設けられている。
【0023】
可変表示装置11は、始動入賞口13へのパチンコ球の受入を契機として、文字、図形、記号等の種々の図柄を表示するように作動し、可変入賞装置5は、可変表示装置11の図柄が例えば所定の組み合わせに一致するとき、これを契機として、多数のパチンコ球を受け入れるように作動する。
【0024】
可変入賞装置5は、図3〜図8に示すように、その本体をなす裏箱19と、該裏箱の前面に固定されたベース(台板)21とを備える。
【0025】
図2に示すように、裏箱19はその一部が遊技盤3の取付穴17を貫通し、残りの一部が取付穴17から遊技盤3の後面の側すなわち裏側に位置し、遊技盤3の前面に接するベース21を介して、遊技盤3に取り付けられる。これにより、可変入賞装置5は、遊技盤3の取付穴17に通された状態で遊技盤3に取り付けられる。
【0026】
図5に示すように、裏箱19はパチンコ球(遊技球)P(図3)を受け入れるための受入口23を規定する開放前面を有する。他方、ベースは矩形状の開口25を有する。ベース21は、裏箱19に対して、その開口25が裏箱19の前記開放前面に相対するように配置され、取り付けられている。このため、開口25が、実質的に、パチンコ球Pの受入口23を規定している。
【0027】
裏箱19は、パチンコ球Pを受け入れ可能である受入空間27を有する。裏箱19の受入口23を経てその受入空間27内に受け入れられたパチンコ球Pは、排出口29(図7)を通して受入空間27の外部に排出される。排出口29は、裏箱19の底壁31(図3)に設けられている。実際には、排出口29は、底壁31上に配置されたセンサ(入賞検出スイッチ)33に設けられたほぼ円形の穴35(図3)により規定されている。穴35は、底壁31の上面及び下面に開放している。
【0028】
排出口29すなわちセンサ33の穴35は、裏箱19が遊技盤3に取り付けられたとき、
遊技盤3の取付穴17内、すなわち遊技盤3の板厚内に位置するように設けられている(図11参照)。
【0029】
従来の可変入賞装置では、これが遊技盤3に取り付けられた状態で見て、パチンコ球の排出口が取付穴17の外側すなわち遊技盤3の後ろ側に位置する。このため、パチンコ球は、遊技盤3を厚さ方向に横切ってその受入口からその排出口へ移動されなければならず、この移動のために傾斜した案内面を必要とした。本発明に掛かる実施の態様にあっては、受入口23すなわちベース21の開口25を経て裏箱19の受入空間27内に受け入れられた遊技球Pの穴35への移動は、遊技盤3の取付穴17内において行われる。このことから、従来における案内傾斜面を必要とせず、前記案内傾斜面の設置を省略することができるため、裏箱19(したがって可変入賞装置5)の上下方向に関する長さ寸法である厚さ寸法を小さいものとすることができる。
【0030】
裏箱19には、その底壁31上に、遊技盤3の取付穴17内におけるベース21の開口25(受入口23)からセンサ33の穴35(排出口29)へのパチンコ球Pの案内のための傾斜面37が設けられている。傾斜面37は、センサ33の穴35に向けてパチンコ球が一列に流下できるように下方に傾斜しており、傾斜面37の下端と底壁31との間には段差が存する。段差は、開放状態にあるゲート39から飛入したパチンコ球と、傾斜面37上のパチンコ球とがセンサの穴35に流下するとき、それらの球の間で球噛みを起こすことを防止するために設けられている。本例では、ゲート39から飛入した球が優先されるように、傾斜面37の下流端部よりゲート39の下流端部の方が低くなるように設けられている。もちろん、傾斜面37の下流端部の方が低くなるようにしてもよく、要は球噛みを防ぐように構成すればよい。なお、傾斜面37についても取付穴17内、すなわち遊技盤3の板厚内に位置するように設けられている。すなわち、裏箱19における受入空間27全体が、遊技盤3の板厚内に設けられている。
【0031】
可変入賞装置5は、さらに、ベース21の開口25を開閉するための板状のゲート39を有する。
【0032】
ゲート39は一対の枢軸41(図5、図7)を介して該枢軸の周りに回転可能にベース21に支承されており、ベース21の開口25内と、開口25外との間で枢動可能である。ゲート39が開口25内に位置する状態(図6及び図12に示す状態)にあるとき、開口25は閉じられ、該開口を通しての裏箱19の受入空間27へのパチンコ球Pの飛入が禁止される。
【0033】
他方、ゲート39が開口25外へ枢動され、開かれた状態(図3及び図11に示す状態)にあるとき、開口25は開放される。図11に示すように、ゲート39が開かれた状態にあるとき、ゲート39はその内側の面(後面)上に、遊技盤3上を落下するパチンコ球Pを受け止めることができ、また受け止めたパチンコ球Pを裏箱19の受入空間27に案内する傾斜面43を規定する。ゲート39の傾斜面43には、傾斜面43上を裏箱19の受入口23に向けて転動するパチンコ球Pを受入空間27の傾斜面37上に導く2つの突起45が設けられている。なお、センサ33の穴35側に設けられている突起45は、運動変換機構のレバー57及び爪59を防護すると共に、その部分での球の停留を防止するためにも、必要なものとなる。
【0034】
可変入賞装置5には、ゲート39を枢動させるための手段として、ソレノイド47と、該ソレノイドの直線的往復運動をゲート39の枢動運動に変換するための運動変換機構とが設けられている。
【0035】
ソレノイド47は、板金49を介して裏箱19に支持されている(図3及び図7参照)。ソレノイド47は、本体51とロッド部53とを備え、ロッド部53の周囲にはこれを取り巻く圧縮可能のコイルばね55が配置されている。
【0036】
他方、前記運動変換機構は、ソレノイド47のロッド部53に枢着された板状のレバー57と、ゲート39に設けられた板状の爪59とからなる(図5及び図7参照)。図7〜図10に示すように、レバー57は、互いに間隔をおいて配置された上下一対の先端部61,63を有し、軸押さえ65を介して、裏箱19に支持されている。レバー57は、ソレノイドのロッド部53の下方位置において、ピン67を介して、該ピンの周りに揺動可能であるように軸押え65に支承されている。レバー57の先端部61,63は、それぞれ、レバー57がピン67の周りに揺動されるとき、ゲート39の爪59に引掛かり可能である。
【0037】
図9に示すように、ソレノイド47を作動させると、コイルばね55からその伸張傾向のばね力を受けているロッド部53が伸張動作する。これに伴い、レバー57が図上においてピン67の周りに反時計方向に回転する。これにより、レバー57の上方の先端部61がゲート39の爪59に上方から下方に向けて引掛かる。その結果、ゲート39がその枢軸41の周りに時計方向に揺動する。揺動により、ゲート39がベース21の開口25内に収まるとき、爪59がベース21の後面に当接する。これにより、ゲート39の揺動が停止される。
【0038】
反対に、図10に示すように、ソレノイド47を反対方向に作動させてロッド部53を収縮動作させ、かつコイルばね55を膨張状態から圧縮状態に変化させると、レバー57がピン67の周りに時計方向に回転する。これにより、レバー57の下方の先端部63がゲート39の爪59に下方から上方に向けて引掛かる。その結果、ゲート39がその枢軸41の周りに反時計方向に揺動する。揺動により、ゲート39がベース21の開口25外に開くとき、ベース21に爪59と相対する反対の側に設けられたストッパ69が裏箱19の一部71(図7参照)に当接する。これにより、ゲート39の揺動が停止され、ゲート39は所定の角度に開いた状態に維持される。
【0039】
図3に示すように、可変入賞装置5の裏箱19の後部には、始動入賞口13(図1参照)に入って、これから落下するパチンコ球の通過を許し、これを検知するための、前記したセンサ33と同様のセンサ73が取り付けられている。
【0040】
さらに、裏箱19の後方に、裏箱19の受入空間27をその装飾のために照らす複数(図示の例では3つ)の発光ダイオード(LED)75が配置されている(図7、図8及び図11参照)。発光ダイオード75は電飾基板77に支持され、横一列に並んでいる。ソレノイド47を裏箱19に支持する板金49には、発光ダイオード75が発した光を通すための3つの穴79が3つの発光ダイオード75に対応して設けられている。
【0041】
図7において、符号81は、発光ダイオード75が発した光を拡散させるための拡散レンズを示す。拡散レンズ81は、裏箱19の後面に固定されている。電飾基板77は、箱状の基板ケース83内に収容され、基板ケース83は裏箱19の後部に固定されている。発光ダイオード75から出た光は、板金49の穴79を通過した後、拡散レンズ81を経て拡散され、裏箱19を照らす。裏箱19は、これを照らす発光ダイオード75の光を通すように、透明なプラスチック材料で形成されている。なお、符号84は、中継基板を示す。
【0042】
図11に示すように、ゲート39上に受け止められたパチンコ球Pは、ゲート39の傾斜面43上を両突起45間においてベース21の開口25に向けて転動する。転動の間にパチンコ球Pはベース21の開口25を通過し、裏箱19の受入空間27に入る。次いで、パチンコ球Pは、傾斜面43から受入空間27内の傾斜面37上に落下する。傾斜面37上に落下したパチンコ球Pは、傾斜面37上をその下端に向けて転動した後、傾斜面37の下端からセンサ33の穴35に落下する。パチンコ球Pはセンサ33の穴35を通過するとき、センサ33により検知される。この検知により、可変入賞装置1に受け入れられた、すなわち入賞したパチンコ球の数が別途計数される。その後、パチンコ球Pは取付穴17内すなわち遊技盤3の板厚内をアウト口15に向けて落下する。
【0043】
ところで、パチンコ球Pがアウト口15に落下したとき、アウト口15を遊技盤3の板厚方向へ横断して移動する他のパチンコ球、すなわちいずれの入賞口にも入賞せずにアウト口15に流下してきた他のパチンコ球に衝突し、衝突によりセンサ33の近傍にまで跳ね返ることがあり、このとき、センサ33が、跳ね返ったパチンコ球Pを、センサ33の穴35を通過したパチンコ球であると誤って検知することがある。
【0044】
このセンサ33の誤作動である誤検知を防止するため、遊技盤3に突起85(図12〜図14)が設けられている。突起85は、センサ33の穴35を経て落下するパチンコ球Pの衝突を受けて、パチンコ球Pの進路の変更をもたらす。
【0045】
図13に示すように、突起85はセンサ33の穴35の下方にパチンコ球Pに対する衝突部位(衝突領域)86を有する。より詳細には、衝突部位(衝突領域)86は、センサの穴35の直径をDとしかつパチンコ球Pの直径をdとしたとき(D>d)、次の2つの条件を満足する位置にある。第1の条件は、衝突部位86の位置が、穴35の周壁面の延長から穴35の半径方向内方へ距離(D−d)より大きい距離Gにあることである。この条件が満たされると、パチンコ球Pの落下経路内に突起85の衝突部位86が突出することとなるため、パチンコ球Pは落下するとき衝突部位86に必ず衝突する。また、第2の条件は、衝突部位86の位置が、穴35からその軸線方向下方に距離d/2(パチンコ球Pの半径)より大きい距離Lにあることである。この条件が満たされると、突起85の衝突部位86が穴35の下方にパチンコ球Pの半径の大きさを超えて位置することとなるため、パチンコ球Pが突起85の衝突部位86に衝突したとき、パチンコ球Pは衝突部位86とセンサ33との間に挟まってここに留まることが防止される。
【0046】
センサ33の穴35を経て真直ぐに落下するパチンコ球Pが突起85の衝突部位86に衝突すると、その落下方向が矢印87の方向に変化する。その結果、パチンコ球Pがアウト口15において他のパチンコ球に当たったとき、パチンコ球Pはセンサ33の穴35以外の方向に跳ね返る。これにより、パチンコ球Pがセンサ33に近接することによって生じるセンサ33の誤検知が防止される。
【0047】
なお、突起85は、可変入賞装置5のための取付穴17の輪郭の一部を規定する。また、図12において、符号88は、可変表示装置11(図1)を遊技盤3に取り付ける際に可変表示装置11を通すための遊技盤3に設けられた取付穴を示し、符号89は、始動入賞口13を含む装置(図1)を遊技盤3に取り付ける際にこれを通すための遊技盤3に設けられた取付穴を示す。図示の例では、この取付穴89と取付穴17とは相互に連通している。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明に係るパチンコ機(遊技機)の一部を省略した正面図である。
【図2】図1の線A−Aに沿って得た縦断面図である。
【図3】ゲートが開いた状態の可変入賞装置の前方から見た斜視図である。
【図4】図3に示す可変入賞装置の後方から見た斜視図である。
【図5】図3に示す可変入賞装置をその裏箱からベースを取り外した状態で見た、図3に示すと同様の斜視図である。
【図6】ゲートが閉じた状態の可変入賞装置の前方から見た斜視図である。
【図7】可変入賞装置の前方から見た分解斜視図である。
【図8】可変入賞装置の後方から見た分解斜視図である。
【図9】ゲートを開閉するためのソレノイド及び運動変換機構を示す、ゲートが閉じた状態にあるときの側面図である。
【図10】ゲートを開閉するためのソレノイド及び運動変換機構を示す、ゲートが開いた状態にあるときの側面図である。
【図11】図3の線B−Bに沿って得た縦断面図である。
【図12】可変入賞装置が取り付けられた遊技盤の正面図である。
【図13】図12に示す可変入賞装置の拡大図である。
【図14】図12に示す遊技盤の底面図である。
【図15】従来のパチンコ機を示す正面図である。
【図16】従来の可変入賞装置の前方から見た斜視図である。
【図17】図16に示す可変入賞装置の縦断面図である。
【符号の説明】
【0049】
1 パチンコ機(遊技機)
3 遊技盤
5 可変入賞装置
7 レール
9 遊技領域
11 可変表示装置
13 始動入賞口
15 アウト口
17 取付穴
23 受入口
29 排出口
33 センサ
35 センサに設けられた穴
37 傾斜面
39 ゲート
P パチンコ球(遊技球)
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
遊技機に適用される可変入賞装置は、その内部に遊技球を受け入れるための受入口と、受け入れられた遊技球(入賞球)をその外部に排出するための排出口とを備える。また、前記可変入賞装置はその受入口を開閉する板状のゲートを備え、前記ゲートの開閉により前記受入口からの遊技球の受入が許容され、又は拒絶される。さらに、前記可変入賞装置は、その内部に受け入れられた遊技球をその受入口からその排出口へ導くための傾斜面を備える(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005−329043号公報(段落番号0009〜0011、図3及び4参照)
【0003】
ここで、図15に示す従来の他の遊技機201を参照すると、遊技機201は、遊技盤203と、遊技盤203の前面に設けられ湾曲して伸びるレール205とを備え、レール205に取り囲まれた遊技領域のほぼ中央部に図柄を表示するための液晶表示器のような可変表示装置207が配置され、その下方に可変入賞装置209が配置されている。
【0004】
図16及び図17に示すように、可変入賞装置209は、前記したような遊技球211の受入口213とその排出口215とを備え、また受入口213を開閉するためのゲート217を備える。受入口213のゲート217は、遊技盤203の前記遊技領域に設けられた入賞口への遊技球211の飛入を契機として、又、可変表示装置207の図柄の組み合わせに応じて開けられ、所定時間の経過又は所定数の遊技球211が受入口213に受け入れられることを条件として閉じられる。遊技球211は遊技機201の下端部から発射され、レール205の案内作用を受けて前記遊技領域に至り、該遊技領域を落下する。落下の間、遊技球211は前記入賞口又は可変入賞装置209内にその受入口213から受け入れられ、あるいは受け入れられることなく、最下端部に設けられたアウト口219に至る。
【0005】
遊技球211が可変入賞装置209内に受け入れられるとき、前記遊技領域を落下する遊技球211は、開いた状態のゲート217の後面が規定する傾斜面221上に受け止められ、この上を受入口213に向けて転がり落ちる。次いで、遊技球211は、可変入賞装置209の内部すなわち受入口213の内方に設けられた第1の傾斜面223上及び第2の傾斜面225上を順次に転がり落ちた後、排出口215に至り、これを経て可変入賞装置209の外部に落下する(図16及び図17に示す矢印参照)。
【0006】
図17に示すように、可変入賞装置209は、遊技盤203に設けられた取付穴227に通された状態で遊技盤203に取り付けられ、その取付状態で見て、その排出口215が遊技盤203の後方に位置する。第2の傾斜面225は、ゲート217上からその後方に位置する排出口215までの遊技球211の移動のため、これらの間の橋渡しとして、設けられている。
【0007】
ところで、再び図15を参照すると、今日の遊技機201においては、可変表示装置207の画面がより大きい画面を有する表示装置228へと拡大される傾向にある。画面の拡大により、大きい表示装置228の下縁229は、これまでの小さい可変表示装置207の下縁231より下方のレベルに位置し、これに伴い、可変入賞装置209が配置されるスペースがD1からこれより小さいD2へと低減する。その結果、可変入賞装置209についてその扁平化、より詳細には可変入賞装置209の上下方向寸法の低減が求められるようになってきた。
【0008】
前記従来の可変入賞装置209にあっては、第2の傾斜面225を設ける必要があり、そのためには第2の傾斜面225の配置空間を確保する必要があり、この空間確保の必要性から、その扁平化を図るのに限界があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、扁平化が容易である可変入賞装置を備える遊技機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(請求項1に記載の発明)
請求項1に記載の発明は、遊技機に係り、取付穴が設けられた遊技盤と、前記遊技盤の前記取付穴に通された状態で前記遊技盤に取り付けられた、遊技球の受入口及び排出口を有する可変入賞装置であって前記排出口が前記取付穴内に位置するように設けられている可変入賞装置とを備えることを特徴とする。
【0011】
請求項1に記載の発明によれば、遊技球の受入口及びその下方に位置する排出口を有する可変入賞装置の前記排出口が、前記可変入賞装置が遊技盤に取り付けられた状態で見て、前記取付穴内に位置するように設けられていることから、前記受入口を経て前記可変入賞装置内に受け入れられた遊技球の前記排出口への移動は、前記遊技盤をその厚さ方向に横切ることなく、前記遊技盤の取付穴内すなわちその厚さ内で行われる。このため、前記遊技盤をその厚さ方向へ移動させるために必要とされた傾斜面を設ける必要がなく、その分、前記可変入賞装置の扁平化が可能である。
【0012】
また、請求項1に記載の発明によれば、前記傾斜面が存しないため、前記受入口から前記排出口までの前記遊技球の移動経路を短くすることができる。このため、この間に一列に並び得る遊技球の数量を少なくすることができ、これにより、予め定められた数量を超えて前記可変入賞装置内に余分に入る遊技球の数量を少なくすることができる。さらに、前記遊技球の移動経路の短縮により簡素化されため、前記移動経路中における球詰まりの発生機会を少なくすることができる。さらに、部品の数量が減少することから、前記可変入賞装置の構造をより簡素にすることができる。
【0013】
(請求項2に記載の発明)
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明の構成を備えた上で、前記排出口にこれを通過する遊技球を検知するためのセンサが取り付けられていることを特徴とする。
【0014】
請求項2に記載の発明によれば、前記排出口の前記遊技球の通過の有無をセンサによって検出することができる。
【0015】
(請求項3に記載の発明)
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明の構成を備えた上で、前記遊技盤は、前記可変入賞装置が前記遊技盤に取り付けられたとき、前記排出口の下方に連なるアウト口を有し、また前記遊技盤は、前記排出口を経て前記アウト口に落下する遊技球の衝突を受け、該遊技球の進路の変更をもたらす突起を有することを特徴とする。
【0016】
請求項3に記載の発明によれば、前記排出口を経て前記アウト口に落下する遊技球は、前記遊技盤上を落下してそのアウト口を通過する他の遊技球に衝突する可能性があるところ、前記排出口を経て前記アウト口に落下する遊技球は、落下の途中、前記遊技盤に設けられた突起に衝突し、その進路の変更を受けることから、これが前記他の遊技球に当たったとき、その落下経路を逆方向に跳ね返ることが防止され、これにより前記センサの誤作動を回避することができる。
【0017】
(請求項4に記載の発明)
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の発明の構成を備えた上で、前記排出口はほぼ円形の平面形状を有し、また前記突起は前記遊技球に対する衝突領域を有し、該衝突領域は、前記排出口の周壁面の延長からその半径方向内方に前記排出口の直径と前記遊技球の直径との差より大きい距離に位置し、かつ、前記排出口からその軸線方向下方に前記遊技球の半径より大きい距離に位置することを特徴とする。
【0018】
請求項4に記載の発明によれば、前記突起が有する前記遊技球に対する衝突領域について、前記排出口の周壁面の延長からその半径方向内方に前記排出口の直径と前記遊技球の直径との差より大きい距離にあることとしたから、前記排出口を出た前記遊技球は前記突起に必ず衝突し、また前記排出口からその軸線方向下方に前記遊技球の半径より大きい距離にあることとしたことから、前記排出口を出た遊技球が前記排出口と前記突起とに挟まれ、ここに停滞することを防止することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、従来に比べて、より扁平な可変入賞装置を含む遊技機を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
図1及び図2を参照すると、本発明に係る遊技機の代表的な例であるパチンコ機1が、その一部をなす外枠、ガラス枠、釘等の図示を省略した態様で示されている。
【0021】
パチンコ機1は、全体に矩形状を呈する遊技盤3と、遊技盤3に取り付けられた可変入賞装置5とを備える。
【0022】
遊技盤3にはその前面に弧状を呈する2つのレール7が取り付けられ、両レール7によってほぼ円形の遊技領域9が形成されている。遊技領域9のほぼ中央部には液晶表示器からなる可変表示装置11が配置されている。可変表示装置11は、例えば液晶表示装置、7セグメントLED、ドットマトリクス表示装置、モータの回転により可変表示するドラム等であり、複数の数字や図柄等からなる演出図柄を変動表示する。可変表示装置11の下方には可変表示装置11を始動させるパチンコ球(遊技球)を受け入れる、いわゆる電動チューリップを有する始動入賞口13が配置されている。可変入賞装置5は始動入賞口13の直下に配置されている。遊技領域9の最下方には、入賞口等のいずれにも入賞しなかった遊技球を回収するためのアウト口15が設けられている。
【0023】
可変表示装置11は、始動入賞口13へのパチンコ球の受入を契機として、文字、図形、記号等の種々の図柄を表示するように作動し、可変入賞装置5は、可変表示装置11の図柄が例えば所定の組み合わせに一致するとき、これを契機として、多数のパチンコ球を受け入れるように作動する。
【0024】
可変入賞装置5は、図3〜図8に示すように、その本体をなす裏箱19と、該裏箱の前面に固定されたベース(台板)21とを備える。
【0025】
図2に示すように、裏箱19はその一部が遊技盤3の取付穴17を貫通し、残りの一部が取付穴17から遊技盤3の後面の側すなわち裏側に位置し、遊技盤3の前面に接するベース21を介して、遊技盤3に取り付けられる。これにより、可変入賞装置5は、遊技盤3の取付穴17に通された状態で遊技盤3に取り付けられる。
【0026】
図5に示すように、裏箱19はパチンコ球(遊技球)P(図3)を受け入れるための受入口23を規定する開放前面を有する。他方、ベースは矩形状の開口25を有する。ベース21は、裏箱19に対して、その開口25が裏箱19の前記開放前面に相対するように配置され、取り付けられている。このため、開口25が、実質的に、パチンコ球Pの受入口23を規定している。
【0027】
裏箱19は、パチンコ球Pを受け入れ可能である受入空間27を有する。裏箱19の受入口23を経てその受入空間27内に受け入れられたパチンコ球Pは、排出口29(図7)を通して受入空間27の外部に排出される。排出口29は、裏箱19の底壁31(図3)に設けられている。実際には、排出口29は、底壁31上に配置されたセンサ(入賞検出スイッチ)33に設けられたほぼ円形の穴35(図3)により規定されている。穴35は、底壁31の上面及び下面に開放している。
【0028】
排出口29すなわちセンサ33の穴35は、裏箱19が遊技盤3に取り付けられたとき、
遊技盤3の取付穴17内、すなわち遊技盤3の板厚内に位置するように設けられている(図11参照)。
【0029】
従来の可変入賞装置では、これが遊技盤3に取り付けられた状態で見て、パチンコ球の排出口が取付穴17の外側すなわち遊技盤3の後ろ側に位置する。このため、パチンコ球は、遊技盤3を厚さ方向に横切ってその受入口からその排出口へ移動されなければならず、この移動のために傾斜した案内面を必要とした。本発明に掛かる実施の態様にあっては、受入口23すなわちベース21の開口25を経て裏箱19の受入空間27内に受け入れられた遊技球Pの穴35への移動は、遊技盤3の取付穴17内において行われる。このことから、従来における案内傾斜面を必要とせず、前記案内傾斜面の設置を省略することができるため、裏箱19(したがって可変入賞装置5)の上下方向に関する長さ寸法である厚さ寸法を小さいものとすることができる。
【0030】
裏箱19には、その底壁31上に、遊技盤3の取付穴17内におけるベース21の開口25(受入口23)からセンサ33の穴35(排出口29)へのパチンコ球Pの案内のための傾斜面37が設けられている。傾斜面37は、センサ33の穴35に向けてパチンコ球が一列に流下できるように下方に傾斜しており、傾斜面37の下端と底壁31との間には段差が存する。段差は、開放状態にあるゲート39から飛入したパチンコ球と、傾斜面37上のパチンコ球とがセンサの穴35に流下するとき、それらの球の間で球噛みを起こすことを防止するために設けられている。本例では、ゲート39から飛入した球が優先されるように、傾斜面37の下流端部よりゲート39の下流端部の方が低くなるように設けられている。もちろん、傾斜面37の下流端部の方が低くなるようにしてもよく、要は球噛みを防ぐように構成すればよい。なお、傾斜面37についても取付穴17内、すなわち遊技盤3の板厚内に位置するように設けられている。すなわち、裏箱19における受入空間27全体が、遊技盤3の板厚内に設けられている。
【0031】
可変入賞装置5は、さらに、ベース21の開口25を開閉するための板状のゲート39を有する。
【0032】
ゲート39は一対の枢軸41(図5、図7)を介して該枢軸の周りに回転可能にベース21に支承されており、ベース21の開口25内と、開口25外との間で枢動可能である。ゲート39が開口25内に位置する状態(図6及び図12に示す状態)にあるとき、開口25は閉じられ、該開口を通しての裏箱19の受入空間27へのパチンコ球Pの飛入が禁止される。
【0033】
他方、ゲート39が開口25外へ枢動され、開かれた状態(図3及び図11に示す状態)にあるとき、開口25は開放される。図11に示すように、ゲート39が開かれた状態にあるとき、ゲート39はその内側の面(後面)上に、遊技盤3上を落下するパチンコ球Pを受け止めることができ、また受け止めたパチンコ球Pを裏箱19の受入空間27に案内する傾斜面43を規定する。ゲート39の傾斜面43には、傾斜面43上を裏箱19の受入口23に向けて転動するパチンコ球Pを受入空間27の傾斜面37上に導く2つの突起45が設けられている。なお、センサ33の穴35側に設けられている突起45は、運動変換機構のレバー57及び爪59を防護すると共に、その部分での球の停留を防止するためにも、必要なものとなる。
【0034】
可変入賞装置5には、ゲート39を枢動させるための手段として、ソレノイド47と、該ソレノイドの直線的往復運動をゲート39の枢動運動に変換するための運動変換機構とが設けられている。
【0035】
ソレノイド47は、板金49を介して裏箱19に支持されている(図3及び図7参照)。ソレノイド47は、本体51とロッド部53とを備え、ロッド部53の周囲にはこれを取り巻く圧縮可能のコイルばね55が配置されている。
【0036】
他方、前記運動変換機構は、ソレノイド47のロッド部53に枢着された板状のレバー57と、ゲート39に設けられた板状の爪59とからなる(図5及び図7参照)。図7〜図10に示すように、レバー57は、互いに間隔をおいて配置された上下一対の先端部61,63を有し、軸押さえ65を介して、裏箱19に支持されている。レバー57は、ソレノイドのロッド部53の下方位置において、ピン67を介して、該ピンの周りに揺動可能であるように軸押え65に支承されている。レバー57の先端部61,63は、それぞれ、レバー57がピン67の周りに揺動されるとき、ゲート39の爪59に引掛かり可能である。
【0037】
図9に示すように、ソレノイド47を作動させると、コイルばね55からその伸張傾向のばね力を受けているロッド部53が伸張動作する。これに伴い、レバー57が図上においてピン67の周りに反時計方向に回転する。これにより、レバー57の上方の先端部61がゲート39の爪59に上方から下方に向けて引掛かる。その結果、ゲート39がその枢軸41の周りに時計方向に揺動する。揺動により、ゲート39がベース21の開口25内に収まるとき、爪59がベース21の後面に当接する。これにより、ゲート39の揺動が停止される。
【0038】
反対に、図10に示すように、ソレノイド47を反対方向に作動させてロッド部53を収縮動作させ、かつコイルばね55を膨張状態から圧縮状態に変化させると、レバー57がピン67の周りに時計方向に回転する。これにより、レバー57の下方の先端部63がゲート39の爪59に下方から上方に向けて引掛かる。その結果、ゲート39がその枢軸41の周りに反時計方向に揺動する。揺動により、ゲート39がベース21の開口25外に開くとき、ベース21に爪59と相対する反対の側に設けられたストッパ69が裏箱19の一部71(図7参照)に当接する。これにより、ゲート39の揺動が停止され、ゲート39は所定の角度に開いた状態に維持される。
【0039】
図3に示すように、可変入賞装置5の裏箱19の後部には、始動入賞口13(図1参照)に入って、これから落下するパチンコ球の通過を許し、これを検知するための、前記したセンサ33と同様のセンサ73が取り付けられている。
【0040】
さらに、裏箱19の後方に、裏箱19の受入空間27をその装飾のために照らす複数(図示の例では3つ)の発光ダイオード(LED)75が配置されている(図7、図8及び図11参照)。発光ダイオード75は電飾基板77に支持され、横一列に並んでいる。ソレノイド47を裏箱19に支持する板金49には、発光ダイオード75が発した光を通すための3つの穴79が3つの発光ダイオード75に対応して設けられている。
【0041】
図7において、符号81は、発光ダイオード75が発した光を拡散させるための拡散レンズを示す。拡散レンズ81は、裏箱19の後面に固定されている。電飾基板77は、箱状の基板ケース83内に収容され、基板ケース83は裏箱19の後部に固定されている。発光ダイオード75から出た光は、板金49の穴79を通過した後、拡散レンズ81を経て拡散され、裏箱19を照らす。裏箱19は、これを照らす発光ダイオード75の光を通すように、透明なプラスチック材料で形成されている。なお、符号84は、中継基板を示す。
【0042】
図11に示すように、ゲート39上に受け止められたパチンコ球Pは、ゲート39の傾斜面43上を両突起45間においてベース21の開口25に向けて転動する。転動の間にパチンコ球Pはベース21の開口25を通過し、裏箱19の受入空間27に入る。次いで、パチンコ球Pは、傾斜面43から受入空間27内の傾斜面37上に落下する。傾斜面37上に落下したパチンコ球Pは、傾斜面37上をその下端に向けて転動した後、傾斜面37の下端からセンサ33の穴35に落下する。パチンコ球Pはセンサ33の穴35を通過するとき、センサ33により検知される。この検知により、可変入賞装置1に受け入れられた、すなわち入賞したパチンコ球の数が別途計数される。その後、パチンコ球Pは取付穴17内すなわち遊技盤3の板厚内をアウト口15に向けて落下する。
【0043】
ところで、パチンコ球Pがアウト口15に落下したとき、アウト口15を遊技盤3の板厚方向へ横断して移動する他のパチンコ球、すなわちいずれの入賞口にも入賞せずにアウト口15に流下してきた他のパチンコ球に衝突し、衝突によりセンサ33の近傍にまで跳ね返ることがあり、このとき、センサ33が、跳ね返ったパチンコ球Pを、センサ33の穴35を通過したパチンコ球であると誤って検知することがある。
【0044】
このセンサ33の誤作動である誤検知を防止するため、遊技盤3に突起85(図12〜図14)が設けられている。突起85は、センサ33の穴35を経て落下するパチンコ球Pの衝突を受けて、パチンコ球Pの進路の変更をもたらす。
【0045】
図13に示すように、突起85はセンサ33の穴35の下方にパチンコ球Pに対する衝突部位(衝突領域)86を有する。より詳細には、衝突部位(衝突領域)86は、センサの穴35の直径をDとしかつパチンコ球Pの直径をdとしたとき(D>d)、次の2つの条件を満足する位置にある。第1の条件は、衝突部位86の位置が、穴35の周壁面の延長から穴35の半径方向内方へ距離(D−d)より大きい距離Gにあることである。この条件が満たされると、パチンコ球Pの落下経路内に突起85の衝突部位86が突出することとなるため、パチンコ球Pは落下するとき衝突部位86に必ず衝突する。また、第2の条件は、衝突部位86の位置が、穴35からその軸線方向下方に距離d/2(パチンコ球Pの半径)より大きい距離Lにあることである。この条件が満たされると、突起85の衝突部位86が穴35の下方にパチンコ球Pの半径の大きさを超えて位置することとなるため、パチンコ球Pが突起85の衝突部位86に衝突したとき、パチンコ球Pは衝突部位86とセンサ33との間に挟まってここに留まることが防止される。
【0046】
センサ33の穴35を経て真直ぐに落下するパチンコ球Pが突起85の衝突部位86に衝突すると、その落下方向が矢印87の方向に変化する。その結果、パチンコ球Pがアウト口15において他のパチンコ球に当たったとき、パチンコ球Pはセンサ33の穴35以外の方向に跳ね返る。これにより、パチンコ球Pがセンサ33に近接することによって生じるセンサ33の誤検知が防止される。
【0047】
なお、突起85は、可変入賞装置5のための取付穴17の輪郭の一部を規定する。また、図12において、符号88は、可変表示装置11(図1)を遊技盤3に取り付ける際に可変表示装置11を通すための遊技盤3に設けられた取付穴を示し、符号89は、始動入賞口13を含む装置(図1)を遊技盤3に取り付ける際にこれを通すための遊技盤3に設けられた取付穴を示す。図示の例では、この取付穴89と取付穴17とは相互に連通している。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明に係るパチンコ機(遊技機)の一部を省略した正面図である。
【図2】図1の線A−Aに沿って得た縦断面図である。
【図3】ゲートが開いた状態の可変入賞装置の前方から見た斜視図である。
【図4】図3に示す可変入賞装置の後方から見た斜視図である。
【図5】図3に示す可変入賞装置をその裏箱からベースを取り外した状態で見た、図3に示すと同様の斜視図である。
【図6】ゲートが閉じた状態の可変入賞装置の前方から見た斜視図である。
【図7】可変入賞装置の前方から見た分解斜視図である。
【図8】可変入賞装置の後方から見た分解斜視図である。
【図9】ゲートを開閉するためのソレノイド及び運動変換機構を示す、ゲートが閉じた状態にあるときの側面図である。
【図10】ゲートを開閉するためのソレノイド及び運動変換機構を示す、ゲートが開いた状態にあるときの側面図である。
【図11】図3の線B−Bに沿って得た縦断面図である。
【図12】可変入賞装置が取り付けられた遊技盤の正面図である。
【図13】図12に示す可変入賞装置の拡大図である。
【図14】図12に示す遊技盤の底面図である。
【図15】従来のパチンコ機を示す正面図である。
【図16】従来の可変入賞装置の前方から見た斜視図である。
【図17】図16に示す可変入賞装置の縦断面図である。
【符号の説明】
【0049】
1 パチンコ機(遊技機)
3 遊技盤
5 可変入賞装置
7 レール
9 遊技領域
11 可変表示装置
13 始動入賞口
15 アウト口
17 取付穴
23 受入口
29 排出口
33 センサ
35 センサに設けられた穴
37 傾斜面
39 ゲート
P パチンコ球(遊技球)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
取付穴が設けられた遊技盤と、
前記遊技盤の前記取付穴に通された状態で前記遊技盤に取り付けられた、遊技球の受入口及び排出口を有する可変入賞装置であって、
前記排出口が前記取付穴内に位置するように設けられている可変入賞装置とを備える
ことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記排出口にこれを通過する遊技球を検知するためのセンサが取り付けられている
ことを特徴とする、請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
前記遊技盤は、前記可変入賞装置が前記遊技盤に取り付けられたとき、前記排出口の下方に連なるアウト口を有し、また前記遊技盤は、前記排出口を経て前記アウト口に落下する遊技球の衝突を受け、該遊技球の進路の変更をもたらす突起を有する
ことを特徴とする、請求項2に記載の遊技機。
【請求項4】
前記排出口はほぼ円形の平面形状を有し、また前記突起は前記遊技球に対する衝突領域を有し、該衝突領域は、前記排出口の周壁面の延長からその半径方向内方に前記排出口の直径と前記遊技球の直径との差より大きい距離に位置し、かつ、前記排出口からその軸線方向下方に前記遊技球の半径より大きい距離に位置する、
ことを特徴とする、請求項3に記載の遊技機。
【請求項1】
取付穴が設けられた遊技盤と、
前記遊技盤の前記取付穴に通された状態で前記遊技盤に取り付けられた、遊技球の受入口及び排出口を有する可変入賞装置であって、
前記排出口が前記取付穴内に位置するように設けられている可変入賞装置とを備える
ことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記排出口にこれを通過する遊技球を検知するためのセンサが取り付けられている
ことを特徴とする、請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
前記遊技盤は、前記可変入賞装置が前記遊技盤に取り付けられたとき、前記排出口の下方に連なるアウト口を有し、また前記遊技盤は、前記排出口を経て前記アウト口に落下する遊技球の衝突を受け、該遊技球の進路の変更をもたらす突起を有する
ことを特徴とする、請求項2に記載の遊技機。
【請求項4】
前記排出口はほぼ円形の平面形状を有し、また前記突起は前記遊技球に対する衝突領域を有し、該衝突領域は、前記排出口の周壁面の延長からその半径方向内方に前記排出口の直径と前記遊技球の直径との差より大きい距離に位置し、かつ、前記排出口からその軸線方向下方に前記遊技球の半径より大きい距離に位置する、
ことを特徴とする、請求項3に記載の遊技機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2008−167906(P2008−167906A)
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−3227(P2007−3227)
【出願日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【出願人】(000154679)株式会社平和 (1,976)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【出願人】(000154679)株式会社平和 (1,976)
【Fターム(参考)】
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