説明

遊技機

【課題】開閉検出機構の接触型位置検出スイッチの損傷および誤検出を低減できる遊技機を提供する。
【解決手段】内枠12が閉状態となる際に、緩衝部材400の第1突出部材406の弾性部404が外枠11に当接し、この当接力で回動部402と第2突出部材408とが回動軸周りに回動し、この回動した第2突出部材408が接触型位置検出スイッチ388の可動片424を押圧し、内枠12の閉状態を検出でき、緩衝部材400の回動は、第2突出部材408が可動片424を押圧した時点で停止し、その後は、第1突出部材406の弾性部404が弾性変形して内枠12が閉状態となるので、内枠12を閉状態とする際の衝撃は、緩衝部材400により緩めやわらげられ、第1突出部材406が外枠11によりさらに押さえつけられたとしても、第2突出部材408は反ることが無く、誤検出の発生を低減できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、パチンコ機やスロットマシン等の遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、遊技機の代表例として例えばパチンコ機がある。このパチンコ機は、例えば、当該パチンコ機の外殻を形成し遊技場(ホール)の遊技島に固定される外枠と、この外枠の正面視での左端側を開閉軸として外枠に対して開閉可能に支持されて遊技盤などが取り付けられた内枠とを備えている。また、このパチンコ機は、内枠を不正に開放して不正行為が行われることを防止するために、内枠の開閉を検出する開閉検出機構を備えている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−126476号公報(第3−5頁,第5図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような構成を有する従来例の場合には、次のような問題がある。
すなわち、従来のパチンコ機では、例えば、前述した開閉検出機構は、接触型位置検出スイッチ(例えばマイクロスイッチ)を備え、内枠(被検出体)が閉まる際にこの内枠で接触型位置検出スイッチの検出部を押下させる方式、つまり、押下されることで閉状態を検出し、押下されていないことで開状態を検出する方式を採っているが、内枠が接触型位置検出スイッチの検出部に強く当たることで接触型位置検出スイッチが破壊されてしまうという問題がある。
【0005】
そこで、開閉検出機構としては、内枠(被検出体)が閉まる時の衝撃を吸収するための緩衝部材を介して、接触型位置検出スイッチで検出することが考えられる。具体的には、この緩衝部材としては、一端側が軸支される板バネの他端側を、その一端側と他端側との中間箇所付近に向けてVの字状に折り曲げたバネ部材が挙げられる。なお、このバネ部材のうちで、一端側と他端側との略中間に位置する先端部分を先端部と呼び、Vの字状に折り曲がった箇所を曲げ部と呼び、曲げ部から一端側までを板部と呼ぶ。そして、このバネ部材の先端部に内枠(被検出体)を当てて衝撃を吸収するようにし、バネ部材の板部の裏面側を接触型位置検出スイッチの検出部に押下させて検出するのであるが、内枠がさらに奥に押し込まれるとバネ部材の曲げ部が内枠に近づくようにして反ってしまい、板部における接触型位置検出スイッチの検出部との接触箇所が離れて、接触型位置検出スイッチの検出部の押下が解除されることがあり、内枠が閉じられているのにスイッチで開状態と検出される。つまり、誤検出されることがあるという問題が生じる。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、開閉検出機構の接触型位置検出スイッチの損傷および誤検出を低減できる遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、このような目的を達成するために、次のような構成を採る。
すなわち、請求項1に記載の発明は、
被対象部材に対して開いた開状態と、前記被対象部材に対して閉じた閉状態とに変位可能な開閉部材と、
前記開閉部材の開状態と閉状態とのうちで少なくとも閉状態を検出する検出手段と、
前記開閉部材を閉状態とする際の当該開閉部材と前記検出手段との間に設けられる緩衝部材と、
を備えた遊技機において、
前記緩衝部材は、前記開閉部材に軸支された回動部と、前記回動部からその回動軸に対して交差する方向に突出した部材であって、前記開閉部材が閉状態となる際に前記被対象部材に当接する第1突出部材と、前記回動部からその回動軸に対して交差する方向でかつ前記第1突出部材とは異なる方向に突出した、前記第1突出部材とは別の第2突出部材とが一体的に形成されたものであり、
前記検出手段は、収納本体部と、付勢力により押出される可動片と、前記可動片を押圧することで開あるいは閉となる接点部とを備えた接触型位置検出手段であり、
前記接触型位置検出手段は、前記開閉部材が閉状態となる際に回動してきた前記第2突出部材が前記可動片を押圧する位置に配設され、前記可動片の押圧により前記開閉部材が閉状態の位置にあることを検出するものであり、
前記第1突出部材は、前記開閉部材を閉状態としたときに弾性変形する弾性部を有している
ことを特徴とするものである。
【0008】
[作用・効果]請求項1に記載の発明によれば、開閉部材は、被対象部材に対して開いた開状態と、被対象部材に対して閉じた閉状態とに変位可能なものである。検出手段は、開閉部材の開状態と閉状態とのうちで少なくとも閉状態であることを検出する。緩衝部材は、開閉部材を閉状態とする際の開閉部材と検出手段との間に設けられ、開閉部材に軸支された回動部と、この回動部からその回動軸に対して交差する方向に突出した部材であって、開閉部材が閉状態となる際に被対象部材に当接する第1突出部材と、回動部からその回動軸に対して交差する方向でかつ第1突出部材とは異なる方向に突出した、第1突出部材とは別の第2突出部材とが一体的に形成されたものである。検出手段は、収納本体部と、付勢力により押出される可動片と、この可動片を押圧することで開あるいは閉となる接点部とを備えた接触型位置検出手段としている。また、この接触型位置検出手段は、開閉部材が閉状態となる際に回動してきた第2突出部材が可動片を押圧する位置に配設されており、第2突出部材による可動片の押圧により開閉部材が閉状態の位置にあることを検出する。また、第1突出部材は、開閉部材を閉状態としたときに弾性変形する弾性部を有している。
【0009】
したがって、開閉部材が閉状態となる際に、緩衝部材の第1突出部材が被対象部材に当接し、この当接力を受けることで回動部が回動軸周りに回動し、この回動に伴ってその回動方向に第2突出部材も回動し、この回動してきた第2突出部材が接触型位置検出手段の可動片を押圧し、開閉部材が閉状態であることを検出することができる。また、緩衝部材の回動は、第2突出部材が接触型位置検出手段の可動片を押圧した時点で停止し、その後は、第1突出部材の弾性部が弾性変形して開閉部材が閉状態となるので、開閉部材を閉状態とする際の開閉部材と被対象部材との間の衝撃は、緩衝部材の第1突出部材の弾性部により緩めやわらげることができる。また、緩衝部材の第1突出部材が被対象部材よりさらに押さえつけられたとしても、第2突出部材は反ることが無く、誤検出の発生を低減できる。その結果、接触型位置検出手段(例えば開閉検出機構の接触型位置検出スイッチ)の損傷および誤検出を低減できる遊技機を提供することができる。
【0010】
なお、本明細書で言う「開閉部材が閉状態となる際に被対象部材に当接する」とは、開閉部材が閉状態となる際に、被対象部材に直接に当たることのみならず、被対象部材に対しては直接触れないがこの被対象部材に設けられた配設部材あるいは介装部材に当接することも含む意味である。
【発明の効果】
【0011】
この発明に係る遊技機によれば、開閉部材が閉状態となる際に、緩衝部材の第1突出部材の弾性部が被対象部材に当接し、この当接力を受けることで回動部が回動軸周りに回動し、この回動に伴ってその回動方向に第2突出部材も回動し、この回動してきた第2突出部材が接触型位置検出手段の可動片を押圧し、開閉部材が閉状態であることを検出することができる。また、緩衝部材の回動は、第2突出部材が接触型位置検出手段の可動片を押圧した時点で停止し、その後は、第1突出部材の弾性部が弾性変形して開閉部材が閉状態となるので、開閉部材を閉状態とする際の開閉部材と被対象部材との間の衝撃は、緩衝部材の第1突出部材の弾性部により緩めやわらげることができる。また、緩衝部材の第1突出部材が被対象部材よりさらに押さえつけられたとしても、第2突出部材は反ることが無く、誤検出の発生を低減できる。その結果、接触型位置検出手段(例えば開閉検出機構の接触型位置検出スイッチ)の損傷および誤検出を低減できる遊技機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施例のパチンコ機の概略正面図である。
【図2】遊技盤の構成を示す正面図である。
【図3】パチンコ機の構成を示す背面図である。
【図4】パチンコ機の電気的構成を示すブロック図である。
【図5】第3図柄表示装置の表示内容を示す説明図である。
【図6】(a)〜(c)は、内枠を外枠に対して閉じる様子を示す平面図である。
【図7】(a)〜(c)は、図6に示した前面枠セットと内枠の一部を除去した状態で内枠を外枠に対して閉じる様子を示す平面図である。
【図8】(a)〜(c)は、図7に示した内枠を外枠に対して閉じる様子を示す一部破断平面図である。
【図9】(a)〜(c)は、図7に示した内枠を外枠に対して閉じる際の開閉検出機構部分の様子を示す部分正面図である。
【図10】(a)〜(c)は、図9に示した開閉検出機構部分を拡大した拡大図である。
【図11】(a)〜(c)は、図10に示した開閉検出機構の様子を示す図である。
【図12】(a)は図9(c)に示した一点鎖線箇所を拡大した拡大図であり、(b)は緩衝部材と接触型位置検出スイッチの正面図である。
【図13】(a)〜(c)は、図10に示した開閉検出機構部分を、内枠を固定で外枠が移動するという視点で表わした図である。
【図14】(a)〜(c)は、図11に示した開閉検出機構部分を、内枠を固定で外枠が移動するという視点で表わした図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
なお、本明細書は、次のような遊技機に係る発明も開示している。
【0014】
(1) 請求項1に記載の遊技機において、
前記可動片は、その少なくとも一部が前記収納本体部の所定の当接面から外側に出たものであり、
前記接触型位置検出手段は、前記開閉部材が閉状態となる際に回動してきた前記第2突出部材が前記可動片を押圧した状態において、前記収納本体部の当接面に前記第2突出部材が当接する位置に配設されている
ことを特徴とする遊技機。
【0015】
前記(1)に記載の発明によれば、可動片は、その少なくとも一部が収納本体部の所定の当接面から外側に出ている。接触型位置検出手段は、開閉部材が閉状態となる際に回動してきた第2突出部材が前記可動片を押圧した状態において、収納本体部の当接面に第2突出部材が当接する位置に配設されている。したがって、緩衝部材の回動は、第2突出部材が接触型位置検出手段の可動片を押圧した状態で収納本体部の当接面に当接した時点で停止するので、接触型位置検出手段の可動片を必要以上に押圧することがなく、接触型位置検出手段の可動片の損傷を低減することができる。
【0016】
(2) 請求項1に記載の遊技機、または、前記(1)に記載の遊技機において、
前記開閉部材は、前記被対象部材の一辺側を開閉回動軸として片開き自在となっており、
前記回動部は、その回動軸が前記開閉回動軸に対して直交するようにして前記開閉部材に軸支されている
ことを特徴とする遊技機。
【0017】
前記(2)に記載の発明によれば、開閉部材は、被対象部材の一辺側を開閉回動軸として片開き自在となっている。回動部は、その回動軸が開閉回動軸に対して直交するようにして開閉部材に軸支されている。したがって、緩衝部材の第1突出部材および第2突出部材は開閉部材の面内で回動するようにでき、開閉部材と直交する面方向に緩衝部材の第1突出部材および第2突出部材が突出してくることがない。つまり、開閉部材が片開きする方向に緩衝部材の第1突出部材および第2突出部材が突出しないので、開閉部材が片開きする方向を省スペース化することができる。
【0018】
(3) 請求項1に記載の遊技機、または、前記(1)または(2)に記載の遊技機において、
前記第2突出部材は、前記回動部からその回動軸に対して直交する方向で、かつ、前記第1突出部材に対して直交または略直交する方向に突出しており、
前記緩衝部材は、前記回動部の回動軸方向から見た状態において、前記第1突出部材と前記回動部と前記第2突出部材とを含めた形状が略L字形状となっている
ことを特徴とする遊技機。
【0019】
前記(3)に記載の発明によれば、第2突出部材は、回動部からその回動軸に対して直交する方向で、かつ、第1突出部材に対して直交または略直交する方向に突出している。緩衝部材は、回動部の回動軸方向から見た状態において、第1突出部材と回動部と第2突出部材とを含めた形状が略L字形状となっている。したがって、第1突出部材が被対象部材に接触する接触面側に、接触型位置検出手段を配置する必要はなく、その接触面に対して直交しかつ回動部の回動軸と平行な面側に接触型位置検出手段を配置することができる。つまり、第1突出部材が被対象部材に接触する接触面から第2突出部材の突出方向に離れた位置に接触型位置検出手段を配置することができ、接触型位置検出手段が配置し易くできる。また、接触型位置検出手段の可動片を下向きあるいは上向きに配置できる。
【0020】
(4) 前記(3)に記載の遊技機において、
前記緩衝部材は、前記第1突出部材が前記回動部から略下方に突出し、かつ、前記第2突出部材が前記回動部から略水平方向に突出した状態で前記開閉部材に軸支されており、
前記開閉部材が開状態であるときは、前記接触型位置検出手段の前記可動片の付勢力により前記緩衝部材の前記第2突出部材が押し下げ回動された開検出状態となっており、
さらに、前記の開検出状態の前記第2突出部材が押し下げ方向に限界位置を越えて回動することがないように規制する規制部材を備えている
ことを特徴とする遊技機。
【0021】
前記(4)に記載の発明によれば、緩衝部材は、第1突出部材が回動部から略下方に突出し、かつ、第2突出部材が回動部から略水平方向に突出した状態で開閉部材に軸支されている。開閉部材が開状態であるときは、接触型位置検出手段の可動片の付勢力により緩衝部材の第2突出部材が押し下げ回動された開検出状態となっている。規制部材は、その開検出状態の第2突出部材が押し下げ方向に限界位置を越えて回動することがないように規制する。したがって、緩衝部材の第1突出部材が異常に外側に突出した状態となることを防止できる。つまり、第1突出部材が異常に突出した場合には、開閉部材を閉状態にする際における衝撃を緩めるという緩衝機能を緩衝部材が果さないだけでなく、開閉部材を閉状態にする際に、第1突出部材を挟んで第1突出部材や緩衝部材などに損傷を与えてしまうおそれもあるが、規制部材によりこれらを防止することができるし、第1突出部材を適正な状態に維持することができる。
【0022】
(5) 前記(4)に記載の遊技機において、
さらに、前記開閉部材は、開口部から前記第1突出部材の前記弾性部を露出させるようにして前記緩衝部材を収容する収容部材を備え、
前記収容部材は、前記第1突出部材の前記被対象部材と当接する側とは反対側に壁部を備えている
ことを特徴とする遊技機。
【0023】
前記(5)に記載の発明によれば、開閉部材は、開口部から第1突出部材の弾性部を露出させるようにして緩衝部材を収容する収容部材を備えている。収容部材は、第1突出部材の被対象部材と当接する側とは反対側に壁部を備えている。したがって、収容部材の開口部と第1突出部材との間の僅かな隙間から細状部材などを進入させて不正を図ろうとした場合に、この壁部が防御壁となり、その進入を抑制でき、不正を低減することができる。
【0024】
(6) 前記(5)に記載の遊技機において、
前記壁部は、前記第1突出部材が押し戻し方向に限界位置を越えて回動することがないように規制するものである
ことを特徴とするものである。
【0025】
前記(6)に記載の発明によれば、壁部は、第1突出部材が押し戻し方向に限界位置を越えて回動することがないように規制するものとしているので、第1突出部材が押し戻し方向に限界位置を越えて回動することがないように規制でき、第1突出部材が押し戻し方向に限界位置を越えて回動することで接触型位置検出手段が損傷してしまうということを低減できる。また、仮に、被対象部材と第1突出部材との間にケーブルなどの異物を挟んだ状態となり、第1突出部材が押し戻し方向に回動しても限界位置を越えてまで回動することがなく、開閉部材が適正に閉じないあるいは閉じ難いことから、異物の噛み込みを発見できる。
【0026】
(7) 請求項1に記載の遊技機、または、前記(1)から(6)のいずれか一つに記載の遊技機において、
前記第1突出部材は、前記第2突出部材よりも厚みを薄くしているものであることを特徴とする遊技機。
【0027】
前記(7)に記載の発明によれば、第2突出部材は、第1突出部材は、第2突出部材よりも厚みを薄くしているので、第1突出部材に回動限界以上の力が加わった場合に、第2突出部材よりも第1突出部材の方が変形し易くできる。つまり、第1突出部材の弾性部を好適に実現できる。
【0028】
(8) 請求項1に記載の遊技機、または、前記(1)から(7)のいずれか一つに記載の遊技機において、
前記第1突出部材は、前記第2突出部材よりもその突出長さを長くしているものであることを特徴とする遊技機。
【0029】
前記(8)に記載の発明によれば、第2突出部材は、第1突出部材は、第2突出部材よりもその突出長さを長くしているので、第1突出部材に回動限界以上の力が加わった場合に、第2突出部材よりも第1突出部材の方が変形し易くできる。つまり、第1突出部材の弾性部を好適に実現できる。また、第1突出部材は、第2突出部材よりも厚みを薄くし、かつ、第2突出部材よりもその突出長さを長くしている場合には、さらに弾性に富む。
【0030】
(9) 請求項1に記載の遊技機、または、前記(1)から(8)のいずれか一つに記載の遊技機において、
前記弾性部は、前記第1突出部材の先端から前記回動部の方に折り曲げた折り曲げ部材としていることを特徴とする遊技機。
【0031】
前記(9)に記載の発明によれば、弾性部は、第1突出部材の先端から回動部の方に折り曲げた折り曲げ部材としているので、第1突出部材を直線状部材とする場合に比べて第1突出部材を省スペースで弾性を有するものとすることができ、第2突出部材よりも大きく弾性変形させることができ、第1突出部材の弾性部を好適に実現できる。
【0032】
(10) 前記(9)に記載の遊技機において、
前記折り曲げ部材は、その先端に円弧状部材を備えていることを特徴とする遊技機。
【0033】
前記(10)に記載の発明によれば、折り曲げ部材は、その先端に円弧状部材を備えているので、開閉部材を閉状態とする際に近づいてくる被対象部材に対して好適に接触させることができ、確実に緩衝部材を回動させることができる。
【0034】
(11) 請求項1に記載の遊技機、または、前記(1)から(10)のいずれか一つに記載の遊技機において、
前記被対象部材は、当該遊技機の外殻を形成し遊技場の遊技島に固定される外枠であり、
前記開閉部材は、前記外枠の一側部を開閉軸として当該外枠に対して開閉可能に支持された内枠である
ことを特徴とする遊技機。
【0035】
前記(11)に記載の発明によれば、被対象部材は、当該遊技機の外殻を形成し遊技場の遊技島に固定される外枠としている。開閉部材は、外枠の一側部を開閉軸としてこの外枠に対して開閉可能に支持された内枠としている。したがって、外枠に対して内枠が開かれた開状態を好適に検出できるし、内枠を閉じる際の衝撃も緩めることができるし、接触型位置検出手段(例えば開閉検出機構の接触型位置検出スイッチ)の損傷および誤検出を低減できる。
【0036】
(12) 請求項1に記載の遊技機、または、前記(1)から(11)のいずれか一つに記載の遊技機において、
前記遊技機はパチンコ機であることを特徴とする遊技機。
【0037】
前記(12)に記載の遊技機によれば、接触型位置検出手段(例えば開閉検出機構の接触型位置検出スイッチ)の損傷および誤検出を低減できるパチンコ機を提供できる。なお、パチンコ機の基本構成としては操作ハンドルを備え、その操作ハンドルの操作に応じて遊技用媒体としての球を所定の遊技領域に発射し、球が遊技領域内の所定の位置に配設された作動口に入賞(または作動ゲートを通過)することを必要条件として、表示装置において動的表示されている識別情報(図柄等)が所定時間後に確定停止されるものが挙げられる。また、特別遊技状態の発生時には、遊技領域内の所定の位置に配設された可変入賞手段(特定入賞口)が所定の態様で開放されて球を入賞可能とし、その入賞個数に応じた有価価値(景品球のみならず、磁気カードへ書き込まれるデータ等も含む)が付与されるものが挙げられる。
【0038】
(13) 請求項1に記載の遊技機、または、前記(1)から(11)のいずれか一つに記載の遊技機において、
前記遊技機はスロットマシンであることを特徴とする遊技機。
【0039】
前記(13)に記載の遊技機によれば、接触型位置検出手段(例えば開閉検出機構の接触型位置検出スイッチ)の損傷および誤検出を低減できるスロットマシンを提供できる。なお、スロットマシンの基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を動的表示した後に識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の動的表示が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して、あるいは、所定時間経過することにより、識別情報の動的表示が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備えた遊技機」となる。この場合、遊技用媒体はコイン、メダル等が代表例として挙げられる。
【0040】
(14)請求項1に記載の遊技機、または、前記(1)から(11)のいずれか一つに記載の遊技機において、
前記遊技機はパチンコ機とスロットマシンとを融合させたものであることを特徴とする遊技機。
【0041】
前記(14)に記載の遊技機によれば、接触型位置検出手段(例えば開閉検出機構の接触型位置検出スイッチ)の損傷および誤検出を低減できる、パチンコ機とスロットマシンとを融合させたものを提供できる。なお、この融合させたものの基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を動的表示した後に識別情報を確定表示する識別情報変動表示手段を備え、所定の入賞手段への遊技球の入賞などに起因して始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作が可能な状態となり、この始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の動的表示が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して、あるいは、所定時間経過することにより、識別情報の動的表示が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備え、遊技用媒体として球を使用するとともに、前記識別情報の動的表示の開始に際しては所定数の球を必要とし、特別遊技状態の発生に際しては多くの球が払い出されるように構成されている遊技機」が挙げられる。
【0042】
以下、パチンコ遊技機(以下、単に「パチンコ機」という)の各種の実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。図1はパチンコ機10の正面図であり、図2は、パチンコ機10の遊技盤30の正面図であり、図3は、パチンコ機10の裏面図である。図4は、パチンコ機10の電気的構成を示すブロック図である。図5は、第3図柄表示装置42の表示内容を示す説明図である。
【0043】
図1に示すように、パチンコ機10は、当該パチンコ機10の外殻を形成し遊技場(ホール)の遊技島に固定される外枠11と、この外枠11の一側部(例えば正面視での左側部)を開閉軸として外枠11に対して開閉可能に支持された内枠12と、この内枠12の一側部(例えば正面視での左側部)を開閉軸として内枠12に対して開閉自在に取り付けられる前面枠セット14とを備えている。
【0044】
外枠11は、木製の板材により全体として正面視で矩形状に構成され、小ネジ等の離脱可能な締結具により各板材が組み付けられている。本実施の形態では、例えば、外枠11の上下方向の外寸は809mm(内寸771mm)、左右方向の外寸は518mm(内寸480mm)となっている。なお、外枠11は樹脂やアルミニウム等の軽金属などにより構成されていてもよい。
【0045】
図1に示すように、内枠12は、大別すると、その最下部に取り付けられた下皿ユニット13と、この下皿ユニット13よりも上側の範囲で内枠12の左側の上下方向の開閉軸を軸心にして開閉自在に取り付けられた前面枠セット14と、外形が矩形状の樹脂ベース(図示省略)に着脱自在に取り付けられる遊技盤30(図2参照)とを備えている。
【0046】
図1に示すように、下皿ユニット13は、内枠12に対してネジ等の締結具により固定されている。この下皿ユニット13の前面側には、下皿15と球抜きレバー17と遊技球発射ハンドル18と音出力口24が設けられている。球受皿としての下皿15は、下皿ユニット13のほぼ中央部に設けられており、排出口16より排出された遊技球が下皿15内に貯留可能になっている。球抜きレバー17は、下皿15内の遊技球を抜くためのものであり、この球抜きレバー17を図1で左側に移動させることにより、下皿15の底面の所定箇所が開口され、下皿15内に貯留された遊技球を下皿15の底面の開口部分を通して下方向外部に抜くことができる。遊技球発射ハンドル18は、下皿15よりも右方で手前側に突出して配設されている。遊技者による遊技球発射ハンドル18の操作に応じて、遊技球発射装置38によって遊技球が後述する遊技盤30の方へ打ち込まれるようになっている。遊技球発射装置38は、例えば、遊技球発射ハンドル18と発射装置229(図4参照)などで構成されている。音出力口24は、下皿ユニット13内あるいは背面に設けられたスピーカからの音を出力するための出力口である。
【0047】
また、前面枠セット14は、図1に示すように、内枠12に対して開閉可能に取り付けられており、内枠12と同様、パチンコ機10の正面からみて左側に上下に延びる開閉軸を軸心にして前方側に開放できるようになっている。
【0048】
図1に示すように、前面枠セット14の下部(上述の下皿15の上方位置)には、遊技球の受皿としての上皿19が一体的に設けられている。ここで、上皿19は、遊技球を一旦貯留し、一列に整列させながら遊技球発射装置38の方へ導出するための球受皿である。また、前面枠セット14には、遊技盤30の遊技領域30a(図2参照)のほとんどを外部から視認することができるよう略楕円形状の窓部101が形成されている。詳しくは、窓部101は、その左右側の略中央部が、上下側に比べて比較的緩やかに湾曲した形状となっている略楕円形状で中央が空洞とした枠体であり、その枠体の空洞部分に略楕円形状のガラス板137が取り付けられたものである。このガラス板137は二重ガラス構造としている。なお、窓部101の前記略中央部が直線状になるようにし、ガラス板137もその形状に合わせるようにしてもよい。また、ガラス板137は、ガラスに限定されず、所定の強度がある透明板であればその材質などは問わない。
【0049】
また、前面枠セット14は、図1に示すように、上皿19の左下側の箇所に、遊技者による操作指示(例えば、押下指示)を受ける枠ボタン20(演出ボタン)を備えている。図4に示すように、枠ボタン20はサブ制御装置262に接続されている。例えば、所定の操作有効条件成立時には、当該枠ボタン20の操作が有効となり、枠ボタン20を押下するなどにより、第3図柄表示装置42の画面表示が変化したり、出力音を変更したり、ランプ表示を変更したりするなど、遊技者が遊技に積極的に参加できるようになっている。
【0050】
加えて、前面枠セット14は、その前面側で窓部101の周囲(例えばコーナー部分)に各種ランプ等の発光手段が設けられている。これら発光手段は、大当たり時や所定のリーチ時等における遊技状態の変化に応じて点灯、点滅のように発光態様が変更制御され遊技中の演出効果を高める役割を果たすものである。例えば、窓部101の周縁には、LED等の発光手段を内蔵した環状電飾部102が左右対称に設けられ、該環状電飾部102の中央であってパチンコ機10の最上部には、同じくLED等の発光手段を内蔵した中央電飾部103が設けられている。本パチンコ機10では、中央電飾部103が大当たりランプとして機能し、大当たり時に点灯や点滅を行うことにより、大当たり中であることを報知する。その他、中央電飾部103の左右側方には、賞球払出し中に点灯する賞球ランプ105と所定のエラー時に点灯するエラー表示ランプ106とが設けられている。また、環状電飾部102の下端部に隣接するようにして、内枠12表面や遊技盤30表面等の一部を視認できるよう透明樹脂からなる小窓107が設けられている。この小窓107の所定箇所を平面状としているので、遊技盤30の右下隅部に貼り付けられた証紙などを、小窓107の当該平面状箇所から機械で好適に読み取ることができる。
【0051】
また、窓部101の下方には貸球操作部120が配設されており、貸球操作部120には球貸しボタン121と、返却ボタン122と、度数表示部123とが設けられている。パチンコ機10の側方に配置された図示しないカードユニット(球貸しユニット)に紙幣やカード等を投入した状態で貸球操作部120が操作されると、その操作に応じて遊技球の貸出が行われる。球貸しボタン121は、カード等(記録媒体)に記録された情報に基づいて貸出球を得るために操作されるものであり、カード等に残額が存在する限りにおいて貸出球が上皿19に供給される。返却ボタン122は、カードユニットに挿入されたカード等の返却を求める際に操作される。度数表示部123はカード等の残額情報を表示するものである。なお、カードユニットを介さずに球貸し装置等から上皿に遊技球が直接貸し出されるパチンコ機、いわゆる現金機では貸球操作部120が不要となる。故に、貸球操作部120の設置部分に、飾りシール等が付されるようになっている。これにより、カードユニットを用いたパチンコ機と現金機との貸球操作部の共通化が図れる。
【0052】
遊技盤30は、図2に示すように、四角形状の合板よりなり、その周縁部が内枠12の樹脂ベース(図示省略)の裏側に当接した状態で取着されており、この遊技盤30の前面側の略中央部分たる遊技領域30aが樹脂ベースの略円形状の図1に示した窓部101(ガラス板137)を通じて内枠12の前面側に露出した状態となっている。
【0053】
次に、図2を用いて遊技盤30の構成を説明する。遊技盤30は、一般入賞口31、可変入賞装置32、第1の始動口33a,33b(例えば作動チャッカ)、第2の始動口34(例えばスルーゲート)、可変表示装置ユニット35等を備えている。これらの一般入賞口31、可変入賞装置32、第1の始動口33a,33b(例えば作動チャッカ)、第2の始動口34(例えばスルーゲート)、可変表示装置ユニット35等は、遊技盤30における、ルータ加工によって形成された各貫通穴にそれぞれに配設され、遊技盤30前面側から木ネジ等により取り付けられている。前述の一般入賞口31、可変入賞装置32および第1の始動口33a,33bに遊技球が入球し、当該入球が後述する検出スイッチ(入賞口スイッチ、カウントスイッチ、作動口スイッチ)で検出され、この検出スイッチの出力に基づいて、上皿19(または下皿15)へ所定数の賞品球が払い出される。なお、前述したように、上部側の第1の始動口33aには作動口スイッチ(通過検出スイッチ)が設けられ、この第1の始動口33aへの入球をその作動口スイッチにより検出されるようになっている。また、下部側の第1の始動口33bにも作動口スイッチ(通過検出スイッチ)が設けられ、この第1の始動口33bへの入球をその作動口スイッチにより検出されるようになっている。すなわち、遊技球の第1の始動口33aへの入球または遊技球の第1の始動口33bへの入球のどちらの場合にも、それが始動入賞であることに変わりは無い。
【0054】
その他に、図2に示すように、遊技盤30にはアウト口36が設けられており、各種入賞装置等に入球しなかった遊技球はこのアウト口36を通って図示しない球排出路の方へと案内されるようになっている。遊技盤30には、遊技球の落下方向を適宜分散、調整等するために多数の釘が植設されているとともに、風車37等の各種部材(役物)が配設されている。
【0055】
可変表示装置ユニット35は、第1の始動口33a,33bへの入賞をトリガとして、識別情報としての第1図柄(例えば特別図柄)を変動表示する第1図柄表示装置40と、第2の始動口34の通過をトリガとして、第2図柄(例えば普通図柄)を変動表示する第2図柄表示装置41と、第1の始動口33a,33bへの入賞をトリガとして、第3図柄(例えば装飾図柄)を変動表示する第3図柄表示装置42とを備えている。
【0056】
第1図柄表示装置40は、例えば、複数個(本実施例では2個)の2色発光タイプのLED(発光ダイオード)40a,40bと、このLED40a,40bでの変動表示の保留数を示す保留ランプ40cとを備えている。このLED40a,40bは、例えば、赤色と青色に発光可能なものである。第1図柄表示装置40は、各LED40a,40bの発光色を交互に変更させることで、第1図柄(本実施例では各LED40a,40bの発光色態様)の変動表示状態を発生させ、例えば、両方のLED40a,40bが赤色発光状態で停止すると確変大当り(特定当り)を示し、両方のLED40a,40bが青色発光状態で停止すると通常大当り(非特定当り)を示し、両方のLED40a,40bが互いに異なる色の発光状態で停止すると外れを示す。
【0057】
なお、この第1図柄表示装置40として、少なくとも3色以上の発光が可能なタイプの単一のLEDを採用してもよく、各色の発光を交互などに行うようにすることで、第1図柄の変動表示状態を発生させ、LEDが第1の色の発光状態で停止すると確変大当り(特定当り)を示し、LEDが第2の色の発光状態で停止すると通常大当り(非特定当り)を示し、LEDが第3の色の発光状態で停止すると外れを示すようにしてもよい。なお、上述した第1図柄表示装置40が本発明における識別情報変動表示手段に相当する。
【0058】
第2図柄表示装置41は、第2図柄用としての例えば「○」が描かれた表示部41aと、第2図柄用としての例えば「×」が描かれた表示部41bと、保留ランプ41cとを有し、遊技球が第2の始動口34を通過する毎に例えば表示部41a,41bによる表示図柄(普通図柄)が変動し、その変動表示が所定図柄で停止した場合に下部側の第1の始動口33bが所定時間だけ作動状態となる(開放される)よう構成されている。遊技球が第2の始動口34を通過した回数は最大4回まで保留され、その保留回数が保留ランプ41cにて点灯表示されるようになっている。なお、表示部41a,41bは、その内部にLED(発光ダイオード)を有しており、このLEDの発光(あるいはランプの点灯)を切り換えることにより変動表示される構成としている。なお、上述した第2図柄表示装置41が本発明における普通識別情報変動表示手段に相当する。
【0059】
第3図柄表示装置42は、例えば液晶表示装置で構成されており、後述する表示制御装置45により表示内容が制御される。第3図柄表示装置42には、例えば後述する図5に示すように、左、中及び右の3つの装飾図柄列L,M,Rが表示される。各装飾図柄列L,M,Rは複数の装飾図柄によって構成されており、これら装飾図柄が装飾図柄列L,M,R毎にスクロールされるようにして第3図柄表示装置42に可変表示されるようになっている。なお本実施の形態では、第3図柄表示装置42(液晶表示装置)は、例えば、9.3インチサイズの大型の液晶ディスプレイを備える。可変表示装置ユニット35には、第3図柄表示装置42を囲むようにしてセンターフレーム47が配設されている。なお、上述した第3図柄表示装置42が本発明における装飾識別情報(図柄)変動表示手段に相当し、上述した表示制御装置45が本発明における表示制御手段に相当する。
【0060】
図2に示すように、可変入賞装置32は、通常は遊技球が入賞できない又は入賞し難い閉状態になっており、大当たりの際に遊技球が入賞しやすい開状態と通常の閉状態とに繰り返し作動されるものである。このように、大当たりの際に可変入賞装置32が開状態と通常の閉状態とに繰り返し作動される状態は、特別遊技状態(例えば、大当り状態)と呼ばれ、可変入賞装置32に多数の遊技球が入球(入賞)し、その入賞に対して大量の遊技球が賞球払い出しされることから、遊技者にとって有利な遊技状態となっている。
【0061】
より詳しくは、第1の始動口33a,33bに対し遊技球が入賞すると第1図柄表示装置40の2個のLED40a,40bが変動表示され、その変動停止後のLED40a,40bの表示が予め設定した発光態様の組合せとなった場合に特別遊技状態が発生する。例えば、両方のLED40a,40bが赤色発光状態で停止するという発光態様の場合には、確変大当り(特定当り)の特別遊技状態に当選したことを示し、両方のLED40a,40bが青色発光状態で停止するという発光態様の場合には、通常大当り(非特定当り)の特別遊技状態に当選したことを示し、両方のLED40a,40bが互いに異なる色の発光状態で停止するという発光態様の場合には外れ(特別遊技状態に落選したこと)を示す。
【0062】
そして、可変入賞装置32は、その大入賞口32aが所定の開放状態となり、遊技球が入賞しやすい状態(大当たり状態)になるよう構成されている。具体的には、当該開放状態についての所定時間の経過又は所定個数の入賞を1ラウンドとして、可変入賞装置32の大入賞口32aが所定回数(ラウンド数)繰り返し開放される。遊技球が第1の始動口33a,33bを通過した回数は最大4回まで保留され、その保留回数が保留ランプ40cにて点灯表示されるようになっている。なお、保留ランプ40cは、第3図柄表示装置42の表示画面の一部で保留表示等される構成等であっても良い。
【0063】
また、遊技盤30には、図2に示すように、遊技球発射装置38(図3参照)から発射された遊技球を遊技盤30上部へ案内するためのレールユニット50が取り付けられており、遊技球発射ハンドル18の回動操作に伴い発射された遊技球はレールユニット50の後述する球案内通路49を通じて所定の遊技領域30aに案内されるようになっている。レールユニット50はリング状をなす樹脂成型品(例えば、フッ素樹脂が添加されて成形されたもの)にて構成されており、内外二重に一体形成された内レール51と外レール52とを有する。内レール51は上方の約1/4ほどを除いて略円環状に形成され、一部(主に左側部)が内レール51に向かい合うようにして外レール52が形成されている。かかる場合、内レール51と外レール52とにより誘導レールが構成され、これら各レール51,52が所定間隔を隔てて並行する部分(向かって左側の部分)により球案内通路49が形成されている。なお、球案内通路49は、遊技盤30との当接面を有した溝状、すなわち手前側を開放した溝状に形成されている。
【0064】
内レール51の先端部分(図2の左上部)には戻り球防止部材53が取着されている。これにより、一旦、内レール51及び外レール52間の球案内通路49から遊技盤30の上部へと案内された遊技球が再度球案内通路49内に戻ってしまうといった事態が防止されるようになっている。また、外レール52には、遊技球の最大飛翔部分に対応する位置(図2の右上部:外レール52の先端部に相当する部位)に返しゴム54が取着されている。従って、所定以上の勢いで発射された遊技球は、返しゴム54に当たって跳ね返されるようになっている。外レール52の内側面には、遊技球の飛翔をより滑らかなものとするべく、つまり遊技球の摩擦抵抗を少なくするべく、長尺状をなすステンレス製の金属帯としての摺動プレート55が取着されている。
【0065】
また、レールユニット50の外周部には、正面視した状態で周囲外方へ張り出した円弧状のフランジ56が形成されている。フランジ56は、遊技盤30に対する取付面を構成する。レールユニット50が遊技盤30に取り付けられる際には、遊技盤30上にフランジ56が当接され、その状態で、当該フランジ56に形成された複数の透孔にネジ等が挿通されて遊技盤30に対するレールユニット50の締結がなされるようになっている。
【0066】
さらに本実施の形態では、正面から見てレールユニット50の上下左右の各端部は略直線状に(平坦に)形成されている。つまり、レールユニット50の上下左右の各端部においてはフランジ56が切り落とされ、パチンコ機10における有限の領域にてレール径の拡張、すなわち遊技盤30上の遊技領域30aの拡張が図られるようになっている。
【0067】
内レール51及び外レール52間の球案内通路49の入口には、当該球案内通路49の一部を閉鎖するようにして凸部57が形成されている。この凸部57は、内レール51からレールユニット50下端部にかけて略鉛直方向に設けられ、遊技領域30aまで至らず球案内通路49内を逆流してくるファール球を内枠12に設けられたファール球通路(図示省略)に導くための役目をなす。なお、遊技盤30の右下隅部及び左下隅部は、証紙(例えば製造番号が記載されている)等のシール(図2のS1,S2)やプレートを貼着するためのスペースとなっており、この貼着スペースを確保するために、フランジ56に切欠58,59が形成されている。遊技盤30の右下隅部や左下隅部に、証紙等のシール(図2のS1,S2)を貼着することで、遊技盤30と証紙との一義性を持たせることができる。
【0068】
次に、遊技盤30の遊技領域30aについて説明する。遊技領域30aは、図2に示すように、レールユニット50の内周部(内外レール)により略円形状に区画形成されており、特に本実施の形態では、遊技盤30の盤面上に区画される当該遊技領域30aが従来よりもはるかに大きく構成されている。本実施の形態では、外レール52の最上部地点から遊技盤30下部までの間の距離は445mm(従来品よりも58mm長い)、外レール52の極左位置から内レール51の極右位置までの間の距離は435mm(従来品よりも50mm長い)となっている。また、内レール51の極左位置から内レール51の極右位置までの間の距離は418mmとなっている。
【0069】
本実施の形態では、遊技領域30aを、パチンコ機10の正面から見て、内レール51及び外レール52によって囲まれる領域のうち、内外レール51,52の並行部分である誘導レールの領域を除いた領域としている。従って、遊技領域30aと言った場合には誘導レール部分は含まないため、遊技領域30aの向かって左側限界位置は外レール52によってではなく内レール51によって特定される。同様に、遊技領域30aの向かって右側限界位置は内レール51によって特定される。また、遊技領域30aの下側限界位置は遊技盤30の下端位置によって特定される。また、遊技領域30aの上側限界位置は外レール52によって特定される。
【0070】
従って、本実施の形態では、遊技領域30aの幅(左右方向の最大幅)は、418mmであり、遊技領域30aの高さ(上下方向の最大幅)は、445mmである。
【0071】
なお、詳しい図面の開示は省略するが、遊技球発射装置38には、前面枠セット14側の球出口(上皿19の最下流部より通じる球出口)から遊技球が1つずつ供給される。
【0072】
次に、パチンコ機10の背面の構成について説明する。図3に示すように、パチンコ機10は、その背面(実際には内枠12及び遊技盤30の背面)において、各種制御基板が上下左右に並べられるようにして又は前後に重ねられるようにして配置されており、さらに、遊技球を供給するための遊技球供給装置(払出機構部352)や樹脂製の保護カバー等が取り付けられている。本実施の形態では、各種制御基板を2つの取付台に分けて搭載して2つの制御基板ユニットを構成し、それら制御基板ユニットを個別に内枠12又は遊技盤30の裏面に装着するようにしている。この場合、後述する図4に示した主制御装置261とサブ制御装置262とを一方の取付台(図示省略)に搭載してユニット化すると共に、後述する図4に示した払出制御装置311、発射制御装置312及び電源装置313を他方の取付台(図示省略)に搭載してユニット化している。ここでは便宜上、前者のユニットを「第1制御基板ユニット201」と称し、後者のユニットを「第2制御基板ユニット202」と称することとする。
【0073】
また、払出機構部352及び保護カバーも1ユニットとして一体化されており、一般に樹脂部分を裏パックと称することもあるため、ここではそのユニットを「裏パックユニット203」と称する。各ユニット201〜203の詳細な構成については後述する。
【0074】
第1制御基板ユニット201、第2制御基板ユニット202及び裏パックユニット203は、ユニット単位で何ら工具等を用いずに着脱できるよう構成されており、さらにこれに加え、一部に支軸部を設けて内枠12又は遊技盤30の裏面に対して開閉できる構成となっている。これは、各ユニット201〜203やその他構成が前後に重ねて配置されても、隠れた構成等を容易に確認することを可能とするための工夫でもある。
【0075】
また、遊技盤30の裏面には、各種入賞口などの遊技球の通過を検出するための入賞感知機構などが設けられている。具体的には、遊技盤30表側の一般入賞口31に対応する位置には入賞口スイッチが設けられ、可変入賞装置32にはカウントスイッチが設けられている。カウントスイッチは入賞球をカウントするスイッチである。また、第1の始動口33a,33bに対応する位置には作動口スイッチがそれぞれ設けられ、第1の始動口33a,33bへの遊技球の入球を当該作動口スイッチで検出される。第2の始動口34に対応する位置にはゲートスイッチが設けられ、第2の始動口34への遊技球の通過を当該作動口スイッチで検出される。ている。なお、上述した作動口スイッチが本発明における入賞検出手段に相当する。
【0076】
入賞口スイッチ及びゲートスイッチは、図示しない電気配線を通じて盤面接続基板(図示省略)に接続され、さらにこの盤面接続基板が後述する主制御装置261内の主制御基板261a(図4参照)に接続されている。また、カウントスイッチは大入賞口中継端子基板(図示省略)に接続され、さらにこの大入賞口中継端子基板(図示省略)がやはり主制御基板261aに接続されている。これに対し、作動口スイッチは中継基板を介さずに直接に主制御基板261aに接続されている。
【0077】
その他図示は省略するが、可変入賞装置32には、大入賞口32aを開放するための大入賞口ソレノイドが設けられ、下部側の第1の始動口33bには、電動役物を開放するための作動口ソレノイドが設けられている。
【0078】
上記入賞感知機構にて各々検出された検出結果は、後述する主制御装置261内の主制御基板261aに取り込まれ、該主制御基板261aよりその都度の入賞状況に応じた払出指令(遊技球の払出個数)が払出制御基板311aに送信される。そして、該払出制御基板311aの出力により所定数の遊技球の払出が実施される。かかる場合、各種入賞口に入賞した遊技球を入賞球処理装置に一旦集め、その入賞球処理装置で入賞球の存在を1つずつ順番に確認した上で払出を行う従来方式(いわゆる証拠球方式)とは異なり、本実施の形態のパチンコ機10では、各種入賞口毎に遊技球の入賞を電気的に感知して払出が直ちに行われる(すなわち、本パチンコ機10では入賞球処理装置を廃止している)。故に、払い出す遊技球が多量にあっても、その払出をいち早く実施することが可能となる。但し、本発明に従来の「証拠球方式」を適用してもよい。
【0079】
第1制御基板ユニット201は略L字状をなす取付台(図示省略)を有し、この取付台に主制御装置261とサブ制御装置262とが搭載されている。ここで、主制御装置261は、図4に示すように、主たる制御を司るCPU501と、遊技プログラムを記憶したROM502と、遊技の進行に応じた必要なデータを記憶するRAM503と、各種機器との連絡をとる入出力ポート505と、各種抽選の際に用いられる乱数発生器(図示省略)と、時間計数や同期を図る場合などに使用されるクロックパルス発生回路(図示省略)などを含む主制御基板261aを具備しており、この主制御基板261aが透明樹脂材料等よりなる基板ボックス263(被包手段)に収容されて構成されている。なお、基板ボックス263は、略直方体形状のボックスベース(図示省略)と該ボックスベースの開口部を覆うボックスカバー(図示省略)とを備えている。これらボックスベースとボックスカバーとは封印ユニット(図示省略)によって開封不能に連結され、これにより基板ボックス263が封印されている。
【0080】
封印手段としての封印ユニットはボックスベース(図示省略)とボックスカバー(図示省略)とを開封不能に連結する構成であれば任意の構成が適用できるが、本実施例では、例えば5つの封印部材が連結された構成となっており、この封印部材の長孔に係止爪を挿入することでボックスベースとボックスカバーとが開封不能に連結されるようになっている。封印ユニットによる封印処理は、その封印後の不正な開封を防止し、また万一不正開封が行われてもそのような事態を早期に且つ容易に発見可能とするものであって、一旦開封した後でも再度開封・封印処理を行うこと自体は可能である。すなわち、封印ユニット(図示省略)を構成する5つの封印部材のうち、少なくとも一つの封印部材の長孔に係止爪を挿入することにより封印処理が行われる。そして、収容した主制御基板261aの不具合などにより基板ボックス263を開封する場合には、係止爪が挿入された封印部材と他の封印部材との連結を切断する。その後、再度封印処理する場合は他の封印部材の長孔に係止爪を挿入する。基板ボックス263の開封を行った旨の履歴を当該基板ボックス263に残しておけば、基板ボックス263を見ることで不正な開封が行われた旨が容易に発見できる。
【0081】
また、サブ制御装置262は、例えば主制御装置261内の主制御基板261aからの指示に従い音声やランプ表示の制御や表示制御装置45の制御を司るCPU551や、その他ROM552、RAM553、バスライン554及び入出力ポート555等を含むサブ制御基板262aを具備しており、このサブ制御基板262aが透明樹脂材料等よりなる基板ボックス(図示省略)に収容されて構成されている。サブ制御装置262上には電源中継基板(図示省略)が搭載されており、後述する電源基板より供給される電源がこの電源中継基板(図示省略)を介してサブ制御装置262および表示制御装置45に出力されるようになっている。
【0082】
第2制御基板ユニット202は横長形状をなす取付台(図示省略)を有し、この取付台に払出制御装置311、発射制御装置312、電源装置313及びカードユニット接続基板(図示省略)が搭載されている。払出制御装置311は制御の中枢をなすCPUや、その他ROM、RAM、各種ポート等を含む制御基板を具備しており、発射制御装置312は発射制御基板を具備しており、電源装置313は電源制御基板を具備している。払出制御装置311の払出制御基板311aは、賞品球や貸出球の払出を制御する。また、発射制御装置312の発射制御基板により、遊技者による遊技球発射ハンドル18の操作に従い発射装置229(図4参照)の制御が行われ、電源装置313の電源基板により、各種制御装置等で要する所定の電源電圧が生成され出力される。本実施例の発射装置229は、発射ソレノイド(図示省略)への通電 /非通電に従って進退自在な発射槌部(図示省略)で遊技球を打ちつけて発射させるソレノイド式発射部品を採用しているが、それ以外の発射装置229としては、発射モータの駆動に従って動作する発射杵で遊技球を打ちつけて発射させる機械式発射部品や、電磁場を発生させることで遊技球を発射させる電磁式発射部品など種々のタイプのものが採用できる。カードユニット接続基板(図示省略)は、パチンコ機前面の貸球操作部120(図1参照)及び図示しないカードユニットに電気的に接続され、遊技者による球貸し操作の指令を取り込んでそれを払出制御装置311に出力するものである。なお、カードユニットを介さずに球貸し装置等から上皿19に遊技球が直接貸し出される現金機では、カードユニット接続基板314は不要である。
【0083】
上記払出制御装置311、発射制御装置312、電源装置313及びカードユニット接続基板(図示省略)は、透明樹脂材料等よりなる基板ボックス(図示省略)にそれぞれ収容されて構成されている。特に、払出制御装置311では、前述した主制御装置261と同様、基板ボックス(被包手段)を構成するボックスベース(図示省略)とボックスカバー(図示省略)とが封印ユニット(封印手段)によって開封不能に連結され、これにより基板ボックス263が封印されている。
【0084】
払出制御装置311には状態復帰スイッチ(図示省略)が設けられている。例えば、払出モータ部の球詰まり等、払出エラーの発生時において状態復帰スイッチ(図示省略)が押下されると、払出モータ358a(図4参照)がゆっくり正回転され、球詰まりの解消(正常状態への復帰)が図られるようになっている。
【0085】
また、電源監視基板261bにはRAM消去スイッチ323が設けられている。本パチンコ機10はバックアップ機能を有しており、万一停電が発生した際でも停電時の状態を保持し、停電からの復帰(復電)の際には停電時の状態に復帰できるようになっている。従って、通常手順で(例えばホールの営業終了時に)電源遮断すると電源遮断前の状態が記憶保持されることから、電源投入時に初期状態に戻したい場合には、RAM消去スイッチ323を押しながら電源を投入することとしている。
【0086】
次に、裏パックユニット203の構成を説明する。裏パックユニット203は、図3に示すように、樹脂成形された裏パック351と遊技球の払出機構部352とを一体化したものである。
【0087】
裏パックユニット203は、その最上部に上方に開口したタンク355が設けられており、このタンク355には遊技ホールの島設備(遊技島設備)から供給される遊技球が逐次補給される。タンク355の下方には、例えば横方向2列の球通路を有し下流側に向けて緩やかに下り傾斜するタンクレール356が連結され、さらにタンクレール356の下流側には縦向きにケースレール357が連結されている。ケースレール357の最下流部には、払出装置358が設けられ、払出モータ358a等の所定の電気的構成により必要個数の遊技球の払出が適宜行われる。そして、払出装置358より払い出された遊技球は払出通路(図示省略)等を通じて前記上皿19に供給される。
【0088】
また、タンクレール356には、当該タンクレール356に振動を付加するためのバイブレータ360が設けられている。例えば、バイブレータ360が例えば2本のネジでタンクレール356に締結されて取り付けられるようになっている。さらに、バイブレータ360は、タンクレール356に面接触するのではなく、当該2本のネジの部分で接触するようになっており、バイブレータ360による振動がより効果的にタンクレール356に伝わるようになっている。従って、仮にタンクレール356付近で球詰まりが生じた際、バイブレータ360が駆動されることで球詰まりが解消されるようになっている。
【0089】
払出機構部352には、払出制御装置311から払出装置358への払出指令の信号を中継する払出中継基板(図示省略)が設置されると共に、外部より主電源を取り込むための電源スイッチ基板382が設置されている。電源スイッチ基板382には、電圧変換器を介して例えば交流24Vの主電源が供給され、電源スイッチ382aの切替操作により電源ON又は電源OFFとされるようになっている。
【0090】
タンク355から払出通路(図示省略)に至るまでの払出機構部352は何れも導電性を有する樹脂材料(例えば導電性ポリカーボネート樹脂)にて成形され、その一部にてアースされている。これにより、遊技球の帯電によるノイズの発生が抑制されるようになっている。
【0091】
なお、図3に示すように、内枠12の右上側には、内枠12が外枠11に対して開かれたことを検出する接触型位置検出スイッチ(内枠開検出スイッチ)388が設けられている。内枠12が開かれると、接触型位置検出スイッチ388からホール内(パチンコ店内)用コンピュータへ出力されるようになっている。
【0092】
次に、本パチンコ機10の電気的構成について、図4を用いて説明する。本パチンコ機10は、主制御装置261と、払出制御装置311と、発射制御装置312と、サブ制御装置262と、表示制御装置45と、電源装置313などを備えている。以下に、これらの装置を個別に詳細に説明する。
【0093】
パチンコ機10の主制御装置261には、演算装置である1チップマイコンとしてのCPU501が搭載されている。CPU501には、該CPU501により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM502と、そのROM502内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAM503と、割込回路やタイマ回路、データ送受信回路などの各種回路が内蔵されている。
【0094】
RAM503は、パチンコ機10の電源のオフ後においても電源装置313からバックアップ電圧が供給されてデータが保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM503には、各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリやエリアを備えている。
【0095】
つまり、停電などの発生により電源が切断された場合において、主制御装置261のCPU501は、通常処理を最後までを実行するので、RAM503は、電源切断時(停電発生時を含む。以下同様)のカウンタ用バッファや保留球格納エリアの内容を記憶保持するだけでよく、電源の再入時にパチンコ機10の状態を電源切断前の状態に復帰させることができる。具体的には、電源切断時(停電発生時を含む。以下同様)における通常処理の途中の遊技情報についての各レジスタやI/O等の値を記憶しておくための専用のバックアップエリアをRAM503に設ける必要がない。なお、CPU501のNMI端子(ノンマスカブル割込端子)には、停電等の発生による電源断時に、後述する停電監視回路542から出力される停電信号S1が入力されるように構成されており、停電の発生により、停電処理(NMI割込み処理)が即座に実行される。
【0096】
かかるROM502及びRAM503を内蔵したCPU501には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン504を介して入出力ポート505が接続されている。入出力ポート505には、後述するRAM消去スイッチ回路543、払出制御装置311、発射制御装置312、サブ制御装置262、第1図柄表示装置40、第2図柄表示装置41や、その他図示しないスイッチ群などが接続されている。また、主制御装置261は、第1図柄表示装置40における第1図柄の変動表示と、第2図柄表示装置41における第2図柄の変動表示とを制御する機能を備えている。
【0097】
また、払出制御装置311は、払出モータ358aにより賞球や貸し球の払出制御を行うものである。演算装置であるCPU511は、そのCPU511により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM512と、ワークメモリ等として使用されるRAM513とを備えている。
【0098】
払出制御装置311のRAM513は、前述した主制御装置261のRAM503と同様に、パチンコ機10の電源のオフ後においても電源装置313からバックアップ電圧が供給されてデータが保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM513には、各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリやエリアを備えている。
【0099】
RAM513は、停電などの発生により電源が切断された場合において、電源の再入時にパチンコ機10の状態を電源切断前の状態に復帰させるべく、電源切断時の状態に関する情報を記憶保持する。つまり、このRAM513の記憶保持は、NMI割込み処理と払出制御処理の後半部分のステップとによって電源切断時に実行され、逆にRAM513の記憶情報の復帰は、電源入時の復電処理において実行される。
【0100】
かかるROM512及びRAM513を内蔵したCPU511には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン514を介して入出力ポート515が接続されている。入出力ポート515には、主制御装置261、発射制御装置312、払出モータ358aなどがそれぞれ接続されている。
【0101】
図4に示すように、発射制御装置312は、発射装置229による遊技球の発射を許可又は禁止するものであり、発射装置229は、所定条件が整っている場合に駆動が許可される。具体的には、発射制御装置312は、払出制御装置311からのカードユニット接続信号S4(前述したカードユニットがパチンコ機10に接続されている場合に出力される信号である)と、遊技者が遊技球発射ハンドル18をタッチしている場合に出力されるタッチ検出信号S5と、遊技球発射ハンドル18に設けられている、発射を停止させるための発射停止スイッチ18aが操作されていない場合に出力される発射維持信号S6との全てが入力されていることを条件に、発射許可信号S7を主制御装置261に出力する。
【0102】
すなわち、発射許可信号S7がON(ハイレベル)である期間は発射許可状態であり、発射許可信号S7がOFF(ローレベル)である期間は発射不許可状態である。つまり、主制御装置261は、入力される発射許可信号S7がON(ハイレベル)である期間において、遊技球を発射する発射ソレノイド(図示省略)の制御を行う発射制御信号S8(パルス信号)と、発射レール401に遊技球を送る球送りソレノイドの制御を行う球送り制御信号S9(パルス信号)とを、発射制御装置312に所定の繰り返し周期で繰り返し出力する。発射制御装置312は、発射制御信号S8及び球送り制御信号S9に基づいて発射装置229を駆動制御し、遊技球発射ハンドル18の操作量に応じた強度で遊技球が発射される。逆に、主制御装置261は、入力される発射許可信号S7がOFF(ローレベル)である期間においては、発射制御信号S8及び球送り制御信号S9を発射制御装置312に出力せず、発射装置229によって遊技球が発射されることはない。
【0103】
表示制御装置45は、第3図柄表示装置42における第3図柄(装飾図柄)の変動表示を制御するものである。この表示制御装置45は、CPU521と、ROM(プログラムROM)522と、ワークRAM523と、ビデオRAM524と、キャラクタROM525と、画像コントローラ526と、入力ポート527と、出力ポート529と、バスライン530,531とを備えている。入力ポート527の入力にはサブ制御装置262の出力が接続され、入力ポート527には、CPU521、ROM522、ワークRAM523、画像コントローラ526が接続されている。また、画像コントローラ526にはバスライン531を介して出力ポート529が接続されており、その出力ポート529の出力には液晶表示装置である第3図柄表示装置42が接続されている。
【0104】
表示制御装置45のCPU521は、主制御装置261からの各種コマンドがサブ制御装置262で編集等されて送信される各種コマンドに基づいて、第3図柄表示装置42での装飾図柄表示を制御する。ROM522は、そのCPU521により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶するためのメモリであり、ワークRAM523は、CPU521による各種プログラムの実行時に使用されるワークデータやフラグを一時的に記憶するためのメモリである。
【0105】
ビデオRAM524は、第3図柄表示装置42に表示される表示データを記憶するためのメモリであり、このビデオRAM524の内容を書き替えることにより、第3図柄表示装置42の表示内容が変更される。キャラクタROM525は、第3図柄表示装置42に表示される装飾図柄などのキャラクタデータを記憶するためのメモリである。画像コントローラ526は、CPU521、ビデオRAM524、出力ポート529のそれぞれのタイミングを調整してデータの読み書きに介在すると共に、ビデオRAM524に記憶される表示データを、キャラクタROM525から所定のタイミングで読み出して第3図柄表示装置42に表示させるものである。
【0106】
また、電源装置313は、パチンコ機10の各部に電力を供給するための電源部541とを備えている。電源部541は、図示しない電源経路を通じて、主制御装置261や払出制御装置311等に対して各々に必要な動作電源を供給する。その概要としては、電源部541は、外部より供給される交流24ボルト電源を取り込み、各種スイッチやモータ等を駆動するための+12V電源、ロジック用の+5V電源、RAMバックアップ用のバックアップ電源などを生成し、これら+12V電源、+5V電源及びバックアップ電源を主制御装置261や払出制御装置311等に対して供給する。なお、発射制御装置312に対しては払出制御装置311を介して動作電源(+12V電源、+5V電源等)が供給される。
【0107】
図4に示すように、主制御装置261は、透明樹脂材料等よりなる基板ボックス263内に、主制御基板261aと、この主制御基板261aとは別体の電源監視基板261bとを備えている。電源監視基板261bは、停電等による電源遮断を監視する停電監視回路542と、RAM消去スイッチ323に接続されてなるRAM消去スイッチ回路543とを備えている。
【0108】
停電監視回路542は、停電等の発生による電源断時に、主制御装置261のCPU501及び払出制御装置311のCPU511の各NMI端子へ停電信号S1を出力するための回路である。停電監視回路542は、電源部541で交流24ボルトの電圧を監視し、この電圧が24ボルト未満になった時間が例えば20ミリ秒を超えた場合に停電(電源断)の発生と判断して、停電信号S1を主制御装置261及び払出制御装置311へ出力する。この停電信号S1の出力によって、主制御装置261及び払出制御装置311は、停電の発生を認識し、停電時処理(NMI割込み処理)を実行する。
【0109】
なお、電源部541は、電源部541で監視している交流5ボルトが5ボルト未満となった時間が20ミリ秒を越えた後においても、かかる停電時処理の実行に充分な時間の間、制御系の駆動電圧である5ボルトの出力を正常値に維持するように構成されている。よって、主制御装置261及び払出制御装置311は、停電時処理を正常に実行し完了することができる。
【0110】
RAM消去スイッチ回路543は、RAM消去スイッチ323のスイッチ信号を取り込み、そのスイッチ323の状態に応じて主制御装置261のRAM503及び払出制御装置311のRAM513のバックアップデータをクリアするための回路である。RAM消去スイッチ323が押下された際、RAM消去スイッチ回路543は、RAM消去信号S2を主制御基板261aに出力する。RAM消去スイッチ323が押下された状態でパチンコ機10の電源が投入されると(停電解消による電源入を含む)、主制御装置261においてRAM503のデータがクリアされ、払出制御装置311は主制御装置261からの初期化コマンドを受けるとRAM513のデータがクリアされる。
【0111】
ところで、第3図柄表示装置42(液晶表示装置)には、図5に示すように、左・中・右の3つの装飾図柄列L,M,Rが設定されており、装飾図柄列L,M,R毎に上装飾図柄、中装飾図柄、下装飾図柄の3個ずつの装飾図柄が変動表示される。本実施の形態では、一連の図柄は、「0」〜「9」の数字を各々付した主装飾図柄SZと、菱形状の絵図柄からなる副装飾図柄FZとにより構成されており、数字の昇順又は降順に主装飾図柄SZが表示されると共に各主装飾図柄SZの間に副装飾図柄FZが配されて一連の装飾図柄列L,M,Rが構成されている。そして、周期性を持って主装飾図柄SZと副装飾図柄FZが上から下へと変動表示されるようになっている。
【0112】
かかる場合、左装飾図柄列Lにおいては、上記一連の装飾図柄が降順(すなわち、主装飾図柄SZの番号が減る順)に表示され、中装飾図柄列M及び右装飾図柄列Rにおいては、同じく上記一連の装飾図柄が昇順(すなわち、主装飾図柄SZの番号が増える順)に表示される。そして、左装飾図柄列L→右装飾図柄列R→中装飾図柄列Mの順に変動表示が停止し、その停止時に第3図柄表示装置42上の5つの有効ライン、すなわち上ラインL1、中ラインL2、下ラインL3、右上がりラインL4、左上がりラインL5の何れかで主装飾図柄SZが大当たり図柄の組合せ(本実施の形態では、同一の主装飾図柄SZの組合せ)で揃えば大当たりとして特別遊技動画が表示されるようになっている。
【0113】
次に、本実施例のパチンコ機10のさらなる特徴部分の構成について、図6〜図14を用いて説明する。図6(a)〜(c)は、内枠12を外枠11に対して閉じる様子を示す平面図である。図7(a)〜(c)は、図6に示した前面枠セット14と内枠12の一部を除去した状態で内枠12を外枠11に対して閉じる様子を示す平面図である。図8(a)〜(c)は、図7に示した内枠12を外枠11に対して閉じる様子を示す一部破断平面図である。図9(a)〜(c)は、図7に示した内枠12を外枠11に対して閉じる際の開閉検出機構420部分の様子を示す部分正面図である。図10(a)〜(c)は、図9に示した開閉検出機構420部分を拡大した拡大図である。図11(a)〜(c)は、図10に示した開閉検出機構420の様子を示す図である。図12(a)は図9(c)に示した一点鎖線箇所を拡大した拡大図であり、図12(b)は緩衝部材400と接触型位置検出スイッチ388の正面図である。なお、図6〜図11は、外枠11が固定で内枠12が閉じられる様子を示している。図13(a)〜(c)は、図10に示した開閉検出機構420部分を、内枠12を固定で外枠11が移動するという視点で表わした図である。図14(a)〜(c)は、図11に示した開閉検出機構420部分を、内枠12を固定で外枠11が移動するという視点で表わした図である。
【0114】
パチンコ機10は、図6に示すように、外枠11に対して開いた開状態と、この外枠11に対して閉じた閉状態とに変位可能な内枠12を備えている。外枠11は、パチンコ機10の外殻を形成し、遊技場(ホール)の遊技島に固定されるものである。また、内枠12は、外枠11の一側部(例えば、図6に示す場合では平面視で左側部)を開閉軸としてこの外枠11に対して開閉可能に支持されたものである。
【0115】
また、前面枠セット14は、内枠12の一側部(例えば、図6に示す場合では平面視で左側部)を開閉軸として内枠12に対して開閉自在に取り付けられている。
【0116】
さらに、パチンコ機10は、図6〜図12に示すように、内枠12の開状態と閉状態とを検出する開閉検出機構420と、内枠12を閉状態とする際のこの内枠12と開閉検出機構420との間に設けられる緩衝部材400とを備えている。なお、緩衝部材400は、後述するように、内枠12を閉状態とする際のこの内枠12と外枠11との間の衝撃を和らげるものであるとも言える。
【0117】
図11に示すように、緩衝部材400は、内枠12に軸支された回動部402と、この回動部402からその回動軸J2(図12参照)に対して直交する方向に突出した部材であって、内枠12が閉状態となる際に外枠11に当接する弾性部404を有する第1突出部材406と、回動部402からその回動軸J2(図12参照)に対して直交する方向でかつ第1突出部材406とは異なる方向に突出した、第1突出部材406とは別の第2突出部材408とが一体的に形成されたものである。本実施例では、緩衝部材400は、例えば、透明樹脂で形成されている。
【0118】
図11に示すように、開閉検出機構420は、収納本体部422と、付勢力により押出される(押し戻される)可動片424と、この可動片424を押圧することで開あるいは閉となる接点部(図示省略)と、を有する接触型位置検出スイッチ388を備えている。この実施例では、可動片424は、付勢力により、収納本体部422よりも外側に少なくともその一部が出た状態となる。また、可動片424として、収納本体部422よりも外側に少なくとも一部が出た状態(初期位置状態)から、付勢力により、さらに外側に出た状態(初期位置よりもさらに外側に出た突出状態)のものを採用してもよい。
【0119】
接触型位置検出スイッチ388は、図12に示すように、内枠12が閉状態となる際に回動してきた第2突出部材408が可動片424を押圧する位置に配設され、可動片424の押圧により内枠12が閉状態の位置にあることを検出するものである。
【0120】
図14に示すように、接触型位置検出スイッチ388の可動片424は、その一部が収納本体部422の所定の当接面426から外側に出たものである。また、接触型位置検出スイッチ388は、内枠12が閉状態となる際に回動してきた第2突出部材408が可動片424を押圧した状態において、収納本体部422の当接面426に第2突出部材408が当接する位置に配設されている。
【0121】
図6〜図8に示すように、内枠12は、外枠11の一辺側(例えば、正面視で左辺側)を開閉回動軸J1として片開き自在となっている。図12(a)に示すように、緩衝部材400の回動部402は、その回動軸J2(図12(a)の紙面に垂直な軸)が、内枠12の開閉回動軸J1に対して直交するようにしてこの内枠12に軸支されている。
【0122】
図12(a)に示すように、第2突出部材408は、回動部402からその回動軸J2に対して直交する方向で、かつ、第1突出部材406に対して直交する方向に突出している。また、緩衝部材400は、回動部402の回動軸J2の軸方向から見た状態において、第1突出部材406と回動部402と第2突出部材408とを含めた形状が略L字形状となっている。
【0123】
図12(a)に示すように、緩衝部材400は、第1突出部材406が回動部402から略下方に突出し、かつ、第2突出部材408が回動部402から略水平方向に突出した状態で内枠12に軸支されている。また、図14(a)に示すように、内枠12が開状態であるときは、接触型位置検出スイッチ388の可動片424の付勢力により緩衝部材400の第2突出部材408が押し下げ回動された開検出状態となっている。さらに、パチンコ機10は、図12(a)に示すように、図14(a)に示した開検出状態の第2突出部材408が押し下げ方向に限界位置を越えて回動することがないように規制する規制部材430を備えている。
【0124】
さらに、図12(a)に示すように、内枠12は、開口部440から第1突出部材406の弾性部404を露出させるようにして緩衝部材400を収容する収容部材442を備えている。この収容部材442は、例えば、内枠12の裏面側に取り付けられるもので、内枠12と同等の外形大きさで、中央部分が大きく開口された四角形枠体形状となっており、セット板とも呼ばれるものである。また、この収容部材442は、第1突出部材406の外枠11と当接する側とは反対側に壁部444を備えている。この壁部444は、第1突出部材406が押し戻し方向に限界位置を越えて回動することがないように規制するものである。
【0125】
図12(b)に示すように、第1突出部材406は、第2突出部材408よりも厚みを薄くしている。例えば、本実施例では、第1突出部材406はその厚みD1を1.6mm(ミリ)とし、第2突出部材408はその厚みD2を2mm(ミリ)としており、第1突出部材406(厚みD1は1.6mm)は、第2突出部材408(厚みD2は2mm)よりも厚みを薄くしている。なお、第1突出部材406の厚みD1と第2突出部材408の厚みD2は前記の数値に限定されるものではなく、種々の数値を取り得る。
【0126】
また、第1突出部材406は、第2突出部材408よりもその突出長さを長くしている。例えば、本実施例では、第1突出部材406はその長さN1を28mm(ミリ)とし、第2突出部材408はその長さN2を16mm(ミリ)としており、第1突出部材406(長さN1は28mm)は、第2突出部材408(長さN2は16mm)よりもその突出長さを長くしている。なお、第1突出部材406の長さN1と第2突出部材408の長さN2は前記の数値に限定されるものではなく、種々の数値を取り得る。
【0127】
図12(b)に示すように、弾性部404は、第1突出部材406の先端から回動部402の方に折り曲げた折り曲げ部材410としている。折り曲げ部材410は、その先端に円弧状部材412を備えている。緩衝部材400の回動部402は、図12(b)に示すように、その中央に貫通孔403が形成されており、図12(a)に示した収容部材442の図示しないボス(嵌合ピン)が挿入されることで回動自在となっている。具体的には、収容部材442の図示しないボス(嵌合ピン)の先端側にネジ穴(図示省略)が形成されており、収容部材442の図示しないボス(嵌合ピン)が緩衝部材400の回動部402に挿入された状態で、そのネジ穴(図示省略)にネジ414を螺入することで、緩衝部材400の回動部402が回動自在で、かつ、当該緩衝部材400が外れることのないように固定されている。
【0128】
また、収容部材442(セット板)は、内枠12に対して片開きに開閉自在となっている。具体的には、収容部材442(セット板)を内枠12に対して開く際に、緩衝部材400の先端(つまり、第1突出部材406の先端)が内枠12に当たらないように、内枠12の収容部材442(セット板)を開閉させるための軸部分を、内枠12の裏面側に突出した位置に設けている。つまり、内枠12の収容部材442(セット板)を開閉させるための軸部分から緩衝部材400の先端(つまり、第1突出部材406の先端)までの距離を「a」とし、内枠12の裏面側から突出した位置(離れた位置)の軸部分までの距離を「b」とすると、距離a<距離bの関係としている。
【0129】
なお、上述した外枠11が本発明における被対象部材に相当し、上述した内枠12が本発明における開閉部材に相当し、上述した開閉検出機構420が本発明における検出手段に相当し、上述した接触型位置検出スイッチ388が本発明における接触型位置検出手段に相当する。
【0130】
ここで、内枠12を外枠11に対して閉じる際の緩衝部材400及び接触型位置検出スイッチ388の動作について説明する。
【0131】
図6(a)に示すように内枠12が外枠11に対して開いた状態(開放状態)、つまり、図8(a)や図10(a)に示すように内枠12が外枠11に対して開いた状態(開放状態)では、緩衝部材400の第1突出部材406、詳細に言えば折り曲げ部材410は、外枠11の左側の内面450から離れた状態(非接触状態)となっている。なおこのとき、図11(a)や図14(a)に示すように、接触型位置検出スイッチ388の可動片424の付勢力により、緩衝部材400の第2突出部材408が押し下げ回動された開検出状態となっていることがわかる。
【0132】
続いて、図6(b)に示すように内枠12が外枠11に対して閉じる直前の状態、つまり、図8(b)や図10(b)に示すように内枠12が外枠11に対して閉じる直前の状態では、緩衝部材400の第1突出部材406、詳細に言えば折り曲げ部材410の先端の円弧状部材412は、外枠11の左側の内面450に接触して、この第1突出部材406が反時計周りに回動することに伴って回動部402も回動し、第2突出部材408も同様に回動してこの第2突出部材408が接触型位置検出スイッチ388の可動片424を押下した状態となっている。なおこのとき、図11(b)や図14(b)に示すように、第1突出部材406が反時計周りに回動する力は、接触型位置検出スイッチ388の可動片424の付勢力よりも勝っており、可動片424が第2突出部材408に押下された閉検出状態となっていることがわかる。
【0133】
続いて、図6(c)に示すように内枠12が外枠11に対して完全に閉じた状態、つまり、図8(c)や図10(c)に示すように内枠12が外枠11に対して完全に閉じた状態では、緩衝部材400の第1突出部材406の弾性部404、詳細に言えば折り曲げ部材410は、さらに反時計周りに回動変形(弾性変形)し、内枠12が閉状態となるので、内枠12を閉状態とする際の内枠12と外枠11との間の衝撃は、緩衝部材400の第1突出部材406の弾性部404により緩めやわらげることができる。なおこのとき、図11(c)や図14(c)に示すように、第1突出部材406、詳細には第1突出部材406の弾性部404が弾性変形した状態となっておいても、第2突出部材408が反るようなことなく、接触型位置検出スイッチ388の可動片424の押下を好適に維持していることがわかる。
【0134】
上述したように、本実施例のパチンコ機10によれば、外枠11に対して開いた開状態と、外枠11に対して閉じた閉状態とに変位可能な内枠12と、この内枠12を閉状態とする際の当該内枠12と外枠11との間の衝撃を和らげる緩衝部材400と、内枠12の開状態と閉状態とを検出する開閉検出機構420とを備え、さらに、緩衝部材400は、内枠12に軸支された回動部402と、この回動部402からその回動軸J2(図12参照)に対して直交する方向に突出した部材であって、内枠12が閉状態となる際に外枠11に当接する弾性部404を有する第1突出部材406と、回動部402からその回動軸J2(図12参照)に対して直交する方向でかつ第1突出部材406とは異なる方向に突出した、第1突出部材406とは別の第2突出部材408とが一体的に形成されたものであり、開閉検出機構420は、収納本体部422と、付勢力により収納本体部422よりも外側に少なくとも一部が出た可動片424と、可動片424を押圧することで開あるいは閉となる接点部(図示省略)とを備えた接触型位置検出スイッチ388であり、この接触型位置検出スイッチ388は、内枠12が閉状態となる際に回動してきた第2突出部材408が可動片424を押圧する位置に配設され、可動片424の押圧により内枠12が閉状態の位置にあることを検出するものである。
【0135】
したがって、内枠12が閉状態となる際に、緩衝部材400の第1突出部材406の弾性部404が外枠11に当接し、この当接力を受けることで回動部402が回動軸周りに回動し、この回動に伴ってその回動方向に第2突出部材408も回動し、この回動してきた第2突出部材408が接触型位置検出スイッチ388の可動片424を押圧し、内枠12が閉状態であることを検出することができる。また、緩衝部材400の回動は、第2突出部材408が接触型位置検出スイッチ388の可動片424を押圧した時点で停止し、その後は、第1突出部材406の弾性部404が弾性変形して内枠12が閉状態となるので、内枠12を閉状態とする際の内枠12と外枠11との間の衝撃は、緩衝部材400の第1突出部材406の弾性部404により緩めやわらげることができる。また、緩衝部材400の第1突出部材406が外枠11よりさらに押さえつけられたとしても、第2突出部材408は反ることが無く、誤検出の発生を低減できる。その結果、接触型位置検出スイッチ388の損傷および誤検出を低減できるパチンコ機を提供することができる。
【0136】
また、可動片424は、その少なくとも一部が収納本体部422の所定の当接面426から外側に出たものであり、接触型位置検出スイッチ388は、内枠12が閉状態となる際に回動してきた第2突出部材408が可動片424を押圧した状態において、収納本体部422の当接面426に第2突出部材408が当接する位置に配設されているので、緩衝部材400の回動は、第2突出部材408が接触型位置検出スイッチ388の可動片424を押圧した状態で収納本体部422の当接面426に当接した時点で停止するので、接触型位置検出スイッチ388の可動片424を必要以上に押圧することがなく、接触型位置検出スイッチ388の可動片424の損傷を低減することができる。
【0137】
また、内枠12は、外枠11の一辺側(本実施例では正面視で左辺側)を開閉回動軸J1として片開き自在となっており、回動部402は、その回動軸J2が開閉回動軸J1に対して直交するようにして内枠12に軸支されているので、緩衝部材400の第1突出部材406および第2突出部材408は内枠12の面内で回動するようにでき、内枠12と直交する面方向に緩衝部材400の第1突出部材406および第2突出部材408が突出してくることがない。つまり、内枠12が片開きする方向に緩衝部材400の第1突出部材406および第2突出部材408が突出しないので、内枠12が片開きする方向を省スペース化することができる。
【0138】
また、第2突出部材408は、回動部402からその回動軸に対して直交する方向で、かつ、第1突出部材406に対して直交する方向に突出しており、緩衝部材400は、回動部402の回動軸J2の方向から見た状態において、第1突出部材406と回動部402と第2突出部材408とを含めた形状が略L字形状となっているので、第1突出部材406が外枠11に接触する接触面側に、接触型位置検出スイッチ388を配置する必要はなく、その接触面に対して直交しかつ回動部402の回動軸J2と平行な面側に接触型位置検出スイッチ388を配置することができる。つまり、第1突出部材406が外枠11に接触する接触面から第2突出部材408の突出方向に離れた位置に接触型位置検出スイッチ388を配置することができ、接触型位置検出スイッチ388が配置し易くできる。
【0139】
また、緩衝部材400は、第1突出部材406が回動部402から略下方に突出し、かつ、第2突出部材408が回動部402から略水平方向に突出した状態で内枠12に軸支されており、内枠12が開状態であるときは、接触型位置検出スイッチ388の可動片424の付勢力により緩衝部材400の第2突出部材408が押し下げ回動された開検出状態となっており、さらに、開検出状態の第2突出部材408が押し下げ方向に限界位置を越えて回動することがないように規制する規制部材430を備えているので、緩衝部材400の第1突出部材406が異常に外側に突出した状態となることを防止できる。つまり、第1突出部材406が異常に突出した場合には、内枠12を閉状態にする際における衝撃を緩めるという緩衝機能を緩衝部材400が果さないだけでなく、内枠12を閉状態にする際に、第1突出部材406を挟んで第1突出部材406や緩衝部材400などに損傷を与えてしまうおそれもあるが、規制部材430によりこれらを防止することができるし、第1突出部材406を適正な状態に維持することができる。
【0140】
また、内枠12は、開口部440から第1突出部材406の弾性部404を露出させるようにして緩衝部材400を収容する収容部材442を備え、収容部材442は、第1突出部材406の外枠11と当接する側とは反対側に壁部444を備えているので、収容部材442の開口部440と第1突出部材406との間の僅かな隙間から細状部材などを進入させて不正を図ろうとした場合に、この壁部444が防御壁となり、その進入を抑制でき、不正を低減することができる。
【0141】
また、壁部444は、第1突出部材406が押し戻し方向に限界位置を越えて回動することがないように規制するものとしているので、第1突出部材406が押し戻し方向に限界位置を越えて回動することがないように規制でき、第1突出部材406が押し戻し方向に限界位置を越えて回動することで接触型位置検出スイッチ388が損傷してしまうということを低減できる。また、仮に、外枠11と第1突出部材406との間にケーブルなどの異物を挟んだ状態となり、第1突出部材406が押し戻し方向に回動しても限界位置を越えてまで回動することがなく、内枠12が適正に閉じないあるいは閉じ難いことから、異物の噛み込みを発見できる。
【0142】
また、第1突出部材406は、第2突出部材408よりも厚みを薄くしているので、第1突出部材406に回動限界以上の力が加わった場合に、第2突出部材408よりも第1突出部材406の方が変形し易くできる。つまり、第1突出部材406の弾性部404を好適に実現できる。
【0143】
また、第1突出部材406は、第2突出部材408よりもその突出長さを長くしているので、第1突出部材406に回動限界以上の力が加わった場合に、第2突出部材408よりも第1突出部材406の方が変形し易くできる。つまり、第1突出部材406の弾性部404を好適に実現できる。また、第1突出部材406は、第2突出部材408よりも厚みを薄くし、かつ、第2突出部材408よりもその突出長さを長くしている場合には、さらに弾性に富む。
【0144】
また、弾性部404は、第1突出部材406の先端から回動部402の方に折り曲げた折り曲げ部材410としているので、少ない力で第1突出部材406が曲がり易く、第2突出部材408よりも先に弾性変形させることができ、第1突出部材406の弾性部404を好適に実現できる。
【0145】
また、折り曲げ部材410は、その先端に円弧状部材412を備えているので、内枠12を閉状態とする際に近づいてくる外枠11に対して好適に接触させることができ、確実に緩衝部材400を回動させることができる。
【0146】
また、外枠11は、当該パチンコ機の外殻を形成し遊技場(ホール)の遊技島に固定されるものであり、内枠12は、外枠11の一側部(正面視で左側部)を開閉軸(開閉回動軸J1)として当該外枠11に対して開閉可能に支持されたものとしているので、外枠11に対して内枠12が開かれた開状態を好適に検出できるし、内枠12を閉じる際の衝撃も緩めることができるし、接触型位置検出スイッチ388の損傷および誤検出を低減できる。
【0147】
また、実施例では、第2突出部材408と第1突出部材406とのなす角度を直角(略直角であってもよい)としているが、第2突出部材408の第1突出部材406に対する取り付け角度を変えることで、接触型位置検出スイッチ388の取り付け位置を変更することができ、接触型位置検出スイッチ388の取り付けの自由度を確保できる。
【0148】
この発明は、上記実施形態に限られることはなく、下記のように変形実施することができる。
【0149】
(1)上述した実施例では、第1突出部材406および第2突出部材408は、回動部402からその回動軸に対して直交する方向に突出した部材としているが、直交以外に交差する方向に突出した部材としてもよい。
【0150】
(2)上述した実施例では、緩衝部材400は、回動部402と第1突出部材406と第2突出部材408とが一体成形されて一体的としているが、これら(回動部402と第1突出部材406および第2突出部材408)を組み付けたり、固着させたりして一体的としてもよい。
【0151】
(3)上述した実施例では、開閉検出機構420や接触型位置検出スイッチ388は、内枠12の開状態と閉状態との両方を検出するものとしているが、内枠12の開状態と閉状態とのうちで少なくとも閉状態を検出するものしてもよい。
【0152】
(4)上述した実施例では、被対象部材として外枠11を、開閉部材として内枠12をそれぞれ採用しているが、被対象部材として外枠11以外のものを、開閉部材として内枠12以外のものをそれぞれ採用してもよい。
【0153】
(5)上述した実施例では、第1突出部材406は、内枠12が閉状態となる際に外枠11に当接しているが、内枠12が閉状態となる際に、外枠11に直接に当たることのみならず、外枠11に対しては直接触れないがこの外枠11に設けられた配設部材あるいは介装部材に当接するようにしてもよい。
【0154】
(6)上述した実施例では、第1突出部材406は、第2突出部材408よりも厚みを薄くし、かつ、第2突出部材408よりもその突出長さを長くしているが、第1突出部材406は、第2突出部材408よりも厚みを薄くするのみとしたり、第1突出部材406は、第2突出部材408よりもその突出長さを長くするのみとしたりしてもよい。
【0155】
(7)上述した実施例では、弾性部404として、第1突出部材406の先端から回動部402の方に折り曲げた折り曲げ部材410を採用しているが、コイルバネ、板バネなど各種の弾性体を採用してもよい。
【0156】
(8)上述した実施例では、第1突出部材406と第2突出部材408とのなす角度を90度としているが、略90度としてもよいし、その他の角度としてもよい。
【0157】
(9)本発明を各種(例えば第一種、第三種など)の遊技機に実施してもよいし、上記実施例とは異なるタイプのパチンコ機等に実施してもよい。例えば、一度大当たりすると、それを含めて複数回(例えば2回、3回)大当たり状態が発生するまで、大当たり期待値が高められるようなパチンコ機(通称、2回権利物、3回権利物と称される。)として実施してもよい。また、大当たり図柄が表示された後に、所定の領域に球を入賞されることを必要条件として特別遊技状態となるパチンコ機として実施してもよい。また、球が所定の入賞口に入ることで特別遊技状態となるパチンコ機として実施してもよい。さらに、パチンコ機以外にも、アレンジボール型パチンコ、雀球、いわゆるパチンコ機とスロットマシンとが融合した遊技機等の各種遊技機として実施するようにしてもよい。
【0158】
なお、パチンコ機とスロットマシンとが融合した遊技機の具体例としては、複数の図柄からなる図柄列を変動表示した後に図柄を確定表示する可変表示手段を備えており、球打出用のハンドルを備えていないものが挙げられる。この場合、所定の操作(ボタン操作)に基づく所定量の遊技球の投入後、例えば操作レバーの操作に起因して図柄の変動が開始され、例えばストップボタンの操作に起因して、あるいは、所定時間経過することにより、図柄の変動が停止され、その停止時の確定図柄がいわゆる大当たり図柄であることを必要条件として遊技者に有利な大当たり状態が発生させられ、遊技者には、下部の受け皿に多量の球が払い出されるものである。
【産業上の利用可能性】
【0159】
以上のように、この発明は、パチンコ機やスロットマシン等の遊技機に適している。
【符号の説明】
【0160】
11 …外枠(被対象部材)
12 …内枠(開閉部材)
400 …緩衝部材
402 …回動部
404 …弾性部
406 …第1突出部材
408 …第2突出部材
410 …折り曲げ部材
412 …円弧状部材
420 …開閉検出機構
422 …収納本体部
424 …可動片
426 …当接面
430 …規制部材
440 …開口部
442 …収容部材
444 …壁部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被対象部材に対して開いた開状態と、前記被対象部材に対して閉じた閉状態とに変位可能な開閉部材と、
前記開閉部材の開状態と閉状態とのうちで少なくとも閉状態を検出する検出手段と、
前記開閉部材を閉状態とする際の当該開閉部材と前記検出手段との間に設けられる緩衝部材と、
を備えた遊技機において、
前記緩衝部材は、前記開閉部材に軸支された回動部と、前記回動部からその回動軸に対して交差する方向に突出した部材であって、前記開閉部材が閉状態となる際に前記被対象部材に当接する第1突出部材と、前記回動部からその回動軸に対して交差する方向でかつ前記第1突出部材とは異なる方向に突出した、前記第1突出部材とは別の第2突出部材とが一体的に形成されたものであり、
前記検出手段は、収納本体部と、付勢力により押出される可動片と、前記可動片を押圧することで開あるいは閉となる接点部とを備えた接触型位置検出手段であり、
前記接触型位置検出手段は、前記開閉部材が閉状態となる際に回動してきた前記第2突出部材が前記可動片を押圧する位置に配設され、前記可動片の押圧により前記開閉部材が閉状態の位置にあることを検出するものであり、
前記第1突出部材は、前記開閉部材を閉状態としたときに弾性変形する弾性部を有している
ことを特徴とする遊技機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2012−179390(P2012−179390A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−115697(P2012−115697)
【出願日】平成24年5月21日(2012.5.21)
【分割の表示】特願2011−93863(P2011−93863)の分割
【原出願日】平成17年12月21日(2005.12.21)
【出願人】(000144522)株式会社三洋物産 (4,662)
【Fターム(参考)】