説明

遊技機

【課題】球受け皿から抜出される遊技球が飛散するのを抑制し得る遊技機を提供する。
【解決手段】球受け皿16の受皿部42の底面に、上下方向に開口する球抜き口50が形成される。球抜き口50は、第1球抜き通路44を介して球出口65に連通する。第1球抜き通路44は、球抜き口50に連通して縦方向に延在する第1通路部44aと、第1通路部44aの下端に接続して前側に向けて延在する第2通路部44bとから構成され、第2通路部44bの前端部で球出口65に連通する。球出口65を画成する内周面68の前壁面68aに、左右方向に離間して複数の第1突部69が、後側に向けて突設される。第1突部69は、上側から下側に向かうにつれて後側に向けて漸次突出する形状に形成される。第2通路部44bを流下するパチンコ球は、第1突部69に当ることで減勢された後に球出口65から落下する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、球受け皿に貯留した遊技球を、球箱等に排出するようにした遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
代表的な遊技機であるパチンコ機は、貸球や、遊技中に獲得した賞球等のパチンコ球を貯留する球受け皿(上球受け皿、下球受け皿)を備えている(例えば、特許文献1参照)。球受け皿は、該球受け皿に形成したパチンコ球の貯留部の底面に球抜き口が形成され、該球抜き口を開閉する球抜き手段を開放することで、貯留部に貯留されているパチンコ球は、球抜き口に連通する球排出通路を流下して球受け皿の下面で開口する球出口から外部に排出されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−101756号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記パチンコ機では、前記球受け皿の下方に設けられた島設備の球箱載置部に球箱をセットした状態で前記球抜き手段を開放することで、球受け皿に貯留されているパチンコ球が球箱に抜出される。球受け皿の下面と球箱載置部との間隔は、球箱を前側から出し入れするために球箱の高さ寸法より大きく設定される。このため、球箱にパチンコ球が全く入っていない状態では前記球出口と球箱の底面との離間距離が大きく、該球出口から排出されるパチンコ球が球箱の底面で勢いよく弾んで外部に飛び出してしまうことがある。このようなパチンコ球の飛び出しは、遊技者に損失を与えるだけでなく、遊技者に不快感を与える問題を招いていた。
【0005】
すなわち本発明は、従来の技術に係る遊技機に内在する前記問題に鑑み、これらを好適に解決するべく提案されたものであって、球受け皿から抜出される遊技球が飛散するのを抑制し得る遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、本願の請求項1に係る発明は、
遊技球(P)が貯留される貯留部(42a)を形成した球受け皿(16)に、貯留部(42a)の底面で開口する球抜き口(50)と、該球抜き口(50)と連通して下向きに開口する球出口(65)と、球抜き口(50)と球出口(65)とを連通する球抜き通路(44)とが形成され、前記貯留部(42a)に貯留されている遊技球(P)を球出口(65)から排出するようにした遊技機において、
前記球通き通路(44)は、前記球出口(65)の開口方向と交差する方向に延在して球抜き口(50)から流入する遊技球(P)を案内する球通路(44b)を備え、該球通路(44b)の底面に前記球出口(65)が開口し、
前記球出口(65)より球通路(44b)を流下する遊技球(P)の進行方向前側に臨む壁面(68a)に、球出口(65)に向かう遊技球(P)に干渉して減勢する突部(69)が突設されることを要旨とする。
【0007】
請求項1に係る発明によれば、遊技球が突部に当ることで減勢され、球受け皿の下方にセットした球箱に落下する際の遊技球の勢いは弱くなるので、該遊技球が球箱から飛び出すのを抑制することができる。
【0008】
請求項2に係る発明では、前記球通路(44b)は、後側から前側に向けて延在して前端部で前記球出口(65)に連通し、
前記突部(69)は、上側から下側に向かうにつれて後側に向けて漸次突出する形状に形成されることを要旨とする。
請求項2に係る発明によれば、突部に当った遊技球は後側に跳ね、球出口における後側に偏った位置から球箱に落下するので、球箱の前側へ遊技球が飛び出すのを抑制し得る。
【0009】
請求項3に係る発明では、前記突部(69)は、上下方向に延在する稜線(69a)が上側から下側に向かうにつれて後側に向けて傾斜する山形に形成され、該稜線(69a)を挟む両側に傾斜面(69b)を備えることを要旨とする。
請求項3に係る発明によれば、突部の傾斜面に当った遊技球を横方向に跳ねさせることができ、該遊技球を隣り合う別の傾斜面に当て遊技球をより減勢して、遊技球が飛散するのをより抑制し得る。また、傾斜面に当った遊技球が横方向に向かうことで球箱の一部に遊技球が集中して落下するのを防止することができる。すなわち、球箱の一部に遊技球が集中して落下すると該球が山形に貯留され、後から落下する遊技球が山の上部の遊技球に当ることで球箱から飛び出し易くなってしまうが、請求項3の発明では球箱に分散して遊技球を排出することができるので遊技球が山形に貯留され難く、これにより遊技球の球箱からの飛び出しを抑制し得る。
【0010】
請求項4に係る発明では、前記球出口(65)を挟んで前記壁面(68a)とは反対側の球通路(44b)の底面は、球通路(44b)を流下する遊技球(P)を前記突部(69)に向け案内する上向きの傾斜面(67b)を備えることを要旨とする。
請求項4に係る発明によれば、球通路を流下する遊技球を傾斜面によって突部に向けて案内することができ、遊技球の勢いを確実に減らすことができる。また、傾斜面自体も上向きとなっているので、遊技球が傾斜面を上ることでも勢いを弱まらせることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る遊技機によれば、球出口から排出される遊技球が飛散するのを抑制し得る。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の好適な実施例に係るパチンコ機を示す正面図である。
【図2】実施例の外枠と中枠とを組付けた状態を示す背面図であって、遊技盤は取外してある。
【図3】実施例の前枠を前側から視た状態で示す概略斜視図である。
【図4】実施例の前枠を後側から視た状態で示す概略斜視図である。
【図5】実施例の前枠を示す横断平面図である。
【図6】実施例の球受け皿を後側から視た状態で示す概略斜視図である。
【図7】実施例の球受け皿を示す縦断側面図である。
【図8】実施例の球受け皿を示す要部縦断側面図である。
【図9】実施例の球受け皿を示す要部横断平面図である。
【図10】実施例の球受け皿からカバー部材を取外した状態で示す要部概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本発明に係る遊技機につき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照しながら以下詳細に説明する。なお、実施例では、遊技球としてパチンコ球を用いて遊技を行なうパチンコ機を例に挙げて説明する。また、以下の説明において、「前」、「後」、「左」、「右」とは、特に断りのない限り、図1に示すようにパチンコ機10を前側(遊技者側)から見た状態で指称する。
【実施例】
【0014】
(パチンコ機10について)
実施例に係るパチンコ機10は、図1または図2に示すように、前後に開口する矩形枠状に形成されて遊技店の図示しない設置枠台に縦置き姿勢で設置される固定枠としての外枠11の開口前面側に、遊技盤12を着脱可能に保持する本体枠としての中枠13が開閉および着脱可能に組付けられて、該遊技盤12の裏側に、各種図柄を変動表示可能な図柄表示装置14が着脱可能に配設されている。また、前記中枠13の前面側には、前記遊技盤12を透視保護するガラス板や透明な合成樹脂材により形成された透明部材で前後に開口する窓部を覆うよう構成された開閉部材としての前枠15が開閉可能に組付けられると共に、該前枠15の下部位置にはパチンコ球Pを貯留する球受け皿16が前枠15と一体的に開閉可能に組付けられる。前枠15には、球受け皿16の側方に、前記中枠13に配設された打球発射装置(図示せず)を作動する操作ハンドル17が設けられ、該操作ハンドル17の回動操作によって打球発射装置が作動されて、前記球受け皿16に貯留されたパチンコ球Pが前記遊技盤12に向けて発射されるようになっている。なお、実施例では、前記図柄表示装置14としては、各種図柄を表示可能な液晶パネルを収容ケースに収容した液晶表示装置が採用されるが、これに限られるものではなく、ドラム式の図柄表示装置やドットマトリックス式の図柄表示装置等の各種図柄を停止および変動表示可能な従来公知の各種の図柄表示装置を採用し得る。
【0015】
(遊技盤12について)
前記遊技盤12は、ベニヤ板や透明なアクリル板等から所定板厚の略矩形状に形成された板状体であって、該遊技盤12の表面(盤面)に配設された略円形状に湾曲形成する案内レール18により、パチンコ球Pが流下可能な遊技領域19が画成される。また、前記遊技盤12の裏面に、前記図柄表示装置14が取付けられた設置部材(図示せず)が配設されている。遊技盤12には、図柄表示装置14の図柄表示部に対応する位置に前後に開口する表示開口部(図示せず)が開設され、該表示開口部に合わせて、所要の装飾を施したセンター役物とも称される枠状装飾体20が臨むようになっている。また遊技盤12には、遊技領域19に臨む位置に、パチンコ球Pの入賞により図柄表示装置14の図柄を変動開始させる始動入賞装置21や、大当りの発生時に開放する特別入賞装置22の各種遊技部品が配設されている。
【0016】
(中枠13について)
図2に示すように、前記中枠13は、上縁をなす上枠部23と、下縁をなし、スピーカや球発射装置等を設置する設置部材として機能する下枠部24と、一方の側縁(パチンコ機10の前側から見て左側)をなす第1側枠部25と、他方の側縁(パチンコ機10の前側から見て右側)をなす第2側枠部26とから構成されて、これら上下左右の枠部23,24,25,26を組付けた際に、全体が外枠11の開口領域に整合する大きさに形成される。そして、外枠11に対して中枠13の第1側枠部25側が、ヒンジ機構を介して回動自在に支持されて、第2側枠部26側が施錠装置により施錠されるようになっている。また、中枠13には、上下左右の枠部23,24,25,26を組付けることで前後に開口する開口領域が画成され、この開口領域に遊技盤12が設置される。なお、前記外枠11には、中枠13の下枠部24から下方に延出する部分に、該部分の前面を覆う幕板11aが配設され、前記球受け皿16からの球抜きに際して島設備の球箱載置部に載置した球箱72の後面を幕板11aに当接することで、該球箱72が球受け皿16の下方に臨んで後述する球出口65から排出されるパチンコ球Pを受け入れ得るようになっている(図8参照)。
【0017】
図2に示すように、前記中枠13には、設置枠台に設けられた球供給設備(図示せず)から供給されるパチンコ球Pを貯留可能な球貯留部27が、上枠部23の裏側に設けられている。また、中枠13には、球受け皿16に連通する球流通路が形成された球通出案内部28が、下枠部24の裏側に配設されている。そして、球貯留部27と球通出案内部28とが、球通路ユニット29によって連通接続されている。また、球通路ユニット29には、パチンコ球Pの払出しを行なう球払出装置30が配設されており、所定の制御条件に基づいて球払出装置30が作動することで、球貯留部27に貯留されるパチンコ球Pは、球通路ユニット29および球通出案内部28を介して賞球または貸球として前記球受け皿16に給出されるようになっている。
【0018】
(前枠15について)
前記前枠15は、図3および図4に示す如く、内側に窓部を開口した枠体31と、この枠体31の下部に設けられた設置部32とから基本的に構成され、枠体31に前記透明部材が後側から取付けられて窓部を覆うよう構成される。一方、設置部32には、前記中枠13に配設したスピーカの出力部を挿通可能な通孔32aが形成されると共に後側に球送り装置33が配設され、また通孔32aに挿通されたスピーカを前側から覆うように前記球受け皿16が設置部32に対して前側から取付けられる。設置部32には、中枠13に対して閉成した状態で、該中枠13に形成されて前記球通出案内部28に連通する球経路部(図示せず)に連通する球受入口32bが前後方向に開口するよう形成され、該球受入口32bは、球受け皿16の後述する貯留部42aに連通するよう構成される。すなわち、前記球払出装置30の作動によって球通出案内部28に供給されたパチンコ球Pは、前枠15の球受入口32bを介して球受け皿16の貯留部42aに給出されるようになっている。
【0019】
(球受け皿16について)
前記前枠15の設置部32に配設された前記球受け皿16は、図6に示す如く、当該球受け皿16の外郭となる上方および後方に開口する箱状の外郭体34と、該外郭体34の裏側に配設されてパチンコ球Pを貯留する貯留部42aを画成した球皿本体35と、外郭体34と球皿本体35との間の隙間に嵌合され、各種操作ボタン37,38,39が装備された操作ユニット36とを基本的な構造部材として組付けることでユニット化されている。また、球受け皿16は、前記前枠15の設置部32の左右方向の幅に整合するサイズに構成されている(図3,図5参照)。
【0020】
前記操作ユニット36は、球受け皿16の上面の一部を構成するものであって、該ユニット36には、図3,図5および図6に示す如く、当該パチンコ機10におけるゲーム制御用(演出選択用、精算用等)の各種制御用ボタン37、球貸し操作用の球貸し操作ボタン38および後述する第2開閉弁59の操作用の第2球抜き操作ボタン39等が上側に臨むようにして配設されている。
【0021】
前記外郭体34は、該外郭体34の底部を構成する横長矩形状の底壁部40と、該底壁部40の前端縁から上方に立上がると共に前方に張り出すように膨出する前壁部41とを備えて、後方および上方に開口している。そして、底壁部40と前壁部41とで画成される空間に、前壁部41の裏側に臨むように前記球皿本体35が収容されると共に、該球皿本体35と前壁部41との間に画成される上下方向に開口する隙間に、前記操作ユニット36が上側から配設されるよう構成される。なお、前壁部41は、図3および図5に示す如く、左右方向の両側を後退させた曲面状に形成されて、前方への圧迫感を抑えるようにしている。また、前壁部41の左右両端には設置部32と平行な平坦部が設けられ、右側の平坦部と曲面部との境に前記操作ハンドル17の装着部41aが設けられている。
【0022】
(球皿本体35について)
前記球皿本体35は、図6および図7に示す如く、上方および後方に開口する受皿部42が上部に設けられ、球受け皿16を前記設置部32に取付けることで、該受皿部42と設置部32の前面とにより、パチンコ球Pを貯留する上方に開口する貯留部42aが画成される。また球皿本体35には、受皿部42の下側に球皿構成部43が設けられ、該球皿構成部43に、後方および下方に開口する第1球抜き通路(球抜き通路)44と、後方に開口すると共に第1球抜き通路44に連通接続する第2球抜き通路45とが形成され、これら球抜き通路44,45の後方開口は、球受け皿16を設置部32に取付けることで該設置部32の前面で閉成されるよう構成される。なお、球皿構成部43には、前記スピーカと対応する位置に、筒状の収容壁部46が設けられ、前記設置部32に球受け皿16を配設することで、該収容壁部46内にスピーカの出力部が収容されるよう構成される。また、収容壁部46で画成される内部空間は、前記底壁部40に形成した放音口40a(図10参照)に連通すると共に、該空間の途中に設けた壁にスピーカ用の多数の透孔が形成されている。すなわち、スピーカから出力された音は、底壁部40の放音口40aから放出されるようになっている。なお、底壁部40には、多数の透過孔47aが形成されたカバー部材47が下側から配設され、該カバー部材47における透過孔47aの形成領域で放音口40aが覆われている。
【0023】
前記受皿部42の内底面は、図5に示す如く、左側から右側に向かうにつれて前後幅が小さくなるよう設定されると共に、右端部側にはパチンコ球1個分の前後幅で金属製のレール48が敷設された整列送出部42bが設けられている。また受皿部42の底面は、左側から右側に向かうにつれて所定角度で下方傾斜するよう形成され、整列送出部42bの右端(下流端)に設けられた球送り口49に向けて受皿部42に貯留されるパチンコ球Pが1列で流れ込むよう構成される。そして、球送り口49に通入して後述する第2開閉弁59(図7参照)を介して後方に案内されるパチンコ球Pが、前記設置部32に配設した球送り装置33によって1個ずつ発射レール(図示せず)に送り込まれるよう構成されている。
【0024】
前記受皿部42の底面(貯留部42aの底面)には、図5,図6または図7に示す如く、左右方向の略中央に上下方向に開口する球抜き口50が形成されており、該球抜き口50が前記第1球抜き通路44に連通している。また受皿部42には、球抜き口50を開閉可能な第1開閉弁51が操作可能に配設される。この第1開閉弁51は、前記前壁部41に設けた第1球抜き操作ボタン52を前側から操作することによって開閉作動し、開放状態で球抜き口50を第1球抜き通路44に連通し、受皿部42(貯留部42a)に貯留されているパチンコ球Pを第1球抜き通路44に通出し得るよう構成される。なお、第1開閉弁51は、閉成状態で第1球抜き操作ボタン52を操作した際には、第1球抜き操作ボタン52と第1開閉弁51とを連繋する連繋機構によって開放状態に保持可能に構成され、再び第1球抜き操作ボタン52を操作することで閉成状態に復帰するよう構成されている。
【0025】
(第1球抜き通路44について)
前記第1球抜き通路44は、図6,図7または図8に示す如く、前記球抜き口50の下側から下方に向けて縦方向に延在する第1通路部44aと、該第1通路部44aの下端に接続して前側に向けて延在する第2通路部(球通路)44bとから構成され、該第2通路部44bの前端部が、後述する球出口65に連通するよう構成される。第1通路部44aは、受皿部42の下面から下方に向けて延在する第1壁53と、左右方向に離間して第1壁53から後方に延出する第2壁54および第3壁55と、前記設置部32の前面とによって画成される。第2壁54と第3壁55とは、図6に示す如く、第1通路部44aの上側から途中までの間で上側から下側に向かうにつれて左右方向の幅が徐々に広がった後、一定幅で垂下するように形成される。図6において右側に位置する第3壁55は、前記収容壁部46の一部を構成するものであって、該第3壁55の上部は第2壁54に向けて凸となるよう湾曲し、この湾曲部分が、前記球抜き口50の下方に臨んでいる。すなわち、球抜き口50を通出したパチンコ球Pは、第3壁55の湾曲部分に当って落下方向が第2壁54に向かうように変更されるようになっており、これによってパチンコ球Pを減勢し得るようになっている。なお、湾曲部分の外面(パチンコ球Pが落下する部位)には、複数の補強リブ55aが前後方向に並設されて補強されており、パチンコ球Pの落下の衝撃によって第3壁55が損傷するのを抑制し得るようにしてある。
【0026】
前記第3壁55における湾曲部分の下側に、第2壁54に向けて突出する第1段部56が設けられ、該第1段部56によってもパチンコ球Pを減勢し得るようになっている。この第1段部56は、図6に示す如く、前記収容壁部46を構成する壁と、該壁に対して第2壁54側に離間して並設した壁とを複数のリブを介して接続して構成されたものであって、このような構成とすることで第1段部56の強度を向上するようにしてある。また、第1段部56は、前記第1球抜き通路44に対する第2球抜き通路45の後述する連通部54aに対向しており、第2球抜き通路45から第1球抜き通路44に通入するパチンコ球Pの勢いによっては、該パチンコ球Pが第1段部56に当った後に落下するよう構成される。
【0027】
前記第1球抜き通路44の第2通路部44bは、図7および図8に示す如く、前記第1壁53の下端から前方に向けて延在する第4壁57と、該第4壁57の左右の縁部および前縁部から垂設されて前記第2壁54および第3壁55に接続する平面視コ字状の第5壁58と、前記外郭体34の底壁部40に設けられた後述する受部材64とにより画成される。そして、前記第1通路部44aを流下(落下)するパチンコ球Pは、受部材64上に落下した後に、該受部材64上を前方に流下するよう構成される。
【0028】
(第2球抜き通路45について)
前記球送り口49は、図6に示す如く、前記球皿構成部43に形成した前記第2球抜き通路45の上流端に接続し、該接続部に球送り口49を開閉する第2開閉弁59(図7参照)が操作可能に配設される。この第2開閉弁59は、前記操作ユニット36に設けた第2球抜き操作ボタン39の操作によって開閉作動し、開放状態で球送り口49を第2球抜き通路45に連通し、受皿部42(貯留部42a)に貯留されているパチンコ球Pを第2球抜き通路45を介して第1球抜き通路44に通出し得るようになっている。なお、第2開閉弁59は、閉成状態で球送り口49と第2球抜き通路45との連通状態を遮断すると共に、球送り口49に通入したパチンコ球Pを上面で前記球送り装置33に案内するべく機能する。
【0029】
前記第2球抜き通路45は、図6に示す如く、受皿部42の下面から下方に向けて延在する第6壁60と、該第6壁60から後方に突出して前記球送り口49との接続部から下方に所定長さ延在した後に左方(第1球抜き通路44側)に向けて下方傾斜するよう延在する第7壁61および第8壁62と、前記設置部32の前面とによって画成される。第7壁61および第8壁62は、球送り口49の下方では左右方向に離間し、その後に左側に湾曲した後は上下方向に離間した状態で第1球抜き通路44の第1通路部44aまで延在している。また、第2球抜き通路45の下流端は、第1通路部44aを画成する第2壁54に形成した開口(以後、連通部54aという)を介して第1通路部44aに連通している。
【0030】
前記第2球抜き通路45は、前後幅が、上流端から途中まではパチンコ球Pが1個流下可能な寸法に設定されると共に、該途中から第1球抜き通路44との連通部54aまでは複数のパチンコ球Pが流下可能な寸法に広げられている。すなわち、第2球抜き通路45の上流側の幅狭部45aから下流側の幅広部45bにパチンコ球Pが移行することで、該パチンコ球Pが前後方向に分散し、前記受部材64に対する落下位置が分散されるようになっている。また、第1球抜き通路44と第2球抜き通路45との連通部54aより下側の第2壁54に、第1通路部44a側に突出する第2段部54bが設けられ、連通部54aから落下するパチンコ球P、あるいは連通部54aより上側の第1通路部44aから流下するパチンコ球Pが第2段部54bに当ることによって減勢し得るよう構成される。なお、第2球抜き通路45における幅狭部45aの底面を画成する第8壁62に第3段部62aが設けられ、該幅狭部45aを流下するパチンコ球Pの勢いを第3段部62aで弱め得るようにしてある。
【0031】
(受部材64について)
前記外郭体34の底壁部40には、図7および図8に示す如く、前記第1球抜き通路44における第1通路部44aの下側に臨む位置に凹部63が設けられ、該凹部63に受部材64が着脱自在に配設されている。この受部材64は、第1球抜き通路44における第2通路部44bの底面を構成する部材であって、該受部材64は、前記球皿構成部43を形成する樹脂材料(例えばABS樹脂)より軟質な樹脂材料(例えばポリプロピレン(PP))で形成されて、パチンコ球Pの衝突時の衝撃を緩和すると共に騒音低減を図り得るよう構成される。また底壁部40には、凹部63より前側に上下方向に開口する球出口65が形成されており、底壁部40の上面に、該球出口65を囲繞するように前記第5壁58の下端が当接している。すなわち、球出口65は、前後方向に延在する前記第2通路部44bの前端部において交差する上下方向に開口する状態で連通し、第1通路部44aから第2通路部44bに流入したパチンコ球Pは、受部材64上を前側に流下して球出口65から下方に排出されるよう構成される。言い替えるなら、球出口65の開口方向と、第2通路部44bの延在方向とは交差しており、第2通路部44bを進行してくるパチンコ球Pは、そのままの方向で外部に排出されるのではなく、該進行方向と交差する方向に進行方向が変更されて外部に排出されるようになっている。
【0032】
前記受部材64は、図10に示す如く、略矩形状の本体64aの後縁および左右両側縁に後壁64bおよび側壁64c,64cを上方に立上がるように形成することで、上方および前方に開口する受皿状に形成される。受部材64の底面66a,66b(本体64aの上面)は、図7に示す如く、後壁64b側(球出口65から離間する側)に、下向きに凸となる弧状面66aが形成されると共に、該弧状面66aの前側には、該弧状面66aの前端に連なって受部材64の前端縁までの間で全体として後側から前側(球出口65に対して離間する側から近接する側)に向かうにつれて下方傾斜する斜状面66bが形成される。また受部材64は、本体64aの左右側縁から立上がる側壁64c,64cにおける対向面は、前記弧状面66aの前端付近から前側に向かうにつれて相互に離間するよう形成されて、側壁64c,64cの間に画成されるパチンコ球Pの通路が前側に向かうにつれて拡開するよう構成される(図9参照)。更に、受部材64の前記斜状面66bには、左右方向の中央に、上側に山形に盛り上がると共に斜状面(底面)66bの前端より前方に突出する減勢部67が形成されている。この減勢部67は、前後方向に延在する稜線67aを挟む左右両側に、斜状面66bから稜線67aに向けて上向きに傾斜すると共に前側に向かうにつれて高くなる第1傾斜面(傾斜面)67bが形成されている。そして、受部材64の底面を流下するパチンコ球Pが第1傾斜面67bに乗り上がった後に該傾斜面67b上を下がることでパチンコ球Pの進行方向を左方または右方に変向し得るよう構成される。
【0033】
(突部69,71について)
前記底壁部40における前記球出口65を画成する内周面68であって、前記受部材64上を流下するパチンコ球Pの進行方向前側に臨む前壁面(壁面)68aに、左右方向に離間して複数(実施例では2つ)の第1突部(突部)69が、後側(球出口65側)に向けて突設されている。第1突部69は、上側から下側に向かうにつれて後側に向けて漸次突出する形状に形成される。実施例の第1突部69は、図10に示す如く、上下方向に延在する稜線69aが上側から下側に向かうにつれて後側に向けて傾斜する山形に形成され、該稜線69aを挟む左右両側に、三角形状の第2傾斜面(傾斜面)69b,69bが形成されている(図9参照)。また実施例では、一対の第1突部69,69が、図9に示す如く、前記受部材64に設けた減勢部67の前方において左右両側に臨むように位置して、該減勢部67の第1傾斜面67bで進行方向が変向されたパチンコ球Pが対応する第1突部69に向かうよう構成される。また実施例では、受部材64における減勢部67と各側壁64cとの間に画成される通路を斜状面66bに沿って流下して該受部材64の前端から前方に飛び出したパチンコ球Pも第1突部69に向かうようになっている。
【0034】
前記外郭体34の底壁部40の下面に配設される前記カバー部材47には、図10に示す如く、前記球出口65と対応する位置に、該球出口65と略同一形状で上下方向に開口する通孔47bが形成されている。この通孔47bを画成する内周面70における前記第1突部69,69が設けられる前壁面68aと対応する前壁面70aに、各第1突部69と対応して後側に向けて突出する第2突部71が設けられている。この第2突部71は、図9および図10に示す如く、第1突部69の底面形状と略相似する形状で後側に三角形の山形に突出するよう形成されると共に、その外形寸法は、第1突部69の底面より大きく設定されて、第1突部69の底面から外方に突出するようになっている(図7,図8参照)。すなわち、第1突部69や前壁面68a,70aに当って落下したパチンコ球Pが第2突部71に当り得るよう構成され、該第2突部71に当ったパチンコ球Pを減勢し得るようになっている。
【0035】
(実施例の作用)
次に、実施例に係るパチンコ機10の作用につき説明する。前記球受け皿16に貯留されているパチンコ球Pを排出する際には、該球受け皿16の下方に球箱72(図8参照)を位置決めした状態で、前記第1球抜き操作ボタン52を操作して、第1開閉弁51を開放状態として前記球抜き口50を開放する。これにより、球受け皿16の貯留部42aにおいて球抜き口50より上流側に貯留されているパチンコ球Pは、該球抜き口50から第1球抜き通路44に通入し、前記球出口65から球箱72に排出される。
【0036】
次に、前記第1球抜き通路44を流下して球出口65から排出されるパチンコ球Pの挙動について詳細に説明する。前記球抜き口50に接続する第1球抜き通路44における第1通路部44aを構成する第3壁55は、図6に示す如く、該球抜き口50の下方に湾曲部分を臨ませているので、球抜き口50から通出するパチンコ球Pは第3壁55の湾曲部分に当ることで減勢されて第1通路部44aを流下する。ここで、球抜き口50を通出する際のパチンコ球Pの勢いによって、パチンコ球Pは湾曲部分に沿って流下するものや、該湾曲部分に当って第2壁54側に跳ねるものとがある。そして、湾曲部分に沿って流下するパチンコ球Pは、該湾曲部分に連なる前記第1段部56に当ることで、更なる減勢が図られ、また第2壁54側に跳ねたパチンコ球Pは、該第2壁54に設けた前記第2段部54bに当ることで、更なる減勢が図られる。すなわち、第1通路部44aを流下(落下)するパチンコ球Pは、複数の減勢作用によって勢いが弱められる。なお、第3壁55の湾曲部分には補強リブ55aが並設されているので、球抜き口50を通出したパチンコ球Pが直接当る湾曲部分が損傷するのは防止される。また、第1段部56についても、単に壁の板厚を大きくしたものでなく、一対の壁をリブで接続する構成としたことで、成形時のヒケ等の問題を招くことなく強度および耐久性を向上して損傷するのを抑制し得る。
【0037】
前記第1球抜き通路44の第1通路部44aから第2通路部44bに通入するパチンコ球Pは、図7および図8に示す如く、第2通路部44bの底面を構成する前記受部材64上に落下し、該受部材64の底面66a,66bに沿って前方に流下する。受部材64の底面66a,66bを前方に向けて流下するパチンコ球Pは、底面66a,66bの前端から球出口65に直接落下するものや、前記減勢部67の第1傾斜面67b,67bで進行方向が第1突部69に向かうように変向されて前方に放出されるもの等がある。
【0038】
前記減勢部67を介して受部材64の前方に放出されるパチンコ球Pについて、前記底面の斜状面66bから第1傾斜面67bに乗り上がったパチンコ球Pは、その勢いによっては減勢部67の稜線67aを越えることなく同じ第1傾斜面67bを下がりながら前方に放出される。このパチンコ球Pは、図9に示す如く、前記前壁面68aに形成した第1突部69に向かい、該第1突部69に当って減勢されたパチンコ球Pが球出口65から球箱72に落下する。第1突部69に当ったパチンコ球Pの球箱72の底面に衝突する際の勢いは弱く、パチンコ球Pが球箱72を飛び出してしまうのは抑制される。また実施例では、第1突部69の下端から外方に突出する第2突部71が設けられているので、第1突部69に当って落下するパチンコ球Pが、更に第2突部71に当ることで、パチンコ球Pの勢いは更に弱められ、パチンコ球Pが球箱72から飛び出すのを確実に防止し得る。
【0039】
また、前記減勢部67の第1傾斜面67bは、斜状面66bに対して上向きに傾斜しているので、該第1傾斜面67bにパチンコ球Pが乗り上がることによっても勢いは弱められ、減勢部67から前方に放出されて第1突部69に当る前にパチンコ球Pの勢いはある程度弱められる。なお、前記受部材64の弧状面66aや斜状面66bを流下する際の勢いが強いパチンコ球Pは、減勢部67の一方の第1傾斜面67bに乗り上がって稜線67aを越えて他方の第1傾斜面67bを下がる場合もあるが、このパチンコ球Pも減勢部67を乗り越えることで勢いは弱められるから、勢いがあるまま第1突部69に当ることはなく、該第1突部69による減勢作用によって充分に減勢される。更に、減勢部67の第1傾斜面67bに乗り上がることによってパチンコ球Pの勢いは弱められるから、減勢部67の前端から落下するパチンコ球Pが第1突部69や前壁面68a等に当ることなく球出口65から排出される場合もあるが、このパチンコ球Pの勢いは減勢部67で弱められているから、前記球箱72の前側に向けて勢いよく飛び出すことはない。すなわち、減勢部67で勢いが弱められることで第1突部69や前壁面68a等に当らないようなパチンコ球Pは、減勢部67の前端から略真下に落下し、該パチンコ球Pが球箱72から前方へ飛び出すのは防止される。
【0040】
前記第1突部69は、図7および図8に示す如く、上側から下側に向けて後側に漸次突出する形状に形成されているので、該第1突部69に当ったパチンコ球Pは後方に跳ね返ることで、前記球出口65における後部側から球箱72に落下する。すなわち、前記球受け皿16の下側にセットされた球箱72の前端縁から離間する後方位置にパチンコ球Pが落下するので、該球箱72の底面で跳ねたパチンコ球Pが前端縁を越えて飛び出すのを有効に防止し得る。
【0041】
実施例では、受部材64に設けた減勢部67によって2つの第1突部69に向けてパチンコ球Pを案内するようになっており、かつ各第1突部69は稜線69aを挟む両側に相反する方向に傾斜する第2傾斜面69b,69bを備えているので、第1突部69に当ったパチンコ球Pは、その当った位置によって多方向に跳ね返る。すなわち、球出口65の特定箇所から集中してパチンコ球Pが球箱72に落下することはなく、球出口65から広範囲に亘って分散してパチンコ球Pが落下するので、球箱72の所定箇所にパチンコ球Pが山形に溜ることを防止し、球同士の衝突による外部飛散を抑制することができる。
【0042】
また、前記受部材64は、第1通路部44aからパチンコ球Pが落下する後部位置より前部位置の間口が広がるよう構成してあるので、第1通路部44aから受部材64の底面に落下したパチンコ球Pは左右方向に広がりながら前方に放出され、これによってもパチンコ球Pを分散して球箱72に落下させることができる。
【0043】
前記減勢部67の第1傾斜面67bに乗り上げることなく、減勢部67と各側壁64cとの間の通路を斜状面66bに沿って前方に流れるパチンコ球Pにおいても、受部材64の前端から放出されて前記第1突部69に当って落下する。このパチンコ球Pは、第1突部69との当接、更には第2突部71との当接によって減勢される。また、減勢部67と各側壁64cとの間の通路を前方に流れるパチンコ球Pにおいては、側壁64cの斜面で案内されることで球出口65を画成する内周面68における左右の側面に当って内側に跳ねることで第1突部69に当るものもあり、このパチンコ球Pは第1突部69や第2突部71との当接によって減勢されて落下する。すなわち、受部材64上を前方に流下して該受部材64から前方に放出されるパチンコ球Pは、球出口65の内周面68や第1突部69および第2突部71に当った後に球出口65から落下するので、充分に減勢されており、球箱72からパチンコ球Pが飛び出すのを防止し得る。
【0044】
また、前記受部材64は比較的軟質な合成樹脂で形成されているから、パチンコ球Pが落下した衝撃によって損傷するのは抑制される。更に、受部材64は、外郭体34の底壁部40に対して着脱自在に配設されているので、損傷等した際には受部材64のみを交換することで対応でき、交換に掛かるコストを低廉に抑えることができる。
【0045】
次に、前記第2球抜き通路45から第1球抜き通路44に通入し、球出口65から排出されるパチンコ球Pの挙動につき説明する。前記第2球抜き操作ボタン39を操作して前記球送り口49を閉鎖している第2開閉弁59を開放すると、球受け皿16の貯留部42aに貯留されているパチンコ球Pは、第2球抜き通路45に流れ込み、該第2球抜き通路45を流下して、前記第1球抜き通路44の第1通路部44aの途中に通入する。第2球抜き通路45の底面を構成する第8壁62には、図6に示す如く、パチンコ球Pが1個流通可能な幅狭部45aに第3段部62aが設けられているので、該第3段部62aをパチンコ球Pが越えることで減勢される。そして、このパチンコ球Pは、前記連通部54aから第1通路部44aに通入する。第1通路部44aに通入する際に勢いの弱いパチンコ球Pは、そのまま略真下に落下し、このときに前記第2段部54bに当ることで減勢される。なお、第1通路部44aに通入する際に勢いの強いパチンコ球Pは、第2段部54bを越えて前記第3壁55に向けて飛び出し、該第3壁55の第1段部56を構成する壁に当ることで減勢される。第1段部56は一枚ものの壁でなく、左右に離間する壁をリブで連設しているのでパチンコ球Pが衝突した際に衝撃を吸収することができ、パチンコ球Pの勢いをより弱めることができると共に、当該第1段部56が損傷するのも抑制し得る。
【0046】
また、前記第2球抜き通路45は、連通部54aの上流側に前後幅が広い幅広部45bを設けているので、第2球抜き通路45を流下するパチンコ球Pは幅広部45bにおいて前後方向に分散し、連通部54aから第1通路部44aに通入したパチンコ球Pが前記受部材64の特定箇所に集中して落下するのは抑制される。すなわち、受部材64から前方に流れるパチンコ球Pも分散するので、前記球出口65から球箱72に落下するパチンコ球Pも分散し、前述したと同様に、パチンコ球Pが特定箇所に集中することに起因するパチンコ球Pの飛び出しを防止し得る。また、受部材64へのパチンコ球Pの落下位置が分散することで、該受部材64が損傷するのも抑制し得る。
【0047】
なお、前記第2球抜き通路45を介してパチンコ球Pを排出する場合も、受部材64に落下した後のパチンコ球Pの挙動は、第1球抜き通路44を介してパチンコ球Pを排出する場合と同様であり、前述したと同じ作用効果を奏する。
【0048】
ここで、実施例のように球受け皿16を1つだけ設けた1枚皿タイプのパチンコ機10では、球受け皿16におけるパチンコ球Pの貯留部42aの底面は、一般的な2枚皿タイプのパチンコ機における上側の球受け皿の貯留部と同じ位置であることから、球箱72にパチンコ球Pを排出する際の該球箱72の底面から貯留部42aの底面までの高低差は、2枚皿タイプより大きくなっている。すなわち、貯留部42aのパチンコ球Pを通出する球抜き口50から球受け皿16の球出口65までの高低差が大きく、球抜き口50に通入して球出口65に至るまでにパチンコ球Pの勢いが強くなってしまう。このように、貯留部42aに貯留されているパチンコ球Pを排出する際に、球出口65から勢いよく落下する傾向にある1枚皿タイプのパチンコ機10であっても、実施例のような第2通路部44bおよび第1突部69を採用することで充分な減勢効果が得られ、球箱72からのパチンコ球Pの飛び出しを抑制し得る。また、前記減勢部67や第2突部71を設けることで、より高い減勢効果が得られ、球箱72からのパチンコ球Pの飛び出しを確実に防止することができる。
【0049】
(変更例)
本願は前述した実施例の構成に限定されるものではなく、その他の構成を適宜に採用することができる。
(1) 実施例では、前枠の設置部で球受け皿の貯留部や各通路の後側の開口を閉成する構成としたが、球受け皿の必要箇所に後壁を設けて貯留部や各通路の後側の開口を閉成する構成であってもよい。
(2) 実施例では、第1突部を2つ設ける場合で説明したが、1つあるは3つ以上設けるようにしてもよい。また、複数の第1突部を設ける場合の配置は、左右方向に離間する実施例の配置に限らず、上下方向に離間して配置したり千鳥状に配置する等、各種の配置形態を採用し得る。
(3) 実施例では、減勢部を1つ設ける場合で説明したが、2以上設けるようにしてもよい。また、複数の減勢部を設ける場合の配置は、左右方向に離間する配置に限らず、受部材でのパチンコ球の進行方向の前後に離間して配置したり千鳥状に配置する等、各種の配置形態を採用し得る。
(4) 実施例では、第1突部を三角形状の山形に形成した場合で説明したが、円錐形状や多角形状等、上側から下側に向かうにつれて第2通路部でのパチンコ球の進行方向後方に漸次突出する形状であればよい。すなわち、上側から下側に向けて連続して変位するものでなく、階段状に変位する形状等であってもよい。
(5) 実施例では、第1突部と第2突部とを別体で構成した場合で説明したが、第1突部の下端に第2突部を一体で形成する構成を採用し得る。
(6) 実施例では、減勢部を略三角形状の山形に形成した場合で説明したが、円錐形状や多角形状等、パチンコ球の進行方向上流側から下流側に向かうにつれて上方への突出寸法が大きくなるものであればよい。
(7) 実施例では、第1球抜き通路における第2通路部を後側から前側に向けて延在するよう構成したが、該第2通路部を左右方向に延在するよう構成したものであってもよく、該第2通路部を流下するパチンコ球の進行方向前側の壁面に突部が設けられていればよい。
(8) 実施例では、球受け皿を1つだけ設けた1枚皿タイプのパチンコ機を挙げたが、上下2つの球受け皿を備えた2枚皿タイプのパチンコ機であってもよい。
(9) 遊技機としては、パチンコ機に限られるものではなく、アレンジボール機やパチンコ球を用いたスロットマシン等、その他各種の遊技機であってもよい。
【符号の説明】
【0050】
16 球受け皿
42a 貯留部
44 第1球抜き通路(球抜き通路)
44b 第2通路部(球通路)
50 球抜き口
65 球出口
67b 第1傾斜面(傾斜面)
68a 前壁面(壁面)
69 第1突部(突部)
69a 稜線
69b 第2傾斜面(傾斜面)
P パチンコ球(遊技球)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技球が貯留される貯留部を形成した球受け皿に、貯留部の底面で開口する球抜き口と、該球抜き口と連通して下向きに開口する球出口と、球抜き口と球出口とを連通する球抜き通路とが形成され、前記貯留部に貯留されている遊技球を球出口から排出するようにした遊技機において、
前記球通き通路は、前記球出口の開口方向と交差する方向に延在して球抜き口から流入する遊技球を案内する球通路を備え、該球通路の底面に前記球出口が開口し、
前記球出口より球通路を流下する遊技球の進行方向前側に臨む壁面に、球出口に向かう遊技球に干渉して減勢する突部が突設される
ことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記球通路は、後側から前側に向けて延在して前端部で前記球出口に連通し、
前記突部は、上側から下側に向かうにつれて後側に向けて漸次突出する形状に形成される請求項1記載の遊技機。
【請求項3】
前記突部は、上下方向に延在する稜線が上側から下側に向かうにつれて後側に向けて傾斜する山形に形成され、該稜線を挟む両側に傾斜面を備える請求項2記載の遊技機。
【請求項4】
前記球出口を挟んで前記壁面とは反対側の球通路の底面は、球通路を流下する遊技球を前記突部に向け案内する上向きの傾斜面を備える請求項1〜3の何れか一項に記載の遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−106663(P2013−106663A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−252093(P2011−252093)
【出願日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【出願人】(000135210)株式会社ニューギン (1,935)
【Fターム(参考)】