説明

遊技機

【課題】遊技者が遊技球貸出装置を目視せずとも操作を確認できる遊技機を提供すること。
【解決手段】遊技球を遊技盤13に発射して行う遊技により所定の抽選契機が成立するごとに当落抽選し、当選時に遊技者に有利な遊技状態に移行するとともに、プリペイド媒体の残価値を対価に前記遊技球を貸出す遊技球貸出装置たるCRユニット5との間で信号を送信及び受信可能に接続されたパチンコ機3において、演出用可動役物33A〜33C、及び、前記当落抽選の結果を報知するための図柄Zaを変動表示する図柄可変表示装置31を有し、前記CRユニット5の操作に係る信号を前記CRユニット5との間で送信又は受信した場合に、前記演出用可動役物33A〜33Cを作動させ、及び、前記図柄可変表示装置31に所定の表示をする構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技球を用いて遊技するパチンコ機等の遊技機に係り、特に、遊技球貸出装置が並設された遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、遊技球を用いて遊技するパチンコ機では、遊技球を遊技者に貸出す遊技球貸出装置が並設されている。この種の遊技球貸出装置には、価値情報が記録されたプリペイドカードやプリペイドコイン等のプリペイド媒体の投入を受付け、当該プリペイド媒体から価値情報を読取り、残価値を対価にして遊技媒体を貸し出すものがある(例えば、特許文献1参照)。そして、この種の遊技球貸出装置と信号を送受可能に接続された、いわゆるCR機と呼ばれるパチンコ機が広く知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−131162号公報
【特許文献2】特開2009−233362号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、遊技球貸出装置には、プリペイド媒体の投入操作や排出操作、或いは球貸操作等の各種操作が行われた場合に、当該操作に対する動作結果(エラーの有無等)を通知する表示灯や表示パネルが設けられているが、通常、パチンコ機と遊技球貸出装置とは別体に設けられているため、遊技球貸出装置に対する操作を確認するには、遊技球貸出装置を目視して確認する必要があった。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、遊技者が遊技球貸出装置を目視せずとも操作を確認できる遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は、遊技球を遊技盤に発射して行う遊技により所定の抽選契機が成立するごとに当落抽選し、当選時に遊技者に有利な遊技状態に移行するとともに、プリペイド媒体の残価値を対価に前記遊技球を貸出す遊技球貸出装置との間で信号を送信又は/及び受信可能に接続された遊技機において、可動役物、及び、前記当落抽選の結果を報知するための図柄を可変表示する可変表示装置の少なくとも1つを有し、前記遊技球貸出装置の操作に係る信号を前記遊技球貸出装置との間で送信又は受信した場合に、前記可動役物を作動させ、又は/及び、前記可変表示装置に所定の表示をすることを特徴とする。
【0006】
また本発明は、上記遊技機において、前記遊技球の貸出しを指示する球貸操作に係る信号を送信又は受信したときに、前記可変表示装置で図柄が可変表示されていない場合に、前記可動役物を作動させ、又は/及び、前記可変表示装置に所定の表示をすることを特徴とする。
【0007】
また本発明は、上記遊技機において、前記球貸操作に係る信号を送信又は受信した時刻を記録する球貸時刻記録手段を備え、前記球貸操作に係る信号を送信又は受信したときに、前記可変表示装置で図柄が可変表示されておらず、且つ、前回の球貸操作の球貸時刻から所定時間が経過している場合に、前記可動役物を作動させ、又は/及び、前記可変表示装置に所定の表示をすることを特徴とする。
【0008】
また本発明は、上記遊技機において、前記遊技者に有利な遊技状態が発生した大当発生時刻を記録する大当発生時刻記録手段を備え、前記プリペイド媒体の返却を指示する返却操作に係る信号を送信又は受信したときに、前記大当発生時刻からの経過時間が所定時間以上である場合に、前記可動役物を作動させ、又は/及び、前記可変表示装置に所定の表示をすることを特徴とする。
【0009】
また本発明は、上記遊技機において、前記球貸操作に係る信号を送信又は受信した時刻を記録する球貸時刻記録手段を更に備え、前記プリペイド媒体の返却を指示する返却操作に係る信号を送信又は受信したときに、前記大当発生時刻からの経過時間が所定時間以上であり、且つ、前回の球貸操作の球貸時刻から所定時間が経過していない場合に、前記可動役物を作動させ、又は/及び、前記可変表示装置に所定の表示をすることを特徴とする。
【0010】
また本発明は、上記遊技機において、前記図柄の可変表示による当落抽選結果の報知を保留する保留手段を備え、前記保留手段が保留する当落抽選結果の中に当選が含まれている場合には、前回の球貸操作の球貸時刻からの経過時間によらず、前記可動役物を作動させ、又は/及び、前記可変表示装置に所定の表示をすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、遊技機は、遊技球貸出装置の操作に係る信号を送信又は受信した場合に、可動役物を可動し、又は/及び、可変表示装置に所定の表示をするため、遊技球貸出装置を目視せずとも、これら可動役物の可動、又は/及び、可変表示装置の表示から遊技球貸出装置に対する操作を遊技機で確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態に係るパチンコ機、及びCRユニットを有する遊技システムを示す図である。
【図2】パチンコ機の遊技盤の構成を模式的に示す図である。
【図3】パチンコ機、及びCRユニットの機能的構成を示すブロック図である。
【図4】球貸操作連動演出、及び返却操作連動演出の具体的態様の一例を示す図である。
【図5】球貸操作連動演出処理のフローチャートである。
【図6】返却操作連動演出処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る遊技システム1の構成を模式的に示す図である。
遊技システム1は、遊技機たるパチンコ機3と、このパチンコ機3に並設されたCRユニット(遊技球貸出装置)5とを備えている。パチンコ機3を設置した遊技場では、この遊技システム1が多数設置されており、通常、複数の遊技システム1が横並びに並設されて遊技機島が構成されている。
【0014】
パチンコ機3は、遊技媒体に遊技球を使用して遊技する弾球遊技機であり、当該パチンコ機3の外殻を形成する外枠7と、この外枠7にヒンジ連結されたパチンコ機本体9とを備える。外枠7は、矩形板材を全体として縦長の矩形枠状に組み合わせ小ネジ等の締結部材により固定したものである。パチンコ機本体9は、外枠7に開閉自在に支持され、外枠7の前面に重なり合う合成樹脂製の本体枠11と、この本体枠11に支持されて外枠7の内側に入り込む遊技盤13(図2参照)や各種の裏面部品を一体に含んで構成されている。本体枠11には前面ガラス15が嵌め込まれた視認窓16が形成され遊技盤13の遊技領域13A(図2参照)を視認可能に成されている。
【0015】
図2は遊技盤13の構成を模式的に示す図である。
遊技盤13は、盤面に向けて発射された遊技球を転動することで遊技を実現する略矩形の板材であり、その盤面には略円形状の遊技領域13Aを区画するレール部材14が設けられている。遊技領域13Aには、盤面左側にレール部材14に沿って延びる発射レール27が設けられており、パチンコ機本体9の内部で発射された遊技球が発射レール27とレール部材14の間を通って遊技領域13Aに導かれる。
【0016】
この遊技領域13Aには、大小複数の開口部が設けられ、また多数の障害釘29が植設されている。開口部には、普通入賞口17、常閉の可変入賞装置として構成された大入賞口19、始動口21、普通電動役物(いわゆる電動チューリップ)23、及びアウト口25がそれぞれ設けられている。普通入賞口17及び大入賞口19への遊技球の入賞時には賞球が払出され、また、始動口21を遊技球が通過したときには後述する遊技機メイン基板80(図3参照)によって当落抽選が行われる。なお、始動口21への遊技球の入賞時に賞球を払出しても良い。
当落抽選の当選時には、遊技者が遊技球を増やすのに有利な状態である、いわゆる大当遊技状態に移行する。具体的には、本実施形態のパチンコ機3では、常閉の大入賞口19が所定回数だけ開放動作し遊技球が大入賞口19に入賞可能な遊技状態となる。この大入賞口19の賞球数は比較的多く設定されており、かかる大入賞口19に遊技球が入賞し得る状態となることで遊技球の大幅な増加が期待される。また、本実施形態では、上記当落抽選において、上記大当遊技後(大入賞口19の所定回数の開放作動停止後)から次回の大当り発生までの間、遊技球の通過ゲート22の通過に伴って普通電動役物23を高頻度に開放する第1大当りと、当該普通電動役物23の高頻度の開放が伴わない第2大当りの2種類の大当りを抽選する。第1大当り当選時には、普通電動役物23が高頻度に開放することで入賞し易くなり、入賞に伴う賞球によって遊技者の持玉の減少が抑えられる。なお、普通電動役物23への入賞時にも上記当落抽選を行う構成としても良く、このときの当選確率を始動口21入賞時の当選確率と異ならせても良い。
【0017】
上述の通り、遊技領域13Aには、多数の障害釘29が植設されているため、遊技領域13Aに発射された遊技球は、障害釘29に接触して移動/転動方向を多様に変えながら遊技領域13Aの上方から下方に向かって盤面内を移動し、上記普通入賞口17等のいずれにも入賞しなかった遊技球はアウト口25で回収され遊技領域13Aからパチンコ機本体9の裏側から外部に排出され、遊技場に設置された球循環設備に回収される。なお、このパチンコ機3は、所定個数の遊技球をパチンコ機本体9に予め封入し内部で循環利用する、いわゆる封入球式のパチンコ機として構成されていても良い。
【0018】
遊技盤13の遊技領域13Aには、複数の図柄Zaを可変表示(変動表示)する図柄可変表示装置31が配設されている。図柄Zaは、上記遊技機メイン基板80による当落抽選の結果を表示して遊技者に通知するものであり、遊技者が視認して識別可能な図象であって、文字、数字、記号、図形、絵柄、文様、或いはこれらの組み合わせにより構成されている。本実施形態では、図柄可変表示装置31に、3つの図柄Zaを横並びに表示するとともに、それぞれに同一の図柄Zaを表示することで当選(大当り)を通知し、また、少なくともいずれか1つの図柄Zaを異ならせて表示することで落選(外れ)を通知する。
この図柄可変表示装置31には、図柄Zaが表示可能なものであれば、液晶表示器や、ドットマトリクスLED表示器、7セグ表示器、複数のリールを並列配置した円筒型の回転表示器(いわゆる、ドラム)等の任意の表示器を用いることができる(図示例では液晶表示器)。
【0019】
図柄Zaによる当落抽選の結果の表示に際しては、図柄Zaを所定時間に亘り変動表示させ、変動表示停止時(確定表示時)の各図柄Zaの組み合わせにより当落を通知する。この変動表示の態様(変動時間や表示内容)を様々に異ならせることで、遊技演出の一環として多彩な表示演出を図柄可変表示装置31で行っている。
本実施形態では、3つの図柄Zaの変動表示時には、各図柄Zaを順次、或いは同時に停止し、そのときに2つの同じ図柄Zaが揃っている場合には、3つ目の図柄Zaを、表示演出を伴って変動表示させ、全ての図柄Zaが揃う(すなわち大当が発生する)期待感を遊技者に持たせる、いわゆるリーチ演出が行われる。更に、図柄Zaの変動表示開始時や変動表示中には、図柄可変表示装置31にメッセージや所定の動画像を表示することで、このリーチ演出が発生し得ることを遊技者に通知する、いわゆるリーチ予告演出が行われる。上記リーチ演出、及びリーチ予告演出には、当選期待度が異なる複数種類の演出が予め用意されており、発生したリーチ演出、及びリーチ予告演出の種類によって、大当りの期待感をその都度変えることができるため、遊技の単調さを払拭し、飽きのない遊技を提供できる。
【0020】
また、このパチンコ機3では、表示演出の他にも多彩な遊技演出を可能にすべく、遊技盤13に、複数(図示例では3つ)の演出用可動役物33A〜33Cを設けている。これらの演出用可動役物33A〜33Cは、遊技領域13A内での遊技球の移動に影響を与える事がない構造物であり、上記図柄可変表示装置31での表示演出(上記リーチ演出やリーチ予告演出)と連動して作動することで遊技演出を盛り上げる。演出用可動役物33A〜33Bとしては電動による可動式の人形や可動式の刀といった物品や動植物の模型、或いはランプが含まれる。本実施形態では、図柄可変表示装置31の左右及び上側のそれぞれに、動物やアニメキャラクター等のキャラクター人形の可動役物が演出用可動役物33A〜33Cとして設け、それぞれが独立に図柄可変表示装置31の表示面に向かって進行する動きをする。
なお、遊技盤13のみならず、パチンコ機本体9に演出用可動役物を設けても良い。また、演出用可動役物33A〜33Cの他にも、通常のパチンコ機と同様に、意匠性を図るための固定役物や、いわゆる風車等の遊技球の移動に影響を与え得る役物を設けても良いことは勿論である。
【0021】
前掲図1に戻り、遊技盤13を視認可能にする視認窓16の下側には遊技球の排出口40及び上皿42が設けられている。排出口40からはパチンコ機本体9から払い出される遊技球が排出され上皿42に一旦貯留される。上皿42は、遊技球を一列に整列させながら遊技球発射装置(不図示)側へ導くための球受皿として機能する。パチンコ機本体9の正面右下側には遊技球発射ハンドル44が設けられており、該遊技球発射ハンドル44の操作により遊技球発射装置が作動し、上皿42の遊技球が遊技盤13の遊技領域13Aに発射される。上皿42の下方には、遊技球が上皿42に一杯になった場合に該遊技球が払い出される下皿46が設けられている。
【0022】
またパチンコ機本体9の下部には、スピーカ56や灰皿58が設けられ、また、上皿42の手前側には、遊技者が操作可能な操作子であり、当該操作によって図柄可変表示装置31の表示演出に遊技者が参加するためのプッシュボタン60が設けられ、さらに、パチンコ機本体9の上部には、その左右に各種ランプ62が設けられている。
【0023】
このパチンコ機3は、プリペイド媒体を購入、或いは、プリペイド媒体に現金をチャージし、該プリペイド媒体に記録された残価値を代償として遊技球を借りて遊技する、いわゆるCR機と呼ばれる遊技機であり、各パチンコ機3の左側には、パチンコ機3と1対1で対応するようにプリペイド媒体を読み取るCR(Card Reader)ユニット5が配置されている。本実施形態では、プリペイド媒体としてICを内蔵した硬貨形状のプリペイドコインが用いられているが、この他にも、プリペイドカードやICカード等のカード型の記録媒体を用いることもできる。
【0024】
CRユニット5は、縦長の直方体型の筐体として構成され、その前面には、CRユニット5の機器状態(例えば、通常状態、警告状態、エラー発生状態)を点灯色の切換えによって表す状態表示ランプ64、高額紙幣(例えば、「一万円」、「五千円」や「二千円」などの紙幣)を含む各種紙幣を挿入するための紙幣挿入口66、プリペイドコインの残価値の度数表示や貸出金額を表示する表示部68、会員カードの暗証番号などを入力するテンキー70、コイン投入口72、会員カードを挿入する会員カード挿入口74、及びコイン排出口76が設けられている。
【0025】
CRユニット5は、紙幣挿入口66から紙幣が挿入されると、紙幣の額面に応じた価値情報が記録したプリペイドコインを発行する。このプリペイドコインはパチンコ機本体9の返却ボタン52の操作に応じてコイン排出口76から排出される。また、このプリペイドコインがコイン投入口72に投入されると、CRユニット5はプリペイドコインの残価値を読み取りパチンコ機3の正面に設けられた度数表示部54に残価値に応じた度数を表示させる。
【0026】
またパチンコ機3の正面側には、度数表示部54の他にも、球貸ボタン48、貸出可能ランプ50、及び返却ボタン52が設けられている。球貸ボタン48は遊技球の貸し出し操作のためのボタンであり、貸出可能ランプ50は球貸ボタン48が操作可能な状態であることを表示するランプであり、返却ボタン52はCRユニット5からプリペイドコインを排出させるためのボタンである。球貸ボタン48が操作されると、パチンコ機本体9からCRユニット5に対して球貸ボタン48のボタン押下信号が送信され、プリペイドコインに残価値が存在する限りにおいて、CRユニット5からパチンコ機本体9に貸出指示信号が送信され、該パチンコ機本体9から貸出球が上皿42に払い出され、これにより、パチンコ機本体9に遊技者が発射して遊技可能な遊技球が補充されることとなる。
【0027】
図3は、パチンコ機3、及びCRユニット5の機能的構成を示すブロック図である。
パチンコ機3は、主基板(主制御基板)に分類される遊技機メイン基板80及び払出制御基板81と、主基板に対する周辺基板である演出用サブ基板82及び発射制御基板83とを備えている。主基板は、当落抽選及び遊技球の獲得に影響を及ぼし、又は及ぼすおそれがある機能を有する回路を実装した基板である。これら遊技機メイン基板80及び払出制御基板81のそれぞれは、開封の痕跡を残すことができる、いわゆる、かしめ構造を有したケース体(図示せず)に封入されている。
【0028】
遊技機メイン基板80は、入賞に伴う賞球の払出指示や上述の当落抽選をする主制御CPU80Aを備えた基板である。具体的には、パチンコ機3は、普通入賞口17、大入賞口19、始動口21、普通電動役物23のそれぞれごとに入賞検知センサ84を備え、入賞時には、対応する入賞検知センサ84のいずれかから検知信号が遊技機メイン基板80に出力される。遊技機メイン基板80は、入賞検知センサ84にて入賞が検知されるごとに、賞球払い出しを指示する賞球払出指示信号を払出制御基板81に出力する。
【0029】
また遊技機メイン基板80は、始動口21への入賞の検知を契機として当落抽選を行い、当落抽選結果を図柄表示部(いわゆる、特別図柄表示器)85に表示する。特賞当選時には、遊技機メイン基板80は遊技状態を特別遊技状態(いわゆる大当たり遊技状態や確率変動状態、時間短縮遊技状態など)に移行させ、特別遊技状態の終了条件成立に伴って通常の遊技状態に移行する。図柄表示部85は、遊技機メイン基板80に電気的に接続されて表示制御された表示器であり、例えば7セグメント表示器や多数のLEDランプにより構成されている。図柄表示部85は、通常、遊技盤13の遊技領域13Aの外側に視認可能に設けられており、この図柄表示部85の図柄表示とほぼ同期して上記図柄可変表示装置31の変動表示が行われる。なお、一般に、図柄可変表示装置31で表示される図柄Zaは装飾図柄と呼ばれ、また、図柄表示部85で表示される図柄は特別図柄と呼ばれて両者は区別される。
【0030】
また、遊技機メイン基板80は、図柄可変表示装置31や演出用可動役物33A〜33C、音源、ランプ等により当落抽選結果に応じた遊技演出を行うべく、後述の演出用サブ基板82に、図柄Zaの変動表示時間(当落抽選結果の表示タイミング)やリーチ演出の種類等を指定した演出指示信号を、当落抽選結果を示す大当たり発生信号とともに出力する。
【0031】
払出制御基板81は、遊技球の払出及び発射を管理する払出制御CPU81Aを備えた基板であり、遊技機メイン基板80から賞球払出指示信号を受けるごとに賞球を上皿42に払出す。この払出制御基板81は、CRユニット5と信号を送受可能に接続されており、CRユニット5から遊技球の貸出を指示する貸出指示信号が入力された場合、所定球数の遊技球を上皿42に払出し、払出完了時に貸出結果信号としてCRユニット5に返信する。CRユニット5は、かかる貸出結果信号を受信した場合に、球貸の対価としてプリペイドコインの残価値を減じる。
また払出制御基板81は、CRユニット5との通電状態に基づいて接続状態を監視し、正常に接続されていない(非導通状態)の場合は、発射制御基板83による遊技球の発射を禁止し、遊技を不能にする。
【0032】
上記発射制御基板83は、発射許可信号が払出制御基板81から入力されている事を条件に遊技球の発射を制御する基板であり、また遊技球の発射が可能か否かを示す発射状態信号を払出制御基板81に出力する。この発射制御基板83により、図示せぬ発射装置が制御され、遊技球発射ハンドル44の操作量に応じた弾発力で遊技球が遊技盤13に発射される。
【0033】
上記演出用サブ基板82は、遊技機メイン基板80の演出指示信号に基づいて、上記図柄可変表示装置31や図示せぬ音源、台枠のランプ62を制御して、当落抽選結果に応じた遊技演出を行う回路を搭載した基板であり、遊技機メイン基板80に対して信号を出力することはなく、その動作が遊技機メイン基板80の当落抽選結果に影響を及ぼす事がないように構成されている。
演出用サブ基板82は、制御手段としての遊技演出制御部97と、記憶手段としての遊技演出メモリ98とを備えている。遊技演出制御部97は、マイクロコンピュータを備えて構成され、遊技機メイン基板80から入力される大当り発生信号、及び演出指示信号に基づいて図柄可変表示装置31での図柄Zaの変動表示を制御し、また、これと同期して演出用可動役物33A〜33C等の各種役物を作動させて役物による演出を行う。遊技演出メモリ98は、図柄可変表示装置31での表示演出や演出用可動役物33A〜33Cの役物演出といった、遊技演出に係る各種のデータである遊技演出データ98Aを格納する。
また、遊技演出メモリ98には、CRユニット5の操作に連動した演出のためのCRユニット操作連動データ98Bが格納されているが、これについては後述する。
【0034】
パチンコ機3は、上述した部材の他にも、外部端子板86と、CR基板87と、中継基板88とを備えている。
外部端子板86は、後述の遊技情報を含む外部端子出力情報を遊技店に設置された管理用コンピュータであるホールコンピュータ(遊技台計数管理装置とも呼ばれる)や、各パチンコ機3の上側に設置された台上表示器等に一方向に出力する端子板であり、外部端子板86への外部からの信号入力は禁止されている。上記遊技情報は、主制御基板たる遊技機メイン基板80及び払出制御基板81が管理する情報を含むものであり、この遊技情報には、パチンコ機3での大当たり発生を示す大当たり信号、図柄表示部85での図柄の変動停止を示す図柄停止信号(スタート信号)、賞球数を示す賞球信号、アウト玉数を示すアウト玉信号、更には、パチンコ機本体9の扉開放エラーといった各種エラー通知等が含まれている。
【0035】
CR基板87は、CRユニット5の操作のためにパチンコ機本体9に配設された球貸ボタン48、及び返却ボタン52のボタン押下信号をCRユニット5に出力する基板である。また、このCR基板87には、度数表示器89及び上記貸出可能ランプ50が接続されており、CR基板87は、CRユニット5から入力されたプリペイドコインの残価値を示す度数を度数表示器89に7セグメント等で表示するとともに、CRユニット5からの貸出許可信号の有無に応じて貸出可能ランプ50を点灯する。
中継基板88は、パチンコ機3とCRユニット5とを接続するパラレル信号ケーブルQが接続されるコネクタを有した基板であり、パチンコ機3とCRユニット5の間で送受する信号を中継する。かかる信号には、上記の通り、CRユニット5と払出制御基板81の間で送受される貸出指示信号及び貸出結果信号と、CRユニット5とCR基板87の間で送受されるプリペイド度数、貸出許可信号、及びボタン押下信号が挙げられる。
これらの信号のうち、貸出許可信号、及びボタン押下信号は、遊技機メイン基板80にも入力されており、遊技機メイン基板80は、かかる信号に基づいて、CRユニット5の操作に連動した演出を行う旨を演出用サブ基板82に指示するが、これについては後述する。
【0036】
CRユニット5は、貸出装置制御基板90と、プリペイド媒体たるプリペイドコインを読み書きするプリペイド媒体R/W部91と、会員登録した遊技者の会員カードを読み書きする会員カードR/W部92とを備え、また、この他にも紙幣識別機や、リモコン操作を受け付けるためのリモコン受光部、各種異常等を検知するためのセンサ類等が儲けられている。
【0037】
貸出装置制御基板90は、遊技球の貸出を制御する球貸制御部93と、パチンコ機3との間で上記パラレル信号ケーブルQを通じて信号を送受する通信I/F94とを備えている。
球貸制御部93は、CPUやRAM等を備えて構成されており、プリペイドコインが投入されたときには、当該プリペイドコインから残価値を読み取り、残価値がゼロでない事を条件にパチンコ機3にプリペイド度数、及び貸出許可信号を送出する。また、パチンコ機3から球貸ボタン48のボタン押下信号が入力された場合には、プリペイドコインの残価値がゼロでない事を条件に貸出指示信号をパチンコ機3の払出制御基板81に送出して遊技球の貸出を行い、当該払出制御基板81から貸出結果信号を受信したときにプリペイドコインの残価値を減じる。パチンコ機3から返却ボタン52のボタン押下信号が入力された場合には、球貸制御部93はプリペイドコインを排出する。
【0038】
また、会員カードが挿入された場合には、球貸制御部93は、遊技場に設置された会員管理用のコンピュータである会員カードコンピュータ95に、会員カードの識別IDと自身のCRユニット5の識別ID等を所定の通信線を介して送信する。
会員カードコンピュータ95は、会員カードと、遊技者の各種情報とを対応付けて管理するコンピュータ端末であり、遊技者の情報としては、遊技者の氏名や電子メールアドレス等の他に、例えば、貯玉数や、遊技したパチンコ機及び遊技時刻等といった遊技履歴の情報を管理している。
【0039】
また球貸制御部93は、プリペイドコインや会員カードの識別エラー発生時や、パチンコ機3との間での信号の送受のエラー等の各種のエラーが発生したときには、状態表示ランプ64の点灯色を可変して通知する。
【0040】
以上の構成の下、遊技者が遊技をする場合には、CRユニット5にプリペイド媒体たるプリペイドコインを投入し、或いは紙幣を挿入してプリペイドコインの発行を受ける。かかる操作により、CRユニット5からパチンコ機3に対して、プリペイドコインの残価値を示すプリペイド度数が送出されることで、パチンコ機3の度数表示器89に度数表示される。そして、遊技者が球貸ボタン48を押下操作することで、貸し出された遊技球が上皿42に払出され、この遊技球を発射して遊技することとなる。また、遊技者が遊技を終了する等するときは、プリペイドコインに残価値がある場合には、返却ボタン52を押下操作することで、プリペイドコインがCRユニット5から排出されて返却される。遊技場には精算機が設置されており、遊技者は精算機を使ってプリペイドコインの残価値を精算する。
【0041】
ここで、パチンコ機3にあっては、上述の通り、CRユニット5の操作に係る信号として、球貸ボタン48の押下操作に応じてCRユニット5から出力される貸出許可信号、及び、返却ボタン52の押下操作に応じてCR基板87から出力されるボタン押下信号が遊技機メイン基板80に入力されており、遊技機メイン基板80は、かかる信号が入力された場合、CRユニット5の操作に連動した演出(以下、「操作連動演出」と言う)を指示する操作連動演出指示信号を演出用サブ基板82に出力するように構成されている。
【0042】
この操作連動演出指示信号は、図4に示すように、CRユニット5に対する操作種別に応じて異なる演出を指示する。
具体的には、球貸操作に連動した演出を可能な限り遊技開始当初の球貸時に制限すべく、球貸ボタン48の押下操作時には、球貸ボタン48がしばらくの間操作されておらず、且つ、パチンコ機3の図柄可変表示装置31で図柄Zaが変動していない事(すなわち、パチンコ機3で当落抽選が行われていない事)を条件にして、球貸操作に連動した操作連動演出(以下、「球貸操作連動演出」と言う)が指示される。この球貸操作連動演出では、図4に示すように、上記演出用可動役物33A〜33Cのいずれか(図示例では、図柄可変表示装置31の右側又は/及び左側の演出用可動役物33B、33C)が作動して図柄可変表示装置31の表示面に進入するとともに、当該図柄可変表示装置31に、「待ってたわ」や「また、会ったわね」といった遊技を歓迎する歓迎メッセージを表示する演出が行われる。このとき、歓迎メッセージ以外にも各種の動画像を図柄可変表示装置31に表示する構成としても良い。
【0043】
ここで、球貸操作は、上記貸出指示信号に基づいて検出する代わりに、球貸ボタン48の押下操作によるボタン押下信号に基づいて検出することもできる。ただし、貸出指示信号に基づいて球貸操作を検出する構成とすることで、プリペイドコインを投入していない状態で球貸ボタン48が押下操作されたときにも、上記球貸操作連動演出が行われてしまう事が防止できる。これに加え、CRユニット5からパチンコ機3に対して貸出指示信号が入力されたときに限り球貸操作連動演出が行われることとなるから、遊技者は、球貸ボタン48の押下操作時の球貸操作連動演出の有無に基づいて、CRユニット5から正常にパチンコ機3に対して指示が入力されたか(換言すれば、CRユニット5でプリペイドコインや紙幣の読取エラー等が生じていないか)を判断することができる。そして、球貸操作連動演出発生時に、遊技球の払出がなかった場合には、パチンコ機3で球詰まり等のエラーが発生している事を速やかに把握できる。
【0044】
また、返却ボタン52の押下操作時には、遊技開始当初の球貸操作から一定時間以内であり、且つ、その間に大当遊技状態が発生していない事を条件にして、返却操作に連動した操作連動演出(以下、「返却操作連動演出」と言う)が指示される。この返却操作連動演出では、図4に示すように、上記演出用可動役物33A〜33Cのいずれかのうち球貸操作連動演出では作動しないもの(図示例では、図柄可変表示装置31の上側の演出用可動役物33A)が作動して図柄可変表示装置31の表示面に進入するとともに、当該図柄可変表示装置31に、例えば、「もうやめちゃうの?」や「また遊んでね」、「次も会いましょう。」などの遊技終了を示唆する終了メッセージを表示する演出が行われる。このとき、終了メッセージの内容には、遊技時間が比較的短い事を示唆するものを表示することで、返却ボタン52の押下操作に伴いプリペイドコインが返却された事を、後ろ髪が惹かれるような表現で違和感なく遊技者に伝えることができる。
【0045】
上記歓迎メッセージや終了メッセージ、演出用可動役物33A〜33Cの作動に係るデータは、演出用サブ基板82が備える遊技演出メモリ98に上記CRユニット操作連動データ98Bとして格納されている。
遊技機メイン基板80は、入力信号が貸出指示信号、及び返却ボタン52のボタン押下信号のどちらかであるかに基づいて操作種別を判定し、球貸操作連動演出、及び返却操作連動演出のいずれかの演出を操作連動演出指示信号により演出用サブ基板82に指示する。このとき、遊技機メイン基板80は、歓迎メッセージや終了メッセージの内容、及び、作動する演出用可動役物33A〜33Cを、例えば抽選等によりランダムに決定することとなる。
【0046】
また、本実施形態のパチンコ機3の遊技機メイン基板80は、図柄可変表示装置31による当落抽選結果通知を所定抽選回数分を上限として保留する保留手段として機能するように構成されており、図柄可変表示装置31で図柄Zaが変動表示中であっても、その間における遊技球の始動口21の通過が無駄にならずに当落抽選が受けられるようになっている。すなわち、遊技機メイン基板80は、遊技球が始動口21を通過するごとに当落抽選を行い演出指示信号と共に演出用サブ基板82に出力するが、このとき、図柄可変表示装置31で図柄Zaが変動表示中である場合には、自身の図示せぬRAM(或いは、停電等に備えてEEPROM)に、当落抽選結果、及び演出指示信号を組にして順次格納する。そして、遊技機メイン基板80は、図柄Zaの変動表示が停止するごとに、格納順に当落抽選結果、及び演出指示信号を1つずつ読み出して、演出用サブ基板82に出力することで保留を順番に消化する。
【0047】
このような保留機能を備えるパチンコ機3にあっては、遊技者がプリペイドコインの返却を受けた後に、保留内で大当りが発生する場合がある。この場合、遊技者が保留の存在に気付かずに既にパチンコ機3から立ち去っていたりすると、大当遊技の機会を逸することになる。また、遊技者がプリペイドコインをCRユニット5から既に取り出しているため、パチンコ機3での大当発生に気付いても速やかに大当遊技を遊技できず、大当遊技の遊技時間が短縮されて獲得し得る遊技球が大幅に減ってしまうこともある。
そこで本実施形態では、図4に示すように、返却操作連動演出では、保留内に当選が格納されている可能性が高い旨を表示する終了メッセージが含まれており、かかる終了メッセージを表示することで、大当発生を遊技者に示唆する構成としている。このとき、保留内に当選が含まれている場合に、毎回、大当発生を示唆する終了メッセージが表示されるのではなく、かかる終了メッセージを表示するか否かは、当選が含まれているほど出現率が高くなるように設定されたランダムな抽選により決定される。これにより、大当発生を示唆する終了メッセージが表示されなかったとしても、遊技者が大当発生の期待感を損なうことがなく、保留内に大当発生が含まれている事を遊技者に通知して事前に大当遊技に備えさせることができる。
【0048】
図5及び図6はパチンコ機3における操作連動演出処理のフローチャートであり、図5は球貸操作連動演出処理を示し、図6は返却操作連動演出を示す。
球貸操作連動演出においては、図5に示すように、パチンコ機3の遊技機メイン基板80、及び払出制御基板81は、入賞検知センサ84等の各種センサの検知信号に基づいて、賞球の払出制御や当落抽選といったメイン制御を実行する(ステップSa1)。そして、パチンコ機3に貸出指示信号が入力された場合(ステップSa2:Yes)、払出制御基板81が所定個数の遊技球を払出して貸出を行い(ステップSa3)、また、遊技機メイン基板80は、遊技球を遊技球を貸出した時刻をRAM(或いはEEPROM)等に記録する球貸時刻記録手段として構成されており、今回の球貸操作による球貸時刻を記録する(ステップSa4)。すなわち、遊技機メイン基板80は、時刻を計時する図示せぬ計時回路を有し、貸出指示信号の入力をトリガーとして計時回路の計時時刻を記録する。この貸出記録は、前回の球貸操作からの期間を特定するためにするものであるから、貸出時刻は再新のものを記録していれば良い。
【0049】
次いで、遊技機メイン基板80は、保留が無い状態で図柄可変表示装置31での図柄Zaの変動表示が停止しているか否かに基づいて、パチンコ機3が停止中であるか否かを判定し(ステップSa5)、停止中でない場合には(ステップSa5:No)、遊技中であることを示すため、図柄可変表示装置31での図柄Zaの変動表示を阻害するのを防止すべく、貸出操作連動演出を行わずに処理手順をステップSa1に戻す。
一方、パチンコ機3が停止中である場合(ステップSa5:Yes)、遊技機メイン基板80は、前回の球貸操作から所定時間Taが経過しているか否かを判定する(ステップSa6)。この所定時間Taには、前回に球貸操作をした遊技者が遊技を止めて、今回新たな遊技者が球貸操作をしたと認定できる程度の時間が設定されている。
すなわち、所定時間Taが経過していない場合(ステップSa6:No)、今回の遊技者が前回の球貸操作を遊技者と同じである可能性が高いことを示し、この場合には、同一の遊技者に対して上記球貸操作連動演出が何度も提供されることで煩わしく感じさせてしまう事を防止すべく、遊技機メイン基板80は、球貸操作連動演出を行わずに処理手順をステップSa1に戻す。
【0050】
これとは逆に、所定時間Taが経過している場合(ステップSa6:Yes)、今回の遊技者が前回の球貸操作を遊技者と異なり、遊技開始当初の球貸操作と推定されるため、遊技機メイン基板80は、球貸操作連動演出を指示する操作連動演出指示信号を演出用サブ基板82に送出する(ステップSa7)。このとき、遊技機メイン基板80は、球貸操作連動演出の歓迎メッセージ内容や作動する演出用可動役物33A〜33Cをランダムな抽選により決定し、決定の結果を操作連動演出指示信号に含めて送出する。
そして、演出用サブ基板82は、操作連動演出指示信号に基づいて、CRユニット操作連動データ98Bを読み出し、遊技機メイン基板80から指示された内容の球貸操作連動演出を実行することとなる(ステップSa8)。
【0051】
以上の処理により、遊技者は、かかる球貸操作連動演出がパチンコ機3で行われる事で、球貸操作の結果をCRユニット5を目視せずとも目前のパチンコ機3で確実に確認することができる。
さらに、遊技開始当初の球貸操作に連動して球貸操作連動演出が行われる事で、遊技者は、遊技盤13に配設された各種の役物の中から可動役物である演出用可動役物33A〜33Cを識別し、その作動態様を事前に把握できるため、遊技中には、これら演出用可動役物33A〜33Cの作動に着目して遊技することができ、演出用可動役物33A〜33C等による遊技演出を見落とす事なく遊技を楽しむことができる。
さらに、遊技開始当初の球貸操作に遊技を歓迎する歓迎メッセージが表示されるため、遊技者が気分良く遊技を開始することができる。
【0052】
次いで、返却ボタン52の押下操作時の返却操作連動処理について説明する。
図6に示すように、返却操作連動処理においては、パチンコ機3の遊技機メイン基板80、及び払出制御基板81は、上述の球貸操作連動処理と同様にメイン制御を実行する(ステップSb1)。ただし、このメイン制御において、遊技機メイン基板80は、大当が発生するごとに大当発生時刻をRAM(或いはEEPROM)等に記録する大当時刻記録手段として機能する。
【0053】
この大当発生時刻記録は、大当発生直後におけるプリペイドコインの返却操作時の返却操作連動処理を禁止するためにするものである。すなわち、大当が発生すると遊技者の持玉が増え、貸球を受ける必要が無くなる。この場合、遊技者は、プリペイドコインの払出を忘れないように大当発生時にプリペイドコインの返却操作をすることが多々あり、このような場合にまで返却操作連動演出が実行されると煩わしさを感じさせてしまう。そこで、本実施形態では、大当発生時刻を記録し、大当発生から所定時間Tb内の返却操作に対しては返却操作連動演出をしないようにしている。
【0054】
すなわち、返却ボタン52の押下操作に伴うボタン押下信号が入力された場合(ステップSb2:Yes)、遊技機メイン基板80は、前回の大当発生から所定時間Tb以上が経過しているか否かを判定し(ステップSb3)、経過していない場合には(ステップSb3:No)、返却操作連動演出をせずに、そのまま処理手順をステップSb1に戻す。
なお、パチンコ機3が、賞球を殆ど獲得できない種類の大当り(いわゆる突然確率変動大当りや突然通常大当り、小当り等)を含む場合、これらの大当りについては、遊技者の持玉増加が期待できないため、大当発生時刻の記録を行わずに、大当りが無かったものとする。
【0055】
さて、前回の大当発生から所定時間Tb以上が経過しているときに返却操作された場合(ステップSb:Yes)、遊技機メイン基板80は、保留内で大当り(当選)が発生するか否かを判定する(ステップSb4)。大当りが発生する場合には(ステップSb4:Yes)、遊技者が大当遊技に慌てる事なく望めるようにすべく、遊技機メイン基板80は、返却操作連動演出を指示する操作連動演出指示信号を演出用サブ基板82に送出する(ステップSb5)。このとき、返却操作連動演出時に表示する終了メッセージとして、大当濃厚時の終了メッセージの選択確率が高くなっている。
そして演出用サブ基板82は、操作連動演出指示信号に基づいて、CRユニット操作連動データ98Bを読み出し、遊技機メイン基板80から指示された内容の返却操作連動演出を実行する(ステップSb6)。
【0056】
一方、保留内に大当りが無い場合(ステップSb4:No)、遊技機メイン基板80は、前回の球貸操作から所定時間Tc以上が経過しているか否かを判定する(ステップSb7)。この所定時間Tcは、球貸操作を行った直後における返却操作を識別するために設定した時間であって、球貸操作を行ってから通常なら遊技が継続されているであろうと推定される経過時間である。
【0057】
つまり、この所定時間Tc内での返却操作である場合(ステップSb7:No)、遊技者の誤操作による可能性があるため、遊技機メイン基板80は、操作連動演出指示信号を演出用サブ基板82に送出し(ステップSb5)、パチンコ機3で返却操作連動演出を実行することで(ステップSb6)、遊技者に返却操作がされた事を通知する。かかる返却操作連動演出は、遊技盤13の演出用可動役物33A〜33Cや図柄可変表示装置31を用いて行われる事から、遊技者が遊技に集中している際に無意識に返却ボタン52を誤って操作してしまった場合でも、返却操作がされた事に気が付くことができる。
このとき、返却操作連動演出の終了メッセージとしては、後ろ髪が惹かれるような表現のフレーズが使われることから、通常なら遊技が継続されるだろうタイミングで返却操作がされた事を違和感なく遊技者に伝えることができる。
【0058】
これとは逆に、前回の球貸操作から所定時間Tc以上経過してからの返却操作である場合(ステップSb7:Yes)、遊技者が遊技を楽しんだ後の意図的な返却操作と推定され、この場合、遊技者は、CRユニット5のプリペイドコイン返却口を目視している事が多いため、遊技機メイン基板80は、返却操作連動演出をせずに、そのまま処理手順をステップSb1に戻してメイン制御を実行する。
【0059】
以上説明したように、本実施形態によれば、遊技球貸出装置たるCRユニット5の操作に係る信号として、球貸操作に係る貸出指示信号、及びプリペイドコインの返却操作に係る返却ボタン52のボタン押下信号のいずれかをCRユニット5との間で送信又は受信した場合に、演出用可動役物33A〜33Cを可動しつつ、図柄可変表示装置31にメッセージを表示する操作連動演出を行う構成としたため、遊技者は、CRユニット5を目視せずとも、操作連動演出からCRユニット5に対する操作をパチンコ機3で確認することができる。
【0060】
また本実施形態によれば、パチンコ機3が球貸操作に係る信号である貸出指示信号をCRユニット5から受信したときに、図柄可変表示装置31で図柄Zaが可変表示されていない事を条件に、球貸操作連動演出を行う構成としたため、歓迎メッセージの表示が図柄Zaの変動表示と被る事が無いため、当該図柄Zaの視認性が阻害される事がない。
【0061】
また本実施形態によれば、遊技機メイン基板80が貸出指示信号を受信した時刻を記録する球貸時刻記録手段として機能するように構成され、上記貸出指示信号を受信したときに、図柄可変表示装置31で図柄Zaが可変表示されておらず、且つ、前回の球貸操作の球貸時刻から所定時間Taが経過している場合に限り、球貸操作連動演出を行う構成とした。
この構成により、前回の球貸操作をした遊技者と異なる遊技者である可能性が高い場合に限り、すなわち、遊技者の遊技開始時の最初の球貸操作である可能性が高い場合に限り、上記球貸操作連動演出を行うことができ、同一の遊技者に対して上記球貸操作連動演出が何度も提供されることで煩わしく感じさせてしまう事を防止できる。
また、上記球貸操作連動演出では、遊技を歓迎する歓迎メッセージを表示する構成としたため、遊技開始当初の遊技者の遊技意欲を沸き立て、気分良く遊技することができる。
【0062】
また本実施形態によれば、遊技機メイン基板80が大当発生時刻を記録する大当発生時刻記録手段として機能するように構成され、プリペイド媒体たるプリペイドコインの返却を指示する返却操作に係るボタン押下信号をCRユニット5に送信したときに、大当発生時刻からの経過時間が所定時間Tb以上である場合に、返却操作連動演出を行う構成とした。
この構成により、遊技者は、返却操作連動演出に基づいて返却操作をパチンコ機3で確認できるとともに、大当りにより持玉が増えた遊技者に対しては返却操作連動演出が行われる事が無いため、遊技者が返却操作連動演出を煩わしく感じる事がない。
【0063】
また本実施形態によれば、パチンコ機3は、返却操作に係るボタン押下信号を送信したときに、大当発生時刻からの経過時間が所定時間Tb以上であり、且つ、前回の球貸操作の球貸時刻から所定時間Tcが経過していない場合に限り、返却操作連動演出を行う構成とした。
この構成により、通常、遊技者が遊技を継続するだろうタイミングでなされた返却操作に対してのみ返却操作連動演出を行う構成としたため、誤操作によって返却操作してしまった遊技者に当該返却操作が成された事を知らせることができる。また、返却操作連動演出が遊技盤13に配置された演出用可動役物33A〜33Cや図柄可変表示装置31を用いて行われるため、遊技者が遊技に集中している場合であっても、かかる返却操作連動演出に気付き易く返却操作が成された事を確実に把握できる。
【0064】
また本実施形態によれば、遊技機メイン基板80が図柄Zaの可変表示による当落抽選結果の報知を保留する保留手段として機能するように構成され、保留内に当選が含まれている場合には、前回の球貸操作の球貸時刻からの経過時間によらず、返却操作連動演出を行う構成とした。この返却操作連動演出により、遊技者に遊技盤13を注視させることができるため、遊技者が保留の存在に気が付き易くなり、大当遊技の機会を逸する事を防止できる。特に、保留内に当選が含まれている場合には、返却操作連動演出として、大当発生を示唆する内容の終了メッセージを表示する構成としたため、遊技者が大当遊技の機会を逸するのをより確実に防止できる。また、遊技者はプリペイドコインを再投入等して大当遊技に備える事ができるため、余裕を持って大当遊技を遊技することができる。
【0065】
なお、上述した実施形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で任意に変形及び応用が可能である。
【0066】
例えば、上述した実施形態では、球貸操作連動演出、及び返却操作連動演出において、演出用可動役物33A〜33Cの作動、及び図柄可変表示装置31でのメッセージ表示の両方を行う構成としたが、これに限らず、いずれか一方のみとしても良く、また、この場合、演出用可動役物33A〜33Cの作動、及び図柄可変表示装置31のうち、演出を行う方のみをパチンコ機3が備える構成としても良い。
【0067】
また例えば、CRユニット5に対する操作は、上記球貸操作、及び返却操作に限らず、例えばプリペイドコインの投入、或いは購入操作も考え得る。かかる操作は、CRユニット5からパチンコ機3へのプリペイド度数、或いは貸出許可信号の入力を遊技機メイン基板80が受信することで検知可能である。
このプリペイドコインの投入、或いは購入操作時にパチンコ機3で演出を行う構成とすることで、プリペイドコインを投入/購入したCRユニット5と対になるパチンコ機3を遊技者が間違える事がない。特に、複数のパチンコ機3が横並びに配置されている場合、その間に設けられたCRユニット5が左右のどちらのパチンコ機3と対になっているか間違える遊技者が居る。これに対して、プリペイドコインの投入/購入時にパチンコ機3で発生する演出によりパチンコ機3を間違えることがない。
【0068】
また例えば、上述した実施形態では、主制御基板たる遊技機メイン基板80にCRユニット5とパチンコ機3の間で送信又は受信されるCRユニット5の操作に係る信号を入力し、当該遊技機メイン基板80が操作連動演出を決定して演出用サブ基板82に指示する構成を例示したが、これに限らず、演出用サブ基板82にCRユニット5の操作に係る信号を入力し、当該演出用サブ基板82が操作連動演出の内容(パターン)を決定する構成としても良い。
【0069】
また例えば、遊技者の会員カードと、当該遊技者が遊技したパチンコ機3及び遊技時刻とを対応付けて会員カードコンピュータ95(図3)で管理するとともに、これらの情報を遊技機メイン基板80が直接、或いはCRユニット5を介して会員カードコンピュータ95から取得するように構成し、操作連動演出時には、図柄可変表示装置31に表示するメッセージの内容を、遊技者の遊技履歴(現在のパチンコ機3での遊技が初めてか否か等)に応じて異ならせる構成としても良い。
【符号の説明】
【0070】
1 遊技システム
3 パチンコ機(遊技機)
5 CRユニット(遊技球貸出装置)
9 パチンコ機本体(遊技機本体)
13 遊技盤
13A 遊技領域
21 始動口
29 障害釘
31 図柄可変表示装置(可変表示装置)
33A〜33C 演出用可動役物(可動役物)
48 球貸ボタン
50 貸出可能ランプ
52 返却ボタン
64 状態表示ランプ
80 遊技機メイン基板(球貸時刻記録手段、大当発生時刻記録手段、保留手段)
81 払出制御基板
82 演出用サブ基板
87 CR基板
88 中継基板
89 度数表示器
90 貸出装置制御基板
95 会員カードコンピュータ
97 遊技演出制御部
98 遊技演出メモリ
98A 遊技演出データ
98B CRユニット操作連動データ
Za 図柄

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技球を遊技盤に発射して行う遊技により所定の抽選契機が成立するごとに当落抽選し、当選時に遊技者に有利な遊技状態に移行するとともに、
プリペイド媒体の残価値を対価に前記遊技球を貸出す遊技球貸出装置との間で信号を送信又は/及び受信可能に接続された遊技機において、
可動役物、及び、前記当落抽選の結果を報知するための図柄を可変表示する可変表示装置の少なくとも1つを有し、
前記遊技球貸出装置の操作に係る信号を前記遊技球貸出装置との間で送信又は受信した場合に、前記可動役物を作動させ、又は/及び、前記可変表示装置に所定の表示をする
ことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記遊技球の貸出しを指示する球貸操作に係る信号を送信又は受信したときに、前記可変表示装置で図柄が可変表示されていない場合に、前記可動役物を作動させ、又は/及び、前記可変表示装置に所定の表示をする
ことを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
前記球貸操作に係る信号を送信又は受信した時刻を記録する球貸時刻記録手段を備え、
前記球貸操作に係る信号を送信又は受信したときに、前記可変表示装置で図柄が可変表示されておらず、且つ、前回の球貸操作の球貸時刻から所定時間が経過している場合に、前記可動役物を作動させ、又は/及び、前記可変表示装置に所定の表示をする
ことを特徴とする請求項2に記載の遊技機。
【請求項4】
前記遊技者に有利な遊技状態が発生した大当発生時刻を記録する大当発生時刻記録手段を備え、
前記プリペイド媒体の返却を指示する返却操作に係る信号を送信又は受信したときに、前記大当発生時刻からの経過時間が所定時間以上である場合に、前記可動役物を作動させ、又は/及び、前記可変表示装置に所定の表示をする
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の遊技機。
【請求項5】
前記球貸操作に係る信号を送信又は受信した時刻を記録する球貸時刻記録手段を更に備え、
前記プリペイド媒体の返却を指示する返却操作に係る信号を送信又は受信したときに、前記大当発生時刻からの経過時間が所定時間以上であり、且つ、前回の球貸操作の球貸時刻から所定時間が経過していない場合に、前記可動役物を作動させ、又は/及び、前記可変表示装置に所定の表示をする
ことを特徴とする請求項4に記載の遊技機。
【請求項6】
前記図柄の可変表示による当落抽選結果の報知を保留する保留手段を備え、
前記保留手段が保留する当落抽選結果の中に当選が含まれている場合には、前回の球貸操作の球貸時刻からの経過時間によらず、前記可動役物を作動させ、又は/及び、前記可変表示装置に所定の表示をする
ことを特徴とする請求項5に記載の遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−27529(P2013−27529A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−165303(P2011−165303)
【出願日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(508355677)株式会社PPI (4)
【Fターム(参考)】