説明

遊技機

【課題】安価で、かつ配線の取付け作業も簡単な遊技機を提供する。
【解決手段】遊技球が転動する遊技領域を有し、当該遊技領域の少なくとも一部が透光性を有する遊技盤14を備え、遊技盤14は、所定の条件が満たされた場合に電気的に作動する電動遊技部材25を具備するとともに、遊技盤14の背面には電動遊技部材25に接続する配線手段が装着されており、配線手段は、電動遊技部材25と接続する接続部92と、接続部92から延出した複数本の配線を平面方向に列状に並設した配線部93とを備え、配線部93が遊技盤14の背面に着脱自在に装着されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技球が転動する遊技領域を有し、この遊技領域の少なくとも一部が透光性を有する遊技盤を備えた遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、パチンコ機では、遊技球が転動する遊技盤上において、液晶表示装置などにより画像を用いた演出表示が行われている。そして、かかる演出表示の領域を拡大するために、遊技盤に直接液晶表示装置を設けるのではなく、透光性を有する材料で遊技盤を形成し、この遊技盤(以下「透明遊技盤」という)の背後に大型の液晶表示装置を配設したものがある。かかる構成により、遊技球が転動する遊技領域を大きくとりつつ、画像の表示領域も格段に拡大可能となっている。
【0003】
しかし、パチンコ機では、遊技盤に所謂電動役物である電動遊技部材を配設する場合があるが、前記透明遊技盤では、電動遊技部材に接続する配線が遊技者側から視認されてしまいやすく、見栄えが劣る上に、配線の取付け作業も非常に面倒であった。また、場合によっては、遊技盤の背後において、遊技盤から遊技球を排出する遊技球排出路のレイアウト設計が煩雑になるおそれがあった。
【0004】
そこで、遊技盤の裏面に、透明電極を形成する技術が提案された(例えば、特許文献1、2を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−253604号公報
【特許文献1】特開2006−192186号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1や特許文献2に開示されているように透明電極を形成するとなると、非常にコスト高となるため、安価で、かつ配線の取付け作業も簡単な遊技機の提供が望まれている。本発明は、上記課題を解決することのできる遊技機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明では、所定の条件が満たされた場合に電気的に作動する電動遊技部材を前面に具備する遊技用部材を備え、当該遊技用部材の背面には凹部が形成され、前記電動遊技部材に接続する配線手段が前記凹部に装着されており、当該配線手段は、前記電動遊技部材と接続する接続部と配線部と、を備え、当該配線部が前記遊技部材の背面に着脱自在に装着されており、前記凹部は、装着される前記配線手段の接続部の上端近傍を始点として形成されている遊技機とした。
【0008】
(2)本発明は、上記(1)に記載の遊技機において、前記凹部は、前記電動遊技部材の配設位置と前記遊技部材の外周縁との直線距離が最短となる方向に伸延して形成されていることを特徴とする
【0009】
(3)本発明は、上記(2)に記載の遊技機において、前記配線手段は、複数重合させた状態で前記凹部に装着可能であり、前記凹部は、前記配線手段の数に対応した複数種類の深さで複数箇所に形成されていることを特徴とする。
【0010】
(4)本発明は、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の遊技機において、前記遊技盤の前記電動遊技部材の背後には、当該遊技盤の前面と背面との間を結ぶ接続配線が設けられており、前記接続配線により前記電動遊技部材と前記配線手段の接続部とが接続されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、遊技領域の少なくとも一部が透光性を有する遊技盤に対して、電動遊技部材に接続する配線の取付け作業が極めて簡単に行えるとともに、遊技盤から遊技球を排出する遊技球排出路のレイアウト設計が容易となり、なおかつ配線が遊技者側から視認され難くなるため、遊技盤の見栄えを損なうことがない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本実施形態に係るパチンコ遊技機の概観を示す斜視図である。
【図2】本実施形態に係るパチンコ遊技機の概観を示す分解斜視図である。
【図3】本実施形態に係るパチンコ遊技機の正面図である。
【図4】本実施形態に係るパチンコ遊技機が備える配線手段を示す説明図である。
【図5】本実施形態に係るパチンコ遊技機が備える配線手段を示す説明図である。
【図6】本実施形態に係るパチンコ遊技機が備える遊技盤の背面側を示す説明図である。
【図7】本実施形態に係るパチンコ遊技機が備える配線手段を示す説明図である。
【図8】本実施形態に係るパチンコ遊技機が備える配線手段を示す説明図である。
【図9】パチンコ遊技機の制御回路を示すブロック図である。
【図10】本実施形態に係るパチンコ遊技機のメインCPUが実行する処理を示す説明図である。
【図11】本実施形態に係るパチンコ遊技機のメインCPUが実行する処理を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本実施形態の遊技機は、遊技球が転動する遊技領域を有し、当該遊技領域の少なくとも一部が透光性を有する遊技盤を備え、この遊技盤は、所定の条件が満たされた場合、又は、常時電気的に作動する電動遊技部材や、遊技球の通過等を電気的に検知する検知手段を備えた電動遊技部材を複数具備するとともに、当該遊技盤の背面には前記電動遊技部材に接続する配線手段が装着されている。
【0014】
特に、この遊技機の遊技盤背面に装着される配線手段は、前記電動遊技部材と接続する接続部と、当該接続部から延出した複数本の配線を平面方向に列状に並設した配線部とを備え、当該配線部が前記遊技盤の背面に着脱自在に装着されている。
【0015】
このように、本実施形態が備える配線手段は、配線部において、複数本の配線を束ねることなく、遊技盤面と同一の平面方向に列状に並設することにより、遊技盤の背面に装着した場合に、その厚みを可及的に薄く構成することができる。
【0016】
これにより、遊技盤から遊技球を排出する遊技球排出路のレイアウト設計が容易となる。
【0017】
すなわち、この種の遊技機では、通常、上記電動遊技部材を用いて遊技球が入球する入賞口を構成しているため、電動遊技部材の背面には、入賞口に入賞した遊技球を遊技盤から排出する排出口と、この排出口と連通連結した遊技球排出路とが設けられている。
【0018】
そのため、前面側に電動遊技部材が配設されている遊技盤の背面側には、必然的に電動遊技部材を動作させるための配線手段と、遊技球を排出するための遊技球排出路とを設ける必要があり、配線手段の配設位置を考慮しながら遊技球排出路のレイアウト設計を行わなければならず、その作業が煩雑であった。
【0019】
しかし、本実施形態の遊技機では、上記のように、配線手段における配線部の厚みを可及的に薄く形成することができるので、配線手段の配設位置を考慮する必要がなく、遊技球排出路のレイアウト設計を容易に行うことができると共に、配線手段のレイアウト設計の自由度も向上させることができる。
【0020】
しかも、このように配線手段のレイアウト設計の自由度を向上させたことにより、本実施形態の配線手段は、遊技盤背面側において、遊技盤の前面側から遊技者に視認されにくい位置に配設することが可能となるため、配線を遊技者側から視認され難くすることができる。
【0021】
さらに、この遊技機では、配線手段を遊技盤に着脱自在に構成したため、電動遊技部材に接続する配線の取付け作業を極めて簡単に行うことができる。
【0022】
また、本実施形態の遊技機において、前記遊技盤は、前記配線部と接続部とが装着される箇所を凹状に形成している。そのため、この遊技機では、遊技盤の背面側に凹状に形成した溝の内部に、配線手段を収納することができるので、遊技盤の背面と遊技球排出路との間に配線手段を配設するためのスペースを確保する必要がなく、遊技球排出路のレイアウト設計を更に容易に行うことができる。
【0023】
また、本実施形態の遊技機において、前記配線部は、複数本の配線が形成されたシート状のプリント基板により構成している。そのため、配線手段を比較的低コストで大量に製造することができ、しかも、配線手段自体の厚さを可及的に薄く形成することができる。
【0024】
さらに、前記配線部及び接続部は、一側面に粘性部が形成されており、この粘性部を介して前記遊技盤の背面に貼着可能に構成することによって、配線手段の遊技盤への装着をより一層容易に行えるようにしている。
【0025】
また、この配線手段は、前記粘性部により複数枚重合させることができるため、遊技盤の背面側で多数の配線を設ける必要がある部分においても、遊技者側から視認され難く配設することができる。
【0026】
すなわち、本実施形態の配線手段は、プリント基板により構成しており、しかも、配線部に粘性部を備えているため、複数の配線部同士を重合させて粘性部により貼着させても、その厚みを可及的に薄く抑えることができる。
【0027】
しかも、この配線手段は、上記のように複数枚の配線部を重合させた状態で、遊技盤の背面側に装着すれば、重合させた複数枚の配線部のなかで最も遊技盤側に位置する配線部だけが遊技者側から視認可能となり、その背後に貼着されている他の複数枚の配線部は遊技者から視認されることがなく、配線を遊技者側から可及的に視認され難くすることができる。
【0028】
以下、本発明に好適な実施形態について図面に基づいてより具体的に説明する。なお、ここでは本発明に係る遊技機に好適な実施形態としてパチンコ遊技機に適用した場合を例に挙げて説明するが、本発明はこれに限定するものではなく、遊技球が転動する遊技領域の少なくとも一部が透光性を有する遊技盤を備え、この遊技盤上に電気的に作動する電動遊技部材を具備し、当該遊技盤の背面に前記電動遊技部材に接続する配線手段が装着された任意の遊技機に対して適用することができるものであり、たとえば、アレンジボール、スマートボール、雀球遊技機等に対しても適用することができるものである。
【0029】
図1は本実施形態におけるパチンコ遊技機の概観を示す斜視図である。また、図2は同パチンコ遊技機の概観を示す分解斜視図であり、図3は同パチンコ遊技機の正面図であり、図4、図5、図7、図8は、同パチンコ遊技機が備える配線手段を示す説明図であり、図6は、同パチンコ遊技機が備える遊技盤の背面側を示す説明図である。図なお、図3及び図4においては、この遊技盤に打ち込まれている複数の障害釘13(図2参照)の記載を省略している。
【0030】
[遊技機の構成]
図1〜図3に示すように、パチンコ遊技機10は、前面に開口12aが形成された枠体12と、枠体12の前方に開閉自在にそれぞれ軸着された開閉部材としての扉11とベースドア11aとを備えている。この扉11は、内部に各種部品を収納した枠体12の開口12aを前面から閉鎖するためのものであり、この扉11により12aを閉鎖した状態で遊技が行われる。また、枠体12の前面右下側には、遊技者の操作により遊技球を発射させる発射ハンドル26が設けられている。
【0031】
枠体12の開口12a内部には、画像を表示する液晶表示装置32と、スペーサー31、遊技球が転動する遊技盤14等がベースドア11aに配設されて収納されている。なお、遊技盤14、スペーサー31、液晶表示装置32以外の各種の部品(図示せず)については、理解を容易にするために説明を省略する。
【0032】
ベースドア11aは、枠体12に対して固定もしくは開閉できるようにヒンジ連結され、液晶表示装置32が配設される。そして、図2に示すように、ベースドア11aのさらに前面側には透光性を有する保護ガラス板などを有した扉11が開閉自在に取り付けられている。
【0033】
遊技盤14はベースドア11aに配置され、その全部が透光性を有する板形状の樹脂(透光性を有する部材)によって形成されている。この透光性を有する部材としては、例えば、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、メタクリル樹脂など各種の材質が該当する。
【0034】
そして、この遊技盤14は、前記発射ハンドル26の操作により発射された遊技球が転動可能な遊技領域15を有している。この遊技領域15はガイドレール30に囲まれ、遊技球が転動可能な領域である。また、遊技盤14における遊技領域15には複数の障害釘13(図2)が打ちこまれている。
【0035】
遊技に関する演出画像を表示する液晶表示装置32は、スペーサー31を挟んで遊技盤14の背後に設けられてベースドア11aに取り付けられている。すなわち、液晶表示装置32は、遊技盤14の透光性を有する部材の背後に配置されている。この液晶表示装置32は、遊技に関する画像の表示を可能とする表示領域32aを有している。
【0036】
そして、この表示領域32aは、遊技盤14の全部又は一部に、スペーサー31を挟んで、背面側から重なるように配設され、遊技者が遊技盤14越しに液晶表示装置32により表示される各種画像を視認できるように構成している。具体的には、液晶表示装置32は、その表示領域32aが遊技領域15の全部又は一部と、遊技領域外域16の全部又は一部とに重なるように遊技盤14の後方に配設される。この液晶表示装置32における表示領域32aには、演出用の演出画像、装飾用の装飾画像等、各種の画像が表示される。
【0037】
また、遊技盤14における透光性領域の背後に液晶表示装置32を設けることにより、例えば、障害釘の植設領域や役物、装飾部材といった遊技部材を設ける領域を大きくし、レイアウトの自由度も更に大きくすることが可能である。
【0038】
スペーサー31は、遊技盤14の後方(背面側)に配設されるとともに、液晶表示装置32の前方(前面側)に配設される。つまり、スペーサー31は、遊技盤14と液晶表示装置32によって挟持される。このスペーサー31は、透光性を有した材料で形成されており、中央に大きな貫通穴31aが設けられている。貫通穴31aには、電飾ユニット53が設けられている。
【0039】
また、図1及び図3に示すように、扉11の前面側下部には、電飾ユニット53が設けられている。この電飾ユニット53は、特別図柄表示器、普通図柄表示器、特別図柄保留ランプ及び普通図柄保留ランプ等を備えている。
【0040】
この電飾ユニット53が備える特別図柄表示器33は、7セグメントLEDで構成されている。この7セグメントLEDは、所定の特別図柄の変動表示開始条件の成立により、点灯・消灯を繰り返す。7セグメントLEDの点灯・消灯によって、"0"から"9"までの10個の数字図柄が、特別図柄として変動表示される。本実施形態では、特別図柄の変動表示から停止表示までを「特別図柄ゲーム」と呼ぶ。
【0041】
また、この電飾ユニット53が備える特別図柄保留ランプは、点灯又は消灯によって保留されている特別図柄の変動表示の実行回数(所謂、「特別図柄の保留球数」)を表示する。
【0042】
また、この電飾ユニット53が備える普通図柄表示器35は、2つの表示用ランプで構成されており、これら表示用ランプが交互に点灯・消灯を繰り返すことによって、例えば"○"、"×"等の記号が普通図柄として変動表示される。
【0043】
また、この電飾ユニット53が備える普通図柄保留ランプは、後述するように、点灯又は消灯によって保留されている普通図柄の変動表示の実行回数(所謂、「普通図柄の保留球数」)を表示する。
【0044】
また、遊技盤14の透光性領域の外側には、発光表示手段としての装飾ランプ133a、133bが配設されており、遊技状態に合わせた所定の発光態様の表示を行う。扉11には、透光性を有する保護板19が配設されている。この保護板19は、扉11が閉鎖された状態で遊技盤14の前面に対面するように配設されている。
【0045】
また、遊技盤14の後方(背面側)に配設されている液晶表示装置32の表示領域32aでは、特別図柄表示器33において表示される特別図柄と関連する演出画像が表示される。
【0046】
特別図柄表示器で表示される特別図柄の変動表示中においては、液晶表示装置32の表示領域32aにおいて、一列の図柄列に数字や記号等からなる装飾図柄(演出用の識別情報でもある。例えば、"0"から"9"までの数字)が変動表示される。また、特別図柄表示器において変動表示されていた特別図柄が停止表示されるとともに、液晶表示装置32の表示領域32aでも演出用の装飾図柄が停止表示される。
【0047】
また、特別図柄表示器において特別図柄として特定の数字図柄が停止表示された場合には、大当たりであることを遊技者に把握させる演出画像が液晶表示装置32の表示領域32aにおいて表示される。
【0048】
具体的には、特別図柄表示器において特別図柄として特定の数字図柄が停止表示された場合には、液晶表示装置32の表示領域32aにおいて表示される演出用の装飾図柄の組合せが特定の表示態様(例えば、"1"から"9"のいずれかが全て揃った状態で停止表示される態様)となる。
【0049】
次に、遊技盤14に設けられた遊技部材について説明する。図3に示すように、遊技盤14には、外側レール30aと内側レール30bとからなるガイドレール30、障害物55、57、通過ゲート54、始動口25、大入賞口39、一般入賞口56a、56b等が設けられている。
【0050】
遊技盤14の上部には障害物55が設けられ、遊技盤14の略中央には障害物57が設けられている。この障害物57下部には、始動口25が設けられている。
【0051】
このように、本実施形態に係るパチンコ遊技機10の遊技盤14には、遊技領域15に複数の遊技部材が設けられているが、これら複数の遊技部材は、その機能により電動遊技部材と、非電動部材とに分けることができる。
【0052】
すなわち、上記障害物55、57は、遊技盤14上に発射された遊技球の流下方向を変化させる機能を有し、非電動部材に分類されるものである。
【0053】
一方、上記始動口25や、大入賞口39は、遊技中に所定の条件が満たされた場合に、電気的に動作する機能を備えており、電動遊技部材に分類されるものである。
【0054】
本実施形態において、この始動口25は、後述の一般遊技状態において、遊技球が入球し難い閉鎖状態となっており、後述の普通図柄ゲームに当選したという条件が満たされた場合に、遊技球が入球し易い開放状態となるように電気的に動作する遊技部材であり、大入賞口39は、一般遊技状態において、遊技球を入球させない閉鎖状態となっており、後述の特別図柄ゲームに当選したという条件が満たされた場合に、遊技球が入球し易い開放状態となるように電気的に動作する遊技部材である。
【0055】
また、上記通過ゲート54や一般入賞口56a、56bは、始動口25や大入賞口39のように、機械的に動作する遊技部材ではないが、遊技球が入球したことを条件として、その旨を示す所定の検知信号を後述の主制御回路60へ出力するものであるため、所定の条件が満たされた場合に電気的に動作する電動遊技部材に分類される。
【0056】
これら遊技盤14上に設けられた複数の電動遊技部材は、上記のように、所定の条件が満たされた場合に電気的に動作する遊技部材であるため、一般に、遊技盤14の背面には、これら複数の電動遊技部材を駆動させるために接続された配線手段が設けられている。
【0057】
特に、本実施形態のパチンコ遊技機10における配線手段90は、図4に示すように、遊技球を遊技盤14の外部へ排出するための遊技球排出路91に沿って、正面視において遊技球排出路91と重合する位置に設けるようにしている。
【0058】
そして、このように配設した複数の配線手段90は、遊技盤14の遊技領域15下方で、遊技者からは視認されない領域に設けられた配線基板90aの所定位置にそれぞれ接続することによって、後述の主制御回路60と接続するようにしている。
【0059】
通常、遊技球排出路91は、遊技者から視認されないように、遊技球排出路91が配設されている領域には、遊技盤14の前面側に目隠しとして他の遊技部材等を設けるようにしているが、このように、配線手段90を配設することにより、遊技球排出路91は、遊技者から見て必然的に配線手段90の背後に位置することとなるため、目隠しとしての遊技部材を設けなくても、透光性を有する遊技盤14の背後側へ排出された遊技球が遊技者から視認され難くなり、遊技者が遊技盤14の前面側を流下している遊技球と、遊技盤14の背面側へ排出された遊技球とを混同することを防止することができ、遊技領域における演出領域を可及的に拡張することができる。
【0060】
この配線手段90は、図5(a)に示すように、電動遊技部材と接続する接続部92と、この接続部92から延出した複数本の配線93aを平面方向に列状に並設した配線部93とを備えており、この配線部93が遊技盤14の背面に着脱自在に装着されるように構成している。
【0061】
特に、この配線手段90は、接続部92と配線部93とを共に、フレキシブルなシート状のプリント基板により構成することにより、その厚さを可及的に薄くなるように形成している。
【0062】
すなわち、この配線手段90は、ポリミイドやポリエステル等の柔軟性と絶縁性とを有する薄いフィルム94上に、銅箔等の導電体からなる配線パターンを形成することによって設けた接続端子92a、92aと、これら接続端子92a、92aに接続された配線93a、93aとを備えている。
【0063】
このように、配線手段90は、その厚さを可及的に薄く形成しているため、上記のように、遊技盤14の背面と遊技球排出路91との間の狭い空間にも容易に配設することができ、当該配線手段90の配設位置を考慮することなく、遊技球排出路91のレイアウト設計を自由に行うこともできる。
【0064】
また、本実施形態におけるパチンコ遊技機10では、電動遊技部材の背面側の色を、その種類に応じて異なる色に着色すると共に、配線手段90の接続部92におけるフィルム94を、接続する電動遊技部材背面側の色と同色のカラーフィルムで構成することにより、パチンコ遊技機10を製造する作業者が配線手段90の取付け位置を容易に判断することができるようにしている。
【0065】
また、配線手段90の配線部93におけるフィルム94は、無色透明なフィルムで構成しており、これによって、当該フィルム94が演出画像の表示の妨げになることを防止するようにしている。
【0066】
さらに、この配線手段90は、図5(b)に示すように、その一側面(遊技盤14への貼着面)に複数回貼着・剥離が可能な粘性部95が形成されており、この粘性部95を介して遊技盤14の背面における所定位置に着脱自在に貼着することによって装着するように構成している。
【0067】
このように、本実施形態のパチンコ遊技機10に設ける配線手段90は、その一側面に粘性部95を備えているため、遊技盤14の背面側所定位置に容易に装着することが可能であり、しかも、遊技中における遊技盤14の振動等によって、配線手段90が位置ズレを起こすことがない。
【0068】
また、この配線手段90は、接続部92の厚さを配線部93の厚さよりも若干厚く形成するようにしており、これにより、パチンコ遊技機10を製造する作業者は、配線手段90の厚さの違いにより、感覚的に配線手段90における接続部92の位置を認識することができるので、配線手段90の装着作業効率を向上させることができる。
【0069】
また、粘性部95としては、複数回貼着・剥離が可能な部材を用いているため、パチンコ遊技機10をリサイクルする際には、配線手段90を剥離して、他のパチンコ遊技機10に装着することもでき、製造コストの削減と資源の有効利用とを図ることができる。
【0070】
また、前述のように、配線手段90の一側面に粘性部95を形成したことによって、この配線手段は、複数枚重合させて遊技盤14の背面に貼着させることができる。
【0071】
そのため、たとえば遊技盤14の前面側に複数の電動遊技部材が近接して設けられている領域のように、その背面側に多数本の配線を設ける必要がある場合であっても、本実施形態の配線手段90を用いれば、複数枚の配線手段90を粘性部95により重合させることによって、容易に多数本の配線を設けることができる。
【0072】
その上、この配線手段90は、複数枚重合させて遊技盤14の背面に装着しても、遊技者から視認されるのは、遊技盤14に直接貼着されている最も前面側の配線手段90だけであるため、配線を遊技者側から可及的に視認され難くすることができる。
【0073】
また、この配線部93を遊技盤14へ装着する前の状態において、粘性部95の表面には、粘性部95の粘性を保持するための剥離紙96を貼着させており、遊技盤14へ装着する際に、この剥離紙96を粘性部95から剥離して装着するようにしているため、大量に生産しても長期保存が可能となる。
【0074】
また、本実施形態に係るパチンコ遊技機10の遊技盤14背面には、図6に示すように、その背面側における配線手段90の配設位置に沿って、配線手段90を装着するための凹状に形成された複数本の配線用凹部97を備えると共に、各配線用凹部97の下側には、前述の配線基板90aを収納するための配線基板用凹部97aを備えている。
【0075】
本実施形態では、遊技盤14の背面側下部に位置に配線基板用凹部97aを設けることにより、遊技中の遊技者から配線基板用凹部97aが視認されないようにしている。
【0076】
また、各配線用凹部97は、配線手段90の幅よりも若干幅広に形成しており、配線基板用凹部97aの上端における所定位置から上方へ伸延させて形成することにより、当該配線用凹部97の下端と配線基板用凹部97aの上端とを連通させている。
【0077】
そして、各配線用凹部97の所定位置には、各電動部材と導通をとるための複数の遊技盤側接続端子97bを設けている。
【0078】
このように形成した配線用凹部97及び配線基板用凹部97aへは、図7及び図8に示すようにして配線手段90と配線手段90を取り付ける。
【0079】
図7は、図4に示すA−A´線による遊技盤14の断面を示す説明図であり、図8は、図7に符号Bで示す部分の拡大図である。この図7及び図8に示すように、遊技盤14の背面側に配線手段90を装着する際には、遊技盤側接続端子97bと配線手段90の接続部92とが重合するように位置合わせすると共に、配線手段90の粘性部95を配線用凹部97に貼着して装着する。
【0080】
ここでは、始動口25の羽根部材23を駆動するための普通電動役物ソレノイド118と、始動口25に入球した遊技球cを検出する始動入賞球センサ117とを動作させるための2枚の配線手段90と、大入賞口39のシャッタ40を駆動するための大入賞口ソレノイド120(図9参照。)と、大入賞口39に入賞した遊技球cを検知するカウントセンサ104(図9参照。)とを動作させるための2枚の配線手段90との計4枚の配線手段90と、配線基板90aとを遊技盤14の背面側に装着している。
【0081】
また、図8に示すように、遊技盤14の所定位置には、遊技盤14の前面と背面との間を結ぶ接続配線98aを設けており、この接続配線98aにより電動遊技部材と配線手段90とを接続するようにしている。なお、図8中の符号99aは、始動入賞球センサ117と配線手段90とを接続する接続配線であり、符号90bは、配線基板90a上に設けられ配線手段90の下端を接続するための接続パッドである。
【0082】
また、本実施形態において配線用凹部97は、厚さが略30mmある遊技盤14の背面からの深さが略10mmとなるように凹設するようにしており、配線基板用凹部97aは、遊技盤14の背面からの深さが略15mmとなるように形成している。
【0083】
このような深さとなるように配線用凹部97及び配線基板用凹部97aを形成することにより、複数枚の配線手段90を重合させた状態で遊技盤14に装着しても、配線手段90が側面視において遊技盤14の背面よりも後ろ側へはみ出すことがないので、遊技球排出路91のレイアウト設計の自由度を向上させることができる。
【0084】
しかも、本実施形態では、前述のように、配線用凹部97の溝の深さを遊技盤14の厚さの略1/3となるように形成し、配線用凹部97の深さを遊技盤14の厚さの略1/2となるように形成しているため、遊技盤14の最も薄い部分でも、その厚さを15mm程度確保することができるので、遊技盤14自体の機械的強度を十分に確保することができる。
【0085】
このように構成したパチンコ遊技機10では、始動口25に遊技球が入球したことを契機に、遊技者にとって有利な遊技へ移行するか否かの抽選が行われ、特別図柄表示器において識別図柄の変動表示が行われ、液晶表示装置32において演出としての装飾図柄の変動表示、及びこれに伴う演出表示が行われ、前記抽選に当選すると、遊技者に有利な大当たり遊技に移行する遊技である。なお、本実施形態では、装飾図柄の変動表示を含む演出表示を可変表示ゲームと呼ぶ。
【0086】
すなわち、遊技者による発射ハンドル26の操作で遊技盤14へ発射された遊技球は、遊技盤14上に設けられた複数の障害釘13(図2参照)、障害物55、57等との衝突により、その進行方向を変えながら遊技盤14の下方に向かって流下する。
【0087】
前記始動口25に遊技球が入賞した場合には、特別図柄表示器による特別図柄の変動表示、すなわち特別図柄ゲーム及び可変表示ゲームが開始される。また、特別図柄の変動表示中に遊技球が始動口25へ入賞した場合には、変動表示中の特別図柄が停止表示されるまで、始動口25への遊技球の入賞に基づく特別図柄ゲームの実行(開始)が保留される。
【0088】
その後、変動表示していた特別図柄が停止表示された後に、保留されていた特別図柄ゲームが開始される。つまり、前記電飾ユニット53に設けられた、特別図柄保留ランプは、保留された特別図柄ゲームの実行回数に対応して、左から順番に点灯され、特別図柄ゲームが終了し、次の保留されていた特別図柄ゲームが開始されると、それに対応した特別図柄保留ランプは消灯される。なお、特別図柄ゲームの実行が保留される回数には上限が設定されており、例えば、4回(個)を上限として特別図柄ゲームは保留される。
【0089】
また、液晶表示装置32の表示領域32aにおいても、前述した始動口25に遊技球が入賞した場合には、前記特別図柄ゲームの開始にあわせて、演出用の装飾図柄の変動表示が開始される。また、特別図柄に関する変動表示中に遊技球が始動口25へ入賞した場合には、変動表示中の演出用の識別情報である装飾図柄が停止表示されるまで、始動口25への遊技球の入賞に基づく装飾図柄の変動表示の実行(開始)が保留される。なお、このとき、その他の演出画像による演出表示は継続されてよい。その後、変動表示していた装飾図柄が停止表示された場合には、保留されていた装飾図柄の変動表示が開始される。
【0090】
遊技盤14の略中央の左側には通過ゲート54が設けられている。この通過ゲート54には、後述する通過球センサ114(図5参照)が設けられている。通過球センサ114は、遊技球が通過ゲート54を通過したことを検出する。
【0091】
そして、通過球センサ114によって遊技球の通過が検出されたときには、普通図柄表示器において普通図柄の変動表示が開始され、所定の時間が経過した後、普通図柄の変動表示が停止する。前述したように、この普通図柄は、"○"、"×"等の記号である。
【0092】
この普通図柄が所定の図柄、例えば"○"として停止表示されたときには、始動口25の左右の両側に設けられている羽根部材(所謂、普通電動役物)23が閉鎖状態から開放状態となり、始動口25に遊技球が入りやすくなる。また、羽根部材23を開放状態とした後、所定の時間が経過したときには、羽根部材23を閉鎖状態として、始動口25に遊技球が入りにくくなるようにする。以上のように、普通図柄が変動表示された後、停止表示され、その結果によって羽根部材23の開放・閉鎖状態が異なってくるゲームを「普通図柄ゲーム」という。
【0093】
また、特別図柄ゲームと同じように、普通図柄ゲームにおける普通図柄の変動表示中において通過ゲート54を遊技球が通過した場合には、変動表示中の普通図柄が停止表示されるまで、通過ゲート54への遊技球の通過に基づく普通図柄ゲームの実行(開始)が保留される。
【0094】
つまり、前記電飾ユニット53に設けられた、普通図柄保留ランプは、保留された普通図柄ゲームの実行回数に対応して、左から順番に点灯され、変動が停止表示されると、次の保留されていた普通図柄ゲームが開始され、それに対応した普通図柄保留ランプは消灯される。なお、普通図柄ゲームの実行が保留される回数には上限が設定されており、例えば、4回(個)を上限として保留される。
【0095】
大入賞口39には、その前面側(前方)に開閉自在なシャッタ40が設けられている。このシャッタ40は、特別図柄表示器において特別図柄として特定の数字図柄が停止表示され、遊技状態が前記の大当たり遊技状態(つまり、15R確変大当たり、2R確変大当たりおよび15R通常大当たり状態)に移行された場合は、遊技球を受け入れやすい開放状態となるように駆動される。その結果、大入賞口39は、遊技球を受け入れやすい開放状態となる。
【0096】
一方、シャッタ40の背面側(後方)に設けられた大入賞口39には、カウントセンサ104(図5参照)が設けられており、このカウントセンサ104が大入賞口39に所定個数(例えば10個)の遊技球が入賞したことを検知するか、又は、シャッタ40が開放状態となってから所定時間(例えば30秒)が経過するまでシャッタ40が開放状態に駆動される。そして、開放状態において大入賞口39への所定数の遊技球の入賞又は所定時間の経過のいずれかの条件が成立すると、シャッタ40は、遊技球を受け入れない閉鎖状態になるように駆動される。その結果、大入賞口39は、遊技球を受け入れない閉鎖状態となる。
【0097】
なお、大入賞口39が遊技球を受け入れやすい状態となっている開放状態から大入賞口39が遊技球を受け入れない状態となっている閉鎖状態までの遊技をラウンドゲームという。したがって、シャッタ40は、ラウンドゲーム時に開放し、各ラウンドゲーム間では閉鎖することになる。また、ラウンドゲームは、"1"ラウンド、"2"ラウンド等のラウンド数として計数されるため、ラウンドゲームの1回目を第1ラウンド、2回目を第2ラウンドと呼称する場合がある。
【0098】
続いて、開放状態から閉鎖状態に駆動されたシャッタ40は、閉鎖状態になってから所定時間(たとえば、5秒間)が経過すると、再度開放状態に駆動される。なお、第1ラウンドのラウンドゲームから、次のラウンドゲームに継続して進むことができない(最終の)ラウンドゲームが終了するまでの遊技を大当たり遊技状態という。すなわち、大当たり遊技状態は遊技者にとって有利な遊技状態である。
【0099】
また、前述した始動口25、一般入賞口56a〜56d、大入賞口39における特定領域及び一般領域に遊技球が入賞又は通過したときには、それぞれの入賞口の種類に応じて予め設定されている数の遊技球が上皿20又は下皿22に払い出される。
【0100】
[遊技機の電気的構成]
ここで、本実施形態に係るパチンコ遊技機10の電気的構成について説明する。先ず、パチンコ遊技機10が備える制御回路について図9を用いて説明する。図9は本実施形態におけるパチンコ遊技機10の制御回路を示すブロック図である。
【0101】
パチンコ遊技機10の制御回路は、主に、遊技制御手段としての主制御回路60と、演出制御手段としての副制御回路200とから構成される。
【0102】
本実施形態において、この主制御回路60は、遊技球の払出を行う払出装置128及び遊技盤14へ遊技球を発射する発射装置130の動作制御を行う払出・発射制御回路126と接続されて、発射ハンドル26(遊技球発射手段)を介して発射装置130へ入力される操作信号に基づいて、発射装置130により遊技球を遊技盤14へ発射させる発射制御手段等として機能するものである。
【0103】
副制御回路200は、遊技の進行に応じた演出の制御(例えば、画像表示制御、音声出音制御、装飾ランプ制御等)を行うものである。
【0104】
主制御回路60は、図9に示すように、制御手段であるメインCPU66、メインROM(読み出し専用メモリ)68、メインRAM(読み書き可能メモリ)70を備え、遊技の進行全体を統括を制御する。
【0105】
メインCPU66には、メインROM68、メインRAM70等が接続されており、このメインROM68に記憶されたプログラムに従って、遊技を進行させるための各種の処理を実行する。そして、このメインCPU66は、例えば、遊技プログラムによって実行される大当たり遊技実行手段や抽選手段などとして機能することとなる。
【0106】
メインROM68には、メインCPU66によりパチンコ遊技機10の動作を制御するための各種プログラムの他、乱数抽選によって大当たり判定をする際に参照される大当たり判定テーブル等の各種のテーブルが記憶されている。
【0107】
大当たり抽選テーブルには、「はずれ」、「大当たり」となる確率データがそれぞれ登録されており、これらの確率データに基づいて乱数による抽選処理がなされる。こうして、この抽選テーブルにおける確率データを適宜設定することによって、パチンコ遊技における有利不利の状態が制御できるようにしている。
【0108】
メインRAM70は、メインCPU66の一時記憶領域として種々のフラグや変数の値を記憶する機能を有する。
【0109】
また、この主制御回路60は、所定の周波数のクロックパルスを生成するリセット用クロックパルス発生回路62、電源投入時においてリセット信号を生成する初期リセット回路64、後述する副制御回路200に対してコマンドを供給するためのシリアル通信用IC72を備えている。
【0110】
また、これらのリセット用クロックパルス発生回路62、初期リセット回路64、シリアル通信用IC72は、メインCPU66に接続されている。なお、このリセット用クロックパルス発生回路62は、システムタイマ割込処理を実行するために、所定の周期(例えば2ミリ秒)毎にクロックパルスを発生する。なお、このシリアル通信用IC72は、各種のコマンドを副制御回路200(副制御回路200に含まれる各種の手段)へ送信する送信手段に相当する。
【0111】
また、主制御回路60には、各種の装置が接続されており、例えば、カウントセンサ104、一般入賞球センサ106、108、110、112、通過球センサ114、始動入賞球センサ117、普通電動役物ソレノイド118、大入賞口ソレノイド120、電飾ユニット53、払出・発射制御回路126等が接続されている。
【0112】
カウントセンサ104は、大入賞口39の内部に設けられている。このカウントセンサ104は、大入賞口39に遊技球が入賞した場合に、入賞した遊技球の個数に対応する所定の検知信号を主制御回路60に供給する。
【0113】
一般入賞球センサ106、108、110、112は、一般入賞口56a〜56dにそれぞれ設けられている。この一般入賞球センサ106、108、110、112は、各一般入賞口56a〜56dへ遊技球が入賞した場合に、所定の検知信号を主制御回路60に供給する。
【0114】
通過球センサ114は、通過ゲート54に設けられている。この通過球センサ114は、通過ゲート54を遊技球が通過した場合に、所定の検知信号を主制御回路60に供給する。
【0115】
遊技球検出手段である始動入賞球センサ117は、始動口25に設けられている。始動入賞球センサ117は、始動口25に遊技球が入賞したことを検出して、所定の検知信号を主制御回路60に供給する。
【0116】
普通電動役物ソレノイド118は、リンク部材(図示せず)を介して羽根部材23に接続されており、メインCPU66から供給される駆動信号に応じて、羽根部材23を開放状態または閉鎖状態とする。
【0117】
大入賞口ソレノイド120は、図3に示すシャッタ40に接続されており、メインCPU66から供給される駆動信号に応じて、シャッタ40を駆動させ、大入賞口39を開放状態又は閉鎖状態とする。
【0118】
また、上記のように、主制御回路60には、遊技球の発射を制御する機能を有した払出・発射制御回路126が接続されている。この払出・発射制御回路126には、遊技球の払出を行う払出装置128、遊技球の発射を行う発射装置130、遊技者による操作信号が送出される発射ハンドル26(遊技球発射手段)、カードユニット150が接続されている。
【0119】
払出・発射制御回路126は、主制御回路60から供給される賞球制御コマンド、カードユニット150から供給される貸し球制御信号を受け取り、払出装置128に対して所定の信号を送信することにより、払出装置128に遊技球を払い出させる。
【0120】
また、払出・発射制御回路126は、発射ハンドル26から送出される操作信号に基づいて発射装置130に対して所定の発射信号を供給することにより、遊技球を発射させる制御を行う。
【0121】
さらに、主制御回路60には、ランプ制御回路76が接続されており、このランプ制御回路76は、メインCPU66からの指示に従い、特別図柄保留ランプ34a〜34d、普通図柄保留ランプ50a〜50d、特別図柄表示器33(7セグメントLED41)、普通図柄表示器35(表示用ランプ)等を制御する。
【0122】
また、シリアル通信用IC72には、副制御回路200が接続されている。この副制御回路200は、主制御回路60から供給される各種のコマンドに応じて、液晶表示装置32における表示制御、スピーカ46から発生させる音声に関する制御、装飾ランプ133a、133bの制御等を行う。
【0123】
なお、主制御回路60から副制御回路200に対して所定のコマンドを供給するとともに、副制御回路200から主制御回路60に対して信号を供給できないように構成したが、これに限らず、副制御回路200から主制御回路60に対して信号を送信できるように構成しても問題ない。
【0124】
副制御回路200は、可変表示制御手段、音発生制御手段としてのサブCPU206、記憶手段としてのプログラムROM208、ワークRAM210、液晶表示装置32における表示制御を行うための表示制御回路250、スピーカ46から発生させる音声に関する制御を行う音声制御回路230、装飾ランプなどのランプ133a、133bの制御を行うランプ制御回路240から構成されている。副制御回路200は、主制御回路60からの指令に応じて遊技の進行に応じた演出を実行する。
【0125】
サブCPU206には、プログラムROM208、ワークRAM210等が接続されている。サブCPU206は、このプログラムROM208に記憶されたプログラムに従って、各種の処理を実行する機能を有する。特に、サブCPU206は、主制御回路60から供給される各種のコマンドに従って、副制御回路200の制御を行う。サブCPU206は各種の手段として機能することとなる。
【0126】
プログラムROM208には、サブCPU206によりパチンコ遊技機10の特別図柄の変動表示に関連して実行される液晶表示装置32の画像表示に伴う複数種類の演出画像データや、大当たり遊技中のラウンドゲームに関連して実行される複数種類の演出画像データが記憶されており、その他には、リーチ演出の表示期間を定めたリーチ時間テーブル等各種のテーブルも記憶されている。
【0127】
ワークRAM210は、サブCPU206の一時記憶領域として種々のフラグや変数の値を記憶する機能を有する。例えば、リーチ演出時間を制御するためのタイマ変数、演出パターンを選択するための演出表示選択用乱数カウンタ等、各種の変数等が位置付けられている。
【0128】
表示制御回路250は、サブCPU206から供給される、特別図柄の変動表示に関連して実行される演出表示の進行に伴う複数種類の演出パターンや、大当たり遊技中のラウンドゲームに関連して実行される複数種類の演出パターン等の演出画像データ等を、液晶表示装置32に画像を表示させる制御を行うものである。
【0129】
音声制御回路230は、サブCPU206から供給される音声発生命令に応じて、スピーカ46から音声を発生させるものである。
【0130】
ランプ制御回路240は、サブCPU206から供給されるプログラムROM208に記憶されたプログラムに従って、装飾ランプ133a、133bの発光制御を行うものである。
【0131】
なお、パチンコ遊技機10の制御回路において、遊技制御手段としての主制御回路60と、演出制御手段としての副制御回路200を別々に構成しているが、主制御回路60と副制御回路200とを同じ基板で構成してもかまわない。
【0132】
[遊技機の動作]
本実施形態における遊技状態は、一般遊技状態(大当たりの抽選を行いながら遊技球を消費する、所謂遊技者に不利な状態)と、大当たり遊技状態(短時間で大量の遊技球の獲得が期待できる、所謂遊技者にとって有利な状態)とに大別される。さらに一般遊技状態においても、通常モード、確変モード、時短モードなどの遊技状態が設けられている。以下に、これらの遊技状態を実現するためにパチンコ遊技機10におけるメインCPU66が実行するメイン処理及びシステムタイマ割込み処理のルーチンについて図10及び図11を参照して説明する。
【0133】
メイン処理は、パチンコ遊技機10における遊技モードの設定や、遊技球入賞による抽選処理などを担う主要ルーチンであり、電源の投入によってスタートされる。
図10に示すようにメイン処理において、メインCPU66は、最初のステップS11で、RAMアクセス許可処理や、バックアップ復帰処理、作業領域の初期化処理等を含む初期設定処理を実行する。
【0134】
次のステップS12においてメインCPU66は、特別図柄ゲームを進行させて、液晶表示装置32、特別図柄表示器33に表示される特別図柄、装飾図柄の表示制御に関する特別図柄制御処理を実行し、その後、普通図柄ゲームの進行、普通図柄表示器35に表示される普通図柄に関する普通図柄制御処理を実行する(ステップS13)。
【0135】
このように、メイン処理においてメインCPU66は、ステップS11の初期設定処理を終了した後、ステップS12の特別図柄制御処理及び、ステップS13の普通図柄制御処理を繰り返し実行することによって、パチンコ遊技機10における各種の遊技状態が提供されるようになっている。
【0136】
なお、このメイン処理における特別図柄制御処理、及び普通図柄制御処理などルーチンは、パチンコ遊技機10に要求されるそのゲーム形態や遊技環境などに応じて設定された各種のプログラムがメインCPU66により実行されることによって実現できるようになっている。
【0137】
システムタイマ割込処理は、前記メイン処理の実行中にタイマによるシステムコールを契機として、これを中断させて実行される処理である。メインCPU66は、メイン処理を実行している状態であっても、メイン処理を中断させ、システムタイマ割込処理が実行される。
【0138】
ここでは、リセット用クロックパルス発生回路62から所定の周期(例えば2ミリ秒)毎に発生されるクロックパルスに応じて、以下のシステムタイマ割込処理が実行される。以下、図11を用いてシステムタイマ割込処理を説明する。
【0139】
図11に示すように、メインCPU66は、大当たり抽選用乱数値等の各抽選値を更新する乱数更新処理を実行する(ステップS21)。そして、メインCPU66は、始動口25等への遊技球の入賞を検知する入力検出処理を実行する(ステップS22)。この処理においては、メインCPU66は、各種の入賞口に遊技球が入賞したことを条件として、遊技球を払出す(賞球する)旨のデータをメインRAM70の所定領域に記憶することとなる。そして、主制御回路60と副制御回路200との同期をとるための待ち時間タイマ、大当たりが発生した際に開放する大入賞口39の開放時間を計測するための大入賞口開放タイマ等、各種のタイマの更新処理を実行する(ステップS23)。そして、各種の変数に基づいて、各種ソレノイド、モータ等を駆動させるための制御信号を出力する出力処理を実行する(ステップS24)。
【0140】
その後、この出力処理(ステップS24)が終了した場合には、ステップS25に処理を移す。
【0141】
ステップS25においては、コマンド出力処理を実行する。この処理において、メインCPU66は、各種のコマンドを副制御回路200に供給する。これらの各種のコマンドには、デモ表示コマンドや、導出表示される特別図柄の種類を示す導出図柄指定コマンド等が含まれる。この処理が終了した場合には、ステップS26に処理を移す。
【0142】
そして、ステップS26の処理において、メインCPU66は、払出装置128に賞球を行わせるための賞球制御コマンドを払出・発射制御回路126へ送信する等の払出処理が実行される。具体的には、メインCPU66は、各種の入賞口に遊技球が入賞することで予め設定された所定数の賞球払出を行うための賞球制御コマンドを払出・発射制御回路126へ供給する。この処理が終了した場合には、本サブルーチンを終了し、割込発生前のアドレスへ復帰することで前記メイン処理のルーチンに戻るようになっている。
【0143】
上述した実施形態から以下の遊技機が実現される。すなわち、遊技球が転動する遊技領域15を有し、当該遊技領域15の少なくとも一部が透光性を有する遊技盤14を備え、この遊技盤は、所定の条件が満たされた場合に電気的に作動する電動遊技部材(たとえば、始動口25の羽根部材23、大入賞口39のシャッタ40、通過ゲート54、一般入賞口56a、56b等)を具備するとともに、当該遊技盤14の背面には前記電動遊技部材に接続する配線手段90が装着されており、当該配線手段は、前記電動遊技部材と接続する接続部92と、当該接続部から延出した複数本の配線93aを平面方向に列状に並設した配線部93と、を備え、当該配線部が前記遊技盤の背面に着脱自在に装着されている遊技機(パチンコ遊技機10)。
【0144】
前記遊技盤14は、前記配線部93が装着される箇所が凹状に形成されている(たとえば、配線用凹部97等)遊技機(パチンコ遊技機10)。
【0145】
前記配線部93は、複数本の配線93aが形成されたシート状のプリント基板(たとえば、フィルム94等)からなる遊技機(パチンコ遊技機10)。
【0146】
前記配線部93は、一側面に粘性部95が形成されており、この粘性部95を介して前記遊技盤14の背面に貼着されている遊技機(パチンコ遊技機10)。
【0147】
以上、本発明の実施形態を説明したが、具体例とその効果を例示したに過ぎず、これによって本発明を限定するものではない。すなわち、遊技機の具体的構成は適宜設計変更が可能である。
【0148】
本実施形態の配線用凹部97は、遊技盤14の背面において各電動遊技部材の配設位置から遊技盤14の下側へ伸延させた溝により構成しているが、配線用凹部97のレイアウトはこれに限定するものではなく、各電動遊技部材の配設位置から任意の方向へ伸延させた溝により構成することができ、たとえば、電動遊技部材が遊技領域の端部近傍に配設されている場合には、その電動遊技部材の配設位置と遊技領域15外周縁との直線距離が最短となる方向へ伸延させた溝により配線用凹部97を構成してもよい。
【0149】
このような配線用凹部97を設ける場合には、遊技領域15の外側に所定の配線パターンを形成しておき、その配線パターンを介して配線手段90と主制御回路60とを接続させるように構成する。
【0150】
このように配線用凹部97を構成することにより、配線手段90における遊技者から視認される部分を可及的に短くすることができる。
【0151】
また、本実施形態では、配線用凹部97を直線的な溝により構成しているが、遊技盤14上に配設される各種遊技部材のレイアウトに応じて、たとえば所定幅を有する曲線状の溝により構成してもよい。
【0152】
このような曲線状の配線用凹部97を設ける場合には、配線手段90のフィルム94として、配線用凹部97の伸延方向に応じて湾曲させることのできる部材により形成する。
【符号の説明】
【0153】
10 パチンコ遊技機
14 遊技盤
26 発射ハンドル
60 主制御回路
90 配線手段
91 遊技球排出路
92 接続部
92a 接続端子
93 配線部
93a 配線
94 フィルム
95 粘性部
96 剥離紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の条件が満たされた場合に電気的に作動する電動遊技部材を前面に具備する遊技用部材を備え、
当該遊技用部材の背面には凹部が形成され、前記電動遊技部材に接続する配線手段が前記凹部に装着されており、
当該配線手段は、前記電動遊技部材と接続する接続部と配線部と、を備え、当該配線部が前記遊技部材の背面に着脱自在に装着されており、
前記凹部は、装着される前記配線手段の接続部の上端近傍を始点として形成されていることを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記凹部は、前記電動遊技部材の配設位置と前記遊技部材の外周縁との直線距離が最短となる方向に伸延して形成されていることを特徴とする請求項1記載の遊技機。
【請求項3】
前記配線手段は、複数重合させた状態で前記凹部に装着可能であり、
前記凹部は、前記配線手段の数に対応した複数種類の深さで複数箇所に形成されていることを特徴とする請求項2に記載の遊技機。
【請求項4】
前記遊技盤の前記電動遊技部材の背後には、当該遊技盤の前面と背面との間を結ぶ接続配線が設けられており、
前記接続配線により前記電動遊技部材と前記配線手段の接続部とが接続されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−46818(P2013−46818A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−242662(P2012−242662)
【出願日】平成24年11月2日(2012.11.2)
【分割の表示】特願2007−117170(P2007−117170)の分割
【原出願日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【出願人】(598098526)株式会社ユニバーサルエンターテインメント (7,628)
【Fターム(参考)】