説明

遊技機

【課題】演出可動体を適切に駆動できる構成を有する遊技機を提供する。
【解決手段】演出動作を実行する演出可動体AMUは、往復運動可能な一対の可動体MViで保持され、一対の可動体MViが同一特性の一対の駆動モータMOiで同期して駆動されることで、一対の可動体MViの移動に対応して、演出可動体AMUが、演出位置に移動すると共に、演出動作終了後に回収位置に移動するよう構成され、一対の駆動モータMOiには、共通する一群の駆動データを互いに逆順に供給することで、一方の駆動モータの時計方向又は反時計方向への回転に対応して、他方の駆動モータを、その反対方向に回転させている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技動作に起因する抽選処理によって大当り状態を発生させる遊技機に関し、特に、演出可動体を適切に駆動できる遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
パチンコ機などの弾球遊技機は、遊技盤に設けた図柄始動口と、複数の表示図柄による一連の図柄変動態様を表示する図柄表示部と、開閉板が開閉される大入賞口などを備えて構成されている。そして、図柄始動口に設けられた検出スイッチが遊技球の通過を検出すると入賞状態となり、遊技球が賞球として払出された後、図柄表示部では表示図柄が所定時間変動される。その後、7−7−7などの所定の態様で図柄が停止すると大当り状態となり、大入賞口が繰返し開放されて、遊技者に有利な遊技状態を発生させている。
【0003】
このような遊技状態を発生させるか否かは、図柄始動口に遊技球が入賞したことを条件に実行される大当り抽選で決定されており、上記の図柄変動動作は、この抽選結果を踏まえたものとなっている。
【0004】
例えば、抽選結果が当選状態である場合には、リーチアクションなどと称される演出動作を20秒前後実行し、その後、特別図柄を整列させている。一方、ハズレ状態の場合にも、同様のリーチアクションが実行されることがあり、この場合には、遊技者は、大当り状態になることを強く念じつつ演出動作の推移を注視することになる。
【0005】
また、最終結果が確定する以前に、キャラクタが出現したり、演出可動体が回転を開始して、大当り状態の招来を予告する予告演出も実行されている。演出可動体は、例えば、大当り状態に至る可能性が高い演出動作時に、所定方向に所定角度だけ回転して、予め決定されている信頼性をもって抽選結果を予告している(特許文献1〜3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−000411号公報
【特許文献2】特開2008−259920号公報
【特許文献3】特開2008−245679号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、演出可動体の重量や演出内容に応じて、使用するモータの種類や駆動方式を種々変更する必要があるので、設計変更の容易な回路構成や制御構成が必要となる。また、演出可動体の重量に拘らず、円滑かつ迅速に昇降できる構成が必要であり、且つ、異常時からの復帰も容易な構成が望まれる。
【0008】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであって、演出可動体を適切に駆動できる構成を有する遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するため、本発明は、所定のスイッチ信号に起因する抽選処理を実行して、これに当選すると遊技者に有利な遊技状態に移行可能に制御する主制御部と、主制御部からの制御コマンドに基づいて、必要時には演出可動体の演出動作を実行するサブ制御部と、を有して構成された遊技機であって、前記演出可動体は、往復運動可能な一対の可動体で保持され、前記一対の可動体が同一特性の一対の駆動モータによって駆動されることで、前記一対の可動体の移動に対応して、前記演出可動体が、演出位置に移動すると共に、演出動作終了後に回収位置に移動するよう構成され、前記一対の駆動モータには、共通する一群の駆動データを互いに逆順に供給することで、一方の駆動モータの時計方向又は反時計方向への回転に対応して、他方の駆動モータを、その反対方向に回転させている。
【0010】
前記一群の駆動データは、一対の駆動モータに対応して設けられた一対の制御テーブルに、逆順に記憶されているのが好ましい。また、前記一群の駆動データは、単一の制御テーブルに記憶され、一方の駆動モータに時間順次に供給される駆動データの読み出し順序と、他方の駆動モータに時間順次に供給される駆動データの読み出し順序とが逆順に実行されるのも好ましい。
【0011】
好適には、前記サブ制御部は、演出動作を実行するCPUのリセット時、及び演出可動体の演出動作の終了時に、演出可動体を原点領域に回収するべく、一対の駆動モータを回転させる回収処理と、演出可動体の演出動作時に、演出可動体を原点領域から演出位置に移動させるべく、一対の駆動モータを回転させる演出開始処理と、前記回収処理に拘らず原点領域に回収できない場合に機能して、一対の駆動モータを回転させるリトライ処理と、を有して構成され、前記リトライ処理では、演出可動体を演出位置に移動させるべく一対の駆動モータを第1回転させた後に、反対方向に第2回転させる。ここで、前記リトライ処理における一対の駆動モータの第1回転は、演出開始処理における駆動モータの回転速度より遅く設定されているのが好ましい。
【0012】
前記一対の駆動モータは、前記回収処理、及び、前記演出開始処理において、実質的に同一タイミングで駆動データを受けているのが好ましく、また、前記一対の駆動モータは、前記リトライ処理において、実質的に異なるタイミングで駆動データを受けているのが好ましい。なお、本発明の遊技機は、典型的には弾球遊技機又は回胴式遊技機である。
【発明の効果】
【0013】
上記した通り、本発明によれば、演出可動体を適切に駆動できる構成を有する遊技機を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施例に示すパチンコ機の斜視図である。
【図2】図1のパチンコ機の遊技盤を図示した正面図である。
【図3】図1のパチンコ機の全体構成を示すブロック図である。
【図4】演出制御部の回路構成を示すブロック図である。
【図5】昇降モータと原点スイッチの構成と動作を説明する図面である。
【図6】演出可動体AMUの構成を説明する図面である。
【図7】演出制御部の処理を説明するフローチャートである。
【図8】モータ処理を概略的に説明するフローチャートである。
【図9】昇降モータの歩進処理を説明するフローチャートである。
【図10】原点検出処理を説明するフローチャートである。
【図11】リトライ処理を説明するフローチャートである。
【図12】演出開始処理を説明するフローチャートである。
【図13】演出回転処理を説明するフローチャートである。
【図14】歩進処理の変形例を説明するフローチャートである。
【図15】本発明の変形例を説明する図面である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、実施例に基づいて本発明を詳細に説明する。図1は、本実施例のパチンコ機GMを示す斜視図である。このパチンコ機GMは、島構造体に着脱可能に装着される矩形枠状の木製外枠1と、外枠1に固着されたヒンジ2を介して開閉可能に枢着される前枠3とで構成されている。この前枠3には、遊技盤5が、裏側からではなく、表側から着脱自在に装着され、その前側には、ガラス扉6と前面板7とが夫々開閉自在に枢着されている。
【0016】
ガラス扉6の外周には、LEDランプなどによる電飾ランプが、略C字状に配置されている。一方、ガラス扉6の下側には、スピーカが配置されている。
【0017】
前面板7には、発射用の遊技球を貯留する上皿8が装着され、前枠3の下部には、上皿8から溢れ出し又は抜き取った遊技球を貯留する下皿9と、発射ハンドル10とが設けられている。発射ハンドル10は発射モータと連動しており、発射ハンドル10の回動角度に応じて動作する打撃槌によって遊技球が発射される。
【0018】
上皿8の外周面には、チャンスボタン11が設けられている。このチャンスボタン11は、遊技者の左手で操作できる位置に設けられており、遊技者は、発射ハンドル10から右手を離すことなくチャンスボタン11を操作できる。このチャンスボタン11は、通常時には機能していないが、ゲーム状態がボタンチャンス状態となると内蔵ランプが点灯されて操作可能となる。なお、ボタンチャンス状態は、必要に応じて設けられるゲーム状態である。
【0019】
上皿8の右部には、カード式球貸し機に対する球貸し操作用の操作パネル12が設けられ、カード残額を3桁の数字で表示する度数表示部と、所定金額分の遊技球の球貸しを指示する球貸しスイッチと、ゲーム終了時にカードの返却を指令する返却スイッチとが設けられている。
【0020】
図2に示すように、遊技盤5の表面には、金属製の外レールと内レールとからなるガイドレール13が環状に設けられ、その略中央には、背面側に延びる中央開口HOが設けられている。そして、中央開口HOの奥底には、液晶カラーディスプレイで構成された表示装置DISPが配置されている。
【0021】
また、表示装置DISPの前面に形成される空間には、演出可動体AMUが昇降自在に配置されている。演出可動体AMUは、一体的に昇降する左右の可動体MV1,MV2に保持されて構成されている。なお、通常時には、演出可動体AMUは、可動体MV1,MV2に吊り上げられて原点位置で待機している。
【0022】
遊技領域5aの適所には、図柄始動口15、大入賞口16、普通入賞口17、ゲート18が配設されている。これらの入賞口15〜18は、それぞれ内部に検出スイッチを有しており、遊技球の通過を検出できるようになっている。
【0023】
表示装置DISPは、大当り状態に係わる特定図柄を変動表示すると共に背景画像や各種のキャラクタなどをアニメーション的に表示する装置である。この表示装置DISPは、中央部に特別図柄表示部Da〜Dcと右上部に普通図柄表示部19を有している。そして、特別図柄表示部Da〜Dcでは、大当り状態の招来を期待させるリーチ演出が実行されたり、特別図柄表示部Da〜Dc及びその周りでは、当否結果を不確定に報知する予告演出などが実行される。
【0024】
普通図柄表示部19は普通図柄を表示するものであり、ゲート18を通過した遊技球が検出されると、普通図柄が所定時間だけ変動し、遊技球のゲート18の通過時点において抽出された抽選用乱数値により決定される停止図柄を表示して停止するようになっている。
【0025】
図柄始動口15は、左右一対の開閉爪を備えた電動式チューリップで開閉されるように構成され、普通図柄表示部19の変動後の停止図柄が当り図柄を表示した場合には、開閉爪が所定時間だけ、若しくは、所定個数の遊技球を検出するまで開放されるようになっている。
【0026】
図柄始動口15に遊技球が入賞すると、特別図柄表示部Da〜Dcの表示図柄が所定時間だけ変動し、図柄始動口15への遊技球の入賞タイミングに応じた抽選結果に基づいて決定される停止図柄で停止する。なお、特別図柄表示部Da〜Dc及びその周りでは、一連の図柄演出の間に、予告演出が実行される場合がある。また、予告演出の一種として、演出可動体AMUが中央開口HOの位置に降下してくることがある。そして、降下した演出可動体AMUは、時計方向又は反時計方向に回転した後、元の位置に上昇する。
【0027】
大入賞口16は、例えば前方に開放可能な開閉板16aで開閉制御されるが、特別図柄表示部Da〜Dcの図柄変動後の停止図柄が「777」などの大当り図柄のとき、「大当りゲーム」と称する特別遊技が開始され、開閉板16aが開放されるようになっている。
【0028】
大入賞口16の開閉板16aが開放された後、所定時間が経過し、又は所定数(例えば10個)の遊技球が入賞すると開閉板16aが閉じる。このような動作は、最大で例えば15回まで特別遊技が継続され、遊技者に有利な状態に制御される。なお、特別図柄表示部Da〜Dcの変動後の停止図柄が特別図柄のうちの特定図柄であった場合には、特別遊技の終了後のゲームが高確率状態(確変状態)となるという特典が付与される。
【0029】
図3は、上記した各動作を実現するパチンコ機GMの全体回路構成を示すブロック図である。図中の一点破線は、主に、直流電圧ラインを示している。
【0030】
図示の通り、このパチンコ機GMは、AC24Vを受けて各種の直流電圧や、電源異常信号ABN1、ABN2やシステムリセット信号(電源リセット信号)SYSなどを出力する電源基板20と、遊技制御動作を中心統括的に担う主制御基板21と、主制御基板21から受けた制御コマンドCMDに基づいてランプ演出及び音声演出を実行する演出制御基板22と、演出制御基板22から受けた制御コマンドCMD’に基づいて表示装置DISPを駆動する画像制御基板23と、主制御基板21から受けた制御コマンドCMD”に基づいて払出モータMを制御して遊技球を払い出す払出制御基板24と、遊技者の操作に応答して遊技球を発射させる発射制御基板25と、を中心に構成されている。
【0031】
但し、この実施例では、主制御基板21が出力する制御コマンドCMDは、コマンド中継基板26と演出インタフェイス基板27を経由して、演出制御基板22に伝送される。また、演出制御基板22が出力する制御コマンドCMD’は、演出インタフェイス基板27を経由して、画像制御基板23に伝送され、主制御基板21が出力する制御コマンドCMD”は、主基板中継基板28を経由して、払出制御基板24に伝送される。
【0032】
これら主制御基板21、演出制御基板22、画像制御基板23、及び払出制御基板24には、ワンチップマイコンを備えるコンピュータ回路がそれぞれ搭載されている。そこで、これらの制御基板21〜24に搭載された回路、及びその回路によって実現される動作を機能的に総称して、本明細書では、主制御部21、演出制御部22、画像制御部23、及び払出制御部24と言うことがある。なお、演出制御部22、画像制御部23、及び払出制御部24の全部又は一部がサブ制御部である。
【0033】
ところで、このパチンコ機GMは、図3の破線で囲む枠側部材GM1と、遊技盤5の背面に固定された盤側部材GM2とに大別されている。枠側部材GM1には、ガラス扉6や前面板7が枢着された前枠3と、その外側の木製外枠1とが含まれており、機種の変更に拘わらず、長期間にわたって遊技ホールに固定的に設置される。一方、盤側部材GM2は、機種変更に対応して交換され、新たな盤側部材GM2が、元の盤側部材の代わりに枠側部材GM1に取り付けられる。なお、枠側部材1を除く全てが、盤側部材GM2である。
【0034】
図3の破線枠に示す通り、枠側部材GM1には、電源基板20と、払出制御基板24と、発射制御基板25と、枠中継基板32とが含まれており、これらの回路基板が、前枠3の適所に各々固定されている。一方、遊技盤5の背面には、主制御基板21、演出制御基板22、画像制御基板23が、表示装置DISPやその他の回路基板と共に固定されている。そして、枠側部材GM1と盤側部材GM2とは、一箇所に集中配置された接続コネクタC1〜C4によって電気的に接続されている。
【0035】
電源基板20は、接続コネクタC2を通して、主基板中継基板28に接続され、接続コネクタC3を通して、電源中継基板30に接続されている。電源基板20には、交流電源の投入と遮断とを監視する電源監視部MNTが設けられている。電源監視部MNTは、交流電源が投入されたことを検知すると、所定時間だけシステムリセット信号SYSをLレベルに維持した後に、これをHレベルに遷移させる。
【0036】
また、電源監視部MNTは、交流電源の遮断を検知すると、電源異常信号ABN1,ABN2を、直ちにLレベルに遷移させる。なお、電源異常信号ABN1,ABN2は、電源投入後に速やかにHレベルとなる。
【0037】
ところで、本実施例のシステムリセット信号は、交流電源に基づく直流電源によって生成されている。そのため、交流電源の投入(通常は電源スイッチのON)を検知してHレベルに増加した後は、直流電源電圧が異常レベルまで低下しない限り、Hレベルを維持する。したがって、直流電源電圧が維持された状態で、交流電源が瞬停状態となっても、システムリセット信号SYSがCPUをリセットすることはない。なお、電源異常信号ABN1,ABN2は、交流電源の瞬停状態でも出力される。
【0038】
主基板中継基板28は、電源基板20から出力される電源異常信号ABN1、バックアップ電源BAK、及びDC5V,DC12V,DC32Vを、そのまま主制御部21に出力している。一方、電源中継基板30は、電源基板20から受けたシステムリセット信号SYSや、交流及び直流の電源電圧を、そのまま演出インタフェイス基板27に出力している。なお、演出インタフェイス基板27は、受けたシステムリセット信号SYSを、そのまま演出制御部22と画像制御部23に出力している。
【0039】
一方、払出制御基板24は、中継基板を介することなく、電源基板20に直結されており、主制御部21が受けると同様の電源異常信号ABN2や、バックアップ電源BAKを、その他の電源電圧と共に直接的に受けている。
【0040】
電源基板20が出力するシステムリセット信号SYSは、電源基板20に交流電源24Vが投入されたことを示す電源リセット信号であり、この電源リセット信号によって演出制御部22と画像制御部23のワンチップマイコンは、その他のIC素子と共に電源リセットされるようになっている。
【0041】
但し、このシステムリセット信号SYSは、主制御部21と払出制御部24には、供給されておらず、各々の回路基板21,24のリセット回路RSTにおいて電源リセット信号(CPUリセット信号)が生成されている。そのため、例えば、接続コネクタC2がガタついたり、或いは、配線ケーブルにノイズが重畳しても、主制御部21や払出制御部24のCPUが異常リセットされるおそれはない。なお、演出制御部22と画像制御部23は、主制御部21からの制御コマンドに基づいて、従属的に演出動作を実行することから、回路構成の複雑化を回避するために、電源基板20から出力されるシステムリセット信号SYSを利用している。
【0042】
ところで、主制御部21や払出制御部24に設けられたリセット回路RSTは、各々ウォッチドッグタイマを内蔵しており、各制御部21,24のCPUから、定時的なクリアパルスを受けない限り、各CPUは強制的にリセットされる。
【0043】
また、この実施例では、RAMクリア信号CLRは、主制御部21で生成されて主制御部21と払出制御部24のワンチップマイコンに伝送されている。ここで、RAMクリア信号CLRは、各制御部21,24のワンチップマイコンの内蔵RAMの全領域を初期設定するか否かを決定する信号であって、係員が操作する初期化スイッチSWのON/OFF状態に対応した値を有している。
【0044】
主制御部21及び払出制御部24は、電源基板20から電源異常信号ABN1,ABN2を受けることによって、停電や営業終了に先立って、必要な終了処理を開始するようになっている。また、バックアップ電源BAKは、営業終了や停電により交流電源24Vが遮断された後も、主制御部21と払出制御部24のワンチップマイコンの内蔵RAMのデータを保持するDC5Vの直流電源である。したがって、主制御部21と払出制御部24は、電源遮断前の遊技動作を電源投入後に再開できることになる(電源バックアップ機能)。このパチンコ機では少なくとも数日は、各ワンチップマイコンのRAMの記憶内容が保持されるよう設計されている。
【0045】
図3に示す通り、主制御部21は、主基板中継基板28を経由して、払出制御部24に制御コマンドCMD”を送信する一方、払出制御部24からは、遊技球の払出動作を示す賞球計数信号や、払出動作の異常に係わるステイタス信号CONや、動作開始信号BGNを受信している。ステイタス信号CONには、例えば、補給切れ信号、払出不足エラー信号、下皿満杯信号が含まれる。動作開始信号BGNは、電源投入後、払出制御部24の初期動作が完了したことを主制御部21に通知する信号である。
【0046】
また、主制御部21は、遊技盤中継基板29を経由して、遊技盤5の各遊技部品に接続されている。そして、遊技盤上の各入賞口16〜18に内蔵された検出スイッチのスイッチ信号を受ける一方、電動チューリップなどのソレノイド類を駆動している。ソレノイド類や検出スイッチは、主制御部21から給電された電源電圧VB(12V)で動作するよう構成されている。そして、図柄始動口15への入賞状態などを示す各スイッチ信号は、電源電圧VB(12V)と電源電圧Vcc(5V)とで動作するインタフェイスICで、TTLレベルのスイッチ信号に変換された上で、主制御部21に伝送される。
【0047】
図4に示すように、演出制御部22は、音声演出・ランプ演出・演出可動体による予告演出・データ転送などの処理を実行するワンチップマイコン40と、ワンチップマイコン40の制御プログラムなどを記憶するEPROM41と、ワンチップマイコン40からの指示に基づいて音声信号を再生して出力する音声再生出力回路42と、再生される音声信号の元データである圧縮音声データを記憶する音声用メモリ43と、ウォッチドッグタイマWDTとを備えて構成されている。
【0048】
ワンチップマイコン40には、パラレル入出力ポートPIOが内蔵されている。そして、パラレルポートPIOからは、制御コマンドCMD’及びストローブ信号STB’と共に、ドライバ回路45A,45Bに対して、二種類の駆動データΦ1〜Φ4,Φ1’〜Φ4’が時間順次に出力されている。二種類の駆動データΦ1〜Φ4,Φ1’〜Φ4’は、各々ステッピングモータで構成された同一特性の昇降モータMO1,MO2に、同一タイミングで供給される。ここで、駆動データΦ1〜Φ4と駆動データΦ1’〜Φ4’は、互いに位相が相違しており、一方の昇降モータMO1が正回転するときには、他方の昇降モータMO2は逆回転するよう制御される。
【0049】
また、各昇降モータMO1に関連して、原点スイッチORGが設けられており、そのスイッチ信号(原点検出信号)SNは、パラレルポートPIOに入力されている。原点スイッチORGは、演出可動体AMUを原点領域に回収する共に、正確に、原点位置に静止するために使用される。
【0050】
ウォッチドッグタイマWDTは、ワンチップマイコン40から定期的に供給されるクリアパルスでリセットされるが、プログラムの暴走などによって、このクリアパルスが途絶えると、リセット信号RESETを出力するようになっている。その結果、ワンチップマイコン40は、初期状態に強制的にリセットされ、プログラムの暴走状態などが解消される。
【0051】
図4に示す通り、演出制御基板22のワンチップマイコン40には、主制御基板21から出力された制御コマンドCMDとストローブ信号(割込み信号)STBとが、演出インタフェイス基板27のバッファ48を経由して供給されている。割込み信号STBは、ワンチップマイコンの割込み端子INTに供給されている。そして、ストローブ信号STBによって起動される受信割込み処理によって、演出制御部22は、制御コマンドCMDを取得することになる。
【0052】
演出制御部22が取得する制御コマンドCMDには、(1) 異常報知その他の報知用制御コマンドなどの他に、(2) 図柄始動口への入賞に起因する各種演出動作の概要を特定する制御コマンド(変動パターンコマンド)が含まれている。ここで、変動パターンコマンドで特定される演出動作の概要には、演出開始から演出終了までの演出総時間と、大当り抽選における当否結果とが含まれている。なお、これらに加えて、リーチ演出や予告演出の有無などを含めて変動パターンコマンドで特定しても良いが、この場合でも、演出内容の具体的な内容は特定されていない。
【0053】
そのため、演出制御部22では、変動パターンコマンドCMDを取得すると、これに続いて演出抽選を行い、取得した変動パターンコマンドで特定される演出概要を更に具体化している。
【0054】
例えば、リーチ演出や予告演出について、その具体的な内容が決定される。そして、決定された具体的な遊技内容にしたがい、LED群などの点滅によるランプ演出や、スピーカによる音声演出の準備動作を行うと共に、画像制御部23に対して、ランプやスピーカによる演出動作に同期した図柄演出に関する制御コマンドCMD’を出力する。また、演出可動体AMUを使用する予告動作時には、同一特性の昇降モータMO1,MO2を同期回転させて演出可動体AMUを降下させた後、回転モータRO(図6)が動作して演出可動体AMUの演出動作が実行される。
【0055】
このような演出動作に同期した図柄演出を実現するため、演出制御部22は、画像制御部23に対するストローブ信号(割込み信号)STB’と共に、制御コマンドCMD’を演出インタフェイス基板27に向けて出力する。なお、演出制御部22は、表示装置に関連する報知用制御コマンドや、その他の制御コマンドを受信した場合は、その制御コマンドを、そのまま割込み信号STB’と共に演出インタフェイス基板27に向けて出力する。
【0056】
上記した演出制御基板22の構成に対応して、演出インタフェイス基板27は、8ビット長の制御コマンドCMD’と1ビット長の割込み信号STB’を受けるよう構成されている。そして、これらのデータCMD’,STB’は、バッファ回路46を経由して、そのまま画像制御基板23に出力される。また、演出インタフェイス基板27は、演出制御部22から出力されるランプ駆動用の信号を受け、これを、ランプ接続基板34を経由してLEDランプ群に供給する。その結果、主制御部21が出力した制御コマンドCMDに対応するランプ演出が実現される。
【0057】
また、画像制御部23は、演出インタフェイス基板27を経由して制御コマンドを受信して画像制御動作を実行するワンチップマイコンと、ワンチップマイコンの指示に基づき表示装置DISPを駆動するVDPと、グラフィックROMと、制御用ROMと、ワンチップマイコンを強制リセットさせるウォッチドッグタイマWDTとを有して構成されている。
【0058】
なお、システムリセット信号SYSは、演出インタフェイス基板27を経由して、演出制御部22と画像制御部23のワンチップマイコンの内蔵CPUのリセット端子RESETに供給されており、交流電源の投入時には、各CPUが電源リセットされる。
【0059】
続いて、演出可動体AMUを保持して昇降する可動体MV1,MV2と、可動体MV1,MV2を昇降させる昇降モータMO1,MO2について図5及び図6に基づいて説明する。
【0060】
図5(b)に示す通り、実施例の昇降モータMO1,MO2は、各々、二相励磁される同一特性のステッピングモータMOで構成され、各ドライバ回路45A,45Bは、ダーリントン接続されたトランジスタTrとダンパーダイオードDpとを有して構成されている。そして、この実施例では、昇降モータMO1,MO2が、360/245°ピッチで回転しており、昇降モータMO1,MO2が245ステップの駆動パルスΦ1〜Φ4,Φ1’〜Φ4’を受けて一回転するよう構成されている。
【0061】
駆動パルスΦ1〜Φ4,Φ1’〜Φ4’は、例えば、4ビット長の駆動データ0101,1001,1010,0110を、ドライバ回路45A、45Bに出力することで生成され、出力する駆動データを変化させることで昇降モータMO1,MO2が単位ステップ角(360/245°)ごとに歩進する。なお、駆動データが変化しない場合には昇降モータMO1,MO2が拘束状態で停止する。一方、非駆動データ(0000)をドライバ回路45A,45Bに出力すると、昇降モータMO1,MO2は自由回転可能な非拘束状態となる。
【0062】
このような昇降モータMO1,MO2の回転軸には、円形歯車(ピニオン)が装着され、可動体MV1,MV2(図6参照)の外面に形成されたラックにピニオンが歯合している。そして、昇降モータMO1が時計方向(反時計方向)に回転する場合には、昇降モータMO2が反時計方向(時計方向)に同期回転することで、可動体MV1.MV2が昇降モータMO1,MO2に駆動されて一体的に昇降する。なお、演出可動体AMUは、可動体MV1,MV2に保持された状態で、回転モータROによって適宜に回転される。また、左右の可動体MV1,MV2の運動経路の終端には、それ以上の上昇を阻止するストッパ機構(メカロック)が配置されている(図6)。
【0063】
図6に示す通り、左側の可動体MV1の基端には、遮光片SHが配置される一方、遮光片SHの移動経路には、フォトインタラプタPHが配置されている。そして、フォトインタラプタPHと遮光片SHとで原点スイッチORGを構成している。すなわち、原点スイッチORGは、発光部と受光部とを有するフォトインタラプタPHと、発光部から放射された検査光を遮断する遮光片SHとで構成されている。なお、発光部はフォトダイオードで構成され、受光部はフォトトランジスタで構成されている(図5(a)参照)。
【0064】
そのため、原点検出信号SNは、フォトトランジスタの出力として、通常時はLレベル(OFFレベル)であるが、遮光片SHによる遮光状態ではHレベル(ONレベル)となる。ここで、原点検出信号SNは、可動体MV1の移動速度Vと、フォトインタラプタPHや遮光片SHの上下幅とに対応して、所定の時間だけHレベルとなる。そこで、この実施例では、遮光片SHが、フォトインタラプタPHの検査光を遮蔽状態に維持する領域をもって原点領域と定義する。
【0065】
ところで、本実施例では、可動体MV1,MV2の可動範囲は、可動体MV1の原点位置(原点領域中の基準位置)から、図6に破線で示す下限位置までであり(移動距離L)、原点位置と下限位置は、各々、各ステッピングモータ(昇降モータMO1,MO2)に供給される駆動データΦ1〜Φ4,Φ1’〜Φ4’のステップ数で規定されている。
【0066】
具体的には、原点位置は、上昇中の可動体MV1の遮光片SHが、フォトインタラプタPHの検査光を遮光してから、更に原点領域中をNステップ上昇した位置、つまり、ステッピングモータMO1がNステップ更に反時計方向に歩進した位置であると規定している。一方、下限位置は、原点位置からMステップ降下した位置、つまり、ステッピングモータMO1が原点位置から時計方向にMステップ歩進した位置であると規定している。
【0067】
ここで、昇降モータMO1が、単位時間τを要して1ステップ角だけ回転して、ラックが単位距離UN移動すると仮定すると、図6に示す最大移動距離Lは、L=UN*Mであり、移動時間はτ*Mである。なお、以下の説明では、原点位置を規定するステップ数Nを第1基準値とし、下限位置を規定するステップ数Mを第2基準値ということがある。
【0068】
図7〜図12は、主として、演出可動体AMUの動作内容を説明するフローチャートであり、図7は、演出制御部22の全体的な動作を説明するフローチャートである。なお、演出制御部22は、主制御部21から受ける制御コマンドに基づいて必要時に演出可動体AMUを動作させる。
【0069】
図7に示す通り、演出制御部22は、CPUがリセットされて開始されるメイン処理(a)と、ストローブ信号STBによって起動される受信割込み処理(b)と、10mS毎に起動される第1タイマ割込み処理(c)と、2mS毎に起動される第2タイマ割込み処理(d)と、を含んで構成されている。
【0070】
図7(d)に示す通り、第2タイマ割込み処理では、電飾ランプを駆動するランプ演出処理(ST67)と、必要に応じて演出可動体AMUを駆動する演出モータ処理(ST68)とが2mS毎に実行される。
【0071】
図7(a)に示す通り、メイン処理(CPUリセット処理)では、ワンチップマイコン40内部の初期設定を実行した後(ST46)、バックアップ判定処理を実行する(ST47)。バックアップ判定処理とは、バックアップ処理(ST63)において保存されたデータの正当性を判定する処理である。バックアップ処理(ST63)において保存されるデータは、特に限定されないが、例えば、(1) RAM領域の所定データに対するチェックサム演算のサム値、(2) RAM領域に離散的に保存された特定データ、(3) RAM領域の所定データを別の領域に保存したバックアップデータなどを例示することができる。
【0072】
また、バックアップ判定処理では、動作状態を示す重要な動作フラグに不合理性がないかも判定される。動作フラグに不合理性とは、例えば、変動演出中であることを示す動作フラグと、大当り動作中であることを示す動作フラグとが共にセット状態となっているような場合である。この遊技機では、変動演出を終えてから、大当り動作に移行するので、2つの動作フラグが共にセット状態であるはずがなく、もし、このような事態が検出されれば、他の保存データに正当性が認められても、正常ではないと判定する。
【0073】
そして、ステップST48の判定において、正当性が確認できない場合には、RAMの全領域を初期化することで、演出制御部22をコールドスタートさせてステップST52の処理に移行させる(ST51)。
【0074】
主制御部21や払出制御部24と異なり、演出制御部22にはバックアップ電源が設けられていないので、バックアップ判定処理(ST47)において、正当データが検出できる可能性がないとも思われる。しかし、CPUがリセットされるのは、電源投入に対応する電源リセット時だけでなく、ノイズやウォッチドッグタイマによってCPUリセット信号がアクティブレベルとなる異常リセット時もある。
【0075】
そこで、本実施例では、CPUの異常リセット時に、可能な限り、それまでの遊技動作を継続して、演出制御部22の動作をホットスタートさせるべく、バックアップ判定処理(ST47〜ST48)を設けている。
【0076】
但し、バックアップ判定処理(ST47)では全てのデータを判定する訳ではないので、CPUが繰り返し異常リセットされる場合には、演出制御部22の動作を初期状態に戻すべきである。そこで、異常リセット回数をカウントするべく異常カウンタをインクリメント(+1)処理し(ST49)、異常カウンタの値が所定値(例えば2)を超えた場合には、コールドスタートさせるべくステップST51のRAMクリア処理に移行させている(ST50)。
【0077】
以上の通り、CPUが異常リセットされた場合でも、バックアップ判定(ST47)で正当判定され、且つ、異常リセット回数が所定値以下であれば、演出制御部22がホットスタートされて、それまでの遊技動作が継続される。
【0078】
次に、演出制御部22が、ホットスタートしたか、コールドスタートしたかに拘わらず、昇降モータMOiのモータ動作フラグFGの値を1に設定する(ST52)。ここで、2つの昇降モータMO1,MO2を総称してMOiという(以下同じ)。また、昇降モータMOiの異常状態を示す異常フラグERを正常レベルの0に初期設定すると共に、動作モードMDを0に初期設定する。後述するように、モータ動作フラグFGが1に設定されると、その後の演出モータ処理(ST68)において、演出可動体AMUが原点位置に復帰するべく駆動される。
【0079】
ステップST52の処理が終われば、音声再生出力回路(音声再生IC)42について、必要な初期設定を実行する(ST53)。その後、ワンチップマイコン40のCPUを割込み許可状態に設定した後(ST54)、乱数値を更新しつつ(ST55)10mS間隔のタイマ割込みを待機する(ST56)。なお、更新される乱数値は、演出動作をランダム化するために演出抽選処理において使用される。
【0080】
図7(c)に示す通り、10mS間隔でタイマ割込みが生じる毎に、割込みフラグがセットされるので(ST66)、メイン処理のステップST56の処理では、割込みフラグがONになるのを繰り返しチェックする。そして、割込みフラグがONとなると、これをOFFにリセットした後に、タイマ更新処理を実行する(ST57)。タイマ更新処理で更新されるタイマには、後述する異常報知タイマや、クリア報知タイマが含まれており、各タイマは、ゼロになるまでデクリメント(−1)処理によって更新される。
【0081】
続いて、受信割込み処理(図7(b))で受信された制御コマンド(受信コマンド)について、コマンド解析処理が実行される(ST58)。ここで、変動パターンコマンドを受信した場合には、演出抽選によって特定された演出コマンドを画像制御部23に送信する。また、演出コマンドによって特定される演出動作を開始するべく必要な準備処理を実行する。
【0082】
そして、開始される演出動作に演出可動体AMUが含まれている場合には、モータ動作フラグFG=0、且つ、リトライフラグRT=0であって、昇降モータMOiが異常状態(モータエラー)でないことを条件に(ER=0)、昇降モータMOiのモータ動作フラグFGを2に設定する。その結果、その後の演出モータ処理(ST68)では、演出可動体AMUを下限位置まで降下させる演出開始処理(図8のSS6)が実行される。なお、モータエラーとは、リトライ処理(図8のSS4)を経ても昇降モータMOiが回転しない異常、或いは、演出開始処理(図8のSS6)において、昇降モータMOiが正常に機能しない異常を意味し、何れの場合にも異常フラグER=1とされる。そして、この場合には、演出可動体AMUを使用したモータ演出はスキップされる。
【0083】
このようなコマンド解析処理(ST58)が終われば、次にエラー処理を実行し(ST59)、次に、必要に応じて、チャンスボタン11についての入力処理が実行される(ST60)。また、ランプ演出(ST67)や演出モータ処理(ST68)や音声演出(ST62)についての演出シナリオを作成又は更新する(ST61)。
【0084】
次に、作成または更新された演出シナリオに基づいた音声演出が実行され(ST62)、バックアップ処理(ST63)を実行した後にステップST54の処理に移行する。なお、バックアップ処理としては、例えば、チェックサム演算だけでなく、特定データを離散的に保存する処理や、ワーク領域の全データのバックアップ保存する処理などが例示される。なお、バックアップ処理に続いてウォッチドッグタイマWDTのクリア処理も実行される。
【0085】
続いて、2mS毎に実行される演出モータ処理(図7(d)のST68)について、図8〜図12に基づいて詳細に説明する。
【0086】
図8に示す通り、演出モータ処理(ST68)では、最初に異常フラグERの値が判定され(SS1)、もし異常フラグER=1であれば、非駆動データをドライバ回路45A,45Bに出力して処理を終える(SS8)。非駆動データは、この実施例では、4ビット長の0000であり、2つの昇降モータMO1,MO2は、自由回転可能な非拘束状態で停止状態を維持する。
【0087】
一方、異常フラグER=0であれば、リトライフラグRTの値を判定する(SS2)。リトライフラグRTは、原点検出処理(SS5)や演出開始処理(SS6)において、演出可動体AMUが原点領域に戻れない異常時にRT=1とされる。そして、リトライフラグRT=1の状態で実行されるリトライ処理(SS4)でも異常が改善されない場合には、異常フラグERを1にセットして異常終了する。一方、異常が改善されて正常終了する場合には、リトライフラグRT=0となる。
【0088】
そのため、ステップSS2の処理において、リトライフラグRT=0と判定される場合には、次に、モータ動作フラグFGの値が判定される(SS3)。モータ動作フラグFGは、0〜3に推移し、FG=0では昇降モータMOiが拘束状態で停止を維持する初期動作が実行され、FG=1では昇降モータMOiを原点領域に回収する原点検出処理が実行され、FG=2では昇降モータMOiを降下させる演出開始処理が実行され、FG=3では、回転モータROが回転する演出回転処理が実行される。
【0089】
ここで、原点検出処理(SS5)は、(1) 演出制御部のCPUリセット時、(2) 変動演出開始時、(3) 大当り遊技開始時、(4) 客待ちデモ演出開始時、(5) 演出回転終了時に実行され、必要に応じて、変動演出終了時にも実行される。そして、原点検出処理(SS5)の実行に先立って、モータ動作フラグFG=1、異常フラグER=0に初期設定される。
【0090】
そして、原点検出処理(SS5)では、詳細を図9に示す通り、演出可動体AMUが、もともと原点領域に位置していたか、或いは、原点領域の外側から原点位置まで移動すると正常終了して、モータ動作フラグFG=0とする。一方、原点検出処理(SS5)において正常な動作が継続できない異常時には、リトライフラグRT=1に設定して異常終了する。そして、その後の演出モータ処理では、リトライ処理(SS4)が実行される。
【0091】
一方、演出開始処理(SS6)は、リトライフラグRT=0、モータ動作フラグFG=2、及び、異常フラグER=0であることを条件に開始され、演出可動体AMUが下限位置まで降下される。そして、下限位置に達すると、モータ動作フラグFG=3とされる。一方、演出開始処理が正常に継続できない場合には、異常フラグER=1として処理を終える。そして、異常フラグER=1となったことによって、その後の演出回転処理(SS7)は、異常が復旧されない限り禁止される。
【0092】
演出開始処理(SS6)が正常に終わると、モータ動作フラグFG=3の状態で、演出可動体AMUが適宜に回転し、全ての演出動作が終われば、モータ動作フラグFG=1とされる。その結果、その後は、原点検出処理(SS6)が実行されて、演出可動体AMUが原点領域に回収される。
【0093】
以上、演出モータ処理の概要を説明したので、その具体的な処理内容を以下に説明する。なお、プログラムで使用する変数を整理すると、図8の下欄に示す通りである。すなわち、計数カウンタCNTは、昇降モータMOの回転ステップ数を規定し、方向フラグDRは、昇降モータMOの順逆の回転方向を規定し、動作モードフラグMDは、制御動作の進行を管理する。
【0094】
図7(d)及び図8から明らかな通り、異常フラグER=0、且つ、リトライフラグRT=0の状態では、ステップSS3以下の処理が、2mS毎に繰り返し実行される。なお、原点検出処理(SS5)、演出開始処理(SS6)、演出回転処理(SS7)は、モータ動作フラグFG(FG=1〜3)の値に対応して開始されるが、開始タイミングでは、何れの場合にも、動作モードMD=0となっている。
【0095】
図10〜図13に示す演出モータ処理の説明に先立って、昇降モータMOiを1ステップ角毎に歩進させる歩進処理(図9(a))から説明する。なお、この歩進処理は、図10〜図13の各部において繰り返し使用されるサブルーチンであり、リングカウンタとして機能するポインタPTに基づいて、第1制御テーブルTBL1(図9(b))と、第2制御テーブルTBL2(図9(c))をアクセスして実行される。
【0096】
ここで、第1制御テーブルTBL1(図9(b))は、昇降モータMO1を歩進させる駆動データΦ1〜Φ4を規定し、第2制御テーブルTBL2(図9(c))は、昇降モータMO2を歩進させる駆動データΦ1’〜Φ4’を規定している。そして、ポインタPTが順方向に順次更新されると、昇降モータMO1が時計方向に回転する一方で、昇降モータMO2が反時計方向に回転し、可動体MV1,MV2が同期して降下する。一方、ポインタPTが逆方向に順次更新されると、昇降モータMO1が反時計方向に回転する一方で、昇降モータMO2が時計方向に回転し、可動体MV1,MV2が同期して上昇する。なお、ポインタPTの更新方向は、方向フラグDRによって規定される。
【0097】
図9に示す通り、歩進処理では、昇降モータMOが4mS毎に1ステップ駆動されて、単位角度(360/245°)回転するので、245ステップで昇降モータが一回転する。また、演出モータ処理(図7のST68)は、2mS間隔で起動される割込み処理で実行されるので、昇降モータMOは、タイマ割込み2回(4mS間隔)で1ステップ駆動されることになる。
【0098】
以上の処理を実現するため、図9に示す歩進処理では、先ず、回数カウンタNUMをインクリメントして、回数カウンタNUMが2に一致するか否かを判定する(ST1〜ST2)。そして、ステップST2の判定で、回数カウンタNUMがMUN<2の場合には、そのまま処理を終える。一方、回数カウンタNUMがMUN=2であれば、NUM=0の戻した後に(ST3)、計数カウンタCNTをデクリメントする(ST4)。先に説明した通り、計数カウンタCNTは昇降モータMOの駆動ステップ数を規定しており、計数カウンタCNT>0の場合だけ昇降モータが所定方向に駆動される。
【0099】
計数カウンタCNTのデクリメント処理が終われば、次に、方向フラグDRの値を判定し(ST5)、方向フラグDR=1であって順方向回転(降下回転)を意味する場合には、ポインタPTをインクリメントし(ST6)、インクリメント後のポインタPTが、上限値(=3)を超える場合には、PT=0とする(ST7〜ST8)。
【0100】
一方、方向フラグDR=0であって逆方向回転(上昇回転)を意味する場合には、ポインタPTをデクリメントし(ST9)、デクリメント後のポインタPTが、下限値(=0)を超える場合には、PT=3とする(ST10〜ST11)。
【0101】
以上のようにしてポインタPTが更新されれば、更新後のポインタPTに基づいて、第1制御テーブルTBL1の駆動データΦ1〜Φ4を特定し、その駆動データΦ1〜Φ4を第1ドライバ回路45Aに出力する(ST12)。また、更新後のポインタPTに基づいて、第2制御テーブルTBL2の駆動データΦ1’〜Φ4’を特定し、その駆動データΦ1’〜Φ4’を第2ドライバ回路45Bに出力する(ST12)。このような処理によって、2つの昇降モータMO1,MO2が互いに逆方向に1ステップだけ歩進して、可動体MV1,MV2が単位距離UNだけ上昇又は降下する。
【0102】
先に説明した通り、この実施例では、同一特性の昇降モータMO1,MO2を使用するので、二種類の駆動データΦ1〜Φ4,Φ1’〜Φ4’を使用するとはいっても、各制御テーブルTBL1,TBL2には、共通のデータが、その記載欄だけを相違して格納されている。言い換えると、一方の制御テーブルTBL1の記載欄が、0行目データ→1行目データ→2行目データ→・・・・N行目データの順番であるのに対して、他方の制御テーブルTBL2では、データの記載順が逆になっている。
【0103】
そして、他方の制御テーブルTBL2は、一方の制御テーブルTBL1に対して、N行目データ→・・・→2行目データ→1行目データ→0行目データ→N行目データ→N−1行目データ→・・・の記載順であれば、制御テーブルTBL2は、制御テーブルTBL1の最終行のデータから開始させる必要はなく、要するに、開始行のデータは何でも良い。
【0104】
また、本実施例では、このような2つの制御テーブルTBL1,TBL2を、単一のポインタPTでアクセスして、出力する駆動データΦ1〜Φ4,Φ1’〜Φ4’の位相を相違させ、同一特性の昇降モータMO1,MO2を一体回転させている。そのため、2つの昇降モータの特性が同一である限り、2相モータを2相励磁する実施例の構成から、2相モータの1相励磁や1−2相励磁への設計変更や、或いは、4相モータや5相モータへの設計変更が容易であり、設計変更時のバグ発生を防止できる。
【0105】
なお、同一特性の昇降モータMOiを使用する限り、必ずしも2つの制御テーブルTBL1,TBL2を設ける必要はない。例えば、図9の破線で示すように、0→1→2→3→0と巡回するポインタPTに対して、3→2→1→0→3と逆方向に巡回するポインタPT’を使用すれば、単一の制御テーブルTBL1で足りる。この場合には、昇降モータとして、特に、4相モータや5相モータを使用する場合に、制御テーブルTBL1が占有するメモリ容量を抑制することができる。
【0106】
図10〜図12の処理は、図9に示す歩進処理を使用して実現されている。図10に示す原点検出処理では、最初に、フォトインタラプタPHからの検出信号SNが取得され記憶される(SS10)。次に、動作モードMDを判定し(SS11)、初期状態のままでMD=0であれば、検出信号SNのレベルが判定される(SS12)。
【0107】
図6に関して説明した通り、検出信号SNは、可動体MV1が原点領域に位置しているか否かを示している。したがって、検出信号SN=Hであって、可動体MV1が原点領域に位置している場合には、モータ動作フラグFGを初期状態のFG=0に戻して処理を正常終了させる(SS13)。この場合、可動体MV1は、正確な原点位置には位置しない可能性もあるが、演出可動体AMUは、少なくとも、遊技者の目に触れない位置に収容されている。
【0108】
一方、ステップSS12の判定時に検出信号SN=Lであって、可動体MV1が原点領域外に位置している場合には、計数カウンタCNTの値を、第2基準値Mより適宜に大きい値M+AAに初期設定する(SS14)。なお、第2基準値Mは、最大移動距離Lに対応するステップ数であり(図6参照)、計数カウンタCNTを、第2基準値Mより大きい値に初期設定するのは、原点検出処理(SS5)は、演出回転処理(SS7)の完了後にも実行されるためである。
【0109】
また、ステップSS14の処理では、方向フラグDRを0に設定して、昇降モータMO1を半時計方向(上昇方向)に回転させることを規定し、動作モードMDを1とする(SS14)。以上の処理は、次回以降のタイマ割込みによって、可動体MV1を原点領域に戻すための処理である。
【0110】
動作モードMD=1となったことにより、次回以降のタイマ割込みでは、ステップSS11→SS15→SS16の経路を経て、検出信号SNがHレベルとなったか否かが判定される(SS16)。そして、未だ、可動体MV1が原点領域に戻っておらず、検出信号SN=Lであれば、図9に示す歩進処理を実行する(SS18)。なお、歩進処理では、所定時間毎に、駆動データをDR方向に1ステップ進め、これに対応して計数カウンタCNTがデクリメントされる。
【0111】
このようにして、ステップSS18の処理を繰り返して可動体MV1を歩進させていると、やがて、可動体MV1が原点領域に戻り、検出信号SN=Hとなる筈である。そこで、その場合には、計数カウンタCNTを、第1基準値Nに、新たに初期設定する(SS19)。先に説明した通り、第1基準値Nは、上昇する可動体MV1の基端が、原点領域に突入してから原点位置に達するまでのステップ数である。
【0112】
また、方向フラグDRを0に維持して、動作モードMDを2とする(SS19)。以上の処理は、次回以降のタイマ割込みによって、原点領域に突入した可動体MV1を、正確に原点位置に戻すための処理である。
【0113】
一方、検出信号SN=Lである場合には、ステップSS17〜SS18の処理を更に繰り返すことになる。そして、検出信号SN=Lが維持されて、ステップSS14で初期設定された計数カウンタCNTが0に達した場合には、リトライフラグRT=1に設定すると共に、動作モードMD=0として処理を終える(SS20)。
【0114】
これは、昇降モータMOiについて相当数の駆動動作を実行したにも拘らず、可動体MV1が原点領域に戻れない異常が検出されたことになる。そこで、次回のタイマ割込みでは、モータ動作フラグFG=1を維持した状態で、リトライ処理(SS4)が実行される(図11参照)。
【0115】
一方、ステップSS19の処理が実行された後のタイマ割込みでは、ステップSS11→SS15→SS21の経路を経て、計数カウンタCNTの値が判定される(SS21)。そして、計数カウンタCNT≠0であれば、所定時間毎に駆動データをDR方向に進め、これに対応して、計数カウンタCNTをデクリメントする(SS22)。
【0116】
そして、計数カウンタCNT=0となったタイミングで、動作モードMD=0とすると共に、モータ動作フラグFG=0として、原点検出処理を正常終了させる(SS23)。
【0117】
続いて、図11に基づいてリトライ処理について説明する。リトライ処理(SS4)は、原点検出処理(SS5)や演出開始処理(SS6)において、リトライフラグRT=1に設定されることに起因して開始される。そして、その開始時には動作モードMD=0に設定されている。なお、リトライフラグRTは、演出可動体AMUが原点領域に解消できない場合にRT=1とされる(SS20,SS51)。
【0118】
リトライ処理(SS4)では、図11に示す通り、最初に動作モードMDが判定され(SS24)、動作モードMD=0であれば、計数カウンタCNTが適宜な値XXに初期設定され、方向フラグDR=1にされた上で、動作モードがMD=1とされる(SS25)。方向フラグDR=1は、回転方向が順方向(降下方向)であることを意味するが、これは、上昇させることができなかった演出可動体AMUを、反対方向に駆動するためである。
【0119】
動作モードMD=1とされたことにより、次回のタイマ割込みでは、ステップSS24→SS26→SS27の経路を経て、計数カウンタCNTの値が判定される(SS27)。そして、計数カウンタCNT≠0であれば、所定時間毎に駆動データを1ステップ進めて、これに対応して計数カウンタCNTをデクリメントする歩進処理を実行する(SS28)。
【0120】
このような処理を繰り返していると、やがて、計数カウンタCNT=0となるので、その場合には、計数カウンタCNTの値を、第2基準値より適宜に大きな値M+AAに、新たに初期設定する(SS29)。また、方向フラグDR=0、動作モードMD=2とする(SS29)。したがって、次回のタイマ割込み処理では、可動体MV1が原点領域に向けて逆方向(上昇方向)に回転することになる。これは、降下方向に所定ステップ数(=XX)だけ駆動した後に(SS25〜SS28)、それまでと逆方向に駆動することで、昇降モータMOiの異常を解消させるためである。
【0121】
動作モードMD=2とされたことにより、次回のタイマ割込みでは、ステップSS24→SS26→SS30→SS31の経路を経て、検出信号SNが取得され(SS31)、そのレベルが判定される(SS32)。そして、検出信号SN=Hであって、可動体MV1が原点領域に突入した場合には、原点位置まで更に移動させるべく、計数カウンタCNTを第1基準値Nに初期設定する(SS35)。また、方向フラグDRを0に維持して、動作モードMDを3とする(SS35)。
【0122】
一方、検出信号SN=Hでない場合には、計数カウンタCNTの値を判定し(SS33)、計数カウンタCNT≠0であれば、所定時間毎に駆動データをDR方向に1ステップ進め、これに対応して計数カウンタCNTをデクリメントする(SS34)。
【0123】
そして、このような歩進動作を繰り返しても検出信号SN=Lが維持される場合には、もはや修復不能と判断して、リトライフラグRT=1の状態のまま、異常フラグER=1に設定して処理を終える(SS36)。
【0124】
その結果、これ以降は、異常フラグがER=0となるまで、昇降モータMOiは非駆動状態となり、可動体MV1は停止状態を維持する(SS8)。なお、変動演出開始時などに実行される原点検出処理(SS5)では、その開始時に、異常フラグER=0、モータ動作フラグFG=1とされるので、リトライ処理(SS4)が再実行される。
【0125】
そして、リトライ処理に成功すると、リトライフラグRT=0となった後に(SS39)、原点検出処理(SS5)が再実行される。なお、リトライ処理に成功していることから、直ちに、原点検出処理を正常終了する(図10のSS10〜SS13参照)。
【0126】
一方、再度のリトライ処理にも失敗した場合には、再度、異常フラグER=1となり(SS36)、再度の原点検出処理まで昇降モータMOiは非駆動状態となる(図8のSS8参照)。この実施例では、異常フラグER=1の状態では、昇降モータMOiが非駆動状態とされ、しかも、変動演出開始時や、客待ちデモ演出開始時に、繰り返しリトライ処理が実行されるので昇降モータMOiの異常が自動的に復旧される可能性が低くない。
【0127】
以上、ステップSS36の処理に関連する事項を詳細に説明したが、ステップSS35の処理が実行された後は、ステップSS24→SS26→SS30→SS37の経路を経て、計数カウンタCNTの値が判定され(SS37)、計数カウンタCNT≠0であれば、所定時間毎に駆動データをDR方向に1ステップ進め、これに対応して計数カウンタCNTをデクリメントする(SS38)。
【0128】
そして、計数カウンタCNT=0となれば、リトライフラグRT=0、動作モードMD=0として、リトライ処理を正常終了させる(SS39)。
【0129】
続いて、図12に示す演出開始処理(SS6)について説明する。演出開始処理は、主制御部21から初期動作コマンドを受けて開始されるが、この状態で異常フラグER=1であれば、直ちに処理を終える(SS40)。
【0130】
一方、異常フラグER=0であれば、検出信号SNの取得(SS41)、動作モードMDの判定(SS42)、検出信号SNのレベル判定(SS43)の処理を実行する。そして、検出信号SN=Hであれば、可動体MV1の基端が原点領域に位置することになるので、計数カウンタCNTを第2基準値Mに初期設定し、方向フラグDR=1、動作モードMD=2に初期設定して処理を終える(SS44)。なお、第2基準値Mは、可動体MV1を原点位置から下限位置まで移動させるためのステップ数である(図6参照)。
【0131】
一方、動作モードMD≠0または検出信号SN=Hの場合には、ステップSS45以下の処理を実行する。ステップSS45〜SS51(SS50を除く)の処理は、原点検出処理におけるステップSS14〜SS20(SS19を除く)の処理と実質的に同じである。すなわち、ステップSS45〜SS51の処理によって、原点領域外に位置した演出可動体AMU(可動体MV1の基端)は、上昇されて原点領域に回収される。
【0132】
そして、可動体MV1の基端が原点領域に突入した後は、計数カウンタCNTをM−Nに初期設定し、方向フラグDR=1、動作モードMD=2に初期設定する(SS50)。これは、演出可動体AMUを下限位置に移動させるための初期処理であり、第2基準値Mより第1基準値Nだけ少ないステップ数が計数カウンタCNTに初期設定される。
【0133】
ステップSS50やステップSS44の処理によって動作モードMD=2に設定された後のタイマ割込みでは、ステップSS40〜42→SS46→SS52の経路を経て、計数カウンタCNTの値が判定される(SS52)。そして、計数カウンタCNT≠0であれば、所定時間毎に駆動データをDR方向に進め、これに対応して、計数カウンタCNTをデクリメントする(SS53)。
【0134】
そして、計数カウンタCNT=0となったタイミングで、動作モードMD=0とすると共に、モータ動作フラグFG=3として、演出開始処理を終了させる(SS54)。
【0135】
図13は、図12の演出開始処理を終えた後の演出回転処理(SS7)の処理概要を示している。演出回転処理(SS7)は、動作モードMD=3の状態で2mS毎に起動されて、回転モータROによって演出可動体AMUが適宜に回転される(SS60)。そして、可動演出が完了すれば、動作モードMD=0、モータ動作フラグFG=1に設定して処理を終える(SS62)。その結果、その後は、原点検出処理(SS5)が実行されて演出可動体AMUが原点領域に回収される。
【0136】
以上、本発明の実施例について具体的に説明したが、具体的な記載内容は特に本発明を限定するものではない。
【0137】
例えば、上記の実施例では、リトライ処理(SS4)における昇降モータMOiの回転速度を、その他の処理時の場合と同一としたが、回転速度を低下させてリトライ処理(SS4)を実行するのが好ましい。例えば、回転速度を1/4にするには、図9(a)の歩進処理におけるステップST2の判定を、回数カウンタNUMと2との対比に代えて、回数カウンタNUMを8と対比させれば良い。このような構成は、特に、ステップSS28の初期段階の処理として実行するべきである。また、ステップSS28の全処理や、ステップSS34の初期段階の処理として実行しても良い。
【0138】
また、実施例では、リトライ処理(SS4)においても、2つの昇降モータMOiを同一タイミングで駆動したが、各々の駆動タイミングをずらすのも好適である。図14は、このような変形例を説明するフローチャートであり、ステップSS28の初期段階の処理として採用される。なお、ステップSS28の全処理や、ステップSS34の初期段階の処理として実行しても良い。
【0139】
図14の変形例では、1〜9の範囲で循環する回数カウンタNUMが5に一致すると、ポインタPTが更新されて(ST23)、必要に応じてポインタPTを初期設定した後(ST24〜ST25)、昇降モータMO1を駆動する一方で、昇降モータMO2を非駆動状態とする(ST26)。そのため、昇降モータMO2は自由回転状態となり、昇降モータMO1だけが駆動回転される。
【0140】
但し、その後、8mS後には、回数カウンタNUMが9に一致するので(ST27)、今度は、昇降モータMO2を駆動する一方で、昇降モータMO1を非駆動状態とする(ST28)。そして、計数カウンタCNTをデクリメントすると共に、回数カウンタNUMを1に初期設定する(ST29〜ST30)。
【0141】
上記の構成を採るため、この変形例では、左右の昇降モータMOiの駆動タイミングが8mS間隔で微妙に切り替わり、しかも、低速駆動されるので効果的にリトライ処理を成功させることができる。なお、8mSは、一例を挙げたに過ぎず、適宜に増減される。
【0142】
なお、上記の変形例に限らず、演出制御部22において演出可動体AMUを回転駆動する構成に代えて、演出インタフェイス基板や主制御基板において回転駆動してもよいのは勿論である。また、可動演出を実行する遊技機は、弾球遊技機に限定されないのは勿論であり、スロットマシン(回胴式遊技機)などにも本発明は好適に適用可能である。
【0143】
また、実施例の演出可動体AMUは、往復運動可能な一対の可動体MV1,MV2で一体的に保持されているが、必ずしも、このような構成に限定されない。例えば、2つの演出可動体AMU1、AMU2を各々往復運動可能に保持する2つの可動体MV1,MV2を設け、各可動体MV1,MV2を一対の駆動モータで駆動しても良い。この場合にも、一群の駆動データを記憶する単一の制御テーブルの読み出し順序を互いに逆順にするか、2つの制御テーブルに駆動データを逆順に記憶させることで本発明を実現できる。
【符号の説明】
【0144】
GM 遊技機
21 主制御部
22 サブ制御部
AMU 演出可動体
MVi 一対の可動体
MOi 一対の駆動モータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定のスイッチ信号に起因する抽選処理を実行して、これに当選すると遊技者に有利な遊技状態に移行可能に制御する主制御部と、主制御部からの制御コマンドに基づいて、必要時には演出可動体の演出動作を実行するサブ制御部と、を有して構成された遊技機であって、
前記演出可動体は、往復運動可能な一対の可動体で保持され、
前記一対の可動体が同一特性の一対の駆動モータによって駆動されることで、前記一対の可動体の移動に対応して、前記演出可動体が、演出位置に移動すると共に、演出動作終了後に回収位置に移動するよう構成され、
前記一対の駆動モータには、共通する一群の駆動データを互いに逆順に供給することで、一方の駆動モータの時計方向又は反時計方向への回転に対応して、他方の駆動モータを、その反対方向に回転させていることを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記一群の駆動データは、一対の駆動モータに対応して設けられた一対の制御テーブルに、逆順に記憶されている請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
前記一群の駆動データは、単一の制御テーブルに記憶され、一方の駆動モータに時間順次に供給される駆動データの読み出し順序と、他方の駆動モータに時間順次に供給される駆動データの読み出し順序とが逆順に実行される請求項1に記載の遊技機。
【請求項4】
前記サブ制御部は、
演出動作を実行するCPUのリセット時、及び演出可動体の演出動作の終了時に、演出可動体を原点領域に回収するべく、一対の駆動モータを回転させる回収処理と、
演出可動体の演出動作時に、演出可動体を原点領域から演出位置に移動させるべく、一対の駆動モータを回転させる演出開始処理と、
前記回収処理に拘らず原点領域に回収できない場合に機能して、一対の駆動モータを回転させるリトライ処理と、を有して構成され、
前記リトライ処理では、演出可動体を演出位置に移動させるべく一対の駆動モータを第1回転させた後に、反対方向に第2回転させる請求項1〜3の何れかに記載の遊技機。
【請求項5】
前記リトライ処理における一対の駆動モータの第1回転は、演出開始処理における駆動モータの回転速度より遅く設定されている請求項4に記載の遊技機。
【請求項6】
前記一対の駆動モータは、前記回収処理、及び、前記演出開始処理において、実質的に同一タイミングで駆動データを受けている請求項4又は5に記載の遊技機。
【請求項7】
前記一対の駆動モータは、前記リトライ処理において、実質的に異なるタイミングで駆動データを受けている請求項4〜6の何れかに記載の遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−63302(P2013−63302A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−265942(P2012−265942)
【出願日】平成24年12月5日(2012.12.5)
【分割の表示】特願2010−255676(P2010−255676)の分割
【原出願日】平成22年11月16日(2010.11.16)
【出願人】(391010943)株式会社藤商事 (1,465)
【Fターム(参考)】