説明

遊技機

【課題】遊技球を払い出さずにクレジットの値として出力するクレジット型パチンコ遊技機を設置するのに島設備を変更する必要がない。また、クレジット型パチンコ遊技機と、賞球を払い出すパチンコ遊技機を混在させることができ、さらに、不正行為の防止を図ることができる遊技機を提供する。
【解決手段】島設備から発射装置37に遊技球を供給する第1及び第2発射球供給経路14,16を備える。発射装置37から発射された遊技球を検知する発射球検知センサ32と、第1遊技球供給経路14を通過して発射装置37に送られる遊技球を検知する供給球検知センサ34とを備える。供給球検センサ34で遊技球が順次検知されるのに、発射球検知センサ32で遊技球が検知されない場合に遊技球が不正に抜き取られている可能性があることを報知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ店などの遊技場に設置して使用される遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的なパチンコ遊技機は、その遊技領域内の入賞口への遊技球の入賞に基づいて、遊技機前面の下部の上皿に賞球を払い出すようになっている。上皿の遊技球は、下皿に排出可能であるとともに、上皿から遊技球の発射装置への流路が設けられており、上皿上の遊技球は、発射装置に送られる。発射装置に送られた遊技球は、発射装置から遊技領域内に向けて発射され、発射された遊技球は遊技領域内で入賞口に入賞するか、入賞できなかった場合にアウト口から遊技領域外に排出される。
【0003】
遊技球の入賞に対応して上皿に払い出される遊技球は、パチンコ遊技機が設置される島設備側から供給される。すなわち、遊技球は、島設備からパチンコ遊技機背面の上部のタンクに供給され、タンクから払出装置に送られ、払出装置で賞球数分だけ計数されて上皿に払い出される。また、遊技領域内で入賞口やアウト口に流入した遊技球は、パチンコ遊技機から島設備側に排出される。島設備では、パチンコ遊技機から排出される遊技球を回収して再びパチンコ遊技機に供給する。
【0004】
このような遊技球を払い出すパチンコ遊技機に対して、入賞口に遊技球が入賞しても遊技球を払い出すことなく、クレジットとして遊技球の個数に対応する値に、入賞口への遊技球の入賞に対応する値を加算する封入式遊技機が知られている(例えば、特許文献1〜4)。このようなパチンコ遊技機では、遊技球がパチンコ遊技機と島設備との間を移動することがなく、遊技球はパチンコ遊技機内に封入されている。すなわち、発射装置から遊技領域内に向けて発射された遊技球は、遊技領域内で入賞口またはアウト口に流入する。入賞口またはアウト口に流入した遊技機は、再び発射装置に送られる。
【0005】
このような封入式遊技機は、内部に入賞口およびアウト口から流入する遊技球を回収して発射装置に送る循環経路が設けられている。この循環経路には、発射装置での遊技球の発射が途切れないように、少なくとも数十個遊技球が保持されるようになっている。このような循環経路では、比較的多くの遊技球を珠詰まりさせることなく、循環させる必要があり、開発に手間がかかる。
【0006】
また、遊技店では、島設備で循環する遊技球を磨く設備を備えており、遊技球の表面を清浄な状態に維持するようにしている。封入式パチンコ遊技機では、遊技者が遊技球に触ることがないが、塗装された遊技盤面との接触等により遊技球が汚れる。したがって、封入式パチンコ遊技機でも、内部に遊技球の表面を磨く装置があることが好ましい。
【0007】
また、クレジットの値を計算するために、最低限必要なセンサとしては、発射装置で発射される遊技球の数をクレジットの値から減算するために、発射装置で発射された遊技球を検知する発射球検知センサが必要になる。また、賞球分の値をクレジットの値に加算するために入賞口に入賞した遊技球を検知する入賞球検知センサが必要になる。
【0008】
また、パチンコ遊技機の発射装置では、発射装置から発射された遊技球が100%と入賞口やアウト口で回収されるわけではなく、発射装置で発射された遊技球の一部は、発射されたにもかかわらず、発射装置側に戻ってしまう。一般的なパチンコ遊技機では、戻ってしまった遊技球は、再び発射されて遊技領域に至ることで、問題が生じない。
【0009】
しかし、封入式パチンコ遊技機では、遊技球を発射した際に上述の発射球検知センサで発射された遊技球が検知され、遊技球1個分の値がクレジットの値から減算されるようになっており、対応する遊技球が遊技領域を流下していないにもかかわらず、クレジットの値が減少してしまう。そこで、発射装置に戻ってしまったファール球としての遊技球を検知するファール球検知センサを設け、ファール球検知センサがファール球を検知した際に、クレジットに遊技球1個分の値を加算するようになっている。
【0010】
また、クレジットには直接関係しないが、アウト口にアウト球検知センサを設けることですべての遊技球の流れを把握することができる。すなわち、発射された遊技球は、入賞口に入賞する入賞球、発射装置に戻るファール球、アウト口から排出されるアウト球のいずれかになので、これらファール球、入賞球、アウト球を検知することで、発射された遊技球が最終的にどこに流れたかを全て把握することができる。
【0011】
封入式パチンコ遊技機では、遊技球を払い出すパチンコ遊技機にはない上述の発射球検知センサ、ファール球検知センサ、アウト球検知センサ(必ずしも必要ではない)が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開平07−185067号公報
【特許文献2】特開平10−337371号公報
【特許文献3】特開2000−189661号公報
【特許文献4】特開2003−181108号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
ところで、封入式パチンコ遊技機は、アーケードゲーム機が設置されている所謂ゲームセンターに設置されているが、パチンコ遊技機やパチスロ(スロットマシン)を設置している遊技店には、設置されていない。ゲームセンターに設置されている封入式パチンコ遊技機は、遊技球を払い出すパチンコ遊技機の改造機であり、現状では、遊技店向けに封入式パチンコ遊技機が販売されていない。
遊技店に封入式のパチンコ遊技機を設置しようという要望があるが、いくつかの問題がある。
【0014】
例えば、遊技球がパチンコ遊技機内に封入されているので、島設備で遊技球を循環させる装置が必要なくなる。また、必要な遊技球の数がかなり少なくなるなどにより、遊技店における設備関係の業者の業務に大きな影響を与えてしまう。
【0015】
また、遊技店側も店内の全ての島設備を変更するなどの大きな設備投資が必要となる。また、遊技者が遊技球を払い出さない封入式パチンコ遊技機を短期間で受け入れるかどうかの問題がある。例えば、封入式パチンコ遊技機を設置した遊技店と、従来の遊技球を払い出すパチンコ遊技機を設置した遊技店が混在している状況で、封入式パチンコ遊技機を設置した遊技店から遊技球を払い出すパチンコ遊技機を設置した遊技店に遊技者が逃げてしまうことも考えられる。
【0016】
この場合に、島設備を封入式パチンコ遊技機用に更新してしまった遊技店では、再び、島設備を従来の仕様に戻さないかぎりは、遊技球を払い出すパチンコ遊技機を設置することができない。したがって、各遊技店において、封入式パチンコ遊技機の導入を思い切れない可能性がある。なお、従来の島設備に封入式のパチンコ遊技機を設置することも可能であり、一時的に従来の島設備にパチンコ遊技機を設置するものとしてもよいが、この場合に、島設備から遊技球の循環設備を取り外してスペースの効率化等を図ることができない。すなわち、使わない遊技球の循環設備が残ってしまい、スペースが無駄になる。
【0017】
本発明は、上記事情に鑑みて為されたもので、遊技球を払い出さずにクレジットの値として出力するクレジット型パチンコ遊技機を設置するのに島設備を変更する必要がなく、かつ、クレジット型パチンコ遊技機と、賞球を払い出すパチンコ遊技機を混在させることができ、さらに、不正行為の防止を図ることができる遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
請求項1に記載の遊技機は、遊技球が流下する遊技領域を有する遊技盤と、
前記遊技盤の前記遊技領域に、当該遊技領域を流下する遊技球が入賞可能で、入賞した遊技球を遊技機設置設備側に向けて排出する複数の入賞口と、
前記遊技盤の前記遊技領域に設けられ、前記入賞口に入賞しなかった遊技球を前記遊技機設置設備側に向けて排出するアウト口と、
遊技球を前記遊技領域に向けて発射する発射装置と、
前記入賞口それぞれに設けられ、各入賞口に入賞する遊技球をそれぞれ検知する入賞球検知手段と、
を備えている遊技機において、
前記遊技機設置設備側から前記発射装置に対して当該発射装置で発射させられる遊技球を供給するための遊技球の経路である発射球供給経路と、
前記発射装置から発射された遊技球を検知する発射球検知手段と、
前記発射装置から発射されたにも関わらず前記遊技領域に至らずに前記発射装置側に戻った遊技球を検知するファール球検知手段と、
遊技者の操作によりクレジットに値を加算するための加算信号を出力するクレジット加算手段と、
遊技者の前記操作により前記クレジット加算手段から出力される加算信号に基いた値をクレジットに加算し、前記入賞球検知手段それぞれからの入賞球検知信号の入力に基き、前記入賞口に対応して設定された値をクレジットに加算し、前記発射球検知手段からの発射球検知信号の入力に基いてクレジットから所定数を減算し、前記ファール球検知手段からのファール球検知信号に基いてクレジットに前記所定数を加算するクレジット算出手段と、
前記遊技球供給経路を通過して前記発射装置に送られる遊技球を検知する供給球検知手段と、
前記供給球検知手段から遊技球を検知したことを示す供給球検知信号が順次入力するのにも関わらず、前記発射球検知手段から遊技球の検知を示す発射球検知信号が順次入力しない場合に不正と判定する不正判定手段とを備えることを特徴とする。
【0019】
請求項1に記載の発明においては、遊技機が遊技機設置設備(島設備)側から遊技球を供給されるとともに、遊技球を遊技機設置設備側に戻すようになっているが、賞球を排出することなくクレジットの値として出力する。したがって、遊技球を払いだすことなくクレジットとして出力するクレジット型のパチンコ遊技機であるが、遊技球が封入されておらず、従来の島設備を用いるものとなっている。したがって、封入式の遊技機のように球を途切れなく発射可能とするために多めの遊技球を保持させながら循環させるような装置を必要としない。また、従来と同様に島設備側で球が研磨されるので遊技機内に研磨装置を設ける必要がない。
【0020】
また、封入式パチンコ遊技機と同様に、遊技球を払い出さないので、遊技機から払出装置を無くして、コストの低減を図ることができる。また、払いだされた遊技球を貯留するためのドル箱(遊技球箱)も必要とせず、通路に遊技球箱を積み上げるようなこともない。
【0021】
また、島設備から遊技機に供給される遊技球は、発射装置から発射される遊技球である。
発射装置では、時間当たりの遊技球発射数が規制されている。したがって、大量の遊技球を払い出している最中の払出装置における遊技球の供給数より、発射装置への遊技球の供給数の方が少なくなっている。したがって、遊技球を払い出すタイプのパチンコ遊技機よりピーク時の時間当たりの島設備からの遊技機の供給数が少ないことから、遊技機側に遊技球を貯留するタンクを設けなくても、十分に遊技球を島設備から遊技機に供給可能であり、封入式パチンコ遊技機と同様に遊技機からタンクをなくし、スペース効率の向上を図ることができる。
【0022】
また、この遊技機では、島設備から遊技機の発射装置に遊技球を供給する発射球供給経路が設けられるとともに、この発射球供給経路には、発射装置に供給される遊技球を検知する供給球検知手段が設けられている。この供給球検知手段は、上述のクレジットの算出には必要のないセンサであるが、例えば、供給球検知手段で発射装置に供給される遊技球が順次検知されているのにかかわらず、発射装置で発射球検知手段が遊技球を順次検知しない場合に異常であることを検知することができる。
【0023】
すなわち、上述の場合には、島設備から遊技球が遊技機側に供給されているのにもかかわらず、遊技球が発射されていない状態であり、遊技球の行き先が不明になる。この場合には、遊技機から不正に遊技球が抜き取られている可能性がある。この場合に、クレジット型のパチンコ遊技機と、非クレジット型の遊技球を払い出すパチンコ遊技機とが共存している場合に、抜き取られた遊技球を非クレジット型のパチンコ遊技機で使用されてしまたり、非クレジット型のパチンコ遊技機から払い出された遊技球として景品と交換されてしまう。
【0024】
この遊技機では、遊技球が抜き取られるような場合に、上述のように発射球検知手段では遊技球が検知されていないのに、供給球検知手段では順次遊技球が検知される状態になり、異常を検知することができるので、遊技球を抜き取るような不正行為を防止できる。また、供給球検知センサで遊技球が検知されていないのに、発射球検知手段で遊技球が検知される場合には、球詰まり等により遊技球の供給が止まっている可能性がある。
【0025】
すなわち、遊技球の供給が止まることで、供給球検知手段で遊技球が検知されなくなっても、供給球検知手段から発射装置の間に残った遊技球が発射されている状態である。この場合に、しばらくすると発射される遊技球がなくなって、遊技球の発射が止まってしまう。この場合には、遊技球の発射が止まる前に遊技球の供給に異常があることを報知することが可能になる。
【0026】
また、従来の島設備によって、遊技機への遊技球の供給と、遊技機からの遊技球の回収を行うことが可能であり、従来の島設備に、本発明の遊技機であるクレジット型のパチンコ遊技機と、従来の非クレジット型を共存させることができる。すなわち、旧機種の取り外しや新機種の導入において、非クレジット型の遊技機と、クレジット型の遊技機とを同等に取り扱うことができ、クレジット型のパチンコ遊技機を試しに導入するようなことも可能になる。この際に、遊技店の設備関係の業者の業務にも影響を与えることなく、クレジット型のパチンコ遊技機の普及への障壁を低くすることができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、クレジット型のパチンコ遊技機を非クレジット型のパチンコ遊技機と同様の遊技店に設置できるとともに、遊技球を抜き取る不正行為を防止することができ、クレジット型のパチンコ遊技機と、非クレジット型のパチンコ遊技機とが一つの遊技店に共存している場合に、クレジット型のパチンコ遊技機から抜き取った遊技球を非クレジット型のパチンコ遊技機で使用されてしまうのを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施の形態に係るパチンコ遊技機を示す正面図である。
【図2】前記パチンコ遊技機を示す背面図である。
【図3】前記パチンコ遊技機の供給球検知センサ部分を示す図である
【図4】前記パチンコ遊技機の発射球供給経路の発射装置近傍部分を示す図である。
【図5】前記パチンコ遊技機の発射球供給経路の発射装置近傍部分を示す図である。
【図6】前記パチンコ遊技機の発射装置部分を示す図である。
【図7】前記パチンコ遊技機の発射球検知センサ部分を示す図である。
【図8】前記パチンコ遊技機のファール球検知センサ部分を示す図である。
【図9】前記パチンコ遊技機の発射口からファール球検知センサ部分を示す図である。
【図10】前記パチンコ遊技機のクレジットの算出や遊技球の発射の制御に関するブロック図である。
【図11】供給球監視処理を説明するためのフローチャートである。
【図12】発射球監視処理を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1及び図2に示すように、パチンコ遊技機は、遊技店の島設備に設置される縦長の矩形状の機枠1(図2図示)と、機枠1に扉状に開閉自在に取り付けられた前面枠2(図2に背面を図示)と、前面枠2に収納された遊技盤3(入賞口、可変表示装置等の図示略)と、前面枠2の前面に扉状に開閉自在に取り付けられ、中央に大きく開口部5が形成されたガラス扉4と、このガラス扉4の開口部5に取り付けられた透明な二重ガラス板6と、前記ガラス扉4の前面の前記二重ガラス板6の下に設けられた擬似上皿7と、前記ガラス扉4の擬似上皿7の向かって右側に設けられる回転式操作ハンドル8と、擬似上皿7上部の左右の中央部に設けられたボタンスイッチ9とを備える。また、擬似上皿7の右側の上部には、後述のクレジットの値を表示するクレジット表示パネル38が設けられている。
【0030】
また、前面枠2の左側下端部にはガラス扉4に対して露出するようにスピーカ11が設けられている。また、ガラス扉4の上端部の左右にもそれぞれスピーカ11が設けられている。
【0031】
遊技盤3の盤面上の遊技領域内には、図示しないが可変表示装置や、一般入賞口や、入賞口としての始動入賞口や、始動入賞口に設けられた電動チューリップ(電チュー)や、大入賞口に設けられたアタッカなどが配置される。また、遊技領域には、例えば、その下端部にアウト口12が設けられている。
【0032】
すなわち、このパチンコ遊技機は、所謂デジパチと言われるパチンコ遊技機であり、例えば、始動入賞口への遊技球の入賞に基づいて内部の制御装置で行われる抽選で大当り、はずれが決定される変動表示ゲームを可変表示装置に表示するようになっている。
また、このパチンコ遊技機は、島設備が遊技球の供給を受け、かつ、入賞口やアウト口12から島設備に向けて遊技球を排出する。しかし、入賞口への遊技球の入賞に基づいて、遊技球を賞球として払いだすことはなく、クレジットの値として賞球の数となる値を出力するとともに、遊技球の発射に基づいてクレジットの値を消費するようになっている。
【0033】
島設備(遊技機設置設備)から送られる遊技球は、図2に示すように、球供給ホース13を介してパチンコ遊技機の第1発射球供給経路14に至るようになっている。第1発射球供給経路14は、パチンコ遊技機の背面の機枠1側の右側側部(パチンコ遊技機の背面に向かって右側)に上下方向に沿って設けられている。また、第1発射球供給経路14の下端部には、図2および図3に示すように、発射装置21に供給される遊技球としての供給球を検知する供給球検知センサ34が設けられている。この供給球検知センサ34としては、近接センサが用いられている。
【0034】
また、第1発射球供給経路14の下端部は、図4および図5に示すように、ガラス扉4の前面側の擬似上皿7の裏側に設けられた第2発射球供給経路16の上端部に接続されている。
第2発射球供給経路16の下端部には、前面枠2の前面側に設けられて発射装置21に遊技球を送る整流器22(図6に図示)に接続されるとともに、メンテナンス時や入れ替え時などにパチンコ遊技機から遊技球を取り除くための玉抜き弁17を介して排出経路18が設けられている。
すなわち、図4に示すように、玉抜き弁17が閉じている状態では、第2発射球供給経路16から整流器22に遊技球が送られ、図5に示すように、玉抜き弁17を開放した場合には、排出経路18を経た後にガラス扉4側から前面枠2の裏面側に遊技球が送られるとともに、島設備側に排出されるようになっている。
【0035】
図6に示すように、整流器22から発射装置37に遊技球が送られ、図9に示すように、発射装置37の発射口23から遊技盤3のレール24側に遊技球が打ち出される。図7および図9に示すように、発射口23から打ち出された発射球としての遊技球は、発射球検知センサ(発射球検知手段)32を通過するようになっている。発射球検知センサ32は、光学式センサで遊技球が光線を遮ることで遊技球を検知されるようになっている。
【0036】
この実施形態において、発射球検知センサ32は、2つの光学センサである第1発射球検知センサ32aおよび第2発射球検知センサ32bから構成されている。発射口23から遊技盤3のレール24側に向かう遊技球は、第1発射球検知センサ32aを通過した後に、第2発射球検知センサ32bを通過するようになっている。
【0037】
一方、発射したにもかかわらず発射装置37側に戻ってしまったファール球としての遊技球は、基本的には発射口23には戻らず、図9に示すファール球受板25上に落ちる。しかし、発射口23側に遊技球が戻ってしまった場合には、発射球検知センサ32を通過する可能性がある。
【0038】
そこで、上述のように2つのセンサを設け、第1発射球検知センサ32aが遊技球を検知した後に第2発射球検知センサ32bが遊技球を検知した場合に、遊技球の発射を検知したものとして発射球検知信号を出力し、第2発射球検知センサ32bが遊技球を検知した後に第1発射球検知センサ32aが遊技球を検知した場合は、ファール球を検知したものとして、発射球検知信号を出力しないようになっている。
【0039】
また、発射したにもかかわらず戻ってしまったファール球としての遊技球は、基本的に発射時より勢いが弱いことからファール球受板25上に落下し、ファール球受板25の傾斜によりファール球通路の流入口26に至るようになっている。流入口26からファール球通路に流入して流出口27に至った遊技球は、ファール球検知センサ(ファール球検知手段)33を通過して、ファール球検知センサ33に検知されるようになっている。
【0040】
次に、クレジット算出手段および不正判定手段として、主にクレジットの算出、発射装置37の制御、クレジット表示パネル38の表示制御、エラー(不正)の検出を行う遊技管理基板31の制御系を図10のブロック図を参照して説明する。
遊技管理基板32には、発射球検知信号が入力可能に発射球検知センサ32が接続され、ファール球検知信号が入力可能にファール球検知センサ33が接続され、供給球検知信号が入力可能に供給球検知センサ(供給球検知手段)34が接続されている。
【0041】
また、遊技管理基板31には、パチンコ遊技機において、上述の入賞口への遊技球の入賞に基づいて、変動表示ゲームの大当りまたははずれと、変動表示ゲームの表示時間を含む演出内容と、変動表示ゲーム終了時に表示される停止表示される図柄とを決める主制御装置を備える主制御基板36が接続されている。
【0042】
主制御基板36には各入賞口に設けられる入賞球検知センサ(入賞球検知手段)35が接続されており、入賞口に遊技球が入賞することに基づいて、各入賞口に対応する入賞球検知センサ35から入賞球検知信号が入力する度に、各入賞口に対応するクレジットの値をコマンドとして遊技管理基板31に出力するようになっている。
【0043】
また、遊技管理基板31には、発射装置37が接続されており、クレジットの値が所定値(例えば1)以上の場合に、遊技球の発射が許可され、所定値より小さい場合に遊技球の発射が禁止されるようになっている。所定値は、遊技球1個に対応するクレジット上の値であり、基本的に1であるが、例えば、遊技球の個数ではなく、遊技球を借りる際の金額に対応するものとしてもよい。
【0044】
また、遊技管理基板31には、後述のように算出されるクレジットの値を表示するクレジット表示パネル38が接続されており、遊技管理基板31で算出されたクレジットの値がクレジット表示パネル38に表示される。
【0045】
また、遊技管理基板31には、クレジット貸出装置接続端子板39が接続されている。このクレジット貸出装置接続端子板39には、クレジット貸出装置(クレジット加算手段:図示略)が接続されており、遊技者の操作によりクレジット貸出装置でカード等の記憶媒体からクレジットの値を示す信号が入力されると、それに基づいて遊技管理基板31でクレジットの値にクレジット貸出装置から出力されるクレジットの値を加算する。また、クレジット貸出装置では、遊技管理基板31がクレジットの値を受け取ったことを示す信号の入力に基づいて、カード等の記憶されたクレジットの値をパチンコ遊技機に出力したクレジットの値分だけ減算する。
【0046】
また、遊技管理基板31には、外部端子板40が接続されている。外部端子板40は、クレジットの値を出力したり、後述のエラーの報知の際に、島設備側にエラー信号を出力するためのものである。
【0047】
このようなパチンコ遊技機においては、クレジット貸出装置からクレジットの値が入力されることに基づいて、クレジットの値が1以上となり、発射装置37において、遊技球の発射が許可される。この場合に、遊技球が1個発射されるたびに、クレジットの値が所定値として1減算される。この減算に基づいてクレジットが所定値としての1より小さくなると(0になると)遊技球の発射が停止される。
【0048】
また、発射装置37で発射されたにもかかわらず戻ってしまったファール球としての遊技球が上述のようにファール球検知センサ33で検知された場合に、ファール球となることにより入賞口への入賞の機会がなくなった遊技球分の値として例えば1だけクレジットに加算する。これにより通常のパチンコ遊技機であれば、再び発射されることで、入賞口への入賞の機会が与えられるのに変えてクレジットの値が増加させられる。
【0049】
また、遊技球の発射に基づいて遊技盤3の遊技領域に設けられた各入賞口に遊技球が入賞した場合に、入賞口に設けられた入賞球検知センサ35から主制御基板36に入賞球検知信号が入力する。これにより主制御基板36は、入賞球検知信号を出力した入賞球検知センサ35が設けられた入賞口に対応する賞球数(クレジットの値)に対応するコマンドを遊技管理基板31に出力する。遊技管理基板31では、このコマンドに対応して賞球数に対応する値をクレジットに加算する。このようにして、遊技管理基板31において、クレジットの値が常時算出され、この値がクレジット表示パネル38に表示される。
【0050】
次に、遊技管理基板31で行われ、不正な遊技球抜き取りの可能性があるエラーを検知するための供給球監視処理を説明する。この処理は、例えば、5μ秒等の短い時間間隔毎に繰り返し行われる処理である。
【0051】
図11のフローチャートに示すように、供給球フラグがセットされているか否かを判定する(ステップS1)。この供給球フラグは、供給球検知センサ34で遊技球が検知された際にセットされ、発射球検知センサ32で遊技球が検知された際にリセットされるフラグである。
【0052】
供給球フラグがセットされていない場合には、供給球検知センサ34から供給球検知信号が入力したか否かを判定し(ステップS2)、供給球検知信号が入力したタイミングでない場合は供給球監視処理を終了する。供給球検知信号が入力したタイミングの場合には、供給球フラグをセットし(ステップS3)、供給球カウンタの値に1加算する(ステップS4)。なお、供給球カウンタは、供給球を検知した後に発射球を検知するまでに検知される供給球の数を示すものである。
【0053】
ステップS1で、供給球フラグがセットされていると判定された場合には、発射球検知センサ32から発射球検知信号が入力しているか否かを判定する(ステップS5)。
発射球検知信号が入力した場合には、供給球が検知された後に正常に発射球が検知されたことを示すものであり、正常な状態である。
この場合には、供給球フラグをリセットする(ステップS6)とともに供給球カウンタの値をリセットして0とする(ステップS7)。
【0054】
また、ステップS5で、発射球検知信号が入力するタイミングでないと判定された場合には、供給球検知信号が入力するタイミングか否かを判定し(ステップS8)、供給球検知信号が入力しない場合に供給球監視処理を終了する。供給球検知信号が入力した場合には、供給球カウンタに1加算する(ステップS9)。
【0055】
この供給球カウンタの値が所定数以上か否かを判定する(ステップS10)。供給球カウンタの値が所定数以上の場合には、一回供給球が検知されてから発射球が検知されることなく連続して所定数の供給球が検知されたことになる。すなわち、供給球が検知されるのに、発射球が検知されない状態であり、島設備から供給された遊技球が不正に抜き取られている可能性がある。
【0056】
したがって、供給球カウンタの値が所定数(例えば2〜4程度)となった場合に、エラー報知を行う(ステップS11)。なお、エラー報知は、例えば、クレジット表示パネルで行ってもよいし、主制御基板36に信号を出力し、主制御基板36から副制御基板(図示略)にコマンドを出力させ、可変表示装置や各ランプの点灯および点滅や音声等でエラー報知を行ってもよい。また、供給球フラグをリセットする(ステップS12)とともに供給球カウンタの値をリセットして0とする(ステップS13)。
【0057】
この供給球監視処理により、遊技球が抜き取られる不正行為があった場合に、これを検知してエラー報知することができる。このパチンコ遊技機は、クレジット型であっても、通常の島設備に設置されて、島設備からの遊技球の供給を受けるとともに、遊技球を島設備に排出するので、大量の遊技球の不正な抜き取りが可能であるが、これを防止できる。また、このクレジット型のパチンコ遊技機と、遊技球を払い出す通常のパチンコ遊技機とを同じ島設備に共存可能なので、遊技球を抜き取られた場合に、通常のパチンコ遊技機で使用されてしまう可能性がある。しかし、上述のように確実に遊技球の抜き取りを検知できることから、そのような不正行為を防止できる。なお、エラーの検知に際して、供給球が検知されてから発射球が検知されない状態が続いた際のエラー発生の判断に、発射球が検知されない間に検知された供給球の数を用いたが時間を用いてもよく、供給球が検知されてから所定時間経過しても発射球が検知されない場合にエラー発生と判断してもよい。
【0058】
このパチンコ遊技機では、遊技管理基板31において、供給球監視処理に加えて発射球監視処理も行われるようになっている。この処理は、例えば、5μ秒等の短い時間間隔毎に繰り返し行われる処理であり、島設備からの遊技球の供給の停止や、第1及び第2発射球供給経路14,16や、整流器22などでの球詰まりを検知するための処理である。
【0059】
図12のフローチャートに示すように、発射球フラグがセットされているか否かを判定する(ステップS21)。この発射球フラグは、発射球検知センサ32で遊技球が検知された際にセットされ、供給検知センサ34で遊技球が検知された際にリセットされるフラグである。
【0060】
発射球フラグがセットされていない場合には、発射球検知センサ32から発射球検知信号が入力したか否かを判定し(ステップS22)、発射球検知信号が入力したタイミングでない場合は発射球監視処理を終了する。発射球検知信号が入力したタイミングの場合には、発射球フラグをセットし(ステップS23)、発射球カウンタの値に1加算する(ステップS24)。なお、発射球カウンタは、発射球を検知した後に供給球を検知するまでに検知される発射球の数を示すものである。
【0061】
ステップS21で、発射球フラグがセットされていると判定された場合には、供給球検知センサ34から供給球検知信号が入力しているか否かを判定する(ステップS25)。
供給球検知信号が入力した場合には、発射球が検知された後に正常に供給球が検知されたことを示すものであり、正常な状態である。
この場合には、発射球フラグをリセットする(ステップS26)とともに発射球カウンタの値をリセットして0とする(ステップS27)。
【0062】
また、ステップS25で、供給球検知信号が入力するタイミングでないと判定された場合には、発射球検知信号が入力するタイミングか否かを判定し(ステップS28)、発射球検知信号が入力しない場合に発射球監視処理を終了する。発射球検知信号が入力した場合には、発射球カウンタに1加算する(ステップS29)。
【0063】
この発射球カウンタの値が所定数以上か否かを判定する(ステップS30)。発射球カウンタの値が所定数以上の場合には、一回発射球が検知されてから供給球が検知されることなく連続して所定数の発射球が検知されたことになる。すなわち、発射球が検知されるのに、供給球が検知されない状態であり、供給球検知センサ34の位置に遊技球が供給されていない状態であり、球詰まりや島設備側の遊技球循環経路の異常の可能性がある。
【0064】
したがって、発射球カウンタの値が所定数(例えば2〜4程度)となった場合に、エラー報知を行う(ステップS31)。なお、エラー報知は、供給球監視処理の場合と同様に行うことができる。また、発射球フラグをリセットする(ステップS32)とともに発射球カウンタの値をリセットして0とする(ステップS33)。エラーの検知に際して、発射球が検知されてから供給球が検知されない状態が続いた際のエラー発生の判断に、供給球が検知されない間に検知された発射球の数を用いたが時間を用いてもよく、発射球が検知されてから所定時間経過しても供給球が検知されない場合にエラー発生と判断してもよい。
【0065】
以上のようなパチンコ遊技機では、島設備を用いて遊技球の供給と排出を行う構成であっても遊技球を払い出さないので、ドル箱を積み上げるようなことをする必要がない。また、パチンコ遊技機に払出装置を設ける必要がないとともに、払出用の遊技球を貯めておくタンクも必要がなく、パチンコ遊技機のコストの低減と、パチンコ遊技機内のスペース効率を向上できる。また、パチンコ遊技機内に遊技球を封入しないので、遊技球を絶え間なく発射可能とするために、ある程度の数の遊技球を循環させる循環経路を設ける必要がなく、さらにスペース効率が向上され、パチンコ遊技機内への電飾ライトや電動役物等の設置が容易になる。
【0066】
また、上述のように、供給球検知センサを設けることで、不正に遊技球の抜き取りが行われた場合にこれを検知することができる。基本的に、全てのパチンコ遊技機がクレジット型となっていれば、遊技球を抜き取っても、使い道がないことになるが、クレジット型のパチンコ遊技機と、遊技球を払い出すパチンコ遊技機とが混在する場合に、抜き取った遊技球を他のパチンコ遊技機で使用できるとともに、景品への交換も可能となってしまう。そこで、上述のように確実に遊技球の抜き取りを検知できるようにすることで、安全にクレジット型と非クレジット型とを混在させることができる。
【0067】
なお、擬似上皿7は、形状的に上皿を模したものであるが、擬似上皿の一部を透明にして発射装置37に供給される遊技球や、島設備に排出される遊技球を流動させて遊技者に見せるようにしてもよい。この際に、大当り等によりアタッカが開閉して多くの遊技球が入賞する状態では、流動させる遊技球を多くするような制御を行ってもよい。
また、擬似上皿7にディスプレイを設け、遊技球が流動する状態や、大当りの際に遊技球が増加する状態を表示するものとしてもよい。
【0068】
以上、本発明者によってなされた発明を適用した実施の形態について説明したが、この実施の形態による本発明の開示の一部をなす論述および図面により本発明は限定されることはない。すなわち、この実施の形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施の形態、実施例および運用技術等は全て本発明の範疇に含まれることは勿論であることを付け加えておく。
【符号の説明】
【0069】
3 遊技盤
12 アウト口
14 第1発射球供給経路(発射球供給経路)
16 第2発射球供給経路(発射球供給経路)
31 遊技管理基板(クレジット算出手段、不正判定手段)
32 発射球検知センサ(発射球検知手段)
33 ファール球検知センサ(ファール球検知手段)
34 供給球検知センサ(供給球検知手段)
35 入賞球検知センサ(入賞球検知手段)
37 発射装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技球が流下する遊技領域を有する遊技盤と、
前記遊技盤の前記遊技領域に、当該遊技領域を流下する遊技球が入賞可能で、入賞した遊技球を遊技機設置設備側に向けて排出する複数の入賞口と、
前記遊技盤の前記遊技領域に設けられ、前記入賞口に入賞しなかった遊技球を前記遊技機設置設備側に向けて排出するアウト口と、
遊技球を前記遊技領域に向けて発射する発射装置と、
前記入賞口それぞれに設けられ、各入賞口に入賞する遊技球をそれぞれ検知する入賞球検知手段と、
を備えている遊技機において、
前記遊技機設置設備側から前記発射装置に対して当該発射装置で発射させられる遊技球を供給するための遊技球の経路である発射球供給経路と、
前記発射装置から発射された遊技球を検知する発射球検知手段と、
前記発射装置から発射されたにも関わらず前記遊技領域に至らずに前記発射装置側に戻った遊技球を検知するファール球検知手段と、
遊技者の操作によりクレジットに値を加算するための加算信号を出力するクレジット加算手段と、
遊技者の前記操作により前記クレジット加算手段から出力される加算信号に基いた値をクレジットに加算し、前記入賞球検知手段それぞれからの入賞球検知信号の入力に基き、前記入賞口に対応して設定された値をクレジットに加算し、前記発射球検知手段からの発射球検知信号の入力に基いてクレジットから所定数を減算し、前記ファール球検知手段からのファール球検知信号に基いてクレジットに前記所定数を加算するクレジット算出手段と、
前記遊技球供給経路を通過して前記発射装置に送られる遊技球を検知する供給球検知手段と、
前記供給球検知手段から遊技球を検知したことを示す供給球検知信号が順次入力するのにも関わらず、前記発射球検知手段から遊技球の検知を示す発射球検知信号が順次入力しない場合に不正と判定する不正判定手段とを備えることを特徴とする遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−81575(P2013−81575A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−222606(P2011−222606)
【出願日】平成23年10月7日(2011.10.7)
【出願人】(000154679)株式会社平和 (1,976)
【Fターム(参考)】