説明

遊技球払出装置

【課題】構造の簡素化およびコストアップ抑制を図りつつ、こぼれ球の発生を防止する。
【解決手段】パルスモータにN回のパルス電圧を印加する毎に、遊技球が1球ずつ払い出されるように構成した遊技球払出装置において、L個の遊技球を排出するL個払出作動を行うにあたり、L×N−K回のパルス電圧をパルスモータに印加させる確認制御手段S30と、確認制御手段S30を実行した結果、実際に払い出された個数がL個に達したか否かを判定する判定手段S40とを備える。そして、L個に達していないと判定(S40:No)された場合には、スプロケット20の回転位置が良好な位置にあるとみなし、残りK回をパルスモータに印加することでL個排出作動を終了させる。一方、L個に達したと判定(S40:Yes)された場合には、スプロケット20が良好な位置からずれているとみなし、残りK回のパルス電圧を1回も印加することなくL個排出作動を終了させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ機その他の遊技球を用いた遊技機に用いられる、遊技球払出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の遊技球払出装置は、遊技球の流通路を形成するケースと、その流通路に配置され、回転することで遊技球を1球ずつケースの排出口に向けて送り出す球送り部材と、球送り部材を回転させるパルスモータとから構成されている。そして、パルスモータにN(N:自然数)回のパルス電圧を印加する毎に、遊技球が1球ずつ排出口から払い出される。従って、L(L:自然数)個の遊技球を排出するL個排出作動を行う場合には、L×N回のパルス電圧をパルスモータに印加するようになっている。
【0003】
なお、排出口には遊技球の通過を検出する払出検出手段が設けられており、L×N回のパルス電圧印加によって実際にL個の遊技球が払い出されたか否かを、払出検出手段の検出回数に基づいて確認するようになっており、L個の払い出しが検出されない場合には、遊技場店員にエラー報知したり球送り部材の回転を停止する等のエラー処理を行うことで、球不足による球切れや球詰まり等による不具合に対応するようになっている。
【0004】
ここで、球送り部材の球流れ上流側には多数の遊技球が貯留されており、この貯留された遊技球の重みが球送り部材にかかっている。そして、通電中のパルスモータには回転位置の自己保持力が働くため、前述した遊技球の重みが球送り部材にかかっても、その重みによって球送り部材が回転してしまうことはない。しかしながら、遊技場閉店後等に遊技機の電源をオフにした場合には、パルスモータへの通電が遮断されて前記自己保持力が働かなくなるため、球送り部材の回転停止位置(例えば図4(c)に例示される位置)によっては遊技球の重みで球送り部材が回転してしまい、意図しない遊技球(以下、このような遊技球をこぼれ球と呼ぶ)の払い出しがなされてしまう恐れがある。しかも、このようなこぼれ球に対しては、遊技機の電源をオフにしているため払出検出手段による確認ができず、前述したエラー処理を行うこともできない。
【0005】
なお、遊技機の工場出荷時において、遊技球の重みで球送り部材が回転してしまう恐れのない球送り部材の回転停止位置(以下、良好な位置と呼ぶ)に初期設定し、パルス数どおりの回転角度で球送り部材が回転し続ければ、遊技球の重みで球送り部材が回転してしまう恐れのある不安定な位置(以下、ずれた位置と呼ぶ)にずれてしまわないようにできる。しかしながら実際には、パルスモータの脱調等によりパルス数どおりの回転角度で球送り部材が回転し続けることは困難であり、ずれた位置になってしまう可能性は高い。良好な位置の一例として図4(a),(b)に示す位置が挙げられ、ずれた位置の一例として図4(c)に示す位置が挙げられる。
【0006】
このような問題に対し、特許文献1に記載の遊技球払出装置では、球送り部材の回転位置を検出する位置検出手段(エンコーダ)を設けており、該エンコーダの検出値に基づいて、球送り部材の回転停止位置が良好な位置となるようにパルスモータをフィードバック制御している。これによれば、遊技機の電源をオフにした後にこぼれ球が生じてしまうといった恐れを回避できる。
【0007】
また、特許文献1以外の対策として、パルスモータへの通電が遮断された場合に球送り部材の回転をロックしてしまうロック機構を設けることが挙げられる。これによれば、球送り部材の回転停止位置がどのような位置になったとしても、遊技球の重みで球送り部材が回転してしまうことをロック機構によって防止できるため、上記こぼれ球を防止できる。
【0008】
【特許文献1】特開2000−271314号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1に記載の遊技球払出装置では、確かにこぼれ球の発生を回避できるものの、エンコーダ等の位置検出手段を必要とするため、部品点数増大を招いてしまい、遊技球払出装置の構造複雑化およびコストアップとなってしまう。また、ロック機構を設けた対策においても同様にして、ロック機構を必要とすることから部品点数増大を招いてしまい、遊技球払出装置の構造複雑化およびコストアップとなってしまう。
【0010】
上記点に鑑み本発明は、構造の簡素化およびコストアップ抑制を図りつつ、こぼれ球の発生を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、
遊技球の流通路を形成し、該流通路の供給口と排出口を有するケースと、
前記流通路に配置され、回転することで遊技球を1球ずつ前記排出口に向けて送り出す球送り部材と、
前記球送り部材を回転させるパルスモータと、を備え、
前記パルスモータにN(N:自然数,N≧2)回のパルス電圧を印加する毎に、遊技球が1球ずつ前記排出口から払い出されるように構成された遊技球払出装置において、
L(L:自然数)個の遊技球を排出するL個排出作動を行うにあたり、L×NからK(K:自然数,1≦K<N)を減算した回数のパルス電圧を前記パルスモータに印加するように制御する確認制御手段と、
前記確認制御手段による制御を実行した結果、実際に払い出された個数がL個に達したか否かを判定する判定手段と、を備え、
前記判定手段にてL個に達していないと判定された場合には、前記球送り部材の回転位置が良好な位置にあるとみなし、残りK回のうち少なくとも1回のパルス電圧を前記パルスモータに印加することで前記L個排出作動を継続させ、
前記判定手段にてL個に達したと判定された場合には、前記球送り部材が前記良好な位置からずれているとみなし、残りK回のパルス電圧を1回も印加することなく前記L個排出作動を終了させることを特徴とする。
【0012】
請求項2に記載の発明では、前記判定手段にてL個に達していないと判定された場合には、残りK回のパルス電圧を連続して一度に前記パルスモータに印加することを特徴とし、請求項3に記載の発明では、前記自然数KをN/2より小さい値に設定したことを特徴とする
請求項4に記載の発明では、
前記自然数Kが2以上に設定され、
前記判定手段にてL個に達していないと判定された場合に、J(J:自然数,1≦J<K)回のパルス電圧を前記パルスモータに印加するように制御する再確認制御手段と、
前記確認制御手段に加え前記再確認制御手段による制御を実行した結果、実際に払い出された個数がL個に達したか否かを判定する再判定手段と、を備え、
前記再判定手段にてL個に達していないと判定された場合には、前記球送り部材の回転位置が良好な位置にあるとみなし、残りK−J回のうち少なくとも1回のパルス電圧を前記パルスモータに印加することで前記L個排出作動を継続させ、
前記再判定手段にてL個に達したと判定された場合には、前記球送り部材が前記良好な位置からずれているとみなし、残りK−J回のパルス電圧を1回も印加することなく前記L個排出作動を終了させることを特徴とする。
【0013】
請求項5に記載の発明では、
前記流通路のうち前記球送り部材の下流側部分には、遊技球の通過を検出する通過検出手段が備えられており、
前記判定手段は、前記通過検出手段による検出数に基づいて、実際に払い出された個数がL個に達したか否かを判定するようになっており、
前記球送り部材にて送り出される遊技球が該球送り部材から離れてから前記通過検出手段の検出位置に至るまでの理論上の経過時間を理論経過時間T1とし、前記理論経過時間T1の1.5倍〜2.5倍の時間を見込み経過時間T2とした場合において、
前記判定手段による判定は、前記確認制御手段による制御を実行してから前記見込み経過時間T2が経過する時点まで継続して実行されることを特徴とする。
【0014】
請求項6に記載の発明では、
前記球送り部材の外周端面には、該球送り部材の回転中心に向けて凹む球受け溝が複数形成され、
前記球送り部材の回転に伴って前記外周端面上の遊技球が1球ずつ前記球受け溝に落ち込むことで、遊技球を1球ずつ前記排出口に向けて送り出すように構成されており、
前記球受け溝のうち遊技球が進入する側の面の形状を、前記外周端面から前記球受け溝の底面に至るまでの滑らかな流線形に形成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
ここで、球送り部材の回転停止位置が良好な位置であれば、パルス電圧をL×N回印加するとL個の遊技球が払い出される。一方、球送り部材の回転停止位置がずれた位置であれば、パルス電圧を(L×N−K)回印加しただけでL個の遊技球が払い出される場合がある。本発明者はこの点に着目してなされたものであり、請求項1に記載の発明によれば、パルス電圧を(L×N−K)回印加しただけでL個の払い出しがなされてしまった場合には、球送り部材の回転位置がずれた位置にあるとみなしてL個排出作動が終了するので、球送り部材の回転位置がずれた位置から良好な位置に近づいた状態、或いは良好な位置に戻った状態でL個排出作動が終了することとなり、球送り部材の回転位置が補正される。
【0016】
このように回転位置が補正される具体例を図4および図8を用いて説明すると、図4(a)、(b)が球送り部材20の良好な回転停止位置を示しており、図4(a)の状態からL個排出作動を開始して1球目が排出されると図4(b)の位置に回転し、図4(b)の状態から2球目が排出されると再び図4(a)の位置に戻る。そして、L−1球目が排出された時点で図4(b)の状態になったとすると、L球目の排出時に確認制御手段により図4(a)の手前の位置(L×N−K回に対応する回転位置)で球送り部材20は一旦停止する。図8(a)はこの一旦停止した位置を示しており、この状態では符号βに示す遊技球は排出されない。すると、判定手段にてL個に達していないと判定されることとなり、残りK回のうち少なくとも1回のパルス電圧をパルスモータに印加することでL個排出作動が継続される。K回のパルス電圧が印加されれば図4(a)の位置で停止してL球目が排出され、L個排出作動が終了することとなる。
【0017】
ところが、ずれた位置の状態からL個排出作動を開始してL−1球目が排出された時点で図4(c)に示すずれた位置の状態になったとすると、L球目の排出時に確認制御手段により図4(a)の手前の一旦停止した時には図8(b)の位置になっており、この状態では符号βに示す遊技球は排出されてしまう。すると、判定手段にてL個に達していると判定されることとなり、残りK回のパルス電圧を1回も印加することなくL個排出作動が終了する。そして、このようにL個排出作動が終了した時点では図8(b)の位置、つまり図4(a)と同じ良好な位置で停止することになるため、次回のL個排出作動を開始する時点では図8(b)の位置(良好な位置)となっている。つまり、球送り部材の回転位置が補正されている。
【0018】
以上により、本発明によれば、特許文献1に記載の位置検出手段や、球送り部材の回転をロックするロック機構等のハード的な装置を不要にしつつ、球送り部材の停止位置を補正できるので、遊技球払出装置の構造の簡素化、および部品点数削減によるコストアップ抑制を図りつつ、こぼれ球の発生を防止できる。
【0019】
請求項2に記載の発明によれば、請求項4に記載の発明のように残りK回をK−J回とJ回とに分割して印加する場合に比べて、L個排出作動の高速化を図ることができる。
【0020】
請求項3に記載の発明によれば、例えば、KをN/4にした場合には、Kをn/2にした場合に比べて位置補正できる角度のピッチを半分にできる。このように本発明によれば、球送り部材の停止位置補正の確実性を高めることができる。なお、K=N/4とした上記例の場合において、位置補正したい回転角度がN/2に相当する角度の場合には、L個排出作動を2回行えばN/2に相当する角度が位置補正されることとなるので、問題なく対応できる。
【0021】
請求項4に記載の発明によれば、確認制御手段および判定手段によりパルス電圧を(L×N−K)回印加しただけでL個の払い出しがなされてしまったか否かを確認し、この確認でL個の払い出しがなされていないと判定した場合にはさらにその後、再確認制御手段および再判定手段により、残りK回のうちK−J回分だけを印加してL個の払い出しがなされてしまったか否かを再確認するので、請求項2に記載の発明のように残りK回を連続して一度に印加する場合に比べて、球送り部材の停止位置補正を細かい回転ピッチで実現できる。
【0022】
ここで、判定手段の継続時間が短すぎると、遊技球が流通路の内壁に衝突した場合等に、実際にL個払い出されたか否かを確実に判定できなくなる。反面、判定手段の継続時間が長すぎると、L個排出作動の高速化を図ることができないとともに、L個目の払出タイミングとL−1個目の払出タイミングとのタイムラグが大きすぎて、遊技者に違和感が生じる。これらの点を鑑みて、請求項5に記載の如く、判定手段の継続時間を理論経過時間T1の1.5倍〜2.5倍にすると好適である。
【0023】
請求項6に記載の発明の如く、球受け溝のうち遊技球が進入する側の面を、外周端面から球受け溝の底面に至るまでの滑らかな流線形(例えば図4に示す流線形)に形成すると、球送り部材の回転速度を高速化しても、回転する球送り部材の外周端面に落下した遊技球が球受け溝を飛び越してしまうことなく、遊技球を球受け溝に確実に落ち込ませることができるため、L個排出作動の高速化を図ることができる。しかしその背反として、球送り部材を停止させたときに流線形の面上に位置する遊技球(例えば図4(c)の符号αに示される遊技球)は、下方に滑り落ちやすくなるため、こぼれ球防止対策が特に強く要求される。よって、このようなL個排出作動の高速化を図った形状の球送り部材を備えた遊技球払出装置に請求項1〜5の発明を適用することは、その発明の効果がより効果的に発揮され、好適である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の各実施形態を図に基づいて説明する。尚、本発明の実施の形態は、下記の各実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採り得ることは無論である。
【0025】
(第1実施形態)
本実施形態に係る遊技球払出装置はパチンコ遊技機に備えられており、図1はそのパチンコ遊技機1の裏面図を示している。該パチンコ遊技機1は、前面枠2、前面枠2の裏面に取付枠3を介して着脱自在に装着される遊技盤4、遊技盤4の裏面に回動可能に装着される合成樹脂製の機構板5を備えている。この機構板5の裏面上部には賞球球タンク6が固着され、賞球球タンク6の下方には遊技球(遊技球)を整列して導き出す樋状の誘導通路7が設けられると共に、その流下端に本実施形態に係る遊技球払出装置(以下、単に払出装置と言う)8が配設されている。また、払出装置8の下方に、払い出された遊技球を前面枠2の前面の球受皿(図示略)に導くための送出通路9が設けられている。
【0026】
そして、遊技盤4面上に出射された遊技球が、遊技盤4に設けられた入賞口に入球するか、或いは入賞ゲートを通過すると、所定の賞球が球受皿に払い出されることとなる。このように払い出される遊技球は、先ず賞球球タンク6から自重で誘導通路7を流下して、1列に並べられた状態で払出装置8に導かれる。その後、払出装置8にて1球ずつ送り出されて自重で送出通路9を流下して、球受皿に払い出されるようになっている。
【0027】
次に、払出装置8について説明する。図2は払出装置8の外観斜視図、図3はその分解斜視図、図4は払出装置8を模式的に示す断面図である。この払出装置8は、遊技球の流通路10a,10bを形成する樹脂製ケース10と、流通路10a,10bに配置されたスプロケット(球送り部材)20と、スプロケット20を回転させる正逆転可能なパルスモータ30と、パルスモータ30を駆動制御する払出制御基板40とから構成されている。
【0028】
図2および図3に示すように、ケース10は角形箱状であり、角形の右ブロック11、角形の中ブロック12、角形の左ブロック13に三分割されて、それらが連結して構成されたものである(図3参照)。本実施形態の流通路には、第1流通路10aおよび第2流通路10bの2つが形成されており、各流通路10a,10bの入口(供給口)10cと出口(排出口)10dがケース10に形成されている。また、これらの第1および第2流通路10a,10bはいずれも、払出装置8をパチンコ遊技機1に取り付けた状態において、図4に示す如く上下方向に延びる形状であり、各流通路10a,10b内のうちスプロケット20が配置される部分を除いては遊技球が自重で落下できるようになっている。なお、これら2つの流通路10a,10bは同じ形状に形成されて並列配置されている。
【0029】
第1流通路10aおよびその供給口10cと排出口10dは、中ブロック12と左ブロック13に分割されており、中ブロック12と左ブロック13を連結することで構成される。また、第2流通路10bおよびその供給口10c、排出口10dは、中ブロック12と右ブロック11に分割されており、中ブロック12と右ブロック11を連結することで構成される。
【0030】
なお、右ブロック11と左ブロック13とをタッピングスクリュウ等の締結手段で締結し、中ブロック12が左右ブロック11,13に対して位置ずれしないように嵌め合わせることで、これらのブロック11,12,13は連結している。具体的には、左ブロック13に一体成形されたボス部13aに、右ブロック11の貫通穴11aから挿入されるタッピングスクリュウ(図示せず)をねじ込むことで、右ブロック11と左ブロック13とは締結されている。また、中ブロック12の貫通穴12aにボス部13aが挿入配置されることと、中ブロック12に一体成形された凸部12bを左右ブロック11,13の凹部13bに嵌め合わせることとにより、中ブロック12が左右ブロック11,13に対して位置ずれしないようになっている。
【0031】
また、図4に示すように、2つの排出口10dのそれぞれには、遊技球の通過を検出する払出センサ(通過検出手段)14が備えられている。本実施形態に係る払出センサ14にはフォトセンサが採用されており、該センサ14の発光素子から受光素子に入射する光の光路を遊技球が遮ることで、遊技球の通過を検出するようになっている。
【0032】
スプロケット20は、第1球送り板21、第2球送り板22、連結部材23およびボス部材24から構成されている(図3参照)。第1および第2球送り板21,22と連結部材23は樹脂にて一体に形成され、ボス部材24は第2球送り板22に嵌合している。そして、第1球送り板21は左ブロック13の突出部13cにて回転可能に支持され、ボス部材24にはパルスモータ30の回転軸31が挿入され、スプロケット20は回転軸31と一体的に回転するように構成されている。なお、パルスモータ30は右ブロック11の外面に取り付けられ、右ブロック11の挿入穴11bに挿入される回転軸31は、流通路10a,10bの流下方向に対して垂直に延びる向きとなるように配置されている。
【0033】
図3および図4に示すように、第1および第2球送り板21,22のそれぞれには、回転軸31の軸線方向に対し直交する複数枚の羽根21a,22aと、これらの羽根21a,22aの間に位置する球受け溝21b,22bとが形成されている。そして、スプロケット20が回転すると、第1球送り板21の羽根21aは第1流通路10a内を横切るように回転移動し、第2球送り板22の羽根22aは第2流通路10b内を横切るように回転移動する。
【0034】
これにより、供給口10cから流通路10a,10bを流下して球受け溝21b,22b内に落下した遊技球は、羽根21a,22aによって排出口10dに向けて1球ずつ送り出されることとなる。複数の羽根21a,22aは等間隔に配置され、かつ、第1球送り板21の羽根21aと第2球送り板22の羽根22aとは互い違いに周設されているため、第1流通路10aの排出口10dと第2流通路10bの排出口10dとからは交互に遊技球が排出される。すなわち、2つの供給口10cから供給される遊技球は2つの排出口10dから交互に1球ずつ排出される。
【0035】
羽根21a,22aの枚数は複数であれば何枚でもよく、本実施形態では図4に示すように3枚に設計されており、第1球送り板21の羽根21aが図4(a)の位置にある時には第2球送り板22の羽根22aは図4(b)の位置にあり、第1球送り板21の羽根21aが図4(b)の位置にある時には第2球送り板22の羽根22aは図4(a)の位置にある。なお、羽根21a,22aの枚数を4枚にした場合には図3に示すようになる。
【0036】
また、第1および第2球送り板21,22の外周端面に形成された球受け溝21b,22bは、スプロケット20の回転中心に向けて凹む形状であり、球受け溝21b,22bのうち遊技球が進入する側の面(図4中の符号21pに示される部分)の形状を、第1および第2球送り板21,22の外周端面から球受け溝21b,22bの底面に至るまでの滑らかな流線形に形成している。これにより、スプロケット20の回転速度を高速化しても、回転するスプロケット20の外周端面に落下した遊技球が球受け溝21b,22bを飛び越してしまうことなく、遊技球を球受け溝21b,22bに確実に落ち込ませることができるため、遊技球の払い出し作動の高速化を図ることができる。
【0037】
パルスモータ30は、印加されるパルス電圧の回数に応じて所定の回転角度だけ回転する。本実施形態では4相のパルスモータ30を採用しており、図示しないステータに設けられた巻線の各相に順送りでパルス電圧を印加することで、回転軸31が所定角度回転する。
【0038】
そして、本実施形態のパルスモータ30はパルス電圧を96回印加すると回転軸31が一回転(1パルスで3.75°回転)する仕様であり、スプロケット20には羽根21a,22aが3枚ずつ備えられているので、パルスモータ30に16(特許請求の範囲に記載の自然数Nに相当)回のパルス電圧を印加する毎にスプロケット20が60°ずつ回転し、スプロケット20が60°回転する毎に遊技球が1球ずつ排出口10dから払い出されることとなる。従って、L個(例えば10個)の遊技球を排出するL個排出作動を行う場合には、16×L回のパルス電圧を印加して、スプロケット20を60×L°回転させることで、2つの排出口10dから交互にN/2球ずつ排出される。
【0039】
払出制御基板40は、CPU、ROM、RAM、I/O等から構成されたマイクロコンピュータ41と、スイッチング素子として機能するトランジスタ等から構成されたスイッチング回路42とを備えている。マイクロコンピュータ41は、パチンコ遊技機1の遊技内容を制御する主制御手段から出力されるコマンドと、払出センサ14からの検出信号とに基づいて、スイッチング回路42の作動を制御する。スイッチング回路42は、マイクロコンピュータ41からのベース信号に基づいて、パルスモータ30の4相の各巻線にパルス電圧を順に印加するように作動する。
【0040】
次に、L(L:自然数)個の遊技球を払い出すL個払出作動(排出作動)を行う際の、マイクロコンピュータ41による制御フローを説明する。L個払出作動における1個目から(L−1)個目迄の払出処理は図5のフローチャートに基づき、L個目の払出処理は図6のフローチャートに基づく。なお、自然数Lの値は、パチンコ遊技機1の仕様に応じて予め設定された数値である。
【0041】
はじめに、図5に示す1個目から(L−1)個目迄の払出処理を説明すると、先ず確認制御手段としてのステップS10において、1球払出分の回数(上記例ではN=16回)のパルス電圧がパルスモータ30に印加されるように、スイッチング回路42を制御する。次に、ステップS20において、払出センサ14による検出信号に基づいて、遊技球1球が払出センサ14を通過したか否か(排出口10dから払い出されたか否か)を判定する。
【0042】
遊技球1球が払出センサ14を通過したと判定されれば(S20:Yes)、処理はリターンに抜けるとともに、マイクロコンピュータ41におけるカウンターをインクリメントする。そして、該カウンターがL−1個に到達していない限り、20msの間隔で図5の処理を繰り返し実行する。該カウンターがL−1個に到達した場合には、図6の処理を開始する。一方、遊技球1球が払出センサ14を通過したと判定されなければ(S20:No)、遊技場店員にエラー報知したりスプロケット20の回転を停止する等のエラー処理を行うことで、球不足による球切れや球詰まり等による不具合に対応するようになっている。
【0043】
ここで、「背景技術」の欄にて説明した「こぼれ球」についてより詳細に説明する。遊技球払出装置8の球流れ上流側には、図1に示すように、賞球球タンク6および誘導通路7にて多数の遊技球が貯留されている。そして、この貯留された遊技球の重みがスプロケット20の第1および第2球送り板21,22にかかっている。そして、その重みによってスプロケット20が自然に順方向(図4の時計周り)に回転してしまい、意図する個数以上の遊技球が払い出されてしまうことをこぼれ球と呼ぶ。特に、遊技場閉店後等にパチンコ遊技機1の電源をオフにした場合には、パルスモータ8への通電が遮断されて自己保持力が働かなくなるため、こぼれ球が生じ易い。
【0044】
球送り板21,22の回転停止位置の違いによって、スプロケット20の自然回転発生度合いは大きく異なる。図4(a)および(b)に示す回転停止位置は、スプロケット20の自然回転が生じ難い良好な位置を示しており、第1球送り板21を図4(a)の状態から60°回転させると図4(b)の状態になり、そこからさらに60°回転させると図4(a)の状態に戻る。なお、図4(a)の状態は第1球送り板21により第1流通路10aの排出口10dから遊技球が排出された直後の状態であり、図4(b)の状態は第2球送り板22により第2流通路10bの排出口10dから遊技球が排出された直後の状態である。
【0045】
図4(b)中の矢印Aは、遊技球が羽根21aを押す力の向きを示しており、図4(b)の状態では遊技球の重さが回転軸31に向けてかかっていることが分かる。これに対し、図4(b)から15°回転した状態(良好な位置からずれた状態)を示す図4(c)では、矢印Bに示すように遊技球の重さが回転軸31からずれた向きにかかってしまい、これにより、羽根21aが自然回転し易くなっている。すなわち、このようにずれた状態のまま、仮に図5の処理にてL個の払い出しを実行させようとすると、L個払出作動を終了した時点では図4(c)のずれた状態となり、こぼれ球が生じ易くなってしまう。特に、遊技場閉店後等にパチンコ遊技機1の電源をオフにした後にはこぼれ球が生じ易くなる。
【0046】
これに対し、本実施形態では、図5の処理にてL−1個の払い出しを実行させ、残りの1個は以下に説明する図6の処理にて払い出しを実行させることで、L個払出作動を終了した時点で図4(a)または(b)の正常な停止状態となるようにしており、これにより、こぼれ球を防止している。
【0047】
因みに、遊技球が羽根21aを押す力が、スプロケット20を逆方向(図4の反時計周り)に回転させる向きに働いた場合には、球受け溝21b,22b内に落下した遊技球が、第1および第2流通路10a,10bのうちスプロケット20の上流部分に位置する壁面(図4の符号10pに示す部分)と、羽根21a,22aとの間に挟み込まれて、上方へ押し出される向きに力を受ける。従って、遊技球の重みでスプロケット20が自然に逆転しようとする場合には遊技球は排出口10dに向けて送り出されることはなく、こぼれ球等の問題にはならない。
【0048】
図6に示すL個目の払出処理では、先ず、確認制御手段としてのステップS30において、NよりもK回少ない回数のパルス電圧がパルスモータ30に印加されるように、スイッチング回路42を制御する。本実施形態では、1球払出分の回数Nをn(n:自然数)等分し、(n−1)/nをNに乗じた回数のパルス電圧をパルスモータ30に印加させている。すなわち、K=N×(n−1)/nであり、図5のステップS10および図6のステップS30にて印加されたパルス電圧の総数が、L×NからK(K:自然数,1≦K<N)を減算した回数となるように制御している。なお、自然数n,Kの値は予め設定された数値である。
【0049】
次に、判定手段としてのステップS40において、払出センサ14による検出信号に基づいて、遊技球1球が払出センサ14を通過したか否か(排出口10dから払い出されたか否か)を判定する。換言すれば、L個払出作動を開始してから、ステップS10およびステップS30による制御の実行に応じて実際に払い出された遊技球の総数がL個に達したか否かが判定されることとなる。
【0050】
ステップS40にて遊技球1球が通過したと判定されれば(S40:Yes)、L個払出作動を開始してから実際に払い出された遊技球の総数がL個に達したということであり、スプロケット20が良好な位置からずれているとみなし、残りK回(N×1/n回)のパルス電圧を1回も印加することなく図6の処理を終了してL個払出作動を終了する。
【0051】
一方、遊技球1球が通過したと判定されなければ(S40:No)、L個払出作動を開始してから実際に払い出された遊技球の総数がL−1個であるということであり、スプロケット20が良好な位置にあるとみなし、ステップS50において、1/nをNに乗じた回数のパルス電圧をパルスモータ30に印加させる。その後、ステップS60において、払出センサ14による検出信号に基づいて、遊技球1球が払出センサ14を通過したか否か(排出口10dから払い出されたか否か)を判定する。
【0052】
ステップS60にて遊技球1球が通過したと判定されれば(S60:Yes)、図6の処理を終了してL個払出作動を終了する。遊技球1球が通過したと判定されなければ(S60:No)、遊技場店員にエラー報知したりスプロケット20の回転を停止する等のエラー処理を行うことで、球不足による球切れや球詰まり等による不具合に対応するようになっている。
【0053】
ここで、スプロケット20にて送り出される遊技球が羽根21a,22aから離れてから払出センサ14の検出位置に至るまでの理論上の経過時間を理論経過時間T1とし、理論経過時間T1の1.5倍〜2.5倍の時間を見込み経過時間T2とした場合において、ステップS40における判定処理による判定は、ステップS30における確認制御手段を実行してから見込み経過時間T2が経過する時点までは、次のステップには移行せずに該判定処理を継続して実行する。
【0054】
因みに、理論経過時間T1は、遊技球の質量をm、遊技球が羽根21a,22aから離れてから払出センサ14の検出位置に至るまでの距離をh(図8(b)参照)、重力加速度をgとすると、T1=√(2h/g)にて算出される。この式におけるT1の単位は秒s、hの単位はメートルm、gの単位はm/sである。本実施形態では理論経過時間T1が100ms(ミリ秒)となり、見込み経過時間T2はT1の2倍の値(200ms)に設定している。
【0055】
これにより、ステップS40での判定処理の継続時間が短すぎて実際にL個払い出されたか否かを確実に判定できなくなることを低減できる。また、ステップS40での判定処理の継続時間が長すぎてL個排出作動の高速化を図ることができないとともに、L個目の払出タイミングとL−1個目の払出タイミングとのタイムラグが大きすぎて、遊技者に違和感が生じるといった不具合を低減できる。
【0056】
次に、上記構成および制御による遊技球払出装置8の動作を、図7に示すタイミングチャートを用いて説明する。
【0057】
図7は、L個排出作動を開始する時点t0からL個排出作動を終了する時点t5までの時間経過において、マイクロコンピュータ41からスイッチング回路42に向けて出力されるパルス信号の変化、つまりスイッチング回路42にてパルスモータ30の巻線各相に印加されるパルス電圧の変化と、スプロケット20の回転作動の変化とを示している。また、図7は、ステップS40にてNo判定、かつ、ステップS60にてNo判定の場合の電圧変化および回転作動変化を示すものであり、また、N=16、L=10、K=4とするとともに、スプロケット20は、1回転すると遊技球が6球払い出される仕様、パルスモータ30は、印加パルス数が96回で回転軸31が1回転する仕様である。
【0058】
先ず、図5に示すステップS10の処理が実行されると、t0時点からt1時点にかけて1球目の払出作動が行われる。すなわち、パルスモータ30の巻線A相、B相、C相、D相に順次パルス電圧が印加され、このパルス電圧印加はt0時点からt1時点にかけて16回のパルス数となる。すると、スプロケット20は60°回転し、第1流通路10aの排出口10dから遊技球が1球排出される。
【0059】
そして、図5に示すステップS20にて遊技球が1球排出されたことが確認されると、処理はステップS10に戻り、t1時点から2球目の払出作動が行われることでスプロケット20はさらに60°回転し、t0時点からt1時点の払出作動と同様の動作となり、第2流通路10bの排出口10dから2球目の遊技球が排出される。以降、9球目の払出作動が終了するまで図5の処理を繰り返し実行する。
【0060】
次に、t2時点からt5時点にかけて10球目の払出作動が行われる。すなわち、先ず図6に示すステップS30の確認制御手段が実行されると、t2時点からt3時点にかけて12回のパルス電圧を印加する。t0時点から10球を払い出すためには合計160回のパルス電圧を印加する必要があるが、この確認制御手段では、(n−1)/nをNに乗じた回数、つまり12回のパルス電圧を印加して合計156回としている。
【0061】
スプロケット20が良好な位置にあれば、該スプロケット20はt2時点では図4(b)に示す位置にあり、この位置からt3時点までに45°回転して図8(a)に示す位置となる。図8(a)の状態では符号βに示す遊技球は落下しない。そして、図8(a)の位置でt3時点からt4時点まで停止した後、t4時点からt5時点までに15°回転して図4(a)に示す位置となり、符号βに示される遊技球がt5時点で10個目の遊技球として排出されることになる。
【0062】
ところが、t2時点においてスプロケット20が時計回りに15°進んだ位置(図4(c)に示す位置)にずれていれば、この位置からt3時点までに45°回転して図8(b)に示す位置となる。すると、図8(b)の状態では符号βに示す遊技球は落下してしまい、このt3時点で10個目の遊技球として意図せず排出されることになる。
【0063】
このように遊技球βが意図せず払い出されてしまったか否かを、図6のステップS40にてt3〜t4の期間(見込み経過時間T2)に確認する。そして、ステップS40にて遊技球が1球排出されていないことが確認される(S40:No)と、スプロケット20の回転位置が良好な位置にあるとみなし、処理はステップS50に進み、残りのパルス数(K=4)を印加して合計160回のパルス数を印加する。そして、ステップS60にて遊技球が1球排出されたことが確認されると、L個排出作動は終了する。
【0064】
一方、ステップS40にて遊技球が1球排出されていることが確認される(S40:Yes)と、スプロケット20の回転位置がずれた位置にあるとみなし、t3の時点でL個排出作動は終了する。よって、スプロケット20が図8(b)の位置で停止したまま残りの15°を回転させることなくL個排出作動は終了する。そして、図8(b)の位置と図4(a)の位置とは同じ位置となるので、結局、図8(b)の位置とは良好な停止位置であり、次回のL個排出作動を開始する時点t0では良好な位置(図4(a)に示す位置)となる。すなわち、スプロケット20の回転位置が補正されたことになる。
【0065】
以上により、本実施形態によれば、パルス電圧を(L×N−K)回印加しただけでL個の払い出しがなされてしまった場合には、スプロケット20の回転位置がずれた位置にあるとみなしてL個払出作動を終了するので、スプロケット20の回転位置がずれた位置から良好な位置に戻った状態でL個払出作動が終了することとなり、スプロケット20の回転位置が補正される。よって、特許文献1に記載の位置検出手段や、スプロケット20の回転をロックするロック機構等のハード的な装置を不要にしつつ、スプロケット20の停止位置を補正できるので、遊技球払出装置8の構造の簡素化、および部品点数削減によるコストアップ抑制を図りつつ、遊技機1の電源をオフにした後にこぼれ球が発生してしまうことを防止でき、更には、様々なハード構成の遊技球払出装置8に対応可能となる。
【0066】
(第2実施形態)
上記第1実施形態では、ステップS40の判定手段にてL個に達していないと判定された場合には、ステップS50において残りK回を連続して一度にパルスモータ30に印加しているのに対し、本実施形態では、K回を複数回に分割し、分割した回数ずつパルスモータ30に印加して、その都度L個に達したか否かを判定するようにしている。
【0067】
具体的には、図9のフローチャートに示す如く、先ずステップS31およびステップS41にて第1実施形態のステップS30,S40と同様の目的の処理を行う。但し、ステップS31において、第1実施形態ではK=N×(n−1)/nに設定していたのに対し、本実施形態ではK=N×(n−2)/nに設定している。
【0068】
次に、判定手段としてのステップS41において、L個払出作動を開始してから実際に払い出された遊技球の総数がL個に達したか否かを判定し、L個に達していない(S41:No)と判定された場合には、再確認制御手段としてのステップS42において、J(J:自然数,1≦J<K)回のパルス電圧をパルスモータ30に印加するように制御している。なお、自然数Jの値は予め設定された数値である。本実施形態ではJ=N×1/nに設定している。一方、L個に達している(S41:Yes)と判定された場合には、第1実施形態と同様に、残りK回(N×2/n回)のパルス電圧を1回も印加することなく図9の処理を終了してL個払出作動を終了する。
【0069】
次に、再確認制御手段S42の処理後、再判定手段としてのステップS44において、L個払出作動を開始してから実際に払い出された遊技球の総数がL個に達したか否かを判定し、L個に達していると判定された場合(S44:No)には、判定手段S40にてL個に達していると判定された場合と同様にして、残りK回(N×1/n回)のパルス電圧を1回も印加することなく図9の処理を終了してL個払出作動を終了する。一方、再判定手段S44にてL個に達していないと判定された場合(S44:No)には、ステップS51,S61に進み、第1実施形態のステップS50,S60と同様の目的の処理を行う。但し、ステップS51において、第1実施形態ではK回分のパルス電圧を印加させているのに対し、本実施形態ではK−J回分のパルス電圧を印加させている。
【0070】
以上により、本実施形態によれば、確認制御手段S31および判定手段S41によりパルス電圧を(L×N−K)回印加しただけでL個の払い出しがなされてしまったか否かを確認し、この確認でL個の払い出しがなされていないと判定した場合にはさらにその後、再確認制御手段S42および再判定手段S44により、残りK回のうちK−J回分だけを印加してL個の払い出しがなされてしまったか否かを再確認するので、第1実施形態のようにステップS50にて残りK回を連続して一度に印加する場合に比べて、スプロケット20の停止位置補正を細かい回転ピッチで実現できる。
【0071】
(他の実施形態)
上記第1実施形態では、自然数KをN/2より小さい値、つまりN×(n−1)/nに設定しているが、本発明はこの設定に限られるものではなく、例えばK=N×(n−2)/n等に設定しても良い。
【0072】
また、上記第1実施形態では、球送り部材20の回転位置のうち、遊技球が羽根21a,22aから離れ始める位置(図8(b)に示す位置)と、良好な位置(図4(a)に示す位置)とが同じ位置となるように設定されているため、判定手段S40にてL個に達したと判定してL個排出作動を終了させた場合には、このような終了を1回行うだけで良好な位置に戻るように回転位置が補正される。これに対し、本発明はこのような位置設定に限定されるものではなく、他の実施形態として、球送り部材20の回転位置のうち、遊技球が羽根21a,22aから離れ始める位置と良好な位置とが異なる位置となるように設定されていてもよい。但し、この場合には、判定手段S40にてL個に達したと判定してL個排出作動を終了させることを1回行っただけでは良好な位置に戻ることはないが、球送り部材20の回転位置がずれた位置から良好な位置に近づいた状態に回転位置が補正される。
【0073】
また、上記各実施形態では、パルスモータ30の回転軸31に球送り部材20を直接固定して高速回転(高速払出)を実現させているが、本発明は、パルスモータ30の回転軸31と球送り部材20との間に減速ギアを介在させた構成の遊技球払出装置8にも適用できる。
【0074】
また、上記各実施形態では、球受け溝21b,22bのうち遊技球が進入する側の面21pの形状を、高速払出が可能な流線形に形成しているが、本発明は、前記面21pの形状を角形にした遊技球払出装置8にも適用できる。なお、この場合には、遊技球の払い出し速度は遅くなるものの、こぼれ球の恐れをより一層低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明の第1実施形態に係る遊技球払出装置8が取り付けられる、パチンコ遊技機1の裏面図である。
【図2】図1の遊技球払出装置8を示す斜視図である。
【図3】図2の遊技球払出装置8を示す分解斜視図である。
【図4】図2の遊技球払出装置8を模式的に示す断面図であり、(a)はスプロケット20が良好な位置で停止した状態、(b)は(a)の状態から1球払出分スプロケット20が回転して良好な位置で停止した状態、(c)はずれた位置で停止した状態を示す。
【図5】第1実施形態に係る、1個目から(L−1)個目迄の払出処理を示すフローチャートである。
【図6】第1実施形態に係る、L個目の払出処理を示すフローチャートである。
【図7】第1実施形態に係る遊技球払出装置8の動作を示すタイミングチャートである。
【図8】本発明により球送り部材20の回転位置が補正される動作を具体的に説明する、図2の遊技球払出装置8に係る断面図であり、(a)は、良好な位置から確認制御手段を実行した場合のスプロケット停止位置を示し、(b)は、ずれた位置から確認制御手段を実行した場合のスプロケット停止位置を示す。
【図9】第2実施形態に係る、L個目の払出処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0076】
8…遊技球払出装置 10…ケース 10a…第1流通路 10b…第2流通路
10c…入口(供給口) 10d…出口(排出口)
14…払出センサ(通過検出手段) 20…スプロケット(球送り部材)
30…パルスモータ 40…払出制御基板 41…マイクロコンピュータ
42…スイッチング回路 S10…確認制御手段 S30,S31…確認制御手段
S40,S41…判定手段 S42…再確認制御手段 S44…再判定手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技球の流通路を形成し、該流通路の供給口と排出口を有するケースと、
前記流通路に配置され、回転することで遊技球を1球ずつ前記排出口に向けて送り出す球送り部材と、
前記球送り部材を回転させるパルスモータと、を備え、
前記パルスモータにN(N:自然数,N≧2)回のパルス電圧を印加する毎に、遊技球が1球ずつ前記排出口から払い出されるように構成された遊技球払出装置において、
L(L:自然数)個の遊技球を排出するL個排出作動を行うにあたり、L×NからK(K:自然数,1≦K<N)を減算した回数のパルス電圧を前記パルスモータに印加するように制御する確認制御手段と、
前記確認制御手段による制御を実行した結果、実際に払い出された個数がL個に達したか否かを判定する判定手段と、を備え、
前記判定手段にてL個に達していないと判定された場合には、前記球送り部材の回転位置が良好な位置にあるとみなし、残りK回のうち少なくとも1回のパルス電圧を前記パルスモータに印加することで前記L個排出作動を継続させ、
前記判定手段にてL個に達したと判定された場合には、前記球送り部材が前記良好な位置からずれているとみなし、残りK回のパルス電圧を1回も印加することなく前記L個排出作動を終了させることを特徴とする遊技球払出装置。
【請求項2】
前記判定手段にてL個に達していないと判定された場合には、残りK回のパルス電圧を連続して一度に前記パルスモータに印加することを特徴とする請求項1に記載の遊技球払出装置。
【請求項3】
前記自然数KをN/2より小さい値に設定したことを特徴とする請求項2に記載の遊技球払出装置。
【請求項4】
前記自然数Kが2以上に設定され、
前記判定手段にてL個に達していないと判定された場合に、J(J:自然数,1≦J<K)回のパルス電圧を前記パルスモータに印加するように制御する再確認制御手段と、
前記確認制御手段に加え前記再確認制御手段による制御を実行した結果、実際に払い出された個数がL個に達したか否かを判定する再判定手段と、を備え、
前記再判定手段にてL個に達していないと判定された場合には、前記球送り部材の回転位置が良好な位置にあるとみなし、残りK−J回のうち少なくとも1回のパルス電圧を前記パルスモータに印加することで前記L個排出作動を継続させ、
前記再判定手段にてL個に達したと判定された場合には、前記球送り部材が前記良好な位置からずれているとみなし、残りK−J回のパルス電圧を1回も印加することなく前記L個排出作動を終了させることを特徴とする請求項1に記載の遊技球払出装置。
【請求項5】
前記流通路のうち前記球送り部材の下流側部分には、遊技球の通過を検出する通過検出手段が備えられており、
前記判定手段は、前記通過検出手段による検出数に基づいて、実際に払い出された個数がL個に達したか否かを判定するようになっており、
前記球送り部材にて送り出される遊技球が該球送り部材から離れてから前記通過検出手段の検出位置に至るまでの理論上の経過時間を理論経過時間T1とし、前記理論経過時間T1の1.5倍〜2.5倍の時間を見込み経過時間T2とした場合において、
前記判定手段による判定は、前記確認制御手段による制御を実行してから前記見込み経過時間T2が経過する時点まで継続して実行されることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の遊技球払出装置。
【請求項6】
前記球送り部材の外周端面には、該球送り部材の回転中心に向けて凹む球受け溝が複数形成され、
前記球送り部材の回転に伴って前記外周端面上の遊技球が1球ずつ前記球受け溝に落ち込むことで、遊技球を1球ずつ前記排出口に向けて送り出すように構成されており、
前記球受け溝のうち遊技球が進入する側の面の形状を、前記外周端面から前記球受け溝の底面に至るまでの滑らかな流線形に形成したことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1つに記載の遊技球払出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−26255(P2006−26255A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−212554(P2004−212554)
【出願日】平成16年7月21日(2004.7.21)
【出願人】(593045053)株式会社内藤商会 (112)
【Fターム(参考)】