説明

遊技球発射装置

【課題】 遊技球発射装置において、発射後の巻ばねの振動を抑止する。
【解決手段】 発射装置1の稼働時に打球杵33が後退変位する際には巻ばね77のねじれ変形量が増加(巻ばね77の径が拡大)する。打球杵33が、巻ばね77の反発力によって前進変位して遊技球を打撃(発射)する際には巻ばね77のねじれ変形量が減少(巻ばね77の径が縮小)する。遊技球を打撃した打球杵33が静止したときには、巻ばね77がスリーブ59を巻き締めるので、巻ばね77がスリーブ59に拘束されて振動できなくなる。遊技球の発射後に巻ばね77が振動し続けることはなく、この振動に起因する様々な不都合を回避できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ機等の弾球遊技機に装着される遊技球発射装置の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
普通、パチンコ機等の弾球遊技機は遊技球を発射するための遊技球発射装置を備えている。遊技球発射装置の構造はさまざまなものが提案され、また実用化されている。
その一種として遊技球を打撃するための駆動源として巻ばね(ねじれコイルばね)を用いるものがある。
【0003】
この巻ばねは、一方の端部を、例えばトルクキャップを介して駆動軸に連結され、他方の端部は、遊技者による操作に従って変位することで巻ばねのねじれ変形量を調節する調整部材に保持されて、駆動軸の軸受筒を取り巻く姿勢で配され、駆動軸に取り付けられた打球杵が後退駆動機構(例えばモータで回転駆動されるカム)によって後退揺動させられるとねじれ変形量を増加して打球杵を前進方向に付勢し、打球杵が後退駆動機構から解放されると、その付勢力で打球杵を前進揺動させて発射レール上の遊技球を打撃(発射)する。
【特許文献1】特開平2001−259132号公報(段落0029、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示の遊技球発射装置では、巻ばねの両端は、それぞれトルクキャップと調整部材とによって支持されているものの、中間部分は何ら支持されていなかった(軸受筒に遊嵌)。このため、打球杵が遊技球を打撃し、ストッパに衝突して静止した後に巻ばねが振動し続けていた。
【0005】
この振動は、ベース板を経て発射レール、ガイドレール、遊技盤、発射ハンドル等に伝達されて、球飛びにばらつきを生じさせることがあった。また、ベース板には、モータ及びこれを制御するための基板が取り付けられるのが普通であるが、上述の振動が原因となって電子部品や機械要素等に疲労が発生するおそれがある。さらには、振動が発射ハンドルから遊技者の手へと伝わって操作不良や不快感を生じさせることもあった。要するに、巻ばねが振動するのは好ましくなかった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の遊技球発射装置は、
ベース板と、該ベース板に一体化された軸受筒と、該軸受筒内に保持される軸受と、該軸受により回転自在に保持される駆動軸と、該駆動軸に連結され該駆動軸を軸として前進及び後退揺動する打球杵と、前記軸受筒を取り巻く姿勢で配され、該打球杵の後退揺動に伴ってねじれ変形量を増加して前記打球杵を前進方向に付勢する巻ばねと、該巻ばねの付勢力に抗して前記打球杵を後退変位させてから解放する後退駆動機構とを備える遊技球発射装置において、
前記打球杵が前記後退駆動機構から解放されて前進端にあるときに前記巻ばねの中間部に接触して該巻ばねの振動を抑止する振動抑止手段を設けたので、打球杵が遊技球を打撃して静止した際には振動抑止手段が巻ばねの中間部に接触して巻ばねの振動を抑止する。従って、遊技球の発射後に巻ばねが振動し続けることはなく、この振動に起因する様々な不都合を回避できる。
【0007】
振動抑止手段は、巻ばねの中間部(両端部を除く部分)に接触すれば巻ばねの振動を抑止できるので、中間部分の全域に接触することまでを要さない。例えば適宜の間隔(周方向又は長さ方向)で振動抑止手段を配置して、スポット的に接触させてもよい。勿論、接触部分が多い程振動抑止効果が高まるから、中間部分の全域に接触させてもよい。
【0008】
なお、振動抑止手段と巻ばねとの接触は、巻ばねの内側(内接)でもよいし外側(外接)でもよい。内接又は外接により、巻ばねの径方向の振動を抑止できる。
後退駆動機構が巻ばねの付勢力に抗して打球杵を後退変位させることにより、巻ばねのねじれ変形量を増加させて付勢力を高めるのであるが、そのねじれ変形は巻ばねの径を大きくする方向でも小さくする方向でもよい。
【0009】
但し、このねじれ変形の方向(巻ばねの径を大きくするか小さくするか)により、振動抑止手段を内接させるか外接させるかを選択しなければならない。つまり、打球杵の後退変位に伴うねじれ変形が巻ばねの径を大きくする変形であれば、打球杵を前進変位させるときには巻ばねの径が小さくなるから振動抑止手段を内接させる構成になり、逆の場合は外接させる構成になる。
【0010】
また、単に内接又は外接させるだけでなく、振動抑止手段の接触部分を溝状にすれば、巻ばねの長さ方向の振動を抑止できる。
請求項2記載のように、前記振動抑止手段は、円筒又は円錐の側面に相当する曲面に沿って配置された接触部にて前記巻ばねに接触して振動を抑止する構成にすれば、接触部と巻ばねとの接触が広範囲又は複数位置になるから、振動抑止効果が良好になる。
【0011】
請求項3記載のように、前記振動抑止手段は、筒体である構成にしても、巻ばねとの接触が広範囲又は複数位置になるから、振動抑止効果が良好になる。なお、筒体としては円筒、円錐台等が例示されるが、これらに限らない。
【0012】
振動抑止手段が巻ばねに内接する構成の場合、請求項4記載のように、前記振動抑止手段の外面をテーパ面にするとよい。
振動抑止手段が巻ばねに内接する構成の場合、組み立てに際して巻ばねを振動抑止手段(例えば筒体)に外嵌させる必要がある。このときに振動抑止手段の外面がテーパ面になっていれば作業を行いやすい。
【0013】
請求項5記載の遊技球発射装置は、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の遊技球発射装置において、前記振動抑止手段は、前記巻ばねの一方の端部を保持して、遊技者による操作に従って変位することで前記巻ばねのねじれ変形量を調節する調整部材と一体であるから、部品点数の増加を回避でき、組み立て工程も複雑化しない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
次に、本発明の実施例等により発明の実施の形態を説明する。なお、本発明は下記の実施例等に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲でさまざまに実施できることは言うまでもない。
[実施例]
本実施例の遊技球発射装置(以下、単に「発射装置」)1は図1(正面側斜視図)、図2(背面側斜視図)、図3(正面図)、図4(背面図)、図5(一部断面側面図)、図6(平面図)、図7(分解斜視図)に示すとおりに構成されている。
【0015】
構造的な中心部材はショットベース(ベース板に該当)3であり、ショットベース3にて各部を支持する構造である。
ショットベース3は亜鉛ダイキャスト製であり、図5に良好に示されるように、ベース板に該当する板状部分と軸受筒5とを一体鋳造したものである。
【0016】
また、図7に良好に示されるように、ショットベース3にはモータ取付座6、ストッパ取付座7、ボルト穴8等も設けられている。
モータ取付座6にはモータ取付板10が座付きビス11にて取り付けられている。モータ取付板10にはステッピングモータ及びモータ制御基板が取り付けられ、ステッピングモータの出力軸には駆動カムが装着されている(いずれも図示は省略)。
【0017】
ストッパ取付座7には杵受ゴム12がボルト13及びゴムホルダ14にて取り付けられている。これら杵受ゴム12は打球杵33の前進位置を規定するとともに、打撃時の衝撃を吸収する。
【0018】
ボルト穴8は発射装置1を弾球遊技機(例えばパチンコ機)に取り付けるために設けられている。
図5に良好に示される通り、軸受筒5内にはインナスペーサ15を挟んで一対のボールベアリング17(軸受に該当)が挿入されている。
【0019】
また軸受筒5にはスペーサ孔が設けられており、それにアウタカラー21の腕状の部分が差し込まれている。アウタカラー21の外面は軸受筒5の外周面(円筒面)と整合する曲面に形成されており、アウタカラー21をスペーサ孔に挿入した際にはアウタカラー21の外面は軸受筒5の外周面と段差なく滑らかに連続する。
【0020】
アウタカラー21の厚さ(軸受筒5の軸方向に沿った厚さ)はインナスペーサ15の厚さと等しく、これらインナスペーサ15とアウタカラー21とにより両ボールベアリング17の間隔が保持されている。
【0021】
両ボールベアリング17及びインナスペーサ15を駆動軸30が貫通しており、ボールベアリング17によって回転自在に支持されている。
駆動軸30はフランジ31を境として杵側とばね側とに分けることができ、上述のボールベアリング17によって支持されている部分はばね側に属している。
【0022】
駆動軸30の杵側の端部30aは、切削加工により軸に平行な2平面が設けられ、小判状の断面形状になっている。そして、その端部30aには打球杵33の小判状の嵌合穴33aが外嵌され、それに重ねてヒットアーム35の小判状の穴35aが外嵌されている。さらに、ヒットアーム35の外側においては座金36を挟んで配されたナット37が螺合され、打球杵33およびヒットアーム35を駆動軸30のフランジ31とで挟み付けるようにして、締め付けている。このため、ヒットアーム35および打球杵33は、駆動軸30と共回りする。
【0023】
打球杵33の先端には杵先ばね34が取り付けられており、後述するように杵先ばね34にて遊技球を打撃して発射する。
駆動軸30を介して打球杵33と連結されたヒットアーム35の先端部にはアームピン39が取り付けられ、そのアームピン39にてアームローラ41を回転自在に保持している。
【0024】
上述したとおり、モータ取付板10にステッピングモータが取り付けられているが、ステッピングモータの出力軸に装着された駆動カムの回転域は、ヒットアーム35とショットベース3との間になっており、駆動カムはショットベース3に沿って回転する。
【0025】
ステッピングモータが稼働して駆動カムが回動すると、駆動カムがアームローラ41に当接してこれを押圧する。アームローラ41は、上述の通りヒットアーム35を介して打球杵33に固定されているので、駆動カムがアームローラ41を押圧すると打球杵33が後退側に揺動変位させられる。さらに駆動カムが回動すると駆動カムがアームローラ41から離脱して押圧力を解除するので、ヒットアーム35および打球杵33は前進側に復帰可能となり、後述する巻ばね77の付勢力によって前進して、その先端の杵先ばね34にて図示しない発射レール上の遊技球を打撃することになる。すなわち、ステッピングモータと駆動カムとで後退駆動機構を構成しており、駆動カムの1回転毎に打球杵33が1回ずつ後退変位しては解放される。
【0026】
ショットベース3を挟んで打球杵33とは反対側では、調整スリーブ57が軸受筒5に回動自在に外嵌されている。
図8に示すように、調整スリーブ57は、遊技者の操作に従って巻ばね77の付勢力(変形量)を調節するための調整リング58(調整部材に該当)と振動抑止手段となる円筒状のスリーブ59とを一体化した部材である。
【0027】
調整リング58の外周部にはばね掛溝61が設けられ、また外周部から張り出して飛び調整ギヤ63が設けられ、さらに規制突起65が突出して設けられている。また、調整リング58の底面には滑り突起66が設けられている。
【0028】
ばね掛溝61は、図8(c)に示すように調整リング58の外周面58aでクランク状に屈曲しており、複数本(本実施例では3本)設けられている。そして、図1に示されるように、そのいずれか1箇所に巻ばね77の一端77aが係止させられる。この係止位置(ばね掛溝61)の選択により巻ばね77の基底的なねじれ変形量を調節できる。
【0029】
飛び調整ギヤ63ははす歯ギヤであり、調整リング58のほぼ1/4周にわたって設けられている。
スリーブ59は正確な円筒ではなく、外周面は基部(調整リング58側)が大径、先端側が小径のテーパ面となっている。このテーパ面が接触部に該当する。
【0030】
図5に良好に示されるように、調整スリーブ57は軸受筒5に外嵌(接してはいない)されて、滑り突起66をショットベース3の表面に接触させている。
スリーブ59には巻ばね77が外嵌されているが、変形されていない状態での巻ばね77の内径はスリーブ59の外径を下回っており、その巻ばね77の径を拡大させるようにしてスリーブ59に外嵌されている。
【0031】
巻ばね77の一方の端部77aは上述したようにばね掛溝61に係止されており、他方の端部77bは、インナキャップ71のばね保持穴72を貫通してトルクキャップ83のばねガイド溝85に達している。
【0032】
巻ばね77は基底的なねじれ変形が与えられており、図3における時計回り方向に調整スリーブ57を付勢している。このため、外力が及ぼされていない状態では、ショットベース3に立設されたストッパ26に規制突起65が押し当てられている。
【0033】
図9に示すように、トルクキャップ83は円筒状の外周壁84を備えており、外周壁84と頭部86とで形成される隅部分にキャップギヤ87が設けられている。また、頭部86の中央部分は凹陥してナット座88となっており、その中心部には小判状の嵌合穴89が設けられている。さらに、外周壁84からは球送り駆動腕91が延出されており、その先端には球送り駆動ローラ92が取り付けられている。
【0034】
図10に示すように、インナキャップ71は円筒状であり、先端部に強弱調整ギヤ73が設けられている。強弱調整ギヤ73の内側にはリング状の内フランジ部74が設けられており、内フランジ部74に上述のばね保持穴72が設けられている。また、強弱調整ギヤ73とは反対側の端部においては、外側に張り出した外フランジ部75が設けられている。
【0035】
インナキャップ71の胴部76の外径は、トルクキャップ83の外周壁84の内径をわずかに下回り(クリアランスがあり)、図5に良好に示されるようにトルクキャップ83にはめ込まれている。そして、キャップギヤ87と強弱調整ギヤ73とが歯合している。
【0036】
トルクキャップ83は、インナキャップ71を収容した状態で、嵌合穴89に駆動軸30の端部30bを嵌合させて、その両側に配されたナット37にて締め付けられて駆動軸30に連結されている。このため、トルクキャップ83は駆動軸30と共回りする。
【0037】
また、キャップギヤ87と強弱調整ギヤ73とが歯合しているために、インナキャップ71も駆動軸30と共回りする。
巻ばね77は、予め基底的なねじれ変形が与えられているだけでなく、調整スリーブ57とインナキャップ71との間で圧縮状態にされており、調整スリーブ57をショットベース3に向けて押圧している。
【0038】
インナキャップ71の外フランジ部75を巻ばね77の反発力に抗してショットベース3側に押してキャップギヤ87と強弱調整ギヤ73との歯合を解除すれば、インナキャップ71をトルクキャップ83及び駆動軸30に対して回転させることができる。この回転は巻ばね77の端部77bの移動を伴うので、インナキャップ71を回転させることで巻ばね77の基底的なねじれ変形量を調整できる。
【0039】
図9に示すようにトルクキャップ83の外周壁84には18°ピッチ(但し、基準位置を除く)で微少な突起90aが、また図10に示すようにインナキャップ71の外フランジ部75には2ヶ所の突起90bが18°の間隔で設けられているので、基準位置(突起無し)及び突起90aと突起90aとの相対位置を上記のねじれ変形量の調整の目安にできる。
【0040】
この巻ばね77の基底的なねじれ変形量の調整は、上述したとおりばね掛溝61の選択によっても可能であるが、ばね掛溝61の1ピッチが15°、キャップギヤ87及び強弱調整ギヤ73の1ピッチが9°であることから、インナキャップ71の回転による調整の方が調整単位が小さい(より微妙な調整が可能)。また、ばね掛溝61による調整では端部77aの係合を一旦解除して移動させる必要があるが、インナキャップ71の回転による調整ではそのような操作は必要としない。このように構成されているので、大まかな調整はばね掛溝61にて行い、その後の微調整をインナキャップ71で行うとよい。
【0041】
なお、本実施例ではキャップギヤ87及び強弱調整ギヤ73の1ピッチを9°に設定しているが、もっと小さなピッチにすればより微妙な調整が可能であり、例えばセレーション合わせにすれば更に微妙な調整が可能になる。
【0042】
また、インナキャップ71は基本的に出荷前の調整用であり、出荷後(特に弾球遊技機が遊技店に設置された後)に使用することを想定していない。このため、トルクキャップ83の1部品と見えるようにして、目立つのを避けている。
【0043】
図1、図3等に良好に示されるように、調整スリーブ57及びトルクキャップ83の上方には球送りカム48が配されている。
球送りカム48は上から見るとL字状で、基部はスリーブ49を介して、座付きビス11にてショットベース3に連結されており、座付きビス11を軸として回動自在である。一方、半割円柱状の駆動腕部51の先端はショットベース3上に突出している。このため、球送りカム48は駆動腕部51がショットベース3に接する位置よりも下降変位できない。また、L字のコーナー部分の下側は当接部52とされて、球送り駆動ローラ92に載った状態になっている。
【0044】
このため、打球杵33が後退変位される際に、駆動軸30と共にトルクキャップ83が回ると(図1、図3において時計回り)、球送り駆動ローラ92が球送りカム48を上昇変位させる。また、打球杵33が後退変位から解放されて前進変位する際にはトルクキャップ83が上記と逆に回り、球送り駆動ローラ92による押し上げ力が解除されるので球送りカム48は下降変位する。つまり、球送りカム48は打球杵33の後退に伴って上昇し打球杵33の前進に伴って下降する。
【0045】
球送りカム48は、この昇降に伴って駆動腕部51によって図示しない発射球供給装置(例えば特開平10−201901号公報や特開平10−314381号公報に開示される打球供給装置、これと類似の装置)を駆動し、打球杵33の1往復毎に1個の遊技球を発射レール(図示しない)上に供給させる。
【0046】
図1、図3に良好に示されるように、調整リング58の飛び調整ギヤ63と歯合するはす歯のハンドル連結ギヤ69aを備えた連結部材69がショットベース3に取り付けられている。
【0047】
図11に示すように、連結部材69の中心部には発射ハンドルの操作軸(図示せず)が嵌合されるハンドル連結孔68aを有する連結筒68が備わっており、裏側にはハンドル連結孔68aと同軸の軸受孔70aを有する筒部70が備わっている。
【0048】
図3、図6に良好に示されるように、連結部材69は軸受孔70aを貫通した座付きビス11によりショットベース3に取り付けられており、座付きビス11を中心にして回動自在である。但し、図3に良好に示されるように、ハンドル連結ギヤ69aが、ショットベース3に立設されたストッパ94、95に当接する設定であるので、連結部材69(ハンドル連結ギヤ69a)の回動範囲はストッパ94、95によって制限されている。従って、ハンドル連結ギヤ69aの回動に追従する飛び調整ギヤ63(調整リング58)の回動範囲も自ずと制限される。
【0049】
また、連結筒68にはハンドルばね96が外嵌している。ハンドルばね96の一方の端部96aはハンドル連結ギヤ69aの側面に当接し、他方の端部96bはストッパ95に当接してねじれ状態にされており、連結部材69(ハンドル連結ギヤ69a)を図3における時計回り方向に付勢している。
【0050】
遊技者が発射ハンドルを時計回り方向に回動操作すると連結部材69が同方向に回り、ハンドル連結ギヤ69aに歯合している飛び調整ギヤ63(調整リング58)が図1、図3における反時計回り方向に回るので、巻ばね77のねじれ変形量が増加して発射力が強まる。また、遊技者が発射ハンドルを戻せば発射力が弱まる。
【0051】
以上のような構成になる発射装置1では、ステッピングモータを稼働させて駆動カムを回動させると、駆動カムがアームローラ41に当接してこれを押圧して打球杵33を後退側(図4における反時計回り方向)に揺動変位させる。それに伴って駆動軸30が回転し、駆動軸30に連結されているトルクキャップ83等も共回りする。
【0052】
駆動軸30の回転は、トルクキャップ83を介して巻ばね77のねじれ変形を増加させる。本実施例の場合、このねじれ変形の増加は巻ばね77の径を拡大する変形となる。
さらに駆動カムが回動すると駆動カムがアームローラ41から離脱して押圧力を解除するので、打球杵33は前進側に復帰可能となり、駆動軸30及びこれに連結されている各部が、巻ばね77の反発力によって上記とは逆方向に戻り回転させられる。この戻り回転に伴う打球杵33の前進揺動により、図示しない発射レール上の遊技球を打撃(発射)することになる。
【0053】
また、打球杵33の後退、前進に伴って球送りカム48が昇降するので、図示しない発射球供給装置によって1個の遊技球が発射レール上に供給され、次回の打球杵33の後退、前進により打撃されることになる。
【0054】
打球杵33の前進揺動に伴って巻ばね77のねじれ変形量が減少し(巻ばね77の径が縮小し)、遊技球を打撃した打球杵33が杵受ゴム12によって静止させられたときには、巻ばね77がスリーブ59を巻き締める状態になる。すなわち、打球杵33が遊技球を打撃して静止した際には巻ばね77がスリーブ59を締め付けることで、自身がスリーブ59に拘束されてしまい、振動できなくなる。
【0055】
従って、遊技球の発射後に巻ばね77が振動し続けることはなく、この振動に起因する様々な不都合を回避できる。具体的には、この振動が発射レール、ガイドレール、遊技盤、発射ハンドル等に伝達されて、球飛びにばらつきを生じさせるのを防止でき、ショットベース3に取り付けられている基板やモータの電子部品や機械要素等に疲労が発生するのも防止でき、振動が発射ハンドルから遊技者の手へと伝わって操作不良や不快感を生じさせることもなくなる。
【0056】
スリーブ59が円筒状(外周はテーパ面)で、上述したとおり巻ばね77が嵌め付けられているので、スリーブ59の全長にわたって巻ばね77を拘束でき、振動抑止効果がきわめて良好になる。
【0057】
スリーブ59は、調整リング58と一体化されて調整スリーブ57を構成しているので、スリーブ59を設けたことで部品点数が増加するのを回避でき、組み立て工程も複雑化しない。また、スリーブ59の外周がテーパ面であるから、巻ばね77をスリーブ59に外嵌する作業を行い易い。
【0058】
なお、上記のように発射装置1が稼働しているときに遊技者が発射ハンドルを回動操作して、連結部材69を図3における時計回り方向に回動させると、調整リング58が反時計回りに回動されるので、打球杵33の後退変位に伴う巻ばね77のねじれ変形すなわち打球杵33の打撃力が強められる。遊技者が発射ハンドルの回動量を減少させる側に操作すれば(発射ハンドルを戻せば)、上述のようにして強められた巻ばね77の反発力を減少させることができる。すなわち、打球杵33の打撃力は、打球杵33の揺動変位に伴う駆動軸30の回転による変形量と遊技者の操作による調整リング58の回動による変形量とに応じたものとなる。この発射ハンドルの操作に伴う力は、ハンドル連結ギヤ69aと飛び調整ギヤ63とによって伝達されるが、両ギヤともはす歯であるので、噛み合わせ位置が変化する際にも相互接触が維持される。このため、発射ハンドルの操作時にごつごつした感覚が発生しない。つまり、上述の振動による不快感の防止だけでなく、ごつごつ感も無くなるので、発射ハンドルの操作感が良好になる。
[その他]
実施例では、振動抑止手段として円筒状のスリーブ59を使用したが、例えば円筒に適宜間隔でスリットを設けたもの或いはスリットの幅を大きくして何本かの腕で巻ばね77に接触するもの等を用いることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】実施例の遊技球発射装置の正面側斜視図。
【図2】実施例の遊技球発射装置の背面側斜視図。
【図3】実施例の遊技球発射装置の正面図。
【図4】実施例の遊技球発射装置の背面図。
【図5】実施例の遊技球発射装置の一部破断側面図。
【図6】実施例の遊技球発射装置の平面図。
【図7】実施例の遊技球発射装置の分解斜視図。
【図8】実施例の遊技球発射装置の調整スリーブの詳細図。
【図9】実施例の遊技球発射装置のトルクキャップの詳細図。
【図10】実施例の遊技球発射装置のインナキャップの詳細図。
【図11】実施例の遊技球発射装置の連結部材の詳細図。
【符号の説明】
【0060】
1・・・遊技球発射装置、
3・・・ショットベース(ベース板)、
5・・・軸受筒、
17・・・ボールベアリング(軸受)、
30・・・駆動軸、
33・・・打球杵、
57・・・調整スリーブ(振動抑止手段)、
58・・・調整リング(調整部材)、
59・・・スリーブ(振動抑止手段)、
69・・・連結部材、
71・・・インナキャップ、
77・・・巻ばね、
83・・・トルクキャップ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース板と、
該ベース板に一体化された軸受筒と、
該軸受筒内に保持される軸受と、
該軸受により回転自在に保持される駆動軸と、
該駆動軸に連結され該駆動軸を軸として前進及び後退揺動する打球杵と、
前記軸受筒を取り巻く姿勢で配され、該打球杵の後退揺動に伴ってねじれ変形量を増加して前記打球杵を前進方向に付勢する巻ばねと、
該巻ばねの付勢力に抗して前記打球杵を後退変位させてから解放する後退駆動機構とを備える遊技球発射装置において、
前記打球杵が前記後退駆動機構から解放されて前進端にあるときに前記巻ばねの中間部に接触して該巻ばねの振動を抑止する振動抑止手段を設けた
ことを特徴とする遊技球発射装置。
【請求項2】
請求項1記載の遊技球発射装置において、
前記振動抑止手段は、円筒又は円錐の側面に相当する曲面に沿って配置された接触部にて前記巻ばねに接触して振動を抑止する
ことを特徴とする遊技球発射装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の遊技球発射装置において、
前記振動抑止手段は、筒体であることを特徴とする遊技球発射装置。
【請求項4】
請求項2又は3記載の遊技球発射装置において、
前記振動抑止手段は、前記巻ばねに内接して振動を抑止する構成であり、その外面はテーパ面である
ことを特徴とする遊技球発射装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の遊技球発射装置において、
前記振動抑止手段は、前記巻ばねの一方の端部を保持して、遊技者による操作に従って変位することで前記巻ばねのねじれ変形量を調節する調整部材と一体である
ことを特徴とする遊技球発射装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−42890(P2006−42890A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−224366(P2004−224366)
【出願日】平成16年7月30日(2004.7.30)
【出願人】(591071610)株式会社福島製作所 (2)
【Fターム(参考)】