説明

遊技用的

【課題】衝突物の跳ね返りを抑制でき、検出部設定の自由度が高く、衝撃検出感度が高い遊技用的を提供することを課題とする。
【解決手段】遊技用的1は、衝突物90が衝突する的面40と、的面40の裏側に配置され、衝突により弾性的に変形しエラストマーまたは伸縮性を有する布を含むセンサ膜20と、センサ膜20の少なくとも一部を介して配置される複数の電極01X〜16X、01Y〜16Yと、複数の電極01X〜16X、01Y〜16Yの配置に応じて設定される複数の検出部A0101〜A1616とを有し、検出部A0101〜A1616に対応する電気量を電極から出力するセンサ2と、的面40とセンサ2との間に介装され、衝突の衝撃を緩和し、センサ膜20が変形している変形時間を確保する高減衰層5と、を備える。変形時間は、全ての検出部A0101〜A1616に対応する電気量を出力するのに必要なセンシング時間以上であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばBB弾や矢やボールなどの衝突物が衝突する遊技用的に関する。
【背景技術】
【0002】
射的ゲームにおいては、紙製の的が使用されている。射的ゲームを行う場合、遊技者は、まず、自身の手元において、ハンガーに的を吊り下げる。次いで、手元から射的距離まで、ハンガーを移動させる。それから、遊技銃からBB弾を発砲する。そして、射的距離から手元まで、ハンガーを移動させる。最後に、的(BB弾の貫通跡)を視認することにより、得点を確認する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実登3063312号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
紙製の的を使用する場合は、射的距離が遠いこととBB弾の貫通跡が小さいこととが相俟って、的を逐一手元に引き寄せなければ、得点の確認ができない。したがって、得点の確認が煩雑である。また、ゲームのスピード感が損なわれる。
【0005】
この点、的を、硬質の板とセンサとからなる二層構造にすると、センサにより、得点の確認を行うことができる。このため、得点の確認が簡単である。また、ゲームのスピード感が損なわれにくい。
【0006】
しかしながら、硬質の板により、発射されたBB弾が、的に当たって跳ね返るおそれがある。この場合、BB弾が散乱してしまう。このため、ゲーム後のBB弾の回収が煩雑になる。
【0007】
この点、特許文献1には、スクリーンと、クッション体と、鋼板と、センサと、を有する遊技用的が開示されている。同文献記載の遊技用的は、バッティングゲーム用である。同文献記載の遊技用的によると、ボールが衝突するスクリーンの裏側に、弾性素材からなるクッション体が配置されている(特許文献1の[図3]参照)。このため、ボールの跳ね返りを緩和することができる。
【0008】
ところが、同文献記載の遊技用的によると、センサが鋼板の裏側に配置されている。このため、鋼板一面分の衝撃が、集約されてセンサに入力される。したがって、鋼板一枚に対して、一点しか検出部を設定することができない。このように、同文献記載の遊技用的によると、鋼板の枚数により、検出部の数が制限されてしまう。
【0009】
また、ボールからの衝撃が小さい場合は、クッション体が変形しても、鋼板が変形しない。この場合、センサは、衝撃を検出することができない。このように、同文献記載の遊技用的によると、鋼板が配置されている分、衝撃検出感度が低くなる。
【0010】
本発明の遊技用的は、上記課題に鑑みて完成されたものである。本発明は、衝突物の跳ね返りを抑制でき、検出部設定の自由度が高く、衝撃検出感度が高い遊技用的を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(1)上記課題を解決するため、本発明の遊技用的は、衝突物が衝突する的面と、該的面の裏側に配置され、衝突により弾性的に変形すると共にエラストマーまたは伸縮性を有する布を含むセンサ膜と、該センサ膜の少なくとも一部を介して配置される複数の電極と、複数の該電極の配置に対応して設定される複数の検出部と、を有し、該検出部に対応する電気量を該電極から出力するセンサと、該的面と該センサとの間に介装され、該衝突の衝撃を緩和すると共に、該センサ膜が変形している変形時間を確保する高減衰層と、を備えてなり、該変形時間は、全ての該検出部に対応する電気量を出力するのに必要なセンシング時間以上であることを特徴とする(請求項1に対応)。ここで、「遊技用」には、アミューズメント用は勿論、スポーツ用も含まれる。
【0012】
本発明の遊技用的は、低反発の高減衰層を備えている。このため、衝突物が衝突する際の衝撃を緩和することができる。また、衝突物の跳ね返りを抑制することができる。また、衝撃からセンサ、衝突物を保護することができる。
【0013】
また、本発明の遊技用的の場合、センサ膜が変形することにより、電極から電気量(例えば、電圧、静電容量、電気抵抗、電流など)が出力される。この電気量から、衝撃が検出される。このため、電極の数、配置を変えることにより、自在に検出部を設定することができる。したがって、検出部設定の自由度が高い。また、本発明の遊技用的によると、的面とセンサ膜との間に、鋼板のような硬質物が介在していない。このため、衝撃検出感度が高い。
【0014】
また、本発明の遊技用的によると、センサから出力される電気量を介して、リアルタイムで衝突物の衝突を検出することができる。このため、遊技のスピード感が損なわれにくい。
【0015】
また、複数の検出部を有する場合、全ての検出部に対応する電気量を出力するためには、一定のセンシング時間が必要である。衝突によりセンサ膜が変形している変形時間が、当該センシング時間よりも短い場合、変形部位に対応する検出部に対応する電気量が出力される前に、センサ膜の変形が復元することも考えられる。
【0016】
例えば、四つの検出部A〜Dに対して、検出部A→B→C→Dの順に走査的に電気量が出力される場合であって、検出部A→B→Cと電気量が出力された時点でセンサ膜の変形時間が終了してしまった場合を想定する。この場合、たとえ検出部D付近のセンサ膜が変形していても、検出部Dに対応する電気量が出力される頃には、センサ膜の変形は復元している。このため、センサ膜の変形を検出することができない。
【0017】
この点、本発明の遊技用的によると、センサの表側(衝撃入力側)に、高減衰層が配置されている。このため、高減衰層の代わりに硬質物が配置されている場合や、センサの表面に的面が配置されている場合と比較して、衝突時間つまりセンサ膜の変形時間を長くすることができる。したがって、衝突物が高速の場合であっても、センシング時間以上の変形時間を確保することができる。
【0018】
(2)好ましくは、上記(1)の構成において、前記センサ膜は、前記エラストマーまたは伸縮性を有する前記布製であり、複数の前記電極は、該センサ膜の表裏方向両側に配置され、前記検出部は、表側の該電極と裏側の該電極とが表裏方向から見て交差することにより形成される構成とする方がよい(請求項2に対応)。
【0019】
つまり、本構成は、遊技用的に、静電容量型のセンサを組み込むものである。一般に、一対の電極間に誘電膜が介装されてなる静電容量型センサの静電容量(キャパシタンス)は、次式(1)により求めることができる。
C=εεS/d・・・(1)
(C:静電容量、ε:真空中の誘電率、ε:誘電膜の比誘電率、S:電極面積、d:電極間距離)
例えば、衝突の衝撃によりセンサ膜(誘電膜)が表裏方向に圧縮されると、上記式(1)より、センサ膜の厚さ、すなわち電極間距離dが小さくなる。このため、電極間の静電容量Cは大きくなる。本構成によると、当該静電容量の増加から、衝突を検出することができる。
【0020】
(3)好ましくは、上記(1)または(2)の構成において、前記高減衰層の層厚は、10mm以上40mm以下である構成とする方がよい(請求項3に対応)。高減衰層の層厚を10mm以上にしたのは、10mm未満の場合、衝突物の速度の減衰量が小さくなるからである。すなわち、所望の衝突時間つまりセンサ膜の変形時間を確保しにくいからである。また、高減衰層の層厚を40mm以下にしたのは、40mm超過の場合、衝突物の速度の減衰量が大きくなるからである。すなわち、衝突物の衝突位置を検出しにくくなるからである。また、衝撃がセンサ膜に伝わりにくいからである。つまり、センサの衝撃検出感度が低くなるからである。
【0021】
(4)好ましくは、上記(1)ないし(3)のいずれかの構成において、前記高減衰層は、オイル成分が配合された熱可塑性エラストマー製である構成とする方がよい(請求項4に対応)。
【0022】
本構成によると、衝突物の跳ね返りを抑制することができる。また、衝撃からセンサ、衝突物を保護することができる。また、衝突物が高速の場合であっても、センシング時間以上の変形時間を確保することができる。
【0023】
(5)好ましくは、上記(1)ないし(4)のいずれかの構成において、前記衝突物が前記的面に到達する際の速度は、80m/s以上100m/s以下である構成とする方がよい(請求項5に対応)。
【0024】
衝突物の速度を80m/s以上にしたのは、80m/s未満の場合、過度に変形時間が長くなるからである。衝突物の速度を100m/s以下にしたのは、100m/s超過の場合、過度に変形時間が短くなるからである。つまり、過度にセンシング時間を短くする必要があるからである。
【0025】
(6)好ましくは、上記(1)の構成において、前記センサ膜は、導電性フィラーを含み、該センサ膜の面方向に延在すると共に、互いに交差する座標系をX方向およびY方向として、複数の前記電極は、該X方向に対向して少なくとも一対、該Y方向に対向して少なくとも一対、各々配置され、前記検出部は、該X方向に対向する一対の該電極同士を結ぶX方向検出線と、該Y方向に対向する一対の該電極同士を結ぶY方向検出線と、が表裏方向から見て交差することにより形成される構成とする方がよい。
【0026】
つまり、本構成は、遊技用的に、抵抗変化型(抵抗増加型、抵抗減少型)のセンサを組み込むものである。衝突の衝撃によりセンサ膜が変形すると、導電性フィラーの連鎖状態が変化する。このため、X方向あるいはY方向に対向する一対の電極間の電気抵抗が変化する。本構成によると、当該電気抵抗の変化から、衝突を検出することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によると、衝突物の跳ね返りを抑制でき、検出部設定の自由度が高く、衝撃検出感度が高い遊技用的を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】第一実施形態の遊技用的の前面図である。
【図2】同遊技用的の透過前面図である。
【図3】図1、図2のIII−III方向断面図である。
【図4】第二実施形態の遊技用的のセンサの前面図である。
【図5】(a)は、円形の的面を有する遊技用的のセンサの表側電極の配置図である。(b)は、同センサの裏側電極の配置図である。
【図6】シミュレーション結果示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の遊技用的の実施の形態について説明する。
【0030】
<第一実施形態>
[遊技用的の構成]
まず、本実施形態の遊技用的の構成について説明する。図1に、本実施形態の遊技用的の前面図を示す。図2に、同遊技用的の透過前面図を示す。図3に、図1、図2のIII−III方向断面図を示す。なお、図1、図2においては、裏側電極、裏側配線を細線で示す。また、検出部にハッチングを施して示す。また、図3においては、遊技用的の前後方向厚さを強調して示す。図1〜図3に示すように、本実施形態の遊技用的1は、センサ2と、演算部3と、表層4と、高減衰層5と、を備えている。
【0031】
(表層4)
本実施形態における「前側」は、本発明の「表側」に対応する。本実施形態における「後側」は、本発明の「裏側」に対応する。表層4は、エラストマー製であって、シート状を呈している。表層4の前面には、同心多重正方形状の的面40が印刷されている。的面40には、得点が斜字で表示されている(図1の斜字1〜8)。得点は、的中心が一番高く(8点)、的中心から離間するのに従って低くなるように、設定されている。遊技者は、所定の射的距離だけ離れた位置から、遊技銃(図略)で的面40を狙い撃つ。遊技銃からは、球状のBB弾90が発射される。BB弾90は、本発明の衝突物に含まれる。BB弾90が的面40に到達する際の速度は、約90m/sである。
【0032】
(高減衰層5)
高減衰層5は、表層4の後面に固定されている。高減衰層5は、シート状を呈している。高減衰層5は、スチレン系熱可塑性エラストマー((株)クラレ製「セプトン(登録商標)4077」)に、パラフィン系プロセスオイルを配合したゲルエラストマーからなる。スチレン系熱可塑性エラストマーは、本発明の熱可塑性エラストマーに含まれる。パラフィン系プロセスオイルは、本発明のオイル成分に含まれる。
【0033】
ゲルエラストマー全体の質量を100質量%とすると、スチレン系熱可塑性エラストマーの含有割合は10質量%、パラフィン系プロセスオイルの含有割合は90質量%である。ゲルエラストマーのちょう度は、62である。高減衰層5の層厚(前後方向厚さ)は、20mmである。なお、ちょう度は、JIS K2220に規定されている固形ちょう度試験に準じて測定された値である(1/4円錐使用)。ちょう度は、円錐の進入深さ(mm)を10倍した値で示される。
【0034】
(センサ2)
センサ2は、高減衰層5の後面に固定されている。また、センサ2つまり遊技用的1は、壁91の前面に固定されている。センサ2は、誘電層20と、表側電極01X〜16Xと、裏側電極01Y〜16Yと、検出部A0101〜A1616と、表側配線01x〜16xと、裏側配線01y〜16yと、表側絶縁被覆層21と、裏側絶縁被覆層22と、表側配線用コネクタ23と、裏側配線用コネクタ24と、を備えている。
【0035】
誘電層20は、本発明のセンサ膜に含まれる。表側電極01X〜16X、裏側電極01Y〜16Yは、本発明の電極に含まれる。検出部の符号「A○○△△」中、上二桁の「○○」は、表側電極01X〜16Xに対応している。下二桁の「△△」は、裏側電極01Y〜16Yに対応している。
【0036】
誘電層20は、ウレタンフォーム製であって、シート状を呈している。誘電層20の層厚(前後方向厚さ)は、3mmである。
【0037】
表側電極01X〜16Xは、誘電層20の前面に、合計16本配置されている。表側電極01X〜16Xは、各々、アクリルゴムと、導電性カーボンブラックと、を含んで形成されている。表側電極01X〜16Xは、各々、帯状を呈している。表側電極01X〜16Xは、各々、左右方向に延在している。表側電極01X〜16Xは、上下方向に、所定間隔ごとに離間して、互いに略平行になるように、配置されている。表側電極01X〜16Xの左端には、各々、表側接続部01X1〜16X1が配置されている。
【0038】
表側配線01x〜16xは、誘電層20の前面に、合計16本配置されている。表側配線01x〜16xは、各々、アクリルゴムと、銀粉と、を含んで形成されている。表側配線01x〜16xは、各々、線状を呈している。表側配線用コネクタ23は、誘電層20の左下隅に配置されている。表側配線01x〜16xは、各々、表側接続部01X1〜16X1と、表側配線用コネクタ23と、を接続している。
【0039】
表側絶縁被覆層21は、誘電層20の前方に配置されている。表側絶縁被覆層21は、アクリルゴムを含んで形成されている。表側絶縁被覆層21は、シート状を呈している。表側絶縁被覆層21は、誘電層20、表側電極01X〜16X、表側配線01x〜16xを、前方から覆っている。
【0040】
裏側電極01Y〜16Yは、誘電層20の後面に、合計16本配置されている。裏側電極01Y〜16Yは、各々、アクリルゴムと、導電性カーボンブラックと、を含んで形成されている。裏側電極01Y〜16Yは、各々、帯状を呈している。裏側電極01Y〜16Yは、各々、上下方向に延在している。裏側電極01Y〜16Yは、左右方向に、所定間隔ごとに離間して、互いに略平行になるように、配置されている。裏側電極01Y〜16Yの上端には、各々、裏側接続部01Y1〜16Y1が配置されている。
【0041】
裏側配線01y〜16yは、誘電層20の後面に、合計16本配置されている。裏側配線01y〜16yは、各々、アクリルゴムと、銀粉と、を含んで形成されている。裏側配線01y〜16yは、各々、線状を呈している。裏側配線用コネクタ24は、誘電層20の左上隅に配置されている。裏側配線01y〜16yは、各々、裏側接続部01Y1〜16Y1と、裏側配線用コネクタ24と、を接続している。
【0042】
裏側絶縁被覆層22は、誘電層20の後方に配置されている。裏側絶縁被覆層22は、アクリルゴムを含んで形成されている。裏側絶縁被覆層22は、シート状を呈している。裏側絶縁被覆層22は、誘電層20、裏側電極01Y〜16Y、裏側配線01y〜16yを、後方から覆っている。
【0043】
検出部A0101〜A1616は、図2にハッチングで示すように、表側電極01X〜16Xと、裏側電極01Y〜16Yと、が前後方向に交差する部分(重複する部分)に配置されている。検出部A0101〜A1616は、合計256個(=16個×16個)配置されている。検出部A0101〜A1616は、センサ2の略全面に亘って、略等間隔に配置されている。検出部A0101〜A1616は、各々、表側電極01X〜16Xの一部と、裏側電極01Y〜16Yの一部と、誘電層20の一部と、を備えている。前方から見て、的面40は、検出部A0101〜A1616の配置領域に一致して、配置されている。
【0044】
(演算部3)
演算部3は、電源回路30と、CPU(Central Processing Unit)31と、RAM(Random Access Memory)32と、ROM(Read Only Memory)33と、ディスプレイ34と、を備えている。演算部3は、表側配線用コネクタ23、裏側配線用コネクタ24に、電気的に接続されている。
【0045】
電源回路30は、検出部A0101〜A1616に、順番に走査的に電圧を印加する。ROM33には、予め、検出部A0101〜A1616の座標(上下左右方向の座標)と、得点(図1の斜字1〜8)と、が関連付けられた状態で格納されている。RAM32には、表側配線用コネクタ23、裏側配線用コネクタ24から入力される電気量(例えば電気抵抗)が、一時的に格納される。CPU31は、RAM32に格納された電気量を基に、検出部A0101〜A1616のうち、どこに荷重が入力されたのか(どこにBB弾90が当たったのか)を特定する。そして、BB弾90の着弾座標と、その得点とを、ディスプレイ34に表示する。
【0046】
[射的ゲームを行う際の遊技用的の動き]
次に、射的ゲームを行う際の遊技用的1の動きについて説明する。図1に示すように、遊技者が発射したBB弾90が的面40(図1に示す得点1の領域、図2に示す検出部A0816)に衝突すると、図3に示すように、衝撃により表層4および高減衰層5が後方に陥没する。この際、BB弾90の運動エネルギが、高減衰層5の変形エネルギや熱エネルギや音エネルギなどに変換される。このため、衝突の衝撃が緩和される。緩和された衝撃により、誘電層20は前後方向に圧縮される。前出の式(1)に示すように、誘電層20が圧縮されると、検出部A0816において、表側電極08Xと裏側電極16Yとの間の電極間距離が小さくなる。
【0047】
一方、演算部3は、あたかも走査するように、表側電極01X〜16Xと、裏側電極01Y〜16Yと、に順番に電圧を印加している。すなわち、表側電極01X〜16Xと、裏側電極01Y〜16Yと、の交差部分である、全256個の検出部A0101〜A1616に、順番に電圧を印加している。
【0048】
ここで、検出部A0816における電極間距離が小さくなっても、言い換えると誘電層20における検出部A0816配置部分が圧縮変形していても、変形時間内に検出部A0816に電圧が印加されなければ、演算部3はBB弾90の衝突を検出することができない。すなわち、変形時間が、全256個の検出部A0101〜A1616に電圧が印加されるセンシング時間以上でなければ、演算部3はBB弾90の衝突を検出することができない。この点、BB弾90は、表層4および高減衰層5に比較的長い時間めり込んだ後、言い換えると自身の運動エネルギを充分消費した後、表層4の真下付近に落下する。このため、充分な変形時間を確保することができる。したがって、演算部3は、BB弾90の衝突を検出することができる。
【0049】
演算部3は、BB弾90の着弾と同時に、その着弾座標(検出部A0816)を特定する。続いて、演算部3は、ROM33を参照して、検出部A0816に対応する得点(1点)を取得する。それから、演算部3は、ディスプレイ34に、BB弾90の着弾座標と、その得点と、を表示する。
【0050】
なお、着弾座標と得点とはRAM32に一時的に格納される。このため、遊技者が連続して発砲する場合は、ディスプレイ34の着弾座標の数が、回を追うごとに増えていく。また、得点が、回を追うごとに増えていく。
【0051】
また、BB弾90の着弾位置が任意の複数の検出部A0101〜A1616の中間である場合は、複数の検出部A0101〜A1616が着弾を検出することになる。この場合、演算部3は、以下のようにして得点を判断する。複数の検出部A0101〜A1616が、同じ得点領域に配置されている場合は、当該得点を着弾による得点であると判断する。複数の検出部A0101〜A1616が、異なる得点領域に配置されている場合は、各検出部A0101〜A1616の電気量の大きさ(つまり誘電層20の圧縮変形量の大きさ)を比較し、電気量が最大の検出部A0101〜A1616の得点を、着弾による得点であると判断する。
【0052】
[作用効果]
次に、本実施形態の遊技用的1の作用効果について説明する。本実施形態の遊技用的1は、高減衰層5を備えている。このため、BB弾90が衝突する際の衝撃を緩和することができる。したがって、図3に示すように、BB弾90の跳ね返りを抑制することができる。また、衝撃からセンサ2、BB弾90を保護することができる。
【0053】
また、本実施形態の遊技用的1の場合、誘電層20が圧縮されることにより、表側電極01X〜16X、裏側電極01Y〜16Yから、電気量が出力される。この電気量から、衝撃が検出される。このため、図2に示すように、表側電極01X〜16X、裏側電極01Y〜16Yの数、配置(例えば、電極の延在方向、隣り合う電極間の間隔など)を変えることにより、自在に検出部A0101〜A1616を設定することができる。したがって、検出部設定の自由度が高い。また、本実施形態の遊技用的1によると、図3に示すように、的面40と誘電層20との間に、鋼板のような硬質物が介在していない。このため、衝撃検出感度が高い。
【0054】
また、本実施形態の遊技用的1によると、図3に示すように、センサ2の前側(衝撃入力側)に、高減衰層5が配置されている。このため、高減衰層5の代わりに硬質物が配置されている場合や、センサ2の前面に的面40が配置されている場合と比較して、衝突時間つまり誘電層20の変形時間を長くすることができる。したがって、BB弾90が高速であるにもかかわらず、センシング時間以上の変形時間を確保することができる。
【0055】
また、本実施形態の遊技用的1によると、静電容量型のセンサ2が使用されている。このため、静電容量の増加を基に、衝突を検出することができる。また、表側電極01X〜16Xは、誘電層20の前面に印刷されている。並びに、裏側電極01Y〜16Yは、誘電層20の後面に印刷されている。このため、BB弾90が当たった衝撃により、検出部A0101〜A1616がずれにくい。したがって、本実施形態の遊技用的1は、耐衝撃性が高い。また、繰り返し使用しても、着弾座標の判別性能が低下しにくい。
【0056】
また、本実施形態の遊技用的1によると、高減衰層5の層厚は、20mmである。すなわち、10mm以上40mm以下の範囲に入っている。このため、BB弾90の速度の減衰量が適切である。したがって、所望の誘電層20の変形時間を確保することができる。また、BB弾90の着弾座標を、精度よく検出することができる。また、センサ2がBB弾90の着弾を検出できる程度に、衝撃を誘電層20に伝えることができる。
【0057】
また、本実施形態の遊技用的1によると、高減衰層5は、スチレン系熱可塑性エラストマー((株)クラレ製「セプトン(登録商標)4077」)に、パラフィン系プロセスオイルを配合したゲルエラストマー製である。このため、BB弾が高速であるにもかかわらず、BB弾の跳ね返りを抑制することができる。また、衝撃からセンサ2、BB弾90を保護することができる。
【0058】
また、本実施形態の遊技用的1によると、センサ2から出力される電気量を介して、リアルタイムでBB弾90の着弾座標および得点を確認することができる。このため、ゲームのスピード感が損なわれにくい。
【0059】
また、BB弾90が的面40に到達する際の速度は、約90m/sである。すなわち、80m/s以上100m/s以下の範囲に入っている。このため、誘電層20が、所望の変形時間を確保しやすい。
【0060】
また、本実施形態の遊技用的1の表側電極01X〜16X、裏側電極01Y〜16Y、表側配線01x〜16x、裏側配線01y〜16yは、エラストマーを含んでいる。このため、伸縮性が高い。したがって、誘電層20の変形を規制しにくい。
【0061】
<第二実施形態>
本実施形態の遊技用的と第一実施形態の遊技用的との相違点は、静電容量型のセンサの代わりに抵抗増加型のセンサが用いられている点である。ここでは、主に相違点について説明する。
【0062】
図4に、本実施形態の遊技用的のセンサの前面図を示す。なお、図2と対応する部位については同じ符号で示す。また、配線を省略して示す。また、表層の的面40を実線で示す。図4に示すように、センサ6は、センサ膜60と、基層61と、コネクタ62と、左側電極01XL〜16XLと、右側電極01XR〜16XRと、上側電極01YU〜16YUと、下側電極01YD〜16YDと、検出部A0101〜A1616と、を備えている。
【0063】
基層61は、エラストマー製であって、シート状を呈している。基層61は、弾性変形可能である。センサ膜60は、基層61の前面に配置されている。センサ膜60は、導電性フィラーが配合されたエチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体(EPDM)製であって、シート状を呈している。センサ膜60における導電性フィラーの含有割合は、センサ膜60の体積を100vol%とした場合の約45vol%である。BB弾90が衝突していない状態(無荷重状態)において、センサ膜60は、高い導電性を有する。一方、荷重が加わりセンサ膜60が変形すると、導電性フィラー同士の接触状態が変化する。これにより、三次元的な導電パスが崩壊し、センサ膜60の電気抵抗は増加する。つまり、センサ膜60の電気抵抗は、弾性変形量が増加するのに従って増加する。コネクタ62は、正方形板状を呈している。コネクタ62は、基層61の上面の左下隅に配置されている。
【0064】
左側電極01XL〜16XLは、センサ膜60の左辺に、所定間隔ずつ離間して並んでいる。右側電極01XR〜16XRは、センサ膜60の右辺に、所定間隔ずつ離間して並んでいる。左側電極01XL〜16XLと右側電極01XR〜16XRとは、図4に一点鎖線で示すように、各々、左右方向に対向している。
【0065】
上側電極01YU〜16YUは、センサ膜60の上辺に、所定間隔ずつ離間して並んでいる。下側電極01YD〜16YDは、センサ膜60の下辺に、所定間隔ずつ離間して並んでいる。上側電極01YU〜16YUと下側電極01YD〜16YDとは、図4に一点鎖線で示すように、各々、上下方向に対向している。検出部A0101〜A1616は、これら一点鎖線の交点に設定されている。
【0066】
左側電極01XL〜16XL、右側電極01XR〜16XR、上側電極01YU〜16YU、下側電極01YD〜16YDと、コネクタ62とは、各々、配線により接続されている。
【0067】
左右方向に対向する十六個の電極対(例えば、左側電極01XLと右側電極01XR)には、走査的に電圧が印加される。同様に、上下方向に対向する十六個の電極対(例えば、上側電極01YUと下側電極01YD)には、走査的に電圧が印加される。
【0068】
検出部A0816にBB弾90が着弾すると、センサ膜60のうち検出部A0816に対応する部分が変形する。このため、左側電極08XL−右側電極08XR間の電気抵抗が増加する。並びに、上側電極16YU−下側電極16YD間の電気抵抗が増加する。したがって、左側電極08XLと右側電極08XRとを結ぶ一点鎖線と、上側電極16YUと下側電極16YDとを結ぶ一点鎖線と、の交点である検出部A0816に、BB弾90が着弾したことが検出できる。
【0069】
本実施形態の遊技用的1は、構成が共通する部分に関しては、第一実施形態の遊技用的と同様の作用効果を有する。また、本実施形態の遊技用的1によると、センサ膜60の電気抵抗の変化からBB弾90の着弾を検出することができる。
【0070】
また、本実施形態の遊技用的1の左側電極01XL〜16XL、右側電極01XR〜16XR、上側電極01YU〜16YU、下側電極01YD〜16YD、配線(図略)は、エラストマーを含んでいる。このため、伸縮性が高い。したがって、センサ膜60の変形を規制しにくい。
【0071】
<その他>
以上、本発明の遊技用的の実施の形態について説明した。しかしながら、実施の形態は上記形態に特に限定されるものではない。当業者が行いうる種々の変形的形態、改良的形態で実施することも可能である。
【0072】
的面40の形状は特に限定しない。図5(a)に、円形の的面を有する遊技用的のセンサの表側電極の配置図を示す。図5(b)に、同センサの裏側電極の配置図を示す。なお、図2と対応する部位については同じ符号で示す。また、的面40を一点鎖線で示す。
【0073】
図5(a)、図5(b)に示すように、的面40は、同心多重円形状を呈している。図5(a)に示すように、16個の表側電極B100は、半径方向に放射状に延在している。16個の表側電極B100には、各々、表側配線D100が接続されている。図5(b)に示すように、8個の裏側電極C100は、円周方向に同心多重「C」字状に延在している。8個の裏側電極C100には、各々、裏側配線E100が接続されている。前方から見て、表側電極B100と裏側電極C100との交点には、多数の検出部(図略)が同心多重円形状に配置されている。このように、的面40は円形であってもよい。
【0074】
電極、配線の配置方法は特に限定しない。好ましくは印刷法、さらに好ましくはスクリーン印刷法により配置する方がよい。その理由は、電極、配線を密に配置しやすいからである。例えば、スクリーン印刷法の場合、電極、配線の配置に対応したパターン印刷孔を有するスクリーンマスクを使用することで、簡単に、精度よく、電極、配線を配置することができる。
【0075】
また、的面40の形状と、検出部A0101〜A1616の分布と、が対応しなくてもよい。検出部A0101〜A1616のうち的面40からはみ出ているものを、得点「0」と関連付けて、ROMに格納すればよい。また、単一の検出部A0101〜A1616上に得点境界線がある場合(単一の検出部A0101〜A1616を得点境界線が分断している場合)は、得点の判別ができない。しかしながら、検出部A0101〜A1616の面積を小さくし、かつ検出部A0101〜A1616を密に配置することで、このような場合が発生する頻度を少なくすることができる。すなわち、得点判別性能を向上させることができる。
【0076】
また、上記実施形態においては、図3に示すように、的面40を表層4の前面に配置したが、高減衰層5の前面に配置してもよい。また、上記実施形態においては、本発明の衝突物としてBB弾90を用いたが、アーチェリーやボウガンなどの矢、ゴルフや野球やテニスやサッカーなどの球技に用いられるボールなどを用いてもよい。衝突物として矢を用いる場合、遊技用的1を矢が貫通しても、衝突を検出することができる。
【0077】
また、センサ2、6の後面に、保護層を配置してもよい。こうすると、センサ2、6やBB弾90を、衝突の衝撃から、さらに保護しやすくなる。
【0078】
また、第一実施形態の誘電層20、第二実施形態のセンサ膜60に用いるエラストマーの種類は、特に限定しない。誘電層20の場合、静電容量を大きくするという観点から、比誘電率が大きいエラストマーを用いることが望ましい。エラストマーとしては、例えば、シリコーンゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム、アクリルゴム、エピクロロヒドリンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、ウレタンゴム、天然ゴム、イソプレンゴム等のソリッドゴムやこれらの発泡体、およびウレタンフォーム等が好適である。また、センサ膜60の場合、導電性フィラーとの相溶性等を考慮して、シリコーンゴム、エチレン−プロピレン共重合ゴム、天然ゴム、スチレン−ブタジエン共重合ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム、アクリルゴム等が好適である。また、センサ膜60の電気抵抗は変形量が増加するのに従って増加したが、変形量が増加するのに従って電気抵抗が減少するセンサ膜を使用してもよい。また、センサ膜60の電気抵抗の挙動については、エラストマーの種類、導電性フィラーの種類および配合量等により、調整することができる。
【0079】
また、第一実施形態の誘電層20に、伸縮性を有する布を用いてもよい。布の材料としては、天然繊維、レーヨン、ポリエステル、ポリアミド、セルロース系繊維、ポリウレタン等が挙げられる。布は、織布、不織布、編物のいずれでもよい。誘電層20に布を用いる場合、衝撃が加わると、布を構成する繊維間の隙間が潰されて、布の厚さは小さくなる。このため、誘電層20の厚さが小さくなる。したがって、電極間距離が小さくなる。その結果、静電容量が大きくなり、衝突が検出される。誘電層20に布を用いると、伸縮柔軟性に優れた薄いセンサ2を、比較的低コストに作製することができる。また、布を構成する繊維間には隙間がある。このため、小さな荷重で押圧された場合でも、隙間が潰れることにより、布の厚さは変化しやすい。したがって、高い検出感度を有し、応答性に優れる。
【0080】
また、上記実施形態においては、高減衰層5を、スチレン系熱可塑性エラストマー((株)クラレ製「セプトン(登録商標)4077」)に、パラフィン系プロセスオイルを配合したゲルエラストマー製とした。ここで、オイル成分が配合された熱可塑性エラストマーとしては、全体質量を100質量%とした場合に、オイル成分が70質量%以上含有されているものが望ましい。熱可塑性エラストマーとしては、A−B−Aの三部構造を有するものが望ましい。ここで、Aは剛直性ポリマー(ポリスチレン、官能基ポリマー等)、Bはエラストマー性ポリマー(ポリブチレン、ポリエチレン、ポリ(エチレン/プロピレン)、ポリ(エチレン−エチレン/プロピレン)、水素化ポリ(イソプレン、ブタジエン、イソプレン−ブタジエン)、ポリ(エチレン/ブチレン+エチレン/プロピレン))である。なかでも、超高分子のポリスチレン−ポリ(エチレン−エチレン/プロピレン)−ポリスチレン構造をもつものが好適である。また、オイル成分としては、パラフィン性白ミネラルオイル、パラフィン、イソパラフィン、ナフテンオイル、ポリブチレン、ポリプロピレン、ポリテルペン、ポリ−β−ピネン、水素化ポリブタン、ポリブタン(ポリブタンポリマーの一端にエポキシド基を有する)等が挙げられる。また、高減衰層5として、低反発ウレタンを用いてもよい。
【0081】
また、第一実施形態の表側電極01X〜16X、裏側電極01Y〜16Y、表側配線01x〜16x、裏側配線01y〜16y、第二実施形態の左側電極01XL〜16XL、右側電極01XR〜16XR、上側電極01YU〜16YU、下側電極01YD〜16YD、配線(図略)は、エラストマーを含んでいる。しかしながら、これらの電極、配線を、金属材料で形成してもよい。また、電極の形状、大きさ、配置数、配置場所については、特に限定しない。また、検出部A0101〜A1616の形状、大きさ、配置数、配置場所についても、特に限定しない。電極の形状、大きさ、配置数、配置場所を変えることにより、検出部A0101〜A1616の形状、大きさ、配置数、配置場所を変えることができる。
【実施例】
【0082】
以下、第一実施形態の遊技用的1にBB弾90が衝突した場合を想定した、シミュレーション結果について説明する。実施例は、図1〜図3に示す、第一実施形態の遊技用的1である。比較例は、実施例に対して、高減衰層5の代わりに、プラスチック製の硬質の板を配置した遊技用的である。
【0083】
図6に、シミュレーション結果をグラフで示す。横軸は、BB弾90が遊技用的に進入していた時間、つまりBB弾90の衝突時間である。縦軸は、BB弾90が遊技用的に進入していた深さである。なお、横軸のα、縦軸のβは、共に正数である。
【0084】
図6に示すように、実施例の衝突時間T1の方が、比較例の衝突時間T2よりも長いことが判った。すなわち、実施例の方が、比較例よりも、誘電層20の変形時間が長いことが判った。また、実施例の衝突深さD1の方が、比較例の衝突深さD2よりも長いことが判った。すなわち、実施例の方が、比較例よりも、BB弾90がめり込みやすく、誘電層20に衝撃を伝達しやすいことが判った。
【符号の説明】
【0085】
1:遊技用的、2:センサ、3:演算部、4:表層、5:高減衰層、6:センサ。
20:誘電層(センサ膜)、21:表側絶縁被覆層、22:裏側絶縁被覆層、23:表側配線用コネクタ、24:裏側配線用コネクタ、30:電源回路、34:ディスプレイ、40:的面、60:センサ膜、61:基層、62:コネクタ、90:BB弾、91:壁。
01X1〜16X1:表側接続部、01XL〜16XL:左側電極(電極)、01XR〜16XR:右側電極(電極)、01X〜16X:表側電極(電極)、01Y〜16Y:裏側電極(電極)、01Y1〜16Y1:裏側接続部、01YD〜16YD:下側電極(電極)、01YU〜16YU:上側電極(電極)、01x〜16x:表側配線、01y〜16y:裏側配線、A0101〜A1616:検出部、表側電極(電極):B100、裏側電極(電極):C100、表側配線:D100、裏側配線:E100。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
衝突物が衝突する的面と、
該的面の裏側に配置され、衝突により弾性的に変形すると共にエラストマーまたは伸縮性を有する布を含むセンサ膜と、該センサ膜の少なくとも一部を介して配置される複数の電極と、複数の該電極の配置に対応して設定される複数の検出部と、を有し、該検出部に対応する電気量を該電極から出力するセンサと、
該的面と該センサとの間に介装され、該衝突の衝撃を緩和すると共に、該センサ膜が変形している変形時間を確保する高減衰層と、
を備えてなり、
該変形時間は、全ての該検出部に対応する電気量を出力するのに必要なセンシング時間以上である遊技用的。
【請求項2】
前記センサ膜は、前記エラストマーまたは伸縮性を有する前記布製であり、
複数の前記電極は、該センサ膜の表裏方向両側に配置され、
前記検出部は、表側の該電極と裏側の該電極とが表裏方向から見て交差することにより形成される請求項1に記載の遊技用的。
【請求項3】
前記高減衰層の層厚は、10mm以上40mm以下である請求項1または請求項2に記載の遊技用的。
【請求項4】
前記高減衰層は、オイル成分が配合された熱可塑性エラストマー製である請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の遊技用的。
【請求項5】
前記衝突物が前記的面に到達する際の速度は、80m/s以上100m/s以下である請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の遊技用的。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−156004(P2011−156004A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−17724(P2010−17724)
【出願日】平成22年1月29日(2010.1.29)
【出願人】(000219602)東海ゴム工業株式会社 (1,983)