遊技装置用の回転表示体
【目的】 球体の外表面に文字、絵柄等の図柄を表示してなる遊技装置用の回転表示体を提供すること。
【構成】 複数個の分割された殻体3,4を組合せて構成される回転体1と、熱収縮性フィルムを材料としたテープを筒状にしてその外表面に文字、絵柄等の図柄8を表示する表示体2とを別体に形成し、前記殻体3,4相互を抱き合わせに組合せて球形の前記回転体1を構成したところで、該回転体1を前記表示体2の内部に嵌め入れ包囲させ、次に該表示体2を加熱収縮させて前記回転体1の周面に密着させ、これによって前記殻体3,4相互を結束すると同時に、該回転体の外周面に前記図柄を表示して回転表示体Aとする。
【構成】 複数個の分割された殻体3,4を組合せて構成される回転体1と、熱収縮性フィルムを材料としたテープを筒状にしてその外表面に文字、絵柄等の図柄8を表示する表示体2とを別体に形成し、前記殻体3,4相互を抱き合わせに組合せて球形の前記回転体1を構成したところで、該回転体1を前記表示体2の内部に嵌め入れ包囲させ、次に該表示体2を加熱収縮させて前記回転体1の周面に密着させ、これによって前記殻体3,4相互を結束すると同時に、該回転体の外周面に前記図柄を表示して回転表示体Aとする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ遊技機、スロットマシン、パチスロ等の遊技機における遊技装置の中で使用される表面に図柄を表示してなる遊技装置用の回転表示体に関する。
【背景技術】
【0002】
パチンコ遊技機やスロットマシン等の遊技機には遊技を楽しく演出するための各種の遊技装置が組込まれるが、遊技の中で予め設定した当り条件を遊技者において確認する手段として回転表示体がある。
回転表示体は一般的には複数個準備し、各回転表示体の表面に表示した文字や数字、記号或いは絵柄等の図柄(以下、単に「図柄」という。)を組合せることでゲームの成立、つまり遊技上の「当り」を表現し、予め設定した当りの種類、即ち図柄の組合せに基づきそれぞれ価値を違えた景品を遊技者に払い出す等、装置の中で種々利用されている。
【0003】
従来、最も一般的な回転表示体は回転ドラムの周面に図柄を表示したものである。回転ドラムは通常3個並設し、この回転ドラムの周面に表示した図柄の組合せによって各種の「当り」を表現し、ゲームを楽しむものとなっているが、この回転ドラム式の表示体は、円筒状の回転体からなるもの等、構造を異にしたものがあるが、いずれも図柄が上下に移動し、変化するに過ぎないため単調になる問題がある。
【0004】
この変化の単調さは動きの単純さにも原因があるが、形状の共通性にも原因があり、変化を求める遊技者から飽きられる問題があった。
これを解決する一つの方法として、ドラムに代えて球体としたものが提案されている。
回転する球体は、即ち球体形の回転表示体は回転ドラムを見慣れた遊技者に新鮮さを与えるものであり、遊技者の興趣を誘うものとなるが、この球体形回転表示体の問題は回転ドラム式の表示体に比較して製造に困難を伴うことである。
即ち、球体形の回転表示体は、球体を形成すること自体がドラム形に比較して容易でなく、加えて表示体とするためにはこの球体の表面に文字や数字、絵柄等からなる図柄を表わす必要があり、曲面に対する印刷など技術的な困難を伴うものとなっている。
【0005】
従来、遊技装置用の球体形をなす回転表示体の例を挙げれば、例えば特許文献1乃至3に記載されるもの等がある。
【特許文献1】特開平8−191934号公報の明細書中段落0032から0039、及び図面の図1から図9。
【特許文献2】特開平8−191935号公報の明細書の段落0019から0026の説明、及び図面の図1から図9。
【特許文献3】特開平8−191936号公報の明細書の段落0025から0032の説明、及び図面の図1から図9。
【0006】
上記特許文献1乃至3は、回転体に関する記載内容を共通にしており、相互に差がないものとなっているので、ここでは特許文献1の記載に基づきみると、回転体56は一対の半球形の殻体62,64から構成され、これら殻体には半球面中央部に殻体の球面の中心から放射線方向(球心方向)に向けて筒状の軸筒部66を立設することが記載されている。そして、一方の殻体62の円形開口端部には嵌合凹部72を、軸筒部66の自由端部には嵌合軸凸部74を形成し、また他方の殻体64の円形開口端部には嵌合凸部76を、そして軸筒部66には嵌合軸凹部78を設けて、球体を作るべくこの2つの殻体62,64を合体させるに際しては、前記嵌合凹部72と嵌合凸部74とを嵌め合せ、また前記嵌合軸凸部74と嵌合軸凹部78とを嵌め合せて組合せ、球体とすることが説明されている。
【0007】
この球体に表現する図柄についてはそれぞれ殻体を単独の状態にして、これに分割された図柄を表示し、次に位置合せの凸部80と凹部82を嵌め合せてこの図柄を組合せ完成させることが記載されている。
しかし、ここには凸部と凹部の嵌め合せで2つの殻体から1つの球体を作ることが説明されているが、この2つの殻体を分離不能に一体的に結合させることについては詳細な説明がなく、また各殻体の半球面形をなす外表面にどの様にして図柄を表示するかについてもこれが提案の要部となっていないこともあって明らかになっていない。
【0008】
ところで、球面の如く立体的な面に対する印刷方法については、例えば特許文献4が公開されている。
【特許文献4】特開平10−181295号公報。明細書の段落0002、0017から0019。図面の図8から図10。 しかし、ここに開示される立体面に対する転写の技術は、人形の顔等の凹凸面に対するものであり、球体の全面に亘って印刷することについては対応しておらず、従って球体に対する表示の問題を解決するものとはなっていない。
【0009】
球体の表面、とりわけ球体外表面の全面に亘って、しかも回転表示体の如く複数の図柄の連続からなる表示を均一に表わすことは極めて困難な作業であり、前述したように仮に複数個に分割される殻体の個々に個別に表わし、これを球体に組立てることを通して連続した図柄にする方法を採用するにしても、殻体の接合部において図柄の不整合が起るなど美麗な仕上りを得ることが困難な問題がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従って、上述したところから明らかな様に、本発明は遊技装置において使用される回転表示体の製造、とりわけ球体の外表面に図柄を表示する回転表示体の製造の困難性に鑑み、これを改善すべく開発されたものであり、その目的とするところは、回転表示体の本体となる球状の回転体の成形と、この回転体の外表面に表わす図柄の表示に関わる問題を同時に解決し、製造性を高めると共に、回転体の表面形状と表示の図柄を歪みなく美麗に仕上げられるようにした改良された遊技装置用の回転表示体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記目的を達成するため、遊技装置用の回転表示体を回転体と、この回転体の外表面を包囲し図柄を表示する表示体から構成し、前記回転体は抱き合せに組合せることで球体を形成することができる複数個の分割された殻体から構成し、他方前記表示体は熱収縮性フィルムのテープを基材にしてその一面に前記図柄を表示すると共に図柄表示面を外にして端部同志を接合し筒形に形成し、該筒形にした表示体の内部に前記複数個の殻体を抱き合せに組み合わせて球体形にした前記回転体を嵌め入れ包囲し、次に該表示体を加熱収縮して前記各殻体の外表面に密着させ前記回転体を球体形に結束固定し、併せて該回転体の外表面に前記図柄を表示するようにした遊技装置用の回転表示体を提供することにある。
【0012】
また本発明は、前記回転体について抱き合せることにより中空の球体を形成する2つの半球状の殻体から構成するようにした遊技装置用の回転表示体を提供することにある。
【0013】
また本発明は、前記半球状の各殻体には内部の中心位置に球体に組合わせたとき球体の中心部に向けて突き出す筒状の軸受部を延設し、該軸受部先端同志の結合によって殻体相互を抱き合せに仮結合させると共に、前記軸受部の中空端部を殻体の外に開口させて回転支軸の挿通を可能にした遊技装置用の回転表示体を提供することにある。
【0014】
また本発明は、前記回転体につき2つの半球状の殻体と、殻体の開口部間に渡される筒状の軸受部材から構成して、前記2つの殻体を抱き合せに組立てる際に、両殻体の開口部間に前記軸受部材を挟み込み、この状態で前記球体にした回転体を筒状の表示体の内部に収め、該表示体を加熱し収縮して球体形に結束固定し、前記軸受部材を回転体に対して貫通して備えるようにした遊技装置用の回転表示体を提供することにある。
【0015】
また本発明は、前記熱収縮性フィルムからなるテープを筒形にしてなる表示体について、前記テープの幅を回転体の直径に等しい長さ、若しくは僅かに小さい長さにして加熱収縮したとき回転体の略全周を包囲できるようにした遊技装置用の回転表示体を提供することにある。
【0016】
そしてまた本発明は、前記熱収縮性フィルムからなるテープを筒形にしてなる表示体について、筒形の内周を内部に収める回転体の外周に略等しいか、若しくは僅かに大きく形成してこの筒形の表示体の内部に回転体を収めたとき両者の内周面と外周面とが接触して相互の位置関係が安定するようにした遊技装置用の回転表示体を提供することにある。
【0017】
ところで、前記組合せることによって球体となり、回転体を形成することになる複数個の殻体は任意の数を選択することができるが、殻体自体の成形と、球体に組立る際の作業性の面から2つの半球形をなす殻体とするのが有利である。しかし、球体を3分割するもの、4分割するものなどその分割数を増したものであっても本発明の実施を妨げるものではない。
【0018】
また殻体は、成形上の理由と、回転体として使用する上から中空の球体を形成するようにそれぞれを肉薄に形成し、軽量化することが望ましく、使用時の回転及び停止動作を機敏にする上でも有利になる。
尚、この殻体の組合せによって形成される回転体は、その周面に巻き付く表示体の熱収縮による締め付けを受けることから、この熱収縮時の締め付けに耐えられる強度が求められることは言うまでもない。従って、上記殻体は素材によっても多少の差はあるが、肉厚はこの締め付けに耐えられる厚みを限度として選択されることになる。
【0019】
一方、前記表示体の基材となる熱収縮性フィルムは、シュリンクフィルムとして広く知られる合成樹脂の延伸フィルムが使用される。そして、このフィルムは包囲する回転体に合せて予めテープ状に切断したものが使用される。
熱収縮性フィルムについてはどの様なものでもよいが、好ましくはポリ塩化ビニル、ポリオフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂等を材料にした熱収縮性フィルムが適している。
【0020】
尚、表示体は筒形の状態において回転体に覆せ、加熱することにより収縮させるものであり、このとき合成樹脂を材料にして成形される回転体の殻体も熱の影響を受けることになるので、熱収縮性フィルムの選択に当っては出来るだけ低温で収縮する材料、例えばポリ塩化ビニルを材料とした熱収縮性フィルム等が都合がよく、取扱いの上からも有利である。
【0021】
一方、前記表示体の表面に施す図柄は、テープ状に展開した状態で印刷する等して表示される。
球形をなす回転体の周面に対する図柄表示において、テープ状の表示体を展開し、平面の状態で図柄を印刷表示できることは、本発明の特徴の一つであって、球体表面の曲面上に印刷することに比較して容易性において、また明瞭性において優れたものとなる。
【0022】
以上説明するところによって明らかな様に、本発明に係る遊技装置用の回転表示体は、回転体と、この回転体の外表面に密着する表示体とからなるもので、回転体は球体を構成する複数の殻体から作られることになる。
そして、前述したように回転体を2つの半球状の殻体から構成する場合、この殻体の開口部を衝き合せにして球体状に抱き合せて形成するに当って両殻体に軸受部を備える場合には、その一方の軸受部の先端を大径に、他方の軸受部の先端を小径にして、両先端部を嵌め合せに結合させて上記殻体の抱き合せ状態を保持するようにするとよい。
【0023】
また、上記回転体に対して表示体は、前述した如く熱収縮性フィルムをテープ状にしてこれを更に筒状にするが、このときテープの幅を前記回転体の直径に略等しくし、更に筒状における内周が同じく回転体の直径に略等しくなるよう形成し、筒状の表示体の内部に回転体を嵌め入れ収めたとき、この回転体の略全体が包囲されるようにするとよい。
【0024】
筒状の表示体に嵌め込まれる回転体は、この表示体の内部に収まることによって各殻体の抱き合せ状態が維持されることになり、球形を自動的に保持されることになる。この状態において表示体を加熱し、素材の熱収縮性を利用して収縮させると、回転体の最も大きな直径部分に接触する中央部分、つまり筒形の中央の内周部分を中心にして筒の両端部に向かう非接触部分が先ず収縮を開始し、全体に及んで回転体の外表面全面に密着するよう収縮し、貼り付くことになる。
【0025】
この表示体の熱収縮による回転体表面への貼り付きによって分割された殻体相互は結束され、1つの球体に固定されることになる。それと同時に、この球体、つまり回転体の外表面は表示体の貼り付きによって予め表示体の表面に表わした図柄が表れることになり、回転体の全周に図柄が表示されることになる。
勿論、回転体の外表面に表わされる図柄は、任意に選択できるものであるが、予め表示体の表面の全周に表した場合はそのまゝ球状をなす回転体の全周に亘って表すことができることになる。
【発明の効果】
【0026】
以上の説明において明らかな様に、本発明によれば、回転表示体の基体となる球形の回転体を複数の分割された殻体から構成するようにしたこと、つまり殻体そのものを造ることによって球体を製造することができることから製造が容易となり、またこの殻体相互の抱き合せによって球状の回転体とするとき、筒状にした表示体の熱収縮性を利用して一体に結束し固定できる構造としたことから、殻体を接着剤を利用して接合する場合、或いはねじ止め等にって結合する場合等に比較して遥かに簡便に、しかも正確に結合させて球状の回転体に形成できるという利点がある。
【0027】
そして、この表示体の締め付けによって殻体を抱き合せ、球状に形成される回転体は、表示体の全体的な熱収縮を受けて均一に締め付けられるため、殻体を抱き合わせて仮結合の状態において開口部相互の衝き合せにずれを生ずることがあっても自動的に修正が加わり均一な曲面に仕上げられるので平滑な球体に仕上げられる利点がある。
【0028】
更に本発明は、筒状をなす表示体の表面にはテープ状に展開した状態において予め図柄の表示が印刷等によって施すことができ、しかも当該表示体を回転体の外表面に巻き付け、密着させて回転体の外表面全面に上記図柄を配置することができることから、この回転体若しくは回転体を構成する殻体の外表面の曲面に対して直接印刷等により図柄表示する従来の場合に比較して遥かに容易であり、しかも的確に図柄を表示することができる利点がある。
以下、本発明を実施の形態を通して更に具体的に説明することにする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
図1乃至図7は、本発明の実施の形態を示したものである。図面において、1は本発明に係る回転表示体Aを構成する回転体であり、2はこの回転体1の外表面を包囲し、この包囲を通して回転体の表面に図柄を表示する表示体である。
【0030】
回転体1は、一部欠截した真円球に近い球体に形成してあり、ここでは2つの略半球形をなす殻体3,4から構成するものとしている。
上記一方の殻体3は、半球形をなす殻体の底部に当る中央部分を欠截して平滑な円形の底3aを形成し、この底3aの中央部分から内部の中央空間に向けて円筒形の軸受部5を立ち上げており、また他方の殻体4は、上記一方の殻体3と同様に半球形をなす殻体の底部を欠截して平滑な底4aを形成し、この底4aの中央部分から内部の中央空間に向けて同じく円筒形をなす軸受部6を立ち上げている。
【0031】
この2つの殻体3,4は前記底3a,4aの形状を大小異にしている以外同一の形状に形成してあり、それぞれに設けた前記軸受部5,6は一方の軸受部5を他方の軸受部6の中空部内に突き入れられる直径に形成し、互いの先端部を嵌め付けられるようにしてある。
【0032】
この両軸受部5,6は2つの殻体3,4を連結し、球体をなすよう仮止めするために使用される外、回転体1が回転表示体として完成されたとき、この回転体を遊技装置に軸承する回転支軸7を挿通するためのものであり、そのためそれぞれ殻体の底3a,4aに接する端部において中空部を外に向けて開放し、軸挿入口8,9を形成している。
【0033】
そして、上記両軸受部5,6の各先端部は図2に示したように、殻体の開口部3b,4bより僅かに突き出すようにして、殻体3,4をこの開口部を衝き合せて抱き合せにしたとき、互いの先端部が衝き合って小径な軸受部5の先端部が大径な軸受部6の先端部の中空部に嵌り込み結合するようにしてある。
図1はこの両軸受部5,6の先端部同志が結合し、2つの殻体3,4を球体に組合せた姿を示している。このとき、この結合によって両殻体の円形をなす開口部3b,4b相互は一致した状態で衝き合い、仮止め状態で球体を維持することになる。
【0034】
一方、表示体2は図5に示した如く、一面に表示しようとする所定の図柄8‥‥を連続した状態で表示することになる。
この表示体は、前述したように熱収縮性の合成樹脂フィルムを材料としたテープ2aを基材とするもので、ここではポリ塩化ビニルを素材とした熱収縮性フィルムからなるテープを基材にして、このテープの状態でその一面に連続した複数個の図柄8‥‥を印刷配置することになる。そして、図柄8‥‥を表示したテープ状の表示体をその端部同志を接合して筒状に形成し、一面に表示した前記図柄8‥‥をこの筒体の外周面に表れるようにする。
【0035】
筒形をなす上記表示体2は、図3に示したように球体に組まれる回転体1の直径、ここでは軸受部5,6の長さ方向に沿った直径に筒の高さ(表示体2がテープ状をなすときその幅に相当する。)を揃えて、回転体の全体を包み込めるようにし、またこの筒形をなす表示体2の内径を上記球体をなす回転体1の外径に一致するように形成している。
【0036】
筒形をなす表示体2を上記の如く回転体1に対応させて寸法取りすることにより、この表示体2の中に回転体1を収めたとき、その略全体が包み込まれると同時に、前記軸受部5,6の連結によって球体として仮止めされた回転体は隙間なく嵌り込み殻体3,4が分かれるのを阻止し、球体を維持した状態で収まることになる。
【0037】
この様にして筒形の表示体2の中に回転体1を収め両者を組合せたのち、表示体2を使用樹脂の収縮温度に合せた温度で加熱し、収縮処理して回転体1の外周面全面に亘って密着させ、両者を一体化する。
収縮のための加熱は、上述の様に材料によって決定されるが、ここではポリ塩化ビニルを素材とした熱収縮性フィルムを使用することから、100〜150℃の温度で収縮させることができるが、実際には比較的低温の範囲で、つまり100℃に近い温度で、しかもやゝ時間を掛けて20〜30秒の加熱によって収縮させ一体化を図っている。
【0038】
表示体2の収縮は、回転体1の全面に亘って均一に進行し、密着することが望ましく、従って全体を同時に加熱するよう配慮されることになる。しかし、加熱の方法は熱風による場合、温水による場合、等任意選択されることになる。
【0039】
図4は、表示体2の加熱により筒状から回転体1の球面に沿って密着し、回転体1と同様に球形に収縮した完成状態を示したものである。表示体2の筒状をなした両端縁は各殻体3,4の底3a,4aの縁部に周り込んで密着し、一体化が図られている。
そして、この表示体の収縮によって回転体を構成する2つの殻体3,4は強く押し付けられ、開口部3b,4b同志を密着させると同時に、最も伸長した状態にあるこの開口部周囲の表示体、更に言うならば表示体2の中央部分が強い収縮力を残すことから該開口部の衝き合せにおいてずれがあったとき、外方にずれる部分を押し込むことになり平滑な曲面を作ることになる。
【0040】
図中、9は一方の殻体4の成形時に軸受部6の側部に一体的に形成したねじ受け孔である。このねじ受け孔9は、後述するように本発明に係る回転表示体Aを遊技装置である可変表示装置10に組付ける際に自転運動を導入するためのベベルギヤを取付けるためのものである。次に、この回転表示体Aの使用例を通して更に説明することにする。
【0041】
図7は、本発明に係る回転表示体Aを可変表示装置10に組付けた使用状態を説明する中央縦断右側面図である。図中の符号11は、回転表示体Aの中心部に位置する2つの軸受部5,6の中空部を貫いて回転自由に挿通された回転支軸であり、12はこの回転支軸11を支持する腕形をなす軸支持体で、13は軸支持体12の底部中央に設ける筒形の軸受14を回転自由に支持する本体フレームであり、15はこの本体フレーム13を背面板として使用する前方に向けて開放する箱形の本体ケースである。
【0042】
上記回転表示体Aは、前記回転支軸11を中心にして回転する自転と、前記軸受14を中心にして軸支持体12と共に回転する公転の2系統の回転運動をするように設定してあり、それぞれの運動は独立した2つのモータ16,17によって行われるようにしてある。
【0043】
上記モータ16は、公転運動のためのもので、出力軸に設ける出力ギヤ18とアイドルギヤ19を噛合させ、このアイドルギヤ19と割出ギヤ20とを噛合させてある。そして、この割出ギヤ20は前記軸受14に連結して一体に回転するようにしてあり、これにより前記軸支持体12が回転するようにしてある。
【0044】
上記出力ギヤ18と割出ギヤ20の間に介挿されるアイドルギヤ19は、本体フレーム13に軸21を介して回動自由に軸支させてあり、割出ギヤ20と一体となる軸受14は本体フレーム13に設ける軸受部22によって回転自由に支持してある。
従って、モータ16が作動し、出力ギヤ18が回転すると、アイドルギヤ19を介して
割出ギヤ20が回転し、軸受14を中心にして軸支持体12が回転し、回転支軸11、そして回転表示体Aが同時に回転することになる。
【0045】
一方、モータ17は、回転表示体Aを自転させるためのもので、出力軸に設けた出力ギヤ23にアイドルギヤ24が噛合し、このアイドルギヤ24に割出ギヤ25が噛合するようにしてある。
割出ギヤ25は、前記軸受14の中空部を貫通する回転軸26に軸着され、この回転軸26を中心にして回転すると共に、この回転軸26を介して前記軸支持体12の内側に設けられるドライブベベルギヤ27に連結している。
【0046】
上記ドライブベベルギヤ27は、前記軸支持体12に軸28を軸承させて回転自由に取付くアイドルベベルギヤ29に噛合し、更にこのアイドルベベルギヤ29は回転表示体Aの端部に固着するベベルギヤ30に噛合するようにしてある。
上記ベベルギヤ30は回転表示体Aの一方の殻体4の底4aに接面させビス31を前記ねじ受け孔9にねじ付けることでこの回転表示体Aに固定される。
【0047】
従って、モータ17が駆動し、出力ギヤ23が回転すると、アイドルギヤ24を介して割出ギヤ25が回転軸26を中心に回転し、これに伴ってドライブベベルギヤ27が軸支持体12の内側で回転することになる。そして、このドライブベベルギヤ27に噛合するアイドルベベルギヤ29を介してベベルギヤ30が回転し、このベベルギヤ30を固定する回転表示体Aが回転することになる。
【0048】
尚、この回転表示体Aを支持する回転支軸11は、軸受部5,6を貫いて軸の両端を回転表示体の外に突き出し、それぞれ前記軸支持体12の前端部近傍に固着して渡してあり、回転表示体Aがこの回転支軸11を中心にして回転するようにしてある。
【0049】
以上の構造からモータ16が駆動すると、軸支持体12が軸受14を中心に回転することに伴って軸受14の軸心の延長線32上にある回転表示体Aがこの延長線32を中心にして回転することになり、更にモータ17が駆動することに伴って回転支軸11を中心とした別の回転が加わることになる。
【0050】
表示体2は、図6に示したように筒状にあるときその表面に表わす図柄8‥‥を周方向に連続して配置するため、モータ17が作動すると、回転支軸11を中心に回転して前面に向けて次々とこの図柄8を出現させることになり、また公転用のモータ16が作動すると、軸支持体12の回転によって表示体2の向きが上下左右に変化することになる。
【0051】
尚、図中33は回転表示体Aを覗くため本体ケース15の前面を開放する窓であり、34はこの窓33を塞ぐ球面形に形成した透明板である。
また、35は遊技装置10を取付けるパチンコ遊技機の遊技盤であり、36は遊技盤35の前面を被うガラスである。
【0052】
本発明に係る回転表示体Aは、上述の如く可変表示装置10に組込み使用されるが、単独で使用される場合に限らず、複数個を配列して回転表示体の前面側に現れる図柄の組合によって当りを確定する等の方法で使用することが可能であることは言うまでもない。
いずれの方法において使用するにしても、球体をなす回転体1の表面に表示体2が密着してその表面に描く図柄8が明瞭に表現されることから美麗な遊技装置となり遊技者に好感を与えるものとなる。
次に、本発明の回転表示体Aの異なる形状において実施される場合について説明することにする。
【実施例1】
【0053】
図8〜図10は、前述した回転体1の2つの殻体3,4に設ける軸受部5,6の各先端部を変更して、両軸受部5,6の連結をより確実にした実施例を示している。尚、本実施例において前記実施の形態において説明した同一の部所については同一の符号を付してその説明を省略する。以下、その他の実施例においても同様とする。
この実施例における両軸受部5,6の関係は、前記実施の形態において説明したのと同じく、それぞれ先端部を僅かに殻体3,4の各開口部3b,4bから突き出させ、更に一方の軸受部5の外径を他方の軸受部6の内径に略等しくして嵌め込めるようにしてある。
【0054】
この様にした軸受部5,6にあって小径な軸受部5は先端部の外周面に環状の凹部37を形成し、他方の大径な軸受部6は先端部を縦に切込むスリット38によって複数に分割し、この分割した先端部の内周に係止凸部39を形成している。
この凹部37と係止凸部39は、図8に示した如く軸受部5,6を衝き合せ状に連結する際、スリット38を利用して拡張させ、内向きに突き出す係止凸部39を凹部37に掛け止めるようにしてあり、この掛け止めによって両軸受体5,6の連結を一層確実にしてしっかりした球体の仮止めが得られるようにしてある。
【実施例2】
【0055】
次に、図11〜図14は本発明の第2の実施例を示したものである、この実施例は2つの殻体と回転支軸11を軸装する軸受部とを別体に形成し、殻体の組合せ時に軸受部を組入れて一体とし、回転体1を完成する場合につき示している。
即ち、図示するように、ここでは2つの殻体40,41は球体を縦に2つ割りにした半球形状にして、各殻体の上下の端部を切除し、前記実施の形態で説明した殻体3,4の各底3a,4aに相当する上下の平面部40a,40bと、41a,41bをそれぞれ形成している。
そして、この各平面部40a,40bと41a,41bの各端縁の中央部に半円弧状の切欠き凹部42a,42bと、43a,43bを形成し、殻体とは別体に形成する軸受部材44を組付けるようにしている。
【0056】
軸受部材44は円筒状をなし、各殻体の前記平面部40a,40b,41a,41b間の長さより僅かに長くして両端部が、この平面部を貫いて外に突き出るようにしている。
そして、この軸受部材44の一端(図面において下端)には前記可変表示装置10のベベルギヤ30をねじ止めする取付鍔45を一体に備え、またこの鍔に近接した周面に前記凹部42b,43bを嵌め付ける切欠き部46,46を設けている。
【0057】
上記の説明及び図面から明らかな様に2つの殻体40,41は対称形をなして、左右から合せることで上端と下端に平面部を有した球体が作られ、回転体1が形成されるようになっている。
そして、殻体40,41の抱き合せに当って両者の間には軸受部材44を介挿し、これを挟み込むことにより回転体1の中央部を縦に貫く状態で配置され、回転支軸を挿通することができるようにしてある(図11参照)。
【0058】
図13は、上記球体に組まれる回転体1に円筒形に形成する熱収縮性合成樹脂フィルムからなる表示体2を被せ、この回転体1を球状の状態に保持した姿を示す中央縦断面図である。また図14は、上記表示体2を加熱収縮させて回転体1の外表面に密着させ、2つの殻体40,41を球体に結束固定すると同時に、表示体2の表面に表した図柄(図示せず)を回転体1の表面に表わす図柄として回転表示体Aを完成した状態を示す中央縦断正面図である。
【0059】
ここに軸受部材44を別体として形成した2つの殻体40,41は、表示体1の加熱収縮によって引き寄せられ、両者間に介挿した前記軸受部材44と共に1つに結束されて回転表示体Aを形成することになる。
そして、この回転表示体Aは前述した通り、接着剤等を要することなく殻体を球状に結合させると共に、殻体の全体を均一に緊締する結果、殻体相互を正確に抱き合せ、それぞれの衝き合せ部分の位置ずれ等を修正して凹凸のない球体に形成することになる。
【0060】
また表示体2による図柄の表示は、球面にかゝわらず、テープとして、或いはフィルムの状態において、つまり平面的な状態で印刷する等して表示することができることから、球体表面に、或いは殻体の表面に直接印刷表示するのに比較して遥かに正確に、しかも容易に表現することができることになる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明に係る回転表示体を構成する回転体の中央縦断面図。
【図2】回転体を構成する殻体を分離した状態における中央縦断面図。
【図3】回転体の周囲に筒状にした表示体を被せ包囲した状態を説明する中央縦断面図。
【図4】筒状の表示体を加熱収縮させて回転体の外周面に密着させ回転表示体を完成した状態の中央縦断面図。
【図5】テープ状態にある表示体の平面図。
【図6】筒状にした表示体の正面図。
【図7】回転表示体の使用例を説明する装置の中央縦断右側面図。
【図8】一実施例における回転表示体を構成する回転体の中央縦断面図。
【図9】回転体を構成する殻体を分離した状態の中央縦断面図。
【図10】回転体の外周面に筒状の表示体を被せ包囲した状態を説明する中央縦断面図。
【図11】その他の実施例における回転体の中央縦断面図。
【図12】回転体を構成する殻体及び軸受部材を分離した状態を説明する中央縦断面図。
【図13】回転体の外周面に筒状の表示体を被せ包囲した状態を説明する中央縦断面図。
【図14】筒状の表示体を加熱収縮させて回転体の外周面に密着させ回転表示体を完成した状態の中央縦断面図である。
【符号の説明】
【0062】
A 回転表示体
1 回転体
2 表示体
3,4 殻体
3b,4b 殻体の開口部
5,6 軸受部
8 図柄
11 回転支軸
40,41 殻体
44 軸受部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ遊技機、スロットマシン、パチスロ等の遊技機における遊技装置の中で使用される表面に図柄を表示してなる遊技装置用の回転表示体に関する。
【背景技術】
【0002】
パチンコ遊技機やスロットマシン等の遊技機には遊技を楽しく演出するための各種の遊技装置が組込まれるが、遊技の中で予め設定した当り条件を遊技者において確認する手段として回転表示体がある。
回転表示体は一般的には複数個準備し、各回転表示体の表面に表示した文字や数字、記号或いは絵柄等の図柄(以下、単に「図柄」という。)を組合せることでゲームの成立、つまり遊技上の「当り」を表現し、予め設定した当りの種類、即ち図柄の組合せに基づきそれぞれ価値を違えた景品を遊技者に払い出す等、装置の中で種々利用されている。
【0003】
従来、最も一般的な回転表示体は回転ドラムの周面に図柄を表示したものである。回転ドラムは通常3個並設し、この回転ドラムの周面に表示した図柄の組合せによって各種の「当り」を表現し、ゲームを楽しむものとなっているが、この回転ドラム式の表示体は、円筒状の回転体からなるもの等、構造を異にしたものがあるが、いずれも図柄が上下に移動し、変化するに過ぎないため単調になる問題がある。
【0004】
この変化の単調さは動きの単純さにも原因があるが、形状の共通性にも原因があり、変化を求める遊技者から飽きられる問題があった。
これを解決する一つの方法として、ドラムに代えて球体としたものが提案されている。
回転する球体は、即ち球体形の回転表示体は回転ドラムを見慣れた遊技者に新鮮さを与えるものであり、遊技者の興趣を誘うものとなるが、この球体形回転表示体の問題は回転ドラム式の表示体に比較して製造に困難を伴うことである。
即ち、球体形の回転表示体は、球体を形成すること自体がドラム形に比較して容易でなく、加えて表示体とするためにはこの球体の表面に文字や数字、絵柄等からなる図柄を表わす必要があり、曲面に対する印刷など技術的な困難を伴うものとなっている。
【0005】
従来、遊技装置用の球体形をなす回転表示体の例を挙げれば、例えば特許文献1乃至3に記載されるもの等がある。
【特許文献1】特開平8−191934号公報の明細書中段落0032から0039、及び図面の図1から図9。
【特許文献2】特開平8−191935号公報の明細書の段落0019から0026の説明、及び図面の図1から図9。
【特許文献3】特開平8−191936号公報の明細書の段落0025から0032の説明、及び図面の図1から図9。
【0006】
上記特許文献1乃至3は、回転体に関する記載内容を共通にしており、相互に差がないものとなっているので、ここでは特許文献1の記載に基づきみると、回転体56は一対の半球形の殻体62,64から構成され、これら殻体には半球面中央部に殻体の球面の中心から放射線方向(球心方向)に向けて筒状の軸筒部66を立設することが記載されている。そして、一方の殻体62の円形開口端部には嵌合凹部72を、軸筒部66の自由端部には嵌合軸凸部74を形成し、また他方の殻体64の円形開口端部には嵌合凸部76を、そして軸筒部66には嵌合軸凹部78を設けて、球体を作るべくこの2つの殻体62,64を合体させるに際しては、前記嵌合凹部72と嵌合凸部74とを嵌め合せ、また前記嵌合軸凸部74と嵌合軸凹部78とを嵌め合せて組合せ、球体とすることが説明されている。
【0007】
この球体に表現する図柄についてはそれぞれ殻体を単独の状態にして、これに分割された図柄を表示し、次に位置合せの凸部80と凹部82を嵌め合せてこの図柄を組合せ完成させることが記載されている。
しかし、ここには凸部と凹部の嵌め合せで2つの殻体から1つの球体を作ることが説明されているが、この2つの殻体を分離不能に一体的に結合させることについては詳細な説明がなく、また各殻体の半球面形をなす外表面にどの様にして図柄を表示するかについてもこれが提案の要部となっていないこともあって明らかになっていない。
【0008】
ところで、球面の如く立体的な面に対する印刷方法については、例えば特許文献4が公開されている。
【特許文献4】特開平10−181295号公報。明細書の段落0002、0017から0019。図面の図8から図10。 しかし、ここに開示される立体面に対する転写の技術は、人形の顔等の凹凸面に対するものであり、球体の全面に亘って印刷することについては対応しておらず、従って球体に対する表示の問題を解決するものとはなっていない。
【0009】
球体の表面、とりわけ球体外表面の全面に亘って、しかも回転表示体の如く複数の図柄の連続からなる表示を均一に表わすことは極めて困難な作業であり、前述したように仮に複数個に分割される殻体の個々に個別に表わし、これを球体に組立てることを通して連続した図柄にする方法を採用するにしても、殻体の接合部において図柄の不整合が起るなど美麗な仕上りを得ることが困難な問題がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従って、上述したところから明らかな様に、本発明は遊技装置において使用される回転表示体の製造、とりわけ球体の外表面に図柄を表示する回転表示体の製造の困難性に鑑み、これを改善すべく開発されたものであり、その目的とするところは、回転表示体の本体となる球状の回転体の成形と、この回転体の外表面に表わす図柄の表示に関わる問題を同時に解決し、製造性を高めると共に、回転体の表面形状と表示の図柄を歪みなく美麗に仕上げられるようにした改良された遊技装置用の回転表示体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記目的を達成するため、遊技装置用の回転表示体を回転体と、この回転体の外表面を包囲し図柄を表示する表示体から構成し、前記回転体は抱き合せに組合せることで球体を形成することができる複数個の分割された殻体から構成し、他方前記表示体は熱収縮性フィルムのテープを基材にしてその一面に前記図柄を表示すると共に図柄表示面を外にして端部同志を接合し筒形に形成し、該筒形にした表示体の内部に前記複数個の殻体を抱き合せに組み合わせて球体形にした前記回転体を嵌め入れ包囲し、次に該表示体を加熱収縮して前記各殻体の外表面に密着させ前記回転体を球体形に結束固定し、併せて該回転体の外表面に前記図柄を表示するようにした遊技装置用の回転表示体を提供することにある。
【0012】
また本発明は、前記回転体について抱き合せることにより中空の球体を形成する2つの半球状の殻体から構成するようにした遊技装置用の回転表示体を提供することにある。
【0013】
また本発明は、前記半球状の各殻体には内部の中心位置に球体に組合わせたとき球体の中心部に向けて突き出す筒状の軸受部を延設し、該軸受部先端同志の結合によって殻体相互を抱き合せに仮結合させると共に、前記軸受部の中空端部を殻体の外に開口させて回転支軸の挿通を可能にした遊技装置用の回転表示体を提供することにある。
【0014】
また本発明は、前記回転体につき2つの半球状の殻体と、殻体の開口部間に渡される筒状の軸受部材から構成して、前記2つの殻体を抱き合せに組立てる際に、両殻体の開口部間に前記軸受部材を挟み込み、この状態で前記球体にした回転体を筒状の表示体の内部に収め、該表示体を加熱し収縮して球体形に結束固定し、前記軸受部材を回転体に対して貫通して備えるようにした遊技装置用の回転表示体を提供することにある。
【0015】
また本発明は、前記熱収縮性フィルムからなるテープを筒形にしてなる表示体について、前記テープの幅を回転体の直径に等しい長さ、若しくは僅かに小さい長さにして加熱収縮したとき回転体の略全周を包囲できるようにした遊技装置用の回転表示体を提供することにある。
【0016】
そしてまた本発明は、前記熱収縮性フィルムからなるテープを筒形にしてなる表示体について、筒形の内周を内部に収める回転体の外周に略等しいか、若しくは僅かに大きく形成してこの筒形の表示体の内部に回転体を収めたとき両者の内周面と外周面とが接触して相互の位置関係が安定するようにした遊技装置用の回転表示体を提供することにある。
【0017】
ところで、前記組合せることによって球体となり、回転体を形成することになる複数個の殻体は任意の数を選択することができるが、殻体自体の成形と、球体に組立る際の作業性の面から2つの半球形をなす殻体とするのが有利である。しかし、球体を3分割するもの、4分割するものなどその分割数を増したものであっても本発明の実施を妨げるものではない。
【0018】
また殻体は、成形上の理由と、回転体として使用する上から中空の球体を形成するようにそれぞれを肉薄に形成し、軽量化することが望ましく、使用時の回転及び停止動作を機敏にする上でも有利になる。
尚、この殻体の組合せによって形成される回転体は、その周面に巻き付く表示体の熱収縮による締め付けを受けることから、この熱収縮時の締め付けに耐えられる強度が求められることは言うまでもない。従って、上記殻体は素材によっても多少の差はあるが、肉厚はこの締め付けに耐えられる厚みを限度として選択されることになる。
【0019】
一方、前記表示体の基材となる熱収縮性フィルムは、シュリンクフィルムとして広く知られる合成樹脂の延伸フィルムが使用される。そして、このフィルムは包囲する回転体に合せて予めテープ状に切断したものが使用される。
熱収縮性フィルムについてはどの様なものでもよいが、好ましくはポリ塩化ビニル、ポリオフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂等を材料にした熱収縮性フィルムが適している。
【0020】
尚、表示体は筒形の状態において回転体に覆せ、加熱することにより収縮させるものであり、このとき合成樹脂を材料にして成形される回転体の殻体も熱の影響を受けることになるので、熱収縮性フィルムの選択に当っては出来るだけ低温で収縮する材料、例えばポリ塩化ビニルを材料とした熱収縮性フィルム等が都合がよく、取扱いの上からも有利である。
【0021】
一方、前記表示体の表面に施す図柄は、テープ状に展開した状態で印刷する等して表示される。
球形をなす回転体の周面に対する図柄表示において、テープ状の表示体を展開し、平面の状態で図柄を印刷表示できることは、本発明の特徴の一つであって、球体表面の曲面上に印刷することに比較して容易性において、また明瞭性において優れたものとなる。
【0022】
以上説明するところによって明らかな様に、本発明に係る遊技装置用の回転表示体は、回転体と、この回転体の外表面に密着する表示体とからなるもので、回転体は球体を構成する複数の殻体から作られることになる。
そして、前述したように回転体を2つの半球状の殻体から構成する場合、この殻体の開口部を衝き合せにして球体状に抱き合せて形成するに当って両殻体に軸受部を備える場合には、その一方の軸受部の先端を大径に、他方の軸受部の先端を小径にして、両先端部を嵌め合せに結合させて上記殻体の抱き合せ状態を保持するようにするとよい。
【0023】
また、上記回転体に対して表示体は、前述した如く熱収縮性フィルムをテープ状にしてこれを更に筒状にするが、このときテープの幅を前記回転体の直径に略等しくし、更に筒状における内周が同じく回転体の直径に略等しくなるよう形成し、筒状の表示体の内部に回転体を嵌め入れ収めたとき、この回転体の略全体が包囲されるようにするとよい。
【0024】
筒状の表示体に嵌め込まれる回転体は、この表示体の内部に収まることによって各殻体の抱き合せ状態が維持されることになり、球形を自動的に保持されることになる。この状態において表示体を加熱し、素材の熱収縮性を利用して収縮させると、回転体の最も大きな直径部分に接触する中央部分、つまり筒形の中央の内周部分を中心にして筒の両端部に向かう非接触部分が先ず収縮を開始し、全体に及んで回転体の外表面全面に密着するよう収縮し、貼り付くことになる。
【0025】
この表示体の熱収縮による回転体表面への貼り付きによって分割された殻体相互は結束され、1つの球体に固定されることになる。それと同時に、この球体、つまり回転体の外表面は表示体の貼り付きによって予め表示体の表面に表わした図柄が表れることになり、回転体の全周に図柄が表示されることになる。
勿論、回転体の外表面に表わされる図柄は、任意に選択できるものであるが、予め表示体の表面の全周に表した場合はそのまゝ球状をなす回転体の全周に亘って表すことができることになる。
【発明の効果】
【0026】
以上の説明において明らかな様に、本発明によれば、回転表示体の基体となる球形の回転体を複数の分割された殻体から構成するようにしたこと、つまり殻体そのものを造ることによって球体を製造することができることから製造が容易となり、またこの殻体相互の抱き合せによって球状の回転体とするとき、筒状にした表示体の熱収縮性を利用して一体に結束し固定できる構造としたことから、殻体を接着剤を利用して接合する場合、或いはねじ止め等にって結合する場合等に比較して遥かに簡便に、しかも正確に結合させて球状の回転体に形成できるという利点がある。
【0027】
そして、この表示体の締め付けによって殻体を抱き合せ、球状に形成される回転体は、表示体の全体的な熱収縮を受けて均一に締め付けられるため、殻体を抱き合わせて仮結合の状態において開口部相互の衝き合せにずれを生ずることがあっても自動的に修正が加わり均一な曲面に仕上げられるので平滑な球体に仕上げられる利点がある。
【0028】
更に本発明は、筒状をなす表示体の表面にはテープ状に展開した状態において予め図柄の表示が印刷等によって施すことができ、しかも当該表示体を回転体の外表面に巻き付け、密着させて回転体の外表面全面に上記図柄を配置することができることから、この回転体若しくは回転体を構成する殻体の外表面の曲面に対して直接印刷等により図柄表示する従来の場合に比較して遥かに容易であり、しかも的確に図柄を表示することができる利点がある。
以下、本発明を実施の形態を通して更に具体的に説明することにする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
図1乃至図7は、本発明の実施の形態を示したものである。図面において、1は本発明に係る回転表示体Aを構成する回転体であり、2はこの回転体1の外表面を包囲し、この包囲を通して回転体の表面に図柄を表示する表示体である。
【0030】
回転体1は、一部欠截した真円球に近い球体に形成してあり、ここでは2つの略半球形をなす殻体3,4から構成するものとしている。
上記一方の殻体3は、半球形をなす殻体の底部に当る中央部分を欠截して平滑な円形の底3aを形成し、この底3aの中央部分から内部の中央空間に向けて円筒形の軸受部5を立ち上げており、また他方の殻体4は、上記一方の殻体3と同様に半球形をなす殻体の底部を欠截して平滑な底4aを形成し、この底4aの中央部分から内部の中央空間に向けて同じく円筒形をなす軸受部6を立ち上げている。
【0031】
この2つの殻体3,4は前記底3a,4aの形状を大小異にしている以外同一の形状に形成してあり、それぞれに設けた前記軸受部5,6は一方の軸受部5を他方の軸受部6の中空部内に突き入れられる直径に形成し、互いの先端部を嵌め付けられるようにしてある。
【0032】
この両軸受部5,6は2つの殻体3,4を連結し、球体をなすよう仮止めするために使用される外、回転体1が回転表示体として完成されたとき、この回転体を遊技装置に軸承する回転支軸7を挿通するためのものであり、そのためそれぞれ殻体の底3a,4aに接する端部において中空部を外に向けて開放し、軸挿入口8,9を形成している。
【0033】
そして、上記両軸受部5,6の各先端部は図2に示したように、殻体の開口部3b,4bより僅かに突き出すようにして、殻体3,4をこの開口部を衝き合せて抱き合せにしたとき、互いの先端部が衝き合って小径な軸受部5の先端部が大径な軸受部6の先端部の中空部に嵌り込み結合するようにしてある。
図1はこの両軸受部5,6の先端部同志が結合し、2つの殻体3,4を球体に組合せた姿を示している。このとき、この結合によって両殻体の円形をなす開口部3b,4b相互は一致した状態で衝き合い、仮止め状態で球体を維持することになる。
【0034】
一方、表示体2は図5に示した如く、一面に表示しようとする所定の図柄8‥‥を連続した状態で表示することになる。
この表示体は、前述したように熱収縮性の合成樹脂フィルムを材料としたテープ2aを基材とするもので、ここではポリ塩化ビニルを素材とした熱収縮性フィルムからなるテープを基材にして、このテープの状態でその一面に連続した複数個の図柄8‥‥を印刷配置することになる。そして、図柄8‥‥を表示したテープ状の表示体をその端部同志を接合して筒状に形成し、一面に表示した前記図柄8‥‥をこの筒体の外周面に表れるようにする。
【0035】
筒形をなす上記表示体2は、図3に示したように球体に組まれる回転体1の直径、ここでは軸受部5,6の長さ方向に沿った直径に筒の高さ(表示体2がテープ状をなすときその幅に相当する。)を揃えて、回転体の全体を包み込めるようにし、またこの筒形をなす表示体2の内径を上記球体をなす回転体1の外径に一致するように形成している。
【0036】
筒形をなす表示体2を上記の如く回転体1に対応させて寸法取りすることにより、この表示体2の中に回転体1を収めたとき、その略全体が包み込まれると同時に、前記軸受部5,6の連結によって球体として仮止めされた回転体は隙間なく嵌り込み殻体3,4が分かれるのを阻止し、球体を維持した状態で収まることになる。
【0037】
この様にして筒形の表示体2の中に回転体1を収め両者を組合せたのち、表示体2を使用樹脂の収縮温度に合せた温度で加熱し、収縮処理して回転体1の外周面全面に亘って密着させ、両者を一体化する。
収縮のための加熱は、上述の様に材料によって決定されるが、ここではポリ塩化ビニルを素材とした熱収縮性フィルムを使用することから、100〜150℃の温度で収縮させることができるが、実際には比較的低温の範囲で、つまり100℃に近い温度で、しかもやゝ時間を掛けて20〜30秒の加熱によって収縮させ一体化を図っている。
【0038】
表示体2の収縮は、回転体1の全面に亘って均一に進行し、密着することが望ましく、従って全体を同時に加熱するよう配慮されることになる。しかし、加熱の方法は熱風による場合、温水による場合、等任意選択されることになる。
【0039】
図4は、表示体2の加熱により筒状から回転体1の球面に沿って密着し、回転体1と同様に球形に収縮した完成状態を示したものである。表示体2の筒状をなした両端縁は各殻体3,4の底3a,4aの縁部に周り込んで密着し、一体化が図られている。
そして、この表示体の収縮によって回転体を構成する2つの殻体3,4は強く押し付けられ、開口部3b,4b同志を密着させると同時に、最も伸長した状態にあるこの開口部周囲の表示体、更に言うならば表示体2の中央部分が強い収縮力を残すことから該開口部の衝き合せにおいてずれがあったとき、外方にずれる部分を押し込むことになり平滑な曲面を作ることになる。
【0040】
図中、9は一方の殻体4の成形時に軸受部6の側部に一体的に形成したねじ受け孔である。このねじ受け孔9は、後述するように本発明に係る回転表示体Aを遊技装置である可変表示装置10に組付ける際に自転運動を導入するためのベベルギヤを取付けるためのものである。次に、この回転表示体Aの使用例を通して更に説明することにする。
【0041】
図7は、本発明に係る回転表示体Aを可変表示装置10に組付けた使用状態を説明する中央縦断右側面図である。図中の符号11は、回転表示体Aの中心部に位置する2つの軸受部5,6の中空部を貫いて回転自由に挿通された回転支軸であり、12はこの回転支軸11を支持する腕形をなす軸支持体で、13は軸支持体12の底部中央に設ける筒形の軸受14を回転自由に支持する本体フレームであり、15はこの本体フレーム13を背面板として使用する前方に向けて開放する箱形の本体ケースである。
【0042】
上記回転表示体Aは、前記回転支軸11を中心にして回転する自転と、前記軸受14を中心にして軸支持体12と共に回転する公転の2系統の回転運動をするように設定してあり、それぞれの運動は独立した2つのモータ16,17によって行われるようにしてある。
【0043】
上記モータ16は、公転運動のためのもので、出力軸に設ける出力ギヤ18とアイドルギヤ19を噛合させ、このアイドルギヤ19と割出ギヤ20とを噛合させてある。そして、この割出ギヤ20は前記軸受14に連結して一体に回転するようにしてあり、これにより前記軸支持体12が回転するようにしてある。
【0044】
上記出力ギヤ18と割出ギヤ20の間に介挿されるアイドルギヤ19は、本体フレーム13に軸21を介して回動自由に軸支させてあり、割出ギヤ20と一体となる軸受14は本体フレーム13に設ける軸受部22によって回転自由に支持してある。
従って、モータ16が作動し、出力ギヤ18が回転すると、アイドルギヤ19を介して
割出ギヤ20が回転し、軸受14を中心にして軸支持体12が回転し、回転支軸11、そして回転表示体Aが同時に回転することになる。
【0045】
一方、モータ17は、回転表示体Aを自転させるためのもので、出力軸に設けた出力ギヤ23にアイドルギヤ24が噛合し、このアイドルギヤ24に割出ギヤ25が噛合するようにしてある。
割出ギヤ25は、前記軸受14の中空部を貫通する回転軸26に軸着され、この回転軸26を中心にして回転すると共に、この回転軸26を介して前記軸支持体12の内側に設けられるドライブベベルギヤ27に連結している。
【0046】
上記ドライブベベルギヤ27は、前記軸支持体12に軸28を軸承させて回転自由に取付くアイドルベベルギヤ29に噛合し、更にこのアイドルベベルギヤ29は回転表示体Aの端部に固着するベベルギヤ30に噛合するようにしてある。
上記ベベルギヤ30は回転表示体Aの一方の殻体4の底4aに接面させビス31を前記ねじ受け孔9にねじ付けることでこの回転表示体Aに固定される。
【0047】
従って、モータ17が駆動し、出力ギヤ23が回転すると、アイドルギヤ24を介して割出ギヤ25が回転軸26を中心に回転し、これに伴ってドライブベベルギヤ27が軸支持体12の内側で回転することになる。そして、このドライブベベルギヤ27に噛合するアイドルベベルギヤ29を介してベベルギヤ30が回転し、このベベルギヤ30を固定する回転表示体Aが回転することになる。
【0048】
尚、この回転表示体Aを支持する回転支軸11は、軸受部5,6を貫いて軸の両端を回転表示体の外に突き出し、それぞれ前記軸支持体12の前端部近傍に固着して渡してあり、回転表示体Aがこの回転支軸11を中心にして回転するようにしてある。
【0049】
以上の構造からモータ16が駆動すると、軸支持体12が軸受14を中心に回転することに伴って軸受14の軸心の延長線32上にある回転表示体Aがこの延長線32を中心にして回転することになり、更にモータ17が駆動することに伴って回転支軸11を中心とした別の回転が加わることになる。
【0050】
表示体2は、図6に示したように筒状にあるときその表面に表わす図柄8‥‥を周方向に連続して配置するため、モータ17が作動すると、回転支軸11を中心に回転して前面に向けて次々とこの図柄8を出現させることになり、また公転用のモータ16が作動すると、軸支持体12の回転によって表示体2の向きが上下左右に変化することになる。
【0051】
尚、図中33は回転表示体Aを覗くため本体ケース15の前面を開放する窓であり、34はこの窓33を塞ぐ球面形に形成した透明板である。
また、35は遊技装置10を取付けるパチンコ遊技機の遊技盤であり、36は遊技盤35の前面を被うガラスである。
【0052】
本発明に係る回転表示体Aは、上述の如く可変表示装置10に組込み使用されるが、単独で使用される場合に限らず、複数個を配列して回転表示体の前面側に現れる図柄の組合によって当りを確定する等の方法で使用することが可能であることは言うまでもない。
いずれの方法において使用するにしても、球体をなす回転体1の表面に表示体2が密着してその表面に描く図柄8が明瞭に表現されることから美麗な遊技装置となり遊技者に好感を与えるものとなる。
次に、本発明の回転表示体Aの異なる形状において実施される場合について説明することにする。
【実施例1】
【0053】
図8〜図10は、前述した回転体1の2つの殻体3,4に設ける軸受部5,6の各先端部を変更して、両軸受部5,6の連結をより確実にした実施例を示している。尚、本実施例において前記実施の形態において説明した同一の部所については同一の符号を付してその説明を省略する。以下、その他の実施例においても同様とする。
この実施例における両軸受部5,6の関係は、前記実施の形態において説明したのと同じく、それぞれ先端部を僅かに殻体3,4の各開口部3b,4bから突き出させ、更に一方の軸受部5の外径を他方の軸受部6の内径に略等しくして嵌め込めるようにしてある。
【0054】
この様にした軸受部5,6にあって小径な軸受部5は先端部の外周面に環状の凹部37を形成し、他方の大径な軸受部6は先端部を縦に切込むスリット38によって複数に分割し、この分割した先端部の内周に係止凸部39を形成している。
この凹部37と係止凸部39は、図8に示した如く軸受部5,6を衝き合せ状に連結する際、スリット38を利用して拡張させ、内向きに突き出す係止凸部39を凹部37に掛け止めるようにしてあり、この掛け止めによって両軸受体5,6の連結を一層確実にしてしっかりした球体の仮止めが得られるようにしてある。
【実施例2】
【0055】
次に、図11〜図14は本発明の第2の実施例を示したものである、この実施例は2つの殻体と回転支軸11を軸装する軸受部とを別体に形成し、殻体の組合せ時に軸受部を組入れて一体とし、回転体1を完成する場合につき示している。
即ち、図示するように、ここでは2つの殻体40,41は球体を縦に2つ割りにした半球形状にして、各殻体の上下の端部を切除し、前記実施の形態で説明した殻体3,4の各底3a,4aに相当する上下の平面部40a,40bと、41a,41bをそれぞれ形成している。
そして、この各平面部40a,40bと41a,41bの各端縁の中央部に半円弧状の切欠き凹部42a,42bと、43a,43bを形成し、殻体とは別体に形成する軸受部材44を組付けるようにしている。
【0056】
軸受部材44は円筒状をなし、各殻体の前記平面部40a,40b,41a,41b間の長さより僅かに長くして両端部が、この平面部を貫いて外に突き出るようにしている。
そして、この軸受部材44の一端(図面において下端)には前記可変表示装置10のベベルギヤ30をねじ止めする取付鍔45を一体に備え、またこの鍔に近接した周面に前記凹部42b,43bを嵌め付ける切欠き部46,46を設けている。
【0057】
上記の説明及び図面から明らかな様に2つの殻体40,41は対称形をなして、左右から合せることで上端と下端に平面部を有した球体が作られ、回転体1が形成されるようになっている。
そして、殻体40,41の抱き合せに当って両者の間には軸受部材44を介挿し、これを挟み込むことにより回転体1の中央部を縦に貫く状態で配置され、回転支軸を挿通することができるようにしてある(図11参照)。
【0058】
図13は、上記球体に組まれる回転体1に円筒形に形成する熱収縮性合成樹脂フィルムからなる表示体2を被せ、この回転体1を球状の状態に保持した姿を示す中央縦断面図である。また図14は、上記表示体2を加熱収縮させて回転体1の外表面に密着させ、2つの殻体40,41を球体に結束固定すると同時に、表示体2の表面に表した図柄(図示せず)を回転体1の表面に表わす図柄として回転表示体Aを完成した状態を示す中央縦断正面図である。
【0059】
ここに軸受部材44を別体として形成した2つの殻体40,41は、表示体1の加熱収縮によって引き寄せられ、両者間に介挿した前記軸受部材44と共に1つに結束されて回転表示体Aを形成することになる。
そして、この回転表示体Aは前述した通り、接着剤等を要することなく殻体を球状に結合させると共に、殻体の全体を均一に緊締する結果、殻体相互を正確に抱き合せ、それぞれの衝き合せ部分の位置ずれ等を修正して凹凸のない球体に形成することになる。
【0060】
また表示体2による図柄の表示は、球面にかゝわらず、テープとして、或いはフィルムの状態において、つまり平面的な状態で印刷する等して表示することができることから、球体表面に、或いは殻体の表面に直接印刷表示するのに比較して遥かに正確に、しかも容易に表現することができることになる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明に係る回転表示体を構成する回転体の中央縦断面図。
【図2】回転体を構成する殻体を分離した状態における中央縦断面図。
【図3】回転体の周囲に筒状にした表示体を被せ包囲した状態を説明する中央縦断面図。
【図4】筒状の表示体を加熱収縮させて回転体の外周面に密着させ回転表示体を完成した状態の中央縦断面図。
【図5】テープ状態にある表示体の平面図。
【図6】筒状にした表示体の正面図。
【図7】回転表示体の使用例を説明する装置の中央縦断右側面図。
【図8】一実施例における回転表示体を構成する回転体の中央縦断面図。
【図9】回転体を構成する殻体を分離した状態の中央縦断面図。
【図10】回転体の外周面に筒状の表示体を被せ包囲した状態を説明する中央縦断面図。
【図11】その他の実施例における回転体の中央縦断面図。
【図12】回転体を構成する殻体及び軸受部材を分離した状態を説明する中央縦断面図。
【図13】回転体の外周面に筒状の表示体を被せ包囲した状態を説明する中央縦断面図。
【図14】筒状の表示体を加熱収縮させて回転体の外周面に密着させ回転表示体を完成した状態の中央縦断面図である。
【符号の説明】
【0062】
A 回転表示体
1 回転体
2 表示体
3,4 殻体
3b,4b 殻体の開口部
5,6 軸受部
8 図柄
11 回転支軸
40,41 殻体
44 軸受部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転体と、この回転体の外周面を包囲し図柄を表示する表示体とからなり、前記回転体は抱き合せに組合せることで球体を形成することができる複数個の分割された殻体から構成し、他方前記表示体は熱収縮性フィルムのテープを基材にしてその一面に前記図柄を表示すると共に、図柄表示面を外にして端部同志を接合し筒形に形成してなり、該筒形表示体の内部に前記複数個の殻体を抱き合せに組み球体形とした前記回転体を収め包囲し、この状態で該表示体を加熱収縮して前記各殻体の外表面に密着させることにより前記回転体を球体に結束し固定すると共に、該回転体の外表面に前記図柄を表示することを特徴とした遊技装置用の回転表示体。
【請求項2】
回転体は抱き合せることにより中空の球体を形成する2つの半球状の殻体から構成することを特徴とした請求項1に記載の遊技装置用の回転表示体。
【請求項3】
半球状の各殻体には内部の中心位置に球体に組合ったとき球体の中心部に向けて突き出す筒状の軸受部を延設し、該軸受部先端同志の結合によって殻体相互を抱き合せ状に仮結合させる一方、前記軸受部の中空端部を殻体の外に開口させ、回転支軸の挿通を可能にしたことを特徴とする請求項2に記載の遊技装置用の回転表示体。
【請求項4】
回転体は2つの半球状の殻体と、殻体の開口部間に渡される筒状の軸受部材とから構成し、前記2つの殻体を抱き合せに組立てる際、両殻体の開口部間に前記軸受部材を挟み込んで球体に組立て、該球体に組んだ回転体を筒状の表示体の内部に収めると共に、該表示体を加熱収縮して結束し固定して前記軸受部材を前記回転体に貫通した状態に備えてなることを特徴とした請求項1に記載の遊技装置用の回転表示体。
【請求項5】
熱収縮性フィルムからなるテープを筒形にする表示体は、前記テープの幅を回転体の直径に等しい長さ、若しくは僅かに小さい長さにして加熱収縮したとき回転体の略全周を包囲できるようにしてなることを特徴とした請求項1,2,3,4のいずれかの請求項に記載の遊技装置用の回転表示体。
【請求項6】
熱収縮性フィルムからなるテープを筒形にする表示体は内径を内部に収める回転体の外径に略等しく、若しくは僅かに大きく形成することを特徴とした請求項1,2,3,4,5のいずれかの請求項に記載の遊技装置用の回転表示体。
【請求項1】
回転体と、この回転体の外周面を包囲し図柄を表示する表示体とからなり、前記回転体は抱き合せに組合せることで球体を形成することができる複数個の分割された殻体から構成し、他方前記表示体は熱収縮性フィルムのテープを基材にしてその一面に前記図柄を表示すると共に、図柄表示面を外にして端部同志を接合し筒形に形成してなり、該筒形表示体の内部に前記複数個の殻体を抱き合せに組み球体形とした前記回転体を収め包囲し、この状態で該表示体を加熱収縮して前記各殻体の外表面に密着させることにより前記回転体を球体に結束し固定すると共に、該回転体の外表面に前記図柄を表示することを特徴とした遊技装置用の回転表示体。
【請求項2】
回転体は抱き合せることにより中空の球体を形成する2つの半球状の殻体から構成することを特徴とした請求項1に記載の遊技装置用の回転表示体。
【請求項3】
半球状の各殻体には内部の中心位置に球体に組合ったとき球体の中心部に向けて突き出す筒状の軸受部を延設し、該軸受部先端同志の結合によって殻体相互を抱き合せ状に仮結合させる一方、前記軸受部の中空端部を殻体の外に開口させ、回転支軸の挿通を可能にしたことを特徴とする請求項2に記載の遊技装置用の回転表示体。
【請求項4】
回転体は2つの半球状の殻体と、殻体の開口部間に渡される筒状の軸受部材とから構成し、前記2つの殻体を抱き合せに組立てる際、両殻体の開口部間に前記軸受部材を挟み込んで球体に組立て、該球体に組んだ回転体を筒状の表示体の内部に収めると共に、該表示体を加熱収縮して結束し固定して前記軸受部材を前記回転体に貫通した状態に備えてなることを特徴とした請求項1に記載の遊技装置用の回転表示体。
【請求項5】
熱収縮性フィルムからなるテープを筒形にする表示体は、前記テープの幅を回転体の直径に等しい長さ、若しくは僅かに小さい長さにして加熱収縮したとき回転体の略全周を包囲できるようにしてなることを特徴とした請求項1,2,3,4のいずれかの請求項に記載の遊技装置用の回転表示体。
【請求項6】
熱収縮性フィルムからなるテープを筒形にする表示体は内径を内部に収める回転体の外径に略等しく、若しくは僅かに大きく形成することを特徴とした請求項1,2,3,4,5のいずれかの請求項に記載の遊技装置用の回転表示体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2006−14812(P2006−14812A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−193738(P2004−193738)
【出願日】平成16年6月30日(2004.6.30)
【出願人】(000154679)株式会社平和 (1,976)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年6月30日(2004.6.30)
【出願人】(000154679)株式会社平和 (1,976)
【Fターム(参考)】
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